説明

燃料電池発電システムとそのメンテナンス発電制御方法

【課題】システム停止状態が長期に亘っても起動特性が良好で、発電電力量を維持することができる燃料電池発電システムを提供する。
【解決手段】PEFC7の電解質の水分量の減少度合いに応じて、第1,第2のメンテナンス(湿潤)発電開始指令を発生し、第1のメンテナンス発電開始指令が発せられたとき、太陽光発電部5の発電電力の範囲内で水素製造部4で製造される水素ガスの量に見合ってメンテナンス発電を実行させるとともに、第2のメンテナンス発電開始指令が発せられたとき、太陽光発電部5の発電電力量を超える電力を系統電力1から水素製造部4で受電させ、水素ボンベ8の燃料は消費しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池で発電した電力を利用する燃料電池発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は電気化学反応により燃料のエネルギーを直接電気エネルギーへ変換する電気化学デバイスである。燃料電池は用いる電荷担体等により、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、固体高分子形燃料電池(以下PEFCと略する)、アルカリ形燃料電池に大別される。
【0003】
これらの各種燃料電池の中でもPEFCは、高電流密度発電や比較的低温度での運転が可能であるため、移動体電源をはじめ定置型電源やバックアップ電源など広範囲な応用が期待されている。
【0004】
PEFCの電解質には、膜厚数十から百数十μmのイオン交換膜を用いる。イオン交換膜は、主鎖を構成するフルオロカーボンに、スルホン酸基を有する側鎖が結合した構造が一般的である。イオン交換膜はプロトン伝導性を有するが、そのためには膜材料に水分を含有しなければならない。これは、スルホン酸基が材料内でクラスター構造をとり、クラスター同士がチャネルによって連結しチャネル内をプロトン(H)が伝導することにより本材料はプロトン伝導性を呈するが、このメカニズムに従うためには水の存在が必須だからである。
【0005】
PEFCを動作させる際には電解質の乾燥を防止するため、加湿器を用いて供給するガスに水分を添加するのが一般的である。PEFC発電時は、その化学反応により水を生成する。このため、PEFCの排出ガスに含まれる水分を回収し、新たに供給されるガスに水を添加する様式の自己加湿型加湿器を用いれば、外部から加湿のための水を補給することなく、継続的な稼動が可能となる。
【0006】
しかし、システムが停止している場合は反応生成水が生じないため、燃料電池の電解質を湿潤させることができない。停止期間が長期に亘れば、燃料電池の電解質から水分が蒸発し周辺の大気中へ拡散するため、乾燥が徐々に進行する。乾燥した電解質ではプロトン伝導性が低下するため、電池の内部抵抗が増加する。このため、長期停止したシステムを起動させた場合、所定の出力が得られるまで通常以上の時間を必要としたり、電池の特性が低下する場合があった。
【0007】
これに対して、特許文献1には、次回の起動に備え、凍結しないような微量な生成水により燃料電池スタックのMEAの乾燥を防止するため、過剰な水分をパージしながら小さな出力電流を取り出し停止させることが開示されている。
【0008】
また、特許文献2には、次回起動時の電解質膜の加湿状態を確保するために、休止時間間隔を制限あるいは、停止時間を引き延ばすことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−111196号公報
【特許文献2】特開2005−26054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の方法では、燃料電池を稼動するときシステムが貯蔵している燃料ガスを使用する。このため、タンクやボンベを有するシステム、例えば移動体用電源やバックアップ用電源では、燃料電池での発電可能な時間や電力量を犠牲にしていた。
【0011】
また、燃料電池を起動させるには、燃料電池用補機を外部からの電力によって稼動させる必要がある。ここで消費される電力は、たとえばバックアップ電源では、最終的には系統電力から給電する必要があるため、エネルギーの損失が生じていた。
【0012】
さらに、生成水で電解質を湿潤させるための燃料電池発電により燃料を消費するが、停止期間が数年以上の長期にわたる可能性のあるバックアップ電源用途では、停止期間中に、この湿潤のための発電運転を繰り返し実施することが想定される。
【0013】
そこで、本発明の目的は、長期間停止状態を経ても、発電システムの起動性が良好であり、設定された連続発電特性を減少させることがなく、停止期間中に必要とする外部からのエネルギーが少ない燃料電池発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
燃料電池の停止中に、上記した湿潤のために燃料電池を起動し、発電させることになるが、以下、これをメンテナンス発電と呼ぶことにする。
【0015】
本発明はその一面において、系統からの交流電力を直流に変換するAC−DC変換器と、この変換器の出力側の直流路に接続された負荷と、出力側を前記直流路に接続された燃料電池と、この燃料電池の燃料ガス貯蔵部と、前記直流路から給電され前記燃料電池へ供給する水素を製造する水素製造部と、前記直流路に給電可能な二次電池あるいはキャパシタと、前記直流路に接続可能な太陽光発電部と、これらの構成部の動作を制御する制御部とを備えた燃料電池発電システムにおいて、前記燃料ガス貯蔵部の燃料ガスを用いることなく、前記直流路からの給電を受けて前記水素製造部が出力する水素ガスを用いて、前記燃料電池の水分量を補う間欠的なメンテナンス発電を実行させるメンテナンス発電制御手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の望ましい実施態様においては、第1,第2のメンテナンス発電開始指令を発生し、第1のメンテナンス発電開始指令が発せられたとき、太陽光発電部の発電電力によって水素製造部で製造される水素ガスの量に見合ってメンテナンス発電を実行させるとともに、第2のメンテナンス発電開始指令が発せられたとき、太陽光発電部の発電電力量を超える電力を直流路から水素製造部で受電することを許可する。
【0017】
本発明の具体的な第一の実施形態においては、系統からの交流電力を直流に変換する変換器と燃料電池とその燃料ガス貯蔵部と燃料電池および系統に給電可能な二次電池あるいはキャパシタと系統に接続可能な太陽光発電部と、系統に電気的に接続した水素供給源とその原料供給部と各構成部の動作を制御する制御部とを備え、少なくとも直近に実施した発電時の電流値とその時間と燃料電池に供給された空気量とその時間と排出空気温度から求めた燃料電池添加水分量W1と、発電前における燃料電池水分量Wp−1から発電停止時点での燃料電池水分量Wpを
Wp=Wp−1+W1
として求め、Wpと少なくとも該燃料電池発電が停止した時点からの時間と燃料電池温度と周囲雰囲気の湿度から非発電時に自然拡散により減少する水分量として求めた燃料電池減少水分量W2から、将来における燃料電池水分量Wp+1を
Wp+1=Wp−W2
として求め、燃料電池構成材料の水分量として、湿潤処理が推奨される閾値となる水分量D1および湿潤処理が必須となる閾値となる水分量D2から、
Wp+1=D1
が成立する時刻T1および
Wp+1=D2
が成立する時刻T2を設定し、時刻T1に到達後に、太陽光発電部が発生する電力が十分に有るか否かに応じ、水素供給源および燃料電池を起動するか否かを判断し、太陽光発電部の発生電力が十分な場合にのみ水素供給源および燃料電池を起動する。太陽光発電部の発生電力が不十分な場合には、水素供給源および燃料電池を起動せず、その後、時刻T2に到達後には、系統からの電力を使用して水素供給源および燃料電池を稼動させる。
【0018】
本発明の具体的な第二の実施形態においては、水素供給源で電気エネルギーを用いて生成した水素の量、圧力、消費した電気エネルギーのうち少なくとも一つの情報を使用して燃料電池発電量を制御する。
【0019】
本発明の具体的な第三の実施態様は、開始時刻Ts、終了時刻Tfで規定される時間帯に系統からの電力を使用することで、例えば深夜時間帯での電気料金割引など、他の時間帯に対して相対的な利点が生じるとき、制御部があらかじめ入力された設置地理、時期、日の出および日没時刻の各データに基づいて設定されたT2を参照し、その時刻がTfから日の出時刻の間に設定されていたとき、T2を直近のTsからTfで規定される時間帯に前倒しし、T2が日没時刻からTsの間に設定されていたときには、本発電により新たに設定するT2が直近のTsを越えて設定され得る必要最小限の燃料電池による発電を実施させた後に停止させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の望ましい実施態様によれば、システム待機状態が長期に亘っても、燃料電池の起動特性が良好であり、かつ燃料電池の発電特性を良好な状態に維持することができる。
【0021】
さらに、待機の間システム内に貯蔵する燃料ガスを消費することがないので、バックアップ時等の燃料電池の発電電力量を所定値に維持することが可能となる。
【0022】
本発明のその他の目的と特徴は、以下に述べる実施形態の中で明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1による燃料電池発電システムの全体概略構成図である。
【図2】本発明の実施例1による燃料電池発電システムにおけるメンテナンス発電時の制御処理フロー図である。
【図3】本発明の実施例1によるメンテナンス発電時の燃料電池の電解質膜の水分量の時間遷移例を示す。
【図4】本発明の実施例3による燃料電池発電システムにおけるメンテナンス発電時の制御処理フロー図である。
【図5】本発明の実施例3によるメンテナンス発電時の燃料電池の電解質膜の水分量の時間遷移例を示す。
【図6】本発明の実施例4による燃料電池発電システムの全体構成図である。
【図7】比較例による燃料電池発電システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を下記実施例に従って説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は、本発明の実施例1による燃料電池発電システムの全体概略構成図である。
【0026】
系統電力1の交流について変換器2を用いて直流とし、負荷3に電力を供給する。この直流路である電力ラインに対して、水素製造部4を構成する水電解装置41およびその原料供給部42と、太陽光発電部5と、二次電池6、並びに燃料電池7が接続されている。燃料電池7には燃料ガスボンベ8が用意されている。また、負荷3の消費電力を測定するために、電流検出器9が設けられている。
【0027】
この実施例1において、太陽光発電部5は、系統電力ラインに整流器10を介して得られた直流路に接続されており、ここで生じた電力を負荷3や水素製造部4や二次電池6に供給することができる。
【0028】
二次電池6は、系統電力ラインから電力を充電し、必要に応じて燃料電池7の補機および負荷3に電力を供給する。水素製造部4の水電解装置41は、原料供給部42から水の供給を受けて水素を製造し、製造した水素を水素ライン12により燃料電池7へ供給する。燃料電池7で発電した電力は、系統電力ラインに接続され、負荷3に供給される。
【0029】
制御部11は、変換器2や太陽光発電部5、二次電池6、電流検出器9などの動作やその状態、各種情報などを司る。同時に、系統電力が非定常の状態、たとえば停電時などには、負荷稼動に必要な電力を供給するため、本システム構成各部の制御を行う。さらに、燃料電池7で消費される水素の供給元について、燃料ガスボンベ8と水電解装置41を切替える制御を実施する。
【0030】
燃料電池7が発電しない状態、つまり停止期間が長期化した場合に、燃料電池の構成材料である電解質を湿潤させる必要がある。このため、水電解装置41および燃料電池7を自動的に起動させ、メンテナンス発電を所定の条件ごとに実施するようなプログラムが制御部11に組込まれている。このメンテナンス発電での水電解装置41の稼動時には、本装置で消費される電力量は太陽光発電電力量に相当するように制御され、系統1からの電力は使用しない。このとき、水電解装置41で得られた水素は燃料電池7の燃料となるが、燃料電池7では生成した水素のみを燃料として発電する。すなわち、燃料ガスボンベ8からの水素が、燃料電池7に供給されることはない。
【0031】
水電解装置41は、必要により製造した水素を昇圧させる昇圧器を組み合わせて用いることができる。
【0032】
さらに、二次電池6は、電力を貯蔵、供給するデバイスであれば、二次電池に制限されることなく、例えばキャパシタなどの適用も可能である。
【0033】
次に、実施例1のメンテナンス発電に関わる制御について説明する。
【0034】
図2は、本発明の実施例1による燃料電池発電システムにおけるメンテナンス発電時の制御処理フロー図である。
【0035】
図3は、本発明の実施例1によるメンテナンス発電時の燃料電池の電解質膜の水分量の時間遷移例を示す。
【0036】
燃料電池の起動特性は、燃料電池構成部、特に電解質膜や電極などの水分含有量に大きく依存する。すなわち燃料電池内の水分量つまり湿潤度を管理することは非定常な起動が必要とされるバックアップ電源用途では重要な条件となる。
【0037】
湿潤度に影響する主たる因子は、燃料電池発電時と非発電時の状態変化である。燃料電池を発電させると、水素と酸素の電気化学反応により水を生成する。一部の水は空気とともに電池外へ排出されるが、他の一部が電極や電解質膜、その他電池部材の湿潤に使用される。また、排出された水は、加湿器と称する部分にて回収・空気に添加され、再び電池へと供給される。
【0038】
一方、燃料電池の非発電状態においては、燃料電池内部の水分がガス供給、排出経路からの拡散およびスタック側面に露出した電解質膜の側面端部からの拡散により減少する。
【0039】
そこでまず、制御部11は、図2のステップ201において、メンテナンス発電を起動することが望ましい水分量基準値D1と、メンテナンス発電の起動が必須の状態を表す水分量基準値D2とを読み込む。
【0040】
ここで、燃料電池発電時の電流値およびその時間から、生成する水分量を計算により求めることができる。さらに、供給された空気量と供給時間および排出空気温度から、電池外へ持ち出された水分量も求められる。これらの差を燃料電池添加水分量W1とすることができる。
【0041】
一方、非発電時における水分減少量W2は、燃料電池の非発電継続時間と燃料電池内部温度、周囲の湿度から、あらかじめ用いる燃料電池に特有な値として求めることができる。
【0042】
図3に示すように、ある時点のある期間t1〜t2において、ある条件下で発電(直近発電)した燃料電池7に存在する水分量をWpとすると、Wpは、
Wp=W(p−1)+W1……………………………………………(1)
として求めることができる。ここでW(p−1)は、上記直近発電の前t1での燃料電池水分量である。
【0043】
さらに、非発電状態を継続した将来における燃料電池水分量W(p+1)は、水分減少量W2を用いて、
W(p+1)=Wp−W2……………………………………………(2)
として求めることができる。
【0044】
なお、燃料電池製造時に用いた部材に含まれる水分量を計測し、初期燃料電池水分量W0を用いることにより、燃料電池の発電および非発電状態の把握から燃料電池内の水分量を正確に予測し、部材の湿潤状態を知ることができる。
【0045】
以上の計算を行うのが図2のステップ202である。
【0046】
(1),(2)式より、燃料電池の発電量が大きく、その時間が長ければ水分量Wpが増大するため、電解質が十分湿潤している状態となり、その後の停止可能期間は長くなる。一方、その逆であれば燃料電池の電解質の水分量は相対的に少ないため、ごく近い将来に乾燥状態になると予測される。
【0047】
制御部11は、ステップ203において、これらの情報から、あらかじめ記憶された燃料電池の運用に必要な最低水分量を考慮して、メンテナンス発電推奨時刻情報T1およびメンテナンス発電を必要とする時刻情報T2を設定する。メンテナンス発電を開始することが望ましい時点がT1であり、強制的にでもメンテナンス発電に移行させるべき時点がT2である。
【0048】
ステップ204の判定結果、時刻T1に到達するまでは、ステップ205にて設定時間づつ待機する。時刻T1に到達すると、制御部11は以下に示す条件に一致した場合にメンテナンス発電を実施する。制御部11は、ステップ206において、太陽光発電部5の発電電力量PW1を確認し、水電解装置41の継続稼動に必要な設定電力値PW2に対して、PW1≧PW2の条件が成立するか否かを判定する。PW1≧PW2の条件が成立する場合のみ、ステップ207〜209に移行し、図3に実線矢印で示すように、太陽光発電利用のメンテナンス発電を起動する。このメンテナンス発電は、燃料電池7が所定水分量に達するまで継続する。
【0049】
太陽光による発電が十分ではなく、ステップ206の判定が、PW1<PW2の場合には、図3に破線矢印で示すように、メンテナンス発電は実施しない。そして、ステップ210の判定結果が、時刻T2に達するまでは、ステップ211にて設定時間づつ待機することとなる。
【0050】
さて、水分量が限界まで減少する時刻T2に到達すると、ステップ212により、制御部11は、メンテナンス発電を強制的に実施する。太陽光発電で不足する電力は系統1から供給して水電解装置41を起動し、水電解装置41で生成した水素を燃料電池7へ供給する。一方、二次電池6から燃料電池7の補機類に電力が供給され、それらが稼動することで燃料電池7の起動が完了する。
【0051】
燃料電池7は、所定の一定負荷で発電し、ステップ213の判定が、所定水分量に達するまで発電を継続する。発電した電力は負荷3へ給電される。その後、燃料電池7が所定水分量に達すると、ステップ213の判定により、ステップ214にてメンテナンス発電終了の信号が送信され、水電解装置41および燃料電池7が停止される。
【0052】
制御部11は、発電停止情報を基に、再び時刻T1およびT2を計算・設定し、メンテナンス発電の次回実施について準備を行う。
[比較例]
図7は、比較例による燃料電池発電システムの全体概略構成図である。系統1の交流電力について変換器2を用いて直流とし、負荷3に電力を供給する電力ラインにおいて、二次電池6と燃料電池7およびその燃料ガスボンベ8と電流検出器9を用いて構成したシステムを比較例とした。
【0053】
二次電池6は、系統電力ラインから電力を蓄電し、必要に応じて燃料電池7補機および系統電力ラインに蓄電した電力を供給する。燃料ガスボンベ8は、制御部11の指令により、燃料電池7の発電に必要な水素を供給する。系統1の電力が停電などで遮断された場合、電流検出器9からの情報により制御部11は燃料電池7を起動する。燃料電池7で発電した電力は系統電力ラインを通して、負荷3に供給されるため、停電時でも負荷3への電力供給は停止することなく稼動することが出来る。
【0054】
実施例1について、長期間燃料電池による発電が停止したときの状態について比較例と対比しながら説明する。
【0055】
系統1の電力が異常なく供給されている場合、変換器2により交流を直流に変換し負荷3に供給している。ここで、系統1の電力が停電などで遮断された場合、電流検出器9の情報により制御部11は燃料電池7を起動する。燃料電池7で発電した電力は系統電力ラインを通して、負荷3に供給される。そのため、停電時でも電力は停止することなく負荷3へ供給することが出来る。
【0056】
停電が復旧し、系統電力が正常に供給されると、燃料電池発電システムは発電を停止し、次の起動まで一部機能を除き停止状態を続けることになる。
【0057】
燃料電池7の停止状態が継続された場合、PEFCは構成材料の電解質に含有される水分が大気中に拡散するなどして徐々に減少する。その結果、電池の内部抵抗が上昇し、起動性悪化や性能低下を引き起こす。このような状態になることを事前に防止するため、制御部11は所定条件の下で水素製造部4を起動して水素を生成し、燃料電池7に供給してメンテナンス発電を実施する。この際、本実施例において、燃料電池7の発電に消費される水素は、前述したように、水電解装置41で生成した水素のみであるため、燃料ガスボンベ8から水素が供給されることはない。
【0058】
一方、比較例では、長期停止時に実施されるメンテナンス発電を実施する制御が組込まれているが、燃料電池7の燃料となる水素は、燃料ガスボンベ8から供給される。このため、停止期間が長期化し、電解質を湿潤させるためのメンテナンス発電が繰り返されればその都度、システムの貯蔵水素が消費される。
【0059】
この結果、比較例では、長期間停止状態が継続した後に停電が発生した場合、燃料電池発電システムの起動性および特性は良好であるものの、発電可能な電力量は実施例1よりも少なくなる。これは、実施例1がメンテナンス発電時に水素ボンベ8からの水素を消費しないのに対して、比較例では貯蔵水素を使用しているためである。
【0060】
このように、実施例1によれば、燃料電池の非運転が長期間に亘っても、燃料電池の所定の運転可能期間を確保することができる。たとえば、UPSシステムを構成した場合におけるバックアップ時間が減少することはない。
【実施例2】
【0061】
実施例2は、水電解装置41で製造した水素の量、水素の圧力、水電解装置41に供給された電気エネルギーのうち、少なくとも一つの情報を使用して、制御部11が燃料電池7の発電状態を決定および実行させる機能を組込んだシステムである。
【0062】
実施例2のシステム構成は実施例1と同一である。
【0063】
実施例2について、燃料電池発電システムが長期間停止した状態における制御について実施例1と比較して説明する。実施例2および実施例1は、系統電力が正常に供給されている間、最も直近にシステムが発電した時点からの時間を計測し、少なくともその情報を基にメンテナンス発電を必要とする期間の開始時点T1を決定する。時刻T1に到達し、かつ水電解装置41の継続稼動に必要な設定電力値よりも太陽光発電部5の発電電力量が同等または大きいときメンテナンス発電を実施することは実施例1と同じである。
【0064】
実施例2では、水電解装置41で生成した水素の量、水素の圧力、水電解装置41に供給された電力のうち、少なくとも一つの情報を基にして制御部11が燃料電池7の発電量を決定する。すなわち、太陽光発電電力が一時的に低下し、十分な電力が水素製造部4に供給されず、水素生成量が減少したときには、燃料電池7の発電電力を減少させ、必要とする水素量を低減することにより、燃料電池7における燃料不足を防ぐことができる。燃料電池7の電解質を湿潤させる反応生成水量は、電極単位面積あたりの電流値に比例する。そこで、実施例2において、燃料電池発電量を減少させた状態では、発電時間を延長するなど、メンテナンス発電条件を変更することで、当初目的を達成させる制御を実施する。また、電解効率低下その他の条件により結果的に水電解装置41の生成水素量が十分量得られていないときも、例えばフローメータで測定した生成水素量、圧力センサで測定した生成水素圧力等の情報から燃料電池7の発電電力量を制御する。一方、実施例1では、水電解装置41で製造した水素の量、水素の圧力、水電解装置41に供給された電力情報をメンテナンス発電における燃料電池発電制御条件に取り入れていない。このため、燃料電池供給水素量が減少した場合、燃料不足状態で発電が行われる可能性がある。この場合、水素が酸化してプロトンが生じる反応に代わり、例えばカーボンが酸化される不可逆反応が行われることがあり得る。カーボンは、電池構成材料の触媒担体、ガス拡散層等に使用されている基本材料のため、カーボン酸化反応が生じると電池構成材料が劣化し、電池性能の低下が加速される。
【0065】
以上のように、実施例1ではメンテナンス発電時の水素量に着目した燃料電池発電制御が実施されていない。これに対し、実施例2では水電解装置41で製造した水素の量、水素の圧力、水電解装置41に供給された電力のうち、少なくとも一つの情報を基にして燃料電池7の発電量を決定する制御が組込まれている。
【0066】
このため、実施例2によれば、システムが長期停止してメンテナンス運転を繰り返しても安定した特性を維持することができる。
【実施例3】
【0067】
次に、本発明の実施例3について説明する。
【0068】
この実施例3は、例えば深夜時間帯など、電気料金割引が適用される条件など、特定の時間帯に系統からの電力を使用することで、経済的利点などを享受するシステムである。
【0069】
図4は、本発明の実施例3による燃料電池発電システムにおけるメンテナンス発電時の制御処理フロー図である。この実施例のシステム構成は実施例1と同じである。
【0070】
図5は、本発明の実施例3によるメンテナンス発電時の燃料電池の電解質膜の水分量の時間遷移例を示す。
【0071】
この実施例3では、実施例1で述べたメンテナンス発電の強制開始時刻T2をシフトしたり、メンテナンス発電の継続時間を調整することによって、メンテナンス発電が、実施例1よりも深夜時間帯により多く実行されるように工夫したものである。
【0072】
まず、図4のステップ401においては、地理情報、時期(季節)、日の出および日没時刻の読み込みを行う。ステップ402〜404は実施例1と同様である。
【0073】
ステップ405,406において、計算して求めた次のメンテナンス強制実行時刻情報T2について、時間帯の判定を行う。
【0074】
まず、ステップ405では、太陽光発電電力が得られるような昼間の時間帯か否かの判定を行う。昼間の時間帯であれば、前述した図2へ移行する。昼間の時間帯以外であれば、ステップ406で、深夜か、早朝は、あるいは夕暮れ後かの判定を行う。
【0075】
ステップ406の判定した次回のメンテナンス発電の強制実行時刻情報T2が深夜であれば、ステップ407〜409において、時刻T2で、格安の系統電力を利用したメンテナンス発電を実行させる。
【0076】
次に、開始時刻Ts、終了時刻Tfで規定される格安の深夜電力時間帯が設定された条件下で、メンテナンス発電の強制実行時刻T2が、深夜時間帯の終了時刻Tfから日の出時刻の間にあった場合について、図5(A)を参照して説明する。
【0077】
図5(A)に示すように、時刻T2−1は、深夜時間帯が終了した後の日の出前であり、ここからメンテナンス発電を開始すると、太陽光発電電力も得られず、系統電力を利用すると、高い電気料がかかることになる。すなわち、地理的情報、時期、日照条件を把握し、日の出、日没時刻等のデータに基き、設定されたT2−1が、深夜時間終了時刻Tfから日の出時刻の間にあり、深夜電力は利用できず、かつ日照条件が不十分な場合である。このとき、図4のステップ410〜412において、時刻T2−1を、直近の深夜電力時間帯Ts〜Tf内の時刻T2−2に前倒しして、メンテナンス発電を実施する。
【0078】
図5(A)に示すように、メンテナンス発電の強制開始時刻T2−1を、時刻T2−2に前倒しして実行すれば、深夜電力利用メリットを享受することができる。
【0079】
さらに、この実施例3では、日没時刻から深夜時間帯の開始時刻Tsの間、すなわち日照時間帯の終了後、深夜電力時間帯が開始するまでの間にT2(T21)が設定されたときにも、深夜電力利用メリットを享受する工夫を施している。すなわち、この場合には、図4のステップ413において、メンテナンス発電の強制開始時刻T21に到達した時点で、メンテナンス発電を実行するが、図5(B)に示すように、次回のメンテナンス発電の強制開始時刻T22が、深夜時間帯にずれ込む(Ts以降となる)ような短時間だけ、発電させる。このようにすれば、今回のメンテナンス発電では無理であっても、次回には、深夜電力を利用するメリットが生じる。
【0080】
長期停止条件下における実施例3と実施例2に関し、その制御の違いを比較する。
【0081】
実施例2では、長期停止中にメンテナンス発電を実施する場合、制御部11が時刻T1およびT2を設定し、時刻T2に到達したら、太陽光発電電力量が不足した状態でも、系統電力を使用して水電解装置41を起動する。このように、二次電池6から補機起動電力を供給することで燃料電池7を発電可能状態に移行させる。制御部11が、燃料電池発電で生じた生成水が十分電解質を湿潤させたと判断したら、メンテナンス発電を停止させ、次回のために、新たな時刻T1およびT2を設定する。停止期間が継続し、時刻T2に到達したら、再び同様のメンテナンス発電を実施する。このときもシステム起動には系統電力を使用する。
【0082】
一方、実施例3では、系統電力を使用する際、できるだけ電力使用に経済的メリットを生じる時間帯に実施する制御を設けている。例えば、深夜電力割引時間帯が午前1時から午前6時、日の出時刻が午前6時50分で、図5(A)の時刻T2−1が午前6時30分に設定されていたとする。この場合、時刻T2−1に到達しても深夜の割安な電力を使うことが出来ず、日照条件から太陽光での発電電力も水素製造部を稼動させるだけの十分な発電量は期待できない。そこで、制御部11は、時刻T2−1への到達に先立ち、深夜電力時間帯にメンテナンス運転を実施できるように、時刻T2−1を時刻T2−2へ前倒し設定する。前倒し時間は、そのときの燃料電池状態によって制御部11が決定する発電条件に依存する。たとえば部分負荷率30%で15分間のメンテナンス発電、補機稼動を含む燃料電池の起動時間が2分30秒、同停止時間が4分30秒、水素製造部4の起動に3分間要すると仮定する。この場合、前倒し時刻T2−2は、午前5時30分以前である午前5時に設定し、実行することになる。
【0083】
また、日没時刻が16時38分で、深夜電力割引時間帯が午前1時から午前6時、図5(B)の時刻T21が午後8時の場合は、このままメンテナンス発電を実施すると発電に必要な水素を生成する水電解装置41への系統からの電力供給が継続する。これを防ぐため、ごく短時間の発電を実施後、すぐ停止させる。発電時間は、新たに設定するT2が午前1時以降午前6時前であればよいが、好ましくは午前1時30分から午前4時である。実験例においては、設定時刻からの逆算により、部分負荷率40%で燃料電池として15秒間の発電を制御部が判断、実施したのち停止させた。新たに設定された時刻T2は午前2時であり、この時刻になると再びメンテナンス発電を部分負荷30%で10分間実施した。このときの系統からの給電は深夜割引電力を使用した。
【0084】
以上により、実施例2では時刻T2到達後のシステム起動の全てに系統からの電力を使用している。一方、実施例3でも、系統電力を使用してメンテナンス発電を実施するが、時刻T2の時間帯により、開始時刻の前倒しや短時間のつなぎ発電により、割安の深夜電力時間帯の電力使用を積極的に活用できる。この結果、メンテナンス発電を実施する際に消費する電力料金をして、実施例3は実施例2よりも安価となり、ランニングコストの低減が可能になる。
【実施例4】
【0085】
図6は、本発明の実施例4による燃料電池発電システムの全体構成図である。この実施例が、図1と異なる点は、太陽光発電部5で発電した電力を系統に供給する接続と、同電力を二次電池6に供給する接続とを切替える機能を有する切替部13を設けた点である。二次電池6の充電状態から必要に応じて制御部11が判断し、切替部13を操作し、太陽光発電部5で発電した電力を二次電池6に供給する制御を組込んだシステムである。
【0086】
実施例4について、燃料電池発電システムが長期間停止した状態における制御について、実施例3と比較する。
【0087】
系統電力が正常に供給されている場合、燃料電池発電システムは太陽光発電部5で発電した電力を切替部13を通して負荷へ供給している。このとき、切替部13は、図6に示す接点Aと接点Bが接続されている。長期間、燃料電池7の停止状態が継続すると、制御部11の判断に従ってメンテナンス運転が実行される。燃料電池7を起動する際には、燃料電池7に付属する補機を先立って動作させるため、二次電池6の電力を燃料電池7へ供給する必要がある。補機類が稼動し燃料電池の発電が可能になると、補機動作に必要な電力は燃料電池7から供給できるため、二次電池6から燃料電池7への給電は一旦停止する。その後メンテナンス発電が終了し、燃料電池7を停止する場面では、燃料電池7の発電を先に停止しその後に補機を停止する。このときの補機動作電力も二次電池6から供給される。
【0088】
このように、メンテナンス発電実施に伴い二次電池6の電力を使用するため、二次電池6の充電量は一時的に減少する。ここで、二次電池6への充電は、制御部11の判断の下、太陽光発電部5で発電した電力を切替部13により二次電池6へ接続して実施される。このとき、切替部13の構成は、図4に示す接点Aと接点Cが接続された状態になる。
【0089】
この実施例4によれば、燃料電池7の動作に伴って減少した二次電池6への充電が必要な場合、系統1からの電力を消費することが無い。
【0090】
一方、実施例1〜3では、燃料電池7の補機動作に供給される電力は実施例4と同様に二次電池6から供給されるが、その充電には系統からの電力も使用される。すなわち、メンテナンス運転実施に伴い燃料電池7が稼動する際、蓄電量が減少した二次電池6を充電するために系統からの電力が消費される。
【0091】
以上により、実施例4によれば、メンテナンス運転を通して、実施例1〜3に比較して、系統電力の消費が少なく、エネルギー的に有利なシステムといえる。
【0092】
以上、本発明の望ましい実施例による燃料電池発電システムによれば、燃料電池の発電を行わない期間が長期に亘っても、燃料電池の構成材料を湿潤させるための発電を実施するため、起動性や特性の低下が無い。また、その際の発電に必要な水素は、システム貯蔵の水素を使用しないため、発電電力量に影響を及ぼすことが無い。さらに、二次電池の充電も太陽光発電電力を用いるため、系統電力を使用することが無く、効率的である。
【符号の説明】
【0093】
1…系統電力、2…交流/直流変換器、3…負荷、4…水素製造部、41…水電解装置、42…原料供給部、5…太陽光発電部、6…二次電池(またはキャパシタ)、7…燃料電池、8…燃料(水素)ガスボンベ、9…電流検出器、10…整流器、11…制御部、12…水素ライン、13…切替部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統からの交流電力を直流に変換するAC−DC変換器と、この変換器の出力側の直流路に接続された負荷と、出力側を前記直流路に接続された燃料電池と、この燃料電池の燃料ガス貯蔵部と、前記直流路から給電され前記燃料電池へ供給する水素を製造する水素製造部と、前記直流路に給電可能な二次電池あるいはキャパシタと、前記直流路に接続可能な太陽光発電部と、これらの構成部の動作を制御する制御部とを備えた燃料電池発電システムにおいて、
前記燃料ガス貯蔵部の燃料ガスを用いることなく、前記直流路からの給電を受けて前記水素製造部が出力する水素ガスを用いて、前記燃料電池の水分量を補う間欠的なメンテナンス発電を実行させるメンテナンス発電制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項2】
請求項1において、メンテナンス発電制御手段は、前記メンテナンス発電を開始すべきタイミングを設定する開始タイミング設定手段と、前記メンテナンス発電を、前記太陽光発電部の発電電力によって前記水素製造部で製造される水素ガスの量に見合って実行させる制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項3】
請求項2において、前記開始タイミング設定手段は、第1,第2のメンテナンス発電開始指令を発生し、第1のメンテナンス発電開始指令が発せられたとき、前記太陽光発電部の発電電力によって前記水素製造部で製造される水素ガスの量に見合ってメンテナンス発電を実行させるとともに、第2のメンテナンス発電開始指令が発せられたとき、前記太陽光発電部の発電電力量を超える電力を前記直流路から前記水素製造部で受電することを許可する制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記水素製造部で水素の量、圧力、消費電力のうち少なくとも1つの情報を使用して、前記燃料電池のメンテナンス発電量を制御する制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、特定時間帯での電力料が低廉であるとき、間欠的に実行する前記メンテナンス発電が、前記特定時間帯に実行される機会を増やすように、メンテナンス発電の開始指令を前倒しまたは先送りする制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項6】
請求項5において、開始時刻Ts、終了時刻Tfで規定される前記特定時間帯があるとき、予め入力された設置地理、時期、日の出および日没時刻の各データに基づいて設定された時刻T2−1を参照し、その時刻が終了時刻Tfから日の出時刻の間に設定されていたとき、時刻T2−1を直近の開始時刻Tsから終了時刻Tfで規定される時間帯内の時刻T2−2に前倒しする制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、特定時間帯での電力料が低廉であるとき、間欠的に実行する前記メンテナンス発電が、前記特定時間帯に実行される機会を増やすように、メンテナンス発電の継続時間を短縮または引延ばしする制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項8】
請求項7において、開始時刻Ts、終了時刻Tfで規定される前記特定時間帯があるとき、予め入力された設置地理、時期、日の出および日没時刻の各データに基づいて設定された時刻T21を参照し、その時刻T21が日没時刻から開始時刻Tsの間に設定されていたとき、時刻T21から開始する今回のメンテナンス発電の継続時間を、次回のメンテナンス発電の開始時刻T22が前記特定時間帯に入るための必要最小限の継続時間まで短縮する制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかにおいて、前記太陽光発電部から前記直流路と前記二次電池またはキャパシタとの間に電気的接続を切替える切替器を備え、前記二次電池の充電情報に基いて、前記太陽光発電で得た電力を前記二次電池へ充電する制御手段を備えたことを特徴とする燃料電池発電システム。
【請求項10】
系統からの交流電力をAC−DC変換器で直流に変換し、この変換後の直流路に負荷を接続し、前記直流路に燃料電池の出力側を接続し、この燃料電池の燃料ガス貯蔵部を備え、前記直流路から給電される水素製造部から前記燃料電池へ水素を供給し、前記直流路に給電可能な二次電池あるいはキャパシタを接続し、前記直流路に太陽光発電部を接続し、これらの構成部の動作を制御部により制御する燃料電池発電システムのメンテナンス発電制御方法において、
前記燃料ガス貯蔵部の燃料ガスを用いることなく、前記直流路からの給電を受けて前記水素製造部が出力する水素ガスを用いて、前記燃料電池の水分量を補う間欠的なメンテナンス発電を実行することを特徴とする燃料電池発電システムのメンテナンス発電制御方法。
【請求項11】
系統からの交流電力を直流に変換するAC−DC変換器と、この変換器の出力側の直流路に接続された負荷と、出力側を前記直流路に接続された燃料電池と、この燃料電池の燃料ガス貯蔵部と、前記直流路から給電され前記燃料電池へ供給する水素を製造する水素製造部と、前記直流路に給電可能な二次電池あるいはキャパシタと、前記直流路に接続可能な太陽光発電部と、これらの構成部の動作を制御する制御部とを備えた燃料電池発電システムのメンテナンス発電制御方法において、
少なくとも直近に実施した発電時の電流値とその時間と該燃料電池に供給された空気量とその時間と排出空気温度から求めた燃料電池添加水分量W1と、発電前における燃料電池水分量W(p−1)から発電停止時点での燃料電池水分量Wpを
Wp=W(p−1)+W1
として求め、この燃料電池水分量Wpと前記燃料電池の発電が停止した時点からの時間と燃料電池温度と周囲雰囲気の湿度から非発電時に自然拡散により減少する燃料電池減少水分量W2から、将来における燃料電池水分量W(p+1)を
W(p+1)=Wp−W2
として求め、燃料電池の水分量として、湿潤処理が推奨される閾値となる水分量D1および湿潤処理が必須となる閾値となる水分量D2から、
W(p+1)=D1
が成立する第1時刻T1および
W(p+1)=D2
が成立する第2時刻T2を設定し、第1時刻T1となったことに応じて、前記太陽光発電部が発生する電力の範囲内で前記水素製造部と前記燃料電池を起動してメンテナンス発電を実行し、かつ、第2時刻T2となったことに応じて、前記直流路から前記太陽光発電部の発電電力を超える受電を許容して前記水素製造部と前記燃料電池を稼動させることを特徴とする燃料電池発電システムのメンテナンス発電制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−218692(P2010−218692A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60347(P2009−60347)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000233033)日立コンピュータ機器株式会社 (253)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】