説明

燃料電池−冷却系用のアゾール誘導体を含有している1,3−プロパンジオールをベースとする冷却剤

0個又は最大1個の硫黄原子を有し、かつ芳香族又は飽和の6員の縮合成分を有していてよい、窒素及び硫黄の群からのへテロ原子2又は3個を有する1つ又はそれ以上の5員のヘテロ環式化合物(アゾール誘導体)を含有している、1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物をベースとする、燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物であって、前記濃縮物から最大50μS/cmの伝導率を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物がもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特別なアゾール誘導体を腐食防止剤として含有する、1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物をベースとする、燃料電池駆動装置における冷却系用の、特に自動車両用の、冷却剤に関する。
【0002】
自動車両における移動使用のための燃料電池は、約−40℃までの低い外部温度でも運転可能でなければならない。故に凍結保護された冷却剤循環路は不可欠である。
【0003】
内燃機関の場合に使用される従来の冷却器保護剤の使用は、燃料電池の場合に冷却路を完全に電気絶縁せずには不可能であろう、それというのもこれらの薬剤は、その中に腐食防止剤として含まれている塩及びイオン化可能な化合物のために高すぎる電気伝導率を有し、このことは燃料電池の機能を否定的に妨害するであろうからである。
【0004】
DE-A 198 02 490(1)には、冷却剤として−40℃を下回る流動点を有するパラフィン異性体混合物が使用されることによる、凍結保護された冷却循環路を有する燃料電池が記載されている。しかしながらそのような冷却剤の可燃性は不利である。
【0005】
EP-A 1 009 050(2)からは、冷却媒体として空気が使用されることによる、自動車用の燃料電池系が公知である。しかしながらその際に、空気が周知のように液状の冷却媒体よりも劣悪な熱導体であることは不利である。
【0006】
WO 00/17951(3)には、冷却剤として純モノエチレングリコール/水−混合物が1:1の比で添加剤なしで使用されることによる、燃料電池用の冷却系が記載されている。腐食防止剤が存在しないために、冷却系中に存在している金属に対するいかなる防食も存在していないので、冷却剤の純度を維持するため及びより長時間に亘る低い比伝導率を保証するために、冷却循環路はイオン交換体−ユニットを有し、それにより短絡及び腐食が防止される。適しているイオン交換体として、アニオン性樹脂、例えば強アルカリ性ヒドロキシル型の樹脂及びカチオン性樹脂、例えばスルホン酸基ベースの樹脂、並びに他のろ過ユニット、例えば活性炭フィルターが挙げられる。
【0007】
自動車用の燃料電池、特に導電性電解質膜を備えた燃料電池(“PEM−燃料電池”、“polymer electrolyte membrane fuel cell”)の構成及び機能様式は、(3)に例示的に記載されており、その際に冷却循環路(冷却器)中の好ましい金属成分としてアルミニウムが好まれる。
【0008】
WO 02/055630(4)には、オルトケイ酸エステルを腐食防止剤として含有する、燃料電池駆動装置におけるグリコール−ベースの冷却系用の冷却剤が記載されている。
【0009】
WO 02/073727(5)には、添加剤のない水中の1,3−プロパンジオールをベースとする非毒性の燃料電池冷却剤が記載されている。
【0010】
オットー燃料又はディーゼル燃料を用いて運転される従来の内燃機関用の冷却器保護剤における腐食防止剤としてのアゾール誘導体、例えばベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール又はトルトリアゾール(Tolutriazol)の使用は久しい以前から、例えば:G. Reinhard他, “Aktiver Korrosionsschutz in waessrigen Medien”, 87-98頁, expert-Verlag 1995 (ISBN 3-8169-1265-6)から公知である。
【0011】
燃料電池駆動装置における冷却系用の、アルキレングリコール又はそれらの誘導体をベースとする冷却剤におけるそのようなアゾール誘導体の使用は、ドイツ連邦共和国特許出願整理番号101 28 530.2(6)に記載されている。
【0012】
燃料電池駆動装置における冷却系の場合の主要な問題は、燃料電池の信頼できかつトラブルのない機能を保証し、かつ永続的に短絡及び腐食を防止するために、冷却剤の低い電気伝導率を維持することである。
【0013】
意外なことに、1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物をベースとする冷却系における低い電気伝導率の期間が、また及び特に(3)に従って一体化されたイオン交換体を有する場合に、アゾール誘導体の僅少量を添加することにより明らかに延長させることが現在見出された。これは燃料電池駆動装置の場合の2つの冷却剤交換の間の時間間隔をさらに引き延ばすという利点を実地のために提供し、このことは特に自動車分野において興味深い。
【0014】
それに応じて、0個又は最大1個の硫黄原子を有し、かつ芳香族又は飽和の6員の縮合成分を有していてよい、窒素及び硫黄の群からのへテロ原子2又は3個を有する1つ又はそれ以上の5員のヘテロ環式化合物(アゾール誘導体)を含有する、1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物をベースとする、燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物が見出され、前記濃縮物から最大50μS/cmの伝導率を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物がもたらされる。
【0015】
この際に、前記のアゾール誘導体を全部で0.05〜5質量%、特に0.075〜2.5質量%、とりわけ0.1〜1質量%含有する不凍液濃縮物が好まれる。
【0016】
これらの5員のヘテロ環式化合物(アゾール誘導体)は、へテロ原子として通常窒素原子2個及び硫黄原子0個、窒素原子3個及び硫黄原子0個又は窒素原子1個及び硫黄原子1個を有する。
【0017】
前記のアゾール誘導体の好ましい群は、一般式(I)又は(II)
【0018】
【化1】

[式中、変数Rは水素又はC−〜C10−アルキル基、特にメチル又はエチルを表し、かつ変数Xは窒素原子又は基C−Hを表す]で示される縮合されたイミダゾール及び縮合された1,2,3−トリアゾールである。一般式(I)のアゾール誘導体の典型的な例は、ベンズイミダゾール(X=C−H,R=H)、ベンゾトリアゾール(X=N,R=H)及びトルトリアゾール(トリルトリアゾール)(X=N,R=CH)である。一般式(II)のアゾール誘導体の典型的な例は、水素化された1,2,3−トルトリアゾール(トリルトリアゾール)(X=N,R=CH)である。
【0019】
前記のアゾール誘導体の別の好ましい群は、一般式(III)
【0020】
【化2】

[式中、変数Rは前記の意味を表し、かつ変数R′は水素、C−〜C10−アルキル基、特にメチル又はエチル、又は特にメルカプト基(−SH)を表す]で示されるベンゾチアゾールである。一般式(III)のアゾール誘導体の典型的な例は2−メルカプトベンゾチアゾールである。
【0021】
さらに、一般式(IV)
【0022】
【化3】

[式中、変数X及びYは一緒に窒素原子2個又は窒素原子1個及び基C−H 1個を表す]で示される縮合されていないアゾール誘導体、例えば1H−1,2,4−トリアゾール(X=Y=N)又はイミダゾール(X=N,Y=C−H)が好まれる。
【0023】
本発明のためには、アゾール誘導体としてベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、水素化されたトルトリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール又はこれらからなる混合物が極めて特に好まれる。
【0024】
前記のアゾール誘導体は商業的に入手可能であるか、又は普通の方法により製造可能である。水素化されたベンゾトリアゾール、例えば水素化されたトルトリアゾールは同様にDE-A 19 48 794(7)に従って入手可能であり、かつ商業的にも入手可能である。
【0025】
前記のアゾール誘導体に加えて、本発明による不凍液濃縮物は好ましくは、(4)に記載されているようなオルトケイ酸エステルを付加的に含有する。そのようなオルトケイ酸エステルの典型的な例はテトラアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシランである。この際に不凍液濃縮物、特に全部で0.05〜5質量%の前記アゾール誘導体含量を有する濃縮物が好まれ、前記濃縮物からケイ素2〜2000質量ppm、特にケイ素25〜500質量ppmのケイ素含量を有する、直ちに使用できる水性冷却剤組成物がもたらされる。
【0026】
本発明による不凍液濃縮物からは、イオンを含まない水で希釈することにより、本質的には
(a)1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物 10〜90質量%、
(b)水 90〜10質量%、
(c)前記のアゾール誘導体 0.005〜5質量%、特に0.0075〜2.5質量%、とりわけ0.01〜1質量%及び
(d)場合によりオルトケイ酸エステル
からなり、最大50μS/cmの伝導率を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物が製造されることができる。全成分の総和はこの際に100質量%である。
【0027】
それゆえ、本発明の対象は、本質的には
(a)1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物 10〜90質量%、
(b)水 90〜10質量%、
(c)前記のアゾール誘導体 0.005〜5質量%、特に0.0075〜2.5質量%、とりわけ0.01〜1質量%及び
(d)場合によりオルトケイ酸エステル
からなり、かつイオンを含まない水で前記の不凍液濃縮物を希釈することにより得ることができる、燃料電池駆動装置における冷却系用の、直ちに使用できる水性冷却剤組成物でもある。全成分の総和はこの際に100質量%である。
【0028】
本発明による直ちに使用できる水性冷却剤組成物は、最大50μS/cm、特に25μS/cm、好ましくは10μS/cm、とりわけ5μS/cm又はそれ未満の初期電気伝導率を有する。伝導率は、特に燃料電池駆動装置において一体化されたイオン交換体を備えた冷却系が使用される場合に、燃料電池駆動装置の持続運転において数週間又は数ヶ月に亘りこの低い水準に維持される。
【0029】
本発明による直ちに使用できる水性冷却剤組成物のpH値は、前記のアゾール誘導体が添加されない冷却液の場合よりも、運転期間に亘って明らかによりゆっくりと低下する。pH値は新鮮な本発明による冷却剤組成物の場合に通常4.5〜7の範囲内であり、かつ持続運転においてたいてい3.5までに低下する。希釈するために使用されるイオンを含まない水は、蒸留された又は二回蒸留された純水又は例えばイオン交換により脱イオンされた水であってよい。
【0030】
直ちに使用できる水性冷却剤組成物中の1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物対水の好ましい質量混合比は、20:80〜80:20、特に25:75〜75:25、好ましくは65:35〜35:65、とりわけ60:40〜40:60である。
【0031】
1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール成分及び/又はこれらの誘導体、特にモノエチレングリコール、しかしそれに加えモノプロピレングリコール(=1,2−プロパンジオール)、ポリグリコール、グリコールエーテル又はグリセリンとの混合物も使用されることができる。この際に50質量%を上回り、特に80質量%を上回り、とりわけ95質量%を上回る1,3−プロパンジオール含量を有するそのような混合物が好まれる。
【0032】
前記の直ちに使用できる水性冷却剤組成物がもたらされる本発明による不凍液濃縮物自体は、水を含まずにか又は僅かな含水量(ほぼ10質量%まで、特に5質量%まで)を有して使用されることができる、1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物中へ前記のアゾール誘導体を溶解させることにより製造されることができる。
【0033】
本発明の対象は、1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物をベースとする、燃料電池駆動装置における冷却系用の、特に自動車両用の不凍液濃縮物を製造するための、0個又は最大1個の硫黄原子を有し、かつ芳香族又は飽和の6員の縮合成分を有していてよい、窒素及び硫黄の群からのへテロ原子2又は3個を有する5員のヘテロ環式化合物(アゾール誘導体)の使用でもある。
【0034】
さらに、本発明の対象は、燃料電池駆動装置における冷却系用、特に自動車両用の、最大50μS/cmの伝導率を有する、直ちに使用できる水性冷却剤組成物を製造するためのこれらの不凍液濃縮物の使用である。
【0035】
本発明による冷却剤組成物は、WO 02/063707(8)によるか又はドイツ連邦共和国特許出願整理番号102 01 276.8(9)による、冷却媒体が腐食を防止するために付加的に電気化学的にか又は液状脱イオン剤を用いて脱イオンされる燃料電池ユニットにおいても使用されることができる。
【実施例】
【0036】
本発明は以下の例において説明されるが、しかしながら本発明をそれに限定するものではない。本発明による冷却剤組成物を、燃料電池駆動装置の冷却系用のそれらの適性に基づいて以下に記載された試験において試験した:
試験の記載:
5つのアルミニウム試験金属(真空はんだ付けしたAl、呼称:EN-AW 3005、片側にEN-AW 4045 10質量%でろう付け被覆(lotplattiert);寸法:58×26×0.35mm、直径7mmの穴を有する)を秤量し、プラスチックボルトを用いてナット及びテフロンディスクと非導電性に結合させ、2つのテフロンスタンド上ですりあわせ及びガラスぶたを備えた1 lビーカー中へ置いた。引き続いて試験液1000mlを充填した。ビーカーをガラスぶたで気密に密閉し、88℃に加熱し、液体を電磁撹拌機を用いて激しく撹拌した。電気伝導率を、試験開始の際に並びに一週間間隔で前もって取り出した液体試料について室温で測定した(WTW/Weilheim社の伝導率測定装置LF 530)。試験の終了後にアルミニウム試料を可視的に評価し、ASTM D 1384-94に従って水性クロム酸/リン酸での酸洗い後に重量法により評価した。
【0037】
結果は第1表から引き出すことができる。これらの結果は、28日間の試験期間後にも本発明による例1及び2の場合に偏差の幅の範囲内で、試験開始以来事実上電気伝導率の上昇が観察されることができず;値は依然として5μS/cm未満であり、ひいては(6)による配合物に少なくとも同等であったことを示している。
【0038】
試験の際に腐食は試験されたアルミニウム試料について生じなかったかもしくは言うに足るほど生じなかった。
【0039】
【表1】

【0040】
1,3−プロパンジオール及び水からなる混合物の場合に、60:40の体積比は62.5:37.5の質量比に相当する。
【0041】
本発明による例2の場合にオルトケイ酸エステルを、冷却液中に100質量ppmのケイ素含量を装入するように計量供給した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物であって、前記濃縮物から最大50μS/cmの伝導率を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物を生じ、0個又は最大1個の硫黄原子を有し、かつ芳香族又は飽和の6員の縮合成分を有していてよい、窒素及び硫黄の群からのへテロ原子2又は3個を有する1つ又はそれ以上の5員のヘテロ環式化合物(アゾール誘導体)を含有している、1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物をベースとする、燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項2】
アゾール誘導体を全部で0.05〜5質量%含有している、請求項1記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項3】
アゾール誘導体としてベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール及び/又は水素化されたトルトリアゾールを含有している、請求項1又は2記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項4】
アゾール誘導体に加えて付加的にオルトケイ酸エステルを含有している請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物であって、前記濃縮物から2〜2000質量ppmのケイ素含量を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物が生じる、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物であって、前記濃縮物からイオンを含まない水で希釈することにより最大50μS/cmの伝導率を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物を生じ、前記組成物が本質的には
(a)1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物 10〜90質量%、
(b)水 90〜10質量%、
(c)アゾール誘導体 0.005〜5質量%及び
(d)場合によりオルトケイ酸エステル
からなる、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項6】
本質的には
(a)1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物 10〜90質量%、
(b)水 90〜10質量%、
(c)アゾール誘導体 0.005〜5質量%及び
(d)場合によりオルトケイ酸エステル
からなり、イオンを含まない水で請求項1から4までのいずれか1項記載の不凍液濃縮物を希釈することにより得ることができる、燃料電池駆動装置における冷却系用の直ちに使用できる水性冷却剤組成物。
【請求項7】
1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物をベースとする、燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物を製造するための、0個又は最大1個の硫黄原子を有し、かつ芳香族又は飽和の6員の縮合成分を有していてよい、窒素及び硫黄の群からのへテロ原子2又は3個を有する5員のヘテロ環式化合物(アゾール誘導体)の使用。
【請求項8】
燃料電池駆動装置における冷却系用の、最大50μS/cmの伝導率を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物を製造するための請求項7記載の不凍液濃縮物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物であって、前記濃縮物からイオンを含まない水で希釈することにより最大50μS/cmの伝導率を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物を生じ、前記組成物が本質的には
(a)1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物 10〜90質量%、
(b)水 90〜10質量%、
(c)0個又は最大1個の硫黄原子を有し、かつ芳香族又は飽和の6員の縮合成分を有していてよい、窒素及び硫黄の群からのへテロ原子2又は3個を有する1つ又はそれ以上の5員のヘテロ環式化合物(アゾール誘導体) 0.005〜5質量%及び
(d)場合によりオルトケイ酸エステル
からなる、燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項2】
アゾール誘導体を全部で0.05〜5質量%含有している、請求項1記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項3】
アゾール誘導体としてベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、トルトリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール及び/又は水素化されたトルトリアゾールを含有している、請求項1又は2記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項4】
アゾール誘導体に加えて付加的にオルトケイ酸エステルを含有している請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物であって、前記濃縮物から2〜2000質量ppmのケイ素含量を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物が生じる、請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物。
【請求項5】
本質的には
(a)1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物 10〜90質量%、
(b)水 90〜10質量%、
(c)アゾール誘導体 0.005〜5質量%及び
(d)場合によりオルトケイ酸エステル
からなり、イオンを含まない水で請求項1から4までのいずれか1項記載の不凍液濃縮物を希釈することにより得ることができる、燃料電池駆動装置における冷却系用の直ちに使用できる水性冷却剤組成物。
【請求項6】
1,3−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオールとアルキレングリコール及び/又はそれらの誘導体との混合物をベースとする、燃料電池駆動装置における冷却系用の不凍液濃縮物を製造するための、0個又は最大1個の硫黄原子を有し、かつ芳香族又は飽和の6員の縮合成分を有していてよい、窒素及び硫黄の群からのへテロ原子2又は3個を有する5員のヘテロ環式化合物(アゾール誘導体)の使用。
【請求項7】
燃料電池駆動装置における冷却系用の、最大50μS/cmの伝導率を有する直ちに使用できる水性冷却剤組成物を製造するための請求項記載の不凍液濃縮物の使用。

【公表番号】特表2006−510168(P2006−510168A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−557982(P2004−557982)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013633
【国際公開番号】WO2004/053015
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】