説明

片面金属板断熱パネルの製造方法

【課題】低温倉庫等の内壁構造材として好適な片面金属板断熱パネルを、安価に、かつ、効率よく製造する。
【解決手段】2枚のパネル状断熱材1を重ねて仮接合した断熱材積層体11を製造ライン50に順次投入して並べ、連続する断熱材積層体11の表裏面に鋼板30を順次連続的に固着して両面金属板断熱パネル素材12を得る。次いで、両面金属板断熱パネル素材12を切断して所望長さの両面金属板断熱パネル13を得、この両面金属板断熱パネル13の仮接合されている2枚の断熱材11を剥離して、1枚の両面金属板断熱パネル13から2枚の片面金属板断熱パネルを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル状断熱材の片面に金属板が貼り付けてなる片面金属板断熱パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、食品を低温環境で保存する冷蔵倉庫や冷凍倉庫等の建造物における庫内の側壁は、打設コンクリートで構築した駆体の表面でウレタンを発泡させ、発泡したウレタンの表面に金属板を貼り付けるといった築造式の構造が元よりあったが、ウレタンの反応熱の影響等によって施工時間が長くなるなどの問題があった。そこで、予め成形されている断熱パネルを壁面に施工するプレハブ式の側壁構造が普及している(特許文献1,2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−310963号公報
【特許文献2】特開2007−40652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記プレハブ式の側壁構造としては、例えばコンクリート壁からなる駆体の表面に断熱パネルを複数層にわたって貼り付け、断熱材の最表面に金属板を貼り付けるといった工法が試みられている。ところがこの工法では、最表面の断熱パネルを施工してから金属板を貼り付けるまでに手間がかかるため全体の施工時間が長くなるといった不満が生じており、改善策が求められていた。そこで、断熱材の片面に金属板を貼り付けた片面金属板断熱パネルを最後に貼り付ける工法が考えられたが、そのようなパネルを安価に、かつ、効率よく製造する方法の提案が求められているのが現状である。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その主な目的は、上記低温倉庫等の内壁構造材として好適な片面金属板断熱パネルを、安価に、かつ、効率よく製造することができる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の片面金属板断熱パネルの製造方法は、所定長さの2枚のパネル状断熱材を重ねるとともに、これら断熱材を剥離可能に仮接合して2枚の断熱材からなる断熱材積層体を得る断熱材仮接合工程と、複数の前記断熱材積層体を製造ライン上に順次投入するとともに、断熱材積層体の対向する端面どうしを当接させて複数の断熱材積層体を連続状態とする製造ライン投入工程と、前記製造ラインで、連続する前記断熱材積層体の表裏面に金属板を順次連続的に固着していき、両面金属板断熱パネル素材を得る金属板固着工程と、前記製造ラインで、前記両面金属板断熱パネル素材を切断して所望長さの両面金属板断熱パネルを得る両面金属板パネル素材切断工程と、前記両面金属板断熱パネルの、前記仮接合されている2枚の断熱材を剥離して、1枚の両面金属板断熱パネルから2枚の片面金属板断熱パネルを得る仮接合解除工程とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、両面金属板断熱パネルを得た後に、仮接合されていた断熱材を剥離することにより、同寸法の2枚の片面金属板断熱パネルを得る。製造ラインで両面金属板断熱パネル素材をエンドレスに構成しながら、この両面金属板断熱パネル素材を次々に切断していくことにより、多数の両面金属板断熱パネルが得られ、これら両面金属板断熱パネルから2枚の片面金属板断熱パネルが同時に得られるので、大量の片面金属板断熱パネルを安価に、かつ、効率よく製造することができる。また、エンドレスに長く構成した両面金属板断熱パネル素材を所望長さに切断することにより、所望長さの片面金属板断熱パネルを容易に、かつ、大量に得ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、低温倉庫等の内壁構造材として好適な片面金属板断熱パネルを、安価に、かつ、効率よく製造することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る製造方法で使用されるパネル状断熱材の斜視図である。
【図2】断熱材仮接合工程で得られる断熱材積層体の斜視図である。
【図3】複数の断熱材積層体を製造ラインに投入した状態を示す平面図である。
【図4】複数の断熱材積層体の表裏面に鋼板を固着して両面金属板断熱パネル素材を得る金属板固着工程を示す側面図である。
【図5】両面金属板断熱パネル素材を所望の長さに切断して両面金属板断熱パネルを得る両面金属板パネル素材切断工程を示す側面図である。
【図6】両面金属板断熱パネルの断熱材を剥離して2枚の片面金属板断熱パネルを得る仮接合解除工程を示す側面図である。
【図7】製造ライン投入工程〜両面金属板パネル素材切断工程を好適に行うパネル製造設備を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る片面金属板断熱パネルの製造方法について説明する。
【0011】
(1)製造方法
(1−1)断熱材仮接合工程
図1はパネル状断熱材1を示している。この断熱材1は所定の厚さを有する長方形状であって、例えばポリスチレン等の樹脂発泡材から形成されている。断熱材1の寸法は任意であるが、例えば長さ:1820mm、幅:910mm、厚さ:50mmが挙げられる。
【0012】
一実施形態の製造方法では、まず、図2に示すように2枚の断熱材1をぴったりと重ね合わせ、この状態を剥離可能に仮接合し、2枚の断熱材1からなる断熱材積層体11を得る。断熱材1の仮接合は、長手方向に延びる長辺側の端部を互いに接合する手法が用いられ、例えば、長辺側の端面間にわたって粘着テープを貼ったり、端部どうしを接着剤で貼り付けたりする手法が好ましく用いられる。
【0013】
(1−2)製造ライン投入工程
次に、上記のようにして製造した複数の断熱材積層体11を、図3に示すように、製造ライン50に順次投入する。製造ライン50には、断熱材積層体11の長手方向が製造ライン50の進行方向(矢印Fで示す)に沿う状態とし、かつ、幅方向を揃える。そして、先行する断熱材積層体11の進行方向後端面に対し、この後端面に対向する後続の断熱材積層体11の先端面を次々と当接させていき、複数の断熱材積層体11を製造ライン50上で連続した状態とする。
【0014】
(1−3)金属板固着工程
次に、上記製造ライン50において、図4に示すように、断熱材積層体11の表裏面、すなわち厚さ方向の両側の面に、鋼板30を適宜な接着剤によって接着させて固着する。これによって製造ライン50上には、連続する断熱材積層体11の表裏面に鋼板30が貼られた両面金属板断熱パネル素材12が製作される。両面金属板断熱パネル素材12は、製造ライン50でエンドレスに長く構成することができる。
【0015】
(1−4)両面金属板パネル素材切断工程
続いて、製造ライン50の下流側において、図5に示すように、上記両面金属板断熱パネル素材12を所望箇所において適宜な切断手段を用いて切断する。これにより、断熱材積層体11の表裏面に鋼板30が固着されてなる所望長さの両面金属板断熱パネル13を得る。
【0016】
(1−5)仮接合解除工程
次いで、上記仮接合を解除して、図6に示すように両面金属板断熱パネル13の2枚の断熱材1を剥離し、1枚の両面金属板断熱パネル13から2枚の片面金属板断熱パネル14を得る。片面金属板断熱パネル14は、鋼板30の片面に複数の断熱材1が貼られた構成のものである。例えば仮接合として2枚の断熱材1の長辺側の端面間にわたって粘着テープを貼る手法を採った場合には、2枚の断熱材1の合わせ目に沿って粘着テープを切断することにより、仮接合を解除することができる。
【0017】
(2)製造ラインでの自動製造工程
さて、上記の製造ライン投入工程〜両面金属板パネル素材切断工程は、図7に示すパネル製造設備によって自動的に行うことができる。このパネル製造設備では、ローラコンベヤ51による搬送路の投入部51aに上記断熱材積層体11が順次投入され、断熱材積層体11は、シリンダ式のプッシャ52によって断続的に製造ライン50の下流側(矢印F方向)に搬送される。そして、製造ライン50の中間部で、断熱材積層体11の表裏面に、上下に配された鋼板30がそれぞれ固着される。上下の鋼板30は、投入部51aの上下に配された鋼板ロール30Aから製造ライン50の下流側に巻き出されてガイドロール53により断熱材積層体11に導かれる。
【0018】
断熱材積層体11は、鋼板30の固着領域に至るまでに複数が連なって搬送される。そして、断熱材積層体11は、上下の鋼板30に挟まれた状態で、鋼板30と一体的に上下の搬送ロール54によって搬送され、その最中において、鋼板30が断熱材積層体11の表裏面に対し前方から後方に固着されて、両面金属板断熱パネル素材12が製作されていく。なお、鋼板30は、断熱材積層体11あるいは鋼板30に塗布される接着剤によって断熱材積層体11に接着されて固着される。
【0019】
そして、両面金属板断熱パネル素材12は切断領域に搬送され、所望の長さが搬送された時点で、切断領域に設置されている切断手段55により所望の長さの両面金属板断熱パネル13に切断される。以上の動作が連続的に行われることにより、所望の長さの多数の両面金属板断熱パネル13を連続的に得ることができる。
【0020】
両面金属板断熱パネル13は製造ライン50の終端から次々と取り出され、次いで上記仮接合解除工程が遂行されて多数の片面金属板断熱パネル14が製造される。
【0021】
(3)一実施形態の作用効果
上記のように製造される片面金属板断熱パネル14は、例えば上述した低温倉庫におけるプレハブ式の内壁の多層に貼られる断熱パネルの最表面に、鋼板30を表面側に配して貼り付けるなどの施工に用いられる。
【0022】
上記製造方法によれば、両面金属板断熱パネル13を得た後に、仮接合されていた断熱材を剥離することにより、同寸法の2枚の片面金属板断熱パネル14を得る。製造ライン50で両面金属板断熱パネル素材12をエンドレスに構成しながら、この両面金属板断熱パネル素材12を次々に切断していくことにより、多数の両面金属板断熱パネル13が得られ、これら両面金属板断熱パネル13から2枚の片面金属板断熱パネル14が同時に得られるので、大量の片面金属板断熱パネル14を安価に、かつ、効率よく製造することができる。また、エンドレスに長く構成した両面金属板断熱パネル素材12を所望長さに切断することにより、所望長さの片面金属板断熱パネル14を容易に、かつ、大量に得ることができる。
【符号の説明】
【0023】
1…断熱材
11…断熱材積層体
12…両面金属板断熱パネル素材
13…両面金属板断熱パネル
14…片面金属板断熱パネル
30…鋼板(金属板)
50…製造ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さの2枚のパネル状断熱材を重ねるとともに、これら断熱材を剥離可能に仮接合して2枚の断熱材からなる断熱材積層体を得る断熱材仮接合工程と、
複数の前記断熱材積層体を製造ライン上に順次投入するとともに、断熱材積層体の対向する端面どうしを当接させて複数の断熱材積層体を連続状態とする製造ライン投入工程と、
前記製造ラインで、連続する前記断熱材積層体の表裏面に金属板を順次連続的に固着していき、両面金属板断熱パネル素材を得る金属板固着工程と、
前記製造ラインで、前記両面金属板断熱パネル素材を切断して所望長さの両面金属板断熱パネルを得る両面金属板パネル素材切断工程と、
前記両面金属板断熱パネルの、前記仮接合されている2枚の断熱材を剥離して、1枚の両面金属板断熱パネルから2枚の片面金属板断熱パネルを得る仮接合解除工程と
を有することを特徴とする片面金属板断熱パネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−104923(P2011−104923A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263803(P2009−263803)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(596066482)明正工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】