説明

燃料電池による電力および水の発生

【課題】固定電力網の配されていない僻地の基地の中で、電気、水や熱を供給する手段を提供する。
【解決手段】システムは、燃料電池を利用した電力、水および熱の生成を可能とする。燃料は、電力および燃料副生成物の生成のために燃料電池へ供給される。燃料副生成物は、電力および水発生システムの副生成物分離段階へと導かれ、そこで、燃料副生成物から水が分離される。残りの混合物は、該システムのバーナー段階において反応させられて、機械エネルギーに変換され、かつ/または、該システム内でまたは該システム外で他のプロセスとともに利用されうる追加の熱を生成する。他の態様によると、分離された水は、燃料電池により用いられる生物燃料の生成のために生物燃料生産サブシステム内で利用されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムを利用して電力、水および熱を生成する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
数多くの僻地の基地やその他の施設は、発電のために燃料電池を利用している。例えば、軍向けの用途において、前方作戦基地は、固定電力網の配されていない僻地に設置されていることが多い。燃料電池は、基地の作戦本部の持続に必要な電力を供給するための一手段を提供する。同様に、災害対応のケースのような民間用途においては、常設の電力網が利用不能であることがよくあるため、発電は、対応班にとって非常に重要な考慮事項である。電力と同様に、水は、数多くの僻地における作戦本部の持続のためのもう1つの不可欠な要素である。数多くの僻地では、電気や水、または、求められる電気を発生させるのに必要な燃料を供給する機能的インフラがない。
【0003】
これらの場所の多くにおいて適切なインフラが欠如していることにより、燃料および水は、前方作戦基地または緊急対応地点へしばしば長大な距離を輸送されねばならない。航空機、列車、船舶、トラックおよび/またはその他の輸送手段を介してこれらの品目を輸送することは、費用がかかり、かつ、しばしば危険な活動である。軍用の状況の中で、例えば、燃料および水は、僻地の基地へトラック輸送される貨物の相当の部分を占める。これらの出荷貨物に付随する輸送団は、燃料、輸送手段整備および人的資源に相当する多大な費用をかけて活動しているだけでなく、過酷な環境で活動もしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの考慮事項などに関して、ここに開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで説明する方法およびシステムは、燃料電池システムを利用した電力、水および熱の生成を可能とする。ここに示す開示の一側面にしたがって、燃料を受け取り、燃料電池内で利用して、電力および燃料副生成物を発生させる。天然ガス、軍事後方燃料(例えば、JP5、JP8など)、水素などといった複数種類の燃料を用いることができる。燃料副生成物から水を分離して、調節済み燃料副生成物および水を生成する。調節済み燃料副生成物を燃料させるか、そうでなければ反応させて、熱または電気を生成する。電力、水および熱は、これらのおよびその他のシステム内での使用のため、または、一般的な消費のために供給される。
【0006】
別の側面によれば、電力および水発生システムは、燃料電池と、副生成物分離段階と、バーナー段階とを含む。副生成物分離段階は、燃料電池の下流に位置しており、かつ、燃料副生成物から水を分離して、水および調節済み燃料副生成物を生成するよう構成されている。バーナー段階は、副生成物分離段階の下流に位置しており、かつ、調節済み燃料副生成物を燃料させて、電力および水発生システム内または該システム外で用いることのできる熱を生成するよう構成されている。
【0007】
さらに別の側面によれば、電力および水発生システムは、生物燃料生産サブシステムと、燃料調節器段階と、燃料電池と、副生成物分離段階と、バーナー段階とを含む。生物燃料生産サブシステムは、副生成物分離段階からの水およびその他の生物燃料生産原料を利用して、電力ひいては水の発生において燃料電池により用いられるべき生物燃料を生成する。燃料調節器段階は、燃料電池により消費される生物燃料を準備する。燃料電池は、調節された生物燃料を電力および燃料副生成物に変換する。副生成物分離段階は、燃料電池とバーナー段階との間に位置しており、かつ、燃料副生成物から水を除去して、生物燃料生産サブシステムに水を供給するよう構成されている。残りの混合物は、バーナー段階において燃料消費されて、機械エネルギーに変換されるか、または、その他のプロセスに用いられるか、そうでなければ電気を生産するよう反応させることのできる熱を生成する。燃料電池は、SOFCを含んでいてもよく、ここで、バーナー段階は、熱を機械エネルギーに転換するよう構成されたターボコンプレッサを含んでいてもよく、かつ、バーナー段階は、燃料調節器段階と熱的に結合されて、調節済み燃料の生成中に燃料調節器段階に熱を供給する。
【発明の効果】
【0008】
ここに説明する概念および技術を利用して、燃料電池による発生システムは、発電だけでなく、飲用に容易にろ過されてもよく、または、電気生成のために燃料電池内で用いられる燃料を発生させる生物燃料生成プロセスへと全体としてもしくは部分的に導かれてもよい水の発生にも用いられる。
【0009】
取り上げた特徴、機能および利点は、さまざまな実施形態において独立して達成可能であり、または、以下の説明および図面を参照してさらなる詳細が理解可能であるさらに他の実施形態において組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、従来の電力および水供給システムとここで提示されている燃料電池による電力および水発生システムとの比較を示すブロック図である。
【図2】図2は、ここで提示されている燃料電池による電力および水発生システムを示すブロック図である。
【図3】図3は、ここで提示されている燃料電池による電力および水発生システムの燃料調節器段階、副生成物分離段階およびバーナー段階を示すブロック図である。
【図4】図4は、ここで提示されている発生した水とともに生成される生物燃料を利用した例示的な燃料電池による電力および水発生システムを示すブロック図である。
【図5】図5は、ここで提示されているさまざまな実施形態に係る燃料電池システムを用いた電力および水を発生するための方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、高効率な発電中に使用可能な水を生成および捕捉するための方法およびシステムに関する。上に簡潔に取り上げたように、大量の燃料および水を前方作戦基地およびその他の僻地へと輸送することは、費用がかかり、非効率的なプロセスである。ここに説明する概念および技術を利用して、燃料電池による発生システムは、発電だけでなく、飲用に容易にろ過されてもよく、または、電気生成のために燃料電池内で用いられる燃料を発生させる生物燃料生成プロセスへと全体としてもしくは部分的に導かれてもよい水の発生にも用いられる。
【0012】
本開示全体を通じて、電力および水を供給できる常設のインフラを持たない僻地において一時的または半永久的に軍隊により用いられるであろうもののような軍用の前方作戦基地による使用に関して、さまざまな実施形態を説明する。ただし、ここで示されている開示は、僻地の送り側の場所から使用場所への輸送が必要な燃料および水の量を減少させる効率的な手法で電力および水を発生させることが望ましいあらゆる種類の用途に等しく適用可能であることは理解されたい。同様に、下に説明する概念は、電力および水の発生効率を高めるので、さまざまな実施形態はまた、資源の輸送は問題ではないが、下に詳細に説明するように、システム内で用いられる燃料の種類に関する汎用性とともにより低い費用で、かつ、より低い雑音レベルで動作することが望ましいあらゆる実施構成に適している。
【0013】
以下の詳細な説明において、この一部を成し、かつ、例示、特定の実施形態または実施例により示される添付の図面に言及する。いくつかの図を通じて同様の番号が同様の構成要素を示す図面をここで参照して、排熱のようなその他の機能的副生成物のうち電気および水の効率的な発生を説明する。図1は、ここに提示するさまざまな実施形態に係る前方作戦基地の作戦やその他の作戦を支援する電力108および水106/114の供給という状況の中で従来の電力および水供給システム102と燃料電池による電力および水発生システム110との比較を示している。
【0014】
従来の電力および水供給システム102は、典型的に、電力108を作戦本部に供給するのに用いられる数多くの発電機A〜Nを含む。発電機A〜Nを動作させるために、燃料104が、僻地の供給源から出荷され、前方作戦基地の燃料ブラダー内に保存される。従来の発電システムは、使用可能な水を発生しないので、水106は、僻地の供給源から出荷され、基地における使用のためにブラダー内に保存される。
【0015】
対照的に、図1の下部を参照して、ここで説明する燃料電池による電力および水発生システム110は、1つ以上の燃料電池を利用して、電力108を生成し、基地に供給する。燃料電池は、燃料104を利用して、電力108を生成する。下でさらに説明するように、燃料104は、軍用航空機やその他の輸送手段において共通して用いられるJP−8などの標準的軍用燃料であっても、プロパンや天然ガスなどの商用燃料であっても、生物燃料などの代替燃料112であってもよい。燃料電池による電力108の発生は、副生成物を生成し、この副生成物は、典型的にアフターバーナーにおいて燃焼させ、タービンの回転または生成物もしくはプロセスの加熱に用いてもよい排熱生成物を生成する。
【0016】
下で説明する実施形態を利用して、水114は、バーナー段階に入る前に燃料電池の副生成物から分離される。この水114は、さまざまな基地の作戦本部に供給することができるか、または、水114のすべてもしくは一部は、燃料電池による電力および水発生システム110内で用いられる生物燃料やその他の代替燃料を含む燃料112の生成に用いてもよい。さまざまな実施構成によれば、燃料電池による電力および水発生システム110により生成される水114は、基地の水消費需要に見合うか、または、これを超える量であるか、最低でも、僻地の供給源から基地へと供給が必要な水106の量を低減する可能性がある。
【0017】
僻地の供給源から基地へと出荷される水106の量を低減するとともに、燃料電池による電力および水発生システム110は、上で説明したような相当する従来の発電機システムと比較して燃料電池による電力および水発生システム110の効率が高まるため、基地へ出荷される燃料104の量を低減することができる。その上、燃料電池による電力および水発生システム110は、太陽光および風力電源のような再生可能エネルギー源と結合して、昼間にエネルギーを供給し、さらに基地の作戦本部を維持するのに必要な燃料104の量を削減してもよい。外部の燃料104要件は、特に、図4に関連して下により詳細に説明する再生可能エネルギー源と組み合わせて用いられる際は、生物燃料生成および利用を利用するさまざまな実施形態において完全に撤廃してもよい。
【0018】
ここで図2に注目して、燃料電池による電力および水発生システム110をさらに詳細に説明する。一実施形態によると、燃料電池による電力および水発生システム110は、燃料調節器段階202と、1つ以上の燃料電池204と、副生成物分離段階206と、バーナー段階208とを含む。概して、燃料電池による電力および水発生システム110は、燃料104を入力として受け取り、電力108、水114および排熱流216を生産する。JP−8やその他の軍用燃料、ガソリン、水素、ブタン、メタノール、プロパンまたは天然ガスといった燃料104は、燃料電池による電力および水発生システム110の燃料調節器段階202へ供給される。燃料調節器段階202は、燃料電池204による効率的な使用のために燃料104を準備するのに用いられるすべての適用可能な設備およびシステムを含む。図3に関連して、燃料調節器段階202と、副生成物分離段階206およびバーナー段階208との構成要素の具体例を下で説明する。
【0019】
調節後、調節済み燃料210は、燃料電池204へと導かれ、ここで、電気または電力108の生成に用いられる。燃料電池204により生成された電力は、直流であってもよいが、インバータへ向けて送り出されて、対応する交流システムとともに使用するために交流に変換されてもよい。燃料電池204は、簡潔さのために単一の包括的なユニットとして示されているが、燃料電池による電力および水発生システム110内ではあらゆる数および種類の燃料電池204を利用することができることは理解されたい。一例として、燃料電池は、1つ以上の固体電解質型燃料電池(SOFC)を含んでもよい。従来の電力および水の供給システム102において用いられる発電機の利用と比較して、SOFCを利用して燃料電池による電力および水発生システム110内で発電することに付随する動作効率および対応するコスト削減以外の1つの利点は、雑音低減である。電力および水は、昔ながらのディーゼル/ガス発電機ではなくSOFCを利用すると、大幅に低減した雑音レベルで発生する。
【0020】
燃料電池204内の発電プロセスの1つの副生成物は、水蒸気を含む燃料副生成物212である。古くから、未利用の分解した燃料と水との混合物は、アフターバーナーへ直接導かれ、ここで、結果として生じる排流を流入する空気とともに燃焼させて、タービンにより捕捉するか、その他いくつかの目的に使用することができる熱エネルギーを生産する。しかしながら、ここに示されている開示によれば、燃料副生成物212は、少なくとも部分的には副生成物分離段階206へ導かれ、ここで、水蒸気が燃料副生成物212の未使用の燃料混合物から分離されて、水114を生成する。適正なろ過および精製後、この水114は、飲用に適したものとなり、基地の人員による消費またはその他の使用の準備が整う。なお、燃料副生成物212の一部または水114は、燃料電池204内での再調節および使用のために、燃料電池204を出た後燃料調節器段階202へ戻るよう導かれてもよい。あるいは、この再利用燃料は、燃料電池204後の燃料副生成物212からではなく、副生成物分離段階を後にした調節済み燃料副生成物214から配分されてもよい。
【0021】
燃料副生成物212から水114を分離した後、残りの調節済み燃料副生成物214は、バーナー段階208内で燃焼させて、排熱216を生成するか、そうでなければ、反応させて電気を生産する。排熱216は、タービンとともに用いられてもよいか、または、プロセスに熱を注入するために用いられてもよい排流とすることができる。例えば、調節器段階202および対応する燃料調節プロセスは、排熱216を用いることのできる吸熱プロセスを含んでもよい。
【0022】
副生成物分離段階206を燃料電池204とバーナー段階208との間に並べて位置させることは、バーナー段階208後に混合物から水114を分離しようとするより有利である。第一に、燃焼プロセスは、すすのような汚染物質を取り入れるであろうから、バーナー段階208後の水114は、より大幅に汚染されているであろう。第二に、バーナー段階208内の燃焼中に空気が混入するので、水蒸気が希釈されており、これにより水蒸気の分圧が低減される。バーナー段階の前に燃料副生成物212から水蒸気を分離することにより、水蒸気の分圧がはるかに高く、これによりより多くの量の水114を混合物から効率的に分離することができる。
【0023】
なお、図2のブロック図は、ここで取り上げられている実施形態に係る燃料電池による電力および水発生システム110のさまざまな段階および構成要素を単純化した図である。図3に関連して、燃料調節器段階202、副生成物分離段階206およびバーナー段階208の例示的構成要素のいくつかを下で説明する。ただし、利用されている具体的な設備は、特定の実施構成により異なる。ここで説明する概念と密接に関係していない設備および制御は、明確さのために省略した。例えば、燃料電池による電力および水発生システム110は、配電および制御ハードウェア、さまざまなシステム制御、および、図示も説明もしていない工場ハードウェアのその他の兼ね合いを含む。
【0024】
図3を参照して、燃料調節器段階202、副生成物分離段階206およびバーナー段階208をさらに詳細に説明する。一実施形態によると、燃料調節器段階202は、水蒸気改質装置などの改質装置および硫黄分除去装置302を含む。燃料改質および硫黄分除去により、燃料を利用する特定の燃料電池204の効率を最大化するさまざまな種に燃料104が分解される。改質装置および硫黄分除去装置302の特定の特徴および動作パラメータは、用いられている燃料104の種類および燃料を処理している燃料電池204の特徴により異なる。燃料調節器段階202は、燃料を燃料電池204へ運ぶ前の燃料処理の効率をさらに高めるために回収熱交換器を追加で含んでいてもよい。
【0025】
副生成物分離段階206は、燃料電池204からの燃料副生成物212内の未利用の燃料およびその他の副生成物から水蒸気を分離するよう動作可能な分離器306を含む。追加のろ過および精製設備308を利用して、分離した水をさらに処理することにより、基地の人員による使用および作戦本部のための飲用水114を生成する。バーナー段階208は、アフターバーナー310を利用して、調節済み燃料副生成物214を燃焼させ、排熱216を生成する。生成された排熱流216は、バーナー段階208内のターボコンプレッサ312へと導かれ、ここで、排熱216が機械エネルギーに転換されてもよい。回収熱交換器または熱交換器314を再度用いて、ターボコンプレッサ312動作の効率を高めてもよい。上に述べたように、燃料電池による電力および水発生システム110および対応する燃料調節器段階202、副生成物分離段階206およびバーナー段階208は、本開示の範囲から逸脱することなく添付の図において示され、かつ、説明されているものに対してさらに追加のまたはより少ない構成要素を含んでいてもよい。
【0026】
図4は、燃料電池による電力および水発生システム110が生物燃料生産サブシステム402を含む代替の実施形態を示す。図1に関連して上に取り上げたように、燃料電池による電力および水発生システム110は、生物燃料といった代替燃料112を利用するよう構成されていてもよい。生物燃料を生成するための製造プロセスは、種子、および/または、現地で目にするか、育てられるか、または、購入される原料404を用いて前方作戦基地において行うことができる。そうすることで、燃料の前方作戦基地への移入に対する依存が減ぜられるか、撤廃される。生物燃料の生成は、典型的に水を要する。図4に示されている一実施形態によると、燃料電池による電力および水発生システム110により生成かつ捕捉された水114は、生物燃料生産サブシステム402へ戻され、燃料製造プロセスにおいて用いられる。生物燃料生産サブシステム402により用いられなかった余剰の水114はいずれも、他の作戦本部へ導くことができる。
【0027】
要求される量の燃料112を生産するのに必要な水114の量により、燃料電池による電力および水発生システム110は、実質的に独立型であり、燃料および水の要件に関して自給の電力および水発生プロセスとすることができる。生物燃料生産サブシステムは、燃料112を生産するために追加の種子および/または原料404を要するだろうが、僻地の供給源から基地へ出荷すべき燃料104および/または水106はほとんどまたは全く要することがない。種子および/または原料404は、現地で調達できるものと推定されるので、燃料および水を僻地の供給源から出荷するのに従来用いられていた輸送団は、大幅に削減または撤廃することができる。
【0028】
ここで図5に注目して、廃熱を再補足しつつ電力および水を生成するための例示的手順500を詳細に説明する。図5において示され、ここで説明されるより多くのまたは少ない数の動作が行なわれてもよいことは、理解されたい。その上、これらの動作はまた、ここで説明されるものとは異なる順序で行なわれてもよい。手順500は、燃料を受け取る動作502において開始する。上に取り上げたように、燃料104は、JP−8のような標準的な軍用燃料であっても、ガソリン、水素、ブタン、メタノール、プロパンまたは天然ガスのような民間用途の燃料であってもよい。あるいは、燃料電池による電力および水発生システム110は、図4に関連して説明したように生物燃料生産サブシステム402により生産される生物燃料のような代替燃料112を利用してもよい。
【0029】
手順500は、動作502から、燃料104が燃料電池による電力および水発生システム110の燃料調節器段階202に入る動作504へと続く。燃料調節器段階202において、改質および硫黄分除去といった動作により、燃料電池204による効率的な使用のための燃料が準備されて、調節済み燃料210が生成される。動作506において、調節済み燃料210は、燃料電池204に入り、ここで、反応して、動作508において電力108および燃料副生成物212を生成する。結果として生じる電気は、動作510において使用または保存場所へ導かれる。
【0030】
手順500は、動作510から動作512へと続き、ここで、燃料電池204を後にした燃料副生成物212は、燃料電池による電力および水発生システム110の副生成物分離段階206へ供給される。副生成物分離段階206は、燃料電池204を後にする混合物からの水114を回収および処理するのに適したあらゆる量および種類の設備を含んでいてもよい。上に取り上げたように、この設備は、水蒸気を分離および凝結させる分離器306と、水114を飲用に適し、かつ、使用準備の整った状態とするろ過および処理設備とを含んでいてもよい。水114は、動作516において処理され、使用のために保存される。
【0031】
燃料混合物から水114を分離した後、結果として生じる調節済み燃料副生成物214は、動作518において、燃料電池による電力および水発生システム110のバーナー段階208へと導かれる。調節済み燃料副生成物214は、動作520においてアフターバーナーで燃焼または別の手法で反応させられて310、排熱流216を生成する。排流は、動作522において、ターボコンプレッサ312またはその他のシステムへ導かれて、機械エネルギーとして排熱流216における熱を回収するか、または、別のシステムもしくはプロセスへ熱を注入することにより、燃料電池による電力および水発生システム110の効率をさらに高め、手順500は終了する。
【0032】
上記開示から以下のことが明らかであろう。ここで説明され、下の請求項により包含されている燃料電池による電力および水発生システム110は、従来のシステムに対して動作効率の大幅な向上を提供することにより、動作コストを効果的に削減し、燃料および水の輸送に付随する兵站学的コストを削減し、かつ、前方作戦基地への燃料および水の輸送に対応するリスクを減ずる。燃料電池による電力および水発生システム110は、燃料電池技術を利用して、さまざまな燃料104を受け付けて効率的に電力108を生産するシステムの柔軟性を高め、これにより、古くからの発電機セットと比較して基地の燃料消費率を低減する。燃料電池技術の使用により、さらに、古くからのディーゼル/ガス発電機に付随する雑音レベルを低減する。
【0033】
燃料電池による電力および水発生システム110の水回収側面により、燃料電池204による電力108の生産中に生成された燃料廃棄物から水114を除去できる。燃料電池による電力および水発生システム110のバーナー段階208の前に水114を分離することにより、水蒸気の分圧がより高くなり、水回復効率を高めることができる。混合物を燃焼させる前に未利用の燃料混合物から水蒸気を分離することにより、さらに、バーナー段階208後に得られるであろうより清浄な水114が生じ、飲用水を生成する水処理動作を単純化および援助する。
【0034】
生物燃料生産サブシステム402と結合されると、燃料電池による電力および水発生システム110は、発電のための前方作戦基地への燃料104の出荷の必要性を大幅に削減または完全になくすかもしれず、かつ、副生成物分離段階206中に再補足された水114は、生物燃料生産サブシステム402へ循環されて、燃料生産のための僻地の供給源からの水106の必要性を大幅に削減または完全になくすことができる。前方作戦基地における太陽光および風力といった再生可能エネルギー源の使用とさらに組み合わせて、生物燃料を利用して燃料電池による電力および水発生システム110に燃料を供給することにより、極端に効率的な独立型エネルギーおよび水生産システムが提供される。
【0035】
最後に、燃料電池による電力および水発生システム110のバーナー段階208から再捕捉された排熱216を利用して、システム全体の効率をさらに高めてもよい。排熱216は、ターボコンプレッサ312の駆動に用いてもよく、燃料電池による電力および水発生システム110の他の構成要素において用いてもよく、または、他の基地システムまたはプロセスにおいて用いてもよい。
【0036】
例示および説明された実施形態例および適用例に従うことなく、かつ、以下の請求項に記載する本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、ここで説明した主題にさまざまな修正および変更を加えてもよい。
【符号の説明】
【0037】
102 従来の電力および水供給システム
104 燃料
106 水
108 電力
110 燃料電池による電力および水発生システム
112 生物/代替燃料
114 水
202 燃料調節器段階
204 燃料電池
206 副生成物分離段階
208 バーナー段階
210 調節済み燃料
212 燃料副生成物
214 調節済み燃料副生成物
216 排熱
302 改質装置および硫黄分除去装置
304 回収熱交換器
306 分離器
308 ろ過および精製設備
310 アフターバーナー
312 ターボコンプレッサ
314 回収熱交換器
402 生物燃料生産サブシステム
404 種子/現地の原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システム内で水および電力を発生させるための方法であって、
燃料を受け取り、
燃料電池内で燃料を利用して、電力および燃料副生成物を発生させ、
燃料副生成物から水を分離して、調節済み燃料副生成物および水を生成し、
調節済み燃料副生成物を燃焼させて、熱を生成し、
使用のための電力、水および熱を供給する
ことを含む方法。
【請求項2】
燃料電池における利用の前に燃料を調節して、燃料電池用調節済み燃料を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
利用の前に燃料を調節することが、燃料を改質し、燃料から硫黄分を除去することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
燃料電池が固体電解質型燃料電池(SOFC)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
燃料副生成物から水を分離することが、燃料副生成物を分離器へ導き、燃料副生成物から水蒸気を分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
調節済み燃料副生成物を燃焼させることが、調節済み燃料副生成物をアフターバーナーへ供給し、調節済み燃料副生成物を燃焼させて、排流を生成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ターボコンプレッサを通じて排流を導いて、熱エネルギーを機械エネルギーに転換することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
排流を燃料電池システムの燃料調節器段階へ導き、熱を燃料調節器段階の吸熱改質プロセスへ供給することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
燃料が生物燃料であり、かつ、前記方法が、生物燃料生成サブシステムにおいて生物燃料を生産することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
使用のための水を供給することが、生物燃料の生産に使用するために生物燃料生成サブシステムへ水を供給することを含む請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−43795(P2012−43795A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−178743(P2011−178743)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】