説明

燃料電池及びそれを備えた電気自動車並びに燃料電池の運転方法

【課題】水の電気分解から燃料電池の運転への切り替え時にフラッディング現象が生じ難く、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く動作の安定性に優れ、また水の電気分解運転時に電極の溶出がほとんどみられず耐久性にも優れる高効率の燃料電池を提供することを目的とする。
【解決手段】電解質膜2の片面に配設された水素極3を収容する水素極室4と、電解質膜2の他面に配設された酸素極5を収容する酸素極室6と、水素極室4に形成された水素極室供給口7及び水素極室排出口19と、酸素極室6に形成された酸素極室供給口21、酸素極室排出口31及び酸素極室排出口開閉弁32と、水素極3と酸素極5との間に電圧を印加し水を電気分解させ水素を発生させる電圧印加部34と、を備えた燃料電池1であって、電圧印加部34が、水が供給され酸素極室排出口開閉弁32が閉止された酸素極室6の酸素極5と水素極3との間に電圧を印加する構成を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池及びそれを備えた電気自動車並びに燃料電池の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型の燃料電池は、発電効率が高く高電流密度のため小型軽量化が可能、低温動作のため常温で起動でき起動時間も短く取り扱いが容易等の特徴を有するため、従来より、家庭用等の定置型電源や宇宙船用,潜水艦用,船舶用,自動車用等の移動電源に適用する研究が続けられている。
しかしながら、固体高分子型の燃料電池は水素等の燃料を燃料電池に供給して電気エネルギーを発生させるものであるため、自動車用等の移動電源として用いる場合、通常のガソリン自動車がガソリンスタンドにてガソリンを補給するように、随所に燃料補給施設を設置し比較的頻繁に燃料を補給しなければならないという問題がある。
そこで、燃料電池が電気エネルギーを作り出す逆反応に着目し、水を電気分解して燃料となる水素を生成させる水の電解槽の機能を燃料電池と一体化した再生式の燃料電池が開発されている。
従来の技術としては、(特許文献1)に「イオン交換膜の両面に配置された一対の給電・集電体及び電極板を備え、燃料電池として機能し、かつ、水電解装置として機能する可逆型燃料電池と、前記可逆型燃料電池へ供給するための水素を貯蔵する水素貯蔵装置と、を備えた可逆型燃料電池搭載自動車」が開示されている。
(特許文献2)に「水電解槽と燃料電池の二つの機能を有する固体高分子電解質型の可逆セルの構成部分である多孔質のガス拡散体が、導電性物質の繊維の集合体であって、個々の繊維の表面をフッ素樹脂で被覆してあり、その被覆量が、繊維の全表面積に関して0.06〜1.20mg/cmの範囲にある多孔質ガス拡散体を有する燃料電池」が開示されている。
【特許文献1】特開2002−135911号公報
【特許文献2】特開2004−134134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、可逆型燃料電池内で水の電気分解と燃料電池の運転を交互に繰り返し行う場合、水の電気分解運転直後は給電・集電体内に多量の水が存在するため、燃料電池運転開始時に給電・集電体に水素ガスや酸素ガスを流すと、水が給電・集電体のガス流路に詰まりガスが流れ難くなる現象(フラッディング現象)が生じ、水素ガス等の拡散阻害による電圧低下を招き燃料電池の性能が低下するという課題を有していた。
(2)(特許文献2)に開示の技術は、水の電気分解運転直後のフラッディング現象を防止するため、ガス拡散体(給電・集電体)の個々の繊維を、全表面積に対して0.06〜1.20mg/cmのフッ素樹脂で被覆しガス拡散体の表面を疎水性にして水はけを良くしているため、ある程度はフラッディング現象を抑制し電圧低下を防止できる。しかしながら、繰り返し運転によってフッ素樹脂による被覆が剥離したり、疎水性を維持する効果が経時的に低下したりするため、耐久性に欠けるという課題を有していた。
(3)ガス拡散体の繊維の表面をフッ素樹脂で被覆するのは、繊維にフッ素樹脂の分散液を塗布し乾燥させた後、約400℃で1時間以上加熱してフッ素樹脂を溶着させる必要があり煩雑で生産性に欠けるという課題を有していた。また、このような処理を行って繊維の表面を均一にフッ素樹脂で被覆するのは困難で斑が生じ易く、フッ素樹脂が十分に被覆されていない繊維の表面からは水が除去され難いため、フラッディング現象を完全に防止できないという課題を有していた。
(4)水の電気分解運転の際、電極板、ガス拡散体、給電・集電体は水中に浸漬され電極板等の表面では激しく酸化還元反応が起こっているため、長期間の使用によって電極板等の成分が水中に溶出することがあり、溶出した成分は電解質膜の表面にも付着し、経時的に燃料電池の起電力や水の電解効率が低下することがあり耐久性に欠けるという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、水の電気分解から燃料電池の運転への切り替え時に、酸素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難いため、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く動作の安定性に優れ、また構造が簡単で軽量化できるとともに安価で量産でき、さらに電極の溶出がほとんどみられず耐久性にも優れる高効率の燃料電池を提供することを目的とする。
また、本発明は、1基の燃料電池で水素(燃料)及び酸素(空気)を用いた発電と水の電気分解による水素(燃料)の再生を行うことができ、燃料の補給頻度を少なくすることができ利便性を高めるとともにインフラ整備に要する負担を軽減でき、また水の電気分解から燃料電池の運転への切り替え時にフラッディング現象が生じ難いため、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く安定した出力が得られ耐久性にも優れた電気自動車を提供することを目的とする。
また、本発明は、燃料電池の発電運転開始時に酸素極室に酸素や空気を流すと、酸素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難く、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く高い起電力が安定して得られ、また電極の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜に付着することが原因の燃料電池の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れる燃料電池の運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の燃料電池及びそれを備えた電気自動車並びに燃料電池の運転方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の燃料電池は、a.電解質膜と、b.前記電解質膜の片面に配設された水素極を収容する水素極室と、c.前記電解質膜の他面に配設された酸素極を収容する酸素極室と、d.前記水素極室に形成された水素極室供給口及び水素極室排出口と、e.前記酸素極室に形成された酸素極室供給口及び酸素極室排出口と、f.前記水素極と前記酸素極との間に電圧を印加し水を電気分解させ水素を発生させる電圧印加部と、を備えた燃料電池であって、前記酸素極室排出口を開閉する酸素極室排出口開閉弁を備え、前記電圧印加部が、水が供給され前記酸素極室排出口開閉弁が閉止された前記酸素極室の前記酸素極と前記水素極との間に電圧を印加する構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)水の電気分解時には、酸素極室供給口から酸素極室に水を供給して、酸素極室に水が充填されたら酸素極室排出口を開閉する酸素極室排出口開閉弁を閉止し、酸素極を陽極として電圧印加部が酸素極と水素極との間に直流電圧を印加すると、酸素極ではHO→1/2O+2H+2eのように反応し酸素が発生する。この反応によって生じたプロトン(H)は電解質膜を通って水素極(陰極)側へ移動し電子を受け取り、2H+2e→Hのように反応して水素を発生させる。また、酸素極で発生した酸素によって酸素極室の内圧が高まるので、酸素極室供給口から酸素極室内の水が酸素極室の外へ押し出され酸素極の周囲には液体状態の水がほとんど残留しなくなる。また、水の電気分解によって酸素極の温度が85〜95℃程度に上昇するため、酸素極の表面にわずかに残留した液体状態の水は蒸発する。このため、燃料電池の発電運転開始時に酸素極室に酸素や空気を流すと、酸素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難く、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く高効率の燃料電池が得られる。
(2)構造が簡単で軽量化でき、安価で量産可能な高効率の燃料電池が得られる。
【0006】
ここで、電解質膜としては、スルホン酸基やカルボニル基をもつフッ素樹脂系等のイオン交換膜が用いられる。
【0007】
酸素極としては、チタン製,白金製の電極、チタン,カーボン,ステンレス等で形成された基材の表面に白金,ルテニウム,イリジウム等の皮膜を形成したもの、白金,白金グラファイト等で形成された基材の表面にルテニウム,イリジウム等の皮膜を形成したもの等を用いることができる。ガス透過性を高めるため、メッシュ状や多孔質状に形成されたものが好適に用いられる。
【0008】
水素極としては、酸素極として用いられる電極の他、ニッケル,鉄等で形成された基材の表面に白金,ルテニウム,イリジウム等の皮膜を形成したもの等を用いることができる。ガス透過性を高めるため、メッシュ状や多孔質状に形成されたものが好適に用いられる。
【0009】
燃料電池は、a.電解質膜と、b.水素極室と、c.酸素極室と、を一つのセルとして、このセルを積層したスタックを用い、燃料電池の単位重量あたりの出力を高めることができる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の燃料電池であって、前記水素極室排出口を開閉する水素極室排出口開閉弁を備え、前記電圧印加部が、水が供給され前記水素極室排出口開閉弁が閉止された前記水素極室の前記水素極と前記酸素極との間に電圧を印加する構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)水の電気分解時には、水素極室供給口から水素極室にも水を供給して、水素極室に水が充填されたら水素極室排出口を開閉する水素極室排出口開閉弁を閉止し、電圧印加部が酸素極と水素極との間に直流電圧を印加し酸素極を陽極、水素極を陰極とすると、酸素極(陽極)ではHO→1/2O+2H+2eのように反応し酸素が発生する。この反応によって生じたプロトン(H)は電解質膜を通って水素極(陰極)側へ移動し電子を受け取り、2H+2e→Hのように反応して水素を発生させる。さらに、水素極(陰極)ではHO+e→OH+1/2Hのように反応し水素が発生する。また、水素極で発生した水素によって水素極室の内圧が高まるので、水素極室内の水が水素極室供給口から水素極室の外へ押し出され水素極の周囲には液体状態の水がほとんど残留しなくなる。また、水の電気分解によって水素極の温度が85〜95℃程度に上昇するため、水素極の表面にわずかに残留した液体状態の水は蒸発する。このため、燃料電池の運転開始時に酸素極室に酸素や空気を流し水素極室に水素を流すと、酸素極及び水素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難く、酸素及び水素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く高効率の燃料電池が得られる。
(2)水素極室に水を供給して水素極でも水の電気分解を行うので、水を酸素極室だけに供給した場合と比較して、水素極における水素の発生量を増やすことができ、水素の再生能力を高めることができる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の燃料電池であって、前記酸素極室供給口と連通し前記酸素極室内の水が電気分解されて発生した酸素と前記酸素極室から押し出された水を貯留する第1気液貯留部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)水の電気分解時に、第1気液貯留部に貯留された水を酸素極室供給口から蒸気状態で酸素極に供給させることができるので、酸素極では蒸気状態の水を電気分解することができる。酸素極が水に浸漬されていないため、酸素極の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜に付着することが原因の燃料電池の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れる。
(2)燃料電池の発電運転時には、第1気液貯留部と酸素極室とを連通させておくことで貯留された水で酸素を加湿して電解質膜に水分を吸収させられるので、電解質膜のプロトン導電性を向上させ燃料電池の発電性能を高めることができる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の燃料電池であって、前記水素極室供給口と連通し前記水素極室内の水が電気分解されて発生した水素と前記水素極室から押し出された水を貯留する第2気液貯留部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項2又は3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)水の電気分解時に、第2気液貯留部に貯留された水を水素極室供給口から蒸気状態で水素極に供給させることができるので、水素極では蒸気状態の水を電気分解することができる。水素極が水に浸漬されていないため、水素極の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜に付着することが原因の燃料電池の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れる。
(2)燃料電池の発電運転時には、第2気液貯留部と水素極室とを連通させておくことで貯留された水で水素を加湿できるので、水素を加湿器で加湿しなくても電解質膜のプロトン導電性を維持することができる。
【0013】
本発明の請求項5に記載の電気自動車は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の燃料電池と、前記燃料電池に供給する水素を貯蔵する水素貯蔵装置と、前記燃料電池に供給する水を貯蔵する水貯蔵槽と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)1基の燃料電池で、水素(燃料)及び酸素を用いた発電と、水の電気分解による水素(燃料)の再生を行うことができ、燃料の補給頻度を少なくすることができ利便性を高め、さらに水素の補給頻度を少なくすることができるので、水素の製造所,輸送,貯蔵,供給設備等のインフラ整備に要する負担を少なくできる。
(2)水の電気分解から燃料電池の運転への切り替え時にフラッディング現象が生じ難いため、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く安定した出力が得られるとともに耐久性にも優れる。
【0014】
ここで、水素貯蔵装置としては、液体水素の貯蔵タンク、金属製や合成樹脂製等の高圧タンク、パラジウム,チタン,ジルコニウム,マグネシウム,希土類金属等の金属水素化物を形成する水素吸蔵合金を用いた水素貯蔵装置、シクロへキサン,デカリン等の有機ハイドライドを用いた水素貯蔵装置、カーボンナノチューブ,繊維状炭素,黒鉛等の炭素系材料を用いた水素貯蔵装置等を用いることができる。
【0015】
本発明の請求項6に記載の発明は、a.電解質膜と、b.前記電解質膜の片面に配設された水素極を収容する水素極室と、c.前記電解質膜の他面に配設された酸素極を収容する酸素極室と、d.前記水素極室に形成された水素極室供給口及び水素極室排出口と、e.前記酸素極室に形成された酸素極室供給口及び酸素極室排出口と、f.前記水素極と前記酸素極との間に電圧を印加し水を電気分解させ水素を発生させる電圧印加部と、を備えた燃料電池の運転方法であって、電気分解運転時に、前記酸素極室内の蒸気状態の水を電気分解する構成を有している。
この構成によって、以下のような作用が得られる。
(1)電気分解運転時に蒸気状態の水を電気分解するので、酸素極ではHO→1/2O+2H+2eのように反応し酸素が発生する。この反応によって生じたプロトン(H)は電解質膜を通って水素極(陰極)側へ移動し電子を受け取り、2H+2e→Hのように反応して水素極室に水素を発生させることができる。さらに、燃料電池の発電運転開始時に酸素極室に酸素や空気を流すと、酸素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難く、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く高い起電力が安定して得られる。
(2)水の電気分解時に酸素極が水に浸漬されていないため、酸素極の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜に付着することが原因の燃料電池の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の燃料電池及びそれを備えた電気自動車並びに燃料電池の運転方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)水の電気分解運転から燃料電池の発電運転への切り替え時に、酸素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難いため、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く、動作の安定性に優れるとともに耐久性にも優れた高効率の燃料電池を提供することができる。
(2)構造が簡単で軽量化でき、安価で量産可能な高効率の燃料電池を提供することができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)水の電気分解運転から燃料電池の発電運転への切り替え時に、水素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難いため、水素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く、動作の安定性に優れるとともに耐久性にも優れた高効率の燃料電池を提供することができる。
(2)水素極室に水を供給して水素極でも水の電気分解を行うので、水を酸素極室だけに供給した場合と比較して、水素極における水素の発生量を増やすことができ、水素の再生能力の高い燃料電池を提供することができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)水の電気分解時に酸素極が水に浸漬されていないため、酸素極の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜に付着することが原因の燃料電池の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れた燃料電池を提供することができる。
(2)燃料電池の発電運転時には、第1気液貯留部と酸素極室とを連通させておくことで貯留された水で酸素を加湿して電解質膜に水分を吸収させられるので、電解質膜のプロトン導電性を向上させ発電性能の優れた燃料電池を提供することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3の効果に加え、
(1)水の電気分解時に水素極が水に浸漬されていないため、水素極の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜に付着することが原因の燃料電池の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れた燃料電池を提供することができる。
(2)燃料電池の発電運転時には、第2気液貯留部と水素極室とを連通させておくことで貯留された水で水素を加湿できるので、水素を加湿器で加湿しなくても電解質膜のプロトン導電性を維持することができ構造の簡単な燃料電池を提供することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)1基の燃料電池で水素(燃料)及び酸素を用いた発電と水の電気分解による水素(燃料)の再生を行うことができ、燃料の補給頻度を少なくすることができ利便性に優れ、さらに水素の補給頻度を少なくすることができるので、水素の製造所,輸送,貯蔵,供給設備等のインフラ整備に要する負担を少なくできる電気自動車を提供することができる。
(2)水の電気分解から燃料電池の運転への切り替え時にフラッディング現象が生じ難いため、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く安定した出力が得られるとともに耐久性にも優れた電気自動車を提供することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、
(1)燃料電池の発電運転開始時に酸素極室に酸素や空気を流すと、酸素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難く、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く高い起電力が安定して得られる燃料電池の運転方法を提供することができる。
(2)水の電気分解時に酸素極が水に浸漬されていないため、酸素極の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜に付着することが原因の燃料電池の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れた燃料電池の運転方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における燃料電池の模式図である。
図中、1は実施の形態1における燃料電池、2はフッ素樹脂系等のイオン交換膜で形成された電解質膜、3はチタン製,白金製等で形成され電解質膜2の片面に配設された水素極、4は水素極3を収容する水素極室、5はチタン製,白金製等で形成され電解質膜2の他面に配設された酸素極、6は酸素極5を収容する酸素極室、7は水素極室4の下端側に形成され燃料電池1の発電運転時には燃料の水素が供給され水の電解運転時には水分が供給される水素極室供給口、8は水素極室供給口7に接続された三方弁からなる方向切換弁、9は一端が方向切換弁8に接続された連結管であり、方向切換弁8は水素極室供給口7と連結管9と図示しない水素貯蔵装置に接続されている。10は連結管9の他端に接続された三方弁からなる方向切換弁、11は一端が方向切換弁10に接続された連通管であり、方向切換弁10は連結管9と連通管11と図示しない水素貯蔵装置に接続されている。12は連通管11の他端と接続し方向切換弁8,10を介して水素極室供給口7と連通した第2気液貯留部、13は上端が水素極室4の高さと略同一の高さで第2気液貯留部12の下部側に形成され連通管11の他端と連通した水素ガス貯留部、14は第2気液貯留部12の上部側に形成された水貯留部、14aは水素ガス貯留部13の底部に形成され水貯留部14と連通した連通孔、14bは連通孔14aと連通管11との間の水素ガス貯留部13に立設された仕切板である。仕切板14bの上端と水素ガス貯留部13の上端との間には隙間が形成されており、連通管11から水素ガス貯留部13内に流れてきた水素ガス等は仕切板14bに沿って上向きに流れた後に水素ガス貯留部13内に貯留される。また、水貯留部14の容積は水素ガス貯留部13の容積と同一乃至はやや大きめに形成されている。15は第2気液貯留部12の水貯留部14の上端側に接続され第2気液貯留部12から水素等のガスを排気する排気管、16は排気管15に配設された排気管開閉弁、17は第2気液貯留部12の水貯留部14の上端側に接続され第2気液貯留部12に水を供給する水供給管、18は水供給管17に配設された水供給管開閉弁、19は水素極室4の上端側に形成され燃料電池1の発電運転時には未反応の過剰な水素が排出され水の電解運転の開始時には水素極室4に供給された水が排出される水素極室排出口、20は水素極室排出口19に接続された水素極室排出口開閉弁である。
【0023】
21は酸素極室6の下端側に形成され燃料電池1の発電運転時には酸素や空気が供給され水の電解運転時には水分が供給される酸素極室供給口、22は酸素極室供給口21に接続された三方弁からなる方向切換弁、23は一端が方向切換弁22に接続された連通管であり、方向切換弁22は酸素極室供給口21と連通管23と図示しないコンプレッサ等の酸素供給装置に接続されている。24は連通管23の他端と接続し方向切換弁22を介して酸素極室供給口21と連通した第1気液貯留部、25は上端が酸素極室6の高さと略同一の高さで第1気液貯留部24の下部側に形成された酸素ガス貯留部、26は第1気液貯留部24の上部側に形成された水貯留部、26aは酸素ガス貯留部25の底部に形成され水貯留部26と連通した連通孔、26bは連通孔26aと連通管23との間の酸素ガス貯留部25に立設された仕切板である。仕切板26bの上端と酸素ガス貯留部25の上端との間には隙間が形成されており、連通管23から酸素ガス貯留部25内に流れてきた酸素ガス等は仕切板26bに沿って上向きに流れた後に酸素ガス貯留部25内に貯留される。また、である。水貯留部26の容積は酸素ガス貯留部25の容積と同一乃至はやや大きめに形成されている。27は第1気液貯留部24の水貯留部26の上端側に接続され第1気液貯留部24から酸素等のガスを排気する排気管、28は排気管27に配設された排気管開閉弁、29は第1気液貯留部24の水貯留部26の上端側に接続され第1気液貯留部24に水を供給する水供給管、30は水供給管29に配設された水供給管開閉弁、31は酸素極室6の上端側に形成され燃料電池1の発電運転時には未反応の酸素等のガスが生成された水とともに排出され水の電解運転の開始時には酸素極室6に供給された水が排出される酸素極室排出口、32は酸素極室排出口31に接続された酸素極室排出口開閉弁、33は水素極3と酸素極5とに接続され燃料電池1が発生した電気エネルギーを消費するモータ等の負荷である。
【0024】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における燃料電池について、図面を参照しながら、水の電気分解運転と燃料電池の発電運転の運転方法について説明する。
図2は燃料電池を水の電解装置として用いて燃料の水素を製造する直前の状態を示す模式図であり、図3は水の電気分解運転開始直後の状態を示す模式図であり、図4は水の電気分解運転中の状態を示す模式図である。
図中、34は水素極3と酸素極5とに接続され水素極3を陰極、酸素極5を陽極として直流電圧を印加する電圧印加部である。
【0025】
燃料電池1を水の電解装置として用い水の電気分解を行い燃料の水素を製造する場合は、方向切換弁8を水素極室供給口7,連結管9と連通するように切換え、方向切換弁10を連結管9と連通管11と連通するように切換え、排気管開閉弁16,水供給管開閉弁18,水素極室排出口開閉弁20を開弁し、水供給管17から水を第2気液貯留部12に供給すると、水が連通孔14a,水素ガス貯留部13,連通管11,方向切換弁10,連結管9,方向切換弁8から水素極室供給口7を通って水素極室4に供給される。水素ガス貯留部13の上端と水素極室4の上端とは略同一の高さに形成されているので、水素極室4と水素ガス貯留部13に水が充填されると、水素極室排出口19から水が溢れるので、水素極室排出口開閉弁20を閉止するとともに水供給管開閉弁18を閉止して水の供給を停止する(図2参照)。酸素極室6側も同様に、方向切換弁22を酸素極室供給口21と連通管23と連通するように切換え、排気管開閉弁28,水供給管開閉弁30,酸素極室排出口開閉弁32を開弁し、水供給管29から水を第1気液貯留部24に供給すると、水が連通孔26a,酸素ガス貯留部25,連通管23,方向切換弁22から酸素極室供給口21を通って酸素極室6に供給される。酸素ガス貯留部25の上端と酸素極室6の上端とは略同一の高さに形成されているので、酸素極室6と酸素ガス貯留部25に水が充填されると、酸素極室排出口31から水が溢れるので、酸素極室排出口開閉弁32を閉止するとともに水供給管開閉弁30を閉止して水の供給を停止する。排気管開閉弁16,28を開弁した状態で、電圧印加部34を用いて水素極3と酸素極5との間に水素極3が陰極、酸素極5が陽極になるように直流電圧を印加すると、水素極室4内と酸素極室6内の水が電気分解され、酸素極5(陽極)ではHO→1/2O+2H+2eのように反応し酸素が発生する。この反応によって生じたプロトン(H)は電解質膜2を通って水素極3(陰極)側へ移動し電子を受け取り、2H+2e→Hのように反応して水素極室4に水素を発生させる。さらに、水素極3(陰極)ではHO+e→OH+1/2Hのように反応し水素極室4に水素が発生する。水素極室排出口開閉弁20が閉止されているので、発生した水素によって水素極室4の内圧が高まり、図3に示すように、水素極室4内の水が水素極室供給口7を通って第2気液貯留部12内へ逆流する。また、酸素極室排出口開閉弁32も閉止されているので、発生した酸素によって酸素極室6の内圧が高まり、酸素極室6内の水が酸素極室供給口21を通って第1気液貯留部24内へ逆流する。
さらに、電圧印加部34を用いて水素極3と酸素極5との間に直流電圧を印加し続けると、図4に示すように、水素極室4及び酸素極室6内の液体状態の水が全て第2気液貯留部12及び第1気液貯留部24内に押し出され、水素ガス貯留部13及び酸素ガス貯留部25の一部にも水素及び酸素が充填される。さらに電圧印加部34によって電圧を印加し続けると、水素ガス貯留部13及び酸素ガス貯留部25に水素及び酸素が充満し、水貯留部14,26に連通孔14a,26aから水素ガス及び酸素ガスの気泡が現れ、排気管15,27から排気されるので、除湿等を行った後、図示しない水素貯蔵装置等に貯蔵して燃料電池1の発電時に用いることができる。また、水貯留部14の容積は水素ガス貯留部13の容積と同一乃至はやや大きめに形成されているので、水素ガス貯留部13に水素ガスが充満したときでも、水貯留部14内の水が第2気液貯留部12から溢れることはない。
【0026】
さらに水の電気分解運転を継続するため、排気管開閉弁16を閉止し、方向変換弁10を連結管9,連通管11及び図示しない水素貯蔵装置と連通するように切換える。水素極室4,連結管9,連通管11,水素ガス貯留部13には水素と水蒸気乃至は水が混在して充満しており、水素ガス貯留部13と連通した水貯留部14には水が貯留されているので、水素極室4には水貯留部14から湿分が連続的に供給され、供給された湿分が電気分解されて水素が生成される。図示しない水素貯蔵装置は方向切換弁10を介して連結管9,連通管11と連通しているので、図示しない圧送装置等を使って連結管9,連通管11内の水素を水素貯蔵装置に貯蔵させることができる。電気分解によって第2気液貯留室12内の水が減ってきた場合は、水供給管開閉弁18を開弁して水を補給する。
一方、酸素極室6側は、酸素ガス貯留部25に酸素及び蒸気が充満するので、水貯留部26に連通孔26aから酸素ガスの気泡が現れ、酸素が排気管27から系外に排気される。電気分解によって第1気液貯留室24内の水が減ってきた場合は、水供給管開閉弁30を開弁して水を補給する。
【0027】
燃料電池1の発電運転を開始する場合は、電圧印加部34を負荷33に切換えた後、水素極室4側の方向変換弁10を連結管9,連通管11と連通するように切換え、方向切換弁8を連結管9,水素極室供給口7及び図示しない水素貯蔵装置と連通するように切換え、水素極室排出口開閉弁20を開弁する。一方、酸素極室6側の方向切換弁22を酸素極室供給口21,連通管23及び図示しない酸素供給装置と連通するように切換え、酸素極室排出口開閉弁32を開弁し排気管開閉弁28を閉止する。次いで、図示しない水素貯蔵装置から方向切換弁8,水素極室供給口7を通って水素極室4内へ水素を、図示しない酸素供給装置から方向切換弁22,酸素極室供給口21を通って酸素極室6内へ酸素を供給する。これにより、水素極3ではH→2H+2e、酸素極5では1/2O+2H+2e→HOの反応が起こり、電力が発生する。未反応の水素は水素極室排出口19から水素極室4の外部へ排出され、生成した水及び未反応の酸素等は酸素極室排出口31から酸素極室6の外部へ排出される。
【0028】
以上のように、本発明の実施の形態1における燃料電池は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)水の電気分解時には、酸素極室供給口21から酸素極室6に水を供給して、酸素極室6に水が充填されたら酸素極室排出口31を開閉する酸素極室排出口開閉弁32を閉止する。一方、水素極室供給口7から水素極室4にも水を供給して、水素極室4に水が充填されたら水素極室排出口19を開閉する水素極室排出口開閉弁20を閉止し、酸素極5と水素極3との間に直流電圧を印加すると、酸素極5で発生した酸素によって酸素極室6の内圧が高まるので、酸素極室供給口21から酸素極室6内の水が酸素極室6の外へ押し出され酸素極5の周囲には液体状態の水がほとんど残留しなくなる。また、水の電気分解によって酸素極5の温度が85〜95℃程度に上昇するため、酸素極5の表面にわずかに残留した液体状態の水は蒸発する。水素極室4側でも同様の現象が起こるため、燃料電池1の発電運転開始時に酸素極室6に酸素や空気を流し水素極室4に水素を流すと、酸素極5及び水素極3の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難く、酸素及び水素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く高効率の燃料電池が得られる。
(2)水の電気分解運転時に、第1気液貯留部24に貯留された水を酸素極室供給口21から蒸気状態で酸素極5に供給させることができ、また液体状態で供給された水も85〜95℃に昇温した酸素極5で蒸発されるので、酸素極5では蒸気状態の水を電気分解することができる。酸素極5が水に浸漬されていないため、酸素極5の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜2に付着することが原因の燃料電池1の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れる。
(3)水の電気分解運転時に、第2気液貯留部12に貯留された水を水素極室供給口7から蒸気状態で水素極3に供給させることができ、また液体状態で供給された水も85〜95℃に昇温した水素極3で蒸発されるので、水素極3では蒸気状態の水を電気分解することができる。水素極3が水に浸漬されていないため、水素極3の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜2に付着することが原因の燃料電池1の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れる。
(4)燃料電池1の発電運転時には、第1気液貯留部24と酸素極室6とを連通させておくことで貯留された水で酸素を加湿して電解質膜2に水分を吸収させられるので、電解質膜2のプロトン導電性を向上させ燃料電池1の発電性能を高めることができる。
(5)燃料電池1の発電運転時には、第2気液貯留部12と水素極室4とを連通させておくことで貯留された水で水素を加湿できるので、水素を加湿器で加湿しなくても電解質膜2のプロトン導電性を維持することができる。
(6)第1気液貯留部24,第2気液貯留部12の水貯留部14,26に排気管開閉弁16,28が配設された排気管15,27が接続されているので、水の電気分解運転時には、排気管開閉弁16,28を開弁した状態にすることで、水素ガス貯留部13に水素ガスを、酸素ガス貯留部25に酸素ガスを貯留し、水素貯蔵装置に水素を貯蔵することができる。また、燃料電池の発電運転時には、排気管開閉弁16,28を閉止した状態にすることで、水素極室4や酸素極室6内を湿った水素や酸素が充満した状態に保つことができ、発電性能を高めることができる。
(7)水貯留部14,26の容積は水素ガス貯留部13,酸素ガス貯留部25の容積と同一乃至はやや大きめに形成されており、水素ガス貯留部13,酸素ガス貯留部25の上端と水素極室4,酸素極室6の上端とは略同一の高さに形成されているので、水素極室4,酸素極室6に水が充填されたときに水供給管開閉弁18,30を閉止すると、水の電気分解によって水素ガス貯留部13及び酸素ガス貯留部25に水素ガス及び酸素ガスが充満したときでも、水貯留部14,26内の水が第2気液貯留部12,第1気液貯留部24から溢れることはなく、水素ガス貯留部13及び酸素ガス貯留部25内に水素ガス及び酸素ガスを確実に貯留することができる。
(8)仕切板14b,26bが水素ガス貯留部13,酸素ガス貯留部25内に立設されているので、水素ガス貯留部13,酸素ガス貯留部25内に導入された水素ガス等が連通孔14a,26aを通って直ちに水貯留部14,26内に漏れることがなく、水素ガス貯留部13,酸素ガス貯留部25内に確実に貯留することができる。
【0029】
また、本発明の実施の形態1における燃料電池の運転方法によれば、以下のような作用が得られる。
(1)電気分解運転時に蒸気状態の水を電気分解するので、水素極室4に水素を発生させることができる。さらに、燃料電池1の発電運転開始時に酸素極室6に酸素や空気を流し、水素極室4に水素を流すと、水素極3及び酸素極5の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難く、水素や酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く高い起電力が安定して得られる。
(2)水の電気分解時に水素極3及び酸素極5が水に浸漬されていないため、水素極3及び酸素極5の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜2に付着することが原因の燃料電池1の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れる。
【0030】
(実施の形態2)
図5は実施の形態1における燃料電池を用いた実施の形態2における電気自動車の構成図である。なお、実施の形態1で説明したものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、40は電気自動車、41は水素極3及び酸素極5に接続され燃料電池1で発生させた電力の制御を行うとともに水の電解運転と発電運転の切り替え制御を行うコントロールユニット、42はコントロールユニット41に接続された太陽電池である。太陽電池42で発生された電力はコントロールユニット41に供給されるとともに、余剰の電力は2次電池からなる電圧印加部34に蓄積される。コントロールユニット41は太陽電池42や電圧印加部34から電力を供給され、自動車の走行時には燃料電池1で発生した電力をモータ等の負荷33に供給し、自動車の停止時には負荷33から電圧印加部34に切り替え、燃料電池1内では水の電気分解が行われる。
43は方向切換弁22を介して連結管23,酸素極室供給口21に連通され空気を加圧するコンプレッサ等の酸素供給装置、44は水素極室排出口開閉弁20に接続された三方弁からなる方向切換弁、45は酸素極室排出口開閉弁32を介して酸素極室排出口31に連通した水から酸素を分離する酸素分離装置、46は方向切換弁44、酸素分離装置45、水供給管17,29に接続された水貯蔵槽、47は排気管15に接続され第2気液貯留部12で水と分離された水素が除湿され精製される水素精製装置、48は水素精製装置47に接続され水素を圧送するコンプレッサ等の圧送装置、49は水素吸蔵合金,有機ハイドライド,炭素系材料等を用いた水素貯蔵装置、50は一端が水素貯蔵装置49に接続され他端が方向切換弁8に接続された逆止弁、51は上流側が方向切換弁10に接続され下流側が水素貯蔵装置49に接続され水素を昇圧し水素貯蔵装置49に圧送するコンプレッサ等の圧送装置、52は一端が方向切換弁44に他端が逆止弁50の下流側に接続されたバイパス管である。
【0031】
以上のように構成された実施の形態2における電気自動車について、以下その運転方法を説明する。
コントロールユニット41は、自動車の停止時には電圧印加部34を用いて水素極3及び酸素極5に電圧を印加し、燃料電池1内で水の電気分解を行い、燃料となる水素を製造する。このときの動作は実施の形態1で説明したものと重複するが、主な動作だけを説明する。
水は、水貯蔵槽46から水供給管17,29を通って第2気液貯留部12、第1気液貯留部24に供給され、水素極室供給口7,酸素極室供給口21を通って水素極室4,酸素極室6に供給される。供給された水が水素極室排出口19,酸素極室排出口31から溢れたら水素極室排出口開閉弁20、酸素極室排出口開閉弁32を閉止し、水供給管開閉弁18,30を閉止し水の供給を止める。水素極室排出口19から溢れた水は方向切換弁44を通って水貯蔵槽46に戻され、酸素極室排出口31から溢れた水は酸素分離装置45を通って水貯蔵槽46に戻される。
水素極3及び酸素極5に電圧が印加されると水素極室4及び酸素極室6内に水素及び酸素が発生し、発生した水素及び酸素によって水素極室4及び酸素極室6の外へ水が押し出される。水は第2気液貯留部12内に逆流し、水素極室4,連結管9,連通管11及び第2気液貯留部12の一部には水素と蒸気が充満し、充満した水素は方向切換弁10から圧送装置51を通って水素貯蔵装置49に圧送され貯蔵される。なお、除湿機等の水素精製装置を通過させて精製した水素を貯蔵するのが好ましい。第2気液貯留部12から溢れた水素は排気管15から水素精製装置47を通して水素貯蔵装置49に圧送され貯蔵される。水素は、第2気液貯留部12内の水が湿り蒸気として水素極室4内に供給されて蒸気状態の水が連続的に電気分解され連続的に製造される。第2気液貯留部12内の水が不足してきたときは水貯蔵槽46から供給する。
一方、酸素極室6側でも同様に、水は第1気液貯留部24内に逆流し、酸素極室6,連通管23及び第1気液貯留部24の一部には酸素と蒸気が充満する。第1気液貯留部24から溢れた酸素は排気管27から大気中へ放出される。第1気液貯留部24内の水が湿り蒸気として酸素極室6内に供給されて連続的に蒸気状態の水が電気分解される。第1気液貯留部24内の水が不足してきたときは水貯蔵槽46から供給する。
【0032】
自動車の走行時は、コントロールユニット41が電圧印加部34から負荷33に切換え後、酸素極室6内へ酸素供給装置43を用いて方向切換弁22を通して空気や酸素を供給し、水素貯蔵装置49から逆止弁50,方向切換弁8を通して水素極室4内へ水素を供給する。これにより、燃料電池1は電力を発生し、負荷33に電力を供給することができる。なお、発生した電力のうち余剰分は、2次電池からなる電圧印加部34に充電される。また、発電運転時に酸素極室6で発生した水(水蒸気)は、酸素分離装置45を通して水貯蔵槽46に戻される。また、発電運転時に水素極室4で反応に使われなかった過剰な水素は方向切換弁44からバイパス管52を通って方向切換弁8,水素極室供給口7を通り再び水素極室4に供給される。
【0033】
以上のように、本発明の実施の形態2における電気自動車は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)1基の燃料電池1で、発電運転と水の電気分解運転による水素(燃料)の再生を行うことができ、燃料の補給頻度を少なくすることができ利便性を高め、さらに水の電気分解から発電運転への切り替え時にフラッディング現象が生じ難いため、酸素や水素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く安定した出力が得られる。
【0034】
(実施の形態3)
図6は本発明の実施の形態3における燃料電池の模式図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1aは実施の形態3における燃料電池であり、10aは連結管9の他端に接続された開閉弁である。
実施の形態3における燃料電池1aが実施の形態1における燃料電池1と異なる点は、水素極室4側に第2気液貯留部12が接続されていない点である。
【0035】
以上のように構成された本発明の実施の形態3における燃料電池について、図面を参照しながら、水の電気分解運転と燃料電池の発電運転の動作について説明する。
図7は燃料電池を水の電解装置として用いて燃料の水素を製造する直前の状態を示す模式図であり、図8は水の電気分解運転開始直後の状態を示す模式図であり、図9は水の電気分解運転中の状態を示す模式図である。
【0036】
燃料電池1を水の電解装置として用い水の電気分解を行い燃料の水素を製造する場合は、方向切換弁22を酸素極室供給口21と連通管23と連通するように切換え、排気管開閉弁28,水供給管開閉弁30,酸素極室排出口開閉弁32を開弁し、水供給管29から水を第1気液貯留部24に供給すると、水が連通孔26a,酸素ガス貯留部25,連通管23,方向切換弁22から酸素極室供給口21を通って酸素極室6に供給される。酸素ガス貯留部25の上端と酸素極室6の上端とは略同一の高さに形成されているので、酸素極室6と酸素ガス貯留部25に水が充填されると、酸素極室排出口31から水が溢れるので、酸素極室排出口開閉弁32を閉止するとともに水供給管開閉弁30を閉止して水の供給を停止する(図7参照)。この状態で電圧印加部34を用いて水素極3と酸素極5との間に水素極3が陰極、酸素極5が陽極になるように直流電圧を印加すると、酸素極室6内の水が電気分解され、酸素極5(陽極)ではHO→1/2O+2H+2eのように反応し酸素が発生する。この反応によって生じたプロトン(H)は電解質膜2を通って水素極3(陰極)側へ移動し電子を受け取り、2H+2e→Hのように反応して水素極室4に水素を発生させる。酸素極室排出口開閉弁32が閉止されているので、発生した酸素によって酸素極室6の内圧が高まり、酸素極室6内の水が酸素極室供給口21を通って第1気液貯留部24内へ逆流する(図8参照)。
【0037】
さらに、電圧印加部34を用いて水素極3と酸素極5との間に直流電圧を印加し続けると、図9に示すように、酸素極室6内の液体状態の水が全て第1気液貯留部24内に押し出され、酸素ガス貯留部25の一部にも酸素が充填される。さらに電圧印加部34によって電圧を印加し続けると、酸素ガス貯留部25に酸素が充満し、水貯留部26に連通孔26aから酸素ガスの気泡が現れ排気管27から排気される。水貯留部26の容積は酸素ガス貯留部25の容積と同一乃至はやや大きめに形成されているので、酸素ガス貯留部25に酸素ガスが充満したときでも、水貯留部26内の水が第1気液貯留部24から溢れることはない。
酸素極室6,連通管23,酸素ガス貯留部25には酸素と水蒸気が混在して充満しており、酸素ガス貯留部25と連通した水貯留部26には水が貯留されているので、酸素極室6には水貯留部26から湿り蒸気が連続的に供給され、供給された湿り蒸気が電気分解されて酸素極室6には酸素が、水素極室4には水素が連続的に生成される。図示しない水素貯蔵装置は開閉弁10aを介して連結管9と連通しているので、開閉弁10aを開弁して図示しない圧送装置等を使って、連結管9内の水素を水素貯蔵装置に貯蔵させることができる。電気分解によって第1気液貯留室24内の水が減ってきた場合は、水供給管開閉弁30を開弁して水を補給する。
【0038】
燃料電池1aの発電運転を開始する場合は、電圧印加部34を負荷33に切換えた後、水素極室4側の方向変換弁10aを閉止し、方向切換弁8を水素極室供給口7及び図示しない水素貯蔵装置と連通するように切換え、水素極室排出口開閉弁20を開弁する。一方、酸素極室6側の方向切換弁22を酸素極室供給口21,連通管23及び図示しない酸素供給装置と連通するように切換え、酸素極室排出口開閉弁32を開弁し排気管開閉弁28を閉止する。次いで、図示しない水素貯蔵装置から方向切換弁8,水素極室供給口7を通って水素極室4内へ水素を、図示しない酸素供給装置から方向切換弁22,酸素極室供給口21を通って酸素極室6内へ酸素を供給する。なお、水素は図示しない加湿器で加湿した後、水素極室4内に供給される。これにより、水素極3ではH→2H+2e、酸素極5では1/2O+2H+2e→HOの反応が起こり、電力が発生する。未反応の水素は水素極室排出口19から水素極室4の外部へ排出され、生成した水及び未反応の酸素等は酸素極室排出口31から酸素極室6の外部へ排出される。
【0039】
以上のように、本発明の実施の形態3における燃料電池は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)酸素極室6側だけに水を供給する機構を設ければよいので、装置構成を単純にすることができ、部品点数を少なくし小型化することができる。
【0040】
(実施の形態4)
図10は実施の形態3における燃料電池を用いた実施の形態4における電気自動車の構成図である。なお、実施の形態2及び実施の形態3で説明したものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、40aは燃料電池1aを備えた電気自動車であり、52aは一端が水素極室排出口開閉弁20に他端が逆止弁50の下流側に接続されたバイパス管である。
【0041】
以上のように構成された実施の形態4における電気自動車について、以下その動作を説明する。
コントロールユニット41は、自動車の停止時には電圧印加部34を用いて水素極3及び酸素極5に電圧を印加し、燃料電池1内で水の電気分解を行い、燃料となる水素を製造する。このときの動作は実施の形態3で説明したものと重複するが、主な動作だけを説明する。
水は、水貯蔵槽46から水供給管29を通って第1気液貯留部24に供給され、酸素極室供給口21を通って酸素極室6に供給される。供給された水が酸素極室排出口31から溢れたら酸素極室排出口開閉弁32を閉止し、水供給管開閉弁30を閉止し水の供給を止める。酸素極室排出口31から溢れた水は酸素分離装置45を通って水貯蔵槽46に戻される。
水素極3及び酸素極5に電圧が印加されると水素極室4及び酸素極室6内に水素及び酸素が発生し、発生した酸素によって酸素極室6の外へ水が押し出される。水は第1気液貯留部24内に逆流し、酸素極室6,連通管23及び第1気液貯留部24の一部には酸素と蒸気が充満する。第1気液貯留部24から溢れた酸素は排気管27から大気中へ放出される。第1気液貯留部24内の水が湿り蒸気として酸素極室6内に供給されて連続的に蒸気状態の水が電気分解される。第1気液貯留部24内の水が不足してきたときは水貯蔵槽46から供給する。
水素極室4に発生した水素は、開閉弁10aから圧送装置51を通って水素貯蔵装置49に圧送され貯蔵される。なお、除湿機や水素分離装置等の水素精製装置を通過させて精製した水素を貯蔵するのが好ましい。
【0042】
自動車の走行時は、コントロールユニット41が電圧印加部34から負荷33に切換え後、酸素極室6内へ酸素供給装置43を用いて方向切換弁22を通して空気や酸素を供給し、水素貯蔵装置49から逆止弁50,方向切換弁8を通して水素極室4内へ水素を供給する。これにより、燃料電池1は電力を発生し、負荷33に電力を供給することができる。なお、発生した電力のうち余剰分は、2次電池からなる電圧印加部34に充電される。また、発電運転時に酸素極室6で発生した水(水蒸気)は、酸素分離装置45を通して水貯蔵槽46に戻される。また、発電運転時に水素極室4で反応に使われなかった過剰な水素は、水素極室排出口開閉弁20からバイパス管52aを通って方向切換弁8,水素極室供給口7を通り再び水素極室4に供給される。
【0043】
以上のように、本発明の実施の形態4における電気自動車は構成されているので、実施の形態2で説明したのと同様の作用が得られる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施の形態1で説明した構成を備えた燃料電池において、電解質膜としてデュポン社製のナフィオン115(膜厚130μm)、水素極及び酸素極としてクロール法で製造された高純度チタン(純度99.99〜99.999%、厚さ1mm、大きさ25mm)及び高純度チタン製メッシュを用い、水素極室及び酸素極室に純水を供給した。水素極室排出口開閉弁及び酸素極室排出口開閉弁を閉止した後、電流印加部から水素極と酸素極との間に直流電圧を印加し電気分解を行った。このときの電圧は約1.5〜4.5Vであり、電流は約0.5〜2Aであり、水素極室及び酸素極室から液体状態の水が押し出された後、水素極室及び酸素極室内の湿り蒸気が安定して電気分解された。電圧を印加してから1時間後、電圧印加部を直流モータからなる負荷に代え、水素極室及び酸素極室に水素ガス及び酸素ガスを供給し発電運転を開始した。発電運転中の起電力の測定は、負荷への接続配線の一部に0.1Ωの抵抗器を配設し、この抵抗器に印加される電圧を測定することによって行った。この結果、発電運転開始直後から0.98V(電流230〜300mA)の起電力が得られた。1時間の発電運転後、水素極室及び酸素極室への水素ガス及び酸素ガスの供給を停止した後、水素極室及び酸素極室内に純水を供給した。水素極室排出口開閉弁及び酸素極室排出口開閉弁を閉止した後、電流印加部から水素極と酸素極との間に直流電圧を印加し再び1時間の電気分解を行った。これにより、水素極室及び酸素極室から液体状態の水が押し出された後、水素極室及び酸素極室内の湿り蒸気が安定して電気分解された。
以上の電気分解運転と発電運転との切り替えを1サイクルとして10サイクル行ったが、いずれも発電運転開始直後から0.98Vの起電力が安定して得られた。
【0045】
(比較例1)
実施例1で説明した燃料電池を用いるが、水素極室排出口開閉弁、酸素極室排出口開閉弁は開弁した状態で、水素極室供給口及び酸素極室供給口から水素極室及び酸素極室に純水を供給し、電流印加部から水素極と酸素極との間に直流電圧を印加し電気分解を行った。このときの電圧は約1.5〜4.5Vであり、電流は約0.5〜2Aであった。電圧を印加してから1時間後、純水の供給を停止するとともに電圧印加部を直流モータからなる負荷に代え、水素極室及び酸素極室に水素ガス及び酸素ガスを供給し発電運転を開始した。この結果、発電運転開始直後は、水素極室及び酸素極室内に水が存在しているため、水が水素極室及び酸素極室から押し出されるまでは、実施例1と同様の0.98Vの起電力が得られなかった。1時間の発電運転後、水素極室及び酸素極室への水素ガス及び酸素ガスの供給を停止するとともに負荷から電圧印加部に接続を切り替え、水素極室及び酸素極室内に純水を供給し電流印加部から水素極と酸素極との間に直流電圧を印加し電気分解を1時間行った。
以上の電気分解運転と発電運転との切り替えを1サイクルとして10サイクル行ったが、サイクル数を増すごとに、発電運転時の起電力が0.98Vから次第に低下し、10サイクル目には0.78Vまで低下した。これは、水が水素極室及び酸素極室のガス流路に詰まりガスが流れ難くなる現象(フラッディング現象)が生じ、水素ガス及び酸素ガスの拡散阻害による電圧低下が生じたものであると推察される。
【0046】
以上のように本実施例によれば、水の電気分解運転から燃料電池の発電運転への切り替え時に、酸素極及び水素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難いため、酸素ガスや水素ガスの拡散阻害による電圧低下が起こり難く、動作の安定性に優れるとともに耐久性にも優れる高効率の燃料電池を提供できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、燃料電池及びそれを備えた電気自動車並びに燃料電池の運転方法に関し、水の電気分解から燃料電池の運転への切り替え時に、酸素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難いため、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く動作の安定性に優れ、また構造が簡単で軽量化できるとともに安価で量産でき、さらに電極の溶出がほとんどみられず耐久性にも優れる高効率の燃料電池を提供することができ、また1基の燃料電池で水素(燃料)及び酸素(空気)を用いた発電と水の電気分解による水素(燃料)の再生を行うことができ、燃料の補給頻度を少なくすることができ利便性を高めるとともにインフラ整備に要する負担を軽減でき、また水の電気分解から燃料電池の運転への切り替え時にフラッディング現象が生じ難いため、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く安定した出力が得られ耐久性にも優れた電気自動車を提供することができる。また、燃料電池の発電運転開始時に酸素極室に酸素や空気を流すと、酸素極の表面には蒸気が存在しているだけなのでフラッディング現象が生じ難く、酸素の拡散阻害による電圧低下が起こり難く高い起電力が安定して得られ、また電極の成分が水に溶出しないか溶出量を極めて少なくできるため、溶出成分が電解質膜に付着することが原因の燃料電池の起電力低下や電解効率低下が生じず耐久性に優れた燃料電池の運転方法を提供することができる。この燃料電池は、自動車用の移動電源としてだけでなく、家庭用等の定置型電源や宇宙船用,潜水艦用,船舶用等の移動電源等の用途に幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】実施の形態1における燃料電池の模式図
【図2】燃料電池を水の電解装置として用いて燃料の水素を製造する直前の状態を示す模式図
【図3】水の電気分解運転開始直後の状態を示す模式図
【図4】水の電気分解運転中の状態を示す模式図
【図5】実施の形態2における電気自動車の構成図
【図6】実施の形態3における燃料電池の模式図
【図7】燃料電池を水の電解装置として用いて燃料の水素を製造する直前の状態を示す模式図
【図8】水の電気分解運転開始直後の状態を示す模式図
【図9】水の電気分解運転中の状態を示す模式図燃料電池を水の電解装置として用いて燃料の水素を製造している状態を示す模式図
【図10】実施の形態4における電気自動車の構成図
【符号の説明】
【0049】
1,1a 燃料電池
2 電解質膜
3 水素極
4 水素極室
5 酸素極
6 酸素極室
7 水素極室供給口
8 方向切換弁
9 連結管
10 方向切換弁
10a 開閉弁
11 連通管
12 第2気液貯留部
13 水素ガス貯留部
14 水貯留部
14a 連通孔
14b 仕切板
15 排気管
16 排気管開閉弁
17 水供給管
18 水供給管開閉弁
19 水素極室排出口
20 水素極室排出口開閉弁
21 酸素極室供給口
22 方向切換弁
23 連通管
24 第1気液貯留部
25 酸素ガス貯留部
26 水貯留部
26a 連通孔
26b 仕切板
27 排気管
28 排気管開閉弁
29 水供給管
30 水供給管開閉弁
31 酸素極室排出口
32 酸素極室排出口開閉弁
33 負荷
34 電圧印加部
40,40a 電気自動車
41 コントロールユニット
42 太陽電池
43 酸素供給装置
44 方向切換弁
45 酸素分離装置
46 水貯蔵槽
47 水素精製装置
48 圧送装置
49 水素貯蔵装置
50 逆止弁
51 圧送装置
52,52a バイパス管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.電解質膜と、b.前記電解質膜の片面に配設された水素極を収容する水素極室と、c.前記電解質膜の他面に配設された酸素極を収容する酸素極室と、d.前記水素極室に形成された水素極室供給口及び水素極室排出口と、e.前記酸素極室に形成された酸素極室供給口及び酸素極室排出口と、f.前記水素極と前記酸素極との間に電圧を印加し水を電気分解させ水素を発生させる電圧印加部と、を備えた燃料電池であって、
前記酸素極室排出口を開閉する酸素極室排出口開閉弁を備え、前記電圧印加部が、水が供給され前記酸素極室排出口開閉弁が閉止された前記酸素極室の前記酸素極と前記水素極との間に電圧を印加することを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記水素極室排出口を開閉する水素極室排出口開閉弁を備え、前記電圧印加部が、水が供給され前記水素極室排出口開閉弁が閉止された前記水素極室の前記水素極と前記酸素極との間に電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記酸素極室供給口と連通し前記酸素極室内の水が電気分解されて発生した酸素と前記酸素極室から押し出された水を貯留する第1気液貯留部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記水素極室供給口と連通し前記水素極室内の水が電気分解されて発生した水素と前記水素極室から押し出された水を貯留する第2気液貯留部を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池。
【請求項5】
請求項1乃至4の内いずれか1に記載の燃料電池と、前記燃料電池に供給する水素を貯蔵する水素貯蔵装置と、前記燃料電池に供給する水を貯蔵する水貯蔵槽と、を備えていることを特徴とする電気自動車。
【請求項6】
a.電解質膜と、b.前記電解質膜の片面に配設された水素極を収容する水素極室と、c.前記電解質膜の他面に配設された酸素極を収容する酸素極室と、d.前記水素極室に形成された水素極室供給口及び水素極室排出口と、e.前記酸素極室に形成された酸素極室供給口及び酸素極室排出口と、f.前記水素極と前記酸素極との間に電圧を印加し水を電気分解させ水素を発生させる電圧印加部と、を備えた燃料電池の運転方法であって、
電気分解運転時に、前記酸素極室内の蒸気状態の水を電気分解することを特徴とする燃料電池の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−66812(P2007−66812A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254018(P2005−254018)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(595163098)
【出願人】(502009808)
【Fターム(参考)】