説明

物品位置決め装置および物品位置決め方法

【課題】物品位置決め装置において、上面にフリーローラを設置したリフト装置でパレットを搬送レベルより上昇させ、側方から別機構によってパレットを押してセンタリングする装置、又は、上面にコンベアを設置したリフト装置でパレットを搬送レベルから上昇させ、コンベアによってセンタリングをする装置において、水平方向に大きなスペースを必要とせずに位置決め可能とする。
【解決手段】物品位置決め装置1は、昇降台29と、手前側規制部材35とを備えている。昇降台29は、上下方向に移動可能である。手前側規制部材35は、昇降台29に設けられ、物品Wの外形に対応して配置されている。手前側規制部材35は、昇降部材によって上下動しながら物品Wを位置決めする。その結果、物品Wを位置決めするための装置1が占める空間を装置1の水平方向に確保する必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品位置決め装置および方法、特に、リフタを用いた物品位置決め装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動倉庫は、例えば、一対のラックと、スタッカクレーンと、入庫ステーションと、出庫ステーションとを備えている。一対のラックは、前後方向に所定間隔をあけるようにして設けられている。スタッカクレーンは、前後のラック間において左右方向に移動自在に設けられている。入庫ステーションは、一方のラックの側方に配置されている。出庫ステーションは、他方のラックの側方に配置されている。ラックは、上下・左右に多数の物品収納棚を有する。スタッカクレーンは、走行台車と、それに設けられたマストに昇降自在となされた昇降台と、それに設けられた物品移載装置(例えば、前後方向に摺動自在に設けられたスライドフォーク)とを有している。入出庫ステーションにおいては、物品を搬送するのにコンベアが用いられる。
【0003】
物品は通常パレット上に載置された状態で搬送される。例えば、物品は、パレットに載置された状態で、フォークリフト等によって入庫ステーションのコンベアに移載され、コンベアによって搬送され、さらにスタッカクレーンに積み込まれ、最後にスタッカクレーンによってラックの棚に積み込まれる。
【0004】
物品がコンベアに移載されたときに、パレットのコンベア幅方向中心がコンベアの幅方向中心からずれていると、以下の問題が生じる。例えば、スタッカクレーンがフォーク等によって物品を棚に載せる際に、パレット上の物品が棚に衝突することがある。つまり、物品の受け渡し作業がスムーズに行われなくなる。このため、パレットのコンベア幅方向中心がコンベアの幅方向中心に正確に合わされることが好ましい。
【0005】
一方、フォークリフトによってパレットをコンベアに対してセンタリングする作業は困難であり、熟練を要する。
そこで、コンベアにおける物品の左右位置決め装置が設けられた例が知られている。左右位置決め装置は、コンベアの経路途中で物品をセンタリングする(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−69923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、上面にフリーローラを設置したリフト装置でパレットを搬送レベルより上昇させ、側方から別機構によってパレットを押してセンタリングする装置が知られている。さらに、上面にコンベアを設置したリフト装置でパレットを搬送レベルから上昇させ、コンベアによってセンタリングをする装置も知られている。しかし、これらセンタリング装置は、また大きなスペースを必要とするという問題を有している。
【0008】
本発明の課題は、物品位置決め装置において、水平方向に大きなスペースを必要とせずに位置決め可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る物品位置決め装置は、上下方向に移動可能な昇降部材と、昇降部材に設けられ、物品の外形に対応して配置されたガイドとを備えている。
この装置では、ガイドは昇降部材によって上下動しながら物品を位置決めする。その結果、物品を位置決めするための装置が占める空間を装置の水平方向に確保する必要がない。
【0010】
昇降部材は、物品が移載装置に移載される物品移載位置と、物品移載位置より下方の物品載置位置との間で物品を昇降可能であってもよい。
この装置では、昇降部材が物品を昇降させるときに、ガイドも昇降部材とともに上下する。したがって、ガイドは上下動しながら物品を位置決めする。その結果、物品を位置決めするための装置が占める空間を装置の水平方向に確保する必要がない。
【0011】
物品位置決め装置は、物品載置位置において物品が載置され載置部をさらに備えていてもよい。物品は、物品移載位置にあるときに、載置部との間に移載装置が挿入される空間を確保してもよい。
この装置では、移載装置は、物品が物品移載位置まで上昇させられたときに、上昇によって確保された空間を利用して移載動作を行う。このように移載装置との取り合いに用いられる物品位置決め装置によって物品を位置決めするので、駆動部材を減らして低コストにできる。
【0012】
載置部は、載置部本体と、載置部本体の奥側に設けられたストッパとを有していてもよい。ガイドは、載置部本体の上にある物品をストッパとともに挟み込む位置にあってもよい。
この装置では、ストッパによって簡易的に位置決めして、さらにガイドで物品を正確に位置決めできる。このようにして、簡単な装置で位置決めをできる。
【0013】
載置部は、載置部本体に設けられたフリーローラをさらに有していてもよい。物品位置決め装置は、物品を押して載置部本体の上に移動させる物品押し出し機構をさらに備えていてもよい。
この装置では、物品押し出し機構が物品を載置部本体の上に押し出すと、物品はフリーローラによってスムーズに移動する。さらに、フリーローラを用いることで、ガイドによる位置決め時に物品の移動が容易になる。
【0014】
本発明の他の見地に係る物品位置決め方法は、上下方向に移動可能な昇降部材と、昇降部材に設けられたガイドと、物品が載置される載置部と、載置部に設けられたストッパと、物品を押すための物品押し出し機構とを有する物品位置決め装置を用いた物品位置決め方法であって、以下のステップを備えている。
◎押し出し機構が物品を載置部上に押し出すステップ
◎昇降部材が上昇することでガイドとストッパの間に物品を挟むステップ
◎押し出し機構が物品から離れるステップ
◎昇降部材がさらに上昇して、物品を移載するための移載装置が挿入可能な空間を物品と載置部との間に形成するステップ
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る物品位置決め装置および方法では、水平方向に大きなスペースを必要とせずに物品を位置決め可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態における物品位置決め装置の模式平面図。
【図2】物品位置決め装置の模式側面図。
【図3】リフト装置の制御構成を示すブロック図。
【図4】リフト装置の制御動作を示すフローチャート。
【図5】物品位置決め装置の模式平面図。
【図6】物品位置決め装置の模式側面図。
【図7】物品位置決め装置の模式側面図。
【図8】物品位置決め装置の模式側面図。
【図9】本発明の第2実施形態における物品位置決め装置の模式平面図。
【図10】物品位置決め装置の模式正面図。
【図11】本発明の第3実施形態における物品位置決め装置の模式平面図。
【図12】物品位置決め装置の模式正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.第1実施形態
(1)物品位置決め装置
図1および図2を用いて、本発明の第1実施形態に係る物品位置決め装置1を説明する。図1は、本発明の第1実施形態における物品位置決め装置の模式平面図である。図2は、物品位置決め装置の模式側面図である。なお、図1の紙面左右方向をX方向として、紙面上下方向をY方向とする。
【0018】
物品位置決め装置1は、スタッカクレーン2に物品Wを移載するための位置決め装置である。物品位置決め装置1は、主に、リフト装置3と、搬送台車5と、プッシャ7とを備えている。リフト装置3は、物品Wを位置決めした状態で上昇させ、スタッカクレーン2に物品Wを移載させるための装置である。搬送台車5は、物品Wを載置した状態で搬送する装置であり、リフト装置3に物品Wを供給する。プッシャ7は、搬送台車5によって搬送されてきた物品Wを押してリフト装置3に移動させる装置である。
なお、この実施形態では物品WはパレットPに載置された状態でパレットPと一体に移動するため、パレットP自体を「物品」としてもよいし、物品WとパレットPを合わせたものを「物品」としてもよい。
【0019】
リフト装置3のX方向片側には、スタッカクレーン2が停止可能である。スタッカクレーン2は、Y方向に延びる走行レール8上を走行可能である。スタッカクレーン2は、走行部9と、移載部10とを有している。移載部10は、上下方向に移動可能であり、さらに物品Wを移載するためのスライドフォーク11を有している。スライドフォーク11は、移載部10からX方向片側にスライド可能になっている。
【0020】
(2)リフト装置
リフト装置3は、主に、ローラ機構13と、リフタ15とを有している。ローラ機構13は、フレーム17と、複数のフリーローラ19とを有している。フレーム17は、地面より高い位置に配置された部材であり、上面17aを有している。フリーローラ19は、フレーム17において回転自在に支持されている。フリーローラは、Y方向に一定の間隔をあけて並んでおり、回転軸はX方向に平行になっている。
【0021】
フレーム17のY方向下側が搬入方向手前側であり、Y方向上側が搬入方向奥側である。フレーム17の搬入奥側には、奥側ストッパ21が設けられている。奥側ストッパ21は、プレート部材であり、フレーム17の上面17aからさらに上方に延びている。
【0022】
フレーム17のX方向両側には、フレーム17から離れた位置に側方ガイド23が設けられている。側方ガイド23は、フレーム17の上面17aよりさらに上方の位置に配置されている。なお、図では、側方ガイド23を支持する構造は省略されている。
【0023】
リフタ15は、基台27と、昇降台29と、昇降機構31と、昇降シャフト33とを有している。基台27は、地面に載置されている。昇降台29は、基台27の上方に配置されている。昇降機構31は、シザース機構を有しており、基台27と昇降台29を連結すると共に、昇降台29を基台27に対して上下動させる。昇降台29は、図1から明らかなように、フレーム17よりX方向両側に幅が広くなっている。昇降シャフト33は、昇降台29の四隅から上方に延びており、フレーム17のX方向両側に2本ずつ配置されている。なお、昇降シャフト33同士は、図示しないが、互いに連結されていてもよい。
【0024】
搬入方向(Y方向)手前の昇降シャフト33には、手前側規制部材35が設けられている。手前側規制部材35は、昇降シャフト33とともに上下動するとともに、物品Wの動きを規制するための部材である。手前側規制部材35は、上下方向に延びるプレート部材であって、下端部と昇降シャフト33の上端が連結部材37によって連結されている。手前側規制部材35の位置は、フレーム17の搬入方向手前側端付近である。
【0025】
(3)搬送台車
搬送台車5は、図1に矢印で示すように、X方向右側からリフト装置3のY方向手前側に移動可能である。搬送台車5は自動走行でも手動走行でもよい。
【0026】
(4)プッシャ
プッシャ7は、図1および図2から明らかなように、搬送台車5がリフト装置3のY方向手前側に配置された状態にあるときに、リフト装置3との間に搬送台車5を挟む位置に配置されている。つまり、リフト装置3、搬送台車5,プッシャ7がY方向に並んで一直線上に配置されている。この状態で、プッシャ7は、搬送台車5上の物品Wをリフト装置3に向けて押し出すことができる。
【0027】
プッシャ7は、プッシュ部材39と、駆動機構(図示せず)と有している。なお、プッシュ部材39のX方向幅は、リフト装置3の一対の手前側規制部材35同士のX方向幅より短くなっており、しかもプッシュ部材39がリフト装置3に最も接近した状態でもプッシュ部材39が一対の手前側規制部材35に干渉しないようになっている。
【0028】
(5)リフト装置の制御構成
図3を用いて、リフト装置3の制御構成について説明する。図3は、リフト装置の制御構成を示すブロック図である。
【0029】
制御部41は、CPU、RAM、ROMからなるコンピュータであって、メモリから読み込まれたプログラムを実行することで制御動作を行う。制御部41には、昇降駆動部43と、光電センサ45と、リミットスイッチ47が接続されている。昇降駆動部43は、制御部41からの指令に基づいて昇降機構31を駆動する。光電センサ45は、リフト装置3のフレーム17上に物品Wが置かれているか否かを検出する。リミットスイッチ47は、昇降シャフト33の上面に物品Wが置かれているか否かを検出する。
【0030】
(6)リフト装置の制御動作
図4を用いて、リフト装置3の制御動作を説明する。図4は、リフト装置の制御動作を示すフローチャートである。
【0031】
初期状態では、図2に示すように、リフト装置3の昇降シャフト33および昇降台29は下方位置に配置されている。したがって、昇降シャフト33の上面および手前側規制部材35の上端は、フレーム17の上面17aおよびフリーローラ19の上面より下方の位置にある。
【0032】
ステップS1では、制御部41は、物品Wがプッシャ7に押されてフレーム17およびフリーローラ19上に搬送されてくるのを待つ。制御部41が光電センサ45からの信号により物品Wが搬入されたと判断すると、プロセスは制御ステップS2に移行する。
なお、プッシャ7が物品Wを押すと、物品Wはフリーローラ19上を走行して側方ガイド23にガイドされながらフレーム17の搬入方向奥側に移動する。物品Wは、図5および図6に示すように、奥側ストッパ21に当接して停止する。このとき、物品Wは搬入方向手前側にわずかな距離だけ戻ることがある。
【0033】
ステップS2では、制御部41は、昇降駆動部43に指令を出力して、昇降機構31を駆動させる。これにより、図7に示すように、昇降機構31は昇降台29を中間位置まで移動させる。これにより、手前側規制部材35は、パレットPの搬入方向手前側の位置まで上昇する。このとき、手前側規制部材35はプッシャ7のプッシュ部材39に干渉しない。手前側規制部材35は、状況に応じて、物品Wを搬入方向奥側に戻すようにガイドする。この結果、手前側規制部材35はパレットPを奥側ストッパ21との間に挟み付けるようにして物品Wを位置決めする。また、この状態では、昇降シャフト33の上面はパレットPの底面に当接していないので、物品Wはフリーローラ19上によってスムーズに移動できる。
【0034】
ステップS3では、制御部41は、プッシャ7のプッシュ部材39が押し位置から元の位置に引かれるのを待つ。制御部41は、プッシャ7の制御部から元の位置に戻った情報を取得する。
【0035】
ステップS4では、制御部41は、昇降駆動部43に指令を出力して、昇降機構31を駆動させる。これにより、図8に示すように、昇降機構31は昇降台29を移載位置まで移動させる。この途中で、昇降シャフト33がパレットPの底面に当接して、パレットPおよび物品Wを上方に移動させる。この結果、パレットPとフレーム17およびフリーローラ19との間に空間Sが確保される。なお、昇降シャフト33がパレットPに当接するときに、パレットPおよび物品Wは手前側規制部材35によってすでに正確に位置決めされているので、物品WおよびパレットPは、昇降シャフト33に対して正しい位置に置かれる。
【0036】
ステップS5では、制御部41は、物品Wがスタッカクレーン2のスライドフォーク11によってすくいあげられて昇降シャフト33から搬送されるのを待つ。制御部41がリミットスイッチ47からの信号により物品Wが搬出されたと判断すると、プロセスは制御ステップS6に移行する。
【0037】
ステップS6では、制御部41は、昇降駆動部43に指令を出力して、昇降機構31を駆動させる。これにより、昇降機構31は昇降台29を下方位置まで移動させる。これにより、リフト装置3は図2に示す状態に戻る。
【0038】
以上のステップを概略化すると、本発明に係る物品位置決め方法は以下のようになる。
◎プッシャ7が物品Wをフレーム17およびフリーローラ19上に押し出すステップ(ステップS1)
◎昇降台29が上昇することで手前側規制部材35と奥側ストッパ21との間に物品Wを挟むステップ(ステップS2)
◎プッシャ7が物品Wから離れるステップ(ステップS3)
◎昇降台29がさらに上昇して、物品Wを移載するためのスライドフォーク11が挿入可能な空間Sを物品Wとフリーローラ19との間に形成するステップ(ステップS4)
【0039】
(7)第1実施形態の効果
物品位置決め装置1は、上下方向に移動可能な昇降台29と、手前側規制部材35とを備えている。手前側規制部材35は、昇降台29に設けられ、物品Wの外形に対応して配置されている。
この装置では、手前側規制部材35は昇降台29によって上下動しながら物品Wを位置決めする。その結果、物品Wを位置決めするための装置が占める空間を装置の水平方向に確保する必要がない。
【0040】
昇降台29は、物品Wがスタッカクレーン2に移載される物品移載位置と、物品移載位置より下方の物品載置位置との間で物品Wを昇降可能である。
この装置では、昇降台29が物品Wを昇降させるときに、手前側規制部材35も昇降台29とともに上下する。したがって、手前側規制部材35は上下動しながら物品Wを位置決めする。その結果、物品Wを位置決めするための装置が占める空間を装置の水平方向に確保する必要がない。
【0041】
物品位置決め装置1は、物品載置位置において物品Wが載置されるローラ機構13をさらに備えている。物品Wは、物品移載位置にあるときに、ローラ機構13との間にスライドフォーク11が挿入される空間Sを確保する。
この装置では、スライドフォーク11は、物品Wが物品移載位置まで上昇させられたときに、上昇によって確保された空間Sを利用して移載動作を行う。このようにスタッカクレーン2との取り合いに用いられる物品位置決め装置1によって物品Wを位置決めするので、駆動部材を減らして低コストにできる。
【0042】
ローラ機構13は、フレーム17と、フレーム17の奥側に設けられた奥側ストッパ21とを有している。手前側規制部材35は、フレーム17の上にある物品Wを奥側ストッパ21とともに挟み込む位置にある。
この装置では、奥側ストッパ21によって簡易的に位置決めして、さらに手前側規制部材35で物品Wを正確に位置決めできる。このようにして、簡単な装置で位置決めをできるメリットがある。
【0043】
ローラ機構13は、フレーム17に設けられたフリーローラ19をさらに有している。物品位置決め装置1は、物品Wを押してフレーム17の上に移動させるプッシャ7をさらに備えている。
この装置では、プッシャ7が物品Wをフレーム17の上に押し出すと、物品Wはフリーローラ19によってスムーズに移動する。さらに、フリーローラ19を用いることで、手前側規制部材35による位置決め時に物品Wの移動が容易になる。
【0044】
2.第2実施形態
(1)物品位置決め装置
図9および図10を用いて、本発明の第2実施形態に係る物品位置決め装置101を説明する。図9は、本発明の第2実施形態における物品位置決め装置の模式平面図である。図10は、物品位置決め装置の模式側面図である。
【0045】
物品位置決め装置101は、スタッカクレーン(図示せず)に物品Wを移載するための位置決め装置である。物品位置決め装置101は、物品Wを位置決めして、スタッカクレーンに物品Wを移載させる。
【0046】
物品位置決め装置101は、主に、載置機構103と、センタリング装置105とを有している。載置機構103には、物品Wが載置される。センタリング装置105は、載置機構103に載置された物品Wをセンタリングする。
この実施形態では、Y方向において物品WとパレットPの幅は等しいが、X方向においてパレットPの幅が物品Wの幅より大きい。また、パレットPには、複数のスリット106が設けられている。
【0047】
載置機構103は、パレットPが載置される4つの載置部107を有している。載置部107は、支持部111と、ボールベアリング113とを有している。載置部107は、パレットPの外形に合わせて四隅を支持するよう配置されている。支持部111は、地面に設置され、地面から離れた上方でボールベアリング113を支持している。ボールベアリング113は、パレットPの移動をスムーズにするための部材である。載置部107は、さらにガイド115を有している。ガイド115は、支持部111の角に設けられ、パレットPの隅を側方から支持するようになっている。
【0048】
センタリング装置105は、リフト装置117と、矯正ローラ機構119とを有している。リフト装置117は、基台127と、昇降台129と、昇降機構131を有している。昇降台129は、基台127の上方に配置されている。昇降機構131は、シザース機構を有しており、基台127と昇降台129を連結すると共に、昇降台129を基台127に対して上下動させる。昇降台129は、図9から明らかなように、パレットPに比べて、X方向幅が短く、Y方向幅がわずかに長くなっている。
【0049】
矯正ローラ機構119は、昇降台129に設けられている。矯正ローラ機構119は、合計8つの矯正ローラ135を有している。一対の矯正ローラ135が物品Wの辺をガイドするように配置されている。昇降台129のY方向両端部には、X方向に平行な回転軸を有する矯正ローラ135が設けられている。昇降台129のX方向両端部には、Y方向に平行な回転軸を有する矯正ローラ135が設けられている。矯正ローラ135は、支持部材137によって、昇降台129の上面より高い位置に配置されている。
【0050】
(2)センタリング動作
初期状態では、図10に示すように、リフト装置117の昇降台129は、下方位置に配置されている。したがって、矯正ローラ135の上端は、パレットPより下方の位置にあり、パレットPとの間に空間Sを確保している。
【0051】
最初に、物品WおよびパレットPが載置機構103に載置される。そのときに、パレットPはガイド115によって概略位置決めされる。
【0052】
次に、昇降機構131は昇降台129を上方位置まで移動させる。このとき、X方向両側に配置された矯正ローラ135は、パレットPに形成されたスリット106を通って、パレットPよりさらに上方に移動する。これにより、矯正ローラ135は、パレットPよりさらに上方に移動して、物品Wの各辺下部をガイドする。その結果、物品WおよびパレットPは載置機構103に対して正確に位置決めされる。このときに、ボールベアリング113によって物品Wはスムーズに移動する。
【0053】
位置決めがなされると、昇降機構131は昇降台129を下方位置まで移動させる。これにより、リフト装置117は元の状態に戻る。
【0054】
次に、スタッカクレーンのスライドフォーク141が空間Sに差し込まれ、物品WおよびパレットPを載置機構103からすくいあげる。
【0055】
(3)第2実施形態の効果
物品位置決め装置101は、上下方向に移動可能な昇降台129と、矯正ローラ135とを備えている。矯正ローラ135は、昇降台129に設けられ、物品Wの外形に対応して配置されている。
この装置では、矯正ローラ135は昇降台129によって上下動しながら物品Wを位置決めする。その結果、物品Wを位置決めするための装置が占める空間を装置の水平方向に確保する必要がない。
【0056】
このようにして、物品Wは、センタリング装置105によって、載置機構103に対して正確に位置決めされる。特に、スタッカクレーンと直接物品を取り合う場合や、物品位置決め装置が設けられるステーション同士が隣接する場合であっても、物品Wを四方から矯正する装置を用いる必要がない。
【0057】
3.第3実施形態
(1)物品位置決め装置
図11および図12を用いて、本発明の第3実施形態に係る物品位置決め装置201を説明する。図11は、本発明の第3実施形態における物品位置決め装置の模式平面図である。図12は、物品位置決め装置の模式側面図である。
【0058】
物品位置決め装置201は、スタッカクレーン(図示せず)に物品Wを移載するための位置決め装置である。物品位置決め装置201は、物品Wを位置決めして、スタッカクレーンに物品Wを移載させる。
【0059】
物品位置決め装置201は、主に、載置機構203と、センタリング装置205とを有している。載置機構203には、物品Wが載置される。センタリング装置205は、載置機構203に載置された物品Wをセンタリングする。
この実施形態では、Y方向およびX方向の両方において物品WとパレットPの幅は等しい。
【0060】
載置機構203は、パレットPが載置される4つの載置部207を有している。載置部207は、支持部211と、ボールベアリング213とを有している。載置部207は、パレットPの外形に合わせて四隅を支持するよう配置されている。支持部211は、地面に設置され、地面から離れた上方でボールベアリング213を支持している。ボールベアリング213は、パレットPの移動をスムーズにするための部材である。載置部207は、さらにガイド215を有している。ガイド215は、支持部211の角に設けられ、パレットPの隅を側方から支持するようになっている。
【0061】
センタリング装置205は、リフト装置217と、矯正ローラ機構219とを有している。リフト装置217は、基台227と、昇降台229と、昇降機構231を有している。昇降台229は、基台227の上方に配置されている。昇降機構231は、シザース機構を有しており、基台227と昇降台229を連結すると共に、昇降台229を基台227に対して上下動させる。昇降台229は、図11から明らかなように、パレットPに比べて、X方向およびY方向幅がわずかに長くなっている。
【0062】
矯正ローラ機構219は、昇降台229に設けられている。矯正ローラ機構219は、合計8つの矯正ローラ235を有している。一対の矯正ローラ235が物品Wの辺をガイドするように配置されている。昇降台229のY方向両端部には、X方向に平行な回転軸を有する矯正ローラ235が設けられている。昇降台229のX方向両端部には、Y方向に平行な回転軸を有する矯正ローラ235が設けられている。矯正ローラ235は、支持部材237によって、昇降台229の上面より高い位置に配置されている。
【0063】
(2)センタリング動作
初期状態では、図12に示すように、リフト装置217の昇降台229は下方位置に配置されている。したがって、矯正ローラ235の上端は、パレットPより下方の位置にあり、パレットPとの間に空間Sを確保している。
【0064】
最初に、物品WおよびパレットPが載置機構203に載置される。そのときに、パレットPはガイド215によって概略位置決めされる。
【0065】
次に、昇降機構231は昇降台229を上方位置まで移動させる。このとき、矯正ローラ235は、パレットPよりさらに上方に移動して、物品Wの各辺下部をガイドする。その結果、物品WおよびパレットPは載置機構203に対して正確に位置決めされる。このときに、ボールベアリング213によって物品Wはスムーズに移動する。
【0066】
位置決めがなされると、昇降機構231は昇降台229を下方位置まで移動させる。これにより、リフト装置217は元の状態に戻る。
【0067】
次に、スタッカクレーンのスライドフォーク241が空間Sに差し込まれ、物品WおよびパレットPを載置機構203からすくいあげる。
(3)第3実施形態の効果
物品位置決め装置201は、上下方向に移動可能な昇降台229と、矯正ローラ235とを備えている。矯正ローラ235は、昇降台229に設けられ、物品Wの外形に対応して配置されている。
この装置では、矯正ローラ235は昇降台229によって上下動しながら物品Wを位置決めする。その結果、物品Wを位置決めするための装置が占める空間を装置の水平方向に確保する必要がない。
【0068】
このようにして、物品Wは、センタリング装置205によって、載置機構203に対して正確に位置決めされる。特に、スタッカクレーンと直接物品を取り合う場合や、物品位置決め装置が設けられるステーション同士が隣接する場合であっても、物品Wを四方から矯正する装置を用いる必要がない。
【0069】
4.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、物品位置決め装置および方法、特に、リフタを用いた物品位置決め装置および方法に広く適用できる。
【符号の説明】
【0071】
1 物品位置決め装置
2 スタッカクレーン
3 リフト装置
5 搬送台車
7 プッシャ(物品押し出し機構)
8 走行レール
9 走行部
10 移載部
11 スライドフォーク
13 ローラ機構(載置部)
15 リフタ
17 フレーム(載置部本体)
17a 上面
19 フリーローラ
21 奥側ストッパ
23 側方ガイド
27 基台
29 昇降台(昇降部材)
31 昇降機構
33 昇降シャフト
35 手前側規制部材(ガイド)
37 連結部材
39 プッシュ部材
41 制御部
43 昇降駆動部
45 光電センサ
47 リミットスイッチ
101 物品位置決め装置
103 載置機構
105 センタリング装置
106 スリット
107 載置部
111 支持部
113 ボールベアリング
115 ガイド
117 リフト装置
119 矯正ローラ機構
127 基台
129 昇降台(昇降部材)
131 昇降機構
135 矯正ローラ(ガイド)
137 支持部材
141 スライドフォーク
201 物品位置決め装置
203 載置機構
205 センタリング装置
207 載置部
211 支持部
213 ボールベアリング
215 ガイド
217 リフト装置
219 矯正ローラ機構
227 基台
229 昇降台(昇降部材)
231 昇降機構
235 矯正ローラ(ガイド)
237 支持部材
241 スライドフォーク
P パレット
S 空間
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を位置決めするための装置であって、
上下方向に移動可能な昇降部材と、
前記昇降部材に設けられ、前記物品の外形に対応して配置されたガイドと、
を備えた物品位置決め装置。
【請求項2】
前記昇降部材は、前記物品が移載装置に移載される物品移載位置と、前記物品移載位置より下方の物品載置位置との間で前記物品を昇降可能であり、
前記物品載置位置において前記物品が載置される載置部をさらに備えており、
前記物品は、前記物品移載位置にあるときに、前記載置部との間に前記移載装置が挿入される空間を確保している、請求項1に記載の物品位置決め装置。
【請求項3】
前記載置部は、載置部本体と、前記載置部本体の奥側に設けられたストッパとを有しており、
前記ガイドは、前記載置部本体の上にある前記物品を前記ストッパとともに挟み込む位置にある、請求項2に記載の物品位置決め装置。
【請求項4】
前記載置部は、前記載置部本体に設けられたフリーローラをさらに有しており、
前記物品を押して前記載置部本体の上に移動させる物品押し出し機構をさらに備えている、請求項3に記載の物品位置決め装置。
【請求項5】
上下方向に移動可能な昇降部材と、前記昇降部材に設けられたガイドと、前記物品が載置される載置部と、前記載置部に設けられたストッパと、前記物品を押すための物品押し出し機構とを有する物品位置決め装置の物品位置決め方法であって、
前記押し出し機構が前記物品を前記載置部上に押し出すステップと、
前記昇降部材が上昇することで前記ガイドと前記ストッパとの間に前記物品を挟むステップと、
前記押し出し機構が前記物品から離れるステップと、
前記昇降部材がさらに上昇して、前記物品を移載するための移載装置が挿入可能な空間を前記物品と前記載置部との間に形成するステップと、
を備えた物品位置決め方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−111273(P2011−111273A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−268675(P2009−268675)
【出願日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】