説明

熱硬化性組成物

【課題】 ディスペンサー塗布で、耐熱性、電気絶縁性、低反り性を有し、且つ比較的厚いポリイミド膜(100μm以上)を形成できる、熱硬化性組成物が求められてきた。
【解決手段】 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)とを用いて得られるシリコン化合物(A)、および、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)とを用いて得られるシリコン化合物(A’)から選ばれる少なくとも1種を含む熱硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱硬化性組成物に関し、例えば電子部品製作において絶縁膜層を形成するためのシリコン化合物(A)及び/又はシリコン化合物(A’)を含む熱硬化性組成物、該熱硬化性組成物を用いて形成されるポリイミド膜、および該ポリイミド膜を形成したフィルム基板、該フィルム基板を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドは耐熱性、電気絶縁性に優れるため、電子通信分野で広く用いられている材料である[例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3を参照]。
ポリイミドを所望のパターン膜として使用する場合、従来はエッチングや感光性ポリイミドを用いてパターンを形成することが一般的であったが、近年、ディスペンサーにより所望のパターン膜を形成する方法が検討されている。
【0003】
熱硬化性組成物は各種提案されているが、通常、ポリイミド系の熱硬化性組成物はポリイミド前駆体のポリアミド酸、あるいは溶剤可溶性のポリイミドの溶液である。しかしながら、ポリアミド酸あるいは可溶性ポリイミド等の固形分は比較的高分子であるため、ディスペンサー用熱硬化性組成物として最適な粘度に調製するためには、溶媒の割合を増やして組成物中の固形分濃度を少なくする必要がある。しかしながら、これによって、所望の充分な膜厚が得られないという問題がある。また、溶媒の割合が多くなると膜の硬化収縮が発生し易くなり、基材の反りが発生するという問題がある。低反り性を有する熱硬化性組成物として柔軟性を有するポリアミドイミド系の樹脂が提案されている。しかしながら、通常ポリアミドイミド系の樹脂は、ポリイミド系樹脂と比較して耐熱性、電気絶縁性が不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−039714号公報
【特許文献2】特開2003−238683号公報
【特許文献3】特開2004−094118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述する状況において、ディスペンサー塗布で、耐熱性、電気絶縁性、低反り性を有し、且つ比較的厚いポリイミド膜(100μm以上)を形成できる、熱硬化性組成物が求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記状況に鑑みて、少なくとも1種のシリコン化合物(A)及び/又は少なくとも1種のシリコン化合物(A’)を含む熱硬化性組成物、さらに高分子化合物(B)を含む熱硬化性組成物、さらにアルケニル置換ナジイミド(C)を含む熱硬化性組成物、さらに溶媒(D)を含む熱硬化性組成物を見い出した。
本発明は以下のような熱硬化性組成物等を提供する。
【0007】
[1] 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)とを用いて得られるシリコン化合物(A)、および、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)とを用いて得られるシリコン化合物(A’)から選ばれる少なくとも1種を含む、粘度が51〜50000mPa・s(25℃)である熱硬化性組成物。
【0008】
[2] 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物であり、モノアミン(a2)が、一般式(2)で表されるアミノシリコン化合物である、上記[1]記載の熱硬化性組成物。
【化1】

(一般式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、一般式(2)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、Yは、炭素数1〜20の二価の有機基である。)
【0009】
[3] 前記テトラカルボン酸二無水物が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記アミノシリコン化合物が、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシランおよびアミノプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる1つ以上である、
上記[2]に記載の熱硬化性組成物。
【0010】
[4] 前記シリコン化合物(A)が、一般式(3)で表されるシリコンアミド酸(A)である、上記[1]記載の熱硬化性組成物。
【化2】

(一般式(3)中、Xは、炭素数2〜100の四価の有機基であり、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、Yは、炭素数1〜20の二価の有機基である。)
【0011】
[5] 前記シリコンアミド酸(A)が、一般式(4-1)、(4-2)または(4-3)で表されるシリコンアミド酸である、上記[4]記載の熱硬化性組成物。
【化3】

(一般式(4-1)、(4-2)及び(4-3)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、R、R及びRの内の少なくとも一つは、炭素数1〜20のアルコキシを含み、aは、1〜20の整数である。)
【0012】
[6] 前記酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と前記モノアミン(a2)との比が、1モル:0.5〜8.0モルである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0013】
[7] 前記酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)が、一般式(1’)で表されるジカルボン酸無水物であり、前記ジアミン(a2’)が、一般式(2’)で表されるジアミンである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【化4】

(一般式(1’)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基であり、一般式(2’)中、X’は炭素数2〜100の二価の有機基である。)
【0014】
[8] 前記一般式(1’)のジカルボン酸無水物が、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドおよびトリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドからなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記一般式(2’)のジアミンが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−1,3−ジフェニルプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、1,2−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)メタン、1,2−ビス−(4−アミノ−2−メチルフェニル)エタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニル−2,2’−プロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス[(4−アミノフェニル)メチル]ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ビフェニル、1,3−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]プロパン、1,6−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]ヘキサン、5−フェニルメチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[4−(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[4−(4−(4−アルキルシクロヘキシル)シクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[((アルキルシクロヘキシル)エチルシクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−アルキルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−アルキルシクロヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンからなる群から選ばれる1つ以上である、
上記[7]記載の熱硬化性組成物。
【0015】
[9] 前記シリコン化合物(A’)が、一般式(3’)で表されるシリコンアミド酸(A’)である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【化5】

(一般式(3’)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基であり、X’は炭素数2〜100の二価の有機基である。)
【0016】
[10] 前記シリコンアミド酸(A’)が、一般式(4'-1)、(4'-2)、(4'-3)、(4'-4)または(4'-5)で表されるシリコンアミド酸(A’)である、上記[9]記載の熱硬化性組成物。
【化6】


(一般式(4'-1)、(4'-2)、(4'-3)、(4'-4)及び(4'-5)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、R、R及びRの内の少なくとも一つは、炭素数1〜20のアルコキシを含み、aは、1〜19の整数であり、一般式(4'-3)のRは炭素数2〜30の有機基であり、一般式(4'-4)のRは水素又は炭素数1〜20のアルキルである。)
【0017】
[11] 前記酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)と前記ジアミン(a2’)との比が、0.5〜8.0モル:1モルである、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0018】
[12] 高分子化合物(B)をさらに含む、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0019】
[13] 前記高分子化合物(B)が、ポリアミド酸およびポリイミドから選ばれる少なくとも1種である、上記[12]記載の熱硬化性組成物。
【0020】
[14] 前記高分子化合物(B)の重量平均分子量が、1,000〜5,0000である、上記[12]または[13]記載の熱硬化性組成物。
【0021】
[15] アルケニル置換ナジイミド(C)をさらに含む、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0022】
[16] 前記アルケニル置換ナジイミド(C)が、一般式(5)で表される化合物である、上記[15]記載の熱硬化性組成物。
【化7】

(一般式(5)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルのいずれかであり、nは1〜2の整数であり、
n=1のとき、Rは水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(C2q)O(C2rO)2sX}(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)−C−R(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、Rは水素もしくは炭素数1〜4のアルキルを表す)で表される基、−C−T−C(ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−S−もしくはSO−である)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基であり、
n=2のとき、Rは−C2p−(ここで、pは2〜20の整数)で表されるアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、−{(C2qO)(C2rO)2s}−(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数である)で表されるポリオキシアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R)−C−R−(ここで、aは0または1の整数、R及びRは独立に選ばれた炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C−T−C−(ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−O−、−OCC(CHO−、−S−、−SO−)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基である。)
【0023】
[17] 前記一般式(5)において、nが2である、上記[16]記載の熱硬化性組成物。
【0024】
[18] 前記一般式(5)において、nが2であり、Rが、−C2p−(ここで、pは2〜10の整数)で表されるアルキレン、−(R)−C−R−(ここで、aは0または1の整数、R及びRは独立に選ばれた炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、または−C−T−C−(ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−O−、−OCC(CHO−、−S−、−SO−)で表される基である、上記[16]記載の熱硬化性組成物。
【0025】
[19] 前記一般式(5)において、RおよびRがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、
nが2であり、Rが−(CH−、式(6)で表される基または式(7)で表される基である、上記[16]記載の熱硬化性組成物。
【化8】

【0026】
[20] 前記一般式(5)において、nが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種と、nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種とを含む、上記[16]記載の熱硬化性組成物。
【0027】
[21] 前記一般式(5)において、nが1であり、Rが炭素数1〜12のアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(C2q)O(C2rO)2s+1}(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)−C−R(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、Rは水素もしくは炭素数1〜4のアルキルをそれぞれ表す)で表される基、または−C−T−C(ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−S−もしくはSO−である)で表される基であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種と、nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種とを含む、上記[16]記載の熱硬化性組成物。
【0028】
[22] 前記一般式(5)において、RおよびRがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが1であり、Rが炭素数1〜12のアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、またはベンジルであるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種と、nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種とを含む、上記[16]記載の熱硬化性組成物。
【0029】
[23] 前記一般式(5)において、RおよびRがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが1であり、Rが炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールであるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種と、RおよびRがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが2であり、Rが−(CH−、式(6)で表される基または式(7)で表される基であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種とを含む、上記[16]記載の熱硬化性組成物。
【化9】

【0030】
[24] 溶媒(D)をさらに含む、上記[1]〜[23]のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【0031】
[25] 溶媒(D)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1つ以上である、上記[24]記載の熱硬化性組成物。
【0032】
[26] 上記[1]〜[25]のいずれかに記載された熱硬化性組成物をディスペンサー塗布方法によって塗布して塗膜を形成した後、該塗膜を硬化処理して得られるポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
【0033】
[27] 上記[1]〜[25]のいずれかに記載された熱硬化性組成物をディスペンサー塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理してポリイミド膜を形成する工程を含むポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜の形成方法。
【0034】
[28] 上記[27]に記載された方法で基板上に形成されたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜を有する、フィルム基板。
【0035】
[29] 上記[28]に記載されたフィルム基板を有する電子部品。
【0036】
[30] 上記[27]に記載された方法で基板上に形成されたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜を有する、シリコンウエハーフィルム基板。
【0037】
[31] 上記[28]に記載されたシリコンウエハー基板を有する電子部品。
【発明の効果】
【0038】
本発明の好ましい態様に係る熱硬化性組成物を用いると、1回の塗布で比較的厚い膜厚を有するポリイミド膜を形成できる。また、本発明の好ましい態様に係る熱硬化性組成物から形成されたポリイミド膜は、例えば、耐熱性、電気絶縁性が高く、電子部品の信頼性、歩留まりを向上させる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、シリコン化合物(A)及び/又はシリコン化合物(A’)を含む熱硬化性組成物、該熱硬化性組成物を用いたポリイミド膜形成方法等を提供する。なお、本発明の熱硬化性組成物は、無色であっても有色であってもよい。
該熱硬化性組成物は、少なくとも1種のシリコン化合物(A)及び/又は少なくとも1種のシリコン化合物(A)を含む熱硬化性組成物、さらに高分子化合物(B)を含む熱硬化性組成物、さらにアルケニル置換ナジイミド(C)を含む熱硬化性組成物、さらに溶媒(D)を含む熱硬化性組成物である。
【0040】
シリコン化合物(A)は、少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)とを用いて得ることができるが、例えば、これらを反応させて得られる生成物(シリコンアミド酸(A))であってもよいし、例えば、これらが塩を形成している化合物であってもよく、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)とを用いて得ることができるシリコン化合物であれば、これらに限定されない。
また、シリコン化合物(A)におけるシリコンは、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)由来であっても、モノアミン(a2)由来であってもよく、両者由来であってもよい。以下では、モノアミン(a2)由来のシリコンを用いてシリコン化合物(A)を得ているが、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)がシリコンを有する例としては、例えば、特開昭61-205285号公報、特開平5-271245号公報又は特開平5-320172号公報などに記載された化合物が挙げられる。
【0041】
また、シリコン化合物(A’)は、少なくとも、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)とを用いて得ることができるが、例えば、これらを反応させて得られる生成物(シリコンアミド酸(A’))であってもよいし、例えば、これらが塩を形成している化合物であってもよく、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)とを用いて得ることができるシリコン化合物であれば、これらに限定されない。
また、シリコン化合物(A’)におけるシリコンは、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)由来であっても、ジアミン(a2’)由来であってもよく、両者由来であってもよい。以下では、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)由来のシリコンを用いてシリコン化合物(A’)を得ているが、ジアミン(a2’)がシリコンを有する例としては、例えば、下記一般式(XV)で表されるシロキサン系ジアミンなどが挙げられる。
【0042】
1 シリコンアミド酸(A)およびシリコンアミド酸(A’)
本発明の熱硬化性組成物に含まれるシリコンアミド酸(A)は、少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)とを用いて以下に説明する製法により得ることができるが、当該製法で得られたシリコンアミド酸に限定されるものではない。シリコンアミド酸(A)としては、上記一般式(3)で表される化合物が挙げられ、上記一般式(4-1)、(4-2)または(4-3)で表される化合物が好ましい。
また、本発明の熱硬化性組成物に含まれるシリコンアミド酸(A’)は、少なくとも、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)とを用いて以下に説明する製法により得ることができるが、当該製法で得られたシリコンアミド酸に限定されるものではない。シリコンアミド酸(A’)としては、上記一般式(3’)で表される化合物が挙げられ、上記一般式(4'-1)、(4'-2)、(4'-3)、(4'-4)または(4'-5)で表される化合物が好ましい。
【0043】
1.1 シリコンアミド酸(A)及びシリコンアミド酸(A’)を得るための反応条件
本発明で用いることのできるシリコンアミド酸(A)は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、0.5〜8.0モルのモノアミン(a2)を反応させて得られるものであることが好ましい。また、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、1.0〜4.0モルのモノアミン(a2)を反応させて得られるものであることがさらに好ましい。より好ましくは、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)1モルに対して、1.5〜2.5モルのモノアミン(a2)を反応させて得られるものである。
また、本発明で用いることのできるシリコンアミド酸(A’)は、1モルのジアミン(a2’)に対して、0.5〜8.0モルの酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)を反応させて得られるものであることが好ましい。また、1モルのジアミン(a2’)に対して、1.0〜4.0モルの酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)を反応させて得られるものであることがさらに好ましい。より好ましくは、1モルのジアミン(a2’)に対して、1.5〜2.5モルの酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)を反応させて得られるものである。
【0044】
1.1(1) 反応溶媒
本発明のシリコンアミド酸(A)及び(A’)を得るために用いられる溶媒は、当該化合物が合成できれば特に限定されるものではないが、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、およびN,N−ジメチルアセトアミド、などを挙げることができる。
これらの反応溶媒は単独でも、2種以上の混合溶媒としても使用できる。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
【0045】
反応溶媒は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)との合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、あるいは酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)との合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応は0℃〜100℃(好ましくは、8℃〜70℃)で、0.2〜20時間(好ましくは、2時間〜10時間)反応させるのが好ましい。
【0046】
1.1(2) 反応系への添加順序
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、シリコンアミド酸(A)については酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)とを同時に反応溶媒に加える、モノアミン(a2)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)を添加する、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)にモノアミン(a2)を添加する、などいずれの方法も用いることができる。
また、シリコンアミド酸(A’)については酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)とを同時に反応溶媒に加える、ジアミン(a2’)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)を添加する、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)にジアミン(a2’)を添加する、などいずれの方法も用いることができる。
【0047】
1.2 シリコンアミド酸(A)およびシリコンアミド酸(A’)の優位性
シリコンアミド酸(A)は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂と併用すると、シランカップリング剤として作用して、金属と反応或いは錯体を形成するため膜の密着性が高くなり耐半田クラック性が向上することが知られている。また、シリコンアミド酸(A’)については、エポキシ樹脂、フェノール樹脂と併用すると、シランカップリング剤として作用して、金属と反応或いは錯体を形成するため膜の密着性が高くなり耐半田クラック性が向上することが予測される。
さらに、本発明者らが鋭意検討した結果、シリコンアミド酸(A)は加熱することによって加水分解、脱水縮合して、イミド結合を有する固体生成物(ポリイミド)となり得る熱硬化性の化合物であることを見出した。また、シリコンアミド酸(A’)についても加熱することによって加水分解、脱水縮合して、イミド結合を有する固体生成物(ポリイミド)となり得る熱硬化性の化合物であることを見出した。
シリコン化合物の三次元架橋により膜が得られるため、従来の線状のポリイミドよりも加工が容易である。また、良好な耐熱性を示し、硬化に際してボイドやクラックの発生が少ないため、成形材料や積層材料のマトリックス樹脂として優れた特性を有している。
【0048】
1.3 シリコンアミド酸(A)及び(A’)を得るための各成分の説明
以下に、シリコンアミド酸(A)を得るために用いることができる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)を説明する。さらに、シリコンアミド酸(A’)を得るために用いることができる、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)を説明する。
【0049】
1.3(1) 酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)
本発明で用いられる酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)としては、上記一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明で用いられる酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)の具体例としては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体等の無水物基を有するラジカル重合性モノマーと他のラジカル重合性モノマーとの共重合体やテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、エタンテトラカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が挙げられ、具体的には、下記式(b1-1)〜(b1-73)で表される化合物等のテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
【0050】
【化10】

【0051】
【化11】

【0052】
【化12】

【0053】
【化13】

【0054】
【化14】

【0055】
【化15】

【0056】
酸無水物を2つ以上有する化合物の上記具体例の中でも、スチレン−無水マレイン酸共重合体、式(b1-1)、(b1-5)、(b1-6)、(b1-7)、(b1-8)、(b1-9)、(b1-14)、(b1-18)、(b1-20)で表される化合物が溶媒への溶解性が高く高濃度のワニスを調製できるので好ましい。また、熱硬化性組成物の用途によっては高い透明性が必要とされるが、このような場合には、スチレン−無水マレイン酸共重合体、式(b1-6)、(b1-7)、(b1-8)、(b1-9)、(b1-14)、(b1-18)等で表される化合物を用いるが特に好ましい。
【0057】
また、上記記載の酸無水物基を2つ以上有する化合物は1種単独でも、または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0058】
1.3(2) モノアミン(a2)
本発明において用いられるモノアミン(a2)は、特に限定されないが、本発明で好ましく用いられるモノアミン(a2)としては、上記一般式(2)で表されるアミノシリコン化合物が挙げられる。
具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、4−アミノブチルメチルジエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジメトキシシラン、p−アミノフェニルメチルジエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシランおよびm−アミノフェニルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。
【0059】
これらの中でも、得られる膜の耐久性が優れるという点から、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましく、3−アミノプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
【0060】
これらのモノアミンは1種単独でまたは2種以上組み合わせても使用できる。
【0061】
1.3(3) 酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)
本発明において用いられる酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)は、特に限定されないが、本発明で好ましく用いられる酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)としては、上記一般式(1’)で表されるジカルボン酸無水物が挙げられる。
具体例としては、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、メチルジメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、メチルジエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルブチルサクシニックアンヒドリド、トリエトキシシリルブチルサクシニックアンヒドリド、メチルジエトキシシリルブチルサクシニックアンヒドリド、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(メチルジメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(メチルジエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(メチルジエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリドなどを挙げることができる。
【0062】
これらの中でも、得られる膜の耐久性が優れるという点から、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドおよびトリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドが好ましく、トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドが特に好ましい。
【0063】
これらの酸無水物基を1つ有する化合物は1種単独でまたは2種以上組み合わせても使用できる。
【0064】
1.3(4) ジアミン(a2’)
本発明で用いられるジアミン(a2’)としては、上記一般式(2’)で表されるジアミンが挙げられる。
本発明において用いられるジアミン(a2’)はアミノ基を2つ有していれば特に限定されるものではないが、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−1,3−ジフェニルプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、1,2−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)メタン、1,2−ビス−(4−アミノ−2−メチルフェニル)エタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニル−2,2’−プロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス[(4−アミノフェニル)メチル]ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ビフェニル、1,3−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]プロパン、1,6−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]ヘキサン、5−フェニルメチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[4−(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[4−(4−(4−アルキルシクロヘキシル)シクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[((アルキルシクロヘキシル)エチルシクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−アルキルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−アルキルシクロヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンが挙げられ、下記一般式(II)〜(VIII)で表される化合物が挙げられる。
【0065】
【化16】

(一般式(II)中、
は、−(CH−であり、ここでmは1〜6の整数であり、
一般式(IV)及び(VI)〜(VIII)中、
は、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−SO−、−CO−、−CONH−、−NHCO−、−C(CH−、−C(CF−、−(CH−、−O−(CH−O−、−S−(CH−S−であり、ここでmは1〜6の整数であり、
は、単結合、−O−、−S−、−CO−、−C(CH−、−C(CF−または炭素数1〜3のアルキレンであり、
シクロヘキサン環またはベンゼン環に結合している水素は、−F、−CHと置き換えられていてもよい。)
【0066】
一般式(II)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(II-1)〜(II-3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0067】
【化17】

【0068】
一般式(III)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(III-1)及び(III-2)で表されるジアミンが挙げられる。
【0069】
【化18】

【0070】
一般式(IV)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(IV-1)〜(IV-3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0071】
【化19】

【0072】
一般式(V)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(V-1)〜(V-5)で表されるジアミンが挙げられる。
【0073】
【化20】

【0074】
一般式(VI)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VI-1)〜(VI-30)で表されるジアミンが挙げられる。
【0075】
【化21】

【0076】
【化22】

【0077】
【化23】

【0078】
【化24】

【0079】
一般式(VII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VII-1)〜(VII-6)で表されるジアミンが挙げられる。
【0080】
【化25】

【0081】
一般式(VIII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(VIII-1)〜(VIII-11)で表されるジアミンが挙げられる。
【0082】
【化26】

【0083】
一般式(II)〜(VIII)で表されるジアミン(a2’)の上記具体例の中でも、より好ましくは、式(V-1)〜(V-5)、式(VI-1)〜(VI-12)、式(VI-26)、式(VI-27)、式(VII-1)、式(VII-2)、式(VII-6)、式(VIII-1)〜(VIII-5)で表されるジアミンが挙げられ、さらに好ましくは式(V-6)、式(V-7)、式(VI-1)〜(VI-12)で表されるジアミンが挙げられる。
【0084】
本発明において用いられるジアミン(a2’)としては、さらに下記一般式(IX)で表されるジアミンが挙げられる。
【0085】
【化27】

(一般式(IX)中、
は、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CO−、−CONH−または−(CH−(式中、mは1〜6の整数である)であり、
は、ステロイド骨格を有する基、下記一般式(X)で表される基、または、ベンゼン環に結合している2つのアミノ基の位置関係がパラ位のときは炭素数1〜30のアルキル、もしくは該位置関係がメタのときは炭素数1〜30のアルキルまたはフェニルであり、
該アルキルにおいては、任意の−CH−が−CF−、−CHF−、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、−CHが−CHF、−CHFまたは−CFで置き換えられていてもよく
該フェニルの環形成炭素に結合している水素は、−F、−CH、−OCH、−OCHF、−OCHFまたは−OCFと置き換えられていてもよい。)
【0086】
【化28】

(一般式(X)中、
およびAはそれぞれ独立して、単結合、−O−、−COO−、−OCO−、−CONH−、−CH=CH−または炭素数1〜12のアルキレンであり、
およびRはそれぞれ独立して、−Fまたは−CHであり、
環Sは1,4−フェニレン、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、ナフタレン−2,7−ジイルまたはアントラセン−9,10−ジイルであり、
は−H、−F、炭素数1〜30のアルキル、炭素数1〜30のフッ素置換アルキル、炭素数1〜30のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであり、
aおよびbはそれぞれ独立して0〜4の整数を表し、
c、dおよびeはそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、eが2または3であるとき複数の環Sは同一の基であっても異なる基であってもよく、
fおよびgはそれぞれ独立して0〜2の整数を表し、かつ
c+d+e≧1である。)
【0087】
一般式(IX)において、2つのアミノ基はフェニル環炭素に結合しているが、2つのアミノ基の結合位置関係は、メタ位またはパラ位であることが好ましい。さらに2つのアミノ基はそれぞれ、「R−A−」の結合位置を1位としたときに3位と5位、または2位と5位に結合していることが好ましい。
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(IX-1)〜(IX-11)で表されるジアミンが挙げられる。
【0088】
【化29】

【0089】
【化30】

【0090】
上記一般式(IX-1)、(IX-2)、(IX-7)および(IX-8)中、R18は炭素数2〜30の有機基であるが、これらの中でも炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシが好ましく、炭素数5〜12のアルキルまたは炭素数5〜12のアルコキシがさらに好ましい。また、上記一般式(IX-3)〜(IX-6)および(IX-9)〜(IX-11)中、R19は−Hまたは炭素数1〜30の有機基であるが、これらの中でも炭素数1〜10のアルキルまたは炭素数1〜10のアルコキシが好ましく、炭素数3〜10のアルキルまたは炭素数3〜10のアルコキシがさらに好ましい。
【0091】
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記一般式(IX-12)〜(IX-17)で表されるジアミンが挙げられる。
【0092】
【化31】

【0093】
上記一般式(IX-12)〜(IX-15)においてR20は−Hまたは炭素数1〜30の有機基であり、炭素数4〜16のアルキルが好ましく、炭素数6〜16のアルキルがさらに好ましい。一般式(IX-16)と式(IX-17)においてR21は−Hまたは炭素数1〜30の有機基であり、炭素数6〜20のアルキルが好ましく、炭素数8〜20のアルキルがさらに好ましい。
【0094】
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記一般式(IX-18)〜(IX-38)で表されるジアミンが挙げられる。
【0095】
【化32】

【0096】
【化33】

【0097】
【化34】

【0098】
上記一般式(IX-18)、(IX-19)、(IX-22)、(IX-24)、(IX-25)、(IX-28)、(IX-30)、(IX-31)、(IX-36)および(IX-37)においてR22は−Hまたは炭素数1〜30の有機基であり、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシが好ましく、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシがさらに好ましい。また、上記一般式(IX-20)、(IX-21)、(IX-23)、(IX-26)、(IX-27)、(IX-29)、(IX-32)〜(IX-35)および(IX-38)において、R23は−H、−F、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のアルコキシ、−CN、−OCHF、−OCHFまたは−OCFであり、炭素数3〜12のアルキルまたは炭素数3〜12のアルコキシがさらに好ましい。上記一般式(IX-33)と(IX-34)において、Aは炭素数1〜12のアルキレンである。
【0099】
一般式(IX)で表されるジアミンとしては、さらに、例えば下記式(IX-39)〜(IX-48)で表されるジアミンが挙げられる。
【0100】
【化35】

【0101】
【化36】

【0102】
一般式(IX)で表されるジアミン(a2’)のうち、一般式(IX-1)〜(IX-11)で表されるジアミンが好ましく、一般式(IX-2)、(IX-4)、(IX-5)及び(IX-6)で表されるジアミンがさらに好ましい。
【0103】
本発明において用いられるジアミン(a2’)としては、さらに下記一般式(XI)及び(XII)で表される化合物が挙げられる。
【0104】
【化37】



(一般式(XI)と(XII)中、
10は−Hまたは−CHであり、
11はそれぞれ独立して、−Hまたは炭素数1〜20のアルキルもしくはアルケニルであり、
はそれぞれ独立して、単結合、−C(=O)−または−CH−であり、
13およびR14はそれぞれ独立して、−H、炭素数1〜20のアルキルまたはフェニルである。)
【0105】
前記一般式(XI)において、2つの「NH−Ph−A−O−」の一方はステロイド核の3位に結合し、もう一方は6位に結合していることが好ましい。また、2つのアミノ基はそれぞれ、フェニル環炭素に結合しており、Aの結合位置に対して、メタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XI)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(XI-1)〜(XI-4)で表されるジアミンが挙げられる。
【0106】
【化38】

【0107】
一般式(XII)において、2つの「NH−(R14−)Ph−A−O−」は、それぞれフェニル環炭素に結合しているが、好ましくはステロイド核が結合している炭素に対してメタ位またはパラ位の炭素に結合している。また、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XII)で表されるジアミンとしては、例えば下記式(XII-1)〜(XII-8)で表されるジアミンが挙げられる。
【0108】
【化39】

【0109】
【化40】

【0110】
本発明において用いられるジアミン(a2’)としては、さらに下記一般式(XIII)及び(XIV)で表される化合物が挙げられる。
【0111】
【化41】

(一般式(XIII)中、
15は−Hまたは炭素数1〜20のアルキルであり、該アルキルのうち炭素数2〜20のアルキルの任意の−CH−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよく、
はそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンであり、
は単結合または炭素数1〜3のアルキレンであり、
環Tは1,4−フェニレンまたは1,4−シクロヘキシレンであり、
hは0または1である。)
【0112】
【化42】

(一般式(XIV)中、
16は炭素数6〜22のアルキルであり、
17は−Hまたは炭素数1〜22のアルキルであり、
はそれぞれ独立して−O−または炭素数1〜6のアルキレンである。)
【0113】
前記一般式(XIII)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラに結合していることが好ましい。
一般式(XIII)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(XIII-1)〜(XIII-9)で表されるジアミンが挙げられる。
【0114】
【化43】

【0115】
【化44】

【0116】
上記一般式(XIII-1)〜(XIII-3)において、R24は−H、炭素数1〜20のアルキルが好ましく、(XIII-4)〜(XIII-9)においてR25は−H、炭素数1〜10のアルキルがさらに好ましい。
【0117】
前記一般式(XIV)において、2つのアミノ基はそれぞれフェニル環炭素に結合しているが、Aに対してメタ位またはパラ位に結合していることが好ましい。
一般式(XIV)で表されるジアミンとしては、例えば下記一般式(XIV-1)〜(XIV-3)で表されるジアミンが挙げられる。
【0118】
【化45】

【0119】
上記一般式(XIV-1)〜(XIV-3)式中、R26は炭素数2〜30の有機基であり、これらの中でも炭素数6〜20のアルキルが好ましく、R27は炭素数2〜30の有機基であり、これらの中でも−Hまたは炭素数1〜10のアルキルがさらに好ましい。
【0120】
上述のとおり、本発明において用いられるジアミン(a2’)は、例えば、一般式(II)〜(XIV)で表されるジアミンを用いることができるが、これらのジアミン以外のジアミンも用いることができる。例えば、ナフタレン構造を有するナフタレン系ジアミン、フルオレン構造を有するフルオレン系ジアミン、またはシロキサン結合を有するシロキサン系ジアミンなどを単独または他のジアミンと混合して用いることができる。
【0121】
シロキサン系ジアミンは特に限定されるものではないが、下記一般式(XV)で表されるものが本発明において、好ましく使用され得る。
【0122】
【化46】

(上記一般(XV)式中、RおよびRは独立して炭素数1〜3のアルキルまたはフェニルであり、Rは独立してはメチレン、フェニレンまたはアルキル置換されたフェニレンであり、xは独立して1〜6の整数であり、yは1〜70の整数である。ここで、より好ましいyは1〜15の整数である。)
【0123】
さらに、好ましくは、本発明において用いられるジアミン(a2’)として、下記一般式(XVI-1)〜(XVI-8)で表されるジアミンが使用され得る。
【0124】
【化47】

(上記一般式(XVI-1)〜(XVI-8)中、R30およびR31は独立して炭素数3〜20のアルキルである。)
【0125】
なお、本発明で用いることができるジアミン(a2’)は、本明細書のジアミンに限定されることなく、本発明の目的が達成される範囲内で他にも種々の形態のジアミンを用いることができる。
また、本発明で用いることができるジアミン(a2’)は、1種単独、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。すなわち、2種以上の組み合わせとしては、上記ジアミン同士、上記ジアミンとそれ以外のジアミン、または、上記ジアミン以外のジアミン同士を用いることができる。
【0126】
また、熱硬化性組成物の用途によっては高い透明性が必要とされるが、そのような場合には、3,3’−ジアミノジフェニルスルホンおよび上記一般(XV)式においてy=1〜15の整数であるジアミンを用いることが特に好ましい。
【0127】
2 高分子化合物(B)
本発明の熱硬化性組成物にさらに含むことができる高分子化合物(B)は、ポリアミド酸、可溶性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸エステル、ポリエステル、アクリル酸ポリマー、アクリレートポリマー、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン等の高分子化合物であるが、これに限定されるものではない。好ましくはポリアミド酸または可溶性ポリイミド等のポリイミド系高分子化合物であり、例えば特願2006-235336号に記載されている、ポリアミド酸、或いはそのイミド化重合体を好ましく挙げることができるが、これに限定されるものではない。
該ポリアミド酸は、少なくとも、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とモノアミン(b3)とを用いて得ることができるが、当該製法で得られたポリアミド酸に限定されるものではない。
【0128】
以下に、高分子化合物(B)を得るために用いることができる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とモノアミン(b3)を説明する。
【0129】
2.1 酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)
本発明で用いられる酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)の具体例としては、前述したシリコンアミド酸(A)を得るために用いることができる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と同様のものを用いることができる。
酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と同じものでも良いし、異なるものでも良い。また、上記記載の酸無水物基を有する化合物は1種単独でも、または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0130】
2.2 ジアミン(b2)
本発明で用いられるジアミン(b2)の具体例としては、前述したシリコンアミド酸(A’)を得るために用いることができるジアミン(a2’)と同様のものを用いることができる。
ジアミン(b2)はジアミン(a2’)と同じものでも良いし、異なるものでも良い。また、上記記載のジアミンは1種単独でも、または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0131】
2.3 モノアミン(b3)
本発明で用いられるモノアミン(b3)の具体例としては、前述したシリコンアミド酸(A)を得るために用いることができる、モノアミン(a2)と同様のものを用いることができる。
モノアミン(b3)は、モノアミン(a2)と同じものでも良いし、異なるものでも良い。また、上記記載のモノアミンは1種単独でも、または2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0132】
2.4 ポリアミド酸の反応条件
本発明で用いることのできるポリアミド酸は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)1モルに対して、0.05〜0.8モルのジアミン(b2)、0.4〜1.9モルのモノアミン(b3)を反応させて得られるものであることが好ましい。また、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)1モルに対して、0.1〜0.6モルのジアミン(b2)、0.8〜1.8モルのモノアミン(b3)を反応させて得られるものであることがさらに好ましい。より好ましくは、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)1モルに対して、0.15〜0.35モルのジアミン(b2)、1.3〜1.7モルのモノアミン(b3)を反応させて得られるものである。
【0133】
2.4(1) 反応溶媒
本発明で用いることのできるポリアミド酸を得るために用いられる溶媒は、前述したシリコンアミド酸(A)又は(A’)を得るために用いることができる溶媒と同様のものを用いることができる。反応溶媒は単独でも、2種以上の混合溶媒としても使用できる。また、上記反応溶媒以外に他の溶媒を混合して用いることもできる。
【0134】
反応溶媒は、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)、ジアミン(b2)とモノアミン(b3)との合計100重量部に対し100重量部以上使用すると、反応がスムーズに進行するので好ましい。反応は0℃〜100℃(好ましくは、8℃〜70℃)で、0.2〜20時間(好ましくは、2時間〜10時間)反応させるのが好ましい。
【0135】
2.4(2) 反応系への添加順序
また、反応原料の反応系への添加順序に特に限定されない。すなわち、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とモノアミン(b3)とを同時に反応溶媒に加える、ジアミン(b2)とモノアミン(b3)を反応溶媒中に溶解させた後に酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)を添加する、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とモノアミン(b3)をあらかじめ反応させた後にジアミン(b2)を添加する、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)とジアミン(b2)とをあらかじめ反応させて共重合体を合成した後に、その共重合体にモノアミン(b3)を添加する、などいずれの方法も用いることができる。
【0136】
2.5 高分子化合物(B)の重量平均分子量
重量平均分子量が1,000〜200,000である高分子化合物(B)が特に溶媒に対する溶解性が優れていて熱硬化性組成物として好ましい。本発明において、高分子化合物(B)の溶媒に対する「溶解性」をさらに向上させるためには、その重量平均分子量は1,000〜100,000であることが好ましく、1,000〜50,000であることがさらに好ましい。
そして、高分子化合物(B)の重量平均分子量が1,000〜20,000であることが特に好ましい。1,000以上の重量平均分子量を有する高分子化合物(B)は、加熱処理によって蒸発することがなく、化学的・機械的に安定であり、20,000以下の重量平均分子量を有する高分子化合物(B)は、溶媒に対する溶解性を向上させることができるので、得られる塗膜の膜厚を大きくすることが可能であり、熱硬化性組成物として好ましく用いることができるからである。
【0137】
高分子化合物(B)の重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。具体的には、得られた高分子化合物(B)をテトラヒドロフラン(THF)等で濃度が約1重量%になるように希釈し、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLを用いて、THFを展開剤としてゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めることができる。
【0138】
3 アルケニル置換ナジイミド化合物(C)
本発明の熱硬化性組成物に含まれるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)は、分子内に少なくとも1つのアルケニル置換ナジイミド構造を有する化合物であり、好ましくは上記一般式(5)で表されるアルケニル置換ナジイミド化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0139】
アルケニル置換ナジイミド化合物(C)には、nが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物(c1:以下、単に「アルケニル置換ナジイミド」と言うことがある)、およびnが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(c2:以下、単に「ビスアルケニル置換ナジイミド」と言うことがある)がある。
【0140】
3.1 アルケニル置換ナジイミド(c1)
本発明で用いられるnが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0141】
アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ヒドロキシ−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ヒドロキシ−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ヒドロキシ−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ヒドロキシ−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0142】
また、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0143】
また、
N−フェニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’−ヒドロキシエチル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’−ヒドロキシエチル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’−ヒドロキシエチル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0144】
また、
N−(2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’,2’−ジメチル−3’−ヒドロキシプロピル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2’,3’−ジヒドロキシプロピル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(3’−ヒドロキシ−1’−プロペニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(4’−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0145】
また、
N−(4’−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(4’−ヒドロキシフェニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(4’−ヒドロキシフェニル)−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(4’−ヒドロキシフェニル)−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(3’−ヒドロキシフェニル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(3’−ヒドロキシフェニル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(p−ヒドロキシベンジル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0146】
また、
N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{2’−(2’−ヒドロキシエトキシ)エチル}−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−〔2’−{2’−(2”−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル〕−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−{4’−(4’−ヒドロキシフェニルイソプロピリデン)フェニル}−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0147】
また、これらのアルケニル置換ナジイミド(c1)は、単独で用いてもよいし、これらの混合物として用いてもよい。
【0148】
上記のアルケニル置換ナジイミド(c1)として、好ましいものは
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0149】
また、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−シクロヘキシル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−フェニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0150】
また、
N−フェニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−ベンジル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0151】
アルケニル置換ナジイミド(c1)として、更に好ましいものは、
N−メチル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−メチル−メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0152】
また、
N−(2−エチルヘキシル)−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−アリル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−イソプロペニル−メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0153】
3.2 ビスアルケニル置換ナジイミド(c2)
また、本発明で用いられるnが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物の具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0154】
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0155】
また、
1,2−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、
1,2−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、
1,2−ビス{3’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エタン、
ビス〔2’−{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、
ビス〔2’−{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}エチル〕エーテル、
1,4−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
1,4−ビス{3’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}ブタン、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0156】
また、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0157】
また、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0158】
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0159】
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
1,6−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3−ヒドロキシ−ヘキサン、
1,12−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−3,6−ジヒドロキシ−ドデカン、
1,3−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−シクロヘキサン、
1,5−ビス{3’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)プロポキシ}−3−ヒドロキシ−ペンタン、
1,4−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−ベンゼン、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0160】
また、
1,4−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2,5−ジヒドロキシ−ベンゼン、
N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルメチルシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−(2−ヒドロキシ)キシリレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−(2,3−ジヒドロキシ)キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0161】
また、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2’−ヒドロキシ−フェノキシ}フェニル〕プロパン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−2−ヒドロキシ−フェニル}メタン、
ビス{3−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−4−ヒドロキシ−フェニル}エーテル、
ビス{3−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)−5−ヒドロキシ−フェニル}スルホン、
1,1,1−トリ{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)}フェノキシメチルプロパン、
N,N’,N”−トリ(エチレンメタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)イソシアヌレート、
及びこれらのオリゴマー等が挙げられる。
【0162】
さらに、非対称なアルキレン・フェニレン基を含む次のようなものでもよい。
【0163】
【化48】

【0164】
また、これらのビスアルケニル置換ナジイミド(c2)は、単独で用いてもよいし、これらの混合物として用いてもよい。
【0165】
上記のビスアルケニル置換ナジイミド(c2)として、好ましいものは
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)等が挙げられる。
【0166】
また、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン等が挙げられる。
【0167】
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}エーテル、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン等が挙げられる。
【0168】
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}スルホン等が挙げられる。
【0169】
ビスアルケニル置換ナジイミド(c2)として、更に好ましいものは、
N,N’−エチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−エチレン−ビス(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−トリメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ヘキサメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−ドデカメチレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−シクロヘキシレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)等が挙げられる。
【0170】
また、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−フェニレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−{(1−メチル)−2,4−フェニレン}−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−p−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)、
N,N’−m−キシリレン−ビス(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)等が挙げられる。
【0171】
また、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4’−{4’−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェノキシ}フェニル〕プロパン、
ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(アリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン等が挙げられる。
【0172】
また、
ビス{4−(メタリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン、
ビス{4−(メタリルメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン等が挙げられる。
【0173】
本発明の好ましいアルケニル置換ナジイミド化合物(C)は、嵩高い構造を有した低分子量のイミドモノマーであるため、ほとんどの有機溶媒に可溶であり、溶液状態で長期間保存しても結晶の析出やゲル化が起こらず安定して使用できる。また、加熱することで三次元架橋構造のポリイミドを形成し、該ポリイミド硬化物は良好な耐熱性、機械的特性、電気的特性、耐薬品性を示す。
【0174】
4 溶媒(D)
本発明の熱硬化性組成物は、例えば、シリコンアミド酸(A)及び/又は(A’)、必要により高分子化合物(B)、アルケニル置換ナジイミド化合物(C)を溶媒(D)に溶解して得ることができる。したがって、本発明の熱硬化性組成物に含まれる溶媒は、シリコンアミド酸(A)及び/又は(A’)、必要により高分子化合物(B)、アルケニル置換ナジイミド化合物(C)を溶解することができる溶媒であれば特に制限されない。また、単独ではシリコンアミド酸(A)、シリコンアミド酸(A’)、必要により高分子化合物(B)、アルケニル置換ナジイミド化合物(C)を溶解しない溶媒であっても、他の溶媒と混合することによって、熱硬化性組成物に含まれる溶媒(D)として用いることが可能である。
【0175】
熱硬化性組成物に含まれる溶媒(D)の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、N−メチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、3−メチル−3−メトキシブタノール、テトラリン、イソホロン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、マロン酸ジエチル、エタノール、2−プロパノール、ジオキサン、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、シクロヘキサノン等を挙げることができる。
【0176】
これらの中でも乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ−ブチロラクトン等を好ましく挙げることができる。
溶媒(D)は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0177】
5 本発明の熱硬化性組成物の固形分濃度
本発明において熱硬化性組成物中のシリコンアミド酸(A)及び又はシリコンアミド酸(A’)、高分子化合物(B)およびアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の合計の濃度(固形分濃度)は特に限定されないが45〜99重量%が好ましく、50〜90重量%がさらに好ましく、55〜85重量%がさらに好ましい。これらの濃度範囲であると、1回のディスペンサー塗布で得られる膜の厚さが最適となるので好ましい。さらに、膜の硬化収縮および基材の反りが発生し難いので好ましい。
【0178】
本発明において熱硬化性組成物中の高分子化合物(B)の濃度は特に限定されないが、0〜50重量%が好ましく、0〜30重量%がさらに好ましい。これらの濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性が付与できることがあり好ましい。
【0179】
本発明において熱硬化性組成物中のアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の濃度は特に限定されないが、0〜70重量%が好ましく、0〜60重量%がさらに好ましい。これらの濃度範囲であると、絶縁膜として良好な特性が付与できることがあり好ましい。
【0180】
熱硬化性組成物として用いる場合、シリコンアミド酸(A)及び/又はシリコンアミド酸(A’)、高分子化合物(B)及びアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の濃度は高いほど得られるポリイミド膜の膜厚が厚くなるため好ましい。上記の濃度範囲であれば膜厚の大きなポリイミド膜を形成可能な熱硬化性組成物として好ましく用いることができる。
【0181】
6 本発明の熱硬化性組成物に添加される添加剤
本発明の熱硬化性組成物は、シリコンアミド酸(A)及び/又はシリコンアミド酸(A’)、必要により高分子化合物(B)、アルケニル置換ナジイミド化合物(C)、必要により溶媒(D)を混合して得られる。
さらに、目的とする特性によっては、本発明の熱硬化性組成物は、上記成分以外のその他の成分として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、トリメリット酸等のエポキシ硬化剤、アミノシリコン化合物、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、顔料、染料等の添加剤を必要により選択して添加し、それらを均一に混合溶解することにより得ることができる。
【0182】
6(1) エポキシ樹脂
本発明の熱硬化性組成物は、エポキシ樹脂をさらに含んでもよい。本発明の熱硬化性組成物に含まれるエポキシ樹脂は、オキシランやオキセタンを有すれば特に限定されないが、オキシランを2つ以上有する化合物が好ましい。
【0183】
本発明において熱硬化性組成物中のエポキシ樹脂の濃度は特に限定されないが、0.1〜60重量%が好ましく、1〜40重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、熱硬化性組成物から形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
【0184】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、オキシランを有するモノマーの重合体、および、オキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体、などが挙げられる。
【0185】
オキシランを有するモノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、およびメチルグリシジル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
また、オキシランを有するモノマーと共重合を行う他のモノマーとの具体例としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミドおよびN−フェニルマレイミドなどを挙げることができる。
【0186】
オキシランを有するモノマーの重合体およびオキシランを有するモノマーと他のモノマーとの共重合体の好ましい具体例としては、ポリグリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、ベンジルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、n−ブチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体およびスチレン−グリシジルメタクリレート共重合体を挙げることができる。本発明の熱硬化性組成物がこれらのエポキシ樹脂を含有すると、熱硬化性組成物から形成された塗膜の耐熱性が良好となるため好ましい。
【0187】
本発明の熱硬化性組成物に含まれ得るエポキシ樹脂の具体例としては、商品名「エピコート807」、「エピコート815」、「エピコート825」、「エピコート827」、「エピコート828」、「エピコート190P」、「エピコート191P」(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、商品名「エピコート1004」、「エピコート1256」(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、商品名「アラルダイトCY177」、商品名「アラルダイトCY184」(日本チバガイギー(株)製)、商品名「セロキサイド2021P」、「セロキサイド3000」、「EHPE−3150」(ダイセル化学工業(株)製)、商品名「テクモアVG3101L」(三井化学(株)製)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンなどを挙げることができる。
これらの中でも、商品名「アラルダイトCY184」、商品名「セロキサイド2021P」、商品名「テクモアVG3101L」、商品名「エピコート828」は、得られるポリイミド膜の平坦性が特に良好であるため好ましい。
【0188】
エポキシ樹脂は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
【0189】
6(2) アクリル樹脂
本発明の熱硬化性組成物は、アクリル樹脂をさらに含んでもよい。熱硬化性組成物に含まれるアクリル樹脂は、アクリル基やメタクリル基を有すれば特に限定されない。
【0190】
熱硬化性組成物中のアクリル樹脂の濃度は特に限定されないが、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がさらに好ましい。この濃度範囲であると、熱硬化性組成物から形成された塗膜の耐熱性、耐薬品性、平坦性が良好である。
【0191】
アクリル樹脂としては、例えば、ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマー、ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマー、二官能(メタ)アクリレート、及び、三官能以上の多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0192】
ヒドロキシルを有する単官能重合性モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、または1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。中でも形成される膜が柔軟である点から、4−ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが特に好ましい。
【0193】
ヒドロキシルを有しない単官能重合性モノマーの具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、p−ビニルフェニル−3−エチルオキセタ−3−イルメチルエーテル、2−フェニル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロルメチルスチレン、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、ビニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、N−アクリロイルモルホリン、5−テトラヒドロフルフリルオキシカルボニルペンチル(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル] 、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、またはシクロヘキセン−3,4−ジカルボン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]等を挙げることができる。
【0194】
二官能(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、またはジペンタエリスリトールジアクリレート等を挙げることができる。
【0195】
三官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、またはウレタン(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらのアクリル樹脂は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
6(3) 界面活性剤
熱硬化性組成物の塗布性の向上を望むときには、かかる目的に沿った界面活性剤を添加できる。本発明の熱硬化性組成物に添加される界面活性剤の具体例としては、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)などのシリコン系界面活性剤;商品名「Byk−354」、「ByK−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)などのアクリル系界面活性剤、商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)などのフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
これらの界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
界面活性剤は、下地基板への濡れ性、レベリング性、または塗布性を向上させるために使用するものであり、熱硬化性組成物100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
【0196】
6(4) 帯電防止剤
本発明の熱硬化性組成物に添加される帯電防止剤は、特に限定されるものではなく、公知の帯電防止剤を用いることができる。具体的には、酸化錫、酸化錫・酸化アンチモン複合酸化物、酸化錫・酸化インジウム複合酸化物等の金属酸化物や四級アンモニウム塩等が挙げられる。
これらの帯電防止剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
帯電防止剤は、帯電を防止するために使用するものであり、熱硬化性組成物100重量部に対し0.01〜1重量部添加して用いられることが好ましい。
【0197】
6(5) カップリング剤
本発明の熱硬化性組成物に添加されるカップリング剤は、特に限定されるものではなく、公知のカップリング剤を用いることができる。添加されるカップリング剤はシランカップリング剤が好ましく、具体的には、トリアルコキシシラン化合物またはジアルコキシシラン化合物等を挙げることができる。好ましくは、例えば、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−ビニルプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチル−γ−イミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルトジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が例示できる。これらの中でも、γ−ビニルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0198】
これらのカップリング剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
カップリング剤は、熱硬化性組成物100重量部に対し0.01〜3重量部添加して用いられることが好ましい。
【0199】
6(6) エポキシ硬化剤
本発明の熱硬化性組成物に添加されるエポキシ硬化剤は、特に限定されるものではなく、公知のエポキシ硬化剤を用いることができる。具体的には、有機酸ジヒドラジド化合物、イミダゾールおよびその誘導体、ジシアンジアミド、芳香族アミン、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物等が挙げられる。さらに具体的には、ジシアンジアミド等のジシアンジアミド類、アジピン酸ジヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等の有機酸ジヒドラジド、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチルイミダゾリル−(1’)]−エチルトリアジン、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物等の酸無水物等が挙げられる。
中でも透明性が良好なトリメリット酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物が好ましい。
【0200】
これらのエポキシ硬化剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
エポキシ硬化剤は、熱硬化性組成物100重量部に対し0.2〜5重量部添加して用いられることが好ましい。
【0201】
6(7) アミノシリコン化合物
本発明の熱硬化性組成物においてアミノシリコン化合物を添加することができる。アミノシリコン化合物としては、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらのアミノシリコン化合物は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。
アミノシリコン化合物は、基板への密着性をよくするために使用するものであり、熱硬化性組成物100重量部に対し0.05〜2重量部添加して用いられることが好ましい。
【0202】
7 熱硬化性組成物の粘度
本発明において熱硬化性組成物の粘度は、常温でディスペンスを行う場合は、ディスペンサーによる塗布方法による精度が向上する点で、51〜50000mPa・s(25℃)であり、好ましくは100〜10000mPa・s(25℃)、さらに好ましくは400〜4000mPa・s(25℃)である。粘度が50000mPa・s(25℃)を越える場合には、粘性が高く、加圧する圧力が高くなりディスペンサーの針先から吐出することが困難であり、粘度が51mPa・s(25℃)未満の場合には、熱硬化性組成物の粘度が低く塗布基材上で濡れ広がり実用的でない。
本発明において、粘度を51〜50000mPa・s(25℃)に調整するためには、熱硬化性組成物におけるシリコンアミド酸(A)、シリコンアミド酸(A’)、高分子化合物(B)およびアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の固形分濃度と溶媒(D)量とを調整することにより得られる。
【0203】
8 ポリイミド膜
本発明の熱硬化性組成物を、基板表面にディスペンサーにより塗布し、ホットプレート、またはオーブンなどで加熱処理して全面または所定のパターン状(ライン状等)のポリイミド膜を形成することができる。また、本発明のポリイミド膜の形成は、加熱処理に限定されず、UV処理やイオンビーム、電子線、ガンマ線などの処理でもよい。
従来、パターン状のポリイミド膜を形成する場合はフォトリソグラィ技術を用いているが、フォトレジスト、現像液、エッチング液、剥離液などの多種大量の薬液が必要であり、さらに煩雑な工程を要するものであった。これに対して、本発明の熱硬化性組成物を用いて形成されたパターン状ポリイミド膜は、ディスペンサーによる印刷により必要な部分のみに描画するため材料使用量は圧倒的に少なく、フォトマスクを使用しないので多品種大量生産が可能であり、且つ製造に要する工程数が少ないといった特徴を有するものである。
【0204】
8.1 ディスペンサー塗布方法による熱硬化性組成物の塗布
本発明にかかる熱硬化性組成物を用いて塗布を行うのにより好ましい吐出方法は、注射器に一定の圧力をかけ針先から一定量の熱硬化性組成物を吐出させる。これをX−Y方向に自在に稼動できるプロッターにより制御し、所望の熱硬化性組成物のパターンを描画できる。また、印刷法によっても絶縁膜パターンを得る事ができ、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷法などが例示できる。
【0205】
また、所望する絶縁膜パターンが、全面塗布パターンの場合には、スピナー法、ディッピング法、滴下法によっても塗布が可能である。
【0206】
8.2 溶媒乾燥
上述するディスペンサー塗布方法を用いて、基板上に、本発明の熱硬化性組成物をディスペンサーによって塗布した後、例えば、ホットプレート、またはオーブンなどを用いた加熱により溶媒(D)を気化等させて除去する、すなわち乾燥することによって、シリコンアミド酸(A)及び/又は(A’)の膜を形成することができる。熱硬化性組成物が、さらに高分子化合物(B)、アルケニル置換ナジイミド化合物(C)を含む場合は、シリコンアミド酸(A)及び/又は(A’)、高分子化合物(B)及びアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の膜を形成することができる。
加熱条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、シリコンアミド酸(A)及び(A’)が硬化しない温度が好ましく、通常70〜120℃で、オーブンを用いた場合は5〜60分間、ホットプレートを用いた場合は1〜30分間で乾燥膜が形成される。
【0207】
8.3 ポリイミドの膜の形成
シリコンアミド酸(A)及び/又は(A’)の膜、あるいはシリコンアミド酸(A)及び/又は(A’)、高分子化合物(B)及びアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の膜を形成した後、シリコンアミド酸(A)及び/又は(A’)のイミド化・シリコン部位の硬化のために、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃で、加熱処理することによってポリイミド膜を得ることができる(オーブンを用いた場合は、30〜120分間、ホットプレートを用いた場合は、5〜60分間である)。なお、高分子化合物(B)がポリアミド酸やポリアミド酸エステル等である場合は、加熱処理によるイミド化反応も同時に進行する。
膜がパターン状に形成されている場合には、パターン状のポリイミド膜が形成される。本明細書では、特に言及のない限り、ポリイミド膜は、パターン状のポリイミド膜を含むものとする。
【0208】
このようにして得られたポリイミド膜は、耐熱性、電気絶縁性、低反り性に優れた絶縁膜である。また、原料の熱硬化性組成物がエポキシ樹脂を含む場合、比較的強靭で、耐薬品性、平坦性、密着性および耐スパッタ性に優れた絶縁膜となるので好ましい。
【0209】
9 フィルム基板
本発明のフィルム基板は、例えば、予め配線が形成されたポリイミドフィルム等の基板上に、本発明の熱硬化性組成物をディスペンサーによる塗布方法によって全面または所定のパターン状(ライン状等)に塗布し、その後、当該基板を乾燥し、さらに加熱することによって、一部または全面が絶縁性を有するポリイミド膜で被覆されたフレキシブルなフィルム基板等の電子部品が得られる。
【0210】
10 シリコンウエハー基板
例えば、予め配線が形成されたシリコンウエハー基板上に、本発明の熱硬化性組成物をディスペンサーによる塗布方法によって塗布し、その後、当該シリコンウエハー基板を乾燥し、さらに加熱することによって、絶縁性を有するポリイミド膜で被覆された半導体等の電子部品が得られる。
【実施例】
【0211】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0212】
実施例および比較例で用いる、酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)、モノアミン(a2)、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)、ジアミン(a2’)、酸無水物基を2つ以上有する化合物(b1)、ジアミン(b2)、モノアミン(b3)、アルケニル置換ナジイミド(C)、および溶媒(D)の名称を略号で示す。以下の記述にはこの略号を使用する。
【0213】
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)、(b1)
ODPA:3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
BTDA:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
6FDA:4,4’−ヘキサフルオロプロピリデンビスフタル酸二無水物
【0214】
モノアミン(a2)、(b3)
APSE:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
【0215】
酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)
TESA:トリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリド
【0216】
ジアミン(a2’)、(b2)
DDS :3,3’−ジアミノジフェニルスルホン
PDA :p−フェニレンジアミン
7HHP:5−[((n−ヘプチルシクロヘキシル)エチルシクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン
7HB :1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−n−ヘプチルシクロヘキサン
BAP :2,2−ビス[4−(4−アミノ−2メチルフェノキシ)フェニル]プロパン
【0217】
アルケニル置換ナジイミド(C)
BANIM:ビス{4−(アリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド)フェニル}メタン
【0218】
溶媒(D)
EDM:ジエチレングリコールメチルエチルエーテル
GBL:γ−ブチロラクトン
NMP:N−メチルー2−ピロリドン
【0219】
[実施例1]熱硬化性組成物(1)
攪拌機及び原料投入仕込み口を備えた200mlの三つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下、室温で3hr攪拌したところ、透明なシリコンアミド酸(A)60重量%溶液を得た。得られた溶液が熱硬化性組成物(1)であり、この溶液を熱硬化性組成物として使用した。
この溶液の粘度は510mPa・s(25℃)であった。溶液の粘度は、E型粘度計(TOKYO KEIKI製 VISCONIC EHD)で測定した。
a1:ODPA 12.4g
a2:APSE 17.6g
D :EDM 10.0g
D :GBL 10.0g
【0220】
[実施例2]熱硬化性組成物(2)
温度計、攪拌機、原料投入仕込み口および窒素ガス導入口を備えた500mlの四つ口フラスコに、以下に示すとおりに原料を仕込み、乾燥窒素気流下40℃で5hr攪拌したところ、淡黄色透明なポリアミド酸(B)の60重量%溶液を得た。
この溶液の粘度は3500mPa・sであった。GPCで測定した重量平均分子量は2,100であった。ポリアミド酸の重量平均分子量は、得られたポリアミド酸をテトラヒドロフラン(THF)でポリアミド酸濃度が約1重量%になるように希釈し、GPC装置として日本分光株式会社製、JASCO GULLIVER 1500 (インテリジェント示差屈折率計 RI−1530)を用いて、上記希釈液を展開剤としてGPC法により測定し、ポリスチレン換算することにより求めた。カラムは、東ソー株式会社製カラムG4000HXL、G3000HXL、G2500HXLおよびG2000HXLの4本をこの順序に接続して使用し、カラム温度40℃、流速1.0ml/minの条件で測定した。
b1:ODPA 55.0g
b2:DDS 11.0g
b3:APSE 59.0g
D :GBL 83.3g
【0221】
実施例1のシリコンアミド酸(A)溶液と、このポリアミド酸(B)溶液とを、以下に示すとおりに仕込み、2hr攪拌し、固形分濃度60重量%溶液を得た。この溶液を熱硬化性組成物(2)として使用した。この溶液の粘度は1280mPa・s(25℃)であった。
シリコンアミド酸(A)溶液 64.0g
ポリアミド酸(B)溶液 32.0g
【0222】
[実施例3]熱硬化性組成物(3)
実施例1のシリコンアミド酸(A)溶液と、アルケニル置換ナジイミド(C)とを、以下に示すとおりに仕込み、固形分が完全に溶解するまで攪拌し、シリコンアミド酸(A)/アルケニル置換ナジイミド(C)の60重量%溶液を得た。この溶液を熱硬化性組成物(3)として使用した。この溶液の粘度は400mPa・s(25℃)であった。
シリコンアミド酸(A)溶液 50g
C:BANIM 15g
D:GBL 5g
D:EDM 5g
【0223】
[実施例4]
実施例1で調製された熱硬化性組成物(1)をディスペンサー注射容器に封入し針先幅1mmを装着した。MUSASHIエンジニアリング社製ディスペンサー塗布装置ML505Xにより1kgf/cmで加圧し、SHOTMASTER3にて10mm/secでシリコンウエハー上に長さ5cmのライン塗布を行った。基板を80℃のホットプレートで10分間乾燥した後、230℃のオーブンで30分間加熱し、ライン状に形成されたポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜のライン幅及びこのライン幅の均一性を光学顕微鏡で観察し、膜厚を測定した。膜厚はKLA−Tencor Japan株式会社製の触針式膜厚計αステップ200を使用し、3箇所の測定値の平均値を膜厚とした。その結果を表1に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
【0224】
[実施例5]
実施例2で調製された熱硬化性組成物(2)を使用し、実施例4と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例4と同じ条件で評価を行った。その結果を表1に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
【0225】
[実施例6]
実施例3で調製された熱硬化性組成物(3)を使用し、実施例4と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例4と同じ条件で評価を行った。その結果を表1に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
【0226】
[比較例1]熱硬化性組成物(4)
実施例1と同じ条件でポリアミド酸を、以下に示すとおりに仕込み、乾燥窒素気流下室温で攪拌し、高分子化合物(B)の12重量%溶液を得た。この溶液を熱硬化性組成物(4)として使用した。この溶液の粘度は3100mPa・sであった。
ODPA 15.5g
BAP 20.5g
D:EDM 132.0g
D:GBL 132.0g
【0227】
[比較例2]
比較例1で調製された熱硬化性組成物(4)を使用した以外は、実施例4と同じ条件でポリイミドの絶縁膜を得た。
得られたポリイミド膜について、実施例4と同じ条件で評価を行った。その結果を表1に示す。ラインは100μmを超えるほどの厚みを有していなかった。
【0228】
【表1】

【0229】
[実施例7]熱硬化性組成物(5)の調製およびポリイミド絶縁膜の形成
以下に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1に準じた方法で熱硬化性組成物を調製し粘度を測定した。
a1:BTDA 12.6g
a2:APSE 17.4g
D :EDM 10.0g
D :GBL 10.0g
さらに、実施例4に準じた方法でポリイミド絶縁膜を形成した。
【0230】
[実施例8]熱硬化性組成物(6)の調製およびポリイミド絶縁膜の形成
以下に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1に準じた方法で熱硬化性組成物を調製し粘度を測定した。
a1:6FDA 15.0g
a2:APSE 15.0g
D :EDM 10.0g
D :GBL 10.0g
さらに、実施例4に準じた方法でポリイミド絶縁膜を形成した。
【0231】
[実施例9]熱硬化性組成物(7)の調製およびポリイミド絶縁膜の形成
以下に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1に準じた方法で熱硬化性組成物を調製し粘度を測定した。
a1’:TESA 21.3g
a2’:DDS 8.7g
D :EDM 10.0g
D :GBL 10.0g
さらに、実施例4に準じた方法でポリイミド絶縁膜を形成した。
【0232】
[実施例10]熱硬化性組成物(8)の調製およびポリイミド絶縁膜の形成
以下に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1に準じた方法で熱硬化性組成物を調製し粘度を測定した。
a1’:TESA 25.5g
a2’:PDA 4.5g
D :EDM 10.0g
D :GBL 10.0g
さらに、実施例4に準じた方法でポリイミド絶縁膜を形成した。
【0233】
[実施例11]熱硬化性組成物(9)の調製およびポリイミド絶縁膜の形成
以下に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1に準じた方法で熱硬化性組成物を調製し粘度を測定した。
a1’:TESA 16.6g
a2’:7HHP 13.4g
D :EDM 10.0g
D :GBL 10.0g
さらに、実施例4に準じた方法でポリイミド絶縁膜を形成した。
【0234】
[実施例12]熱硬化性組成物(10)の調製およびポリイミド絶縁膜の形成
以下に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1に準じた方法で熱硬化性組成物を調製し粘度を測定した。
a1’:TESA 15.8g
a2’:7HB 14.2g
D :EDM 10.0g
D :GBL 10.0g
さらに、実施例4に準じた方法でポリイミド絶縁膜を形成した。
【0235】
[実施例13]熱硬化性組成物(11)の調製およびポリイミド絶縁膜の形成
以下に示すとおりに原料を仕込むこと以外は実施例1に準じた方法で熱硬化性組成物を調製し粘度を測定した。
a1’:TESA 17.9g
a2’:BAP 12.1g
D :EDM 10.0g
D :GBL 10.0g
さらに、実施例4に準じた方法でポリイミド絶縁膜を形成した。
【0236】
実施例7〜実施例12について、得られたポリイミド膜について、実施例4と同じ条件で評価を行った。その結果を表2に示す。ラインは十分な厚みを有していた。
【0237】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0238】
本発明の活用法として、例えば、フレキシブル配線基板用絶縁膜、半導体等の絶縁膜、それを用いた電子部品を挙げることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)とモノアミン(a2)とを用いて得られるシリコン化合物(A)、および、酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)とジアミン(a2’)とを用いて得られるシリコン化合物(A’)から選ばれる少なくとも1種を含む、粘度が51〜50000mPa・s(25℃)である熱硬化性組成物。
【請求項2】
酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)が、一般式(1)で表されるテトラカルボン酸二無水物であり、モノアミン(a2)が、一般式(2)で表されるアミノシリコン化合物である、請求項1記載の熱硬化性組成物。
【化1】

(一般式(1)中、Xは炭素数2〜100の四価の有機基であり、一般式(2)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、Yは、炭素数1〜20の二価の有機基である。)
【請求項3】
前記テトラカルボン酸二無水物が、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−[ビス(3,4ージカルボキシフェニル)]ヘキサフルオロプロパン二無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物およびブタンテトラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記アミノシリコン化合物が、パラアミノフェニルトリメトキシシラン、パラアミノフェニルトリエトキシシラン、メタアミノフェニルトリメトキシシラン、メタアミノフェニルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシランおよびアミノプロピルトリエトキシシランからなる群から選ばれる1つ以上である、
請求項2に記載の熱硬化性組成物。
【請求項4】
前記シリコン化合物(A)が、一般式(3)で表されるシリコンアミド酸(A)である、請求項1記載の熱硬化性組成物。
【化2】

(一般式(3)中、Xは、炭素数2〜100の四価の有機基であり、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、Yは、炭素数1〜20の二価の有機基である。)
【請求項5】
前記シリコンアミド酸(A)が、一般式(4-1)、(4-2)または(4-3)で表されるシリコンアミド酸である、請求項4記載の熱硬化性組成物。
【化3】

(一般式(4-1)、(4-2)及び(4-3)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、R、R及びRの内の少なくとも一つは、炭素数1〜20のアルコキシを含み、aは、1〜20の整数である。)
【請求項6】
前記酸無水物基を2つ以上有する化合物(a1)と前記モノアミン(a2)との比が、1モル:0.5〜8.0モルである、請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項7】
前記酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)が、一般式(1’)で表されるジカルボン酸無水物であり、前記ジアミン(a2’)が、一般式(2’)で表されるジアミンである、請求項1〜6のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【化4】

(一般式(1’)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基であり、一般式(2’)中、X’は炭素数2〜100の二価の有機基である。)
【請求項8】
前記一般式(1’)のジカルボン酸無水物が、p−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、p−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリメトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、m−(トリエトキシシリル)フェニルサクシニックアンヒドリド、トリメトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドおよびトリエトキシシリルプロピルサクシニックアンヒドリドからなる群から選ばれる1つ以上であり、
前記一般式(2’)のジアミンが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−1,3−ジフェニルプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、1,2−ビス−(4−アミノ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(4−アミノ−2−メチルフェニル)メタン、1,2−ビス−(4−アミノ−2−メチルフェニル)エタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニル−2,2’−プロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス[(4−アミノフェニル)メチル]ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]フルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ビフェニル、1,3−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]プロパン、1,6−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]ヘキサン、5−フェニルメチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[4−(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[4−(4−(4−アルキルシクロヘキシル)シクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、5−[((アルキルシクロヘキシル)エチルシクロヘキシル)フェニル]メチル−1,3−ジアミノベンゼン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−4−アルキルシクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]シクロヘキサン、1,1−ビス[4−(4−アミノベンジル)フェニル]−4−アルキルシクロヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンからなる群から選ばれる1つ以上である、
請求項7記載の熱硬化性組成物。
【請求項9】
前記シリコン化合物(A’)が、一般式(3’)で表されるシリコンアミド酸(A’)である、請求項1〜6のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【化5】

(一般式(3’)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基であり、X’は炭素数2〜100の二価の有機基である。)
【請求項10】
前記シリコンアミド酸(A’)が、一般式(4'-1)、(4'-2)、(4'-3)、(4'-4)または(4'-5)で表されるシリコンアミド酸(A’)である、請求項9記載の熱硬化性組成物。
【化6】


(一般式(4'-1)、(4'-2)、(4'-3)、(4'-4)及び(4'-5)中、R、R及びRは独立して、水素、ハロゲンまたは一価の有機基であり、それらは同一または異なっていてもよく、R、R及びRの内の少なくとも一つは、炭素数1〜20のアルコキシを含み、aは、1〜19の整数であり、一般式(4'-3)のRは炭素数2〜30の有機基であり、一般式(4'-4)のRは水素又は炭素数1〜20のアルキルである。)
【請求項11】
前記酸無水物基を1つ有する化合物(a1’)と前記ジアミン(a2’)との比が、0.5〜8.0モル:1モルである、請求項1〜10のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項12】
高分子化合物(B)をさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項13】
前記高分子化合物(B)が、ポリアミド酸およびポリイミドから選ばれる少なくとも1種である、請求項12記載の熱硬化性組成物。
【請求項14】
前記高分子化合物(B)の重量平均分子量が、1,000〜50,000である、請求項12または13記載の熱硬化性組成物。
【請求項15】
アルケニル置換ナジイミド(C)をさらに含む、請求項1〜14のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項16】
前記アルケニル置換ナジイミド(C)が、一般式(5)で表される化合物である、請求項15記載の熱硬化性組成物。
【化7】

(一般式(5)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数3〜6のアルケニル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリールまたはベンジルのいずれかであり、nは1〜2の整数であり、
n=1のとき、Rは水素、炭素数1〜12のアルキル、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(C2q)O(C2rO)2sX}(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数、Xは水素または水酸基である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)−C−R(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、Rは水素もしくは炭素数1〜4のアルキルを表す)で表される基、−C−T−C(ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−S−もしくはSO−である)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結した1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基であり、
n=2のとき、Rは−C2p−(ここで、pは2〜20の整数)で表されるアルキレン、炭素数5〜8のシクロアルキレン、−{(C2qO)(C2rO)2s}−(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数である)で表されるポリオキシアルキレン、炭素数6〜12のアリーレン、−(R)−C−R−(ここで、aは0または1の整数、R及びRは独立に選ばれた炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、−C−T−C−(ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−O−、−OCC(CHO−、−S−、−SO−)で表される基、またはこれらの基の芳香環に直結する1〜3個の水素が水酸基で置き換えられた基である。)
【請求項17】
前記一般式(5)において、nが2である、請求項16記載の熱硬化性組成物。
【請求項18】
nが2であり、
前記一般式(5)において、Rが、−C2p−(ここで、pは2〜10の整数)で表されるアルキレン、−(R)−C−R−(ここで、aは0または1の整数、R及びRは独立に選ばれた炭素数1〜4のアルキレンである)で表される基、または−C−T−C−(ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−O−、−OCC(CHO−、−S−、−SO−)で表される基である、請求項16記載の熱硬化性組成物。
【請求項19】
前記一般式(5)において、RおよびRがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、
nが2であり、
が−(CH−、式(6)で表される基または式(7)で表される基である、請求項16記載の熱硬化性組成物。
【化8】

【請求項20】
前記一般式(5)において、nが1であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種と、nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種とを含む、請求項16記載の熱硬化性組成物。
【請求項21】
前記一般式(5)において、nが1であり、Rが炭素数1〜12のアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、ベンジル、−{(C2q)O(C2rO)2s+1}(ここで、q、r、sはそれぞれ独立に選ばれた2〜6の整数、tは0または1の整数及びuは1〜30の整数である)で表されるポリオキシアルキレンアルキル、−(R)−C−R(ここで、aは0または1の整数、Rは炭素数1〜4のアルキレン、Rは水素もしくは炭素数1〜4のアルキルをそれぞれ表す)で表される基、または−C−T−C(ここで、Tは−CH−、−C(CH−、−CO−、−S−もしくはSO−である)で表される基であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種と、
nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種とを含む、請求項16記載の熱硬化性組成物。
【請求項22】
前記一般式(5)において、RおよびRがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが1であり、Rが炭素数1〜12のアルキル、炭素数5〜8のシクロアルキル、炭素数6〜12のアリール、またはベンジルであるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種と、
nが2であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種とを含む、請求項16記載の熱硬化性組成物。
【請求項23】
前記一般式(5)において、RおよびRがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが1であり、Rが炭素数1〜12のアルキルまたは炭素数6〜12のアリールであるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種と、
およびRがそれぞれ独立に水素または炭素数1〜6のアルキルであり、nが2であり、Rが−(CH−、式(6)で表される基または式(7)で表される基であるアルケニル置換ナジイミド化合物(C)の少なくとも1種とを含む、請求項16記載の熱硬化性組成物。
【化9】

【請求項24】
溶媒(D)をさらに含む、請求項1〜23のいずれかに記載の熱硬化性組成物。
【請求項25】
溶媒(D)が、乳酸エチル、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、シクロヘキサノンおよびγ−ブチロラクトンからなる群から選ばれる1つ以上である、請求項24記載の熱硬化性組成物。
【請求項26】
請求項1〜25のいずれかに記載された熱硬化性組成物をディスペンサー塗布方法によって塗布して塗膜を形成した後、該塗膜を硬化処理して得られるポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜。
【請求項27】
請求項1〜25のいずれかに記載された熱硬化性組成物をディスペンサー塗布方法によって塗布して塗膜を形成する工程、および該塗膜を硬化処理してポリイミド膜を形成する工程を含むポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜の形成方法。
【請求項28】
請求項27に記載された方法で基板上に形成されたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜を有する、フィルム基板。
【請求項29】
請求項28に記載されたフィルム基板を有する電子部品。
【請求項30】
請求項27に記載された方法で基板上に形成されたポリイミド膜またはパターン状ポリイミド膜を有する、シリコンウエハー基板。
【請求項31】
請求項28に記載されたシリコンウエハー基板を有する電子部品。

【公開番号】特開2012−140640(P2012−140640A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−101033(P2012−101033)
【出願日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【分割の表示】特願2008−28047(P2008−28047)の分割
【原出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(311002067)JNC株式会社 (208)
【出願人】(596032100)JNC石油化学株式会社 (309)
【Fターム(参考)】