説明

熱流センサ及び熱流センサの製造方法

【課題】製造コストの上昇を抑制しつつ、熱抵抗を容易に増減等調整して、良好な測定精度を得られる熱流センサ及び熱流センサの製造方法を提供する。
【解決手段】分子配列が縦方向に配列された単純構造を有するモノフィラメント或いは、ポリフッ化ビニリデン等の伸長性の少ない芯材5bの外周面5cに、第1導電性金属である銅又はニッケル及びこれらの合金素材若しくは、第2導電性金属であるコンスタンタン製金属素材のうち、同一の銅又はニッケル及びこれらの合金又は、コンスタンタン製金属素材と同じ或いは、同等の金属素材によって、構成される連続金属膜層5aを被設して、円筒形状の導電性を有する電極脚部とすることにより、熱抵抗を調整して、他の電極脚部及び埋設されるセンサ基板2との間で、複数の熱電対3…が配列されたサーモパイルSとして、最適化した熱流センサである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伝熱測定に用いられる面状の熱流センサ及び熱流センサの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば、建材としての断熱材の開発等に欠かせない役割を果たしているのが、断熱材の熱伝導率を測定する熱流センサである。
【0003】
この熱流センサによる熱伝導率の測定精度の向上は、断熱材の過剰な使用によるスペースや資源の無駄の防止や、不十分な断熱施工によるエネルギーの無駄を避ける上でも望ましい。
【0004】
このような建材に用いられる個々の断熱材は、熱伝導率が0.02W/k.m(平均気温20°c)前後であるので、熱伝導率の測定は容易ではない。
【0005】
しかしながら、建物の一部として実際に用いられる状態若しくは、その状態に近い状態で、内,外壁面パネル材等が、複数組み合わせられた建材となった状態では、内,外側面間を通過する熱流束の測定を行うことにより、比較的に容易に、断熱性能を測定することが出来る。
【0006】
例えば、この測定には、図12及び図13に示す様な所謂サーモパイルSが、用いられる。このサーモパイルSは、複数の熱電対を面状に配列して、測定点を分散させると共に、これらの熱電対を直列に接続することにより、熱起電力を集積し、測定精度を向上させるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
このようなサーモパイルS自体を構成するセンサ基板は、絶縁性のガラスエポキシ樹脂製の薄板等によって、熱抵抗が小さくなるように薄板状に構成されている。
【0008】
また、添着された被測定物Yの表面部位における温度分布差によって、測定される熱流束値が影響を受けないように、複数の熱電対が、均等間隔を置いて配列されている。
【特許文献1】特開2004−37097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来のサーモパイルでは、被測定物Yの表面部位に温度分布差による熱流束の測定値への影響が、少なくなるように、微細な寸法を有する多数の異種金属を、小面積のセンサ基板2の面内外方向へ貫通させて、均等間隔に配列させている。
【0010】
このため、多数の貫通孔を形成して、熱電対を構成する導電性金属線材の各端縁を表裏側面に位置させたり、或いは巻付けて、金属線材の長手方向寸法を延長して、表裏側面に温度差T1−T2が、維持されるように構成されている。
【0011】
例えば、熱電対を構成する一方の金属材料としてのコンスタンタン等を用いて、金属線材の断面積を小さく設定する場合、これらの多数の金属線材の加工が困難で、製造コストの上昇を招くと共に、断線や、或いは接触不良等が発生してしまう虞があった。
【0012】
そこで、この発明は、製造コストの上昇を抑制しつつ、熱抵抗を容易に増減等調整して、良好な測定精度を得られる熱流センサ及び熱流センサの製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、縦横に配列された複数の貫通孔が絶縁性の基板に形成され、前記複数の貫通孔に異種金属材料製の第1,第2導電性金属が交互に配設された電極脚部と、該基板の各側面で、隣接配置された該第1,第2導電性金属で構成された電極脚部の端部間を、電気的に直列接続すると共に、前記第1導電性金属,第2導電性金属又は、他の補償導線合金により構成される第3導電性金属からなり、該基板の両側面に位置する表面金属層を有する熱流センサであって、前記第1,第2導電性金属で構成される電極脚部のうち、少なくとも何れか一方は、前記基板の両側面間を貫通する絶縁材料製の芯材が、該基板に埋設された状態で、該芯材の外周面に、貫通方向に沿って被設されて、前記各側面に位置する前記第3導電性金属に、各端縁部を接続する連続金属膜層を有する熱流センサを特徴としている。
【0014】
また、請求項2に記載されたものは、前記連続金属膜層は、前記芯材の外周面を覆うメッキ層で形成し、該外周面の略全周を覆うことにより、環状の断面形状を有する金属筒体を構成する請求項1記載の熱流センサを特徴としている。
【0015】
更に、請求項3に記載されたものは、前記第1,第2導電性金属で構成される各々の対となる電極脚部は、熱流量が、同等となるように、熱流方向の断面積が設定されている請求項1又は2記載の熱流センサを特徴としている。
【0016】
また、請求項4に記載されたものは、前記芯材が、伸長性の少ない材質で構成されている請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の熱流センサを特徴としている。
【0017】
そして、請求項5に記載されたものは、前記伸長性の少ない材質は、フッ素系樹脂繊維を原料として造られている請求項4記載の熱流センサを特徴としている。
【0018】
更に、請求項6に記載されたものは、前記伸長性の少ない材質は、フッ化ビニリデンである請求項5記載の熱流センサを特徴としている。
【0019】
また、請求項7に記載されたものは、前記伸長性の少ない材質は、分子配列が縦方向に配列された単純構造の樹脂繊維材料である請求項4乃至6のうち、何れか一項記載の熱流センサを特徴としている。
【0020】
更に、請求項8に記載されたものは、前記第1導電性金属,第2導電性金属のうち、何れか一方と同一金属若しくは、同一金属を含む合金で、前記第3導電性金属を構成して、前記基板の一方の側面若しくは他側面に位置する表面金属層を、同温度とする請求項1乃至7のうち、何れか一項記載の熱流センサを特徴としている。
【0021】
そして、請求項9に記載されたものは、前記第1導電性金属,第2導電性金属は、それぞれ銅又はコンスタンタンであり、前記第3導電性金属は、銅又は、コンスタンタンのうち、前記第1導電性金属,第2導電性金属のうち、何れか一方の同一金属若しくは、同一金属を含む同種の合金で、前記第3導電性金属を構成することにより、前記基板の同一側面に位置する表面金属層の温度が、接続された端部の温度と同等となる請求項1乃至8のうち、何れか一項記載の熱流センサを特徴としている。
【0022】
また、請求項10に記載されたものは、前記芯材が、前記基材を構成する絶縁性樹脂材料と同等の絶縁性樹脂材料で構成されている熱流センサを特徴とする。
【0023】
そして、請求項11に記載されたものは、前記芯材の外周面に沿って、前記第1導電性金属素材又は、第2導電性金属素材のうち、少なくとも何れか一方が被設された状態で張設して、周囲の間隙を埋める絶縁性樹脂材料を充填して、硬化させることにより、前記基板に用いる基材樹脂塊を形成すると共に、前記芯材の延設方向と直交する方向へ、該基材樹脂塊を平板状となるように切断する請求項1乃至10のうち、何れか一項記載の熱流センサの製造方法を特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
このように構成された請求項1記載の発明によれば、前記第1,第2導電性金属のうち、少なくとも何れか一方は、前記基板に埋設された芯材に沿って被設された前記連続金属膜層として、両端部が、前記基板の両側面に位置する前記各第3導電性金属に各々接続された状態で支持されて、電気的に導通可能とされている。
【0025】
このため、前記基板に配置された電極脚部として、前記第1,第2導電性金属を用いて、熱電対を形成する際、該熱流方向に直交する方向の該第1,第2導電性金属の断面積を、例えば、芯材の断面積及び外周寸法等を変更することにより、容易に増減させて設定することが出来る。
【0026】
従って、電極脚部として用いる前記第1,第2導電性金属が、例えば、熱流束の方向に直交する断面積を小さく設定した場合、加工が困難な素材であっても、これらの第1,第2導電性金属の電気的な断線や、或いは接触不良等を発生させること無く、熱伝導量,熱抵抗及び電気的抵抗の調整を行える。
【0027】
よって、例えば、熱流束の方向に直交する断面積を小さく設定して、熱抵抗を容易に増大させることにより、良好な測定精度を得られる熱流センサを提供出来る。
【0028】
また、請求項2に記載されたものは、このコンスタンタン金属材料が、前記芯材の外周面に対して、被設されるようにメッキ処理で略全周が覆われて、芯材の中心軸に沿う長手方向に連続して、電気的に導通可能な前記各連続金属膜層が形成されている。
【0029】
このため、更に、一方の側面に被設される帯状若しくは糸状の連続金属膜層に比して、円筒等、形状を限定して厚さ方向寸法及び芯材の直径方向寸法等のアスペクト比を用いるいことにより、容易に熱抵抗値の計算を行うことが出来る。
【0030】
更に、請求項3に記載されたものは、前記第1,第2導電性金属で構成される各々の対となる電極脚部は、熱流量が、同等となるように、熱流方向の断面積が設定されている。
【0031】
このため、容易に、熱流量のバランスを取ることが出来て、更に、測定精度を向上させることが出来る。
【0032】
また、請求項4に記載されたものは、前記芯材が、伸長性の少ない材質で構成されている。
【0033】
このため、前記芯材が、加工時若しくは測定使用時に、殆ど伸長しないので、この円筒形状の連続金属膜層を、薄膜層化しても、長手方向に引っ張られて、切断されることが無い。
【0034】
そして、請求項5に記載されたものは、前記芯材を構成する伸長性の少ない材質は、フッ素系樹脂繊維を原料として造られている。
【0035】
このため、加工時若しくは測定使用時に、殆ど伸長しないので、取り扱い性が容易で、前記芯材を、比較的安価に構成出来る。
【0036】
更に、請求項6に記載されたものは、前記芯材を構成する伸長性の少ない材質は、フッ化ビニリデンであるので、径方向寸法の設定が容易に行える。
【0037】
また、請求項7に記載されたものは、前記芯材を構成する伸長性の少ない材質は、分子配列が縦方向に配列された単純構造の樹脂繊維材料である。
【0038】
このため、剪断方向に容易に切断可能で、更に取り扱い性が容易である。
【0039】
更に、請求項8に記載されたものは、前記第1導電性金属,第2導電性金属のうち、何れか一方と同一金属若しくは、同一金属を含む合金で、前記第3導電性金属を構成して、前記基板の一方の側面若しくは他側面に位置する表面金属層を、同温度とする熱流センサを特徴としている。
【0040】
このため、第3導電性金属で構成された表面金属層が、各部分全体が、一接点のように測定代表点となり、同温度の中間金属として振る舞い、各金属線材の各端部と、金属筒体の各端部との間に起電力を生じさせる(中間金属の法則)。
【0041】
そして、請求項9に記載されたものは、前記第1導電性金属,第2導電性金属は、それぞれ銅又はコンスタンタンであり、前記第3導電性金属は、銅又は、コンスタンタンのうち、前記第1導電性金属,第2導電性金属のうち、何れか一方の同一金属若しくは、同一金属を含む同種の合金で、前記第3導電性金属を構成することにより、前記基板の同一側面に位置する表面金属層の温度が、接続された端部の温度と同等となる熱流センサを特徴としている。
【0042】
このため、温度が同等となった表面金属層が接続された端部と同等となって、異種金属の接続で得られる熱電対が容易に構成される。
【0043】
また、請求項10に記載されたものは、前記芯材が、前記基材を構成する絶縁性樹脂材料と同等の絶縁性樹脂材料で構成されている熱流センサを特徴としている。
【0044】
このため、基板であるエポキシ樹脂と同等の膨張率及び強度等の性能を有して、更に、物理的変形への対応性が良好で、前記被設された連続金属膜層を良好な熱伝導状態のまま、保持することができる。
【0045】
そして、請求項11に記載されたものは、前記芯材の外周面に沿って、前記第1導電性金属素材又は、第2導電性金属素材のうち、少なくとも何れか一方が被設された状態で張設して、周囲の間隙を埋める絶縁性樹脂材料を充填して、硬化させることにより、前記基板に用いる、基材樹脂塊を形成すると共に、前記芯材の延設方向と直交する方向へ、該基材樹脂塊を平板状となるように切断する請求項1乃至10のうち、何れか一項記載の熱流センサの製造方法を特徴としている。
【0046】
このような請求項11に記載された熱流センサの製造方法では、予め芯材の外周面に沿って、前記第1導電性金属素材又は、第2導電性金属素材のうち、少なくとも何れか一方が被設されているので、容易に、熱流束方向と直交する方向の断面積を増減等、設定出来、熱抵抗の最適なバランスを得ることが出来る熱流センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の実施の形態の熱流センサの要部の構成を説明する一部断面拡大斜視図である。
【図2】実施の形態の熱流センサで、(a)は、芯材を設けた電極脚部の一方の金属の構成を説明する模式的な拡大断面斜視図、(b)は比較例として示す線材の模式的な拡大断面図である。
【図3】実施の形態の熱流センサとしてのサーモパイルの正面図である。
【図4】実施の形態の熱流センサで、図3中A−A線に沿った位置での拡大断面図である。
【図5】実施の形態の熱流センサで用いられる中間金属の法則を説明し、(a)は、一般的な熱電対を多数個、埋設したサーモパイルの模式的な断面図、(b)は、この実施の形態のサーモパイルの図4に相当する部分で、等価となるサーモパイルの模式的な断面図である。
【図6】実施の形態の熱流センサの製造方法で、型枠に金属素材をセットして、液状溶融樹脂材を流し込む様子を説明する分解斜視図である。
【図7】実施の形態の熱流センサの製造方法で硬化した樹脂塊を型枠から取り出す様子を説明する分解斜視図である。
【図8】実施の形態の熱流センサの製造方法で、取り出された樹脂塊をサーモパイルのセンサ基板として、平板状に切り出す工程を説明し、(a)は、硬化した樹脂塊の端面を切り揃える工程を、(b)は、厚さ方向寸法hで、複数枚のセンサ基板を切り出す工程を説明する模式的な斜視図である。
【図9】実施の形態の熱流センサの製造方法で、センサ基板の側面に、メッキ処理を施す工程を説明し、(a)は、平板状のセンサ基板にエッチングを施す様子を説明する模式的な斜視図、(b)は、センサ基板に、銅メッキ処理を施す為、メッキ槽に浸ける様子を説明する模式図、(c)は、表面金属層及び端子片がメッキ処理により形成されたサーモパイルの模式的な斜視図である。
【図10】本願発明の実施の形態の実施例1の熱流センサで、サーモパイル一端部の構成を説明する要部の拡大平面図である。
【図11】実施の形態の実施例1の熱流センサで、図10中B−B線に沿った位置での拡大断面図である。
【図12】一般的な熱流センサとして、サーモパイルを用いて、被測定物である建物の外壁部等の断熱性能を測定している様子を示す模式的な斜視図である。
【図13】一般的な熱流センサで、熱流量Qの方向を矢印で示す図12中C−C線に沿った位置での要部の縦断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、この発明の実施の形態の熱流センサを、図面に基づいて説明する。
【0049】
図1乃至図13は、熱伝導率及び熱流量等を測定するための複数の熱電対が、平板面状に形成された基板としてのセンサ基板2に、略等間隔で配列されてなる熱流センサとしてのサーモパイルS及びその製造方法を示すと共に、中間金属の法則等及び、このサーモパイルSを用いた熱流量Qの測定方法を説明するものである。
【0050】
まず、図1乃至図5を用いて、この実施の形態の熱流センサとしてのサーモパイルSの構成について説明する。
【0051】
この実施の形態のサーモパイルSでは、前記熱流センサ本体として測定代表点の絶対温度を個別に測定可能な熱電対3…が、図1に示すようなエポキシ樹脂製の絶縁性樹脂材料によって構成される前記センサ基板2に、所定の配列及びピッチが設けられて、面内,外方向へ、貫通形成された複数の貫通孔9…,10…には、等間隔で配置される複数の金属線材4…と、これらの金属線材4…の列に対して、交互の列となるように、等間隔で配置された金属筒体5…とが、電極脚部として埋設されている。
【0052】
この金属筒体5…を構成する第2導電性金属は、前記金属線材4…を構成する銅又は、ニッケル等の金属とは、異種金属であるコンスタンタン等で構成されている。
【0053】
そして、これらの第1,第2導電性金属のうち、センサ基板2の各側面2c,2dに露呈する各端部間が、第3導電性金属により、接続されることにより、センサ基板2の両側面間の温度差によって、起電可能な多数対の熱電対3…が、構成されている。
【0054】
すなわち、このサーモパイルSのセンサ基板2の各両側面2c,2dには、これらの金属線材4及び金属筒体5間を、通電可能に各々接続する複数の表面金属層6…が形成されている。
【0055】
これらの表面金属層6…は、前記第1導電性金属,第2導電性金属又は、他の補償導線合金若しくは、これらと同等の金属製材料により構成される第3導電性金属で構成されて、前記第1導電性金属,第2導電性金属と同じ条件下では、一つの中間金属として扱える特性を有する補償導線合金等が用いられている。
【0056】
この実施の形態のセンサ基板2の両方の側面2c,2dには、図1に示すように、平面視略矩形状を呈する多数(又は複数)の表面金属層6としての表面コンスタンタン層6a…が、配列されている。
【0057】
また、このセンサ基板2の側面2cとは、反対側(他方)の側面2dには、平面視略長方形形状を呈する多数(又は複数)の表面金属層6としての表面コンスタンタン層6a…が、配列されている。
【0058】
この実施の形態の表面金属層6,6は、前記第2導電性金属として用いられるコンスタンタンと同じコンスタンタン金属素材で構成された第3導電性金属によって、形成されていて、両側面2c,2dに、メッキ処理が施される際に、各々このセンサ基板2の両側面2c,2dの表面に付着して、薄膜層状の表面コンスタンタン層6a,6aとなるように構成されている。
【0059】
そして、面内,外方向に長手方向を有する複数の熱電対3…の各金属線材4…及び円筒形状の各金属筒体5…の各両端部が、このコンスタンタンのメッキ処理が行われる際に、表面金属層6,6の表面コンスタンタン層6a,6aに対して、交互に通電可能となるように電気的に接続される。
【0060】
この実施の形態のサーモパイルSのセンサ基板2は、主に、平板状に形成されて、前記複数の熱電対3…の各金属線材4及び金属筒体5…が、面内,外方向に貫通するように、配列されて、測定代表点の絶対温度が個別に測定可能である他、局所的な温度差あるいは温度勾配に比例した電圧が出力される。
【0061】
そして、これらの複数の熱電対3…が、端子片7,8間で直列に接続されることにより、このセンサ基板2の両側面間の温度差が、熱流量として等価となる測定電流に、高効率で変換される。
【0062】
このため、このサーモパイルSの一方の側面2cを、被測定物Yに添接させることにより、被測定物Yの添接された表面側からの熱流量Q又は、熱流束の値が、測定電流値として測定されるように構成されている。
【0063】
すなわち、詳述すると、このセンサ基板2には、縦横にマトリックス状に配列された前記表面金属層6を構成する表面コンスタンタン層6a…及び前記各端子片7,8の下方で、両側に位置する表面金属層6,6の間には、図4に示すような第1貫通孔9…及び第2貫通孔10…が、面内,外方向を垂直に貫通するように形成されている。
【0064】
そして、前記第1貫通孔9…には、第1導電性金属としての銅製の金属線材4…が、各々略丸棒状を呈して、軸方向を面内,外方向に沿わせた直線状に埋設されていて、前記センサ基板2の両側面に位置する各表面コンスタンタン層6a,6aに各々電気的に接続されている。
【0065】
また、前記第2貫通孔10…内には、断面円筒形状の金属製膜材によって、各側面2c,2d間の電気的な導通を行う金属筒体5…が、各々埋設されている。
【0066】
この金属筒体5は、各々前記センサ基板2の両側面間を貫通する絶縁材料であるポリフッ化ビニリデン樹脂(フロロカーボン)製の糸状の芯材5bと、この芯材5bを中心に有して、このセンサ基板2に埋設された状態で、図2中(a)に示す様に、この芯材5bの外周面5cに、貫通方向に沿って被設された第2導電性金属としてのコンスタンタンで構成される連続金属膜層5a…とを有することにより、主に構成されている。
【0067】
この実施の形態の芯材5bは、軸方向を面内,外方向に沿わせた直線状に張設される細糸体によって構成されて、同一断面積を呈する断面形状を略真円形状としている。
【0068】
そして、この実施の形態では、このコンスタンタン金属材料が、前記芯材5bの外周面5cに対して、被設されるようにメッキ処理で略全周が覆われて、芯材5bの中心軸に沿う長手方向に連続して、電気的に導通可能な前記各連続金属膜層5a…が形成されている。
【0069】
この金属筒体5のうち、前記芯材5bの直径を約φ50(ミクロン)とすると、連続金属膜層5aの厚さ方向寸法w1は、約1〜10(ミクロン)で、望ましくは、約2〜3(ミクロン)で、図2中(b)に示す様に、例えば、線状のコンスタンタン材25を使用する場合の加工限界である直径約φ100(ミクロン)の直径d2の場合に比して、断面積を減少させて、熱抵抗を増大させる方向への調整が容易となっている。
【0070】
そして、この実施の形態では、面内,外方向(熱流束の方向)に直交する断面形状を、円環形状とする導電体として、外径方向に位置する前記センサ基板2のエポキシ樹脂材料の第2貫通孔10の内側面と、この連続金属膜層5aの外側面とを一体に融着させることで、外力が加わっても変形しにくく、内,外両側面から支持されて、両各端部間に安定した通電特性を与えられる。
【0071】
従って、前記センサ基板2の各側面に位置する表面コンスタンタン層6a,6aに、各々電気的にこれらの各端部を各々接続することにより、前記銅線で構成される金属線材4…と共に、異種金属の対となる電極脚部となって、熱電対3…が構成される。
【0072】
このうち、各金属線材4…に用いられる銅は、金属筒体5に用いられるコンスタンタンに比して高い熱伝導率を有することが知られている。
【0073】
次に、この実施の形態の熱流センサの製造方法について、図2,図6乃至図9を用いて説明する。
【0074】
このような熱電対3…が複数個、直列に配線されて埋設されたサーモパイルSを形成するには、図2中(a)に示す様に、先ず糸線状に延伸されたポリフッ化ビニリデン樹脂(フロロカーボン)製の芯材5bが、陽極となるように帯電されている。導電性の素材は電解槽に浸けて陽極に繋ぐ事によってメッキ処理が行われる。この際、この実施の形態ののように、ポリフッ化ビニリデン樹脂若しくは、プラスチック等の不導体にメッキを施す場合には、表面に導電化処理が施されてから電解槽に浸けたり、或いは、真空蒸着によってメッキが施される。
【0075】
次に、図6に示す様に、中央部に、略直方体形状のキャビティ空間30を有する外枠体17の内側面間で、このキャビティ空間30内を横断するように、複数の前記金属線材4…と、金属筒体5…とが、平行でしかも交互となるように張設される。
【0076】
そして、底面部32の四隅から、円柱部材31…が各々突設された台座16の上に、この外枠体17がセットされて、金型15にエポキシ樹脂材39を流し込むか或いは、液状のエポキシ樹脂槽内に浸ける前工程の金型15組立工程が終了する。
【0077】
次に、この金型15のキャビティ空間30の上部に開口形成された流入開口部17aから、液状のエポキシ樹脂材39が流し込まれる。
【0078】
このエポキシ樹脂材39が硬化した後、図7に示す様に、前記台座16の上から、前記外枠体17を外して、略直方体形状の基材樹脂塊40が、前記キャビティ空間30内の空間から取り出される。
【0079】
図8中(a)に示すこの基材樹脂塊40の端面部40a,40aは、二点鎖線で示すように、平坦となるように切削される。
【0080】
そして、図8中(b)に示される様に、前記基材樹脂塊40の端面が、ワイヤカッタ50等が用いられて、所望の厚さ方向寸法hで切断されて、平面状のセンサ基板2…として成型される。
【0081】
この際、前記各金属筒体5…が、芯材5bの外周面5cに蒸着されて、この芯材5bによって、内側から支持されているので、前記ワイヤカッタ50により切断される際の押圧力によって、前記第1,第2貫通孔9…,10…の内側面から剥離したり、或いは、変形や断線を起こす虞がない。
【0082】
次に、図9に示す様に、このセンサ基板2にメッキが施されて、前記各金属線材4…と、各金属筒体5…との間が、第3導電性金属としての表面金属層6…の各表面コンスタンタン層6a…によって、連結接続された状態となる。
【0083】
即ち、図9(a)中、二点鎖線に示す様に、前記センサ基板2の各両側面2c,2d全体に、エッチング処理が施され、前記端子片7,8及び複数の表面金属層6…の各表面コンスタンタン層6a…が形成される予定の部分が、残されている。
【0084】
この実施の形態では、図9中二点鎖線で示すように、センサ基板2の一方の側面2c上に短冊状(長方形状)の表面金属層6…各表面コンスタンタン層6a…が、ジグザグに複数個、配列され、反対側の側面2dにも、前記直列に接続されるように、一部重ね合わせられた、短冊状(長方形状)の各表面コンスタンタン層6a…が、ジグザグに複数個、配列される様に、エッチング処理が施される。
【0085】
図9中(b)に示すように、メッキ処理が施される際には、前記金属線材4の端部及び、芯材5bに円筒状に被設された連続金属膜層5aの端部とが、変形又は脱落等することなく、確実に、センサ基板2の両側面2c,2dの端子片7,8及び複数の表面コンスタンタン層6a…が形成される予定の部分に位置して外部に露出されている。
【0086】
このため、図9中(c)に示すように、メッキ処理が施されると、前記端子片7及び端子片8間では、これらの金属線材4の端部及び、連続金属膜層5aの端部間が、第3金属接続体で、しかも、この連続金属膜層5aと同一のコンスタンタン金属素材で構成される表面コンスタンタン層6a…によって、直列接続される。
【0087】
従って、微細なエッチング処理によって、接続不良が発生する虞が減少し、図9中(c)に示すように、表面金属層6…を構成する表面コンスタンタン層6a…が、センサ基板2の一方の側面2c及び他方の側面2dにジグザグに複数個、配列されて、多数の熱電対の測定代表点が、面状に略均等に配分されることにより、温度分布の不均衡に影響を受けにくくなる為、測定精度が良好なサーモパイルSを構成することができる。
【0088】
この各表面金属層6…は、図1に示すように、各両側面2c,2dの各表面コンスタンタン層6a,6aの端部が、長手方向を直交させて前記センサ基板2の面内外方向で、重複する位置に、配置されている。
【0089】
このため、各表面コンスタンタン層6a,6a間が、前記センサ基板2の面内外方向の最短距離で直線状に直列に配置される前記金属線材4…,及び金属筒体5…で、接続される。
【0090】
このように面状となるように略均等に分布している各熱電対3…は、微細な電流を個別に発生させても、直列に配列されることにより、この直列回路の両端の前記端子片7,8から、容易に熱流束値として、電流を測定することが出来る。
【0091】
しかも、各熱電対3…は、各側面2c,2dで、面状となるように略均等に分布されているので、添着された被測定物Yの表面部位における熱流量又は熱流束を計測する際、温度分布差によって影響を受けにくく、更に測定精度を向上させることが可能である。
【0092】
また、この実施の形態では、金属線材4は、熱伝導率が、約403W/m・Kの銅製であり、金属筒体5は、熱伝導率が、約22W/m・Kのコンスタンタンが用いられている。このため、銅製の金属線材4の熱伝導率は、コンスタンタン製の金属筒体5の熱伝導率の約18倍となる。
【0093】
この結果、金属線材4と、金属筒体5の断面積が同じであれば、センサ基板2の一方の側面2cから、他方の側面2dに移動する熱量は、銅製の金属線材4の方が、コンスタンタン製の金属筒体5よりも約18倍も多くなるので、被測定物の熱伝達率の測定が困難になる。
【0094】
従って、熱伝達率の測定を正確に行うためには、金属線材4と金属筒体5とを介してセンサ基板2の一方の側面2cから他側面2dに移動する熱量とを、近似若しくは、同一となるように設定しなければならない。
【0095】
ここで、図5を用いて、中間金属の法則について説明する。
【0096】
比較例として示す図5(a)中二点鎖線に示す様に、センサ基板2の各側面2c,2dに、測定代表点を略均等に分布させる為、異種金属材料製の第1,第2導電性金属104,105を斜めに張設した状態から、長手方向長さ寸法を長く設定することにより、熱抵抗を増大させようとしても、センサ基板2の板厚方向の寸法H1が増大して、素材の有する熱伝導率λによっては、図12及び図13に示す様な通過する熱流量Qの過不足が生じて、充分な測定結果が得られない虞があった。
【0097】
また、図5(a)中実線に示す様に、前記第1,第2導電性金属104,105をセンサ基板2の内部に位置する変曲点104a若しくは変曲点105a…等で、屈曲若しくは湾曲させた状態で埋設すると、各第1,第2導電性金属104,105の長さや、曲げ点を揃える等、加工が困難で、均質な熱電対103…を等間隔で揃えることが出来ず、測定精度が向上しないといった問題があった。
【0098】
これに対して、この実施の形態のサーモパイルSでは、図5(b)中に示すように、均一な板厚方向の寸法H2を有する前記センサ基板2の各側面2c,2dに、測定代表点を有する第3導電性金属からなる表面金属層6…を配列して、前記金属線材4の端部と、金属筒体5の端部とを、この表面金属層6によって、接続させている。
【0099】
この表面金属層6…は、第2導電性金属に相当する金属筒体5のコンスタンタン金属素材と同一のコンスタンタン金属素材によって構成されているので、この表面金属層6…部分では、温度差T1−T2が生じても起電しない(所謂、均質回路の法則)。
【0100】
このため、前記センサ基板2の各側面2c,2dに生じる温度差T1−T2は、表面金属層6部分全体が、一接点のように測定代表点となり、前記表面コンスタンタン層6a…が、同温度の中間金属として振る舞い、各金属線材4の各端部と、金属筒体5の各端部との間に起電力を生じさせる(中間金属の法則)。
【0101】
このように、金属線材4と金属筒体5とは、熱伝達率(熱流量Qすなわち熱移動量)が、略同じになるように、前記第1貫通孔9の内部の金属線材4の断面積が、比較的小径に設定されるか、若しくは、円筒形状で、センサ基板2の両側面2c,2d間を貫通して、直径寸法d1を有する芯材5bの外周面に、貫通方向に沿って被設されることにより、近似若しくは、略同一となるように調整されている。
【0102】
即ち、金属線材4が、銅製の金属素材で構成されて、且つ金属筒体5が、コンスタンタン製の金属素材で構成される場合には、前記各第1貫通孔9…の内部の金属線材4…の長手方向長さ寸法を、センサ基板2の板厚H2方向で、全て均一とする条件の下では、各金属筒体5…の各第2貫通孔10…内の断面積よりも、断線することなく通電が可能な範囲で小さく、若しくは、約1/18の断面積に、この金属線材4…の各断面積を設定することにより、金属線材4と金属筒体5との熱伝達率(熱流量Qすなわち熱移動量)を、容易に近似若しくは、略同一となるように設定することができる。
【0103】
そして、温度が同等となった表面金属層6の各表面コンスタンタン層6aが接続された各金属線材4又は、連続金属膜層5aの各端部では、異種金属の接続で得られる熱電対が容易に構成される。
【0104】
この実施の形態では、図5中(b)に示す様に、コンスタンタン製の金属素材で金属筒体5が、構成される場合には、更に、図2中(b)で示す様に、小径となるように直径寸法d3を直径寸法d2よりも細く加工する場合、コンスタンタン製の金属素材が切れやすい。
【0105】
また、張設状態において、金属素材が切断されやすい場合でも、図5中(a)に示す様に、直線方向への引張り強さを有する前記ポリフッ化ビニリデン樹脂の糸状の芯材5bを用いることにより、熱抵抗値を決定する金属素材の断面積を、この直径寸法d3を有する金属線材と等価となる円筒形状断面を有する連続金属膜層5aと略同一として、薄膜層化しても、この円筒形状の連続金属膜層5aは、前記芯材5bが、殆ど伸長しないので、長手方向に引っ張られて、切断されることが無い。
【0106】
更に、ナイロン等の他の合成樹脂繊維に比して、伸長しないので、前記連続金属膜層5aが、この芯材5bの外周面5c及び第2貫通孔10の内周面から剥離等する虞が無い。
【0107】
次に、この実施の形態の熱流センサの作用効果について説明する。
【0108】
このように構成された実施の形態の熱流センサでは、サーモパイルSのセンサ基板2の面内外方向に挿通された各熱電対3…を構成する金属線材4…と、金属筒体5…との間では、各端部間で、図1に示すメッキ処理等が施される際に形成される各表面コンスタンタン層6a…によって直列接続されて、前記端子片7,8間に、計測される起電力が伝えられる。
【0109】
この実施の形態では、前記センサ基板2の内部に、熱電対3を構成する銅製の金属線材4と、コンスタンタン製の金属筒体5が、平行に配列された状態で維持されたまま、各側面2c,2dの面延設方向と直交するように垂直に固定されて、前記エポキシ樹脂材によって構成されるセンサ基板2に埋設されている。
【0110】
また、同一厚さ方向寸法hを有するセンサ基板2に、平行でしかも、面延設方向と直交するように垂直に設けられる熱電対3…を構成する各金属線材4…と、金属筒体5…との面内,外方向の長さ方向寸法は、面延設方向の全ての部分で、略同一長さ方向hとなる。
【0111】
しかも、面延設方向に対して、各金属線材4…及び、金属筒体5…が直交されて、即ち、面内,外方向に沿わせて平行に、熱電対3…を配置出来、エポキシ樹脂材を硬化させる際に、配設角度や配列間隔を容易に規則的に整えることが出来る。
【0112】
このため、図12,図13に示すように、板厚方向である熱流量Qの伝達方向と、熱電対3…によって、温度差を検出する測定代表点が形成される各金属線材4…及び金属筒体5…の長手方向とを一致させることが出来て、温度分布の不均衡に影響を受けにくくなる為、更に、測定精度を向上させることが出来る。
【0113】
更に、面内外方向に挿通される熱電対3…を構成する金属線材4…の各端部と、前記金属筒体5の各端部との間が、表面金属層6…を形成する為、面延設へメッキ処理を施すことにより、両側面2c,2d上で、各々同時に接続される。
【0114】
この際、環状の断面形状を呈する前記金属筒体5の端部は、円環形状を有する周上の全周若しくは、少なくとも何れかの一点で、表面コンスタンタン層6aと接続される。
【0115】
金属筒体5を構成するコンスタンタン金属素材と、この表面コンスタンタン層6aを構成するコンスタンタン金属素材とは、同一種類であるので、メッキ処理が施される際に同一金属同士で、確実に融着されて、電気的に導通可能となるように接続される。
【0116】
また、第1貫通孔9の内側面に付着されている銅製の金属線材4…も、このメッキ処理で、同時に、各端部を表面コンスタンタン層6aに接続されて電気的に導通可能となる。
【0117】
そして、前記表面コンスタンタン層6a…によって構成される表面金属層6…が、これらの銅製の金属線材4と、隣接する金属筒体5とによって、異種間金属接続されることにより、センサ基板2の両側面2c,2dの表面側に、平面状で広い接触面積を有する測定代表点が、広範囲に渡り、略均等に分布される。
【0118】
更に、前記複数の熱電対3…が、比較的小さな面積のセンサ基板2の両側面2c,2dに、良好な位置精度でマトリクス状に配列出来、温度分布の不均衡を是正することが出来る。
【0119】
また、図1に示す配列パターンによって、直列接続される各第1貫通孔9…内の銅製の金属線材4…と、隣接する第2貫通孔10…内の金属筒体5…との各端部位置が、予め前記両側面2c,2dに位置する各表面金属層6…のうち、面内,外方向で重なる部分に設定されている。
【0120】
このため、前記表面金属層6をメッキ処理により形成する際、表面コンスタンタン層6a,6a間に位置するセンサ基板2内で、直線的に最短距離で、しかも、一度に接続することができる。
【0121】
従って、熱電対3…の配列精度が向上して、温接続点の分布を均等化することにより、更に、熱流束の測定精度を向上させることが出来る。
【0122】
また、この実施の形態では、このコンスタンタン金属材料が、前記芯材5bの外周面5cに対して、被設されるようにメッキ処理で略全周が覆われて、芯材5bの中心軸に沿う長手方向に連続して、電気的に導通可能な前記各連続金属膜層5a…が形成されている。
【0123】
このため、更に、芯材5bの外周面5cの一部に、一列に被設して帯状若しくは糸状の連続金属膜層を形成する場合に比して、この実施の形態のように、外周面5cの全周に均一の厚さ寸法w1のメッキ処理を施すことにより、熱流束方向と直交する方向の断面積の大きさの管理が容易となると共に、前記芯材5bの直径方向寸法d1等のアスペクト比を用いて、容易に熱抵抗値の計算を行うことが出来る。
【0124】
更に、この実施の形態では、前記第1,第2導電性金属として、熱電対3を構成する金属線材4の断面積を、金属筒体5の連続金属膜層5aの断面積に対して、約1/18とすることにより、各々の対となる電極脚部の熱流量が、同等となるように熱流束の流れに直交する面積比が設定されている。
【0125】
このため、容易に、熱流量のバランスを取ることが出来て、更に、測定精度を向上させることが出来る。
【0126】
また、前記芯材5bが、伸長性の少ないフロロカーボン繊維材質で構成されている。
【0127】
従って、前記芯材5bが、加工時若しくは測定使用時に、殆ど伸長しないので、この円筒形状の連続金属膜層5aを、薄膜層化しても、長手方向に引っ張られて、切断されることが無い。
【0128】
更に、この実施の形態の前記芯材5bを構成する伸長性の少ない材質は、フッ素系樹脂繊維を原料として造られたポリフッ化ビニリデン(フロロカーボン)である。
【0129】
このため、加工時若しくは測定使用時に、殆ど伸長しないので、取り扱い性が容易で、前記芯材を、比較的安価に構成出来ると共に、径方向寸法の設定が容易に行える。
【実施例1】
【0130】
図10乃至図11は、この発明の実施の形態の実施例1の熱流センサとしてのサーモパイルS1を示すものである。
【0131】
なお、前記実施の形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0132】
まず、図10乃至図11を用いて、この実施例1のサーモパイルS1の構成について説明する。
【0133】
この実施例1では、主に、エポキシ樹脂製の絶縁性樹脂材料によって構成される前記センサ基板2に、所定の配列及びピッチが設けられて、面内,外方向へ、貫通形成された複数の第1,第2貫通孔9…,10…には、等間隔で配置される複数の金属線材4…と、これらの金属線材4…の列に対して、交互の列となるように、等間隔で配置された金属筒体5…とが、電極脚部として埋設されている。
【0134】
このうち、前記金属線材4…は、銅又は、ニッケル等の金属によって構成される第1導電性金属であり、前記金属筒体5…を構成する第2導電性金属は、銅又は、ニッケル等の金属とは、異種金属であるコンスタンタン等で構成されている。
【0135】
そして、これらの第1,第2導電性金属のうち、センサ基板2の各側面2c,2dに露呈する各端部間が、前記第1導電性金属と同じ、第3導電性金属としての銅又は、ニッケル等の金属を、メッキ処理することにより、形成される複数の表面金属層26…によって、接続されて、このセンサ基板2の両側面2c,2d間の温度差によって、起電可能な多数対の熱電対13…が、構成されている。
【0136】
また、この実施例1の金属筒体5の芯材5bは、フッ素化合物であるフルオロカーボン素材のうち、引張り強さ性能が良好なポリフッ化ビニリデン樹脂(以下、フロロカーボンと記す。)が用いられている。
【0137】
このポリフッ化ビニリデン樹脂で作られた断面略真円形状で、長手方向に糸状を呈する芯材5bは、伸長比率で、ナイロンが約20〜45%であるのに対して、同一条件下で、フロロカーボンは約17〜37%である。
【0138】
更に、このフロロカーボンは、初期伸長が、ナイロンに比して少ない為、図6に示す様な金型15の外枠体17にセットする際に、一定の張力を与えながら、キャビティ空間30内に配置しても、外周面5cに被設された連続金属膜層5aが、芯材5bの周囲から剥離等する虞が無い。
【0139】
このため、所望の配列で、前記キャビティ空間30内に、正確な位置精度で配置出来る。
【0140】
しかも、図7に示す様に、金型15から、基材樹脂塊40を取り出す際や、或いは、図8に示す様に、前記ワイヤカッタ50を用いて切断する際にも、長手方向への伸長量が少ないと共に、中実構造となる金属筒体5の連続金属膜層5aは、円筒形状を呈していても、内側から、被設された芯材5bによって支持されているので、前記外周面5cに被設された連続金属膜層5aが、変形したり或いは、剥離等する虞が無い。
【0141】
更に、この実施の形態では、芯材5bに被設された前記金属筒体5の連続金属膜層5aは、外側略全周から、流し込まれたエポキシ樹脂によってフィルされているので、内,外両側面から圧着挟持される構成となる。
【0142】
このため、前記連続金属膜層5aのメッキ処理による被設強度に拘わらず、形状安定性が良好である。
【0143】
また、このフロロカーボンの芯材5bは、分子配列が、縦方向(長手方向)に配列された単純構造の樹脂繊維材料であるので、前記ワイヤカッタ50を用いて切断する際には、前記センサ基板2の各側面2c,2dに沿って、各芯材5b…が、所望の長さで容易に切断される。
【0144】
次に、この実施例1のサーモパイルS1の製造順序に沿って、実施の形態と同様に、図1乃至図11を用いて説明する。
【0145】
この実施例1のサーモパイルS1では、前記実施の形態の図3に示すような略正方形のサーモパイルSと略同様に、複数の熱電対13…の配列が、マトリクス状となるように形成される。
【0146】
この実施例1では、図2中(a)に示す様に、フロロカーボンの芯材5bの直径を約0.15mmとして、比較的、外周上の道程寸法を長く用いることが出来る、この芯材5bの外周面の略全面を覆うようにメッキ処理が、行われる。
【0147】
このメッキ処理により、被設される連続金属膜層5a…の厚みw1は、約1〜10(ミクロン)、望ましくは、約2〜3(ミクロン)で、図2中(b)に示す様に、例えば、線状のコンスタンタン材25を使用する場合の加工限界である直径約φ100(ミクロン)の直径d2の場合に比して、小さな直径d3の線材と同様に、断面積を減少させて、熱抵抗を増大させる方向への調整が容易に行える。
【0148】
また、この実施例1では、前記金型15のキャビティ空間30内の空洞で、この連続金属膜層5aが設けられている芯材5bが、折り返されて、往復されることにより、相互に平行となるように、しかも等間隔で張設されて配索される。
【0149】
このため、一本の芯材5bから、複数の金属筒体5…が、所定寸法(略板厚寸法h)で埋設された状態の複数枚のセンサ基板2…が、形成出来、規格安定性が良好な熱電対が得られる。
【0150】
従って、金属筒体5…をメッキ処理する際にも、一本の芯材5bの外周面5cに、第1導電性金属又は第2導電性金属を被設すればよいので、容易に多数の金属筒体5…を作成できる。
【0151】
次に、前記金型15の外枠体17に、銅製の長尺状の金属線材4が、巻付けられる。
【0152】
この実施例1では、この金属線材4の直径を、約0.05mm未満としていて、前記金型15のキャビティ空間30内の空洞を横断するように往復されて張設されることにより、相互に平行で等間隔を有すると共に、前記芯材5b…に対しても、平行となるように配索される。
【0153】
そして、この組み付けられた金型15が、前記台座16と共に、前記液状樹脂材槽内に浸けられるか、或いは、図6に示す様に、液状のエポキシ樹脂材39が流し込まれて、キャビティ空間30内の空洞が、充填される。
【0154】
前記流入開口部17aから流し込まれた液状のエポキシ樹脂材39は、各金属線材4…及び、外周面5cに連続金属膜層5aが形成された金属筒体5…間の間隙を埋めるように、円滑に行き渡り、空洞部分を残存させる可能性を減少させることができる。
【0155】
更に、図6に示すように、前記流入開口部17aによって形成されているキャビティ空間30内の空洞の上方を開放しておくことにより、前記液状のエポキシ樹脂材39の充填状況を目視で確認することも出来る。
【0156】
一定時間経過後等、所望の硬度まで、前記エポキシ樹脂材39が硬化した後、図7に示すように、略直方体形状の基材樹脂塊40を、前記金型15から取り外す。
【0157】
この基材樹脂塊40は、図8に示すように内部に、各金属線材4…及び前記金属筒体5…が、平行に張設された状態で、相対位置が変動しないように、所望の間隔を置いて配列されて固定されている。
【0158】
次に、図8中(a)に示すように、前記基材樹脂塊40に埋設されている各金属線材4…及び前記金属筒体5…を、そのままの状態として、図8中(b)に示すように、ワイヤカッタ50等を用いて切断すると、これらの各金属線材4…及び前記金属筒体5…の配列は、所望の位置のまま、良好な取付精度を有して埋設されている。
【0159】
従って、熱電対13…の面密度が高いセンサ基板2…となるように、各金属線材4及び金属筒体5を近接配置させたり、或いは、センサ基板2の板厚dを薄く設定することが出来る。
【0160】
また、各金属線材4及び金属筒体5が細く、剪断方向へ容易に切断可能である。
【0161】
特に、この実施例1では、前記金属線材4の直径d3を、小さく設定して、熱流束に対する熱抵抗を増大させても、前記金属筒体5の連続金属膜層5aの断面積が充分に小さいので、更に、エポキシ樹脂でフィルされた金属線材4の直径d3を、小さく設定して、切断を容易に行うことが出来る。
【0162】
よって、熱抵抗を小さく設定出来ると共に、センサ基板2の熱容量も小さく設定出来、被測定物Yから流入する熱流量Qを減少させて、計測への影響を少なくし、熱流束量の正確な測定が可能となる均衡状態に至るまでの時間を短縮出来る。
【0163】
このように、この実施例1では、前記実施の形態の作用効果に加えて、センサ基板2の両側面2c,2dに銅メッキ処理を行う為、表面金属層26…により、銅製の金属線材4の直径d3を、小さく設定しても、同種金属間で容易に接続出来、図11に示す様に、メッキ処理が施されることにより、確実に、各側面2c,2d間が、各金属線材4…及び、金属筒体5…によって、直列接続される。
【0164】
このため、微細なエッチング処理によって、接続不良が発生する虞が減少し、図10中に示すように、センサ基板2の一方の側面2c上に短冊状(長方形状)の表面金属層26…が、ジグザグに複数個、配列され、図11に示す様に、他方の側面2d上にジグザグに複数個、配列された同様な短冊状の表面金属層26…が配列されて、面内外方向の重複部分で結線された複数の熱電対13…が、面状に略均等に配分される。
【0165】
このような熱伝導率の高い短冊状の表面金属層26…が、異種金属同士を接続する熱電対13の接点を構成しているので、更に、被測定物Yの表面部位における温度分布差によって、測定される熱流束値が影響を受けないように、測定精度が良好なサーモパイルS1を構成することができる。
【0166】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態の熱流センサの製造方法と略同一で
あるので、説明を省略する。
【0167】
以上、本発明の実施の形態の及び実施例1の熱流センサ及び熱流センサの製造方法を、図1乃至図13を用いて説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、この実施の形態の熱流センサでは、前記基材樹脂塊40内には、前記第1導電性金属としての銅製の金属線材4とは、異種金属である第2導電性金属であるコンスタンタン製の金属筒体5が、平行に張設されて固定されているが、特にこれに限らず、他の金属製素材で構成されて、異種金属間で熱電対を構成可能で、複数の熱電対が所望の間隔を置いて配列なものであれば、どのようなものであっても良く、例えば、前記第1導電性金属又は、第2導電性金属のうち、少なくとも何れか一方が、予め平行に張設されて固定されて、センサ基板2として薄板状に切り出された後、他方をこのセンサ基板2内の所望の位置に埋設したり、或いは、メッキ処理を行う際に前記第1,第2貫通孔9,10…の何れかに第1導電性金属又は、第2導電性金属を、付着させて埋設したり、溶融した金属材料を面延設へ流して、前記第1,第2貫通孔9,10…の何れかに第1導電性金属又は、第2導電性金属を埋設してもよい。
【0168】
また、前記実施の形態では、一方の第1導電性金属として、銅又はニッケルを、他方の第2導電性金属としてのコンスタンタンを、用いているが、特にこれに限らず、一方の第1導電性金属として、コンスタンタンを、他方の第2導電性金属としての銅又はニッケルを、用いても、異種金属材料であれば、どのような組み合わせであってもよい。
【0169】
そして、前記実施の形態及び実施例1では、他の補償導線合金により構成される第3導電性金属からなる表面金属層6,26を、第1導電性金属若しくは第2導電性金属であるコンスタンタン,銅又はニッケル及びこれらの合金を用いて構成して説明してきたが、特にこれに限らず、異なる金属であっても、前記中間金属の法則により、T1−T2間に温度差が生じても、起電しない金属であれば、どのようなものであってもよく、前記側面2c若しくは側面2d内として、同一の平面内に存在するものであれば、第1導電性金属若しくは第2導電性金属であるコンスタンタン,銅又はニッケル及びこれらの合金とは、異なる三種金属によって構成してもよい。
【0170】
更に、この実施の形態では、メッキ処理により、前記第3導電性金属からなる表面金属層6,26を形成しているが、フォトエッチング等の処理を行ってもよい。この場合、更に微少で、複雑な平板形状とすることが出来る。
【0171】
そして、前記金属筒体5の芯材5bとして、センサ基板2の両側面間を貫通する絶縁材料であるポリフッ化ビニリデン樹脂(フロロカーボン)製の糸状の素材を用いているが、特にこれに限らず、芯材5bを、フッ素系樹脂繊維を原料として造られている伸長性の少ない材質であれば、例えば、フッ化ビニリデン、ビニロン、ケプラー等若しくはこれらの合成繊維等であってもよく、また、モノフィラメント等、分子配列が縦方向に配列された単純構造の樹脂繊維材料や、テグス等、所謂繊維素材であっても良く、更に、センサ基板2であるエポキシ樹脂と同等の膨張率及び強度等の性能を有するものであれば、尚良い。
【0172】
また、前記芯材5bを構成する伸長性の少ない材質が、分子配列が縦方向に配列された単純構造の樹脂繊維材料を用いると、剪断方向に容易に切断可能で、更に取り扱い性が容易なものとなる。
【0173】
更に、前記芯材として、センサ基板2であるエポキシ樹脂と同等の膨張率及び強度等の性能を有するエポキシ樹脂及びこれらの合成物を用いることにより、更に、物理的変形への対応性が良好であるとともに、前記被設された連続金属膜層5aの形状安定性を向上させて、所望の熱伝導状態を保持させることができる。
【0174】
上述してきたように、この熱流センサの製造方法では、予め芯材5bの外周面5cに沿って、前記コンスタンタン素材、銅又はニッケル素材のうち、少なくとも何れか一方が被設されているので、容易に、熱流束方向と直交する方向の断面積を増減等、設定出来、熱抵抗の最適なバランスを得ることが出来る熱流センサが提供される。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明に係わる熱流センサは、建築の分野で、建材としての断熱材の開発等に用いられ、施工後でも、外側面又は内側面から添着させることにより、容易に、温度測定、放射熱量若しくは、熱流束の測定に用いることが出来る。
【0176】
また、パイル状に構成されたサーモパイルに用いることにより、添着可能な外表面形状を呈する被測定物を広く全般に計測することが出来、熱流センサ及び温度センサとして、広い範囲で受熱した熱の空間的な平均を採用した熱流束の測定が可能となり、良好な測定精度が必要とされる他の分野、例えば、人体温度測定、各種産業機器、OA機器、車両等の運輸機器等の温度測定、放射熱量若しくは、熱流束の測定に用いて好適なものである。
【符号の説明】
【0177】
S,S1 サーモパイル(熱流センサ)
2 センサ基板(基板)
2c 一側面
2d 他側面
3 熱電対
4 金属線材(第1導電性金属としての銅又はニッケル)
5 金属筒材(第2導電性金属としてのコンスタンタン)
5a 連続金属膜層
5b 芯材
5c 外周面
6,26 表面金属層
9,10 第1,第2貫通孔(貫通孔)
15 金型(型枠)
39 エポキシ樹脂材
40 基材樹脂塊

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横に配列された複数の貫通孔が絶縁性の基板に形成され、前記複数の貫通孔に異種金属材料製の第1,第2導電性金属が交互に配設された電極脚部と、該基板の各側面で、隣接配置された該第1,第2導電性金属で構成された電極脚部の端部間を、電気的に直列接続すると共に、前記第1導電性金属,第2導電性金属又は、他の補償導線合金により構成される第3導電性金属からなり、該基板の両側面に位置する表面金属層を有する熱流センサであって、
前記第1,第2導電性金属で構成される電極脚部のうち、少なくとも何れか一方は、前記基板の両側面間を貫通する絶縁材料製の芯材が、該基板に埋設された状態で、該芯材の外周面に、貫通方向に沿って被設されて、前記各側面に位置する前記第3導電性金属に、各端縁部を接続する連続金属膜層を有することを特徴とする熱流センサ。
【請求項2】
前記連続金属膜層は、前記芯材の外周面を覆うメッキ層で形成し、該外周面の略全周を覆うことにより、環状の断面形状を有する金属筒体を構成することを特徴とする請求項1記載の熱流センサ。
【請求項3】
前記第1,第2導電性金属で構成される各々の対となる電極脚部は、熱流量が、同等となるように、熱流方向の断面積が設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の熱流センサ。
【請求項4】
前記芯材が、伸長性の少ない材質で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の熱流センサ。
【請求項5】
前記伸長性の少ない材質は、フッ素系樹脂繊維を原料として造られていることを特徴とする請求項4記載の熱流センサ。
【請求項6】
前記伸長性の少ない材質は、フッ化ビニリデンであることを特徴とする請求項5記載の熱流センサ。
【請求項7】
前記伸長性の少ない材質は、分子配列が縦方向に配列された単純構造の樹脂繊維材料であることを特徴とする請求項4乃至6のうち、何れか一項記載の熱流センサ。
【請求項8】
前記第1導電性金属,第2導電性金属のうち、何れか一方と同一金属若しくは、同一金属を含む合金で、前記第3導電性金属を構成して、前記基板の一側面若しくは他側面に位置する表面金属層を、同温度とすることを特徴とする請求項1乃至7のうち、何れか一項記載の熱流センサ。
【請求項9】
前記第1導電性金属,第2導電性金属は、それぞれ銅又はコンスタンタンであり、前記第3導電性金属は、銅又は、コンスタンタンのうち、前記第1導電性金属,第2導電性金属のうち、何れか一方の同一金属若しくは、同一金属を含む同種の合金で、前記第3導電性金属を構成することにより、前記基板の同一側面に位置する表面金属層の温度が、接続された端部の温度と同等となることを特徴とする請求項1乃至8のうち、何れか一項記載の熱流センサ。
【請求項10】
前記芯材が、前記基材を構成する絶縁性樹脂材料と同等の絶縁性樹脂材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のうち、何れか一項記載の熱流センサ。
【請求項11】
前記芯材の外周面に沿って、前記第1導電性金属素材又は、第2導電性金属素材のうち、少なくとも何れか一方が被設された状態で張設して、周囲の間隙を埋める絶縁性樹脂材料を充填して、硬化させることにより、前記基板に用いる、基材樹脂塊を形成すると共に、前記芯材の延設方向と直交する方向へ、該基材樹脂塊を平板状となるように切断することを特徴とする請求項1乃至10のうち、何れか一項記載の熱流センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−255717(P2012−255717A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128949(P2011−128949)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(592065069)江藤電気株式会社 (10)
【Fターム(参考)】