説明

熱線センサ付自動スイッチ

【課題】熱線センサによる検知の有無に関わらず、負荷のオンオフを切り替え、切り替えた状態を長時間継続させることを、操作ハンドルへの押操作によって容易かつ誤動作を低減して切り替える。
【解決手段】熱線センサ付自動スイッチ1は、人体からの熱線を検知する熱線センサ5と、造営面に配設される器体2の前面230に回動自在に軸部231によって枢支される操作ハンドル3と、器体2の前面230に露出し操作ハンドル3で押駆動される操作子610を有して器体2に収納される操作スイッチ61とを備える。さらに、操作子610が操作ハンドル3で一定時間以上押されると、熱線センサ5が熱線を検知したときに照明負荷を点灯させる第1の制御モードを、照明負荷の点灯と消灯を切り替え、熱線センサ5による熱線の検知の有無に関わらず、切り替えられた状態を照明負荷が継続するように制御する第2の制御モードに切り替える回路部6の制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷のオンオフを制御する熱線センサ付自動スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
負荷のオンオフを制御する従来の熱線センサ付自動スイッチとして、特許文献1には、手動スイッチの切り替え操作ごとに照明負荷の強制点灯、赤外線センサによる自動点灯、消灯と状態を遷移、又は照明負荷が点灯していれば消灯、消灯していれば点灯へ遷移させる人体検出機能付配線器具(熱線センサ付自動スイッチ)が開示されている。
【特許文献1】特開2001−237085号公報(段落0040,0041及び第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の熱線センサ付自動スイッチには、負荷(照明負荷)をオフ(消灯)させたとしても所定時間経過後、再び人体検出待機状態へ自動復帰することから、熱線センサによる検知の有無に関わらず、負荷を長時間、オフにさせることができないという問題があった。
【0004】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、熱線センサによる検知の有無に関わらず、負荷のオンオフを切り替え、切り替えた状態を長時間継続させることを、操作ハンドルへの押操作によって容易かつ誤動作を低減して切り替えることができる熱線センサ付自動スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、負荷のオンオフを制御する熱線センサ付自動スイッチであって、造営面に配設される器体と、人体からの熱線を検知する熱線センサと、前記器体の前面に回動自在に枢支される操作ハンドルと、前記器体の前記前面に露出し前記操作ハンドルで押駆動される操作子を有して当該器体に収納される操作スイッチとを備えるとともに、前記操作子が前記操作ハンドルで予め設定された第1の時間以上押されると、前記熱線センサが前記熱線を検知したときに前記負荷をオンに制御する第1の制御モードを、前記負荷のオンオフを切り替え、前記熱線センサによる前記熱線の検知の有無に関わらず、切り替えられた状態を当該負荷が継続するように制御する第2の制御モードに切り替える制御手段を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段が、前記第1の制御モード又は前記第2の制御モードである場合に、前記操作子が前記操作ハンドルで前記第1の時間未満押されると、当該第1の制御モード又は当該第2の制御モードを、前記負荷がオフであるとき当該負荷を予め決められた第2の時間が経過するまでオンにし、当該負荷がオンであるとき当該負荷を前記第2の時間が経過するまでオフに制御する第3の制御モードに切り替え、前記第2の時間が経過すると前記第1の制御モードに切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、熱線センサによる検知の有無に関わらず、負荷のオンオフを切り替え、切り替えた状態を長時間継続させることを、操作ハンドルへの押操作によって容易かつ誤動作を低減して切り替えることができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、熱線センサが有効時間中であっても、操作ハンドルへの短時間の押操作によって、負荷がオフであるときにオンに一時的に行うことができるとともに、負荷がオンであるにオフにすることができることによって、負荷への無駄な電力供給を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る熱線センサ付自動スイッチの構成について図1〜4を用いて説明する。
【0010】
熱線センサ付自動スイッチ1は、図1に示すように、造営面(図示せず)に配設される器体2と、器体2の前面230に回動自在に枢支される操作ハンドル3と、操作ハンドル3の前面側に回動自在に枢着されるハンドルカバー4と、人体からの熱線を検知する熱線センサ5と、照明負荷Lの点灯と消灯を制御する回路部6とを備え、商用電源AC(図4参照)及び照明負荷Lの直列回路に接続されている。実施形態1では、負荷として照明負荷Lを用いているが、照明負荷L以外の負荷であってもよい。この熱線センサ付自動スイッチ1の外観斜視図を図2に示している。
【0011】
器体2は、図1に示すように直方体状であって、前面開口した合成樹脂製のボディ20と、後面開口した合成樹脂製のカバー21とから構成される。この器体2は、規格化された単位モジュール寸法(1個モジュール寸法)の埋込型配線器具3個分に相当する寸法に形成された1連用モジュールである。また、器体2の左右方向(図1のY軸方向)の寸法は、後述の既存の埋込配線器具用の取付枠7の窓孔70の左右方向(短手方向)とほぼ等しい。
【0012】
ボディ20は、上面200及び下面のそれぞれに一体に設けられた組立突起201,201を1対ずつ備えている。このボディ20には、後述の電源端子652,653や負荷端子654,655となる端子群202が収納される。
【0013】
一方、カバー21は、上面210及び下面のそれぞれの後縁から後方に延設された組立片211,211を1対ずつ備えている。このカバー21は、各組立片211の組立孔212にボディ20の組立突起201が係合することによって、ボディ20と互いの開口を合わせるように結合する。
【0014】
また、カバー21は、左右方向(図1のY軸方向)における一方の側壁である右側壁213に突出して設けられ取付枠7の器具取付孔72に係合可能な取付爪214を1対、左側壁に突出して設けられ取付枠7の器具取付孔72に係合可能な取付爪(図示せず)を2対備えている。カバー21の右側壁213には、1対の取付爪214が突設された部位の上下両側部に後端が開放された2本の切り込み溝215,215が前後方向(図1のX軸方向)に沿って形成され、2本の切り込み溝215,215の間の部位に、厚み方向に可撓性を有する撓み片216が設けられている。そして、カバー21内において撓み片216の裏面側には空所が形成され、撓み片216をカバー21の内側に撓ませることによって、撓み片216に設けられた1対の取付爪214,214をカバー21の側面から弾性的に後退させることを可能とする。
【0015】
ここで、取付枠7について説明する。取付枠7は、規格化された単位モジュール寸法(1個モジュール寸法)の埋込型配線器具を長手方向(図1のZ軸方向)に3個並べて取付可能な1連のものである。この取付枠7の窓孔70を囲む両側片71,71には、配線器具を取り付けるための器具取付孔72・・・が3対ずつ形成されている。この器具取付孔72・・・にカバー21の取付爪214が係合することによって、器体2が取付枠7に固定される。器体2を取付枠7に取り付ける際には、カバー21の左側壁に設けられた取付爪(図示せず)を取付枠7の器具取付孔72に挿入するとともに、右側壁213に設けられた取付爪214,214をカバー21の側面から後退させるようにして、取付枠7の窓孔70に器体2の前部を挿入すれば、右側壁213の取付爪214,214が器具取付孔72に挿入されて器体2が取付枠7に保持される。一方、器体2を取り外す際には、撓み片216をカバー21の内側に押し込むようにすれば、撓み片216に設けられた取付爪214,214が器具取付孔72から抜け、取付枠7から器体2を取り外すことができる。
【0016】
また、取付枠7の上下の枠片73,73のそれぞれには、ボックス螺子740,740を挿通するための長孔74,74が1つずつ形成されている。それぞれの長孔74に挿通されたボックス螺子740が、例えば壁面などの造営面に埋設された埋込ボックスのねじ部(図示せず)に螺合されることによって、取付枠7が造営材(図示せず)に固定され、この取付枠7に保持された器体2の後部は造営材に埋設される。さらに、各枠片73にはプレート螺子用のねじ孔75・・・が1対ずつ形成されている。取付枠7は前面側で、合成樹脂で矩形枠状に形成されたプレート枠(図示せず)とプレート螺子(図示せず)を用いてねじ止めされる。このプレート枠の前面側に化粧プレート76が着脱自在に取着される。プレート枠及び化粧プレート76には、それぞれ、取付枠7の窓孔70よりも長寸かつ幅広の窓孔760が形成され、上記窓孔760を通して熱線センサ付自動スイッチ1の前面が露出するようになっている。
【0017】
カバー21には円状の窓孔220,221が2つ、これらの窓孔220,221より小さい円状の窓孔222が1つ形成されている。また、カバー21の前面には、前方に突出する突台部223が設けられている。この突台部223の前面には開口226が形成されている。開口226の上下には弧状の突出部227,228が設けられている。
【0018】
さらに、カバー21は、操作ハンドル3を枢着するために、前面230の左側端部から前方に突出して一体に設けられた一対の軸部231,231を備えている。各軸部231の前端部はカバー21の長手方向に沿った円柱状に形成されている。
【0019】
操作ハンドル3は、左右方向が化粧プレート76の窓孔760の左右方向(短手方向)とほぼ同じ寸法に、上下方向が窓孔760の上下方向(長手方向)のほぼ3分の2の寸法になるように、合成樹脂で矩形板状に形成されたものである。この操作ハンドル3は、左側部30の背面に設けられた軸受部(図示せず)を備えている。この軸受部がカバー21の軸部231,231に回動自在に枢支されることによって、操作ハンドル3は器体2の前面230の上半分を覆う形で器体2の前面230に回動自在に枢支される。
【0020】
また、操作ハンドル3は、カバー21の前面230に露出する後述の操作子610と対向する部位に設けられた押突起31を裏面に備えている。操作ハンドル3の右側部32が押操作されると、操作ハンドル3が軸部231,231を支点にして回動し、操作ハンドル3の押突起31によって操作子610が押され、操作スイッチ61がオンする。一方、押圧する力が操作ハンドル3からなくなると、操作ハンドル3が操作子610の反力などを受けて復帰位置に戻り、操作スイッチ61がオフする。なお、操作ハンドル3は、軸部231,231で枢支された左側縁を取付枠7の前面に面接触させているので、操作ハンドル3の左側部30を押したとしても、操作ハンドル3が傾くのを防止できる。
【0021】
さらに、操作ハンドル3は薄肉部33を有し、この薄肉部33におけるカバー21の窓孔220,221に対応する部位には、後述の動作保持時間設定部(設定操作部)62及び明るさセンサ調整部63をそれぞれ挿通させるために、この動作保持時間設定部62及び明るさセンサ調整部63に対向する部位に開口窓34,35が形成されている。また、操作ハンドル3において、左側部30の上下方向(図1のZ軸方向)における略中央部に、導光部材(図示せず)が嵌め込まれる透孔36が形成されている。導光部材は、透光性を有する合成樹脂で形成され、透孔36に嵌め込んだ状態で操作ハンドル3の背面側に取着される。これにより、器体2内に納装された発光ダイオードLDの照射光は、操作ハンドル3に保持された導光部材を通して操作ハンドル3の透孔36から前方へ出射されるようになっている。
【0022】
発光ダイオードLDは、例えば色や点灯状態によって動作モードを表示するものである。例えば色による表示の場合、照明負荷Lを連続点灯しているときは赤色に点灯し、自動点灯中のときは緑色に点灯し、照明負荷Lを強制消灯しているときは消灯する。これに対して、例えば点灯状態による表示の場合、照明負荷Lを連続点灯しているときは連続点灯し、自動点灯中のときは点滅し、照明負荷Lを強制消灯しているときは消灯する。
【0023】
操作ハンドル3がカバー21の上側に取り付けられるのに対し、カバー21の下側には化粧カバー37が取り付けられる。化粧カバー37には、カバー21の挿通孔225の左右方向(図1のY軸方向)における中央に対向する位置に挿通孔370が形成され、開口226に対向する位置に開口371が形成されている。
【0024】
ハンドルカバー4は、操作ハンドル3の薄肉部33を覆うように、操作ハンドル3の前面に回動自在に枢着されている。ハンドルカバー4の左右方向及び上下方向の寸法は、それぞれ、薄肉部33の左右方向及び上下方向とほぼ同じである。また、ハンドルカバー4の側部の上下両端部からは、側方に突出するアーム40,40が突設され、各アーム40の先端部には、操作ハンドル3の上下両側面に設けられた軸穴38に枢支される回動軸41,41が突設されている。このように操作ハンドル3の軸穴38にアーム40の回動軸41を軸支させることで、ハンドルカバー4は、開口窓34,35を露出させる位置と、開口窓34,35を覆う位置とを選択自在として操作ハンドル3の前面に回動自在に取着される。このようなハンドルカバー4を用いることによって、ハンドルカバー4を閉めたときに薄肉部33の大部分を隠すことができるので、すっきりとしたデザインにすることができる。
【0025】
熱線センサ5は例えば焦電素子などのセンサ素子を備え、予め設定された領域内に存在する人体からの熱線を検知するものであり、後述の回路部6の回路基板60に実装されている。この熱線センサ5は、例えばCdSやフォトダイオードなどの明るさセンサ50と一体に構成され、この明るさセンサ50によって周囲の明るさを識別することも可能である。
【0026】
このような熱線センサ5は前面側をセンサカバー51で覆われている。センサカバー51には、熱線センサ5を露出させる検知窓510が形成されている。この検知窓510と通して、熱線センサ5は人体からの熱線を外部から検知する。センサカバー51は、カバー21と回路部6とに挟持されるようにして器体2に収納される。
【0027】
センサカバー51とカバー21との間には1対のシャッター52,52が設けられている。各シャッター52は、弧状の基部520と、基部520の一端から角度を有して延設された取手部521とを一体に備えている。カバー21とセンサカバー51の間に設けられた各シャッター52は左右方向に可動自在であり、熱線センサ5の一部を覆う。つまり、ユーザによる取手部521を用いた操作によって基部520が可動し、センサカバー51の検知窓510の開閉具合が調整される。これにより、熱線センサ5の検知エリアを調整することができるので、検知エリアの最適化を行うことができる。
【0028】
回路部6は、例えばプリント配線板などの回路基板60と、操作ハンドル3で押駆動される操作子610を有する操作スイッチ61と、照明負荷L(図2参照)の点灯時間を設定するための動作保持時間設定部62と、明るさセンサ50の明るさ検知レベルを設定するための明るさセンサ調整部63とを備え、器体2に収納される。この回路部6の裏面側には放熱板64が設けられている。
【0029】
操作スイッチ61の操作子610は、器体2の前面230に露出し、操作ハンドル3で押駆動されるものである。
【0030】
動作保持時間設定部62は例えばロータリスイッチなどであり、器体2の前面230に設けられ、ユーザの操作によって動作保持時間T1を設定するものである。図3に示すように、動作保持時間は10秒から30分までの範囲で設定することが可能である。これにより、照明負荷Lの点灯時間の最適化を図ることができる。また、明るさセンサ調整部63は例えばロータリスイッチなどであり、ユーザの操作によって明るさセンサ50の明るさ検知レベルを「暗め」(例えば5Lx以下)から「明るめ」(例えば100Lx以上)までの範囲で設定するものである。また、「切」に設定すると明るさセンサ50の機能を停止させる。これにより、周囲が明るいときに宅内の照明負荷L2を点灯させることを防止することができるので、省エネルギー化を図ることができる。
【0031】
ここで、回路部6の回路構成について図4を用いて説明する。回路部6は、熱線センサ5や明るさセンサ50からの出力を制御部(マイクロコンピュータ)65に入力している。制御部65は熱線センサ5及び明るさセンサ50の出力をA/D変換し、さらに熱線センサ5の出力値に基づいて予め設定された検知エリア内における人の存否を判断する。制御部65の内部では熱線センサ5の出力に基づいて検知エリアに人が存在すると判断したときには人体検知信号を発生する。
【0032】
制御部65は駆動部650を介してトライアックのような開閉素子651をオンオフさせる機能を有している。開閉素子651は商用電源ACを接続する電源端子652と、照明負荷Lを接続する負荷端子655との間に接続され、制御部65により導通角が制御されて照明負荷Lへの供給電力を調節し、照明負荷Lを所望の光出力で点灯させる。また、電源端子652,653には商用電源ACを受けて直流定電圧を発生する直流安定化電源656が接続されており、直流安定化電源656により内部回路へ動作電源が供給される。
【0033】
制御部65の基本的な動作は、明るさセンサ50の検出した明るさが予め設定された明るさのしきい値よりも暗い状態で、熱線センサ5に入射した熱線量の変化に基づいて人を検知すると(人体検知信号を発生すると)、照明負荷Lを点灯させる動作であって、照明負荷Lが点灯する時間(この時間を動作保持時間という)は制御部65により構成されるタイマ手段によって限時される。
【0034】
制御部65の動作モードとして、熱線センサ5が熱線を検知したときに照明負荷Lをオンに制御する第1の制御モード、熱線センサ5による熱線の検知の有無に関わらず、切り替えられた状態を照明負荷Lが継続するように制御する第2の制御モード、照明負荷Lが消灯しているとき照明負荷Lを動作保持時間T1が経過するまで点灯させ、照明負荷Lが点灯しているとき照明負荷Lを動作保持時間T1が経過するまで消灯させる第3の制御モードがある。
【0035】
制御部65は、操作スイッチ61の操作子610が操作ハンドル3で予め設定された一定時間(例えば3秒)T2以上押されると、第1の制御モードを、照明負荷Lの点灯と消灯を切り替え、第2の制御モードに切り替える。また、制御部65は、第1の制御モード又は第2の制御モードである場合に、操作スイッチ61の操作子610が操作ハンドル3で上記一定時間T2未満押されると、第1の制御モード又は第2の制御モードを第3の制御モードに切り替え、一定時間T2が経過すると第1の制御モードに切り替える(図5参照)。
【0036】
次に、実施形態1に係る熱線センサ付自動スイッチ1の動作について図6,7を用いて説明する。最初に図7(a)について説明する。まず、時刻t1で熱線センサ5が熱線を検知すると、照明負荷Lを動作保持時間T1が経過するまで点灯させる。動作保持時間T1が経過して照明負荷Lが消灯した後、時刻t2でハンドルカバー4を閉じた状態でハンドルカバー4(操作ハンドル3)の右側部が一定時間T2より短い時間(t3−t2)だけ押操作されると、操作ハンドル3が回動し、操作ハンドル3の裏面で操作スイッチ61の操作子610が押圧され、操作スイッチ61からの操作信号が制御部65に入力される。このとき、照明負荷Lがオフであるので、制御部65は駆動部650を介して開閉素子651をオンさせて照明負荷Lに電力を供給し、照明負荷Lを動作保持時間T1が経過するまで点灯させる(図6の「自動ON」)。動作保持時間T1が経過して照明負荷Lが消灯した後、再度、時刻t4で操作ハンドル3が一定時間T2より短い時間(t5−t4)だけ押操作されると照明負荷Lを点灯させる。その後、時刻t6で操作ハンドル3が一定時間T2より長い時間(t7−t6)で押操作されると照明負荷Lを消灯させる(図6の「強制OFF」)。一定時間T2より長い時間(t7−t6)で押操作されて照明負荷Lを消灯させている間、時刻t8で熱線センサ5が熱線を検知したとしても照明負荷Lの消灯状態を継続させる。その後、時刻t9で操作ハンドル3が一定時間T2より短い時間(t10−t9)で押操作されると照明負荷Lを動作保持時間T1が経過するまで点灯させる(図6の「自動ON」)。その後、照明負荷Lが消灯し、時刻t11で熱線センサ5が熱線を検知すると、照明負荷Lを動作保持時間T1が経過するまで点灯させる。
【0037】
続いて、図7(b)について説明する。照明負荷Lを点灯させているときに、時刻t21で操作ハンドル3が一定時間T2より短い時間(t22−t21)で押操作されると照明負荷Lを消灯させる(図6の「自動OFF」)。その後、時刻t23で操作ハンドル3が一定時間T2より短い時間(t24−t23)で押操作されると、照明負荷Lを動作保持時間T1が経過するまで点灯させる(図6の「自動ON」)。照明負荷Lが消灯した後、時刻t25で操作ハンドル3が一定時間T2より長い時間(t26−t25)で押操作されると、照明負荷Lを継続して点灯させる(図6の「強制ON」)。その後、時刻t27で操作ハンドル3が一定時間T2より短い時間(t28−y27)で押操作されると、照明負荷Lを消灯させる(図6の「自動OFF」)。その後、時刻t29で熱線センサ5が熱線を検知すると、照明負荷Lを動作保持時間T1が経過するまで点灯させる。
【0038】
最後に、図7(c)について説明する。照明負荷Lを点灯させているときに、時刻31で操作ハンドル3が一定時間T1より長い時間(t32−t31)で押操作されると、照明負荷Lを消灯させる(図6の「強制OFF」)。照明負荷Lが消灯している間、時刻t33で熱線センサ5が熱線を検知してとしても、照明負荷Lの消灯を継続させる。その後、時刻t34で操作ハンドル3が一定時間T2より長い時間(t35−t34)で押操作されると、照明負荷Lを継続して点灯させる(図6の「強制ON」)。
【0039】
次に、実施形態1の熱線センサ付自動スイッチ1と図9に示す第1の比較例に係る熱線センサ付自動スイッチ1aとを比較する。熱線センサ付自動スイッチ1aは、照明負荷Lの連続オンオフを切り替える切替スイッチ80を備えるものであり、熱線センサ付自動スイッチ1のように操作ハンドル3を一定時間T2より長い時間で押操作されて切り替えるものではない。切替スイッチ80は、図10に示すように、「切」、「自動」、「連続入」の順で切り替え可能に設けられている。
【0040】
次に、実施形態1の熱線センサ付自動スイッチ1と外観が同じであるが照明負荷Lの連続オンオフを切り替える手段が異なる第2の比較例に係る熱線センサ付自動スイッチについて説明する。第2の比較例の熱線センサ付自動スイッチは、図11に示すように、動作保持時間設定部62aに、照明負荷Lを連続オフにする「切」と照明負荷Lを連続オンにする「連続入」とを設けている。この第2の比較例の熱線センサ付自動スイッチでは、照明負荷Lを連続オンオフするために、ハンドルカバー4を開けて動作保持時間設定部62aを操作しなければならず、熱線センサ付自動スイッチ1のように操作ハンドル3を一定時間T2より長い時間で押操作されて切り替えるものではない。
【0041】
以上、実施形態1によれば、熱線センサ5による検知の有無に関わらず、照明負荷Lのオンオフを切り替え、切り替えた状態を長時間継続させることを、操作ハンドル3への押操作によって容易かつ誤動作を低減して切り替えることができる。
【0042】
また、熱線センサ5が有効時間中であっても、操作ハンドル3への短時間の押操作によって、照明負荷Lが消灯しているときに一時的に点灯させることができるとともに、照明負荷Lが点灯しているときに一時的に消灯させることができることによって、照明負荷Lへの無駄な電力供給を低減することができる。
【0043】
(実施形態2)
まず、本発明の実施形態2に係る熱線センサ付自動スイッチ1bの構成について図8を用いて説明する。この熱線センサ付自動スイッチ1bは、実施形態1の熱線センサ付自動スイッチ1(図1参照)と同様に、操作ハンドル3と、ハンドルカバー4と、熱線センサ5と、回路部6とを備えているが、実施形態1の熱線センサ付自動スイッチ1にはない以下に記載の特徴部分を有する。
【0044】
実施形態2の熱線センサ付自動スイッチ1bは、実施形態1の器体2(図1参照)に代えて図8に示すような器体2aを備えている。この器体2aは2個モジュール寸法に形成されたものであり、1個モジュール寸法に形成された他の配線器具(例えばスイッチなど)と並設可能である。なお、取付枠7に熱線センサ付自動スイッチ1bのみを取り付ける場合には、単位モジュール寸法の配線器具1個分の隙間ができるため、この隙間を塞ぐブランクチップ75を取付枠7に取り付けてもよい。ブランクチップ75は前面が略矩形状であって、左右方向および上下方向の寸法が単位モジュール寸法の配線器具とほぼ同じになるように形成され、取付枠7に取り付けるための取付手段(図示せず)を備えている。なお、器体2aは上記以外の点において実施形態1の器体2と同様である。
【0045】
実施形態2に係る熱線センサ付自動スイッチ1bの動作については、実施形態1の熱線センサ付自動スイッチ1と同様である。
【0046】
以上、実施形態2によれば、熱線センサ付自動スイッチ1bが2個モジュール寸法であっても、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施形態1に係る熱線センサ付自動スイッチの分解斜視図である。
【図2】同上に係る熱線センサ付自動スイッチの外観斜視図である。
【図3】同上に係る熱線センサ付自動スイッチの操作部を示す図である。
【図4】同上に係る熱線センサ付自動スイッチの回路ブロック図である。
【図5】同上に係る熱線センサ付自動スイッチであって、(a)が照明負荷を点灯させる場合の動作を示すタイムチャート、(b)が照明負荷を点灯させる場合の動作を示すタイムチャートである。
【図6】同上に係る熱線センサ付自動スイッチの動作を示す図である。
【図7】同上に係る熱線センサ付自動スイッチのタイムチャートである。
【図8】本発明の実施形態2に係る熱線センサ付自動スイッチの正面図である。
【図9】第1の比較例に係る熱線センサ付自動スイッチの外観斜視図である。
【図10】同上に係る熱線センサ付自動スイッチの操作部を示す図である。
【図11】第2の比較例に係る熱線センサ付自動スイッチの操作部を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1,1a,1b 熱線センサ付自動スイッチ
2 器体
230 前面
231 軸部
3 操作ハンドル
5 熱線センサ
6 回路部
61 操作スイッチ
610 操作子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷のオンオフを制御する熱線センサ付自動スイッチであって、
造営面に配設される器体と、
人体からの熱線を検知する熱線センサと、
前記器体の前面に回動自在に枢支される操作ハンドルと、
前記器体の前記前面に露出し前記操作ハンドルで押駆動される操作子を有して当該器体に収納される操作スイッチと
を備えるとともに、
前記操作子が前記操作ハンドルで予め設定された第1の時間以上押されると、前記熱線センサが前記熱線を検知したときに前記負荷をオンに制御する第1の制御モードを、前記負荷のオンオフを切り替え、前記熱線センサによる前記熱線の検知の有無に関わらず、切り替えられた状態を当該負荷が継続するように制御する第2の制御モードに切り替える制御手段を備える
ことを特徴とする熱線センサ付自動スイッチ。
【請求項2】
前記制御手段が、前記第1の制御モード又は前記第2の制御モードである場合に、前記操作子が前記操作ハンドルで前記第1の時間未満押されると、当該第1の制御モード又は当該第2の制御モードを、前記負荷がオフであるとき当該負荷を予め決められた第2の時間が経過するまでオンにし、当該負荷がオンであるとき当該負荷を前記第2の時間が経過するまでオフに制御する第3の制御モードに切り替え、前記第2の時間が経過すると前記第1の制御モードに切り替えることを特徴とする請求項1記載の熱線センサ付自動スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−109511(P2008−109511A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291756(P2006−291756)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】