説明

燃料容器保持構造

【課題】燃料容器に伝わる衝撃を緩和することができるとともに、省スペース化を実現できる燃料容器保持構造を提供する。
【解決手段】前端部40aにノズル44を備えた燃料容器40を着脱可能に保持するための燃料容器保持構造において、前記燃料容器40の前端部40aを保持する前端保持部22と、前記燃料容器40の後端部40bを保持する後端保持部28と、を備えるようにした。前記前端保持部40aには前記ノズル44を接続するための接続部23を設け、前記前端保持部40aは前記接続部23と前記燃料容器40との間に設けられた緩衝機構によって前記燃料容器40を支持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料容器保持構造に関し、特に、衝撃から燃料容器を保護するための燃料容器保持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガス燃焼式打ち込み工具は、液化した燃料ガスを充填したガス缶等の燃料容器を工具内に装着し、この燃料容器から供給される可燃ガスを密閉された燃焼室内へ注入し、燃焼室内で可燃ガスと空気との混合ガスを生成し、この混合ガスに着火したときの燃焼圧力により締結材を打ち込むようになっている。
【0003】
燃料容器は、ハウジング内に設けられた燃料容器収容部に収容されて、ガス燃焼式打ち込み工具の本体に着脱可能となっており、充填燃料がなくなったら交換が可能に形成されている。
【0004】
ところで、従来のガス燃焼式打ち込み工具では、打ち込み時の衝撃が燃料容器に伝わり、これにより燃料容器が破損するなどの問題があった。例えばアルミ製のインナーバッグにガス燃料を充填したガス缶の場合、打ち込み時の衝撃によってインナーバッグに皺や折れ目が生じる変形によって亀裂や穴が開いてしまう(ピンホール現象)という問題があった。このようにガス缶のインナーバッグに穴が開いてしまうと、インナーバッグ内の燃料ガスとインナーバッグ外の噴射ガス(窒素等)とが混合し、燃料ガスの噴射不良が発生する。燃料ガスの噴射不良によって着火ができなければ、ピンホールが発生したガス缶は、たとえ燃料が残っていても使用不能となる。
【0005】
このような問題を回避するには燃料容器に伝わる衝撃を緩和することが考えられる。例えば、特許文献1には、燃料容器を接続するための接続エレメントがバネを介して弾力を加えられるようにした内燃式打込具が開示されている。このような発明によれば、燃料容器に伝わる衝撃をバネによって吸収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006000233号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記した特許文献1記載の発明では、接続エレメントをバネによって保持しているため、バネを設けるためのスペースを確保しなければならないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、燃料容器に伝わる衝撃を緩和することができるとともに、接続エレメントを保持するバネなどを設けるためのスペースが不要であり、省スペース化を実現できる燃料容器保持構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0010】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項1に記載の燃料容器保持構造は、前端部にノズルを備えた燃料容器を着脱可能に保持するための燃料容器保持構造であって、前記燃料容器の前端部を保持する前端保持部と、前記燃料容器の後端部を保持する後端保持部と、を備え、前記前端保持部には前記ノズルを接続するための接続部が設けられるとともに、前記前端保持部は前記接続部と前記燃料容器との間に設けられた緩衝機構によって前記燃料容器を支持していることを特徴とする。
【0012】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記緩衝機構は、前記ノズルを弾性的に受ける緩衝部材を備えて構成されていることを特徴とする。
【0014】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0015】
すなわち、前記接続部内には燃料供給路を開閉するためのバルブが設けられており、このバルブは、前記ノズルが接続されたときに開方向に押圧される弁体と、前記弁体を閉方向に付勢する弁体付勢部材と、を備えたものであって、前記緩衝機構は、前記弁体付勢部材の付勢力によって前記ノズルを弾性的に受けるものであることを特徴とする。
【0016】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0017】
すなわち、前記後端保持部に、前記燃料容器の後端部に加えられた衝撃を緩和するための後端緩衝体を設け、前記後端緩衝体の付勢荷重を前記弁体付勢部材の付勢荷重よりも大きくなるようにしたことを特徴とする。
【0018】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0019】
すなわち、前記後端緩衝体の付勢荷重から前記弁体付勢部材の付勢荷重を相殺して導き出される荷重を、前記ノズルから燃料を噴出させるために前記燃料容器の前端部に加えなければならない荷重よりも大きくしたことを特徴とする。
【0020】
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0021】
すなわち、前記後端保持部に、前記燃料容器の後端部に加えられた衝撃を緩和するための高分子材料の後端緩衝体を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、前端保持部にはノズルを接続するための接続部が設けられるとともに、前端保持部は接続部と燃料容器との間に設けられた緩衝機構によって燃料容器を支持している。すなわち、接続部と燃料容器との間に緩衝機構を設けて燃料容器自体を緩衝機構で受け止める構造となっているので、省スペース化が実現できる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記緩衝機構は、前記ノズルを弾性的に受ける緩衝部材を備えて構成されている。これにより、接続部の内部に緩衝機構を設けることができるので、省スペース化が実現でき、共通化設計や機種展開を容易とすることができる。また、接続部を取り外し可能とすれば、洗浄などのメンテナンスも容易とすることができる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記接続部内には燃料供給路を開閉するためのバルブが設けられており、このバルブは、前記ノズルが接続されたときに開方向に押圧される弁体と、前記弁体を閉方向に付勢する弁体付勢部材と、を備えている。そして、前記緩衝機構は、前記弁体付勢部材の付勢力によって前記ノズルを弾性的に受けるものである。これにより、接続部の内部に緩衝機構を設けることができるので、省スペース化が実現でき、共通化設計や機種展開を容易とすることができる。また、接続部を取り外し可能とすれば、洗浄などのメンテナンスも容易とすることができる。また、バルブが緩衝機構を兼ねているので、従来の部品点数から部品を増やすことなく製造できる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記後端保持部に、前記燃料容器の後端部に加えられた衝撃を緩和するための後端緩衝体を設けた。このため、燃料容器の前端部を緩衝機構で保持し、燃料容器の後端部を後端緩衝体で保持することとなっており、工具に衝撃が加えられた瞬間のみならず、その反動で燃料容器が動いたときの衝撃も吸収できるので、より燃料容器に加わる衝撃を緩和することができる。
【0026】
しかも、前記後端緩衝体の付勢荷重を前記弁体付勢部材の付勢荷重よりも大きくなるようにしたため、後端緩衝体が荷重を吸収してしまって弁体が開かないという問題が発生しない。
【0027】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記後端緩衝体の付勢荷重から前記弁体付勢部材の付勢荷重を相殺して導き出される荷重を、前記ノズルから燃料を噴出させるために前記燃料容器の前端部に加えなければならない荷重よりも大きくした。このため、前記後端緩衝体の付勢荷重から前記弁体付勢部材の付勢荷重を相殺して導き出される荷重が小さすぎるために、前記燃料容器の弁が開かずにガスが噴射されないという問題が発生しない。
【0028】
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、前記後端保持部に、前記燃料容器の後端部に加えられた衝撃を緩和するための高分子材料の後端緩衝体を設けたので、燃料容器の前端部を緩衝機構で保持し、燃料容器の後端部を後端緩衝体で保持することとなっており、工具に衝撃が加えられた瞬間のみならず、その反動で燃料容器が動いたときの衝撃も吸収できるので、より燃料容器に加わる衝撃を緩和することができる。しかも、後端緩衝体が高分子材料で構成されているため、バネを使用した場合などと比較して衝撃吸収の速度が速く、燃料容器を痛めることなく衝撃を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ガス燃焼式打ち込み工具の外観図である。
【図2】燃料容器を取付中の燃料容器収容部の断面図である。
【図3】燃料容器を取付中の燃料容器収容部の一部拡大断面図である。
【図4】燃料容器を取付後の燃料容器収容部の断面図である。
【図5】燃料容器を取付後の燃料容器収容部の一部拡大断面図である。
【図6】燃料容器収容部内で燃料容器が移動する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に係る燃料容器保持構造の実施形態について、ガス燃焼式打ち込み工具10を例に挙げ、図を参照しながら説明する。
【0031】
本実施形態に係るガス燃焼式打ち込み工具10は、図1に示すように、ボデーハウジング11の後方にグリップハウジング12が連設されたものとなっている。前記ボデーハウジング11の下部には釘を被打込材へ向けて打込み案内するノーズ部13が取り付けられており、このノーズ部13の側方には多数の釘が装填されたマガジン14が連設されている。これにより、マガジン14内の釘がノーズ部13へ順次供給され、ノーズ部13へ供給された釘がボデーハウジング11内の打撃機構(図示せず)によって打撃されて、ノーズ部13の先端の射出口から被打込材へ打ち出されるように形成されている。
【0032】
前記した打撃機構は、ボデーハウジング11内の燃焼室で可燃性ガスと空気との混合ガスを生成し、この混合ガスを燃焼させることによって生じる燃焼ガスの圧力を打撃ピストンに作用させて、この打撃ピストンにより釘を打撃するものである。
【0033】
燃焼室へのガスの供給は、燃焼室内に臨む供給口から行われる。この供給口には、ガス供給管が接続され、電磁弁装置から噴射されたガス燃料が燃焼室に導かれるようになっている。電磁弁装置は、液化したガス燃料を充填した燃料容器40に接続されており、この燃料容器40から供給される燃料を計量して、一定量の可燃性ガスを前記燃焼室へと噴射するようになっている。
【0034】
本実施形態における燃料容器40は、筒状(円筒状)のガス缶であり、図3及び図5に示すように、ガス燃料を充填するための燃料充填部46と、燃料充填部46の前端に嵌め込み固定されたキャップ部材41と、このキャップ部材41の内側に沿って出没可能に設けられた摺動部材42と、摺動部材42の中央に開口したノズル孔42aから出没可能なノズル44と、を備えて構成される。
【0035】
なお、燃料充填部46は、外缶と、外缶の内部に配置されたインナーバッグと、の2重構造となっている。インナーバッグの内部には液化燃料ガスが充填されており、外缶とインナーバッグとの間には燃料ガスの圧力よりも高圧の圧縮ガスが充填されている。これにより、圧縮ガスでインナーバッグの表面を押圧し、インナーバッグを押し潰して燃料ガスがノズル44から噴射されるようになっている。
【0036】
燃料ガスの噴射を調整する弁の役割は、上記した摺動部材42が果たしており、この摺動部材42はコイルスプリング43によって突出方向へと付勢されている。同様に、ノズル44はガス燃料を噴射するためのものであり、ノズル付勢部材45によって突出方向へと付勢されている。
【0037】
この燃料容器40は、図1に示すように、釘の打ち出し方向と略平行に設けられた燃料容器収容部20に収容されている。この燃料容器収容部20は、ヒンジによって開閉可能に取り付けられた収容蓋部21を備えており、この収容蓋部21を回動させることで燃料容器収容部20が開閉可能となっている。すなわち、収容蓋部21を開放することで、図1に示すように、燃料容器収容部20の上面が開口し、燃料容器収容部20に収容された燃料容器40を取り出したり、燃料容器収容部20に燃料容器40を挿入したりすることができるようになっている。
【0038】
なお、燃料容器40は、ノズル44が設けられた前端部40aの方向から燃料容器収容部20に挿入されて収容される。燃料容器収容部20は、図2に示すように、燃料容器40の前端部40aを保持する前端保持部22と、燃料容器40の後端部40bを保持する後端保持部28と、を備えており、この前端保持部22と後端保持部28とで燃料容器40を両側から保持するように形成されている。
【0039】
前端保持部22には、図2に示すように、接続ユニット23が設けられている。この接続ユニット23は、燃料容器40のノズル44を接続するための部材であり、グリップハウジング12に対して着脱可能に設けられている。この接続ユニット23は、内部に短い管路が形成されており、接続部23とは逆側が電磁弁に接続されている。このため、接続部23に燃料容器40が接続されると、燃料容器40内の燃料は接続ユニット23内の管路を通り、電磁弁装置へと供給される。
【0040】
この接続ユニット23の内部には、この燃料容器40から電磁弁装置へと至る燃料供給路を開閉するためのバルブ25が設けられており、このバルブ25は、燃料容器40のノズル44が接続されたときに開方向に押圧される弁体26と、この弁体26を閉方向に付勢する圧縮バネの弁体付勢部材27と、を備えている。このため、図3に示すように、燃料容器40の取り付け前においては、弁体26が弁体付勢部材27によって閉方向(ノズル44の取り付け方向)に付勢されてバルブ25が燃料供給路を閉じており、燃料容器40から電磁弁装置へと燃料が供給されないようになっている。一方、図5に示すように、燃料容器40を取り付けた後においては、前記弁体付勢部材27の付勢力に抗ってノズル44が弁体26を内部に押し込んでバルブ25が開き、燃料容器40から電磁弁装置へと燃料が供給されるようになっている。
【0041】
なお、燃料容器40から電磁弁装置へと燃料を供給するためには、接続ユニット23のバルブ25のみならず、燃料容器40のノズル44から燃料を噴出させる必要がある。すなわち、燃料容器40は、接続ユニット23に接続する前の状態においては、図3に示すように、ノズル44の先端に設けられた噴出口44aが摺動部材42に埋没して閉じられており、外部にガスが漏れないようになっているため、噴出口44aを露出させて燃料を噴出させる必要がある。
【0042】
本実施形態においては、燃料容器40を接続ユニット23に接続することで燃料容器40のノズル44から燃料が噴出する。すなわち、燃料容器40を接続ユニット23に接続すると、接続ユニット23の突端部23aが摺動部材42のノズル孔42aの周囲に設けられた周溝部42bに嵌り込み、摺動部材42を内方へと押圧する。これにより、摺動部材42はコイルスプリング43の付勢力に抗って内方へと移動し、図5に示すようにノズル44の先端が摺動部材42の外側に突出し噴出口44aが露出するので、燃料容器40から燃料を噴出させることができる。このように、燃料容器40の前端部40a(摺動部材42)に荷重を加えることで、燃料容器40のノズル44から燃料が噴出するようになっている。
【0043】
本実施形態においては、燃料容器40のノズル44を弾性的に受ける弁体26が緩衝部材となって燃料容器40の前端部40aを支持しており、この弁体26と弁体付勢部材27とを備えたバルブ25が接続ユニット23と燃料容器40との間に設けられた緩衝機構として機能するようになっている。言い換えると、緩衝機構によって弾性的に支持されるノズル44によって燃料容器40の下死点が決定されている。
【0044】
また、接続ユニット23の突端部23aを弾性的に受ける摺動部材42も接続ユニット23と燃料容器40との間に設けられた緩衝機構として機能するようになっている。
【0045】
このため、図5に示すように、燃料容器40の燃料充填部46と接続ユニット23との間には何らかの緩衝機構が必ず存在しており、この緩衝機構以外の部分が燃料容器40の前端部40aに接触しないように形成されている。このため、燃料容器収容部20の前端保持部22に衝撃が加わった場合でも、その衝撃が直接的に燃料充填部46に加わることがないようになっており、燃料充填部46の破損(インナーバッグに皺や折れ目が生じる変形によって亀裂や穴が開いてしまうピンホール現象)を避けることができるように形成されている。
【0046】
また、後端保持部28には、図2に示すように、燃料容器40の後端部40bに加えられた衝撃を緩和するための圧縮バネの後端緩衝体29が設けられている。この後端緩衝体29は収容蓋部21の裏面に設けられており、燃料容器40を収容した状態で収容蓋部21を閉じると、後端緩衝体29によって燃料容器40が接続ユニット23の方向に押圧され、燃料容器収容部20の内部で固定されるとともに、衝撃が加えられたときに後端緩衝体29が弾性変形して燃料容器40への衝撃を緩和するようになっている。
【0047】
図6は、燃料容器収容部20内で燃料容器40が移動する様子を示す説明図であり、この図6が示すように、ガス燃焼式打ち込み工具10によって釘が打ち込まれるなどしたときに燃料容器40に衝撃が加わると、弁体付勢部材27、後端緩衝体29、コイルスプリング43がそれぞれ伸縮し、燃料容器40が長手方向に移動することで、燃料容器40へと加わる衝撃が緩和されるように形成されている。
【0048】
なお、後端緩衝体29の付勢荷重は、弁体付勢部材27の付勢荷重よりも大きくなるように形成されている。これは、後端緩衝体29が弁体付勢部材27の付勢荷重を吸収してしまって弁体26が開かないという問題を回避するためである。
【0049】
また、後端緩衝体29の付勢荷重から弁体付勢部材27の付勢荷重を相殺して導き出される荷重を、コイルスプリング43の付勢荷重よりも大きくしている。これは、後端緩衝体29の付勢荷重から弁体付勢部材27の付勢荷重を相殺して導き出される荷重が小さすぎるために、コイルスプリング43の付勢力に抗って摺動部材42を押し込むことができず、燃料容器40から燃料を噴射できないという問題を回避するためである。
【0050】
以上説明したように、本実施形態によれば、前端保持部22にはノズル44を接続するための接続ユニット23が設けられるとともに、前端保持部22は接続ユニット23と燃料容器40との間に設けられた緩衝機構によって燃料容器40を支持している。すなわち、接続ユニット23と燃料容器40との間に緩衝機構を設けて燃料容器40自体を緩衝機構で受け止める構造となっているので、省スペース化を実現できる。
【0051】
また、前記緩衝機構は、前記ノズル44を弾性的に受ける緩衝部材26を備えて構成されている。これにより、接続ユニット23の内部に緩衝機構を設けることができるので、省スペース化が実現でき、共通化設計や機種展開を容易とすることができる。また、接続ユニット23が取り外し可能であるので、洗浄などのメンテナンスも容易とすることができる。
【0052】
また、前記接続ユニット23内には燃料供給路を開閉するためのバルブ25が設けられており、このバルブ25は、前記ノズル44が接続されたときに開方向に押圧される弁体26と、前記弁体26を閉方向に付勢する弁体付勢部材27と、を備えている。そして、前記緩衝機構は、前記弁体付勢部材27の付勢力によって前記ノズル44を弾性的に受けるものである。これにより、接続ユニット23の内部に緩衝機構を設けることができるので、省スペース化が実現でき、共通化設計や機種展開を容易とすることができる。また、接続ユニット23を取り外し可能とすれば、洗浄などのメンテナンスも容易とすることができる。また、バルブ25が緩衝機構を兼ねているので、従来の部品点数から部品を増やすことなく製造できる。
【0053】
また、後端保持部28に、燃料容器40の後端部40bに加えられた衝撃を緩和するための後端緩衝体29を設けた。このため、燃料容器40の前端部40aを緩衝機構で保持し、燃料容器40の後端部40bを後端緩衝体29で保持することとなっており、工具に衝撃が加えられた瞬間のみならず、その反動で燃料容器40が動いたときの衝撃も吸収できるので、より燃料容器40に加わる衝撃を緩和することができる。
【0054】
なお、本発明に係る緩衝機構としては上記した実施形態に限らない。例えば、接続ユニット23と燃料容器40とが直接接触しないようにクリアランスを設け、このクリアランスにバネやゴムなどの緩衝部材を配置することとしてもよい。このとき、緩衝部材は、接続ユニット23に設けてもよいし、グリップハウジング12の内側(燃料容器収容部20の内側)に設けてもよい。
【0055】
また、上記した実施形態においては、燃料容器40が釘の打ち出し方向と略平行の燃料容器収容部20に収容される構成としたが、これに限らず、たとえばグリップやマガジン等の打ち出し方向と略垂直の燃料容器収容部に燃料容器を収容した構成において緩衝機構を設けても良い。
【0056】
また、上記した実施形態においては、後端緩衝体29として圧縮バネを用いたが、これに限らない。例えば、後端緩衝体29をゴム、軟質プラスチック等の高分子材料で構成することとしてもよい。後端緩衝体29を高分子材料で構成すれば、バネを使用した場合などと比較して衝撃吸収の速度が速く、燃料容器40を痛めることなく衝撃を吸収することができる。
【符号の説明】
【0057】
10 ガス燃焼式打ち込み工具
11 ボデーハウジング
12 グリップハウジング
13 ノーズ部
14 マガジン
20 燃料容器収容部
21 収容蓋部
22 前端保持部
23 接続ユニット(接続部)
23a 突端部
25 バルブ
26 弁体(緩衝部材)
27 弁体付勢部材
28 後端保持部
29 後端緩衝体
40 燃料容器
40a 前端部
40b 後端部
41 キャップ部材
42 摺動部材
42a ノズル孔
42b 周溝部
43 コイルスプリング
44 ノズル
44a 噴出口
45 ノズル付勢部材
46 燃料充填部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部にノズルを備えた燃料容器を着脱可能に保持するための燃料容器保持構造であって、
前記燃料容器の前端部を保持する前端保持部と、前記燃料容器の後端部を保持する後端保持部と、を備え、
前記前端保持部には前記ノズルを接続するための接続部が設けられるとともに、前記前端保持部は前記接続部と前記燃料容器との間に設けられた緩衝機構によって前記燃料容器を支持していることを特徴とする、燃料容器保持構造。
【請求項2】
前記緩衝機構は、前記ノズルを弾性的に受ける緩衝部材を備えて構成されていることを特徴とする、請求項1記載の燃料容器保持構造。
【請求項3】
前記接続部内には燃料供給路を開閉するためのバルブが設けられており、このバルブは、前記ノズルが接続されたときに開方向に押圧される弁体と、前記弁体を閉方向に付勢する弁体付勢部材と、を備えたものであって、
前記緩衝機構は、前記弁体付勢部材の付勢力によって前記ノズルを弾性的に受けるものであることを特徴とする、請求項1記載の燃料容器保持構造。
【請求項4】
前記後端保持部に、前記燃料容器の後端部に加えられた衝撃を緩和するための後端緩衝体を設け、
前記後端緩衝体の付勢荷重を前記弁体付勢部材の付勢荷重よりも大きくなるようにしたことを特徴とする、請求項3記載の燃料容器保持構造。
【請求項5】
前記後端緩衝体の付勢荷重から前記弁体付勢部材の付勢荷重を相殺して導き出される荷重を、前記ノズルから燃料を噴出させるために前記燃料容器の前端部に加えなければならない荷重よりも大きくしたことを特徴とする、請求項4記載の燃料容器保持構造。
【請求項6】
前記後端保持部に、前記燃料容器の後端部に加えられた衝撃を緩和するための高分子材料の後端緩衝体を設けたことを特徴とする、請求項1記載の燃料容器保持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−254506(P2012−254506A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129817(P2011−129817)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】