説明

片面、低騒音の延伸密着フィルムに好適な組成物およびこれから製造されるフィルム

本発明は、実質的にアイソタクチックなプロピレン配列を有する0.1〜20重量パーセントのプロピレンをベースとしたコポリマーを有し、そして少なくとも0.905g/ccの密度を有する80〜99重量パーセントのエチレンをベースとしたコポリマーを有する、片面延伸密着フィルムでの使用に好適な組成物であって、この組成物から製造されるフィルムがASTM D−5458−95により測定して1インチ当たり少なくとも70グラムの力の密着層・剥離層の密着性、巻き出し操作時に87dB未満の騒音レベルを呈し、そしてASTM D−882により求めて少なくとも3MPAのモジュラスを有するものに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低騒音特性を呈する片面延伸密着フィルム(single-sided, stretch cling film)の製造での使用に好適な熱可塑性組成物に関する。特に、本発明は、機能性ポリマー(functional polymer)または低分子量の粘着性付与剤を必要とせずに低騒音の延伸密着フィルムの製造に使用可能なポリオレフィンブレンドに関する。加えて、本発明は、このフィルムの密着層中に本発明の組成物を組み込んだ多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
片面延伸密着フィルムは、物品のパッケージのオーバーラッピングに梱包業界により使用される。特に、これらは、物品を満載したパレットのユニット化のためのオーバーラップフィルムの使用など、物品または物品群の固定および/または梱包に使用されてきた。これらの用途においては、このフィルムは、理想的には高強度を有し、引き裂きおよび破裂に抵抗性があり、そして片面密着性を呈しなければならない。片面密着性は、オーバーラップの引き裂きおよび/または破損、そして最終的にはパレットからの物品の分離を生じ得る個々のパレットのオーバーラップの相互密着を防止するのに重要である。
【0003】
一般に、片面密着フィルムは密着層と剥離層からなる。剥離層は非密着性を有してはならないが、通常、密着層よりも低密着性を呈する。密着フィルムは、通常、A/Bフィルム層構造で共押し出しされる。密着層は通常A層を含んでなり、剥離層は通常B層を含んでなる。一般に、隣接したフィルム構造の2つのA層の間およびそして一方のフィルムのA層と他方のフィルムのB層の間で測定される密着力は、一方のフィルムのB層と隣接したフィルムのB層の間で呈される密着力よりもずっと大きい。時には、第3の層Cが付加されて、A/C/Bフィルム構造を形成する。このタイプのフィルムにおいては、Bは剥離層であり、そしてC層はコア層であり、密着フィルム中で特定の性質を得るのに使用され、そして1つ以上の物理的な層からなることができる。例えば、高モジュラスフィルムが望ましい場合には、C層はAあるいはB層と比較して高モジュラスを呈するポリマーを含んでなり得る。
【0004】
通常、片面延伸密着フィルムは、手動アプリケーターまたは半自動あるいは全自動の機械を用いて、密着層がフィルムの剥離層の上で、そして隣接して存在するようにユニット化対象の物品の周りに巻き付けられる(例えばパレットに荷積みされた物品または荷積みされる物品の場合など)。最も通常の用途においては、ユニット化対象の物品(物品のパレットなどの)の完全性を維持するのに充分な保持力を発現するために、物品の梱包時にこのフィルムは延伸される必要がある。これは、通常、片面延伸密着フィルムが機械的完全性を維持し、そして接触する密着層と剥離層の間の適切な密着力を呈する一方で、元の長さの100%、時には200%までの延伸能力を有することを必要とする。
【0005】
適切な保持力をもたらすフィルム構造を提供するためには、エチレンホモポリマーとエチレンをベースとしたコポリマーが使用されてきた(本明細書中ではこれ以降いずれも「ポリエチレン」と呼ぶことがある)。0.915g/cc以上の密度を有するポリエチレンは適切な保持力をもたらすが、大多数の用途には充分な密着力をもたらさない。それゆえ、密着層に低密度ポリエチレンを、そして剥離層に高密度ポリエチレンを使用する片面延伸密着フィルムが開発された。残念なことには、フィルムの全体厚さが決められている場合には、密着層中に低密度ポリエチレンを用い、そして剥離層中に高密度ポリエチレンを用いるフィルムは、高密度ポリエチレンだけからできているフィルムよりも実質的に低い保持力をしばしば有する。これは所望よりも大きな厚さを有する密着フィルムを必要とする。加えて、所望の密着性を得るのに、通常、超低密度ポリエチレン(0.880g/ccと0.914g/ccの間の密度を有する)が必要である。
【0006】
適切な密着性をもたらすのに充分に低い密度のポリエチレンを使用する片面延伸密着樹脂は、物品の梱包工程において供給ロールから巻き出すときにかなりの騒音をしばしば発生する。ある場合には、例えば超低密度ポリエチレンを使用する場合、発生する騒音は長期暴露の場合人間の耳の安全許容度を超えることがある。供給ロールの近くに人が居るために、フィルムを手により、あるいは半自動機械を用いて巻き出す場合、このことは特に問題である。
【0007】
密着層に超低密度ポリエチレンを使用するフィルムの代替策として、少量の低分子量粘着性付与剤を使用する片面延伸密着フィルムが開発された。通常の粘着性付与剤は、ポリイソブチレン、脂肪酸のモノ−およびジグリセリド、低分子量非晶質ポリプロピレン、テルペン樹脂およびロジンエステルを含む。
【0008】
これらの粘着性付与剤はフィルム内で移行性である傾向があり、そしてフィルム加工時のダイリップビルドアップおよび梱包操作時の装置上の他の望ましくない蓄積を引き起こす可能性があり、クリーニングおよびメンンテンスのための周期的な操作の停止を必要とする。更には、これらは移行性であるので、隣接したフィルム層および他のフィルム層(および隣接したフィルムの剥離層の中に)にしばしば移行し、両面密着フィルム構造に普通に起こる、望ましくない接着およびほこりの残留問題を引き起こす。また、粘着性付与剤は、フィルムの剥離層に移行すると、一つのユニット化された物品のパレットの隣接したユニット化されたパレットに対する密着あるいは曳引を引き起こし、輸送および取り扱いの問題を引き起こし得る。移行した粘着性付与剤により密着性がオーバーラップに付与されるために、このようなオーバーラップされた物品のパレットは隣接した物品のパレットに対して容易に摺動することができない。移行した粘着性付与剤により密着性がオーバーラップに付与されるために、傾向としては、一方のパレットのオーバーラップが隣接したパレットのオーバーラップ上で破壊的な引っ張りを起こす。このことは、延伸オーバーラップから引っ張り、そしてユニット化された物品のパレットの完全性を破壊するのに充分な力を付与することができるフォークリフトにより物品のパレットがしばしば動かされる、卸売りおよび小売り物品流通センターにおいて問題であり得る。
【0009】
更には、粘着性付与剤は、高価であり、そしてフィルム構造物全体のコストを増加させる傾向がある。移行性の粘着性付与剤は片面延伸密着フィルム構造物での使用が困難である傾向がある。特に関心のもたれることとして、粘着性付与剤の移行は、フィルムが製造されてからの時間、フィルムが製造され、そして貯蔵された温度、添加されるベース樹脂の分子特性(分子量などの)および巻き出し張力などの物品のオーバーラップに使用される加工条件に敏感である。これらは、製造、貯蔵および使用時の性質に基づいて多様に異なる密着性を呈するフィルムを生じる。これは、また、密着層に異なるベースポリエチレン樹脂を使用するように設計されている種々の異なる片面延伸密着フィルムの製造に単一の粘着性付与剤を使用することも困難とする。粘着性付与剤は、通常、低分子量で非晶質であるので、通常の熱可塑性フィルム成形操作の文脈(context)において取り扱いが困難であり、特殊な取り扱い装置を必要とし、片面延伸密着フィルムの製造に複雑性の付加を必要とする。粘着性付与剤の移行に対してバリアーとして作用する熱可塑性樹脂を含んでなる更なる層が密着層と剥離層の間に設置可能である。しかしながら、この更なる層はこのフィルムの製造のコストおよび複雑性を更に付加する。
【0010】
密着層が機能化されたポリマー(functionalized polymer)、例えばエチレンアクリレートおよび/またはエチレンビニルアセテートコポリマーを含んでなる片面延伸密着フィルムが開示された。この機能化されたポリマーはこのフィルムの密着性を改善する傾向がある一方で、ベース樹脂と非相溶性である傾向もあり、密着層の大部分を構成する。この非相溶性はポリエチレンとの共押し出しにおける流動性マッチングの問題ならびに熱不安定性を生じる可能性がある。加えて、これらの機能化されたポリマーは、フィルム加工工程時に生じるエッジトリミングおよびフィルムスクラップの再循環時に非相溶性の問題を生じる可能性がある。更には、機能化されたポリマーは高価であり、そしてフィルム製造のコストを大きく増大させる可能性がある。
【0011】
移行性の粘着性付与剤または機能化されたポリマーを含有する必要がなく、しかし片面延伸密着フィルムの密着層の中に組み込まれる場合適切な密着性をもたらすのみならず、オーバーラッピング操作時にフィルムをフィルム供給ロールから巻き出される場合、許容され得る程度に低い騒音を呈するフィルムを生じる組成物が所望される。加えて、この組成物は少なくとも0.905g/ccの密度を有する少なくとも80重量パーセントのポリエチレンを含んでなるということが望ましい。更には、この組成物は、広範で多様な異なるポリエチレンベース樹脂に対して許容し得る密着性をもたらすのに有用である非移行性密着添加物を含有するということが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一つの目的は、ダイリップビルドアップおよび低分子量材料の蓄積を実質的に低減あるいは排除しながら製造可能である、片面延伸密着フィルム構造物の密着層を組み込むのに有効な組成物を提供することである。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、ダイリップビルドアップおよび低分子量材料の蓄積を実質的に低減あるいは排除しながら製造可能である、片面延伸密着フィルム構造物を提供することである。
【0014】
本発明の更なるもう一つの目的は、類似の流動性とモノマーの化学的性質を持つポリマーを含んでなり、それによってこのフィルムの共押し出し時の改善されたメルト粘度マッチングと良好なポリマー相溶性を再循環目的で促進する片面延伸密着フィルムを提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、延伸された条件下で許容し得る密着特性を呈し、そしてまたオーバーラッピング操作時に許容し得る低い騒音レベルを発生する片面延伸密着フィルムを提供することである。
【0016】
本発明のもう一つの更なる目的は、密着性を付与することができるが、移行性を呈さず、更に一貫した密着性能を経時的に示すポリマーを組み込んだ片面延伸密着フィルムを提供することである。
【0017】
定義
片面延伸密着フィルムは、実質的な密着性を呈する外側層を有する延伸性フィルムである。この層はしばしば「密着」層と呼ばれる。このフィルムのもう一方の外側層は剥離層である。剥離層は若干の密着性を呈し得るが、密着層が呈する密着性よりも低い。一般に、隣接したフィルム構造の2つの密着(A)層の間および一つのフィルムの密着(A)層とフィルムの剥離(B)層の間で測定される密着力は、一つのフィルムの剥離(B)層と隣接したフィルムの剥離(B)層の間で呈される密着力よりもずっと大きい。この片面延伸密着フィルムは、通常、物品または物品群の周りに巻き付けられて、ユニット化されたパッケージまたは「パレット」を形成する。このユニット化パッケージは、梱包手順時に延伸されるオーバーラップにより加えられる保持力により少なくとも部分的に一緒に保持される。このパッケージ物品あるいは物品群は、通常、フィルムの剥離層がフィルムの側に物品から離れて位置し、そして密着層が物品に最近接したフィルムの側に位置するように梱包される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の実施形態においては、本発明は、片面延伸密着フィルムの密着層での使用に好適な組成物であって、
A.実質的にアイソタクチックのプロピレン配列を有し、プロピレンと約10〜約33モル%のアルファオレフィンから誘導される単位を含んでなり、50g/10分未満のメルトフローレートを有する、0.1〜20重量%のプロピレンをベースとしたコポリマー;および
B.少なくとも0.905g/ccの密度を有する約80〜約99重量%のエチレンをベースとしたコポリマー
を含んでなり、この組成物から製造されるフィルムがASTM D−5458−95により測定して1インチ当たり少なくとも70グラムの力の密着層・剥離層の密着性、巻き出し操作時に87dB未満の騒音レベルを呈し、そしてASTM D−882により測定して少なくとも3MPAのモジュラスを有するものである。
【0019】
第2の実施形態においては、本発明は、片面延伸密着フィルムの密着層での使用に好適な組成物であって、
A.実質的にアイソタクチックのプロピレン配列を有し、プロピレンと約10〜約17モル%のエチレンから誘導される単位を含んでなり、約3〜約18g/10分のメルトフローレートを有し、そして約25ジュール/グラム未満の融解熱を呈する、4〜12重量%のプロピレンをベースとしたコポリマー;および
B.少なくとも0.917g/ccの密度と約2〜約12g/10分のメルトインデックスを有する約88〜約96重量%のエチレン/1−オクテンコポリマーを含んでなる
ものである。
【0020】
第3の実施形態においては、本発明は片面延伸フィルムであって、
A.(1)実質的にアイソタクチックのプロピレン配列を有し、プロピレンと約10〜約33モル%のアルファオレフィンから誘導される単位を含んでなり、50g/10分未満のメルトフローレートを有する、0.1〜20重量%のプロピレンをベースとしたコポリマーと、
(2)少なくとも0.905g/ccの密度を有する、約80〜約99重量%のエチレンをベースとしたコポリマーを含んでなる密着層;および
B.少なくとも0.905g/ccの密度を有するポリエチレンを含んでなる剥離層
を含んでなり、このフィルムがASTM D−5458−95により測定して1インチ当たり少なくとも70グラムの力の密着層・剥離層の密着性、巻き出し操作時に87dB未満の騒音レベルを呈し、そしてASTM D−882により求めて少なくとも3MPAのモジュラスを有する
ものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
密着層用のポリエチレン
密着層で使用されるポリエチレンは、好ましくはエチレンとアルファ−オレフィンのコモノマーから誘導される単位のコポリマーであり、そして好ましくは少なくとも0.905g/ccの、更に好ましくは少なくとも0.910g/ccの、なお更に好ましくは少なくとも0.915g/ccの、最も好ましくは少なくとも0.917g/ccの、そして極めて高モジュラスフィルムが望ましいようないくつかの場合には好ましくは少なくとも0.920g/ccの密度を有する。本発明で使用されるポリマーの密度はASTM D−792により測定される。
【0022】
好まれるアルファ−オレフインコモノマーは、C3〜Cl0アルファ−オレフイン、更に好ましくはC4−C8アルファ−オレフイン、なお更に好ましくはC4、C5、C6およびC8アルファ−オレフイン、最も好ましくは1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンである。フィルム強度の性質(例えば、引き裂き抵抗、破裂抵抗、保持力およびダート衝撃強度)が卓越していることにより、このポリエチレンコポリマーは、好ましくは気相、溶液または当業者には既知のスラリーポリマー製造法を用いて製造される直鎖ポリエチレンである。密着層に有用なポリエチレンの例は、The Dow Chemical Companyから商品名「AFFINITY」で入手できるエチレン/1−オクテンの実質的に直鎖のコポリマー、The Dow Chemical Companyから商品名「DOWLEX」で入手できるエチレン/1−オクテンおよびエチレン/1−ヘキセン直鎖コポリマー、The Dow Chemical Companyから商品名「ATTANE」で入手できるエチレン/1−オクテン直鎖コポリマー、The Dow Chemical Companyから商品名「ELITE」で入手できるエンハンスドポリエチレンのエチレン/1−オクテン(ethylene/1-octene enhanced polyethylene)、Polimeri Europaから商品名「CLEARFLEX」および「FLEXIRENE」で入手できるエチレンベースのコポリマー、Exxon Mobil Chemicalから商品名「Escorene」、「Exact」および「Exceed」で入手できるエチレン/アルファ−オレフインコポリマー、BP Petrochemicalsから商品名「INNOVEX」で入手できるエチレン/アルファ−オレフインコポリマー、Basellから商品名「TUFLEXEN」および「LUPOLEX」で入手できるエチレン/アルファ−オレフインコポリマー、DSMから商品名「STAMYLEX」で入手できるエチレン/アルファ−オレフインコポリマー、およびSabicから商品名「LADENE」で入手できるエチレン/アルファ−オレフインコポリマーである。
【0023】
密着層中で有用なポリエチレンのメルトインデックス(「MI」)は、片面延伸密着フィルムの製造への使用に意図される方法に依存する。一般に、通常のメルトインデックスは0.1〜20g/10分である。当業者には既知のブローフィルム製造法を用いて製造されるフィルムに対しては、メルトインデックスは、好ましくは0.3〜9g/10分、更に好ましくは0.5〜6g/10分、最も好ましくは1〜3g/10分である。当業者には既知のキャストフィルム製造法を用いて製造されるフィルムに対しては、メルトインデックスは好ましくは1〜15g/10分、更に好ましくは2〜12g/10分、最も好ましくは3〜8g/10分である。メルトインデックス(MI)測定は、「条件E」として以前には知られ、そしてI2としても知られているASTM D−1238、条件190℃/2.16キログラム(kg)重量により行われる。メルトインデックスはこのポリマーの分子量に逆比例する。このように、関係は直線的ではないが、分子量が大きいほど、メルトインデックスは小さい。
【0024】
剥離層用のベースポリマー
剥離(B)層用のポリマーはこのフィルム構造物に剥離(時には、「滑り」と呼ばれる)表面を付与する。充分な剥離性をもたらすいかなる熱可塑性樹脂またはこれらのブレンドも使用可能である一方で、ポリオレフィンが好ましくはこの層中で使用される。更に好ましくは、ポリエチレンがこの層中で使用される。取り扱い、製造およびリサイクル性が容易であるために、剥離層中で使用されるポリエチレンは密着層および使用される場合にはコア(C)層中で使用されるポリエチレンと同一であるか、あるいは類似である。このことはスクラップをリサイクルするのに特に有用である。高い延伸力およびモジュラスを有する片面延伸密着フィルムに対しては、好ましくは少なくとも0.917g/ccの、更に好ましくは少なくとも0.920g/ccの、そしていくつかの場合には好ましくは少なくとも0.925g/ccの密度を有するポリエチレンが使用される。
【0025】
プロピレンをベースとしたコポリマー
このプロピレンをベースとしたコポリマーは、密着層に使用され得る全ポリマー組成物の0.1〜20重量パーセントを占める。好ましくは、このプロピレンをベースとしたコポリマーは、密着層に使用され得る全ポリマー組成物の1〜15重量パーセント、更に好ましくは全ポリマー組成物の3〜12重量パーセント、更に好ましくは4〜12重量パーセントを占める。
【0026】
本発明のプロピレンをベースとしたコポリマーは実質的にアイソタクチックのプロピレン配列を有するとして特徴付けられる。「実質的にアイソタクチックのプロピレン配列」および類似の用語は、この配列が13CNMRにより測定して、約0.85以上の、好ましくは約0.90以上の、更に好ましくは約0.92以上の、そして最も好ましくは約0.93以上のアイソタクチックトライアッド(mm)(isotactic triad)を有するということを意味する。アイソタクチックトライアッドは当分野でよく知られ、そして、例えばアイソタクチック配列に13CNMRスペクトルにより求められるコポリマー分子鎖中のトライアッド単位として言及している、米国特許第5,504,172号およびWO00/01745で記述されている。NMRスペクトルは下記で述べるように求められる。
【0027】
本発明のプロピレンをベースとしたコポリマーは50g/10分未満のメルトフローレート(MFR)を有し、これは100,000よりも大きい重量平均分子量(Mw)に相関する。比較的高いアイソタクチックインデックス、比較的低いメルトフローレート(比較的高い重量平均分子量に対応する)、および好ましくは少なくとも1重量パーセントの結晶性(少なくとも1.65ジュール/グラムの融解熱)、更に好ましくは少なくとも2重量パーセントの結晶性(少なくとも3.3ジュール/グラムの融解熱)の結晶性の組み合わせは、大多数のフィルム加工条件の下で非移行性であるプロピレンをベースとしたポリマーを生成すると考えられる。この非移行性の性状は、この密着層の密着性が経時的に比較的一定であり、そしてこのフィルムの製造に使用される加工条件またはユニット化対象の物品群のオーバーラップに使用される条件に大きく依存しない片面延伸密着フィルム構造物を生じる。加えて、このプロピレンをベースとしたコポリマーの非移行性の性状によって、このポリマーを種々のポリエチレンと容易にブレンドすることが可能となり、このポリマーを種々の異なるフィルム設計の中に組み込むこと、そしてなお、この片面延伸密着フィルムが優れた密着性を呈し、そしてパレットオーバーラッピング操作で使用する場合低騒音を発生することが可能となる。
【0028】
増進された密着性をもたらすためには、結晶性は、下記に述べるDSC法にしたがって求めて、好ましくは40重量パーセント未満(69ジュール/グラム未満の融解熱)、更に好ましくは30重量パーセント未満(51ジュール/グラム未満の融解熱)、なお更に好ましくは15重量パーセント未満(25ジュール/グラム未満の融解熱)であり、そして取り扱いが問題でない(すなわち、粘着性ポリマーが使用可能である)場合には、好ましくは7重量パーセント未満(11ジュール/グラム未満の融解熱)、なお更に好ましくは5重量パーセント未満(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)である。
【0029】
本発明のプロピレンをベースとしたコポリマーは、プロピレンから誘導される単位とアルファ−オレフインから誘導されるポリマー単位からなる。このプロピレンをベースとしたコポリマーの製造に使用される好まれるコモノマーは、C2およびC4〜C10アルファ−オレフイン、好ましくはC2、C4、C6およびC8アルファ−オレフイン、最も好ましくはエチレンである。
【0030】
本発明のプロピレンをベースとしたコポリマーは、好ましくは10〜33モルパーセントのアルファ−オレフインコモノマーから誘導される単位、更に好ましくは13〜27モルパーセントのアルファ−オレフインコモノマーから誘導される単位を含んでなる。エチレンがコモノマーである場合には、プロピレンをベースとしたコポリマーは、好ましくは7〜25重量パーセントのエチレンから誘導される単位、更に好ましくは9〜20重量パーセントのエチレンから誘導される単位、更に更に好ましくは10〜17重量パーセントのエチレンから誘導される単位、最も好ましくは11〜16重量パーセントのエチレンから誘導される単位を含んでなる。
【0031】
13CNMRスペクトル法は、ポリマーの中へのコモノマー組み込みを測定し、そしてプロピレンをベースとしたコポリマー中のアイソタクチックトライアッドレベルを測定する当分野で既知の多数の方法の一つである。この方法の例は、エチレン/α−オレフィンコポリマーに対してコモノマー含量を定量するために、Randall(Journal of Macromolecular Science,Reviews in Macromolecular Chemistry and Physics,C29(2&3),201-317(1989))で記述されている。オレフィンインターポリマーのコモノマー含量を求めるための基本的な手順は、この試料中の異なる炭素に対応するこのピークの強度がこの試料中の寄与する核の全数に直接比例する条件下でこの13CNMRスペクトルを取得することを包含する。この比例性を確保する方法は当分野で既知であり、そしてパルス後の緩和のための充分な時間に対する余裕、ゲート付きデカップリング法の使用、緩和試剤などを含む。ピークまたはピーク群の相対強度はこのコンピューターで生成した積分値から実際に得られる。スペクトルを取得し、そしてこのピークを積分した後、このコモノマーに関連するピークを帰属する。この帰属は、既知のスペクトルまたは文献を参照することにより、あるいはモデル化合物の合成および分析により、あるいはアイソトープでラベルされたコモノマーの使用により実施可能である。例えばRandallで記述されているように、このインターポリマー中の全部のモノマーのモル数に対応する積分値に対するコモノマーのモル数に対応する積分値の比によりモル%コモノマーが定量可能である。
【0032】
このデータは、Varian UNITY Plus400MHz NMRスペクトロメーターを用いて100.4MHzの13C共鳴周波数に対応して収集される。取得パラメーターは、緩和試剤の存在下で定量的な13Cデータ取得を確実にするように選択される。このデータは、ゲート付き1Hデカップリング、1データファイル当たり4000遷移、7秒パルス繰り返し遅延、24,200Hzのスペクトル幅および32Kデータポイントのファイルサイズを用いて、130℃まで加熱されたプローブヘッドにより取得される。アセチルアセトナートクロム(緩和試剤)中0.025Mであるテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンのほぼ3mLの50/50混合物を10mmNMR管中で0.4gの試料に添加することにより、この試料を調製する。この管のヘッドスペースを純粋な窒素により置換することにより酸素をパージする。管とこの内容物を150℃まで加熱し、加熱ガンにより周期的な還流を開始することにより、この試料を溶解し、均質化する。
【0033】
データ収集に続いて、このケミカルシフトを21.90ppmのmmmmペンタッド(pentad)に対して内部参照する。
【0034】
プロピレン−エチレンコポリマーに対しては、次の手順を使用して、このポリマー中のモルパーセントエチレンを計算する。積分領域が次の通り決定される。


【0035】
上記の2つの方法の値(トライアッド和および代数和)は通常変わらないが、C2値をこの2つの平均として計算する。当業者ならば、このプロピレン−エチレンコポリマー中のエチレンから誘導される単位の重量パーセントをモルパーセントエチレンに対する値から計算することができる。
【0036】
本発明の特に好まれる態様においては、本発明で使用されるプロピレンをベースとしたコポリマーは、このような触媒に関する教示のために引用により本明細書に全体で組み込まれている、2002年5月5日出願の米国特許出願連続番号10/139,786(WO03/040201)で述べられているような非メタロセンで金属中心のヘテロアリール配位子触媒を用いて製造されるプロピレン−エチレンコポリマーを含んでなる。このような触媒に対しては、用語「ヘテロアリール」は置換ヘテロアリールを含む。このような非メタロセンで金属中心のヘテロアリール配位子触媒の例は実施例で述べられる触媒Aである。このような非メタロセンで金属中心のヘテロアリール配位子触媒により製造されるプロピレン−エチレンコポリマーは特異なレジオ−エラーを呈する。このレジオ−エラーは、プロピレン単位の成長ポリマー鎖への立体選択的2,1−挿入エラーの結果であると考えられる、約14.6および約15.7ppmに対応する13CNMRピークにより同定される。この特に好まれる態様においては、これらのピークはほぼ等しい強度のものであり、通常、ホモポリマーあるいはコポリマー鎖の中へのプロピレン挿入の約0.02〜約7モルパーセントを占める。
【0037】
いくつかの13CNMRスペクトルの比較は、本発明の特に好まれる態様で好ましくは使用されるプロピレン−エチレンコポリマーの特異なレジオ−エラーを更に例示する。図1および2は、実施例で使用されるプロピレン−エチレンコポリマーに類似のプロピレン−エチレンコポリマーのスペクトルである。各ポリマーのスペクトルは、高度のアイソタクチック性(13CNMRにより測定して0.94よりも大きいアイソタクチックトライアッド(mm))と、これらのプロピレン−エチレンベースのコポリマーの特異なレジオ−エラーを示している。図3の13CNMRスペクトルはメタロセン触媒を用いて製造されるプロピレン−エチレンコポリマーのものである。このスペクトルは、本発明で使用される最も好まれるプロピレン−エチレンコポリマーに特徴的なレジオ−エラー(約14.6および約15.7ppmにおける)を示していない。
【0038】
トライアッドレベル(mm)でのアイソタクチック性は、mmトライアッド(22.70−21.28ppm)、mrトライアッド(21.28−20.67ppm)およびrrトライアッド(20.67−19.74ppm)の積分値から求められる。mmアイソタクチック性は、mmトライアッドの強度をmm、mrおよびrrトライアッドの和により割ることにより求められる。エチレンコポリマーに対しては、mr領域は37.5−39ppmの積分値を差し引くことにより補正される。mm、mrおよびrrトライアッドの領域中のピークを生じる他のモノマーを含むコポリマーに対しては、これらの領域に対する積分値は、このピークが同定されたならば、標準のNMR法を用いてこの妨害ピークの強度を差し引くことにより、同様に補正される。これは、例えば種々のレベルのモノマー組み込みの一連のコポリマーの分析、文献の帰属により、同位体ラベルにより、あるいは当分野で既知の他の手段により実施可能である。
【0039】
本発明のある態様においては、このプロピレンをベースとしたコポリマーは、数平均分子量により割った重量平均分子量(Mw/Mn)により定義して3.5あるいはこれ以下の分子量分布(MWD)を有する。
【0040】
このポリマーの分子量分布は、4つの直線の混合床カラム(Polymer Laboratories(20ミクロン粒子サイズ))を備えたPolymer Laboratories PL−GPC−220高温クロマトグラフユニットによるゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC)を用いて求められる。オーブン温度は160℃であり、オートサンプラーの高温域は160℃であり、中温域は145℃である。溶剤は200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する1,2,4−トリクロロベンゼンである。この流量は1.0ミリリットル/分であり、そしてこの注入量は100マイクロリットルである。この試料の約0.2重量%の溶液は、200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する窒素パージした1,2,4−トリクロロベンゼン中でこの試料を160℃で2.5時間穏やかに混合しながら溶解させることにより注入用に調製される。
【0041】
この分子量の測定は、10個の狭い分子量分布のポリスチレン標準(580〜7,500,000g/モルの範囲にあるPolymer LaboratoriesからのEasiCalPSl)を溶離容積と関連させて使用することにより行われる。当量のプロピレン−エチレンコポリマー分子量は、ポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29,3763-3782(1984)により述べられているように)およびポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971)により述べられているように)に対して適切なMark−Houwink係数を
{N}=KMa
中で使用することにより求められる。式中、Kpp=1.90E−04、app=0.725およびKps=1.26E−04、aps=0.702である。
【0042】
示差走査熱量分析法
示差走査熱量分析法(DSC)は半結晶性ポリマーの融解および結晶化の試験に使用可能である通常の方法である。DSC測定の一般的な原理およびDSCの半結晶性ポリマーの研究への適用は標準的な教科書(例えば、E.A.Turi,ed.,Thermal Characterization of Polymeric Materials,Academic Press,1981)で述べられている。本発明の特に好まれる態様においては、プロピレン−エチレンコポリマーが本発明で使用され、そしてこのコポリマー中の不飽和コモノマーの量が増加するにしたがって本質的に同一のままに留まるTmeと、減少するTmaxを持つDSC曲線により特徴付けられる。Tmeは融解が終了する温度を意味し、そしてTmaxはピーク融解温度を意味し、当業者によれば両方とも最終加熱段階からのデータを用いてDSC分析から求められる。
【0043】
示差走査熱量分析法(DSC)の分析はモデルQ1000 DSC(TA Instruments,Inc.)を用いて求められる。このDSCの較正は次のように行われる。最初に、アルミウムDSCパン中にいかなる試料も入れずにDSCを−90℃から290℃まで行うことにより、ベースラインを得る。次に、試料を180℃まで加熱し、試料を10℃/分の冷却速度で140℃まで冷却し、続いて試料を140℃で1分間等温的に保持し、続いて試料を140℃から180℃まで10℃/分の加熱速度で加熱することにより、7ミリグラムの新しいインジウム試料を分析する。このインジウム試料の融解熱と融解の開始を求め、これらが融解の開始に対する156.6℃の0.5℃内にあり、そして融解熱に対する28.71J/gの0.5J/g内にあることをチェックする。次に、DSCパン中の新しい試料の小滴を25℃から−30℃まで10℃/分の冷却速度で冷却することにより、脱イオン水を分析する。この試料を−30℃で2分間等温的に保持し、そして30℃まで10℃/分の加熱速度で加熱する。融解の開始を求め、そしてこれが0℃から0.5℃内にあることをチェックする。
【0044】
プロピレンをベースとしたコポリマー試料を190℃の温度で薄いフィルムにプレスする。約5〜8mgの試料を秤取し、DSCパン中に入れる。蓋をパンに圧接して、密閉雰囲気を確保する。この試料パンをDSCセル中に入れ、融解温度の約30℃の温度まで約100℃/分の高い速度で加熱する。この試料をこの温度で約3分間保持する。次に、この試料を10℃/分の速度で−40℃で冷却し、そしてこの温度で3分間等温的に保持する。結果として、この試料を融解が完結するまで約10℃/分の速度で加熱する。生成するエンタルピー曲線を分析して、ピーク融解温度、結晶化開始およびピーク温度、融解熱および結晶化熱、Tmeおよび任意の関心のある他のDSC分析値を求める。融解熱を公称の重量%結晶性に変換するのに使用される係数は165J/g=100重量%結晶性である。この変換係数によれば、プロピレンをベースとしたコポリマーの全結晶性(単位:重量%結晶性)は、100%×融解熱÷165J/gとして計算される。
【0045】
この密着層に有用なプロピレンをベースとしたコポリマーのメルトフローレート(「MFR」)は、この片面延伸密着フィルムの製造への使用に意図される方法に依存する。一般に、この通常のメルトフローレートは0.1〜50g/10分である。当業者には既知のブローフィルム製造法を用いて製造されるフィルムに対しては、このメルトフローレートは、好ましくは0.5〜12g/10分、更に好ましくは1〜10g/10分、最も好ましくは2〜9g/10分である。当業者には既知のキャストフィルム製造法を用いて製造されるフィルムに対しては、このメルトフローレートは、好ましくは2〜25g/10分、更に好ましくは3〜18g/10分、最も好ましくは5〜12g/10分である。メルトフローレート(「MFR」)測定をASTM D−1238、条件230℃/2.16キログラム(kg)重量により行う。メルトインデックスのように、このメルトフローレートはこのポリマーの分子量に逆比例する。このように、関係は直線的でないが、分子量が高いほど、メルトフローレートは低い。
【0046】
片面延伸密着フィルム
本発明の片面延伸密着フィルムは、ASTM D4649−03で測定して元の未延伸の長さの100%以上、好ましくは200%以上、更に好ましくは250と450%の間で延伸可能である。本発明の片面延伸密着フィルムは、1インチ(25mm)幅のフィルム細片を傾斜した表面に取り付けた平坦なフィルムに取り付ける剥離密着の手順である、ASTM D−5458−95により測定して、少なくとも1インチ当たり70グラムの力の、好ましくは少なくとも1インチ当たり80グラムの力の、更に好ましくは少なくとも1インチ当たり100グラムの力の、なお更に好ましくは少なくとも1インチ当たり120グラムの力の、最も好ましくは少なくとも1インチ当たり150グラムの力の、そしてある場合には少なくとも1インチ当たり200グラムの力の密着層・剥離層の密着性を呈する。このフィルム細片を平坦なフィルムから除去するのに必要とされる力を測定する。この試験からの密着値を1インチ当たりのグラムの力で示す。類似のフィルム(同一組成の)のもう一つの密着層に対する本発明の片面延伸密着フィルムの密着層の密着力は、好ましくは1インチ当たり150グラムと1インチ当たり400グラムの力の間である。また、本発明の片面延伸密着フィルムは、23ミクロン厚さのフィルムを収めた500mm幅の巻き出しフィルムロールから10cmで置かれたマイクロホン(45dBの背景環境騒音レベル)により、そして110メートル/分のフィルム巻き出し速度により実施例で述べるように測定して、87dB未満のピーク騒音レベルを発生する。好ましくは、これらの条件下で、巻き出し操作時に発生する騒音レベルは、85dB未満、更に好ましくは83dB未満、なお更に好ましくは82dB未満、最も好ましくは80dB未満、そしてある場合には79dB未満である。
【0047】
この剥離層は、密着層に対するよりもそれ自身に対して低い密着性を呈する。一方の剥離層の他方の剥離層に対する密着性は、未延伸のフィルムについてASTM D−5458−95により測定して、高々1インチ当たり60グラムの力、好ましくは高々1インチ当たり20グラムの力である。好ましくは、この剥離層のそれ自身に対する摩擦係数は1以下であり、そして通常、0.15〜0.7、好ましくは0.25〜0.5の範囲にある。剥離層の低摩擦係数および非密着挙動は、このフィルムにより梱包される製品が相互に接触するか、あるいは摺動する場合に特に望ましい。驚くべきことには、少量のプロピレンベースのコポリマーが剥離層の性質および/または剥離層と密着層の間の相互作用に悪影響を及ぼさずに、剥離層の中に組み込まれ得るということが見出された。特に、剥離性に悪影響を及ぼさずに密着層と剥離層の間の密着性を増大させることが望ましい場合、2重量%までのプロピレンをベースとしたコポリマー、好ましくは非メタロセンで金属中心のヘテロアリール配位子触媒により上述のように製造されるプロピレン−エチレンコポリマーがこの剥離層の中に組み込まれ得る。
【0048】
本発明の片面延伸密着フィルムは、通常、ASTM D−882で測定して約3〜15MPaのマシン方向(「MD」)の引っ張り強さを呈する。好ましくは、このマシン方向の引っ張り強さは、少なくとも6MPa、更に好ましくは少なくとも7MPa、なお更に好ましくは少なくとも8MPa、最も好ましくは少なくとも9Mpa、そして引っ張り強さが特に重要であるいくつかの場合(極端なゲージダウンが望ましい場合、および/または極端な保持力の発現能のあるフィルムを使用することが望ましい場合などの)には少なくとも15MPaである。
【0049】
本発明の多層片面延伸密着フィルムは、任意のフィルム積層および/または共押し出し法により、そして当分野で既知の任意のブローあるいはキャストフィルム押し出しおよび積層装置を使用してA/BおよびA/C/Bタイプのフィルム構造を含む2つ以上のフィルム層から構成され得る。この好まれる多層フィルム構造は、共押し出し法を用いて、更に好ましくはキャスト共押し出し法により製造される。製造が単純で、容易であるために、A/Bタイプのフィルム構造が好まれる。本発明に対する慣用によって、Aは本明細書で例示されるA/BおよびA/C/B構造中の密着層を指す。剥離層はBと表記される。
【0050】
使用される場合には、C層は、A/Bフィルム構造と比較して、このフィルム構造の一部の性質を改変するのに使用される1又はそれ以上の更なる層を含んでなることができる。多数の商用のフィルム構造において、C層はフィルム全体の主要部分であり、通常、構造全体の30重量パーセント以上、更に好ましくは50〜70重量パーセントそして最も好ましくは60〜90重量パーセントを増加させる。一般に、コア(C)層に選択される材料は、生成する片面延伸密着フィルムの全体の機械的性質に大きな影響をおよぼすことができる。コア(C)層に選択されるポリマーは、通常、ポリエチレンポリマーである。延伸時に大きな保持力を発現するために高剛性フィルムが望ましい場合には、高結晶性エチレンコポリマー(少なくとも0.917g/ccの、好ましくは少なくとも0.920g/ccの、更に好ましくは少なくとも0.925g/ccの密度を有する)がコア層中で使用される。柔軟なフィルムが望ましい場合には、低結晶性エチレンコポリマー(0.88〜0.915の密度を有する)がコア層中で使用される。コアに低結晶性コポリマーを使用することによって、靭性と弾性性能が改善されるが、保持力が低いフィルムも得られる。
【0051】
C層は密着層(A)と剥離層(B)により包み込まれるので、広範で多様なポリマーがこのコア層中で使用可能であり、層AおよびBの密着および剥離性を妨害せずに、フィルムの選択された性質を改善するように選択され得る。また、コア層を使用することによって、フィルム加工工程からのフィルムをトリミングおよびスクラップしたものを密着および剥離層の性質に悪影響を及ぼさずに、コア層の中にリサイクルして戻すことが可能になる。リサイクルの目的で、同一あるいは類似のポリエチレン樹脂をA、BおよびC層中で使用することが好ましい。
【0052】
本発明の片面延伸密着フィルムの個々層の本来的な密着および非密着性により、密着あるいは非密着性を付与するのに密着層と非密着層中に添加物、例えば低分子量粘着性付与剤または滑剤およびブロキング防止剤を含めることは必要でない。好ましくは、このフィルムは、このような添加物を本質的に含まず、これと関連する問題は回避される。このような添加物を「本質的に含まない」とは、存在する場合には、このような添加物の量がこのフィルムの密着あるいは非密着性が認識し得るほど変化しないようなものであるという意味である。例えば、フィルムの性状に依って、密着および/または密着防止添加物は、このフィルム中のポリマーの全重量基準で500ppm未満の、通常、これよりもかなり少ない量で、例えばこのフィルムを含んでなるポリマーの全重量基準で100ppm未満の、あるいは50ppm未満の量で存在し得る。滑剤およびブロキング防止剤添加物が存在し得る例は、出荷時にこのポリマーのブロッキングを低下させるようにこのような添加物をこのプロピレンをベースとしたコポリマーおよび/またはポリエチレンに添加する場合である。このタイプのシナリオにおいては、滑剤および/またはブロキング防止剤添加物は上述の低レベルではあるが最終フィルム中に存在する。
【0053】
もう一つの好ましくない態様においては、B層の剥離性を改善するために、ブロキング防止剤および/または滑剤添加物が剥離層に添加され得る。ブロキング防止剤添加物の非限定的な例はCaCO3および/またはSiO2に基づく配合物を含む。滑剤添加物の非限定的な例はエルカアミドおよび/またはオレアミドに基づく配合物を含む。添加される場合には、これらのブロキング防止剤および/または滑剤添加物は、本明細書で述べるように密着層の剥離層への密着性に悪影響を及ぼさないレベルのものでなければならない。
【0054】
ブロキング防止剤および/または滑剤添加物に加えて、このフィルムの所望の性質を改善するために、他の添加物、例えば充填剤(鉱物質粒子、リトポン配合物)、顔料(TiO2粒子)および機能性添加物(functional additives)(例えば、帯電防止性配合物)が剥離層および/またはコア層に添加され得る。これらの更なる添加物は剥離層に対して剥離性も与え得る。
【0055】
しかしながら、本発明の片面延伸密着フィルム中にこのフィルムの他の性質を変化させる添加物、例えば酸化防止剤、フリーラジカル掃去剤、着色剤および他の加工助剤を含めることが望ましいことがある。
【0056】
好適なブローフィルム法は、例えばThe Encyclopedia of Chemical Technology,Kirk-Othmer,Third Edition,John Wiley & Sons,New York,1981,Vol.16,pp.416-417 and Vol.18,pp.191-192に記述されている。好適なキャスト押し出し法は、例えばModern Plastics Mid-October 1989 Encyclopedia Issue,Volume 66,Number 11,pages 256-257に記述されている。好適な共押し出し法および要求は、Tom I.Butler in Film Extrusion Manual:Process,Materials,Properties,「Coextrusion」,Ch.4,pp.31-80,TAPPI Press(Atlanta,GA.1992)に記述されている。
【0057】
この多層フィルムの全体のフィルム厚さは、通常、0.4〜2ミル(10ミクロン〜51ミクロン)、好ましくは0.6〜1.5ミル(15ミクロン〜38ミクロン)の範囲、そして更に好ましくは0.66〜1.0ミル(17ミクロン〜25ミクロン)の範囲である。
【0058】
本発明のA/BおよびA/C/Bの多層フィルムの層比は、通常、1:5〜5:1の比のA層:B層(A:B)、好ましくは1:3〜3:1の(A:B)、更に好ましくは1.2:1〜1:1.2の(A:B)そして最も好ましくは1.1:1〜1:1.1の(A:B)である。
【0059】
物品のオーバーラップパッケージング、特にパレットロードのユニット化への片面延伸密着フィルムの使用は重要な商用の最終使用用途である。回転プラットフォームの上に包装対象のパレットロードを置くことを含む、このような片面延伸密着フィルムを用いる種々のオーバーラップ法が使用される。パレットロードの周囲にこの延伸梱包フィルムを置いて、パレットロードをプラットフォーム上で回転させる。片面延伸密着フィルムを連続フィルムロールから巻き付ける。このフィルムが回転するパレットロードにより連続的に延伸されるように、ブレーキ張力をフィルムの連続ロールにかける。通常、回転するパレットロードに隣接して置かれた片面延伸密着フィルムを垂直に位置決めし、そしてこの回転するプラットフォームまたはターンテーブルを1分当たり約5〜約50回転の範囲の速度で運転する。オーバーラップ操作が完結したならば、フィルムを切断し、そしてタックシール、接着テープ、スプレー接着剤、加圧シールなどを使用することにより、フィルムの前の層に取り付けながら、ターンテーブルを停止する。片面延伸密着フィルムロールの幅に依って、垂直に位置決めされたフィルムロールが垂直の位置に固定されている間に、あるいはロードがオーバーラップされ、それによってらせん梱包効果がパッケージされた物品上で得られるにしたがって、垂直に位置決めされたフィルムロール(例えば比較的狭いフィルム幅と比較的幅広のパレットロードの場合)が垂直に動くように配列され得る間に、オーバーラップされるロードをフィルム中に包み込むことができる。パレットユニット化法の更なる例は、パレットユニット化法に関して引用によりこの明細書に組み込まれている、米国特許3,986,611および第4,050,221号に記述されている。
【0060】
パレットロードのユニット化に加えて、片面延伸密着フィルムの更なる使用は、貯蔵生牧草ベールおよび金属および紙リールの梱包、木材、プラスチックおよび金属でできた段ボールおよびプラスッチックトレーおよびプロファイルの照合梱包を含む。
【実施例】
【0061】
この実施例で開示されるポリマーは次のものである。P−E1は下記に述べるように製造されるプロピレン−エチレンコポリマーであり、12重量パーセントのエチレンから誘導される単位を含有し、8g/10分のメルトフローレートを有する。このコポリマーは21.5ジュール/グラムの融解熱を呈し、これは13重量%の結晶性と3のMWDに相当する。このプロピレン−エチレンコポリマーは0.96のトライアッドアイソタクチック性(mm)を呈した。
【0062】
P−E2は下記に述べるように製造されるプロピレン−エチレンコポリマーであり、15重量パーセントのエチレンから誘導される単位を含有し、8g/10分のメルトフローレートを有する。このコポリマーは8.0ジュール/グラムの融解熱を呈し、これは5重量%の結晶性と3のMWDに相当する。このプロピレン−エチレンコポリマーは0.96のトライアッドアイソタクチック性(mm)を呈した。
【0063】
DOWLEX SC2107は2.3g/10分のメルトインデックスと0.917g/ccの密度を有し、The Dow Chemical Companyから入手し得るエチレン/1−オクテンコポリマーである。
【0064】
CLEARFLEX CLDOは3g/10分のメルトインデックスと0.90g/ccの密度を有し、Polimeri Europaから入手し得るエチレン/アルファ−オレフインコポリマーである。
【0065】
触媒A
触媒Aの合成
ハフニウム、[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2−(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1−ナフタレニル−κ−C2)−2−ピリジンメタナミナト(2−)−κN1,κN2]ジメチル−
【化1】

a)2−ホルミル−6−ブロモピリジン.
この化合物を文献Tetrahedron Lett.,(2001)42,4841の手順にしたがって合成する。
【0066】
b)6−ブロモ−2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミノピリジン)
乾燥した500mLの3口丸底フラスコに0.3nmの孔サイズのモレキュラーシーブ(6g)と80mgのp−TsOHを含有する500mLの無水トルエン中の2−ホルミル−6−ブロモピリジン(72.1g、383ミリモル)と2,6−ジイソプロピルアニリン(72.5g、383ミリモル)の溶液を装填する。この反応器にコンデンサー、オーバーヘッドメカニカルスターラーおよび熱電対ウエルを備える。この混合物をN2下70℃で12時間加熱する。濾過し、揮発物を減圧下で除去した後、褐色のオイルを単離する。収量は109g、81.9パーセントであった。
GC/MS346(M+)、331、289、189、173、159、147、131、116、103、91、78
【0067】
c)6−(1−ナフチル)−2−[(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミノ]ピリジン.
ナフチルボロン酸(54.5g、316ミリモル)とNa2CO3(83.9g、792ミリモル)を200mLの脱ガスされた1:1H2O/EtOHに溶解する。この溶液を6−ブロモ−2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−イミノピリジン(109g、316ミリモル)のトルエン溶液(500mL)に添加する。ドライボックス内で、1g(0.86ミリモル)のテトラキス(トリフェニル−ホスフィン)パラジウム(0)を50mLの脱ガスされたトルエンに溶解する。この溶液をドライボックスから取り出し、そしてN2でパージされた反応器の中に装填する。この二層溶液を激しく撹拌し、そして70℃で4〜12時間加熱する。室温まで冷却した後、有機相を分離し、水層をトルエン(3×75mL)により洗浄し、合体された有機抽出物をH2O(3×200mL)により洗浄し、そしてMgSO4上で乾燥する。揮発物を減圧下で除去した後、生成する淡黄色オイルをメタノールから再結晶化により精製して、黄色固体を得る。
収量109g、87.2パーセント;mp142〜144℃
1HNMR(CDCl3)δ1.3(d,12H)、3.14(m,2H)、7.26(m,3H)、7.5−7.6(m,5H)、7.75−7.8(m,3H)、8.02(m,1H)、8.48(m,2H)。
13CNMR(CDCl3)δ23.96、28.5、119.93、123.50、124.93、125.88、125.94、126.49、127.04、127.24、128.18、128.94、129.7、131.58、134.5、137.56、137.63、138.34、148.93、154.83、159.66、163.86。
GC/MS396(M+)、380、351、337、220、207、189、147。
【0068】
d)2−イソプロピルフェニルリチウム
不活性雰囲気グローブボックス内で、n−ブチルリチウム(52.5ミリモル、21mLの2.5Mヘキサン中)を2−イソプロピルブロモベンゼン(9.8g、49.2ミリモル)のエーテル溶液(50mL)に添加漏斗により35〜45分間にわたって添加する。添加が完了した後、この混合物を外周温度で4時間撹拌する。次に、このエーテル溶剤を真空下で一夜除去する。翌日ヘキサンを残存する白色固体に添加し、そしてこの混合物を濾過し、更なるヘキサンにより洗浄し、次に真空乾燥する。2−イソプロピルフェニルリチウム(4.98g、39.52ミリモル)を明るい白色粉末として捕集する。生成物の第2の収量(0.22g)を元のヘキサン濾液の第2の濾過から後で得る。
1HNMR(d8−THF)δ1.17(d,J=6.8Hz、6H)、2.91(セプテット,J=6.8,1H)、6.62−6.69(マルチプレット,2H)、6.77(d,J=7.3Hz,1H)、7.69(マルチプレット,1H)。
13CNMR(d8−THF)δ25.99、41.41、120.19、122.73、122.94、142.86、160.73、189.97。
【0069】
e)2−ピリジンメタナミン,N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2−(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1−ナフタレニル).
イミン、段階c)の6−(1−ナフチル)−2−[(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミノ]ピリジン(2.20g、5.6ミリモル)を60〜70mLの乾燥エーテル中でスラリーとして窒素雰囲気下で磁気撹拌する。注射器を用いて2−イソプロピルフェニルリチウム(1.21g、9.67ミリモル、25mLの乾燥エーテル中)のエーテル溶液を4〜5分間にわたってゆっくりと添加する。添加が完了した後、少量の試料を取り出し、1NのNH4Clによりクエンチし、そして有機層を高圧液体クロマトグラフ法(HPLC)により分析して、出発材料の完全な消費についてチェックする。1NのNH4Cl(10mL)を注意深く、ゆっくりと添加することにより、この反応物の残りをクエンチする。この混合物を更なるエーテルにより希釈し、そして有機層を塩水により2回洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、そして減圧下で溶剤を除去する。濃赤色オイルとして得られる粗生成物(2.92g;理論収量=2.87g)を更なる精製無しで使用する。
1HNMR(CDCl3)δ0.96(d,J=6.6Hz,3H)、1.006(d,J=6.8Hz,3H)、1.012(d,J=6.8Hz,6H)、1.064(d,J=6.8Hz,6H)、3.21−3.34(マルチプレット,−3H)、4.87(brs,NH)、5.72(s,1H)、6.98(d,J=7.6Hz,1H)7.00−7.20(マルチプレット,7H)、7.23−7.29(マルチプレット,4H)、7.51(d,J=7.1Hz,1H)、7.60−7.65(マルチプレット,2H)、7.75(マルチプレット,1H)、8.18(マルチプレット,1H)。
13CNMR(CDCl3)δ23.80、24.21、24.24、24.36、28.10、28.81、67.08、120.20、122.92、123.96、124.42、125.35、125.81、126.01、126.28、126.52、126.58、126.65、127.80、128.52、128.62、129.25、131.82、134.52、136.81、138.82、140.94、143.37、143.41、146.66、159.05、162.97。
【0070】
f)ハフニウム,[N−[2,6−ビス(1−メチルエチル)フェニル]−α−[2−(1−メチルエチル)フェニル]−6−(1−ナフタレニル−κ−C2)−2−ピリジンメタナミナト(2−)−κN1,κN2]ジメチル−
30mLのトルエンに溶解した8.89ミリモルの段階e)からの配位子をガラスジャーに装填する。この溶液に8.98ミリモルのn−BuLi(2.5M溶液ヘキサン中)を注射器により添加する。この溶液を1時間撹拌し、次に8.89ミリモルの固体HfCl4を添加する。このジャーを空気冷却還流コンデンサーによりキャップし、そしてこの混合物を還流において1時間加熱する。冷却後、31.1ミリモルのMeMgBr(3.5当量、3.0M溶液ジエチルエーテル中)を注射器により添加し、そして生成する混合物を外周温度で一夜撹拌する。ドライボックスに取り付けた真空系を用いて、溶剤(トルエン、ヘキサンおよびジエチルエーテル)を反応混合物から除去する。トルエン(30mL)を残渣に添加し、そしてこの混合物を濾過し、そして残渣(マグネシウム塩)を更なるトルエン(30mL)により洗浄する。溶剤をこの合体されたトルエン溶液から真空により除去し、そしてヘキサンを添加し、次に真空により除去する。ヘキサンを再び添加し、そして生成するスラリーを濾過し、そして生成物をペンタンにより洗浄して、所望の生成物を黄色粉末として得る。
1HNMR(C66):δ8.58(d,J=7.8Hz,1H)、8.25(d,J=8.4Hz,1H)、7.82(d,J=7.5Hz,1H)、7.72(d,J=6.9Hz,1H)、7.50(d,J=8.1Hz,1H)、7.36−7.27(マルチプレット,3H)、7.19−6.99(マルチプレット,7H)、6.82(t,J=8.1Hz,1H)、6.57(s,1H)、6.55(d,J=7.8Hz,1H)、3.83(セプテット,J=6.9Hz,1H)、3.37(セプテット,J=6.9Hz,1H)、2.89(セプテット,J=6.9Hz,1H)、1.38(d,J=6.6Hz,3H)、1.37(d,J=6.9Hz,3H)、1.17(d,J=6.9Hz,3H)、1.15(d,J=7.2Hz,3H)、0.96(s,3H)、0.70(s,3H)、0.69(d,J=5.4Hz,3H)、0.39(d,J=6.9Hz,3H)。
【0071】
プロピレン−エチレン連続ループ溶液共重合の一般的な方法
実施例1〜24(P−E1、P−E2、およびP−E3)のプロピレン−エチレンコポリマーを次の手順により製造する。触媒Aを使用して、実施例1〜24のすべてのプロピレン−エチレンコポリマーを製造する。
【0072】
この重合法は発熱性である。重合されるプロピレン1ポンド当たり〜900BTUが放出され、そして重合されるエチレン1ポンド当たり〜1,500BTUが放出される。主要な工程設計の考慮は反応熱をいかに除去するかである。実施例1〜24のプロピレン−エチレンコポリマーは3"のループパイプに加えて2つの熱交換器からなる低圧の溶液重合ループ反応器中で製造され、全容積は31.4ガロンである。溶剤とモノマー(プロピレン)をこの反応器の中に液体として注入する。コモノマー(エチレン)ガスをこの液体溶剤中に完全に溶解させる。反応器の中に注入する前にこのフィードを5℃まで冷却する。この反応器を18重量%に等しいポリマー濃度で運転する。この溶液の断熱的な温度上昇は重合反応からの熱除去の一部を占める。この反応器内の熱交換器を使用して、残存する反応熱を除去し、105℃での反応器温度制御が可能となる。
【0073】
使用される溶剤はIsopar Eと呼ばれExxonから購入される高純度のイソ−パラフィン系留分である。新しいプロピレンを精製のためにSelexsorb COSの床に通し、その後再循環流(溶剤、プロピレン、エチレンおよび水素を含有)と混合する。再循環流と混合した後、合体された流れを更なる精製のために75重量%のモレキュラーシーブ13Xと25重量%のSelexsorb CDの床に通し、その後高圧(700psig)フィードポンプを使用して、この内容物を反応器にポンプ供給する。新しいエチレンを精製のためにSelexsorb COS床に通し、その後この流れを750psigまで圧縮する。水素(分子量の低減に使用されるテローゲン)をこの圧縮エチレンと混合し、その後この2つを液体フィードの中に混合/溶解させる。この全体の流れを適切なフィード温度(5℃)まで冷却する。この反応器を525psigおよび105℃に等しい制御温度で運転する。触媒注入速度を制御することにより、反応器中のプロピレン転化率を維持する。熱交換器の殻側の水の温度を85℃で制御することにより、反応温度を維持する。反応器中の滞留時間は短く、10分である。反応器1パス当たりのプロピレン転化率は60重量%である。
【0074】
反応器を出たときに、水と添加物をポリマー溶液の中に注入する。この水は触媒を加水分解し、重合反応を停止させる。この添加物は、酸化防止剤の500ppmのIrganox(商標)1010と1000ppmのIrgafos(商標)168からなり、これはポリマーと共に残り、そして安定剤として作用して、最終使用者の設備での以降の加工の前に貯蔵する間のポリマー分解を防止する。この後反応器溶液を二段揮発分除去に備えて反応器温度から230℃まで過熱する。溶剤と未反応モノマーを揮発分除去工程時に除去する。水中ペレット切断のためにポリマーメルトをダイにポンプで送る。
【0075】
揮発分除去装置の頂部を出る溶剤とモノマー蒸気を凝固器に送る。凝固器は揮発分除去時に蒸気中に同伴されるポリマーを除去する。凝固器を出るきれいな蒸気流れを一連の熱交換器で部分的に凝集させる。この二相混合物は分離ドラムに入る。凝縮された溶剤とモノマーを精製(これは上述の再循環流である)し、そしてこの反応工程で再使用する。大部分プロピレンとエチレンを含有する分離ドラムを出る蒸気をブロックフレアに送り、燃焼する。
【0076】
密着層成分のブレンド
密着層の中に組み込まれる組成物は、(a)成分ペレットの乾式ブレンド;(b)押し出し機上に搭載されたブレンダー系(容積式あるいは重量式)による成分ペレットの直接フィード;(c)混練生成物のペレットを製造する混練押し出し機中でのペレット成分の混練;および/または(d)当業者には既知の任意の他のブレンド法により製造可能である。
【0077】
実施例1〜2
剥離層(層B)としてDowlex SC2107を、コア層(層C)としてDowlex SC2107を、そして密着層(層A)中でDowlex SC2107とプロピレン−エチレンコポリマー(P−E1orP−E2)のブレンドを使用して、実施例1および2の多層片面延伸密着フィルムを製造する。密着層に使用されるDowlex SC2107とプロピレン−エチレンコポリマーの重量パーセントを表1に示す。これらの片面延伸密着フィルムの製造に使用されるキャスト共押し出しフィルム装置は、2台のL/D30:1、直径55mmのPrimplastサテライト押し出し機(「AおよびB」密着層および剥離層)付きの直径75mm、L/D30のPrimplast押し出し機(「C」コア層)の3台の押し出し機配置からなる。溶融ポリマーは押し出し機を出て、A/C/Bフィードブロックから790mmのEr−We−Paの平坦フィルムダイに入る。このフィルムの製造において、溶融ポリマーを0.020インチ(0.05cm)ダイギャップからフィードする場合、この押し出し機のポンピング速度は15パーセント/70パーセント/15パーセントの層厚比を維持するように調整される。共押し出しされたフィルムは5インチ(12.7cm)の空気/延伸ギャップにおいて70°F(21℃)まで冷却された2本のチルロールに接触する。
【0078】
キャスト共押し出しされたフィルム試料は、公称0.9ミル(23ミクロン)の全体のフィルム厚さ、A層に対してはほぼ482°F(250℃)の、そしてBおよびC層に対しては482°F(250℃)のメルト温度、および1分当たり820フィート(1分当たり250メートル)のライン速度で都合よく製造される。生成するフィルムは、ASTM D−5458−95にしたがって1インチ当たり〜200グラムの力の非延伸の剥離層・密着層密着値を有する。このフィルムを元の長さのほぼ200パーセントまで延伸し、そしてASTM D−5458−95にしたがって試験した場合、生成する本発明のフィルムは許容し得る密着値も呈する。
【0079】
表1に示す材料を用いて、比較の多層片面延伸密着フィルム(CS−1とCS−2)を本発明のフィルムと同一の方法で製造する。
【0080】
加工工程時に実施例1および2のフィルムは優れた押し出し加工性を呈し、ダイリップのビルドアップは2時間の加工試験時には観察されない。
【表1】

【0081】
実施例1〜2とCS1および2の密着フィルムをASTM D5458−95「延伸梱包フィルムの剥離密着性に対する試験方法」にしたがって密着性について試験する。このフィルムを剥離層・密着層の密着性について試験する。1インチ幅のフィルム細片を平坦なフィルム表面から除去するのに必要とされる1インチ幅当たりのグラムでの力(gの力/インチ)として密着性の値を表2に示す。
【0082】
密着層・剥離層密着値(表2および4に示す)を求めるために、1インチ(横方向)×7インチ(マシン方向)(25mm×178mm)のフィルム細片を切断し、そして剥離層を上に向けて20度傾斜した面に取り付ける。第2の非延伸の1インチ×7インチのフィルム細片を密着層を下に向けて第1の細片の上面に置く。充分な圧力をブラシにより加えて、2つの細片を一緒に接着させる。傾斜面の基部における第2の細片の末端をクリップと紐により歪を一定速度で加えることができる装置、例えばインストロン引っ張り試験機に取り付ける。取り付けた紐が傾斜面の基部と平行となるまで、この2つの細片を1分当たり5インチ(13センチメートル/分)のクロスヘッド速度で引き離す。25.4mm(1.0インチ)フィルム試料が傾斜面上にマークされた水平密着線で傾斜から離れる時点において、密着性の値を求める。密着性レベルを表2および4に慣用により1インチ当たりのグラムの力の単位で示す。延伸密着値を求めるために、この手順を新しいフィルム試料について繰り返し、そして傾斜面に取り付ける前に下方のフィルムを元の長さの200パーセントまで延伸することを除いて、上述のように行う。一般に、延伸された密着値は非延伸の密着値よりも認識し得るほど低い。
【0083】
実施例1および2のフィルムに対応する片面延伸密着フィルムを次の方法によって行われるフィルムオーバーラッピング操作時に行われるフィルムロールの巻き出し時の騒音発生について試験する。
【0084】
巻き出し騒音レベルをHighlight試験機により測定する手順
図7を参照すると、この試験は500mm幅の23ミクロン厚の片面密着フィルムを200%の目標伸び(プリセット延伸)で延伸することからなっている。このフィルムの延伸が16.0cmの距離にわたって行われるように引き離されるブレーキローラーと牽引ローラーの間でこの延伸を行う。牽引ローラーをブレーキローラーよりも高いrpmで駆動させることにより、延伸フィルムを得る。このマシンは各々の第2の延伸力と騒音レベルを順次測定する。フィルム巻き出し速度は1分当たり110メートルであり、そして騒音レベルをフィルムロールから10cmにおいてフィルムロールに正接方向に置かれたマイクロホンにより測定する。背景環境騒音は45dBである。使用される騒音計はQUEST TECHNOLOGIES,Model2700である。
【0085】
巻き出し力をローラー#1上に置かれたロードセルにより測定する。延伸力をローラー#2上に置かれたロードセルにより測定する。
【表2】

【0086】
表2中のデータは、本発明の密着防止組成物を用いて製造されるフィルムがオーバーラッピング操作時に低い騒音発生を呈しながら、実質的な密着性を呈することを示す。驚くべきことには、本発明にしたがって製造される片面延伸密着フィルムは、80dB未満の騒音を発生する一方で、1インチ当たり150グラムの力以上の密着性を呈した。加えて、このフィルムはこれらのメリットをもたらす一方で、同時に優れた保持力(マシン方向(MD)の引っ張り力の値が高いことにより示されるように)の発現能を有する。示される高い引っ張り力によって、本発明のフィルムは種々の製品を有効にユニット化することができる。また、本発明のフィルムにより示される優れた保持力は、適切な保持力をなおもたらす一方で、このフィルムの厚さをダウンゲージすることを可能とする。測定される密着性は、フィルムの製造時に急速に発現し、そして移行性の密着性添加物と異なり、フィルムの更なる加工および取り扱い時に経時的に一貫している。
【0087】
実施例3〜8
実施例1および2のフィルムについて上述したのと同一の方法を用いて、実施例3〜8の片面延伸密着フィルムを製造する。実施例8のフィルムがそれぞれの層に対して10パーセント/80パーセント/l0パーセントの層厚比の重量比を有するA/C/B構造を使用することを除いて、実施例3〜8の多層片面の延伸密着フィルムは、実施例1および2のフィルムについて上述したA/C/B構造を有する。表3はこのフィルムの種々の層で使用されるポリマーと使用される各ポリマーのそれぞれの量を示す。
【表3】

【0088】
実施例3〜8の片面延伸密着フィルムを実施例1〜2について上述した手順により騒音と密着レベルについて試験する。実施例3〜8のフィルムが呈する騒音および密着レベルと他の性質を表4に掲げる。
【表4】

【0089】
実施例3〜7の密着レベルおよび騒音発生のデータを図4にグラフ表示する。図4は、本発明にしたがって製造される片面延伸密着フィルムが許容し得る程度に低い騒音を発生するのと同時に、比較的高い密着レベルを呈することを明らかに示す。驚くべきことには、そして予期しないこととして、100gの力/インチと205gの力/インチの間の密着レベルに対して、本発明の片面延伸密着フィルムはオーバーラッピング操作に対するフィルムロールの巻き出し時にほぼ同一の量の騒音を発生した。加えて、実施例3から8は、本発明のフィルムが極めて低レベルのプロピレンエチレンコポリマーを使用する場合でも優れた密着および騒音特性を呈するということを示す。
【0090】
実施例1および8は、密着層で使用されるプロピレン−エチレンコポリマーが12重量パーセントのエチレンから誘導される単位を有するコポリマーである場合には、15%のフィルム構造(実施例1)対10%のフィルム構造(実施例8)を含んでなる密着層を使用することにより、このフィルムが呈する密着力が著しく改善され得るということを示す。好ましくは、15重量%未満のエチレンから誘導される単位を有するプロピレン−エチレンコポリマーを使用し、そしてこのフィルムが1インチ当たり少なくとも120グラムの力の密着性を呈することが望ましい場合には、この密着層は、このフィルム厚さの少なくとも12パーセント、更に好ましくは全体のフィルム構造厚さの少なくとも13パーセント、なお更に好ましくは少なくとも14パーセント、そして最も好ましくは少なくとも15パーセントを占めなければならない。また、密着層がフィルム厚さの13パーセント未満を占めるフィルム構造を使用することが望ましい場合には、好ましくは少なくとも14重量%のエチレンから誘導される単位を有するプロピレン−エチレンコポリマー、更に好ましくは少なくとも15重量%のエチレンから誘導される単位を有するプロピレン−エチレンコポリマーが使用される。
【0091】
実施例9〜13
実施例1および2のフィルムについて上述された同一の方法を用いて、実施例9〜13の片面延伸密着フィルムを製造する。実施例9〜13の多層片面の延伸密着フィルムは実施例1および2のフィルムについて述べたA/C/B構造を有する。そしてこれを実施例1および2のフィルムについて述べたように密着層・剥離層密着性および巻き出し騒音について試験した。表5はこのフィルムの種々の層中で使用されるポリマーと使用される各ポリマーのそれぞれの量を示す。このフィルムが呈する密着強度値および巻き出し騒音レベルを図5に示す。これらのフィルムについては表1に掲げた引っ張り強さと他の性質を測定しなかったが、これらは実施例1および2について測定した値に同一あるいは類似であると予期される。
【0092】
図5から分かるように、プロピレン−エチレンコポリマーレベルが低い場合でも、このフィルムは優れた密着強度/巻き出し騒音の性質のバランスを呈する。
【表5】

【0093】
実施例14〜22
実施例1および2のフィルムについて上述された同一の方法を用いて、実施例14〜22の片面延伸密着フィルムを製造する。実施例14〜22の多層片面延伸密着フィルムは、すべてのフィルムがそれぞれの層に対して10パーセント/80パーセント/10パーセントの層厚比の重量比を有するA/C/B構造を有するということを除いて、実施例1および2のフィルムについて述べたようなA/C/B構造を有する。表6はこのフィルムの種々の層中で使用されるポリマーと使用される各ポリマーのそれぞれの量を示す。このフィルムの密着層・剥離層が呈する密着レベルを実施例1および2について述べた方法にしたがって求める。このフィルムが呈する巻き出し騒音を実施例1および2について述べた方法により求める。このフィルムが呈する密着強度値および巻き出し騒音レベルを図6に示す。これらのフィルムについては表1に掲げた引っ張り強さと他の性質を測定しなかったが、これらは実施例1および2について測定した値に同一あるいは類似であると予期される。
【0094】
図6から分かるように、密着層がフィルム厚さの13パーセント未満を占める場合には、このフィルムが呈する密着性の量を増大させるために、14重量%以上のエチレンから誘導される単位を有するプロピレン−エチレンコポリマーを使用することが好ましい。また、密着層がフィルム厚さの13パーセント未満を占める場合には、少なくとも5重量パーセントの高エチレン含量のプロピレン−エチレンコポリマーを使用することが好ましいということも図6から分かる。厚いフィルム構造に対しては、密着層が3ミクロン厚あるいはそれ以下である場合には、14重量%以上のエチレンから誘導される単位を有する、少なくとも5重量パーセントのプロピレン−エチレンコポリマーを使用することが好ましい。
【表6】

【0095】
実施例23〜24
実施例1および2のフィルムについて上述された同一の方法を用いて、実施例23および24の片面延伸密着フィルムを製造する。実施例23および24の多層片面延伸密着フィルムは、実施例24のフィルムが剥離層Bの中にブレンドされた2重量パーセントのプロピレン−エチレンコポリマーP−E1を有するということを除いて、実施例1のフィルムについて述べたようなA/C/B構造を有する。このフィルムを実施例1および2のフィルムについて述べたように密着層・剥離層密着性および巻き出し騒音について試験した。このフィルムが呈する密着強度値(A−B)および巻き出し騒音レベルを表7に示す。これらのフィルムについては表1に示した引っ張り強さと他の性質を測定しなかったが、これらは実施例1について測定した値に同一あるいは類似であると予期される。
【表7】

【0096】
驚くべきことには、表7から分かるように、剥離層に添加される少量のプロピレン−エチレンコポリマーは、フィルムが発生する巻き出し騒音および/または剥離層のもう一方の剥離層への剥離性またはCOFに悪影響を及ぼさずにフィルムの密着性を増強する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1はこの実施例で使用されるプロピレン−エチレンコポリマーに類似する、プロピレン−エチレンコポリマー(触媒Aに類似の活性化された非メタロセンで金属中心のヘテロアリール配位子触媒により製造される)の13CNMRスペクトルを示す。
【図2】図2は図1と同一のプロピレン−エチレンコポリマーの13CNMRスペクトルを示す。しかしながら、このスペクトルは、約14.6および15.7ppmにおけるレジオ−エラーピークを更に明瞭に示すためにY軸の目盛を図1に対して拡大して示されている。
【図3】図3はメタロセン触媒を用いて製造されるプロピレン−エチレンコポリマーの13CNMRスペクトルを示す。この図はメタロセン触媒により製造されるプロピレン−エチレンコポリマーに対する15ppm近傍の領域においてレジオ−エラーピークが存在しないことを示す。
【図4】図4は実施例3から7の片面延伸密着フィルムが呈する密着性レベルに対する騒音を示すグラフ表示である。
【図5】図5は実施例3から13の片面延伸密着フィルムが呈する騒音と密着性レベルを示すグラフ表示である。
【図6】図6は実施例8、14から22の片面延伸密着フィルムが呈する騒音と密着性レベルを示すグラフ表示である。
【図7】図7は密着フィルムから発生する巻き出し騒音レベルの測定に有用な装置の単純化された図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.実質的にアイソタクチックのプロピレン配列を有し、プロピレンと約10〜約33モル%のアルファオレフィンから誘導される単位を含んでなり、50g/10分未満のメルトフローレートを有する、0.1〜20重量%のプロピレンをベースとしたコポリマー;および
B.少なくとも0.905g/ccの密度を有する約80〜約99重量%のエチレンをベースとしたコポリマー
を含んでなり、この組成物から製造されるフィルムがASTM D−5458−95により測定して1インチ当たり少なくとも70グラムの力の密着層・剥離層の密着性、巻き出し操作時に87dB未満の騒音レベルを呈し、そしてASTM D−882により測定して少なくとも3MPAのモジュラスを有する
片面延伸密着フィルムの密着層での使用に好適な組成物。
【請求項2】
このプロピレンをベースとしたコポリマーが少なくとも0.9のアイソタクチックトライアッドタクティシティレベルを呈し、約9〜約20重量パーセントのエチレンから誘導される単位を含んでなり、25g/10分未満のメルトフローレートを有し、そして少なくとも2重量パーセントおよび40重量パーセント未満の結晶性を有し、そしてこの組成物から製造されるフィルムが1インチ当たり少なくとも100グラムの密着力を呈する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
このエチレンをベースとしたコポリマーが少なくとも0.917g/ccの密度を有するエチレン/1−オクテンコポリマーを含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
このフィルムが1インチ当たり少なくとも120グラムの密着力を呈する、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
このフィルムが1インチ当たり少なくとも150グラムの力の密着性と巻き出し操作時に80dB未満の騒音レベルを呈する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
A.実質的にアイソタクチックのプロピレン配列を有し、プロピレンと約10〜約17モル%のエチレンから誘導される単位を含んでなり、3〜約18g/10分のメルトフローレートを有し、そして約25ジュール/グラム未満の融解熱を呈する、4〜12重量%のプロピレンをベースとしたコポリマー;および
B.少なくとも0.917g/ccの密度と約2〜約12g/10分のメルトインデックスを有する約88〜約96重量%のエチレン/1−オクテンコポリマー
を含んでなる片面延伸密着フィルムの密着層での使用に好適な組成物。
【請求項7】
このプロピレンをベースとしたコポリマーが約11〜約16重量パーセントのエチレンから誘導される単位を含んでなる、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
このプロピレンをベースとしたコポリマーが活性化された非メタロセンで金属中心のヘテロアリール配位子触媒を用いて重合される、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
A.(1)実質的にアイソタクチックのプロピレン配列を有し、プロピレンと約10〜約33モル%のアルファオレフィンから誘導される単位を含んでなり、50g/10分未満のメルトフローレートを有する、0.1〜20重量%のプロピレンをベースとしたコポリマー;と
(2)少なくとも0.905g/ccの密度を有する、約80〜約99重量%のエチレンをベースとしたコポリマー
を含んでなる密着層;および
B.少なくとも0.905g/ccの密度を有するポリエチレン含んでなる剥離層
を含んでなり、このフィルムがASTM D−5458−95により測定して1インチ当たり少なくとも70グラムの力の密着層・剥離層の密着性、巻き出し操作時に87dB未満の騒音レベルを呈し、そしてASTM D−882により測定して少なくとも3MPAのモジュラスを有する片面延伸フィルム。
【請求項10】
この剥離層(B)が少なくとも0.917g/ccの密度を有するポリエチレンを含んでなる請求項9に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項11】
このフィルムが1インチ当たり少なくとも100グラムの力の密着性、80dB未満の騒音レベルを呈し、そして少なくとも6MPAのモジュラスを有する請求項9に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項12】
この密着層(A)が10〜17重量パーセントのエチレンから誘導される単位および25g/10分未満のメルトフローレートを有する、4〜12重量パーセントのプロピレン−エチレンコポリマーを含んでなる、請求項11に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項13】
このフィルムが1インチ当たり少なくとも150グラムの力の密着性を呈し、そして少なくとも7MPAのモジュラスを有する、請求項12に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項14】
この密着層のエチレンをベースとしたコポリマーがエチレン/1−オクテンコポリマーを含んでなる、請求項13に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項15】
このエチレン/1−オクテンコポリマーが少なくとも約0.917g/ccの密度を有する、請求項14に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項16】
このエチレン/1−オクテンコポリマーが約2〜約12g/10分のメルトインデックスを有する、請求項15に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項17】
この剥離層が0.1〜2重量パーセントのプロピレンをベースとしたコポリマーを更に含んでなる、請求項9に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項18】
このプロピレンをベースとしたコポリマーがプロピレン−エチレンコポリマーを含んでなる、請求項17に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項19】
この剥離層のそれ自身との摩擦係数が1.0未満である、請求項17に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項20】
この剥離層のそれ自身との摩擦係数が0.15〜0.7である、請求項19に記載の片面延伸密着フィルム。
【請求項21】
この剥離層のそれ自身との密着性が60グラムの力/インチ未満である、請求項17に記載の片面延伸密着フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−533833(P2007−533833A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509598(P2007−509598)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/013467
【国際公開番号】WO2005/103123
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】