説明

物体表面脱吸着物質検出方法、物体表面脱吸着物質検出装置及び画像形成装置

【課題】 本発明は微小な領域を温度制御する方式、集積回路微細加工技術を用いたいわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて迅速に精度高く蒸気密度を制御し雰囲気の蒸気密度を検出することによって物体表面の脱吸着する物質量を測定することができる。
【解決手段】 本発明の物体表面脱吸着物質検出装置は、物体表面の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させる蒸気密度調節手段と、物体表面から離間する所定の複数箇所における雰囲気中の蒸気密度を測定する蒸気密度測定手段と、該蒸気密度測定手段によって測定したそれぞれの蒸気密度に基づいて雰囲気の各蒸気密度分布を検出し、検出した各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出手段とを具備することに特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物体表面脱吸着物質検出方法、物体表面脱吸着物質検出装置及び画像形成装置に関し、詳細には非接触によって測定対象の物体表面に脱吸着する物質を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙は置かれた周囲環境の変動により自然に水分を蒸散したり吸着したりし、それらの水分が用紙に形成される画像の作像品質に影響を与える場合があり、作像品質を安定維持するために、脱吸着水の量を測定することが求められている。この場合、用紙の含有水分量のうち、周囲環境の変動とは関係しない化学結合水など以外の、周囲環境の変動による脱吸着水分量のみを弁別して測定することが必要である。脱吸着水分量のみを検出、測定することによって、脱吸着水分量や脱吸着水分量の特性に応じた効果的利用状態が得られる。具体的には、環境の影響を排した、用紙に高画質に作像させる制御や、作像装置の最適制御に応用できる。また、物体に脱吸着する蒸気物質は水分だけではなく溶剤についても応用でき、脱吸着対象物体は用紙や装置表面だけではなく有機材料物体や細胞などの生体材料物体に対しても応用できる。
【0003】
そこで、従来は物体表面に吸着する物質、例えば水蒸気や有機溶媒蒸気などが物体の周囲雰囲気中に蒸気として存在する場合、物体表面に吸着している状態が周囲雰囲気中に蒸気として存在する状態と非平衡にある。この場合、物体表面と周囲雰囲気との間で蒸気の輸送が行われ、これを湿度センサや流量センサで捕らえれば、物体表面に吸着している状態が計測できることが判っている。
【0004】
更に、物体表面に吸着している状態が、周囲雰囲気中に蒸気として存在する状態と平衡にある場合であっても、すなわちどのような状態であっても、蒸気密度を調節し非平衡にさせることによって、詳細には物体表面の近傍の蒸気を凝集させて、これにより物体表面から蒸気が放出される。よって、この蒸気密度を検出することにより、物体表面に吸着している状態を計測する技術が考えられている。また、用紙などの作像媒体表面や作像装置の表面に吸着する水蒸気を測定し、水蒸気の影響によらない高品質の画像を形成させる制御を行うために、この測定装置を搭載した画像形成装置に応用している。
【0005】
このような物体表面に吸着する水分量を測定する技術として、従来よりいくつかの提案がなされている。その一つとして、特許文献1には、試料皿の少なくとも内表面は親水性表面であるようにして加熱乾燥を促進する、いわゆる絶乾法と呼ばれる含水分計測方法が提案されている。詳細には、用紙などの吸湿性材料の含有水分量を測定する方法として、用紙を加熱し蒸発水分量を計測する絶乾法(重量法)や、カールフィッシャー水分測定法によって、含水量を測定する方法であって、試料皿内の試料を上方から加熱乾燥するようにした加熱乾燥型水分計において、試料の乾燥を促進させ含水量の測定に要する時間を短縮し、しかも測定精度や再現性の向上を図るものである。この方法では、乾燥に達する時点で、物質の含水分量が秤量できる。
【0006】
また、特許文献2には、反射型光ファイバ式赤外線水分計が提案されており、赤外線水分計は、赤外線の反射によって光学的に水分検出を行う事ができるので非接触、かつ高速で水分測定が行えるものである。また、光ファイバを使用しているため、測定場所を選ばず、測定場所の狭い所、温度変化の激しい所でも使える。更に、水分には、光(近赤外線)の特定波長を吸収する性質があり物質に含まれる水分量が多くなれば、吸収される光エネルギー(特定波長)も大きくなる。また、水分に吸収される特定波長と、水分に影響しない参照光とを検体に照射し、反射した光を測定し、これらの比率を求めることにより、測定距離の変動や色、表面状態、外乱の影響を除去する。なお、予めサンプルテストを行い含水率と含水率に対応した水分計出力値の相関関係を基準にする必要がある。絶乾法(重量法)やカールフィッシャー法で測定した水分絶対値との相関関係を表す検量線を用いる。
【0007】
更に、特許文献3には、温度・湿度センサ2組を測定面に対して所定間隔で設けられた検出部と、第1の演算回路によって求められた絶対湿度の差と両温度・湿度センサの距離差とから絶対湿度勾配を求め蒸発量を表示する水分蒸発量測定装置が提案されている。つまり、物体表面から蒸発する水分蒸発量を測定するにあたり、物体からの距離に対する空気中の水分等の検出量を用いて測定する装置、方法である。
【0008】
また、特許文献4によれば、物体表面の水分の状態が物体表面の周囲の雰囲気へ影響を及ぼし、周囲雰囲気の水蒸気の状態として現れるため、周囲の雰囲気空間において、水蒸気の密度の変化を観測することにより、水分が物体表面へ輸送される結露の状態を測定する。つまり、特許文献4には、物体表面が結露する際に物体近傍の雰囲気の水蒸気密度の変化を検出する方法、及びMEMS技術により製造され、精密に計測することができる装置が提案されている。詳細には、物体表面への吸着・凝集に伴う気体の輸送に沿って温度湿度センサを配置し、物体表面に対する周囲雰囲気の温度勾配と湿度勾配及び流れの状態の変化を計測することにより物体表面から離れた場所において物体表面の結露挙動や蒸散挙動を検出することができる。また、気体の輸送のメカニズムによっては、輸送速度によって雰囲気状態が緩やかな勾配で変化する場合もあり、このような場合には測定が困難になるが、物体の表面に対して気体の輸送摩擦抵抗となる壁面を設けることにより、雰囲気状態に急峻な勾配を与えることができる。具体的には、用紙の端部の微小範囲で僅かな温度例えば0.1℃程度上昇し、微小範囲の水分が蒸散する。この蒸散の挙動を温度湿度センサ及びフローセンサで測定することにより蒸散量や温度を測定することができる。このように、用紙に熱を与えることによって用紙からの水分蒸散量を測定する。
【0009】
更に、特許文献5には、画像形成装置の感光体表面の水分吸着量検出方法が提案されている。
【特許文献1】特開平08−043287号公報
【特許文献2】特開平03−010146号公報
【特許文献3】特開平06−249796号公報
【特許文献4】特開2007−086054号公報
【特許文献5】特開2008−185755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1によれば、乾燥に達する時点まで待たないと、物質の含水分量が観測できない。また、高温度で水分を蒸発させると、使用温度下における水分吸脱着とは異なる水分を含み、場合によっては、構造体に結合する水分の乾燥も含んでしまう。更には、物質に吸着している水分量を正確に計測するためには、物質温度を変化させないことが必要である。よって、加熱させるので、耐熱温度の低い有機材料や生体物質の水分量測定には破壊測定になり向かない。また、加熱により変質してしまうので1回限りの破壊検査である。その場測定ができず、プロセス中の測定ができない。従って、使用温度下における物質に吸着している水分量を、プロセス中に高速かつ高頻度で測定することが求められる。
【0011】
また、上記特許文献2によれば、赤外線水分計や、マイクロ波、NMR、α線やγ線を利用し同じように電磁波を用いて水分を検出する水分計は、迅速かつその場測定ができるが、検体に含まれる水分のすべてを検出する手段であって、化学結合した水を除く、物質に吸着している水分量のみを弁別して計測することはできない。従って、物質に吸着している水分量を測定することが求められる。
【0012】
更に、上記特許文献3によれば、水分蒸発量を測定する装置であって、蒸発しない状態においては、物体表面に存在する水分を測定することはできない。例えば、用紙が水分を吸着している作用によって、物質に吸着している水分密度に関係なく周囲雰囲気の水分密度が一定の安定した値を示していることもある。従って、物体表面と物体近傍との空間の水蒸気密度が平衡条件下であっても、被物質に吸着している水分を測定することが求められる。
【0013】
また、上記特許文献4によれば、輸送速度が0で雰囲気状態が勾配ない場合はこの方法では物体表面の結露挙動(分布状態)や蒸散挙動を検出することは困難である。使用環境条件に設置されている物体の表面に、別の熱などのエネルギーを加えるなどの作用を与えること無しに、物体の表面の温度などの状態を変えずに、物体の表面の吸着水分量などの吸着物質量を、測定できることが望ましい。その上で、物体表面と物体近傍との空間の水蒸気密度が平衡条件下であっても、被物質に吸着している水分を測定することが求められる。
【0014】
更に、上記特許文献5によれば、感光体の吸着水分が近傍の空間に蒸散される挙動(分布状態)もしくは近傍の空間の水分を吸着する挙動を、近傍の雰囲気の湿度の分布勾配または過渡特性により測定する仕組みを用い、感光体の表面に非接触で、感光体の表面に輸送される雰囲気の状態を計測することによって、感光体の表面の吸着水分量を測定する。この場合、物体の表面に輸送される雰囲気の状態が平衡状態であって輸送されない場合でも測定できることが望ましい。また、感光体の表面に吸着する物質は水分だけでなく、近傍の雰囲気中に多種含まれているので、それらを弁別して測定する必要がある。更に、雰囲気状態のわずかな変動に影響されてしまう表面吸着量を測定する方法が課題である。そのために、雰囲気状態の変動を起こさせない雰囲気制御が必要になる。
【0015】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、微小な領域を温度制御する方式、集積回路微細加工技術を用いたいわゆるMEMS(Micro Electro Mechanical System)技術を用いて迅速に精度高く蒸気密度を制御し雰囲気の蒸気密度を検出することによって物体表面の脱吸着する物質量を測定することができる、物体表面脱吸着物質検出方法、物体表面脱吸着物質検出装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記問題点を解決するために、本発明の物体表面脱吸着物質検出方法は、物体表面の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させ、物体表面の近傍箇所における雰囲気中の蒸気密度を測定して物体表面の近傍箇所における雰囲気の第1の蒸気密度分布を検出する第1の蒸気密度分布検出処理と、物体表面の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させ、物体のない雰囲気中の蒸気密度を測定して雰囲気の第2の蒸気密度分布を検出する第2の蒸気密度分布検出処理と、各検出処理によって検出した各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出処理とを有することに特徴がある。よって、物体表面の近傍の雰囲気個所において、迅速に物体表面の近傍の雰囲気個所の蒸気密度を迅速に変化させることで、物体の温度変化を最小にし、平衡状態を含むどのような雰囲気密度の条件であっても、物体表面に脱吸着する物質量を迅速に測定することができる。
【0017】
また、蒸気密度量検出処理では、第1の蒸気密度分布の特性から第2の蒸気密度分布の特性を差し引くことによって、物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する。よって、物体表面近傍の雰囲気の要素を除いた、物体表面による蒸気密度の特性値として扱うことができる。また、予め、物体表面がない場合に採取した、雰囲気中の蒸気物質の密度を検量した値を、記憶装置に収納し、この情報を参照し、実際の測定値と対比させ、物体表面に吸着する物質の量に相当するのか合致させる。更には、物体表面近傍の雰囲気に及ばされる外乱の影響が小さくなることによって、精度が高まる。特定の物体表面によらずどのような物体表面に対しても適用できる。
【0018】
更に、別の発明としての物体表面脱吸着物質検出装置は、物体表面の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させる蒸気密度調節手段と、物体表面から離間する所定の複数箇所における雰囲気中の蒸気密度を測定する蒸気密度測定手段と、該蒸気密度測定手段によって測定したそれぞれの蒸気密度に基づいて雰囲気の各蒸気密度分布を検出し、検出した各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出手段とを具備することに特徴がある。よって、蒸気密度調節手段付近の雰囲気の蒸気密度を変化させることにより、物体表面の温度状態を変えずに物体表面の脱吸着を迅速にさせることができ、物体表面の間の雰囲気中の蒸気密度の分布を検出することにより、物体表面の脱吸着物質量を測定することができる。
【0019】
また、蒸気密度調整手段と蒸気密度測定手段と蒸気密度量検出手段とを1つの素子に集積搭載したことにより、微小な領域を温度制御及び検出するMEMsを用いて所定の微小な箇所に集積化して高精度に大量生産によって容易に作製することができる。
【0020】
更に、蒸気密度調節手段と蒸気密度分布検出手段とは、互いに空間分離される個所を介して配置されていることにより、蒸気密度分布検出手段に温度変化を与えないことによって、高精度の測定値が得られる。
【0021】
また、蒸気密度調節手段または蒸気密度測定手段の少なくともどちらかに、特定気体成分のみ弁別する気体成分の選択透過膜を具備することにより、特定吸着物質への測定精度が高まる。
【0022】
更に、別の発明としての物体表面脱吸着物質検出装置は、物体表面の近傍個所における雰囲気の蒸気密度を変化させる蒸気密度調節手段と、物体表面の近傍箇所における雰囲気中の蒸気密度を測定して物体表面の近傍箇所における雰囲気の第1の蒸気密度分布を検出する第1の蒸気密度分布検出手段と、物体のない雰囲気中の蒸気密度を測定して雰囲気の第2の蒸気密度分布を検出する第2の蒸気密度分布検出手段と、各蒸気密度分布検出手段によって検出した各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出手段とを具備することに特徴がある。よって、蒸気密度調節手段付近の雰囲気の蒸気密度を変化させることにより、物体表面の温度状態を変えずに物体表面の脱吸着を迅速にさせることができ、物体表面の間の雰囲気中の蒸気密度の分布を検出することにより、物体表面の脱吸着物質量を測定することができる。
【0023】
また、別の発明としての物体表面脱吸着物質検出装置は、物体表面の近傍個所における雰囲気の蒸気密度を変化させる蒸気密度調節手段と、物体表面と物体表面の近傍の雰囲気個所との間の、雰囲気中の蒸気密度を測定して物体表面の近傍箇所における雰囲気の第1の蒸気密度分布を検出する第1の蒸気密度分布検出手段と、基準物体表面と基準物体表面の近傍の雰囲気個所との間の、雰囲気中の蒸気密度を測定して基準物体表面の近傍箇所における雰囲気の第2の蒸気密度分布を検出する第2の蒸気密度分布検出手段と、各蒸気密度分布検出手段によって検出した各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出手段とを具備することに特徴がある。よって、物体表面近傍の雰囲気に及ばされる外乱や、物体表面近傍における雰囲気の流れの影響が小さくなることによって、精度が高まる。また、物体表面に対する蒸気密度の特性値から基準物体表面に対する蒸気密度の特性値を差し引くことにより、雰囲気の流れの影響を除くことができる。更に、物体表面に対する蒸気密度の特性値と、基準物体表面に対する蒸気密度の特性値を同時に得ることができる。
【0024】
更に、蒸気密度調節手段と第1、第2の蒸気密度分布検出手段と蒸気密度量検出手段とを1つの素子に集積搭載したことにより、微小な領域を温度制御及び検出するMEMsを用いて所定の微小な箇所に集積化して高精度に大量生産によって容易に作製することができる。
【0025】
また、蒸気密度調節手段と第1、第2の蒸気密度分布検出手段とは、互いに空間分離される個所を介して配置されていることにより、第1、第2の蒸気密度分布検出手段に温度変化を与えないことによって、高精度の測定値が得られる。
【0026】
更に、蒸気密度調節手段または第1、第2の蒸気密度分布検出手段の少なくともどちらかに、特定気体成分のみ弁別する気体成分の選択透過膜を具備することにより、特定吸着物質への測定精度が高まる。
【0027】
また、蒸気密度調節手段は、温度制御または気体脱吸着制御の少なくともいずれか1つの機構であることにより、微細な個所で迅速な温度制御を行えるので迅速かつ高精度の測定値が得られる。また、蒸気密度調節手段には、蒸気物質密度の温度依存性を利用し、マイクロ・ペルチェ素子や薄膜ヒータにより、温度を上下制御させる手段を用いる。更に、マイクロ・ペルチェ素子を用いたときであれば、加熱冷却をサイクリックにできるので、蒸気密度の周期的制御を行い、より確かさの高い測定が実現する。また、これらに親和性材料を添加した膜や脱吸着面積を大きくした微細多孔構造膜を添加し、効率を上げられる。
【0028】
更に、別の発明としての画像形成装置は、光学機構、画像転写媒体または作像機構に具備し、更に上記の物体表面脱吸着物質測定装置を搭載することに特徴がある。また、物体表面脱吸着物質測定装置は、作像機構あるいは画像転写媒体の表面の水分吸着量を計測する。よって、作像機構の周囲環境の状態に依存せず、作像機構の表面への物質吸着量を測定することによって、作像条件を調節するなどの作像プロセスを制御し、作像機構の周囲環境の広い条件に渡り、画像品質を維持することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、物体表面の近傍の雰囲気個所において、迅速に物体表面の近傍の雰囲気個所の蒸気密度を迅速に変化させることによって、物体の温度変化を最小にし、平衡状態を含むどのような雰囲気密度の条件であっても、物体表面に脱吸着する物質量を迅速に測定することができる。また、物体表面近傍の雰囲気に及ばされる外乱の影響が小さくなることによって、精度が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
はじめに、本発明の物体表面脱吸着物質検出方法の原理について概説する。図1は物体表面及び近傍雰囲気の蒸気分子分布状態の様子を示す図であって、詳細には空間の蒸気分子密度が均一で平衡状態で物体表面の蒸気分子密度が異なる場合の蒸気分子分布状態の様子を示している。そして、同図の(a)は物体表面での蒸気分子の捕捉力が大きい場合であり、同図の(b)は物体表面での蒸気分子の捕捉力が小さい場合である。
【0031】
図1に示すように、物体Sの表面1に捕捉されている蒸気分子2は、空間に存在している蒸気分子3とは異なる作用を受けているため、物体Sの表面1における蒸気密度と、空間における蒸気密度とは、温度状態が同一であっても、異なることがある。その上、物体Sの表面1の近傍における蒸気密度分布が同じである場合や均一になっている場合がある。このまま物体Sの近傍における空間の蒸気密度を測定しても、物体Sの表面1の蒸気密度はわからない。
【0032】
しかし、本発明の物体表面脱吸着物質検出方法の原理図である図2に示すように、物体近傍の雰囲気の蒸気密度が不均一であれば、物体表面の脱吸着挙動があって、その影響が物体近傍の雰囲気の蒸気密度に現れる。その場合は、物体近傍の雰囲気の蒸気密度の分布を観測すれば、物体表面の脱吸着挙動が判明する。詳細に説明すると、本発明の物体表面脱吸着物質検出方法の原理図である図2に示すように、蒸気密度を不均一にさせる凝集器Pを物体Sの表面1から距離wpの雰囲気中に設置し、検出器N、Mを物体Sの表面1から距離wn、wmの雰囲気中に設置し、当該各位置の蒸気密度をそれぞれ検出する。
【0033】
最初に、雰囲気の蒸気密度が均一で平衡状態にあり、物体Sの表面1が無い場合では、物体Sの表面1から距離wpにある凝縮器Pを作動させる前は、物体S表面相当位置でs0、検出器N位置でn0、検出器M位置でm0、凝縮器P周辺位置でp0の蒸気密度であり、s0=n0=m0=p0を示している。次に、物体Sの表面1が無い場合では、凝縮器Pを作動させた後は、物体Sの表面1に相当な位置でS2、検出器N位置でn2、検出器M位置でm2、凝縮器P周辺位置でpyの蒸気密度を示す。これらの、物体Sの表面1無しで、凝集器Pを作動しない場合、水蒸気密度はs0[g/m]、および、物体Sの表面1無しで、凝集器Pを作動した場合、s2[g/m]とを予め検量した値として得て、s0とs2の関係をルックアップテーブルや関係式として記憶装置に収納しておく。一方、物体Sの表面1がある場合では、物体Sの表面1が無い場合と同様に凝縮器周辺位置でpyの蒸気密度になるように凝縮器Pを作動させると、物体Sの表面1の位置でs1、検出器N位置でn1、検出器M位置でm1、凝縮器P周辺位置でpyの蒸気密度を示す。
【0034】
最初に、凝縮器Pを作動させる前、物体Sの表面1の位置で蒸気密度をsxと表すと、凝縮器P周辺位置の雰囲気がp0の蒸気密度の時、凝縮器Pを作動させ、凝縮器P周辺位置でp0からpyへ蒸気密度を調節することによって、物体Sの表面1の位置では、sxからs1の蒸気密度になる。物体Sの表面1の位置ではsxからs2にならずs1になったことは、物体Sの表面1の位置ではs1−s2の蒸気密度が吸着していることを示す。このことから、凝縮器Pを作動させる前、物体Sの表面1の位置で蒸気密度sxは、
sx=s0+(s1−s2)・・・(1)
となる。なお、凝縮器P周辺位置の周辺とは、凝縮器P表面から蒸気分子数100個サイズの距離程度を示す。
【0035】
これが近傍雰囲気の蒸気密度が均一で平衡状態であるn0(=m0)が、変化させてn1、m1になった場合、物体Sの表面1における蒸発する蒸気物質量を示すものである。ちなみに、最初に蒸気密度が均一で平衡状態でなくてもこの関係は成り立つ。
【0036】
このように、マイクロサイズの検出器と凝集器を集積した素子は、迅速に動作、検出することができ、物体近傍の雰囲気と物体表面の脱吸着とに関する密度変化挙動が高速に行われ、短時間に所定の安定状態が得られるので、この算出方法が可能となる。
【0037】
ここで、物体Sの表面1から検出器N、M、凝縮器P表面の距離は、MEMS構造によって微小なサイズに設定されているため、蒸気分子の輸送距離はごく微小で短時間の輸送なので、分布特性は線形の関係に近似でき、蒸気密度s1、s2は、検出器N、Mの各検出値をn1、m1、物体Sの表面1と検出器との距離をwn、wmとすると下記の(2)式から求められる
s1=n1−{(n1−m1)/(wn−wm)}wn
s2=n2−{(n2−m2)/(wn−wm)}wn
・・・(2)
(1)式の蒸気密度sxは、(2)式の検出器N、Mの各検出値、物体表面と検出器との距離により求められる。
【0038】
なお、図2で示した蒸気密度の分布特性は距離に1次の関係であるが、検出器の個数を増やして2次以上の関係で、高精度に蒸気密度s1、s2を求めることもできる。このように、検出器N、Mが全て同じ検出値であっても、物体表面に脱吸着する脱吸着物質の蒸気量がわかる。また、予め検量した値を用いる方法として、脱吸着特性に一定の性質のある物体表面を基準に用い、比較することにより物体表面に脱吸着する脱吸着物質の蒸気量を測定することができる。
【0039】
図3は本発明の第1の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す図である。また、図3の(a)は平面透視図、図3の(b)は図3の(a)のA−A’線断面図、図3の(c)は図3の(a)のB−B’線断面図である。図3は物体表面に対峙する近傍個所に、本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置を設置した図である。本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置10は、物体Sの表面1の2つの近傍箇所における蒸気密度の検出を検出する検出器11、12と、物体Sの表面1の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させるための冷却器13−1及び放熱器13−2からなるペルチェ素子13とを含む蒸気密度検出調節素子14と、蒸気密度検出調節素子14の各検出器11、12からの検出信号を処理するためとペルチェ素子13の制御を行うための信号処理・制御回路素子15と、信号処理・制御回路素子15と図示していない外部機器とを接続するための電気配線ケーブルやコネクタを含む接合部16とを、マウント基板17上に搭載し配線を接続した構造になっている。詳細には、信号処理・制御回路素子15からマウント基板17の配線へ、さらに電気配線ケーブルによって、またはマウント基板17に取り付けた結合部16を介して電気配線ケーブルによって、制御させるための、あるいは信号を必要とする外部機器へ接続される。物体Sの表面1と蒸気密度検出調節素子14の間の蒸気輸送が乱れた流れにならないよう、蒸気密度検出調節素子14の上方に、雰囲気による外乱を回避し整流するため、かつ装置を保護するためのカバーである整流板18が設置されている。また、信号処理・制御回路素子15の表面には保護膜19が被覆されている。更に、蒸気密度検出調節素子14との接触を避け、所定の距離を維持するためにガイド20が一体になって設けられている。このガイド20は、物体Sの表面1に吸着する物質量を測定する物体Sの表面1の個所及び物体Sの表面1の機能に支障のある個所を避けて、物体Sの表面1と接触する個所が設定されている。図3では蒸気密度検出調節素子14の両サイドにガイド20を取り付けた場合を示している。更に、物体表面1と本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置10とを所定距離に維持するためのガイド20は、摺動摩擦が小さいフッ素系樹脂材料からなり、接触個所の摩擦が小さくなるように物体に接する角度が小さくなって、物体Sの表面1と接触して滑らかに移動する。物体の移動方向は任意の方向であるが、図3では矢印方向で示してある。なお、物体Sの表面1と雰囲気との脱吸着を阻害しないよう、物体Sの表面1に対峙する測定装置の断面積を小さくし、整流板やガイドなど小さく薄くデザインする必要があり、MEMS構造が適している。
【0040】
このような構成を有する第1の実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置によれば、蒸気密度検出調節素子14のペルチェ素子13によって物体表面の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させ、これによって、物体表面1と検出器11、12の間の蒸気成分の密度に勾配を生じさせる。密度勾配の状態によって、同時に物体表面1に蒸気が吸着するか、物体表面1から蒸気が脱着するかの状態になっているので、物体表面1の蒸気密度状態を反映した、物体表面1とペルチェ素子13の間の密度勾配の状態を、脱吸着物質の蒸気の輸送経路において検出器11、12によって測定することにより、物体表面1の蒸気密度を推測することができる。例えば、ペルチェ素子13によって付近の蒸気密度を低下させると、物体表面1の吸着物質が蒸気として放出される。この状態を、蒸気の輸送経路であるペルチェ素子13と物体表面1との間の蒸気密度検出器11、12により、検出器11、12における蒸気密度として検出する。
【0041】
図2に示した数値、単位は、マイクロサイズの検出器と凝集器を集積した素子を用いて、用紙表面に脱吸着する水蒸気に関し測定した一例を示している。用紙表面Sから1.3mm離れた、用紙と非接触の位置に最近接の検出器N(図3の検出器11に相当する)があり、素子上では凝集器P(図3のペルチェ素子13に相当する)から1.0mm及び1.7mm離れた位置に1組の検出器N、Mが配置されている。用紙表面近傍の水蒸気密度はどこでも均一で29[g/m]の値を示している。用紙表面に吸着している水蒸気密度が、明らかではない。凝集器Pを0.05sec動作させ、検出器N、Mで検出した値を用い凝集器Pを作用させた用紙表面の水蒸気密度28[g/m]の値を算出する。物体表面なしで水蒸気密度はどこでも均一で29[g/m]の時、凝集器Pを0.05sec動作した値として、予め検量した15[g/m]の値を用いる。この値はルックアップテーブルや関係式として記憶装置に収納しておいたデータを参照する。用紙表面に吸着している水蒸気密度が、29+(28−15)=42[g/m]として得られる。
【0042】
また、本実施の形態では、物体表面との距離、蒸気密度検出調節素子や蒸気密度検出調節素子の配置が精密に設定される必要があり、かつ検出器と凝集器を集積した素子は迅速に動作、検出できる必要があるので、MEMS技術を用いた微細加工によるマイクロシステムデバイスが適する。図3に示すようなMEMS構造のマイクロサイズの検出器と凝集器を集積した素子として、蒸気密度の検出と調節を行う素子の構成をなし、半導体加工プロセスに用いられる、例えばSiやガラスなどの基板と、基板上にSiO、SiやAl等の電気絶縁材料からなる支持層が設けられる。ペルチェ素子13は、支持層上にP型半導体とN型半導体が交互に配置されている。また、各P型半導体の一端と各N型半導体の一端の間には、放熱器13−2がそれぞれ設けられると共に、他端の間には、冷却器13−1がそれぞれ設けられている。これらのP型半導体、N型半導体、放熱器及び冷却器を含んで熱電交換器を構成している。また、始端となるP型半導体と末端となるN型半導体の間には、電圧を印加するための電力供給電極が設けられている。なお、P型半導体及びN型半導体はBi-Te等の熱電変換材料、放熱器及び冷却器は、Al、Au、Cu、Ni等の電極材料からなる。
【0043】
ここで、熱電変換材料、例えばペルチェ効果を利用するものであればBiTeを主成分(Bi、Sb、In、Ga、Se、Te等を置換・添加)とするものが代表的である。N型Si及びP型Siを使うこともでき、SOI基板を用いSOI層を、熱電変換材料BOX層を液滴支持層とすることができる。高性能の材料を見出すには、熱伝導率が小さいこと、また導電性が良いことなどの必要性能指数の高い材料が好ましいが、プロセス適合性や安定性能との適正により選択される。
【0044】
次に、熱電変換器の電極と冷却器、放熱器の役割をなすAl、Auなどの金属材料をパターン形成する。そして、外部引出し配線電極(ボンディングパッド)領域を除き、SiO、SiやAl等のパッシベーション材料で被覆する。蒸気密度検出調節素子14の動作については、電圧を印加し、冷却器の電極を気体の露点以下に冷却すると、気体は冷却器の電極上に凝集し、周囲の雰囲気の蒸気密度を低下させる。なお、冷却器と放熱器は印加する電流を逆転すれば、冷却器と放熱器が逆転し、冷却器の電極上に凝集した気体を蒸発させて、周囲の雰囲気の蒸気密度を増大させることができる。
【0045】
図2では物体表面に吸着する蒸気量を増大させる方法について詳細は省略しているが、このように物体表面に吸着する蒸気量を増大させることによって、物体表面の脱吸着蒸気物質量を測定することもできる。蒸気密度検出器は、支持層上に、雰囲気を脱吸着することによって電気抵抗、静電容量などを検出する有機高分子物質、金属酸化物半導体物質や電気抵抗物質からなる感応部が支持層の上部に配置されている。雰囲気中の特定蒸気物質、例えば、水蒸気のみ、炭化水素ガスのみなどを選択的に検出できる機能材料である。また、雰囲気気体の熱容量を計測する熱伝導率検出機能を持たせ、雰囲気の密度が直接検出できる。更に、感応部には、電圧を印加するための電力供給電極が設けられている。また、感応部と外部引出し配線電極(ボンディングパッド)領域を除き、SiO、SiやAl等のパッシベーション材料で被覆する。これらの感応部及び電力供給電極を含んで熱伝導度センサやガスセンサを構成している。
【0046】
なお、図3の(b)に示すように、検出器11、12とペルチェ素子13とは、支持層の薄層のメンブレン上に配置され、薄層のメンブレンは基板下面に開口する空洞上に配置されている。冷却器と蒸気密度検出器N、Mの配置されている領域の基板を、支持層の反対面からエッチング除去して空洞部が形成される。ペルチェ素子13の動作については、電圧を印加し、冷却器の電極を気体の露点以下に冷却すると、気体は冷却器の電極上に凝集し、冷却器の電極は基板領域上にはなく空洞部上にあるため熱容量が小さく、迅速かつ小さいエネルギーで、周囲の雰囲気の蒸気密度を低下させることができる。一方、放熱器の電極は熱伝導率の大きい基板領域上に配置されているので、放熱効率が高い。これによって、迅速に温度制御ができるので、迅速に周囲雰囲気の蒸気密度を調節することができる。また、検出器11、12も、空洞上に配置することによって、基板の温度影響を受け難くし、周囲雰囲気を迅速かつ高感度に検出することができる。なお、熱分離壁は蒸気密度検出調節素子14の熱影響が基板や支持層のメンブレンを通して蒸気密度検出調節素子14に及ばないようにするための、隔離するための熱容量の大きい基板を利用したヒートシンクである。
【0047】
図4は本発明の第2の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す図である。また、図4の(a)は平面透視図、図4の(b)は図4の(a)のC−C’線断面図である。同図において、図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置30は、第1の実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置10と異なる構成要素として、検出器11、12とペルチェ素子13とを含む蒸気密度検出調節素子14を覆うように選択透過膜21が設けられている。これによって、特定成分が、他の成分と比較して、特性を検出する際差が少ない場合、特定の成分を分離する選択透過膜21を透過させることによって、高精度の検出が可能となる。また、小型で、選択透過膜21と検出器11,12とを近接させられるため、透過量の小さい成分でもフィルタ内外差圧が小さくても迅速に検出できる。更に、迅速に検出できるため、多層に選択透過膜21を設置することによって高精度の弁別性能が得られる。
【0048】
図5は本発明の第3の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。同図に示す本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置40は、第1、第2の実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置10、30における蒸気密度検出調節素子14を構成するペルチェ素子13に代えて発熱体22を設けている。よって、物体表面に吸着する蒸気量を増大させることによって、物体表面の脱吸着蒸気物質量を測定することもできる。
【0049】
次に、熱影響を小さくする構造について説明する。
図6は本発明の第4の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。同図に示す本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置50によれば、蒸気密度検出調節素子14の支持層の薄層のメンブレン上に配置され、薄層のメンブレンは基板上面に開口する空洞上に配置されている。蒸気密度検出調節素子14における検出器11、12とペルチェ素子13の配置されている領域の基板を、支持層に設けた細孔23を通して支持層の面からエッチング除去して空洞部が形成される。熱分離壁は、支持層を伝導する熱を基板方向へ誘導することにより蒸気密度検出調節素子への干渉を防ぐ。
【0050】
図7は本発明の第5の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。同図に示す本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置60によれば、蒸気密度検出調節素子14の支持層の薄層のブリッジ上に配置され、薄層のブリッジは基板上面に開口する空洞上に配置されている。蒸気密度検出調節素子14における検出器11、12とペルチェ素子13の配置されている領域の基板を、支持層に設けた開口部24を通して支持層の面からエッチング除去して空洞部が形成される。
【0051】
次に、本発明の第6の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の原理について図8を用いて概説する。検出器N、Mは物体Sの表面1に対峙する物体Sの表面1からの距離wn、wmの雰囲気の蒸気密度を検出し、検出器Q、Rは物体Sの表面1からの距離wn、wm相当のwq、wrの蒸気密度を検出する。最初に、雰囲気の蒸気密度は一定で平衡状態である場合、凝集器Pを動作させ、凝集器Pに蒸気物質が凝集されると、空間に存在する蒸気物質が吸着され、物体Sの表面1の位置では物体Sの表面1が無い場合、s0〜s2となる。空間Vの蒸気密度s0〜v2へ変化するのと同じ量の変化である。物体Sの表面1の位置で、物体Sの表面1及び脱吸着物質があって蒸気密度がs0を有している場合、物体Sの表面1では蒸気密度はs0からs1となる。よって、上記の式(1)であって、これが近傍雰囲気の蒸気密度が平衡状態のn0(=m0)からn1、m1になった場合、物体Sの表面1における蒸発する蒸気物質量を示すものである。ちなみに、最初に平衡状態でなくてもこの関係は成り立つ。MEMS構造のマイクロサイズの検出器と凝集器を集積した素子は、迅速に動作、検出することと、物体近傍の雰囲気と物体表面の脱吸着とに関する密度変化挙動が高速に行われ、短時間に所定の安定状態が得られるので、この算出方法で十分である。
【0052】
ここで、蒸気密度s1、s2を得る手段としては、検出器N、M及びQ、Rの検出値をn1、m1及びq2、r2と、物体表面と検出器との距離をwm、wnとすると、上記の式(2)となる。ここでn2=r2、m2=q2である。
【0053】
このように、検出器N、M及びQ、Rが全て同じ検出値であるとき、物体表面に脱吸着している脱吸着物質の蒸気量がわかる。
【0054】
数値、単位は、MEMS構造のマイクロサイズの検出器と凝集器を集積した素子を用いて、用紙表面に脱吸着する水蒸気に関し測定した一例を示している。用紙表面Sから1.3mm離れた、用紙と非接触の位置に最近接の検出器Nがあり、素子上では凝集器Pを中央に、凝集器Pから1.0mm及び1.7mm離れた相対位置に2組の検出器N、M及びQ、Rが配置されている。
【0055】
用紙表面近傍の水蒸気密度はどこでも均一で29[g/m]の値を示している。用紙表面に吸着している水蒸気密度が明らかではない。凝集器Pを0.05sec動作させ、検出器N、Mで検出した値を用い凝集器Pを作用させた用紙表面の水蒸気密度28[g/m]の値を算出し、かつ検出器Q、Rで検出した値を用い凝集器Pを作用させた雰囲気の水蒸気密度15[g/m]の値を算出する。このことから、用紙表面に吸着している水蒸気密度が、29+(28−15)=42[g/m]として得られる。
【0056】
図9は本発明の第6の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。同図に示す本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置70によれば、上述した原理を具現化する装置であって、蒸気密度検出調節素子27は支持層の薄層のブリッジ上に、検出器11、12、ペルチェ素子13、そして検出器25、26を配設して構成されている。つまり、物体表面1と蒸気密度の調節器としてのペルチェ素子13との間の蒸気物質の輸送経路に対して、蒸気密度の検出器11、12とペルチェ素子13を配置し、更に物体表面のない雰囲気側にも蒸気密度の調節器としてのペルチェ素子13との間の蒸気物質の輸送経路にも検出器25、26が併設されている。中央に配置されたペルチェ素子13を挟んで2組の熱伝導度センサやガスセンサからなる蒸気密度の検出器11、12、25、26が集積されている。これらの設置個所の支持層は基板下面に開口する空洞上に配置されている薄層のメンブレンである。このように、それぞれの輸送経路を対向させることによって、双方の蒸気密度の調節器としてのペルチェ素子13は共用される1つの蒸気密度の調節器になっていて、単に2つ併設するよりも、ばらつきなく高精度であり効率も向上する。
【0057】
ここで、支持層の熱伝導は、主に熱容量の小さい薄い支持層を伝播する仕組みなので、ごくわずかではあるが支持層が連続であると支持層を伝導する熱が蒸気密度の検出器へ干渉する。蒸気密度の検出器の温度状態が変化すると検出される密度検出値に変化を与えてしまう。そこで、図9の(b)に示すように、支持層を不連続にする構造であると支持層を伝導する熱が蒸気密度の検出器へ干渉しにくい。
【0058】
この素子の働きは、蒸気密度調節器としてのペルチェ素子13によって当該ペルチェ素子13の近傍の蒸気成分の密度を変化させ、これによって、物体表面Sとペルチェ素子13の間の蒸気成分の密度に勾配を生じさせるとともに、物体表面のない雰囲気とペルチェ素子13との間の蒸気成分の密度に勾配を生じさせ、双方の蒸気密度を検出器11、12、25、26によって測定する。この構造及び材料により、熱伝導率が小さく、比熱及び熱容量が小さいので、蒸気密度の調節器や蒸気密度の検出器は小さな電力で、迅速に動作させることができる。
【0059】
図10は本発明の第7の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。同図に示す本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置80によれば、蒸気密度の検出と調節を行う蒸気密度検出調節素子の2つを平面上に並列に配置、または1枚の基板に蒸気密度の検出と調節を行う素子の2つを並列に配置している。蒸気密度検出調節素子28は物体表面1に対峙、蒸気密度検出調節素子29は基準表面31に対峙させる。そして、物体表面1に対峙させた蒸気密度検出調節素子28の測定値から、基準表面31に対峙させた蒸気密度検出調節素子29の測定値を差し引く。これは、図8を用いて上述しましたように、物体表面が無い場合を、基準表面がある場合に置き換えた仕組みである。特に、蒸気密度検出調節素子28と蒸気密度検出調節素子29が物体表面に同一方向に向いていて、物体表面からほぼ同じ距離であり、物体表面と蒸気密度検出調節素子の間に温度勾配がある場合、蒸気密度検出調節素子28と蒸気密度検出調節素子29が物体表面に同一方向に向いていない場合より、同じ温度勾配の影響下にあるので、蒸気密度検出調節素子28の測定値から、基準表面に対峙させた蒸気密度検出調節素子29の測定値を差し引くことで、より高い精度の結果を得ることができる。
【0060】
なお、基準表面とは、蒸気物質が吸着しにくいフッ化炭素系材料で形成したものや、特定成分に特定の脱吸着性能を有するモレキュラーシーブスなどからなり、より多くの種類の蒸気物資や広範囲の脱吸着条件下においても、選択性のある一定の測定を得ることができる。
【0061】
図11は本発明の第8の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す断面図である。同図に示す本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置90によれば、2つの蒸気密度の検出と調節を行う蒸気密度検出調節素子を並列に積層し、蒸気密度検出調節素子32は物体表面に対峙、蒸気密度検出調節素子33は基準表面34に対峙させる。本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置90は、蒸気密度検出調節素子32からなり、かつ物体表面1に対峙させる構造と、蒸気密度検出調節素子33からなりかつ基準表面34に対峙させる構造を有している。
【0062】
図12は本発明の第9の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す断面図である。また、図13は本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置の透視斜視図である。両図に示す本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置100によれば、1つの蒸気密度の検出と調節を行う蒸気密度検出調節素子35は、物体表面との間隙に、開口窓36と遮蔽窓37を交互に配置した回転機構38を具備する回転枠内に設置されている。物体表面に対峙させる場合には開口窓36を通して物体表面に対峙させ、基準表面に対峙させる場合には基準表面を形成した遮蔽窓37に対峙させることによって、それぞれ交互に対峙した時に測定した特性を差し引きする。本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置100は、第8の実施の形態のような2つの蒸気密度検出調節素子からなる物体表面に対峙させる構造と基準表面に対峙させる構造に対して、1つの蒸気密度検出調節素子だけで、物体表面に対峙させる構造と基準表面に対峙させる構造をなしている。なお、本実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置100は物体表面に対峙させるにあたり、蒸気密度の検出と調節を行う素子の装置固定支持部が台座に組み付けられ、遮蔽窓と開口窓が配置された回転枠の回転軸が台座に組み付けられる。この構造では、回転枠と蒸気密度の検出と調節を行う素子との間隔は一定であるので、回転枠によって物体との距離は一定になる。回転枠が物体との距離を一定にするためのガイドになる。
【0063】
次に、上述した本発明の物体表面脱吸着物質検出装置を画像形成装置内に設置した例について概説する。
図14は別の発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。同図に示す本実施の形態の画像形成装置200は、感光体201の周りに、前露光装置202、帯電装置203、書込み装置204、現像装置205、転写装置206、クリーニング装置207が配設されている。また、感光体201上に形成されたトナー像が転写装置206によって転写された記録用紙208上のトナー像を定着する定着装置209が設けられている。更に、画像形成装置200において、クリーニング装置207と前露光装置202との間の位置S1と、帯電装置203と書込み装置204によるレーザビームの書込み位置との間の位置S2と、書込み装置204によるレーザビームの書込み位置と現像装置205との間の位置S3のいずれかに、感光体ドラム201の表面劣化を検出するための表面水分量検出手段210が配設されている。この表面水分量検出手段210は、上述した本発明の物体表面脱吸着物質検出装置の構成を有しているものである。
【0064】
図15は別の発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。同図において、図14と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の画像形成装置300において、用紙搬送経路には、記録用紙208の蒸散挙動を検出するために、用紙搬送経路の転写装置206より上流側に位置センサ301と計測手段302が、用紙搬送経路の転写装置206より下流側に位置センサ303と計測手段304がそれぞれ設けられ、更には定着装置209に計測手段305が設けられている。また、位置センサ301と計測手段302は略同じ位置に配置され、位置センサ303と計測手段304も略同じ位置に配置されている。例えば、計測手段302と計測手段304は、上述した第9の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置100が適する。用紙の所定箇所を加熱し周囲空間へ水蒸気を増加させてその増加量を計測することにより、用紙の水分量は推測できるが、用紙から水分の脱着は早いが用紙の熱容量が大きいので、それまでに温度を上げる時間を要し、結局、用紙加熱によって用紙から水蒸気を発生させるのには時間がかかる。よって、本実施の形態のように本発明の物体表面脱吸着物質検出装置を適用する計測手段を用いることにより、雰囲気を凝集または希薄にすることによって迅速にできることにより、精密に検出できる。
【0065】
このような構成を有する本発明の画像形成装置によれば、例えば画像形成装置に用いられる用紙などの作像媒体では用紙の吸着水分量によっては転写時の帯電量に影響し画像不良や搬送時に用紙変形が生じジャムや画像位置ずれとなることがある。これらの感光体や作像媒体の表面への物質吸着量を計測し、対処することが重要であり、対象となる物体表面に対応する計測手段が求められる。その条件として、作像プロセスに支障を生じないよう、感光体や作像媒体の表面に非接触で計測できなければならない。計測手段の検出部は、感光体や作像媒体の表面から離れた個所に設置することになるので、環境変動の影響と弁別して測定できるようにしなければならない。また、感光体や作像媒体の表面から検出部までの距離が冗長であると、環境変動の影響が大きくなって精度が低下してしまうし、設置性にも自由度が少なくなるので、コンパクトである必要がある。更に、特定の画像形成装置の感光体や作像媒体に対応する設計ではなく、汎用性を広くすることが有用である。
【0066】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】物体表面及び近傍雰囲気の蒸気分子分布状態の様子を示す図である。
【図2】本発明の物体表面脱吸着物質検出方法の原理図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の原理図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す平面透視図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す断面図である。
【図12】本発明の第9の実施の形態に係る物体表面脱吸着物質検出装置の構成を示す断面図である。
【図13】本発明の第9の実施の形態の物体表面脱吸着物質検出装置の透視斜視図である。
【図14】別の発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【図15】別の発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10,30,40,50,60,70,80,90,100;物体表面脱吸着物質検出装置、
11,12,25,26;検出器、13;ペルチェ素子、
13−1;冷却器、13−2;放熱器、
14,27,28,29,32,33,35;蒸気密度検出調節素子、
15;信号処理・制御回路素子、16;接合部、17;マウント基板、
18;整流板、19;保護膜、20;ガイド、21;選択透過膜、
22;発熱体、23;細孔、24;開口部、31,34;基準表面、
36;開口窓、37;遮蔽窓、38;回転機構、
200,300;画像形成装置、201;感光体、
202;前露光装置、203;帯電装置、204;書込み装置、
205;現像装置、206;転写装置、207;クリーニング装置、
208;記録用紙、209;定着装置、210;表面水分量検出手段、
301,303;位置センサ、302,304,305;計測手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体表面の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させ、物体表面の近傍箇所における雰囲気中の蒸気密度を測定して物体表面の近傍箇所における雰囲気の第1の蒸気密度分布を検出する第1の蒸気密度分布検出処理と、
物体表面の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させ、物体のない雰囲気中の蒸気密度を測定して雰囲気の第2の蒸気密度分布を検出する第2の蒸気密度分布検出処理と、
前記各検出処理によって検出した前記各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出処理と
を有することを特徴とする物体表面脱吸着物質検出方法。
【請求項2】
前記蒸気密度量検出処理では、前記第1の蒸気密度分布の特性から前記第2の蒸気密度分布の特性を差し引くことによって、物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出することを特徴とする請求項1記載の物体表面脱吸着物質検出方法。
【請求項3】
物体表面の近傍箇所における雰囲気の蒸気密度を変化させる蒸気密度調節手段と、
物体表面から離間する所定の複数箇所における雰囲気中の蒸気密度を測定する蒸気密度測定手段と、
該蒸気密度測定手段によって測定したそれぞれの蒸気密度に基づいて雰囲気の各蒸気密度分布を検出し、検出した各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出手段と
を具備することを特徴とする物体表面脱吸着物質検出装置。
【請求項4】
前記蒸気密度調整手段と前記蒸気密度測定手段と前記蒸気密度量検出手段とを1つの素子に集積搭載したことを特徴とする請求項3記載の物体表面脱吸着物質検出装置。
【請求項5】
前記蒸気密度調節手段と前記蒸気密度分布検出手段とは、互いに空間分離される個所を介して配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の物体表面脱吸着物質測定装置。
【請求項6】
前記蒸気密度調節手段または前記蒸気密度測定手段の少なくともどちらかに、特定気体成分のみ弁別する気体成分の選択透過膜を具備することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の物体表面脱吸着物質量測定装置。
【請求項7】
物体表面の近傍個所における雰囲気の蒸気密度を変化させる蒸気密度調節手段と、
物体表面の近傍箇所における雰囲気中の蒸気密度を測定して物体表面の近傍箇所における雰囲気の第1の蒸気密度分布を検出する第1の蒸気密度分布検出手段と、
物体のない雰囲気中の蒸気密度を測定して雰囲気の第2の蒸気密度分布を検出する第2の蒸気密度分布検出手段と、
前記各蒸気密度分布検出手段によって検出した前記各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出手段と
を具備することを特徴とする物体表面脱吸着物質検出装置。
【請求項8】
物体表面の近傍個所における雰囲気の蒸気密度を変化させる蒸気密度調節手段と、
物体表面と物体表面の近傍の雰囲気個所との間の、雰囲気中の蒸気密度を測定して物体表面の近傍箇所における雰囲気の第1の蒸気密度分布を検出する第1の蒸気密度分布検出手段と、
基準物体表面と基準物体表面の近傍の雰囲気個所との間の、雰囲気中の蒸気密度を測定して基準物体表面の近傍箇所における雰囲気の第2の蒸気密度分布を検出する第2の蒸気密度分布検出手段と、
前記各蒸気密度分布検出手段によって検出した前記各蒸気密度分布に基づいて物体表面に脱吸着する物質の蒸気密度量を検出する蒸気密度量検出手段と
を具備することを特徴とする物体表面脱吸着物質検出装置。
【請求項9】
前記蒸気密度調節手段と前記第1、第2の蒸気密度分布検出手段と前記蒸気密度量検出手段とを1つの素子に集積搭載したことを特徴とする請求項7又は8に記載の物体表面脱吸着物質測定装置。
【請求項10】
前記蒸気密度調節手段と前記第1、第2の蒸気密度分布検出手段とは、互いに空間分離される個所を介して配置されていることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の物体表面脱吸着物質測定装置。
【請求項11】
前記蒸気密度調節手段または前記第1、第2の蒸気密度分布検出手段の少なくともどちらかに、特定気体成分のみ弁別する気体成分の選択透過膜を具備することを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の物体表面脱吸着物質測定装置。
【請求項12】
前記蒸気密度調節手段は、温度制御または気体脱吸着制御の少なくともいずれか1つの機構であることを特徴とする請求項3〜11のいずれか1項に記載の物体表面脱吸着物質測定装置。
【請求項13】
光学機構、画像転写媒体または作像機構に具備する画像形成装置であって、請求項3〜12のいずれか1項に記載の物体表面脱吸着物質測定装置を搭載することを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記物体表面脱吸着物質測定装置は、前記作像機構の表面の水分吸着量を計測することを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記物体表面脱吸着物質測定装置は、前記画像転写媒体の表面の水分吸着量を計測することを特徴とする請求項13記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−112912(P2010−112912A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287415(P2008−287415)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】