説明

燃料電池システム

【課題】燃料ガスと酸化剤ガスの供給を1台のブロワで行って、改質器に対する原燃料の供給流量と、改質器の改質反応温度を制御することができる改質装置を提供する。
【解決手段】オートサーマル型の改質器42と、燃料供給路20から供給される燃料ガスと酸化剤供給路30から供給される空気とを混合して改質器42に供給するブロワ40と、燃料供給路20流通するガスの流量を変更する流量調節弁24と、燃料供給路20からブロワ40に供給される燃料ガスの流量を求めるガス流量取得手段62と、改質器42の温度を検出する改質器温度センサ45と、燃料ガスの流量が目標流量となるようにブロワ40の回転速度を制御すると共に、改質器42の温度が目標温度となるように流量調節弁24の開度を制御する改質制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガス等の燃料ガスから水素リッチな改質ガスを生成する改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料ガスから水素リッチな改質ガスを生成する改質装置として、燃料ガス用のブロワと酸化剤ガスとしての空気用のブロワを備えて、これらのブロワにより燃料ガス及び空気を改質器に供給し、さらに水を改質器に供給して、部分酸化反応により発生する熱を水蒸気改質反応で用いて、水素リッチな改質ガスを生成するオートサーマル改質(Auto Thermal Reforming: ATR)型の改質装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、オートサーマル改質型の改質装置の制御においては、改質器での改質反応温度を目標温度に維持すると共に、改質器に供給する燃料ガスの流量を目標流量に維持することが要求される。
【0004】
そこで、従来は、改質器に供給される燃料ガスの流量が目標流量となるように、燃料ガス用のブロワの回転速度を制御すると共に、改質器での改質反応温度が目標温度となるように、空気用のブロワの回転速度を制御していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−154805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の改質装置は、燃料ガス用のブロワと空気用のブロワという2台のブロワを備えているため、ブロア及びその駆動回路のコストが高くなるという不都合がある。また2台のブロワを同時に作動させることによって騒音が大きくなり、2台のブロワを備えるために改質装置のレイアウト容積が増大するという不都合がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記不都合を解消するため、燃料ガスと酸化剤ガスの供給を1台のブロワで行って、改質器に対する燃料ガスの供給流量と、改質器の改質反応温度を制御することができる改質装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、本発明の第1の態様は、燃料ガスと酸化剤ガスの供給を受けて、改質反応により水素リッチな改質ガスを生成するオートサーマル型の改質器と、燃料供給路から供給される燃料ガスと、酸化剤供給路から供給される酸化剤ガスとを混合して、前記改質器に供給するブロワと、前記燃料供給路又は前記酸化剤供給路に設けられて、前記燃料供給路又は前記酸化剤供給路を流通するガスの流量を変更する流量調節弁と、前記燃料供給路から前記ブロワに供給される燃料ガスの流量を検出する流量検出手段と、前記改質器の温度を検出する改質器温度センサと、前記流量検出手段の検出流量が所定の目標流量となるように、前記ブロワの回転速度を制御すると共に、前記改質器温度センサの検出温度が所定の目標温度となるように、前記流量調節弁の開度を制御する改質制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
かかる本発明によれば、前記ブロワの回転速度を増減することによって、前記燃料供給路から前記改質器に供給される燃料ガスの流量を制御することができる。また、前記流量調節弁の開度を変更することによって、前記燃料供給路から前記改質器に供給される燃料ガスの流量と、前記酸化剤供給路から前記改質器に供給される酸化剤ガスの流量との混合比を変更することができる。そして、この混合比を変更することにより、前記改質器における部分酸化反応での発熱量を増減して、前記改質器の温度を制御することができる。
【0010】
このように、本発明の第1の態様によれば、1台の前記ブロワと前記流量変換弁を組合わせた構成により、前記燃料供給路から前記改質器に供給される燃料ガスの流量と、前記改質器の温度を制御することができる。そして、この構成により、従来の燃料ガス供給用のブロワと酸化剤ガス供給用のブロワという2台のブロワを備える場合に比べて、ブロワ及びその周辺回路のコストの低減、ブロワの作動音の減少、及び、改質装置のレイアウト容積の減少を図ることができる。
【0011】
次に、本発明の第2の態様は、燃料ガスと酸化剤ガスの供給を受けて、改質反応により水素リッチな改質ガスを生成するオートサーマル型の改質器と、燃料供給路から供給される燃料ガスと、酸化剤供給路から供給される酸化剤ガスとを混合して、前記改質器に供給するブロワと、前記燃料供給路又は前記酸化剤供給路に設けられて、前記燃料供給路又は前記酸化剤供給路を流通するガスの流量を変更する流量調節弁と、前記燃料供給路から前記ブロワに供給される燃料ガスの流量を検出する流量検出手段と、前記改質器の温度を検出する改質器温度センサと、前記改質器温度センサの検出温度が所定の目標温度となるように、前記ブロワの回転速度を制御すると共に、前記流量検出手段の検出流量が所定の目標流量となるように、前記流量調節弁の開度を制御する改質制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる本発明によれば、前記ブロワの出力を増減することによって、前記燃料供給路から前記改質器に供給される燃料ガスと前記酸化剤供給路から前記改質器に供給される酸化剤ガスの総流量を増減させ、これにより前記改質器における部分酸化反応での発熱量を増減させて、前記改質器の温度を制御することができる。また、前記流量調節弁の開度を変更することによって、前記燃料供給路から前記改質器に供給される燃料ガスの流量を制御することができる。
【0013】
このように、本発明の第2の態様によれば、1台の前記ブロワと前記流量変換弁を組合わせた構成により、前記燃料供給路から前記改質器に供給される燃料ガスの流量と、前記改質器の温度を制御することができる。そして、この構成により、燃料ガス供給用のブロワと酸化剤ガス供給用のブロワという2台のブロワを備える場合に比べて、ブロワ及びその周辺回路のコストの低減、ブロワの作動音の減少、及び、改質装置のレイアウト容積の減少を図ることができる。
【0014】
また、前記第1の態様及び第2態様において、前記流量調節弁は前記燃料供給路に設けられ、前記流量検出手段は、前記流量調節弁の上流側と下流側の間の差圧を検出する差圧検出手段と、前記流量調節弁の開度及び前記流量調節弁の上流側と下流側の差圧と、前記燃料供給路を流れる燃料ガスの流量との相関関係を示す相関データと、前記制御手段により制御されている前記流量調節弁の開度と前記差圧検出手段により検出されている差圧とを前記相間データに適用して、対応する燃料ガスの流量を取得し、該取得した流量を前記燃料ガスの検出流量とするガス流量取得手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
かかる本発明によれば、前記ガス流量取得手段は、オリフィスとして機能する前記流量調節弁の上流側と下流側の差圧と前記流量調節弁の開度とにより求めた燃料ガスの流量を、前記燃料ガスの検出流量とする。この場合、前記差圧検出手段は、比較的安価で経時変化や検出値のドリフトも少ない圧力センサを用いて構成することができるため、前記流量検出手段として、高価で経時変化や検出値のドリフトが大きい質量流量計を用いる場合に比べて、安定した燃料ガスの検出が可能な流量検出手段をコストを抑えて構成することができる。
【0016】
また、前記流量調節弁を流れる燃料ガスの温度を検出する燃料ガス温度センサを備え、前記燃料ガス流量取得手段は、前記相間データへの適用により取得した燃料ガスの流量に対して、前記燃料ガス温度センサにより検出される燃料ガスの温度が高いほど、該流量を少なくする補正を行い、該補正を行った流量を前記燃料ガスの検出流量とすることを特徴とする。
【0017】
かかる本発明において、前記燃料ガスの温度が高くなるに従って、前記燃料ガスの単位質量あたりの体積が増加する。そのため、前記燃料ガス温度検出手段により検出される燃料ガスの温度が高いほど、燃料ガスの検出流量を少なくする補正を行うことで、前記改質器に対する燃料ガスの供給量の制御をより精度良く行うことができる。
【0018】
また、前記流量調節弁の上流側の圧力を検出する上流圧力センサを備え、前記燃料ガス流量取得手段は、前記相間データへの適用により取得した燃料ガスの流量に対して、前記上流圧力センサによる検出圧力が高いほど、該流量を多くする補正を行い、該補正を行った流量を前記燃料ガスの検出流量とすることを特徴とする。
【0019】
かかる本発明において、燃料ガスの供給圧力が高くなるに従って、燃料ガスの単位体積あたりの質量が増加する。そのため、前記上流圧力検出手段により検出される前記流量調節弁の上流側の圧力が高いほど、燃料ガスの検出流量を多くする補正を行うことで、前記改質器に対する燃料ガスの供給量の制御をより精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態の改質装置の構成及び作動説明図。
【図2】改質制御手段及びガス流量取得手段の作動フローチャート。
【図3】ガス流量取得手段の作動フローチャート。
【図4】第2実施形態の改質装置の構成及び作動説明図。
【図5】第3実施形態の改質装置の構成及び作動説明図。
【図6】第4実施形態の改質装置の構成及び作動説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1実施形態から第4実施形態について、図1〜6を参照して説明する。
【0022】
[第1の実施形態]
先ず、図1〜図3を参照して、第1実施形態の改質装置について説明する。図1を参照して、第1実施形態の改質装置10aは、燃料供給路20を介して供給される燃料ガス(天然ガス等)と、酸化剤供給路30を介して供給される酸化剤ガスとしての空気とを混合して混合流路50に送出するブロワ40、混合流路50から供給される燃料ガスと空気の混合ガスに水蒸気を加えて混合燃料を生成する蒸発器41、蒸発器41から供給される混合燃料に対して部分酸化反応と水蒸気改質反応に生じさせて水素リッチな改質ガスを生成するオートサーマル改質(Auto Thermal Reforming: ATR)型の改質器42、及び、改質装置10aの全体的な作動を制御するコントローラ60aを備えている。
【0023】
燃料供給路20には、例えばステッピングモータにより開度が変更される流量調節弁24と、流量調節弁24の上流側の圧力を検出する上流圧力センサ22と、流量調節弁24の下流側の圧力を検出する下流圧力センサ23と、燃料供給路20を流通する燃料ガスの温度を検出する燃料ガス温度センサ21とが設けられている。ここで、流量調節弁24はステッピングモータにより開度が変更するものに限られず、開度の調節制御が可能な可変弁であれば何でもよい。
【0024】
また、酸化剤供給路30にはオリフィス31が設けられ、改質器42には改質器42の温度(改質触媒の温度等)を検出する改質器温度センサ45が設けられている。
【0025】
コントローラ60aは、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等により構成された電子回路ユニットであり、このCPUに改質装置10aの制御用プログラムを実行させることによって、コントローラ60aが、改質制御手段61a及びガス流量取得手段63として機能する。
【0026】
また、コントローラ60aのメモリには、上流圧力センサ22の検出圧力P1と下流圧力センサ23の検出圧力P2の差圧ΔP(=P1−P2)及び流量調節弁24の開度Vsと、燃料供給路20を流れる燃料ガスの流量Gfとの相関マップ63(以下、ΔP,Vs/Gfマップという)のデータ(本発明の流量調節弁の開度及び流量調節弁の上流側と下流側の差圧と、燃料供給路を流れる燃料ガスの流量との相関関係を示す相関データに相当する)が保持されている。なお、上流圧力センサ22と下流圧力センサ23とにより、流量調節弁24の上流側と下流側の差圧を求める構成が、本発明の差圧検出手段に相当する。
【0027】
次に、図2及び図3に示したフローチャートに従って、改質制御手段61とガス流量取得手段62の作動について説明する。
【0028】
図2のSTEP1〜STEP4は、ガス流量取得手段62による処理である。ガス流量取得手段62は、STEP1で、上流圧力センサ22により流量調節弁24の上流側の圧力P1を検出し、流量調節弁24の下流側の圧力P2を検出し、燃料ガス温度21により燃料供給路20を流通する燃料ガスの温度T1を検出する。
【0029】
続くSTEP2で、ガス流量取得手段62は、流量調節弁24の上流側と下流側の差圧ΔP(=P1−P2)と、流量調節弁24の開度Vsとを、図2の(a)で示したΔP,Vs/Gfマップに適用して、対応するガス流量Gfを求める。
【0030】
ΔP,Vs/Gfマップは、実験やコンピュータシミュレーションによるデータに基いて作成されたものであり、各差圧ΔP(図では例としてΔP=4.0気圧、ΔP=3.0気圧、ΔP=2.0気圧が示されている)における流量調節弁24の開度Vsと燃料ガスの供給流量Gfとの相関曲線が設定されている。ΔP=3.0,Vs=Vs1であれば、図示したように、対応するガス流量としてGf1が求められる。
【0031】
このように、上流圧力センサ22と下流圧力センサ23を用いて燃料ガスの供給流量を検出する場合、圧力センサは検出値のドリフト限度を比較的見積もり易いため、長期的に燃料ガスの供給流量を精度良く検出することができる。また、圧力センサは比較的安価であるため、後述する質量流量計を用いて燃料ガスの供給流量を検出する場合よりも、燃料ガスの供給流量を検出するための構成の低コスト化を図ることができる。
【0032】
続くSTEP3で、ガス流量取得手段62は、上流圧力センサ22による流量調節弁24の上流側の圧力の検出値P1に応じた燃料ガスの供給流量の圧力補正係数Kf1と、燃料ガス温度センサ21による燃料ガスの検出温度T1に応じた燃料ガスの供給流量の温度補正係数Kf2を決定する。
【0033】
図2の(b)に示したように、圧力補正係数Kf1は、流量調節弁24の上流側の圧力P1が1気圧(1013hPa=760mmHg)であるときに1(補正なし)に設定され、P1が高いほど圧力補正係数Kf1が大きな大きな値に設定される。また、(c)に示したように、温度補正値Kf2は、燃料ガスの温度T1が20℃であるときに1(補正なし)に設定され、T1が高いほど温度補正係数Kf2が小さい値に設定される。
【0034】
そして、次のSTEP4で、ガス流量取得手段62は、以下の式(1)により、圧力補正及び温度補正を行った燃料ガスの流量の検出値Gfaを算出する。
【0035】
Gfa = Gf×Kf1×Kf2 ・・・・・ (1)
このように、燃料ガスの圧力補正と温度補正を行うことにより、燃料ガスの供給流量をより精度良く検出することができる。
【0036】
続くSTEP5〜STEP6は、改質制御手段61aによる処理である。改質制御手段61aは、STEP4でガス流量取得手段62により算出された燃料ガスの流量Gfaが、予め設定された目標流量Gf_targetであるか否かを判断する。そして、燃料ガスの流量Gfaが目標流量Gf_targetであるとき(Gfa=Gf_target)はSTEP1に戻り、この場合は、改質制御手段61は流量調節弁24の開度を変更しない。
【0037】
一方、燃料ガスの流量Gfaが目標流量Gf_targetでないときにはSTEP5に進み、改質制御手段61aは、燃料ガスの流量Gfaが目標流量Gf_targetよりも少ないときはブロワ40の回転速度Nmを増加させ、燃料ガスの流量Gfaが目標流量Gf_targetよりも多いときにはブロワ40の回転速度Nmを減少させる。そして、これにより、改質制御手段61aは、燃料ガスの供給流量を目標流量Gf_target付近に維持する。
【0038】
次に、改質制御手段61aは、上述した図2のフローチャートによる「燃料ガスの供給流量の制御」と並行して、図3に示したSTEP10〜STEP12の処理を実行する。図3の処理は、「改質器42の温度制御」を行うものである。
【0039】
改質制御手段61aは、図3のSTEP10で、改質器温度センサ45により検出される改質装置42の温度T2が、目標温度T2_targetとなっているか否かを判断する。そして、改質装置42の温度T2が目標温度T2_targetになっている(T2=T2_targert)ときはSTEP10に戻り、この場合は、改質制御手段61aは流量調節弁24の開度を変更しない。
【0040】
一方、改質器42の温度T1が目標温度T1_targetでないときはSTEP11に進む。そして、改質制御手段61aは、改質器42の温度T1が目標温度T1_targetよりも高いときは流量調節弁24の開度を増大させ、改質器42の温度T1が目標温度T1_targetよりも低いときには流量調節弁24の開度を減少させる。
【0041】
ここで、ブロワ40の回転速度が一定である状態で流量調節弁24の開度を増大させると、燃料供給路20からの燃料ガスの供給流量が増加すると共に、酸化剤供給路30からの空気の供給流量が減少する。そのため、ブロワ40から蒸発器41を介して改質器42に供給される混合燃料中の空気の割合が減少して、改質器42における部分酸化反応が抑制され、改質器42の温度を下げる作用が生じる。
【0042】
また、ブロワ40の回転速度が一定である状態で流量調節弁24の開度を減少させると、燃料供給路20からの燃料ガスの供給流量が減少すると共に、酸化剤供給路からの空気の供給流量が増加する。そのため、ブロワ40から蒸発器41を介して改質器42に供給される混合燃料中の空気の割合が増加して、改質器42における部分酸化反応が促進され、改質器42の温度を上げる作用が生じる。
【0043】
このように、改質制御手段61aは、図2のフローチャートにより、ブロワ40の回転速度の変更による「燃料ガスの供給流量の制御」を行うと共に、図3のフローチャートにより、流量調節弁24の開度の変更による「改質器42の温度制御」を行う。
【0044】
そして、改質制御手段61aによる「燃料ガスの供給量の制御」と「改質器42の温度制御」は、図1に示したように、1台のブロワ40と流量調節弁24とを組み合わせた構成により実現することができる。そのため、燃料ガス供給用のブロワと空気供給用のブロワを個別に備えた従来の改質器に対して、補機のコストの低減、ブロワの作動音の低減、機器レイアウト性の向上を図ることができる。
【0045】
また、一般に、ブロワ40よりも流量調節弁24の方が応答性が高いため、燃料ガスの供給流量の増減時における改質器の過渡的な制御性を向上させることができる。さらに、燃料ガスと改質空気をブロワ40の吸引側で混合させるため、ブロワ40内での攪拌の効果が得られる。そのため、ブロワ40の吐出側にガスミキサ等の混合・攪拌器を別途設ける必要がなくなり、改質装置10aの構成を簡素化することができる。
【0046】
なお、第1実施形態においては、図2のSTEP3,4で燃料ガスの供給流量の圧力補正と温度補正を行ったが、これらの補正を行わない場合、及び圧力補正と温度補正のうちにいずれか一方のみを行う場合にも本発明の効果を得ることができる。
【0047】
また、上流圧力センサ22と、下流圧量センサ23と、ΔP,Vs/Gfマップのデータと、ガス流量取得手段62とにより、本発明の流量検出手段が構成されている。
【0048】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本発明の改質装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態の改質装置10bのハード構成は、上述した第1実施形態の改質装置10aと同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
また、ガス流量取得手段62による燃料ガスの供給流量Gfaの算出手順も、第1実施形態と同様であり、改質制御手段61bによる「燃料ガスの供給流量の制御」と「改質器42の温度制御」の処理のみが、第1実施形態の改質制御手段61aと相違する。以下、改質制御手段61bによる「燃料ガスの供給流量の制御」と「改質器42の温度制御」の処理について説明する。
【0050】
改質制御手段61bは、ガス流量取得手段62により求められた燃料ガスの供給流量Gfaと、温度センサ45により検出される改質器42の温度T2とを監視する。そして、燃料ガスの供給流量Gfaが目標流量Gf_targetとなるように、流量調節弁24の開度Vsを変更して「燃料ガスの供給流量の制御」を行う。
【0051】
すなわち、改質制御手段61bは、燃料ガスの供給流量Gfaが目標流量Gf_targetよりも少ないとき(Gfa<Gf_target)は、流量調節弁24の開度Vsを増大させる。また、燃料ガスの供給流量Gfaが目標流量Gf_targetよりも多いとき(Gf_target<Gfa)には、改質制御手段61bは、流量調節弁24の開度Vsを減少させる。
【0052】
また、改質制御手段61bは、改質器温度センサ45により検出される改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetとなるように、ブロワ40の回転速度Nmを変更して「改質器42の温度制御」を行う。
【0053】
すなわち、改質制御手段61bは、改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetよりも高いとき(T2_target<T2)はブロワ40の回転速度を下げ、これにより改質器42に供給される燃料ガス及び空気の量を減少させて、部分酸化反応による発熱量を減少させる。
【0054】
また、改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetよりも低いとき(T2<T2_target)には、改質制御手段61bは、ブロワ40の回転速度を下げ、これにより改質器42に供給される燃料ガス及び空気の量を増加させて、部分酸化反応による発熱量を増大させる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、図5を参照して、本発明の改質装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態の改質装置10cは、上述した第1実施形態の改質装置10aに対して、燃料ガスの流量を質量流量計70(本発明の流量検出手段に相当する)を用いて検出している点が相違する。
【0056】
そのため、改質装置10cは、上流圧力センサ22、下流圧力センサ23、燃料ガス温度センサ21、ガス流量取得手段62、及び、ΔP,Vs/Gfマップ63のデータを備えていない。なお、その他のハード構成は、第1実施形態の改質装置10aと同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
改質装置10cにおいては、改質制御手段61cは、質量流量計70により検出される燃料ガスの供給流量Gfsと、温度センサ45により検出される改質器42の温度T2とを監視する。そして、改質制御手段61cは、燃料ガスの供給流量Gfsが目標流量Gf_targetとなるように、流量調節弁24の開度Vsを変更して「燃料ガスの供給流量の制御」を実行する。
【0058】
すなわち、改質制御手段61cは、燃料ガスの供給流量Gfsが目標流量Gf_targetよりも少ないとき(Gfs<Gf_target)は、ブロワ40の回転速度Nmを増加させる。また、燃料ガスの供給流量Gfsが目標流量Gf_targetよりも多いとき(Gf_target<Gfs)には、改質制御手段61cは、ブロワ40の回転速度Nmを減少させる。
【0059】
また、改質制御手段61cは、改質器温度センサ45により検出される改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetとなるように、流量調節弁24の開度を変更して「改質器42の温度制御」を行う。
【0060】
すなわち、改質制御手段61cは、改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetよりも高いとき(T2_target<T2)は流量調節弁24の開度を増大させて燃料ガスの供給流量を増加させると共に空気の供給流量を減少させ、これにより改質器42における部分酸化反応を抑制して改質器42の温度を低下させる。
【0061】
また、改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetよりも低いとき(T2<T2_target)には、改質制御手段61bは、流量調節弁24の開度を減少させて燃料ガスの供給流量を減少させると共に空気の供給流量を増加させ、これにより改質器42における部分酸化反応を促進して改質器42の温度を上昇させる。
【0062】
[第4実施形態]
次に、図6を参照して、本発明の改質装置の第4実施形態について説明する。第4実施形態の改質装置10dは、上述した第2実施形態の改質装置10bに対して、燃料ガスの流量を質量流量計70(本発明の流量検出手段に相当する)を用いて検出している点が相違する。
【0063】
そのため、改質装置10dは、上流圧力センサ22、下流圧力センサ23、燃料ガス温度センサ21、ガス流量取得手段62、及び、ΔP,Vs/Gfマップ63のデータを備えて備えていない。なお、その他のハード構成は第2実施形態の改質装置10bと同様であるため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
改質装置10dにおいては、改質制御手段61dは、流量計70により検出される燃料ガスの供給流量Gfsと、温度センサ45により検出される改質器42の温度T2とを監視する。そして、改質制御手段61は、燃料ガスの供給流量Gfsが目標流量Gf_targetとなるように、ブロワ40の回転速度Nmを変更して「燃料ガスの供給流量の制御」を実行する。
【0065】
すなわち、改質制御手段61dは、燃料ガスの供給流量Gfsが目標流量Gf_targetよりも少ないとき(Gfs<Gf_target)は、流量調節弁24の開度Vmを増大させる。また、燃料ガスの供給流量Gfsが目標流量Gf_targetよりも多いとき(Gf_target<Gfs)には、改質制御手段61dは、流量調節弁24の開度Vmを減少させる。
【0066】
また、改質制御手段61dは、改質器温度センサ45により検出される改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetとなるように、ブロワ40の回転速度Nmを変更して「改質器42の温度制御」を行う。
【0067】
すなわち、改質制御手段61dは、改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetよりも高いとき(T2_target<T2)はブロワ40の回転速度Nmを減少させて燃料ガスと空気の供給流量を減少させ、これにより改質器42における部分酸化反応を抑制して改質器42の温度を低下させる。
【0068】
また、改質器42の温度T2が目標改質器温度T2_targetよりも低いとき(T2<T2_target)には、改質制御手段61dは、流量調節弁24の開度Vsを減少させて燃料ガスの供給流量を減少させると共に空気の供給流量を増加させ、これにより改質器42における部分酸化反応を促進して改質器42の温度を上昇させる。
【符号の説明】
【0069】
10a〜10d…改質装置、21…燃料ガス温度センサ、22…上流圧力センサ、23…下流圧力センサ、24…流量調節弁、40…ブロワ、42…改質器、45…改質器温度センサ、60a〜60d…コントローラ、61a〜61d…改質制御手段、62…ガス流量取得手段、63…差圧,弁開度/ガス流量相関マップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化剤ガスの供給を受けて、改質反応により水素リッチな改質ガスを生成するオートサーマル型の改質器と、
燃料供給路から供給される燃料ガスと、酸化剤供給路から供給される酸化剤ガスとを混合して、前記改質器に供給するブロワと、
前記燃料供給路又は前記酸化剤供給路に設けられて、前記燃料供給路又は前記酸化剤供給路を流通するガスの流量を変更する流量調節弁と、
前記燃料供給路から前記ブロワに供給される燃料ガスの流量を検出する流量検出手段と、
前記改質器の温度を検出する改質器温度センサと、
前記流量検出手段の検出流量が所定の目標流量となるように、前記ブロワの回転速度を制御すると共に、前記改質器温度センサの検出温度が所定の目標温度となるように、前記流量調節弁の開度を制御する改質制御手段とを備えたことを特徴とする改質装置。
【請求項2】
燃料ガスと酸化剤ガスの供給を受けて、改質反応により水素リッチな改質ガスを生成するオートサーマル型の改質器と、
燃料供給路から供給される燃料ガスと、酸化剤供給路から供給される酸化剤ガスとを混合して、前記改質器に供給するブロワと、
前記燃料供給路又は前記酸化剤供給路に設けられて、前記燃料供給路又は前記酸化剤供給路を流通するガスの流量を変更する流量調節弁と、
前記燃料供給路から前記ブロワに供給される燃料ガスの流量を検出する流量検出手段と、
前記改質器の温度を検出する改質器温度センサと、
前記改質器温度センサの検出温度が所定の目標温度となるように、前記ブロワの回転速度を制御すると共に、前記流量検出手段の検出流量が所定の目標流量となるように、前記流量調節弁の開度を制御する改質制御手段とを備えたことを特徴とする改質装置。
【請求項3】
前記流量調節弁は前記燃料供給路に設けられ、
前記流量検出手段は、
前記流量調節弁の上流側と下流側の間の差圧を検出する差圧検出手段と、
前記流量調節弁の開度及び前記流量調節弁の上流側と下流側の差圧と、前記燃料供給路を流れる燃料ガスの流量との相関関係を示す相関データと、
前記制御手段により制御されている前記流量調節弁の開度と前記差圧検出手段により検出されている差圧とを前記相間データに適用して、対応する燃料ガスの流量を取得し、該取得した流量を前記燃料ガスの検出流量とするガス流量取得手段とを備えたことを特徴とする改質装置。
【請求項4】
請求項3記載の改質装置において、
前記流量調節弁を流れる燃料ガスの温度を検出する燃料ガス温度センサを備え、
前記燃料ガス流量取得手段は、前記相間データへの適用により取得した燃料ガスの流量に対して、前記燃料ガス温度センサにより検出される燃料ガスの温度が高いほど、該流量を少なくする補正を行い、該補正を行った流量を前記燃料ガスの検出流量とすることを特徴とする改質装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の改質装置において、
前記流量調節弁の上流側の圧力を検出する上流圧力センサを備え、
前記燃料ガス流量取得手段は、前記相間データへの適用により取得した燃料ガスの流量に対して、前記上流圧力センサによる検出圧力が高いほど、該流量を多くする補正を行い、該補正を行った流量を前記燃料ガスの検出流量とすることを特徴とする改質装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−98873(P2011−98873A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−256434(P2009−256434)
【出願日】平成21年11月9日(2009.11.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】