物体検知システム、物体検知方法、タグ通信装置
【課題】不特定多数の人や物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価にその物体の位置を確実に検出できるようにした物体検知システム、物体検知方法、タグ通信装置を提供する。
【解決手段】タグ通信装置1Aを用いて物体Dの位置を検出する場合は、タグ通信装置1Aの交信可能エリアAにRFIDタグ2を複数設置し、各RFIDタグ2のIDとその位置情報とを対応付けてテーブルに記憶する。そして、タグ通信装置1Aから各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグのIDに対応する位置情報を前記テーブルから取得する。
【解決手段】タグ通信装置1Aを用いて物体Dの位置を検出する場合は、タグ通信装置1Aの交信可能エリアAにRFIDタグ2を複数設置し、各RFIDタグ2のIDとその位置情報とを対応付けてテーブルに記憶する。そして、タグ通信装置1Aから各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグのIDに対応する位置情報を前記テーブルから取得する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不特定多数の人や物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価にその物体の位置、大きさ、形状を検知するのに好適な物体検知システム、物体検知方法、タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
百貨店のような大規模な店舗などでは、どれだけの顧客がどの階のフロアに集中しているかを把握するために、各フロアの顧客の人数や位置を知りたい場合がある。この場合はRFIDタグを利用して顧客の人数や位置を知る方式が考えられる。
【0003】
例えば、顧客の人数を知るには、フロアの天井等のようにフロア全体を見渡せる場所にタグ通信装置を設置し、顧客にRFIDタグを携帯させる。そして、RFIDタグの個数をカウントすれば顧客の人数になるので、タグ通信装置とRFIDタグとの間での交信により、RFIDタグに格納してあるIDをタグ通信装置で読み取ってカウントする方法が考えられる。また、顧客の位置を知るには、タグ通信装置から顧客の所持するRFIDタグまでの距離と方向を計測して顧客の位置をベクトルで表せばよいので、タグ通信装置とRFIDタグとの間での交信により当該距離と方向を測定する方法が考えられる。
【0004】
しかしながら、前記のようなRFIDタグを利用する方式では、不特定多数の人にRFIDタグを携帯させる必要があり、煩雑である。また、RFIDタグの持ち方によってはタグ通信装置とRFIDタグとの間での交信が不可となる場合もあり、顧客の人数や位置を正確に検知することはできないという問題点がある。
【0005】
特許文献1は物品の位置を検出するシステムを開示している。このシステムは、管理対象の物品(43)に取り付けられた無線標識タグ(42)からの無線信号と、特定の基準位置に配置された無線標識タグ(41)からの無線信号を利用して、物品(43)の位置を検出するものである。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1のシステムでは、物品(43)の位置を検出するのにあたり、無線標識タグ(42)を当該物品(43)に取り付けなければならない。そのため、このシステムを利用して顧客の人数や位置を検出するとしたら、物品(43)の代わりに顧客に無線標識タグ(42)を携帯させなければならないので、先に説明した顧客の人数や位置を知る方法と同様の問題点が生じる。
【0007】
特許文献2も物品の位置を検出するシステムを開示している。このシステムは、無線タグ(TG)が散在している床面のような対象領域を、天井などに設置されたリーダ(1)によって走査する。そして、リーダ1の検知結果を基に無線タグ(TG)群の中から特定の位置データを代表する位置ID(SP)を選択し、物体によって位置ID(SP)との交信が遮断されると、その位置ID(SP)を含むエリアに物体があることを検知するものである。
【0008】
しかしながら、前記特許文献2のシステムでは、無線タグ(TG)群の中から位置ID(SP)を選択する構成を採っているため、位置ID(SP)として選択される無線タグ周りに多数の無線タグ(TG)が必要となり、システム全体がコスト高とならざるを得ない。また、リーダ(1)による走査の対象領域が変わると、その都度改めて、前述の位置ID選択ステップを再実行する必要があり、手間がかかる。さらに、位置ID選択ステップの実行中に無線タグ(TG)とリーダ(1)との間での交信が物体によって遮られてしまうことも想定される。この場合は、位置ID(SP)の選択ができなくなるので、位置ID(SP)を含むエリアに存在する物体を検知することも不可能になるという問題点がある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−185730号公報
【0010】
【特許文献2】特開2005−228292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、不特定多数の人や物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価にその物体の位置を確実に検出でき、さらに、その物体の大きさや形状も検出できるようにした物体検知システム、物体検知方法、タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明に係る物体検知システムは、タグ通信装置と、複数のRFIDタグと、各RFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルと、前記タグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出する第1の処理部と、前記第1の処理部で検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得する第2の処理部と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記本発明に係る物体検知システムにおいては、前記第2の処理部で取得した位置情報を物体の位置として出力する第3の処理部を有する構成を採用してもよい。
【0014】
前記本発明に係る物体検知システムにおいては、前記第2の処理部で取得した位置情報より物体の形状または大きさを検知する第4の処理部を有する構成を採用することもできる。
【0015】
前記本発明に係る物体検知システムにおいては、前記第1、2の処理部において時系列で交信不可のRFIDタグを検出、位置情報を取得し、物体の軌跡を検出する第5の処理部を有する構成を採用することもできる。
【0016】
前記本発明に係る物体検知システムにおいては、前記タグ通信装置は複数存在し、複数のタグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出するように構成することもできる。
【0017】
前記本発明に係る物体検知システムにおいて、前記タグ通信装置のアンテナはビームスキャンアンテナとしてもよい。
【0018】
本発明に係る物体検知方法は、タグ通信装置と、複数のRFIDタグと、各RFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルとを用いて物体を検知する物体検知方法であって、前記タグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得することを特徴とする。
【0019】
前記本発明に係る物体検知方法においては、取得した前記位置情報を物体の位置として出力してもよい。
【0020】
前記本発明に係る物体検知方法においては、取得した前記位置情報より物体の形状または大きさを検知してもよい。
【0021】
前記本発明に係る物体検知方法においては、時系列で交信不可のRFIDタグを検出、位置情報を取得し、物体の軌跡を検出してもよい。
【0022】
前記本発明に係る物体検知方法において、前記タグ通信装置は複数存在し、複数のタグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出してもよい。
【0023】
前記本発明に係る物体検知方法において、前記タグ通信装置のアンテナはビームスキャンアンテナであってもよい。
【0024】
本発明に係るタグ通信装置は、複数のRFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルを保持するとともに、前記複数のRFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得することを特徴とする。
【0025】
本発明において、「物体」というときは、荷物や車両等、RFIDタグとの交信を遮断する全ての物や人を含む。
【0026】
また、「RFIDタグ」には、例えば、電池などの電源を有しておらず、RFIDリーダライタ等のタグ通信装置から電波で送電された電力によって回路が動作して、タグ通信装置と無線通信を行うパッシブタイプのRFIDタグや、電池などの電源を有するアクティブタイプのRFIDタグが含まれる。
【0027】
「タグ通信装置」には、例えば、RFIDタグに対してデータの読み書きを行えるRFIDリーダライタや、RFIDタグからデータを読み出すだけのRFIDリーダが含まれる。
【0028】
「ビームスキャンアンテナ」とは、電波のビームを絞った指向性の強いアンテナであって、電子的に電波の指向性を制御できるアンテナである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、タグ通信装置の交信可能エリアにRFIDタグを複数設置し、RFIDタグとその位置情報とを対応付けてテーブルに記憶し、タグ通信装置から各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得する構成を採用した。このため、タグ通信装置の交信可能エリアに物体が置かれることによってタグ通信装置とRFIDタグとの間での交信が遮断されると、交信不可のRFIDタグの検出と位置情報の取得が行われ、取得した位置情報から交信を遮断している物体の位置が分かるから、不特定多数の人や荷物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価に物体の位置を確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の第1実施形態である物体検知システムの説明図である。
【0032】
<物体検知システムの基本方式と機器構成>
本物体検知システムS1は、一台のタグ通信装置1Aを用いて物体D(人を含む)を検知するものであって、図1に示す一台のタグ通信装置1Aと、このタグ通信装置1Aの交信可能エリアAに設置された複数のRFIDタグ2と、システム全体を統括・制御するシステムコンピュータ3とにより構成される。
【0033】
<タグ通信装置の詳細説明>
タグ通信装置1Aは、RFIDリーダライタ又はRFIDリーダからなり、システムコンピュータ3からの指令に基づいて、RFIDタグ2に向けて質問波を送信したり、その質問波に対する各RFIDタグ2からの応答波を受信したりする等、全てのRFIDタグ2に対して交信を試みる。
【0034】
また、このタグ通信装置1Aは、RFIDタグ2に対して交信を試みてその応答波を受信したら、応答波の中にデータとして含まれているRFIDタグのIDを交信記録としてシステムコンピュータ3へ送信する。
【0035】
本物体検知システムS1では、前記タグ通信装置1Aを部屋の天井に設置し、そのタグ通信装置1Aの交信可能エリアを部屋の床に設定した。その床に置かれた物体Dを検知するためである。
【0036】
<RFIDタグの詳細説明>
複数のRFIDタグ2は、いずれも、タグ通信装置1Aの交信可能エリアA内に設置される。本物体検知システムS1においては、上述のように部屋の床をタグ通信装置1Aの交信可能エリアAに設定し、床に置かれた物体Dを検知するため、複数のRFIDタグ2はその部屋の床に埋め込んである。埋め込むRFIDタグ2は物体Dの所在を検知できる程度の密度で敷き詰める。なお、以下、RFIDタグ2を部屋の床や壁に埋め込んだ例で説明するが、RFIDタグ2は床や壁、その他の物体に貼り付ける構成を採用することもできる。
【0037】
前記各RFIDタグ2は、いずれも、タグ通信装置1Aからの質問波を受信したり、その質問波に対する応答波をタグ通信装置1Aへ送信したりする等、タグ通信装置1Aとの間で交信(送受信)を行う一般的な構造のものからなり、その応答波の中にはRFIDタグの自IDを含んでいる。つまり、各RFIDタグ2は、タグ通信装置1Aからの質問波を受信したら、自IDを含む応答波を送信する構成になっている。
【0038】
<システムコンピュータの詳細説明>
システムコンピュータ3は、タグ通信装置1Aと通信できるパーソナルコンピュータ等から構成され、図示しない内蔵あるいは外付けハードディスク等の記憶装置に、図2に示すテーブルTを記憶させてある。
【0039】
図2のテーブルTは、本物体検知システムS1で使用する全てのRFIDタグ2(図1の例では床に埋め込んだ全RFIDタグ2)のIDとその位置情報とを、一対一で対応付けて格納したものである。RFIDタグ2の位置情報は、図1の例ではRFIDタグ2を床に埋め込んだ場所を特定するものである。この位置情報については、例えば、床の中心点やコーナー部を原点としたXY平面座標で表したもの等を採用することができる。
【0040】
また、システムコンピュータ3は、本物体検知システムS1全体を統括・制御するとともに、少なくとも、タグ通信装置1Aから各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグ2を検出する第1の処理部と、第1の処理部で検出したRFIDタグ2のIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得する第2の処理部と、第2の処理部で取得した位置情報を物体の位置として出力する第3の処理部として機能するように構成してある。これらの機能は、システムコンピュータ3が、下記(1)〜(4)に示す処理を実行するプログラム又は回路を備えることによって実現される。
(1)タグ通信装置1AからRFIDタグ2との交信記録(タグ通信装置1Aから各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果)を受信する処理。
(2)交信記録に基づいて交信不可のRFIDタグを検出する処理。
(3)交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得する処理。
(4)取得した位置情報を物体の位置としてモニター等に出力する処理。
【0041】
<交信不可のRFIDタグを検出する方式>
RFIDタグ2との交信が不可のときは、そのRFIDタグ2からIDを取得することができないので、交信不可のRFIDタグ2のIDが交信記録としてタグ通信装置1Aからシステムコンピュータ3へ送られることはない。従って、システムコンピュータ3に送られてくるタグ通信装置1Aの交信記録は、いずれも必然的に交信可能なRFIDタグ2のIDということになる。
【0042】
一方、システムコンピュータ3は、図2のテーブルTを参照することによって、本物体検知システムS1で使用している全RFIDタグ2のIDを漏れなく把握している。
【0043】
従って、システムコンピュータ3では、タグ通信装置1Aからの交信記録の受信完了後、交信記録として送られてきた全てのIDを図2のテーブルTの中から抽出し(手順1)、最後に抽出できずに残ったIDにより特定されるRFIDタグを、交信不可のRFIDタグとして検出する(手順2)。
【0044】
なお、前述の検出方式において、テーブルT内の全てのIDが抽出されたときは、交信不可のRFIDタグ2はゼロであったことを意味する。この一方、テーブルT内の全IDのうち例えばNo.1とNo.2のIDを抽出することができなかったときは、それぞれのIDによって特定されるNo.1とNo.2のRFIDタグが交信不可であったことを意味する。
【0045】
<物体検知システムS1の動作説明>
次に、本物体検知システムS1において特に物体の位置を検出する際のシステム全体動作について図3を基に説明する。
【0046】
図3において、本物体検知システムS1は、図示しないシステム動作スイッチのONと同時に、システムコンピュータ3とタグ通信装置1Aが動作を開始する(スタート)。この時点でシステムコンピュータ3の図示しない記憶装置に図2のテーブルTを記憶させていない場合は当該テーブルTを記憶させてから(ステップ100)、位置検出処理が開始される(ステップ110)。なお、テーブルTを記憶させている場合は、ステップ100をスキップして、ステップ110の位置検出処理が始まる。
【0047】
動作を開始したシステムコンピュータ3は、最初に、タグ通信装置1Aに対して交信開始命令を出力する。そして、この交信開始命令をトリガとして、タグ通信装置1Aは、質問波を少なくとも1回送信することによって、全てのRFIDタグ2との交信を試みる(ステップ120)。
【0048】
これにより、交信可能なRFIDタグ2からは自IDを含む応答波が送信され、タグ通信装置1Aはその応答波を受信し、応答波に含まれているRFIDタグ2のIDを交信記録としてシステムコンピュータ3へ送信する。システムコンピュータ3は、そのRFIDタグ2のIDを交信記録として受信し、図示しない作業メモリ領域等の記憶部に格納しておく。この場合、全てのRFIDタグ2との交信が可能であったなら、前述した図示しない記憶部には、RFIDタグ2の数分の交信記録が格納されることになる(ステップ120)。
【0049】
交信不能のRFIDタグ2から応答波は送信されない。図1(a)の例ではNo.5のRFIDタグ2の上に物体Dが存在するので、No.5のRFIDタグ2は質問波を受信することができず、よって、そのRFIDタグ2から応答波は送信されず、No.5のRFIDタグのID(No.5)が受信記録としてシステムコンピュータ3に送信されることもない(ステップ120)。
【0050】
前記交信記録を受信したシステムコンピュータ3は、その交信記録に基づいて交信不可のRFIDタグ2が有るか否かを判断する(ステップ130)。
【0051】
前記ステップ130での判断は、先に説明した<交信不可のRFIDタグを検出する方式>の手順1と手順2で、交信不可のRFIDタグ2を検出する。
【0052】
具体的には、交信記録としてシステムコンピュータ3に送られてきた全てのID、すなわち先に説明した図示しない記憶部に格納したIDを、図2のテーブルTの中から順次抽出して行き(手順1)、抽出されずに最後に残ったIDが有ったら、そのIDにより特定されるRFIDタグを交信不可のRFIDタグ2として検出する(手順2)。図1(a)の例では、No.5のRFIDタグ2が交信不可であるため、No.5のRFIDタグのID(No.5)は図2のテーブルTの中から抽出されずに残る。従って、このNo.5のRFIDタグ2が交信不可のRFIDタグとして検出されることになる。
【0053】
そして、交信不可のRFIDタグが検出されたら、交信不可のRFIDタグが有ると判断し(ステップ130のYes)、交信不可のRFIDタグを検出できなかったら、交信不可のRFIDタグはないと判断する(ステップ130のNo)。
【0054】
ステップ130において、交信不可のRFIDタグはないと判断された場合は(ステップ130のNo)、システムコンピュータ3からタグ通信装置1Aに対して交信開始命令が出力され、ステップ120〜ステップ130の処理が繰り返し実行される。
【0055】
ステップ130において、交信不可のRFIDタグがあると判断された場合は(ステップ130のYes)、システムコンピュータ3において、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得し、取得した位置情報を物体Dの位置としてモニター等に出力する。そして、システムコンピュータ3からタグ通信装置1Aに対して交信開始命令が出力され、ステップ120以下の処理が再実行されることになる。
【0056】
以上説明した一連の処理は、図示しないシステム動作スイッチのOFFによって終了する。
【0057】
以上説明した第1実施形態の物体検知システムS1にあっては、タグ通信装置1Aの交信可能エリアAにRFIDタグ2を複数設置し、RFIDタグ2のIDとその位置情報とを対応付けてテーブルTに記憶し、タグ通信装置1Aから各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグのIDに対応する位置情報を前記テーブルTから取得する構成を採用した。このため、タグ通信装置1Aの交信可能エリアAに物体Dが置かれることによってタグ通信装置1AとRFIDタグ2との間での交信が遮断されると、交信不可のRFIDタグの検出と位置情報の取得が行われ、取得した位置情報から交信を遮断している物体の位置が分かるから、不特定多数の人や荷物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価に物体の位置を確実に検出することができる。
【0058】
図4(a)は、先に説明した第1実施形態の物体検知システムにおいて、部屋の床と壁を交信可能エリアとした一台のタグ通信装置1Cを採用し、その交信可能エリアとして設定された部屋の床と壁にRFIDタグ2を埋め込んだ例の説明図、図4(b)は、同図(a)の物体Dより高さの低い物体Dを部屋内に置いた場合の説明図、図5は、図4(a)の部屋を斜め上方からみた斜視図である。
【0059】
図4(a)(b)及び図5の例では、タグ通信装置1Cから部屋の壁の全RFIDタグ2に対して交信を試み、交信不可のRFIDタグを検出し、その位置情報を取得するとともに、取得した位置情報より部屋内に位置する物体のある程度の大きさ、形状を検出すること(第4の処理)ができる。その検出原理は以下の通りである。
【0060】
<物体の大きさ、形状を検出する原理>
壁に埋め込まれた交信不可のRFIDタグの位置情報より物体の大きさ、形状を検出する原理は、日光や電球で照らされた物体の影から当該物体のある程度の大きさや形状を検出する原理に似ている。
【0061】
例えば、図4(a)(b)及び図5に示すタグ通信装置1Cの位置から図示しない電球で物体Dを照らしたら、図5のようにその物体Dの影Dsが部屋の壁に投影される。この物体の影Dsは当該物体Dと相似形になるので、かかる影Dsから当該物体Dの形状をある程度推定することができる。
【0062】
<前記物体の影の範囲と交信可能/不可のRFIDタグの範囲との関係>
図4(a)と(b)において、先に説明した物体の影Ds(図5参照)の外に埋め込まれている壁内のRFIDタグ2は、物体Dによってタグ通信装置1Cとの交信が妨げられることはないので、交信可能なRFIDタグになる。図4(a)と(b)では、それぞれΔZ1又はΔZ3の範囲に位置するRFIDタグ2が、物体Dの影Dsの外にあって、交信可能なRFIDタグである。
【0063】
一方、前記物体Dの影Dsの範囲内に埋め込まれている壁内のRFIDタグ2は、当該物体Dによってタグ通信装置1Cとの交信が妨げられるので、交信不可のRFIDタグになる。図4(a)と(b)では、それぞれΔZ2とΔZ4の範囲に位置するRFIDタグ2が、物体Dの影Dsの範囲内にあって、交信不可のRFIDタグである。
【0064】
従って、交信不可となっている壁内のRFIDタグの範囲(タグ通信装置1Cからの電波が物体で遮られて届かない範囲)は、その壁に投影される前述した当該物体Dの影Dsの範囲と略等しい。電波も光も直進性があって、同一の物体によって遮られているからである。図4(a)では、ΔZ2の範囲に位置するRFIDタグが物体Dの影Dsの範囲にあって、交信不可のRFIDタグとなっている。また、図4(b)では、ΔZ4の範囲に位置するRFIDタグが物体Dの影Dsの範囲にあって、交信不可のRFIDタグとなっている。
【0065】
<第1実施形態の物体検知システムにおける物体の大きさ、形状の検出>
第1実施形態の物体検知システムS1では、壁に埋め込んだ全RFIDタグ2のIDとその位置情報とを一対一で対応付けて格納したテーブル(図示省略。参考例:図2)を別途採用することによって、先に説明した手順1、2と同様の手順で、壁内のどのRFIDタグが交信不可となっているかを検出することができる。
【0066】
従って、タグ通信装置1Cから壁内の全RFIDタグ2に対して交信を試み、交信不可のRFIDタグが検出されたら、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を前記図示しないテーブルから取得し、その取得した位置情報を基に交信不可のRFIDタグの位置をグラフィック座標上にプロットすること等によって、第1実施形態の物体検知システムS1では、交信不可となっている壁内のRFIDタグ2の範囲を検出することができる。
【0067】
さらに、前記のように交信不可となっている壁内のRFIDタグ2の範囲は、その壁に投影される前述した当該物体Dの影Dsの範囲と略等しいから、本物体検知システムS1では、交信不可のRFIDタグの位置情報より当該物体のある程度の大きさ、形状を検出することができる。なお、本実施形態では、部屋の壁に投影される物体Dの影Dsを用いて、物体Dのある程度の形状を検出する例について説明したが、図1に示すように物体Dと床が接している場合においても、交信不可のタグを検出することにより、物体Dのある程度の大きさと形状を検出できる。この点については、物体が壁に接触している場合も同様である。さらに、本実施例では、タグ通信装置1Cから壁内の全RFIDタグ2に対して交信を試みたが、このように全RFIDタグ2を交信範囲とするのではなく、一部のRFIDタグ2だけを交信範囲として予め設定しておくといった構成でもよい。また、その交信範囲はユーザが任意に設定できるように構成してもよい。
【0068】
例えば、3つのRFIDタグが交信不可であるとしたら、これらのRFIDタグの位置は前述のテーブルからの位置情報の取得によって判明している。従って、前記面積は、先に例示した3つのRFIDタグの位置情報に基づいて、その3つのRFIDタグからなる三角形の面積を計算すればよい。
【0069】
図6は本発明の第2実施形態である物体検知システムの説明図である。
【0070】
<物体検知システムの基本方式と機器構成>
図6に示す本物体検知システムS2は、複数のタグ通信装置1A、1Bを用いて物体Dを検知するものであって、複数(同図の例では2台)のタグ通信装置1A、1Bと、各タグ通信装置1A、1Bの交信可能エリアA、Bに設置された複数のRFIDタグ2と、システム全体を統括・制御するシステムコンピュータ3とにより構成される。
【0071】
<タグ通信装置の詳細説明>
本物体検知システムS2を構成する前記2台のタグ通信装置1A、1Bは、いずれも第1実施形態のタグ通信装置1Aと同じく、RFIDリーダライタ又はRFIDリーダからなり、システムコンピュータ3からの指令に基づいて、RFIDタグ2に向けて質問波を送信したり、質問波に対する各RFIDタグ2からの応答波を受信したりする等、全てのRFIDタグ2に対して交信(送受信)を試みる。
【0072】
また、前記各タグ通信装置1A、1Bは、いずれもRFIDタグ2に対して交信を試みてその応答波を受信したら、応答波の中にデータとして含まれているRFIDタグ2の自IDを交信記録としてシステムコンピュータ3へ送信する。この送信するIDにはそれぞれのタグ通信装置1A、1BのIDを付加する。システムコンピュータ3においてどのタグ通信装置1A、1Bから送られてきた交信記録であるかを識別するためである。
【0073】
本物体検知システムS2でも、部屋の床に置かれた物体Dを検知するために、各タグ通信装置1A、1Bは部屋の天井に設置するとともに、その交信可能エリアA、Bは部屋の床に設定した。そして、物体Dの位置検出精度を高めるために、本物体検知システムS2では、第1のタグ通信装置1Aの交信可能エリアAと第2のタグ通信装置1Bの交信可能エリアBとが相互に重なる領域(交信可能エリア重複領域C)を持つように構成した。
【0074】
図6の例では、部屋の床の中央付近で2台のタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリアA、Bが重複しており、部屋の床の左右両側では交信可能エリアAと交信可能エリアBの重複はないが、タグ通信装置の数を増やすことにより、そのような交信可能エリア重複領域Cを部屋の床全域に拡大することも可能である。
【0075】
<RFIDタグの詳細説明>
本物体検知システムS2を構成する前記複数のRFIDタグ2もまた、第1実施形態のRFIDタグ2と同じく、部屋の床に埋め込まれ、タグ通信装置1A、1Bの交信可能エリアA、B内に設置されるが、一部のRFIDタグ2は図6(a)(b)のように2台のタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cに配置される。
【0076】
なお、本物体検知システムS2で使用するRFIDタグ2の基本的な機能・構成は、先に説明した第1実施形態のRFIDタグ2と同じであるため、その詳細説明は省略する。
【0077】
<システムコンピュータの詳細説明>
本物体検知システムS2を構成する前記システムコンピュータ3は、第1実施形態のシステムコンピュータ3と同じく、タグ通信装置1A、1Bと通信できるパーソナルコンピュータ等から構成されるとともに、図示しない内蔵あるいは外付けハードディスク等の記憶装置に、前述したテーブルTのほか、更に、先に説明したタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cも記憶させてある。
【0078】
本物体検知システムS2のシステムコンピュータ3は、システム全体を統括・制御するとともに、複数のタグ通信装置1A、1Bから前記各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出するように構成してある。この構成は、具体的には、本物体検知システムS2のシステムコンピュータ3が、下記(1)〜(5)に示す処理を実行するプログラム又は回路を備えることによって実現される。
(1)複数のタグ通信装置1A、1BからRFIDタグ2との交信記録(交信を試みた結果)を受信する処理。
(2)受信した交信記録に基づいてそれぞれのタグ通信装置1A、1Bについて交信不可のRFIDタグを検出する処理。
(3)交信不可のRFIDタグは複数のタグ通信装置1A、1Bで交信できるエリア(交信可能エリア重複領域C)に存在するか否かを判定する処理。
(4)交信不可のRFIDタグはそのタグを交信可能エリアA、B内に含む複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可かどうかを判定する処理。
(5)複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可と判定されたRFIDタグのIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得する処理。
【0079】
<複数のタグ通信装置で交信不可のRFIDタグを検出する方式>
システムコンピュータ3は、複数のタグ通信装置1A、1Bからの交信記録の受信完了後、交信記録として送られてきた全IDを図2のテーブルの中から抽出し(手順1)、一度も抽出されずに最後に残ったIDにより特定されるRFIDタグを、少なくとも2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグとして検出する(手順2)。
【0080】
図6の例では、2台のタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cに合計40個のRFIDタグ2が存在する。このうち、IDがNO.5のRFIDタグ2の上には物体Dが存在する。このNo.5のRFIDタグ2に対して2台のタグ通信装置1A、1Bから送信される質問波は当該物体Dによって遮られるので、No.5のRFIDタグ2からの応答波はいずれのタグ通信装置1A、1Bでも受信できない。従って、No.5のRFIDタグ2は、2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可なので、複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグとして検出される。
【0081】
<物体検知システムS2の動作説明>
次に、本物体検知システムS2において特に物体の位置を検出する際のシステム全体動作について図7を基に説明する。
【0082】
図7において、本物体検知システムS2は、図示しないシステム動作スイッチのONと同時に、システムコンピュータ3と2台のタグ通信装置1A、1Bが動作を開始する(スタート)。この時点でシステムコンピュータ3の図示しない記憶装置に図2のテーブルTや2台のタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cが記憶されていない場合は、それらを記憶させてから(ステップ200及び205)、位置検出処理が開始されることになる(ステップ210)。なお、テーブルTやタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cが記憶されている場合は、ステップ200及び205をスキップして、ステップ210の位置検出処理が始まる。
【0083】
動作を開始したシステムコンピュータ3は、2台のタグ通信装置1A、1Bに対して交信開始命令を出力する。そして、この交信開始命令をトリガとして、それぞれのタグ通信装置1A、1Bは、質問波を少なくとも1回送信することによって、タグ通信装置ごとに全てのRFIDタグ2との交信を試みる(ステップ220)。
【0084】
これにより、交信可能なRFIDタグは自IDを含む応答波を送信し、各タグ通信装置1A、1Bは、その応答波を受信した後、応答波に含まれているRFIDタグ2のIDにそれぞれのタグ通信装置1A、1BのIDを付加し、これらを交信記録としてシステムコンピュータ3へ送信する。
【0085】
システムコンピュータ3は、それぞれのタグ通信装置1A、1Bからの前記交信記録を受信し、図示しない作業メモリ領域等の記憶部に格納しておく。この場合、いずれのタグ通信装置1A、1Bでも全てのRFIDタグ2との交信が可能であったなら、前述した図示しない記憶部には、合計で(RFIDタグの数)×(タグ通信装置の台数)分の交信記録が格納されることになる(ステップ220)。
【0086】
交信不能のRFIDタグから応答波は送信されない。図6(a)の例ではNo.5のRFIDタグ2の上には物体Dが存在するので、No.5のRFIDタグ2は質問波を受信することができず、よって、そのRFIDタグ2から応答波は送信されず、No.5のRFIDタグのID(No.5)が交信記録としてシステムコンピュータ3に送信されることはない(ステップ220)。
【0087】
また、No.3およびNo.4のRFIDタグ2の上に物体は存在しないが、No.3およびNo.4のRFIDタグ2と第2のタグ通信装置1Bとの間での交信は近くの物体Dによって遮られるので、これらのRFIDタグのID(No.3およびNo.4)が第2のタグ通信装置1Bからシステムコンピュータ3に交信記録として送信されることもない。(ステップ220)。
【0088】
さらに、No.6およびNo.7のRFIDタグ2と第1のタグ通信装置1Aとの間での交信も同様に近くの物体Dによって遮られてしまうので、これらのRFIDタグのID(No.6およびNo.7)が第2のタグ通信装置1Bからシステムコンピュータ3に交信記録として送信されることもない(ステップ220)。
【0089】
前記のように交信記録を受信したシステムコンピュータ3は、交信記録に基づいて、いずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグがあるか否かを判定する(ステップ230)。
【0090】
前記ステップ230での判定は、各タグ通信装置1A、1Bからの交信記録の受信完了後、交信記録として送られてきた全てのID、すなわち先に説明した記憶部に格納したRFIDタグ2のIDを図2のテーブルTの中から抽出する。そして、その結果、抽出できずに残ったIDが存在するなら、いずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグが有ったと判定し(ステップ230のYes)、それが存在しなかったら、いずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグはないと判定するものである(ステップ230のNo)。
【0091】
このステップ230において、図6(a)の例では、No.3〜No.7までのRFIDタグ2がいずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグと判定されることになる(ステップ230)。
【0092】
前記ステップ230において、交信不可のRFIDタグはないと判断した場合は(ステップ230のNo)、システムコンピュータ3からタグ通信装置1A、1Bに対して交信開始命令が出力され、ステップ220〜ステップ230の処理が繰り返し実行される。
【0093】
前記ステップ230において、いずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグが少なくとも1つ有ると判定した場合は(ステップ230のYes)、次に、システムコンピュータ3において、その交信不可のRFIDタグは複数のタグ通信装置1A、1Bで交信できるエリア(交信可能エリア重複領域C)に存在するか否かを判定する(ステップ240)。
【0094】
前記ステップ240での判定については、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報をテーブルTから取得し、取得した位置情報によって特定されるRFIDタグの位置がタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cに含まれるかどうかを確認すればよい。この確認ができた場合は、交信不可のRFIDタグは“タグ通信装置の交信可能エリア重複領域に位置する”と判定し(ステップ240のYes)、かかる確認ができなかった場合は、その交信不可のRFIDタグは“タグ通信装置の交信可能エリア重複範囲に位置しない”と判定する(ステップ240のNo)。
【0095】
図6(a)の例では、先のステップ230において判定されたNo.3〜No.7までのRFIDタグ2はいずれも交信可能エリア重複範囲Cに含まれるから、このステップ240では、No.3〜No.7までのRFIDタグ2が、複数のタグ通信装置1A、1Bで交信できるエリア(交信可能エリア重複領域C)に存在すると判定される(ステップ240)。
【0096】
前記ステップ240において、交信不可のRFIDタグは“タグ通信装置の交信可能エリア重複領域に位置する”と判定した場合には、さらに、システムコンピュータ3において、その交信不可のRFIDタグはそのタグを交信可能エリア1A、1B内に含む複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可かどうかを判定する(ステップ250)。
【0097】
前記ステップ250での判定については、各タグ通信装置1A、1Bから交信記録として送られてきたRFIDタグのID、すなわち先に説明した記憶部に格納した全RFIDタグのIDを図2のテーブルの中から抽出する。そして、一度も抽出されずに最後に残ったIDにより特定されるRFIDタグを、複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグとして検出すればよい(ステップ250)。
【0098】
図6(a)の例では、先のステップ240において判定されたNo.3〜No.7までのRFIDタグ2のうち、No.5のRFIDタグ2だけが2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグとして検出されることになる(ステップ250)。
【0099】
前記ステップ250において、2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグが検出されたら(ステップ250のYes)、システムコンピュータ3において、その交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得し(ステップ260)、取得した位置情報を物体Dの位置としてモニター等に出力する(ステップ270)。そして、システムコンピュータ3からタグ通信装置1A、1Bに対して交信開始命令が出力され、ステップ220以下の処理が再実行されることになる。
【0100】
また、前記ステップ250において、2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグが検出されなかったら(ステップ250のNo)、ステップ260やステップ270のような物体Dの位置を出力するための処理を行わずに(ステップ280)、システムコンピュータ3からタグ通信装置1A、1Bに対して交信開始命令が出力され、ステップ220以下の処理が再実行されることになる。
【0101】
そして、以上説明した一連の処理は、図示しないシステム動作スイッチのOFFによって終了する。
【0102】
本物体検知システムS2において、図6(b)のように複数のRFIDタグ2の上に存在する大きな物体D1がある場合は、その物体D1によって複数のRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信が遮断されるため、その交信不可となった複数のRFIDタグ2を設置した面積とほぼ同じ面積の広がりを持つ物体D1が存在することも検出できる。
【0103】
<位置検出精度の比較>
物体の位置検出精度は、先に説明した第1実施形態の物体検知システムよりも、第2実施形態の物体検知システムの方が高い。
【0104】
例えば、第1実施形態の物体検知システムS1では、図1に示すNo.5のRFIDタグ2の上に図8のような大きさの物体Dが配置されると、No.5のRFIDタグだけでなく、No.4とNo.6のRFIDタグ2も交信不可となるので、No.4、No.5及びNo.6のRFIDタグ2の位置を物体の位置として誤って検知してしまう。
【0105】
一方、第2実施形態の物体検知システムS2では、図6(a)に示すように、図8と同じ物体Dの条件下でも、誤検知は生じず、No.5のRFIDタグ2の位置を物体Dの位置として正確に検知できる。これは、No.4やNo6のRFIDタグ2は2台のタグ通信装置1A、1Bのうちいずれか一方との交信が不可となるのに対し、No.5のRFIDタグ2は2台のタグ通信装置1A、1Bとの交信が不可になるため、No.5のRFIDタグ2の位置のみが物体の位置として検知されることになるからである。
【0106】
図9(a)は、先に説明した第2実施形態の物体検知システムS2において、部屋の壁を交信可能エリアとするタグ通信装置1Dを部屋の壁に取り付け、その交信可能エリアとして設定された部屋の壁にRFIDタグ2を埋め込んだ例の説明図、図9(b)は、同図(a)の物体より高さの低い物体を部屋内に置いた場合の説明図、図10は、図9(a)の部屋を斜め上方からみた斜視図である。
【0107】
図9(a)(b)及び図10の例では、タグ通信装置1Dから部屋の壁の全RFIDタグ2に対して交信を試み、交信不可のRFIDタグを検出することによって、その部屋内に位置する物体Dのある程度の大きさ、形状を検出することができる。その検出原理は先に説明した原理に基づくものである。
【0108】
<物体の影の範囲と交信可能/不可のRFIDタグの範囲との関係>
図9(a)と(b)において、物体Dの影Ds(図10参照)の外に埋め込まれている壁内のRFIDタグ2は、物体Dによってタグ通信装置1Dとの交信が妨げられることはないので、交信可能なRFIDタグになる。図9(a)と(b)では、ΔZ5又はΔZ7の範囲に位置するRFIDタグ2が、物体Dの影Ds(図10参照)の外にあって、交信可能なRFIDタグである。
【0109】
一方、図9(a)と(b)において、前記物体Dの影Dsの範囲内に埋め込まれている壁内のRFIDタグ2は、当該物体Dによってタグ通信装置1Dとの交信が妨げられるので、交信不可のRFIDタグになる。図9(a)と(b)では、それぞれΔZ6とΔZ8の範囲に位置するRFIDタグ2が、物体Dの影Dsの範囲内にあって、交信不可のRFIDタグである。
【0110】
従って、交信不可となっている壁内のRFIDタグ2の範囲(タグ通信装置1Dからの電波が物体Dで遮られて届かない範囲)は、その壁に投影される前述した当該物体Dの影Dsの範囲と略等しい。電波も光も直進性があって、同一の物体によって遮られているからである。図9(a)では、ΔZ6の範囲に位置するRFIDタグ2が物体Dの影Dsの範囲にあって、交信不可のRFIDタグとなっている。また、図9(b)では、ΔZ8の範囲に位置するRFIDタグ2が物体Dの影Dsの範囲にあって、交信不可のRFIDタグとなっている。
【0111】
<第2実施形態の物体検知システムにおける物体の大きさ、形状の検出>
第2実施形態の物体検知システムS2でも、先に説明した第1実施形態の物体検知システムS1と同様に、壁に埋め込んだ全RFIDタグ2のIDとその位置情報とを一対一で対応付けて格納したテーブル(図示省略。参考例:図2)を別途採用することによって、先に説明した手順1、2と同様の手順で、壁内のどのRFIDタグが交信不可となっているかを検出することができる。
【0112】
従って、タグ通信装置1Dから壁内の全RFIDタグ2に対して交信を試み、交信不可のRFIDタグが検出されたら、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を前記図示しないテーブルから取得し、その取得した位置をグラフィック座標上にプロットすることによって、第2実施形態の物体検知システムS2では、交信不可となっている壁内のRFIDタグの範囲を検出することができる。この場合も、その交信不可となっている壁内のRFIDタグの範囲は、その壁に投影される前述した物体Dの影Dsの範囲と略等しいから、前述の式2の未知量を算出することによって、物体Dのある程度の大きさ、形状を検出することができる。
【0113】
<第1及び第2実施形態の物体検知システムに共通の応用例など>
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2では、物体の位置、大きさ、形状を検出しているが、その物体が移動する場合は、時系列で交信不可のRFIDタグを検出し、その位置情報を取得することによって、当該物体の軌跡(動線)を検出することもできる。この物体の軌跡を検出する方式としては、例えば、取得した交信不可のRFIDタグの位置情報を物体の位置として時系列でプロットする方法が考えられる。
【0114】
第1実施形態の物体検知システムS1では、システムコンピュータ3が、交信不可のRFIDタグを検出する処理、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報をテーブルTから取得する処理、および取得した位置情報を物体の位置としてモニター等に出力する処理を実行するという構成を採用したが、このような一連の位置検出処理をタグ通信装置1A、1Bにおいて実行する構成を採用することもできる。かかる構成を採用する場合は、タグ通信装置1A内に図2のテーブルTを保持させ、そのテーブルTから交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を取得する。そして、取得した位置情報を物体の位置としてシステムコンピュータ3やアプリケーションプログラム、あるいはモニター等の上位機器へ出力するようにしてもよい。
【0115】
先に説明した第2実施形態の物体検知システムS2でも、前記一連の位置検出処理をタグ通信装置1A又は1Bにおいて実行する構成を採用することができる。かかる構成を採用する場合には、例えば一のタグ通信装置1Aを親機、それ以外の他の全てのタグ通信装置1Bを子機とし、親機(1A)内に図2のテーブルTを保持させる。そして、親機(1A)と子機(1B)のそれぞれが先に説明した図5のステップ220の処理、すなわちRFIDタグとの交信を試み、その結果である子機(1B)の交信記録は親機(1A)へ送信し、親機(1A)では図5のステップ240〜280の処理を行うものとする。そうすれば、システムコンピュータ3を使用せず、タグ通信装置のネットワークだけで上述の一連の位置検出処理を行うことができる。
【0116】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2においては、タグ通信装置1A、1Bのアンテナ構成として、ビームスキャンアンテナや、それ以外の通常のアンテナ、すなわち電波のビームを絞っておらずビームをスキャンする機能のないアンテナを採用することができる。
【0117】
図11(a)は、第2実施形態の物体検知システムS2において、ビームスキャンアンテナでない通常のアンテナを採用したときのタグ通信装置の設置例の説明図、同図(b)は、第2実施形態の物体検知システムS2において、ビームスキャンアンテナを採用したときのタグ通信装置の設置例の説明図である。
【0118】
ビームスキャンアンテナを採用した場合、同図(a)に示す2台目と3台目のタグ通信装置1B、1Cは同図(b)のように一台のタグ通信装置1Zで兼用することができ、また同図(a)の4台目と5台目のタグ通信装置1D、1Eは同図(b)のように一台のタグ通信装置1Yで兼用することができることから、タグ通信装置の台数削減を図ることができる。
【0119】
物体Dによる反射でFH(フィールドホール)が発生して正常に交信できなくなる問題を回避するためには、壁に電波吸収体を貼り付ければよい。これにより、交信したくない時に交信できてしまうという問題を回避することもできる。
【0120】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2では、交信不可か否かを基準として、物体の位置を検出するようにしたが、通常の交信時におけるRFIDタグからの応答波の受信レベルをタグ通信装置1A、1Bに記憶させておき、その受信レベルと大きく異なる受信レベルを検知した場合は、たとえ交信可能であったとしても、交信先のRFIDタグ2から取得したIDを交信記録としてシステムコンピュータ3へ出力しないように排除してもよい。これにより、交信したくない時に交信できてしまうという問題を回避することができる。
【0121】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2では部屋の床に置かれた物体Dの位置を検出したが、その物体Dは人でもよい。部屋の床の面積は容易に測れるか既知であるから、当該物体Dを人と考えれば、部屋内の人の密度や有無を検出することができ、更に、その検出結果に基づいて部屋の照明や空調を制御等、各種機器の制御を行う構成を採用することもできる。
【0122】
前記部屋を商品の売り場と考え、当該物体Dを顧客だと考えれば、先に説明したように人の密度を検出することで、人気商品を把握することができる。人気商品には人が集中するため、人気商品周りは人の密度は高くなるからである。
【0123】
前記部屋をエスカレータのあるフロアと考え、当該物体Dをそのフロアに存在する人と考えれば、先に説明したように人の密度を検出することで、エスカレータの出入口付近に人が密集していることを把握でき、この場合、エスカレータの速度を低下させる等の安全対策を採るようにしてもよい。
【0124】
前記部屋をスポーツジムと考え、当該物体Dをジム利用者と考えれば、スポーツジムに設置されているジム機器にRFIDタグ2を埋め込む構成を採用することによって、スポーツジムでは、ジム機器の稼働率を把握することが可能となる。稼動しているジム機器のRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は、そのジム機器の使用者によって遮られるため、交信不可のRFIDタグの位置にあるジム機器は現在使用中であることを意味することになるからである。
【0125】
前記部屋をパチンコ店やゲームセンター等の遊技センターと考え、当該物体Dを遊技機利用者と考えれば、例えば遊技機利用者が座る椅子等にRFIDタグ2を埋め込む構成を採用することで、遊技センターでは、遊技機の稼動率を把握することが可能となる。そのようなRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は遊戯機利用者によって遮断されるため、交信不可のRFIDタグの位置にある遊技機は現在使用中であることを意味することになるからである。
【0126】
前記部屋を金庫室等のようにセキュリティーが必要な部屋と考え、当該物体Dをその部屋に侵入した不審者と考えれば、その部屋の床に埋め込まれたRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は不審者によって遮断されるから、不審者の存在や位置を検知することができる。
【0127】
前記部屋を危険区域として指定された部屋と考え、当該物体Dをその指定危険区域の部屋に立ち入る人と考えれば、指定危険区域の部屋の床に埋め込まれたRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信はその部屋に立ち入った人によって遮断されることから、危険区域への人の立ち入りやその人の位置を検知することができる。
【0128】
前記部屋の床を駐車場の駐車スペースと考え、その部屋の天井に取り付けられたタグ通信装置1A、1Bを支持部材によって駐車場の上空に取り付け、その床の上の物体Dを車両と考えれば、駐車場の空状況を把握することができる。駐車スペースに埋め込まれたRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は駐車スペースに駐車している車両によって遮断されるため、交信不可のRFIDタグの位置にある駐車スペースは現在使用中であることを意味することになるからである。
【0129】
前記部屋を倉庫と考え、当該物体Dを荷物と考えれば、その倉庫の床に埋め込まれたRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は荷物によって遮断されることから、倉庫内の荷物が徐々に減ることにより交信可能なRFIDタグの数が徐々に増えていく。また、倉庫内の荷物が徐々に増えることにより交信不可のRFIDタグの数が徐々に減っていく。これらのことから、倉庫内にどれだけの荷物が存在するか等、在庫管理を行うことができる。
【0130】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2において、部屋に出入りする人が個別にRFIDタグを持つことも許容できる。この場合、いずれのシステムでも、部屋の中に存在する人の位置や数を把握することが可能であるから、タグ通信装置1A、1Bによって人のRFIDタグからIDを取得することで、部屋の中でRFIDタグを所持する人の数をカウントし、部屋の中でRFIDタグを所持する人の割合を算出することもできる。この例において、その人が会員であるとしたら、部屋の中に入っている会員の割合を算出することができる。
【0131】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2は、部屋の壁にもRFIDタグ2を埋め込む構成も採用できる。この構成を採用した場合には、物体Dのおおよその高さを検出することができる。例えば、壁の上、中、下にRFIDタグを埋め込んだ場合において、上のRFIDタグとの交信が不可となったら、少なくとも上のRFIDタグを埋め込んだ高さの物体Dによって交信が遮られていると見ることができ、その高さの物体Dが部屋の中に存在することを検出できる。
【0132】
前記のような物体Dの高さを検出する例において、上のRFIDタグの埋め込み高さを大人の平均身長とし、下のRFIDタグの埋め込み高さを子供の平均身長とし、当該物体を人だと考えれば、上のRFIDタグとの交信が不可であったら、大人によって上のRFIDタグとの交信が遮られたと見ることができ、部屋の中に大人が存在することを検出できる。一方、下のRFIDタグとの交信のみが不可で、上のRFIDタグとの交信は可能であったら、大人によって上のRFIDタグとの交信の遮断はなく、子供によって下のRFIDタグとの交信が遮断されていると見ることができ、部屋の中には子供しかいないことを検出することができる。これは保育園等で不審者を発見すること等に利用できる。
【0133】
なお、本発明の実施の形態は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明と同一のあるいは均等の範囲内において、種々の修正や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は本発明の第1実施形態である物体検知システムの説明図で、(a)は同システムのブロック図、(b)は部屋の天井から床を見たときのRFIDタグの配置と交信可能エリアの説明図である。
【図2】図2は図1、図3の物体検知システムで使用するテーブルの説明図である。
【図3】図3は図1に示す物体検知システムの全体動作の説明図である。
【図4】図4(a)は、第1実施形態の物体検知システムにおいて、部屋の床と壁を交信可能エリアとした一台のタグ通信装置を採用し、その交信可能エリアとして設定された部屋の床と壁にRFIDタグを埋め込んだ例の説明図である。図4(b)は、同図(a)の物体より高さの低い物体を部屋内に置いた場合の説明図である。
【図5】図5は、図4(a)の部屋を斜め上方からみた斜視図である。
【図6】図6は本発明の第2実施形態である物体検知システムの説明図で、同図(a)は同システムのブロック図、同図(b)は部屋の天井から床を見たときのRFIDタグの配置と交信可能エリアの説明図である。
【図7】図7は図6に示す物体検知システムの全体動作の説明図である。
【図8】図8は図1の物体検知システムの位置検出限界の説明図である。
【図9】図9(a)は、第2実施形態の物体検知システムにおいて、部屋の壁を交信可能エリアとするタグ通信装置を部屋の壁に取り付け、その交信可能エリアとして設定された部屋の壁にRFIDタグを埋め込んだ例の説明図である。図9(b)は、同図(a)の物体より高さの低い物体を部屋内に置いた場合の説明図である。
【図10】図10は、図9(a)の部屋を斜め上方からみた斜視図である。
【図11】図11(a)は、第2実施形態の物体検知システムにおいて、ビームスキャンアンテナでない通常のアンテナを採用したときのタグ通信装置の設置例の説明図、同図(b)は、第2実施形態の物体検知システムにおいて、ビームスキャンアンテナを採用したときのタグ通信装置の設置例の説明図である。
【符号の説明】
【0135】
1A〜1F、1Y〜1Z タグ通信装置
2 RFIDタグ
3 システムコンピュータ
A、B 交信可能エリア
C 交信可能エリア重複領域
D、D1 物体
Ds 物体の影
S1、S2 物体検知システム
T テーブル
【技術分野】
【0001】
本発明は、不特定多数の人や物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価にその物体の位置、大きさ、形状を検知するのに好適な物体検知システム、物体検知方法、タグ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
百貨店のような大規模な店舗などでは、どれだけの顧客がどの階のフロアに集中しているかを把握するために、各フロアの顧客の人数や位置を知りたい場合がある。この場合はRFIDタグを利用して顧客の人数や位置を知る方式が考えられる。
【0003】
例えば、顧客の人数を知るには、フロアの天井等のようにフロア全体を見渡せる場所にタグ通信装置を設置し、顧客にRFIDタグを携帯させる。そして、RFIDタグの個数をカウントすれば顧客の人数になるので、タグ通信装置とRFIDタグとの間での交信により、RFIDタグに格納してあるIDをタグ通信装置で読み取ってカウントする方法が考えられる。また、顧客の位置を知るには、タグ通信装置から顧客の所持するRFIDタグまでの距離と方向を計測して顧客の位置をベクトルで表せばよいので、タグ通信装置とRFIDタグとの間での交信により当該距離と方向を測定する方法が考えられる。
【0004】
しかしながら、前記のようなRFIDタグを利用する方式では、不特定多数の人にRFIDタグを携帯させる必要があり、煩雑である。また、RFIDタグの持ち方によってはタグ通信装置とRFIDタグとの間での交信が不可となる場合もあり、顧客の人数や位置を正確に検知することはできないという問題点がある。
【0005】
特許文献1は物品の位置を検出するシステムを開示している。このシステムは、管理対象の物品(43)に取り付けられた無線標識タグ(42)からの無線信号と、特定の基準位置に配置された無線標識タグ(41)からの無線信号を利用して、物品(43)の位置を検出するものである。
【0006】
しかしながら、前記特許文献1のシステムでは、物品(43)の位置を検出するのにあたり、無線標識タグ(42)を当該物品(43)に取り付けなければならない。そのため、このシステムを利用して顧客の人数や位置を検出するとしたら、物品(43)の代わりに顧客に無線標識タグ(42)を携帯させなければならないので、先に説明した顧客の人数や位置を知る方法と同様の問題点が生じる。
【0007】
特許文献2も物品の位置を検出するシステムを開示している。このシステムは、無線タグ(TG)が散在している床面のような対象領域を、天井などに設置されたリーダ(1)によって走査する。そして、リーダ1の検知結果を基に無線タグ(TG)群の中から特定の位置データを代表する位置ID(SP)を選択し、物体によって位置ID(SP)との交信が遮断されると、その位置ID(SP)を含むエリアに物体があることを検知するものである。
【0008】
しかしながら、前記特許文献2のシステムでは、無線タグ(TG)群の中から位置ID(SP)を選択する構成を採っているため、位置ID(SP)として選択される無線タグ周りに多数の無線タグ(TG)が必要となり、システム全体がコスト高とならざるを得ない。また、リーダ(1)による走査の対象領域が変わると、その都度改めて、前述の位置ID選択ステップを再実行する必要があり、手間がかかる。さらに、位置ID選択ステップの実行中に無線タグ(TG)とリーダ(1)との間での交信が物体によって遮られてしまうことも想定される。この場合は、位置ID(SP)の選択ができなくなるので、位置ID(SP)を含むエリアに存在する物体を検知することも不可能になるという問題点がある。
【0009】
【特許文献1】特開2003−185730号公報
【0010】
【特許文献2】特開2005−228292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、不特定多数の人や物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価にその物体の位置を確実に検出でき、さらに、その物体の大きさや形状も検出できるようにした物体検知システム、物体検知方法、タグ通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
かかる目的を達成するために、本発明に係る物体検知システムは、タグ通信装置と、複数のRFIDタグと、各RFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルと、前記タグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出する第1の処理部と、前記第1の処理部で検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得する第2の処理部と、を含むことを特徴とする。
【0013】
前記本発明に係る物体検知システムにおいては、前記第2の処理部で取得した位置情報を物体の位置として出力する第3の処理部を有する構成を採用してもよい。
【0014】
前記本発明に係る物体検知システムにおいては、前記第2の処理部で取得した位置情報より物体の形状または大きさを検知する第4の処理部を有する構成を採用することもできる。
【0015】
前記本発明に係る物体検知システムにおいては、前記第1、2の処理部において時系列で交信不可のRFIDタグを検出、位置情報を取得し、物体の軌跡を検出する第5の処理部を有する構成を採用することもできる。
【0016】
前記本発明に係る物体検知システムにおいては、前記タグ通信装置は複数存在し、複数のタグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出するように構成することもできる。
【0017】
前記本発明に係る物体検知システムにおいて、前記タグ通信装置のアンテナはビームスキャンアンテナとしてもよい。
【0018】
本発明に係る物体検知方法は、タグ通信装置と、複数のRFIDタグと、各RFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルとを用いて物体を検知する物体検知方法であって、前記タグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得することを特徴とする。
【0019】
前記本発明に係る物体検知方法においては、取得した前記位置情報を物体の位置として出力してもよい。
【0020】
前記本発明に係る物体検知方法においては、取得した前記位置情報より物体の形状または大きさを検知してもよい。
【0021】
前記本発明に係る物体検知方法においては、時系列で交信不可のRFIDタグを検出、位置情報を取得し、物体の軌跡を検出してもよい。
【0022】
前記本発明に係る物体検知方法において、前記タグ通信装置は複数存在し、複数のタグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出してもよい。
【0023】
前記本発明に係る物体検知方法において、前記タグ通信装置のアンテナはビームスキャンアンテナであってもよい。
【0024】
本発明に係るタグ通信装置は、複数のRFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルを保持するとともに、前記複数のRFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得することを特徴とする。
【0025】
本発明において、「物体」というときは、荷物や車両等、RFIDタグとの交信を遮断する全ての物や人を含む。
【0026】
また、「RFIDタグ」には、例えば、電池などの電源を有しておらず、RFIDリーダライタ等のタグ通信装置から電波で送電された電力によって回路が動作して、タグ通信装置と無線通信を行うパッシブタイプのRFIDタグや、電池などの電源を有するアクティブタイプのRFIDタグが含まれる。
【0027】
「タグ通信装置」には、例えば、RFIDタグに対してデータの読み書きを行えるRFIDリーダライタや、RFIDタグからデータを読み出すだけのRFIDリーダが含まれる。
【0028】
「ビームスキャンアンテナ」とは、電波のビームを絞った指向性の強いアンテナであって、電子的に電波の指向性を制御できるアンテナである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、タグ通信装置の交信可能エリアにRFIDタグを複数設置し、RFIDタグとその位置情報とを対応付けてテーブルに記憶し、タグ通信装置から各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得する構成を採用した。このため、タグ通信装置の交信可能エリアに物体が置かれることによってタグ通信装置とRFIDタグとの間での交信が遮断されると、交信不可のRFIDタグの検出と位置情報の取得が行われ、取得した位置情報から交信を遮断している物体の位置が分かるから、不特定多数の人や荷物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価に物体の位置を確実に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
図1は本発明の第1実施形態である物体検知システムの説明図である。
【0032】
<物体検知システムの基本方式と機器構成>
本物体検知システムS1は、一台のタグ通信装置1Aを用いて物体D(人を含む)を検知するものであって、図1に示す一台のタグ通信装置1Aと、このタグ通信装置1Aの交信可能エリアAに設置された複数のRFIDタグ2と、システム全体を統括・制御するシステムコンピュータ3とにより構成される。
【0033】
<タグ通信装置の詳細説明>
タグ通信装置1Aは、RFIDリーダライタ又はRFIDリーダからなり、システムコンピュータ3からの指令に基づいて、RFIDタグ2に向けて質問波を送信したり、その質問波に対する各RFIDタグ2からの応答波を受信したりする等、全てのRFIDタグ2に対して交信を試みる。
【0034】
また、このタグ通信装置1Aは、RFIDタグ2に対して交信を試みてその応答波を受信したら、応答波の中にデータとして含まれているRFIDタグのIDを交信記録としてシステムコンピュータ3へ送信する。
【0035】
本物体検知システムS1では、前記タグ通信装置1Aを部屋の天井に設置し、そのタグ通信装置1Aの交信可能エリアを部屋の床に設定した。その床に置かれた物体Dを検知するためである。
【0036】
<RFIDタグの詳細説明>
複数のRFIDタグ2は、いずれも、タグ通信装置1Aの交信可能エリアA内に設置される。本物体検知システムS1においては、上述のように部屋の床をタグ通信装置1Aの交信可能エリアAに設定し、床に置かれた物体Dを検知するため、複数のRFIDタグ2はその部屋の床に埋め込んである。埋め込むRFIDタグ2は物体Dの所在を検知できる程度の密度で敷き詰める。なお、以下、RFIDタグ2を部屋の床や壁に埋め込んだ例で説明するが、RFIDタグ2は床や壁、その他の物体に貼り付ける構成を採用することもできる。
【0037】
前記各RFIDタグ2は、いずれも、タグ通信装置1Aからの質問波を受信したり、その質問波に対する応答波をタグ通信装置1Aへ送信したりする等、タグ通信装置1Aとの間で交信(送受信)を行う一般的な構造のものからなり、その応答波の中にはRFIDタグの自IDを含んでいる。つまり、各RFIDタグ2は、タグ通信装置1Aからの質問波を受信したら、自IDを含む応答波を送信する構成になっている。
【0038】
<システムコンピュータの詳細説明>
システムコンピュータ3は、タグ通信装置1Aと通信できるパーソナルコンピュータ等から構成され、図示しない内蔵あるいは外付けハードディスク等の記憶装置に、図2に示すテーブルTを記憶させてある。
【0039】
図2のテーブルTは、本物体検知システムS1で使用する全てのRFIDタグ2(図1の例では床に埋め込んだ全RFIDタグ2)のIDとその位置情報とを、一対一で対応付けて格納したものである。RFIDタグ2の位置情報は、図1の例ではRFIDタグ2を床に埋め込んだ場所を特定するものである。この位置情報については、例えば、床の中心点やコーナー部を原点としたXY平面座標で表したもの等を採用することができる。
【0040】
また、システムコンピュータ3は、本物体検知システムS1全体を統括・制御するとともに、少なくとも、タグ通信装置1Aから各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグ2を検出する第1の処理部と、第1の処理部で検出したRFIDタグ2のIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得する第2の処理部と、第2の処理部で取得した位置情報を物体の位置として出力する第3の処理部として機能するように構成してある。これらの機能は、システムコンピュータ3が、下記(1)〜(4)に示す処理を実行するプログラム又は回路を備えることによって実現される。
(1)タグ通信装置1AからRFIDタグ2との交信記録(タグ通信装置1Aから各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果)を受信する処理。
(2)交信記録に基づいて交信不可のRFIDタグを検出する処理。
(3)交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得する処理。
(4)取得した位置情報を物体の位置としてモニター等に出力する処理。
【0041】
<交信不可のRFIDタグを検出する方式>
RFIDタグ2との交信が不可のときは、そのRFIDタグ2からIDを取得することができないので、交信不可のRFIDタグ2のIDが交信記録としてタグ通信装置1Aからシステムコンピュータ3へ送られることはない。従って、システムコンピュータ3に送られてくるタグ通信装置1Aの交信記録は、いずれも必然的に交信可能なRFIDタグ2のIDということになる。
【0042】
一方、システムコンピュータ3は、図2のテーブルTを参照することによって、本物体検知システムS1で使用している全RFIDタグ2のIDを漏れなく把握している。
【0043】
従って、システムコンピュータ3では、タグ通信装置1Aからの交信記録の受信完了後、交信記録として送られてきた全てのIDを図2のテーブルTの中から抽出し(手順1)、最後に抽出できずに残ったIDにより特定されるRFIDタグを、交信不可のRFIDタグとして検出する(手順2)。
【0044】
なお、前述の検出方式において、テーブルT内の全てのIDが抽出されたときは、交信不可のRFIDタグ2はゼロであったことを意味する。この一方、テーブルT内の全IDのうち例えばNo.1とNo.2のIDを抽出することができなかったときは、それぞれのIDによって特定されるNo.1とNo.2のRFIDタグが交信不可であったことを意味する。
【0045】
<物体検知システムS1の動作説明>
次に、本物体検知システムS1において特に物体の位置を検出する際のシステム全体動作について図3を基に説明する。
【0046】
図3において、本物体検知システムS1は、図示しないシステム動作スイッチのONと同時に、システムコンピュータ3とタグ通信装置1Aが動作を開始する(スタート)。この時点でシステムコンピュータ3の図示しない記憶装置に図2のテーブルTを記憶させていない場合は当該テーブルTを記憶させてから(ステップ100)、位置検出処理が開始される(ステップ110)。なお、テーブルTを記憶させている場合は、ステップ100をスキップして、ステップ110の位置検出処理が始まる。
【0047】
動作を開始したシステムコンピュータ3は、最初に、タグ通信装置1Aに対して交信開始命令を出力する。そして、この交信開始命令をトリガとして、タグ通信装置1Aは、質問波を少なくとも1回送信することによって、全てのRFIDタグ2との交信を試みる(ステップ120)。
【0048】
これにより、交信可能なRFIDタグ2からは自IDを含む応答波が送信され、タグ通信装置1Aはその応答波を受信し、応答波に含まれているRFIDタグ2のIDを交信記録としてシステムコンピュータ3へ送信する。システムコンピュータ3は、そのRFIDタグ2のIDを交信記録として受信し、図示しない作業メモリ領域等の記憶部に格納しておく。この場合、全てのRFIDタグ2との交信が可能であったなら、前述した図示しない記憶部には、RFIDタグ2の数分の交信記録が格納されることになる(ステップ120)。
【0049】
交信不能のRFIDタグ2から応答波は送信されない。図1(a)の例ではNo.5のRFIDタグ2の上に物体Dが存在するので、No.5のRFIDタグ2は質問波を受信することができず、よって、そのRFIDタグ2から応答波は送信されず、No.5のRFIDタグのID(No.5)が受信記録としてシステムコンピュータ3に送信されることもない(ステップ120)。
【0050】
前記交信記録を受信したシステムコンピュータ3は、その交信記録に基づいて交信不可のRFIDタグ2が有るか否かを判断する(ステップ130)。
【0051】
前記ステップ130での判断は、先に説明した<交信不可のRFIDタグを検出する方式>の手順1と手順2で、交信不可のRFIDタグ2を検出する。
【0052】
具体的には、交信記録としてシステムコンピュータ3に送られてきた全てのID、すなわち先に説明した図示しない記憶部に格納したIDを、図2のテーブルTの中から順次抽出して行き(手順1)、抽出されずに最後に残ったIDが有ったら、そのIDにより特定されるRFIDタグを交信不可のRFIDタグ2として検出する(手順2)。図1(a)の例では、No.5のRFIDタグ2が交信不可であるため、No.5のRFIDタグのID(No.5)は図2のテーブルTの中から抽出されずに残る。従って、このNo.5のRFIDタグ2が交信不可のRFIDタグとして検出されることになる。
【0053】
そして、交信不可のRFIDタグが検出されたら、交信不可のRFIDタグが有ると判断し(ステップ130のYes)、交信不可のRFIDタグを検出できなかったら、交信不可のRFIDタグはないと判断する(ステップ130のNo)。
【0054】
ステップ130において、交信不可のRFIDタグはないと判断された場合は(ステップ130のNo)、システムコンピュータ3からタグ通信装置1Aに対して交信開始命令が出力され、ステップ120〜ステップ130の処理が繰り返し実行される。
【0055】
ステップ130において、交信不可のRFIDタグがあると判断された場合は(ステップ130のYes)、システムコンピュータ3において、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得し、取得した位置情報を物体Dの位置としてモニター等に出力する。そして、システムコンピュータ3からタグ通信装置1Aに対して交信開始命令が出力され、ステップ120以下の処理が再実行されることになる。
【0056】
以上説明した一連の処理は、図示しないシステム動作スイッチのOFFによって終了する。
【0057】
以上説明した第1実施形態の物体検知システムS1にあっては、タグ通信装置1Aの交信可能エリアAにRFIDタグ2を複数設置し、RFIDタグ2のIDとその位置情報とを対応付けてテーブルTに記憶し、タグ通信装置1Aから各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグのIDに対応する位置情報を前記テーブルTから取得する構成を採用した。このため、タグ通信装置1Aの交信可能エリアAに物体Dが置かれることによってタグ通信装置1AとRFIDタグ2との間での交信が遮断されると、交信不可のRFIDタグの検出と位置情報の取得が行われ、取得した位置情報から交信を遮断している物体の位置が分かるから、不特定多数の人や荷物等の物体にRFIDタグを持たせることなく、安価に物体の位置を確実に検出することができる。
【0058】
図4(a)は、先に説明した第1実施形態の物体検知システムにおいて、部屋の床と壁を交信可能エリアとした一台のタグ通信装置1Cを採用し、その交信可能エリアとして設定された部屋の床と壁にRFIDタグ2を埋め込んだ例の説明図、図4(b)は、同図(a)の物体Dより高さの低い物体Dを部屋内に置いた場合の説明図、図5は、図4(a)の部屋を斜め上方からみた斜視図である。
【0059】
図4(a)(b)及び図5の例では、タグ通信装置1Cから部屋の壁の全RFIDタグ2に対して交信を試み、交信不可のRFIDタグを検出し、その位置情報を取得するとともに、取得した位置情報より部屋内に位置する物体のある程度の大きさ、形状を検出すること(第4の処理)ができる。その検出原理は以下の通りである。
【0060】
<物体の大きさ、形状を検出する原理>
壁に埋め込まれた交信不可のRFIDタグの位置情報より物体の大きさ、形状を検出する原理は、日光や電球で照らされた物体の影から当該物体のある程度の大きさや形状を検出する原理に似ている。
【0061】
例えば、図4(a)(b)及び図5に示すタグ通信装置1Cの位置から図示しない電球で物体Dを照らしたら、図5のようにその物体Dの影Dsが部屋の壁に投影される。この物体の影Dsは当該物体Dと相似形になるので、かかる影Dsから当該物体Dの形状をある程度推定することができる。
【0062】
<前記物体の影の範囲と交信可能/不可のRFIDタグの範囲との関係>
図4(a)と(b)において、先に説明した物体の影Ds(図5参照)の外に埋め込まれている壁内のRFIDタグ2は、物体Dによってタグ通信装置1Cとの交信が妨げられることはないので、交信可能なRFIDタグになる。図4(a)と(b)では、それぞれΔZ1又はΔZ3の範囲に位置するRFIDタグ2が、物体Dの影Dsの外にあって、交信可能なRFIDタグである。
【0063】
一方、前記物体Dの影Dsの範囲内に埋め込まれている壁内のRFIDタグ2は、当該物体Dによってタグ通信装置1Cとの交信が妨げられるので、交信不可のRFIDタグになる。図4(a)と(b)では、それぞれΔZ2とΔZ4の範囲に位置するRFIDタグ2が、物体Dの影Dsの範囲内にあって、交信不可のRFIDタグである。
【0064】
従って、交信不可となっている壁内のRFIDタグの範囲(タグ通信装置1Cからの電波が物体で遮られて届かない範囲)は、その壁に投影される前述した当該物体Dの影Dsの範囲と略等しい。電波も光も直進性があって、同一の物体によって遮られているからである。図4(a)では、ΔZ2の範囲に位置するRFIDタグが物体Dの影Dsの範囲にあって、交信不可のRFIDタグとなっている。また、図4(b)では、ΔZ4の範囲に位置するRFIDタグが物体Dの影Dsの範囲にあって、交信不可のRFIDタグとなっている。
【0065】
<第1実施形態の物体検知システムにおける物体の大きさ、形状の検出>
第1実施形態の物体検知システムS1では、壁に埋め込んだ全RFIDタグ2のIDとその位置情報とを一対一で対応付けて格納したテーブル(図示省略。参考例:図2)を別途採用することによって、先に説明した手順1、2と同様の手順で、壁内のどのRFIDタグが交信不可となっているかを検出することができる。
【0066】
従って、タグ通信装置1Cから壁内の全RFIDタグ2に対して交信を試み、交信不可のRFIDタグが検出されたら、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を前記図示しないテーブルから取得し、その取得した位置情報を基に交信不可のRFIDタグの位置をグラフィック座標上にプロットすること等によって、第1実施形態の物体検知システムS1では、交信不可となっている壁内のRFIDタグ2の範囲を検出することができる。
【0067】
さらに、前記のように交信不可となっている壁内のRFIDタグ2の範囲は、その壁に投影される前述した当該物体Dの影Dsの範囲と略等しいから、本物体検知システムS1では、交信不可のRFIDタグの位置情報より当該物体のある程度の大きさ、形状を検出することができる。なお、本実施形態では、部屋の壁に投影される物体Dの影Dsを用いて、物体Dのある程度の形状を検出する例について説明したが、図1に示すように物体Dと床が接している場合においても、交信不可のタグを検出することにより、物体Dのある程度の大きさと形状を検出できる。この点については、物体が壁に接触している場合も同様である。さらに、本実施例では、タグ通信装置1Cから壁内の全RFIDタグ2に対して交信を試みたが、このように全RFIDタグ2を交信範囲とするのではなく、一部のRFIDタグ2だけを交信範囲として予め設定しておくといった構成でもよい。また、その交信範囲はユーザが任意に設定できるように構成してもよい。
【0068】
例えば、3つのRFIDタグが交信不可であるとしたら、これらのRFIDタグの位置は前述のテーブルからの位置情報の取得によって判明している。従って、前記面積は、先に例示した3つのRFIDタグの位置情報に基づいて、その3つのRFIDタグからなる三角形の面積を計算すればよい。
【0069】
図6は本発明の第2実施形態である物体検知システムの説明図である。
【0070】
<物体検知システムの基本方式と機器構成>
図6に示す本物体検知システムS2は、複数のタグ通信装置1A、1Bを用いて物体Dを検知するものであって、複数(同図の例では2台)のタグ通信装置1A、1Bと、各タグ通信装置1A、1Bの交信可能エリアA、Bに設置された複数のRFIDタグ2と、システム全体を統括・制御するシステムコンピュータ3とにより構成される。
【0071】
<タグ通信装置の詳細説明>
本物体検知システムS2を構成する前記2台のタグ通信装置1A、1Bは、いずれも第1実施形態のタグ通信装置1Aと同じく、RFIDリーダライタ又はRFIDリーダからなり、システムコンピュータ3からの指令に基づいて、RFIDタグ2に向けて質問波を送信したり、質問波に対する各RFIDタグ2からの応答波を受信したりする等、全てのRFIDタグ2に対して交信(送受信)を試みる。
【0072】
また、前記各タグ通信装置1A、1Bは、いずれもRFIDタグ2に対して交信を試みてその応答波を受信したら、応答波の中にデータとして含まれているRFIDタグ2の自IDを交信記録としてシステムコンピュータ3へ送信する。この送信するIDにはそれぞれのタグ通信装置1A、1BのIDを付加する。システムコンピュータ3においてどのタグ通信装置1A、1Bから送られてきた交信記録であるかを識別するためである。
【0073】
本物体検知システムS2でも、部屋の床に置かれた物体Dを検知するために、各タグ通信装置1A、1Bは部屋の天井に設置するとともに、その交信可能エリアA、Bは部屋の床に設定した。そして、物体Dの位置検出精度を高めるために、本物体検知システムS2では、第1のタグ通信装置1Aの交信可能エリアAと第2のタグ通信装置1Bの交信可能エリアBとが相互に重なる領域(交信可能エリア重複領域C)を持つように構成した。
【0074】
図6の例では、部屋の床の中央付近で2台のタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリアA、Bが重複しており、部屋の床の左右両側では交信可能エリアAと交信可能エリアBの重複はないが、タグ通信装置の数を増やすことにより、そのような交信可能エリア重複領域Cを部屋の床全域に拡大することも可能である。
【0075】
<RFIDタグの詳細説明>
本物体検知システムS2を構成する前記複数のRFIDタグ2もまた、第1実施形態のRFIDタグ2と同じく、部屋の床に埋め込まれ、タグ通信装置1A、1Bの交信可能エリアA、B内に設置されるが、一部のRFIDタグ2は図6(a)(b)のように2台のタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cに配置される。
【0076】
なお、本物体検知システムS2で使用するRFIDタグ2の基本的な機能・構成は、先に説明した第1実施形態のRFIDタグ2と同じであるため、その詳細説明は省略する。
【0077】
<システムコンピュータの詳細説明>
本物体検知システムS2を構成する前記システムコンピュータ3は、第1実施形態のシステムコンピュータ3と同じく、タグ通信装置1A、1Bと通信できるパーソナルコンピュータ等から構成されるとともに、図示しない内蔵あるいは外付けハードディスク等の記憶装置に、前述したテーブルTのほか、更に、先に説明したタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cも記憶させてある。
【0078】
本物体検知システムS2のシステムコンピュータ3は、システム全体を統括・制御するとともに、複数のタグ通信装置1A、1Bから前記各RFIDタグ2に対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出するように構成してある。この構成は、具体的には、本物体検知システムS2のシステムコンピュータ3が、下記(1)〜(5)に示す処理を実行するプログラム又は回路を備えることによって実現される。
(1)複数のタグ通信装置1A、1BからRFIDタグ2との交信記録(交信を試みた結果)を受信する処理。
(2)受信した交信記録に基づいてそれぞれのタグ通信装置1A、1Bについて交信不可のRFIDタグを検出する処理。
(3)交信不可のRFIDタグは複数のタグ通信装置1A、1Bで交信できるエリア(交信可能エリア重複領域C)に存在するか否かを判定する処理。
(4)交信不可のRFIDタグはそのタグを交信可能エリアA、B内に含む複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可かどうかを判定する処理。
(5)複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可と判定されたRFIDタグのIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得する処理。
【0079】
<複数のタグ通信装置で交信不可のRFIDタグを検出する方式>
システムコンピュータ3は、複数のタグ通信装置1A、1Bからの交信記録の受信完了後、交信記録として送られてきた全IDを図2のテーブルの中から抽出し(手順1)、一度も抽出されずに最後に残ったIDにより特定されるRFIDタグを、少なくとも2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグとして検出する(手順2)。
【0080】
図6の例では、2台のタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cに合計40個のRFIDタグ2が存在する。このうち、IDがNO.5のRFIDタグ2の上には物体Dが存在する。このNo.5のRFIDタグ2に対して2台のタグ通信装置1A、1Bから送信される質問波は当該物体Dによって遮られるので、No.5のRFIDタグ2からの応答波はいずれのタグ通信装置1A、1Bでも受信できない。従って、No.5のRFIDタグ2は、2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可なので、複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグとして検出される。
【0081】
<物体検知システムS2の動作説明>
次に、本物体検知システムS2において特に物体の位置を検出する際のシステム全体動作について図7を基に説明する。
【0082】
図7において、本物体検知システムS2は、図示しないシステム動作スイッチのONと同時に、システムコンピュータ3と2台のタグ通信装置1A、1Bが動作を開始する(スタート)。この時点でシステムコンピュータ3の図示しない記憶装置に図2のテーブルTや2台のタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cが記憶されていない場合は、それらを記憶させてから(ステップ200及び205)、位置検出処理が開始されることになる(ステップ210)。なお、テーブルTやタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cが記憶されている場合は、ステップ200及び205をスキップして、ステップ210の位置検出処理が始まる。
【0083】
動作を開始したシステムコンピュータ3は、2台のタグ通信装置1A、1Bに対して交信開始命令を出力する。そして、この交信開始命令をトリガとして、それぞれのタグ通信装置1A、1Bは、質問波を少なくとも1回送信することによって、タグ通信装置ごとに全てのRFIDタグ2との交信を試みる(ステップ220)。
【0084】
これにより、交信可能なRFIDタグは自IDを含む応答波を送信し、各タグ通信装置1A、1Bは、その応答波を受信した後、応答波に含まれているRFIDタグ2のIDにそれぞれのタグ通信装置1A、1BのIDを付加し、これらを交信記録としてシステムコンピュータ3へ送信する。
【0085】
システムコンピュータ3は、それぞれのタグ通信装置1A、1Bからの前記交信記録を受信し、図示しない作業メモリ領域等の記憶部に格納しておく。この場合、いずれのタグ通信装置1A、1Bでも全てのRFIDタグ2との交信が可能であったなら、前述した図示しない記憶部には、合計で(RFIDタグの数)×(タグ通信装置の台数)分の交信記録が格納されることになる(ステップ220)。
【0086】
交信不能のRFIDタグから応答波は送信されない。図6(a)の例ではNo.5のRFIDタグ2の上には物体Dが存在するので、No.5のRFIDタグ2は質問波を受信することができず、よって、そのRFIDタグ2から応答波は送信されず、No.5のRFIDタグのID(No.5)が交信記録としてシステムコンピュータ3に送信されることはない(ステップ220)。
【0087】
また、No.3およびNo.4のRFIDタグ2の上に物体は存在しないが、No.3およびNo.4のRFIDタグ2と第2のタグ通信装置1Bとの間での交信は近くの物体Dによって遮られるので、これらのRFIDタグのID(No.3およびNo.4)が第2のタグ通信装置1Bからシステムコンピュータ3に交信記録として送信されることもない。(ステップ220)。
【0088】
さらに、No.6およびNo.7のRFIDタグ2と第1のタグ通信装置1Aとの間での交信も同様に近くの物体Dによって遮られてしまうので、これらのRFIDタグのID(No.6およびNo.7)が第2のタグ通信装置1Bからシステムコンピュータ3に交信記録として送信されることもない(ステップ220)。
【0089】
前記のように交信記録を受信したシステムコンピュータ3は、交信記録に基づいて、いずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグがあるか否かを判定する(ステップ230)。
【0090】
前記ステップ230での判定は、各タグ通信装置1A、1Bからの交信記録の受信完了後、交信記録として送られてきた全てのID、すなわち先に説明した記憶部に格納したRFIDタグ2のIDを図2のテーブルTの中から抽出する。そして、その結果、抽出できずに残ったIDが存在するなら、いずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグが有ったと判定し(ステップ230のYes)、それが存在しなかったら、いずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグはないと判定するものである(ステップ230のNo)。
【0091】
このステップ230において、図6(a)の例では、No.3〜No.7までのRFIDタグ2がいずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグと判定されることになる(ステップ230)。
【0092】
前記ステップ230において、交信不可のRFIDタグはないと判断した場合は(ステップ230のNo)、システムコンピュータ3からタグ通信装置1A、1Bに対して交信開始命令が出力され、ステップ220〜ステップ230の処理が繰り返し実行される。
【0093】
前記ステップ230において、いずれかのタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグが少なくとも1つ有ると判定した場合は(ステップ230のYes)、次に、システムコンピュータ3において、その交信不可のRFIDタグは複数のタグ通信装置1A、1Bで交信できるエリア(交信可能エリア重複領域C)に存在するか否かを判定する(ステップ240)。
【0094】
前記ステップ240での判定については、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報をテーブルTから取得し、取得した位置情報によって特定されるRFIDタグの位置がタグ通信装置1A、1Bの交信可能エリア重複領域Cに含まれるかどうかを確認すればよい。この確認ができた場合は、交信不可のRFIDタグは“タグ通信装置の交信可能エリア重複領域に位置する”と判定し(ステップ240のYes)、かかる確認ができなかった場合は、その交信不可のRFIDタグは“タグ通信装置の交信可能エリア重複範囲に位置しない”と判定する(ステップ240のNo)。
【0095】
図6(a)の例では、先のステップ230において判定されたNo.3〜No.7までのRFIDタグ2はいずれも交信可能エリア重複範囲Cに含まれるから、このステップ240では、No.3〜No.7までのRFIDタグ2が、複数のタグ通信装置1A、1Bで交信できるエリア(交信可能エリア重複領域C)に存在すると判定される(ステップ240)。
【0096】
前記ステップ240において、交信不可のRFIDタグは“タグ通信装置の交信可能エリア重複領域に位置する”と判定した場合には、さらに、システムコンピュータ3において、その交信不可のRFIDタグはそのタグを交信可能エリア1A、1B内に含む複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可かどうかを判定する(ステップ250)。
【0097】
前記ステップ250での判定については、各タグ通信装置1A、1Bから交信記録として送られてきたRFIDタグのID、すなわち先に説明した記憶部に格納した全RFIDタグのIDを図2のテーブルの中から抽出する。そして、一度も抽出されずに最後に残ったIDにより特定されるRFIDタグを、複数のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグとして検出すればよい(ステップ250)。
【0098】
図6(a)の例では、先のステップ240において判定されたNo.3〜No.7までのRFIDタグ2のうち、No.5のRFIDタグ2だけが2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグとして検出されることになる(ステップ250)。
【0099】
前記ステップ250において、2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグが検出されたら(ステップ250のYes)、システムコンピュータ3において、その交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を図2のテーブルTから取得し(ステップ260)、取得した位置情報を物体Dの位置としてモニター等に出力する(ステップ270)。そして、システムコンピュータ3からタグ通信装置1A、1Bに対して交信開始命令が出力され、ステップ220以下の処理が再実行されることになる。
【0100】
また、前記ステップ250において、2台のタグ通信装置1A、1Bで交信不可のRFIDタグが検出されなかったら(ステップ250のNo)、ステップ260やステップ270のような物体Dの位置を出力するための処理を行わずに(ステップ280)、システムコンピュータ3からタグ通信装置1A、1Bに対して交信開始命令が出力され、ステップ220以下の処理が再実行されることになる。
【0101】
そして、以上説明した一連の処理は、図示しないシステム動作スイッチのOFFによって終了する。
【0102】
本物体検知システムS2において、図6(b)のように複数のRFIDタグ2の上に存在する大きな物体D1がある場合は、その物体D1によって複数のRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信が遮断されるため、その交信不可となった複数のRFIDタグ2を設置した面積とほぼ同じ面積の広がりを持つ物体D1が存在することも検出できる。
【0103】
<位置検出精度の比較>
物体の位置検出精度は、先に説明した第1実施形態の物体検知システムよりも、第2実施形態の物体検知システムの方が高い。
【0104】
例えば、第1実施形態の物体検知システムS1では、図1に示すNo.5のRFIDタグ2の上に図8のような大きさの物体Dが配置されると、No.5のRFIDタグだけでなく、No.4とNo.6のRFIDタグ2も交信不可となるので、No.4、No.5及びNo.6のRFIDタグ2の位置を物体の位置として誤って検知してしまう。
【0105】
一方、第2実施形態の物体検知システムS2では、図6(a)に示すように、図8と同じ物体Dの条件下でも、誤検知は生じず、No.5のRFIDタグ2の位置を物体Dの位置として正確に検知できる。これは、No.4やNo6のRFIDタグ2は2台のタグ通信装置1A、1Bのうちいずれか一方との交信が不可となるのに対し、No.5のRFIDタグ2は2台のタグ通信装置1A、1Bとの交信が不可になるため、No.5のRFIDタグ2の位置のみが物体の位置として検知されることになるからである。
【0106】
図9(a)は、先に説明した第2実施形態の物体検知システムS2において、部屋の壁を交信可能エリアとするタグ通信装置1Dを部屋の壁に取り付け、その交信可能エリアとして設定された部屋の壁にRFIDタグ2を埋め込んだ例の説明図、図9(b)は、同図(a)の物体より高さの低い物体を部屋内に置いた場合の説明図、図10は、図9(a)の部屋を斜め上方からみた斜視図である。
【0107】
図9(a)(b)及び図10の例では、タグ通信装置1Dから部屋の壁の全RFIDタグ2に対して交信を試み、交信不可のRFIDタグを検出することによって、その部屋内に位置する物体Dのある程度の大きさ、形状を検出することができる。その検出原理は先に説明した原理に基づくものである。
【0108】
<物体の影の範囲と交信可能/不可のRFIDタグの範囲との関係>
図9(a)と(b)において、物体Dの影Ds(図10参照)の外に埋め込まれている壁内のRFIDタグ2は、物体Dによってタグ通信装置1Dとの交信が妨げられることはないので、交信可能なRFIDタグになる。図9(a)と(b)では、ΔZ5又はΔZ7の範囲に位置するRFIDタグ2が、物体Dの影Ds(図10参照)の外にあって、交信可能なRFIDタグである。
【0109】
一方、図9(a)と(b)において、前記物体Dの影Dsの範囲内に埋め込まれている壁内のRFIDタグ2は、当該物体Dによってタグ通信装置1Dとの交信が妨げられるので、交信不可のRFIDタグになる。図9(a)と(b)では、それぞれΔZ6とΔZ8の範囲に位置するRFIDタグ2が、物体Dの影Dsの範囲内にあって、交信不可のRFIDタグである。
【0110】
従って、交信不可となっている壁内のRFIDタグ2の範囲(タグ通信装置1Dからの電波が物体Dで遮られて届かない範囲)は、その壁に投影される前述した当該物体Dの影Dsの範囲と略等しい。電波も光も直進性があって、同一の物体によって遮られているからである。図9(a)では、ΔZ6の範囲に位置するRFIDタグ2が物体Dの影Dsの範囲にあって、交信不可のRFIDタグとなっている。また、図9(b)では、ΔZ8の範囲に位置するRFIDタグ2が物体Dの影Dsの範囲にあって、交信不可のRFIDタグとなっている。
【0111】
<第2実施形態の物体検知システムにおける物体の大きさ、形状の検出>
第2実施形態の物体検知システムS2でも、先に説明した第1実施形態の物体検知システムS1と同様に、壁に埋め込んだ全RFIDタグ2のIDとその位置情報とを一対一で対応付けて格納したテーブル(図示省略。参考例:図2)を別途採用することによって、先に説明した手順1、2と同様の手順で、壁内のどのRFIDタグが交信不可となっているかを検出することができる。
【0112】
従って、タグ通信装置1Dから壁内の全RFIDタグ2に対して交信を試み、交信不可のRFIDタグが検出されたら、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を前記図示しないテーブルから取得し、その取得した位置をグラフィック座標上にプロットすることによって、第2実施形態の物体検知システムS2では、交信不可となっている壁内のRFIDタグの範囲を検出することができる。この場合も、その交信不可となっている壁内のRFIDタグの範囲は、その壁に投影される前述した物体Dの影Dsの範囲と略等しいから、前述の式2の未知量を算出することによって、物体Dのある程度の大きさ、形状を検出することができる。
【0113】
<第1及び第2実施形態の物体検知システムに共通の応用例など>
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2では、物体の位置、大きさ、形状を検出しているが、その物体が移動する場合は、時系列で交信不可のRFIDタグを検出し、その位置情報を取得することによって、当該物体の軌跡(動線)を検出することもできる。この物体の軌跡を検出する方式としては、例えば、取得した交信不可のRFIDタグの位置情報を物体の位置として時系列でプロットする方法が考えられる。
【0114】
第1実施形態の物体検知システムS1では、システムコンピュータ3が、交信不可のRFIDタグを検出する処理、交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報をテーブルTから取得する処理、および取得した位置情報を物体の位置としてモニター等に出力する処理を実行するという構成を採用したが、このような一連の位置検出処理をタグ通信装置1A、1Bにおいて実行する構成を採用することもできる。かかる構成を採用する場合は、タグ通信装置1A内に図2のテーブルTを保持させ、そのテーブルTから交信不可のRFIDタグのIDに対応する位置情報を取得する。そして、取得した位置情報を物体の位置としてシステムコンピュータ3やアプリケーションプログラム、あるいはモニター等の上位機器へ出力するようにしてもよい。
【0115】
先に説明した第2実施形態の物体検知システムS2でも、前記一連の位置検出処理をタグ通信装置1A又は1Bにおいて実行する構成を採用することができる。かかる構成を採用する場合には、例えば一のタグ通信装置1Aを親機、それ以外の他の全てのタグ通信装置1Bを子機とし、親機(1A)内に図2のテーブルTを保持させる。そして、親機(1A)と子機(1B)のそれぞれが先に説明した図5のステップ220の処理、すなわちRFIDタグとの交信を試み、その結果である子機(1B)の交信記録は親機(1A)へ送信し、親機(1A)では図5のステップ240〜280の処理を行うものとする。そうすれば、システムコンピュータ3を使用せず、タグ通信装置のネットワークだけで上述の一連の位置検出処理を行うことができる。
【0116】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2においては、タグ通信装置1A、1Bのアンテナ構成として、ビームスキャンアンテナや、それ以外の通常のアンテナ、すなわち電波のビームを絞っておらずビームをスキャンする機能のないアンテナを採用することができる。
【0117】
図11(a)は、第2実施形態の物体検知システムS2において、ビームスキャンアンテナでない通常のアンテナを採用したときのタグ通信装置の設置例の説明図、同図(b)は、第2実施形態の物体検知システムS2において、ビームスキャンアンテナを採用したときのタグ通信装置の設置例の説明図である。
【0118】
ビームスキャンアンテナを採用した場合、同図(a)に示す2台目と3台目のタグ通信装置1B、1Cは同図(b)のように一台のタグ通信装置1Zで兼用することができ、また同図(a)の4台目と5台目のタグ通信装置1D、1Eは同図(b)のように一台のタグ通信装置1Yで兼用することができることから、タグ通信装置の台数削減を図ることができる。
【0119】
物体Dによる反射でFH(フィールドホール)が発生して正常に交信できなくなる問題を回避するためには、壁に電波吸収体を貼り付ければよい。これにより、交信したくない時に交信できてしまうという問題を回避することもできる。
【0120】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2では、交信不可か否かを基準として、物体の位置を検出するようにしたが、通常の交信時におけるRFIDタグからの応答波の受信レベルをタグ通信装置1A、1Bに記憶させておき、その受信レベルと大きく異なる受信レベルを検知した場合は、たとえ交信可能であったとしても、交信先のRFIDタグ2から取得したIDを交信記録としてシステムコンピュータ3へ出力しないように排除してもよい。これにより、交信したくない時に交信できてしまうという問題を回避することができる。
【0121】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2では部屋の床に置かれた物体Dの位置を検出したが、その物体Dは人でもよい。部屋の床の面積は容易に測れるか既知であるから、当該物体Dを人と考えれば、部屋内の人の密度や有無を検出することができ、更に、その検出結果に基づいて部屋の照明や空調を制御等、各種機器の制御を行う構成を採用することもできる。
【0122】
前記部屋を商品の売り場と考え、当該物体Dを顧客だと考えれば、先に説明したように人の密度を検出することで、人気商品を把握することができる。人気商品には人が集中するため、人気商品周りは人の密度は高くなるからである。
【0123】
前記部屋をエスカレータのあるフロアと考え、当該物体Dをそのフロアに存在する人と考えれば、先に説明したように人の密度を検出することで、エスカレータの出入口付近に人が密集していることを把握でき、この場合、エスカレータの速度を低下させる等の安全対策を採るようにしてもよい。
【0124】
前記部屋をスポーツジムと考え、当該物体Dをジム利用者と考えれば、スポーツジムに設置されているジム機器にRFIDタグ2を埋め込む構成を採用することによって、スポーツジムでは、ジム機器の稼働率を把握することが可能となる。稼動しているジム機器のRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は、そのジム機器の使用者によって遮られるため、交信不可のRFIDタグの位置にあるジム機器は現在使用中であることを意味することになるからである。
【0125】
前記部屋をパチンコ店やゲームセンター等の遊技センターと考え、当該物体Dを遊技機利用者と考えれば、例えば遊技機利用者が座る椅子等にRFIDタグ2を埋め込む構成を採用することで、遊技センターでは、遊技機の稼動率を把握することが可能となる。そのようなRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は遊戯機利用者によって遮断されるため、交信不可のRFIDタグの位置にある遊技機は現在使用中であることを意味することになるからである。
【0126】
前記部屋を金庫室等のようにセキュリティーが必要な部屋と考え、当該物体Dをその部屋に侵入した不審者と考えれば、その部屋の床に埋め込まれたRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は不審者によって遮断されるから、不審者の存在や位置を検知することができる。
【0127】
前記部屋を危険区域として指定された部屋と考え、当該物体Dをその指定危険区域の部屋に立ち入る人と考えれば、指定危険区域の部屋の床に埋め込まれたRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信はその部屋に立ち入った人によって遮断されることから、危険区域への人の立ち入りやその人の位置を検知することができる。
【0128】
前記部屋の床を駐車場の駐車スペースと考え、その部屋の天井に取り付けられたタグ通信装置1A、1Bを支持部材によって駐車場の上空に取り付け、その床の上の物体Dを車両と考えれば、駐車場の空状況を把握することができる。駐車スペースに埋め込まれたRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は駐車スペースに駐車している車両によって遮断されるため、交信不可のRFIDタグの位置にある駐車スペースは現在使用中であることを意味することになるからである。
【0129】
前記部屋を倉庫と考え、当該物体Dを荷物と考えれば、その倉庫の床に埋め込まれたRFIDタグ2とタグ通信装置1A、1Bとの間での交信は荷物によって遮断されることから、倉庫内の荷物が徐々に減ることにより交信可能なRFIDタグの数が徐々に増えていく。また、倉庫内の荷物が徐々に増えることにより交信不可のRFIDタグの数が徐々に減っていく。これらのことから、倉庫内にどれだけの荷物が存在するか等、在庫管理を行うことができる。
【0130】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2において、部屋に出入りする人が個別にRFIDタグを持つことも許容できる。この場合、いずれのシステムでも、部屋の中に存在する人の位置や数を把握することが可能であるから、タグ通信装置1A、1Bによって人のRFIDタグからIDを取得することで、部屋の中でRFIDタグを所持する人の数をカウントし、部屋の中でRFIDタグを所持する人の割合を算出することもできる。この例において、その人が会員であるとしたら、部屋の中に入っている会員の割合を算出することができる。
【0131】
第1及び第2実施形態の物体検知システムS1、S2は、部屋の壁にもRFIDタグ2を埋め込む構成も採用できる。この構成を採用した場合には、物体Dのおおよその高さを検出することができる。例えば、壁の上、中、下にRFIDタグを埋め込んだ場合において、上のRFIDタグとの交信が不可となったら、少なくとも上のRFIDタグを埋め込んだ高さの物体Dによって交信が遮られていると見ることができ、その高さの物体Dが部屋の中に存在することを検出できる。
【0132】
前記のような物体Dの高さを検出する例において、上のRFIDタグの埋め込み高さを大人の平均身長とし、下のRFIDタグの埋め込み高さを子供の平均身長とし、当該物体を人だと考えれば、上のRFIDタグとの交信が不可であったら、大人によって上のRFIDタグとの交信が遮られたと見ることができ、部屋の中に大人が存在することを検出できる。一方、下のRFIDタグとの交信のみが不可で、上のRFIDタグとの交信は可能であったら、大人によって上のRFIDタグとの交信の遮断はなく、子供によって下のRFIDタグとの交信が遮断されていると見ることができ、部屋の中には子供しかいないことを検出することができる。これは保育園等で不審者を発見すること等に利用できる。
【0133】
なお、本発明の実施の形態は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明と同一のあるいは均等の範囲内において、種々の修正や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】図1は本発明の第1実施形態である物体検知システムの説明図で、(a)は同システムのブロック図、(b)は部屋の天井から床を見たときのRFIDタグの配置と交信可能エリアの説明図である。
【図2】図2は図1、図3の物体検知システムで使用するテーブルの説明図である。
【図3】図3は図1に示す物体検知システムの全体動作の説明図である。
【図4】図4(a)は、第1実施形態の物体検知システムにおいて、部屋の床と壁を交信可能エリアとした一台のタグ通信装置を採用し、その交信可能エリアとして設定された部屋の床と壁にRFIDタグを埋め込んだ例の説明図である。図4(b)は、同図(a)の物体より高さの低い物体を部屋内に置いた場合の説明図である。
【図5】図5は、図4(a)の部屋を斜め上方からみた斜視図である。
【図6】図6は本発明の第2実施形態である物体検知システムの説明図で、同図(a)は同システムのブロック図、同図(b)は部屋の天井から床を見たときのRFIDタグの配置と交信可能エリアの説明図である。
【図7】図7は図6に示す物体検知システムの全体動作の説明図である。
【図8】図8は図1の物体検知システムの位置検出限界の説明図である。
【図9】図9(a)は、第2実施形態の物体検知システムにおいて、部屋の壁を交信可能エリアとするタグ通信装置を部屋の壁に取り付け、その交信可能エリアとして設定された部屋の壁にRFIDタグを埋め込んだ例の説明図である。図9(b)は、同図(a)の物体より高さの低い物体を部屋内に置いた場合の説明図である。
【図10】図10は、図9(a)の部屋を斜め上方からみた斜視図である。
【図11】図11(a)は、第2実施形態の物体検知システムにおいて、ビームスキャンアンテナでない通常のアンテナを採用したときのタグ通信装置の設置例の説明図、同図(b)は、第2実施形態の物体検知システムにおいて、ビームスキャンアンテナを採用したときのタグ通信装置の設置例の説明図である。
【符号の説明】
【0135】
1A〜1F、1Y〜1Z タグ通信装置
2 RFIDタグ
3 システムコンピュータ
A、B 交信可能エリア
C 交信可能エリア重複領域
D、D1 物体
Ds 物体の影
S1、S2 物体検知システム
T テーブル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグ通信装置と、
複数のRFIDタグと、
各RFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルと、
前記タグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出する第1の処理部と、
前記第1の処理部で検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得する第2の処理部と、を含むことを特徴とする物体検知システム。
【請求項2】
前記第2の処理部で取得した位置情報を物体の位置として出力する第3の処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の物体検知システム。
【請求項3】
前記第2の処理部で取得した位置情報より物体の形状または大きさを検知する第4の処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の物体検知システム。
【請求項4】
前記第1、2の処理部において時系列で交信不可のRFIDタグを検出、位置情報を取得し、物体の軌跡を検出する第5の処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の物体検知システム。
【請求項5】
前記タグ通信装置は複数存在し、複数のタグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の物体検知システム。
【請求項6】
前記タグ通信装置のアンテナはビームスキャンアンテナであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の物体検知システム。
【請求項7】
タグ通信装置と、複数のRFIDタグと、各RFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルとを用いて物体を検知する物体検知方法であって、
前記タグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得することを特徴とする物体検知方法。
【請求項8】
取得した前記位置情報を物体の位置として出力することを特徴とする請求項7に記載の物体検知方法。
【請求項9】
取得した前記位置情報より物体の形状または大きさを検知することを特徴とする請求項7に記載の物体検知方法。
【請求項10】
時系列で交信不可のRFIDタグを検出、位置情報を取得し、物体の軌跡を検出することを特徴とする請求項7に記載の物体検知方法。
【請求項11】
前記タグ通信装置は複数存在し、複数のタグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出することを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の物体検知方法。
【請求項12】
前記タグ通信装置のアンテナはビームスキャンアンテナであることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載の物体検知方法。
【請求項13】
複数のRFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルを保持するとともに、前記複数のRFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得することを特徴とするタグ通信装置。
【請求項1】
タグ通信装置と、
複数のRFIDタグと、
各RFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルと、
前記タグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出する第1の処理部と、
前記第1の処理部で検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得する第2の処理部と、を含むことを特徴とする物体検知システム。
【請求項2】
前記第2の処理部で取得した位置情報を物体の位置として出力する第3の処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の物体検知システム。
【請求項3】
前記第2の処理部で取得した位置情報より物体の形状または大きさを検知する第4の処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の物体検知システム。
【請求項4】
前記第1、2の処理部において時系列で交信不可のRFIDタグを検出、位置情報を取得し、物体の軌跡を検出する第5の処理部を有することを特徴とする請求項1に記載の物体検知システム。
【請求項5】
前記タグ通信装置は複数存在し、複数のタグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の物体検知システム。
【請求項6】
前記タグ通信装置のアンテナはビームスキャンアンテナであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の物体検知システム。
【請求項7】
タグ通信装置と、複数のRFIDタグと、各RFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルとを用いて物体を検知する物体検知方法であって、
前記タグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得することを特徴とする物体検知方法。
【請求項8】
取得した前記位置情報を物体の位置として出力することを特徴とする請求項7に記載の物体検知方法。
【請求項9】
取得した前記位置情報より物体の形状または大きさを検知することを特徴とする請求項7に記載の物体検知方法。
【請求項10】
時系列で交信不可のRFIDタグを検出、位置情報を取得し、物体の軌跡を検出することを特徴とする請求項7に記載の物体検知方法。
【請求項11】
前記タグ通信装置は複数存在し、複数のタグ通信装置から前記各RFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出することを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の物体検知方法。
【請求項12】
前記タグ通信装置のアンテナはビームスキャンアンテナであることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載の物体検知方法。
【請求項13】
複数のRFIDタグとその位置情報とを対応付けて記憶したテーブルを保持するとともに、前記複数のRFIDタグに対して交信を試みた結果より、交信不可のRFIDタグを検出し、検出したRFIDタグに対応する位置情報を前記テーブルから取得することを特徴とするタグ通信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−145328(P2010−145328A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325367(P2008−325367)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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