説明

燐光組成物および燐光組成物を使用する識別方法

物体を識別または検出する目的のために、物体上または物体中に、その放射シグナルが、部分的または完全に電磁スペクトルの赤外領域にある、光ルミネセンス燐光材料および光ルミネセンス蛍光材料を含有する光ルミネセンス組成物を利用する識別または検出方法が開示されている。輝度が高く、残光性が高い光ルミネセンス組成物を利用する識別または検出方法であって、識別マーキングは、秘密または別の方法とすることができる方法、および活性化と検出は、空間的および時間的に分離することができる方法も開示されている。これらの光ルミネセンス組成物を含有する物体も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、すべての目的に対して本明細書に参照により組み込まれている、「燐光組成物および燐光組成物を使用する識別方法」という表題の、2006年9月15日に出願された米国仮特許出願第60/844,647号に対して優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、識別または検出方法の分野に関する。特に、本発明は、その放射シグナル(emission signature)が、部分的または完全に電磁スペクトルの赤外領域にある、光ルミネセンス燐光材料および光ルミネセンス蛍光材料を含有する光ルミネセンス組成物を利用する識別または検出方法に関する。さらに、本発明は、輝度が高く、残光性が高い光ルミネセンス組成物を利用する識別または検出方法に関する。本発明は、光ルミネセンス組成物を含有する物体にも関する。
【背景技術】
【0003】
電磁スペクトルの可視領域に発光を有する光ルミネセンス燐光材料を含有する光ルミネセンス材料および組成物が開示されてきた。例えば、380〜400nmで吸収し、450〜520nmの発光スペクトルを有する、様々な元素付活剤、共付活剤、および補償剤を含有する金属硫化物顔料が調製されてきた。開発されてきた硫化物光ルミネセンス燐光材料のさらなる例として、青紫色光を放つCaS:Bi;青色光を放つCaStS:Bi;緑色光を放つZnS:Cu;および黄色または橙色光を放つZnCdS:Cuが挙げられる。
【0004】
燐光の「残光性」という用語は、一般に、試料の燐光が眼の感度の限界まで減少するのに要する、照射中断後の時間の尺度である。用語「長残光性燐光体」は、ZnS:Cu、CaS:Eu,Tmおよびわずか20から40分の残光時間を有する類似の材料を指すのに歴史的に使用されている。
【0005】
最近、最大12〜16時間までの著しく高い残光性を有する燐光材料が報告されてきた。そのような燐光体は、ホストマトリックスを一般に含み、これは、アルカリ土類アルミン酸塩(酸化物)、アルカリ土類ケイ酸塩、またはアルカリ土類アルミノケイ酸塩とすることができる。
【0006】
そのような高光度および残光性の燐光体は、例えば、MAl23またはMAl24(式中、Mは、少なくともその1つがアルカリ土類金属、例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびマグネシウムなどである、複数の金属を含むことができる)によって代表することができる。これらの材料は、付活剤としてユウロピウムを一般に配置し、共付活剤として1つまたは複数の希土類材料もさらに使用することができる。そのような高輝度および高残光性の燐光体の例は、例えば、米国特許第5,424,006号、米国特許第5,885,483号、米国特許第6,117,362号、および米国特許第6,267,911B1号において見出すことができる。
【0007】
SrBaO.MgMO.SiGe:EuLn(式中、Mは、ベリリウム、亜鉛またはカドミウムであり、Lnは、希土類材料、3A族元素、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、インジウム、タリウム、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、スズ、および鉛からなる群から選択される)などの高輝度および高残光性ケイ酸塩は、米国特許第5,839,718号に報告された。
【0008】
赤外領域に発光を有する、燐光材料のみを含む光ルミネセンス組成物が報告されてきた。そのような燐光材料は、ドープZnCdSからなる。これらの材料は、可視領域中に観測可能なテール発光を有することが示されており、したがって秘密マーキングに対する有用性を有していないであろう。これらの燐光体の報告されている使用は、「赤外燐光体粉末の積層パネル」としてであり、調合して他の材料を含有する組成物にはされていない。前述したように、ZnS系燐光体は、アルミン酸塩光ルミネセンス顔料、特にアルカリ土類アルミン酸塩酸化物に著しく劣る残光特性しか有していない。したがって、そのような材料またはそれから作製される積層パネルは、秘密検出、または活性化と検出を空間的および時間的に分離することができる検出用途のいずれにも使用されていないことは、驚くべきことではない。
【0009】
ZnS燐光材料と蛍光材料の組合せを含有する光ルミネセンス組成物も開示されてきた。しかし、これらの蛍光材料の使用は、チャージング(活性化)放射線を変更すること、または可視昼光もしくは発光の色を変更することのいずれかに限られている。ZnS燐光材料の吸光度スペクトルは、電磁スペクトルの長波長UVおよび青色領域に主にあるので、妥当な残光を達成するには、蛍光材料を用いて入射自然放射線の一部をダウンシフトすることが必要である。さらに、説明した蛍光材料は、凝集体として存在する、すなわちこれらは、ポリマー樹脂中に分子的に分散しておらず、その結果、低発光効率をもたらしている。
【0010】
一連の蛍光材料を含有する光ルミネセンス組成物も、企図されてきた。蛍光材料の1つは、放射線を吸収し、放射し、次いでこれは併用蛍光材料によって吸収され、次いで放射線を放射することによって最終の赤外発光を示す。理解することができるように、吸収放射線が除かれると、蛍光材料を使用しても、いずれの発光も継続しない。これらの組成物は、後の時間、すなわち活性化が終わった後に検出することができる赤外線の継続した発光をまったく提供しない。検出直前に材料を活性化する必要性により、検出場所で活性化装置を有することも要求されることになり、これによって融通性および/または携帯性が制限されている。
【0011】
その結果、燐光材料および蛍光材料の両方を含有する光ルミネセンス組成物、特に、光ルミネセンス複合体(compositing)を開発するための従来の努力は、可視領域の発光に主に向けられてきたことが分かる。電磁スペクトルの赤外領域に発光を有する、燐光材料および蛍光材料の両方を含む光ルミネセンス組成物には、関心が払われてこなかった。したがって、部分的または完全に赤外領域にある発光が、活性化が終わった後に継続する、すなわち、活性化と検出が時間的に分離される、光ルミネセンス組成物の必要性がある。活性化と検出が空間的に分離される、すなわち、活性化が検出時に必要とされず、その結果、活性化装置が検出時に携帯され、存在する必要がないということの必要性もある。発光が部分的または完全に赤外領域にあり、高輝度および残光性でもある光ルミネセンス組成物の開発により、高度の空間および時間分離が可能になり、すなわち、物体から大きく離れて、かつ活性化が終わってから長時間後にも検出を行うことができる。
【0012】
物体を独自にマーキングし、識別するための方法が考慮され、注目されてきたが、そのような方法は、ステルス検出を可能にしない。例えば、戦域における友軍の識別などの多くの場合では、識別マーキングは、敵要員によって観測不可能である必要があり、または例えば、偽造防止用途では、識別マーキングは、隠蔽されることによって、偽造者によるそのようなマーキングの検出可能性を回避する必要がある。隠蔽マーキング、すなわち、人の観測者(特定の検出装置を持たない)によって通常観測可能でないが、友軍によって検出可能であるマーキングは、戦闘機器、または要員のステルス検出用に、戦域において価値の高いものとなる。そのようなマーキングは、ステルス戦闘活動にとって、または追跡もしくは排除用に敵標的をひそかにマーキングすることにとっても価値のあるものとなる。
【0013】
各群の各粒子が、選択された均一サイズ、形状、および色である、肉眼で通常見えるマイクロサイズ粒子のマーキング群に基づく認証および識別方法が、提案されてきた。識別は、選択されたいくつかの群からの粒子の集合を、識別される物品に移行させ、次いでマークされた物品を高い拡大率下で検査して確認することによって確立されるが、この検査では、拡大装置がその物品に対して非常に接近していることが必要である。そのような方法は、検出を可能にするために、物体に対して非常に接近していなければならないという点で制限を有することになることが容易に分かる。
【0014】
別の方法には、担体組成物中に、電磁スペクトルの可視領域中に異なる吸収極大を有する、少なくとも2つのフォトクロミック化合物の混合物を組み込むことが含まれる。認証または識別には、検出直前にフォトクロミック化合物を活性化し、引き続いて表示データを検査することが必要である。検出前のそのような活性化では、時間的分離は可能にならず、すなわち、物体は、活性化し、移動させ、後の時間に検出することができず、暗環境で検出することもできない。
【0015】
他のシステムが開示されており、このシステムでは、物品が2つ以上の蛍光材料から構成されるインクでマークされ、連鎖機構で1つの蛍光色素からの発光が第2の蛍光色素によって吸収され、再発光されるなどする。引き続く発光は、赤外領域にダウンシフトすることができる。理解することができるように、蛍光材料の基本的な特性は、チャージ源が除かれると、発光は直ちに終了するものである。したがって、認証は、紫外光源で検出する直前に材料を活性化または励起し、次いで引き続く発光を迅速に検出することを含む。活性化源が除かれると、識別は終わる。その結果、活性化と検出は時間的に分離することができない。さらに、活性化装置は、検出時に存在していなくてはならないことになり、したがって、そのような方法は、検出の間の融通性および携帯性を可能にしない。
【0016】
上記考察から分かるように、部分的または完全に電磁スペクトルの赤外領域において発光する光ルミネセンス組成物を使用する検出方法の必要性がある。さらに、物体の検出行為が、物体および/またはその活性化源から空間的に分離されることを可能にする、すなわち、検出を物体および/またはその活性化源から離れて行うことができ、また、検出を活性化から時間的に分離することができる、すなわち、検出を活性化よりも後の時間に行うことができる、光ルミネセンス材料および方法の必要性もある。活性化と検出の分離により、検出行為における融通性および携帯性も可能になることに注目するべきである。
【0017】
最適な発光性能のために、特定の光ルミネセンス燐光材料およびそのような材料の混合物を、励起条件であっても、環境的配慮であっても、異なる条件における使用に適応している必要があることを理解することができる。光ルミネセンス成分を保護するのに適した耐水性調合物、および光分解を最小限にする組成物が求められている。光ルミネセンス材料の選択以外に、光ルミネセンス組成物からの発光輝度および/または残光性は、光ルミネセンス燐光材料が分布する方法、および使用される添加剤の両方、ならびに組成物が施される様式によって大きく影響されることに注意するべきである。
【0018】
組成物材料、例えば、樹脂、分散剤、湿潤剤、増粘剤などの不適切な選択および使用により、組成物から発する発光輝度が減少し得る。これは、例えば、調合された材料の取扱い中、または調合された材料の施用後のいずれかでの光ルミネセンス燐光成分の集塊または沈降によって起こり得る。発光輝度および/または残光性の低減は、不完全な励起および/または放射した放射線の散乱によるものの両方から生じ得る。光ルミネセンス発光の散乱は、光ルミネセンス燐光材料の集塊による、または光ルミネセンス燐光顔料の分散を安定化させるために選択された1つまたは複数の添加剤による電磁放射線散乱の結果としてのいずれかの場合がある。最終的な結果は、より低い発光輝度および/または残光性となるであろう。
【0019】
可視電磁放射線を吸収する、顔料の形態での着色剤が、光ルミネセンスを吸収しない場合であっても、光ルミネセンス組成物に昼光色を付与するためのそのような着色剤の使用、または発光色を変更するためのその使用は、光ルミネセンスの散乱、または光ルミネセンス燐光材料の不十分なチャージングのいずれかによって、光ルミネセンス輝度および/または残光性の劣化をもたらし得る。したがって、吸収性着色剤は、光ルミネセンス物体の昼間の外観および、夜間発光の両方を変更するために使用することができるが、そのような使用は、発光輝度および/または残光性の低下をもたらすことになる。これが、昼光色組成物の大部分が低輝度および/または低残光性と評価される理由である。さらに、そのような使用は、昼間色と夜間発光を同じ系統の色にすることを達成することも妨げる。
【0020】
分散、沈降防止、および他の組成物特性を可能にするために、様々な添加剤を利用する光ルミネセンス燐光組成物が開示されてきた。これらの添加剤として、レオロジー改変のためのアルキド樹脂および変性ヒマシ油、懸濁フィラー(suspending filler)として使用される合成セルロース樹脂結合剤およびシリカ系粉末、昼間色を付与するための着色剤としての吸収性顔料、「結晶性フィラー」、ならびに二次顔料粒子が挙げられる。任意のこれらの添加剤を含有する組成物は、一般に固体粒子状態であり、散乱現象により、上述したように、これらを配置する物体からの発光の輝度および/または残光性をより低くする場合がある。
【0021】
したがって、上記考察から、その発光輝度が高く残光性であり、その発光が部分的または完全に電磁スペクトルの赤外領域にあり、そのような発光は、秘密(識別マーキングは、通常観測可能ではない)、または別の方法の物体の識別または検出方法に適しており、そのような方法は、空間的(例えば、検出される物体および/または活性化デバイスから離れた距離で)、および時間的(例えば活性化より後の時間での検出)の両方で活性化と検出を分離するように設計されている、安定な光ルミネセンス組成物の必要性があることが分かる。さらに、識別または検出過程で使用される検出器の携帯性についての必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、物体を識別または検出する目的で、その放射シグナルが、部分的または完全に電磁スペクトルの赤外領域にあり、物体上または物体中に存在する、光ルミネセンス燐光材料および光ルミネセンス蛍光材料を含有する光ルミネセンス組成物を利用する識別または検出方法を提供する。さらに、本発明は、輝度が高く、残光性が高い光ルミネセンス組成物を利用する識別または検出方法であって、識別マーキングは、秘密または別の方法とすることができる方法、ならびに活性化と検出は、空間的および時間的に分離することができる方法に関する。本発明は、これらの光ルミネセンス組成物を含有する物体も提供する。
【0023】
以下に記載されるものなどの光ルミネセンス組成物を使用する、これらの方法の重要な利点は、この光ルミネセンス組成物は、専用光源を必要とすることなく、活性化または励起することができることである。すなわち、物体は、午前、真昼、または夕刻の間、ならびに曇日であっても、本質的に1日のほとんどの間、自然に発生する照明でチャージすることができる。したがって、本発明は、識別または検出時点での活性化装置の必要性を排除する。さらに、以下に記載されるものなどの、高発光輝度および残光性光ルミネセンス組成物を使用して、物体の識別または検出方法は、夜間、すなわち、活性化が終わってから長時間後に、および大きく離れた地点でも実行することができる。
【0024】
第1の態様では、本発明は、物体の識別または検出方法であって、(a)物体の少なくとも一部上または一部中に、1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料および1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料を含有する、有効量の光ルミネセンス組成物を施すステップであり、1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料は、この組成物上に入射する励起光源からの電磁放射線、または光ルミネセンス材料からの発光、またはその両方によって活性化されると、電磁エネルギーを選択的に吸収し、放射し、1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料は、1つまたは複数の光ルミネセンス材料からの発光を選択的に吸収し、電磁エネルギーを放射することによって、選択された放射シグナルであって、その一部またはすべてが電磁スペクトルの赤外部分にある放射シグナルを示し、光ルミネセンス材料は、1つの光ルミネセンス材料の発光が、別の光ルミネセンス材料の光吸収と一致するように選択され、選択された放射シグナルは、選択された光ルミネセンス蛍光材料のうちの1つまたは複数からの発光であり、そのような発光は、任意の他の光ルミネセンス材料によって本質的に吸収されないステップと;(b)物体をチャージまたは活性化するステップと;(c)チャージされた物体からの放射シグナルを検出するステップとを含む方法を提供する。
【0025】
第2の態様では、本発明は、物体の識別または検出方法であって、(a)物体の少なくとも一部上または一部中に、1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料および1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料を含有する、有効量の光ルミネセンス組成物を施すステップであり、1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料は、この組成物上に入射する励起光源からの電磁放射線、または光ルミネセンス材料からの発光、またはその両方によって活性化されると、電磁エネルギーを選択的に吸収し、放射し、1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料は、1つまたは複数の光ルミネセンス材料からの発光を選択的に吸収し、電磁エネルギーを放射することによって、選択された放射シグナルであって、その一部またはすべてが電磁スペクトルの赤外部分にある放射シグナルを示し、光ルミネセンス材料は、1つの光ルミネセンス材料の発光が、別の光ルミネセンス材料の光吸収と一致するように選択され、選択された放射シグナルは、選択された光ルミネセンス蛍光材料のうちの1つまたは複数からの発光であり、そのような発光は、任意の他の光ルミネセンス材料によって本質的に吸収されず、さらに、光ルミネセンス燐光材料は、その放射シグナルが高い残光性および高い輝度を有するように選択されるステップと;(b)物体をチャージまたは活性化するステップと;(c)チャージされた物体からの放射シグナルを検出するステップとを含む方法を提供する。
【0026】
第3の態様では、本発明は、物体の検出または識別方法であって、(a)物体の少なくとも一部上または一部中に、1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料および1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料を含有する、有効量の光ルミネセンス組成物を施すステップであり、1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料は、この組成物上に入射する励起光源からの電磁放射線、または光ルミネセンス材料からの発光、またはその両方によって活性化されると、電磁エネルギーを選択的に吸収し、放射し、1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料は、1つまたは複数の光ルミネセンス材料からの発光を選択的に吸収し、電磁エネルギーを放射することによって、選択された放射シグナルであって、その一部またはすべてが電磁スペクトルの赤外部分にある放射シグナルを示し、光ルミネセンス材料は、1つの光ルミネセンス材料の発光が、別の光ルミネセンス材料の光吸収と一致するように選択され、選択された放射シグナルは、選択された光ルミネセンス蛍光材料のうちの1つまたは複数からの発光であり、そのような発光は、任意の他の光ルミネセンス材料によって本質的に吸収されないステップと;(b)物体をチャージまたは活性化するステップと;(c)チャージされた物体からの放射シグナルを検出するステップであり、物体のチャージングと物体からの放射シグナルの検出は、空間的および時間的に分離されているステップとを含む方法を提供する。
【0027】
第4の態様では、本発明は、任意の本発明の方法によって調製される光ルミネセンス物体を提供する。
【0028】
第5の態様では、物体は、別の光ルミネセンス第2層の上または下に第1層として施される、上述した任意の本発明の方法による光ルミネセンス組成物を含有し、そのような第2光ルミネセンス層は、1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料を含有する組成物に由来する。
【0029】
第6の態様では、本発明は、上述した任意の本発明の方法によって調製される光ルミネセンス物体と接着材料の層を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】電磁放射線の吸収と発光の間に起こるプロセスを例示するヤブロンスキー図である。ステップAは、電磁放射線の光子の吸収であり、吸収材料中の電子は、基底状態から励起エネルギー状態に励起される。到達する励起状態に応じて、電子は、ICまたは第1振動励起状態であるS1への無放射内部転換によって遷移することができる。次いで電子は、引き続く電磁放射線Fの放出を伴って基底状態に戻ることができる。このプロセスは蛍光と呼ばれる。いくつかの材料は、励起状態中に励起され、その電子は項間交差、ISCを経て、T1またはT2状態に存在することになる。これらの状態は、電子が長時間T1またはT2状態に残存することができるという点で準安定である。電子が、電磁放射線を放出することによってエネルギーを放出し、基底状態に戻る場合、このプロセスは燐光、Pと呼ばれる。いくつかの場合では、T1またはT2状態は非常に安定であり、発光が起こるのは皆無かそれに近い。この場合、電子が基底状態に戻るとともに電磁放射線を放出させるのに、刺激エネルギーが必要である。
【図2】光ルミネセンス燐光色素および光ルミネセンス蛍光色素を組み込むことから生じる発光スペクトルのシフトを例示する図である。チャートa)は代表的な吸光度スペクトルであり、b)は代表的な発光スペクトルであり、c)は本発明の組成物から生じる代表的な最終的な発光スペクトルである。例示したように、光ルミネセンス燐光材料は、励起光源からA1で放射線を吸収する。この光ルミネセンス燐光体は、放射線E1を連続的に放射し、これはE2の放射線を放射する吸収スペクトルA2と一部重複する。E2はやはり、放射線E3を放射する吸収A3と一部重複するように設計される。このプロセスは、最終の所望の発光(この場合E5)が得られるまで続けることができる。チャートc)から分かるように、この組成物は、約780nmの放射線を放射するように設計されている。
【図3】第1光ルミネセンス層(12)が上にコーティングされた物体(14)であって、そのような第1光ルミネセンス層は、光ルミネセンス燐光組成物、または光ルミネセンス燐光および光ルミネセンス蛍光組成物を含み、選択された光ルミネセンス蛍光材料を含む第2光ルミネセンス層(10)でさらにコーティングされている物体を例示する図である。第2光ルミネセンス層は、保護層の目的も果たすことができる、すなわち、第1光ルミネセンス層に耐久性をもたらすことに注目することができる。
【図4】コーティングされた光ルミネセンス層(20)と(22)から発するすべての発光を反射する第1反射コーティング(24)が上にコーティングされた物体(26)であって、コーティングされた層(22)は、光ルミネセンス燐光組成物、または光ルミネセンス燐光および光ルミネセンス蛍光組成物を含む第1光ルミネセンス層であり、さらなるコーティングされた層(20)は、選択された光ルミネセンス蛍光材料を含む第2光ルミネセンス層である物体を例示する図である。第2光ルミネセンス層は、保護層の目的も果たすことができる、すなわち、第1光ルミネセンス層と反射層に耐久性をもたらすことにやはり注目することができる。
【図5】光ルミネセンスコーティングを任意の物体に対して移転可能にさせる、多層物体を例示する図である。剥離材料(32)でコーティングされた担体材料(30)は、選択された光ルミネセンス蛍光材料を含む第2光ルミネセンス層(34)でさらにコーティングされている。そのような第2光ルミネセンス層(34)は、保護層の目的も果たすことができる、すなわち、第1光ルミネセンス層(36)に耐久性をもたらすことにやはり注目することができる。光ルミネセンス燐光組成物、または光ルミネセンス燐光および光ルミネセンス蛍光組成物を含む第1光ルミネセンス層(36)が次に施され、その後に反射層(38)および接着層(40)が続く。次いで脱着可能なカバーシート(42)が施される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
光ルミネセンス燐光材料および光ルミネセンス蛍光材料を含む光ルミネセンス組成物は、物体上または物体中に施された場合、この物体の識別または検出を可能にすることが見出されている。光ルミネセンス燐光材料を使用することの重要な利点は、これらは、専用光源を必要とすることなく、活性化または励起することができることである。すなわち、これらは、メタルハライドランプなどの人工光源に加えて、午前、真昼、または夕刻の間、ならびに曇日であっても、本質的に1日のほとんどの間、自然に発生する照明でチャージすることができる。自然または人工的に発生する照明によって活性化されるかどうかにかかわらず、本発明は、識別または検出時点で活性化装置を有している必要性を排除し、昼間でも夜間でも、物体および/またはその検出源から離れた位置で、ならびに物体の活性化が終わった後に検出を実行することを可能にする。さらに、以下に記載されるものなどの、高輝度および残光性の光ルミネセンス燐光組成物を使用して、昼間または夜間での物体識別または検出は、物体および/またはその活性化源から大きく離れた地点で、ならびに活性化が終わってから長時間後に実行することができる。
【0032】
別段の注記のない限り、本明細書で使用されるパーセンテージは、重量パーセントとして表される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ルミネセンス」材料は、励起されて励起状態になった後に電磁放射線を放射することができる材料である。
【0034】
本明細書で使用される場合、「光ルミネセンス組成物」は、電磁放射線によって励起またはチャージまたは活性化されると、電子的励起状態から電磁放射線を放射することができる材料の混合物として定義される。
【0035】
本明細書で使用される場合、「蛍光」材料は、電磁放射線によって励起されて励起状態になる能力を有し、励起後、急速に電磁放射線の形態でエネルギーを放出する材料である。蛍光材料からの発光は、残光性をまったく有しておらず、すなわち、発光は、励起光源が除かれた後に本質的に終わる。放出されるエネルギーは、UV、可視、または赤外線の形態となり得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、「燐光」材料は、電磁放射線によって励起されて励起状態になる能力を有するが、蓄積されたエネルギーは、徐々に放出される材料である。燐光材料からの発光は、残光性を有し、すなわち、そのような材料からの発光は、励起光源が除かれた後、数秒、数分または数時間でも持続することができる。放出されるエネルギーは、UV、可視、または赤外線の形態となり得る。
【0037】
「ルミネセンス」、「燐光」または「蛍光」は、それぞれルミネセンス、燐光または蛍光材料からの電磁放射線の実際の放出である。
【0038】
本明細書で使用される場合、「光度」は、MassachusettsのInternational Light Coによる、高利得輝度検出器を有するIL1700放射計/光度計などのフォトプティック(photoptic)検出器によって模倣されるような、「標準観測者」(例えば、参照により本明細書に組み込まれている、C.J.BartelsonおよびF.Grum、Optical Radiation Measurements、5巻−Visual Measurements(1984)を参照されたい)によって認知される場合の、放射された電磁放射線の尺度として定義される。
【0039】
本明細書で使用される場合、「発光輝度」は、光ルミネセンス物体からの光ルミネセンス発光の尺度として定義され、そのような測定は、光測定または放射測定のいずれかで発光強度を測定することができる任意のデバイスを用いて行われ、そのような発光は、可視もしくは赤外のいずれか、または両方である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「残光性」は、照射を中断した後に、光ルミネセンス物体から発する光ルミネセンス発光が、適当な検出装置に伴う限界検出能まで減少するのに要する時間として定義される。
【0041】
本明細書で使用される場合、「高残光性」は、照射を中断した後に、光ルミネセンス物体から発する光ルミネセンス発光が、適当な検出装置に伴う限界検出能まで減少するのに要する時間が、5時間超であることを意味するように定義される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「電磁放射線」は、紫外(UV)、可視および赤外(IR)線を含む、電波および磁気波成分の両方を含有するエネルギーの形態を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「放射シグナル」は、活性化の結果としての、光ルミネセンス組成物の特定の発光スペクトルを指し、そのような発光は、波長および振幅によって特徴づけ可能(characterizable)である。
【0044】
本明細書で使用される場合、「光ルミネセンス組成物上に入射する放射線」は、活性化またはチャージング電磁放射線を指し、この入射電磁放射線の少なくとも一部は、光ルミネセンス材料のうちの1つまたは複数を最初に励起することになる。
【0045】
本明細書で使用される場合、「ストークスシフト」は、光ルミネセンス材料の励起または活性化波長と発光波長の間の波長の差異を指す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「液体担体媒質」は、固体状態で分布し、かつ/またはそれに溶解する材料に対する担体として作用する液体である。
【0047】
本明細書で使用される場合、「安定化添加剤」は、粒子として存在する材料を均一に分布させることによって、液体担体媒質での固体材料の集塊を防止し、かつ/または沈降を防止するように、組成物に加えられる材料である。そのような安定化添加剤は、分散剤、および/またはレオロジー調節剤を一般に含む。
【0048】
本明細書で使用される場合、「レオロジー調節剤」は、一般に、液体分散組成物、すなわち、液体担体中に分布した粒子物質を含有する組成物中に粘性をもたらすことができ、それによってそのような粒子物質の沈降を遅延させ、一方、同時に、せん断を加えると粘性を著しく低下させて、物体上へのそのような組成物の円滑な施用性を高める物質である。
【0049】
本明細書で使用される場合、「分散剤」は、組成物中に懸濁状態で分散した粒子を維持することによって沈降および集塊を遅延させるのに使用される物質である。
【0050】
本明細書で使用される場合、「光安定剤(photostabilizer)」は、電磁放射線による作用の結果としての組成物の性質および/または視覚的性質の変質、劣化、または望ましくない変化を遅延させるように設計された組成物の成分を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「層」は、少なくとも1つの膜形成ポリマー樹脂を含有する組成物から生じる膜であり、これは、残留液体担体媒質が膜の全重量の0〜5重量%の範囲であることによって特徴づけられるように、実質的に乾燥している。
【0052】
本明細書で使用される場合、「秘密に識別することまたは識別」は、物体を識別または検出する行為を指し、そのような識別または検出に使用される光ルミネセンスマーキングは、昼間または夜間のいずれの間でも人の観測者には通常見えず(ステルスマーキング)、さらに、そのような光ルミネセンスマーキングからの発光は、識別または検出目的で観測するために特殊な検出装置を必要とする。
【0053】
本明細書で使用される場合、「空間的および時間的に分離された」は、検出は、活性化が終わった後に実行することができ(時間的に)、ならびに検出は、物体および/またはその活性化源から離れて行うことができる(空間的に)ことを意味する。
【0054】
本明細書で使用される場合、「CAS#」は、米国化学会の部門である化学情報検索サービス機関(CAS)に登録されたあらゆる化合物、ポリマー、生物学的配列、混合物、および合金に割り当てられた独自の数値識別子である。
【0055】
理論に束縛されることなく、選択された光ルミネセンス燐光材料は、入射活性化電磁放射線、例えば、電磁スペクトルの紫外および/または可視部分を吸収し、電子は基底状態から励起状態に励起されると考えられる。燐光材料の励起状態電子は、項間交差と呼ばれる遷移を経て、電子は励起状態中に捕捉され、徐々にのみ基底状態に戻り、引き続いて例えば、電磁スペクトルの可視領域における、電磁放射線の発光を伴う。燐光材料の励起状態から発光が起こる時間は、10-3秒の程度から数時間、およびさらに数日間となり得る。このように、励起された燐光材料からの発光放射は、入射放射が終わった後でも長く継続することができる。
【0056】
光ルミネセンス材料からの発光放射線のエネルギーは、入射活性化放射線のエネルギーよりも一般に低いエネルギーである。このエネルギーの差異は、「ストークスシフト」と呼ばれる。
【0057】
適当な燐光材料は、周知の金属硫化物燐光体、例えば、米国特許第3,595,804号に記載されているようなZnCdS:Cu:Al、ZnCdS:Ag:Al、ZnS:Ag:Al、ZnS:Cu:Alなど、および米国特許第3,957,678号に記載されているものなどの、希土類元素と同時活性化される金属硫化物である。本発明に適した、金属硫化物顔料よりも発光輝度が高く、発光残光性が長い燐光体には、一般にアルカリ土類アルミン酸塩、またはアルカリ土類ケイ酸塩であるホスト材料を含む組成物が含まれる。ホスト材料は、付活剤としてユウロピウムを一般に含み、多くの場合、1つまたは複数の共付活剤、例えば、ランタニド系列の元素(例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテチウム)、スズ、マンガン、イットリウム、またはビスマスなどを含む。そのような光ルミネセンス燐光体の例は、米国特許第5,424,006号に記載されている。
【0058】
高発光輝度および残光性の燐光材料は、式MO.mAl23:Eu2+,R3+(式中、mは、1.6から約2.2の範囲の数値であり、Mは、アルカリ土類金属(ストロンチウム、カルシウムまたはバリウム)であり、Eu2+は付活剤であり、Rは、1つまたは複数のランタニド系列の三価希土類材料(例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、イットリウムまたはビスマス共付活剤である)を有するアルカリ土類アルミン酸塩酸化物とすることができる。そのような燐光体の例は、米国特許第6,117,362号に記載されている。
【0059】
高発光輝度および残光性の燐光材料は、式MkAl24:2xEu2+,2yR3+(式中k=1−2x−2yであり、xは、約0.0001から約0.05の範囲の数値であり、yは、約xから3xの範囲の数値であり、Mは、アルカリ土類金属(ストロンチウム、カルシウムまたはバリウム)であり、Eu2+は付活剤であり、Rは、1つまたは複数の三価希土類材料(例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、イットリウムまたはビスマス共付活剤である)を有するアルカリ土類アルミン酸塩酸化物とすることもできる。そのような燐光体の例は、米国特許第6,267,911B1号に記載されている。
【0060】
本発明で使用することができる燐光体には、ホストマトリックス中のAl3+の一部が、二価イオン、例えばMg2+またはZn2+などと置換されているもの、およびアルカリ土類金属イオン(M2+)が、一価アルカリ金属イオン、例えば、Li+、Na+、K+、Cs+またはRb+と置換されているものも含まれる。そのような燐光体の例は、米国特許第6,117,362号および米国特許第6,267,911B1号に記載されている。
【0061】
Sr.BaO.Mg.MO.SiGe:Eu:Ln(式中、Mはベリリウム、亜鉛、またはカドミウムであり、Lnは、希土類材料、3A族元素、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン、インジウム、タリウム、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマス、スズ、および鉛からなる群から選択される)などの、米国特許第5,839,718号に報告されたものなどの高輝度および高残光性のケイ酸塩は、本発明において使用することができる。特に有用であるのは、ジスプロシウム、ネオジウム、ツリウム、スズ、インジウム、およびビスマスである。これらの化合物におけるXは、少なくとも1つのハライド原子である。
【0062】
本発明に適した他の燐光材料は、式MO.Al23.B23:R(式中、Mは、1つを超えるアルカリ土類金属(ストロンチウム、カルシウムまたはバリウム、またはこれらの組合せ)の組合せであり、Rは、Eu2+付活剤と、少なくとも1つの三価希土類材料共付活剤(例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム)、ビスマスまたはマンガンとの組合せである)のアルカリ土類アルミン酸塩である。そのような燐光体の例は、米国特許第5,885,483号に見出すことができる。
【0063】
米国特許第5,424,006号に記載されている、型MAl24のアルカリ土類アルミン酸塩も、本発明に適している。
【0064】
本発明で使用することができる燐光体には、米国特許第6,953,536B2号に記載されているものなどのドナー系とアクセプター系を含む燐光体も含まれる。
【0065】
上述した燐光材料は、電磁スペクトルのUVまたは近UV/可視領域で一般に吸収し、引き続いて390〜700nmの発光を伴う。
【0066】
理解することができるように、多くの他の燐光体が本発明に有用である。そのような有用な燐光体は、YenおよびWeber、Inorganic phosphors:compositions,preparation and optical properties、CRC Press、2004に記載されている。
【0067】
理論に束縛されることなく、選択された光ルミネセンス蛍光材料は、入射活性化電磁放射線、例えば、電磁スペクトルの紫外、可視および/または赤外部分を吸収し、電子は基底状態から励起状態に励起される。そのような光ルミネセンス蛍光材料の場合、電子は、基底状態に急速に戻り、引き続いて電磁放射線、例えば、紫外、可視および/または赤外線の放出を伴う。光ルミネセンス蛍光材料の励起状態から発光が起こる時間は、10-8秒の程度となり得る。光ルミネセンス蛍光材料からの継続発光は、活性化エネルギーが止まると終わる。発光のエネルギーは、入射活性化放射線のエネルギーよりも一般に低い。
【0068】
本発明で有用な選択される光ルミネセンス蛍光材料には、可視および/または赤外で吸収し、可視および/または赤外で発光する光ルミネセンス蛍光材料が含まれる。例えば、可視で吸収し、可視で発光する光ルミネセンス蛍光材料として、例えば、クマリン、例えば、クマリン4、クマリン6、およびクマリン337など;ローダミン、例えば、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミン101、ローダミン19、ローダミン110、およびスルファローダミンB(sulfarhodamine B)など;ナイルレッドおよびクレシルバイオレットを含めたフェノキサゾン;スチリル;カルボスチリル;スチルベン;ならびにフルオレセイン(fluorescene)が挙げられる。電磁スペクトルの可視領域で吸収し、遠可視(far visible)および赤外領域で発光する光ルミネセンス蛍光材料の例として、例えば、ナイルブルー、IR140(CAS#53655−17−7)、IR125(CAS#3599−32−4)、およびDTTCI(CAS#3071−70−3)が挙げられる。表1における以下は、本発明に適したいくつかの光ルミネセンス蛍光材料の吸収および発光特性である。
【0069】
【表1】

IR−676は、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチル−4,5,4’,5’−ジベンゾインドジカルボシアニンである
【0070】
光ルミネセンス燐光材料が、選択された光ルミネセンス蛍光材料と混合される場合、光ルミネセンス燐光材料の発光は、光ルミネセンス蛍光材料によって吸収されることができ、引き続いて光ルミネセンス燐光体を励起するのに使用されたエネルギーよりも低いエネルギーまでの下方ストークスシフトを示す発光を伴う。光ルミネセンス蛍光材料からの発光エネルギーは、そのような放射線を吸収するその能力に関して選択された第2光ルミネセンス蛍光材料によって吸収されることができる。この第2光ルミネセンス蛍光材料は、第1光ルミネセンス蛍光材料から放射されたエネルギーよりも低いエネルギーまで下方ストークスシフトを示す。追加の光ルミネセンス蛍光材料を選択することによって、選択された発光を達成するまで、ストークスシフトをさらに示すことができる。選択される発光は、部分的または完全に電磁スペクトルの赤外領域にあるように選択することができる。一般に、単一の光ルミネセンス燐光または光ルミネセンス蛍光材料についてのストークスシフトは、20から100nmの範囲である。より長いストークスシフトを生じさせるために、多数の光ルミネセンス蛍光材料を使用することによって、カスケーディングストークスシフトを生じさせることができる。カスケーディングストークスシフトは、1つの光ルミネセンス材料の発光の、別の光ルミネセンス蛍光材料による連続吸収と、より長い波長での再発光によって生じる。多数回行うと、50nmを著しく超えるストークスシフトを引き起こすことができる。
【0071】
光ルミネセンス燐光および/または光ルミネセンス蛍光材料を含む組成物の量子効率は、いくつかの要因、例えば、1つの光ルミネセンス材料の発光スペクトルと別の光ルミネセンス材料の吸収スペクトルの間の重なりの程度、および光ルミネセンス蛍光材料が、結合マトリックスを含むポリマー中に分子的に分散している程度などに依存することになる。光ルミネセンス蛍光材料が、ポリマー中に分子的に分散している、または選択される1つまたは複数のポリマー中に固溶体として存在するために、光ルミネセンス蛍光材料は、液体担体媒質中に溶解して存在し、選択されるポリマーと適合性であることが不可欠である。
【0072】
光ルミネセンス燐光材料の、光ルミネセンス蛍光材料との選択された混合により、入射電磁エネルギー、例えば、紫外、可視、またはこれらの組合せによってチャージまたは活性化し、部分的または完全に赤外において発光することができる組成物がもたらされる。活性化された光ルミネセンス燐光材料は、活性化放射線が除かれてから長時間後でも放射線を放射し続けるので、光ルミネセンス組成物は、部分的または完全に電磁スペクトルの赤外領域にある放射線を放射し続けることになる。
【0073】
本発明の組成物の活性化とその引き続く発光の検出は、別々の時間および別々の場所で行うことができることが容易に分かる。したがって、この組成物を物体に施し、電磁放射線でチャージすることができる。放射線は遮断することができ、物体は異なる場所に移動させることができ、一方発光は継続することによって、活性化が終わってから長時間後に検出を行うことを可能にする。
【0074】
選択された光ルミネセンス蛍光材料は、上述した光ルミネセンス燐光および光ルミネセンス蛍光材料を含有する光ルミネセンス組成物中にさらに組み込むことによって、励起光源と外部電磁放射線源から最初に活性化される選択された光ルミネセンス材料の吸光度スペクトルとを最適に合わせることができる。
【0075】
この性質を示す本発明の光ルミネセンス蛍光材料は、燐光材料を含有する光ルミネセンス組成物中に混合することができ、またはこれらは、そのような光ルミネセンス組成物の上下いずれか、もしくは両方のコーティング中に存在することができる。
【0076】
有効量の1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料、1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料、1つまたは複数の液体担体、1つまたは複数のポリマー結合剤、1つまたは複数の光安定剤、1つまたは複数のレオロジー調節剤、および1つまたは複数の分散剤を含む光ルミネセンス組成物は、選択することによって、完全または部分的に電磁スペクトルの赤外領域にある放射シグナルを得ることができることも判明した。上記に参照したある特定のアルカリ土類燐光材料を選択すると、放射シグナルは、高輝度および残光性を有することができることもさらに判明した。
【0077】
高輝度および残光性に関するルミネセンス材料の最適な性能のために、特定の光ルミネセンス材料およびそのような材料の混合物は、異なる条件、例えば、励起条件または環境的配慮における使用に適応している必要がある。光ルミネセンス燐光粒子を保護するのに適した耐水性組成物、および光分解を最小限にする組成物が求められている。光ルミネセンス燐光材料および/またはその性能を高めるために使用される、任意の追加の光ルミネセンス蛍光材料の選択以外に、光ルミネセンス組成物からの発光輝度および/または残光性は、光ルミネセンス燐光材料を分布する方法、および使用される添加剤の両方、ならびに組成物が施される様式によって大きく影響されることに注意するべきである。
【0078】
組成物材料、例えば、結合剤、分散剤、湿潤剤、レオロジー調節剤、光安定剤などの不適切な選択および使用により、組成物から発する発光輝度が減少し得る。これは、例えば、調合された材料の取扱い中、または調合された材料の施用後のいずれかでの光ルミネセンス燐光粒子の集塊または沈降によって起こり得る。発光輝度および/または残光性の低減は、不完全な励起および/または放射した放射線の散乱から生じ得る。光ルミネセンス発光の散乱は、光ルミネセンス燐光材料の集塊による、または光ルミネセンス燐光顔料の分散を安定化させるために選択された1つまたは複数の添加剤による電磁放射線散乱の結果としてのいずれかの場合がある。最終的な結果は、より低い発光輝度および残光性となるであろう。
【0079】
光ルミネセンス組成物に昼光色を付与するための、可視電磁放射線を吸収する、顔料の形態での着色剤の使用は、これらが、光ルミネセンス発光を吸収しない場合であっても、光ルミネセンス発光の散乱、または光ルミネセンス燐光材料の不十分なチャージングのいずれかによって、光ルミネセンス輝度および残光性の劣化をもたらし得る。したがって、吸収性着色剤は、光ルミネセンス物体の昼間の外観を変更するために使用することができるが、そのような使用は、発光輝度および残光性の低下をもたらすことになる。
【0080】
選択された光ルミネセンス材料の励起スペクトル内の電磁放射線を吸収せず、選択された光ルミネセンス材料と適合性でもある、光ルミネセンス材料用のポリマー結合剤樹脂のみを選択することが重要である。これは、そうでなければ、光ルミネセンス材料の励起が阻害されることになるため重要である。選択されたポリマー材料は、発光輝度への影響が最小であるべきである、すなわち、光ルミネセンスのいかなる著しい消光も示すべきではないことも望ましい。本発明の組成物に適した結合剤樹脂として、アクリレート、例えば、そのすべてが、DSM NeoResins(登録商標)から入手可能な溶媒可溶性アクリル樹脂である、NeoCryl(登録商標)B−818、NeoCryl(登録商標)B−735、NeoCryl(登録商標)B−813、およびこれらの組合せ、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、およびポリエステル、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0081】
液体担体は、例えば、光ルミネセンス材料に不利に影響せず、光ルミネセンス組成物用に選択された光ルミネセンス蛍光材料の可溶性を与える、任意の溶媒とすることができる。液体担体を選択することにおいて、ポリマーが液体担体中に可溶性である場合、ポリマー溶液は透明であるべきであり、いかなる濁りも示すべきではなく、そうでなければ、発光輝度の透過は、不利に影響されることになる。一般に、高極性溶媒は、発光消光の可能性を増大させることになり、したがって、一般に回避されるべきである。適当な液体担体として、グリコール、グリコールエーテル、グリコールアセテート、ケトン、炭化水素、例えば、トルエンおよびキシレンなどが挙げられる。
【0082】
本発明の組成物において有用な光安定剤として、UV吸収体、一重項酸素捕捉剤、抗酸化剤、およびまたは混合物、例えば、すべてCiba(登録商標)Specialty Chemicalsからの、Tinuvin(登録商標)292、Tinuvin(登録商標)405、Chimassorb(登録商標)20202、Tinuvin(登録商標)328、またはこれらの組合せが挙げられる。
【0083】
適当なレオロジー調節剤として、ポリマー尿素ウレタンおよび変性尿素、例えば、BYK−Chemie(登録商標)からのBYK(登録商標)410およびBYK(登録商標)411が挙げられる。
【0084】
本発明の組成物に適した分散剤として、アクリル酸−アクリルアミドポリマー、アミン官能性化合物および酸の塩、顔料親和性基を有するヒドロキシル官能性カルボン酸エステル、ならびにこれらの組合せ、例えば、すべてBYK−Chemie(登録商標)からの、DISPERBYK(登録商標)−180、DISPERBYK(登録商標)−181、DISPERBYK(登録商標)−108、ならびにDegussa GmbHからのTEGO(登録商標)Dispers710が挙げられる。
【0085】
ポリエーテルシロキサンコポリマー、例えば、TEGO(登録商標)Wet270などの湿潤剤、および非イオン性有機界面活性剤、例えば、TEGO(登録商標)Wet500、およびこれらの組合せを含めて、ならびに有機変性ポリシロキサン、例えば、TEGO(登録商標)Airex900などの脱気剤(deaerator)および消泡剤を含めて、他の添加剤を本発明の組成物中に組み込むことができる。
【0086】
本光ルミネセンス組成物によれば、成分は、約10%〜50%の結合剤樹脂、約15%〜50%の液体担体、2%〜35%の光ルミネセンス燐光材料、0.5%〜5.0%の分散剤、0.2%〜3.0%のレオロジー調節剤、0.1%〜3.0%の光安定剤、0.2〜2.0%の脱気剤、0.2%〜3.0%の湿潤剤、および0.1%〜2.0%の光ルミネセンス蛍光材料とすることができる。
【0087】
完全または部分的に赤外において発光する光ルミネセンス物体を調製するための方法は、物体上または物体中のいずれかに、上述した光ルミネセンス組成物を施すための、様々な技法を包含することができる。例えば、上述した組成物を物体上に施すことができる技法には、この物体上へのコーティングが含まれる。物体上に光ルミネセンス組成物を施すための、そのようなコーティング方法として、それだけに限らないが、スクリーン印刷、塗布、吹き付け、ディップコーティング、スロットコーティング、ローラーコーティング、およびバーコーティングを挙げることができる。上述した組成物を物体上に施すことができる他の技法には、この物体上への印刷が含まれる。物体上に光ルミネセンス組成物を施すための、そのような印刷方法として、それだけに限らないが、リソグラフ印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷、イメージシルクスクリーン印刷およびレーザー印刷、物体に上述した光ルミネセンス組成物を手作業で塗布またはスクライビングすることを挙げることができる。一般に、組成物はコーティングされ、乾燥され、その結果得られる層は物理的に頑強である。本発明の物体は、1つまたは複数の上述した蛍光材料を含有する第2の組成物をさらに施してもよい。この第2の施された組成物は、第1光ルミネセンス施用物に対する保護コーティングとしても機能することができる。
【0088】
完全または部分的に赤外において発光する光ルミネセンス物体は、物体の製造において光ルミネセンス組成物を含めることにより、上述した組成物を物体中に組み込むことによっても調製することができる。例えば、押出しによって調製することができるプラスチック物体については、上述した組成物を、物体の組成物に全組成物の2から30%で加え、押し出すことによって、本発明の方法によって識別または検出することができる物体を得ることができる。組成物が物体の製造において含められる、光ルミネセンス物体の調製として、成形、押出しなどの様々な製造技法を挙げることができる。識別、検出および認証の目的のために、物体は、光ルミネセンス組成物で部分的にコーティングされるだけでよい。
【0089】
上述した光ルミネセンス組成物または物体は、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、または十分な量の適切な可視線、UV線もしくは両方を含む任意の光源、ならびに日光が雲によって外見的に遮断されている場合の時間を含めて、直接または散乱性のいずれかでの日光を含めたいくつかの好都合な方法によって、電磁放射線、例えば、紫外、近紫外、またはこれらの組合せでチャージまたは活性化することができる。そのような時間で、組成物または物体をチャージまたは活性化するのに十分な放射線が存在する。活性化源は取り除くことができ、物体は、選択された領域で放射線を放射し続け、例えば、活性化放射線がまったくない暗闇において検出される。
【0090】
物体は、所望の放射線を放出し続けるので、物体のチャージングと放射シグナルの検出は、空間的および時間的に分離される、すなわち、検出ステップは、活性化ステップから別の時間および場所で行うことができる。これにより、物体が、チャージされ、活性化の場所から移されるか、またはチャージされ、引き続いてチャージ源を除去することが可能になる。さらに、検出は、物体および/または活性化源から離れた地点で行うことができる。
【0091】
識別または認証の目的で、光ルミネセンス物体からの選択された放射シグナルを検出する検出器が使用される。そのような検出器は、光ルミネセンス発光を増幅する機能を有していてもいなくてもよい。増幅を伴う検出装置の例は、暗視装置である。暗視装置は、存在する場合可視線、赤外線、または可視線と赤外線の両方のいずれかを検出することができる。検出装置は、特定の放射シグナルを検出するように設計することができる。必要である場合、検出器は、増幅機能を組み込むことができる。検出器は、放射シグナルの特定の波長を読むように設計することができるか、または組成物は、特定の検出器に適した放射線を放射するように設計することができる。本発明の方法および組成物の性質のために、検出は、活性化から別の時間および場所で行うことができる。
【0092】
ある特定の条件下で、検出装置は、外来源からの放射線によって不利に影響され、検出器が、放射シグナルとそのようなスプリアス放射を区別することができないために、意図した物体の識別または検出を困難にさせる場合がある。こうした条件下で、検出装置、例えば、暗視装置は、外来可視線を排除するように設計されたフィルターを装着し、それによって識別または検出を増強することができる。
【0093】
選択された放射シグナルから得られるイメージの種類は、無定形物体の形態とすることができ、またはこれは、アルファベット、数値、もしくは英数字のマーキング、ならびに幾何学的図形および名称などの記号の形態での情報特性を有することができる。このようにして、識別または検出は、時間および日付などの最新情報、ならびにメッセージのいずれも伴った時局的とすることができる。
【0094】
本発明の識別または検出方法は、放射シグナルを与える光ルミネセンスマーキングをもたらすために、物体上または物体中のいずれかに施された光ルミネセンス材料は、人の観測者によって検出可能とすることができ、またはそのような光ルミネセンスマーキングは、「ステルスマーキング」である、すなわち、これらは秘密であり、もしくは、昼間または夜間のいずれの間でも人の観測者によって通常観測可能でない、いずれの方法も含む。そのような方法が「ステルスマーキング」を具現する場合、そのようなマーキングは、完全または部分的のいずれかで赤外スペクトルにおいて発光する。発光が部分的にのみ赤外スペクトルにある場合、可視発光成分は、人の観測者によって観測不可能であるように十分に低い。上述したステルスマーキングの識別または検出は、物体上または物体中のいずれであっても、選択された放射シグナルを検出するように設計されたデバイスを使用することによってのみ行うことができる。
【0095】
「ステルスマーキング」を具現する識別または検出方法は、物体、人または動物の検出または識別のために展開することができる。その上またはその中にそのような「ステルスマーキング」を施すことができる光ルミネセンス物体には、例えば、味方または敵、ならびに形跡マーキングを示すための軍事物体が含まれる。そのようなマーキングは、選択された要員によってのみ分かるように設計される。ステルスマーキングであるように設計されたマーキングの例として、飛行機もしくはヘリコプターの着陸区域、または友軍の存在もしくは不在を明らかにするマーキングが挙げられる。
【0096】
ステルスおよび非ステルスマーキングの両方を使用する識別または検出方法により、例えば、固定式戦闘装置、移動式戦闘装置、衣服の戦闘用品、または戦闘員によって着用されているか、もしくは戦闘員によって携帯されている戦闘用具、戦車、固定砲、移動砲、兵員輸送車、ヘリコプター、飛行機、船、潜水艦、ライフル銃、ロケット弾発射筒、半自動式小火器、自動式小火器、機雷、潜水器具、潜水服、ナップサック、ヘルメット、防具、パラシュート、および水筒の識別が可能になる。
【0097】
識別または検出方法により、識別または検出だけでなく、例えば、時間および日付などの最新情報、メッセージ、ならびに軍隊の識別も提供し、それによって更新可能な(renewableまたはupdatable)マーキングを提供することができる接着層をさらに具現する光ルミネセンスマーキングが可能になる。
【0098】
本方法は、輸送手段、例えば、バス、飛行機、タクシー、地下鉄車両、自動車およびオートバイの追跡を含む識別または検出を可能にする。
【0099】
ステルスまたは非ステルスマーキングのいずれかを具現する識別または検出方法は、スポーツおよび娯楽の用途、例えば、狩猟および魚釣りの用途においても使用することができ、これは、他のハンターまたは釣り師を識別または検出するように設計される。ステルスマーキングは、他のハンターを識別または検出するための赤外発光検出装置を使用することによって、事故を回避することができるが、同時に、検出可能な可視発光がまったくないので、狩猟される動物を脅かすことを回避する狩猟用途において特に有用となり得る。
【0100】
ステルスマーキングを具現する識別または検出方法は、保安を必要とする用途に特に有用となり得る。
【0101】
本発明の方法は、多種多様の商品または物体に施用可能な偽造防止用途においても使用することができる。上述した方法によって調製した光ルミネセンス物体は、偽造防止用途、例えば、通貨、CDまたはDVDなどの著作権侵害防止用途、高級品、スポーツ用品などにおいて利用することができる。これらの用途の多くでは、潜在的な偽造者が、偽造されようとしている物体は、その物体が真正のものであることを証明するマーキングを含有することを知らないことが重要になる。秘密マーキングは、偽造された物体が有していないと思われる、日付コードまたは他の識別コードなどでコード化することもできる。
【0102】
本方法は、フィルム、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ゴムもしくはポリ塩化ビニルフィルム、または金属プレート、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、黄銅、銀、金、スズ、もしくは青銅プレートなどの担体材料上に光ルミネセンス材料を施すことを可能にする。接着材料、例えば、高剥離強度もしくは低剥離強度を有する接着剤、または磁気材料などの他の層を、担体材料に加えることができる。光ルミネセンス材料が上に施された担体材料は、物体に永久に貼り付けることができ、またはこれは、識別もしくは検出を変更、更新もしくは除去することができるように移転可能にすることができる。そのような用途により、物体自体がコーティング過程を経ることなく、物体が、本発明の識別または検出機能を有することが可能になる。この用途では、例えば、安全用途または保安用途において、情報が古くなった場合、取り外し可能なフィルムまたはプレートの形態の、光ルミネセンス材料が上に施された担体材料は、更新された情報を有する、光ルミネセンス材料が上に施された別の担体材料と交換することができる。
【0103】
光ルミネセンス物体が、光ルミネセンス移転可能フィルムまたはプレートによって作製することができる、本発明の方法の説明をこれから述べる。例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの適当な担体シートは、例えば、シリコーン剥離層などの剥離層で最初にコーティングすることができる。次いで、1つまたは複数の蛍光材料を含む組成物を施すことができる。この層は、保護層としても機能を果たすことができる。上述したものなどの、燐光および/または蛍光材料を含む光ルミネセンス組成物の層を施し、その後に反射層および接着層を施す。次いで剥離特性(release characteristic)を有するカバーシートを施す。使用する際、カバーシートを剥がし、識別または検出される物体に接着層を施す。剥離層を有する担体層を取り除き、光ルミネセンス物体を得る。
【0104】
本方法は、光ルミネセンス物体であって、少なくとも一部の光ルミネセンス蛍光材料は、第1光ルミネセンス層の上下いずれかの第2光ルミネセンス層中に組み込まれ、そのような第1光ルミネセンス層は、光ルミネセンス燐光材料または光ルミネセンス燐光および光ルミネセンス蛍光材料を含み、物体からの最終的な発光は、完全または部分的に赤外にある、光ルミネセンス物体の作製を可能にする。そのような第2光ルミネセンス層は、第1光ルミネセンス層に対する保護コーティングとして機能を果たすこともできることに注目するべきである。
【0105】
本発明の方法によって調製された物体は、表面粗さ、または選択された放射シグナルを吸収する、物体中の材料のいずれかのために、放射される電磁放射線の不適切な反射の理由で、発光輝度が低い場合がある。結果として、光ルミネセンス組成物からの発光を反射する反射層またはコーティングを、放射シグナルが反射することができる表面を提供するための下塗りとして使用することができる。したがって、反射層は、担体材料上または物体自体の上のいずれかに最初に施し、その後に1つまたは複数の光ルミネセンス層を施すことができる。
【0106】
さらに、不利な環境条件が存在する、これらの物体のある特定の使用では、保護、例えば、湿潤状態からの保護、機械磨耗に対する耐性、および頑強さの改善が必要とされる。こうした用途では、保護層の使用は非常に有益となり得る。保護的上塗り層を、本発明の方法によって調製された物体に施すことができる。さらに、保護的上塗り層は、上述した反射コーティングを有する物体に施すことができる。そのような保護的上塗り層は、光ルミネセンス蛍光材料の一部またはすべてを含むこともできる。
【実施例】
【0107】
(実施例1)
単一層の実施形態
54.47gのエチレングリコールモノブチルエーテル中に、20.35gのNeoCryl(登録商標)B−818(DSM NeoResins(登録商標)からのアクリル樹脂)を混合した。この混合物に、1.80gのDisperBYK(登録商標)180(BYK−Chemieから)、0.88gのTEGO(登録商標)Wet270および0.57gのTEGO(登録商標)Airex900(両方ともDegussa GmbHから)を撹拌しながら加えた。次いで、0.10gのローダミン19P、0.10gのジクロロフルオレセイン、0.10gのナイルブルー、0.10gのナイルレッド、0.05gのスルファローダミンB、0.01gのローダミン800および0.01gの3,3’−ジエチルオキサトリカルボシアニンヨージドを加え、溶解するまで混合した。次いで、20.35gのH−13、緑色燐光体(Capricorn Specialty Chemicalsから)を加えた。次いで1.11gのBYK(登録商標)410を加えた。このように調製した光ルミネセンス組成物を、ワイヤードローダウンバー(wire draw down bar)を使用して、白色Mylar(登録商標)フィルムの3”×8”小片上にコーティングし、50℃で12時間乾燥させて(5%未満の溶媒)、乾燥した10ミルの厚さにした。コーティングされたMylar(登録商標)小片を、RPS900発光分光計中に置いた。720nmの放射シグナルを測定した。コーティングされたMylar(登録商標)小片およびコーティングされていないMylar(登録商標)小片を、150ワットのメタルハライドランプから1フィートの地点に置き、15分間露光した。1時間後、小片を取り出して光遮断室(light−locked room)に移し、5フィートの距離から第3世代自社開発暗視単眼スコープを使用して観測した。コーティングされた小片は、明るい鮮明な像を示したが、コーティングされていない小片は検出不可能であった。電磁放射線をさらに露光することなく、これらの小片を1時間ごとにモニターした。13時間後、コーティングされた小片は、暗視スコープによって検出可能であった放射線の放射を持続し続けていた。
【0108】
(実施例2)
2層の実施形態
第1層組成物
17.80gのエチレングリコールモノメチルエーテル、13.35gの酢酸ブチル、8.90gのエチレングリコールモノブチルエーテルおよび4.45gのエチルアルコール中に、37.92gのNeoCryl(登録商標)B−818(DSM NeoResins(登録商標)からのアクリル樹脂)を混合した。この混合物に、0.28gのTinuvin(登録商標)405(Ciba Specialty Chemicalsから)、2.46gのDisperBYK(登録商標)180(BYK−Chemieから)、1.19gのTEGO(登録商標)Wet270および0.78gのTEGO(登録商標)Airex900(両方ともDegussa GmbHから)を加えた。次いで、0.06gのローダミン19P、0.03gのナイルブルー、0.06gのナイルレッド、0.06gのジクロロフルオレセイン、0.03gのスルファローダミンB、0.01gのローダミン800および0.01gの3,3’−ジエチルオキサトリカルボシアニンヨージドを加え、溶解するまで混合した。次いで、11.1gのH−13、緑色燐光体(Capricorn Specialty Chemicalsから)および1.51gのBYK410(BYK−Chemieから)を加えた。
【0109】
第2層組成物
61.99gのエチレングリコールモノブチルエーテル中に、34.44gのNeoCryl(登録商標)B−818(DSM NeoResins(登録商標)からのアクリル樹脂)を混合した。この混合物に、2.00gのTinuvin(登録商標)405(Ciba Specialty Chemicalsから)、0.34gのTEGO(登録商標)Wet270および1.03gのTEGO(登録商標)Airex900(両方ともDegussa GmbHから)を加えた。この混合物に、0.20gのローダミン110を加え、溶解するまで混合した。
【0110】
2層の構築
第1層組成物を、ワイヤードローダウンバーを使用して、白色Mylar(登録商標)フィルムの3”×8”小片上に施し、50℃で12時間乾燥させて(5%未満の溶媒)、乾燥した10ミルの厚さにした。次いで第2層組成物を、ワイヤードローダウンバーを使用して、第1層上に施し、50℃で12時間乾燥させて(5%未満の溶媒)、乾燥した1ミルの厚さにした。
【0111】
2層の小片を、RPS900発光分光計中に置いた。730nmの放射シグナルを測定した。この小片を、150ワットのメタルハライドランプから1フィートの地点に置き、15分間露光した。これを取って、15分間眼を暗がりに順応させた後でも肉眼で観測可能な発光がない光遮断室に移した。5フィートの距離から第3世代自社開発暗視単眼スコープを使用すると、小片は、明るい鮮明な像を示した。13時間後、この小片は、暗視スコープによって検出可能であった放射線の放射を持続し続けていた。
【0112】
(実施例3)
Mylar(登録商標)の代わりにポリスチレンプラカードを使用し、その上に英数字「Danger!!!」を書いて、実施例1で説明した方法を繰り返した。このプラカードをほぼ正午に木に張った状態で、外に置いた。夜間条件下で、このプラカードを見ることはできなかった。暗視IR感受性ゴーグルを通して観測した場合、英数字は顕著に表示され、この英数字を認めることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の識別または検出方法であって、
a.前記物体の少なくとも一部上または一部中に、
i.1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料と
ii.1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料と
を含む有効量の光ルミネセンス組成物を施すステップであり、
前記1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料は、前記組成物上に入射する励起光源からの電磁放射線、または別の光ルミネセンス材料の発光、またはその両方によってチャージまたは活性化されると、電磁エネルギーを選択的に吸収し、放射し、前記1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料は、前記1つまたは複数の光ルミネセンス材料からの発光を選択的に吸収し、電磁エネルギーを放射することによって、選択された放射シグナルであって、その一部またはすべてが電磁スペクトルの赤外部分にある放射シグナルを示し、前記光ルミネセンス材料は、1つの前記光ルミネセンス材料の発光が、別の前記光ルミネセンス材料の光吸収と一致するように選択され、前記選択された放射シグナルは、前記選択された光ルミネセンス蛍光材料のうちの1つまたは複数からの発光であり、そのような発光は、任意の他の光ルミネセンス材料によって本質的に吸収されないステップと、
b.前記物体をチャージまたは活性化するステップと、
c.前記チャージされた物体からの前記放射シグナルを検出するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記光ルミネセンス蛍光材料のうちの1つまたは複数が、前記励起光源とチャージングまたは活性化のための前記選択された光ルミネセンス材料の吸光度スペクトルとを最適に合わせるように選択することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体のチャージングまたは活性化とその放射シグナルの検出が、空間的および時間的に分離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光ルミネセンス蛍光材料が、液体担体であって、そのような光ルミネセンス蛍光材料が可溶性である液体担体を含む光ルミネセンス組成物から施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記物体が、紫外、近紫外、または可視線、またはこれらの組合せでチャージまたは活性化される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記励起光源からの放射線が、紫外、近紫外、または可視線、または組合せであり、前記励起光源が、昼光、蛍光ランプ、メタルハライドランプ、または前記選択された1つまたは複数の光ルミネセンス材料を活性化するのに十分な電磁エネルギーを有する他の光源である、請求項2から5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記光ルミネセンス蛍光材料が、液体担体であって、そのような光ルミネセンス蛍光材料が可溶性である液体担体を含む光ルミネセンス組成物から施される、請求項2から3、または5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記選択された放射シグナルが、数値、アルファベット、および/もしくは英数字のマーキング、または記号として検出される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
物体の識別または検出方法であって、
a.前記物体の少なくとも一部上または一部中に、
i.1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料と
ii.1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料と
を含む有効量の光ルミネセンス組成物を施すステップであり、
前記1つまたは複数の光ルミネセンス燐光材料は、前記組成物上に入射する励起光源からの電磁放射線、または別の光ルミネセンス材料からの発光、またはその両方によってチャージまたは活性化されると、電磁エネルギーを選択的に吸収し、放射し、前記1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料は、前記1つまたは複数の光ルミネセンス材料からの発光を選択的に吸収し、電磁エネルギーを放射することによって、選択された放射シグナルであって、その一部またはすべてが電磁スペクトルの赤外部分にある放射シグナルを示し、前記光ルミネセンス材料は、1つの前記光ルミネセンス材料の発光が、別の前記光ルミネセンス材料の光吸収と一致するように選択され、前記選択された放射シグナルは、前記選択された光ルミネセンス蛍光材料のうちの1つまたは複数からの発光であり、そのような発光は、任意の他の光ルミネセンス材料によって本質的に吸収されず、前記光ルミネセンス燐光材料は、高い残光持続性および輝度のアルカリ土類アルミン酸塩、またはアルカリ土類ケイ酸塩、またはこれらの組合せを含むことによって、高残光性および高輝度を有する前記選択された放射シグナルをもたらすステップと、
b.前記物体をチャージまたは活性化するステップと、
c.前記チャージされた物体からの前記放射シグナルを検出するステップと
を含む方法。
【請求項10】
前記光ルミネセンス燐光材料が、ユウロピウムによって活性化される、非放射性IIA族金属酸化物アルミン酸塩、およびランタニド系列の希土類材料、イットリウム、スズ、マンガン、またはビスマスのうちの少なくとも1つの他の元素を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光ルミネセンス蛍光材料のうちの1つまたは複数が、前記励起光源と活性化のための前記選択された光ルミネセンス材料の吸光度スペクトルとを最適に合わせるように選択することができる、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記物体のチャージングまたは活性化とその放射シグナルの検出が、空間的および時間的に分離されている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記光ルミネセンス蛍光材料が、液体担体であって、そのような光ルミネセンス蛍光材料が可溶性である液体担体を含む光ルミネセンス組成物から施される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記物体が、紫外、近紫外、または可視線、またはこれらの組合せでチャージまたは活性化される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記励起光源からの放射線が、紫外、近紫外、または可視線、または組合せであり、前記励起光源が、昼光、蛍光ランプ、メタルハライドランプ、または前記選択された1つまたは複数の光ルミネセンス材料を活性化するのに十分な電磁エネルギーを有する他の光源である、請求項10から14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
前記光ルミネセンス蛍光材料が、液体担体であって、そのような光ルミネセンス蛍光材料が可溶性である液体担体を含む光ルミネセンス組成物から施される、請求項10から12、または14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記選択された放射シグナルが、数値、アルファベット、および/もしくは英数字のマーキング、または記号として検出される、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記有効量の光ルミネセンス組成物が、
a.1つまたは複数の液体担体と、
b.1つまたは複数のポリマー結合剤と、
c.1つまたは複数のレオロジー調節剤と、
d.1つまたは複数の分散剤と
をさらに含み、前記光ルミネセンス燐光材料が、前記組成物内に均一に分布しており、前記レオロジー調節剤と分散剤が前記液体担体中に可溶性である、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記光ルミネセンス燐光材料が、ユウロピウムによって活性化される、非放射性IIA族金属酸化物アルミン酸塩、およびランタニド系列の希土類材料、イットリウム、スズ、マンガン、またはビスマスのうちの少なくとも1つの他の元素を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記光ルミネセンス組成物が、任意の追加の吸収性着色剤顔料を含まない、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記光ルミネセンス蛍光材料のうちの1つまたは複数が、前記励起光源と活性化のための前記選択された光ルミネセンス材料の吸光度スペクトルとを最適に合わせるように選択することができる、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記物体のチャージングまたは活性化とその放射シグナルの検出が、空間的および時間的に分離されている、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記光ルミネセンス蛍光材料が、液体担体であって、そのような光ルミネセンス蛍光材料が可溶性である液体担体を含む光ルミネセンス組成物から施される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記物体が、紫外、近紫外、または可視線、またはこれらの組合せでチャージされる、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記励起光源からの放射線が紫外、近紫外、または可視線、または組合せであり、前記励起光源が、昼光、蛍光ランプ、メタルハライドランプ、または前記選択された1つまたは複数の光ルミネセンス材料を活性化するのに十分な電磁エネルギーを有する他の光源である、請求項19から24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
前記光ルミネセンス蛍光材料が、液体担体であって、そのような光ルミネセンス蛍光材料が可溶性である液体担体を含む光ルミネセンス組成物から施される、請求項19から22、および24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記選択された放射シグナルが、数値、アルファベット、および/もしくは英数字のマーキング、または記号として検出される、請求項18から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記放射シグナルの検出または識別が、赤外放射シグナル、低レベル可視放射シグナル、またはこれらの組合せを検出するように設計された装置を用いて行われる、請求項1から5、9から14、18から24のいずれかに記載の識別方法。
【請求項29】
識別または検出が、秘密の識別または検出の目的のためである、請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の識別方法。
【請求項30】
識別または検出が、軍事要員または物体またはその両方を秘密に識別または検出する目的のためである、請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の識別方法。
【請求項31】
識別または検出が、安全、保安、スポーツ、レクリエーション、狩猟、魚釣り、娯楽、輸送、建設、マーキング、認証、消費者製品、包装、および倉庫保管の目的のためである、請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の識別方法。
【請求項32】
前記放射シグナルの検出が暗視装置の使用を含む、請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の識別方法。
【請求項33】
前記放射シグナルの検出が暗視装置の使用を含み、前記暗視装置が、前記放射シグナルを妨害する可視線を排除するように設計されたフィルターをさらに含む、請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の識別方法。
【請求項34】
前記放射シグナルの検出が暗視装置の使用を含み、前記暗視装置が、前記選択された放射シグナルよりも短い波長の放射線を遮断するように設計されたフィルターをさらに含む、請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の識別方法。
【請求項35】
請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の任意の方法によってもたらされる識別または検出に適した光ルミネセンス物体であって、前記光ルミネセンス組成物が、前記物体上に施されることによって光ルミネセンス層をもたらすか、または前記物体中に施される、光ルミネセンス物体。
【請求項36】
請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の任意の方法によってもたらされる識別または検出に適した光ルミネセンス物体であって、前記光ルミネセンス組成物が、1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料を含む別の光ルミネセンス層の上下いずれかの前記物体上に施される、光ルミネセンス物体。
【請求項37】
請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の任意の方法によってもたらされる識別または検出に適した光ルミネセンス物体であって、前記光ルミネセンス組成物が施されることによって前記物体上に層を形成し、接着材料の別の層をさらに含む、光ルミネセンス物体。
【請求項38】
請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の任意の方法によってもたらされる識別または検出に適した光ルミネセンス物体であって、前記光ルミネセンス組成物が、前記物体の近位にある第1反射層上に施されることによって第2光ルミネセンス層を形成し、前記第2光ルミネセンス層上に第3層が施され、さらに、そのような第3層は1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料を含む、光ルミネセンス物体。
【請求項39】
移転可能な光ルミネセンスフィルムまたはプレートを使用することによってもたらされる、識別または検出に適した光ルミネセンス物体であって、前記移転可能なフィルムまたはプレートは、
a.剥離材料の層でコーティングされた担体材料と、
b.液体担体に可溶性である、1つまたは複数の光ルミネセンス蛍光材料を含み、(a)に由来する剥離層と接触している光ルミネセンス層と、
c.(b)に由来する層と接触している、請求項1から5、9から14、または18から24のいずれかに記載の前記光ルミネセンス組成物の層と、
d.(c)に由来する層と接触している反射層と、
e.(d)に由来する層と接触している接着層と、
f.剥離材料の層でコーティングされているか、または剥離特性を有するカバーシートであって、前記剥離層は、前記接着層(e)と接触しているカバーシートと
を含む光ルミネセンス物体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−507839(P2010−507839A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528298(P2009−528298)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/019949
【国際公開番号】WO2009/002329
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(509075033)パフォーマンス インディケイター エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】