説明

燃料からの熱エネルギーと、ドーム型の天井による輻射熱エネルギーを有効利用し、石窯内の温度を調節しながら長時間連続使用可能な、オーブン調理のほか、ダッチオーブン調理器、燻製器としての機能も有する石窯

【課題】燃料の熱エネルギーと、ドーム型天井からの輻射熱エネルギーを有効利用し、燃料の増減や空気の流れで、石窯内の温度を調節しながら長時間連続使用ができ、オーブン調理のほか、ダッチオーブン調理、燻製器としての機能も有する石窯を提供する。
【解決手段】燃焼室内部を、上部燃焼室(3)、下部燃焼室(1)、燃焼室外側(2)に分割し、石窯内の温度上昇のために使用した燃料も、燃焼室外側(2)または下部燃焼室(1)に移動することによって、燃料の有効利用ができる。また、下部燃焼室(1)や燃焼室外側(2)への燃料追加、空気調整蓋(5)の開閉により、上部燃焼室(3)内に焼成物を入れたままでも、石窯内部の温度を調節できる。
上部燃焼室(3)内で、直接燃料をあてがうことでダッチオーブン料理ができる。
下部燃焼室(1)内に、サクラやブナなどの木材チップにして燻すと、上部燃焼室(3)内の焼成物を燻製調理できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドーム型の天井を持ち、燃焼室内部を上下に分割した、ピザやパン焼きなどのオーブン機能、ダッチオーブン調理機能、燻製機能などを有する石窯に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のピザやパン焼き等のオーブン料理に用いる石窯は、燃焼室内で薪などを燃して室内の温度を上げた後、その燃料を取り出して燃焼室内の放射熱で焼くもの、または、その燃料を燃焼室の端に移動させた上で、直接その燃料の熱で調理するものである。また、石窯内部は単室構造で、オーブン料理のみの機能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、以上の技術によれば、調理中に石窯内の温度が下がってしまった場合、再度温度を上昇させるには、中の焼成物を一度取り出し、再加熱した後、再び焼成物を内部に戻すという作業が必要になってくる。扉開閉の際などに起きる石窯内の温度低下や調理中断は料理への影響が大きく、手間だけでなく味の追求という観点からも非常に大きな問題である。また、石窯内部を加熱後、燃料を取り出すということは、熱エネルギーの損失にもつながっている。
そこで、この発明は、熱エネルギーを有効利用し、石窯内の温度を調節しながら長時間連続使用を可能にする石窯を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、この発明は、燃料からの熱を反射させ、輻射熱を焼成物に効率よく当てるドーム型の天井をもち、燃焼室内を燃焼プレートで上下に分割することで、燃焼に必要な空気の流れを確保し、必要に応じ燃料の追加をしても温度維持が出来るよう下部燃焼室(1)を設け、燃料の熱エネルギーを継続的に主調理室である上部燃焼室(3)に供給することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、下部燃焼室(1)の前部に設置した空気調整蓋(5)を調節することによって、燃料に継続的に空気を与え、新たに燃料追加した場合でも、着火までの時間が短く、燃焼室内の温度低下を緩やかにすることが可能であるため、少量の燃料で、しかも、従来一般的に使用されている、熱量が大きく煙の多い薪ではなく、熱量が小さく煙の少ない木炭の使用のみでもオーブン料理が可能となり、しかも排煙による近隣への影響を少なくできる。
また、燃料としてサクラ・ブナなどの木材を燻すことで、冷燻から熱燻までできる燻製器としても使用できる。
蓋付き鍋に直接燃料をあてがうダッチオーブンでの調理も可能できる。
従来の石窯では、調理の際には外部に取り出す必要のある、燃焼室の温度上昇のためだけに使用する燃料も、燃焼室外側(2)に移動させ、継続して燃焼室内にとどまらせるため、燃料の有効利用ができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】この発明の正面図である。
【図2】この発明の上方から見た断面図である。
【図3】この発明の側面から見た断面図である。
【図4】この発明の実施の形態を示す、側面から見た断面図である。
【図5】燃焼室内部に設置する燃焼プレートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
この発明の実施形態を、図4に示す。
石窯の本体は耐火セメント製または耐火煉瓦製であり、燃焼プレート(4)は耐火セメント製または陶器製である。本体の燃焼室内は、上部燃焼室(3)・下部燃焼室(1)・燃焼室外側(2)に分けられている。燃焼室外側(2)は、上部燃焼室(3)と下部燃焼室(1)とをつなぐ空間になっている。燃料は、オーブン調理では薪、木炭など。燻製調理では、サクラやブナなどの木材チップ。主調理室は上部燃焼室(3)であり、下部燃焼室(1)からは、主に空気の流れを取り入れる。
燃焼プレート(4)は、上部燃焼室(3)での調理台となるだけでなく、燃焼室外側(2)の熱を上部燃焼室(3)に伝える役割もあるため、完全に上下燃焼室を分離するのではなく、一部空間をもたせている。
燃焼プレート(4)は、上部燃焼室(3)内に、移動可能な状態で設置する。
燻製器として使用する場合、燃料を木炭などからサクラやブナなどの木材チップに変更し、下部燃焼室(1)に配置する。燻された木材チップの煙が、下部燃焼室(1)から上部燃焼室(3)内へ充満し、上部燃焼室(3)に据え付けた焼成物が燻製となる。
密閉性の高い空間を作るために、前面開口部に扉を設置することもある。
【実施例1】
【0008】
図4の実施形態によれば、主調理室である上部燃焼室(3)内に燃焼プレート(4)を配置し、木炭などの燃料で加熱した後、その燃料を燃焼室外側(2)に移動させる。燃焼プレート(4)の上に調理する焼成物を据え付け調理を行う。燃料の量を調節することで、上部燃焼室(3)内の温度を調整することができる。また、燃焼室外側(2)へ木炭などの燃料追加により、連続的に長時間使用することができる。焼成物の加熱具合の調節は、燃料、空気量の調節することで、それを可能にする。
【実施例2】
【0009】
図4の実施形態では、燃焼室外側(2)に燃料を置いているが、他の実施形態では、上部燃焼室(3)内ならびに下部燃焼室(1)内に、燃料を置いたものでもよい。
【符号の説明】
【0010】
1 下部燃焼室 2 燃焼室外側 3 上部燃焼室
4 燃焼プレート 5 空気調整蓋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部燃焼室に空間を保つことで空気の流れを作り、上部燃焼室の端に置いた燃料の増減と下部燃焼室の空気調整蓋の開閉によって温度調節を可能にするよう、上部燃焼室と下部燃焼室をつなぐ空間を保持しながら、燃焼室内部に中仕切り板を設置することを特徴とするピザやパンなどを焼く石窯
【請求項2】
上部燃焼室で、直接燃料を鍋にあてがい調理するダッチオーブンが使用できる、請求項1記載の石窯
【請求項3】
下部燃焼室でサクラやブナなどの木材を燻すことによって、上部燃焼室にある焼成物を燻製調理ができる、燻製器としての機能も有した請求項1記載の石窯


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−78286(P2013−78286A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220062(P2011−220062)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(308010158)
【Fターム(参考)】