説明

燃焼バーナ、ボイラ、高粘度燃料の燃焼方法

【課題】低コストである重質燃料のような高粘度燃料を微粒化し煤塵を低減すると共に、加圧水の管内沸騰の防止が可能な燃焼バーナ、ボイラ、高粘度燃料の燃焼方法を提供する。
【解決手段】実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aは、高粘度燃料11を送給する高粘度燃料供給通路12と、前記高粘度燃料11を噴出する高粘度燃料噴出孔13と、空気104を送給する空気供給通路105と、空気104を噴出する空気噴出孔106と、加圧水111を送給する加圧水供給管112と、加圧水111を噴出する加圧水噴出孔113と、加圧水供給管112の外周に周設され、加圧水111を冷却する断熱空間14とを有すると共に、前記加圧水111の流れ方向と直交する断面の略中央から、加圧水供給管112、空気供給通路105、高粘度燃料供給通路12の順に同心円状に配設されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体と液体を混合させた後、良好な噴霧状態を生成することのできる発電用あるいは工業用等のために蒸気発生を行う重油焚きボイラに適用して好適な燃焼バーナ、ボイラ、高粘度燃料の燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、気体と液体を混合する技術が燃焼バーナなどで用いられており、燃焼バーナでは、異なる系統から導かれた燃料油と空気などのガスを混合し、先端から両者を混合した状態で噴出する。噴出された燃料油は、噴流の中で微粒となって霧化し、着火により燃焼し、噴出後の噴霧状態を良好とすることにより良好な燃焼を実行することができる(特許文献1)。
【0003】
このときの燃焼バーナの構成を示す一例を図10乃至図15に示す。図10は、従来の燃焼バーナの構成を示す概略図であり、図11はそのAーA断面図である。また、図12は、従来の燃焼バーナの他の構成を示す概略図であり、図13はそのAーA断面図である。また、図14は、従来の燃焼バーナの他の構成を示す概略図であり、図15はそのAーA断面図である。図10乃至図13に示すように、従来の燃焼バーナ100A、100Bは、燃料101を送給する燃料供給通路102と、該燃料供給通路102の先端部に前記燃料101を噴出する燃料噴出孔103と、空気104を送給する空気供給通路105と、該空気供給通路105の先端部に前記空気104を噴出する空気噴出孔106とを有してなるものである。前記燃料噴出孔103より噴出された前記燃料101は、前記空気噴出孔106より噴出された前記空気104と混合して微粉炭混合気107を形成し、チップ本体108から吹き出して図示しない火炉内へ吹き込まれていた。
【0004】
また、図14及び図15に示すような従来の燃焼バーナ100Cでは、前記燃料噴出孔103より噴出された前記燃料101は、前記空気噴出孔106より噴出された前記空気104とチップ本体108内に設けられている副室109内で混合して微粉炭混合気107を形成し、火炉内へ吹き込まれていた。
【0005】
また、図16は、従来の燃焼バーナの他の構成を示す概略図である。図16に示すように、従来の燃焼バーナ100Dは、劣質燃料油等の前記燃料101を送給する燃料供給通路102と、その燃料供給通路102の内側に加圧された加圧水111を送給する加圧水供給管112と、該加圧水供給管112の先端部に前記加圧水111を噴出する加圧水噴出孔113とを有し、加圧水噴出孔113から前記加圧水111を噴出して前記燃料101と混合し、水噴霧により煤塵を低減する方法が提案されている(特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−332110号公報
【特許文献2】特開昭62−14930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、例えばC重油を用いる場合では燃料を微粒化し燃焼性を向上させる観点から粘度は例えば20cst程度となる温度まで加熱し、ボイラへ供給していた。
【0008】
一方、燃料油として低コストな重質燃料の使用が進んでいるが、燃焼性が良好ではないため微粒化して安定燃焼性を確保するために、加熱温度として例えばC重油の約100℃よりも高い温度である例えば250℃程度にまで高温にする必要がある。
【0009】
そのため、移送ポンプによる供給する際の許容動粘度としては、一般的に例えば300〜500cst程度であり燃焼に必要な粘度に対しては高いが、高粘度条件である低温条件の下で燃料油を供給・燃焼すると燃料噴射時の微粒化性能が低下し、煤塵の増加を引起こす、という問題がある。
【0010】
また、図16に示すような従来の燃焼バーナのように、水噴霧により煤塵を低減する方法では、高粘度の燃料を供給する時には少なくとも蒸気移送ポンプの許容動粘度を確保する必要がある。このため、例えば1.5Mpaで前記加圧水111を供給する場合、前記加圧水111の沸点は約200℃であり、前記燃料101はこれより高温化を必要とするため、前記燃料101の許容動粘度を確保するために前記加圧水111が高温化し、加圧水供給管112内で前記加圧水111が沸騰してしまう場合がある、という問題がある。
【0011】
本発明は、前記問題に鑑み、低コストである重質燃料のような高粘度燃料を微粒化し煤塵を低減すると共に、加圧水の管内沸騰の防止が可能な燃焼バーナ、ボイラ、高粘度燃料の燃焼方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、高粘度燃料を送給する高粘度燃料供給通路と、該高粘度燃料供給通路の先端部に前記高粘度燃料を噴出する高粘度燃料噴出孔と、空気を送給する空気供給通路と、該空気供給通路の先端部に前記空気を噴出する空気噴出孔と、加圧された加圧水を送給する加圧水供給管と、該加圧水供給管の先端部に前記加圧水を噴出する加圧水噴出孔と、前記加圧水供給管の外周に周設され、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有すると共に、前記加圧水の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記加圧水供給管、前記空気供給通路、前記高粘度燃料供給通路の順に同心円状に配設されてなることを特徴とする燃焼バーナにある。
【0013】
第2の発明は、高粘度燃料を送給する高粘度燃料供給通路と、該高粘度燃料供給通路の先端部に前記高粘度燃料を噴出する高粘度燃料噴出孔と、空気を送給する空気供給通路と、該空気供給通路の先端部に前記空気を噴出する空気噴出孔と、加圧された加圧水を送給する加圧水供給管と、該加圧水供給管の先端部に前記加圧水を噴出する加圧水噴出孔と、前記加圧水供給管の内周に周設され、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有すると共に、前記高粘度燃料の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記高粘度燃料供給通路、前記空気供給通路、前記加圧水供給管の順に同心円状に配設されてなることを特徴とする燃焼バーナにある。
【0014】
第3の発明は、第1又は2の発明において、前記加圧水の供給量が、前記高粘度燃料の供給量に対して5〜10wt%であることを特徴とする燃焼バーナにある。
【0015】
第4の発明は、第1乃至3の発明の何れか一つの燃焼バーナを備えたことを特徴とするボイラにある。
【0016】
第5の発明は、高粘度燃料を送給する高粘度燃料供給通路と、空気を送給する空気供給通路と、加圧された加圧水を送給する加圧水供給管と、前記加圧水供給管の周壁に設けられ、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有する高粘度燃料の燃焼方法であって、高粘度燃料と空気とを混合し、前記加圧水が前記加圧水供給管先端の加圧水噴出孔より噴出することにより減圧沸騰し、前記高粘度燃料と前記空気とが混合した混合気中の前記高粘度燃料と減圧された前記加圧水とが衝突・混合し、前記高粘度燃料の微粒化を行うことを特徴とする高粘度燃料の燃焼方法にある。
【0017】
第6の発明は、第5の発明において、前記加圧水の供給量が、前記高粘度燃料の供給量に対して5〜10wt%であることを特徴とする高粘度燃料の燃焼方法にある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、加圧された加圧水を送給する加圧水供給管と、前記加圧水供給管の外周に周設され、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有すると共に、本体の前記加圧水の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記加圧水供給管、前記空気供給通路、前記高粘度燃料供給通路の順に同心円状に配設することにより、前記高粘度燃料と空気との混合気出口付近又は副室内で前記加圧水の管内沸騰を防止する共に、前記高粘度燃料と減圧された前記加圧水とが衝突・混合するため、前記高粘度燃料の微粒化を促進し、煤塵を低減することができる。
【0019】
また、加圧水を送給する加圧水供給管と、該加圧水供給管の内周に周設され、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有すると共に、本体の前記加圧水の流れ方向と直交する断面の略中央から、高粘度燃料供給通路、空気供給通路、前記加圧水供給管の順に同心円状に配設することにより、前記高粘度燃料と空気との混合気出口付近又は副室内で前記加圧水の管内沸騰を防止する共に、前記高粘度燃料と減圧された前記加圧水とが衝突・混合するため、前記高粘度燃料の微粒化を促進し、煤塵を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0021】
[第一の実施の形態]
本発明による第一の実施の形態に係る燃焼バーナについて、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナの構成を示す概略図である。図2は、図1に示す第一の燃焼バーナのAーA断面図である。図3は、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナの先端部の拡大図である。本実施の形態に係る第一の燃焼バーナは、前記図10乃至図16に示した従来の燃焼バーナ100A〜100Dの構成と略同様であるため、前記図10乃至図16に示した従来の燃焼バーナ100A〜100Dと同一構成には同一符号を付して重複した説明は省略する。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aは、高粘度燃料11を送給する高粘度燃料供給通路12と、該高粘度燃料供給通路12の先端部に前記高粘度燃料11を噴出する高粘度燃料噴出孔13と、空気104を送給する空気供給通路105と、該空気供給通路105の先端部に前記空気104を噴出する空気噴出孔106と、加圧された加圧水111を送給する加圧水供給管112と、該加圧水供給管112の先端部に前記加圧水111を噴出する加圧水噴出孔113と、前記加圧水供給管112の外周に周設され、前記加圧水111を冷却する断熱空間14とを有すると共に、前記加圧水111の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記加圧水供給管112、前記空気供給通路105、前記高粘度燃料供給通路12の順に同心円状に配設されてなるものである。
【0022】
ここで、高粘度燃料11とは、例えばC重油の場合には約100℃で加温すれば約20cst程度にまで微粒化でき燃焼化を促進できるとしたとき、約100℃で加温すれば例えば180cst程度となるような粘度を有する燃料をいう。
【0023】
本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記加圧水111を送給する前記加圧水供給管112と、該加圧水供給管112の先端部に前記加圧水111を噴出する前記加圧水噴出孔113とを有している。前記加圧水供給管112先端の加圧水噴出孔113より前記加圧水111を噴出することにより、前記加圧水噴出孔113出口付近で前記加圧水111を減圧沸騰させることができる。
【0024】
これにより、前記高粘度燃料11と前記空気104とが混合した高粘度燃料混合気15中の前記高粘度燃料11と減圧された前記加圧水111とが衝突・混合し、前記高粘度燃料11の微粒化を促進し、煤塵を低減することができる。
【0025】
また、前記加圧水111が減圧沸騰し、沸騰膨張することにより前記加圧水111の体積が増加するため、前記高粘度燃料噴出孔13より供給される前記高粘度燃料11と前記空気噴出孔106より供給される前記空気104との混合を促進して図示しない火炉内に供給することができ、図示しないボイラでの燃焼効率を向上させることができる。
【0026】
本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記加圧水111の供給量が、前記高粘度燃料11の供給量に対して5〜10wt%であるのが好ましい。これは、前記加圧水111の供給量が前記高粘度燃料11の供給量に対して10wt%以上では図示しないボイラでの燃焼効率が低下するためである。一方、前記加圧水111の供給量が前記高粘度燃料11の供給量に対して5wt%以下では前記高粘度燃料11の効果が上がらないためである。
【0027】
また、前記高粘度燃料11を高温で燃焼することにより前記空気104中のN分がNOx化するが、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記空気104の燃焼温度を下げることができるため、前記加圧水111が蒸発して吸熱することにより、サーマルNOxを低減することができる。
【0028】
また、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記加圧水111の水蒸気ガス化反応により、前記高粘度燃料11中の重質炭素を軽質化することができると共に、前記高粘度燃料11の未燃焼分の損失を低減することができる。
【0029】
また、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記高粘度燃料11のように粘度が高い燃料であっても、前記加圧水111を加えて燃焼しているため、燃料中の微粉炭が例えば300℃で加熱したときに20sct程度としたとき、例えば250℃で加熱したときに約30sct程度にすることができるため、前記高粘度燃料11の燃焼効率を向上させることができ、図示しないボイラでの運転や設備に要するコストを低減することができる。
【0030】
また、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記加圧水供給管112を介して前記加圧水111を通水しているため、チップ本体108を冷却することができる。
【0031】
また、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記加圧水供給管112の外周に周設され、前記加圧水供給管112と前記高粘度燃料供給通路12との間に前記加圧水111を冷却する断熱空間14を有している。
【0032】
前記加圧水供給管112の外周に前記断熱空間14を周設することにより、前記加圧水供給管112内で前記加圧水111が沸騰するのを防止することができる。
【0033】
また、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記断熱空間14としては、例えば空気層等があるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0034】
また、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aにおいては、前記断熱空間14に代えて例えば冷却媒体が供給可能な流路とする冷却空間としてもよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0035】
このように、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aによれば、前記加圧水111を送給する前記加圧水供給管112と、該加圧水供給管112の外周に周設され、前記加圧水111を冷却する断熱空間14とを有すると共に、チップ本体108の前記加圧水111の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記加圧水供給管112、前記空気供給通路105、前記高粘度燃料供給通路12の順に同心円状に配設することで、前記加圧水111の管内沸騰を防止し、高粘度燃料混合気15出口付近又は副室内で前記加圧水111を減圧沸騰させることで、前記高粘度燃料11と減圧された前記加圧水111とが衝突・混合するため、前記高粘度燃料11の微粒化を促進し、煤塵を低減することができる。
【0036】
また、前記加圧水供給管112の外周に前記断熱空間14を周設することにより、前記加圧水供給管112内で前記加圧水111が沸騰するのを防止することができる。
【0037】
また、前記加圧水111が減圧沸騰に伴う体積膨張により、前記高粘度燃料11と前記空気104との混合を促進し、燃焼効率を向上させることができると共に、前記空気104の燃焼温度を下げることができるためサーマルNOxを低減することができる。
【0038】
また、前記加圧水供給管112を介して前記加圧水111を通水しているため、チップ本体108を冷却することができると共に、前記加圧水111の水蒸気ガス化反応により、前記高粘度燃料11中の未燃焼分の損失を低減することができる。
【0039】
また、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Aは、図1乃至図3に示すような構成に限定されるものではなく、高温側から高温流体である高粘度燃料11が流れる前記高粘度燃料供給通路12、噴霧媒体である前記空気104が流れる前記空気供給通路105、前記加圧水111を冷却する断熱空間14若しくは冷却空間、前記加圧水供給管112の順序で同心円状に配設されていればよい。
【0040】
図4は、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナの他の構成を示す概略図である。図5は、図4に示す第一の燃焼バーナのAーA断面図である。図6は、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナの他の構成の先端部の拡大図である。図4乃至図6に示すように、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Bは、チップ本体108の軸方向と直交する断面の略中央から、前記高粘度燃料供給通路12、前記空気供給通路105、前記加圧水供給管112の順に同心円状に配設したものである。
【0041】
即ち、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Bは、高粘度燃料11を送給する高粘度燃料供給通路12と、該高粘度燃料供給通路12の先端部に前記高粘度燃料11を噴出する高粘度燃料噴出孔13と、空気104を送給する空気供給通路105と、該空気供給通路105の先端部に前記空気104を噴出する空気噴出孔106と、加圧された加圧水111を送給する加圧水供給管112と、該加圧水供給管112の先端部に前記加圧水111を噴出する加圧水噴出孔113と、前記加圧水供給管112の内周に周設され、前記加圧水111を冷却する断熱空間14とを有すると共に、本体の前記加圧水111の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記高粘度燃料供給通路12、前記空気供給通路105、前記加圧水供給管112の順に同心円状に配設されてなるものである。
【0042】
更に、図7は、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナの他の構成を示す概略図である。図8は、図7に示す第一の燃焼バーナのAーA断面図である。図7、図8に示すように、本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Cは、図4乃至図6に示すような第一の燃焼バーナ10Bの構成と同様に、前記加圧水111の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記高粘度燃料供給通路12、前記空気供給通路105、前記加圧水供給管112の順に同心円状に配設されてなるものであり、前記高粘度燃料11と前記空気104とを副室109内部で混合する内部混合式としたものである。
【0043】
本実施の形態に係る第一の燃焼バーナ10Cにように、前記高粘度燃料11と前記空気104とを副室109内部で混合する内部混合式の場合には、前記副室109内で前記加圧水111を減圧沸騰させてから前記チップ本体108から図示しない火炉内に高粘度燃料混合気15を吹き出すことができる。
【0044】
[第二の実施の形態]
本発明による第二の実施の形態に係るボイラについて、図9を参照して説明する。
図9は、本発明の第二の実施の形態に係るボイラの構成の構成を示す概略図である。本発明の第二の実施の形態に係るボイラに用いられる燃焼バーナ1009は、図1乃至図8に示す第一の燃焼バーナ10A〜10Cの何れかを用いるため、重複した説明は省略する。
図9に示すように、本発明の第二の実施の形態に係るボイラ1000は、鉛直方向に設置された火炉1001と、前記火炉1001の火炉壁1002の下部に設置された燃焼装置1003と、前記火炉1001の出口に連結された煙道1004と、前記火炉壁1002の上部から前記煙道1004にかけて設けられた過熱器1005と、再熱器1006および節炭器1007と、火炉壁1002の上部に設けられた図示しない蒸気ドラムとを有している。
【0045】
前記火炉壁1002の内側には、多数の水管(図示せず)がそれぞれ上下方向に延設されている。各水管は、上下各端部が図示しない蒸気ドラムに接続されている。
また、燃焼装置1003は、前記火炉壁1002に取り付けられる複数の燃焼バーナ1009と、前記燃焼バーナ1009に高粘度燃料11を供給する高粘度燃料供給手段1010と、前記燃焼バーナ1009に燃焼用空気として空気104を供給する空気供給手段1011と、前記燃焼バーナ1009に加圧水111を供給する水供給手段1020とを有している。
【0046】
また、高粘度燃料供給手段1010は、供給された高粘度燃料11を例えば20sct程度の大きさにする高粘度燃料供給部1012と、高粘度燃料供給部1012で生成された高粘度燃料11を前記燃焼バーナ1009へ送給する高粘度燃料供給管1013とを有している。前記高粘度燃料供給部1012は前記高粘度燃料供給部1012の出口温度が例えば約200〜300℃になるように設定されている。そして、前記高粘度燃料供給部1012で生成された高粘度燃料11は、前記高粘度燃料供給管1013によって送給され、前記燃焼バーナ1009へ送られる。
【0047】
また、前記空気供給手段1011は、前記空気104を加圧して供給する図示しない押込通風機と、火炉1001外壁に設けられた風箱1014と、押込通風機と風箱1014とを接続する空気供給管1015とを有している。図示しない押込通風機で加圧されて供給される前記空気104は、回転再生式熱交換器1017により煙道1004を通過する例えば約360℃の燃焼排ガス1016と熱交換され、例えば300〜350℃まで昇温されて前記空気供給管1015を経て前記風箱1014へ供給され前記燃焼バーナ1009へ送られる。
【0048】
また、前記水供給手段1020は、水を加圧して供給する図示しない水供給部1021と、前記燃焼バーナ1009へ加圧水111を搬送する加圧水供給管1022とを有している。前記水供給部1021で加圧されて供給される前記加圧水111は、例えば180℃程度にまで加温されて前記加圧水供給管1022を経て前記風箱1014へ供給され前記燃焼バーナ1009へ送られる。
【0049】
前記燃焼バーナ1009から前記火炉1001内へ前記空気104と前記一次空気1019と前記加圧水111が供給されて着火し、前記火炉1001内に火炎が生じる。
【0050】
このようにして前記火炉1001内の下部に火炎を生じさせると、燃焼ガスが前記火炉1001内を下から上に流れ、前記煙道1004に排出される。この時、図示しない給水ポンプから供給された水は、前記節炭器1007によって予熱された後、図示しない蒸気ドラムに供給される。図示しない蒸気ドラムから前記火炉壁1002の各水管(図示せず)に供給された水は、水管を下から上に流れる間に加熱されて飽和蒸気となり、図示しない蒸気ドラムに送り込まれる。さらに、図示しない蒸気ドラムの飽和蒸気は前記過熱器1005に導入され、燃焼ガスによって過熱される。前記過熱器1005で生成された過熱蒸気は所定のプラント(例えば、タービン等)に供給される。
【0051】
なお、タービンでの膨張過程の中途で取り出した蒸気を前記再熱器1006に導入し、再度過熱しタービンに戻すことも行われる。
前記節炭器1007を通過した燃焼排ガス1016は、前記回転再生式熱交換器1017にて前記空気供給管1015を通過する前記空気104に熱量を供給し、脱硫、脱硝、除塵等の処理を施されて、煙突から大気中に排出される。
【0052】
このように、本発明の第二の実施の形態に係るボイラによれば、燃焼バーナ1009に、図1乃至図8に示す第一の燃焼バーナ10A〜10Cの何れかを用いることにより、燃料が前記高粘度燃料であっても、前記高粘度燃料と減圧された前記加圧水とが衝突・混合し、前記高粘度燃料の微粒化を促進し、煤塵を低減することができる。これにより、前記加圧水111を加えて燃焼することで、前記高粘度燃料11の燃焼効率を向上させることができるため、火炉運転・設備のコストを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明に係る燃焼バーナ、ボイラ、高粘度燃料の燃焼方法は、加圧された加圧水を送給する加圧水供給管と、前記加圧水供給管の外周に周設され、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有すると共に、本体の前記加圧水の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記加圧水供給管、空気供給通路、高粘度燃料供給通路の順に同心円状に配設することで、前記加圧水の管内沸騰を防止する共に、前記高粘度燃料と減圧された前記加圧水とが衝突・混合するため、前記高粘度燃料の微粒化を促進し、煤塵を低減するのに用いて適している。
【0054】
また、加圧水を送給する加圧水供給管と、該加圧水供給管の内周に周設され、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有すると共に、本体の前記加圧水の流れ方向と直交する断面の略中央から、高粘度燃料供給通路、空気供給通路、前記加圧水供給管の順に同心円状に配設することで、前記加圧水の管内沸騰を防止する共に、前記高粘度燃料と減圧された前記加圧水とが衝突・混合するため、前記高粘度燃料の微粒化を促進し、煤塵を低減するのに用いて適している。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係る燃焼バーナの構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す第一の燃焼バーナのAーA断面図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る燃焼バーナの先端部の拡大図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態に係る燃焼バーナの他の構成を示す概略図である。
【図5】図4に示す第一の燃焼バーナのAーA断面図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態に係る燃焼バーナの先端部の拡大図である。
【図7】本発明の第一の実施の形態に係る燃焼バーナの他の構成を示す概略図である。
【図8】図7に示す第一の燃焼バーナのAーA断面図である。
【図9】本発明の第二の実施の形態に係るボイラの構成の構成を示す概略図である。
【図10】従来の燃焼バーナの構成を示す概略図である。
【図11】図10に示す従来の燃焼バーナのAーA断面図である。
【図12】従来の燃焼バーナの他の構成を示す概略図である。
【図13】図12に示す従来の燃焼バーナのAーA断面図である。
【図14】従来の燃焼バーナの他の構成を示す概略図である。
【図15】図14に示す従来の燃焼バーナのAーA断面図である。
【図16】従来の燃焼バーナの他の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0056】
10A〜10C 第一の燃焼バーナ
11 高粘度燃料
12 高粘度燃料供給通路
13 高粘度燃料噴出孔
14 断熱空間
15 高粘度燃料混合気
101 燃料
102 燃料供給通路
103 燃料噴出孔
104 空気
105 空気供給通路
106 空気噴出孔
107 微粉炭混合気
108 チップ本体
109 副室
111 加圧水
112 加圧水供給管
113 加圧水噴出孔
1000 ボイラ
1001 火炉
1002 火炉壁
1003 燃焼装置
1004 煙道
1005 過熱器
1006 再熱器
1007 節炭器
1009 燃焼バーナ
1010 高粘度燃料供給手段
1011 空気供給手段
1012 高粘度燃料供給部
1013 高粘度燃料供給管
1014 風箱
1015 空気供給管
1016 燃焼排ガス
1017 回転再生式熱交換器
1020 水供給手段
1021 水供給部
1022 加圧水供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高粘度燃料を送給する高粘度燃料供給通路と、
該高粘度燃料供給通路の先端部に前記高粘度燃料を噴出する高粘度燃料噴出孔と、
空気を送給する空気供給通路と、
該空気供給通路の先端部に前記空気を噴出する空気噴出孔と、
加圧された加圧水を送給する加圧水供給管と、
該加圧水供給管の先端部に前記加圧水を噴出する加圧水噴出孔と、
前記加圧水供給管の外周に周設され、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有すると共に、
前記加圧水の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記加圧水供給管、前記空気供給通路、前記高粘度燃料供給通路の順に同心円状に配設されてなることを特徴とする燃焼バーナ。
【請求項2】
高粘度燃料を送給する高粘度燃料供給通路と、
該高粘度燃料供給通路の先端部に前記高粘度燃料を噴出する高粘度燃料噴出孔と、
空気を送給する空気供給通路と、
該空気供給通路の先端部に前記空気を噴出する空気噴出孔と、
加圧された加圧水を送給する加圧水供給管と、
該加圧水供給管の先端部に前記加圧水を噴出する加圧水噴出孔と、
前記加圧水供給管の内周に周設され、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有すると共に、
前記高粘度燃料の流れ方向と直交する断面の略中央から、前記高粘度燃料供給通路、前記空気供給通路、前記加圧水供給管の順に同心円状に配設されてなることを特徴とする燃焼バーナ。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記加圧水の供給量が、前記高粘度燃料の供給量に対して5〜10wt%であることを特徴とする燃焼バーナ。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一つの燃焼バーナを備えたことを特徴とするボイラ。
【請求項5】
高粘度燃料を送給する高粘度燃料供給通路と、空気を送給する空気供給通路と、加圧された加圧水を送給する加圧水供給管と、前記加圧水供給管の周壁に設けられ、前記加圧水を冷却する断熱空間又は冷却空間とを有する高粘度燃料の燃焼方法であって、
高粘度燃料と空気とを混合し、前記加圧水が前記加圧水供給管先端の加圧水噴出孔より噴出することにより減圧沸騰し、前記高粘度燃料と前記空気とが混合した混合気中の前記高粘度燃料と減圧された前記加圧水とが衝突・混合し、前記高粘度燃料の微粒化を行うことを特徴とする高粘度燃料の燃焼方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記加圧水の供給量が、前記高粘度燃料の供給量に対して5〜10wt%であることを特徴とする高粘度燃料の燃焼方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−209061(P2008−209061A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−46305(P2007−46305)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】