説明

物品収納設備

【課題】物品保持部を引退位置からの突出作動を開始するタイミングを簡単な処理で求めることができる物品収納設備を提供する。
【解決手段】複数の収納部のうちで移載作業対象とする収納部が指示されると、移動開始位置から設定移動速度まで加速して設定移動速度で移動した後、減速して移載作業対象とする収納部に対する目標停止位置まで移動させるべく、移動基台の移動を制御する移動制御を実行し、計時手段にて計時された経過時間が移動開始位置から目標停止位置に移動基台が移動する所要時間より突出用設定時間だけ短い時間になると引退位置からの突出作動を開始して、移動基台が目標停止位置に停止する前に、移載装置における物品保持部を引退位置から突出位置に向けて突出作動させることを開始する突出制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納する複数の収納部が並設された収納棚の前面側において前記収納部の並び方向に移動操作される移動基台と、その移動基台に装備されて、物品保持部を前記移動基台側に引退させた引退位置と前記収納部側に突出させた突出位置とに出退移動させて物品を移載する移載装置と、前記移動基台の移動及び前記移載装置における前記物品保持部の出退作動を制御する運転制御手段とが設けられ、前記運転制御手段が、前記複数の収納部のうちで移載作業対象とする収納部が指示されると、移動開始位置から設定移動速度まで加速して設定移動速度で移動した後、減速して前記移載作業対象とする収納部に対する目標停止位置まで移動させるべく、前記移動基台の移動を制御する移動制御、及び、その移動基台が前記目標停止位置に停止する前に、前記移載装置における前記物品保持部を引退位置から突出位置に向けて突出作動させることを開始する突出制御を実行するように構成されている物品収納設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品収納設備は、移動基台を移載作業対象の収納部に対する目標停止位置まで移動させ、移載装置における物品保持部を出退移動させて移載作業対象の収納部との間で物品を移載するものであり、移載作業対象の収納部から移載装置に物品を移載して収納部に収納されている物品を取り出し、移載装置から移載作業対象の収納部に物品を移載して収納部に物品を収納して物品を搬送するものであり、移動基台が目標停止位置に停止する前に移載装置における物品保持部を引退位置から突出位置に向けて突出作動させることを開始して、移動基台が目標停止位置に移動してから物品を移載するのに要する時間を短くしている。
【0003】
このような物品収納設備の従来例として、移動基台が目標停止位置に向けて収納部の並び方向に移動して、移動基台が目標停止位置より手前に設定された走行速度判別用位置まで移動したときに突出開始位置設定処理を実行して突出開始位置を設定し、移動基台が突出開始位置まで移動したときに物品保持部を引退位置から突出位置に向けて突出作動させることを開始するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、突出開始位置設定処理では、走行速度判別用位置における移動基台の走行速度を検出し、その移動基台の走行速度に基づいて突出開始位置を算出している。このように算出した突出開始位置まで移動基台が移動したときに物品保持部の突出作動を開始することで、物品保持部を早めに突出させて、移動基台が目標停止位置に移動してから物品を移載するのに要する時間を短くしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−327759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来例の物品収納設備では、移動基台の移動途中において、移動基台の収納部の並び方向での移動速度に基づいて突出開始位置を算出しており、このように移動速度に基づいて突出開始位置を算出することで運転制御手段の負担が大きくなり、運転制御手段による処理に時間がかかるといった問題が生じていた。そのため、物品保持部を引退位置からの突出作動を開始するタイミングを簡単な処理で求めることが望まれている。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、物品保持部を引退位置からの突出作動を開始するタイミングを簡単な処理で求めることができる物品収納設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる物品収納設備は、物品を収納する複数の収納部が並設された収納棚の前面側において前記収納部の並び方向に移動操作される移動基台と、その移動基台に装備されて、物品保持部を前記移動基台側に引退させた引退位置と前記収納部側に突出させた突出位置とに出退移動させて物品を移載する移載装置と、前記移動基台の移動及び前記移載装置における前記物品保持部の出退作動を制御する運転制御手段とが設けられ、前記運転制御手段が、前記複数の収納部のうちで移載作業対象とする収納部が指示されると、移動開始位置から設定移動速度まで加速して設定移動速度で移動した後、減速して前記移載作業対象とする収納部に対する目標停止位置まで移動させるべく、前記移動基台の移動を制御する移動制御、及び、その移動基台が前記目標停止位置に停止する前に、前記移載装置における前記物品保持部を引退位置から突出位置に向けて突出作動させることを開始する突出制御を実行するように構成されているものであって、その第1特徴構成は、
前記移動基台の移動開始からの経過時間を計時する計時手段が設けられ、前記運転制御手段が、前記突出制御において、前記計時手段にて計時された時間が前記移動開始位置から前記目標停止位置に前記移動基台が移動する所要時間より突出用設定時間だけ短い時間になると前記引退位置からの突出作動を開始するべく、前記移載装置の作動を制御するように構成されている点にある。
【0008】
すなわち、移動制御により移動基台が移動開始位置からの移動を開始してからの経過時間が、所要時間より突出用設定時間だけ短い時間になると、物品保持部の引退位置からの突出作動が開始されるように、突出制御が実行される。
よって、物品保持部の引退位置からの突出作動は、移動基台が目標停止位置に到着するときよりも突出用設定時間だけ前に開始されるため、移動基台が目標停止位置に移動してから物品保持部の引退位置からの突出作動を開始させる場合に比べて、移動基台が目標停止位置に移動してから物品を移載するのに要する時間を短くすることができる。
【0009】
そして、突出用設定時間は、例えば、移動基台が設定移動速度から設定減速度で減速しているときに、物品保持部を引退位置から突出位置に向けて突出作動させることを開始する場合、設定減速度に基づいて突出用設定時間を予め算出して設定しておくことで、運転制御手段にて突出設定時間を算出する必要がなく、物品保持部を引退位置からの突出作動を開始するタイミングを簡単な処理で求めることができる。
従って、物品保持部を引退位置からの突出作動を開始するタイミングを簡単な処理で求めることができる物品収納設備を提供することができるに至った。
【0010】
本発明にかかる物品収納設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記収納棚が、棚横幅方向に間隔を隔てた状態で物品支持用部材を複数並設して構成され、前記収納部が、棚横幅方向に隣接する前記物品支持用部材の間に前記収納部を形成する形態で、前記収納棚に前記収納部を棚横幅方向に複数並設し、且つ、棚横幅方向に隣接する前記物品支持用部材に亘って支持された状態で物品を収納するように構成され、前記引退位置の前記物品保持部をその突出方向で前記物品支持用部材に到達するまで突出させる突出量より小さな突出量が設定突出量として設定され、前記突出用設定時間が、前記物品保持部が前記移載作業対象の収納部に収納された物品を支持する前記物品支持用部材と棚横幅方向で重複する保持部重複範囲を通過してから前記移動基台が前記目標停止位置まで移動するのに要する移動所要時間に、前記物品保持部が前記引退位置から前記設定突出量まで突出するのに要する突出所要時間を加えた時間又は前記突出所要時間より短い時間を加えた時間に設定されている点にある。
【0011】
すなわち、突出用設定時間を、物品保持部が保持部重複範囲を通過してから移動基台が目標停止位置まで移動するのに要する移動所要時間に、物品保持部が引退位置から設定突出量まで突出するのに要する突出所要時間を加えた時間又は突出所要時間より短い時間を加えた時間に設定することで、物品保持部が保持部重複範囲を通過する前に物品保持部の突出作動が開始される。
そして、設定突出量として、引退位置の物品保持部をその突出方向で物品支持用部材に到達するまで突出させる突出量より小さな突出量が設定されているため、物品保持部が物品支持用部材に干渉しない。
従って、物品保持部が保持部重複範囲を通過してから物品保持部の突出を開始させた場合に比べて、突出所要時間又はそれより短い時間だけ早いタイミングで物品保持部の突出を開始することができる。
【0012】
本発明にかかる物品収納設備の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記移動基台の前記収納棚に対する前記収納部の並び方向での位置を検出する位置検出手段と、前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことを検出する突出検出手段とが設けられ、前記運転制御手段が、前記突出制御により前記物品保持部が突出作動している状態において、前記位置検出手段の検出情報に基づいて前記物品保持部が前記保持部重複範囲に位置していると判別し、且つ、前記突出検出手段にて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことが検出されると、前記物品保持部を保持部用減速度で減速させて前記物品保持部の突出作動を停止させる突出中断制御を実行するように構成され、前記設定突出量が、前記突出中断制御の実行により前記物品保持部をその突出方向で前記物品支持用部材の手前で停止できる突出量に設定されている点にある。
【0013】
すなわち、物品保持部が保持部重複範囲に位置し且つ突出検出手段にて物品保持部が設定突出量まで突出したことが検出されたときは突出中断制御が実行される。そして、設定突出量が、突出中断制御の実行により物品保持部をその突出方向で物品支持用部材の手前で停止できる突出量に設定されている。具体的には、例えば、設定突出量が、突出検出手段にて物品保持部が設定突出量まで突出したことが検出されて、運転制御手段が突出中断制御を実行して突出作動中の物品保持部を停止させる信号を発した後に、物品保持部が物品支持用部材に接触することなくその手前で停止することができる突出量に設定されている。
よって、物品保持部が保持部重複範囲に位置している場合において物品保持部が設定突出量まで突出した場合でも、突出中断制御が実行されることで、物品保持部が物品支持用部材に接触することを未然に防止することができる。
【0014】
本発明にかかる物品収納設備の第4特徴構成は、第3特徴構成において、前記突出検出手段が、前記物品保持部の突出移動又は突出量に対応する信号を出力する信号出力手段と、前記信号出力手段が出力した信号に基づいて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したか否かを判別する信号用判別手段とを備えて構成され、前記突出検出手段は、前記信号用判別手段にて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したと判別されることで前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことを検出するように構成されている点にある。
【0015】
すなわち、物品保持部の突出移動又は突出量に対応する信号が信号出力手段から出力されて、その信号に基づいて信号用判別手段にて設定突出量まで突出したと判別されると、運転制御手段にて突出中断制御が実行される。そして、信号出力手段は物品保持部の突出移動又は突出量に対応する信号を出力するように構成されているため、物品保持部が設定突出量まで突出したときに信号出力手段から適切に信号を出力させることができ、突出検出手段にて物品保持部が設定突出量まで突出したことを適確に検出することができる。
【0016】
本発明にかかる物品収納設備の第5特徴構成は、第3特徴構成において、前記計時手段が、前記物品保持部の突出開始からの経過時間を計時するように構成され、前記突出検出手段が、前記計時手段と、前記計時手段が計時する前記物品保持部の突出開始からの経過時間が前記突出所要時間になると前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したと判別する計時用判別手段とを備えて構成され、前記突出検出手段は、前記計時用判別手段にて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したと判別することで前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことを検出するように構成されている点にある。
【0017】
すなわち、計時手段にて突出所要時間経過されて計時用判別手段にて物品保持部が設定突出量まで突出したと判別されると、運転制御手段にて突出中断制御が実行される。そして、移動基台の移動開始からの経過時間を計時する計時手段にて、物品保持部の突出開始からの経過時間を計時することで、突出検出手段に専用の計時手段を設ける必要がなく、構成の簡素化を図ることができる。
【0018】
本発明にかかる物品収納設備の第6特徴構成は、第3〜第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記運転制御手段が、前記突出中断制御の実行により前記物品保持部の突出作動速度が減速中である状態又は突出作動が停止した状態である場合において、前記位置検出手段の検出情報に基づいて前記保持部重複範囲を通過したと判別すると、前記物品保持部を前記突出位置まで突出させるように構成されている点にある。
【0019】
すなわち、突出中断制御により物品保持部の突出作動速度が減速中である状態又は突出作動が停止した状態であっても、物品保持部が保持部重複範囲を通過すると物品保持部が物品支持用部材に干渉する虞はなくなる。そのため、突出中断制御の実行により物品保持部の突出作動速度が減速中である状態又は突出作動が停止した状態である場合において、移動基台が保持部重複範囲を通過した場合は、物品保持部を突出位置まで突出させることで、物品保持部が物品支持用部材に接触することを防止しながら、物品保持部の突出作動を継続或いは再開して行うことができる。
【0020】
本発明にかかる物品収納設備の第7特徴構成は、第3〜第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記物品支持用部材が、前記収納部に隣接する状態で立設された支柱と、その支柱から前記棚横幅方向で収納部内方側に突出する状態で前記支柱に取り付けられた載置支持体とを備えて構成され、前記収納部が、隣接する前記支柱の間に位置する一対の前記載置支持体に亘って載置支持される形態で物品を前記収納部に収納するように構成され、前記移載装置が、前記物品保持部にて物品を載置支持した状態で物品を移載自在に構成されて、前記棚横幅方向での幅が前記物品保持部の幅より幅広の物品を前記物品保持部から前記棚横幅方向の両側に突出する状態で載置支持するように構成され、前記運転制御手段が、前記物品保持部にて物品を載置支持していない空荷状態では、前記突出制御により前記物品保持部が突出作動している状態において、前記位置検出手段の検出情報に基づいて前記物品保持部が前記保持部重複範囲に位置していると判別し、且つ、前記突出検出手段にて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことが検出されると、前記突出中断制御を実行し、前記物品保持部にて物品を載置支持している実荷状態では、前記突出制御により前記物品保持部が突出作動している状態において、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記物品保持部に載置支持されている物品が前記支柱と前記棚横幅方向で重複する物品重複範囲に位置していると判別し、且つ、前記突出検出手段にて前記物品保持部が実荷用設定突出量まで突出したことが検出されると、前記突出中断制御を実行するように構成されている点にある。
【0021】
すなわち、空荷状態では、収納部に位置する物品を物品保持部にて掬い取って収納部から移動基台に物品を移載することになるが、この場合、物品の下面より下方に位置する高さで物品保持部が突出する。そのときの物品保持部は支柱や載置支持体に接触する虞がある高さに位置している。
そこで、空荷状態では、位置検出手段の検出情報に基づいて物品保持部が保持部重複範囲に位置していると判別し、且つ、突出検出手段にて物品保持部が設定突出量まで突出したことが検出された場合に突出中断制御を実行することにより、空荷状態において物品保持部が物品支持用部材(支柱及び載置支持体)に接触することを未然に防止することができる。
【0022】
また、実荷状態では、物品保持部にて載置支持されている物品を収納部に卸して移動基台から収納部に物品を移載することになるが、この場合、物品の下面が載置支持体の上面より上方に位置する高さで突出させる。そのときの物品は支柱に接触する虞がある高さに位置している。しかも、物品は、物品保持部から棚横幅方向に突出しているため、物品保持部よりも支柱に接触し易い。
そこで、実荷状態では、位置検出手段の検出情報に基づいて物品保持部に載置支持されている物品が物品重複範囲に位置していると判別し、且つ、突出検出手段にて物品保持部が実荷用設定突出量まで突出したことが検出された場合に突出中断制御を実行することにより、実荷状態において物品が支柱に接触することを未然に防止することができる。
【0023】
本発明にかかる物品収納設備の第8特徴構成は、第7特徴構成において、前記突出用設定時間として、前記空荷状態では、前記物品保持部が前記保持部重複範囲を通過してから前記移動基台が前記目標停止位置まで移動するのに要する空荷用移動所要時間に、前記物品保持部が前記引退位置から前記空荷用設定突出量まで突出するのに要する空荷用突出所要時間を加えた時間又は前記空荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間が設定され、前記実荷状態では、物品が前記物品重複範囲を通過してから前記移動基台が前記目標停止位置まで移動するのに要する実荷用移動所要時間に、前記物品保持部が前記引退位置から前記実荷用設定突出量まで突出するのに要する実荷用突出所要時間を加えた時間又は前記実荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間が設定されている点にある。
【0024】
すなわち、空荷状態では、突出用設定時間として、空荷用移動所要時間に空荷用突出所要時間を加えた時間又は空荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間が設定されているため、物品保持部が保持部重複範囲を通過する前に物品保持部の突出作動が開始され、また、物品保持部が保持部重複範囲に位置している状態では物品保持部の突出量は空荷用設定突出量よりも小さな突出量となる。従って、物品保持部が保持部重複範囲を通過してから物品保持部の突出を開始させた場合に比べて、空荷用突出所要時間又はそれより短い時間だけ早いタイミングで物品保持部の突出を開始することができながら、物品保持部が物品支持用部材に接触することを未然に防止することができる。
【0025】
また、実荷状態では、突出用設定時間として、実荷用移動所要時間に実荷用突出所要時間を加えた時間又は実荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間が設定されているため、物品が物品重複範囲を通過する前に物品保持部の突出作動が開始され、また、物品保持部が物品重複範囲に位置している状態では物品保持部の突出量は実荷用設定突出量よりも小さな突出量となる。従って、物品が物品重複範囲を通過してから物品保持部の突出を開始させた場合に比べて、実荷用突出所要時間又はそれより短い時間だけ早いタイミングで物品保持部の突出を開始することができながら、物品が支柱に接触することを未然に防止することができる。
【0026】
本発明にかかる物品収納設備の第9特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記設定移動速度、前記設定移動速度まで加速する設定加速度、及び、前記設定移動速度から減速する設定減速度のうちの一部又は全部が、前記移動開始位置から前記目標停止位置までの距離又は前記物品保持部にて物品を保持しているか否かに基づいて異なる値に設定されている点にある。
【0027】
すなわち、例えば、移動開始位置から目標停止位置までの距離が長い場合は、移動開始位置から目標停止位置までの距離が短い場合よりも、設定移動速度、設定加速度及び設定移動速度として大きな値を設定する、又は、物品保持部にて物品を保持していない場合は、物品保持部にて物品を保持している場合よりも、設定移動速度、設定加速度及び設定移動速度として大きな値を設定する等により、物品を効率よく搬送することができる。
【0028】
本発明にかかる物品収納設備の第10特徴構成は、第1〜第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記運転制御手段が、前記計時手段にて計時された前記物品保持部の引退作動開始からの経過時間が前記物品保持部が前記突出位置から前記引退位置に引退移動するのに要する時間より引退用設定時間だけ短い時間になると前記移動基台を次の目標停止位置に向けての移動を開始するべく、前記移動基台の移動を制御するように構成されている点にある。
【0029】
すなわち、物品保持部の引退作動開始からの経過時間が、物品保持部が突出位置から引退位置に引退移動するのに要する時間より引退用設定時間だけ短い時間になると、移動基台を次の目標停止位置に向けての移動を開始されるように、移動制御が実行される。
よって、移動基台の移動開始位置からの移動は、物品保持部が引退位置に引退するよりも引退用設定時間だけ前に開始されるため、物品保持部が引退位置に引退してから移動基台を走行開始位置からの移動を開始させる場合に比べて、次の物品を移載するのに要する時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】物品収納設備の斜視図
【図2】スタッカークレーンの側面図
【図3】物品保持部の引退位置と突出位置とを示す平面図
【図4】掬い用停止位置と卸し用停止位置とを示す側面図
【図5】物品保持部に物品を載置させた状態を示す平面図
【図6】制御ブロック図
【図7】物品保持部の空荷用設定突出量を示す平面図
【図8】物品保持部の実荷用設定突出量を示す平面図
【図9】走行速度変化を示すグラフ
【図10】出退速度変化を示すグラフ
【図11】走行移動、昇降移動及び出退移動の関係を示すグラフ
【図12】掬い処理における物品保持部の移動を示す平面図
【図13】卸し処理における物品保持部の移動を示す平面図
【図14】掬い処理のフローチャート
【図15】卸し処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品収納設備は、物品Wを収納する収納部1を棚横幅方向及び上下方向に並べて備えた収納棚2と、その収納棚2の前方側を棚横幅方向に沿って走行するスタッカークレーン3と、物品Wの四隅を載置支持する荷受部4aを備えた搬出入用の荷受台4とを設けて構成されている。
尚、図1において、矢印Xで示す方向が棚横幅方向であり、矢印Yで示す方向が棚前後方向であり、矢印Zで示す方向が上下方向である。
【0032】
〔収納棚〕
収納棚2は、互いに対抗するように間隔を隔てた状態で一対設置されている。各収納棚2は、棚横幅方向に間隔を隔てた状態で物品支持用部材5を等間隔で複数並設して構成されており、棚横幅方向に隣接する物品支持用部材5に亘って支持された状態で物品Wを収納部1に収納するように構成されている。
収納部1における物品Wの収納形態について説明を加えると、物品支持用部材5は、収納部1に隣接する状態で立設された支柱5aと、その支柱5aから棚横幅方向で収納部1内方側に突出する状態で支柱5aに取り付けられた載置支持体5bとを備えて構成されており、隣接する支柱5aの間に位置する一対の載置支持体5bに亘って載置支持される形態で物品Wを収納部1に収納するように構成されている。
【0033】
そして、棚横幅方向に隣接する支柱5a(物品支持用部材5)の間に収納部1を形成する形態で、収納棚2に収納部1が棚横幅方向に複数並設されている。また、支柱5aには、複数の載置支持体5bが上下方向に間隔を隔てた状態で取り付けられており、それら載置支持体5bの上方に収納部1を形成する形態で、収納棚2に収納部1が上下方向に複数並設されている。
尚、収納部1は棚横幅方向及び上下方向に複数並設されているが、これら棚横幅方向及び上下方向のうち、本実施形態では棚横幅方向が収納部1の並び方向に相当する。
【0034】
図3に示すように、載置支持体5bは、前後方向に隣接する一対の支柱5aに亘って取り付けられており、支柱5aから棚前後方向におけるスタッカークレーン3が位置する側に突出する状態で支柱5aに取り付けられている。
【0035】
〔スタッカークレーン〕
図2に示すように、スタッカークレーン3は、一対の収納棚2の間に形成された走行経路6を棚横幅方向に沿って走行自在な走行台車8と、その走行台車8に立設されたマスト9に沿って昇降自在な昇降台10と、昇降台10に装備されて物品保持部11aにて物品Wを載置支持した状態で物品Wを移載自在な移載装置11と、スタッカークレーン3の作動を制御する制御装置H(図6参照)とを備えて構成されている。
尚、スタッカークレーン3を棚横幅方向に沿って走行移動させることで、収納棚2の前面側において昇降台10が棚横幅方向に沿って移動するものであり、この昇降台10が、収納棚2の前面側において収納部1の並び方向に移動操作される移動基台に相当する。
【0036】
そして、スタッカークレーン3は、走行経路6に沿って設けられた案内レール12上を転動する走行輪7を走行用電動モータM1にて回転駆動させることにより、走行台車8を棚横幅方向に沿って走行させ、昇降台10に連結されたワイヤ13を巻回する巻取りドラム14を昇降用電動モータM2にて回転駆動させることにより、昇降台10を上下方向に沿って昇降させるように構成されている。
【0037】
図3に示すように、移載装置11は、物品Wを載置支持する物品保持部11aを昇降台10側に引退させた引退位置(図3(a)に示す位置及び図4に実線で示す位置)と収納部側に突出させた突出位置(図3(b)に示す位置及び図4に仮想線で示す位置)とに出退作動するように構成されており、収納部1や荷受台4と自己との間で物品Wを移載できるように構成されている。また、移載装置11は、物品保持部11aを縦軸心周りに回転させて、一対の収納棚2の一方が位置する側又は他方が位置する側に択一的に突出自在に構成されており、一対の収納棚2のいずれの収納部1に対しても各収納部1との間で物品Wを移載できるように構成されている。尚、物品保持部11aの出退方向は棚前後方向と同じ方向である。
【0038】
図5に示すように、移載装置11にて移載する物品Wは、棚横幅方向での幅が物品保持部11aの棚横幅方向での幅より幅広であるため、物品保持部11aは、物品Wを物品保持部11aから棚横幅方向の両側に突出する状態で載置支持するようになっている。ちなみに、物品Wの棚横幅方向での幅は、棚横幅方向に隣接する支柱5aの間隔より小さく、物品Wを載置支持する一対の載置支持体5bの間隔より大きい。また、物品保持部11aの棚横幅方向での幅は、物品Wを載置支持する一対の載置支持体5bの間隔より小さい。
【0039】
図6に示すように、スタッカークレーン3には、昇降台10の棚横幅方向の位置を検出する走行位置検出センサ15と、昇降台10の上下方向の位置を検出する昇降位置検出センサ16とが設けられている。走行位置検出センサ15及び昇降位置検出センサ16は磁気式のリニアスケールのヘッドにて構成されており、走行位置検出センサ15は、走行経路6に沿って設けられた走行用のスケール(図示せず)から位置情報を検出するように走行台車8に設けられ、昇降位置検出センサ16は、マスト9に沿って設けられた昇降用のスケール(図示せず)から位置情報を検出するように昇降台10に設けられている。
尚、走行位置検出センサ15は、走行台車8の棚横幅方向での位置を検出することで昇降台10及びそれに載置支持されている物品Wの棚横幅方向での位置を間接的に検出するものであり、昇降台10の収納棚2に対する棚横幅方向での位置を検出する位置検出手段に相当する。
【0040】
また、昇降台10には、物品保持部11aの引退位置からの突出量を検出する突出量検出センサ17と、物品保持部11a上の物品Wの存否を検出する存否検出センサ18とが設けられている。突出量検出センサ17は、ロータリエンコーダにて構成され、物品保持部11aの出退移動に連動してパルス信号を出力するように構成されており、物品保持部11aの突出移動に連動して信号を出力する信号出力手段に相当する。
そして、図6に示すように、物品保持部11aが空荷用設定突出量まで突出したこと及び実荷用設定突出量まで突出したことを検出する突出検出手段22は、突出量検出センサ17と後述する判別手段23とで構成されており、物品保持部11aが空荷用設定突出量まで突出したと判別手段23が判別することで物品保持部11aが空荷用設定突出量まで突出したことを検出し、物品保持部11aが実荷用設定突出量まで突出したと判別手段23が判別することで物品保持部11aが実荷用設定突出量まで突出したことを検出するように構成されている。尚、空荷用設定突出量が本願発明の設定突出量に相当する。
【0041】
図7に示すように、空荷用設定突出量は、後述する突出制御により突出作動中の物品保持部11aが空荷用設定突出量まで突出したことに応じて突出量検出センサ17からパルス信号が出力された後に物品保持部11aの突出速度を保持部用減速度で減速させた場合に、物品保持部11aを突出方向で物品支持用部材5の手前で停止させることができる突出量に設定されている。
【0042】
説明を加えると、物品支持用部材5から干渉防止用設定距離だけ手前に非常停止位置が設定され、引退位置から非常停止位置までの突出量の半分だけ突出した位置が減速開始位置に設定されている。そして、物品保持部11aが空荷用設定突出量まで突出したことに応じて突出量検出センサ17からパルス信号が出力されてから実際に物品保持部11aの突出速度が減速するまでには、突出量検出センサ17からパルス信号が出力されてから制御装置Hにて後述する突出中断制御を実行開始するまでの制御時間や、突出中断制御の実行開始から実際に物品保持部11aの突出速度が減速するまでの駆動時間が必要となる。そのため、これらの制御時間や駆動時間を考慮して、減速開始位置からタイムラグ用設定距離だけ手前に空荷用設定突出量が設定されている。
よって、物品保持部11aが空荷用設定突出量まで突出したことに応じて突出量検出センサ17からパルス信号が出力された後、制御装置Hにて突出中断制御が実行されて制御装置Hから物品保持部11aを停止させる信号が移載装置11に発せられ、減速開始位置から物品保持部11aの突出速度が保持部用減速度で減速することで、物品保持部11aが非常停止位置で停止するようになっている。
【0043】
また、図8に示すように、実荷用設定突出量は、後述する突出制御により突出作動中の物品保持部11aが実荷用設定突出量まで突出したことに応じて突出量検出センサ17からパルス信号が出力された後に物品保持部11aの突出速度を保持部用減速度で減速させた場合に、物品保持部11aに載置支持されている物品Wを突出方向で支柱5aの手前で停止させることができる突出量に設定されている。
【0044】
説明を加えると、支柱5aから干渉防止用設定距離だけ手前に非常停止位置が設定され、引退位置に位置する物品保持部11aに載置支持されている物品Wの突出側の端部から非常停止位置に位置する物品保持部11aの突出側端部までの距離の半分だけ突出した位置が減速開始位置に設定されている。そして、上述した制御時間や駆動時間を考慮して、減速開始位置からタイムラグ用設定距離だけ手前に実荷用設定突出量が設定されている。
よって、物品保持部11aが実荷用設定突出量まで突出したことに応じて突出量検出センサ17からパルス信号が出力された後、制御装置Hにて突出中断制御が実行されて減速開始位置から物品保持部11aの突出速度が保持部用減速度で減速することで、物品保持部11aが非常停止位置で停止するようになっている。
【0045】
〔制御装置〕
図6に示すように、制御装置Hには、走行位置検出センサ15の検出情報及び昇降位置検出センサ16の検出情報が入力されており、走行位置検出センサ15の検出情報に基づいて昇降台10の棚横幅方向の位置を判別し、昇降位置検出センサ16の検出情報に基づいて昇降台10の上下方向の位置を判別するように構成されている。
また、制御装置Hには、突出量検出センサ17からのパルス信号が入力されており、突出量検出センサ17からのパルス信号に基づいて物品保持部11aの突出量を判別する判別手段23がプログラム形式で備えられている。この判別手段23は、突出量検出センサ17からのパルス信号を計数することで物品保持部11aが空荷用設定突出量まで突出したか否か及び物品保持部11aが実荷用設定突出量まで突出したか否かを判別するようになっている。尚、判別手段23が、突出量検出センサ17の信号に基づいて物品保持部11aが設定突出量まで突出したか否かを判別する信号用判別手段に相当する。
また、制御装置Hには、存否検出センサ18の検出情報が入力されており、存否検出センサ18の検出情報に基づいて、物品保持部11aにて物品Wを載置支持していない空荷状態であるか物品保持部11aにて物品Wを載置支持している実荷状態であるかを判別するように構成されている。
また、制御装置Hには、経過時間を計時する計時手段20がプログラム形式で備えられており、この計時手段20にて、移動開始位置から棚横幅方向に沿って移動する昇降台10の移動開始からの経過時間を計時するようになっている。
尚、制御装置Hが、昇降台10の移動及び移載装置11における物品保持部11aの出退作動を制御する運転制御手段に相当する。
【0046】
複数の収納部1の夫々及び荷受台4について、棚横幅方向での位置が定められた目標停止位置としての移動停止位置が予め設定されている。また、複数の収納部1の夫々及び荷受台4について、上下方向での位置が定められた掬い用停止位置と、その掬い用停止位置よりも設定量高い卸し用停止位置とが予め設定されている。
図3に示すように、移動停止位置に昇降台10が位置している状態では、棚横幅方向において物品保持部11aが隣接する一対の支柱5aの中央に位置している。そして、物品支持用部材5(支柱5a)が棚横幅方向に等間隔で設けられているため、棚横幅方向に並ぶ複数の収納部1に対して設定された移動停止位置同士の間隔は、棚横幅方向に等間隔で設定されている。ちなみに、荷受台4に対して設定された移動停止位置と棚横幅方向の端部に位置して荷受台4と隣接する収納部1に対して設定された移動停止位置との間隔は、上記した複数の収納部1に対して設定された移動停止位置同士の間隔より広い間隔となっている。
【0047】
図4(a)に示すように、掬い用停止位置の高さに昇降台10が位置している状態では、物品保持部11aの物品Wを載置支持する載置面が、物品保持部11aの上下幅内に位置しており、図4(b)に示すように、卸し用停止位置の高さに昇降台10が位置している状態では、物品保持部11aの載置面の高さが、物品保持部11aの物品Wを載置支持する載置面よりも上方に位置している。
【0048】
制御装置Hは、上位の管理手段(図示せず)から入庫指令又は出庫指令が指令されて、複数の収納部1のうちで移載作業対象とする収納部1が指示されると、昇降台10を移載作業対象の収納部1に対応する移動停止位置まで棚横幅方向に沿って移動させるべく走行用電動モータM1の作動を制御する移動制御、昇降台10を移載作業対象の収納部1に対応する掬い用停止位置又は卸し用停止位置まで上下方向に沿って移動させるべく昇降用電動モータM2の作動を制御する昇降制御、物品保持部11aを引退位置から突出位置に突出移動させるべく移載装置11の作動を制御する突出制御、及び、物品保持部11aを突出位置から引退位置に引退移動させるべく移載装置11の作動を制御する引退制御を実行するように構成されている。
【0049】
移動制御では、移動開始位置から設定走行速度まで設定加速度で加速して設定走行速度に達した後、設定減速度で減速して移載作業対象とする収納部1に対する移動停止位置まで移動させる移動速度パターンに基づいて、走行用電動モータM1の作動を制御することにより昇降台10の棚横幅方向での移動を制御するようになっている。
この移動制御では、設定移動速度、設定移動速度まで加速する設定加速度、及び、設定移動速度から減速する設定減速度のうちの一部又は全部が、移動開始位置から移動停止位置までの距離又は物品保持部11aにて物品Wを保持しているか否かに基づいて異なる値に設定されている。
【0050】
具体的には、走行開始位置から移動停止位置までの棚横幅方向での移動距離が、短距離、中距離、長距離の3つに区分されている。そして、図9に示すように、移動速度パターンには、移動距離と物品Wの載置状態とに基づいて、短距離の場合、中距離の場合、長距離で実荷状態である場合、長距離で空荷状態である場合の4種の移動形態がある。移動速度パターンにおける設定加速度及び設定減速度は、短距離の場合、中距離の場合、長距離で実荷状態である場合、長距離で空荷状態である場合の順で値が大きくなるように設定されている。また、設定移動速度は、短距離の場合、中距離の場合、長距離の場合の順で値が大きくなるように設定され、長距離で実荷状態である場合と長距離で空荷状態である場合とでは同じ値が設定されている。
【0051】
そして、移動停止位置から棚横幅方向に隣接する移動停止位置までを1区間として、走行開始位置となる移動停止位置から移動先となる移動停止位置までの区間数に対応して所要時間が予め設定されており、このように予め設定された所要時間が制御装置Hに記憶されている。この所要時間は、上記した4種の移動形態、及び、走行開始位置となる移動停止位置又は移動先となる移動停止位置が荷受台4に対応する位置であるか否かで異なる時間が設定されており、各所要時間が、区間数を示す情報、4種の移動形態を示す情報、及び、移動停止位置又は移動停止位置が荷受台4に対応する位置であるか否を示す情報に対応付けた形態で所要時間テーブルに記憶されている。4種の移動形態では、設定移動速度、設定加速度及び設定移動速度が異なるためであり、移動開始位置又は移動停止位置が荷受台4に対応する位置であるか否かは、同じ区間数でも移動距離が異なるからである。
【0052】
移動速度パターンは次のようにして設定される。
まず、走行開始位置となる移動停止位置から移動先となる移動停止位置までの区間数に基づいて、移動距離の区分が、短距離、中距離又は長距離のいずれの区分であるかを判別する。
次に、移動距離の区分、及び、空荷状態であるか実荷状態であるかに基づいて、設定移動速度、設定加速度及び設定移動速度が設定され、移動距離の区分、空荷状態であるか実荷状態であるか、及び、移動開始位置又は移動停止位置が荷受台4に対応する位置であるか否かに基づいて、所要時間が設定される。
そして、これら移動する区間数、設定移動速度、設定加速度及び設定減速度、並びに、所要時間に基づいて、移動速度パターンが設定される。
【0053】
昇降制御では、昇降開始位置から設定昇降速度まで昇降用設定加速度で加速して設定昇降速度に達した後、設定昇降用減速度で減速して移載作業対象とする収納部1に対する掬い用停止位置又は卸し用停止位置まで昇降移動させる昇降台10の昇降速度パターンに基づいて、昇降用電動モータM2の作動を制御することにより昇降台10の上下方向での移動を制御するようになっている。詳細な説明は省略するが、この昇降制御でも、設定昇降速度、昇降用設定加速度、及び、昇降用設定減速度の一部又は全部が、昇降開始位置から掬い用停止位置又は卸し用停止位置までの距離(区間数)及び物品保持部11aにて物品Wを保持しているか否かに基づいて走行制御と同様に異なる値に設定されている。
【0054】
突出制御では、引退位置から保持部用速度まで保持部用加速度で加速して保持部用出退速度に達した後、保持部用減速度で減速して突出位置まで突出させる突出速度パターンに基づいて、物品保持部11aの突出移動を制御するようになっている。
また、引退制御では、突出位置から保持部用速度まで保持部用加速度で加速して保持部用出退速度に達した後、保持部用減速度で減速して引退位置まで引退させる引退速度パターンに基づいて、物品保持部11aの引退移動を制御するようになっている。
【0055】
この突出制御及び引退制御では、図10に示すように、保持部用加速度、保持部用減速度及び保持部用速度は、実荷状態か空荷状態かで異なる値に設定されており、保持部用加速度、保持部用減速度及び保持部用速度は、実荷状態に比べて空荷状態の方が大きな速度が設定されている。
【0056】
制御装置Hは、上位の管理手段から入庫指令又は出庫指令が指令されると、掬い処理と卸し処理とを実行して、物品Wを搬送する。つまり、入庫指令が指令されると、荷受台4上の物品Wを掬い取る掬い処理を実行し、その掬い取った物品Wを収納部1に卸す卸し処理を実行して、物品Wを収納部1に入庫させる。また、出庫指令が指令されると、収納部1に収納されている物品Wを掬い取る掬い処理を実行し、その掬い取った物品Wを荷受台4上に卸す卸し処理を実行して、収納部1に収納されている物品Wを荷受台4上に出庫させる。
このようにして、制御装置Hは、上位の管理手段にて指令される入庫指令又は出庫指令に基づいてスタッカークレーン3の作動を制御するように構成されている。
【0057】
そして、移載作業対象の収納部1に対して掬い処理を行う場合は、走行位置検出センサ15や昇降位置検出センサ16の検出情報に基づいて移動制御及び昇降制御を実行して、空荷状態の昇降台10を移載作業対象の収納部1に対する移動停止位置で且つ掬い用停止位置に移動させる。そして、突出制御を実行して物品保持部11aを突出位置に突出させ、昇降制御を実行して昇降台10を卸し用停止位置に上昇移動させ、引退制御を実行して物品保持部11aを引退位置に引退させて、収納部1に収納されている物品Wを物品保持部11aにて掬い取るようになっている。
【0058】
また、移載作業対象の収納部1に対して卸し処理を行う場合は、走行位置検出センサ15や昇降位置検出センサ16の検出情報に基づいて移動制御及び昇降制御を実行して、実荷状態の昇降台10を移載作業対象の収納部1に対する移動停止位置で且つ卸し用停止位置に移動させる。そして、突出制御を実行して物品保持部11aを突出位置に突出させ、昇降制御を実行して昇降台10を掬い用停止位置に下降移動させ、引退制御を実行して物品保持部11aを引退位置に引退させて、物品保持部11a上の物品Wを収納部1に卸すようになっている。
【0059】
図11に示すように、制御装置Hは、掬い処理を行う場合、計時手段20にて計時された昇降台10の移動開始からの経過時間が移動開始位置から移動停止位置に昇降台10が移動する所要時間より突出用設定時間だけ短い時間になると引退位置からの突出作動を開始するべく、移載装置11の作動を制御するように構成されている。また、計時手段20にて計時された物品保持部11aの突出作動開始からの経過時間が引退位置から突出位置に物品保持部11aが突出するのに要する時間より昇降用設定時間だけ短い時間になると掬い用停止位置から上昇移動を開始するべく、昇降台10の移動を制御するように構成されている。また、計時手段20にて計時された昇降台10の上昇開始からの経過時間が掬い用停止位置から卸し用停止位置まで上昇移動するのに要する時間より引退用設定時間だけ短い時間になると突出位置からの引退作動を開始するべく、移載装置11の作動を制御するように構成されている。また、計時手段20にて計時された物品保持部11aの引退作動開始からの経過時間が突出位置から引退位置に物品保持部11aが引退移動するのに要する時間より引退用設定時間だけ短い時間になると昇降台10を次の移動停止位置に向けての移動を開始するべく、昇降台10の移動を制御するように構成されている。
【0060】
制御装置Hは、物品保持部11aにて物品Wを載置支持していない空荷状態では、突出制御により物品保持部11aが突出作動している状態において、走行位置検出センサ15の検出情報に基づいて、物品保持部11aが物品支持用部材5と棚横幅方向で重複する保持部重複範囲であると判別し、且つ、突出検出手段22にて物品保持部11aが空荷設定突出量まで突出したことが検出されると、物品保持部11aを保持部用減速度で減速させて物品保持部11aの突出作動を停止させる突出中断制御を実行するように構成されている。
また、制御装置Hは、物品保持部11aにて物品Wを載置支持している実荷状態では、突出制御により物品保持部11aが突出作動している状態において、走行位置検出センサ15の検出情報に基づいて、物品保持部11aに載置支持されている物品Wが支柱5aと棚横幅方向で重複する物品重複範囲に位置していると判別し、且つ、突出検出手段22にて物品保持部11aが実荷用設定突出量まで突出したことが検出されると、突出中断制御を実行するように構成されている。
【0061】
そして、制御装置Hは、空荷状態で且つ突出中断制御の実行により物品保持部11aの突出作動速度が減速中である状態又は突出作動が停止した状態である場合において、走行位置検出センサ15の検出情報に基づいて物品保持部11aが保持部重複範囲を通過したと判別すると、物品保持部11aを突出位置まで突出させるべく移載装置11の作動を制御し、実荷状態で且つ突出中断制御の実行により物品保持部11aの突出作動速度が減速中である状態又は突出作動が停止した状態である場合において、走行位置検出センサ15の検出情報に基づいて物品Wが物品重複範囲を通過したと判別すると、物品保持部11aを突出位置まで突出させるべく移載装置11の作動を制御するように構成されている。
【0062】
〔移動制御と突出制御との関係〕
上述の如く、制御装置Hは、移動制御により昇降台10が移動停止位置に停止する前に、移載装置11における物品保持部11aを引退位置から突出位置に向けて突出作動させることを開始する突出制御を実行するように構成されている。次に、移動制御と突出制御との関係について説明する。
【0063】
掬い処理(空荷状態)では、突出用設定時間として、物品保持部11aが移載作業対象の収納部1に収納された物品Wを載置支持する物品支持用部材5と棚横幅方向で重複する保持部重複範囲を通過してから昇降台10が移動停止位置まで移動するのに要する空荷用移動所要時間に、物品保持部11aが引退位置から空荷用設定突出量まで突出するのに要する空荷用突出所要時間を加えた時間又は空荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間が設定されている。
【0064】
そして、図12に示すように、掬い処理を行う場合、計時手段20にて計時された昇降台10の移動開始からの経過時間が、所要時間より突出用設定時間にタイムラグ用設定時間を加えた時間だけ短い時間になると、突出制御を開始するようになっている。
つまり、タイムラグ用設定時間は、計時手段20が時間を計時してから制御装置Hにて突出制御が実行されるまでの時間や、突出制御が実行されてから実際に物品保持部11aの引退位置からの突出作動が開始するまでの時間を考慮して設定されている。つまり、掬い処理を行う場合、所要時間をT1、突出用設定時間(空荷用移動所要時間に空荷用突出所要時間又はそれより短い時間を加えた時間)をT2、タイムラグ用設定時間をT3とすると、T1−(T2+T3)の時間が計時手段20にて計時されると、突出制御が開始されて、T1−T2に物品保持部11aの引退位置からの突出が開始し、T1に昇降台10が移動停止位置に移動するようになっている。
【0065】
卸し処理(実荷状態)では、突出量設定時間として、物品保持部11aに載置支持された物品Wが移載作業対象の収納部1に隣接する支柱5aと棚横幅方向で重複する物品重複範囲を通過してから昇降台10が移動停止位置まで移動するのに要する実荷用移動所要時間を加えた時間又は実荷用移動所要時間より短い時間を加えた時間に、物品保持部11aが引退位置から実荷用設定突出量まで突出するのに要する時間を加えた時間が設定されている。
【0066】
そして、図13に示すように、卸し処理を行う場合も、掬い処理を行う場合と同様に、計時手段20にて計時された昇降台10の移動開始からの経過時間が、所要時間より突出用設定時間にタイムラグ用設定時間を加えた時間だけ短い時間になると、突出制御を開始するようになっている。
つまり、卸し処理を行う場合、所要時間をT1、突出用設定時間(実荷用移動所要時間に実荷用突出所要時間又はそれより短い時間を加えた時間)をT4、タイムラグ用設定時間をT5とすると、T1−(T4+T5)の時間が計時手段20にて計時されると、突出制御が開始されて、T1−T4に物品保持部11aの引退位置からの突出が開始し、T1に昇降台10が移動停止位置に移動するようになっている。
【0067】
掬い処理や卸し処理において物品保持部11aが保持部重複範囲を通過するときは、昇降台10の移動速度は設定移動速度から設定減速度で減速している途中であるため、空荷用移動所要時間や卸し用所要時間は、昇降台10の設定減速度により一義的に定まる時間である。つまり、掬い処理を行う場合において移動距離の区分(短距離、中距離、長距離)が同じであれば、設定減速度は同じであるため空荷用移動所要時間は同じとなる。また、卸し処理を行う場合において移動距離の区分が同じであれば、設定減速度は同じであるため、実荷用移動所要時間は同じとなる。そのため、空荷用移動所要時間及び実荷用移動所要時間は、移動距離の区分の夫々に対応して予め時間が設定されている。
【0068】
また、掬い処理及び卸し処理は、昇降制御の実行が完了しておらず物品保持部11aが掬い用停止位置又は卸し用停止位置に位置していなければ、突出制御を開始せず、昇降制御の実行が完了して物品保持部11aが掬い用停止位置又は卸し用停止位置に位置している状態で、突出制御を開始するようになっている。
【0069】
突出用設定時間を設定変更可能な時間設定手段21が設けられており、掬い処理における突出用設定時間は、空荷用移動所要時間を超える時間と空荷用移動所要時間に空荷用突出所要時間を加えた時間以下の時間との間で設定可能となっており、卸し処理における突出用設定時間は、実荷用移動所要時間を超える時間と実荷用移動所要時間に実荷用突出所要時間を加えた時間以下の時間の間で設定可能となっている。
【0070】
次に、図14に示すフローチャートに基づいて掬い処理を説明する。
まず、移載対象の物品Wが収納されている収納部1を移載作業対象の収納部1として、移動開始位置(前回の卸し処理の移動停止位置)から移載作業対象の収納部1の移動停止位置までの移動距離に基づいて、所要時間や移動速度パターン等を設定する掬い設定処理を実行する。(S1)
そして、移動制御を開始し、直前の卸し処理における物品保持部11aの引退制御が終了して物品保持部11aが引退位置まで引退した後に、昇降制御を開始する。つまり、昇降台10の棚横幅方向での移動については、直前の卸し処理において物品保持部11aが引退位置に移動する前に移動を開始しているが、昇降台10の上下方向での移動については、直前の卸し処理において物品保持部11aが引退位置に移動してから移動を開始するようになっている。(S2〜S4)
【0071】
計時手段20にて計時される昇降台10が移動開始位置から棚横幅方向に沿って移動を開始してからの時間が、突出制御開始用時間(所要時間より突出用設定時間にタイムラグ用設定時間を加えた時間だけ短い時間)経過し、且つ、昇降制御が終了して物品保持部11aが上下方向において卸し用停止位置に位置していると、突出制御を開始する。(S5〜S7)
【0072】
昇降台10が保持部重複範囲に位置していることが走行位置検出センサ15にて検出されている状態で且つ物品保持部11aが空荷用設定突出量まで突出したことが突出検出手段22にて検出されると、突出中断制御を実行する。その後、予め設定された待機用設定時間経過する前に物品保持部11aが保持部重複範囲を通過したことが走行位置検出センサ15にて検出されると、突出制御を再開し、待機用設定時間経過しても物品保持部11aが保持部重複範囲を通過したことが走行位置検出センサ15にて検出されない場合は、異常と判断して警報を発する。(S8〜S11)
【0073】
そして、計時手段20にて計時される物品保持部11aが引退位置から突出を開始してからの時間が昇降制御開始用時間となると、昇降制御を開始し、計時手段20にて計時される昇降台10の掬い用停止位置から上昇を開始してからの時間が引退制御開始用時間になると、引退制御を開始し、計時手段20にて計時される物品保持部11aが突出位置から引退を開始してからの時間が昇降制御開始用時間になると、次の卸し処理を開始し、物品保持部11aが引退位置まで引退することで掬い処理が完了する。(S12〜S17)
【0074】
次に、図15に示すフローチャートに基づいて卸し処理を説明する。
まず、移載対象の物品Wを収納する収納部1を移載作業対象の収納部1として、移動開始位置(前回の掬い処理の移動停止位置)から移載作業対象の収納部1の移動停止位置までの移動距離に基づいて、所要時間や移動速度パターン等を設定する卸し設定処理を実行する。(S21)
そして、移動制御を開始し、前回の掬い処理における物品保持部11aの引退制御が終了して物品保持部11aが引退位置まで引退した後に、昇降制御を開始する。(S22〜S24)
【0075】
計時手段20にて計時される昇降台10が移動開始位置から棚横幅方向に沿って移動を開始してからの時間が、突出制御開始用時間(所要時間より突出用設定時間にタイムラグ用設定時間を加えた時間だけ短い時間)経過し、且つ、昇降制御が終了して物品保持部11aが上下方向において掬い用停止位置に位置していると、突出制御を開始する。(S25〜S27)
【0076】
昇降台10が物品重複範囲に位置していることが走行位置検出センサ15にて検出されている状態で且つ物品保持部11aが実荷用設定突出量まで突出したことが突出検出手段22にて検出されると、突出中断制御を実行する。その後、予め設定された待機用設定時間経過する前に、物品Wが物品重複範囲を通過したことが走行位置検出センサ15にて検出されると、突出制御を再開し、待機用設定時間経過しても物品Wが物品重複範囲を通過したことが走行位置検出センサ15にて検出されない場合は、異常と判断して警報を発する。(S28〜S31)
【0077】
そして、計時手段20にて計時される物品保持部11aが引退位置から突出を開始してからの時間が昇降制御開始用時間となると、昇降制御を開始し、計時手段20にて計時される昇降台10の卸し用停止位置から下降を開始してからの時間が引退制御開始用時間になると、引退制御を開始し、計時手段20にて計時される物品保持部11aが突出位置から引退を開始してからの時間が昇降制御開始用時間になると、次の掬い処理を開始し、物品保持部11aが引退位置まで引退することで卸し処理が完了する。(S32〜S37)
【0078】
このように移動制御により昇降台10が移動開始位置から移動を開始してからの経過時間が、所要時間より突出用設定時間だけ短い時間になると、物品保持部11aの引退位置からの突出作動が開始されるように、突出制御が実行される。そのため、昇降台10が目標停止位置に移動してから物品保持部11aの引退位置からの突出作動を開始させる場合に比べて、物品Wを移載するのに要する時間を短くすることができる。
そして、突出用設定時間は、設定移動速度から減速する昇降台10の減速度に基づいて突出用設定時間を予め算出して設定されているため、制御装置Hにて突出設定時間を算出する必要がなく、物品保持部11aを引退位置からの突出作動を開始するタイミングを簡単な処理で求めることができる。
【0079】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、棚横幅方向を収納部1の並び方向とし、移動停止位置を目標停止位置として、移動基台が棚横幅方向に移動している状態において、移動基台が移動停止位置に停止する前に突出制御の実行を開始するように構成したが、上下方向を収納部1の並び方向とし、掬い用停止位置や卸し用停止位置を目標停止位置として、移動基台が上下方向に昇降移動している状態において、移動基台が掬い用停止位置や卸し用停止位置に停止する前に突出制御の実行を開始するように構成してもよい。
【0080】
(2) 上記実施形態では、突出制御により物品保持部11aが突出作動している状態において、物品保持部11aが保持部重複範囲に位置し且つ物品保持部11aが設定突出量まで突出すると、突出中断制御を実行するように構成したが、突出中断制御を実行しないように構成してもよい。
また、設定突出量を、突出作動中の物品保持部11aが設定突出量まで突出したことに応じてパルス信号が出力された後に物品保持部11aを保持部用減速度で減速させた場合に、物品保持部11aをその突出方向で物品支持用部材5の手前で停止させることができる突出量に設定したが、設定突出量は、引退位置の物品保持部11aをその突出方向で物品支持用部材5に到達するまで突出させる突出量より小さな突出量であればよい。
【0081】
(3) 上記実施形態では、突出中断制御の実行により物品保持部11aの突出作動速度が減速中である状態又は突出作動が停止した状態である場合において、位置検出手段の検出情報に基づいて物品保持部11aが保持部重複範囲を通過したと判別すると、物品保持部11aを突出位置まで突出させるように構成したが、突出中断制御の実行により物品保持部11aの突出作動速度が減速中である状態又は突出作動が停止した状態である場合において、位置検出手段の検出情報に基づいて物品保持部11aが保持部重複範囲を通過したと判別したとしても、物品保持部11aの突出作動を停止させてその停止した状態を維持するように構成してもよい。
【0082】
(4) 上記実施形態では、移載装置11を、物品保持部11aにて物品Wを載置支持した状態で物品Wを移載自在に構成されて、棚横幅方向での幅が物品保持部11aの幅より幅広の物品Wを物品保持部11aから棚横幅方向の両側に突出する状態で載置支持するように構成したが、移載装置11を、一対の物品保持部11aにて物品Wを棚横側方向から把持した状態で物品Wを移載自在に構成されて、物品Wの棚横幅方向の両側に物品保持部11aが位置する状態で保持するように構成してもよい。
ちなみに、このように移載装置11を物品保持部11aにて物品Wを把持するように構成した場合、物品支持用部材5を、棚横幅方向に並ぶ収納部1の間に立設された支柱5aと、棚横幅方向に隣接する支柱5aに亘って架設された物品支持体とを備えて構成してもよい。
【0083】
そして、突出中断制御については、一対の物品保持部11aにて物品Wを把持していない空荷状態では、突出制御により離間状態の一対の物品保持部11aが突出作動している状態において、離間状態の一対の物品保持部11aが保持部重複範囲に位置していると判別し、且つ、突出検出手段22にて物品保持部11aが設定突出量まで突出したことが検出されると、突出中断制御を実行するようにしてもよい。また、一対の物品保持部11aにて物品Wを把持している実荷状態では、突出制御により近接状態の一対の物品保持部11aが突出作動している状態において、近接状態の一対の物品保持部11aに保持部重複範囲に位置していると判別し、且つ、突出検出手段22にて物品保持部11aが実荷用設定突出量まで突出したことが検出されると、突出中断制御を実行するようにしてもよい。
ちなみに、空荷状態での保持部重複範囲は、一対の物品保持部11aにて物品Wに対する把持を解除するべく互いに離間させた離間状態の一対の物品保持部11aが、移載作業対象の収納部1に収納された物品Wを支持する支柱5aと棚横幅方向で重複する範囲とし、実荷状態での保持部重複範囲は、一対の物品保持部11aにて物品Wを把持するべく互いに近接させた近接状態の一対の物品保持部11aが、移載作業対象の収納部1に収納された物品Wを支持する支柱5aと棚横幅方向で重複する範囲としている。
【0084】
また、突出用設定時間として、空荷状態では、離間状態の一対の物品保持部11aが空荷状態での保持部重複範囲を通過してから移動基台が目標停止位置まで移動するのに要する空荷用移動所要時間に、物品保持部11aが引退位置から空荷用設定突出量まで突出するのに要する空荷用突出所要時間を加えた時間又は空荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間を設定し、実荷状態では、接近状態の一対の物品保持部11aが実荷状態での保持部重複範囲を通過してから移動基台が目標停止位置まで移動するのに要する実荷用移動所要時間に、物品保持部11aが引退位置から実荷用設定突出量まで突出するのに要する実荷用突出所要時間を加えた時間又は実荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間を設定してもよい。
【0085】
(5) 上記実施形態では、突出用設定時間を、空荷状態と実荷状態とで異なる時間を設定したが、突出用設定時間を、空荷状態と実荷状態とで同じ時間を設定してもよい。
具体的には、例えば、空荷用移動所要時間に空荷用突出所要時間を加えた時間と、実荷用移動所要時間に実荷用突出所要時間を加えた時間とのうち、短い時間を空荷状態の突出用設定時間及び実荷状態の突出用設定時間としてもよい。
【0086】
(6) 上記実施形態では、設定移動速度、設定加速度及び設定減速度のうちの全部を、移動開始位置から目標停止位置までの距離又は物品保持部11aにて物品Wを保持しているか否かに基づいて異なる値に設定したが、設定移動速度、設定加速度及び設定減速度のうちの一部を、移動開始位置から目標停止位置までの距離又は物品保持部11aにて物品Wを保持しているか否かに基づいて異なる値に設定してもよい。
具体的には、例えば、設定移動速度は、移動開始位置から目標停止位置までの距離又は物品保持部11aにて物品Wを保持しているか否かに基づいて異なる値に設定し、設定加速度や設定減速度は、移動開始位置から目標停止位置までの距離や物品保持部11aにて物品Wを保持しているか否かに関らず同じ値に設定するようにしてもよい。
また、設定移動速度、設定加速度及び設定減速度の全てを、移動開始位置から目標停止位置までの距離や物品保持部11aにて物品Wを保持しているか否かに関らず同じ値に設定するようにしてもよい。
【0087】
(7) 上記実施形態では、計時手段20にて計時された物品保持部11aの引退作動開始からの経過時間が物品保持部11aが突出位置から引退位置に引退移動するのに要する時間より引退用設定時間だけ短い時間になると移動基台を次の目標停止位置に向けての移動を開始させて、物品保持部11aが引退位置に引退する前に、移動基台を次の目標停止位置に向けて移動を開始させたが、物品保持部11aが引退位置に引退した後に、移動基台を次の目標停止位置に向けて移動を開始させるようにしてもよい。
【0088】
(8) 上記実施形態では、収納棚2に収納部1を上下方向及び棚横幅方向に並設したが、収納棚2に収納部1を棚横幅方向にのみ並設する、或いは、収納棚2に収納部1を上下方向にのみ並設するようにしてもよい。
【0089】
(9) 上記実施形態では、走行位置検出手段を、磁気式のリニアスケールのヘッドにて構成したが、走行位置検出手段を、レーザ測距計やロータリエンコーダにて構成してもよい。
【0090】
(10) 上記実施形態では、運転制御手段は、走行台車8の棚横幅方向での位置を検出する走行位置検出手段の検出情報に基づいて、物品保持部11aが保持体重複箇所を通過したか否かを判別したが、運転制御手段は、物品保持部11aの棚横幅方向の両端部に物品支持用部材5の存否を検出する存否センサの検出情報に基づいて、物品保持部11aが保持体重複箇所を通過したか否かを判別するように構成してもよい。
【0091】
(11) 上記実施形態では、また、信号出力手段を、物品保持部11aの突出移動に対応してパルス信号を出力するロータリエンコーダにて構成したが、信号出力手段を、物品保持部11aの突出量に対応して信号を出力するレーザ測距計にて構成してもよく、また、信号出力手段を、物品保持部11aが設定突出量まで突出したときに物品保持部11aに接触作用してオン操作されて信号を出力するリミットスイッチを設けてもよい。
また、上記実施形態では、突出検出手段22を、信号出力手段と信号用判別手段とを備えて構成したが、物品保持部11aを特定の速度パターンにて突出させつつ、計時手段20にて、物品保持部11aの突出開始からの経過時間を計時し、計時用判別手段としての判別手段23にて、計時手段20が計時する物品保持部11aの突出開始からの経過時間が突出所要時間になると物品保持部11aが設定突出量まで突出したと判別するようにして、突出検出手段22を、計時手段20と判別手段23とを備え、判別手段23にて物品保持部11aが設定突出量まで突出したと判別することで物品保持部11aが設定突出量まで突出したことを検出するように構成してもよい。
【0092】
(12) 上記実施形態では、タイムラグ用設定距離を、制御時間と駆動時間とを考慮して設定したが、タイムラグ用設定距離を、制御時間を考慮せずに駆動時間のみを考慮して設定し、例えば、減速開始位置から駆動時間を考慮した距離だけ手前に設定突出量を設定してもよい。すなわち、設定突出量を、その設定突出量だけ突出したときに運転制御手段が突出作動中の物品保持部11aを停止させる信号を発し、その後に物品保持部11aが物品支持用部材5に接触することなくその手前で停止することができる突出量に設定してもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 収納部
2 収納棚
5 物品支持用部材
5a 支柱
5b 載置支持体
10 移動基台
11 移載装置
11a 物品保持部
15 位置検出手段
17 信号出力手段
20 計時手段
22 突出検出手段
23 信号用判別手段
H 運転制御手段
W 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収納する複数の収納部が並設された収納棚の前面側において前記収納部の並び方向に移動操作される移動基台と、
その移動基台に装備されて、物品保持部を前記移動基台側に引退させた引退位置と前記収納部側に突出させた突出位置とに出退移動させて物品を移載する移載装置と、
前記移動基台の移動及び前記移載装置における前記物品保持部の出退作動を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、前記複数の収納部のうちで移載作業対象とする収納部が指示されると、移動開始位置から設定移動速度まで加速して設定移動速度で移動した後、減速して前記移載作業対象とする収納部に対する目標停止位置まで移動させるべく、前記移動基台の移動を制御する移動制御、及び、その移動基台が前記目標停止位置に停止する前に、前記移載装置における前記物品保持部を引退位置から突出位置に向けて突出作動させることを開始する突出制御を実行するように構成されている物品収納設備であって、
前記移動基台の移動開始からの経過時間を計時する計時手段が設けられ、
前記運転制御手段が、
前記突出制御として、前記計時手段にて計時された時間が前記移動開始位置から前記目標停止位置に前記移動基台が移動する所要時間より突出用設定時間だけ短い時間になると前記引退位置からの突出作動を開始するべく、前記移載装置の作動を制御するように構成されている物品収納設備。
【請求項2】
前記収納棚が、棚横幅方向に間隔を隔てた状態で物品支持用部材を複数並設して構成され、
前記収納部が、棚横幅方向に隣接する前記物品支持用部材の間に前記収納部を形成する形態で、前記収納棚に前記収納部を棚横幅方向に複数並設し、且つ、棚横幅方向に隣接する前記物品支持用部材に亘って支持された状態で物品を収納するように構成され、
前記引退位置の前記物品保持部をその突出方向で前記物品支持用部材に到達するまで突出させる突出量より小さな突出量が設定突出量として設定され、
前記突出用設定時間が、前記物品保持部が前記移載作業対象の収納部に収納された物品を支持する前記物品支持用部材と棚横幅方向で重複する保持部重複範囲を通過してから前記移動基台が前記目標停止位置まで移動するのに要する移動所要時間に、前記物品保持部が前記引退位置から前記設定突出量まで突出するのに要する突出所要時間を加えた時間又は前記突出所要時間より短い時間を加えた時間に設定されている請求項1記載の物品収納設備。
【請求項3】
前記移動基台の前記収納棚に対する前記収納部の並び方向での位置を検出する位置検出手段と、
前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことを検出する突出検出手段とが設けられ、
前記運転制御手段が、前記突出制御により前記物品保持部が突出作動している状態において、前記位置検出手段の検出情報に基づいて前記物品保持部が前記保持部重複範囲に位置していると判別し、且つ、前記突出検出手段にて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことが検出されると、前記物品保持部を保持部用減速度で減速させて前記物品保持部の突出作動を停止させる突出中断制御を実行するように構成され、
前記設定突出量が、前記突出中断制御の実行により前記物品保持部をその突出方向で前記物品支持用部材の手前で停止できる突出量に設定されている請求項2記載の物品収納設備。
【請求項4】
前記突出検出手段が、前記物品保持部の突出移動又は突出量に対応する信号を出力する信号出力手段と、前記信号出力手段が出力した信号に基づいて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したか否かを判別する信号用判別手段とを備えて構成され、
前記突出検出手段は、前記信号用判別手段にて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したと判別されることで前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことを検出するように構成されている請求項3記載の物品収納設備。
【請求項5】
前記計時手段が、前記物品保持部の突出開始からの経過時間を計時するように構成され、
前記突出検出手段が、前記計時手段と、前記計時手段が計時する前記物品保持部の突出開始からの経過時間が前記突出所要時間になると前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したと判別する計時用判別手段とを備えて構成され、
前記突出検出手段は、前記計時用判別手段にて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したと判別することで前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことを検出するように構成されている請求項3記載の物品収納設備。
【請求項6】
前記運転制御手段が、前記突出中断制御の実行により前記物品保持部の突出作動速度が減速中である状態又は突出作動が停止した状態である場合において、前記位置検出手段の検出情報に基づいて前記物品保持部が前記保持部重複範囲を通過したと判別すると、前記物品保持部を前記突出位置まで突出させるように構成されている請求項3〜5のいずれか1項に記載の物品収納設備。
【請求項7】
前記物品支持用部材が、前記収納部に隣接する状態で立設された支柱と、その支柱から前記棚横幅方向で収納部内方側に突出する状態で前記支柱に取り付けられた載置支持体とを備えて構成され、
前記収納部が、隣接する前記支柱の間に位置する一対の前記載置支持体に亘って載置支持される形態で物品を前記収納部に収納するように構成され、
前記移載装置が、前記物品保持部にて物品を載置支持した状態で物品を移載自在に構成されて、前記棚横幅方向での幅が前記物品保持部の幅より幅広の物品を前記物品保持部から前記棚横幅方向の両側に突出する状態で載置支持するように構成され、
前記運転制御手段が、
前記物品保持部にて物品を載置支持していない空荷状態では、前記突出制御により前記物品保持部が突出作動している状態において、前記位置検出手段の検出情報に基づいて前記物品保持部が前記保持部重複範囲に位置していると判別し、且つ、前記突出検出手段にて前記物品保持部が前記設定突出量まで突出したことが検出されると、前記突出中断制御を実行し、
前記物品保持部にて物品を載置支持している実荷状態では、前記突出制御により前記物品保持部が突出作動している状態において、前記位置検出手段の検出情報に基づいて、前記物品保持部に載置支持されている物品が前記支柱と前記棚横幅方向で重複する物品重複範囲に位置していると判別し、且つ、前記突出検出手段にて前記物品保持部が実荷用設定突出量まで突出したことが検出されると、前記突出中断制御を実行するように構成されている請求項3〜5のいずれか1項に記載の物品収納設備。
【請求項8】
前記突出用設定時間として、
前記空荷状態では、前記物品保持部が前記保持部重複範囲を通過してから前記移動基台が前記目標停止位置まで移動するのに要する空荷用移動所要時間に、前記物品保持部が前記引退位置から前記空荷用設定突出量まで突出するのに要する空荷用突出所要時間を加えた時間又は前記空荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間が設定され、
前記実荷状態では、物品が前記物品重複範囲を通過してから前記移動基台が前記目標停止位置まで移動するのに要する実荷用移動所要時間に、前記物品保持部が前記引退位置から前記実荷用設定突出量まで突出するのに要する実荷用突出所要時間を加えた時間又は前記実荷用突出所要時間より短い時間を加えた時間が設定されている請求項7記載の物品収納設備。
【請求項9】
前記設定移動速度、前記設定移動速度まで加速する設定加速度、及び、前記設定移動速度から減速する設定減速度のうちの一部又は全部が、前記移動開始位置から前記目標停止位置までの距離又は前記物品保持部にて物品を保持しているか否かに基づいて異なる値に設定されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品収納設備。
【請求項10】
前記運転制御手段が、前記計時手段にて計時された前記物品保持部の引退作動開始からの経過時間が前記物品保持部が前記突出位置から前記引退位置に引退移動するのに要する時間より引退用設定時間だけ短い時間になると前記移動基台を次の目標停止位置に向けての移動を開始するべく、前記移動基台の移動を制御するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品収納設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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