説明

熱風式ハンダ処理装置のヒータノズルの製造方法及びヒータノズル

【課題】 ハンダ付け、またはハンダを溶かして部品を取り除く処理(いわゆるリワーク)を行う熱風式ハンダ処理装置のヒータノズルの製造方法であって、製造コストを削減すると共に、製造上の煩雑さを解消することに貢献したヒータノズルの製造方法及びヒータノズルを提供する。
【解決手段】 メタルシートMの両面に打ち抜かれる部材の展開型に合わせてレジスト膜R1を形成し、前記メタルシートMの一面に折曲げ用薄肉部51を形成するためのレジスト膜R2を形成し、これらレジスト膜R1,R2が形成されたメタルシートMをエッチング処理によって化学打ち抜き及び化学切削し、得られたシート片50を前記折曲げ用薄肉部51に沿って折り曲げて折曲体を形成し、複数の前記折曲体を組み付けてヒータノズルを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風式ハンダ処理装置のヒータノズルの製造方法、及び、その製造方法によって製造されるヒータノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
各種デバイスが搭載される基板上の、部分的なデバイスの着脱にあっては、ハンダ付け処理若しくはハンダを溶かす処理が必要とされる。そこで、その部分的なハンダ付け処理若しくはハンダを溶かす処理を行うにあたっては、図5に示すような熱風式ハンダ処理装置(いわゆるリワーク機)100が提供されている(特許文献1、特許文献2参照)。この熱風式ハンダ処理装置100の先端には、熱風が吹き出し可能なヒータノズルが設けられ、そのヒータノズルを所望箇所に向けて熱風を噴き出せば、その所望箇所のみのハンダを溶かすことができる。このような熱風式ハンダ処理装置100の先端に設けられるヒータノズルは、一般に、金属からなるメタルシートを、プレス加工して製造されるものであった。
【特許文献1】特開2002−353612号公報
【特許文献2】特開2002−117963号公報(段落0018−0020、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のヒータノズルを製造する際のプレス加工にあっては、加工される部分に合わせた複数種類の型が必要とされる。さらに、ヒータノズルの加工する部分に合わせて遂次段取り変更が必要とされる。このように、このヒータノズルを製造するにあたっては、複数種類の型が必要とされるので、製造コストが嵩む問題が生じていた。また、プレス加工時における遂次の段取り変更により、製造が煩雑なものとなる問題も残されていた。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、ハンダ付け、またはハンダを溶かして部品を取り除く処理(いわゆるリワーク)を行う熱風式ハンダ処理装置のヒータノズルの製造方法であって、製造コストを削減すると共に、製造上の煩雑さを解消することに貢献したヒータノズルの製造方法及びヒータノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段のヒータノズルの製造方法及びヒータノズルを提供する。
請求項1に係るヒータノズルの製造方法の発明は、メタルシートの両面に打ち抜かれる部材の展開型に合わせてレジスト膜を形成し、前記メタルシートの一面に折曲げ用薄肉部を形成するためのレジスト膜を形成し、これらレジスト膜が形成されたメタルシートをエッチング処理によって化学打ち抜き及び化学切削し、得られたシート片を前記折曲げ用薄肉部に沿って折り曲げて折曲体を形成し、複数の前記折曲体を組み付けてヒータノズルを形成することを特徴とする。
【0006】
この発明に係るヒータノズルの製造方法にあっては、メタルシートの両面には、打ち抜かれる部材の展開型に合わせたレジスト膜が、また、そのメタルシートの一面には、折曲げ用薄肉部を形成するためのレジスト膜が形成されて、エッチング処理がなされるので、折曲げ用薄肉部が形成され且つ打ち抜かれる部材の展開型とされるシート片が得られることとなる。このようにして得られたシート片の折曲げ用薄肉部は、そのメタルシートの他の部分に比して薄く形成されるため、折り曲げ易く、そのシート片を折曲げ用薄肉部に沿って折り曲げた場合には、ヒータノズルが各部に分割された折曲体が容易に形成されることとなる。そして、この複数の折曲体を組み付けると、所望のヒータノズルが完成される。
【0007】
従って、この製造方法によってヒータノズルを製造した場合には、従来のプレス加工と異なり、加工される部分に合わせた段取り変更にあっても、大幅に削減されるものとなる。また、上述のレジスト膜が形成される際には、そのレジスト膜に合わせたレジスト膜形成用の原板が必要とされるが、これらの原板はレジスト膜を形成するに際して、繰り返して使用することができる。従って、従来のような加工プレスを用いた製造方法と異なって、複数の金型が必要とされることがなくなり、製造コストの削減に貢献する。
【0008】
請求項2に係るヒータノズルの製造方法の発明は、メタルシートの所定箇所にレジスト膜を形成してエッチング処理を行うことにより折り曲げ用薄肉部を形成する化学切削工程と、前記メタルシートの前記所定箇所とは異なる他の所定箇所にレジスト膜を形成してエッチング処理を行うことによりシート片を形成する化学打抜き工程と、前記化学切削工程及び化学打抜き工程によって得られたシート片を前記折曲げ用薄肉部に沿って折り曲げて折曲体を形成する折り曲げ工程と、複数の前記折曲体を組み付けてヒータノズルを形成する組付け工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
この発明に係るヒータノズルの製造方法にあっては、化学切削工程によって、メタルシートの所定箇所が化学切削されて折曲げ用薄肉部が形成されると共に、化学打抜き工程によって、メタルシートの所定箇所が化学打ち抜きされて所望の型のシート片が形成される。そして、その化学切削工程及び化学打抜き工程によって得られたシート片から、ヒータノズルを各部に分割した折曲体が形成される。そして、この複数の折曲体を組み付けてヒータノズルが完成される。
【0010】
従って、この製造方法によってヒータノズルを製造した場合には、従来のプレス加工と異なり、加工される部分に合わせた段取り変更にあっても、大幅に削減されるものとなる。また、上述のレジスト膜が形成される際には、そのレジスト膜に合わせたレジスト膜形成用の原板が必要とされるが、これらの原板はレジスト膜を形成するに際して、繰り返して使用することができる。従って、従来のような加工プレスを用いた製造方法と異なって、複数の金型が必要とされることがなくなり、製造コストの削減に貢献する。
【0011】
請求項3に係るヒータノズルの製造方法の発明は、請求項2に記載のヒータノズルの製造方法において、前記化学切削工程と前記化学打抜き工程との工程順序を、逆にして行うことを特徴とする。
【0012】
この発明に係るヒータノズルの製造方法にあっては、化学打抜き工程によって、メタルシートの所定箇所が化学打ち抜きされて所望の型のシート片が形成されると共に、化学切削工程によって、メタルシートの所定箇所が化学切削されて折曲げ用薄肉部が形成される。そして、その化学打抜き工程及び化学切削工程によって得られたシート片から、ヒータノズルを各部に分割した折曲体が形成される。そして、この複数の折曲体を組み付けてヒータノズルが完成される。
【0013】
従って、この製造方法によってヒータノズルを製造した場合には、従来のプレス加工と異なり、加工される部分に合わせた段取り変更にあっても、大幅に削減されるものとなる。また、上述のレジスト膜が形成される際には、そのレジスト膜に合わせたレジスト膜形成用の原板が必要とされるが、これらの原板はレジスト膜を形成するに際して、繰り返して使用することができる。従って、従来のような加工プレスを用いた製造方法と異なって、複数の金型が必要とされることがなくなり、製造コストの削減に貢献する。
【0014】
請求項4に係るヒータノズルの製造方法の発明は、請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載のヒータノズルの製造方法において、前記折曲体を、予め形成された部材に組み付けてヒータノズルを形成することを特徴とする。
【0015】
この発明に係るヒータノズルの製造方法にあっては、形成されるヒータノズルのうち、基体となる部分については、予め別の手法によって形成しておくことができ、そして、所望に応じて適宜変更したい部分については、上述した折曲体として形成することできる。つまり、基体となる部材は、大量生産することによって安価に形成可能とされる。これに比して、消費者のニーズに合わせたい、たとえばヒータノズル先端等の部材は、所望に応じて簡単に変更可能とされる。従って、適宜に変更したい部材については、化学打抜き及び化学切削によって、その変更に応じて金型等の型を必要としないものとなるので、製造コストの削減に繋がる。加えて、基体のような簡単に変更しない部材については、大量生産による製造コストの削減が図れる。
【0016】
請求項5に係るヒータノズルの製造方法の発明は、請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載のヒータノズルの製造方法において、メタルシート1枚から、前記シート片を複数形成することを特徴とする。
【0017】
この発明に係るヒータノズルの製造方法にあっては、1枚のメタルシートから、複数のシート片が形成されるので、打ち抜かれる部材の展開型を、そのメタルシートに無駄なく配置させて、空き領域を少なくさせる。これによって、そのメタルシートは、ヒータノズルの製造の際に、なるべく無駄を出さず使われることとなる。従って、ヒータノズルの製造コストの削減に貢献する上、無駄な廃棄物を減らして環境問題にも適応してヒータノズルを製造できる。
【0018】
請求項6に係るヒータノズルの製造方法の発明は、請求項1から請求項5のうち何れか一項に記載のヒータノズルの製造方法において、前記メタルシートは、ステンレスからなることを特徴とする。
【0019】
この発明に係るヒータノズルの製造方法にあっては、メタルシートの材料として、剛性、熱耐久性(耐酸化性)等に優れたステンレスが用いられることによって、製造されるヒータノズルにあっても、剛性、熱耐久性(耐酸化性)等に優れたヒータノズルとなる。
【0020】
請求項7に係るヒータノズルの発明は、上記請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載のヒータノズルの製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
【0021】
この発明に係るヒータノズルにあっては、化学切削工程によって、メタルシートの所定箇所が化学切削されて折曲げ用薄肉部が形成されると共に、化学打抜き工程によって、メタルシートの所定箇所が化学打ち抜きされて所望の型のシート片が形成される。そして、その化学切削工程及び化学打抜き工程によって得られたシート片から、ヒータノズルを各部に分割した折曲体が形成される。そして、この複数の折曲体を組み付けてヒータノズルが完成される。
【0022】
従って、この発明に係るヒータノズルによれば、従来のプレス加工と異なり、加工される部分に合わせた段取り変更にあっても、大幅に削減されるものとなる。また、上述のレジスト膜が形成される際には、そのレジスト膜に合わせたレジスト膜形成用の原板が必要とされるが、これらの原板はレジスト膜を形成するに際して、繰り返して使用することができる。従って、従来のような加工プレスを用いた製造方法と異なって、複数の金型が必要とされることがなくなり、製造コストの削減に貢献する。
【発明の効果】
【0023】
この発明に係るヒータノズルの製造方法及びヒータノズルによれば、製造コストを削減すると共に、製造上の煩雑さを解消することに貢献する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明に係るヒータノズルの製造方法の実施の形態について説明する。
なお、図1は本発明に係るヒータノズルの斜視図、図2は本発明に係るヒータノズルの製造工程を示す図、図3は図2に示す製造工程のうち化学打抜き及び化学切削工程を示す図、図4は図3に示す化学打抜き及び化学切削工程によって得られた複数のシート片の正面図、図5は本発明に係るヒータノズルを備えた熱風式ハンダ処理装置の例を示す一部切り欠き側断面図である。
【0025】
図1は、裏面側から見た本発明に係るヒータノズル1の斜視図である。このヒータノズル1は、上述したように、図5に示す熱風式ハンダ処理装置(リワーク機)100の先端に取り付けられるものであって、その先端からは熱風が噴き出す。なお、熱風式ハンダ処理装置100は、上述したように、基板に取り付けられたデバイスを基板から取り外すこと等を目的に用いられるものであって、着脱したいデバイスに前記ヒータノズル1を向けて熱風が吹き出すように構成されている。
【0026】
前記熱風式ハンダ処理装置(リワーク機)100の装置本体101には、ヒータ芯102と、発熱線103と、整流体104と、ヒータパイプ105とを備える。そして装置本体101の上部には、各種の温度センサや発熱線が内蔵されると共に、その先端には、ヒータノズル1が取り付けられる。なお、符号106は、バキューム用パイプである。
【0027】
図1に示すヒータノズル1は、結合筒11と、この結合筒11の上端部に嵌合して固着された係合金具12と、結合筒11の下端に該結合筒11に連通して設けられたフード体13とによって構成されると共に、前記フード体13の下面にはノズル体14が断面を正方形状となるように、互いに平行且つ両隣の垂直に配置され、前記フード体13の下面から下方に突出されて構成されている。なお、前記ノズル体14と前記フード体13とは、内部の空間が一体となるように構成されている。
【0028】
(第1の実施の形態)
上述のように構成されるヒータノズル1は、その一部となる前記フード体13と前記ノズル体14とが、次に説明する製造方法によって製造される。
すなわち、前記フード体13と前記ノズル体14とは、図2の工程順序図に示すように、大まかに、メタルシートの化学打抜き及び化学切削工程(S10)、シート片折り曲げ工程(S20)、折曲体組み付け工程(S30)が順になされて製造される。さらに前記メタルシートの化学打抜き及び化学切削工程(S10)では、図3に示す各種の工程の順序でシート片が形成される。次に、これら各種工程の詳細について説明する。
【0029】
すなわち、メタルシートの化学打抜き及び化学切削工程(S10)は、図3に示すように、まず、前記フード体13及び前記ノズル体14の展開型が複数盛り込まれた第1原板Aと、その原板に基づいて前記フード体13及び前記ノズル体14の折曲げ用薄肉部51を形成するため第2原板Bが作製される(S11)。具体的には、打ち抜かれる部材となる前記フード体13及び前記ノズル体14の複数の展開型に合わせた第1レジスト膜R1が形成可能な第1原板Aと、前記フード体13及び前記ノズル体14の複数の展開型に合わせた第1レジスト膜R1に加えて折曲げ用薄肉部51を形成するための第2レジスト膜R2が形成可能な第2原板Bとが作製される。この原板作製にあたっては、写真工程等の原板作製処理によって作製される。なお、前記第2原板Bは、後に説明するエッチング処理によって得られたシート片50が、ばらばらになってしまうことを防止するため、ブリッジ53が形成されるようにレジスト膜が形成可能に作製されている。また、このレジスト膜R1,R2の形成にあたっては、ポジ型フォトレジスト法が用いられている。
【0030】
このようにして作製された第1及び第2原板A,Bを、適宜の厚みのステンレス製メタルシートMの両面に、すなわちメタルシート一面M1には前記第1原板Aを、メタルシート他面M2には第2原板Bを、一時的に貼着させる(S12)。そして、前記メタルシートMは、エッチング処理において一般に行われる、脱脂、研磨、酸洗、水洗、乾燥といった前処理が行われた後に、ディップコーティング法を用いた塗布処理がなされる(S13)。具体的には、上述の第1及び第2原板A,Bに挟まれたメタルシートMを、紫外線硬化型のマスキング剤Cに浸漬させ、その後、そのメタルシートMを引き上げる。このようにして、そのメタルシートMの両面は、紫外線硬化型のマスキング剤Cが好適に塗布されることとなる。なお、このマスキング剤Cの塗布にあっては、このようなディップコーティング法に替えて、垂れ流し法が用いられるものであってもよい。すなわち、前記メタルシートMの両面に紫外線硬化型のマスキング剤Cを垂れ流して塗布されるものであってもよい。
【0031】
上述の塗布処理がなされたメタルシートMは、次に、露光処理(S14)と現像処理(S15)とがなされる。この露光処理(S14)では、両面露光法が用いる。すなわち、光源Lとして、紫外線(300〜450nm)を多く含む高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯等を用いて、前記塗布処理がなされたメタルシートMの両面M1,M2に、紫外線(300〜450nm)を適宜時間照射する。そして、前記メタルシートMから前記第1及び第2原板A,Bを取り外して現像処理(S15)を行う。現像処理(S15)では、適宜の現像液を用いて、前記メタルシートMの両面M1,M2の露光された部分を溶解除去する。このようにして、前記メタルシートMにはレジスト膜R1,R2が形成されることとなる。
【0032】
そして、これらの処理されたメタルシートMに、次のようなエッチング処理を行う(S16)。すなわち、エッチング液Dとなる塩化第二鉄液に、前記レジスト膜R1,R2が形成されたメタルシートMを浸漬させる。そして、所定時間経過後に、そのメタルシートMをエッチング液Dから引き出して、フォトレジスト剥膜液に浸漬させ、上述の工程によって形成されたレジスト膜R1,R2を除去する。そして、十分にレジスト膜R1,R2が除去できたなら、十分に水洗、乾燥して、シート片50が得られる(S17)。
【0033】
このようにして、前記メタルシートMは、両面から打抜かれる部材(前記フード体13及び前記ノズル体14)の展開型に合わせて化学打抜きされると共に、その一面には、折曲げ用薄肉部51が形成されるように化学切削されることとなる。
【0034】
なお、前記シート片50は、図4に示すように、1枚のメタルシートMに、前記フード体13及び前記ノズル体14の展開型となる複数のシート片50(50A,50B)が、互いがブリッジ接続されて形成されることとなっている。このシート片50の互いを接続するブリッジ53にあっても、壁部52と異なった切断用薄肉部55が形成される。そのため、そのシート片50を捩りながら引っ張れば、簡単にそのブリッジ53は、簡単に切断できるものとなっている。加えて、前記シート片50には、折曲げ用薄肉部51と、通常の壁部52とによって形成されたものとなる。なお、符号54は、打抜かれて形成された空間部分を示す。
【0035】
上述した処理工程(S11〜S17)中、前記メタルシートMの両面M1,M2が貫通するようにエッチング処理されたものが化学打抜き(フルエッチング)に相当し、薄肉を形成するようにエッチング処理されたものが化学切削(ハーフエッチング)に相当する。
【0036】
次に、シート片折り曲げ工程(S20)に移る。すなわち、前記フード体13及び前記ノズル体14の展開型となるシート片50を、前記折曲げ用薄肉部51に沿って折り曲げ、適宜箇所をスポット溶接する。このようにして、前記シート片50から、前記フード体13及び前記ノズル体14となる折曲体を形成する。なお、前記折曲げ用薄肉部51は、前記ブリッジ53と同様に薄肉で形成されるため、容易に折り曲げ可能とされる。
【0037】
このようにして形成された折曲体は、次に組み付け工程(S30)に移って組み付ける。すなわち、折曲体となるフード体13に、ノズル体14をスポット溶接によって接続し、そして、前記フード体13の上部に、係合金具12が設けられた結合筒11を、スポット溶接によって接続する。このようにして、ヒータノズル1は完成される。
【0038】
なお、上述した実施の形態においては、フード体13とノズル体14とが、折曲体となるようにしてヒータノズル1を形成したが、これに限定されず、そのノズル体14のみが折曲体となるようにしてヒータノズル1を形成してもよい。つまり、前記フード体13にあっては、例えばプレス加工等によって予め形成しておいてもよい。そして、この予め形成されたフード体13に、上述した折曲体として形成されたノズル体14を組み付けて、ヒータノズル1を形成するものであってもよい。
【0039】
このようにヒータノズル1を形成した場合には、構造があまり変更されることのない基体とされるフード体13は、大量生産することによって安価に形成可能とされ、消費者のニーズに合わせたい、ノズル体14は、所望に応じて簡単に適宜変更可能とされる。従って、消費者のニーズに合わせて適宜変更を加えたいノズル体14については、上述したように形成することによって、その変更に応じた金型等の型を必要としないものとなるので、製造コストの削減に繋がる。加えて、基体のような簡単に変更しないフード体13については、大量生産による製造コストの削減が図れる。
【0040】
(第2の実施の形態)
次に、化学切削工程と化学打抜き工程とが同時に行われる上述の第1の実施の形態とは異なる、化学切削工程と化学打抜き工程とが順次別々に行われる第2の実施の形態について説明する。つまり、上述の第1の実施の形態にあっては、前記メタルシートMを、両面M1,M2からエッチング処理して、化学打抜きと化学切削とを同時に行っていたが、次に説明する第2の実施の形態にあっては、化学切削と化学打抜きとが順次別々となるように、片側面M1のみを順次エッチング処理するものである。すなわち、まず、メタルシートMを、折曲げ用薄肉部を形成するように化学切削し、その後、そのメタルシートMを折曲体の展開型となるように化学打抜きするものである。なお、以下に説明する第2の実施の形態においては、上述の第1の実施の形態と同様に構成される部分には同一の符号を付して、その説明を進めていく。
【0041】
すなわち、上述の第1の実施の形態と異なる2種類の原板が作製され、具体的には、前記メタルシートMに、前記折曲げ用薄肉部51のみを形成するための第3原板と、前記メタルシートMに、前記フード体13及び前記ノズル体14の展開型に打ち抜くためのみの第4原板とが作製される。なお、前記第3原板には、シート片50の互いを接続するためのブリッジ53も形成されるように作製されている。
【0042】
そして、上述したように、前記メタルシートMの片側面M1のみに、順次別々で各種の工程を行う。すなわち、前記メタルシートMの片側面M1に、前記第3原板を一時的に貼着させ、上述した化学切削(S11〜S17)を行う。そうすると、前記メタルシートMの片側面M1の表面は、前記第3原板に合わせてその一部が化学切削される。つまり、上述したような折曲げ用薄肉部51及びブリッジ53とされる薄肉部分が形成される。
【0043】
そして、次に、表面の一部が化学切削されたメタルシートMの片側面M1に、前記第4原板を一時的に貼着させ、上述した化学切削(S11〜S17)を行う。そうすると、前記メタルシートMは、その片側表面M1から裏面M2へ貫通されるように、前記第4原板に合わせてその一部が化学打抜きされる。つまり、上述したようなシート片50が得られることとなる。
【0044】
このようにして得られたシート片50は、上述の第1の実施の形態と同様に、シート片折り曲げ工程(S20)を行なう。すなわち、前記フード体13及び前記ノズル体14の展開型となるシート片50を、前記折曲げ用薄肉部51に沿って折り曲げ、適宜箇所をスポット溶接し、前記フード体13及び前記ノズル体14となる折曲体を形成する。
【0045】
そして、次に組み付け工程(S30)に移って組み付ける。すなわち、折曲体となるフード体13に、ノズル体14をスポット溶接によって接続し、そして、前記フード体13の上部に、係合金具12が設けられた結合筒11を、スポット溶接によって接続する。このようにして、ヒータノズル1は完成される。
【0046】
なお、第2の実施の形態にあっては、化学切削工程の後に化学打抜き工程がなされてシート片50を得たが、これとは逆に、化学打抜き工程の後に化学切削工程がなされるものであってもよい。
【0047】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲において適宜の選択が可能である。例えば、上述の実施の形態にあっては、ステンレスを材料とするメタルシートからヒータノズルを形成したが、これに限定されることなく、適宜の材料を選択することができる。加えて、前記シート片を折り曲げて折曲体を形成するにあたっては、そのシート片を折り曲げた後に、その折曲げを固定するために適宜箇所にスポット溶接したが、これに限定されず、適宜の手法によって、その折曲げを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るヒータノズルの斜視図である。
【図2】本発明に係るヒータノズルの製造工程を示す図である。
【図3】図2に示す製造工程のうち化学打抜き及び化学切削工程を示す図である。
【図4】図3に示す化学打抜き及び化学切削工程によって得られた複数のシート片の正面図である。
【図5】本発明に係るヒータノズルを備えた熱風式ハンダ処理装置の例を示す一部切り欠き側断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ヒータノズル
50 シート片
51 折曲げ用薄肉部
M メタルシート
R1,R2 レジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンダ付け処理またはハンダを溶かす処理を行う熱風式ハンダ処理装置のヒータノズルの製造方法であって、
メタルシートの両面に打ち抜かれる部材の展開型に合わせてレジスト膜を形成し、前記メタルシートの一面に折曲げ用薄肉部を形成するためのレジスト膜を形成し、これらレジスト膜が形成されたメタルシートをエッチング処理によって化学打ち抜き及び化学切削し、得られたシート片を前記折曲げ用薄肉部に沿って折り曲げて折曲体を形成し、複数の前記折曲体を組み付けてヒータノズルを形成することを特徴とするヒータノズルの製造方法。
【請求項2】
ハンダ付け処理またはハンダを溶かす処理を行う熱風式ハンダ処理装置のヒータノズルの製造方法であって、
メタルシートの所定箇所にレジスト膜を形成してエッチング処理を行うことにより折り曲げ用薄肉部を形成する化学切削工程と、
前記メタルシートの前記所定箇所とは異なる他の所定箇所にレジスト膜を形成してエッチング処理を行うことによりシート片を形成する化学打抜き工程と、
前記化学切削工程及び化学打抜き工程によって得られたシート片を前記折曲げ用薄肉部に沿って折り曲げて折曲体を形成する折り曲げ工程と、
複数の前記折曲体を組み付けてヒータノズルを形成する組付け工程とを含むことを特徴とするヒータノズルの製造方法。
【請求項3】
前記化学切削工程と前記化学打抜き工程との工程順序を、逆にして行うことを特徴とする請求項2に記載のヒータノズルの製造方法。
【請求項4】
前記折曲体を、予め形成された部材に組み付けてヒータノズルを形成することを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載のヒータノズルの製造方法。
【請求項5】
メタルシート1枚から、前記シート片を複数形成することを特徴とする請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載のヒータノズルの製造方法。
【請求項6】
前記メタルシートは、ステンレスからなることを特徴とする請求項1から請求項5のうち何れか一項に記載のヒータノズルの製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載のヒータノズルの製造方法を用いて製造されたことを特徴とするヒータノズル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−108237(P2006−108237A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290214(P2004−290214)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000204136)太洋電機産業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】