説明

燃料電池及び燃料電池の電圧制御方法、並びに携帯端末

【課題】無負荷から定格電流までの範囲内では電池電圧に関わらず一定電圧を出力し、また、電池電圧より高い電圧を出力できる燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料電池単体1は、降電圧型定電圧回路2を介して負荷3を接続している。降電圧型定電圧回路2は、スイッチング回路によって定電圧制御を行う。したがって、燃料電池単体1の出力電流−出力電圧が非直線な特性であっても、昇電圧型定電圧回路4のコンデンサ15から負荷3へは、燃料電池単体1の出力電圧より低い一定電圧が出力される。よって、無負荷時であっても燃料電池単体1の過電圧が負荷3へ印加されることはない。また、降電圧型定電圧回路2から出力する一定電圧のレベルは、制御回路16の電圧調整器17によって任意に可変できる。尚、降電圧型定電圧回路2を昇電圧型定電圧回路に置き換えれば、燃料電池単体1の電池電圧より高い電圧を出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池、及び燃料電池の出力電圧を平坦化するための燃料電池の電圧制御方法、並びにこの燃料電池を搭載した携帯端末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、水素と酸素の化学反応によって電気エネルギーを発生させるものであり、近年、電気自動車や携帯用の通信端末機器などに好んで使用され始めている。特に、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯用の通信端末機器(以下、携帯端末という)は高機能化や高性能化によって消費電力が増大する傾向にある。こうした状況に対応するために、リチウムイオン電池を代表とした二次電池の技術開発が急ピッチで進められているが、高機能化や高性能化に対応する電池容量を満足するものがなかなか得られない状況にある。そこで、最近、携帯端末の分野でも、高機能化や高性能化に対応できる燃料電池が注目され始めている。
【0003】
燃料電池に関する技術は、多くの文献で報告されており、例えば、下記の非特許文献1では次のように報告されている。燃料電池は、燃料極(負極)と空気極(正極)、及びその間に挟まれた固体高分子電解質膜によって構成されている。このような構成により、燃料極(負極)に水素を送り込み、空気極(正極)に酸素を含んだ空気を吹き込むと、燃料極(負極)側の電極表面の触媒によって水素が水素イオンと電子に分解される。さらに、空気極(正極)側の触媒によって酸素と化学反応し水(HO)を発生させると共に、両電極間に直流電流を発生させる。
【0004】
また、燃料電池は、使用される機器によって種々の出力電圧が要求されるので、負荷側の機器の種類によって出力電圧の値を変える必要がある。例えば、下記の特許文献1には、燃料電池の直流電圧を交流電圧に変換して所望の出力電圧を得る場合に、トランスタップを切り替えないで必要な電圧を出力する技術が開示されている。この技術は、例えば、100V用のコンセントユニットを使用して負荷側の機器を接続したときは、100V用のコンセントユニットの種類に応じた制御信号を昇圧回路に送って100Vを出力するように制御を行い、200V用のコンセントユニットを使用して負荷側の機器を接続したときは、200Vのコンセントユニットの種類に応じた制御信号を昇圧回路に送って200Vを出力するように制御するものである。これによって、トランスタップを設けないでも出力電圧が所望の値に切り替えられるので、燃料電池などの電源装置全体を小型化することができる。
【0005】
【非特許文献1】
DOSVマガジン2002−6.1、P150〜153「File No.15次世代標準特捜隊TECHRANGER、次世代の携帯機器を支える大容量電源燃料電池、伊勢雅英著」
【特許文献1】
特開2002−142460号公報(第5頁、第1図、第8図、第9図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料電池は、図5に示すように、定格出力電圧に比べて無負荷時の出力電圧はかなり高くなってしまう特性を有している。なお、図5は、横軸に出力電流、縦軸に出力電圧をとり、セル数の異なる燃料電池(a),(b),(c)の電流―電圧特性を示している。燃料電池がどのようなセル数であっても、出力電流がゼロに近いようなほぼ無負荷の状態では、出力電圧は定格出力電圧よりかなり高くなる。例えば、或るセル数の燃料電池(a)については、定格出力電圧Vに対して所定の許容電圧の範囲で使用する場合は、出力電流がIからIの範囲では使用できる。しかし、無負荷時(0A)における出力電圧はVになってしまい、負荷側の機器が過電圧破壊してしまうおそれがある。また、燃料電池(b),(c)についても、同様に、無負荷時には出力電圧が高くなって定格電圧で動作する機器を過電圧破壊させてしまうおそれがある。
【0007】
また、負荷側の機器の定格電圧が高い場合は、必然的に燃料電池の直列セル数を多くしなければならず、結果的に燃料電池が大型化してしまう。これによって、例えば、携帯端末などが大きくなったり重くなったりしてしまい、ハンディタイプな機器としての利点がなくなってしまい、結果的にはユーザにとって使い勝手の悪いものになってしまう。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、無負荷から定格電流までは所定の出力電圧を維持して過電圧が発生しないようにすると共に、セル数に依存されないで高い出力電圧を生成することのできる燃料電池、及び燃料電池の電圧制御方法、並びにこの燃料電池を搭載した携帯端末を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の燃料電池は、燃料電池単体と、燃料電池単体の電池電圧を入力して、電池電圧の定格値より低い電圧で定電圧制御を行う降電圧型定電圧回路とを備え、降電圧型定電圧回路が、燃料電池単体の出力電流−出力電圧の特性に依存される出力電流と無負荷電流との変化範囲内で一定電圧を出力するように構成されている。或いは、燃料電池単体と、燃料電池単体の電池電圧を入力して、電池電圧の定格電圧より高い電圧で定電圧制御を行う昇電圧型定電圧回路とを備え、昇電圧型定電圧回路が、燃料電池単体の出力電流−出力電圧の特性に依存される電力値に基づいて、燃料電池単体の出力電流より少ない電流と無負荷電流との変化範囲内で燃料電池単体の定格電圧より高い一定電圧を出力するように構成されている。
【0010】
このような燃料電池によれば、燃料電池の出力電流−出力電圧の非直線特性を改善して、無負荷から定格電流までの間では負荷に対して常に一定電圧を供給することができる。よって、燃料電池が無負荷時に発生する過電圧によって負荷側の機器や部品を破壊させるおそれはなくなる。また、燃料電池のセル数が少なくても定電圧制御された高電圧を生成して負荷へ供給することができるので、燃料電池が大型化することはない。よって、携帯端末などのハンディタイプの機器をさらに小型軽量化することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明における燃料電池の実施の形態の幾つかを詳細に説明する。尚、以下に述べる各実施の形態に用いる図面において、同一の部品または同一の構成要素は同一の符合を付し、且つ重複する説明は省略する。
本発明では、燃料電池単体に定電圧回路を設けることにより、大幅な非直線の電流−電圧特性を改善して定電圧出力特性を得ている。したがって、本明細書では、燃料電池単体に定電圧回路を付加したインテリジェント機能付き燃料電池を“燃料電池”ということにして、“燃料電池単体”と区別して表現することにする。
【0012】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態の燃料電池について説明する。第1の実施の形態では、燃料電池単体に降電圧型定電圧回路を付加することにより、出力電流がゼロに近いときの過電圧発生を防止して、常に安定化した一定電圧を出力することができる燃料電池について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態における降電圧型定電圧回路を付加した燃料電池の回路図である。また、図2は、図1に示す燃料電池の出力電流−出力電圧の特性図である。尚、図2に示す燃料電池の特性図は、横軸に出力電流、縦軸に出力電圧を示している。
【0013】
図1に示すインテリジェント機能付きの燃料電池は、燃料電池単体1の出力端子に降電圧型定電圧回路2が接続された構成となっており、降電圧型定電圧回路2の出力端子には携帯電話、ノートパソコン等の外部の負荷3が接続されている。
燃料電池単体1は、本発明において種類は限定されなく、単に水素ガスを燃料極に供給する一般的な燃料電池のほか、メタノールを改質して水素を供給するメタノール改質型、水素吸蔵合金に水素を吸蔵する水素吸蔵合金型等の燃料電池にも適用することができる。また、燃料電池単体1を構成するセルの数は、単数、複数のどちらでも良く、複数のセルから構成される場合は、直列接続、並列接続のどちらでも良い。
降電圧型定電圧回路2は、通常のスイッチング回路によって構成されたDC−DCコンバータである。つまり、降電圧型定電圧回路2は、IGBTやMOSFETなどのスイッチング素子11と、スイッチング素子11のOFF時の電流エネルギーを電源に戻すダイオード12と、スイッチング素子11のスイッチングによって生成された交流電圧を所望の電圧値に変換するトランス13と、トランス13の出力の交流電圧を直流電圧に変換する整流器14と、直流電圧を平滑するコンデンサ15とによって構成されている。
【0014】
また、制御回路16が、スイッチング素子11のスイッチングのON/OFFの割合(デューティ比)を制御して、降電圧型定電圧回路2の出力電圧を所望の電圧値に定電圧制御している。このとき、制御回路16の電圧調整器17の設定を可変することによって、降電圧型定電圧回路2の出力電圧値を任意のレベルに設定することができる。尚、図1の降電圧型定電圧回路2は、トランスの1次巻線と2次巻線の極性の向きが同極になっているので、スイッチング素子11がONしたときにトランスの1次巻線から2次巻線へ電圧が供給される、いわゆるON−ON型のスイッチング回路であるが、トランスの1次巻線と2次巻線の極性の向きを変えて、スイッチング素子11がONしたときにトランスの1次巻線にエネルギーを貯えておき、スイッチング素子11がOFFのときに2次巻線へ電圧を供給する、いわゆるリンギングチョーク型(またはフライバック型)のスイッチング回路にしてもよい。
【0015】
次に、図1と図2を用いて、燃料電池の出力電圧を所定の定電圧に制御する動作について説明する。燃料電池単体1は、nセル直列の合成電圧Vを降電圧型定電圧回路2へ供給する。このとき、燃料電池単体1の合成電圧Vは、図2に示すように、出力電流がゼロ付近で高い電圧を発生させる非直線性の電流−電圧特性を示している。しかし、降電圧型定電圧回路2において、スイッチング素子11が、制御回路16の制御信号によってデューティ比を制御して所定の定電圧の交流電圧を生成し、トランス13を介して整流器14へ供給している。整流器14は定電圧化された交流電圧を直流電圧に変換し、さらに、コンデンサ15によって定電圧化された直流電圧を平滑化して負荷3へ供給している。
【0016】
つまり、図2に示すように、降電圧型定電圧回路2においては、出力電流ゼロ(無負荷電流)から定格出力電流I(定格電圧を維持する最大の出力電流)以下の電流変化範囲に対しては定格出力電圧Vが得られるように、制御回路16がスイッチング素子11のデューティ比を制御している。したがって、出力電流がゼロ(無負荷電流)付近において、燃料電池単体1の合成電圧VがVのような高い電圧であっても、降電圧型定電圧回路2の出力電圧は定格出力電圧Vに維持されている。このとき、制御回路16の電圧調整器17の設定を変えれば、定格出力電圧Vのレベルを任意に変えることができるが、定格出力電流は、燃料電池単体1の合成電圧Vの特性に依存された値となる。例えば、電圧調整器17によって定格出力電圧Vに設定したときは、定格出力電流はIとなる。また、特に図2では図示しないが、定格出力電流の値を小さくすれば(つまり、出力電流の可変範囲を狭くすれば)、電圧調整器17によって定格出力電圧の設定値を高くすることができる。
【0017】
つまり、第1の実施の形態の燃料電池によれば、燃料電池単体1に降電圧型定電圧回路2を付加することによって、無負荷時を含めて出力電流の広い変化範囲で定電圧特性を得ることができる。また、無負荷時を含めた出力電流の狭い変化範囲では、高い電圧の定電圧特性を得ることができる。さらに、出力電圧の定電圧値を任意のレベルに可変することもできる。したがって、第1の実施の形態の燃料電池によれば、無負荷時においても出力電圧が過電圧になることがないので、負荷側の機器が過電圧破壊するおそれはなくなる。また、定格電流の範囲では、電池電圧特性に依存されることなく一定の定電圧を負荷側の機器に供給することができるので、例えば、本発明の燃料電池を携帯端末などに用いた場合は、携帯端末の通信品質を高めることができる。
【0018】
尚、第1の実施の形態では、降電圧型定電圧回路として、図1に示すようなスイッチング回路によって構成されたDC−DCコンバータを用いたが、これに限ることはなく、入力された直流電圧より低い電圧で定電圧制御できるようなDC−DCコンバータ型の定電圧回路であれば、どのような回路を用いても構わない。
【0019】
[第2の実施の形態]
次に、本発明における第2の実施の形態の燃料電池について説明する。第2の実施の形態では、燃料電池単体に昇電圧型定電圧回路を付加することによって、出力電流の狭い変化範囲では、セル数に依存されないで高い出力電圧を発生させることのできる燃料電池について説明する。図3は、本発明の第2の実施の形態における、昇電圧型定電圧回路を付加した燃料電池の回路図である。また、図4は、図3に示す燃料電池の出力電流−出力電圧の特性図である。尚、図4の特性図は、横軸に出力電流、縦軸に出力電圧を示している。
【0020】
図3に示すインテリジェント機能付きの燃料電池は、燃料電池単体1の出力端子に昇電圧型定電圧回路4が接続された構成となっており、昇電圧型定電圧回路4の出力端子には負荷3が接続されている。図3の昇電圧型定電圧回路4は、通常の昇圧チョッパ回路によって構成されたDC−DCコンバータであるが、これに限らず、倍電圧整流回路や直並列チョッパ回路などを用いてもよい。つまり、図3に示す昇電圧型定電圧回路4は、燃料電池単体1の出力電圧を昇圧させるためにスイッチング素子11のON時にエネルギーを貯えるインダクタ19と、IGBTやMOSFETなどのスイッチング素子11と、スイッチング素子11のOFF時の電流エネルギーを電源側へ戻すダイオード12と、逆流防止用のダイオード18と、インダクタ19によって昇圧された直流電圧を平滑するコンデンサ15とによって構成されている。
【0021】
また、制御回路16が、スイッチング素子11のスイッチングのON/OFFの割合(デューティ比)を制御して、昇電圧型定電圧回路4の出力電圧を所望の電圧値に昇圧して定電圧制御を行っている。このとき、制御回路16の電圧調整器17の設定を可変することによって、昇電圧型定電圧回路4の出力電圧値を任意のレベルに設定することができる。
【0022】
このような構成の昇電圧型定電圧回路4によれば、スイッチング素子11をONしたときに、インダクタ19に流れる電流によってインダクタ19の両端に電圧Vが誘起される。そして、スイッチング素子11がOFFになったときに燃料電池単体1の電圧Vがインダクタ19に印加される。このようにしてスイッチング素子11がON/OFFすることによって、燃料電池単体1の端子電圧Vとインダクタ19の両端の誘起電圧Vとが加算されてダイオード18を介してコンデンサ15に充電される。よって、入力電圧(つまり、燃料電池単体1の端子電圧V)より高い出力電圧Vが昇電圧型定電圧回路4より出力されて負荷3へ供給される。もちろん、このとき、制御回路16によってスイッチング素子11のデューティ比が制御されるので、燃料電池単体1の端子電圧Vの変化に依存されることなく、一定電圧の出力電圧Vが昇電圧型定電圧回路4より出力されることになる。
【0023】
図4を用いて、入力電圧(つまり、燃料電池単体1の電池電圧)Vより高い出力電圧Vを得る動作について詳細に説明する。燃料電池単体1の電圧特性は、図4に示す破線のように非直線形のVであり、出力電流Iが流れたときの燃料電池単体1から出力させる出力電圧はVである。したがって、燃料電池単体1から昇電圧型定電圧回路4側へ供給される電力はV×Iである。ここで、制御回路16の電圧調整器17によってスイッチング素子11のデューティ比を制御して、昇電圧型定電圧回路4の出力電圧をVに昇圧したとすると、昇電圧型定電圧回路4の出力電流はIとなり、昇電圧定電圧回路4から負荷3へ供給される電力はV×Iとなる。
【0024】
ここで、昇電圧型定電圧回路4の昇圧変換効率を100%とした場合は、燃料電池単体1から出力される電力と昇電圧定電圧回路4が出力する電力とは等しいので、次の式(1)が成り立つ。
×I=V×I…(1)
したがって、昇電圧型定電圧回路4から出力される昇圧後の出力電圧Vは、次の式(2)にようになる。
=V×(I/I)…(2)
尚、通常のDC−DCコンバータの変換効率ηは80〜90%程度であるので、実際の出力電圧V2は次の式(3)で表わされる。
=V×(I/I)×η…(3)
【0025】
つまり、式(2)または式(3)から分かるように、負荷3へ供給する電流Iを小さくすれば、高い出力電圧Vを負荷3に供給することができる。したがって、殆ど電流を流さないで高電圧を印加するような電圧駆動型の負荷の場合でも、セルを少数積層して直列接続した小型の燃料電池を使用することができる。例えば、携帯端末のディスプレイなどのように微少電流で高電圧を供給する負荷であっても、セル数の少ない小型の燃料電池を使用することができるので、結果的に、携帯端末を小型軽量化することができる。
【0026】
つまり、第2の実施の形態の燃料電池によれば、燃料電池単体1に昇電圧型定電圧回路4を付加することによって、少数のセルを直列積層した低い電圧の燃料電池でも所望の高電圧の定電圧出力を得ることができる。さらに、定電圧の出力電圧値を任意の値に可変することもできる。但し、可変した出力電圧値に応じて出力電流の変化範囲も変わる。つまり、出力電圧値を高くするほど出力電流の変化範囲は小さくなる。
【0027】
尚、第2の実施の形態では、昇電圧型定電圧回路として、図3に示すような昇圧チョッパ回路によって構成されたDC−DCコンバータを用いたが、これに限ることはなく、入力された直流電圧より高い電圧で定電圧制御できるようなDC−DCコンバータ型の定電圧回路であれば、どのような回路を用いても構わない。
【0028】
以上述べた実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲で種々の変形が可能である。上記の実施の形態では燃料電池の負荷として携帯端末を用いる場合について説明したが、携帯端末などに限定されるものではなく、どのような機器であっても本発明の燃料電池を使用した場合には、上記の実施の形態と同様の効果が得られることは云うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃料電池によれば、無負荷時でも過電圧が発生することがないので負荷側の機器を過電圧で破壊させるおそれがなくなる。また、燃料電池のセル数に依存されることなく高い出力電圧を得ることができる。さらに、従来のリチウムイオン電池に比べて大幅に小型軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における、降電圧型定電圧回路を付加した燃料電池の回路図である。
【図2】図1に示す燃料電池の出力電流−出力電圧の特性図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における、昇電圧型定電圧回路を付加した燃料電池の回路図である。
【図4】図3に示す燃料電池の出力電流−出力電圧の特性図である。
【図5】一般的な燃料電池の電流―電圧特性である。
【符号の説明】
1 燃料電池単体
2 降電圧型定電圧回路
3 負荷
4 昇電圧型定電圧回路
11 スイッチング素子
12、18 ダイオード
13 トランス
14 整流器
15 コンデンサ
16 制御回路
17 電圧調整器
19 インダクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池単体と、
前記燃料電池単体の電池電圧を入力して、該電池電圧の定格値より低い電圧で定電圧制御を行う降電圧型定電圧回路とを備え、
前記降電圧型定電圧回路が、前記燃料電池単体の出力電流−出力電圧の特性に依存される出力電流と無負荷電流との変化範囲内で一定電圧を出力することを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記降電圧型定電圧回路が、前記燃料電池単体の定格電圧を維持する最大の出力電流と無負荷電流との変化範囲内で一定電圧を出力することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記降電圧型定電圧回路が、前記燃料電池単体の定格電圧を維持する最大の出力電流より少ない出力電流と無負荷電流との変化範囲内で一定電圧を出力することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記降電圧型定電圧回路は、前記燃料電池単体の出力電流−出力電圧の特性に依存される出力電流と無負荷電流との変化範囲内で、出力する一定電圧のレベルを任意に可変できることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
燃料電池単体と、
前記燃料電池単体の電池電圧を入力して、該電池電圧の定格電圧より高い電圧で定電圧制御を行う昇電圧型定電圧回路とを備え、
前記昇電圧型定電圧回路が、前記燃料電池単体の出力電流−出力電圧の特性に依存される電力値に基づいて、前記燃料電池単体の出力電流より少ない電流と無負荷電流との変化範囲内で、該燃料電池単体の定格電圧より高い一定電圧を出力することを特徴とする燃料電池。
【請求項6】
前記燃料電池単体の出力電流Iのときの出力電圧をVとし、且つ、前記昇電圧型定電圧回路の出力電流I(但し、I<I)と無負荷電流との範囲内の一定電圧をVとして、前記昇電圧型定電圧回路の電力変換効率をηとしたとき、
該昇電圧型定電圧回路が出力する一定電圧Vは、
=V×(I/I)×η
で表わされることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池。
【請求項7】
前記昇電圧型定電圧回路は、出力する一定電圧のレベルを任意に可変できることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の燃料電池。
【請求項8】
燃料電池単体が、自己の出力電流−出力電圧の特性に依存された電池電圧を出力するステップと、
降電圧型定電圧回路が、前記燃料電池単体が出力した電池電圧より低い電圧で定電圧制御を行い、該燃料電池単体の出力電流−出力電圧の特性に依存される出力電流と無負荷電流との変化範囲内で一定電圧を負荷へ出力するステップと、
を含むことを特徴とする燃料電池の電圧制御方法。
【請求項9】
燃料電池単体が、自己の出力電流−出力電圧の特性に依存された電池電圧を出力するステップと、
昇電圧型定電圧回路が、前記燃料電池単体の出力電流−出力電圧の特性に依存される電力値に基づいて、前記燃料電池単体の出力電流より少ない電流と無負荷電流との変化範囲内で、該燃料電池単体の定格電圧より高い一定電圧を出力するステップと、
を含むことを特徴とする燃料電池の電圧制御方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の燃料電池を搭載したことを特徴とする携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2004−164973(P2004−164973A)
【公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−328636(P2002−328636)
【出願日】平成14年11月12日(2002.11.12)
【出願人】(000233284)株式会社日立モバイル (8)
【Fターム(参考)】