説明

燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法

【課題】部品追加によるコストをかけることなく、凍結した、水蒸気改質に利用する改質水を解凍することができる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】本発明の燃料電装置100は、燃料ガスと空気とを利用して発電する燃料電池スタック1、空気を燃料電池スタック1に供給するエアブロア20、貯湯タンク11、燃料電池スタック1から排出されるオフガスが流れるオフガス経路29a、貯湯タンク11内の貯湯水とオフガスとの間で熱交換を行なう熱交換機構50、発電時に熱交換機構50における熱交換により凝縮された凝縮水を貯留する凝縮水タンク6、凝縮水を改質水として用いて原料ガスを改質し、燃料ガスを生成する改質部2、および制御装置19を備える。制御装置19は、燃料電池装置100の起動時に、エアブロア20を動作させて空気をオフガス経路29aを通じて凝縮水タンク6に通流させ、熱交換機構50を動作させて凝縮水タンク6に通流される空気を貯湯水との熱交換により加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水蒸気改質により原料を改質し、生成された燃料により発電を行なう燃料電池システム、およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高効率でクリーンなエネルギー源の開発が求められており、それに対する一つの候補として燃料電池が注目を浴びている。燃料電池は、水素が含有された燃料ガスと空気等の酸素含有ガスとを電気化学反応させることにより、電力と熱とを同時に発生させるものである。また、燃料電池装置と湯水を蓄える貯湯タンクとを組み合わせ、貯湯タンクの水を燃料電池の発電により生じる排ガスとの熱交換で加熱するコージェネレーションシステムとして用いられる。
【0003】
燃料電池には、改質部が併設され、この改質部において、炭化水素を含有する原料を改質することにより水素を生成し、生成した水素を含有するガスを燃料ガスとして燃料電池に供給する。改質方法としては、例えば、水を蒸発させて炭化水素等の原料と反応させ、改質反応を行う水蒸気改質法を用いることができる。
【0004】
ここで、水蒸気改質を行う改質部において、一般的に、改質部に供給する水は、熱交換器(凝縮器)において排ガスからその水分が凝縮されて回収された凝縮水が用いられる。凝縮水は、凝縮水タンクに蓄えられ、その後、必要に応じて、水浄化装置を介して処理した精製水として、凝縮水タンクから水浄化装置を介して、改質部よりも上流に設置される蒸発部にポンプなどを用いて送付される。蒸発部に供給された精製水は、蒸発部にて気化し水蒸気となり、炭化水素等の原料と蒸発部出口にて合流して混合ガスを生成する。そして、蒸発部の下流に存在する改質部に水蒸気と原料との混合ガスが流入する。改質部に流入した水蒸気と原料の混合ガスは、改質部にて改質反応により、水素を含む改質ガス(燃料ガス)となる。この燃料ガスが、改質部の下流に配置されている燃料電池のアノードに流入し、別途カソードに供給される空気と燃料電池で発電反応する。
【0005】
ところで燃料電池では、該燃料電池を取り巻く環境の温度(例えば、大気温)が氷点下の場合、蒸発部へ水を供給するための水供給管、水浄化装置、または凝縮水タンク内の水が凍結する恐れがある。そこで、燃料電池を取り巻く環境の温度(大気温)が一定温度を下回った場合、凍結を抑制するためのいくつかの方法が提案されている。
【0006】
その方法の一つとしては、水供給ラインに燃料電池システム内の水供給管、水浄化装置、凝縮水タンクの水温より高温な外部の水道水等を供給して、凍結防止を行なう方法が知られている(特許文献1)。また、別の方法として、水供給管などをヒータにより加熱する方法(特許文献2)、または燃焼排ガスなどモジュール収容室内の空気を使って凝縮水タンクを加熱する方法(特許文献3)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−207093号公報
【特許文献2】特開2003−86213号公報
【特許文献3】特開2010−80258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示されている燃料電池システムは、凍結防止のため、外部からシステム内の水供給管、水浄化装置(水精製処理装置)、または凝縮水タンク内の水よりも高温である水道水を追加投入する構成である。しかしながら、特許文献1の構成の場合、追加投入する水道水の方が燃料電池システム内の水よりも塩素イオンなどイオンを多く含むため、水浄化装置の寿命が短くなる。このため、水浄化装置のイオン交換樹脂の交換などメンテナンスを実施する周期が短くなり、結果としてメンテナンス費用が上昇するという問題がある。また、水供給管、水浄化装置、または凝縮水タンクの水が一旦凍結してしまうと、水つまりにより水道水供給ができない場合があり、結果として解凍できないことがある。
【0009】
特許文献2に開示されている燃料電池システムでは、システム内の水供給管、水浄化装置、または凝縮水タンクに貯留された水が凍結した場合、これを解凍するため、ヒータを複数個所に設けた構成である。特許文献2に係る燃料電池システムでは、このようにヒータを複数、新たに設ける必要があり、燃料電池システムの導入時における購入コストが大幅に上昇するという問題がある。
【0010】
また、特許文献3に開示されている燃料電池装置は、低温着火時の着火性や燃焼不良により、燃焼排ガス内に一酸化炭素や窒素酸化物、未燃焼の炭化水素ガスなどの排ガス規制物質成分が含まれやすくなるという問題がある。つまり、凝縮水タンク内の凍結した水を燃料電池装置の起動時または起動前に解凍する場合、燃料電池スタックが充分な温度まで加熱されていない。このため、燃料電池装置のモジュール収容室内の空気(燃焼排ガス)は、燃焼電池スタックにおける燃焼不良などにより上述した排ガス規制物質成分を含むものとなる。このため、排ガス規制物質成分を除去するための、具体的には排ガス浄化触媒を含む排ガス浄化部、および排ガス浄化部を暖機するためのヒータ等を含む排ガス浄化加熱部等、新たな部材を備える必要がありコストがかかる。
【0011】
本発明は、以上の問題を鑑みてなされたものであり、部品追加によるコストをかけることなく、凍結した水蒸気改質に利用する改質水を解凍することができる燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る燃料電池システムは、上記した課題を解決するために、燃料ガスと空気とを発電反応させて発電する燃料電池と、前記空気を前記燃料電池に供給するための空気供給部と、外部に供給する貯湯水を貯留する貯湯タンクと、前記空気供給部から供給される空気のうち前記発電反応で消費されずに前記燃料電池から排出される空気を含むオフガスが流れるオフガス経路と、前記貯湯タンク内の貯湯水と前記オフガス経路を流れるオフガスとの間で直接又は間接に熱交換を行なうための熱交換機構と、前記熱交換機構の下流の前記オフガス経路上に、前記燃料電池の発電時に前記熱交換機構における熱交換により凝縮された凝縮水を該オフガスから分離して貯留するように設けられた凝縮水タンクと、前記凝縮水タンクに貯留された凝縮水を改質水として用いて原料ガスを改質することにより前記燃料ガスを生成し、該燃料ガスを前記燃料電池に供給するよう構成された改質器と、制御装置と、を備え、前記制御装置が、燃料電池システムの起動時に、解凍モードとして、前記空気供給部を動作させて前記空気を前記オフガス経路を通じて前記凝縮水タンクに通流させるとともに、前記熱交換機構を動作させて該凝縮水タンクに通流される空気を前記貯湯水との熱交換により加熱するように構成されている。
【0013】
ここで、空気供給部から供給される空気のうち発電反応で消費されずに燃料電池から排出される空気を含むオフガスとは、発電反応で消費されなかった空気そのものであってもよいし、消費されなかった空気と燃料とを燃焼させた燃焼ガス(燃焼排ガス)であってもよい。
【0014】
上記した構成によると、本発明に係る燃料電池システムは、燃料電池の発電時に、貯湯タンク内の貯湯水とオフガス経路を流れるオフガスとの間で直接又は間接に熱交換を行なうことができる。すなわち、本発明に係る燃料電池システムは、発電時において燃料電池ユニットの排熱を利用して熱を取り出し貯湯タンクの貯湯水を加熱することでエネルギー効率を高めたコージュネレーションを実現している。
【0015】
ところで、例えば、外気温の低下などに起因して改質水が凍結すると、改質水を供給することができず燃料電池システムを起動させることができない場合がある。
【0016】
しかしながら本発明に係る燃料電池システムは、制御装置が、燃料電池システムの起動時に、解凍モードとして、空気供給部を動作させて空気をオフガス経路を通じて凝縮水タンクに通流させるとともに、熱交換機構を動作させて凝縮水タンクに通流される空気を貯湯水との熱交換により加熱するように構成されている。このように貯湯水の熱により加熱した空気を改質水タンクに流入させることができるため、例えば、改質水が凍結した場合であっても、この凍結した改質水を空気が保有する熱により解凍することができる。
【0017】
ここで、本発明に係る燃料電池システムは、上述したコージェネレーションを実現するシステムにおいて、この改質水を解凍する解凍モードを実施するために新たな部材をさらに備える必要がない。つまり、解凍モードを実施する場合、制御装置が空気供給部を動作させて空気をオフガス経路に流通させるとともに熱交換機構を動作させてその空気を加熱すればよいだけであり、部品追加によるコストがかからない。
【0018】
よって、本発明に係る燃料電池システムは、部品追加によるコストをかけることなく、凍結した、水蒸気改質に利用する改質水を解凍することができるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上に説明した構成を有し、部品追加によるコストをかけることなく、凍結した、水蒸気改質に利用する改質水を解凍することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池装置の構成の一例について模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る燃料電池装置における解凍モードの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る燃料電池装置の構成の一例について模式的に示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る燃料電池装置の構成の一例について模式的に示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態の変形例1に係る燃料電池装置の構成の一例について模式的に示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態の変形例1に係る燃料電池装置における解凍モードの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る燃料電池システムは、燃料ガスと空気とを発電反応させて発電する燃料電池と、前記空気を前記燃料電池に供給するための空気供給部と、外部に供給する貯湯水を貯留する貯湯タンクと、前記空気供給部から供給される空気のうち前記発電反応で消費されずに前記燃料電池から排出される空気を含むオフガスが流れるオフガス経路と、前記貯湯タンク内の貯湯水と前記オフガス経路を流れるオフガスとの間で直接又は間接に熱交換を行なうための熱交換機構と、前記熱交換機構の下流の前記オフガス経路上に、前記燃料電池の発電時に前記熱交換機構における熱交換により凝縮された凝縮水を該オフガスから分離して貯留するように設けられた凝縮水タンクと、前記凝縮水タンクに貯留された凝縮水を改質水として用いて原料ガスを改質することにより前記燃料ガスを生成し、該燃料ガスを前記燃料電池に供給するよう構成された改質器と、制御装置と、を備え、前記制御装置が、燃料電池システムの起動時に、解凍モードとして、前記空気供給部を動作させて前記空気を前記オフガス経路を通じて前記凝縮水タンクに通流させるとともに、前記熱交換機構を動作させて該凝縮水タンクに通流される空気を前記貯湯水との熱交換により加熱するように構成されている。
【0022】
したがって、本実施の形態に係る燃料電池システムは、部品追加によるコストをかけることなく、凍結した、水蒸気改質に利用する改質水を解凍することができるという効果を奏する。
【0023】
さらに本実施の形態に係る燃料電池システムは、以上のように、前記改質水の水温を検知する水温検知部を備え、前記制御装置は、前記水温検知部による検知結果に基づき、改質水の水温が所定の温度未満であると判定した場合、前記解凍モードを実行するように構成されていてもよい。
【0024】
上記構成によると、水温検知部を備えるため、改質水の水温から凍結しているか否か判断することができる。このため、改質水が凍結している場合に適切に解凍モードを実行することができる。
【0025】
さらに本実施の形態に係る燃料電池システムは、以上のように、前記熱交換機構は、熱媒体が循環する循環経路と、前記オフガス経路を流れるオフガスと前記循環経路を循環する熱媒体とを熱交換させる第1熱交換器と、前記熱媒体を、前記循環経路を通って循環させる熱媒体循環器と、を備え、前記制御装置は、前記熱媒体循環器を動作させ、前記熱媒体を、前記循環経路において循環させることによって前記熱交換機構を動作させるように構成されていてもよい。
【0026】
さらに本実施の形態に係る燃料電池システムは、以上のように、前記熱媒体が貯湯タンクに貯留されている貯湯水であってもよい。熱媒体が貯湯水の場合、発電時にはオフガスの保有する熱により貯湯水が加熱されることとなる。また、解凍モード時には貯湯水が保有する熱によりオフガスが加熱されることとなる。
【0027】
さらに本実施の形態に係る燃料電池システムは、以上のように、前記熱交換機構は、前記貯湯タンクに貯留されている又は貯留されるべき貯湯水と前記循環経路を循環する熱媒体とを熱交換させる第2熱交換器を備えるように構成されていてもよい。
【0028】
上記構成によると第2熱交換器を備えるため、この第2熱交換器により熱媒体と貯湯水との間で熱交換が行なわれ、第1熱交換器により熱媒体とオフガスとの間で熱交換が行なわれることとなる。すなわち、オフガスと貯湯水との熱交換を、熱媒体を通じて行なうことができる。このため、熱媒体を水よりも凍結し難い材質を使った場合、熱媒体自身が凍結してしまって本発明の熱交換機構が動作しなくなるような事態を防ぐことができる。
【0029】
さらに本実施の形態に係る燃料電池システムは、以上のように、前記循環経路は、貯湯タンクを通る管路を備え、該管路を通って前記熱媒体が循環するように構成されており、前記管路が、前記貯湯タンクに貯留されている貯湯水と前記循環経路を循環する熱媒体との間で熱交換を行なわせる前記第2熱交換器を構成してもよい。
【0030】
さらに本実施の形態に係る燃料電池システムは、以上のように、前記貯湯タンク内に貯湯水を加熱するための第1加熱部を備えるように構成してもよい。
【0031】
さらに、本実施の形態に係る燃料電池システムは、以上のように、前記熱交換機構は、前記貯湯タンクの下部から該貯湯タンクの上部に至る貯湯水経路と、前記貯湯水経路と前記貯湯タンクとを通って貯湯水を循環させる貯湯水循環器と、前記貯湯水経路を循環する貯湯水と前記熱媒体循環経路を循環する熱媒体との間で熱交換を行なわせる熱交換器で構成された前記第2熱交換器と、を備え、前記燃料電池システムは、さらに、前記貯湯タンクと前記第2熱交換器との間の前記貯湯水経路を流れる貯湯水を加熱する第2加熱部を有するように構成されていてもよい。
【0032】
本実施の形態に係る燃料電池システムの制御方法は、以上のように、燃料ガスと空気とを発電反応させて発電する発電ステップと、前記空気を前記燃料電池に供給するための空気供給ステップと、外部に供給する貯湯水を貯湯タンクに貯留する貯湯ステップと、前記空気供給ステップにより供給される空気のうち前記発電ステップにおける発電反応で消費されずに排出される空気を含むオフガスを、オフガス経路に流通させるステップと、前記貯湯タンク内の貯湯水と前記オフガス経路を流れるオフガスとの間で直接又は間接に熱交換を行なう熱交換ステップと、前記オフガス経路上に、前記発電ステップにおける発電時に前記熱交換ステップにおける熱交換により凝縮された凝縮水をオフガスから分離して凝縮水タンクに貯留する貯留ステップと、前記凝縮水タンクに貯留された凝縮水を改質水として用いて原料ガスを改質することにより前記燃料ガスを生成し、該燃料ガスを前記燃料電池に供給する改質ステップと、当該燃料電池システムの起動時に、前記空気供給ステップを実行して、前記空気を、前記オフガス経路を通じて前記凝縮水タンクに通流させるとともに、前記熱交換ステップを実行して該凝縮水タンクに通流される空気を前記貯湯水との熱交換により加熱する解凍ステップと、を含んでもよい。
【0033】
したがって、発明に係る燃料電池システムの制御は、部品追加によるコストをかけることなく、凍結した、水蒸気改質に利用する改質水を解凍することができるという効果を奏する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態を、具体的に、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、全ての図面において、本発明を説明するために必要となる構成要素のみを抜粋して図示しており、その他の構成要素については図示を省略している。さらに、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0035】
(燃料電池装置の構成)
図1を参照して、以下に本発明の実施形態に係る燃料電池装置100の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池装置100の構成の一例について模式的に示すブロック図である。燃料電池装置100は燃料電池システム、より詳しくは燃料電池コージェネレーションシステムで構成されている。このような燃料電池装置100を構成する燃料電池としては、例えば、固体高分子電解質形燃料電池(PEFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)を用いることができる。以下では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に挙げて説明する。
【0036】
図1に示すように、燃料電池装置100は、FCユニット17、貯湯ユニット18、および制御装置19を備え、FCユニット17と貯湯ユニット18との間で熱交換機構50により熱交換できるように構成されている。また、制御装置19からの制御指示によりFCユニット17および貯湯ユニット18が有する各部の各種制御を行うことができるように構成されている。
【0037】
FCユニット17は、原料ガスを改質して得られる、水素を含有する燃料ガスと、酸素を含有する空気(カソードエア)とを電気化学反応(発電反応)させることにより電力と熱とを同時に発生させる装置である。原料ガスとして、天然ガス、LPガス(液化石油ガス)、バイオガス、プロパンガス、ブタンガス等の炭化水素系ガスが用いられる。
【0038】
貯湯ユニット18は、給湯用に貯湯するためのものである。貯湯ユニット18は、詳細は後述するが、燃料電池装置100の運転モードにあるとき、FCユニット17から発生した熱を利用して貯留している湯を加熱できるようになっている。運転モードは、燃料電池装置100が発電反応により電力を発生させる動作態様である。さらに燃料電池装置100における動作態様として、次の起動時まで待機する待機モード(停止状態)、待機モードから運転モードに燃料電池装置100を安全に立ち上げる起動モード、運転モードから待機モードに燃料電池装置100を安全に停止する停止モードが挙げられる。また、特殊な動作態様として後述する解凍モードを有する。なお、「起動時」とは、起動モードにおける動作時を意味する。
【0039】
(FCユニットの構成)
まず、図1を参照してFCユニット17の構成について説明する。
【0040】
FCユニット17は、燃料電池スタック(燃料電池)1、改質部(改質器)2、蒸発部3、燃焼部4、凝縮熱交換器5、凝縮水タンク6、水浄化装置7、水温検知部9、エアブロア(空気供給部)20、原料供給ポンプ21、改質水ポンプ22、原料ガス供給バルブ31、凝縮水供給バルブ32、凝縮水排水バルブ33、および第1市水供給バルブ34を備えてなる構成である。
【0041】
そして、FCユニット17は、燃料電池スタック1、改質部2、蒸発部3、燃焼部4、および凝縮熱交換器5を、断熱性材料で覆われた一つのケース内に収納し、モジュール化してホットモジュール10を構成している。
【0042】
また、FCユニット17は、エアブロア20により供給される空気が燃料電池スタック1に至るまでの経路として空気供給経路27を、原料供給ポンプ21により供給される原料ガスが燃料電池スタック1に至るまでの経路として原料供給経路28を備える。さらに、燃料部4から排出される燃焼排ガスが流通する経路としてオフガス経路29a、29bを備える。このオフガス経路29aは燃焼部4から凝縮熱交換器5を介して凝縮水タンク6まで至る。一方、オフガス経路29bは、凝縮水タンク6からFCユニット17の外部にまで至る。
【0043】
なお、FCユニット17が備える凝縮熱交換器5と後述する循環回路12、循環ポンプ23によって熱交換機構50が構成されている。
【0044】
FCユニット17は、燃料電池装置100の起動時には、以下のように動作する。
【0045】
すなわち、起動指示が制御装置19からFCユニット17、貯湯ユニット18などに送信される。起動指示を制御装置19から受付けると、エアブロア20が、空気(カソードエア)を燃料電池スタック1に供給する。また、原料供給ポンプ21が、原料ガスを改質部2に供給する。なお、原料供給ポンプ21の上流側には原料ガス供給バルブ31が設けられている。そして、この原料ガス供給バルブ31を開閉させることにより、原料ガスを原料供給ポンプ21に流入させたり、流入を遮断したりすることができる。このため、原料ガスを改質部2に供給する際は、原料ガス供給バルブ31は閉状態から開状態へと切り替えられる。
【0046】
改質部2には、上述した原料ガスに加えてさらに改質水も以下のようにして供給されている。すなわち、改質水ポンプ22が、改質水用に貯水された凝縮水タンク6内の凝縮水を、水浄化装置7に供給する。水浄化装置7は、凝縮水タンク6から凝縮水が供給されると、凝縮水中の金属イオン等を除去する。なお、水浄化装置7としては、例えば、イオン交換樹脂が用いることができる。水浄化装置7により金属イオン等が除去された凝縮水は、改質水として蒸発部3へ供給される。
【0047】
蒸発部3へ供給された改質水は、後述する燃焼ガスやホットモジュール10内の燃焼部4の熱によって加熱され、水蒸気となり改質部2へ流入する。
【0048】
改質部2は、供給された原料ガスと水蒸気との混合ガスから燃料ガス(改質ガス)を生成して燃料電池スタック1に供給する。なお、改質部2が有する改質触媒としては、例えば、原料ガスと水蒸気とから水素含有ガスを発生させる、いわゆる水蒸気改質反応を触媒することができるものであればよい。例えば、この改質触媒として、アルミナ等の触媒担体にルテニウム(Ru)を担持させたルテニウム系触媒や同様の触媒担体にニッケル(Ni)を担持させたニッケル系触媒等を使用することができる。
【0049】
燃料電池スタック1は、改質部2から燃料極(不図示)に供給された燃料ガスと、空気極(不図示)に供給された空気(酸素)とによって発電反応を行う。そして、この発電で消費されなかった燃料ガスと空気(酸素)とを、燃焼部4にて燃焼させ、高温の燃焼排ガスを得る。なお、燃焼部4は、例えば、燃料ガスと酸素とを燃焼するための空間として実現できる。また、燃料排ガスが保有する熱には、上述したように発電に使用されなかった燃料ガスと酸素との燃焼熱に加えて、発電時に発生した熱も含む。
【0050】
本実施の形態に係る燃料電池装置100では、この燃焼排ガスの有する熱を例えば、熱交換器(不図示)等を介して改質部2、蒸発部3、燃料極に供給される燃料ガス、および空気極に供給される空気に与え、これらを加熱するように構成されている。
【0051】
この燃焼排ガスは、オフガス経路29aを流れて凝縮熱交換器5を通じて凝縮水タンク6に至り、凝縮水タンク6からオフガス経路29bを流れて外部に排出されるようになっている。つまり、燃焼部4から排出された燃焼排ガスは、凝縮熱交換器5を介して、循環経路12を循環する熱媒体と熱交換する。そして、この熱交換により燃焼排ガスから熱媒体へ放熱され、熱媒体が加熱される一方、燃焼排ガスの温度は下がる。このようにして燃焼排ガスが冷却されると、燃焼排ガス中に含まれる水蒸気は凝縮され、凝縮水が生成される。生成された凝縮水は燃焼排ガスとともにオフガス経路29aを通流して凝縮水タンク6に至り、凝縮水タンク6において貯水される。一方、燃焼排ガスは凝縮水タンク6からオフガス経路29bを通って外部へと放出される。
【0052】
なお、燃焼排ガスと熱交換する熱媒体の温度は、蒸発部3に供給するために必要な水量だけ得られるように、燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮できる温度であれば良い。好ましくは、熱媒体の温度は40℃以下である方が良い。
【0053】
また、凝縮熱交換器5としては、燃焼排ガス中の水蒸気を凝縮させることができる形状の熱交換器であればよく、例えば、プレート式熱交換器などが利用できる。
【0054】
また、凝縮水タンク6には貯留された凝縮水の水量を調整するために、排水路が設けられており、この排水路中に排水路を閉じたり開いたりするための凝縮水排水バルブ33が設けられている。つまり、凝縮水タンク6中に凝縮水を貯留する際には、凝縮水排水バルブ33は閉じられており、凝縮水タンク6中の凝縮水の水量が多すぎる場合、この凝縮水排水バルブ33を開き、排水できるように構成されている。
【0055】
また、凝縮水タンク6と水浄化装置7とを連結する経路、すなわち、改質水供給経路25aにも凝縮水供給バルブ32が設けられている。そして、凝縮水タンク6中に凝縮水を貯留する際には、この凝縮水供給バルブ32を閉じておき、水浄化装置7を介して改質部2に凝縮水を供給する際には、凝縮水供給バルブ32を開くように構成されている。
【0056】
さらにまた、凝縮水タンク6と水浄化装置7との間の改質水供給経路25aには、改質水ポンプ22が備えられている。そして、この改質水ポンプ22が駆動することにより凝縮水タンク6から水浄化装置7を通じて蒸発部3に凝縮水が改質水として供給されるように構成されている。
【0057】
また、改質部2に供給する改質水が足らない場合は、第1市水供給バルブ34を開いて市水(公営水道)を水浄化装置7に導入することができるようにもなっている。
【0058】
なお、本実施の形態においては、燃料電池スタック1、改質部2、蒸発部3、燃焼部4、および凝縮熱交換器5がホットモジュール10内に収納される構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、これらの部材のうちのいずれか一部がホットモジュール10の外部に設けられた構成であっても構わないし、これらの部材によってホットモジュール10を形成しない構成であっても構わない。
【0059】
(貯湯ユニット)
次に、再度、図1を参照して貯湯ユニット18の構成について説明する。貯湯ユニット18は、貯湯タンク11、給湯温度検知部16、第2市水供給バルブ35、給湯用バルブ36、および第1調整バルブ37を備えてなる構成である。また、貯湯ユニット18とFCユニット17との間には、熱媒体が循環する循環経路12が配設されている。
【0060】
貯湯タンク11は、貯湯水を貯留するためのタンクであって、貯留容量はピーク時の1時間当たりの給湯量、ピーク時の継続時間、給水温度、給湯温度等によって定められる。貯湯タンク11を形成する筐体は断熱材により覆われており、貯湯タンク11内の湯の温度が外気温度の影響により大きく変化することを防ぐようになっている。
【0061】
また、循環経路12が貯湯タンク11内と連通しており、貯湯タンク11内の貯湯水が燃焼排ガスと熱交換を行なう熱媒体として循環経路12を流通するように構成されている。
【0062】
また、循環経路12中でかつ貯湯ユニット18内に循環ポンプ(熱媒体循環器)23が設置されており、この循環ポンプ23を駆動することにより、循環経路12を熱媒体である貯湯水が循環するように構成されている。図1では、循環経路12を右回り(時計回り)に熱媒体が循環するようになっているが、逆に左回り(反時計回り)に熱媒体が循環する構成であってもよい。
【0063】
貯湯ユニット18は、第2市水供給バルブ35を備え、これにより市水を貯湯ユニット18内に流入させたり、市水が流入しないように遮断したりすることができる。貯湯ユニット18は、貯湯タンク11内の水を追加するため、あるいは、給湯温度を調整するため、市水の供給を受ける場合、第2市水供給バルブ35を開く。
【0064】
また、貯湯ユニット18では、市水が貯湯タンク11まで延びた経路の途中で枝分かれして貯湯タンク11から給湯口(不図示)まで配された経路と連通する温度調整経路中に第1調整バルブ37が設けられている。そして、第1調整バルブ37によって温度調整経路を通流する水の流量を調整することができるように構成されている。
【0065】
つまり、給湯温度を調整するために、市水を貯湯ユニット18内に引き込んだ場合、第1調整バルブ37の開度によって貯湯タンク11から導出した湯と混ざる水量を調整する。そして、給湯温度検知部16の検知結果に基づき給湯されるお湯の温度を所望の温度になるように調整して給湯される。なお、給湯時は、給湯用バルブ36が開状態となっている。また、第1調整バルブ37、給湯温度検知部16、および給湯用バルブ36は、貯湯タンク11からの温水と市水とを流入させ、つまみなどの温度調整機構により適切な温度に調整して給湯する1台の混合弁により構成することができる。
【0066】
上記した構成を有する燃料電池装置100の運転モードを実施するための動作制御について以下に説明する。
【0067】
(燃料電池装置の動作制御)
燃料電池装置100は、上述したように待機モードから運転モードに至る際に起動モードを実施する。
【0068】
まず、起動モードを実施する場合、制御装置19は、燃料電池装置100の起動モード開始を指示する開始信号をFCユニット17および貯湯ユニット18に発信する。
【0069】
この開始信号をFCユニット17が受信すると、燃料電池スタック1への空気および原料ガスの供給処理を実行する。
【0070】
より具体的には、FCユニット17では、制御装置19からの開始信号に応じてエアブロア20が動作し、空気を、空気供給路27に流し燃料電池スタック1に供給する。燃料電池スタック1に供給された空気は、まだ、燃料電池スタック1で発電が行なわれていないため、そのまま燃料電池スタック1を通過して燃焼部4に導かれる。
【0071】
さらに、FCユニット17では、制御装置19からの開始信号に応じて原料ガス供給バルブ31が開くとともに、原料供給ポンプ21が動作して、原料ガスを、原料供給経路28に流し、改質部2に供給する。改質部2に供給された原料ガスは、まだ、燃料電池スタック1で発電が行なわれていないため(換言すると、改質部2で改質反応が実施されていないため)、そのまま燃料電池スタック1を通過し、燃焼部4へと導かれる。
【0072】
このようにして、燃焼部4では、空気と燃料ガスとが供給され、これらが混合された混合ガスとなる。
【0073】
燃焼部4には、例えば、グロープラグ、またはセラミックヒータ等の着火装置(不図示)が設けられている。そして燃焼部4では、開始信号に応じて動作した着火装置が混合ガスに着火し、燃料電池スタック1を加熱する。加熱により燃料電池スタック1が昇温すると、これに応じて改質部2および蒸発部3の温度も上昇を開始する。
【0074】
上述した空気および燃料ガスの燃料電池スタック1への供給タイミングよりも遅れて、制御装置19から改質水ポンプ22に開始信号が出力される。この制御装置19からの開始信号に応じて、改質水ポンプ22が駆動すると、凝縮水タンク6に貯留された凝縮水を、水浄化装置7を通じて蒸発部3に流通させる。蒸発部3および改質部2が所定の温度まで加熱されると、改質水は蒸発部3において気化され水蒸気として改質部2に供給される。改質部2では、供給された原料ガスと水蒸気(気化された改質水)とを利用して水蒸気改質を行ない、燃料ガスを生成し、この燃料ガスを燃料電池スタック1に供給する。燃焼部4の加熱により燃料電池スタック1が所定温度に達すると、起動モードが終了して、運転モードに切り替わる。
【0075】
上述したように、燃焼部4において燃焼された、空気と、原料ガスまたは未利用の燃料ガスとの燃焼排ガスとは、燃焼部4の後段(下流)に設けられた凝縮熱交換器5に流れていくように構成されている。また、循環経路12を熱媒体(貯湯水)が循環しており、凝縮熱交換器5により、熱媒体(貯湯水)と燃焼排ガスとを熱交換する。これにより、凝縮熱交換器5において、高温の燃焼排ガスから低温の熱媒体(貯湯水)へ熱が移動し、熱媒体(貯湯水)が昇温される。そして、昇温された熱媒体(貯湯水)が循環経路12を流通して、貯湯タンク11内に流入し、貯湯タンク11内の貯湯水を昇温させる。
【0076】
燃料電池装置100は、以上のようにして、起動モードを実施するとともに、燃焼排ガスの熱によって貯湯タンク11内の貯湯水を昇温できるように構成されている。
【0077】
また、FCユニット17は、改質水供給経路25a中に水温検知部9を備え、凝縮水の水温を検知できるように構成されている。そして、この水温が所定の温度未満(例えば、氷点下)であるとき、制御装置19は、FCユニット17および貯湯ユニット18の各部に指示して、起動モードにおける適宜な時期に後述する解凍モードを実施させる。
【0078】
なお、凝縮水の温度を検知する水温検知部9が設けられる位置は、上述したような改質水供給経路25a中に限定されるものではない。例えば、凝縮水タンク6内であってもよいし、水浄化装置7内であってもよい。さらには、水浄化装置7と蒸発部3との間に設けられた改質水供給経路25b中であってもよい。
【0079】
(解凍モード)
以下において、上述した図1および図2を参照して、燃料電池装置100における解凍モードの処理の流れについて説明する。図2は、本発明の実施の形態に係る燃料電池装置100における解凍モードの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0080】
なお、解凍モードとは、燃料電池装置100を停止している夜間などに外気温が氷点下となり凝縮水タンク6内の凝縮水が凍結してしまった際、この凍結を解凍するための燃料電池装置100の動作処理である。また、このように外気温が低下し、凝縮水が凍結するような場合であっても、断熱材で筐体が覆われている貯湯タンク11内の貯湯水は凍結することがないように構成されている。
【0081】
解凍モードにおいては、上述した燃料電池装置100の運転モードと比較して凝縮熱交換器5における熱の流れが、逆になる。具体的には、燃料電池装置100の運転モードでは、燃焼排ガスが有する熱が、凝縮熱交換器5を介して循環経路12を循環する熱媒体に移動する。
【0082】
これに対して、解凍モードでは、エアブロア20のみを駆動させて空気(カソードエア)のみを燃料電池スタック1を介して凝縮熱交換器5に導く。そこで、貯湯水と凝縮熱交換器5に流入する空気(カソードエア)とが熱交換をし、貯湯水の熱を空気に移動させる。このようにして加熱した空気が凝縮水タンク6内に導かれることにより凝縮水タンク6および凝縮水タンク6内の凝縮水を温め、解凍する。
【0083】
具体的には、燃料電池装置100は、解凍モードの制御は、以下のように行なう。
【0084】
まず、制御装置19の指示により、解凍モード開始信号がFCユニット17および貯湯ユニット18等に送信され、解凍モードの制御処理が開始される。
【0085】
FCユニット17では、制御装置19から送信された解凍モード開始信号に応じて、まず、水温検知部9が凝縮水タンク6の凝縮水の温度を計測する。そして、この計測した結果を制御装置19に送信する。制御装置19は水温検知部9の計測結果に基づき、凝縮水タンク6内の水温が所定値(所定温度)未満か否か判定する(ステップS11、これ以降S11と称する)。
【0086】
ここで、制御装置19が、凝縮水タンク6内の水温が所定値未満であると判定した場合、循環ポンプ23に対して動作するよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて循環ポンプ23が動作し、循環経路12内で熱媒体(貯湯水)を循環させる(S12)。
【0087】
さらに、制御装置19は、エアブロア20に対して動作するように制御信号を出力する。この制御信号に応じてエアブロア20が動作し、空気が燃料電池スタック1を通過し、凝縮熱交換器5に送られる(S13)。これにより、貯湯水が有する熱を、凝縮熱交換器5を介して空気に移動させることができる。そして、この凝縮熱交換器5において加熱された空気が凝縮水タンク6に導かれる。
【0088】
次に、ステップS11に戻り、凝縮水タンク6内の水温が所定値未満の間(S11におて「YES」の間)は、ステップS12、S13が繰り返される。
【0089】
一方、凝縮水タンク6内の水温が所定値(所定温度)以上であると制御装置19が判定すると(S11において「No」)、循環ポンプ23に対して動作を停止するよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて循環ポンプ23が動作を停止し、循環経路12内での熱媒体(貯湯水)の循環を停止させる(S14)。さらに制御装置19は、エアブロア20に対して動作を停止するように制御信号を出力する。この制御信号に応じてエアブロア20が動作を停止させ、凝縮熱交換器5へ空気の供給が停止される(S15)。
【0090】
以上のようにして燃料電池装置100は解凍モードを実施する。
【0091】
なお、上記した貯湯タンク11は、さらに貯湯タンク11内の水温を上昇できるように加熱部(タンク内加熱部15(第1加熱部))を備えた構成であってもよい。すなわち、図3に示すように貯湯タンク11内にタンク内加熱部15をさらに備え、貯湯タンク11内の貯湯水の温度が低温の場合、必要に応じてタンク内加熱部15によって加熱できるように構成されている。図3は、本発明の実施形態に係る燃料電池装置100の構成の一例について模式的に示すブロック図である。
【0092】
このようにタンク内加熱部15を備える構成の場合、タンク内加熱部15による加熱により貯湯水は、貯湯タンク11内で対流し、時間をかけて貯湯水全体が加熱される。また、加熱された貯湯水は、循環経路12を流通し凝縮熱交換器5を介して空気と熱交換を行なうことができる。タンク内加熱部15は、例えば、電気ヒータ、ボイラ等により実現できる。
【0093】
また、タンク内加熱部15の数は図3に示すように1つに限定されるものではない。例えば、貯湯タンク11内における上部の位置と、中程度から下部の間の位置とにそれぞれタンク内加熱部15を設けた構成であってもよい。このようにタンク内加熱部15を上部と下部との2箇所に設ける構成の場合、通常の使用では、いずれか1方を使用するように制御されている。
【0094】
例えば、上部に設けられたタンク内加熱部15によって貯湯水を加熱した場合、給湯に必要な温度まで貯湯水を短時間で加熱することができる点で有利である。しかしながら、図3に示すように、貯湯水を貯湯タンク11の下部から上部に向かって循環経路12を循環させる構成の場合、この循環される貯湯水の加熱には不利である。このため、循環経路12に循環させる貯湯水の昇温をすばやく行うことが望まれる場合は、貯湯タンク11の下方に設けられているタンク内加熱部15によって貯湯水を加熱する。このように、貯湯水の加熱の目的に応じて、2つのタンク内加熱部15を使い分ける。
【0095】
また、このように貯湯タンク11内にタンク内加熱部15を設けた構成の場合、上述した解凍モードに関する処理フローにおいて、以下のステップを加えてもよい。すなわち、貯湯タンク11内の水温を計測する水温計測装置(不図示)をさらに備え、この水温計測装置の計測結果に基づき、制御装置19が貯湯タンク11内の水温が所定値よりも低いか否か判定する。そして、制御装置19が、水温が所定値よりも低いと判定した場合、タンク内加熱部15を動作させるステップを加えてもよい。
【0096】
この処理ステップは、ステップS12の熱媒体を循環させる処理の前に行なわれることが好ましい。
【0097】
さらにまた、凝縮水タンク6が所定値以上であると制御装置19が判定すると、タンク内加熱部15の動作を停止させる動作停止ステップも加える。このステップは、熱媒体の循環の停止ステップ(ステップS14)の前に行なってもよい。
【0098】
また、上記では熱媒体として貯湯タンク11の貯湯水を利用する構成であったが、燃料電池装置100は、図4に示すように、熱媒体が貯湯水と交じり合わないように構成されたインダイレクト形式であってもよい。図4は、本発明の実施形態に係る燃料電池装置100の構成の一例について模式的に示すブロック図である。
【0099】
具体的には、図4に示すように、貯湯タンク11内において、循環経路12と連結された、熱交換機能をもつ配管(第2熱交換器)13がさらに設けられる。そして、凝縮熱交換器5と貯湯タンク11内に設けた配管13との間で熱媒体が循環経路12により循環できるように連通されている。そして、循環経路12中に設置された循環ポンプ23を動作させることにより、循環経路12を熱媒体が移動して循環する。
【0100】
循環経路12中を循環させる熱媒体としては、例えば、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、水とプロピレングリコールとの混合物、水とポリエチレングリコールの混合物等を用いることができる。
【0101】
なお、この構成では、凝縮熱交換器5、循環経路12、配管13、および循環ポンプ23によって熱交換機構50を実現する。
【0102】
以上のように、燃料電池装置100は、運転モードでは、循環経路12を流れる熱媒体が、凝縮熱交換器5を介して燃料排ガスにより加熱される。そして、貯湯タンク11内の配管13において、加熱された熱媒体の熱が貯湯タンク11内に貯留されている貯湯水に移動する。これにより貯湯タンク11内の貯湯水を加熱するとともに、熱媒体は冷却される。
【0103】
解凍モードであって、制御装置19が凝縮水タンクの水温が所定値未満であると判定した場合(S11において「YES」)は、制御装置19からの指示に応じて循環ポンプ23が動作し、循環経路12内で熱媒体を循環させる(S12)。さらに、制御装置19からの指示に応じてエアブロア20が動作し、空気が燃料電池スタック1を通過し、凝縮熱交換器5に送られる(S13)。これにより、貯湯水の熱を、配管13を介して熱媒体が受け取り、凝縮熱交換器5を介して空気に移動させることができる。そして、この凝縮熱交換器5において加熱された空気が凝縮水タンク6に導かれる。そして、この加熱された空気により凍結した凝縮水の解凍を行なうことができる。
【0104】
すなわち、加熱された空気は、凝縮水タンク6および凝縮水タンク6内の凝縮水を温め、この空気自体は降温される。このように凝縮水タンク6および凝縮水が空気により加熱されると、凝縮水タンク6内で凍結した凝縮水は解凍されていく。さらに、加熱された空気が凝縮水タンク6に継続して導かれることで、改質水供給経路25a、25b、水浄化装置7内の凍結した水にも伝熱し、これらも解凍される。その結果、凝縮水タンク6内の凝縮水を改質水として蒸発部3に供給可能となり、燃料電池装置100は、運転モードを実施し、発電を行なうことができる。
【0105】
また、解凍モードの処理において、循環ポンプ23の動作、あるいはエアブロア20の動作は、制御装置19が凝縮水タンク6内の水温が所定値未満と判断した場合に開始されているが、開始トリガはこれに限定されるものではない。例えば、燃料電池装置100の外気温を計測する計測部(不図示)を備え、この計測部の計測結果に基づいて、制御装置19が、外気温が所定値未満であると判断した場合に、循環ポンプ23およびエアブロア20の駆動を開始する構成であってもよい。
【0106】
さらには、凝縮水タンク6から蒸発部3へ流入させる改質水の流入状態の有無を検知する検知部(不図示)を備え、制御装置19が蒸発部3に改質水を流入させることができないと判断した場合に、循環ポンプ23およびエアブロア20の動作を開始する構成であってもよい。
【0107】
以上のように、本実施の形態に係る燃料電池装置100は、FCユニット17における燃料電池スタック1での発電時に排出された燃焼排ガスが有する熱を凝縮熱交換器5で貯湯ユニット18が有する貯湯タンク11の貯湯水に移動させ加熱することができる。すなわち、燃料電池装置100は、FCユニット17で排出される排熱を利用して熱を取り出し貯湯タンク11の貯湯水を加熱することでエネルギー効率を高めたコージュネレーションシステムを実現している。
【0108】
また、例えば、燃料電池装置の停止時において外気温の低下などにより凝縮水タンク6内の水(改質水)が凍結した場合、本実施の形態に係る燃料電池装置100では、制御装置19がエアブロア20を動作させて、空気を、凝縮熱交換器5を通じて凝縮水タンク6へと流入させる。このため、凝縮熱交換器5によって貯湯水の熱を得た空気を凝縮水タンク6に流入させることができる。このように、燃料電池装置100では、貯湯水の熱により加熱された空気を凝縮水タンク6に流入させることができるため、凍結した改質水をこの空気により解凍することができる。
【0109】
ここで、燃料電池装置100は、解凍モードを実施するために、運転モードを実施するための燃料電池装置100の構成に新たな部材を追加する必要がない。つまり、エアブロア20は発電時にFCユニット17に空気を供給するために設けたものを利用することができる。また、凝縮熱交換器5は、燃焼排ガスが有する熱を貯湯水に移動させるために、つまり、FCユニット17と貯湯ユニット18との間で熱交換をするために設けたものを利用することができる。
【0110】
したがって、解凍モードを実行する場合、燃料電池装置100では、制御装置19がエアブロア20を稼動させて空気を燃料電池スタック1、燃焼部4、凝縮熱交換器5を通じて凝縮水タンク6へと流入させればよく部品追加によるコストがかからない。
【0111】
(変形例1)
(燃料電池装置の構成)
次に、本発明の実施の形態に係る燃料電池装置100の変形例について図5、図6を参照して説明する。図5は本発明の実施形態の変形例1に係る燃料電池装置100の構成の一例について模式的に示すブロック図である。図6は、本発明の実施形態の変形例1に係る燃料電池装置100における解凍モードの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0112】
変形例1に係る燃料電池装置100は、図1に示す本発明の実施形態に係る燃料電池装置100の構成と比較して以下の点で異なる。
【0113】
すなわち、変形例1に係る燃料電池装置100は、図1に示す燃料電池装置100の構成において、貯湯タンク11の下部から該貯湯タンク11の上部に至る貯湯水経路30と、貯湯水経路30と貯湯タンク11とを通って貯湯水を循環させる貯湯水ポンプ(貯湯水循環器)24とを備える点で異なる。また、貯湯水経路30を循環する貯湯水と熱媒体循環経路12を循環する熱媒体との間で熱交換を行なわせる貯湯ユニット側熱交換器(第2熱交換器)26を備える点でも異なる。すなわち、貯湯ユニット側熱交換器26は、燃料電池装置100の運転モードでは、FCユニット17の燃焼排ガスの熱により加熱された熱媒体と貯湯水経路30を循環する貯湯水との間で熱交換を行い、この貯湯水を加熱する。一方、解凍モード時では、貯湯ユニット側熱交換器26は、加熱部14により加熱された貯湯水の熱により循環経路12を流れる熱媒体を加熱するように貯湯水と熱媒体との間で熱交換する。
【0114】
さらに、貯湯タンク11と貯湯ユニット側熱交換器26との間にあって、貯湯水経路30を流れる貯湯水を加熱する加熱部(第2加熱部)14をさらに備える点でも異なる。加熱部14は、例えば、電気ヒータ、ボイラなどにより実現できる。
【0115】
上記した構成を有する変形例1では、燃料電池装置100の運転モードでは、具体的には貯湯ユニット側熱交換器26に以下のようにして貯湯水が導かれる。すなわち、市水が一旦、貯湯タンク11の底部の下流側の端部に導かれる。そして、貯湯タンク11の底部の上流側の端部から貯湯水が排出され、加熱部14、貯湯ユニット側熱交換器26を通過して貯湯タンク11の上部側から貯湯タンク11に供給される。
【0116】
なお、通常モードでは、貯湯ユニット側熱交換器26で、燃焼排ガスの熱により加熱された熱媒体と、貯湯タンク11の上部に向かう貯湯水との間で熱交換される。そして、この熱交換により貯湯水が加熱される。このため、加熱された貯湯水が貯湯タンク11の上部に導かれることとなる。
【0117】
つまり、変形例1に係る貯湯タンク11の貯湯水は、同じ体積中で蓄積できる総熱量を高めるために、貯湯タンク11の上部の貯湯水の方が下部の貯湯水よりも温度が高くなるような温度成層が形成されている。この温度成層を崩さないようにするために、外部から導入された温度の低い市水を一旦、貯湯タンク11の底部に導き、貯湯ユニット側熱交換器26により加熱された市水を貯湯タンクの上部から貯湯タンク11に流入させている。
【0118】
変形例1に係る燃料電池装置100は、上述した以外の点では、図1に示す燃料電池装置100と同様であるため、同様な部分については説明を省略する。
【0119】
(変形例1の解凍モード)
次に、変形例1に係る燃料電池装置100における解凍モードの動作制御について図6を参照して説明する。
【0120】
まず、制御装置19の指示により、解凍モード開始信号がFCユニット17および貯湯ユニット18等に送信され、解凍モードの制御処理が開始される。
【0121】
FCユニット17では、制御装置19から送信された開始信号に応じて、水温検知部9が凝縮水タンク6の凝縮水の温度を計測する。そして、この計測した結果を制御装置19に送信する。制御装置19は水温検知部9の計測結果に基づき、凝縮水タンク6内の水温が所定値未満か否か判定する(S21)。
【0122】
ここで、制御装置19が、凝縮水タンク6内の水温が所定値未満であると判定した場合、制御装置19は加熱部14に対して稼動するように指示する。この指示に応じて加熱部14は稼動する(S22)。
【0123】
さらに、制御装置19は、貯湯水ポンプ24に対して駆動するように制御信号を出力する。この制御信号に応じて貯湯水ポンプ24が駆動し、貯湯タンク11の下方部の温度の低い貯湯水を、加熱部14、貯湯ユニット側熱交換器26を介して貯湯タンク11の上方部へと流通させる(S23)。このステップS22、S23の処理により、貯湯タンク11の底部から排出された貯湯水を加熱することができる。
【0124】
次に、制御装置19は、循環ポンプ23に対して駆動するよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて循環ポンプ23が駆動し、循環経路12内で熱媒体を循環させる(S24)。このステップS24により、貯湯ユニット側熱交換器26により、貯湯水から熱媒体に熱を移動させることができる。
【0125】
さらに、制御装置19は、エアブロア20に対して駆動するように制御信号を出力する。この制御信号に応じてエアブロア20が駆動し、空気が燃料電池スタック1を通過し、凝縮熱交換器5に送られる(S25)。これにより、熱媒体が有する熱を、凝縮熱交換器5を介して空気に移動させることができる。そして、この凝縮熱交換器5において加熱された空気が凝縮水タンク6に導かれる。
【0126】
次に、ステップS21に戻り、凝縮水タンク6内の水温が所定値未満の間(S21におて「YES」の間)は、ステップS22〜S25の各ステップが繰り返される。
【0127】
一方、凝縮水タンク6内の水温が所定値以上であると制御装置19が判定すると(S21において「No」)、加熱部14に対して駆動を停止(OFF)するように制御信号を出力する。この制御信号に応じて加熱部14が駆動を停止(OFF)する(S26)。
【0128】
また、制御装置19は、貯湯水ポンプ24に対して駆動を停止(OFF)するように制御信号を出力する。この制御信号に応じて貯湯水ポンプ24が駆動を停止(OFF)され、貯湯水の貯湯タンク11の上方部への流通を停止させる(S27)。
【0129】
さらに制御装置19は、循環ポンプ23に対して駆動を停止(OFF)するよう制御信号を出力する。この制御信号に応じて循環ポンプ23が駆動を停止し、循環経路12内で熱媒体の循環を停止させる(S28)。そして、次に、制御装置19は、エアブロア20に対して駆動を停止するように制御信号を出力する。この制御信号に応じてエアブロア20が駆動を停止し(OFF)し、空気の供給が停止される(S29)。
【0130】
以上のようにして、変形例1に係る燃料電池装置100では、解凍モードの処理フローが実行される。そして、この解凍モードにより凝縮水タンク6内の凝縮水が解凍されると、燃料電池装置100は運転モードを実施することができる。
【0131】
なお、上記では燃料電池装置100のFCユニット17として、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に挙げて説明した。しかしながら、SOFCに限定されるものではない。すなわち、燃料電池スタック1のカソードに供給するカソードガスが空気であり、このカソードガスが凝縮熱交換器5で熱媒体と熱交換した後、凝縮水タンク6を通過する構成でありさえすれば、溶融炭素塩形燃料電池(MCFC)、固体高分子形燃料電池(PEFC)、またはりん酸形燃料電池(PAFC)等に使用することができる。なお、燃料電池スタック1は、適用する燃料電池の型式に応じたものが採用される。
【0132】
ところで、燃料電池スタック1を冷却するために冷却水を用いる燃料電池(例えば、PEFC)はこの冷却水が凍結するおそれがある。このため、冷却水を用いない高温型燃料電池であるSOFCおよびMCFCの方が特に有利である。しかしながら、PEFCにおいても燃料電池スタック1の冷却用冷媒を水からポリプロピレングリコール、または水とポリプロピレングリコールの混合冷媒に変更する。このように、水よりも凍結しにくい冷媒を使用することで、SOFCやMCFCと同様、本願の構成への適用が容易となる。
【0133】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
本発明の燃料電池装置100は、外気温が凍結するような低温時に、部品追加によるコストをかけず、凝縮水タンク6、凝縮水の蒸発部3への水供給経路(改質水供給経路25a,25b)、水浄化装置7内の水などを解凍することが可能であるので、水蒸気改質を行なう燃料電池装置において有用である。
【符号の説明】
【0135】
1 燃料電池スタック
2 改質部
3 蒸発部
4 燃焼部
5 凝縮熱交換器
6 凝縮水タンク
7 水浄化装置
8 凝縮水供給部
9 水温検知部
10 ホットモジュール
11 貯湯タンク
12 循環経路
13 配管
14 加熱部
15 タンク内加熱部
16 給湯温度検知部
17 FCユニット
18 貯湯ユニット
19 制御装置
20 エアブロア
21 原料供給ポンプ
22 改質水ポンプ
23 循環ポンプ
24 貯湯水ポンプ
25a 改質水供給経路
25b 改質水供給経路
26 貯湯ユニット側熱交換器
27 空気供給経路
28 原料供給経路
29a オフガス経路
29b オフガス経路
30 貯湯水経路
31 原料ガス供給バルブ
32 凝縮水供給バルブ
33 凝縮水排水バルブ
34 第1市水供給バルブ
35 第2市水供給バルブ
36 給湯用バルブ
37 第1調整バルブ
50 熱交換機構
100 燃料電池装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと空気とを発電反応させて発電する燃料電池と、
前記空気を前記燃料電池に供給するための空気供給部と、
外部に供給する貯湯水を貯留する貯湯タンクと、
前記空気供給部から供給される空気のうち前記発電反応で消費されずに前記燃料電池から排出される空気を含むオフガスが流れるオフガス経路と、
前記貯湯タンク内の貯湯水と前記オフガス経路を流れるオフガスとの間で直接又は間接に熱交換を行なうための熱交換機構と、
前記熱交換機構の下流の前記オフガス経路上に、前記燃料電池の発電時に前記熱交換機構における熱交換により凝縮された凝縮水を該オフガスから分離して貯留するように設けられた凝縮水タンクと、
前記凝縮水タンクに貯留された凝縮水を改質水として用いて原料ガスを改質することにより前記燃料ガスを生成し、該燃料ガスを前記燃料電池に供給するよう構成された改質器と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置が、当該燃料電池システムの起動時に、解凍モードとして、前記空気供給部を動作させて前記空気を前記オフガス経路を通じて前記凝縮水タンクに通流させるとともに、前記熱交換機構を動作させて該凝縮水タンクに通流される空気を前記貯湯水との熱交換により加熱するように構成された燃料電池システム。
【請求項2】
前記改質水の水温を検知する水温検知部を備え、
前記制御装置は、前記水温検知部による検知結果に基づき、改質水の水温が所定の温度未満であると判定した場合、前記解凍モードを実行する請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記熱交換機構は、熱媒体が循環する循環経路と、前記オフガス経路を流れるオフガスと前記循環経路を循環する熱媒体とを熱交換させる第1熱交換器と、前記熱媒体を、前記循環経路を通って循環させる熱媒体循環器と、を備え、
前記制御装置は、前記熱媒体循環器を動作させ、前記熱媒体を、前記循環経路において循環させることによって前記熱交換機構を動作させる請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記熱媒体が貯湯タンクに貯留されている貯湯水である請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記熱交換機構は、前記貯湯タンクに貯留されている又は貯留されるべき貯湯水と前記循環経路を循環する熱媒体とを熱交換させる第2熱交換器を備える請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記循環経路は、貯湯タンクを通る管路を備え、該管路を通って前記熱媒体が循環するように構成されており、
前記管路が、前記貯湯タンクに貯留されている貯湯水と前記循環経路を循環する熱媒体との間で熱交換を行なわせる前記第2熱交換器を構成している請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記貯湯タンク内に貯湯水を加熱するための第1加熱部を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記熱交換機構は、前記貯湯タンクの下部から該貯湯タンクの上部に至る貯湯水経路と、前記貯湯水経路と前記貯湯タンクとを通って貯湯水を循環させる貯湯水循環器と、前記貯湯水経路を循環する貯湯水と前記熱媒体循環経路を循環する熱媒体との間で熱交換を行なわせる熱交換器で構成された前記第2熱交換器と、を備え、
前記燃料電池システムは、さらに、前記貯湯タンクと前記第2熱交換器との間の前記貯湯水経路を流れる貯湯水を加熱する第2加熱部を有する請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
燃料ガスと空気とを発電反応させて発電する発電ステップと、
前記空気を前記燃料電池に供給するための空気供給ステップと、
外部に供給する貯湯水を貯湯タンクに貯留する貯湯ステップと、
前記空気供給ステップにより供給される空気のうち前記発電ステップにおける発電反応で消費されずに排出される空気を含むオフガスを、オフガス経路に流通させるステップと、
前記貯湯タンク内の貯湯水と前記オフガス経路を流れるオフガスとの間で直接又は間接に熱交換を行なう熱交換ステップと、
前記オフガス経路上に、前記発電ステップにおける発電時に前記熱交換ステップにおける熱交換により凝縮された凝縮水をオフガスから分離して凝縮水タンクに貯留する貯留ステップと、
前記凝縮水タンクに貯留された凝縮水を改質水として用いて原料ガスを改質することにより前記燃料ガスを生成し、該燃料ガスを前記燃料電池に供給する改質ステップと、
当該燃料電池システムの起動時に、前記空気供給ステップを実行して、前記空気を、前記オフガス経路を通じて前記凝縮水タンクに通流させるとともに、前記熱交換ステップを実行して該凝縮水タンクに通流される空気を前記貯湯水との熱交換により加熱する解凍ステップと、を含む燃料電池システムの制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−105612(P2013−105612A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248263(P2011−248263)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】