説明

燃料供給装置用アタッチメント、これを用いた燃料供給装置及び自動車

【課題】 ガス燃料の噴射ノズルの取付け精度を向上させるとともに、取付けを容易に行うことができるようにし、作業性の向上を図るとともに、耐久性の向上を図る。
【解決手段】 自動車のエンジン1に接続されるインテークマニホールド10を有しエンジン1にガス燃料及びガソリン燃料をそれぞれ切換えて供給できるようにする燃料供給装置Sに用いられる燃料供給装置用アタッチメントAであって、ガス燃料が噴射される噴射ノズル30が取り付けられるノズル取付部50を備えエンジン1とインテークマニホールド10との間に介装される金属製板状の本体40を備えた。アタッチメントAをエンジン1とインテークマニホールド10との間に介装するだけでよいので、従来のように、逐一、インテークマニホールド10に穴加工をして噴射ノズル30を取り付ける煩雑な作業を行わなくても良く、そのため、作業性が大幅に向上させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のエンジンに対して燃料を供給する燃料供給装置に係り、特に、LPG等のガス燃料及びガソリン燃料をそれぞれ切換えて供給できるようにする所謂バイフューエル方式の燃料供給装置に用いられる燃料供給装置用アタッチメント、これを用いた燃料供給装置及び自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ガス燃料として例えばLPGガスを利用した所謂LPG車は、ガソリン燃料に比べて燃料単価が低く、コスト面で有利であることから、主にタクシー等の業務用車両に広く採用されている。一方、LPG車は、ガソリン車に比べ、エンジン始動時や走行初期の初期段階時、特に外気温の低い時、あるいは、過度負荷運転時等には、エンジンの動作性に劣ることがある。そのため、この問題を解消するために、LPG燃料及びガソリン燃料を切換えて利用することのできるバイフューエル式の燃料供給装置を搭載した自動車が種々提案されている(例えば、特開2010−133301号公報掲載)。
【0003】
また、このようなバイフューエル方式の自動車を、低コストで提供するために、従来においては、通常のガソリン車を小変更により改造して製作することが行われている。これは、図6に示すように、自動車のエンジン1に接続されるインテークマニホールド10にLPGガスを噴射する噴射ノズル(図示せず)の取付口を加工し、この取付口に噴射ノズルを取り付けるとともに、LPGガスボンベ,LPGガスのインジェクターやガソリン燃料との切換器等の付属品を取り付け、コンピュータ制御によりガス燃料及びガソリン燃料をそれぞれ切換えて供給できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−133301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このガソリン車を改造する際に、従来においては、インテークマニホールド10にLPGガスを噴射する噴射ノズルの取付口を加工しているが、インテークマニホールド10に対する加工が難しく噴射ノズルの取付け精度が安定しないという問題があった。そのため、インテークマニホールド10におけるガス燃料とエアとの混合の均一性を確保するために噴射ノズル角度や位置の調整を綿密に行わなければならないことから、その取り付け作業が極めて煩雑になっているという問題があった。特に、この噴射ノズル角度や位置の調整には熟練を要する。また、インテークマニホールド10は樹脂製のものが多く、そのため、噴射ノズルの取付け部の耐久性も劣ってしまう。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、ガス燃料の噴射ノズルの取付け精度を向上させるとともに、取付けを容易に行うことができるようにし、作業性の向上を図るとともに、耐久性の向上を図った燃料供給装置用アタッチメント、これを用いた燃料供給装置及び自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明の燃料供給装置用アタッチメントは、自動車のエンジンに接続されるインテークマニホールドを有し該エンジンにガス燃料及びガソリン燃料をそれぞれ切換えて供給できるようにする燃料供給装置に用いられる燃料供給装置用アタッチメントであって、
ガス燃料が噴射される噴射ノズルが取り付けられるノズル取付部を備え上記エンジンとインテークマニホールドとの間に介装される板状の本体を備えた構成としている。
【0008】
これによれば、予め工場等で、ノズル取付部を加工したアタッチメントの本体を作成し、例えば、ノズル取付部に噴射ノズルを取り付けておく。組付け時には、自動車のエンジンから、ボルト等の締結部品を外すことにより、インテークマニホールドを外し、それから、エンジンとインテークマニホールドとの間にアタッチメントを介装し、再び、ボルト等の締結部品により固定する。この場合、アタッチメントをエンジンとインテークマニホールドとの間に介装するだけでよいので、従来のように、逐一、インテークマニホールドに穴加工をして噴射ノズルを取り付ける煩雑な作業を行わなくても良く、そのため、作業性が大幅に向上させられる。また、予め、ノズル取付部をアタッチメントに設けておくことから、噴射ノズルの角度や位置が一定化するので、噴射ノズルの取付け精度が安定する。この結果、ノズル角度や位置の調整もほとんど不要になることから、特に熟練した作業員によらなくても組付けができ、作業効率が向上させられるとともに、汎用性が向上する。
【0009】
更にまた、アタッチメントの本体のノズル取付部は予め形成しておくので、従来のように後加工するのに比較して、精度も良くなることから、それだけ、耐久性も向上させられる。特に、本体を金属製にすれば、より一層、耐久性が向上させられる。
また、エンジンにガス燃料を供給する際には、噴射ノズルの角度や位置が一定化して、取付け精度が安定しているので、インテークマニホールドにおけるガス燃料とエアとの混合の均一性を確実に確保することができるようになり、燃焼効率を良好にすることができる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記エンジンは、複数のシリンダに夫々連通する複数の入口開口が列設されたエンジン接合面を有して構成され、上記インテークマニホールドは、上記エンジンの各複数の入口開口に対応した複数の出口開口が列設され上記エンジン接合面に接合可能なマニホールド接合面を有して構成され、
上記本体に、上記エンジンの各入口開口及び上記インテークマニホールドの各出口開口に夫々対応した入口開放口及び出口開放口を有した複数の連通孔を形成し、上記入口開放口が列設され上記マニホールド接合面に接合可能な上流側接合面、及び、上記出口開放口が列設され上記エンジン接合面に接合可能な下流側接合面を形成し、上記ノズル取付部を噴射ノズルが上記連通孔内にガス燃料を噴射可能になるように該各連通孔に対応して複数設けた構成としている。
板状の本体に上流側接合面及び下流側接合面を形成したので、エンジンとマニホールドとの接合性がよく、取付けが容易に行われる。また、シール性も良くなる。必要に応じて、ガスケットを介装すればよい。
【0011】
また、必要に応じ、上記噴射ノズルは、先端に噴射口を有した先端管部と、該先端管部に連設されホースが被嵌されて取り付けられる取付管部とを備えて直状に形成され、且つ、上記先端管部の取付管部側に雄ネジを有して構成され、
上記本体のノズル取付部を、該本体の側壁面から上記連通孔に貫通して設けられ上記噴射ノズルの雄ネジが螺合する雌ネジで構成し、該雌ネジを、該雄ネジの中心軸線が上記連通孔の幅方向の中心軸線と略交差するように形成した構成としている。
これにより、噴射ノズルの先端の噴射口からのガス燃料が連通孔の幅方向の中心軸線上に向けて噴射するので、ガス燃料とインテークマニホールドからの空気との混合が均一に行われるとともに、混合気の流れも円滑になり、それだけエンジンでの燃焼を安定化させることができ、燃焼効率を良好にすることができる。
【0012】
更に、必要に応じ、上記雌ネジを、上記噴射ノズルの先端管部の先端が可能な限りエンジン側に位置するように、該雌ネジの中心軸線を上記連通孔の中心軸線に対して傾斜させて形成した構成としている。
これにより、噴射ノズルの先端管部の先端が可能な限りエンジン側に位置するように噴射ノズルが傾斜して取り付けられることから、ガス燃料がエンジンに向けて噴射されるようになり、それだけ混合気の流れが円滑になり、より一層エンジンでの燃焼を安定化させ、燃焼効率を良好にすることができる。
また、噴射ノズルが傾斜して取り付けられるので、噴射ノズルの取付管部にホースを装着しやすくなり、それだけ、取り付け作業性が向上させられる。
【0013】
更にまた、上記雌ネジを、上記連通孔の中心軸線に対して平行な側面視において、上記噴射ノズルが本体の巾の範囲内に位置するように形成した構成としている。
噴射ノズルが、本体の幅方向から中心軸方向に突出しないので、本体に予め噴射ノズルを取り付けたものを持ち運ぶ際に、噴射ノズルを損傷しにくく、また、組付けも容易に行われる。
【0014】
また、上記課題を解決するための本発明の燃料供給装置は、上記のアタッチメントを取り付けた燃料供給装置にある。上記と同様の作用,効果を奏する。
そしてまた、上記課題を解決するための本発明の自動車は、上記の燃料供給装置を備えた自動車にある。上記と同様の作用,効果を奏する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、予め工場等で、ノズル取付部を加工したアタッチメントの本体を作成し、例えば、ノズル取付部に噴射ノズルを取り付けておく。組付け時には、自動車のエンジンから、ボルト等の締結部品を外すことにより、インテークマニホールドを外し、それから、エンジンとインテークマニホールドとの間にアタッチメントを介装し、再び、ボルト等の締結部品により固定する。この場合、アタッチメントをエンジンとインテークマニホールドとの間に介装するだけでよいので、従来のように、逐一、インテークマニホールドに穴加工をして噴射ノズルを取り付ける煩雑な作業を行わなくても良く、そのため、作業性が大幅に向上させられる。また、予め、ノズル取付部をアタッチメントに設けておくことから、ノズル角度や位置が一定化するので、噴射ノズルの取付け精度が安定する。このため、インテークマニホールドにおけるガス燃料とエアとの混合の均一性を容易に確保することができるようになる。また、ノズル角度や位置の調整もほとんど不要になることから、この点でも、作業効率を向上させることができる。更にまた、アタッチメントの本体のノズル取付部は予め形成しておくので、従来のように後加工するのに比較して、精度も良くなることから、それだけ、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る燃料供給装置用アタッチメントをインテークマニホールド及びエンジンとの位置関係とともに示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る燃料供給装置の構成の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る燃料供給装置用アタッチメントを噴射ノズルとともに示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る燃料供給装置用アタッチメントを示す正面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る燃料供給装置用アタッチメントの取付け状態を示す図4中X−X線相当断面図である。
【図6】従来の燃料供給装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る燃料供給装置用アタッチメント、これを用いた燃料供給装置及び自動車について詳細に説明する。尚、上記と同様のものには同一の符号を付して説明する。
図1乃至図5に示すように、本発明の実施の形態に係る燃料供給装置用アタッチメントAは、自動車のエンジン1に接続されるインテークマニホールド10を有し、エンジン1にガス燃料としてのLPG燃料及びガソリン燃料をそれぞれ切換えて供給できるようにする燃料供給装置Sに用いられる。主には、実施の形態に係るアタッチメントAは、通常のガソリン車を小変更により改造して、バイフューエル方式の自動車にするために用いられる部品である。
【0018】
エンジン1は、図1及び図5に示すように、例えば、4気筒エンジン1の場合では、複数(4つ)のシリンダ(図示せず)に夫々連通する複数(4つ)の入口開口2が列設されたエンジン接合面3を有して構成されている。エンジン1の入口開口2の下流側には、液体燃料を噴射する噴射弁(図示せず)が設けられており、噴射弁からのガソリン燃料はインテークマニホールド10からの空気と混合されてシリンダに供給されるようになっている。
【0019】
また、インテークマニホールド10は、図1及び図5に示すように、樹脂で形成されており、エンジン1の各複数(4つ)の入口開口2に対応した複数(4つ)の出口開口11が列設され、エンジン接合面3に接合可能なマニホールド接合面12を有して構成されている。マニホールド接合面12には、出口開口11を囲繞するように溝13が形成され、この溝13に、ガスケット14が設けられている。ガソリン車の場合は、このガスケット14を介して、マニホールド接合面12がエンジン接合面3に接合されて、インテークマニホールド10はエンジン1に取り付けられている。
【0020】
実施の形態に係るアタッチメントAは、図1乃至図5に示すように、ガス燃料が噴射される噴射ノズル30が取り付けられるノズル取付部50を備え、エンジン1とインテークマニホールド10との間に介装される板状の本体40を備えている。
【0021】
図3及び図5に示すように、噴射ノズル30は、先端に噴射口31を有した先端管部32と、先端管部32に連設されホース33が被嵌されて取り付けられる取付管部34とを備えて直状に形成されている。また、先端管部32の取付管部34側に雄ネジ35を有するとともに、雄ネジ35の取付管部34側に断面六角形でスパナなどの工具が係合するナット様の係合部36を備えて構成されている。噴射ノズル30は後述の雌ネジ51にワッシャ37を介して取り付けられる。
【0022】
アタッチメントAの本体40は、例えば、アルミニウムなどの金属製であり、この本体40には、エンジン1の各入口開口2及びインテークマニホールド10の各出口開口11に夫々対応した入口開放口41及び出口開放口42を有した複数の連通孔43が形成されている。連通孔43は、幅方向の中心軸線Pを有する長孔状に形成されている。また、入口開放口41が列設されマニホールド接合面12に接合可能な平面状の上流側接合面44、及び、出口開放口42が列設されエンジン接合面3に接合可能な平面状の下流側接合面45が形成されている。更に、本体40には、エンジン1とインテークマニホールド10との間に介装されて取り付けられる複数の取付孔46が複数形成されている。エンジン1とインテークマニホールド10とはボルト等の締結部品で締結され、そのための既存の取付用の孔を備えているが、この取付孔46は、この既存の孔に対応して形成されている。
尚、図1中符号47は、アタッチメントAの本体40の下流側接合面45とエンジン接合面3との間に介装されるガスケットである。
【0023】
ノズル取付部50は、噴射ノズル30が連通孔43内にガス燃料を噴射可能になるように、各連通孔43に対応して複数(4つ)設けられている。
詳しくは、ノズル取付部50は、本体40の上側壁面から連通孔43に貫通して設けられ噴射ノズル30の雄ネジ35が螺合する雌ネジ51で構成されている。上側壁面には、噴射ノズル30の係合部36を支持し雌ネジ51の中心軸線Qに直交する面を有する座面52が突出形成されている。図4及び図5に示すように、雌ネジ51は、中心軸線Qが連通孔43の幅方向の中心軸線Pと略交差するように形成されている。また、図5に示すように、雌ネジ51は、噴射ノズル30の先端管部32の先端が可能な限りエンジン1側に位置するように、且つ、噴射ノズル30の取付管部34の上端がインテークマニホールド10側に位置するように、雌ネジ51の中心軸線Qを、連通孔43の中心軸線Pに対して傾斜させて形成されている。この場合、雌ネジ51の中心軸線Qは、隣接する連通孔43とは互いに異なる方向になるように設定している。更に、雌ネジ51は、図5に示すように、噴射ノズル30の大きさを考慮し、連通孔43の中心軸線Pに対して平行な側面視(図5相当)において、噴射ノズル30が本体40の巾Dの範囲内に位置するように形成されている。
【0024】
より詳しくは、図4に示すように、連通孔43の中心軸線Pに対して直交する正面視における該中心軸線Pに垂直な垂直軸Vaに対する雌ネジ51の傾斜角θを、20°≦θ≦40°、図5に示すように、連通孔43の中心軸線Pに対して平行な側面視(図5相当)における該中心軸線Pに垂直な垂直軸Vbに対する雌ネジ51の傾斜角αを10°≦α≦20°に設定してある。本体40の巾Dは、10mm≦D≦30mmが望ましい。より望ましくは、10mm≦D≦20mmである。実施の形態では、本体40の巾Dを、D=15mm,θ=30°,α=14°に設定してある。
【0025】
従って、実施の形態に係るアタッチメントAを用いて、通常のガソリン車を小変更により改造して、バイフューエル方式の自動車にする際には、以下のようにする。予め工場等で、ノズル取付部50を加工したアタッチメントAの本体40を作成し、例えば、ノズル取付部50に噴射ノズル30をワッシャ37を介して取り付けておく。この場合、図5に示すように、雌ネジ51を噴射ノズル30が本体40の巾Dの範囲内に位置するように形成してあるので、噴射ノズル30が、本体40の幅方向から中心軸線Pの方向に突出しないことになり、そのため、噴射ノズル30を取り付けた本体40を持ち運ぶ際に、噴射ノズル30を損傷しにくく、また、組付けも容易に行われる。
【0026】
アタッチメントAの組付け時には、図1に示すように、自動車のエンジン1から、ボルト等の締結部品を外すことにより、インテークマニホールド10を外し、それから、エンジン1とインテークマニホールド10との間にアタッチメントA及びガスケット47を介装し、再び、図5に示すように、本体40の取付孔46を利用してボルト等の締結部品により固定する。この場合、アタッチメントAをエンジン1とインテークマニホールド10との間に介装するだけでよいので、従来のように、逐一、インテークマニホールド10に穴加工をして噴射ノズル30を取り付ける煩雑な作業を行わなくても良く、そのため、作業性が大幅に向上させられる。また、アタッチメントAは、板状の本体40に上流側接合面44及び下流側接合面45を形成したので、エンジン1とインテークマニホールド10との接合性がよく、取付けが容易に行われる。
【0027】
更に、予め、ノズル取付部50をアタッチメントAに設けておくことから、ノズル角度や位置が一定化するので、噴射ノズル30の取付け精度が安定する。この結果、ノズル角度や位置の調整もほとんど不要になることから、特に熟練した作業員によらなくても組付けができ、作業効率が向上させられるとともに、汎用性が向上する。
【0028】
その他、改造に当たっては、図示しないが、LPGガスボンベ,LPGガスのインジェクター,ガソリンとLPGガスとの切換器,各種センサー,切換え制御するためのコンピュータを備えたコントローラ等、周知の付属品を搭載する。そしてまた、図5に示すように、LPGガスのインジェクターからのホース33を、噴射ノズル30の取付管部34に差し込んで被嵌させる。この場合、噴射ノズル30が傾斜して取り付けられるので、噴射ノズル30の取付管部34にホース33を装着しやすくなり、それだけ、取り付け作業性が向上させられる。
尚、この燃料供給装置Sにおいては、LPG燃料及びガソリン燃料の供給の切換は、原則としてコントローラにより自動的に行われるが、運転席で手動により切り換えることも可能となっている。
【0029】
このような燃料供給装置Sを搭載した自動車を走行させるときは、エンジン1を始動し、走行し始めるが、この初期段階では、燃料供給装置Sは、コントローラにより、ガソリン燃料に切換えてガソリン燃料をエンジン1に供給する。これにより走行性が向上させられる。特に、外気温の低いときには有効に作用する。
【0030】
そして、エンジン1の始動後の温度が安定し通常運転になれば、燃料供給装置Sは、コントローラにより、LPG燃料に切換えてLPG燃料をエンジン1に供給する。この場合、LPG燃料は、噴射ノズル30からアタッチメントAの本体40の連通孔43内に噴射されるが、噴射ノズル30は本体40のノズル取付部50に取り付けられているので、ノズル角度や位置が一定化しており、噴射ノズル30の取付け精度が安定する。このため、インテークマニホールド10におけるガス燃料とエアとの混合の均一性が確実に確保される。特に、雌ネジ51をその中心軸線Qが連通孔43の幅方向の中心軸線Pと略交差するように形成したことから、噴射ノズル30の先端の噴射口31からのガス燃料が連通孔43の幅方向の中心軸線P上に向けて噴射することになり、そのため、ガス燃料とインテークマニホールド10からの空気との混合が均一に行われるとともに、混合気の流れも円滑になり、それだけ、エンジン1での燃焼を安定化させることができ、燃焼効率を良好にすることができる。更にまた、噴射ノズル30の先端管部32の先端が可能な限りエンジン1側に位置するように噴射ノズル30が傾斜して取り付けられることから、ガス燃料がエンジン1に向けて噴射されるようになり、それだけ混合気の流れが円滑になり、より一層エンジン1での燃焼を安定化させ、燃焼効率を良好にすることができる。
【0031】
また、走行中に、過度負荷運転状態に入ると、コントローラが適時にガソリン燃料に切換えてガソリン燃料をエンジン1に供給する。
このようにして、コントローラにより、エンジン1にLPG燃料及びガソリン燃料をそれぞれ切換えて供給するので、省力化が図られる。そして、長年の使用によっても、ノズル取付部50は、金属製の本体40に予め形成しておくので、従来のように樹脂部材に後加工するのに比較して、精度も良くなることから、ぐらつくなどの支障がなく、それだけ、耐久性も向上させられる。
【0032】
尚、上記実施の形態において、アタッチメントAは4気筒エンジン用に連通孔43を4つ備えているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、エンジン1の気筒数に応じて適宜変更して差し支えない。また、アタッチメントAの組付けにおいては、予め噴射ノズル30を取り付けたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、アタッチメントAを取り付け後に噴射ノズル30を取り付けるようにしても良く、適宜変更してよい。更に、上記実施の形態では、ガス燃料としてLPGの場合で説明したが、CNG等他のガスであっても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
S 燃料供給装置
A 燃料供給装置用アタッチメント
1 エンジン
2 入口開口
3 エンジン接合面
10 インテークマニホールド
11 出口開口
12 マニホールド接合面
13 溝
14 ガスケット
30 噴射ノズル
31 噴射口
32 先端管部
33 ホース
34 取付管部
35 雄ネジ
36 係合部
37 ワッシャ
40 本体
41 入口開放口
42 出口開放口
43 連通孔
P 連通孔の中心軸線
44 上流側接合面
45 下流側接合面
46 取付孔
47 ガスケット
50 ノズル取付部
51 雌ネジ
Q 雌ネジの中心軸線
52 座面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のエンジンに接続されるインテークマニホールドを有し該エンジンにガス燃料及びガソリン燃料をそれぞれ切換えて供給できるようにする燃料供給装置に用いられる燃料供給装置用アタッチメントであって、
ガス燃料が噴射される噴射ノズルが取り付けられるノズル取付部を備え上記エンジンとインテークマニホールドとの間に介装される板状の本体を備えたことを特徴とする燃料供給装置用アタッチメント。
【請求項2】
上記エンジンは、複数のシリンダに夫々連通する複数の入口開口が列設されたエンジン接合面を有して構成され、上記インテークマニホールドは、上記エンジンの各複数の入口開口に対応した複数の出口開口が列設され上記エンジン接合面に接合可能なマニホールド接合面を有して構成され、
上記本体に、上記エンジンの各入口開口及び上記インテークマニホールドの各出口開口に夫々対応した入口開放口及び出口開放口を有した複数の連通孔を形成し、上記入口開放口が列設され上記マニホールド接合面に接合可能な上流側接合面、及び、上記出口開放口が列設され上記エンジン接合面に接合可能な下流側接合面を形成し、上記ノズル取付部を噴射ノズルが上記連通孔内にガス燃料を噴射可能になるように該各連通孔に対応して複数設けたことを特徴とする請求項1記載の燃料供給装置用アタッチメント。
【請求項3】
上記噴射ノズルは、先端に噴射口を有した先端管部と、該先端管部に連設されホースが被嵌されて取り付けられる取付管部とを備えて直状に形成され、且つ、上記先端管部の取付管部側に雄ネジを有して構成され、
上記本体のノズル取付部を、該本体の側壁面から上記連通孔に貫通して設けられ上記噴射ノズルの雄ネジが螺合する雌ネジで構成し、該雌ネジを、該雄ネジの中心軸線が上記連通孔の幅方向の中心軸線と略交差するように形成したことを特徴とする請求項2記載の燃料供給装置用アタッチメント。
【請求項4】
上記雌ネジを、上記噴射ノズルの先端管部の先端が可能な限りエンジン側に位置するように、該雌ネジの中心軸線を上記連通孔の中心軸線に対して傾斜させて形成したことを特徴とする請求項3記載の燃料供給装置用アタッチメント。
【請求項5】
上記雌ネジを、上記連通孔の中心軸線に対して平行な側面視において、上記噴射ノズルが本体の巾の範囲内に位置するように形成したことを特徴とする請求項4記載の燃料供給装置用アタッチメント。
【請求項6】
上記請求項1乃至5何れかに記載の燃料供給装置用アタッチメントを取り付けたことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項7】
上記請求項6記載の燃料供給装置を備えたことを特徴とする自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−113283(P2013−113283A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263175(P2011−263175)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(509160786)有限会社マイカープラザ (1)
【Fターム(参考)】