説明

熱転写型アップリケ材、並びに熱転写型アップリケ

【課題】織物、編物、不織布をアップリケ地とする熱転写型アップリケ材、並びにアップリケの輪郭辺からのほつれが生じない熱転写型アップリケ材、並びに熱転写型アップリケの提供。
【解決手段】昇華転写材料から成る布地裏2に昇華温度以上となる熱可塑性合成樹脂から成る介在層3を形成し、該介在層裏3にホットメルト系転写接着層4を形成し、該転写接着層4に剥離シートを裏打ちして、所望形状に裁断した熱転写型アップリケ用材を、前記形状の輪郭辺に沿って薄手に形成した熱転写型アップリケ用材とするとともに、該熱転写型アップリケ用材と同形状に裁断して成り、所望の図柄模様を転写する短繊維図柄結束膜14と短繊維図柄転写膜15とから成る短繊維図柄転写層を形成して成る植毛転写シートを以て少なくとも前記熱転写型アップリケ用材の前記布地面の輪郭辺に沿って短繊維を転写して成る熱転写型アップリケ材、並びに熱転写型アップリケ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇華性染料を以て所望の図柄を印刷した転写紙を使って、図柄転写をした従来型の熱転写型アップリケ基材から所望の構成形式の形状に裁断した熱転写型アップリケ用材に植毛転写技術を活用して、従来型の熱転写型アップリケ材、熱転写型アップリケに改善を施して優れた機能を発揮する熱転写型アップリケ材、並びに熱転写型アップリケを提供する発明である。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、昇華性染料を以て所望の色彩に着色し、或いは所望の図柄、或いは所望の文字や所望の文字を配列、或いはこれらの組合せ、或いはこれらを所望の形状の枠で囲んだ装飾図柄印刷を施した転写紙を使って、その装飾図柄を転写するための熱転写型アップリケ基材を開発した。その熱転写型アップリケ基材は、アップリケ地として特殊の材料から成る織物、編物、不織布等から選択した布地をアップリケ地とし、そのアップリケ地の裏面に、その布地を形成する材料と親しむ性質をもつとされるいわゆる親和性のある樹脂から成る特殊機能をもつ介在層を形成し、その介在層を挟んで、該介在層の構成成分と親和性のあるホットメルト系の熱可塑性合成樹脂を選択し、該合成樹脂から成る溶剤をコーティングするなり、或いは該合成樹脂から成るフィルムをラミネートするなりしていわゆる転写接着層を形成し、その転写接着層の裏面を剥離シートを以て裏打ちして成る構成の特開2006−322129号公報に開示された熱転写型アップリケ基材を開発し、この熱転写型のアップリケ基材から、熱転写型アップリケとする部分を所望の輪郭に型取りした形状に裁断して熱転写型アップリケ材を作っていた。
【0003】
そして、前記の手順で作った熱転写型アップリケ材を熱転写型アップリケとして使用するときは、熱転写型アップリケ材から剥離シートを引き剥がして熱転写型アップリケとした。
【0004】
その熱転写型アップリケを以て所望の被転写対象物、例えばユニホーム等(図示しない)に接着しようとするときは、その熱転写型アップリケのアップリケ地の裏面に形成された介在層を挟んで裏打ちされたホットメルト系の熱可塑性合成樹脂から成るいわゆる転写接着層を被転写対象物に重ね合わせて加熱押圧台上で加熱押圧機具を以て加熱押圧操作を行って、前記した転写接着層を形成しているホットメルト系熱可塑性合成樹脂を溶融温度まで加熱して溶融し、押圧力を以て熱転写型アップリケのアップリケ地裏に形成された介在層と被転写対象物の生地との間で該合成樹脂を溶融し、その後、冷却を待って前記両者間で溶融した前記合成樹脂を以て熱転写型アップリケのアップリケ地と介在層とを被転写対象物を接着すると言う作業が行われていた。
【0005】
前記した熱転写型アップリケは、熱転写型アップリケ基材を所望形状に裁断した熱転写型アップリケ材のアップリケ地と介在層と接着層を以て作られるものであるから、これを被転写対象物に転写した当初、或いは転写時からしばらくの間は、該熱転写型アップリケのアップリケ地の輪郭はすっきりした輪郭を保持し、従って、熱転写型アップリケを転写したことによる被転写対象物の装飾機能は高まる機能を発揮した。しかし、その反面、該熱転写型アップリケは前記した布地をアップリケ地として被転写対象物に転写したものであるから平面的である。また、熱転写型アップリケのアップリケ地は、被転写対象物に転写した後、その被転写対象物を永年使用している中にアップリケ地の輪郭にほつれが生じ、そのほつれにより、アップリケ地の輪郭の鮮明性がくずれ、アップリケとしての見映えを悪くし、そのため被転写対象物に接着した熱転写型アップリケ自体も、また、その熱転写型アップリケを接着した被転写対象物の装飾機能も阻害すると言う不都合な事態を生ずることが往々にしてあった。
【0006】
これらの不都合を阻止する手段としてこれまで、前記熱転写型アップリケの輪郭に沿って縁取り刺繍を施すことが行われていた。
ところが、その刺繍を施す作業は、相当な経験を積んだ熟練を要する作業で、初心者には難しい作業とされていた。
【0007】
被転写対象物にアップリケを転写して、被転写対象物を転写したアップリケにより装飾を施すもう一つの手段として、植毛転写シートを使って、植毛転写シートから短繊維による図柄として被転写対象物に転写する手段がある。この手段によって植毛転写シートから短繊維を被転写対象物に図柄として転写したときは、その短繊維は特殊調合された接着剤により形成されたしっかりとした短繊維図柄転写膜に固定されて短繊維による図柄として被転写対象物に転写することになるので転写した短繊維から成る図柄の輪郭にくずれを生ぜず、且つ転写された図柄は短繊維による立体的な図柄として転写することができるというものである。
この植毛転写シートに関する技術は、特公昭36−4768号公報、特公昭53−35619号公報、植毛転写シートの基本材については実公昭55−13077号公報に開示され、これにヒントを得て開発された発明が特公平3−7520号公報、特公平2−25667号公報に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−322129号公報
【特許文献2】特公昭36−4768号公報
【特許文献3】特公昭53−35619号公報
【特許文献4】実公昭55−13077号公報
【特許文献5】特公平3−7520号公報
【特許文献6】特公平2−256667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記した熱転写型アップリケ基材から裁断した熱転写型アップリケ用材のアップリケ地の面に転写シート或いは植毛転写シートを以て、その熱転写型アップリケ用材のアップリケ地の形状の輪郭に沿って、短繊維群から成る縁取りを転写して形成することによって、熱転写型アップリケ材とするとともに、その熱転写型アップリケ材から立体感があり、しかもアップリケ地の裁断面からのほつれを阻止する熱転写型アップリケができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、昇華性染料による昇華現象に対応して昇華性染料の色素を素直に受け入れて該染料の色素通りの色彩に染まりやすい性質をもった織物、編物、不織布等から成る布地をアップリケ地とし、そのアップリケ地裏にアップリケ地の材料である合成樹脂繊維の構成成分と親和性のある合成樹脂から成る耐熱介在層を形成し、この耐熱介在層を挟んで該耐熱介在層の構成成分と親和性のあるホットメルト系の熱可塑性合成樹脂を以て転写接着層を形成し、その裏面に剥離シートを以て裏打ちして成る熱転写型アップリケ基材を所定の形状に裁断して、前記熱転写型アップリケ基材から分離した熱転写型アップリケ用材とするに当たって、前記熱転写型アップリケ用材の構成材であるアップリケ地を前記熱転写型アップリケ用材の輪郭辺に沿って薄手のアップリケ地とした熱転写型アップリケ用材とする。その熱転写型アップリケ用材に対し、植毛シート或いは植毛シートから前記熱転写型アップリケ用材と同じ形状に裁断して分離した植毛転写シートを常法に従って熱転写型アップリケ用材の輪郭と、植毛シート或いは植毛転写シートに形成された短繊維図柄転写層の輪郭との位置合わせを行い、これを以て加熱押圧を施して、該植毛シート或いは植毛転写シートから熱転写型アップリケ用材の構成材であるアップリケ地に少なくとも該アップリケ地の輪郭に沿って短繊維による縁取り図柄を転写した熱転写型アップリケ材とし、或いは熱転写型アップリケ材から熱転写型アップリケとすると言うものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る熱転写型アップリケ材、或いは熱転写型アップリケは上記した通りの手段によって作られるものであるから、立体感のある装飾機能をもち、且つ、すっきりとした輪郭をもち、しかも輪郭からのほつれを生じない熱転写型アップリケ材、或いはアップリケとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】熱転写型アップリケ基材の一部切欠図の斜視図
【図2】熱転写型アップリケ基材から所望の形状に裁断した熱転写型アップリケ用材の斜視図
【図3】図1のA−A線断面図
【図4】植毛シートの一部切欠斜視図
【図5】植毛シートから裁断した植毛転写シートの斜視図
【図6】図4のA−A線断面図
【図7】植毛転写シートを以て熱転写型アップリケ材に短繊維図柄を転写する手順の説明図
【図8】植毛転写シートを以て熱転写型アップリケ材に短繊維図柄を転写する手順の説明図
【図9】植毛転写シートを以て熱転写型アップリケ材に短繊維図柄を転写する手順の説明図
【図10】植毛転写シートを以て短繊維による図柄を転写した熱転写型アップリケ材の斜視図
【図11】図10の一部拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するためには、図1に示す熱転写型アップリケ基材6を作る。図1に示す熱転写型アップリケ基材6を作る材料並びに手順について詳説する。図1に示す熱転写型アップリケ基材6を構成するアップリケ地2とする布地としては、昇華性染料に親和性のある構成成分から成る繊維で作られた布地であって、代表的な例としては、ポリエステル繊維から成る白地の織物、編み物、不織布から成る布地を用いる。 前記した材料から成るアップリケ地2を用いる理由は、昇華性染料を用いて色彩、模様図柄の印刷を施した転写紙(図示しない)を以て前記布地に昇華性染料を昇華させて色彩、模様図柄の転写をする場合、該転写紙から昇華した染料による色彩、模様図柄が他の材料、例えばナイロン系の合成樹脂で作った布地では転写した昇華性染料による鮮明な色彩、模様図柄の転写が出来ないからである。 また、前記したアップリケ地2は、少なくとも、前記転写紙を以て、前記転写紙に印刷された昇華性染料を加熱押圧によって昇華して色彩、模様図柄の前記布地に転写するものであるから、前記アップリケ地2は昇華性染料を昇華させる加熱温度に耐える構成成分から成る繊維で作られた布地でなければならない。
【0014】
前記アップリケ地2の裏面に、前記アップリケ地2と親和性のある熱可塑性合成樹脂により耐熱介在層3を形成する。 この耐熱介在層3は、前記アップリケ地2に親和性のある合成樹脂を選んで前記層3を形成する合成樹脂溶剤をコーティングするか、前記合成樹脂から成るフィルムをラミネートするかによって形成する。 前記耐熱介在層3も、前記アップリケ地2に前記した転写紙を以て色彩、模様図柄を転写するときの加熱押圧によって変形したり或いは溶融したりするものであってはならない。即ち、前記アップリケ地2と同じような耐熱温度を調合した熱可塑性合成樹脂を以て作られる。
【0015】
その耐熱介在層3の裏面に、前記耐熱介在層3を作る合成樹脂と親和性のあるホットメルト系の熱可塑性合成樹脂を以て転写接着層4を作る。その転写接着層4は、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂溶剤をコーティングして作ることもあれば、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートして作ることもある。 その裏面に常法に従って剥離シート5を貼着する。即ち、図1に示す熱転写型アップリケ基材6を作るのに当たってアップリケ地2、耐熱介在層3、転写接着層4、剥離シート5から成る4層構造体(図示しない)を作る。
【0016】
合成樹脂には、親和性のあるものと、親和性のないものとがある。親和性のあるものの例としてはウレタン樹脂とウレタン樹脂及び系列樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニルがある。親和性の良くないものの例としてはウレタン樹脂とテフロン(登録商標)樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂及び系列樹脂、ポリプロピレン樹脂及び系列樹脂がある。親和性のあるもの同士では加圧加熱手段を講じたときは融着するが、親和性のないもの同士では加圧加熱手段を講じても融着しないことは公知の事実である。
【0017】
本発明に係る熱転写型アップリケ基材6は、上記の手順を経て作られる4層構造体から成るものであるから、その構成は、ポリエステル繊維による織物、編み物、不織布から成る白地の布地をアップリケ地2とし、そのマーク地裏に耐熱介在層3、その耐熱介在層3裏に転写接着層4、その転写接着層4裏に剥離シート5を配した構成となる。
本発明の図1に示す熱転写型アップリケ基材6を作るのには、前記した4層構造体のアップリケ地2に対して所望の色彩に着色し、或いは所望の図柄、或いは所望の文字や文字の配列、或いはこれらを組み合わせ、或いはこれらを所望の形状の輪郭で囲んだ装飾図柄を昇華性染料で印刷した転写紙を以て前記アップリケ地2に前記転写紙に印刷され色彩、装飾図柄を昇華転写した織物、編物、不織布等から成る布地をアップリケ地2とし、該アップリケ地2の裏面に、該アップリケ地2の構成材である材料と馴染む性質をもった、即ち、アップリケ地2の材料と親和性のある材料から成る耐熱介在層3を形成し、次に、耐熱介在層3の構成成分と親和性のあるホットメルト系の熱可塑性合成樹脂を以て転写接着層4を形成し、該転写接着層4に剥離シート5を以て裏打ちして形成する。親和性のあるものの例並びに親和性のないものの例は前記した通りである。親和性のあるもの同士では融着するが、親和性のなりもの同士では融着しないことは公知の事実である。図2は、図1に示す熱転写型アップリケ基材6のA−A線断面図である。
図1には、一組の装飾模様を表示した熱転写型アップリケ基材6を図示したが、熱転写型アップリケ基材6のアップリケ地2に表示する装飾模様は一組とは限らないことは勿論である。
複数組の装飾模様を表示したものとしたときは、該熱転写型アップリケ基材6から、複数の熱転写型アップリケ材7を裁断することになることも当然である。
【0018】
熱転写型アップリケ基材6とする前記4層構造体のアップリケ地2に対して、昇華性染料を以て図柄等を印刷した転写紙から、転写紙に印刷された図柄等を転写する手段について詳説する。 この熱転写型アップリケ基材6とする前記4層構造体を構成するアップリケ地2に所望の色彩、模様、図柄を形成した熱転写型アップリケ基材6とするためには、昇華性染料を以て所望の色彩、模様図柄を印刷した転写紙(図示しない)の印刷面を、熱転写型アップリケ基材6とする前記4層構造体のアップリケ地2とする白地の布地に重ね合わせて、約60秒、約200℃の温度、約300g/平方センチメートルの条件下で加熱加押を行う。 この操作によって、前記転写紙から印刷に用いた昇華性染料が昇華して所望の色彩、模様図柄として前記4層構造体白地の布地であるアップリケ地2に転写する。そして、前記白地の布地であるアップリケ地2面に前記昇華性染料による色彩、模様、図柄が転写される。
【0019】
この操作時に、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂によって形成された転写接着層4は、当然前記加熱加圧操作によって、前記耐熱介在層3と剥離シート5の間で溶融するが、本発明の熱転写型アップリケ基材6の構成材である白地の布地であるアップリケ地2には、前記耐熱介在層3が設けてあるので、前記アップリケ地2には転写接着層4の構成成分である溶融した合成樹脂が適度に滲みこむ。また、剥離シート5からは滲み出すことはない。 この操作によって前記4層構造体から成るアップリケ地2には上記操作によって転写紙から転写紙に印刷された昇華性染料により転写紙に印刷された通りの所望の色彩、模様、図柄が転写され、図1に示すような熱転写型アップリケ基材6となる。
【0020】
即ち、前記熱転写型アップリケ基材6の基本体である前記4層構造体を入手しさえすれば裁断具、並びに既存の加熱プレス機を以て、昇華性染料により印刷した所望の色彩、模様、図柄を施した転写紙を使って、所望の色彩、模様、図柄1を転写した熱転写型アップリケ材6を作ることができる。 このアップリケ基材6から加工業者がアップリケを作る手段は、従来法により、前記アップリケ基材6から所望の形状に裁断して図2に示す熱転写型アップリケ材7とすることは勿論である。
【0021】
本発明は、前記した熱転写型アップリケ材7から剥離シート5を取り剥がして熱転写型アップリケとする前段階の図2に示す前記熱転写型アップリケ用材7の段階で、熱転写型アップリケとするアップリケ地2の表面の所望個所に、図4に示す植毛シート17から熱転写型アップリケ用材7の形状通りに裁断した図6に示す植毛転写シート18を以て短繊維から成る図柄模様、文字、文字の配列、或いはこれらの組合せ、或いは熱転写型アップリケ用材7の輪郭に沿って転写して、これを立体感のある装飾機能を高めた熱転写型アップリケとして使用できるようにした発明である。
【0022】
本発明は熱転写型アップリケとする熱転写型アップリケ材7のアップリケ地2の表面の輪郭辺に沿って植毛シート17或いは植毛転写シート18を以て短繊維から成る縁取り転写をした熱転写型アップリケとすることによって、これを被転写対象物に熱転写型アップリケとして転写したとき、被転写対象物の永年の使用によってもアップリケ地の裁断面は鮮明な輪郭を保ち、しかも裁断面からのほつれが生じるのを阻止できる構成の熱転写型アップリケとして使用できるようにした発明である。
【0023】
図1に示す熱転写型アップリケ基材6からを所望の形状に裁断した図3に示す熱転写型アップリケ用材7から作られる熱転写型アップリケを、前記した機能を発揮する本発明に係る熱転写型アップリケとするために活用する植毛転写技術について説明する。
【0024】
植毛シート17を作る基本的技術を開示した文献は、既に背景技術の項で例示したが、植毛シート17を作る前工程で作る植毛シートの基本材となる植毛台紙については、実公昭55−13077号公報、特公平3−75205号公報、特公平3−65792号公報に記載されている。
【0025】
即ち、実公昭55−13077号公報に開示された考案は、実用新案登録請求の範囲には植毛シート17を作る前工程で作る植毛台紙について、
、浸水性を伴う強靱な上質紙である台紙1に水、乳化剤、ナフサの第1混合剤Aに木蝋B、艶出剤C、滲透剤D、及びアクリル系エマルジヨン型接着剤と酢酸ビニール系エマルジヨン型接着剤の第2混合剤Eを配合して形成した剥離性接着剤が台紙内に浸透接着されるように塗布して剥離性接着剤層2を形成し、該剥離性接着剤層2の全表面に短繊維を植設して植毛層3を形成した台紙と短繊維を植設した剥離性接着層とを一体とした構成とする。
としている。
【0026】
また、特公平3−7520号公報に開示された発明の特許請求の範囲に記載されている植毛台紙について、
浸透性を有する上質紙に、アクリル共重合樹脂接着剤にポリエチレングリコール、パラフインエマルジヨン等を混入して仮接着剤となした水溶性接着剤を塗布して仮接着層となし、これに短繊維を植設した後、加熱乾燥して台紙に仮接着剤を浸透した状態で強靱にし、且つ台紙と仮接着層とを一体とした構成とする
としている。
【0027】
植毛台紙は、これらの公報に記載されているように、紙或いは合成樹脂シートの中から選択した基材シート11の片面に特殊調合された接着剤を塗布した短繊維植設膜12を形成し、その膜が乾燥しない中に前記した膜面に静電植毛加工法により短繊維13を隙間無く濃密に短繊維群として植設した後、加熱乾燥手段を講じて作る。上記した材料を以て上記した手順で作られた植毛台紙は、上記短繊維群を植設した短繊維植設膜を上記基材シート11にしっかりと一体化し、同時に上記膜に上記短繊維群をしっかりと固定し、上記した膜が植毛転写時に基材シート11から剥がれないようにし、しかも上記短繊維群は植毛転写時には上記膜から素直に引き抜けやすいようにした構成とするものである。
【0028】
また、植毛台紙を作るのに当たって基材シート11と一体化とする剥離性接着層、仮接着層である前記短繊維植設膜に植設した短繊維を前記膜にしっかりと固着しなければならない理由は、植毛台紙を以て植毛シート17を作るのには、植毛台紙を構成する基材シート11に形成された前記膜に植設された短繊維の先端に、上記した短繊維群の先端を結束する図柄膜を作る作業を行うのに支障がないようにするためである。短繊維結束図柄膜を作る作業を行うのに当たっては、特公平3−7520号公報に記載されているとおり植毛台紙の基材シート11に植設された短繊維群にシルクスクリーン印刷法による手段で着色剤を塗布したり、或いは特殊調合した接着剤を該短繊維群の先端に向けて押し込み、その先端を突入させた短繊維結束図柄膜を作る作業を行うことになるので、上記手段を講ずる際に前記した植毛台紙の基材シート11に植設された短繊維群に押圧力がかかることになる。即ち、上記した作業を行うときに、植毛台紙の基材シート11に植設された短繊維群がしっかりと前記した植毛台紙の基材シート11に一体化した膜に固定していないときは、上記した作業を行うとき、上記した膜に植設された短繊維がいわゆる毛倒れ現象を引き起こし、きちんとした着色、きちんとした短繊維結束図柄膜を作れなくなってしまうからである。
【0029】
次に、植毛台紙に植設された短繊維13を被転写対象物に図柄として転写する植毛シート17を作るための短繊維図柄結束膜14、並びに短繊維図柄転写膜15については、上記特公平3−7520号公報に開示された発明は、特許請求の範囲には、
上記植設台紙に植設された短繊維に模様印刷を施し、その印刷上にエマルジヨンタイプのアクリル系樹脂、増粘剤、柔軟剤、顔料からなる樹脂で模様印刷と同形の短繊維移植床を形成した後、粉末状或いは粒状のホットメルト接着剤を上記短繊維移植床に散布し、定着した後、余分な上記ホットメルト接着剤を取り除いて加熱乾燥を行い、上記短繊維移植床を架橋して本発明の短繊維図柄結束膜とし、同時に上記ホットメルト接着剤を、前記架橋した短繊維移植床に融着させて本発明の短繊維図柄転写膜とした構成
としている。
【0030】
上記した公報の記載によれば、前記した文献に照会された構成の植毛台紙を作った後に、植毛台紙を使って植毛シート17を作るのには、次の通りの工程を経て行う。即ち、前記した植毛台紙の基材シート11に植設された短繊維群から成る短繊維13に着色剤を以て着色加工を行ったり、或いは、植毛台紙の基材シート11に植設された短繊維群から成る短繊維13の先端に特殊調合した接着剤を以てシルクスクリーン印刷手段により上記した短繊維群の先端を突入させた短繊維図柄結束膜14を作る作業を行う。その作業を行った後、前記した膜が乾燥しないうちに、前記した膜を作る特殊調合した接着剤と親和性のある材料から成るホットメルト系の熱可塑性合成樹脂粉末を散布する作業を行う。次いでこれを加熱乾燥させて前記短繊維図柄結束膜14の構成成分を架橋させて、該膜を以て短繊維の先端をしっかりと結束した短繊維図柄結束膜14とし、その短繊維図柄結束膜14にホットメルト系の熱可塑性合成樹脂粉末を溶融して、短繊維図柄転写膜15として融着し、これが冷却後短繊維図柄結束膜14と、短繊維図柄転写膜15の両膜を固定した二層構造の短繊維図柄転写層16を形成した植毛シート17とすると言うことは前記した公報の記載から明らかである。
【0031】
その結果、業界では、図4に示す植毛シート17は、まず、選定された基材シート11の片面に選定された合成樹脂から成る特殊調合した合成樹脂接着剤を塗布した短繊維植設膜12を形成し、その膜12面に短繊維13を静電植毛法により隙間なく濃密に植設し、乾燥を行って、前記基材シート11と前記短繊維を植設した特殊調合した合成樹脂接着剤による薄膜を短繊維植設膜12としてしっかりと固定するとともに、該短繊維13は植毛転写時には該膜12から引き抜けやすいようにした植毛台紙とし、
その植毛台紙の薄膜に植設された短繊維群の先端に選定された合成樹脂から成る特殊調合された合成樹脂接着剤を以て、短繊維群の先端を突入させた状態の所望の図柄薄膜をシルクスクリーン印刷法により形成し、該図柄薄膜面に前記した図柄薄膜を作る合成の構成材である合成樹脂と親和性のあるホットメルト系の熱可塑性合成樹脂を散布して乾燥し、前記図柄薄膜を短繊維図柄結束膜14とするとともに該膜上に散布されたホットメルト系の熱可塑性合成樹脂から成る融着した短繊維図柄転写膜15を形成し、前記短繊維図柄結束膜14と前記短繊維図柄転写膜15とで短繊維図柄転写層16を形成して成る構成としたものとする考え方が定着している。
【0032】
図4に示す図示実施例には一つの短繊維図柄転写層16を形成した植毛シート17を図示したが、植毛シート17に形成する短繊維図柄転写層16は複数個形成した植毛シート17とし、これから複数個の植毛転写シート18を分割してもよいことは勿論である。
【0033】
図1に示す熱転写型アップリケ基材6から所望の形状に裁断した図3に裁断した熱転写型アップリケ用材7に図7、8、9に示す手順で本発明を実施して、本発明が解決しようとする課題の項に記載された構成、並びに機能を達成する熱転写型アップリケを作る手順を例にとって説明する。
【0034】
本発明を実施するのに用いる植毛転写シートは、図4に示す植毛シート17、或いは図4に示す植毛シート17から図3に示す熱転写型アップリケ材7の形状通りに裁断した図6に示す植毛転写シート18を用いる。その植毛転写シート18を以て、被植毛対象物である熱転写型アップリケ用材7に短繊維13による図柄を転写する手順は次の通りである。植毛転写シート18に形成された短繊維図柄転写層16の輪郭と熱転写型アップリケ用材7の輪郭を図7に示す手順で合致させ、即ち、短繊維図柄転写層16の短繊維図柄転写膜15を、被植毛対象物である熱転写型アップリケ用材7の輪郭に重ね合わせ、加熱押圧機具により加熱押圧する。この操作により、上記した短繊維図柄転写層16の短繊維図柄転写膜15に転写機能を発揮させ短繊維図柄結束膜14を被植毛対象物である熱転写型アップリケ用材7のアップリケ地2に図8に示すようにしっかりと固着した後、常法通りに植毛転写シートを被植毛対象物である熱転写型アップリケ用材7のアップリケ地2から図9に示すとおり引き剥がす操作を行う。前記した短繊維植設膜12は、基材シート11と強固に一体化されて植毛台紙を構成しているので前記引き剥がし操作を行うとき短繊維植設膜12は植毛台紙を構成する基材シート11と剥がれない。その膜12は、また、その膜12に植設された短繊維13を引き抜けやすい膜12として形成されているのでこの引き剥がし操作により、前記被植毛転写対象物である熱転写型アップリケ材7のアップリケ地2に短繊維図柄転写膜15によりしっかりと固着した短繊維図柄結束膜14に先端をしっかりと結束された短繊維群は、植毛台紙に一体化された上記の短繊維植設膜12から上記した短繊維図柄結束膜14通りに引き抜いて、被植毛対象物である熱転写型アップリケ用材7のアップリケ地2に上記した短繊維図柄結束膜14ともに短繊維13による図柄として図9に示すとおり転写し、図10に示す熱転写型アップリケ材20となる。図11は、所望の形状に裁断された熱転写型アップリケ用材7の輪郭に沿って短繊維13が転写された状態を示す拡大図である。
【0035】
この操作を行う過程で熱転写型アップリケ材7の基材シート11であるアップリケ地2裏の耐熱介在層3の裏側に形成された転写接着層4は溶融する。ところが、前記転写接着層4は、剥離シート5で裏打ちされているので、溶融した前記転写接着層4の構成成分は、剥離シート5には滲み込まず、熱転写型アップリケ材7の基材シート11であるアップリケ地2裏の耐熱介在層3に融着することになる。また、植毛転写シート18の短繊維図柄結束膜14の面に形成された短繊維図柄転写膜15も上記操作によって熱転写型アップリケ材7の基材シート11であるアップリケ地2上で溶融する。
即ち、熱転写型アップリケ材7の基材シート11のアップリケ地2には、熱転写型アップリケ材7を形成する剥離シート5側と植毛転写シート18の短繊維図柄結束膜14との間で溶融した転写接着層4と短繊維図柄転写膜15の両構成成分が表裏両面から滲み込むことになる。
そして、植毛転写シート18の短繊維図柄転写膜15の構成成分は、植毛転写シート18の短繊維図柄結束層14に融着することになる。
【0036】
即ち、熱転写型のアップリケ材7上のアップリケ基材シート11のアップリケ地2は、熱転写型アップリケ材7の剥離シート5と植毛転写シート18の短繊維図柄結束膜14の間で、該アップリケ地2の裏側からは転写接着層4の構成成分が、表面からは短繊維図柄転写膜15の構成成分が滲み込む現象が生じることになる。
従って、この現象を所望の形状に裁断された熱転写型アップリケ材7の基材シート11のアップリケ地2の輪郭に沿って縁取りをした枠として生じるようにしたときは、熱転写型アップリケ材7の基材シート11のアップリケ地2の裁断面の輪郭には、表裏両側から前記成分が縁取りとした枠として滲み込むことになり、これが冷却したときは、前記成分が基材シート11のアップリケ地2に滲み込んだ状態で投錨機能を発揮することになる。この操作が終了した後、植毛転写シート18の植毛台紙の基材である基材シート11を図9に示すとおりに引き剥がす操作を行う。この操作により所望の形状に裁断した熱転写型アップリケ材7は、裁断した輪郭に沿って縁取りをした枠状の刺繍を施したと同じように布地の輪郭からほつれを生じない熱転写型アップリケが得られるような図10に示す熱転写型アップリケ材20とすることができることになる。
また、輪郭の内側には短繊維13による図柄が転写された立体感を呈する熱転写型アップリケが得られるような図10に示す熱転写型アップリケ材20として構成されることになる。図11は、図10に示す熱転写型アップリケ材20の輪郭辺の一部の拡大断面図である。
【0037】
この操作後、図10に示す前記した構成から成る熱転写型アップリケ材20から剥離シート5を取り剥がして短繊維群による装飾手段を施した図10に示す熱転写型アップリケ材20とし、この熱転写型アップリケ材20を以て被転写対象物に該熱転写型アップリケ材20を貼着する作業を行うときは、加熱押圧台上に被転写対象物を置き、その基材シート11である布地の上に前記した短繊維群による装飾手段を施した熱転写型アップリケを該熱転写型アップリケの基材シート11裏に形成された転写接着層4を重ねて、加熱押圧機具を以て常法通りに加熱押圧操作を行う。この操作により上記した熱転写型アップリケは、立体感を呈し、且つ、輪郭に刺繍を施したと同じように輪郭からのほつれを生じない熱転写型アップリケとして被転写対象物にしっかりと貼着することになる。
【0038】
この熱転写型アップリケ材20のアップリケ地2に短繊維13を転写する短繊維図柄結束膜14は、特殊調合した接着剤によって極薄の印刷膜として形成される。従って、被植毛転写対象物である熱転写型アップリケのアップリケ地2に、該膜14に結束されて転写された短繊維群による図柄は、介在物を介在させずに直接に被植毛転写対象物である熱転写型アップリケのアップリケ地2に形成された観を呈する機能を発揮する特徴がある。
【0039】
ところで、上記した図5に示す植毛転写シート18から転写された短繊維13による図柄を、図1に示す熱転写型アップリケ基材6から所望の形状に裁断した図3に示す熱転写型アップリケ用材7の基材シート11であるアップリケ地2の輪郭に沿って植設して装飾機能を高めた図10に示す熱転写型アップリケ材20として、被転写対象物に貼着したときは、上記した構成の熱転写型アップリケの形状の輪郭は、被転写対象物に直接に短繊維による図柄が植設されているような外観を呈するものとして貼着するようにしなければならない。
【0040】
ところが、図1に示す熱転写型アップリケ基材6から所望形状に型取って裁断した図3に示す熱転写型アップリケ用材7は、その裁断面は図1に示す熱転写型アップリケ基材6も断面と同じように図2に示すとおり垂直面として裁断される。従って、図3に示す熱転写型アップリケ用材7から剥離シート5を剥がし取った熱転写型アップリケ用材7のアップリケ地2の裁断面も垂直面となる。即ち、アップリケ地2は耐熱介在層3を裏打ちした厚みをもった裁断面となることは当然である。
【0041】
仮に、被転写対象物に転写された熱転写型アップリケの基材シート11であるアップリケ地2が耐熱介在層3で裏打ちされた厚手の布地からできているものであったとすれば、熱転写型アップリケのアップリケ地2に転写された短繊維群による図柄は短繊維図柄結束膜によって、該熱転写型アップリケのアップリケ地2に直接植設されるように見えるように植設されたとしても、被転写対象物に貼着した熱転写型アップリケの基材シート11のアップリケ地2とアップリケ地2に裏打ちされた耐熱介在層3の裁断面が被転写対象物と短繊維13による図柄の植設面である植毛転写シート18の短繊維図柄結束膜14の間から見えてしまって不体裁な貼着となってしまうと言う不都合が生じることがある。
【0042】
そこで、熱転写型アップリケ基材6のシートであるアップリケ地2が厚手のものであるときは、熱転写型アップリケ基材6から所望の形状の熱転写型アップリケ用材7に裁断するとき、その裁断手段を考えなければならない。
【0043】
本発明者等は、前記したアップリケ地2が厚手のものであるときは、熱転写型アップリケ基材6から熱転写型アップリケ用材7を所望の形状に裁断するときの手段として、熱転写型アップリケ材の輪郭に沿った輪郭辺が極薄となるよう裁断することを考えた。
【0044】
この手段は、図1に示す熱転写型アップリケ基材6から、図3に示す熱転写型アップリケ用材7に裁断して型取りするのに当たって、これまで通常行われていた打ち抜き手段による裁断によるものでなく、熱転写型アップリケ基材6から所望の形状に型取りした熱転写型アップリケ用材7として裁断を行う手段を、熱転写型アップリケ用材7の裁断面の輪郭片を輪郭辺に沿って薄くする傾斜面とした輪郭辺を形成するように裁断することによって前記した不都合を解消することができると考えた。
本発明者等は、この考え方に基づく裁断手段に使われる打ち抜き型、ヒートカット、レーザーカットの裁断機具に工夫を凝らすことによって熱転写型アップリケ基材6から輪郭を押し潰し、或いは傾斜面として削ぎ落として輪郭片を薄くした熱転写型アップリケ用材7として裁断することを実現することができた。この案出した裁断手段によるときは、熱転写型アップリケ用材7の裁断面を輪郭に沿って薄くする傾斜面として裁断した熱転写型アップリケ用材7を構成するアップリケ地2、並びにその裏に形成された耐熱介在層3及び転写接着層4の輪郭辺は、剥離シート5に裏打ちされた状態で極薄の輪郭辺となる。従って、そのアップリケ地2、並びにその裏に形成された耐熱介在層3、転写接着層4の輪郭辺は裏打ちされた剥離シート5によって支持された比較的しっかりとした薄手の輪郭となる。
【0045】
前記したように本発明者が創作した手段によって裁断した熱転写型アップリケ用材7に対し、前記したように、植毛転写シート18を以て、図7、図8、図9に示すとおり熱転写型アップリケ用材7の輪郭と植毛転写シート18の短繊維図柄転写層16の輪郭とを合致させて前記した手段による植毛転写を行うときは、前記した熱転写型アップリケ用材7の剥離紙5上で、薄手となった熱転写型アップリケ材の基材シート11であるアップリケ地2の輪郭辺面と植毛転写シート18の短繊維図柄結束膜14が図11に示す状態で貼着されることになる。
この操作を行った図10に示す熱転写型アップリケ材20からを剥がし取ったときは、熱転写型アップリケ材20から構成する熱転写型アップリケ材の基材シート11であるアップリケ地2の厚みの輪郭は全く目立たないものとなる。
即ち、熱転写型アップリケ材20から剥離シートを剥がし取った熱転写型アップリケの輪郭は、植毛転写シート18からアップリケ地2に転写された短繊維図柄結束膜14の輪郭がその輪郭となる。
【0046】
この熱転写型アップリケを以て被転写対象物、例えば、ユニホームに転写すると、この熱転写型アップリケの輪郭は、この熱転写型アップリケの基材シート11である布地のアップリケ地2、並びに耐熱介在層3の厚みは全く目立たず、その輪郭は植毛転写シート18からアップリケ地2に転写された短繊維図柄結束膜14の輪郭がその輪郭となり、その輪郭通りの短繊維13による図柄が形成されることになる。
従って、その輪郭はいつまでも鮮明な輪郭を保ち、その輪郭にほつれが生じることはない。
【0047】
以上の説明は、図1に示す熱転写型アップリケ基材6から所望の形状に裁断した図3に示す熱転写型アップリケ用材7に、図4に示す植毛シート17から、図3に示す熱転写型アップリケ用材7と同形に裁断した図6に示す植毛転写シート18を以て植毛転写を行う手段を説明したが、図4に示す植毛シート11に、図3に示す熱転写型アップリケ用材7を以て植毛シート11の短繊維図柄転写層16と、熱転写型アップリケ用材7の輪郭を合致させて加熱押圧し、その後、植毛シート11を熱転写型アップリケ用材7から剥がし取っても同じことになる。
【符号の説明】
【0048】
2 アップリケ地
3 耐熱介在層
4 転写接着層
5 剥離シート
6 熱転写型アップリケ基材
7 熱転写型アップリケ用材
11 基材シート
12 短繊維植設膜
13 短繊維
14 短繊維図柄結束膜
15 短繊維図柄転写膜
16 短繊維図柄転写層
17 植毛シート
18 植毛転写シート
20 熱転写型アップリケ材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇華染料による昇華転写に馴染む材料から成る布地裏に融点を昇華性染料の昇華温度以上となるよう調整した熱可塑性合成樹脂から成る介在層を形成し、該介在層裏にホットメルト系熱可塑性合成樹脂から成る転写接着層を形成し、該転写接着層に剥離シートを裏打ちして成る前記布地に昇華性染料により所望の図柄模様を印刷した転写紙を以て、該転写紙に印刷された図柄模様を転写して成る熱転写型アップリケ基材から所望の形状に裁断してなる熱転写型アップリケ用材を、前記形状の輪郭辺に沿って薄手に形成した熱転写型アップリケ用材とするとともに、該熱転写型アップリケ用材と同形状に裁断して成り、所望の図柄模様を転写する短繊維図柄結束膜と短繊維図柄転写膜とから成る短繊維図柄転写層を形成して成る植毛転写シートを以て少なくとも前記熱転写型アップリケ用材の前記布地面の輪郭辺に沿って短繊維を転写して成ることを特徴とする熱転写型アップリケ材。
【請求項2】
昇華染料による昇華転写に馴染む材料から成る布地裏に融点を昇華性染料の昇華温度以上となるよう調整した熱可塑性合成樹脂から成る介在層を形成し、該介在層裏にホットメルト系熱可塑性合成樹脂から成る転写接着層を形成し、該転写接着層に剥離シートを裏打ちして成る前記布地に昇華性染料により所望の図柄模様を印刷した転写紙を以て、該転写紙に印刷された図柄模様を転写して成る熱転写型アップリケ基材から所望の形状に裁断してなる熱転写型アップリケ用材を、前記形状の輪郭辺に沿って薄手に形成した熱転写型アップリケ用材とするとともに、該熱転写型アップリケ用材と同形状に裁断して成り、所望の図柄模様を転写する短繊維図柄結束膜と短繊維図柄転写膜とから成る短繊維図柄転写層を形成して成る植毛転写シートを以て少なくとも前記熱転写型アップリケ用材の前記布地面の輪郭辺に沿って短繊維を転写して成ることを特徴とする熱転写型アップリケ材から剥離シートを剥がして成ることを特徴とする熱転写型アップリケ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−216048(P2010−216048A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66541(P2009−66541)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(399132386)株式会社宝來社 (12)
【Fターム(参考)】