説明

物品収納装置

【課題】 一度物品を収納した後に物品の移動が容易に行うことができる物品収納装置を提供すること。
【解決手段】 無線タグが取り付けられた物品8を吊り下げて収納する物品収納装置において、開口部を有する箱体3と、この箱体3内に物品8を吊り下げて保持するシャフト部材4,5とを具備し、このシャフト部材には軸方向に所定間隔で複数の溝4a,4bが形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、郵便局に持ち戻った例えば記録扱い郵便物を入れた収納ケースのような物品を収納する物品収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便物の一つに記録扱い郵便物がある。この記録扱い郵便物は、受取人が不在の場合には郵便局に戻されて保管される。そして受取人が後で郵便局に出向いたときに、所定の本人確認を行った後に受取人に手渡される。ところで、郵便局に戻された郵便物は所定の棚に収納されて保管されている。このため、受取人が持参した不在配達票に記載されているお知らせ番号をキーとして局員が棚から該当する郵便物を手作業により検索していた。
【0003】
なお、ファイル等の被検索物の保管位置及び保管状態をコンピュータ本体の画面において管理するようにしたファイル等被検索物の個別検索装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2593319号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように郵便局員が手作業により不在配達の郵便物を検索していたため、その作業に時間がかかるという問題があった。
【0005】
そこで、不在配達の郵便物を検索する場合に、その郵便物を無線タグが貼られた収納ケースに入れた後、仕切り壁が設けられた棚に該収納ケースを入れて保管し、無線タグ用アンテナからの電波を無線タグに放射することにより対象とする郵便物を検索することが考えられている。
【0006】
しかし、仕切り壁が設けられた棚に収納ケースを保管するようにすると、複数の収納ケースを纏めて他の棚に移動させるのは煩雑であった。実際、郵便物の配達日付で纏めて棚に保管している場合には、このような移動を行う機会が存在する。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その目的は、一度物品を収納した後に物品の移動が容易に行うことができる物品収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品収納装置は、無線タグが取り付けられた物品を吊り下げて収納する物品収納装置において、開口部を有する箱体と、この箱体内に上記物品を吊り下げて保持するシャフト部材とを具備し、このシャフト部材には軸方向に所定間隔で複数の溝が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品を吊り下げて保持するシャフト部材には、軸方向に所定間隔で複数の溝が形成しておき、このシャフト部材を回転させることにより、物品とシャフト部材との係合あるいは係合の解除を行うことができる。物品とシャフト部材の係合を解除した場合には、物品をシャフト部材に吊り下げた状態でシャフト部材の軸方向に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1は本発明に係る物品収納装置を採用した物品検索システムについて説明する。図において、1は物品収納装置である。この物品収納装置1は、開口部2を有する箱体3で構成されている。
【0011】
この箱体3の開口部2に面した対向する2つの面において、2つのシャフト部材4,5が回転自在に保持されている。なお、6及び7はそれぞれシャフト部材4,5を箱体3の外側から回転させるための操作ノブである。
【0012】
各シャフト部材4,5は軸方向に沿って所定間隔で断面D形状に切り欠いた切欠部4a,4bが形成されている。
【0013】
これら切欠部4a,5aは、シャフト部材4,5の軸方向をx軸方向とすると、x軸方向に沿って互いに同じ位置に形成されている。これにより、図示のように物品としての無線タグ付き収納ケース8を切欠部4a及び4bに係合させることができる。この無線タグ付き収納ケース8の詳細な構成は図3を参照して後述する。
【0014】
上記箱体3の底板3aには、上記切欠部4a及び4bの位置と対応する位置にランプ9がそれぞれ取り付けられている。また、開口部2と対向する背面11aには、上記切欠部4a及び4bの位置と対応する位置にそれぞれ図2に示すように無線タグ用アンテナ21が取り付けられている。この無線タグ用アンテナ21は無線タグ付き収納ケース8の背面に貼り付けられた無線タグ22に対して指向性の強い電波を発信する。従って、無線タグ用アンテナ21と無線タグは1対1の関係で配設されている。言い換えれば、シャフト部材4,5の切欠部4a,5aは無線タグ用アンテナ21と1対1の関係で配設されている。
【0015】
この物品収納装置1にはホストコンピュータ11が接続されている。
【0016】
次に、図3を参照して収納ケース8の詳細な構成について説明する。この無線タグ付き収納ケース8は郵便物12を収納する収納部13と、収納ケース8をシャフト部材4,5に引っ掛けて保持するための保持部14とから構成される。この保持部14には、シャフト部材4とシャフト部材5との間隔と略等しい間隔で断面長方形状の切欠部14a,14bが形成されている。さらに、収納部13の背面には無線タグ22が貼り付けられている。この無線タグ22は、収納ケース8を物品収納装置1に収納させたときに、無線タグ22と無線タグ用アンテナ21が対向する位置に来るように貼り付けられている。
【0017】
ところで、収納ケース8は矢印A方向に沿うように物品収納装置1に挿入させることにより、保持部14の切欠部14a,14bとシャフト部材4,5に形成された切欠部4a,4bとを係合させ、収納ケース8をシャフト部材4,5に吊り下げて保持している。図3のように係合されている状態では、収納ケース8のシャフト部材4,5の軸方向への移動は規制される。
【0018】
つまり、図4(a)に示すように、保持部14の切欠部14a,14bとシャフト部材4,5に形成された切欠部4a,4bとが係合している状態では、収納ケース8のシャフト部材4,5の軸方向への移動は規制される。
【0019】
一方、操作ノブ6,7をそれぞれ回転させることにより、各シャフト部材4,5に形成された切欠部4,5いずれも図4(b)に示すように図4(a)に示した位置から180度回転させた位置にする。この状態では、収納ケース8の保持部14の側面は、切欠部4a,4bに当接しないため、収納ケース8はシャフト部材4,5の軸方向に移動可能である。
【0020】
次に、図5を参照して無線タグリーダ31の要部構成について説明する。無線タグリーダ31は上位端末、つまりホストコンピュータ11とのインタフェースを行うインタフェース部32、CPU、ROM、RAM等で構成される制御部33、無線タグ22への送信データを変調する変調部34、変調電波を増幅してアンテナ221〜22nから放射させる送信アンプ35、アンテナ221〜22nで受信した電波を増幅する受信アンプ36及び増幅された受信電波を復調する復調部37等で構成される。
【0021】
アンテナ221〜22nはそれぞれ切換えスイッチ381〜38nを介して送信アンプ35及び受信アンプ36に接続されている。この切換えスイッチ381〜38nは制御部31からの切換え信号に応じて切り換えられる。
【0022】
なお、391〜39nは各収納部14に対応して設けられた前述したランプ9を意味する。これらランプ391〜39nの点灯制御は制御部33により行われる。
【0023】
次に、図5を参照して無線タグ22の内部構成を示す。無線タグ22は、送受信可能なタグアンテナ41とLSIチップ42とを基板と一体成形した独立の部品である。タグアンテナ41は、矩形状に成形されたループコイル等からなる。LSIチップ42は、タグアンテナ41で受信した変調電波の整流と安定化を行うことによりLSIチップ42の各部に電源を供給する電源生成部43、上記変調電波を復調して制御部46へ送信する復調部44、制御部46から送信されたデータを変調してタグアンテナ41に送信する変調部45、復調部44で復調されたデータのメモリ47への書き込みや、メモリ47から送信データを読み出して変調部45へ送出する制御部46及びメモリ47等で構成されている。メモリ47には、当該無線タグ22の製造段階で製造業者により割当て設定された固有の無線ID(RFID)を記憶する無線IDエリアと、ユーザで任意のデータを書き込むことができるユーザエリアとが形成されている。
【0024】
次に、図6を用いてホストコンピュータ11の構成について説明する。ホストコンピュータ11はCPU51を中心に構成されている。CPU51のシステムバスには、ROM52、RAM53、入力部54、表示部55、バーコードリーダ56、インタフェース57、無線タグリーダ58が接続される。このインタフェース57は前述した無線タグリーダ31のインタフェース32に接続される。
【0025】
次に、上記のように構成された本発明の一実施の形態の動作について説明する。受取人が不在のため郵便局に持ち戻された郵便物は、図1の無線タグ付き収納ケース8に収納された後、物品収納装置1に収納されて保管される。この際、局員は以下の示す手順により郵便物を物品収納装置1に収納させている。
【0026】
まず、持ち戻った郵便物をどの無線タグ付き収納ケース8に収納したかをホストコンピュータ11に登録する作業を行う。受取人が不在の場合には、郵便局員は不在配達票を受取人の所に置いて来る。その不在配達票には、郵便物を特定するためのお知らせ番号が記載されている。また、郵便局員はお知らせ番号が記載された用紙を郵便物に貼り付けて郵便局に持ち戻る。そして、ホストコンピュータ11に備えられているバーコードリーダ56によりその用紙に記載されているお知らせ番号をバーコードリーダで読み取り、無線タグ付き収納ケース8に取り付けられている無線タグ22の固有無線ID(RFID)を無線タグリーダ58で読み取り、固有無線IDとお知らせ番号とを図8に示すように対応付けてRAM53に記憶させる処理を行う。
【0027】
そして、郵便局員は郵便物を収納した無線タグ付き収納ケース8を物品収納装置1の空いている切欠部4a,4bに挿入する。このように、無線タグ付き収納ケース8を収納部14に収納すると、無線タグ22は図2に示すように無線タグ用アンテナ21と対向するように位置する。
【0028】
以下、同様にして郵便局員が持ち戻った郵便物は同様の処理を経て物品収納装置1に納される。
【0029】
次に、受取人が不在配達票を持参して郵便局に郵便物を受け取りに来たときの処理について説明する。
【0030】
まず、郵便局員は不在配達票に記載されているお知らせ番号を入力部54から入力する。すると、ホストコンピュータ11は入力部54から入力されたお知らせ番号に対応する郵便物が収納された無線タグ付き収納ケース8に取り付けられている無線タグ22の固有無線番号をRAM53に記憶されている図7のテーブルを検索することにより求める。
【0031】
次に、検索すべき郵便物を収納した無線タグ付き収納ケース13に取り付けられた無線タグ22のRFIDの固有無線番号が判明すると、このRFIDを検索用IDとして該当する無線タグ付き収納ケース8を検索する処理を行う。
【0032】
つまり、無線タグリーダ31の制御部33は切換えスイッチ381〜38nを順番に1つずつオンする処理を行う。これにより、背面11aに設けられた無線タグ用アンテナ21から順番に電波が放射される。この無線タグ用アンテナ21から放射される電波は指向性が強いので、無線タグアンテナ21と対向した面に取り付けられている無線タグ22で受信される。
【0033】
そして、このように放射された電波の問いかけに応答して、無線タグ22は自己のRFIDを無線タグリーダ31に返信する。そして、制御部33は無線タグ22から返送されたRFIDが問い合わせたRFIDと一致しているかを検索する。そして、一致していると判断した場合には、対応するランプ9を点灯あるいは点滅させる処理を行う。つまり、
このようにして、検索している郵便物を収納している無線タグ付き収納ケース8が収納されている場所をランプ9を点灯あるいは点滅させることにより郵便局員に知らせることができるので、郵便局員は容易に郵便物を検索することができる。
【0034】
ところで、郵便局での日次処理で、物品収納装置1に収納されている無線タグ付き収納ケース8を移動させる場合がある。例えば、物品収納装置1には不在配達日毎に纏まって無線タグ付き収納ケース8が収納されている。従って、日が経過すると不在配達日毎に纏まって収納されている無線タグ付き収納ケース8を纏めて移動する作業が発生する。このような場合には、操作ノブ6,7をそれぞれ回転させることにより、各シャフト部材4,5に形成された切欠部4,5いずれも図4(b)に示すように図4(a)に示した位置から180度回転させた位置にする。この状態では、収納ケース8の保持部14の側面は、切欠部4a,4bに当接しないため、収納ケース8はシャフト部材4,5の軸方向に移動可能である。このように図4(b)に示した状態では、収納ケース8は自由にシャフト部材4,5の軸方向に移動させることができる。従って、収納ケース8を壁で仕切られた棚に1つずつ収納しておいたような場合には、一々収納ケース8を取り出してから再度挿入するという手間があるが、本願発明に係る物品収納装置1では、収納ケース8の移動を容易に行うことができる。
【0035】
次に、保管する郵便物が多い場合には、図9に示すように、ホストコンピュータ11に複数の物品収納装置101〜10nを接続する。そして、郵便物を物品収納装置101〜10nに収納させる際に、どの物品収納装置に収納されているかの情報を得ておくとよい。このように物品収納装置に収納されているかの情報を予め得ておくことにより、ホストコンピュータ11に複数の物品収納装置が接続されている場合でも速く郵便物を検索することができる。
【0036】
例えば、複数の物品収納装置に郵便物を保管する場合には、例えば地域毎に区分すると共に、その地域内では配達した日付毎に保管される。
【0037】
なお、上記実施の形態ではRFIDを検索IDとして使用したが、RFIDに限らず無線タグ22に別のIDを書き込んでおくことにより、この別のIDを検索IDとして使用しても良い。
【0038】
さらに、報知手段としては、ランプに限らず音で知らせるようにしても良く、音とランプで知らせるようにしても良い。
【0039】
なお、上記した実施の形態では、シャフト部材4,5にそれぞれ切欠部4,5を設けたが、シャフト部材4に切欠部4を設け、シャフト部材5には切欠部5を設けないようにしても良い。
【0040】
さらに、シャフト部材4の回転をシャフト部材5の回転に伝達する伝達機構を設け、シャフト部材4あるいは5を回転させることにより、他方のシャフト部材を同じように回転させるようにしても良い。また、シャフト部材の総数も2本に限るものではない。
【0041】
上記実施の形態では、物品として郵便物を収納する無線タグ付き収納ケース8を採用したが、物品として特に無線タグ付き収納ケースに限るものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態に係る物品収納装置の斜視図。
【図2】同物品収納装置の要部を示す図。
【図3】同物品収納装置に収納ケースを収納する動作を説明するための斜視図。
【図4】図4(a)は同物品収納装置のシャフト部材に収納ケースを係合させた状態を示す図、図4(b)はその係合状態を解除した状態を示す図。
【図5】同実施の形態に係わる無線タグリーダの構成を示す図。
【図6】同実施の形態に係わる無線タグの要部構成を示す図。
【図7】同実施の形態に係わるホストコンピュータの構成を示すブロック図。
【図8】同実施の形態に係わる固有無線IDとお知らせ番号との関係を示すテーブルを示す図。
【図9】本発明の他の実施の形態に係わる郵便物検索システムのシステム構成を示す図。
【符号の説明】
【0043】
1…物品収納装置、4,5…シャフト部材、4a,4b…切欠部、6,7…操作ノブ、
22…無線タグ、221〜22n…アンテナ、381〜38n…切換えスイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが取り付けられた物品を吊り下げて収納する物品収納装置において、
開口部を有する箱体と、
この箱体内に上記物品を吊り下げて保持するシャフト部材とを具備し、
このシャフト部材には軸方向に所定間隔で複数の溝が形成されていることを特徴とする物品収納装置。
【請求項2】
前記シャフト部材は上記箱体に回転自在に保持されており、このシャフト部材を回転することにより前記シャフト部材と前記物品の係合が解除されることを特徴とする請求項1記載の物品収納装置。
【請求項3】
前記溝に1対1に対応して無線タグ用アンテナが配設されていることを特徴とする請求項1記載の物品収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−16112(P2006−16112A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193864(P2004−193864)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】