説明

燃料電池システム

【課題】燃料電池システムにおいて、燃料タンクからの燃料ガスを供給する高圧配管及び中圧配管を効率的に配置する。
【解決手段】燃料タンク10は車体のクロスメンバ14にバンドで固定される。クロスメンバ14にはテーパ部14aが形成されており、高圧配管系のマニホールド16−2をこのテーパ部14aに傾いて取り付ける。マニホールド16−2を傾けて固定することで空間が生じ、この空間を用いてレギュレータ18からの中圧配管20を配置して中圧配管20とマニホールド16−1、16−2との干渉を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システム、特に燃料配管の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池自動車では、高圧水素等の燃料タンクを例えばリアフロント下側に搭載し、燃料配管を配設して燃料電池スタックに燃料ガスを供給する構成が提案されている。
【0003】
下記の特許文献1には、車両の後面衝突時に燃料タンクが前方向にずれ動いて燃料配管が損傷するおそれがあることに鑑み、車体フロアの下側に燃料タンクを搭載し、この燃料タンクの搭載部分にフロア剛体を設ける一方、燃料タンク搭載部分の前側で車体フロアの下側に燃料消費部を搭載し、フロア剛体領域からその前方部位で燃料タンクと燃料消費部とを燃料配管で接続するとともに、燃料配管の中間部分に可撓部を設ける構成が開示されている。
【0004】
後面衝突時に燃料タンクが多少前方へずれたとしても、ずれ動きを可撓部の弾性変形により吸収し、燃料配管が損傷するのを回避できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−112271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
燃料タンクからの高圧燃料ガスを燃料配管を介して燃料電池スタックに供給する場合には、レギュレータを用いて高圧燃料ガスの圧力を調整して燃料電池スタックに供給するが、高圧燃料ガスが流れる高圧配管と、レギュレータにより圧力が調整された後の中圧燃料ガスが流れる中圧配管とが混在することになるので、高圧配管の配設位置によっては高圧配管と中圧配管が干渉してしまう場合が生じ、干渉を避けるために中圧配管を迂回させる必要が生じてしまう。
【0007】
例えば、燃料タンクと燃料電池スタックとの間にマニホールドやレギュレータを配置し、高圧配管で燃料タンクとマニホールド間を連通するとともにマニホールドとレギュレータ間を連通し、さらにレギュレータと燃料電池スタック間を中圧配管で連通する場合を想定すると、燃料タンクと燃料電池スタックとの位置関係によっては中圧配管を配置すべき部位にマニホールドが存在することとなり、マニホールドを迂回するために中圧配管の配管長が必要以上に長くなってしまう。
【0008】
本発明の目的は、燃料配管系における干渉を防止し、効率的に燃料タンクから燃料電池スタックに燃料ガスを供給することができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、燃料電池システムであって、車両のクロスメンバに固定される燃料タンクと、前記燃料タンクからの高圧燃料ガスを供給する高圧配管に設けられるマニホールドと、前記高圧燃料ガスの圧力を調整するレギュレータと、前記レギュレータからの中圧燃料ガスを燃料電池スタックに供給する中圧配管とを備え、前記クロスメンバにはテーパ部が形成され、前記マニホールドは前記クロスメンバの前記テーパ部に傾いて固定され、前記中圧配管は、前記マニホールドの傾きにより形成された空間に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、前記中圧配管は、前記燃料電池スタックを収容するスタックケースにゴムマウントを介して固定される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配管系の干渉を防止し、空間を有効活用してコンパクトかつ効率的に燃料ガスを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態の基本配管配置説明図である。
【図2】中圧配管とマニホールドとの干渉を示す説明図である。
【図3】実施形態の配管配置説明図である。
【図4】実施形態の配管構成図である。
【図5】中圧配管の固定方法を示す説明図である。
【図6】中圧配管の他の固定方向を示す説明図である。
【図7】中圧ホースの配置説明図である。
【図8】中圧ホースの他の配置説明図である。
【図9】中圧ホースのさらに他の配置説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について、燃料電池自動車に搭載する場合を例にとり説明する。
【0014】
図1に、本実施形態における燃料電池システムの基本的な配置図を示す。燃料電池システムは、燃料タンク(燃料ガスタンク)10と、燃料タンク10内の高圧燃料ガスを供給する高圧配管12と、マニホールド16−1、16−2と、レギュレータ(高圧レギュレータ)18と、レギュレータ18からの中圧燃料ガスを燃料電池スタックに供給する中圧配管20を含んで構成される。
【0015】
水素ガス等の燃料ガスを貯留する燃料タンク10は、例えば燃料電池自動車のリアシート下部に搭載される。図中右方向は車両の車幅方向の右方向に対応し、図中左方向は車両の車幅方向の左方向に対応する。図中上方向は鉛直上方に対応する。
【0016】
燃料タンク10のガス排出口にはバルブ11が設けられ、バルブ11には高圧配管12が接続される。高圧配管12は車両後方に向けて延在し、その後車幅方向に屈曲してマニホールド16−1に接続され、さらにマニホールド16−2に接続される。マニホールド16−1、16−2はほぼ同一水平面上に配置され、かつ、車両前後方向にずらして配置される。マニホールド16−2からの高圧配管12はさらにレギュレータ18に接続される。2つのマニホールド16−1、16−2が配置されているのは、燃料タンク10として図示した燃料タンク以外にもう一つ存在し、この燃料タンクからの高圧配管が接続されることを考慮したものである。すなわち、図示した燃料タンク10からの高圧配管12はマニホールド16−1に接続され、図示しない燃料タンクからの高圧配管12はマニホールド16−2に接続される。
【0017】
レギュレータ18は、高圧配管12を介して供給された高圧燃料ガスの圧力を調整する。レギュレータ18には中圧配管20が接続される。中圧配管20は、レギュレータ18から車幅方向に延在し、さらに車両前方に向けて延在してバルブ11の近傍を通過し、燃料タンク10よりも車両前方側に搭載された燃料電池スタックに接続される。
【0018】
一方、車両の車幅方向両側部には、車両前後方向に向けてサイドメンバが配置され、左右のサイドメンバに跨って車幅方向にクロスメンバ14が配置される。車体フロアは、これらサイドメンバやクロスメンバにより補強されている。燃料タンク10は、金属帯板材からなるバンドによってクロスメンバ14に固定される。また、2つのマニホールド16−1、16−2も、ブラケットによりクロスメンバ14に固定される。
【0019】
このような基本的な配管構成において、燃料タンク10のバルブ11から供給される燃料ガスは、高圧配管12を通ってマニホールド16−1、16−2に流れ、さらにマニホールド16−1、16−2の車幅方向右側に位置するレギュレータ18に流れて圧力が調整される。圧力が調整された中圧燃料ガスは、車幅方向の右から左に向けて延在する中圧配管20を通り、さらに車両前方方向に延在する中圧配管20を通って燃料電池スタックに流れる。
【0020】
したがって、中圧配管20に着目すると、レギュレータ18から燃料電池スタックに至る経路に高圧系のマニホールド16−1、16−2が存在するため、中圧配管20とマニホールド16−1、16−2が干渉してしまうおそれがある。中圧配管20とマニホールド16−1、16−2が干渉するおそれがある場合、図において中圧配管20を例えばU字形に折り曲げてマニホールド16−1、16−2を迂回する必要が生じ、中圧配管20の配管長が増大してしまう。
【0021】
図2に、図1のA方向、すなわち車幅方向の左から見た配置説明図を示す。2つのマニホールド16−1、16−2はそれぞれブラケットを用いてクロスメンバ14に固定される。マニホールド16−1は図中手前側に存在し、マニホールド16−2は図中奥側に存在するが(図1を参照)、2つのマニホールド16−1、16−2は近接して配置され、かつ、ほぼ同一水平面上に配置されているため、図中奥側に配置されたレギュレータ18から図中手前側に配管される中圧配管20は、2つのマニホールド16−1、16−2と干渉してしまう。すなわち、中圧配管20を2つのマニホールド16−1、16−2間の空間に配置しようとしても、2つのマニホールド16−1、16−2と干渉して配置できず、結局、中圧配管20を折り曲げる等して迂回する必要が生じる。
【0022】
また、2つのマニホールド16−1、16−2はクロスメンバ14に固定されるが、2つのマニホールド16−1、16−2の配置位置はクロスメンバ14から比較的離れているため、マニホールド16−1、16−2をそれぞれ固定するためのブラケット長も増大してしまう。
【0023】
そこで、本実施形態においては、マニホールド16−1、16−2を固定するクロスメンバ14にテーパ面(傾斜面)を形成し、このテーパ面を利用してマニホールド16−1、16−2のいずれか、例えばマニホールド16−2を固定することでマニホールド16−2の配置位置をシフトさせ、中圧配管20を配置するための空間を形成する。具体的には、クロスメンバ14には、車体の中間ビームサスペンションと干渉することを避けるためのテーパ面14aが形成されており、このテーパ面14aを利用してマニホールド16−2を固定する。
【0024】
図3に、本実施形態における配置説明図を示す。クロスメンバ14には、車両の後方に向けてテーパ面14aが形成されており、このテーパ面14aを利用してマニホールド16−2をブラケットで固定する。マニホールド16−2はテーパ面14aに固定されるため、マニホールド16−2自体も図に示すように傾いて固定される。マニホールド16−2の傾きの方向は、テーパ面14aの傾斜方向と同一方向である。また、マニホールド16−1についても、クロスメンバ14のテーパ面14aとは異なる非傾斜面に固定されるものの、ブラケットを用いて傾いて固定される。マニホールド16−1の傾きの方向は、マニホールド16−2の傾きの方向と逆向きである。すなわち、マニホールド16−2がテーパ面14aを利用して図中反時計方向に傾いて固定される一方、マニホールド16−1は図中時計方向に傾いて固定される。
【0025】
このように、マニホールド16−1、16−2を傾いて配置してクロスメンバ14に固定することで、マニホールド16−1とマニホールド16−2との間に隙間が形成され、この隙間を利用して中圧配管20を配置することができる。図において、中圧配管20は、図中奥側から手前側に配置される。中圧配管20を迂回させる必要がないので、効率的な燃料ガス供給が可能となる。
【0026】
また、マニホールド16−2に着目すると、図2の場合にはマニホールド16−2とクロスメンバ14との間の距離が比較的離れているためブラケット長が増大してしまうが、図3に示すようにマニホールド16−2を傾けて、すなわちテーパ面14aの傾斜方向と同一方向に傾けて固定するので、クロスメンバ14とマニホールド16−2との間の距離が小さくなり、その分だけマニホールド16−2を固定するブラケット長も短くてすむ。
【0027】
本実施形態では、マニホールド16−2を傾けて固定するとともにマニホールド16−1を傾けて固定しているが、マニホールド16−2のみテーパ面14aに傾けて中圧配管20を配置できるのであれば、マニホールド16−1を必ずしも傾ける必要はない。
【0028】
また、本実施形態では、クロスメンバ14に別の理由で存在するテーパ面14aを利用してマニホールド16−2を固定しているが、クロスメンバ14にテーパ面が存在しない場合には、クロスメンバ14の一部を切り取ってテーパ面を形成し、形成したテーパ面にマニホールド16−2を傾けて固定すればよい。マニホールド16−2の傾きは、中圧配管20を配置するために必要な角度でよいので、テーパ面の角度もこれに応じて決定される。但し、通常はクロスメンバには上記のようにサスペンションとの干渉を避けるためのテーパ面14aが形成されているので、このテーパ面14aをそのまま援用するのが望ましい。
【0029】
また、中圧配管20は、既述したように燃料タンク10よりも車両前方側に搭載された燃料電池スタックに接続されるが、その経路にインジェクタを配置して燃料ガスの流量を調整する場合、インジェクタの噴射脈動が生じる場合がある。インジェクタの噴射脈動は中圧配管20を脈動させ、中圧配管20の脈動は車体に伝達されてしまう。そこで、中圧配管20を燃料電池スタックに接続する際には、この噴射脈動を抑制する構成とするのが望ましい。
【0030】
図4に、中圧配管20を燃料電池スタックに接続する場合の配置構成図を示す。燃料電池スタック26はスタックケース50に収容されており、中圧配管20は、このスタックケース50に固定されて燃料電池スタック26に接続される。中圧配管20の流路上であってスタックケース50内にはインジェクタ24が配置され、燃料ガスの流量や圧力、温度、モル濃度等が調整される。また、燃料電池スタック26からのオフガスは、気液分離器に供給される。気液分離器は、オフガスから水分を分離し、オフガスの一部を水素ポンプ28に供給して中圧配管20に戻すことで循環させる。水分及び不純物を含むオフガスはパージ弁を介して排気管に排出される。
【0031】
中圧配管20は、ブラケット30で車体ボディに固定されるとともに、ブラケット32でスタックケース50に固定されるが、スタックケース50手前において可撓部材の中圧ホース22で構成される。
【0032】
スタックケース50内に搭載されたインジェクタ24が作動することで燃料ガスの脈動が生じ、この脈動により上流側の中圧配管20が振動し、その振動がさらに車体に伝達され得るが、このようにスタックケース50手前に可撓部材の中圧ホース22を配置することで、インジェクタ24の作動により生じた脈動を中圧ホース22で吸収し、車体への伝達を抑制することができる。
【0033】
また、中圧配管20を車体ボディに固定するブラケット30、及び中圧配管20をスタックケース50に固定するブラケット32についても、ゴム等の弾性部材を用いて構成することで脈動をより確実に吸収できる。
【0034】
図5及び図6に、ブラケット30、32の一例を示す。図5において、中圧配管20はスタッドボルト36でスタックケース50に固定されるが、ゴムマウント34、38を介して中圧配管20を取り付ける。また、図6において、中圧配管20はボルト42でスタックケース50に固定されるが、同様にゴムマウント40を介して中圧配管20を取り付ける。
【0035】
以上のように、中圧配管20をスタックケース50に固定する際に、スタックケース50の手前、すなわちスタックケース50内に収容されるインジェクタ24の上流側に中圧ホース22を配置することで、インジェクタ24による脈動を抑制して車体への伝達を防止できる。また、車両衝突に伴ってスタックケース50が変位したとしても、可撓性のある中圧ホース22でスタックケース50の変位を吸収することもできる。すなわち、スタックケース50が変位すると、この変位に追従するように中圧ホース22が変形して変位分を吸収し、中圧配管20の切断が防止される。この際、中圧ホース22には変形を許容するだけの余長が確保される必要があるのは言うまでもない。
【0036】
以下、中圧ホース22の配置について、より詳細に説明する。
【0037】
図7〜図9には、中圧ホース22の配置説明図を示す。車両を上から見た平面図であり、図中上方向(図における矢印FR方向)は車両の前方向を示す。
【0038】
図7において、スタックケース50の燃料ガス入口は、中圧配管20に対して車両の車幅方向に沿って車両中央側に位置している。レギュレータ18からの中圧配管20をスタックケース50の方向に延在させ、中圧ホース22を車両の車幅方向、すなわちスタックケース50に対して略平行に配置する。また、中圧ホース22の上流側及び下流側の接続口における中圧配管20の方向を傾けることで、中圧ホース22を蛇行させてS字形状とする。中圧配管20とスタックケース50との接続、及び中圧配管20とレギュレータ18との接続は、中圧配管20をL字形状とする。
【0039】
中圧ホース22を車幅方向に配置するとともにS字形状とすることで、S字形状の分だけ余長が確保され、車両の左側突時及び右側突時におけるスタックケース50の変位にも対応できる。
【0040】
すなわち、左側突時には、スタックケース50が図中右方向に変位するが、中圧ホース22はスタックケース50の変位に伴って延びるため中圧配管20の切断が防止される。また、右側突時には、スタックケース50が図中左方向に変位するが、中圧ホース22はS字の曲率が大きくなるように圧縮されるので中圧配管20の切断が防止される。
【0041】
図8において、スタックケース50の燃料ガス入口は、車両の車幅方向に沿って車両中央側に位置している。レギュレータ18からの中圧配管20を燃料タンク10の上部を跨ぐようにスタックケース50の方向に延在させ、中圧ホース22を車両の前後方向、すなわちスタックケース50に対して略垂直に配置する。具体的には、燃料電池スタック26からのオフガスを外部に排出する排気管(マフラー)の中央部を跨ぐように配置する。また、図7と同様に、中圧ホース22を蛇行させてS字形状とする。中圧配管20とスタックケース50との接続、及び中圧配管20とレギュレータ18との接続は、中圧配管20をL字形状とする。
【0042】
中圧ホース22を車両前後方向に配置するとともにS字形状とすることで、S字形状の分だけ余長が確保され、車両の左側突時及び右側突時におけるスタックケース50の変位にも対応できる。
【0043】
すなわち、左側突時には、スタックケース50が図中右方向に変位するが、中圧ホース22はスタックケース50の変位に伴って延びるため中圧配管20の切断が防止される。また、右側突時には、スタックケース50が図中左方向に変位するが、中圧ホース22はスタックケース50の変位に伴って延びるため中圧配管20の切断が防止される。
【0044】
図9において、スタックケース50の燃料ガス入口は、車両の車幅方向に沿って車両中央部に位置している。レギュレータ18からの中圧配管20を燃料タンク10の右側からスタックケース50の方向に延在させ、中圧ホース22を車両の前後方向、すなわちスタックケース50に対して略垂直に配置する。具体的には、マフラーの右側を跨ぐように配置する。また、図8と同様に、中圧ホース22を蛇行させてS字形状とする。
【0045】
中圧ホース22を車両前後方向に配置するとともにS字形状とすることで、S字形状の分だけ余長が確保され、車両の左側突時及び右側突時におけるスタックケース50の変位にも対応できる。
【0046】
すなわち、左側突時には、スタックケース50が図中右方向に変位するが、中圧ホース22はスタックケース50の変位に伴って延びるため中圧配管20の切断が防止される。また、右側突時には、スタックケース50が図中左方向に変位するが、中圧ホース22はスタックケース50の変位に伴って延びるため中圧配管20の切断が防止される。
【0047】
なお、図9の場合、中圧ホース22はスタックケース50に対して略垂直に配置しているため、図7の場合のように中圧ホース22の上流側及び下流側の接続口における中圧配管20の方向を傾ける必要がない。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0049】
例えば、本実施形態において、マニホールド16−1、16−2を傾けて配置することで形成された空間、すなわちマニホールド16−1とマニホールド16−2の間の空間に中圧配管20を通しているが、クロスメンバ14のテーパ面14aを利用してマニホールド16−2を傾けて配置したことにより生じる空間を利用するのであれば、中圧配管20をマニホールド16−1、16−2の間に通す必要は必ずしもなく、マニホールド16−2の任意の近傍を通すこともできる。要するに、マニホールド16−2を傾けて配置した場合には干渉するが、傾けて配置した場合には干渉しない任意の空間を利用することができる。
【0050】
また、本実施形態においては、図1あるいは図7に示すように燃料タンク10のバルブ11に高圧配管12が接続されるとともに、バルブ11の近傍に中圧配管20が配置される構成であるが、高圧配管12と中圧配管20を燃料タンク10と車体フロアとの間の隙間であって、バルブ11の上部に配置することができる。これにより、空間を有効活用できるとともに、側突時において車体フロアがバルブ11に衝突して車体フロアと燃料タンク10との間の空間が確保されるため、高圧配管12及び中圧配管20の切断が防止される。
【0051】
また、高圧配管12の径は中圧配管20の径よりも相対的に小さいので、高圧配管12を車体フロアと燃料タンク10の間の空間の狭い方に配置し、中圧配管20を広い方に配置することで、さらに空間の有効活用が図られる。
【符号の説明】
【0052】
10 燃料タンク、11 バルブ、12 高圧配管、14 クロスメンバ、16 マニホールド、18 レギュレータ、20 中圧配管、22 中圧ホース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムであって、
車両のクロスメンバに固定される燃料タンクと、
前記燃料タンクからの高圧燃料ガスを供給する高圧配管に設けられるマニホールドと、
前記高圧燃料ガスの圧力を調整するレギュレータと、
前記レギュレータからの中圧燃料ガスを燃料電池スタックに供給する中圧配管と、
を備え、
前記クロスメンバにはテーパ部が形成され、
前記マニホールドは前記クロスメンバの前記テーパ部に傾いて固定され、
前記中圧配管は、前記マニホールドの傾きにより形成された空間に配置される
ことを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1記載の燃料電池システムにおいて、
前記中圧配管は、前記燃料電池スタックを収容するスタックケースにゴムマウントを介して固定される
ことを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−171550(P2012−171550A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37458(P2011−37458)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】