説明

燃料電池システム及びその運転方法

【課題】加湿器を別途設けなくても、起動時に燃料電池スタックの電解質膜を効率的に加湿でき、且つ、電解質膜又は触媒の機械劣化や化学劣化を防止することができる燃料電池システム及びその運転方法の提供。
【解決手段】燃料電池システムの運転方法では、発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給し(ステップS10)、改質ガスの供給前よりも電解質膜の含水量が増加したときに(ステップS11:YES)、酸化剤ガスの前記酸化剤極への供給を開始して発電を開始する(ステップS12)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム及びその運転方法に関するものであり、特に、起動時に燃料電池を加湿するための運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、一般的には原料ガスを改質した改質ガスと酸化剤ガスとを用い、電気化学的な反応により電気を発生させるものである。この種の燃料電池システムは、発電効率が高く、しかも、排出ガスがクリーンで環境に対する影響が極めて少ない。そのため、近年では、発電用電源や低公害の自動車用電源など、種々の用途への利用が期待されている。
【0003】
固体高分子形燃料電池を用いた燃料電池システムの場合、一般に、プロトン導電性のある高分子電解質膜を備えており、該高分子電解質膜の両主面に対向するようにして、一対の電極を成す燃料極と酸化剤極とが高分子電解質膜を挟んで設けられる。このようにして、高分子電解質膜とこれを挟む一対の電極とによって電極接合体が構成され、該電極接合体をセパレータで挟持して成る単セルが、燃料電池における最小の発電単位となっている。
【0004】
燃料電池システムを発電運転する際には、燃料極へは改質ガス(例えば、水素含有ガス)を供給し、酸化剤極へは酸化剤ガス(例えば、空気)を供給する。すると、燃料極に担持された触媒により、改質ガスが電子及びプロトン(水素イオン)へと変換される。このうち電子は、燃料極から外部へ取り出されて電流となり、外部負荷を経由して再び酸化剤極へ到達する。また、プロトンは、燃料極から高分子電解質膜を通過して酸化剤極へ到達し、上記のように外部負荷を経由して同じく酸化剤極へ到達した電子と反応し、水が生成される。
【0005】
ところで、上記のような燃料電池システムでは、燃料極から酸化剤極への高分子電解質膜を介したプロトンの伝導度を向上させるために、高分子電解質膜を湿潤状態に維持する必要がある。そのため、加湿された改質ガスを燃料極へ供給すると共に、加湿された酸化剤ガスを酸化剤極へ供給することにより、高分子電解質膜を加湿している。このように改質ガス及び酸化剤ガスを加湿するため、加湿器が備えられている。一般的にこの加湿器は、燃料電池から排出される改質ガスのオフガスと酸化剤ガスのオフガスとを反応させて水を生成し、この水を、各電極へ供給される改質ガス及び酸化剤ガスへ供給する。
【0006】
しかしながら、このような加湿器の設置は、燃料電池システムの大型化及び製造コストの上昇を招いてしまい、好ましくない。
【0007】
一方、燃料電池システムにおいて加湿器を備えない場合、起動時に高分子電解質膜を加湿することが困難であり、非常に乾燥した状態で発電運転を開始しなければならない。この場合、低加湿に起因して高分子電解質膜のプロトンの伝導度が低くなるだけでなく、高分子電解質膜の機械劣化及び化学劣化が進行する可能性もある。即ち、上述したように発電時には酸化剤極にて水が生成されるため、高分子電解質膜は、乾燥した状態から急激に加湿状態へと変化する。すると、運転及び停止を繰り返すたび、高分子電解質膜は膨潤と乾燥による収縮とが繰り返されるため、機械劣化の進行が早まる可能性がある。また、低湿度状態ではヒドロキシラジカルの生成が促進されるため、これによる高分子電解質膜の分解といった化学劣化が生じる可能性もある。
【0008】
上記のような事情を鑑みて、様々のシステム構成が提案されている(特許文献1〜3参照)。このうち特許文献1には、起動時に水蒸気を用いて燃料電池を加湿するシステムが提案されている。より具体的には、ボイラーで水蒸気を生成し、原料ガスの改質器への供給を遮断した状態で、この水蒸気を燃料電池へ供給するようになっている。これにより、簡単な構成によって、早期に燃料電池を加湿することができるものと考えられる。
【0009】
また、特許文献2に記載されたシステムでは、酸素を含むカソードオフガスを改質器へ供給し、そこで炭化水素系燃料(例えば、ガソリン)を完全燃焼して水蒸気を生成している。そして、この水蒸気によって加湿された改質ガスをアノードへ供給し、燃料電池を加湿している。これにより、燃料電池の昇温及び加湿が行えるため、起動状態から早期に発電状態へと移行できると考えられる。
【0010】
また、特許文献3に記載されたシステムでは、起動時に、加湿した原料ガスを用いて燃料電池を加湿する構成を採用している。より具体的には、水蒸気で加湿した原料ガスを、低温状態の改質器を通過させて燃料電池へ供給している。そして、所定量の加湿原料ガスを供給した時点で改質器を昇温することで、原料ガスを改質した水素リッチな改質ガスを燃料電池へ供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−3936号公報
【特許文献2】特開2003−151599号公報
【特許文献3】特開2005−209362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1のシステムの場合、ボイラーを用いて水蒸気を生成するために、水を沸点まで昇温しなければならずエネルギー損失が大きい。また、高温の水蒸気を燃料電池スタックへ供給すると、高分子電解質膜の急激な温度上昇によって、局部的な機械劣化が生じる可能性が予測される。
【0013】
特許文献2のシステムの場合は、炭化水素系燃料を完全燃焼させる必要性から、やはりエネルギー損失が大きくなる。また、特許文献1の場合と同様に、高分子電解質膜の急激な温度上昇に起因して、機械劣化が生じることが考えられる。更に、これに加えて、酸素を含むカソードオフガスが改質器へ供給されることから、改質器が備える触媒が劣化する可能性が予測される。
【0014】
また、特許文献3のシステムの場合は、結果的に加湿器を必要とするものであると共に、低温の原料ガスを加湿するものであるため、原料ガスの含水量を高めることが困難であって、加湿効率を十分に高めることができないと考えられる。
【0015】
本発明は上述したような事情を鑑みてなされたものであり、別途の加湿器を設けなくても、起動時に燃料電池スタックの電解質膜を効率的に加湿でき、且つ、従来技術で生じるような機械劣化や化学劣化が生じるのを防止することができる燃料電池システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る燃料電池システムの運転方法は、電解質膜を挟んで位置する燃料極及び酸化剤極のうち、燃料極へ原料ガスを水蒸気改質した水素を含む改質ガスを供給し、且つ酸化剤極へ酸化剤ガスを供給することにより、発電を行う燃料電池システムの運転方法であって、発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給し、前記改質ガスの供給前よりも前記電解質膜の含水量が増加したときに、酸化剤ガスの前記酸化剤極への供給を開始して発電を開始する。
【0017】
このような構成とすることにより、発電運転時と同様の改質ガス(水蒸気を含む)を用いて燃料電池スタックを加湿するため、電解質膜の急激な温度上昇による機械劣化や、COガスによる触媒の被毒を防止することができる。また、電解質膜が加湿されて発電可能な状態になるまで、酸化剤ガスの酸化剤極への供給を行わないため、加湿されていない酸化剤ガスによる電解質膜の乾燥を防止できる。従って、改質ガスによる電解質膜の加湿を効率的に行うことができる。
【0018】
また、発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給する際、更に前記酸化剤極を封止した状態とするようにしてもよい。
【0019】
本発明に係る燃料電池システムは、原料ガスを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器と、改質ガスが供給される燃料極、酸化剤ガスが供給される酸化剤極、並びに、前記燃料極及び前記酸化剤極間に挟まれた電解質膜、を有する燃料電池スタックと、前記改質器から前記燃料電池スタックへ改質ガスを送るための改質ガスラインと、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ送るための酸化剤ガスラインと、発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給し、前記改質ガスの供給前よりも前記電解質膜の含水量が増加したときに、酸化剤ガスの前記酸化剤極への供給を開始して発電を開始するように制御する制御装置と、を備えている。
【0020】
また、前記制御装置は、前記改質ガスを供給しはじめた後に、所定時間が経過したこと又は前記電解質膜の電気抵抗が所定値以下になったこと、を判定することによって、前記電解質膜の含水量が前記改質ガスの供給前より増加したか否かを判定するよう構成されていてもよい。
【0021】
また、前記所定時間は1分以上に設定され、前記電気抵抗は1mΩ以下に設定されていてもよい。
【0022】
また、前記制御装置は、前記燃料電池スタックの温度が高いほど、改質ガスの前記燃料極への供給量が少なくなるように、改質ガスの供給量を制御するよう構成されていてもよい。
【0023】
また、前記制御装置は、前記改質器内が所定温度以上になってから、改質ガスの前記燃料極への供給を開始するよう構成されていてもよい。
【0024】
また、前記改質ガスラインは、前記燃料極を経ずに該燃料極の上流位置と下流位置とを接続するバイパスラインを有していてもよい。
【0025】
また、前記酸化剤ガスラインにおいて、前記酸化剤極の上流位置及び下流位置のうち少なくとも一方に、酸化剤ガスの供給を制御するバルブが設けられていてもよい。
【0026】
また、前記燃料電池スタックと熱交換を行う熱媒体を貯留する熱媒体タンクと、前記熱媒体を前記燃料電池スタックへ送るための熱媒体ラインと、を更に備え、前記制御装置は、少なくとも発電開始前に、熱媒体を供給して前記燃料電池スタックを冷却するよう構成されていてもよい。
【0027】
また、前記制御装置は、発電を開始する際の前記酸化剤極への酸化剤ガスの供給量を、前記電解質膜の電気抵抗値に応じて調整するよう構成されていてもよい。
【0028】
また、前記制御装置は、発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給する際、更に前記酸化剤極を封止した状態とするよう構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る燃料電池システム及びその運転方法によれば、別途の加湿器を設けなくても、起動時に燃料電池スタックの電解質膜を効率的に加湿でき、且つ、電解質膜又は触媒の機械劣化や化学劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を示す模式的なブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る燃料電池システムの運転方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システムの構成を示す模式的なブロック図である。
【図4】図4は、実施の形態2に係る燃料電池システムの運転方法の一部を示すフローチャートである。
【図5】図5は、実施の形態2に係る燃料電池システムの他の運転方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システムの構成を示す模式的なブロック図である。
【図7】図7は、変形例に係る燃料電池システムの構成を示す模式的なブロック図である。
【図8】図8は、変形例に係る燃料電池システムの他の構成を示す模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態に係る燃料電池システム及びその運転方法について、図面を参照しつつ説明する。なお、燃料電池システムは、水素を含む改質ガスと酸化剤ガスとを用いて発電するものであれば特に限定されないが、頻繁に起動及び停止できるもの(例えば、高分子電解質形燃料電池)に対して、本発明を好適に適用することができる。
【0032】
また、燃料電池システムの運転態様としては、定格電位を出力可能な発電状態、全ての機能が停止状態にある停止状態、該停止状態から発電状態へ移行する起動状態、及び発電運転状態から待機状態へ移行させる停止移行状態があり、以下では各状態を区別する。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池システム1Aの構成を示す模式的なブロック図である。図1に示すように、この燃料電池システム1Aは、水素を含む改質ガスが供給される燃料極(アノード)3と、酸素を含む酸化剤ガスが供給される酸化剤極(カソード)4と、これら燃料極3及び酸化剤極4の間に挟まれた電解質膜5とを有する燃料電池スタック2を備えている。
【0034】
このうち電解質膜5には、イオン導電性を有する高分子膜が用いるが、その種類は特に限定されない。また、燃料極3及び酸化剤極4の夫々は、例えば、白金等の貴金属をカーボン粒子に担持させた触媒を含む触媒層と、カーボンクロス等のガスが拡散可能な多孔質材料から成る拡散層との二層により構成されている。そして、このような電解質膜5を燃料極3及び酸化剤極4で挟み込んだ電極接合体を、更にセパレータにより外側から挟み込むことで、上記燃料電池スタック2が構成されている。
【0035】
また、燃料電池システム1Aは、原料ガスを水蒸気改質して改質ガスを生成する改質器7、該改質器7へ原料ガスを供給する原料供給器8、改質器7へ改質水を供給する改質水供給器9、電解質膜5の電気抵抗を測定する抵抗測定器10、及び、計時手段12を機能の1つとして有する制御装置11を備えている。なお、原料供給器8から供給する原料ガスとしては、水蒸気改質により水素含有ガスを生成できるものであればよく、例えば、メタン、エタン、プロパン、又はブタン等を含む天然ガスや、LPガスを採用できる。
【0036】
改質器7は、改質触媒等を収容する反応容器(図示せず)と、この反応容器を加熱する加熱器7aとを備えている。反応容器は、例えば、改質部、変成部、及びCO除去部を含んで構成される。このうち改質部は、原料ガスを水蒸気改質して改質ガスを生成する。変成部は、改質部にて生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減するように処理する。CO除去部は、変成部を通過した改質ガスに含まれる一酸化炭素をさらに低減するように処理する。一方、加熱器7aは、例えば、改質ガスのオフガス又は原料ガス等の燃焼用ガスと空気とを燃焼反応させるバーナ(burner)により構成することができる。なお、この加熱器7aでは、燃料電池スタック2で発電された電力により、着火及び空気の供給等の処理が行われるようになっている。
【0037】
このような構成の改質器7には、原料供給器8から原料ガスラインL1を介して原料ガスが供給され、改質水供給器9から改質水ラインL2を介して改質水が供給される。また、原料ガスラインL1及び改質水ラインL2の夫々には、開閉弁V1,V2が設けられており、原料ガス及び改質水の供給量を調整可能になっている。
【0038】
原料供給器8は、例えば都市ガスインフラ等の原料供給源に接続されており、制御装置11からの制御信号による開閉弁V1の駆動により、原料供給量が調整されながら原料を供給する。また、改質水供給器9は、例えば市水や回収水等を水源とし、制御装置11からの制御信号による開閉弁V2の駆動により、給水量が調整されながら水を供給する。
【0039】
改質器7は、原料供給器8からの原料ガスと改質水供給器9からの改質水とを用い、水蒸気改質反応により、水素含有ガスから成る改質ガスを生成する。生成された改質ガスは、改質ガスラインL3を介して送出される。なお、開閉弁V1により原料ガスの供給量を調整することにより、改質器7での改質ガスの生成量を適宜調整することができ、開閉弁V2により改質水の供給量を調整することにより、改質ガスの加湿度を適宜調整することができる。
【0040】
改質ガスラインL3は、改質器7から燃料電池スタック2の燃料極3の入口へ至り、更に燃料極3の出口から改質器7の加熱器7aへ至る経路として構成されている。従って、改質器7から送出された改質ガスは燃料極3へ送られ、そこで一部の水素が発電のための反応(H→2H+2e)に使用される。その結果、生成された電子(電流)は図示しない外部負荷へ送られ、発電反応に使用されなかった改質ガス(オフガス)は、改質ガスラインL3を介して改質器7の加熱器7aへ供給される。
【0041】
改質ガスラインL3には、燃料極3の上流位置と下流位置とを短絡する改質ガスバイパスラインL4が接続されている。より具体的には、改質ガスラインL3において、改質器7から燃料極3の入口へ至る経路の途中に三方弁V3が設けられ、燃料極3の出口から加熱器7aへ至る経路の途中には別の三方弁V4が設けられている。そして、改質ガスバイパスラインL4は、これらの三方弁V3,V4間を接続して設けられている。従って、三方弁V3,V4の連通方向を調整することにより、改質ガスを燃料極3へ供給する状態と、改質ガスを燃料極3へ供給せずに改質ガスバイパスラインL4を介して加熱器7aへ供給する状態とで、切り換えることができる。
【0042】
また、酸化剤極4には酸化剤ガスラインL5が接続されている。より具体的に説明すると、酸化剤ガスラインL5は、大気開放された上流端から酸化剤極4の入口へ至り、更に酸化剤極4の出口から下流端へと延びている。この酸化剤ガスラインL5における、酸化剤極4の上流位置と下流位置との夫々には、開閉弁V5,V6が設けられている。更に、酸化剤ガスラインL5の上流端と酸化剤極4の入口との間にはブロワ13が設けられている。
【0043】
従って、開閉弁V5,V6を開放した状態でブロワ13を駆動することにより、酸化剤ガスとしての空気を取り込んで、酸化剤極4へ供給できるようになっている。酸化剤極4へ供給された酸化剤ガスは、その一部が発電のための反応(1/2O+2H+2e→HO)に使用される。そして、この発電反応に使用されなかった酸化剤ガス(オフガス)は、本システム1Aの外部へ排出される。なお、開閉弁V5,V6は何れか一方のみを備えることとしてもよい。
【0044】
抵抗測定器10は、電気抵抗を測定することのできる公知のセンサであり、電解質膜5の両主面(燃料極3に接する主面、及び酸化剤極4に接する主面)間の抵抗値を、本システム1Aの状態(起動状態、発電状態等)に拘わらず、直接的に又は間接的に測定できるようになっている。
【0045】
また、制御装置11は、CPU等のプロセッサを用いて構成することができ、機能の1つとして、経過時間を測定することができる。また、制御装置11は、上述した各弁V1〜V6の開閉、加熱器7aの着火、及びブロワ13の動作等を制御し、抵抗測定器10の測定値を受信することができる。
【0046】
次に、上記燃料電池システム1Aの運転方法について説明する。なお、以下に説明する運転方法は、制御装置11が各部を制御することによって実現される。
【0047】
図2は、実施の形態1に係る燃料電池システムの運転方法を示すフローチャートである。この図2に示すように、燃料電池システム1Aは、停止状態から起動状態に移行すると、改質ガスを燃料極3へ供給する(ステップS10)。即ち、改質器7を駆動すると共に開閉弁V1,V2を開放することにより改質ガスを生成する。また、三方弁V3,V4の連通方向を制御し、改質ガスバイパスラインL4を遮断した状態にする。これにより、改質ガスを燃料極3へ供給する。
【0048】
但し、このステップS10では、酸化剤極4へ酸化剤ガスを供給しないようにする。特に、酸化剤ガスを酸化剤極4へ供給することなく、且つ、酸化剤極4を封止した状態で、改質ガスを燃料極3へ供給するのが好ましい。ここで「酸化剤極4を封止した状態」とは、酸化剤ガスラインL5における開閉弁V5,V6のうち何れか一方又は両方が閉じられた状態を意味する。
【0049】
続いて、改質ガスを供給しはじめた後、改質ガスの供給前よりも電解質膜5の含水量が増加したか否かを判断する(ステップS11)。例えば、燃料電池システム1Aは、電解質膜5の含水量を測定するための図示しない測定器(例えば、湿度計)での測定値を、制御装置11にて取得する。そして、改質ガスの供給をはじめた時点の測定値と、その後の測定値とを比較することで、ステップS11の判定を行う。
【0050】
なお、上記のように含水量を直接的に測定するのに換えて、間接的に測定する方法を採用してもよい。例えば、ステップS11の処理において、改質ガスを供給しはじめた後、所定時間が経過したか否かを判断することにより、改質ガスの供給前よりも電解質膜5の含水量が増加したか否かを判断することとしてもよい。この所定時間としては、例えば1分以上の時間に設定することができる。そして、この「所定時間」を適宜設定することにより、該所定時間の経過により電解質膜5の含水量が改質ガス供給前よりも増加したか否かを判断可能である他、該所定時間の経過により、「電解質膜5が十分に加湿され、発電を開始するのに適したプロトン伝導性を有するに至った状態」であると判断することも可能である。
【0051】
また、含水量を間接的に測定する方法の他の例として、電解質膜5の電気抵抗値を指標とする方法を採用することができる。即ち、ステップS11の処理にて、改質ガスを供給しはじめた後、電解質膜5の電気抵抗が所定値以下になったか否かを判断することにより、改質ガスの供給前よりも電解質膜5の含水量が増加したか否かを判断することとしてもよい。このように、電気抵抗値を指標とする場合には、上記所定値として、例えば1mΩ以下の値に設定することができる。このように電気抵抗値を指標とする場合も、「所定値」を適宜設定することにより、該所定値と測定した電気抵抗値とを対比することによって、電解質膜5の含水量が改質ガス供給前よりも増加したか否かを判断可能である他、該所定値以下であった場合には「電解質膜5が十分に加湿され、発電を開始するのに適したプロトン伝導性を有するに至った状態」であると判断することも可能である。
【0052】
上記のように、電解質膜5の含水量が改質ガスの供給前より増加した場合(例えば、所定時間が経過したか、又は、電気抵抗が所定値以下になった場合)は(ステップS11:YES)、酸化剤ガスの酸化剤極4への供給を開始し、これにより発電を開始する(ステップS12)。即ち、酸化剤極4を封止していた場合はこの状態を解除すべく開閉弁V5,V6を何れも開放し、ブロワ13を駆動することにより、酸化剤極4へ酸化剤ガスとしての空気を供給する。これにより、既に説明した発電反応により発電が行われる。
【0053】
上述したような燃料電池システム1A及びその運転方法によれば、発電状態にあるときと同様の改質ガス(水蒸気を含む)を用いて電解質膜5を加湿することができる。従って、電解質膜5の急激な温度上昇による機械劣化を防止することができる。また、電解質膜5が加湿されて発電可能な状態になるまで、酸化剤ガスの酸化剤極4への供給を行わない。従って、酸化剤ガスによる電解質膜5の乾燥を防止でき、改質ガスによる電解質膜5の加湿を効率的に行うことができる。また、ステップS10において酸化剤極4を封止した状態とした場合には、酸化剤極4内でガスの流れが生じるのを抑制でき、電解質膜5の加湿効果を更に高めることができる。
【0054】
なお、上記のようにステップS11において、電解質膜5の含水量の増加を直接的に判断する場合には、図1に示した抵抗測定器10及び計時手段12は必須ではない。また、ステップS11において、所定時間の経過に基づき、電解質膜5の含水量の増加を間接的に判断する場合は、計時手段12は必須である一方で抵抗測定器10は必ずしも備えていなくてもよい。更に、ステップS11において、電解質膜5の電気抵抗に基づき、電解質膜5の含水量の増加を間接的に判断する場合は、抵抗測定器10は必須である一方で計時手段12は必ずしも備えていなくてもよい。
【0055】
なお、上述した説明では、改質ガスの供給前よりも電解質膜5の含水量が増加したか否かを間接的に判断する場合の具体例として、所定時間の経過により判断する場合と、電解質膜5の電気抵抗を所定値と対比して判断する場合とを示したが、これに限られない。当業者において公知の他の方法を採用して、電解質膜5の含水量の増加を判断することとしてもよい。
【0056】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システム1Bの構成を示す模式的なブロック図である。以下、本実施の形態2に係る燃料電池システム1Bについて、上述した燃料電池システム1Aと同様の構成部分については同一符号を付し、異なる構成について主に説明する。
【0057】
図3に示すように、この燃料電池システム1Bは、上記燃料電池システム1Aに対し、燃料電池スタック2の温度を検出するための温度センサ20と、改質器7(正確には、その反応容器)の温度を検出するための温度センサ21とを追加した構成になっている。これらの温度センサ20,21は、燃料電池システム1Bの状態に拘わらず、対応する各部の温度を検出することができ、検出値は制御装置11へ送られるようになっている。また、温度センサ20については、例えば燃料電池スタック2のセパレータに形成された熱媒体通流用のマニホールド周辺に温度検知部を配置し、熱媒体の温度を検出するようにしてもよい。
【0058】
次に、このような燃料電池システム1Bの運転方法について説明する。燃料電池システム1Bでは、既に図2のフローチャートを参照して説明したのとほぼ同様の動作を行う一方で、図2のステップS10の処理において制御装置11は、燃料電池スタック2の温度に応じた制御を行う。
【0059】
図4は、実施の形態2に係る燃料電池システム1Bの運転方法の一部(図2のステップS10の処理)の詳細を示すフローチャートである。図4に示すように、はじめに燃料極3へ改質ガスを所定流量で供給開始すると(ステップS10−1)、温度センサ20で検出した燃料電池スタック2の温度が上昇したか否かを判断する(ステップS10−2)。そして、温度が上昇したと判断した場合は(ステップS10−2:YES)、改質ガスの供給量を低減させる(ステップS10−3)。
【0060】
例えば、起動状態から発電状態へ移行する際、燃料電池スタック2は、およそ常温から60度程度にまで昇温される。そして、改質ガスの供給開始時点では、100リットル/分以下の所定流量で供給し、温度が上昇するに従って流量を低減し、発電状態の直前には1リットル/分以上の所定流量で供給するようにする。発電状態の直前の流量は、発電状態での流量と同じに設定してもよく、この場合、好適には30リットル/分以下に設定することが考えられる。
【0061】
また、このような、燃料電池スタック2の温度上昇に応じて改質ガスの供給量を調整する一連の処理(ステップS10−1〜S10−3)は、少なくとも、図2に示すステップS12で発電が開始されるまで継続して実行される。
【0062】
上述したような燃料電池システム1B及びその運転方法によれば、起動状態の初期であって燃料電池スタック2が低加湿であるほど、大量の改質ガスを供給し、電解質膜5を効率的に加湿することができる。また、発電状態の直前に、発電状態と同程度の流量とすることにより、起動状態から発電状態へとスムースに移行させることができる。なお、この図4の処理の実行のみ関して言えば、先に言及した温度センサ21は必ずしも備えていなくてもよい。
【0063】
図5は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池システム1Bの他の運転方法を示すフローチャートである。この運転方法では、図2に示したステップS10〜S12の処理を実行するが、ステップS10にて改質ガスを燃料極3へ供給開始する前に、ステップS1,S2の処理を実行する。
【0064】
具体的に説明すると、図5に示すように、はじめに加熱器7aを着火して改質器7を駆動すると共に、原料ガス及び改質水を供給する(ステップS1)。但し、この状況においては、改質器7から出される改質ガスは、燃料極3へ供給せず、三方弁V3,V4により改質ガスバイパスラインL4を介して加熱器7aへ戻すようにしておく。次に、改質器7の改質部の温度が所定値以上になったか否かを、温度センサ21の検出値に基づいて判断する(ステップS2)。所定温度としては、COガスによって触媒が被毒されるのを防止するという観点から、500度であり、好ましくは600度、より好ましくは650度、更に好ましくは700度である。改質器7の温度が所定値以上になるまではこの状態を継続し、所定値以上になると(ステップS2:YES)、燃料極3への改質ガスの供給を開始する(ステップS10)。即ち、三方弁V3,V4を操作して改質ガスバイパスラインL4を遮断し、改質ガスラインL3から燃料極3へ向かう経路を開放する。なお、これ以降は、図2を用いて説明したのと同様にして、各ステップS10〜S12の処理を実行する。
【0065】
上述したような運転方法によれば、低温の改質器7にて生成された改質ガスは、改質ガスバイパスラインL4を介して加熱器7aへ供給され、燃料極3へは供給されない。従って、低温の改質器7で生成される改質ガスには高濃度のCOガスが含まれるが、このCOガスによって触媒が被毒されるのを防止することができる。また、改質器7が適温にまで昇温された後には改質ガスを燃料極3へ供給するため、高濃度のCOガスを含まない改質ガスにより、電解質膜を好適に加湿することができる。なお、この図5のステップS10の処理に対し、上述したように図4に示すステップS10−1〜S10−3の処理を適用してもよい。
【0066】
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池システム1Cの構成を示す模式的なブロック図である。以下、本実施の形態3に係る燃料電池システム1Cについて、上述した燃料電池システム1A又は1Bと同様の構成部分については同一符号を付し、異なる構成について主に説明する。
【0067】
図6に示すように、この燃料電池システム1Cは、上記燃料電池システム1Bに対し、燃料電池スタック2を冷却する冷却システム30を追加した構成になっている。具体的には、熱媒体(冷却水)を貯留する熱媒体タンク31を備え、また、燃料電池スタック2には伝熱機能を有する熱交換器32が設けられている。そして、これら熱媒体タンク30及び熱交換器31の間で熱媒体を循環させるべく、熱媒体ラインL6が設けられ、該熱媒体ラインL6上にポンプ33が配設されている。なお、このポンプ32は、制御装置11からの制御信号に従って駆動し、熱媒体の循環流量を適宜調整可能になっている。
【0068】
本実施の形態に係る燃料電池システム1Cでは、基本的に、実施の形態1又は2で説明した何れかの運転方法を採用することができる。但し、この燃料電池システム1Cでは、図2又は図5に示す電解質膜の加湿処理中に、冷却システム30を駆動し、燃料電池スタック2を冷却することとしている。
【0069】
即ち、一般に燃料電池スタックは断熱性に優れた構成であるため、例えば夜間にシステムを停止して翌朝に起動させた場合、起動時の燃料電池スタックは比較的高温のままになっている場合がある。そして、高温の燃料電池スタックに改質ガスを供給したとしても、露点が高いため、電解質膜を加湿するのが困難になる。これに対し、上記燃料電池システム1Cでは、冷却システム30によって燃料電池スタック2を冷却するため、露点を低くすることができ、改質ガスによって電解質膜を適切に加湿することができる。
【0070】
なお、少なくとも発電開始前に燃料電池スタック2を冷却し、これを、起動開始時点よりも低温にできればよい。従って、燃料電池スタック2の冷却開始は、改質ガスを燃料極3へ供給する前、又は供給開始と同時に行ってもよいし、改質ガスを燃料極3へ供給しはじめた後に行ってもよい。但し、より効率的に加湿する観点からすれば、改質ガスが燃料極3へ供給されている間、燃料電池スタック2が低温であることが好ましい。従って、改質ガスを燃料極3へ供給する前(ステップS10より前)に、燃料電池スタック2の冷却を行うことが好ましい。
【0071】
(変形例)
図7は、変形例に係る燃料電池システム1Dの構成を示す模式的なブロック図である。以下、この燃料電池システム1Dについて、上述した燃料電池システム1A〜1Cの何れかと同様の構成部分については同一符号を付し、異なる構成について主に説明する。
【0072】
図7に示すように、この燃料電池システム1Dは、先に説明した燃料電池システム1Cに対して加湿器40を追加した構成になっている。即ち、燃料電池システム1Dは、酸化剤ガスを加湿するために、酸化剤ガスラインL5の途中(本実施の形態では、ブロワ13の上流位置)に加湿器40を備えている。この加湿器40は、発電状態において、燃料電池スタック2での発電反応により生成される水を回収し、これを用いて酸化剤ガスを加湿する構成となっている。
【0073】
このような燃料電池システム1Dでは、発電状態において、酸化剤ガスの加湿状態を加湿器40によって適切に調整することができる。また、発電状態へ至る起動状態においては、実施の形態1〜3で説明した何れかの運転方法を実行することにより、既に説明したのと同様に電解質膜5を適切に加湿することができる。
【0074】
図8は、変形例に係る燃料電池システム1Eの構成を示す模式的なブロック図である。以下、この燃料電池システム1Eについて、上述した燃料電池システム1A〜1Dの何れかと同様の構成部分については同一符号を付し、異なる構成について主に説明する。
【0075】
図8に示すように、この燃料電池システム1Eは、先に説明した燃料電池システム1Dから、改質ガスバイパスラインL4,三方弁V3,V4を除外した構成になっている。このように、改質ガスの通流経路として、燃料極3をバイパスする経路を設けないこととすると、既に説明したように、低温の改質器7で生成された改質ガスに含まれるCOガスにより、触媒が被毒する可能性が生じる。しかしながら、その後、適温の改質器7で生成された改質ガスを通流させることにより、この被毒を軽減することが可能である。
【0076】
この他、燃料電池システム1Eによれば、早期に改質ガスを燃料極3へ供給できるため、電解質膜5の早期加湿が可能になり、起動状態から発電状態への移行を早めることができる。また、改質ガスバイパスラインL4,三方弁V3,V4を備えないため、システムの低コスト化、及び小型化を実現することも可能である。
【0077】
ところで、上述した燃料電池システム1A〜1Eでは、何れも電解質膜5の電気抵抗を測定するための抵抗測定器10を備える構成を例示している。従って、発電を開始する際の酸化剤極4への酸化剤ガスの供給量を、電解質膜5の電気抵抗値に応じて調整するようにしてもよい。
【0078】
具体的に説明すると、発電を開始する際に酸化剤極4へ供給される酸化剤ガスは低加湿になっている。例えば、加湿器40を備える図8の燃料電池システム1Eであっても、発電開始時には発電反応による生成水がないため、酸化剤ガスは加湿されておらず、低加湿である。従って、発電開始時点から比較的多くの酸化剤ガスを供給すると、起動状態で加湿した電解質膜5が、低加湿の酸化剤ガスに曝されて低加湿化してしまう。
【0079】
そこで、発電を開始する際、抵抗測定器10の検出値に基づき、電解質膜5の電気抵抗が適切な値となるように、酸化剤ガスの供給量を調整することが好ましい。例えば、発電の開始時点では、比較的少量の酸化剤ガスを供給することとし、電解質膜5の電気抵抗が所定値以下を満たす範囲で、徐々に酸化剤ガスの供給量を増加する。なお、酸化剤ガスの供給量が徐々に増加するに従って、発電反応での水の生成量も徐々に増加する。従って、上記のように酸化剤ガスの供給量を増加させつつも、電解質膜5の電気抵抗を所定値以下に維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、別途の加湿器を設けなくても、起動時に燃料電池スタックの電解質膜を効率的に加湿でき、且つ、電解質膜又は触媒の機械劣化や化学劣化を防止することができる燃料電池システム及びその運転方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1A〜1E 燃料電池システム
2 燃料電池スタック
3 燃料極
4 酸化剤極
5 電解質膜
7 改質器
8 原料供給器
9 改質水供給器
10 抵抗測定器
11 制御装置
20,21 温度センサ
30 冷却システム
31 熱媒体タンク
32 熱交換器
40 加湿器
L3 改質ガスライン
L4 改質ガスバイパスライン
L5 酸化剤ガスライン
L6 熱媒体ライン
V3,V4 三方弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜を挟んで位置する燃料極及び酸化剤極のうち、燃料極へ原料ガスを水蒸気改質した水素を含む改質ガスを供給し、且つ酸化剤極へ酸化剤ガスを供給することにより、発電を行う燃料電池システムの運転方法であって、
発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給し、
前記改質ガスの供給前よりも前記電解質膜の含水量が増加したときに、酸化剤ガスの前記酸化剤極への供給を開始して発電を開始する、燃料電池システムの運転方法。
【請求項2】
発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給する際、更に前記酸化剤極を封止した状態とする、請求項1に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項3】
原料ガスを水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する改質器と、
改質ガスが供給される燃料極、酸化剤ガスが供給される酸化剤極、並びに、前記燃料極及び前記酸化剤極間に挟まれた電解質膜、を有する燃料電池スタックと、
前記改質器から前記燃料電池スタックへ改質ガスを送るための改質ガスラインと、
酸化剤ガスを前記酸化剤極へ送るための酸化剤ガスラインと、
発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給し、
前記改質ガスの供給前よりも前記電解質膜の含水量が増加したときに、酸化剤ガスの前記酸化剤極への供給を開始して発電を開始するように制御する制御装置と、を備えた燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記改質ガスを供給しはじめた後に、所定時間が経過したこと又は前記電解質膜の電気抵抗が所定値以下になったこと、を判定することによって、前記電解質膜の含水量が前記改質ガスの供給前より増加したか否かを判定するよう構成されている、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記所定時間は1分以上に設定され、前記電気抵抗は1mΩ以下に設定されている、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記燃料電池スタックの温度が高いほど、改質ガスの前記燃料極への供給量が少なくなるように、改質ガスの供給量を制御するよう構成されている、請求項4又は5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記改質器内が所定温度以上になってから、改質ガスの前記燃料極への供給を開始するよう構成されている、請求項4乃至6の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記改質ガスラインは、前記燃料極を経ずに該燃料極の上流位置と下流位置とを接続するバイパスラインを有する、請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記酸化剤ガスラインにおいて、前記酸化剤極の上流位置及び下流位置のうち少なくとも一方に、酸化剤ガスの供給を制御するバルブが設けられている、請求項4乃至8の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記燃料電池スタックと熱交換を行う熱媒体を貯留する熱媒体タンクと、前記熱媒体を前記燃料電池スタックへ送るための熱媒体ラインと、を更に備え、
前記制御装置は、少なくとも発電開始前に、熱媒体を供給して前記燃料電池スタックを冷却するよう構成されている、請求項4乃至9の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記制御装置は、発電を開始する際の前記酸化剤極への酸化剤ガスの供給量を、前記電解質膜の電気抵抗値に応じて調整するよう構成されている、請求項4乃至10の何れかに記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記制御装置は、発電開始前に、酸化剤ガスを前記酸化剤極へ供給することなく、改質ガスを前記燃料極へ供給する際、更に前記酸化剤極を封止した状態とするよう構成されている、請求項3乃至11の何れかに記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248321(P2012−248321A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117161(P2011−117161)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】