説明

物体端の位置決め方法及びシステム

【課題】特殊な機器又は衣服を装着することなく物体(人体)の2本のリム(脚)の下端を位置決めする。
【解決手段】原画像に前景処理を施して前景画像を取得し、この前景画像に係る多数の変向点を取得する。これら変向点の接続は折線を形成する。各変向点を隣接する2つの変向点に接続する両線分の挟角に基づいて、各変向点を凸点又は凹点のいずれかに分類し、選定された多数の凸点(a1〜a4)及び選定された多数の凹点(b1、b2)を選択する。この選定された凸点(a1〜a4)のうちの2つ(a1,a2)をそれぞれ仮端部として選択する。これら2つの仮端部と両仮端部間に位置する選定された凹点(b1)の接続は三角形を形成する。前記2つの仮端部に基づいて、物体の2本のリムの下端を位置決めするための2つの位置決め端部を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に物体端の位置決め方法及びシステムに関し、より詳細には物体の2本のリムの下端を位置決めするための物体端の位置決め方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マン・マシン対話型インターフェースは、コンピュータと情報のやり取りを行う人のためのインターフェースである。通常、マン・マシン・インターフェースは、キーボード、マウス、又はタッチパネルを具備する。このインターフェースを利用する人は、ユーザと呼ばれる。ユーザは、マン・マシン・インターフェースを介して、コンピュータの制御又はコンピュータとの情報のやり取りといった目的を達成することができる。
【0003】
米国特許第5,524,637号は、「生理的活動を測定するための対話型システム(Interactive system for measuring physiological exertion)」という名称の発明を開示している。この特許の開示内容によれば、ユーザは、両脚に加速度計を装着して圧力センサの上に立ち、両脚から加わる圧力及び両脚の移動速度を測定する。ユーザはこのようにして、両脚の圧力及び移動速度により、対話型システムと情報のやり取りを行うことができる。
【0004】
また、近年では、画像処理技術を用いてユーザとコンピュータ間の対話性を向上している研究グループもある。米国特許第6,308,565号は、多次元空間において運動能力を追跡・評価するシステム及び方法を開示している。本特許の開示内容によれば、アクティブマーカ又はパッシブマーカをユーザの両脚に取り付け、画像処理法によりマーカの動きを検出することによって、両脚の空間的な座標位置及び動きの状態を測定する。ユーザはこのようにして、両脚の動きにより対話型システムと情報のやり取りを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,524,637号明細書
【特許文献2】米国特許第6,308,565号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これまで、数多くのマン・マシン・インターフェースが提供されているが、上述の実施形態では、マン・マシン・インターフェースによる両脚の下端の位置決めを可能とするため、ユーザが特殊な機器又は衣服(上述の加速度計やマーカ等)を装着する必要があり、ユーザにとっては不便であるとともにインターフェースの利用意欲を削ぐ要因となっている。したがって、ユーザの不便を生じることなく両脚の下端を位置決めする方法は、依然として産業活動上の取り組むべき課題である。
【0007】
本発明は、物体の2本のリムの下端を位置決めするための方法及びその方法を用いたシステムに関する。物体の2本のリムは、人体の両脚又は2本の指と考えることもできる。ユーザは、この方法によって、特殊な機器又は衣服を装着することなく物体の端部を位置決めすることができるため、ユーザの利便性が向上する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、物体の2本のリムの下端を位置決めするための物体端の位置決め方法が提供される。この方法は、以下の工程を含む。まず、物体の画像情報に対応した原画像を取得する。次に、この原画像に前景処理を施して物体の輪郭に対応した前景画像を取得する。そして、この前景画像に係る複数の変向点を取得する。これら変向点の接続は、前記原画像における物体の輪郭と実質的に近似する折線を形成する。その後、各変向点を隣接する2つの変向点に接続する2本の線分の挟角に基づいて前記変向点が凸点又は凹点のいずれであるかを判定し、選定された複数の凸点及び選定された複数の凹点を所定方向に沿って選択する。それから、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として選択する。これら2つの仮端部と両仮端部間に位置する選定された凹点の接続は、前記原画像における物体の2本のリムに対応した三角形を形成する。最後に、前記2つの仮端部に基づいて物体の2本のリムの下端を位置決めするための2つの位置決め端部を決定する。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、物体の2本のリムの下端を位置決めするための物体端の位置決めシステムが提供される。このシステムは、取得部、処理部、適合部、及び位置決め部を備える。取得部は、物体の画像情報に対応した原画像を取得するためのものである。処理部は、この原画像に前景処理を施して物体の輪郭に対応した前景画像を取得するためのものであって、この前景画像に係る複数の変向点を取得する。これら変向点の接続は、前記原画像における物体の輪郭と実質的に近似する折線を形成する。また、処理部は、各変向点を隣接する2つの変向点に接続する2本の線分の挟角に基づいて前記変向点が凸点又は凹点のいずれであるかを判定し、選定された複数の凸点及び選定された複数の凹点を所定方向に沿って選択する。適合部は、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として選択するためのものである。これら2つの仮端部と両仮端部間に位置する選定された凹点の接続は、前記原画像における物体の2本のリムに対応した三角形を形成する。位置決め部は、前記2つの仮端部に基づいて物体の2本のリムの下端を位置決めする2つの位置決め端部を決定するためのものである。
【0010】
本発明は、後述する好適な実施形態の詳細な説明により明らかとなる。ただし、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。以下、添付図面を参照しつつ実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の好適な実施形態に係る物体端の位置決め方法のフローチャートである。
【図2】図2は、図1の方法を用いた物体端の位置決めシステムのブロック図である。
【図3】図3は、人体の両足に対応した画像(原画像)を例示したものである。
【図4】図4は、原画像のエッジを検出した前景画像である。
【図5】図5は、前景画像において、多数の変向点を取得したものである。
【図6】図6は、判定された凸点及び凹点、ならびに所定方向D1を示す画像である。
【図7】図7は、2つの凸点と両点間に位置する三角形を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、本発明の好適な実施形態に係る物体端の位置決め方法を説明するためのフローチャートを示す。この方法は、物体の2本のリムの下端を位置決めする際に使用されるものである。この方法は以下の工程を含む。
まず、ステップS110において、物体に対応した画像情報を含む原画像を取得する。次に、ステップS120において、この原画像に前景(foreground)処理を施して前景画像を取得する。この前景画像は、物体の輪郭に対応したものである。
【0013】
その後、ステップS130において、この前景画像に係る多数の変向点(turning points)を取得する。これら変向点どうしの接続は、前記原画像における物体の輪郭と実質的に近似する折線を形成することができる。そして、ステップS140において、各変向点を隣接する2つの変向点に接続する2本の線分の挟角に基づいて前記変向点が凸点又は凹点のいずれであるかを判定し、選定された多数の凸点及び選定された多数の凹点を所定方向に沿って選択する。
【0014】
その後、ステップS150において、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として選択する。これら選択した2つの仮端部と両仮端部の間に位置する選定された凹点の接続は、前記原画像における物体の2本のリムに対応した三角形を形成する。最後に、ステップS160においては、前記2つの仮端部に基づいて物体の2本のリムの下端を位置決めするための2つの位置決め端部を決定する。
【0015】
以下では、図1の方法を用いた物体端の位置決めシステムを一例として説明する。図2は、図1の方法を用いた物体端の位置決めシステム200のブロック図である。図3〜図7は、物体端の位置決めシステム200が物体端の位置決め方法を実施した際に生成される多数の画像を例示したものである。
図2及び図3〜図7を同時に参照すると、システム200は、図3に示すように、人体の両脚Fの下端Ftを位置決めすることができる。この物体端の位置決めシステム200は、取得部210、処理部220、適合部230、位置決め部240、及び追跡部250を備える。
【0016】
取得部210は、原画像Im1を取得するためのものである。原画像Im1は、図3に示すように、人体の両脚Fに対応した画像情報を含む。
処理部220は、原画像Im1に前景処理を施して前景画像を取得するためのものである。例えば、処理部220が原画像Im1に前景処理を施す場合は、原画像Im1のエッジ検出を実施する。これにより処理部は、原画像Im1のエッジ情報を含む前景画像Im2を取得する。この前景画像Im2は、図4に示すように、両脚の輪郭F2を含む。
【0017】
原画像Im1に対する前景処理を行った場合、得られた前景画像Im2は通常、両脚の輪郭F2や他の物体の輪郭A,B等のように、その場面に現れている物体の輪郭を含む。このため、処理部220は、前景画像Im2のフィルタリングにより両脚の輪郭F2のみを残すことができるようになっている。実際のところ、両脚の輪郭F2が通常は最大の面積を有する1つのブロックであることから、処理部220は、輪郭F2,A,及びBのブロック面積を計算することによって、両脚の輪郭F2を把握・抽出することができる。
【0018】
その後、図5に示すように、処理部220は、前景画像Im2に係る多数の変向点c1〜cnを取得する。この実施形態で変向点c1〜cnとは、前景画像Im2における画素座標をいう。これら変向点c1〜cnの接続は、折線F3を形成する。折線F3は、両脚の輪郭F2と実質的に近似した形状を有する。
そして、処理部220は、各変向点c1〜cnを隣接する2つの変向点に接続する2本の線分の挟角に基づいて前記変向点が凸点又は凹点のいずれであるかを判定する。
【0019】
凸点及び凹点は、例えば以下のように定義することができるが、これには限定されない。すなわち、変向点を隣接する2つの変向点に接続する2本の線分の挟角が0〜120°の範囲である場合、その変向点は凸点と定義される。一方、変向点を隣接する2つの変向点に接続する2本の線分の挟角が240°より大きい場合、その変向点は凹点と定義される。この定義において、挟角とは折線F3の内角である。したがって、図5に示すように、変向点c2を隣接する2つの変向点c1,c3に接続する2本の線分の挟角によって変向点c2は凸点と定義される。一方、変向点c3を隣接する2つの変向点c2,c4に接続する2本の線分の挟角によって変向点c3は凹点と定義される。
【0020】
処理部220は、変向点c1〜cnの凸点及び凹点を判定した後、例えば選定された4つの凸点a1〜a4及び選定された2つの凹点b1,b2を所定方向に沿って選択する。この所定方向は、図6に示すように、例えば両脚の下端から上端に向かう方向D1である。
その後、適合部230は、選定された凸点a1〜a4のうちの2つをそれぞれ仮端部t1,t2として選択する。これら選択した2つの仮端部t1,t2と両仮端部t1,t2間に位置する選定された凹点の接続は、原画像Im1における両脚Fに対応した三角形を形成する。図7に示すように、選定された2つの凸点a1,a2と両点間に位置する選定された凹点は三角形を形成し、この三角形は、人体の両脚Fを実質的に位置決めする。
【0021】
詳細に説明すると、適合部230は、選定された凸点a1〜a4のうちの2つをそれぞれ仮端部t1,t2として選択する際、選定された凸点a1〜a4及び選定された凹点b1,b2が三角形特有の適合条件を満たすか否かを判定する。
適合部230は、三角形特有の適合条件を判定する際、線定された凸点a1〜a4のうちの2つを結ぶ接続線の傾きが所定方向D1に垂直なベクトルに係る所定の傾きよりも小さいか否かを判定する。さらに、適合部230は、選定された凹点b1,b2のうちの1つを前記ベクトルに投射した位置が、選定された凸点a1〜a4のうちの2つを前記ベクトルに投射した両位置の間に位置するか否かを判定する。
【0022】
図7において、前記「所定の傾き」は、例えば45°である。選定された凸点a1,a2を結ぶ接続線の傾きS1は、この所定の傾きよりも小さい。選定された凹点b1をベクトルD2に投射した位置d1は、選定された凸点a1,a2をベクトルD2に投射した位置d2,d3の間に位置する。これにより、適合部230は、選定された凸点a1,a2及び選定された凹点b1が三角形特有の適合条件を満たすものと判定する。
【0023】
さらに、図6に示すように、両脚Fの下端Ftに近い側が下側と定義される場合、所定方向D1は下側から上側に向かう方向である。適合部230は、選定された凸点a1,a2及び選定された凹点b1が三角形特有の適合条件を満たすものと判定した後、選定された凸点a1,a2が選定された凹点b1よりも下側に近いか否かをさらに判定する。適合部230は、図7に示すように、選定された凸点a1,a2が選定された凹点b1よりも下側に近いものと判定する。
【0024】
適合部230は、選定された凸点a1〜a4及び選定された凹点b1,b2が三角形特有の適合条件を満たすか否かを判定する際、選定された凸点a1,a2及び選定された凹点b1のほかに、選定された凸点のうちの別の2つ及び選定された凹点のうちの対応する1つも三角形特有の適合条件を満たすか否かを判定する場合、選定された凸点a1,a2及び選定された凹点b1によって形成される領域が、前記選定された凸点のうちの別の2つ及び選定された凹点のうちの対応する1つによって形成される領域よりも大きいか否かを判定する。
【0025】
図7においては、適合部230が、選定された凸点a1,a2及び選定された凹点b1が三角形特有の適合条件を満たすものと判定し、選定された凸点a1,a2が選定された凹点b1よりも下側に近いものと判定し、さらに、選定された凸点a1,a2及び選定された凹点b1によって形成される領域が最大であるものと判定している。したがって、適合部230は、選定された2つの凸点a1,a2をそれぞれ仮端部t1,t2として選択することを決定する。
【0026】
図2を参照すると、適合部230が選定された凸点a1,a2をそれぞれ仮端部t1,t2として選択した後は、位置決め部240により、2つの仮端部t1,t2に基づいて2つの位置決め端部Px、Pyを決定する。図7からは、適合部230が決定した選定された凸点a1,a2の位置が、実質的に両脚Fの下端Ftの位置であることが分かる。したがって、位置決め部240が決定した2つの位置決め端部Px、Pyにより、人体の両脚Fの下端Ftを位置決めすることができる。
【0027】
上述の説明では、画像処理及び画像情報判定によって、物体端の位置決めシステム200が人体の両脚の下端を位置決めした。このため、両脚の位置決めのためにユーザが特殊な機器又は衣服を装着する必要がある従来技術の位置決めシステムと比較して、物体端の位置決めシステム200では、ユーザが特殊な機器や衣服を装着する必要がないため、ユーザの利便性が向上するとともに、システムの利用意欲が減退する問題を回避することができる。
【0028】
さらに、適合部230は、選定された凸点a1〜a4及び選定された凹点b1,b2が三角形特有の適合条件を満たさないものと判定する場合は、追跡部250を有効にする。有効となった追跡部250は、2つの先行端部に係る2つの追跡端部t1’,t2’を取得する。この2つの先行端部は、位置決め部240により先行原画像で位置決めされた物体の2本のリムの下端である。
【0029】
より詳細に説明すると、追跡部250は、先行原画像で位置決めされた両脚の下端を追跡して、実際の2つの位置決め端部の近くに2つの追跡端部t1’,t2’を生成することができる。したがって、位置決め部240は、適合部230を介して2つの位置決め端部Px、Pyを正確に決定できなくても、実際の2つの位置決め端部の近くに2つの位置決め端部Px、Pyを決定することができるため、物体端の位置決めシステム200の動作の安定性が向上する。
【0030】
取得部210が多数の原画像を連続して取得する場合、物体(例えば、人体の両脚F)の動きは特定の範囲を有するため、位置決め部240が位置決めする2本のリムの下端の変位(例えば、両脚Fの下端Ftの変位)も特定の範囲内となる。したがって、位置決め部240が人体の両脚Fの下端Ftを特定の原画像で位置決めできない場合は、追跡部250によって、先行原画像で位置決めされた両脚Fの下端Ftを追跡することができ、実際の2つの位置決め端部の近くに2つの追跡端部t1’,t2’を見出すことができる。追跡部250による2つの追跡端部t1’,t2’の取得方法を説明するため、多数の実施例を以下に例示する。
【0031】
第1の実施例において、追跡部250は、2つの追跡端部t1’,t2’を取得する場合、先行原画像及び原画像における2つの先行端部の周囲画素の輝度変化に基づいて2つの追跡端部t1’,t2’を決定する。
第2の実施例において、追跡部250は、2つの追跡端部t1’,t2’を取得する場合、先行原画像及び原画像における2つの先行端部の周囲画素の色変化に基づいて2つの追跡端部t1’,t2’を決定する。
【0032】
第3の実施例において、追跡部250は、2つの追跡端部t1’,t2’を取得する場合、2つの先行端部及び別の2つの先行端部の位置に基づいて予測法又は確率法により2つの追跡端部t1’,t2’を決定する。前記別の2つの先行端部は、別の先行原画像で位置決めされた物体の2本のリムの下端であり、前記原画像、先行原画像、及び前記別の先行原画像が連続的に取得される。
【0033】
上述した第1及び第2の実施例では、2つの追跡端部t1’,t2’がそれぞれ、原画像及び先行原画像の輝度変化及び色変化に基づいて決定される。第3の実施例では、2つの追跡端部t1’,t2’が予測法又は確率法によって決定される。
これらの実施例は、本発明を詳細に説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。選定された凸点a1〜a4及び選定された凹点b1,b2が三角形特有の適合条件を満たさないものと適合部230が判定する場合、追跡部250を用いて実際の2つの位置決め端部の近くに2つの追跡端部t1’,t2’を生成する限り、前記のような選択肢は本発明の範囲を逸脱しない。
【0034】
本発明の物体の端位置決めシステム200は、原画像を取得した後に、人体の両脚Fの下端Ftを位置決めするための2つの位置決め端部Px,Pyを決定することができる。 さらに、物体端の位置決めシステム200は、所定時間内に多数の原画像を連続して取得可能な場合、これら原画像における人体の両脚の下端を連続して位置決めすることができる。したがって、物体端の位置決めシステム200は、位置情報をさらに解析して、前記時間内の両脚Fの移動方向、移動速度、又は移動状態を決定することができる。
【0035】
また、上述の説明では、人体の両脚Fの下端Ftを位置決めするものとして物体端の位置決めシステム200を例示したが、本発明はこれに限定されない。物体端の位置決めシステム200は、人体の2本の指の下端を位置決めすることもできる。この場合、前記所定方向は、人の手の指の下端から上端に向かう方向となる。すなわち、物体端の位置決めシステム200は、指の下端から上端に向かう方向に沿って、選定された凸点及び選定された凹点を選択する。したがって、物体端の位置決めシステム200は、選定された2つの凸点をそれぞれ仮端部として選択することもできる。これら2つの仮端部と両仮端部間に位置する選定された凹点の接続は、2本の指に対応した三角形を形成する。
【0036】
本発明の前記実施形態により開示された物体端の位置決め方法及びシステムは、物体の2本のリムの下端を位置決めすることができる。物体の2本のリムは、人体の両脚又は2本の指と考えることもできる。この物体端の位置決め方法及びシステムによって、ユーザが特殊な機器又は衣服を装着することが必要となる事象を回避できるため、ユーザの利便性が向上するとともに、システムの利用意欲が減退する問題を回避することができる。
【0037】
本願は、2008年12月8日出願の台湾特許出願第97147736号に基づく優先権を主張するものであり、その開示内容は、参照により本明細書中に組み込まれる。
以上、本発明を実施例及び好適な実施形態に基づいて説明したが、当然のことながら本発明はこれらに限定されず、様々な改良ならびに類似の構成及び手順を網羅するものである。したがって、そのような改良ならびに類似の構成及び手順をすべて包含するように、添付した請求の範囲は最大限に広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
200 物体端の位置決めシステム
210 取得部
220 処理部
230 適合部
240 位置決め部
250 追跡部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の2本のリムの下端を位置決めするための物体端の位置決め方法であって、
(a)前記物体の画像情報に対応した原画像を取得する工程と、
(b)前記原画像に前景処理を施して前記物体の輪郭に対応した前景画像を取得する工程と、
(c)変向点の接続が前記原画像における前記物体の輪郭と実質的に近似する折線を形成するように、前記前景画像に係る複数の前記変向点を取得する工程と、
(d)前記各変向点と、当該変向点に隣接する2つの変向点とに接続する2本の線分の挟角に基づいて前記変向点が凸点又は凹点のいずれであるかを判定し、選定された複数の凸点及び選定された複数の凹点を所定方向に沿って選択する工程と、
(e)2つの仮端部と当該両仮端部間に位置する選定された凹点の接続が前記原画像における前記物体の2本のリムに対応した三角形を形成するように、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ前記仮端部として選択する工程と、
(f)前記2つの仮端部に基づいて前記物体の2本のリムの下端を位置決めするための2つの位置決め端部を決定する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記所定方向は、前記原画像における前記物体の2本の各リムの下端から上端に向かう方向と関連している請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として選択する工程(e)の前に、
(g)前記選定された凸点及び前記選定された凹点が三角形特有の適合条件を満たすか否かを判定する工程と、
(h)前記選定された凸点のうちの2つ及び前記選定された凹点のうちの1つが前記三角形特有の適合条件を満たす場合、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として決定する工程と、
をさらに含む請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として決定する工程(e)は、
前記選定された凸点のうちの2つ及び前記選定された凹点のうちの1つが前記三角形特有の適合条件を満たす場合であって、前記選定された凸点のうちの別の2つ及び前記選定された凹点のうちの別の1つも前記三角形特有の適合条件を満たす場合、前記選定された凸点のうちの2つ及び前記選定された凹点のうちの1つによって形成される領域が前記選定された凸点のうちの別の2つ及び前記選定された凹点のうちの別の1つによって形成される領域よりも大きいか否かを判定し、大きい場合は、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として決定する工程をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記選定された凸点及び前記選定された凹点が三角形特有の適合条件を満たすか否かを判定する工程(g)は、
前記選定された凸点のうちの2つを結ぶ接続線の傾きが前記所定方向に垂直なベクトルに係る所定の傾きよりも小さいか否かを判定し、前記選定された凹点のうちの1つを前記ベクトルに投射した位置が前記選定された凸点のうちの2つを前記ベクトルに投射した両位置の間に位置するか否かを判定する工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記物体の2本のリムの下端に近い側が下側と定義される場合、前記所定方向が下側から上側に向かう方向であり、
前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として決定する工程(e)は、
前記選定された凸点のうちの2つが前記選定された凹点のうちの1つよりも下側に近いか否かを判定し、近い場合は、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として決定する工程を含む請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記選定された凸点及び前記選定された凹点が三角形特有の適合条件を満たすか否かを判定する工程(g)の後に、
前記選定された凸点及び前記選定された凹点が三角形特有の適合条件を満たさない場合、2つの先行端部が先行原画像で位置決めされた前記物体の2本のリムの下端であるように、前記2つの先行端部に係る2つの追跡端部を取得する工程(i)をさらに含み、
前記2つの位置決め端部を決定する工程(f)は、前記2つの追跡端部に基づいて前記2つの位置決め端部を決定する工程をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記2つの追跡端部を取得する工程(i)は、
前記先行原画像及び前記原画像における前記2つの先行端部の周囲画素の輝度変化に基づいて前記2つの追跡端部を決定する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記2つの追跡端部を取得する工程(i)は、
前記先行原画像及び前記原画像における前記2つの先行端部の周囲画素の色変化に基づいて前記2つの追跡端部を決定する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記2つの追跡端部を取得する工程(i)は、
前記2つの先行端部及び別の2つの先行端部の位置に基づいて予測法又は確率法により前記2つの追跡端部を決定する工程をさらに含み、
前記別の2つの先行端部が別の先行原画像で位置決めされた前記物体の2本のリムの下端であり、前記原画像、前記先行原画像、及び前記別の先行原画像が連続的に取得される請求項7に記載の方法。
【請求項11】
物体の2本のリムの下端を位置決めするための物体端の位置決めシステムであって、
前記物体の画像情報に対応した原画像を取得する取得部と、
前記原画像に前景処理を施して前記物体の輪郭に対応した前景画像を取得する処理部であって、前記前景画像に係る複数の変向点を取得し、前記変向点の接続が前記原画像における前記物体の輪郭と実質的に近似する折線を形成するものであり、前記各変向点を隣接する2つの変向点に接続する2本の線分の挟角に基づいて前記変向点が凸点又は凹点のいずれであるかを判定し、選定された複数の凸点及び選定された複数の凹点を所定方向に沿って選択する処理部と、
前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として選択する適合部であって、前記2つの仮端部と両仮端部間に位置する選定された凹点の接続が前記原画像における前記物体の2本のリムに対応した三角形を形成する適合部と、
前記2つの仮端部に基づいて前記物体の2本のリムの下端を位置決めするための2つの位置決め端部を決定する位置決め部と、
を備えるシステム。
【請求項12】
前記所定方向は、前記原画像における前記物体の2本の各リムの下端から上端に向かう方向と関連している請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記適合部は、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として選択する際、前記選定された凸点及び前記選定された凹点が三角形特有の適合条件を満たすか否かを判定し、前記選定された凸点のうちの2つ及び前記選定された凹点のうちの1つが前記三角形特有の適合条件を満たすと判定した場合は、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として選択することを決定する請求項11又は請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記適合部は、前記選定された凸点のうちの2つ及び前記凹点のうちの1つが前記三角形特有の適合条件を満たす場合であって、前記選定された凸点のうちの別の2つ及び前記選定された凹点のうちの別の1つも前記三角形特有の適合条件を満たす場合、前記選定された凸点のうちの2つ及び前記選定された凹点のうちの1つによって形成される領域が前記選定された凸点のうちの別の2つ及び前記選定された凹点のうちの別の1つによって形成される領域よりも大きいか否かをさらに判定し、大きい場合は、前記選定された凸点のうちの2つをそれぞれ仮端部として決定する請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記適合部は、前記選定された凸点及び前記選定された凹点が三角形特有の適合条件を満たすか否かを判定する際、前記選定された凸点のうちの2つを結ぶ接続線の傾きが前記所定方向に垂直なベクトルに係る所定の傾きよりも小さいか否かを判定し、前記選定された凹点のうちの1つを前記ベクトルに投射した位置が前記選定された凸点のうちの2つを前記ベクトルに投射した両位置の間に位置するか否かを判定する請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記物体の2本のリムの下端に近い側が下側と定義される場合、前記所定方向が下側から上側に向かう方向であって、前記選定された凸点のうちの2つが前記選定された凹点のうちの1つよりも下側に近い請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記適合部は、
2つの先行端部が先行原画像で位置決めされた前記物体の2本のリムの下端である場合の前記2つの先行端部に係る2つの追跡端部を取得する追跡部をさらに備え、
前記位置決め部は、前記選定された凸点及び前記選定された凹点が三角形特有の適合条件を満たさない場合、前記2つの追跡端部に基づいて前記2つの位置決め端部を決定する請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記追跡部は、前記2つの追跡端部を取得する際、前記先行原画像及び前記原画像における前記2つの先行端部の周囲画素の輝度変化に基づいて前記2つの追跡端部を決定する請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記追跡部は、前記2つの追跡端部を取得する際、前記先行原画像及び前記原画像における前記2つの先行端部の周囲画素の色変化に基づいて前記2つの追跡端部を決定する請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記追跡部は、前記2つの追跡端部を取得する際、前記2つの先行端部及び別の2つの先行端部の位置に基づいて予測法又は確率法により前記2つの追跡端部を決定し、
前記別の2つの先行端部は、前記位置決め部により別の先行原画像で位置決めされた前記物体の2本のリムの下端であり、前記原画像、前記先行原画像、及び前記別の先行原画像が前記取得部により連続的に取得される請求項17に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−134901(P2010−134901A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147752(P2009−147752)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】