説明

燃料噴射弁の支持構造

【課題】組立後,燃料供給キャップへの空気の圧送による前記Oリングの装着忘れやそのOリングの損傷の有無の検査を可能にすると共に,洗浄水やダスト等の燃料供給キャップへの侵入を防ぐことができる燃料噴射弁の支持構造を提供する。
【解決手段】燃料噴射部5をエンジンの取り付け孔2に嵌装すると共に,燃料入口筒部6の外周に燃料供給キャップを嵌装し,この燃料供給キャップ20の内周面にOリング8を密接させると共に,この燃料供給キャップ20の前端面でクッションリング17を取り付け孔2側に押圧して燃料噴射弁Iを支持するようにした燃料噴射弁の支持構造において,クッションリング17の少なくとも一部に,燃料供給キャップ20内からクッションリング17外への一方向のみの圧力移動を可能とする一方向シール部31を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,前端に燃料噴射部,後端に燃料入口筒部,中間部に後向きの環状肩部を有する燃料噴射弁の支持構造に関し,特に,前記燃料入口筒部の外周にOリングを装着し,前記環状肩部に,前記燃料入口筒部の外周に嵌合するクッションリングを当接配置し,前記燃料噴射部をエンジンの取り付け孔に嵌装すると共に,前記燃料入口筒部の外周に燃料供給キャップを嵌装し,この燃料供給キャップの内周面に前記Oリングを密接させると共に,この燃料供給キャップの前端面で前記クッションリングを前記取り付け孔側に押圧して燃料噴射弁を支持するようにした,燃料噴射弁の支持構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる燃料噴射弁の支持構造は,例えば下記特許文献1に開示されるように知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭55−26530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来,かゝる燃料噴射弁の支持構造では,その組立後,燃料入口筒部へのOリングの装着忘れやそのOリングの損傷の有無を検査するために,予めクッションリングと燃料供給キャップとの当接面に通気溝を設けておき,組立後,燃料供給キャップに空気を圧送したとき,上記通気溝からの空気の流出の有無をチェックし,その空気の流出時には,前記Oリングの装着忘れ又はそのOリングに損傷があると判定し,再組立を行うようにしている。
【0005】
しかしながら,こうした燃料噴射弁の支持構造では,使用状態において,洗浄水やダスト等が前記通気溝を通過して前記Oリングに付着し,それを汚損する可能性がある。
【0006】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,上記のような通気溝を設けずとも,組立後,燃料供給キャップへの空気の圧送による前記Oリングの装着忘れやそのOリングの損傷の有無の検査を可能にすると共に,洗浄水やダスト等の燃料供給キャップへの侵入を防ぐことができる前記燃料噴射弁の支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,前端に燃料噴射部,後端に燃料入口筒部,中間部に後向きの環状肩部を有する燃料噴射弁の支持構造であって,前記燃料入口筒部の外周にOリングを装着し,前記環状肩部に,前記燃料入口筒部の外周に嵌合するクッションリングを当接配置し,前記燃料噴射部をエンジンの取り付け孔に嵌装すると共に,前記燃料入口筒部の外周に燃料供給キャップを嵌装し,この燃料供給キャップの内周面に前記Oリングを密接させると共に,この燃料供給キャップの前端面で前記クッションリングを前記取り付け孔側に押圧して燃料噴射弁を支持するようにしたものにおいて,前記クッションリングの少なくとも一部に,前記燃料供給キャップ内から該クッションリング外への一方向のみの圧力移動を可能とする一方向シール部を形成したことを第1の特徴とする。尚,前記環状肩部は,後述する本発明の実施形態中の後方肩部16に対応する。
【0008】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記クッションリングを,優弧状をなして前記環状肩部及び前記燃料供給キャップ間の挟持力を支承するクッション部と,劣弧状をなして前記クッション部の両周端間を一体に連結する前記一方向シール部とで構成したことを第2の特徴とする。
【0009】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記一方向シール部を,前記クッション部と共に前記燃料入口筒部の外周に嵌合し且つ前記環状肩部に当接するシール基部と,このシール基部の後端から後方に向かい拡径するように突出して前記燃料供給キャップの前端面に密接するシールリップとで構成し,そのシールリップが前記シール基部を支点として外側方へ撓むことで前記燃料供給キャップ内の圧力を外部に解放するようにしたことを第3の特徴とする。
【0010】
さらにまた本発明は,第2又は第3の特徴に加えて,燃料噴射弁における前記一方向シール部の位置を一定に規制する位置決め手段を,燃料噴射弁及び前記クッションリング間に設けたことを第4の特徴とする。
【0011】
さらにまた本発明は,第4の特徴に加えて,前記環状肩部を,燃料噴射弁の中間部に形成され且つ合成樹脂製の被覆層で被覆される,前記燃料入口筒部より大径のコイル部の後端で構成し,この環状肩部を,第1半円状肩部と,この第1半円状肩部に対して軸方向にずれて配置される第2半円状肩部と,これら第1及び第2半円状肩部間を接続するように起立する起立壁とで構成する一方,前記クッションリングの前端面を,前記第1及び第2半円状肩部にそれぞれ当接する第1及び第2半円状端面と,これら半円状端面間を接続するように起立するストッパ面とで構成し,燃料噴射弁及びクッションリングの相対回転を阻止するように互いに当接する前記起立壁及びストッパ面により前記位置決め手段を構成したことを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば,クッションリングの少なくとも一部に,前記燃料供給キャップ内から該クッションリング外への一方向のみの圧力移動を可能とする一方向シール部を形成したことで,燃料噴射弁の支持構造の組立後,燃料供給キャップへの空気圧送による検査時,一方向シール部からの空気の流出の有無によって,燃料入口筒部へのOリングの装着忘れやそのOリングの損傷の有無を検知することができる。しかも使用に当たって,洗浄水やダスト等が一方向シール部に外部から吹きつけられても,一方向シール部は,燃料供給キャップの前端面に密接する閉じ状態を維持しているので,洗浄水やダスト等の燃料供給キャップへの侵入を防ぐことができる。
【0013】
本発明の第2の特徴によれば,シールリップには,一方向弁機能に適して可撓性を,またクッション部には,燃料噴射弁の弾性支持に適して剛性をそれぞれ付与することができ,これによりクッションリングは,一方向シール部を具備しながら燃料噴射弁に対する安定した弾性支持機能を発揮することができる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば,一方向シール部のシールリップには良好な一方向弁機能を付与することができ,またそのシール基部は,クッション部と共に燃料入口筒部の外周に嵌合することで,クッションリングの位置ずれを防ぐことができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば,燃料噴射弁における前記一方向シール部の位置を一定に規制する位置決め手段を,燃料噴射弁及び前記クッションリング間に設けることで,一方向シール部の位置を,例えばコイル部の一側に突設されるカプラを基準にして直ちに知ることができ,検査時,一方向シール部からの空気の流出の確認を確実に行うことができ,検査の確実性と作業能率の向上を図ることができる。
【0016】
本発明の第5の特徴によれば,前記位置決め手段を構成する起立壁及びストッパ面は,コイル部の被覆層及びクッションリングの成形と共に得ることができ,特別な位置決め手段を設けずに済み,コストアップを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の支持構造により燃料噴射弁をエンジンに取り付けた状態を示す縦断側面図。
【図2】図1の2矢視図。
【図3】燃料噴射弁の要部とクッションリングの分解斜視図。
【図4】(A)は一方向シール部を示す図2のA−A線断面拡大図,(B)及び(C)はその変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態を,添付図面に基づいて以下に説明する。尚,本発明においては,電磁式燃料噴射弁の燃料噴射部側を前方,燃料入口筒部側を後方という。
【0019】
図1において,エンジンの吸気管1(スロットルボディを含む)の一側壁に取り付け孔2が設けられ,この取り付け孔2の外端開口部は環状凹部2aに形成される。
【0020】
一方,この吸気管1に取り付けられた電磁式燃料噴射弁(以下,単に燃料噴射弁という。)Iは,前端に燃料噴射部5,後端に燃料入口筒部6,中間部に,燃料噴射部5及び燃料入口筒部6より大径のコイル部11を有しており,その燃料噴射部5の根元の外周にゴム等の弾性材よりなるクッション・シール部材4が装着され,燃料入口筒部6の外周に形成されたシール溝7にはOリング8が装着される。
【0021】
前記コイル部11は,燃料噴射弁Iの固定コア14を囲繞するコイル9と,このコイル9を埋封するようにモールド成形される合成樹脂製の被覆層10とを備えており,その被覆層10には,その一側方へ張り出すカプラ12が一体成形され,このカプラ12は,前記コイル9に連なる通電用端子13を収容し保持する。被覆層10の,燃料噴射部5側を向いた端面は前方環状肩部15とされ,燃料入口筒部6側を向いた端面は後方環状肩部16とされる。
【0022】
燃料噴射部5は,被覆層10の前方環状肩部15でクッション・シール部材4を前記環状凹部2aに押し込むようにして前記取り付け孔2に嵌装される。
【0023】
後方環状肩部16には,燃料入口筒部6の根元の外周に嵌合される,ゴム等の弾性材よりなるクッションリング17が当接配置され,このクッションリング17を介して燃料噴射弁Iを取り付け孔2側に押圧保持すると共に燃料入口筒部6に燃料を供給する燃料供給キャップ20が燃料入口筒部6に嵌装される。その際,前記Oリング8が燃料供給キャップ20の内周面に密接する。
【0024】
燃料供給キャップ20は合成樹脂製で円筒状をなしており,その一側には支持腕21,他側には燃料ジョイント22が一体に突設され,その支持腕21は,そのボルト孔23に挿通させたボルト24を吸気管1の所定箇所に形成された取り付けボス25のねじ孔26に螺合緊締することにより,吸気管1の所定箇所に固着される。このとき,前記クッション・シール部材4及びクッションリング17に圧縮方向のセット荷重が付与され,これによって燃料噴射弁Iは吸気管1及び燃料供給キャップ20間で弾性支持されることになる。
【0025】
燃料ジョイント22には,図示しない燃料ポンプからの吐出燃料を誘導する燃料導管が接続される。
【0026】
図1〜図3(A)に示すように,前記後方環状肩部16は,コイル部11の一半周に亙って延びる第1半円状肩部16aと,この第1半円状肩部16aに対して前方へずれていてコイル部11の他半周に亙って延びる第2半円状肩部16bと,これら第1及び第2半円状肩部16a,16b間を接続するように起立する起立壁16cとで構成され,前記カプラ12は,その第1半円状肩部16aに近接して配置される。
【0027】
一方,前記クッションリング17の前端面,即ち後方環状肩部16に対向する側の端面は,前記第1及び第2半円状肩部16a,16bにそれぞれ当接する第1及び第2半円状端面17a,17bと,これら半円状端面17a,17b間を接続するように起立するストッパ面17cとで構成され,上記起立壁16c及びストッパ面17cが互いに当接することにより,燃料噴射弁I及びクッションリング17の相対回転を阻止してようになっている。而して,起立壁16c及びストッパ面17cは,燃料噴射弁Iのカプラ12と,クッションリング17に設けられる後述の一方向シール部31との相対位置を規定する位置決め手段27となる。
【0028】
またクッションリング17は,優弧状をなして前記後方環状肩部16及び前記燃料供給キャップ20間の挟持力を支承するクッション部30と,劣弧状をなして前記クッション部30の両周端間を一体に連結する一方向シール部31とで構成され,その一方向シール部31は,前記カプラ12と反対側の前記第2半円状端面17bの領域に配置される。
【0029】
図2及び図4(A)に明示するように,一方向シール部31は,燃料入口筒部6の外周に嵌合して前記第2半円状肩部16bに当接する,半径方向の肉厚がクッション部30より薄い円弧状のシール基部31aと,このシール基部31aの後端から後方に向かい拡径するように突出して前記燃料供給キャップ20の前端面に密接する円弧状で可撓性のシールリップ31bとで構成される。換言すれば,シールリップ31bは,後方外向きに傾斜するように形成される。このシールリップ31bの内側は,燃料供給キャップ20の内側と連通するようになっており,その連通をスムーズにすべく,燃料供給キャップ20内側の前方開口部20aはテーパ状に形成される。
【0030】
図4(B)及び(C)は,上記一方向シール部31の変形例を示すもので,図中,図4(A)の一方向シール部31と対応する部分には同一の参照符号を付して,その構成の説明は省略する。
【0031】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0032】
吸気管1に燃料噴射弁Iを取り付けるに当たっては,先ず,燃料噴射弁Iの燃料噴射部5を吸気管1の取り付け孔2に嵌装すると共に,被覆層10の前方環状肩部15によりクッション・シール部材4を環状凹部2aに押し込んで,燃料噴射部5周りをシールする。
【0033】
次いで,クッションリング17を燃料入口筒部6の根元外周に嵌合して,その第1及び第2半円状端面28a,28bを,コイル部11の第1及び第2半円状肩部16a,16bに当接させると共に,回転ストッパ面28cを起立壁16cに当接し得るよう対向させる。その後,燃料供給キャップ20を燃料入口筒部6の外周に嵌装して,Oリング8に燃料供給キャップ20の内周面を密接させる。
【0034】
そして,燃料供給キャップ20を前方へ押圧してクッション・シール部材4及びクッションリング17に圧縮方向のセット荷重を加えながら,燃料供給キャップ20の支持腕21を吸気管1の取り付けボス25にボルト24で固着する。
【0035】
このような組立後,燃料入口筒部6へのOリング8の装着忘れやOリング8の損傷の有無を検査するために,燃料供給キャップ20に空気を圧送する。而して,Oリング8の装着忘れ又はOリング8に損傷がある場合には,燃料供給キャップ20に圧送した空気が燃料供給キャップ20の内周面に沿ってクッションリング17側へリークして,一方向シール部31のシールリップ31bの内側面を押圧するので,後方外向きに傾斜したシールリップ31bは,図4(A)に鎖線で示すように,シール基部31aを支点として外側方へ撓んで燃料供給キャップ20の前端面より離れ,その離れた箇所から上記のリーク空気が流出し,その流出を検知したとき,Oリング8の装着忘れ又はOリング8の損傷と判定し,再組立を行う。またシールリップ31bから空気の流出がない場合には,Oリング8の装着忘れも,Oリング8の損傷もないと判定する。シールリップ31bからの空気の流出は,圧力センサ又は検査員の触感により検知される。この検査の際,一方向シール部31の円弧状のシール基部31aは,クッション部30と共に燃料入口筒部6の外周に嵌合しているので,クッションリング17の位置ずれを防ぐことができる。
【0036】
一方,吸気管1をエンジンに取り付けた使用状態において,洗浄水やダスト等がクッションリング17の一方向シール部31に外方から吹きつけられた場合には,洗浄水やダスト等の圧力は,後方外向きに傾斜したシールリップ31bに,これを燃料供給キャップ20の前端面により密着する方向に作用することになるので,シールリップ31bは閉じ状態を維持し,洗浄水やダスト等の燃料供給キャップ20内への侵入を防ぐことができる。したがって,一方向シール部31は,内部圧力により開弁し,外部圧力によっては閉弁状態を維持する一方向弁の機能を持つことになる。
【0037】
ところで,クッションリング17は,優弧状をなして前記後方環状肩部16及び燃料供給キャップ20間の挟持力を支承するクッション部30と,劣弧状をなしてクッション部30に一体に連結される一方向シール部31とで構成されるので,シールリップ31bには,一方向弁機能に適して可撓性を,またクッション部30には,燃料噴射弁Iの弾性支持に適して剛性をそれぞれ付与することができ,これによりクッションリング17は,一方向シール部31を具備しながら燃料噴射弁Iに対する安定した弾性支持機能を発揮することができる。
【0038】
また燃料噴射弁I及び前記クッションリング17間には,燃料噴射弁Iにおける一方向シール部31の位置をカプラ12と反対側の所定位置に規定する位置決め手段27が設けられるので,一方向シール部31の位置を,カプラ12を基準にして直ちに知ることができ,検査時,一方向シール部31からの空気の流出の確認を確実に行うことができ,検査の確実性と作業能率の向上に寄与し得る。
【0039】
またコイル部11の被覆層10の成形の際,その後方環状肩部16として,第1半円状肩部と,この第1半円状肩部16aに対して前方へずれて配置される第2半円状肩部16bと,これら第1及び第2半円状肩部16a,16b間を接続するように起立する起立壁16cとが形成され,一方,クッションリング17の成形の際,その前端面として,第1及び第2半円状肩部16a,16bにそれぞれ当接する第1及び第2半円状端面17a,17bと,これら半円状端面17a,17b間を接続するように起立するストッパ面17cとが形成され,上記起立壁16c及びストッパ面17cが,互いに当接してカプラ12及び一方向シール部31の相対位置を規定する位置決め手段27を構成するので,この位置決め手段27は,被覆層10及びクッションリング17の成形と共に得ることができ,特別な位置決め手段を設けずに済み,コストアップを抑えることができる。
【0040】
以上,本発明の実施例について説明したが,本発明はそれに限定されることなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,取り付け孔2は,エンジンの吸入管に設けることもできる。また本発明は多気筒エンジン用としても実施可能である。
【符号の説明】
【0041】
I・・・・・燃料噴射弁
2・・・・・取り付け孔
5・・・・・燃料噴射部
6・・・・・燃料入口筒部
8・・・・・Oリング
10・・・・被覆層
11・・・・コイル部
12・・・・カプラ
16・・・・環状肩部(後方環状肩部)
16a・・・第1半円状肩部
16b・・・第2半円状肩部
16c・・・起立壁
20・・・・燃料供給キャップ
27・・・・位置決め手段
30・・・・クッション部
31・・・・一方向シール部
31a・・・シール基部
31b・・・シールリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端に燃料噴射部(5),後端に燃料入口筒部(6),中間部に後向きの環状肩部(16)を有する燃料噴射弁(I)の支持構造であって,前記燃料入口筒部(6)の外周にOリング(8)を装着し,前記環状肩部(16)に,前記燃料入口筒部(6)の外周に嵌合するクッションリング(17)を当接配置し,前記燃料噴射部(5)をエンジンの取り付け孔(2)に嵌装すると共に,前記燃料入口筒部(6)の外周に燃料供給キャップを嵌装し,この燃料供給キャップ(20)の内周面に前記Oリング(8)を密接させると共に,この燃料供給キャップ(20)の前端面で前記クッションリング(17)を前記取り付け孔(2)側に押圧して燃料噴射弁(I)を支持するようにしたものにおいて,
前記クッションリング(17)の少なくとも一部に,前記燃料供給キャップ(20)内から該クッションリング(17)外への一方向のみの圧力移動を可能とする一方向シール部(31)を形成したことを特徴とする,燃料噴射弁の支持構造。
【請求項2】
請求項1記載の燃料噴射弁の支持構造において,
前記クッションリング(17)を,優弧状をなして前記環状肩部(16)及び前記燃料供給キャップ(20)間の挟持力を支承するクッション部(30)と,劣弧状をなして前記クッション部(30)の両周端間を一体に連結する前記一方向シール部(31)とで構成したことを特徴とする,燃料噴射弁の支持構造。
【請求項3】
請求項2記載の燃料噴射弁の支持構造において,
前記一方向シール部(31)を,前記クッション部(30)と共に前記燃料入口筒部(6)の外周に嵌合し且つ前記環状肩部(16)に当接するシール基部(31a)と,このシール基部(31a)の後端から後方に向かい拡径するように突出して前記燃料供給キャップ(20)の前端面に密接するシールリップ(31b)とで構成し,そのシールリップ(31b)が前記シール基部(31a)を支点として外側方へ撓むことで前記燃料供給キャップ(20)内の圧力を外部に解放するようにしたことを特徴とする,燃料噴射弁の支持構造。
【請求項4】
請求項2又は3記載の燃料噴射弁の支持構造において,
燃料噴射弁(I)における前記一方向シール部(31)の位置を一定に規制する位置決め手段(27)を,燃料噴射弁(I)及び前記クッションリング(17)間に設けたことを特徴とする,燃料噴射弁の支持構造。
【請求項5】
請求項4記載の燃料噴射弁の支持構造において,
前記環状肩部(16)を,燃料噴射弁(I)の中間部に形成され且つ合成樹脂製の被覆層(10)で被覆される,前記燃料入口筒部(6)より大径のコイル部(11)の後端で構成し,この環状肩部(16)を,第1半円状肩部(16a)と,この第1半円状肩部(16a)に対して軸方向にずれて配置される第2半円状肩部(16b)と,これら第1及び第2半円状肩部(16a,16b)間を接続するように起立する起立壁(16c)とで構成する一方,前記クッションリング(17)の前端面を,前記第1及び第2半円状肩部(16a,16b)にそれぞれ当接する第1及び第2半円状端面(17a,17b)と,これら半円状端面(17a,17b)間を接続するように起立するストッパ面(17c)とで構成し,燃料噴射弁(I)及びクッションリング(17)の相対回転を阻止するように互いに当接する前記起立壁(16c)及びストッパ面(17c)により前記位置決め手段(27)を構成したことを特徴とする,燃料噴射弁の支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−100740(P2013−100740A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243821(P2011−243821)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】