説明

熱転写記録装置

【課題】 パソコンプリンタ等の熱転写記録装置において、用紙駆動とインクシート駆動をひとつのモータで行ない、装置の小型軽量化とコストダウンを図ること。
【解決手段】 用紙をグリップするキャプスタンシャフト3を駆動するキャプスタンギア2の回転方向により、左右に首振り動作するインクシート駆動アイドラギア4aと、これとは別にキャプスタンギア2のギア列上に構成した用紙駆動アイドラギア10aと、これら2つのアイドラギアの動力伝達を制御するスライドレバー28を設け、前記インクシート駆動アイドラギア4aと用紙駆動アイドラギア10aをキャプスタン駆動モータ1で、前記スライドレバー28をヘッド駆動モータで駆動するように構成する。また、用紙14を装置にセットした時、給紙ローラ13aと接触するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ライン記録方式のパソコンプリンタ等の熱転写記録装置に関し、特に、インクシートの駆動と用紙の駆動機構の改良を図ったものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】行単位にて印字を行う、いわゆるライン記録方式のパソコンプリンタ等の熱転写記録装置において、一般的にインクシートの駆動と用紙の駆動は別々のモータで行なわれているため、装置の小型軽量化やコスト低減の妨げになっている。また、ひとつのモータで上記インクシートと用紙の駆動を行うタイプの熱転写記録装置でも、給紙時のみ用紙を給紙ローラに当接させるレバーの圧着、離間動作が必要で、機構が複雑になり動作時間も長くかかる。
【0003】図5は上述したような一般的なライン方式のパソコン等で使用されるプリンタの、用紙駆動とインクシート駆動の、モータからの伝達経路を示す左側面図であり、図6はその平面図、図7はその右側面図である。
【0004】図において、50は用紙を駆動するモータで、そのシャフトにモータギア50aが圧入されており、このモータ50は正逆回転可能である。51は中継ギアでり、前記モータギア50aと噛合い、回転を伝達する。52はキャプスタンギアで、前記中継ギア51と噛合うとともに用紙を保持(以降、グリップともいう)して送るためのキャプスタンシャフト53と一体で回転する。54はピンチアームであり、キャプスタンシャフト53の長手方向で左右両側面に2個配置され、ピンチローラ54bを保持し、2個のピンチスプリング54aにて一方向に付勢されており、前記キャプスタンシャフト53に対して圧着、離間可能に構成している。
【0005】55はキャプスタンローラギアAであり、前記キャプスタンギア52の反対側に、前記キャプスタンシャフト53と一体で回転するよう装着されている。56はキャプスタンローラギアBであり、タイミングベルト57により、前記キャプスタンローラギアA55の回転が伝達されるように構成されている。
【0006】58は排紙ローラシャフトであり、排紙ローラ58aと一体で構成され、前記キャプスタンローラギアB56と一体で回転する。59は排紙ローラギアであり、前記排紙ローラシャフト58と一体で回転し、前記キャプスタンローラギアBの反対側に取付けられている。60は、給紙アイドラアームであり、給紙アイドラギア60aが前記排紙ローラギア59と噛合い、回転方向に合わせて左右に首振り動作をするように。61は給紙中継ギアで、給紙ギアA62と給紙ギアB63の両方に噛合っている。前記給紙ギアA62と給紙ギアB63は一方向にしか回転しないように動きが規制されるクラッチをギアの内部に内蔵しており、シャフトと一体に構成した給紙ローラA64と給紙ローラB65を給紙方向にのみ回転させるように構成されている。
【0007】66はフリクションプレートであり、その上面にゴムとコルクを混合したフリクションパッド66aが貼り付けてあり、前記フリクションパッド66aはフリクションスプリング67にて前記給紙ローラB65に当接している。68はプラテンローラであり、サーマルヘッド69が回動して、用紙70とインクシート71aを介して圧着するようになっている。
【0008】また、72は、インクカートリッジ71に巻かれた前記インクシート71aを駆動するシート駆動モータであり、シートウォーム72aが圧入されている。73はシートウォームホイールであり、2段ギアで構成され、一方が前記シートウォーム72aと噛合っている。74はシートアイドラアームであり、シートアイドラギア74aが前記シートウォームホイール73と噛合い、回転方向に合わせて左右に首振り動作をするように構成されている。75は巻取りクラッチであり、前記シートアイドラギア74aが巻取り入力ギア75aと噛み合って回転した時、前記シート駆動モータ72の駆動が伝わるようになっている。76はアイドラギアで、前記巻取りクラッチ75の巻取り出力ギア75b、および巻取りギア77と噛み合っている。78は巻取りキャップであり、前記巻取りギア77と一体で回転するように構成されており、前記インクカートリッジ71に巻かれた前記インクシート71aを巻取る。
【0009】79は供給クラッチであり、前記シートアイドラアーム74の首振り動作により、前記シートアイドラギア74aが供給入力ギア79aと噛合って回転する時、クラッチを介して供給キャップ79bが回転し、前記インクカートリッジ71に巻かれた前記インクシート71aのタルミを吸収するようになっている。前記インクカートリッジ71は、前記巻取りキャップ78と供給キャップ79bに着脱可能な構成となっている。80は給紙センサであり、用紙70の検出を行っている。
【0010】81はヘッド駆動モータであり、ヘッドウォーム81aが圧入されている。82は2段ギアで構成されたヘッドウォームホイールであり、一方が前記ヘッドウォーム81aと噛合っている。83は減速ギアAであり、2段ギアで構成されており、一方のギアが前記ヘッドウォームホイール82と噛合っている。84はカムギアであり、前記減速ギアA83と噛合い前記サーマルヘッド69を駆動するとともに、カム溝84aによりコントロールレバー85を回動するように構成されている。前記コントロールレバー85の一端にはコントロールピン85bがカシメられ、前記カム溝84aに挿入されている。86はスライドレバーであり、前記コントロールレバー85の一端85aが穴86aに挿入され、前記コントロールレバー85の回動動作により、スライド動作する。86bは前記スライドレバー86にカシメられたアイドラ規制ピンであり、前記給紙アイドラアーム60の穴60bに挿入され、前記給紙アイドラアーム60の首振り動作を規制する。
【0011】87は印画のための信号処理を行う回路や、メカニズムを動かすマイクロコンピュータや、電源を供給するための電源部等を搭載した回路部であり、前記メカニズム部の後部に配置している。
【0012】次に、以上のように構成された熱転写記録装置において、印画時のメカニズム部品の動作について説明する。インクカートリッジ71を装置に装着し、用紙70をセットしておく。印画命令を実行すると、用紙駆動モータ50の回転が伝わり、用紙70は給紙ローラA64によって装置内部に給紙され、給紙ローラB65とフリクションパッド66aにより、一番上の用紙のみがプリンタ内部に引込まれる。そして用紙70は給紙センサー80によってその搬送位置が検出され、キャプスタンシャフト53とピンチローラ54bでグリップされる位置より少し奥まで引込まれると、用紙駆動モータ50は一旦停止する。次にヘッド駆動モータ81が回転し、サーマルヘッド69はプラテンローラ68に圧着する直前の中間位置まで降下する。この時、ピンチローラ54bが、2個のピンチスプリング54aにより、キャプスタンシャフト53に圧着し、用紙70はしっかりとグリップされることになる。また、カムギア84の回動により、カム溝84aにガイドされたコントロールレバー85が回動する。この動作でスライドレバー86がスライドし、給紙アイドラアーム60が規制されて給紙アイドラギア60aが給紙中継ギア61と噛まなくなり、用紙駆動モータ50の回転が、給紙ローラA64や給紙ローラB65に伝達しなくなる。その後、用紙駆動モータ50が給紙方向に回転すると、用紙70はキャプスタンシャフト53とピンチローラ54bにて搬送され、用紙70の後端を給紙センサー80が検出して停止する。次にヘッド駆動モータ81が動作して、サーマルヘッド69を降下させ、インクシート71aと用紙70を介してプラテンローラ68と圧着し、この状態で用紙駆動モータ50を回転させて用紙70を印画方向、つまり排紙方向に送るとともに、シート駆動モータ72を巻取り方向に回転させインクシート71aを巻取りながら、サーマルヘッド69で熱と圧力を加えることにより印画する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来の熱転写記録装置は以上のように構成されており、インクシートの駆動と用紙の駆動をそれぞれ別々のモータで行う場合、装置の小型軽量化やコスト低減の妨げになってしまう。また、ひとつのモータでインクシートの駆動と用紙の駆動を行うタイプのプリンタでも、自動給紙させるためには、給紙時のみ用紙を給紙ローラに当接させるためのレバーの圧着や離間動作が必要であり、機構が複雑になり動作時間も長く必要になると言う問題点がある。
【0014】本発明は上記のような問題点を解決するためになされたもので、インクシートの駆動と用紙の駆動をひとつのモータで行ない、しかも給紙時に給紙専用の動作が不要で、しかも機構の簡単な熱転写記録装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1にかかる熱転写記録装置は、用紙を保持するためのキャプスタンシャフトを駆動するためのキャプスタンモータと、インクシートを駆動するためのインクシート駆動アイドラギアと、上記用紙を駆動するための用紙駆動用アイドラギアと、上記インクシート駆動アイドラギアに当接/離間可能に配置され、上記キャプスタンモータの動力を上記インクシート駆動用アイドラギアに伝達するためのインクシート駆動アイドラアームと、上記用紙駆動用アイドラギアに当接/離間可能に配置され、上記キャプスタンモータの動力を上記用紙駆動用アイドラギアに伝達するためのインクシート駆動アイドラアームと、上記インクシート駆動アイドラアーム,用紙駆動アイドラアームの各離間動作を制御し、上記インクシート駆動アイドラギア,用紙駆動アイドラギアのいずれか一方が回転するように切替操作を行うためのスライドレバーとを備えたものである。
【0016】また、この発明の請求項2にかかる熱転写記録装置は、上記請求項1記載の熱転写記録装置において、上記スライドレバーは、上記キャプスタンモータとは異なる他のモータで駆動するように構成したものである。
【0017】また、この発明の請求項3にかかる熱転写記録装置は、上記請求項1記載の熱転写記録装置において、上記用紙は、上記キャプスタンシャフトにより動力が伝達される給紙ローラに常時当接させた状態で保持するようにしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】実施例の形態1.以下、本発明の実施の形態1による熱転写記録装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1による熱転写記録装置の各ブロックの構成、並びに主なメカニズム部を示す左側面図であり、図2はその平面図、図3はその右側面図である。また、図4は、本熱転写記録装置の主なメカニズム部品の動作図である。
【0019】図において、1はキャプスタン駆動モータであり、キャプスタンウォーム1aが圧入されている。2は2段ギアで構成されたキャプスタンギアであり、1段目ギア2aが前記キャプスタンウォーム1aと噛合い、さらに用紙を駆動するキャプスタンシャフト3と一体で回転するように構成されている。4はインクシート駆動アイドラアームであり、前記キャプスタンギア2を中心に回動するように構成され、一部にインクシート駆動アイドラギア4aとインクシート駆動規制ボス4bとを有している。前記インクシート駆動アイドラギア4aは、前記キャプスタンギア2の2段目ギア2bと噛合い、前記キャプスタン駆動モータ1の回転方向により、前記インクシート駆動アイドラアーム4が左右の首振り動作を行うように構成されている。首振りの回動は、前記インクシート駆動規制ボス4bと規制穴4cで規制される。
【0020】また、5はクラッチを内蔵した巻取りクラッチ(U)であり、前記インクシート駆動アイドラギア4aと入力ギア5aが噛合う。5bは巻取りキャップであり、インクカートリッジ6に組込まれた巻取り側ボビン6aと嵌合し、前記キャプスタン駆動モータ1の回転により、インクシート6bを巻取る。7はピンチアームであり、後述するプラテンローラの長手方向における左右両側面に2個配置され、ピンチアームピン7aを中心に回動し、その一部にピンチローラ7bを保持している。このピンチローラ7bは、前記ピンチアーム7に取付けた2個のピンチスプリング7cにて一方向に付勢されており、前記キャプスタンシャフト3に圧着、離間可能に構成している。8は給紙中継ギアAであり、前記キャプスタンギア2の2段目ギア2bと噛合っている。9は給紙中継ギアBであり、前記給紙中継ギアA8と噛合い、前記キャプスタン駆動モータ1の回転を伝達するものである。10は用紙駆動アイドラアームであり、前記給紙中継ギアB9を中心に回動可能に保持され、その一端に用紙駆動アイドラギア10aを有し、前記給紙中継ギアB9の回転方向により、首振り動作を行う。また、用紙駆動アイドラアーム10は用紙駆動規制ボス10bを有し、給紙方向の回転の伝達を規制する。
【0021】さらに、11は給紙中継ギアCであり、前記用紙駆動アイドラギア10aと噛合った時に回転を伝えるように構成されている。12は給紙ギアであり、前記給紙中継ギアC11の回転を伝えるとともに、給紙シャフト13と一体で回転する。前記給紙シャフト13には、給紙ローラ13aが一体で形成され、用紙14と接している。15は排紙ギアであり、前記用紙駆動アイドラギア10aと噛合った時、用紙を排出する方向に回転を伝える。16は排紙シャフトであり、前記排紙ギア15と一体で回転する。前記排紙シャフト16には排紙ローラ16aが一体で形成され、用紙の排出方向に回転する。17は排紙従動ローラシャフトであり、この排紙従動ローラシャフト17には排紙従動ローラ17aが回転自在に挿入され、前記排紙ローラ16aとともに用紙をグリップして排出するように構成されている。18はフリクションプレートであり、ゴムとコルクを混合してなるフリクションパッド18aが貼り付けられ、該フリクションプレート18は前記排紙従動ローラシャフト17に挿入されて回転自在に保持されている。さらに、フリクションプレート18はフリクションスプリング19にて付勢されており、前記給紙ローラ13aに、前記用紙14を介して前記フリクションパッド18aを当接させられている。20はプラテンローラであり、サーマルヘッド21が回動し、用紙14とインクシート6bを介して圧着する。
【0022】22はヘッド駆動モータであり、ヘッドウォーム22aが圧入されている。23は2段ギアで構成されたヘッドウォームホイールであり、1段目ギア23aが前記ヘッドウォーム22aと噛み合うように配置されている。24はヘッドウォームホイールシャフトであり、前記ヘッドウォームホイール23の支軸になっている。25はヘッド駆動中継ギアであり、前記ヘッドウォームホイール23の2段目ギア23bと噛合うよう配置されている。26はカムギアシャフトであり、前記ヘッド駆動中継ギア25と一体で回動する。27はカムギアであり、上記プラテンローラ20の長手方向における左右両側面に2個配置され、カム溝A27aとカム溝B27bを有し、前記カムギアシャフト26と一体で回動するものでる。28はスライドレバーであり、上記プラテンローラ20の長手方向における左右両側面に2個配置され、スライドレバーピン28aがカシメてあり、前記カムギア27に形成されたカム溝27aに挿入されてある。このスライドレバーピン28aによるカシメ機構により、前記スライドレバー28は、前記カムギア27の回動によりスライド動作するようになっている。28cは前記スライドレバー28に形成されたL字曲げ部であり、前記ピンチアーム7の端面7cに当接、離間する。28dは前記スライドレバー28のテーパ部であり、前記インクシート駆動規制ボス4bに当接し、前記インクシート駆動アイドラアーム4の首振り動作を規制するものである。28bは前記スライドレバー28に形成された曲げ部であり、前記用紙駆動アイドラアーム10の首振り動作を規制するものである。
【0023】29はサーマルヘッド駆動アームAであり、上記プラテンローラ20の長手方向における左右両側面に2個配置され、ヘッド支軸30を中心に回動し、その一端に前記サーマルヘッド21が取り付けられている。31はサーマルヘッド駆動アームBであり、上記プラテンローラ20の長手方向における左右両側面に2個配置され、前記ヘッド支軸30を中心に回動し、その一端にカシメて取り付けられたサーマルヘッド駆動ピン31aを有し、サーマルヘッド駆動ピン31aはカムギア27のカム溝B27bに挿入されている。32はサーマルヘッド圧着バネであり、上記プラテンローラ20の長手方向における左右両側面に2個配置され、前記サーマルヘッド駆動アームA29と前記サーマルヘッド駆動アームB31間に掛けられている。33は給紙センサであり、前記用紙14の端面位置を検出して、用紙の端面や有無を判定するものである。34はフリーガイドであり、前記用紙14の給排紙経路の切換えをするものである。
【0024】以上のように構成された熱転写記録装置において、印画動作時の各モータの駆動タイミング、および各主要メカ部品の動作について、図1〜図3に加えて図4を参照しつつ説明する 図4は、本発明の実施の形態1における熱転写記録装置の主要部品の動作を、カムギアの回転角を基準にして表わした図であり、インクシートや用紙の動作や、ピンチローラのキャプスタンシャフトへの圧着位置などの関係を示したものである。
【0025】電源をONした初期状態では、サーマルヘッド21はアップ完了位置に、またスライドレバー28は図3において紙面右方向に移動して、ピンチアーム7が押され、ピンチローラ7bがキャプスタンシャフト3から離間した位置に保持される。この位置を初期位置とし、図4ではヘッドアップ位置とする。
【0026】次いで、用紙14とインクカートリッジ6をセットして印画命令を実行すると、キャプスタン駆動モータ1が駆動し、図1においてキャプスタンギア2が反時計方向に回転する。するとインクシート駆動アイドラアーム4も反時計方向に回転し、インクシート駆動アイドラギア4aは巻取りクラッチ(U)5から離間し、インクシート6bは停止のまま保持される。一方キャプスタンギア2の回転が、8の給紙中継ギアA,さらに9の給紙中継ギアBを伝わり、用紙駆動アイドラアーム10が反時計方向に回転し、用紙駆動アイドラギア10aが給紙中継ギアC11に噛合い、回転が伝達される。この時、スライドレバー28は、紙面右方向に移動した位置で保持されており、用紙駆動アイドラアーム10に形成された用紙駆動規制ボス10bと、スライドレバー28に形成された曲げ部28bとは当接せず、用紙駆動アイドラアーム10の回動は規制されない状態となっている。給紙中継ギアC11に伝わった回転は、給紙ギア12に伝わり、これと一体で回転する給紙ローラ13aが回転する。
【0027】上記給紙ローラ13aに接して保持されている用紙14は、給紙ローラ13aの回転に伴いプリンタ内部に引込まれる。この時、給紙センサ33が用紙14の端面を検知し、さらに用紙14がキャプスタンシャフト3とピンチローラ7bでグリップ可能な位置まで引き込まれると、キャプスタン駆動モータ1を停止する。次に、ヘッド駆動モータを駆動し、カムギア27を回動させてスライドレバー28を紙面左方向に移動させる。この移動途中の位置でキャプスタンシャフト3にピンチローラ7bが当接し、スライドレバー28のL字曲げ28cとピンチアーム7の端面7cとの間に隙間ができ、ピンチ圧着バネ7cの荷重がピンチアーム7を介してピンチローラ7bにかかり、キャプスタンシャフト3とピンチローラ7b間で用紙14がしっかりグリップされるようになる。この後、用紙14は、キャプスタン駆動モータ1により、正確にその位置が制御される また、スライドレバー28の曲げ部28bが、用紙駆動アイドラアーム10の用紙駆動規制ボス10bを規制し、用紙駆動アイドラギア10aと給紙中継ギアC11を噛まなくすることで、給紙されなくなる。
【0028】さらにスライドレバー28のテーパ部28dが、インクシート駆動アイドラアーム4の規制ボス4bを規制しなくなることで、インクシート駆動アイドラギア4aと巻取りクラッチ(U)5が噛合い、インクシートの巻取りが可能になる。
【0029】また、一方では、ヘッド駆動モータ22が回転しカムギア27の回動により、サーマルヘッド駆動アームB31が回動し、サーマルヘッド駆動アームA29、およびこれに固定のサーマルヘッド21が、プラテンローラ20に近づいた位置、つまりヘッド中間位置まで回動する。この位置は、図4のヘッド中間位置と一致する。
【0030】上記ヘッド中間位置にて、キャプスタン駆動モータ1を給紙方向に回転させると、用紙14はさらにプリンタ内部に引込まれ、用紙14の後端部が給紙センサ33を通過するのを検出し、キャプスタン駆動モータ1を停止させる。
【0031】次にヘッド駆動モータを回転させ、サーマルヘッド21を、インクシート6bと用紙14を介してプラテン20に圧着し、熱と圧力を加えることで、インクを用紙14に転写する。この位置は図4のヘッドダウン位置と一致する。
【0032】ここで、キャプスタン駆動モータ1を排紙方向に回転させると、キャプスタンギア2が時計方向に回転し、用紙14は排紙方向に動いて、フリーガイド34の下面側にガイドされる。また、インクシート駆動アイドラギア4aが巻取りクラッチ(U)5と噛合い、インクシート6bが巻取られる。この動作はキャプスタン駆動モータを制御して行ない、まずイエローを印画する。イエローの印画が終了した後、ヘッド駆動モータ22にてカムギア27を回動し、サーマルヘッド駆動アームB31を駆動して、ヘッド中間位置にサーマルヘッド21をアップさせ、インクシート6bと用紙14とをプラテンローラ20から離間させる。この時、スライドレバー28が右方向に少し移動するが、用紙駆動アイドラアーム10に構成した用紙駆動アイドラギア10aは、給紙中継ギアC11に噛合わない位置で保持される。このヘッド中間位置でキャプスタン駆動モータを制御しながら動作させ、用紙14を給紙方向に移動し、所定の位置で止める。この後、一連の動作を繰返し、マゼンタ、シアンを印画する。
【0033】以上のようにして必要印画が終了すると、ヘッド駆動モータ22を動作させ、サーマルヘッドをアップ完了位置に、また、スライドレバー28を紙面右方向に移動させた初期位置にセットする。この初期位置では、ピンチローラ7bはキャプスタンシャフト3から離間しているが、用紙14は排紙従動ローラ17aと排紙ローラ16aでグリップされている。ここでキャプスタン駆動モータ1を駆動し、給紙センサ33が用紙14の端面を検出後、用紙14が完全にプリンタの外に排紙するまで動作して、一連の動作を終了する。
【0034】このように本実施の形態によれば、キャプスタンモータ1の動力を、インクシート駆動アイドラギア4aと用紙駆動用アイドラギア10aに伝達するのに、それぞれインクシート駆動アイドラアーム4,用紙駆動アイドラアーム10の回動動作の状態によって離間可能となるように構成し、上記インクシート駆動アイドラアーム4,用紙駆動アイドラアーム10の回動動作を上記キャプスタンモータ1とは異なるヘッド駆動用モータ22の動作によってスライドレバー28の位置を変移させることにより制御し、上記インクシート駆動アイドラギア4aと用紙駆動用アイドラギア10aのいずれか一方が回転するように切換動作を行うことにより、給紙動作とインクシート駆動(巻き取り)動作を行うようにしたので、インクシートの駆動と用紙の駆動をひとつのモータで行うことが可能になり、従来の構成に比べて駆動回路の削減を行うことができ、装置の小型軽量化や低価格化を図ることが可能となる。また、給紙時に特別な給紙動作をする必要がなく、モータを駆動すれば即座に用紙を装置内部に供給することが可能となるために、動作時間が伸びることなく、インクシートと用紙の駆動をひとつのモータで実現することができる。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる熱転写記録装置によれば、用紙を保持するためのキャプスタンシャフトを駆動するためのキャプスタンモータと、インクシートを駆動するためのインクシート駆動アイドラギアと、上記用紙を駆動するための用紙駆動用アイドラギアと、上記インクシート駆動アイドラギアに当接/離間可能に配置され、上記キャプスタンモータの動力を上記インクシート駆動用アイドラギアに伝達するためのインクシート駆動アイドラアームと、上記用紙駆動用アイドラギアに当接/離間可能に配置され、上記キャプスタンモータの動力を上記用紙駆動用アイドラギアに伝達するためのインクシート駆動アイドラアームと、上記インクシート駆動アイドラアーム,用紙駆動アイドラアームの各離間動作を制御し、上記インクシート駆動アイドラギア,用紙駆動アイドラギアのいずれか一方が回転するように切替操作を行うためのスライドレバーとを備えたので、用紙の駆動とインクシートの駆動をひとつのモータで行うことが可能となり、安価でコンパクトな熱転写記録装置を提供することができるという効果がある。
【0036】また、上記用紙を、上記キャプスタンシャフトにより動力が伝達される給紙ローラに常時当接させた状態で保持するようにしたので、モータの駆動開始と同時に給紙が行なえ、給紙時の動作時間が伸びるということもなく、従来通りの給紙性能を維持しつつ、安価でコンパクトな熱転写記録装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における熱転写記録装置の構成を示す左側面図である。
【図2】上記実施の形態1における熱転写記録装置の構成を示す平面図である。
【図3】上記実施の形態1における熱転写記録装置の構成を示す右側面図である。
【図4】上記実施の形態1における熱転写記録装置の主要部品の動作タイミングを示す図である。
【図5】従来の熱転写記録装置の構成を示す左側面図である。
【図6】従来の熱転写記録装置の構成を示す平面図である。
【図7】従来の熱転写記録装置の構成を示す右側面図である。
【符号の説明】
1 キャプスタン駆動モータ
2 キャプスタンギア
3 キャプスタンシャフト
5 巻取りクラッチ(U)
6b インクシート
7b ピンチローラ
13a 給紙ローラ
14 用紙
16a 排紙ローラ
18a フリクションパッド
20 プラテンローラ
21 サーマルヘッド
22 ヘッド駆動モータ
27 カムギア
28 スライドレバー
33 給紙センサー
34 フリーガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】 用紙を保持するためのキャプスタンシャフトを駆動するためのキャプスタンモータと、インクシートを駆動するためのインクシート駆動アイドラギアと、上記用紙を駆動するための用紙駆動用アイドラギアと、上記インクシート駆動アイドラギアに当接/離間可能に配置され、上記キャプスタンモータの動力を上記インクシート駆動用アイドラギアに伝達するためのインクシート駆動アイドラアームと、上記用紙駆動用アイドラギアに当接/離間可能に配置され、上記キャプスタンモータの動力を上記用紙駆動用アイドラギアに伝達するためのインクシート駆動アイドラアームと、上記インクシート駆動アイドラアーム,用紙駆動アイドラアームの各当接/離間動作を制御し、上記インクシート駆動アイドラギア,用紙駆動アイドラギアのいずれか一方が回転するように切替操作を行うためのスライドレバーとを備えたことを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項2】 請求項1記載の熱転写記録装置において、上記スライドレバーは、上記キャプスタンモータとは異なる他のモータで駆動するように構成したことを特徴とする熱転写記録装置。
【請求項3】 請求項1記載の熱転写記録装置において、上記用紙は、上記キャプスタンシャフトにより動力が伝達される給紙ローラに常時当接させた状態で保持するようにしたことを特徴とする熱転写記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2000−43364(P2000−43364A)
【公開日】平成12年2月15日(2000.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−217789
【出願日】平成10年7月31日(1998.7.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】