説明

燃料電池システム

【課題】燃料電池システムのインバータ回路の冷却を効率良く行えるようにする。また、インバータ回路を収納したインバータ筐体の着脱作業性を向上する。
【解決手段】インバータ筐体収納空間8に収納されたインバータ筐体4の側面と本体パッケージ1の側面の隙間、及びインバータ筐体4の側面と隔壁6の隙間を遮蔽するための遮蔽板14を設け、遮蔽板14をインバータ筐体4の側面に沿わせる形状にすることにより、インバータ筐体吸気口12によりインバータ筐体収納空間8内に取り入れられた外気がインバータ筐体4の横の隙間を通過することを遮蔽でき、より多くの外気をインバータ筐体4内部に送り込む空気の流れをつくることができる。また、インバータ筐体4を着脱する際に、インバータ筐体4の側面を遮蔽板14に沿わせながらスライドさせて着脱を行うことができ、インバータ筐体4の着脱作業性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素と酸素を反応させ発電する燃料電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の燃料電池システムは、本体パッケージ内に燃料ガスである天然ガスなどから水素ガスを生成する改質器と、この水素ガスと酸化剤(例えば、空気)としての酸素との電気化学的反応により発電を行う燃料電池(以下、適宜「スタック」という)と、スタックで発生した電気エネルギーを商用電圧・周波数に変換する電力変換回路(以下、適宜「インバータ」という)と、本体パッケージ内の温度上昇を防ぎ、かつ本体パッケージ内の換気を行う換気装置と、スタックや改質器を円滑に作動させるための補助機器とを備えており、本体パッケージ内に隔壁を設けて、改質器、スタックを配置したガス使用エリアと、インバータを配置した非ガスエリアに分離している。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、前記特許文献に記載された従来の燃料電池システムを示すものである。図5に示すように、本体パッケージ100内を隔壁101により分離することにより設けられた第1室102および第2室103と、第1室の内部に配置された改質器104と、第1室の内部に配置されたスタック105と、改質器104およびスタック105を制御する第2室の内部に配置された制御装置106と、スタック105で発生した電気エネルギーを商用電圧・周波数に変換するインバータ107と、スタック105や改質器104を円滑に作動させるための補助機器108と、第1室102に外気を取り入れる吸気口109と、第2室103に外気を取り入れる吸気口110と、本体パッケージ100内の空気を外部に排出する排気口111とを備えた構成となっており、第2室103の換気は、吸気口110から取り入れられた空気がインバータ107を通過して、排気口111から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/072284号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インバータ107を構成する部品には、一般に発熱部品が多く、かつ半導体素子など部品の耐熱温度が低いため冷却する必要がある。燃料電池システムの発電能力を更に向上させる場合には、インバータ107の発熱も増え、より効率良く冷却できる換気性能が求められる。
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、吸気口110から第2室103内に取り入れられた空気の一部が、インバータ107を通過するだけで、その他の取り入れられた空気は、インバータ107を製造工程で取り付ける際やメンテナンスでの着脱の際に作業者の手が入りやすいように設けられたインバータ107の周囲の隙間、つまりインバータ107の側面と本体パッケージ100との隙間112や隔壁101との隙間113を通って、排気口111から排出されてしまい、更なるインバータ107の冷却が必要な場合には、排気口111に設けられた換気ファンの回転数を上げる等の対策が必要になり、換気ファンでの消費電力が増えることにより、燃料電池システム全体の発電効率に影響を及ぼすことや、排気口111の換気ファンの回転数が増えることにより、騒音が大きくなるという課題を有していた。
【0007】
また、燃料電池システムを設置する際には、メンテナンスする面の周囲に作業用のスペースを確保して設置する必要があるが、燃料電池システムの設置に必要なスペースを小さくするために、メンテナンスする面を、本体パッケージ100の前面部のみとし、前面部の外装を外すだけでメンテナンスを行える構成が求められている。メンテナンス面を前面部のみの構成にする場合、インバータ107も前面方向から容易に着脱できるようにする必要がある。
【0008】
しかしながら、インバータ107は本体パッケージ100と隔壁101に挟まれた空間にあるため、着脱の為の作業スペースは限られており、また、インバータ107は、重量の大きいプリント基板を収納しており、重量が大きく、特に、本体パッケージ100内の上方にインバータ107を配置する場合には、インバータ107を取り付けるときの位置決めが難しく、着脱の作業性が悪くなるという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、第2室内のインバータの冷却を効率良く行うことができ、且つ、インバータの本体パッケージへの着脱の作業性を向上でき、メンテナンス性を向上できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、
燃料電池を収納する本体パッケージと、
本体パッケージ内に配置され、燃料電池が発電した直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を収納するインバータ筐体と、
本体パッケージ内で、インバータ筐体を収納するインバータ筐体収納空間と燃料電池を収納する空間とを仕切る隔壁と、
インバータ筐体収納空間に本体パッケージの外部から空気を取り入れる吸気口と、
インバータ筐体収納空間から空気を排出する排気口と、
本体パッケージ内面の側面と隔壁の少なくとも何れか一方に、インバータ筐体の側面との隙間を遮蔽するための遮蔽板を備えているものである。
【0011】
これによって、インバータ回路を収納したインバータ筐体の側面と本体パッケージ内の側面との隙間やインバータ筐体の側面と隔壁との隙間に遮蔽板を構成することで、インバータ収納空間内に取り入れられた空気が、インバータ筐体の横の隙間を通過することをほぼ遮蔽することができる。そのため、より多くの空気をインバータ回路に送り込む空気の流れをつくることで、インバータ筐体を冷却する専用の空気経路を設けることなく、効率良くインバータ回路を冷却することができるようになり、換気ファンの回転数を下げて、換気ファンの騒音を低下させることや換気ファンでの消費電力を下げることで燃料電池システムの発電効率を向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の燃料電池システムは、インバータ回路の冷却を効率良く行うことができ、燃料電池システムの発電効率を向上することや騒音を小さくすることができ、且つ、インバータ筐体の本体への着脱作業性を向上することでメンテナンス性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における燃料電池システムの構成図
【図2】(a)同燃料電池システムのインバータ筐体の取り付けの取付途中図、(b)同燃料電池システムのインバータ筐体の取り付けの取付完了図
【図3】同燃料電池システムのインバータ筐体の取り付けガイド部の構成図
【図4】(a)同燃料電池システムのインバータ筐体収納空間内部の空気の流れの正面図、(b)同燃料電池システムのインバータ筐体収納空間内部の空気の流れの側面断面図
【図5】従来の燃料電池システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、
燃料電池を収納する本体パッケージと、
本体パッケージ内に配置され、燃料電池が発電した直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を収納するインバータ筐体と、
本体パッケージ内で、インバータ筐体を収納するインバータ筐体収納空間と燃料電池を収納する空間とを仕切る隔壁と、
インバータ筐体収納空間に本体パッケージの外部から空気を取り入れる吸気口と、
インバータ筐体収納空間から空気を排出する排気口と、
本体パッケージ内面の側面と隔壁の少なくとも何れか一方に、インバータ筐体の側面との隙間を遮蔽するための遮蔽板と、
を備えている燃料電池システムである。
【0015】
この構成により、インバータ回路を収納したインバータ筐体の側面と本体パッケージ内の側面との隙間やインバータ筐体の側面と隔壁との隙間に遮蔽板を構成することで、インバータ収納空間内に取り入れられた空気が、インバータ筐体の横の隙間を通過することをほぼ遮蔽することができる。そのため、より多くの空気をインバータ回路に送り込む空気の流れをつくることで、インバータ筐体を冷却する専用の空気経路を設けることなく、効率良くインバータ回路を冷却することができ、換気ファンの回転数を下げることも可能になり、換気ファンの騒音低下や換気ファンでの消費電力を下げることで燃料電池システムの発電効率を向上できる。
【0016】
また、遮蔽板はインバータ筐体を本体パッケージに取り付ける際のガイド部となるようにインバータ筐体の側面に沿って配置されるように構成してもよい。
【0017】
この構成により、製造工程やメンテナンス時に、インバータ回路を収納したインバータ筐体を、本体パッケージに着脱する際に、本体パッケージの前面から、インバータ筐体の側面を遮蔽板に沿わせて位置決めしながらスライドさせて着脱を行うことができ、インバータ筐体の着脱作業性を向上することができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0018】
さらに、本体パッケージ内面の背面上部に形成された第1係合部と、インバータ筐体外面の背面上部に形成された第2係合部と、を備え、インバータ筐体は、遮蔽板に沿ってスライドして固定位置近くに案内された後に、第1係合部と第2係合部とが係合して固定されるように構成されてもよい。
【0019】
この構成により、インバータ筐体を遮蔽板に沿って、スライドさせて固定位置近くまで移動した後、インバータ筐体の背面上部の係合部を本体パッケージ内部の背面上部に引掛けて取り付ける構成にすることができる。この構成により、特に本体パッケージの前面のみをメンテナンス面として構成した場合には、本体パッケージ背面の奥まった場所でのビス締め作業が不要となり、インバータ筐体の着脱の作業性を向上させることができる。また、重量の大きいインバータ筐体を本体パッケージ背面に引掛けて取り付けることで、本体パッケージの背面でインバータ筐体の重量の大部分を保持することになり、インバータ筐体を載せる隔壁にかかる荷重が小さくなるため、隔壁の板厚を薄くして隔壁の強度を下げることが可能となり、コストを低減できる。
【0020】
また、本体パッケージにインバータ筐体を取り付ける際のガイド部として、インバータ筐体を載せてスライドさせる隔壁上面に本体パッケージの前面から背面方向へインバータ
筐体の側面に沿ったリブ状のガイドを備えてもよい。
【0021】
この構成により、隔壁の上面に本体パッケージの前面から背面方向へインバータ筐体の側面に沿うようにリブ状のガイドを設けることで、本体パッケージにインバータ筐体を取り付ける際に、隔壁の上面にインバータ筐体を載せて、隔壁上面のリブ状のガイドに沿って本体パッケージの前面から背面方向にスライドさせることができる。したがって、インバータ筐体の背面上部に構成された係合部を本体パッケージの背面上部に構成された係合部に係合させる際の位置決めをより精度良く行うことができ、係合をスムーズに行うことができ、インバータ筐体の着脱の作業性を向上させることができる。
【0022】
さらに、本体パッケージの背面に、インバータ筐体を取り付ける際にインバータ筐体の側面方向の位置を規制する規制壁部を備えてもよい。
【0023】
この構成により、本体パッケージの背面にインバータ筐体の側面方向の位置を規制する規制壁部を設けることで、インバータ筐体の背面上部の係合部を本体パッケージ内部の背面上部の係合部に引掛けて取り付ける際に、インバータ筐体の側面が規制壁部で規制されるように構成することができる。これにより、インバータ筐体の係合部と本体パッケージの係合部の係合時の位置決めがより精度良く行え、係合をスムーズに行うことができ、インバータ筐体の着脱の作業性を向上させることができる。また、インバータ筐体の側面が規制壁部で規制された状態で本体パッケージに取り付けられることで、燃料電池システムの搬送中など、燃料電池システムが振動を受ける際に、インバータ筐体の側面方向の振れが規制壁によって規制され、振動によるインバータ筐体への影響を小さくでき、インバータ筐体や係合部の強度を下げることができ、インバータ筐体や係合部の材料の板厚を小さくする等により、コストを低減できる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における燃料電池システムの構成図を示すものである。図2は、本発明の第1の実施の形態における燃料電池システムのインバータ筐体の取り付け構成図を示すもので、(a)は燃料電池システムのインバータ筐体の取り付けの取付途中図、(b)は燃料電池システムのインバータ筐体の取り付けの取付完了図を示す。図3は、本発明の第1の実施の形態における燃料電池システムのインバータ筐体の取り付けガイド部の構成図を示すものである。
【0026】
図1から図3を用いて、本発明の第1の実施の形態の燃料電池システムの構成を説明する。
【0027】
本体パッケージ1は、燃料電池システム本体の外郭を形成するパッケージで、改質器2やスタック3やインバータ筐体4とその周辺の構成要素を内部に収納するものであり、例えば、金属製の板と梁で構成される。本体パッケージ1の天面には天板5が取り付けられている。
【0028】
本体パッケージ1の内部は、隔壁6によって、改質器2やスタック3などの可燃性ガスが流通する部品が収納されるガス経路空間7と、インバータ筐体4などの可燃性ガスが流通しない部品が収納されるインバータ筐体収納空間8に仕切られている。
【0029】
隔壁6は、本体パッケージ1内においてガス経路空間7とインバータ筐体収納空間8との気体の流れを抑制するために形成されている。ただし、気体の流れを完全に遮蔽するわ
けではない。隔壁6は、万が一、改質器2やスタック3で可燃性ガスが漏れたときに、漏れた可燃性ガスがインバータ筐体4に触れないようにするために形成されている。隔壁6は、例えば、金属製や樹脂製の板で構成される。
【0030】
改質器2は、触媒からなる改質部とこの改質部を加熱するバーナーにより構成され、本体パッケージ1内の下方に配置される。スタック3は、固体高分子電解質膜の両側に触媒を担持した燃料極と空気極を形成して一体化された触媒層を、水素ガスや空気を送り込むための流路を形成したセパレータで挟持してセルを構成し、セルを集合化して構成される。
【0031】
スタック3は、後述するインバータ筐体4の下方に配置される。
【0032】
インバータ筐体4は、電気回路を収納する筐体であり、例えば、金属製の板で箱型に構成される。インバータ筐体4に収納される電気回路は、100V以上を扱う高電圧回路と低電圧回路から構成されている。高電圧回路は、本体パッケージ1の外部の商用電源に接続され、スタック3で発電される直流電力を交流電力に変換して商用電源に接続された負荷に供給するインバータと交流商用電源を直流低電圧に変換する電源回路で構成されている。低電圧回路は、本体パッケージ1内の各部を制御する制御手段であり、例えば、商用電源に接続された負荷の消費電力に基づいて原料ガス配管から改質器2に供給される原料ガスの流量を調整することで燃料電池システムにおける発電電力の制御や、改質器2やスタック3の温度制御を行っている。
【0033】
補助機器9は、改質器2やスタック3を円滑に作動させるための装置や配管で構成される。例えば、ガス配管や空気配管、水配管、制御弁、ポンプ、タンク、熱交換器で構成される。補助機器9は、本体パッケージ1の外部に設けられる貯湯槽(図示せず)と、貯湯槽から水を供給される配管と貯湯槽へ湯を排出する配管により接続されている。また、補助機器9は、本体パッケージ1の外部と原料ガスを供給される配管で接続されている。
【0034】
ガス経路吸気口10は、ガス経路空間7内部の換気を行うために外気を吸入するための開口部で、ガス経路空間7内の下部に設けられる。
【0035】
ガス経路排気口11は、ガス経路空間7内部の空気を外部に排気するための開口部で、ファンにより構成されており、ガス経路空間7内の上部に設けられる。
【0036】
なお、ガス経路吸気口10に、ファンを取り付けてもよい。この場合は、ガス経路排気口11は、ファンを無くして開口部だけで構成してもよい。
【0037】
インバータ筐体吸気口12は、インバータ筐体収納空間8内部の換気を行うために外気を吸入するための開口部で、ファンにより構成されており、インバータ筐体収納空間8内の下部に設けられる。
【0038】
インバータ筐体排気口13は、インバータ筐体収納空間8内部の空気を外部に排気するための開口部で、インバータ筐体収納空間8内の上部に設けられる。
【0039】
なお、インバータ筐体排気口13に、ファンを取り付けてもよい。この場合は、インバータ筐体吸気口12は、ファンを無くして開口部だけで構成してもよい。
【0040】
遮蔽板14は、インバータ筐体4の側面に沿う形状で本体パッケージ1の前面から背面にかけて、インバータ筐体4の側面と本体パッケージ1の側面の隙間、及びインバータ筐体4の側面と隔壁6の隙間を遮蔽する形状に構成され、本体パッケージ1内の側面や隔壁
6に取り付けられる。遮蔽板14は、例えば、金属製や樹脂製の板で構成される。
【0041】
第1係合部15は、本体パッケージ1の背面上部に設けられ、インバータ筐体4を引掛けて取り付けるための係合部で、例えば、本体パッケージ1の天面方向への板金の曲げ起こし部で引掛け爪部として構成される。第2係合部16は、インバータ筐体4の背面上部に設けられ、本体パッケージ1の第1係合部15に引掛けるための係合部で、例えば、インバータ筐体4の外郭の板金に穴を開けて、引掛け穴部として構成される。本実施例では第1係合部15および第2係合部16は、左右の2箇所設けている。なお、第1係合部15と第2係合部16は、1箇所のみ設けても良いし、3個以上設けても良い。また、第1係合部15を穴とし、第2係合部16を引掛け爪部で構成してもよい。
【0042】
規制壁部17は、本体パッケージ1の背面に設けられ、インバータ筐体4の左右の側面に近接して、左右の側面の両側に構成された壁部である。規制壁部17は、例えば、金属製の板または、樹脂で構成される。インバータ筐体4を本体パッケージ1に取り付ける際に規制壁部17がインバータ筐体4の左右の側面を規制して、インバータ筐体4の第2係合部16を第1係合部15へ係合する際の位置決めを行う。本実施例では、規制壁部17は、第1係合部15を構成した部品の一部で構成しており、規制壁部17と第1係合部15の位置寸法が同一部品内で決まることで、寸法精度を向上でき、第1係合部15への位置決めの精度を向上できる。なお、規制壁部17と第1係合部15を別々の部品で構成してもよい。
【0043】
インバータ筐体4のビス固定部18は、インバータ筐体4の下部の左右に設けられ、インバータ筐体4が第2係合部16が第1係合部15に引掛けられた後、インバータ筐体4を隔壁6上面に設けられたビス止め部にビス止めするためのビス穴部であり、本体パッケージ1の前面から取り外しできる方向に設けられる。なお、ビス固定部18は、インバータ筐体4下部の中央部に1箇所だけ設けてもよいし、ビス固定部18を設けずに、第1係合部15と第2係合部16の引掛けだけで取り付けてもよい。
【0044】
取り付けガイド部19は、隔壁6のインバータ筐体4を載せる面の上面に、インバータ筐体4の左右の側面に沿う位置に本体パッケージ1の前面から背面方向に設けられたものである。取り付けガイド部19は、隔壁6が板金で構成される場合は、凸形状の板金の絞りで形成され、隔壁6が樹脂で構成される場合は、凸形状のリブで形成される。隔壁6が板金で構成される場合は、取り付けガイド部19を板金の絞り部で構成することにより、隔壁6の板金の強度も向上することができ、隔壁6の板厚を小さくすることができ、コストを削減することができる。また、取り付けガイド部19は、隔壁6とは別部品として、隔壁6の上面に取り付けて構成してもよい。また、取り付けガイド部19は、インバータ筐体4の左右の側面に沿うように2箇所設けられているが、左右どちらか1箇所のみ設けてもよい。
【0045】
次に、各部の接続について説明する。
【0046】
改質器2は補助機器9と原料ガス配管(図示せず)で接続され、本体パッケージ1外部から原料ガスの供給を受ける。スタック3は、改質器2と水素ガス配管(図示せず)により接続され、改質器2から水素ガスの供給を受ける。また、スタック3は、補助機器9と空気配管(図示せず)で接続され、空気の供給を受ける。インバータ筐体4に収納される電気回路は、スタック3と電気ケーブルで接続され、スタック3で発電された直流電力が電気回路に伝達される。改質器2及び補助機器9はインバータ筐体4に収納される電気回路と電気ケーブルで接続され、動作を制御される。
【0047】
次に、本体パッケージ1にインバータ筐体4を取り付ける方法について説明する。
【0048】
まず、図2(a)に示すように隔壁6の上にインバータ筐体4を載せる。この時、隔壁6の上面に設けられた2つの取り付けガイド部19の間にインバータ筐体4が入るように載せる。次に、インバータ筐体4を本体パッケージ1の背面方向にスライドさせて移動させる。インバータ筐体4のスライド中は、インバータ筐体4の側面上部は、遮蔽板14にガイドされ、インバータ筐体4の側面下部は、取り付けガイド部19にガイドされて移動する。インバータ筐体4の背面が本体パッケージ1の背面に近くまでスライドされると、インバータ筐体4の側面は、規制壁部17によって左右方向の動きを規制される。インバータ筐体4のスライド移動は、インバータ筐体4の背面が、本体パッケージ1に設けられた第1係合部15に当たって止まるまで行う。インバータ筐体4の背面が、第1係合部15に当たった後、インバータ筐体4を上方に少し持ち上げて、本体パッケージ1の背面方向に動かしてから下ろすと、インバータ筐体4の背面上部に設けられた第2係合部16である引掛け穴部が、第1係合部15の引掛け爪部に引掛かり固定される。最後に、インバータ筐体4は、左右2箇所に設けられたビス固定部18で、隔壁6にビス止め固定される。
【0049】
メンテナンス時など、本体パッケージ1からインバータ筐体4を取り外す際には、本体パッケージ1に取り付けた順序とは逆の順序で取り外す。つまり、まず、ビス固定部18のビスを取り外し、次にインバータ筐体4を上方に少し持ち上げて、本体パッケージ1の前面方向に動かしてから下ろすと、第2係合部16が第1係合部15の引掛け爪部から外れる。その後、インバータ筐体4を本体パッケージ1の前面方向にスライド移動させていくことで取り外すことができる。
【0050】
次に、本実施例の燃料電池システムのインバータ筐体収納空間8内部の空気の流れについて図4を用いて説明する。図4(a)は本発明の実施の形態1における燃料電池システムのインバータ筐体収納空間8内部の空気の流れを示す正面図、(b)は側面断面図である。インバータ筐体4の内部は、側面断面図で示すように2層に分けられており、1層目と2層目にそれぞれ電気回路基板20が取り付けられる。また、インバータ筐体4の前面にも電気回路基板20が取り付けられる。インバータ筐体4の底面部は吸気口21が設けられ、ファンで構成されており、インバータ筐体4の内部に空気を吸入するように構成される。インバータ筐体4の天面部は開口しており、空気が通過するように構成される。
【0051】
燃料電池システムの動作中、インバータ筐体吸気口12に設けられたファンは、回転動作して、インバータ筐体吸気口12から外気をインバータ筐体収納空間8内に取り入れる。インバータ筐体吸気口12のファンは、回転動作して、インバータ筐体吸気口12から取り入れられた外気をインバータ筐体4の内部に吸入する。インバータ筐体4の内部に吸入された空気は、電気回路基板20の表面を冷却しながら移動し、インバータ筐体4の天面部から排出される。インバータ筐体4から排出された空気は、インバータ筐体排気口13から本体パッケージ1の外部に排出される。また、インバータ筐体吸気口12から取り入れられた外気の一部は、インバータ筐体4の前面に取り付けられた電気回路基板20を冷却しながら移動し、インバータ筐体排気口13から排出される。
【0052】
インバータ筐体4に収納される電気回路およびインバータ筐体4の前面に取り付けられる電気回路を構成する部品は、発熱部品が多く、かつ半導体素子など部品の耐熱温度が低いため冷却する必要がある。燃料電池システムの発電能力を増やす場合など、発熱量も増えるため、より冷却能力を上げることが必要になる。冷却能力を上げるためにはインバータ筐体吸気口12のファンの回転数を上げることが考えられるが、ファンの回転音が大きくなり、騒音が大きくなることや、ファンでの消費電力が増えることにより燃料電池システムの発電効率が悪くなる等の悪影響が発生する。従って、ファンの回転数を上げずに、効率よく冷却する構成にすることが必要になる。効率よく冷却するためには、インバータ
筐体吸気口12から取り入れられた外気をできるだけ多くインバータ筐体4の吸気口21から吸気させること、及びインバータ筐体4の前面を通す構成にすることが望ましい。
【0053】
本実施の形態では、遮蔽板14を設けることによって、インバータ筐体4の側面と本体パッケージ1の側面の隙間、及びインバータ筐体4の側面と隔壁6の隙間が遮蔽される。よって、インバータ筐体4の側面と本体パッケージ1の側面の隙間、及び、インバータ筐体4の側面と隔壁6の隙間を通過して、インバータ筐体4の底面から天面方向へ流れる空気の流れを少なくすることができ、インバータ筐体吸気口12から取り入れられた外気がより多く、インバータ筐体4の内部に吸気され、また、インバータ筐体4の前面を通過する空気の流れをつくることができる。
【0054】
以上のように構成された燃料電池システムについて、以下その動作、作用を説明する。
【0055】
まず、本体パッケージ1外部の都市ガス配管やLPGが供給される配管などと接続された原料ガス配管から補助機器9を介して改質器2にメタンなどの原料ガスが供給される。改質器2では、改質反応を起こし原料ガスを水素ガスに変換し、生成された水素ガスは水素ガス配管を通ってスタック3へ供給される。また、スタック3には補助機器9から空気配管を通って空気も供給される。スタック3では、供給された水素ガスと空気中の酸素を化学反応させて直流電力を発電する。発電された直流電力は、インバータ筐体4に収納された電気回路により交流電力に変換され商用電源に供給される。
【0056】
なお、本実施の形態では、インバータ筐体4の底面部の吸気口21をファンで構成しているが、ファンを無くして、開口させるのみの構成にしてもよい。また、本実施の形態1では、インバータ筐体排気口13は、本体パッケージ1の外部に排気するように構成しているが、ガス経路空間7内に排出する構成にしてもよい。
【0057】
以上のように、本実施の形態においては、インバータ筐体吸気口12とインバータ筐体排気口13を設けたインバータ筐体収納空間8に収納されたインバータ筐体4の側面と本体パッケージ1の側面の隙間、及びインバータ筐体4の側面と隔壁6の隙間を遮蔽するための遮蔽板14を設けることにより、インバータ筐体吸気口12によりインバータ筐体収納空間8内に取り入れられた外気がインバータ筐体4の横の隙間を通過する流れを少なくすることができ、より多くの外気をインバータ筐体4の吸気口21に送り込む空気の流れをつくることができ、効率良くインバータ筐体4の電気回路20を冷却することができる。よって、インバータ筐体吸気口12から取り入れる外気の量を減らしても、冷却効果を得ることができるようになり、インバータ筐体吸気口12のファンの回転数を下げることができ、ファンでの消費電力が下がることで、燃料電池システムの発電効率を向上でき、また、ファンの回転音も下がることで、燃料電池システムの騒音も下げることができる。
【0058】
また、遮蔽板14を本体パッケージ1の前面から背面方向にインバータ筐体4の側面に沿わせる形状に構成することで、製造工程やメンテナンス時に、インバータ筐体4を本体パッケージ1に着脱する際に、本体パッケージ1の前面から、インバータ筐体4の側面を遮蔽板14に沿わせて位置決めしながらスライドさせて着脱を行うことができ、インバータ筐体4の着脱作業性を向上することができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0059】
また、本体パッケージ1の背面上部に第1係合部15を備え、インバータ筐体4の背面上部に第2係合部16を備えることで、インバータ筐体4を本体パッケージ1に取り付ける際には、インバータ筐体4を遮蔽板14に沿って本体パッケージ1の背面方向にスライドして固定位置近くに移動した後、第2係合部16を第1係合部15に引掛かけて取り付ける構成にすることにより、特に本体パッケージ1の前面のみをメンテナンス面として構成した場合には、本体パッケージ1背面の奥まった場所でのビス締め作業が不要となり、
インバータ筐体4の着脱の作業性を向上させることができる。また、重量の大きいインバータ筐体4を本体パッケージ1背面に引掛けて取り付けることで、本体パッケージ1の背面でインバータ筐体4の重量の大部分を保持することができ、インバータ筐体4を載せる隔壁6にかかる荷重が小さくなるため、隔壁6の板厚を薄くして隔壁6の強度を下げることが可能となり、コストを低減できる。
【0060】
また、隔壁6の上面に取り付けガイド部19を設けることにより、本体パッケージ1にインバータ筐体4を取り付ける際に、隔壁6の上面にインバータ筐体4を載せて取り付けガイド部19に沿って本体パッケージ1の前面から背面方向にスライド移動させることで、インバータ筐体4の第2係合部16を第1係合部15に引掛ける際の位置決めを精度良く行うことができ、第1係合部15と第2係合部16の係合をスムーズに行うことができ、インバータ筐体4の着脱の作業性を向上させることができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0061】
また、本体パッケージ1の背面に規制壁部17を設けることにより、インバータ筐体4の第2係合部16を第1係合部15に引掛ける際に、インバータ筐体4の側面が規制壁部17で規制されることで、第2係合部16を第1係合部15に引掛ける際の位置決めを精度良く行うことができ、第1係合部15と第2係合部16の係合をスムーズに行うことができ、インバータ筐体4の着脱の作業性を向上させることができ、メンテナンス性を向上することができる。また、インバータ筐体4の側面が規制壁部17で規制された状態で本体パッケージ1に取り付けられることで、燃料電池システムの搬送中など、燃料電池システムが振動を受ける際に、インバータ筐体4の側面方向の振れが規制壁部17によって規制され、振動によってインバータ筐体4に作用する負荷を小さくでき、インバータ筐体4や第1係合部15の強度を下げることができ、インバータ筐体4や第1係合部15を構成する材料の板厚を小さくすることができ、コストを低減できる。
【0062】
なお、本実施の形態では遮蔽板14をインバータ筐体4の左右の側面の両方に設けているが、インバータ筐体4の冷却作用が満足できれば、インバータ筐体4の左右の側面のどちらか一方のみを設ける構成としても良い。
【0063】
また、本実施の形態では、規制壁部17と取り付けガイド部19を設けているが、遮蔽板14のみでインバータ筐体4のスライド移動の位置決めを行うようにして、規制壁部17と取り付けガイド部19を設けない構成としても良い。また、規制壁部17と取り付けガイド部19のどちらか一方のみを設ける構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかる燃料電池システムは、インバータ回路の冷却を効率良く行うことで、燃料電池システムの発電効率を向上することや騒音を小さくすることができ、且つ、インバータ筐体のメンテナンス性を向上することが可能となるので、様々な形態の本体パッケージの燃料電池システムや貯湯槽一体型燃料電池システムに適用できる。
【符号の説明】
【0065】
1、100 本体パッケージ
2、104 改質器
3、105 スタック
4 インバータ筐体
5 天板
6、101 隔壁
7 ガス経路空間
8 インバータ筐体収納空間
9、108 補助機器
10 ガス経路吸気口
11 ガス経路排気口
12 インバータ筐体吸気口
13 インバータ筐体排気口
14 遮蔽板
15 第1係合部
16 第2係合部
17 規制壁部
18 ビス固定部
19 取り付けガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を収納する本体パッケージと、
前記本体パッケージ内に配置され、前記燃料電池が発電した直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を収納するインバータ筐体と、
前記本体パッケージ内で、前記インバータ筐体を収納するインバータ筐体収納空間と前記燃料電池を収納する空間とを仕切る隔壁と、
前記インバータ筐体収納空間に前記本体パッケージの外部から空気を取り入れる吸気口と、
前記インバータ筐体収納空間から空気を排出する排気口と、
前記本体パッケージ内面の側面と前記隔壁の少なくとも何れか一方に、前記インバータ筐体の側面との隙間を遮蔽するための遮蔽板と、
を備えている燃料電池システム。
【請求項2】
前記遮蔽板は前記インバータ筐体を前記本体パッケージに取り付ける際のガイド部となるように前記インバータ筐体の側面に沿って配置されている、
請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記本体パッケージ内面の背面上部に形成された第1係合部と、
前記インバータ筐体外面の背面上部に形成された第2係合部と、
を備え、
前記インバータ筐体は、前記遮蔽板に沿ってスライドして固定位置近くに案内された後に、前記第1係合部と前記第2係合部とが係合して固定されるように構成されている、
請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記本体パッケージに前記インバータ筐体を取り付ける際のガイド部として、前記インバータ筐体を載せてスライドさせる前記隔壁上面に前記本体パッケージの前面から背面方向へ前記インバータ筐体の側面に沿ったリブ状のガイドを備えている、
請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記本体パッケージの背面に、前記インバータ筐体を取り付ける際に前記インバータ筐体の側面方向の位置を規制する規制壁部を備えている、
請求項3または4に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−195258(P2012−195258A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60207(P2011−60207)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】