説明

物品処理装置及びそれに関連する方法

本発明は、概ね物品を消毒及び/又は除染するシステムに関し、種々の生物学的及び/又は化学的汚染物に曝されていた可能性のある特に郵便物の束のような物品を効率的に消毒及び/又は除染するシステムと方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、「物品処理装置及びそれに関する方法」という標題の2005年11月28日に出願された米国特許出願第11/281,921号に基づく優先権を主張し、それは「物品処理装置及びそれに関する方法」という標題の2005年2月4日に出願された米国特許出願第11/050,651号の一部継続出願であり、それは「メールボックス処理装置」という標題の2002年11月26日出願された米国特許出願第10/306,774号の一部継続出願である。また、この出願は、「メールボックス処理装置」という標題の2001年11月26年に出願された米国仮特許出願第60/333,443号に基づく優先権を主張する。両方の出願の全体が参照することでここに組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、概ね物品を消毒及び/又は除染するシステム及び方法に関し、より詳細には
種々の生物学的及び/又は化学的汚染物質に曝されたであろう郵便物のような物品を効果的に消毒及び/又は除染するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、人間や動物に有害な生物学的及び/又は化学的汚染物質に故意又は偶然に曝された物品を消毒及び/又は除染する技術の改良に対する要求が高まっている。例えば、このような物品は、研究上や工業上の自己の結果、生物学的及び/又は化学的汚染物質に不注意で汚染される場合がある。あるいは、このような物品は、犯罪やテロ行為の遂行中に、有害物質で故意に汚染される場合がある。
【0004】
詳細には、郵便で輸送される物品の消毒及び/又は除染の技術の改良に対する要求が高まっている。これは、汚染された郵便物は、郵便物の意図された受取人を害する可能性と意図された郵便物の受取人の近い者ものを潜在的に害する可能性があるだけでなく、
郵便システムを通過する際に汚染された郵便物を取り扱う郵便局職員のような他の膨大な数の個人を害する可能性があるためである。
【0005】
例えば、米国郵政公社は炭疽菌で汚染されたレターを取り扱うという問題に最近直面した。汚染された郵便物の受取人が有害な炭疽菌胞子に曝されただけでなく、多数の郵便局職員が汚染された郵便物から漏れた炭疽菌胞子に曝され、その結果病気になり、いくつかの場合には死亡した。また、汚染されたレターの受渡地点の多くの人が炭疽菌に曝された。レターから放出された炭疽菌は空気中を伝染したので、建物の冷暖房システムを介して建物全体が胞子で汚染され、その結果建物の入居者は炭疽菌関連の疾病を防ぐために強力な抗生物質での治療を受けた。さらにまた、炭疽菌で汚染されたレターは米国郵政省のいくかの郵便物取扱設備を汚染したので、郵便システムを通過する他の郵便物が二次汚染によって炭疽菌で汚染され、その結果さらに発病者と死者が出た。犠牲者に加え、建物と郵便物取扱設備が潜在的に有害な炭疽菌胞子を除去するための非常に高コストの消毒処置の対象となった。
【0006】
汚染された物品が郵便で輸送されるのを回避して防御する方法の1つは、郵便システムの入口地点で個々のすべての郵便物を検査することである。しかしながら、米国郵政公社は毎日数100万の郵便物を取り扱うと見積もられるので、このやり方は一般に機能しないとみなされる。また、米国郵政公社が抱える郵便物濫用調査の職務を担当する郵政監察官は2000人より少ない。明らかに、このように限られた人的資源で郵便システムを通過する個々の郵便物を調査することは、事実上克服できない仕事である。
【0007】
郵便物を消毒及び/又は除染する他の方法は、電子ビーム技術を使用して郵便物に照射を行うことである。例えば、電子銃により生成される高エネルギ電子で多量の郵便物を照射することができる。このような技術は、食品に含まれる最近を殺すために採用されており、同様の技術が郵便物上又は郵便物内の炭疽菌のような細菌を殺すために採用されている。
【0008】
しかしながら、この方法もこのような照射設備は伝統的にコストがかかるという点に欠点がある。さらに、郵便物のような物品は1つ又はそれを上回る生物学的及び/又は化学的物質に汚染されているので、このような照射設備の有効性は限定される。例えば、電子ビーム技術を採用した照射設備が炭疽菌に胞子を殺すのに有効であっても、HIVやEコイル(E-Coil)のような他の生物学的汚染物質や、例えば天然痘、インフルエンザ、ペスト、及びボツリヌス中毒を引き起こす物質の破壊は不可能な場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、郵便物のような物品の消毒及び/除染のシステムと方法が望まれる。このようなシステムは、種々の生物学的及び/又は化学的汚染物質に曝される物品の消毒及び/除染に有効であろう。また、小型で、使用が簡単で、比較的低コストである消毒及び/又は除染のシステムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、種々の生物学的及び/又は化学的汚染物にさらされた郵便物の束のような物品を消毒及び/又は除染できる、システム及び方法が開示されているここで開示されているシステムは、郵便システムの入口地点及び/又は郵便物配達地点で郵便物を効果的に消毒及び/又は除染するために、放射線ビーム技術、電磁界技術、紫外線放射技術、化学的除染技術、及びこれらの技術の好適な組み合わせのような、種々の技術を採用している。
【0011】
ある実施形態では、郵便物の束のような物品を消毒及び/又は除染するためのシステムは、囲い、少なくとも1つの入力ポート、及び少なくとも1つの出力ボートを有する囲いと、回転ドラムと、少なくとも1つの放射線ビーム源及び照射装置と、少なくとも1つの電磁界源及び照射装置と、少なくとも1つの紫外線放射源及び照射装置と、少なくとも1つの化学除染ユニットと、状態表示器とを含むメールボックス処理装置を備える。
【0012】
ここで開示されている実施形態では、囲いのドアが開放され、適切な寸法のレター及び小包を含むある量の郵便物が囲いの内側の回転ドラムに配置され、ドアが閉鎖される。次に、表示器が消毒/除染プロセスが開始されたことを示す警告ライトを予め定められた遅延時間の間点灯する。この予め定められた時間の終わりに、放射線ビーム、電磁界、紫外線照射、及び化学除染物が、予め定められた組み合わせ及び順序で、回転ドラム中のある量の郵便物に予め定められた時間供給される。また、郵便物の回転ドラムは予め定められた速度及び向きで回転して、個々の郵便物が完全にビーム、電磁界、放射、及び化学除染物に確実に曝され、それによって本質的にすべての生物学的、ウイルス、細菌、胞子、汚染物質を破壊し、郵便物の束に上の又はその中に含まれる物質を攻撃する。メールボックス処理装置の入力及び出力ポートは、漏洩を最小化して人間及び動物に有害な汚染物質が囲い内に収容されて不活性化されるようにしている。
【0013】
安定した囲い内の郵便物の束を消毒及び/又は除染するために、放射線ビーム、電磁界、紫外線放射、及び化学除染技術のような技術を採用したメールボックス処理装置を設けることで、装置近傍の個人に対する健康上のリスクを最小化しつつ、郵便物上又はその中の種々の生物学的及び/又は化学的汚染物を含む有害物質を不活性化できる。
【0014】
本発明の実施形態は、物品処理装置を含む。物品処理装置は、囲いを画定するハウジングと、前記囲い内に配置されてキャビティを画定する回転可能なドラムと、前記キャビティと連通する少なくとも1つの開口と、前記少なくとも1つの開口を覆うように構成された少なくとも1つのドアと、前記キャビティ内の空気の温度を上昇させるように構成された加熱装置と、前記キャビティにマイクロ波エネルギを供給するように構成されたマイクロ波装置と前記キャビティに紫外線光を放出するように構成された複数の紫外線光放出装置と、前記キャビティに化学薬品を供給するように構成された化学アプリケータとを備える。
【0015】
本発明の種々の実施形態では以下の態様のうちの1つ以上を備えてもよい。ハウジングはアモルファスケイ酸マグネシウム繊維の層と、ドラムを回転させるように構成された少なくとも1つのベルトとを備えてもよい。少なくもと1つの開口は少なくも2つの開口を含んでもよい。少なくも2つの開口のうちの第1のものがキャビティ内への物品の配置を許容するように構成シ、少なくもと2つの開口のうちの第2のものがキャビティからの物品の取り出しを許容するように構成してもよい。加熱装置はキャビティ内の空気の温度を少なくとも120°Cに上昇させるように構成してもよい。加熱装置はキャビティ内の空気の温度を少なくも130°Cに上昇させるように構成してもよい。複数の紫外線光放射装置は、それぞれ断続的割合で紫外線を放射するように構成した少なくとも2個のパルス状の紫外線ライトと、実質的な一定割合で紫外線を放射する少なくとも1個の紫外線ライトとを含んでもよい。複数の紫外線光放射装置は、約190ナノメートルから2000ナノメートルの波長を有する紫外線光を放出するように構成してもよい。化学アプリケータはキャビティ内に化学薬品の霧を形成するように構成してもよい。化学アプリケータは。10マイクロインチ程度の直径を有する化学薬品の霧状の液滴を形成するように構成してもよい。化学アプリケータはキャビティ内に化学薬品を噴出するように構成してもよい。ハウジングの少なくとも1つのドアをラッチするように構成された複数のラッチを備えてもよい。物品処理装置は複数のラッチがハウジングの少なくとも1つのドアを確実にラッチするまで、熱処理装置、マイクロ波装置、及び複数の紫外線光放射装置のいずれにも電力が供給されないように構成してもよい。複数のラッチのうちの第1のものは機械的ラッチで、複数のラッチのうちの第2のものが磁気ラッチであってもよい。物品処理装置は約9フィート立方を下回る体積であってもよい。物品処理装置は、約50Hz及び60Hzで、約110Vから約120Vで、最大約20アンペアで動作する電力源により駆動されてもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態は乗り物を含む。乗り物は、ここで説明する物品処理装置とこの物品処理装置に電力供給するように構成された電源を含む。
【0017】
本発明の別の実施形態は、第1の部屋と第2の部屋との間に配置されて壁を含む。この壁は、ここで説明する物品処理装置と、第1の部屋と物品処理装置のキャビティの両方に流体的に連通する物品処理装置の第1の開口と、第2の部屋と物品処理装置のキャビティの両方に流体的に連通する物品処理装置の第2開口とを備える。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態は、少なくとも1つの開口を画定するハウジングと、前記少なくとも1つの開口に流体的に連通する囲いと、前記少なくとも1つの開口を覆うように構成された少なくとも1つのドアと、キャビティを画定する前記囲い内の回転可能なドラムとを有する装置内の物品を除染する方法を含む。この方法は、少なくとも1つの開口を介してキャビティ内に物品を配置し、少なくとも1つのドアがハウジングに対してラッチされていることを確認し、ドラムを回転させ、キャビティ内の空気を加熱し、キャビティにマイクロ波エネルギを供給し、複数の紫外線光放射装置からキャビティに紫外線光を供給し、キャビティに化学薬品を配置し、少なくも1つのドアを開放し、少なくとも1つの開口を介してキャビティから物品を取り出すことを含む。
【0019】
本発明の種々の実施形態は以下の態様の1つ以上を備えてもよい。少なくとも1のドアをハウジングに対して機械的にラッチしてもよい。少なくとも1つのドアをハウジングに対して磁気的にラッチしてもよい。ドラムを最高で毎分約20回転の速度で回転させてもよい。ドラムを最高で毎分約30回転の速度で回転させてもよい。キャビティ内の空気を少なくとも120°Cの温度まで加熱してもよい。キャビティ内の空気を少なくとも130°Cの温度まで加熱してもよい。出力が約500ワットから約1000ワットで周波数約2.4GHzマイクロ波エネルギをキャビティに供給してもよい。複数の紫外線光放射装置のうちの第1のものからキャビティに紫外線光をパルス状に照射してもよい。複数の紫外線光照射装置のうちの第2のものからキャビティに実質的に一定の割合で紫外線光を照射してもよい。約190ナノメートルから約2000ナノメートルの波長を有する紫外線光をキャビティに照射してもよい。キャビティ内に化学薬品の霧を形成してもよい。10マイクロインチ程度の直径を有する化学薬品の霧状の液滴をキャビティ内で形成してもよい。化学アプリケータはキャビティ内に化学薬品を噴出するように構成してもよい。少なくとも1つの開口は、第1の開口と第2の開口を含んでいてもよい。物品は第1の開口を介してキャビティ内に配置して第2の開口を介してキャビティから取り出してもよい。少なくとも1つの開口と画定するハウジングと、少なくとも1つのドアと、ドラムと、約50Hzから60Hzで、約110Vから約120Vで最大で約20アンペアで動作するように構成された電源とを含む乗り物を設けてもよい。
【0020】
本発明のさらに別の実施形態は物品処理装置を含む。物品処理装置は、囲いを画定するハウジングと、前記囲い内に配置されてキャビティを画定する回転可能なドラムと、前記キャビティ内に配置された物品を保持するように構成されたホルダと、前記キャビティと連通する少なくとも1つの開口と、前記少なくとも1つの開口を覆って実質的に流体の流れを阻止するように構成された少なくとも1つのドアと、前記キャビティ内の温度を上昇させるように構成された加熱装置と、前記キャビティ内にマイクロ波エネルギを供給するように構成されたマイクロ波装置と、前記キャビティに紫外線光を放出するように構成された複数の紫外線光放出装置と、前記キャビティに化学薬品を配置するように構成された化学アプリケータとを備える。
【0021】
本発明の種々の実施形態は以下の態様の1つ以上を備えてもよい。ホルダは回転可能なドラムに固定状態で連結されてもよい。ホルダは互いに相対移動するように構成された複数の部分を含んでもよい。ホルダは回転可能なドラムから取り外し可能であってもよい。ホルダはラッチを備えてもよい。ホルダはキャビティの中央部に配置されてもよい。ホルダは回転可能なドラムの長手方向軸と実質的に平行な平面上に配置してもよい。ホルダは穿孔を含んでもよい。ホルダの少なくとも一部が熱、空気、マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び化学薬品の通過を許容する材料から構成されてもよい。
【0022】
本発明のさらの別の実施形態は、少なくとも1つの開口を画定するハウジングと、前記少なくとも1つの開口に流体的に連通する囲いと、前記少なくとも1つの開口を覆うように構成された少なくとも1つのドアと、キャビティを画定する前記囲い内の回転可能なドラムとを有する装置内の、20%を上回る重量の水分を含有する物品を除染する方法を含む。この方法は、消毒薬を含む水性の溶液内に前記物品を配置し、前記少なくとも1つの開口を介して前記キャビティ内に前記物品を配置し、前記少なくとも1つのドアが閉鎖されていることを確認し、前記ドラムを回転させ、前記キャビティ内の空気を加熱し、前記キャビティにマイクロ波エネルギを供給し、複数の紫外線光放出装置から前記キャビティに紫外線光を供給し、前記キャビティ内に化学薬品を配置し、前記少なくとも1つのドアを開放し、前記少なくとも1つの開口を介して前記キャビティから前記物品を取り出し、前記物品の電子コピーを作成することを含む。
【0023】
本発明の種々の実施形態は以下の態様の1つ以上を備えてもよい。物品をホルダに配置してもよい。ホルダをドラムに配置してもよい。ドラムに対して固定的に配置されるようにホルダをドラムに連結してもよい。ホルダの第1の部分をホルダの第2の部分から分離し、第1の部分と第2の部分との間に物品を配置してもよい。第1の部分が第2の部分に対して固定的に配置されるように、第1の部分と第2の部分を連結してもよい。最大約1ボンドの物品をホルダに配置し、ホルダをドラムに配置してもよい。キャビティ内に物品を約50分間配置してもよい。キャビティ内の空気を約160°Cに加熱してもよい。
【0024】
本発明の他の目的及び利点は、以下の説明である程度説明され、この説明からある程度明らかであり、あるいは本発明の実施により分かる。本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲で特に指摘された要素及び組み合わせにより実現及び達成される。
【0025】
前述の概要の説明と以下の詳細な説明は例示及び説明のみのためのものであり、クレームされた発明を限定するものではない。
【0026】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付図面は、本発明の幾つかの実施形態を説明と共に図示し、本発明の原理を説明する機能を果たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施形態を詳細に参照し、実施形態の例は添付図面に図示されている。可能である限り、同一又は同様の部品を参照する際に図面間で同一の参照番号を使用する。
【0028】
郵便物の束のような物品を消毒及び/又は除菌するシステム及び方法が提供され、郵便システムの入口地点、郵便物配達地点、及び/又は他のいかなる適した場所にも配置できる。物品を消毒及び/又は除染するこのシステムは、放射線ビーム技術、電磁界記述、紫外線照射技術、化学的除染技術、及びそれらの好適な組み合わせを採用して郵便物を消毒/除染するが、目的の郵便物受取人と装置の近傍の個人に対する健康上のリスクを最小化するメールボックス処理装置を備える。
【0029】
図1は本発明の係る郵便物を消毒及び/又は除染するためのシステムの具体的な実施形態を示す。この具体的な実施形態では、システム100はドア103(図示を明瞭にするために破線で示す。)付きの囲い102を有するメールボックス処理装置101、消毒プロセスの進行/完了状態の表示器119、入力部120、及び出力部112を備える。メールボックス処理装置101は、放射線ビーム源及び照射装置104、電磁界源及び照射装置106、紫外線(UV)照射源及び照射装置108、並びに化学消毒ユニット116をさらに含む。しかしながら、代替の実施形態では、メールボックス処理装置101は、X線、ガンマ線、広帯域光線、及び酸化技術のような他の好適な消毒/除染のイオン技術を採用してもよい。
【0030】
ここで開示している実施形態では、メールボックス処理装置101は放射線ビーム技術、電磁界技術、UV放射技術、化学的消毒技術、及び/又はこれらの技術の好適な組み合わせを採用し、郵便物の束を効果的に消毒及び/又は除染する。そのために、潜在的な汚染されたある量の郵便物が囲い102内の回転ドラム110に配置されて閉じ込められ、囲いのドア103が閉じられ、回転ドラム110内の郵便物は前述の技術のうちの1つ以上を使用する少なくも1回の消毒/除染サイクルを経る。
【0031】
消毒/汚染サイクル中の電磁界及び/又はUV照射の漏れを防止するために、ドア103を含む囲い102は適切にシールされてガスケットが施されている。また、囲い102は潜在的に有害な生物学的及び/又は化学的物質が消毒プロセスによって破壊されるか不活性化されるまでに漏れるのを防止するように構成されている。図1に示すように、囲いのドア103は人間であるオペレータが回転ドラム110内の郵便物を観察できる透明部105を有する。
【0032】
図示の実施形態では、郵便物の回転ドラム110は、放射線ビーム照射装置104による放射線ビームの照射、電磁界照射装置106による電磁界の照射、UV照射装置108によるUV照射、及び化学消毒ユニット116による化学消毒が、回転ドラム110に郵便物が配置されると直ちに適用可能となるように構成されている。例えば、郵便物の回転ドラム110は、適切な寸法の孔(図示せず)を備えるメッシュ構造であってもよい。回転ドラム110に配置される郵便物の束は、回転ドラム110内に配置して保持されるのに適した寸法の手紙、小包等を含む。
【0033】
この好適な実施形態では、郵便物の回転ドラム110は少なくとも30ポンドの郵便物を個々の消毒/除染サイクル中に取り扱うことができる。また、回転ドラム110は、矢印113で示すように、ハブ111回りに回転振動するように構成されている。郵便物の回転ドラム110の回転の速度及び向きは、郵便物のすべての部分が照射される放射線、電磁界、及び/又は化学的除染に曝されることが保証されるように、例えば予めプログラミングすることで予め設定できる。例えば、速度は単一の速度に設定してもよいし、予めプログラムされ多数の変化する速度に設定してもよい。同様に、回転の向きは単一の回転方向に設定してもよいし、予めプログラムされた多数の回数方向が変化されるように予めプログラムしてもよい。また、郵便物の回転ドラム110の全表面と、ドア103を含む囲い102の全内側表面は、除染プロセス中に郵便物に加えられる光線消毒エネルギを増幅するために高反射性を有することが好ましい。
【0034】
前述のように、囲い102は、潜在的な有害な生物学的及び/又は化学的物質(例えば、細菌、細菌胞子、生体粒子、及びウイルスを運ぶ媒介物が逃げるのを防止するように構成されている。そのために、囲い102内の空気圧は大気圧を下回るように設定されている。詳細には、入力ポート120は周囲の空気が通過して1個以上のオリフィス(図示せず)を介して囲い102内に入るように構成されている。周囲の空気が囲い102内に入る前のフィルタ118を採用してもよい。出力ポート112は、例えば空気ブロワ(図示せず)を使用して、入力ポート120からの周囲の空気を、引き抜いて囲い102内を介して囲い102の外側に戻すように構成されている。その結果、システムに望ましくない空気の漏れがあった場合でも、空気は単に囲い102内に引き込まれ、その後に出力ポート112を介して駆逐される。
【0035】
図1に示すように、囲い102内の空気が出力ポート112を介して再度周囲環境に入る前に、空気はまずフィルタ114を通過し、本実施形態では、このフィルタ114は約1pm(及び/又は約1ミクロンから0.3ミクロン)の小ささの粒子を空気から除去可能である高効率粒子空気(High Efficiency Particle Air:HEPA)フィルタである。HEPAフィルタ114の前方に紙粉ガード(図示せず)を配置して郵便物から放出されるであろうすべての紙片を阻止し、それによって紙粉がHEPAフィルタ114を塞ぐのを防止してもよい。次に、空気は第2のフィルタ115を通過し、この第2のフィルタ115は好ましくは、出力ポート112を介して排出される前に空気から脱着した化学薬品を抽出することができる化学フィルタである。
【0036】
本実施形態では、HEPAフィルタ114と化学フィルタ115は囲い102内に配置され、両方のフィルタ114,115が放射線ビーム照射装置104、電磁界照射装置106、UV照射装置108、及び化学除染ユニット116によってそれぞれ適用される、放射線ビーム、電磁界、UV照射、及び化学的除染に曝される。この態様では、HEPAフィルタ114と化学フィルタ115は、除染プロセス中に、郵便物と共に消毒/除染される。
【0037】
図2は郵便物の消毒及び/又は除染のためのシステム100(図1参照)のブロック図を示す。図2に示すように、システム200はメールボックス処理装置101、入力ポート120、出力ポート112、及び化学除染ユニット116を備える。また、システム200は、電源ユニット202、プログラミングユニット203、熱風対流ユニット204、加湿/化学除染増進ユニット206、及び分析ユニット208を備える。
【0038】
この好適な実施形態では、出力ポート112は囲い102(図1参照)内の空気が通過して周囲の環境に排出される石英管(番号は付さない)を含む。分析ユニット208(図2参照)は、放出される空気を分析して除染プロセス中に意図せずにメールボックス処理装置101から逃げることがあるあらゆる有害な生物学的及び/又は化学的物質を検出するために、石英管に対して動作可能に接続されていることが好ましい。例えば、石英管は内部に分子を保持するために電磁界で囲まれ、その後の分析ユニット208による放出される空気の分析を支援してもよい。また、分析ユニット208は、検出された生物学的物質の種類と起源の決定を支援するために、特定の分子量のDNA/RNA信号から背景ノイズを除去するための1個以上のアルゴリズムを採用してもよい。
【0039】
熱風対流ユニット204はオプションでメールボックス処理装置101中に引き込まれる周囲の空気を予加熱するために入力ポート120に関連して採用される。代案の実施形態では、熱風対流ユニット204は、放射線ビーム、電磁界、及び/又はUV照射の照射装置104,106,108(図1参照)に関して採用される赤外線照射消毒能力も提供するように構成される。例えば、電磁界源及び照射装置106は、回転ドラム110内の潜在的に汚染された郵便物にマイクロ波エネルギを与えるように構成される。郵便物はステープルやペーパークリップのような金属物を含む可能性があるので、それぞれ電磁界照射装置106と熱風対流ユニット104とによるマイクロ波エネルギと赤外線エネルギが交互に郵便物に与えられ、一般的な除染プロセス継続時間である1〜30秒の間にマイクロ波エネルギが連続的に照射場合に起こりうる発火の可能性が低減される。また、周期的にマイクロ波エネルギの供給を停止するこことで、メールボックス処理装置101の動力要求を低減できる。
【0040】
加湿/化学除染増進ユニット206は、メールボックス処理装置101内の化学的/湿度上の環境に基づく消毒を最適化するために化学除染ユニット116(図1)に関連して使用され、それによって消毒/除染プロセスの化学的除染の効果が向上する。加湿/化学除染増進ユニット206は、好適な化学薬品、ガス、及び/又は水分を囲い102(図1参照)内に注入し、囲い102内の内容物の過熱や、メールボックス処理装置101内での発火の可能性を低減するように使用してもよい。例えば、加湿/化学除染増進ユニット206は、囲い102から酸素を除去するために化学有効成分(chemical operative)を注入してもよい。
【0041】
図3は電源ユニット202(図2参照)の模式的な実施形態302を示す。図示の実施形態では、電源ユニット302は電力線電力への結合器303、ヒューズ304、電力スイッチ306、変圧器308、熱保護器310、及びタイマスイッチ312を備える。例えば、電力線電力の使用は、25Aで120Vである。前述のように、加湿/化学除染増進ユニット206は、好適な化学薬品、ガス、及び/又は水分を囲い102(図1参照)内に注入し、囲い102内の内容物の過熱を防止するために使用してもよい。熱保護器310は囲い102内の温度が予め定められたレベルを超えると電力をメールボックス処理装置101から遮断するように構成されている。例えば、熱保護器310は1個以上の抵抗温度検出器(Resistance Thermal Detectors:RTD)を備えるものでもよい。この好適な実施形態では、熱保護器310はメールボックス処理装置101に対して状態情報を伝達するように構成される。さらに、タイマスイッチ312は電力接続V+,V−を介してメールボックス処理装置101に電力を供給するように構成されている。例えば、プログラミングユニット203によってタイマスイッチ312に予め定められた遅延時間を予めプログラミングしてもよい。また、タイマスイッチ312は状態情報をメールボックス処理装置101に伝達するように構成される。
【0042】
前述のように、郵便物の回転ドラム110の回転の速度及び向きは予めプログラムされてもよく、タイマスイッチ312による遅延時間も予めプログラムしてもよい。そのためには、プログラミングユニット203が、人間であるオペレータがこれら所望の設定をプログラム可能とするために、好適なユーザインタフェース、プロセッサ、及びメモリを備える。また、プログラミングユニット203は、郵便物上又は郵便物内の生物学的及び/又は化学薬品を殺し/破壊するための最も効果的な強度、組み合わせ、及び/又は順序で放射線ビーム、電磁界、UV放射、及び化学除染が郵便物に適用されることを保証する適切な消毒/除染アプリケーションを実行するために使用されてもよい。例えば、適切な除染プロセスは、化学除染ユニット116を選択的に駆動/非駆動として囲い102内にオゾンを注入した後、UV照射装置108を駆動/非駆動して有害な細菌を殺すために郵便物上にUV照射を行う。放射線ビーム照射装置104と電磁界照射装置106も、プログラミングユニット203によって駆動及び制御されてもよい。
【0043】
メールボックス処理装置101(図1参照)の放射線源及び照射装置104は、メールボックス処理装置101内に配置された郵便物中の有害な生物学的汚染物を殺すのに十分な強度の電子線や他の好適な放射線ビームを供給するように構成されてもよい。また、電磁界源及び照射装置106は、マイクロ波、高周波(RF波)、又は他の好適な電磁界を供給するように構成でき、UV照射源及び照射装置108はUV−C帯又は他の好適な種類UV照射を提供して生物学的汚染物を殺すように構成できる。さらに、化学除染ユニット116は、化学的汚染物の郵便物に蓋をして好適な化学的除染を適用するように構成してもよい。例えば、化学除染ユニット116は、化学的除染の適用を容易にするために1個以上の化学バッグ(chemical bag)を採用してもよい。メールボックス処理装置101は、郵便物の束又は他の好適な物品の消毒/除染に適用できる。
【0044】
本実施形態のメールボックス処理装置101(図1参照)を動作せる方法を、図4を参照して説明する。ステップ402に示すように、ドアが開放され、ある量の郵便物が回転ドラム内に配置され、ドアが閉鎖される。次に、ステップ404に状態表示器の「進行中」のライトが点灯され、メールボックス処理装置付近の者に対して、該当する場合には予めプログラムされた遅延時間後に、郵便物除染プロセスが進行中となることを警告する。次に、ステップ406に示すように、放射線ビーム照射装置、電磁界照射装置、UV照射装置、及び化学除染ユニットによって、郵便物に照射がなされ除染される。郵便物から生物学的及び化学的汚染物を除去するために最も後記か的な、強度、組み合わせ、及び/又は順序で放射及び化学除染を適用するように、メールボックス処理装置が予めプログラムされている。除染サイクルの最後に、ステップ408で示すように、状態表示器の「完了」ライトが点灯し、郵便物除染プロセスが完了したことが報知される。次に、ステップ410で示すように、メールボックス処理装置のドアが開放され、除染済みの郵便物が取り出される。
【0045】
図5A〜5Eは、本発明の他の実施形態に係る物品(例えば郵便物)を消毒及び/又は除染するためのシステムの模式的な実施形態を示す。図5A〜5Eのシステム500は、例えば図1の模式的な実施形態に関する1個以上の特徴のような、ここで説明される1個以上の他の特徴を有していてもよい。しかしながら、システム500は、例えば図1の模式的な実施形態に関する1個以上の特徴のようなここで説明される特徴とは異なる、1個以上の特徴を含む。
【0046】
システム500は、共に囲い504を画定する、ハウジング506(例えばフレームを含む)、第1のドア502、及び第2のドア503を備える。ハウジング506、第1のドア502、及び第2のドア503はそれぞれ、ステンレス鋼、アルミニウム、絶縁材料、及び/又は放射線の透過及び/又は汚染物の通過を遮断する他の材料からなる。好適な材料の一例としては、アモルファスマグネシウムシリコン繊維(Amorphous Magnesium Silicate Fiber:AMSS)がある。このようにAMSSの一例としては、サーモダイン社(THERMODYNE CORPORATION)で製造されているダイナガード・マイクロポーラス・インシュレーション(DYNAGURAD FLEXIBLE MICRO-POROUS INSULATION)という商品名のものが販売されている。物品処理装置501は、長さが約30インチ、奥行きが約20.9インチ、高さが約31.38インチである。
【0047】
囲い504を画定する第1のドア502は、第2のドア503、及び/又はハウジング506は、AMSSの層を有する。これに加え又はこれに代えて、ドラム513を含む副次囲い504aを画定するハウジング506の部分506aが、AMSSの層を有してもよい。従って、副次囲い504aを画定するハウジング506のこの部分、第2のドア502、及び/又は第2のドア503がAMSSの層を含んでもよい。AMSSの層は、
ユーザが放射から悪影響を受けることなく安全に物品処理装置501の直ぐ隣に立つのに十分な量の放射の通過の遮断する上で、ちょうど十分な厚さを有する。例えば、AMSSの層は約0.5インチから0.25インチの間の厚さであってもよい。第1のドア502、第2のドア503、及び/又はハウジング506でAMSSの層の厚さが異なってもよい。例えばAMSSは比較的高価であるので、システム500全体のコストを最小化するために使用されるAMSSの量を最小化してもよい。
【0048】
例えば除染プロセス中に物品に適用される放射の偏向及び/又は増幅のために、囲い504を画定するドア502,503の表面が高い反射性を有してもよい。加えて又はそれに代えて、ドア502,503は例えば約1インチ囲い504aに延びるように構成された突出部502a,503aを備えていてもよい。突出部502a,503aは、突出部502a,503aを取り囲む1インチ幅の表面とハウジング506との間に隙間を形成してもよい。この隙間は、例えば波を消散させることで、マイクロ波や他の波長(例えば無線周波数放出及び/又は電磁放出)が囲い504,504aから出るのを防止する。例えば、隙間は約2.4GHの周波数を有するマイクロ波放射を消散させるように構成される。突出部502a,503aは囲い504a及び/又はキャビティ514内の空気流に悪影響を与えることなく波を消散させるように構成される。
【0049】
ハウジング506,506a、第1のドア502、及び第2のドア503は、少なくとも潜在的に有害な生物学的及び/又は化学的な物質が除染プロセスによって破壊される非活性化されるまでに、そのような物質が囲い504,504aから逃げるのを防止するために協働してもよい。例えば、第1のドア502及び第2のドア503のうちの1個以上が、個々のドア502,503とハウジング506,506aの間の接触面をライニングするゴム製のガスケット507を有していてもよい。従って、ガスケット507は潜在的に有害な生物学的及び/又は化学的な物質が通過するのを実質的に防止する。ガスケット507は、例えば埋め込まれたアルミニウムのような金属部品を有することにより、波(例えばマイクロ波、無線周波数波、及び/又は電磁波)の通過を妨害及び/又は防止するように構成してもよい。
【0050】
ハウジング506,506a、第1のドア502、及び第2のドア503が気密の囲い504,504aを画定するが、例えば有害な生物学的及び/又は化学的な物質が囲い504,504aから逃げるのを防止することを補助するシステム500の他の部分があるので、このような気密性は必ずしも必要でない場合もある。いくつかの実施形態では、ハウジング506a、第1のドア502、及び第2のドア503は実質的な気密な囲い504aを画定するが、ハウジング506、第1のドア502、及び第2のドア503は気密でない囲い504を画定してもよい。
【0051】
第1のドア502と第2のドア503のうちの一方は「クリーンな」ドアとして構成されるが(例えば除染された物質が取り出されるように構成される)、第1のドア502と第3のドア503のうちの他方は「ダーティーな」ドアとして構成してもよい(例えば汚染された物質を受け取るように構成される)。例えば、物品又は他の物品が専ら第1のドア502で覆われるように構成された開口を介して囲い504内に配置され、専ら第2のドア503で覆われるように構成された開口を介し囲い504から取り出される。これの構成は、例えば、囲い504内に配置されている物品又は他の物品が(不可能ではない場合に)、囲い504から取り出している物品又は他の物品を汚染することをより困難にしている。
【0052】
第1のドア502と第2のドア503の一方は、人間であるオペレータによる囲い504内の物品の観察を許容する透明部を含んでもよい。この透明部は、プレクシガラス、樹脂、セラミック、又はユーザが物品処理装置501内の物品を観察することを許容するが、囲い504内に存在する放射、汚染、及び/又は他の潜在的に有害な事項からは依然としてユーザを保護する他の材料からなる。
【0053】
第1のドア502と第2のドア503は、いかなる好適な手段でハウジング506に連結されていてもよい。例えば、第1のドア502と第2のドア503のうちの一方がヒンジによってハウジング506に結合されていてもよい。第1のドア502と第2のドア503はそれぞれラッチ510により閉鎖される。ラッチ510はいかなる後退なラッチ(機械的及び/又は磁気ラッチ)であってもよい。他のラッチ及びラッチ構造も考えられる。ハウジング506、第1のドア502、及び第2のドア503のうちの1個以上が、第1のドア502及び/又は第2のドア503が適切にハウジング506に対してラッチされてハウジング506の開口が個々のドア502,503で閉鎖されているかを判断する
センサ511(例えば、機械式及び/又は磁気式)を備えてもよい。この構成は、例えば、有害な量の放射線及び/又は汚染物が個々のドア502,503で画定される開口を通って囲い504,504aから出ない点で好ましい。
【0054】
ラッチ510は突出部510aと開口510bを含み、一方の突出部510aと開口510bはドア502,503に配置され、他方の突出部510aと開口510bはハウジング506に配置されている。突出部510aは開口510b内に収まるように構成されている。突出部510aは例えばソレノイド510eにより開口510bに固定され、ソレノイド510eにより開口510b内に突出部510aが固定されるとドア502,503は開放不可となる。ソレノイド510eは物品処理装置501からの電力が遮断されても開口510b内に突出部510aを保持するように構成してもよい。センサ511は突出部510aが開口510b内に配置されているかを検出し(例えば、ソレノイド510eの位置を検出する)、それによってドア502,503が適切に閉じられているか否かを示す。ラッチ510はそれに加えて又はそれに代えて一対の磁石510c,510eを備えてもよい。磁石510c,510dのうちの一方をハウジング506に配置し、磁石510c,510dのうちの他方をドア502,503に配置する。一方の磁石510cの適切な極性の端部が他方の磁石510dの適切な極性の端部が配置されない限りドア502,503が適切に閉鎖されたことをセンサ511が示すことがないように、磁石510c,510dのうちの1個以上に極性を持たせてもよい。
【0055】
他の例では、磁石510dは実際のところセンサ511aであってもよい。センサ511aは磁石自体であっても、そうでなくてもよい。このような場合、物品処理装置501はセンサ511aが磁石510cの局の正確な位置を検出するような感度を有するように構成される。従って、磁石510cの個々の適切な極がセンサ511aの適切な位置に配置されない限り、センサ511aはドア502,503が開放の表示を供給せず、及び/又はドア502,503が閉鎖されたことの表示をプロセッサ512へ供給しない。つまり、ドア502,503が閉鎖されているようであるにもかかわらず、磁石510cの極の少なくとも一方とセンサ511aの適切な位置との間に位置ずれが生じていれば、物品処理装置501の部分への電極の供給は防止される。
【0056】
センサ511は1個以上のドア502,503が閉鎖されているかに関するセンサ511からの情報を受信するプロセッサ512に動作可能に接続されている。プロセッサ512はその情報を取得して、物品処理装置501に配置された表示パネル513に表示し、及び/又は除染プロセスの進行を阻止する。例えば、プロセッサ512は囲い504,504a内に配置された物品(例えば物品)への放射線及び/又は化学薬品の導入を阻止する。他の実施形態では、システム500が作動中であっても、プロセッサ512は、例えばラッチ510をロック配置で維持することにより、外部操作にかかわらず、ドア502,503の開放を阻止する。電力が意図的に又は意図しないで物品処理装置501の各部から遮断された場合には、物品処理装置501への電力が復帰するまで、プロセッサ512とラッチ510はドア502,503の開放を阻止する。従って、センサ511がプロセッサ512に対して1個以上のドア502,503が適切に閉鎖及び/又はロックされていないことを示せば、プロセッサ512は物品処理装置501の1個以上の部分へ電力が流れるのを阻止する。プロセッサ512は物品処理装置501が最小量のソフトウエアで作動するように構成され、例えば、ソフトウエアの作動を単純化してバグが物品処理装置501を安全でない態様で作動させるのを防止する。プロセッサ512は、1回の物品処理サイクルを実行するのに十分な化学薬品が化学リザーバ562内にあるかを検出するように構成される。化学リザーバ562内に十分な化学薬品がない場合には、プロセッサ512は物品処理装置501の動作を阻止する。
【0057】
物品の回転ドラム513は囲い504,504a内に配置される。物品の回転ドラム513は実質的な円筒状の形態で、物品(例えば、レター及び/又は小包を含む物品)を回転ドラム513の中央のキャビティ514に配置するように、構成され及び/又は寸法設定されている。例えば、回転ドラム513は少なくも30ポンドの物品を取り扱うように構成される。しかしながら、いくつかの実施形態では、ドラム513は1サイクルでわずかに約8〜12間ポンド(約3.6〜5.4kg)の物品、場合によって1サイクルで約3ポンドから約5ポンドの物品を取り扱う。物品処理装置501とドラム513は最大寸法が約16インチ掛ける11.5掛ける3.5インチ(つまり約416ミリメートル掛ける292ミリメートル掛ける89ミリメートル)の物品を取り扱うように構成される。しかしながら、いくつかの実施形態では、物品処理装置501は、例えば2枚のレターシートが標準の紙製封筒に入った速達便(first class mail)を取り扱うように構成される。ドラム513は、直径が約15〜16インチ、長さが約18インチ、体積が約2.5インチ立方である。
【0058】
ドラム513は、ドラム513のキャビティ514に物品が配置されると直ちに放射線及び/又は化学薬品が作用するように構成してもよい。例えば、ドラム513は、化学薬品がキャビティ514内に入り物品を効果的に覆うように(すなわち、十分に物品を覆って物品を実質的に消毒及び/又は除染するのに十分な放射線が物品を貫通するように)、寸法設定された穿孔513pを有する実質的にメッシュ状の構造としてもよい。いくつかの穿孔513pは実質的に同一寸法であってもよいが、他の穿孔513pが異なる寸法を有してもよい。穿孔513pは、ドラム513の外側からの放射線(例えば熱)及び/又は化学薬品がキャビティ514に進入するように構成され、それに加え又は代案としては、キャビティ514から出る放射線及び/又は化学薬品の運動を妨げるように構成される。他の例では、ドラム513は、放射線及び/又は化学薬品がドラム513のキャビティ514配置された物品に作用するような材料で構成される。ドラム513の1個以上の表面が高反射性材料(例えば、研磨した金属)を含む(例えば高反射性材料からなり及び/又は高反射性材料で被覆されている)もので、例えば除染プロセス中に物品に加えられる放射線を増幅するものでもよい。
【0059】
ドラム513は、例えば1個以上のベルト516により、軸515回りに回転するように構成される。1個以上のベルト516はアクチュエータ516aにより回転駆動され、アクチュエータの回転がベルト516で駆動されるホイール516を介してドラム513に伝えられる。例えば、ドラム513は2個のベルト516−1,516−2で回転され、ドラム513の部分がより均衡して回転速度で回転し、及び/又はベルト516−1,516−2からドラム513に作用する応力がより均一に分散する。ホイール516wはドラム513の周囲に配置される。ホイール516は(例えば、アクチュエータ516a及び/又はベルト516−1,516−2により)駆動又は非駆動とされ、ドラム513が円滑及び/又は均一に回転するようにドラム513の周囲に配置される。アクチュエータ516aはDAYTON製であってもよいが、駆動ベルト516を駆動することを意図しているいかなる好適なモータであってもよい。アクチュエータ516aは、信頼性があり、保守を殆ど必要とせず、静かで、及び/又は高価でないという理由で選択できる。
【0060】
ベルト516とアクチュエータ516aは、変化する速度及び変化する向きでドラム513を回転するように構成してもよい。ドラム513の回転の速度及び向きは、例えば、物品のすべての部分が加えられた放射線及び/又は化学薬品に十分に曝されて消毒及び/又は除染されることを保証するように、予め定められてもよい(例えば予めプログラムされる)。例えば、速度は単一の速度でも、又は多数の異なる速度を予めプログラムしてもよい。同様に、回転の向きは、単一の回転方向でも、予め定められた回数の向きの変化を予めプログラムしてもよい。好適な実施形態では、ドラム513は1つの方向に毎分約20回転の速度で回転する。しかしながら、あらゆる好適な速度及び/又は方向変化が考えられる。例えば、ドラム513は毎分約30回転の速度で回転してもよい。
【0061】
物品処理装置501は流体交換システム520(例えば空気交換システム)を備える。流体交換システム520はプロセッサ512及び/又は、囲い504の内側及び/又は囲い504aの外側に配置された他の部品を冷却するように構成される。流体交換システム520は、ハウジング506の一部に配置された流体入口517及び流体出口518と、流体入口517及び流体出口518に接続された流体ポンプ519とを含む。流体入口517は、流体(例えば周囲の空気)を通過させて囲い504内に進入させるように構成される。流体入口517は一方向にのみ流体を通過させるように構成してもよい(例えば、流体入口517は外部環境から囲い504への空気の進入のみを許容してもよい。)。流体入口517は、外部環境からの流体(例えば周囲の空気)を囲い504に進入する前に濾過するように構成された流体フィルタ521を備えてもよい。流体出口518は流体(例えば空気)が通過して囲い504から出て行くように構成される。また、流体出口518は一方向にのみ流体を通過させるように構成してもよい(例えば、流体出口518は一方向バルブにより空気が囲い504から外部環境に出て行くことのみを許容してもよい)。流体出口518は、囲い504からの流体(例えば空気)を囲い504から外部環境に出て行く前に濾過する流体フィルタ522を備えてもよい。
【0062】
流体フィルタ521,522は、それぞれ1個以上のフィルタを備える。例えば、流体フィルタ521,522は少なくとも1個の微生物フィルタ521a,52aを備える。流体フィルタ521,522は、それに加えて又は代案として、それぞれ少なくとも1個のカーボン(例えばチャコール)フィルタ521b,522b(例えば、臭気を除去するように構成されている)を備え、これらのカーボンフィルタ521b,522bは微生物フィルタ521a,522aの一方側に配置されている。例えば、少なくとも1個のカーボンフィルタ521b,522bが微生物フィルタ521a,522aの囲い504に臨む側に配置される。ここで説明した個々の流体フィルタは、例えば使用時間と共に濾過効果が低下するために周期的な交換が必要なものでもよい。
【0063】
流体ポンプ519(例えばファン)は、流体入口517と流体出口518のうちの一方に接続される。流体ポンプ519が流体入口517に接続された場合、流体ポンプ519は外部環境から囲い504内へ流体を吸引するように構成される。流体ポンプ519が流体出口518に接続された場合、流体ポンプ519は囲い504内部の流体を外部環境へ吸引するように構成される。流体ポンプ519は、1個以上のフィルタ521,522を通過する前又は通過した後のいずれに流体をポンピングするものでもよい。従って、流体ポンプ519は外部環境から、流体入口517、フィルタ521、囲い504、フィルタ522、及び流体出口518を介して外側環境に流体をポンピングするものである。流体ポンプ519は、望ましくない空気漏れが囲い504にあったとしても囲い504を気密にする必要性を減じ、流体は単に囲い504に吸引された後に流体出口518を介して外部環境に放出される。つまり、流体出口518を除いて囲い504から汚染された流体が出てこない。
【0064】
物品処理装置501は、内部流体交換システム570(例えば、空気交換システム)を含む。流体交換システム570は、ハウジング506aの一部に配置された流体入口577及び流体出口578と、流体入口577と流体出口578に接続された流体ポンプ579を含む。流体入口577は流体(例えば、周囲の空気)が通過して囲い504a及び/又はキャビティ514へ進入することを許可するようにされる。また、流体入口577は一方向にのみ流体を通過させるように構成してもよい(例えば、流体入口577は一方向バルブによって外部環境から囲い504aへの流体の進入のみを許可してもよい。)。流体井陸痔577は外部環境からの流体(例えば周囲の空気)を囲い504aに進入する前に濾過するように構成されたフィルタ581を備えてもよい。流体出口578は流体(例えば空気)を通過させて囲い504aから出て行くように構成される。流体出口578は一方向にのみ流体を通過させるように構成してもよい(例えば、流体出口578は一方向バルブによって囲い504aから外部環境へ出て行く流体のみを許容してもよい。)。流体出口578は囲い504aからの流体(例えば空気)を囲い504aから外部環境に出て行く前に濾過する流体フィルタ582を含んでもよい。
【0065】
流体フィルタ581,582はそれぞれ1個以上のフィルタを備える。例えば、流体フィルタ581,582は少なくとも1個の微生物フィルタ581a,582a(例えば微生物を除去するように構成されている)を備える。流体フィルタ581,582は、それに加えて又は代案としてカーボン(例えばチャコール)フィルタ581b,582b(例えば臭気を除去するように構成されている)を備え、これらのカーボンフィルタ581b,582bは微生物フィルタ581a,582aの一方側に配置されている。例えば、少なくとも1個のカーボンフィルタ581b,582bが微生物フィルタ581a,582aの囲い504aに臨む側に配置されている。ここで説明した個々の流体フィルタは、例えば使用時間と共に濾過効果が低下するために周期的な交換が必要なものでもよい。
【0066】
また、流体出口578は、マイクロ波又は他の波(無線周波数又は電磁気)が流体出口578を介して囲い504から出て行くのを、例えばこれらの波を消散させることで防止するフィルタ583を備える。例えば、フィルタ583は、アルミニウムからなり、六角形の各辺が約1/8インチであるセルを有するハニカム状構造である。しかしながら、フィルタ583は、例えば、複数の平行な筒のような他の好適な幾何学形状を有する構造でもよい。フィルタ583は約1/4インチの厚さにできる。フィルタ583は約2.4GHの周波数を有するマイクロ波を消散させるように構成される。フィルタ583は1個以上のフィルタ582a,582bの上流側及び/又は下流側に配置できる。
【0067】
流体ポンプ579(例えばファン)は、流体入口577と流体出口578のうちの一方に接続される。流体ポンプ579が流体入口577に接続された場合、流体ポンプ579は外部環境から囲い504a内に流体を吸引するように構成される。流体ポンプ579が流体出口578に接続された場合、流体ポンプ579は囲い504aの内部の流体を外部環境へ吸引するように構成される。流体ポンプ579は、流体が1個以上のフィルタ581,582を通過する前又は通過した後のいずれに流体をポンピングするものでもよい。従って、流体ポンプ579は外部環境から、流体入口577、フィルタ581、囲い504a、フィルタ582,583、及び流体出口578を介して外部環境に流体をポンピングするものである。流体ポンプ579は、望ましくない空気漏れが囲い504にあったとしても囲い504aを気密にする必要性を減じ、流体は単に囲い504aに吸引された後に流体出口578を介して外部環境に放出される。つまり、流体出口578を除いて囲い504aから汚染された流体が出てこない。
【0068】
物品処理装置501は複数の除染ユニットを備えてもよい。例えば、物品処理装置501は加熱処理、マイクロ波処理、紫外線光処理、及び化学溶液の組み合わせにより生物学的汚染物の破壊及び/又は化学汚染物の中和を行うように構成される。
【0069】
キャビティ514に配置された物品に対して熱処理装置530によって熱が加えられる。熱処理装置530は、囲い504,504a内、ドラム513の外側、及び/又は囲い506内に配置される。熱処理装置530は長さが約12インチであり、ドラム513の回転軸に対して実質的に平行な方向でドラム513の実質的に下側に配置される。穿孔513pはドラム513の外側に配置された熱処理装置530からの熱がキャビティ514内に進入するように構成され、それに加えて又は代案としては、穿孔513pはキャビティ514から出る熱の移動を妨げるように構成されている。ドラム513の回転及び/又は穿孔513の組み合わせは、キャビティ514中の熱の循環を補助する。熱処理装置530の動作はプロセッサ512により制御され、プロセッサ512はドア502,503が適切に閉鎖されていなければ熱処理装置530への電力供給を阻止する。
【0070】
熱処理装置530は、生物学的汚染物の破壊及び/又は少なくともある化学汚染物の中和に十分な範囲の熱を供給するように構成されている。例えば、熱処理装置530は、約1000ワットで、囲い504,504a内の空間を約250°Fから約320°F(及び/又は約120°Cから約150°C)に加熱するように構成されている。しかしながら、種々の実施形態では、熱処理装置530は好適なワット数で囲い504,504a内の空間を最大約240°C(例えば、最大約180°C及び/又は最大約200°C)に加熱するように構成される。単一のサイクル中、熱処理装置530は約30分で実質的にサイクル全体にわたって物品に熱を加えるように構成される。熱処理装置530は約2%内の許容度で囲い504内の温度を制御するように構成される。
【0071】
マイクロ波装置540により囲い504中のドラム513に配置された物品にマイクロ波エネルギを加えてもよい。マイクロ波装置540は囲い504内でドラム513の外側に配置できる。種々の実施形態では、マイクロ波装置540は囲い504aを画定するハウジング506aの内側及び/又は外側に配置される。ドラム513、穿孔513p、及び/又は囲い506aは、マイクロ波装置540からのマイクロ波エネルギが通過してドラム513で画定される空間に配置された物品に作用するように構成される。マイクロ波装置540からのマイクロ波エネルギは、ドラム513で画定された空間に配置された液体、化学薬品、及び/又は物体を励起し、例えば、少なくとも熱の生成、生物学的汚染物の破壊、化学的汚染物の中和の補助、生物学的汚染物の遺伝的構成物/構造の変更、及び/又は生物学的汚染物の無菌化を補助する。
【0072】
マイクロ波装置540は、少なくともある生物学的汚染物の破壊及び/又は少なくともある化学的汚染物の中和に十分な範囲のマイクロ波エネルギを供給するように構成される。例えば、マイクロ波装置540は、周波数が約2.4GHzの約500ワットから約1000ワットの電力で、ドラム513内に配置された物品にマイクロ波エネルギを与えるように構成されている。単一のサイクル中、マイクロ波装置540は約30分ないしサイクル全体にわたって物品に熱を加えるように構成される。
【0073】
少なくとも1個の紫外線光装置550により囲い504内のドラム513に配置された物品に紫外線を照射してもよい。少なくとも1個の紫外線放射装置550は囲い504内でドラム513の外側に配置され、それと共に又は代案として、ハウジング506a及び/又は囲い504aの内側及び/又は外側に配置される。少なくとも1個の紫外線放射装置550は第1の紫外線放射装置551と第2の紫外線放射装置552を含んでいる。
【0074】
紫外線放射装置550,551,552はそれぞれ、生物学的汚染物の破壊及び/又は少なくともある化学汚染物の中和に十分な範囲の紫外線を供給するように構成されている。例えば広範な汚染物の破壊及び/又は中和のために、第1の紫外線放射装置551及び第2の紫外線放射装置552は、実質的な同一の技術的特徴を有しても、実質的な異なる技術的特徴を有していてもよい。第1の紫外線放射装置551及び第2の紫外線放射装置552のそれぞれにより放射される紫外線は、キャビティ514内に存在する液体及び/又は化学薬品と相互作用して、例えば、ファーストクラスレターの外側層を貫通してその中に含まれている汚染物を破壊及び/又は中和することにより、最も効果的に汚染物を破壊及び/又は中和するように構成されている。
【0075】
例えば、第1の紫外線放射装置551は、それぞれ約60ワット、周波数約50Hz及び/又は波長約190ナノメートルから約2000ナノメートルのパルス状の紫外線光を放出する2個のパルス光源553,554を備える。このようにパルス光源は、第1のセットの汚染物を破壊及び/又は中和する上で効果的である。第1の紫外線放射装置551は、1個のパルス状光源のみの場合でもパルス状の紫外線光がより容易にキャビティ514内でより均一に分布するようにドラム513の周囲に配置された2個のパルス状光源553,554を備える。
【0076】
他の例では、第2の紫外線放射装置552は、周波数約50Hz、波長約249ナノメートルから約354ナノメートルで、1センチメートル平方当たり約150マイクロワットの一定の紫外線光を放射する。このような一定の光線は、第1のセットの汚染物と実質的に同一又は異なる第2のセットの汚染物の破壊及び/又は中和に効果的である。
【0077】
1個以上の化学アプリケータにより少なくとも1種類の化学薬品が囲い504内のドラム513に配置された物品に供給される。化学アプリケータ560は、化学リザーバ562に流体的に接続された1個以上のノズル561(例えば2個のノズル)を備える。
【0078】
化学リザーバ562は約1ガロンの容量を有する。1つの物品処理プロセスは約1/2カップ(約4流体オンス)の化学薬品を使用する。しかしながら、破壊する必要がある生物学的汚染物の種類及び/又は中和する必要がある化学汚染物の種類に応じて、より多い量又はより少ない量の化学薬品が使用されてもよい。
【0079】
プロセッサ512は、ノズル561を制御して囲い504及び/又はドラム513への化学薬品の流れを制御する。ノズル561は化学リザーバ562からの化学薬品をその化学薬品の効果が最大となる態様で囲い504に投入する。例えば、ノズル561は、粒子が囲い504、ドラム513に配置された物品を覆い、及び/又は物品を貫通するような十分量の霧を囲い504内で生成するように構成される。いくつかの実施形態では、ドラム513に配置される化学薬品の液滴は、約1マイクロメートルの直径を有する。他の実施形態では、ノズル561はドラム513の長手方向の軸線を含む垂直面に対して約70度でドラム513の周囲に配置されている。ノズル516はドラム513の反対側に配置してもよく、ハウジング506aに連結してもよい。個々のノズル561はそれぞれ化学薬品を囲い504及び/又はドラム513へ放射及び/又は噴出するように構成された開口のアレイを備える。他の例では、化学リザーバ562及び/又はノズル561は1インチ平方当たり約30ポンドから40ポンドの圧力に維持される。
【0080】
化学リザーバ562内に収容された化学薬品は種々のことを達成するように構成されている。例えば、化学薬品は生物学的汚染物を破壊し及び/又は化学的汚染物の中和するよう構成されている。他の実施形態では、化学薬品は物品を覆い及び/又は貫通するように構成されている。他の実施形態では、化学薬品は物品に投入されると、熱処理、マイクロ波処理、及び紫外線光処理での生物学的汚染物の破壊及び/又は化学的汚染物の中和の効率を高めるように構成されている。化学薬品は、例えばユーザが容易に取り扱うことができるような非毒性で、漏洩が生じてもユーザにとって有害でない。しかしながら、例えば毒性の化学薬品がここで説明する化学薬品の目的の1つをより効果的に達成する場合には、より毒性のある化学薬品も使用してもよい。化学薬品は、農薬で環境保護局の化学薬品登録に載せる必要があるものでもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、化学薬品は水性溶液であってもよい。例えば、化学薬品は約95%の水と約5%のアルコールを含む。しかしながら、他の濃度の水とアルコールを使用してもよい(例えば、化学薬品は、可能であれば5%の増分で、約100%から0%の間の水及び/又は約0%から約100%のアルコールを含む)。水性溶液は、より効果的に生物学的汚染物を破壊し及び/又は化学的汚染物を中和するように、熱処理装置530により生成された熱、マイクロ波装置540により放射されたマイクロ波エネルギ、及び紫外線光照射装置550,551,552により放射された紫外線光と相互作用する。例えば、水溶液によってより効果的に熱及び/又は紫外線光が物品を貫通する。他の例では、水溶液はマイクロ波エネルギにより励起され、囲い504a及び/又はドラム513の温度をさらに上昇される。水溶液は、囲い504a及び/又はドラム513内の温度が例えば約130°Cであるある温度に達した後に、ノズル561を介して囲い504a及び/又はキャビティ514に導入される。水溶液は、例えば2分置きに約15ミリリットルの割合で、単一の処理サイクル中に数回にわたって囲い504a及び/又はキャビティ514に噴出できる。
【0082】
本発明の他の実施形態は、例えばシステム100やシステム500である物品処理システムを有する乗り物(例えば、自動車、航空機、ヘリコプター)を含む。例えば、図6に示すように、システム500が、このシステム500を動作させるのに十分な電力を供給するように構成された専用の電源601を有するスポーツユーティリティ型の乗り物600に配置されている。乗り物600は、緊急対応及び/又は第三者の物品の非常時の対応を可能とする点で有利である。例えば、オフィスビルや他の施設が受け取った何らかの物品が生物学的/化学的汚染物を含んでいると疑われる場合、乗り物600を特定の場所に移動することができ、潜在的に汚染された物品をここで説明したシステム(例えばシステム100,500)や方法のいずれかを使用して物品を処理することで除染及び/又は中和できる。
【0083】
本発明のさらに他の実施形態は、2つの部屋の壁に配置されたシステム100,500を含む。例えば、図7に示すように、システム500が2つの部屋701,702の間の壁700に配置される。第1のドア502は部屋701側に開き、第2のドア503は部屋702に開く。第1の部屋701は潜在的に汚染された物品が貯蔵された「汚れた」部屋であり、潜在的に汚染された物品は第1のドア502で覆われた開口を介して囲い504a及び/又はキャビティ514に配置される。第2の部屋702は「清潔な」部屋であり、システム500によって除染された物品が第2のドア503で覆われた開口を介して囲い504a及び/又はキャビティ514から取り出される。このような構造は、例えば清潔な部屋703の除染された物品が、汚れた部屋702からの潜在的に汚染された物品の汚染物によって意図に反して汚染されることがない点で有利である。
【0084】
本発明の他の実施形態は、汚染された文書及び紙を処理するシステム100,500を含む。システム100,500は文書を保持するように構成されたドラム800を備え、その例が図8A〜図8Dに図示されている。ドラム800はシステム100におけるドラム110やシステム500におけるドラム513と置き換え可能である。むしろ、ドラム800はドラム110やドラム513のあらゆる態様を含み得る。
【0085】
ドラム800はキャビティ811を画定する筒状部801を含む。筒状部801は複数の穿孔806を備える。穿孔806は熱、空気、化学薬品、マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び/又は放射線のあらゆる組み合わせを通過させるように構成される。筒状部801は第1の端部807と第2の端部808を含む。第1の端部807と第2の端部808の一方又は両方が1個以上の突出部809を備えてもよい。突出部809は、例えばホイール516wのようなシステム100,500のいかなる部分と関連していてもよい。第1の端部807は突出部810を備えてもよい。
【0086】
ドラム810は、ドラム800の回転中及び/又はシステム100,500の動作中に文書(例えばずぶ濡れの文書)を保持するように構成されている。ホルダ802は、キャビティ802cを画定するトレイ部802bと蓋部802aを備える。蓋部802aとトレイ部802bは、熱、空気、化学薬品、マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び/又は放射線のあらゆる組み合わせを通過させる。例えば、蓋部802bとトレイ部802bは穿孔を備え及び/又は熱、空気、化学薬品、マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び/又は放射線のあらゆる組み合わせを通過させる材料からなる。
【0087】
ホルダ802は連結具803により円筒状部801の部分804に取り付けられる。連結具803は、何らかの適切な方法や装置で固定的に又は取り外し可能にホルダ802に連結される。連結具803は、何らかの適切な連結及び/又は方法を使用して部分804に対して連結及び/又は取り外し可能である。ホルダ802及び/又は連結具803は円筒状部801に対して実質的に平行に及び/又は円筒状部801の長手方向軸を含むように配置されるが、ホルダ802及び/又は連結具803は円筒状部801に対していかなる適切な構造で配置してもよい。連結具803は、例えばシステム100,500の動作時のドラム800の回転中に、ホルダ802が円筒状部801に対して移動しないように、円筒状部801に対してホルダ802を固定するように構成される。
【0088】
本発明の他の実施形態は、例えば除染/中和サイクル中に、システム500を使用する方法を含む。この方法は、郵便物のような除染され又は除染されることが必要であろう物品の取得、第1のドア502の開放、及び物品のドラム513への配置を含む。物品はドラム513に配置されている間、第2のドア503は閉鎖される。次に、第1のドア502が閉鎖されてハウジング506に対してラッチされる。第1のドア502は、ガスケット507がハウジング506の表面に対して押圧されて実質的に流体的に気密なシールを形成するように閉鎖される。第1のドア502は、例えばラッチ510により、ハウジング506に対してラッチされる。ラッチ510は2組みのラッチ、すなわち機械ラッチ部510a,510bと、磁気ラッチ部510c,510dを備える。機械ラッチ510a,510bは、突出部510aが開口510bに配置されるとラッチされ、適切な機械ラッチ構造及び/又は方法を使用して固定される。磁気ラッチ510は、第1の磁石部510cの第1の極が第2の磁石部510dの対向する第2の極と合ったときにラッチされる。ラッチ510がラッチされると、センサ511は第1のドア502が固定されたことを示す信号をプロセッサ512に送る。
【0089】
第1のドア502が閉鎖されたことをセンサ511が検出するのと実質的に同時に、センサ511も第2のドア503が閉鎖されたことを確認する。第2のドア503は第1のドア502と同様のラッチを含む。センサ511が第1のドア502と第2のドア503が両方ともラッチ及び/又は固定されたことを示す信号をプロセッサ512に送ると、プロセッサは物品処理装置501の各部に電力が流れることを許容する。例えば、プロセッサ512はアクチュエータ516aに電力が流れること及び/又はアクチュエータ516aを駆動する。次に、アクチュエータ516aはベルト516−1,516−2を駆動し、ドラム513を回転させる。ドラム513はベルト516−1,516−2と共に回転し、ホイール516wを適切な位置に保持する。ドラム513は最大で毎分約20回転の速度で回転するが、ドラム513は最大で毎分約30回転の速度で回転してもよい。
【0090】
プロセッサ512は熱処理装置530に対する電力の流れを許容し、及び/又は熱処理装置530を駆動する。熱処理装置530は囲い540a及び/又はキャビティ514内の温度を、約1000ワットで約250°Fから320°F(及び/又は約120°Cから約150°C)まで上昇させて維持する。ドラム513の突出部513pはキャビティ514に熱が進入するのを許容し、またドラム513がキャビティ514周囲の熱を循環させるのを補助する。加熱処理装置530は、サイクル全体にわたって、例えば最大約30分の間、囲い504a及び/又はキャビティ514内の温度を上昇させて維持する。しかしながら、サイクル全体が約45分を要し、及び/又は熱処理装置530がサイクルの一部でのみ動作してもよい。プロセッサ512及び/又は熱処理装置530は、囲い504a及び/又はキャビティ514内の温度を約2%の誤差の余裕内で維持する。ハウジング506、ハウジング506a、第1のドア502、及び第2のドア503は、例えば熱がユーザに危害を加えたり、ハウジング506で画定された囲い504内に配置されたプロセッサ512を損傷させることがないように、熱を吸収し及び/又は囲い504aから熱が逃げるのを防止するように構成されたAMSSのような断熱材の層を含んでもよい。このAMSSのような断熱材の層の他の目的は、囲い504a及び/又はキャビティ514内の温度の急速な上昇を許容することである(例えば、囲い504a及び/又はキャビティ514内の熱を捕捉することによる)。
【0091】
プロセッサ513は、マイクロ波装置540を駆動し、及び/又はマイクロ波装置540への電力の流れを許容する。マイクロ波装置540は、2.4GHzで約500Wから約1000Wのマイクロ波エネルギを囲い504a及び/又はキャビティ514に供給するように構成されている。ハウジング506a、ドラム513、及び/又は穿孔513pは、マイクロ波の通過を許容するように構成されている。キャビティ514と囲い504aをそれぞれ画定するドラム513とハウジング506aの表面は、例えば、ユーザに危害を加える量のマイクロ波エネルギが物品処理装置から出て行くことを防止し、及び/又は物品に対するマイクロ波処理の効果を高めるために、キャビティ514及び囲い504a内でマイクロ波エネルギを反射するように構成される。マイクロ波装置540は、サイクル全体にわたって(例えば最大約30分)やサイクルの一部において、物品に対してマイクロ波エネルギを供給する。
【0092】
プロセッサ512は紫外線光照射装置550を駆動し、及び/又は紫外線光照射装置550に対する電力の流れを許容する。例えば、プロセッサ512は、紫外線光照射装置551及び第2の紫外線光照射装置552を駆動し及び/又はそれらに対する電力の流れを許容する。プロセッサ512はパルス光源553,554に、波長が約190から2000ナノメートル、周波数が約50Hzパルス状、及び/又は出力が600ワットである紫外線光を放射させる。紫外線光のパルスのタイミングは、いかなる適切な時間間隔でもよく、長さが変化してもよい。パルス状光源553,554は、例えばハウジング506a及び/又は囲い504aの周囲の異なる位置に配置されることで、囲い504a及び/又はキャビティ514の異なる部分に紫外線光を放射する。恒常光源552は、波長が約249ナノメートルから254ナノメートル、及び/又は出力が1センチ平方当たり約150マイクワットの紫外線光を放射するように構成される。紫外線光放射装置550は、サイクル全体にわたって(例えば最大約30分)やサイクルの一部において、物品に対して紫外線光を供給する。
【0093】
プロセッサ512は化学アプリケータ560を駆動し、及び/又は化学アプリケータ560に対する電力の流れを許容する。例えば、化学薬品は約95%の水と約5%のアルコールの組成を有する水溶液である。化学薬品は、容量が1ガロン及び/又は圧力が1インチ平方当たり約30ポンドから40ポンドである化学リザーバ562に配置される。しかしながら、いかなる適切な容量及び適切な圧力の化学リザーバ562に化学薬品を配置してもよい。駆動されて囲い504a及び/又はキャビティ514内の温度が約130°Cに達すると、化学リザーバ562からノズル561へ化学薬品が流れる。次に、ノズル561は、例えば約15ミリリットルの速度でサイクル中に約2分間隔で、化学薬品を囲い504a及び/又はキャビティ514に対して供給する。サイクル中、約1/2カップ(ないし約4流体オンス)の化学薬品が使用される。供給されると、化学薬品は液滴の寸法が約10マイクロメートル程度である霧を囲い504a及び/又はキャビティ514内で形成する。化学薬品は、軸515に垂直な面に対して概ね70度の角度で囲い504a及び/又はキャビティ514に供給される。ノズル561は、例えば囲い504a及び/又はキャビティ514内でより均一に化学薬品が分散するように、ハウジング506a、囲い504a、及びキャビティ514の周囲の数個所に配置される。囲い504a及び/又はキャビティ514内に配置されると、化学薬品は生物学的汚染物の破壊及び/又は化学汚染物の中和を補助する。例えば、化学薬品は物品に接触して熱及び/又は紫外線光がより容易かつ効果的に物品を貫通させる。他の実施形態では、化学薬品はマイクロ波エネルギと相互作用して生物学的汚染物の破壊及び/又は化学的汚染物の中和を補助する。
【0094】
プロセッサ512は、流体(例えば空気、ガス、及び/又は液体)が流体入口577、あらゆるフィルタ581、囲い504a及び/又はキャビティ514、流体出口577、及びあらゆるフィルタ582,583を介して外部環境に戻るように、流体ポンプ579を駆動し及び/又はそれに対する電流の流れを許容する。
【0095】
割り当てられた時間にわたってサイクルが実行されると、プロセッサ512は、アクチュエータ516a、熱処理装置530、マイクロ波装置540、紫外線光放射装置550、及び/又は化学アプリケータ560のうちの1個以上を非駆動として及び/又はそれに対する電力を遮断する。囲い504a内の温度が安全レベルに達すると、第2のドア503が開錠され(例えばラッチ510を解放することによる)、ドラム513から物品が取り出される。職業安全衛生局により定められた温度の安全レベルは約摂氏70度であるが、物品、囲い504a内の空気、及び/又はキャビティ514の空気の安全レベルに関して適切な警告と指示がなされるのであれば、温度の安全レベルはより高温でもよい。次に、第2のドア503が閉鎖され(例えばラッチを再駆動することによる)、システム500は別のサイクルに備える。プロセッサ512及び/又はラッチ510aは、サイクルの途中で物品処理装置からの電力が遮断されても、電力が最充填されてプロセッサ512によって状態が安全(例えば、温度が十分低く、マイクロ波装置540がオフ、紫外線光放射装置550がオフ、及び/又は化学アプリケータ560が化学薬品を放出していない。)であることを検出できるまで(例えば、囲い504a及び/又はキャビティ514に配置されたセンサにより検出する)、ラッチ510がドア502,503の開放を許容しないように構成される。
【0096】
本発明の他の実施形態は、例えばずぶ濡れの及び/又は化学薬品、細菌、菌類、ウイルス、及び/又は洪水の泥で汚染された文書である、汚染された物品を処理する方法を含む。物品の例としては、フォルダ、文書、マニュアル、及び文書の写しがある。ずぶ濡れの物品は1ポンド毎に53ページの重量があるが、いかなる程度の水分及び/又は汚染物を伴う文書もここで説明するシステムや方法を用いて処理できる。
【0097】
このような方法では、最大約1ポンドのずぶ濡れの物品に対して軽度の消毒剤を含有する水溶液に配置することができる。この軽度の消毒剤は、リステリン消毒液(LISTERINE ANTISEPTIC)溶液と同様の化学薬品や、例えば約95%の水と約5%のアルコールの組成の水溶液のようなシステム100,500と使用される他の化学薬品を含有する。次に、ずぶ濡れの物品はドラム800のホルダ802のキャビティ802cに配置される。ドラム800内の濡れた物品の量は、湿潤の程度(例えば重量比で20%を上回る水分)、重量、及び体積である種々の容易によって変わり得る。蓋部820とトレイ部802bは、ラッチ805によって閉鎖及び固定される。次に、連結具803に連結されたホルダ802が、円筒状部801のキャビティ811に配置される。連結具803の両端は、適切な方法及び/又は装置により円筒状部801の部分803に固定されてもよい。
【0098】
固定されると、ドラム800を含むシステム100,500が動作し、ずぶ濡れの物品が適切な温度で、例えば約50分である適切な長さの時間、ここで説明する工程の組み合わせで処理される。ホイール516wを突出部809によりドラム800を回転させるのに使用してもよい。処理されると、物品はシステム100,500から取り出される。例えば、連結具803は部分804から取り外される。次に、ホルダ802及び/又は連結具803がキャビティ811から取り外される。トレイ部802bに対して蓋部802を相対移動できるように、ラッチ805が解錠される。物品がキャビティ802cから取り出され、複写、走査、又他の適切な方法や装置を使用した複製に供され、例えばさらに検索できるようにコンピュータのメモリに走査される。
【0099】
1つの例示の実施形態では、ドラム800を含むシステム100,500は以下の態様で動作する。濡れた物品をキャビティ811に配置してドラム800をシステム100,500に配置されると、ドラム800は約10秒間の間、その動作回転速度で回される。また、濡れた物品は約31分間の間加熱される。約31分後、ヒータが切られ、1サイクル中に約2分の間隔をあけて約15ミリリットルの速度で、穿孔806、蓋部802a、及びトレイ部802bのうちの1つ以上を介して、ドラム800、キャビティ811、及びキャビティ802cに化学薬品が供給される。マイクロ波エネルギ及び紫外線光が実質的に同時に、1分間隔をあけて2分間継続して、ドラム800、キャビティ811、及びキャビティ802cに照射される。この照射は5回行われる。2分間継続する照射の間の4回の1分間の間隔中に、ドラム800、キャビティ811、及びキャビティ802cに熱が加えられる。ドラム800、キャビティ811、及びキャビティ802cに対するマイクロ波エネルギ及び紫外線光の照射の開始と実質的に同時に、化学薬品の供給を行う。約14分後、マイクロ波エネルギ及び紫外線光が止まり、ヒータを約3分間の間つける。
止まる。この約3分の後、ヒータは約1分間消され、この1分間の間、ドラム800、キャビティ811、及びキャビティ802cに化学薬品が供給される。1分の後、追加の7分の間ヒータを再度つけ、その後、ヒータが消され、例えば約8分間ブロワが作動して、乾燥空気の供給及び/又は湿り空気のキャビティ802c,811からの除去が行わる。この8分の終了で、動作が終了し、ドラム800の回転が止まり、以前は濡れていた物品がシステム100,500から取り出される。前述の時間の値、化学薬品の量、照射されるエネルギの強度、動作手順は、例示のみを意図するもので、いかなる好適な値をも使用できる。また、回転、化学薬品、マイクロ波エネルギ、熱、及び紫外線光は、ここで説明した又はこの技術分野で知られた他の機構を使用して実現できる。
【0100】
種々の実施形態では、単一の除染サイクルは約45分から約60分の間継続する。この期間内で、約30分の単一の除染サイクルが適切な温度に囲い504a及び/又はキャビティ514内の空気を加熱することを含んでもよい。時間の釣合い(例えば約15分と約30分)としては、他のプロセスの部分、例えば化学薬品の供給、マイクロ波エネルギの照射、及び/又は紫外線光の照射であってもよい。
【0101】
種々の実施形態では、単一の除染サイクルは特定の順序で実行されるステップを含んでもよい。例えば、サイクルは少なくもと1つのドア(例えば、「汚れた」ないし「汚染された」ドア)の開放によりサイクルが開始されてもよい。その他の、物品がキャビティ内に配置され、ドアが閉鎖され、ドアの閉鎖と施錠が確認され、次に、システムの起動が開始される。システムの起動と実質的に同時に、システムが起動されたことを表示ライトが表示し、この表示ライトはシステムに電力が供給されている間システムが起動中であることを表示し続ける。ドアの施錠に対してわずかに遅延して(例えば約10秒)、熱処理装置が動作してキャビティ内の空気の加熱を開始する。キャビティ内の空気は、例えば約30分で目標温度まで連続的に加熱される。キャビティ内の空気がほぼ目標温度に達した頃に(例えば、目標温度の約2%以内)、及び/又は約30分経過した頃に(例えば約15分の増減で)、マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び/又は化学薬品が、継続的及び/又は断続的に約10分間キャビティに供給される。例えば、マイクロ波エネルギが10分間キャビティに照射され、連続する紫外線光が約10分間キャビティに照射され、パルス状の(例えば断続する)紫外線光が約10分間キャビティに照射され、及び/又は化学薬品が断続的にキャビティに供給される(例えば、2分置きに約15ミリリットルが一時に供給される。)。マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び又は化学薬品が約10分間キャビティに供給された後、マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び/又は化学薬品が停止する。マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び/又は化学薬品が停止するのと実質的に同時に、流体交換システムが空気、化学薬品、及び/又は汚染物をキャビティから取り除く。流体交換システムは、例えば、約5分間動作を継続する。流体交換システムが作業を完了すると、システムの種々の部分の電力供給が停止され、少なくとも1つのドア(例えば、「清浄な」ないし「除染された」ドア)が解錠され、この少なくとも1つのドアが開放され、キャビティから物品から取り出される。
【0102】
システム500は、生物学的汚染物の破壊及び/又は化学的汚染物の中和のための従来のシステムを上回る多くの利点がある。例えば、システム500は、比較的小型で、オフィス環境での配置及び使用が容易である。いくつかの実施形態では、システム500は約28インチ掛ける32.7インチ掛ける30.6インチであり、重量が約285ポンド(ないし約128キログラム)である。他の実施形態では、1つの理由として小型であることにより、システム500は可搬であり、乗り物に搭載でき、移動手段に配置することも容易である。また、1つの理由として小型であることにより、システム500は積み重ね可能であり、例えば、鉛直方向空間の使用を最大化して床空間の使用を最小化する。
【0103】
他の利点としては、システム500は、職業安全衛生管理局(Occupational Safety and Health Administration:OSHA)により定められたレベルを上待って炭疽菌や他の胞子を破壊することができる。例えば、OSHAは炭疽菌や他の胞子の殺傷率が10程度であることを要求する。しかし、システム500及びここで説明した方法の殺傷率は少なくとも10程度で、効果的であれば10程度で、10にも達し得る。
【0104】
システム500の電力消費は、50/60Hzで110/120Vの交流電流で約20アンペアを下回る。つまり、システム500は、単に合衆国における標準的な壁ソケットに差し込むだけでよい。他の種類のコンセント(例えばヨーロッパやアジアで使用されている220Vのコンセント)でシステム500を使用することや、システム500にコンバータを組み込むことや、システム500の1つ以上の部分が220Vのコンセントが必要であり、あるいは少なくとも互換性を有するものに交換することも考えられる。
【0105】
システム500は使用が簡易で、いったんシステム500をプラグに差し込み、第1のドア502を開放し、ドラム513に物品を配置し、第1のドア502を閉鎖すればプロセスが動作する。プロセスが完了すると、第2のドア503が開放され、物品がドラム513から取り出され、第2のドア503が閉鎖され、プロセスが完了する。
【0106】
システム500の他の利点としては、ユーザにとって有害でない。例えば、マイクロ波、紫外線光、及び/又は熱を使用するにもかかわらず、少なくともシステム500で使用される断熱材を使用することが理由の1つとなって、マイクロ波、紫外線光、及び/又は熱のいずれからの影響を受けることなく、ユーザはシステム500に隣接して立つことができる。また、システム500は水性で非毒性の化学薬品を使用するので、これらの化学薬品に曝されたとしても、ユーザは完全ではないとしても実質的に無傷である。システム500は、OSHA、FDA、及びEPAの規制基準を満たすように構成できる。
【0107】
種々の実施形態において、ここで説明したシステム100,500及び方法は、あらゆる種類の除染するために使用できる。例えば、システム100,500は、紙、通過、食品、及び/又は医療機器の除染に使用できる。
【0108】
本発明の他の実施形態は、ここで説明した本発明の詳細及び実際を考慮すれば自明である。詳細及び実施形態は単なる例示であり、本発明の真の範囲及び真意は特許請求の範囲により示される。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係るメールボックス処理装置を示す斜視図。
【図2】図1のメールボックス処理装置のブロック図。
【図3】図1のメールボックス処理装置に含まれる電源ユニットの模式図。
【図4】図1のメールボックス処理装置の動作の方法のフロー図。
【図5A】本発明の他の実施形態に係る物品処理装置の斜視図。
【図5B】図5Aの物品処理装置の模式側面図。
【図5C】図5Aの物品処理装置の模式平面図。
【図5D】図5Aの物品処理装置の一部の模式図。
【図5E】図5Aの物品処理装置の一部の模式図。
【図6】図5Aの物品処理装置を含む乗り物の模式図。
【図7】図5Aの物品処理装置を含む2つの部屋と壁の模式図。
【図8A】本発明の別の実施形態に係るドラムの模式図。
【図8B】本発明の別の実施形態に係るドラムの模式図。
【図8C】本発明の別の実施形態に係るドラムの模式図。
【図8D】本発明の別の実施形態に係るドラムの模式図。
【符号の説明】
【0110】
100,500,600 システム
101 メールボックス処理装置
102,504 囲い
103,502,503 ドア
119 表示器
104 放射線ビーム源及び照射装置
106 電磁界源及び照射装置
108 紫外線照射源及び照射装置
110 回転ドラム
116 化学消毒ユニット
506 ハウジング
513 ドラム
601 電源
700 壁
701,702 部屋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
囲いを画定するハウジングと、
前記囲い内に配置されてキャビティを画定する回転可能なドラムと、
前記キャビティ内に配置された物品を保持するように構成されたホルダと、
前記キャビティと連通する少なくとも1つの開口と、
前記少なくとも1つの開口を覆って実質的に流体の通過を阻止するように構成された少なくとも1つのドアと、
前記キャビティ内の空気の温度を上昇させるように構成された加熱装置と、
前記キャビティにマイクロ波エネルギを供給するように構成されたマイクロ波装置と
前記キャビティに紫外線光を放出するように構成された複数の紫外線光放出装置と
前記キャビティに化学薬品を配置するように構成された化学アプリケータと
を備える、物品処理装置。
【請求項2】
前記ホルダは前記回転可能なドラムに固定状態で連結されている、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項3】
前記ホルダは互いに相対的に動くように構成された複数の部分を含む、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項4】
前記ホルダは前記回転可能なドラムから取り外し可能である、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項5】
前記ホルダはラッチを含む、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項6】
前記ホルダは前記キャビティの中央部に配置されている、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項7】
前記ホルダは前記回転可能なドラムの長手方向軸線に対して実質的に平行な平面に配置されている、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項8】
前記ホルダは穿孔を含む、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項9】
前記ホルダの少なくとも一部は熱、空気、マイクロ波エネルギ、紫外線光、及び化学薬品が通過する材料からなる、請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項10】
少なくとも1つの開口を画定するハウジングと、前記少なくとも1つの開口に流体的に連通する囲いと、前記少なくとも1つの開口を覆うように構成された少なくとも1つのドアと、キャビティを画定する前記囲い内の回転可能なドラムとを有する装置内の、20%を上回る重量の水分を含有する物品を除染する方法であって、
消毒薬を含む水性の溶液内に前記物品を配置し、
前記少なくとも1つの開口を介して前記キャビティ内に前記物品を配置し、
前記少なくとも1つのドアが閉鎖されていることを確認し、
前記ドラムを回転させ、
前記キャビティ内の空気を加熱し、
前記キャビティにマイクロ波エネルギを供給し、
複数の紫外線光放出装置から前記キャビティに紫外線光を供給し、
前記キャビティ内に化学薬品を配置し、
前記少なくとも1つのドアを開放し、
前記少なくとも1つの開口を介して前記キャビティから前記物品を取り出し、
前記物品の電子コピーを作成する、方法。
【請求項11】
ホルダに前記物品を配置し、
前記ホルダを前記ドラムに配置する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ホルダが前記ドラムに固定状態で連結されるように、前記ホルダを前記ドラムに連結する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ホルダの第1の部分を前記ホルダの第2の部分から分離し、
前記第1の部分と前記第2の部分の間に前記物品を配置し、
前記第1の部分が前記第2の部分に対して固定状態で配置されるように、前記第1の部分と前記第2の部分を連結する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ホルダに約1ポンド以下の物品を配置し、
前記ホルダを前記ドラムに配置する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記キャビティに約50分、前記物品を配置する請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記キャディ内の前記空気を約160℃まで加熱する、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【公表番号】特表2009−515652(P2009−515652A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541291(P2008−541291)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/044246
【国際公開番号】WO2007/089312
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(505042767)バイオディフェンス コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】