説明

物品取分具及び計量販売システム

【課題】物品の取り分け及び計量を、容易且つ効率的に行うことが可能な物品取分具及び計量販売システムを提供する。
【解決手段】物品の一部を取り分け且つ保持する保持部を備えた物品取分具において、前記保持部に保持された前記物品の重量を測定する計量手段と、前記計量手段で測定された重量分の価格を算出する算出手段と、前記計量手段で測定された重量を前記算出手段で算出された価格とともに表示する表示手段と、前記計量手段で測定された重量を前記算出手段で算出された価格とともに外部記憶装置に出力する出力手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を取り分けるための物品取分具及び当該物品取分具を用いた計量販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケット等の小売店において、顧客が購入を希望する量の商品を計量して販売する計量販売(量り売り)が行われている。この量り売りでは、主に販売員が購入を希望する商品の重量を顧客から聞き、該当する商品を取り分けて秤で計量し、重量に応じた価格を算出することが行われている。
【0003】
また、小売店では商品にRFIDタグ(無線タグ、ICタグともいう)を付加し、このRFIDタグが保持する情報に基づいて商品を管理することが行われている。例えば、特許文献1には、情報を蓄積するRFIDタグ(総合情報タグ)が添付された食品パッケージ(容器)が開示されており、量り売りされた商品について、当該商品毎に設置された秤(スケール)により、廃棄情報等の情報の入力を行うことが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、商品毎に秤を用意する必要があるため、商品の増加に応じて秤の占有面積が大きくなるという問題がある。また、従来の量り売りは、主として対面販売により行われているため、顧客自らが取り分けと計量とを行うには手間と時間がかかるという問題がある。そのため、顧客自らが取り分け及び計量を行う場合であっても、容易にすることが可能な技術が望まれている。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、物品の取り分け及び計量を、容易且つ効率的に行うことが可能な物品取分具及び計量販売システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、物品の一部を取り分け且つ保持する保持部を備えた物品取分具において、前記保持部に保持された前記物品の重量を測定する計量手段と、前記計量手段で測定された重量を表示する表示手段と、前記計量手段で測定された重量を外部記憶装置に出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、物品の一部を取り分け且つ保持する保持部を備えた物品取分具と、前記物品取分具により取り分けられた物品を収容する収容容器とを有した計量販売システムであって、前記物品取分具は、保持部に保持された前記物品の重量を測定する計量手段と、前記計量手段で測定された重量を表示する表示手段と、前記計量手段で測定された重量を外部記憶装置に出力する出力手段と、を備え、前記収容容器には、前記出力手段から出力された重量を記憶する前記外部記憶装置が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、物品の取り分け及び計量を、容易且つ効率的に行うことが可能な物品取分具及び計量販売システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る計量販売システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】図2は、計量スプーンの一例を示す外観斜視図である。
【図3】図3は、計量スプーンの機能構成を示す図である。
【図4】図4は、容器の一例を示す外観斜視図である。
【図5】図5は、図4に示したラベル部の機能構成を示す図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係る計量販売システムでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、POSシステムの全体構成を示す図である。
【図8】図8は、図7に示したPOSサーバが実装する商品マスタファイルの一例を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態で用いるRFIDタグが具備する記憶媒体の構造を模式的に示す図である。
【図10】図10は、第2の実施形態に係る計量スプーンの制御部が実行する会計情報書込処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る物品取分具及び計量販売システムの最良な実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る計量販売システムの構成を模式的に示す図である。この計量販売システムは、スーパーマーケット等の小売店に導入され、惣菜や生鮮食品等の量り売り可能な物品(商品)を販売する売り場にて販売支援を行うものである。
【0012】
図1に示すように、本計量販売システムは、量り売りの対象となる商品Pを取り分けるための物品取分具である計量スプーン10と、この計量スプーン10により取り分けられた商品Pを収容する収容容器20とを有している。
【0013】
計量スプーン10は、商品トレイ30内に盛り付けられた商品Pを取り分けるための取り具であって、商品Pの種別毎に用意されている。本計量販売システムを利用する顧客は、購入を希望する商品P用の計量スプーン10を用いることで、所望する分量を収容容器20に取り分けることが可能となっている。なお、計量スプーン10を利用する者は顧客に限らず、店員等の販売員であってもよい。以下、顧客及び販売員を総称して利用者という。
【0014】
図2は、計量スプーン10の一例を示す外観斜視図である。同図に示すように、計量スプーン10は、ボウル部11、ボウル部11と一体的に設けられ、ボウル部11に載置された商品の重量を測定(計量)する計量部12、ボウル部11及び計量部12を支持する柄部13、該柄部13に設けられた表示部14及び入力部15を備えている。
【0015】
ボウル部11は、スプーン状又は杓子状等の凹状に形成されており、商品トレイ30に盛り付けられた商品の一部を取り分け、且つ、この取り分けた商品を保持する保持部である。なお、本実施形態では、保持部の形状を凹状としたが、これに限らず、ヘラやコテ等の平板状とする形態としてもよい。
【0016】
計量部12は、ボウル部11に載置された商品の重量を測定する。なお、重量の測定方法は特に問わないものとするが、例えば、歪ゲージセンサ、ロードセル、圧電センサ等を用いた公知の技術により、ボウル部11と柄部13との間に生じた撓み等に基づいて、重量を測定することが可能である。
【0017】
表示部14は、電子ペーパー、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Organic Electro Luminescence)等の表示パネルを有し、後述する制御部16の制御に従い、計量部12により測定される重量や他の情報を表示する。また、入力部15は、操作ボタン等により構成され、ボタン操作に応じた指示信号を後述する制御部16に出力する。
【0018】
図3は、計量スプーン10の機能構成の一例を示す図である。同図に示すように、計量スプーン10は、上述した計量部12、表示部14及び入力部15とともに、制御部16、記憶部17及びリーダ/ライタ部18を備え、各部はバス19を介して接続されている。なお、制御部16、記憶部17及びリーダ/ライタ部18は、柄部13内に設けられている。
【0019】
制御部16は、MPU(Micro Processing Unit)、当該MPUが実行する各種のプログラムやデータを格納したROM、一次記憶領域としてのRAM等から構成され、計量スプーン10を構成する各機能部の動作を統括的に制御する。
【0020】
具体的に、制御部16は、計量部12が測定した重量を表示部14に表示させることで、ボウル部11に載せられた商品の重量を利用者に提示する。また、制御部16は、記憶部17に記憶された商品の単位重量あたり(例えば、100gあたり)の単価に基づいて、計量部12が測定した商品Pの重量分の価格を算出し、この価格を表示部14に表示させることで、ボウル部11に載せられた商品の重量分の価格を利用者に提示する。
【0021】
また、制御部16は、計量部12が測定した重量、制御部16が算出した価格及び記憶部17に記憶された商品情報等を会計情報としてリーダ/ライタ部18に出力し、リーダ/ライタ部18をRFIDライタとして機能させることで、会計情報の書き込みを行わせる。なお、リーダ/ライタ部18をRFIDライタとして機能させるタイミングは特に問わないものとするが、例えば、計量部12による重量検出のタイミングで開始してもよいし、入力部15の操作ボタンが押下されたタイミングで開始してもよい。
【0022】
記憶部17は、自己の計量スプーン10に対応する商品Pに関する商品情報を記憶している。ここで、商品情報とは、例えば、商品の商品コード、商品名、単位重量あたりの単価、商品分類コード、消費期限等が挙げられる。商品コードは、この店舗で販売される各種商品品目を識別するために商品毎に予め設定された固有のコードである。また、商品名、単価、商品分類コード、消費期限は、同一レコードの商品コードによって特定される商品の情報である。
【0023】
リーダ/ライタ部18は、図示しないアンテナ等を有し、制御部16の制御に従って、計量スプーン10に近接したRFIDタグと交信することで、このRFIDタグに対し情報の読み出し又は情報の書き込みを行うRFIDリーダライタである。
【0024】
次に、図4を参照して、収容容器20について説明する。ここで、図4は、収容容器20の一例を示す外観斜視図である。収容容器20は、取り分けた商品Pを収容するための容器であって、収容部21と、蓋部22と、ラベル部23とを有して構成される。なお、収容容器20(ラベル部23を含む)は、販売やデポジット制等により店舗側から提供されてもよいし、顧客自らが持参してもよいが、再利用可能な形態で使用されることが好ましい。
【0025】
収容部21は、容器そのものであり、計量スプーン10により取り分けられた商品を出し入れするための開口部を有している。蓋部22は、収容部21の開口部を閉じることで、収容部21に収容された内容物の漏洩を防止する蓋である。なお、収容部21と蓋部22の固定方法は、例えば、タッパー式等の一般に用いられる方法を採用することができる。また、収容部21及び蓋部22を形成する素材は特に問わず、例えば、ポリプロピレン(PP)等の一般に用いられる素材を用いることができる。また、蓋部22を固定的に設けず、食品用のラップフィルム等で収容部21の開口部を包装する形態としてもよい。
【0026】
ラベル部23は、収容容器20に収容される商品についての会計情報を保持するためのものであって、収容部21の外面に着脱可能に取り付けられている。以下、ラベル部23の構成について説明する。
【0027】
図5は、ラベル部23の機能構成を示す図である。同図に示すように、ラベル部23は、RFIDタグ231と、制御部232と、表示部233と、電源部234とを備えている。
【0028】
RFIDタグ231は、計量スプーン10のリーダ/ライタ部18と交信可能な非接触型のRFIDタグであって、情報を保持することが可能な不揮発性の記憶媒体(図示せず)を有している。RFIDタグ231では、計量スプーン10(リーダ/ライタ部18)によるRFIDライタ機能の作用により、収容容器20に取り分けられた商品についての会計情報(商品情報、重量及び価格等)を記憶媒体に記憶する。
【0029】
制御部232は、MPU、ROM等を有して構成され、ラベル部23の各部を制御する。具体的に、制御部232は、RFIDタグ231に保持された会計情報を読み出し、表示部233に表示させる。なお、図5の例では、RFIDタグ231に保持された会計情報のうち、重量と価格とを関係付けて表示させた例を示しているが、この例に限らず、会計情報に含まれる他の情報や、重量又は価格のみを表示させる形態としてもよい。また、制御部232が、RFIDタグ231に記憶された会計情報から、後述する会計処理に必要な情報を表したバーコードやQRコード等のコードを生成し、このコードを表示部233に表示させる形態としてもよい。
【0030】
表示部233は、電子ペーパー、LCD、有機EL等の表示パネルを有し、制御部232の制御に従って、文字や図形の表示を行う。また、電源部234は、制御部232及び表示部233の駆動源となるバッテリである。
【0031】
上述したように、ラベル部23は、収容部21から取り外すことが可能である。そのため、例えば、商品を収容容器20に収容したまま電子レンジ等で加熱調理するような場合や、使用した収容容器20を洗浄するような場合であっても、ラベル部23を取り外すのみで、そのまま処理することができるため、利用者の利便性を向上させることができる。
【0032】
なお、ラベル部23の取り付け方法は特に問わず、例えば、収容部21にラベル部23を着脱可能に保持するための保持手段(例えば、図4に示す、ラベル部23を嵌め込み可能な嵌合部24等)を設けることとしてもよい。
【0033】
また、収容部21において、ラベル部23が取り付けられる部位は特に問わないものとするが、例えば、収容部21の側部等、計量スプーン10の通信圏内に入りやすい部位に取り付けることが好ましい。
【0034】
また、ラベル部23を蓋部22に着脱可能に取り付ける形態としてもよく、さらには、ラベル部23自体を蓋部として用いる形態としてもよい。後者の形態の場合、例えば、ラベル部23の外観形状を、蓋部22と同様の蓋状とし、蓋の上面側に表示部233を取り付けた構成や、蓋部22の上面側にラベル部23を一体的に取り付けた構成を採用することができる。なお、表示部233の大きさは図4の例に限定されず、例えば、蓋の上面部を覆う大きさの表示部233を用いてもよい。
【0035】
以下、図1及び図6を参照して、計量販売システムの動作について説明する。ここで、図6は、計量販売システム(計量スプーン10及び収容容器20)での処理の流れを示したフローチャートである。
【0036】
まず、本システムの利用者により、商品トレイ30から商品Pの取り分けが、この商品Pに対応付けられた計量スプーン10を用いて行われると、計量部12では、この取り分けられた商品Pの重量測定を開始する(ステップS11)。制御部16は、記憶部17に記憶された商品Pの単位重量あたりの単価に基づき、ステップS11で測定された重量分の価格を算出すると(ステップS12)、この価格及び重量を表示部14に表示させる(ステップS13)。
【0037】
このとき、計量スプーン10を把持する利用者は、表示部14を参照することで、取り分けた商品Pの重量と価格とを確認することができるため、表示部14に表示される値を見ながら、所望の重量(又は価格)となるよう商品Pの量を調整することができる。この後、利用者は、計量スプーン10を収容容器20の近傍に移動させ、取り分けた商品Pを収容容器20に収容することになる。
【0038】
計量スプーン10の移動に伴い収容容器20がリーダ/ライタ部18の通信圏内に入ると(ステップS14;Yes)、リーダ/ライタ部18は、制御部16の制御の下、この収容容器20に取り付けられたRFIDタグ231と交信し、ステップS11で測定された重量、ステップS12で算出された価格及び記憶部17に記憶された商品情報を会計情報としてRFIDタグ231に書き込み(ステップS15)、計量スプーン10側の処理を終了する。
【0039】
一方、収容容器20のラベル部23では、リーダ/ライタ部18の作用により、RFIDタグ231が会計情報を保持すると(ステップS21)、制御部232は、この会計情報をRFIDタグ231の記憶媒体から読み出し(ステップS22)、表示部233に表示させた後(ステップS23)、処理を終了する。
【0040】
以上の処理により、計量スプーン10に保持されていた会計情報が収容容器20に転送される。これにより、本システムの利用者は、ラベル部23の表示部233を参照することで、収容容器20に収容された商品Pに関する情報を確認することが可能となる。
【0041】
また、RFIDタグ231には、収容容器20に収容された商品Pの会計情報として、商品Pについての商品情報や、重量、価格が記憶されているため、これらの情報を会計時に用いることで会計処理の効率化を図ることが可能である。具体的には、会計情報の書き込まれた収容容器20を、図7に示すPOSシステムに適用することで、量り売りの対象となる商品以外の通常の商品と同様に、会計処理を行うことができる。
【0042】
ここで、図7はPOSシステムの全体構成を示す図である。同図に示すように、POSシステムは、商品販売に関する情報管理に特化したPOS(Point Of Sales)サーバ40、通信回線Wを介しPOSサーバ40と接続されるPOS端末50等で構成されている。
【0043】
POSサーバ40は、POSシステムの中枢を担うコンピュータであり、通信回線Wを介して複数台のPOS端末50を接続している。POSサーバ40には、商品マスタファイル41が実装されている。商品マスタファイル41には、図8に示すように、商品コード、商品名、単価、商品分類コード、消費期間等のデータ項目からなる商品情報レコードが登録されている。上述した計量スプーン10の記憶部17には、商品マスタファイル41に保存された各種商品の商品情報のうち、当該計量スプーン10と一対一に対応付けられた商品の商品情報が記憶されることになる。
【0044】
なお、商品マスタファイル41に登録された商品情報と、計量スプーン10に記憶される商品情報との同期方法は特に問わないものとする。例えば、通信回線Wへ接続可能な通信装置を計量スプーン10に付加し、通信回線Wと介してPOSサーバ40から該当する商品情報を取得(又は参照)する形態としてもよい。
【0045】
また、商品マスタファイル41にアクセス可能なRFIDライタ等の書込装置を用いて、該当する商品の商品情報を計量スプーン10の記憶部17に書き込む形態としてもよい。この場合、例えば、書込装置を棚札等の形態で提供し、各商品を盛り付けた商品トレイ30の近傍に配置しておくことで、計量スプーン10が保持する商品情報を、取り分けを行う商品毎に切り替えることができる。これにより、一の計量スプーン10を用いて、複数の商品の取り分けを行うことが可能である。
【0046】
POS端末50は、決済装置の一形態であって、顧客が買い上げた商品の販売データを登録処理し、その代金を現金、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、デビットカード等の種々の支払い方法に応じて会計処理するものである。POS端末50は、会計場所であるレジ等に設置され、商品に付帯されたコードを読み取り可能なコードリーダ51及びRFIDタグを読み取り可能なRFIDリーダライタ52が接続される。
【0047】
収容容器20に収容された商品の会計を行う際には、RFIDリーダライタ52を用いて、収容容器20のRFIDタグ231から会計情報を読み取り、この会計情報をPOS端末50に入力することで、収容容器20に収容された商品の価格を計上することが可能である。なお、本実施形態では、収容容器20のRFIDタグ231に価格が書き込まれているため、この価格を用いて会計を行う形態としたが、RFIDタグ231に価格が書き込まれない形態であっても、POS端末50が単位重量あたりの単価をRFIDタグ231の商品情報又はPOSサーバ40から取得し、この単価に基づいて収容容器20に収容された商品Pの価格を算出する形態としてもよい。
【0048】
また、商品コードや重量、価格等を表すコード(バーコード、QRコード)が表示部233に表示される形態の場合には、コードリーダ51を用いて表示部233のコードを読み取ることで、収容容器20に収容された商品の会計情報をPOS端末に入力することができる。
【0049】
また、会計済みか否かを判別するため、会計処理が完了した収容容器20のRFIDタグ231に、会計が完了したことを示すフラグ情報(以下、会計済みフラグという)をRFIDリーダライタ52により書き込む形態としてもよいし、RFIDタグ231に書き込まれた会計情報を全て削除する形態としてもよい。なお、RFIDタグ231に会計情報が保持された状態で会計処理を終える場合、例えば、RFIDタグ読み取り機能付きの冷蔵庫に収容容器20を保存することで、RFIDタグに記憶された会計情報に基づいて、収容容器20に収納された商品を管理することができるため、管理に係る利便性を向上させることができる。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、利用者は計量スプーン10を用いて商品の取り分けを行うことで、取り分けた商品の重量を同時に測定することが可能である。また、商品の重量に応じた価格を算出し、この重量及び価格を表示部14及び表示部233に表示するとともに、収容容器20のRFIDタグ231に保持させることができるため、商品の取り分け及び計量を容易且つ効率的に行うことが可能である。
【0051】
また、ラベル部23が収容容器20に着脱可能に取り付けられているため、例えば、自宅にて加熱調理する場合であっても、この収容容器20からラベル部23を取り除くことで、そのまま加熱調理することができるため、利便性を向上させることが可能である。
【0052】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る計量販売システムについて説明する。上述した第1の実施形態では、同一商品の取り分けが一度で行われることを想定している。しかしながら、同一商品の取り分けが複数回に亘って行われる場合や、互いに異なる複数の商品が一の収容容器20に取り分けられる場合も想定される。そこで、第2の実施形態では、これらの取り分け方法に対応することが可能な計量販売システムについて説明する。なお、第1の実施形態と同様の要素については、同一の符号を付与し説明を省略する。また、本実施形態の前提として、POS端末50で会計が行われた商品(収容容器20)の会計情報には、会計済みフラグが付加されるものとする。
【0053】
まず、図3を参照して、第2の実施形態に係る計量スプーン60について説明する。計量スプーン60は、上述した計量スプーン10の制御部16に替えて制御部61を備えている。以下、制御部61の動作について説明する。
【0054】
制御部61は、制御部16と同様、MPU、当該MPUが実行する各種のプログラムやデータを格納したROM、一次記憶領域としてのRAM等から構成され、計量スプーン60の動作を統括的に制御する。
【0055】
具体的に、制御部61は、RFIDタグ231への会計情報の書き込みに際し、まず、リーダ/ライタ部18をRFIDリーダとして機能させることで、RFIDタグ231に記憶された既存の会計情報(以下、既存情報という)を読み取らせ、既存情報が記憶されていないこと、即ちRFIDタグ231が空であることを確認すると、リーダ/ライタ部18をRFIDライタとして機能させることで会計情報の書き込みを行わせる。
【0056】
また、制御部61は、RFIDタグ231に既存情報が記憶されていると判定した場合であっても、当該既存情報が、会計済みフラグが付加された会計情報の場合には、この既存情報をリーダ/ライタ部18に消去させた後、リーダ/ライタ部18をRFIDライタとして機能させることで、会計情報の書き込みを行わせる。
【0057】
さらに、制御部61は、RFIDタグ231に記憶された既存情報として、会計済みフラグを付帯しない会計情報が記憶されていると判定した場合、リーダ/ライタ部18をRFIDライタとして機能させることで、この既存情報が記憶された記憶領域(メモリバンク)以外の他の記憶領域に、会計情報の書き込みを行わせる。
【0058】
ここで、図9を参照して、本実施形態で用いるRFIDタグ231が具備する記憶媒体の構造について説明する。同図に示すように、本実施形態で用いるRFIDタグ231の記憶媒体は、複数の記憶領域(M1〜Mn;nは2以上の整数)を有し、一の記憶領域に一の会計情報が格納されるよう構成されている。例えば、計量スプーン60により、同一又は異なる商品の取り分けが2度行われたような場合には、最初の取り分け分の会計情報が記憶領域M1に格納され、次の取り分け分の会計情報が記憶領域M2に格納される。
【0059】
以下、図10を参照して、制御部61の動作について説明する。ここで、図10は、制御部61が実行する会計情報書込処理の手順を示すフローチャートであって、図6に示したステップS15の処理に置き換わるサブルーチンである。なお、本処理の前提として、収容容器20に取り付けられたラベル部23のRFIDタグ231には、図9に示した構造の記憶媒体が具備されているものとする。
【0060】
まず、制御部61は、リーダ/ライタ部18をRFIDリーダとして機能させることで、収容容器20のRFIDタグ231に保持された情報を読み取らせ、このRFIDタグ231に既存情報が格納されている否かを判定する(ステップS31)。ここで、制御部61は、RFIDタグ231に既存情報が格納されていないと判定した場合(ステップS31;No)、リーダ/ライタ部18をRFIDライタとして機能させ、書き込み対象となる会計情報をリーダ/ライタ部18に出力することで、RFIDタグ231の空いている記憶領域に会計情報を書き込ませ(ステップS34)、本処理を終了する。
【0061】
また、ステップS31において、RFIDタグ231に既存情報が格納されていると判定した場合(ステップS31;Yes)、制御部61は、その既存情報に会計済みフラグが付加されているか否かを判定する(ステップS32)。
【0062】
ここで、制御部61は、既存情報に会計済みフラグが付加されていると判定すると(ステップS32;Yes)、RFIDタグ231から既存情報を削除するよう、リーダ/ライタ部18を動作させる(ステップS33)。そして、制御部61は、リーダ/ライタ部18をRFIDライタとして機能させ、書き込み対象となる会計情報をリーダ/ライタ部18に出力することで、RFIDタグ231の空いている記憶領域に会計情報を書き込ませ(ステップS34)、本処理を終了する。
【0063】
また、ステップS32において、既存情報に会計済みフラグが付加されていないと判定した場合(ステップS32;No)、制御部61は、リーダ/ライタ部18をRFIDライタとして機能させ、書き込み対象となる会計情報をリーダ/ライタ部18に出力することで、RFIDタグ231の空いている記憶領域に会計情報を書き込ませ(ステップS34)、本処理を終了する。
【0064】
以上の処理により、同一商品についての取り分けが複数回に亘って行われた場合や、互いに異なる複数の商品が一の収容容器20に取り分けられた場合であっても、この取り分け毎の会計情報をRFIDタグ231に格納することができるため、これらの各会計情報に基づき会計処理を行うことが可能となる。なお、本実施形態の場合、POS端末50では、RFIDタグ231に記憶された全ての会計情報を読みとり、同一の商品毎に、会計情報に含まれた重量及び価格の総和を夫々算出し一の会計情報とすることで、収容容器20に収容された商品の会計処理を行う。
【0065】
また、本処理では、同一商品の取り分けが行われる毎に、その会計情報を個別的に保持する形態としたが、例えば、既存情報及び会計情報に含まれる商品コード等から、同一商品と判定できる場合には、既存情報及び会計情報に含まれた重量及び価格の総和を夫々算出し、一の会計情報として格納し直す形態としてもよい。この場合、重量及び価格の総和の算出は、計量スプーン60の制御部61が行ってもよいし、ラベル部23の制御部232が行ってもよい。
【0066】
また、ラベル部23の制御部232は、RFIDタグ231に格納された会計情報を表示部233に表示することになるが、その表示形態は特に問わないものとする。例えば、全ての会計情報を一覧表示する形態としてもよいし、各会計情報を所定時間間隔で順次表示する形態としてもよい。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、利用者により商品の取り分けが行われる毎に、その商品の重量及び価格を、収容容器20のRFIDタグ231に個別的に保持させることができる。そのため、同一商品の取り分けが複数回に亘って行われる場合や、互いに異なる複数の商品が一の収容容器20に取り分けられる場合であっても、量り売りの対象となった商品の取り分け及び計量を、容易且つ効率的に行うことが可能である。
【0068】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲での種々の変更、置換、追加等が可能である。
【0069】
例えば、上記実施形態では、収容容器20に取り付けられたラベル部23は、店舗内で取り外されることなく、収容容器20に取り付けられた状態で顧客の自宅に運ばれることを想定しているが、これに限らず、会計処理の終了後、店舗にて回収する形態としてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ラベル部23は、表示部233を備える構成としたが、これに限らず、表示部233を備えない構成としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、量り売りの対象となる物品を、スーパーマーケット等の小売店で販売される総菜等の商品としたが、これに限らず、例えば、ネジ等の金属部品等、量り売り可能な物品であれば、その対象は特に問わないものとする。
【0072】
なお、上述した各実施形態で実行される処理のプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0073】
また、上述した各実施形態で実行される処理のプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよく、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明に係る物品取分具及び計量販売システムは、物品の取り分けを行う物品取分具及び当該物品取分具を用いた計量販売システムに有用である。
【符号の説明】
【0075】
10 計量スプーン
11 ボウル部
12 計量部
13 柄部
14 表示部
15 入力部
16 制御部
17 記憶部
18 リーダ/ライタ部
19 バス
20 収容容器
21 収容部
22 蓋部
23 ラベル部
231 RFIDタグ
232 制御部
233 表示部
234 電源部
24 嵌合部
30 商品トレイ
40 POSサーバ
41 商品マスタファイル
50 POS端末
51 コードリーダ
52 RFIDリーダライタ
60 計量スプーン
61 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2002−62808号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の一部を取り分け且つ保持する保持部を備えた物品取分具において、
前記保持部に保持された前記物品の重量を測定する計量手段と、
前記計量手段で測定された重量を表示する表示手段と、
前記計量手段で測定された重量を外部記憶装置に出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする物品取分具。
【請求項2】
前記物品の単位重量あたりの単価を少なくとも含んだ前記物品に関する関連情報を記憶する記憶手段を更に備え、
前記出力手段は、前記記憶手段に記憶された前記関連情報を前記外部記憶装置に出力することを特徴とする請求項1に記載の物品取分具。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶された前記単価に基づいて、前記計量手段で測定された重量分の価格を算出する算出手段を更に備え、
前記表示手段は、前記算出手段で算出された前記価格を表示し、
前記出力手段は、前記算出手段で算出された前記価格を前記外部記憶装置に出力することを特徴とする請求項2に記載の物品取分具。
【請求項4】
前記保持部に前記物品が保持される毎に前記出力手段の出力を開始させ、当該出力手段から出力される情報を、一の会計情報として前記外部記憶装置に記憶するよう制御する制御手段を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の物品取分具。
【請求項5】
前記外部記憶装置に記憶された既存の会計情報の読み取りを行う読取手段を更に備え、
前記制御手段は、前記読取手段の読み取り結果に基づき、前記外部記憶装置に前記既存の会計情報が記憶され、且つ、当該既存の会計情報に会計が完了したことを示すフラグ情報が付加されていると判定した場合、前記出力手段に前記既存の会計情報を削除させた後、出力を開始させることを特徴とする請求項4に記載の物品取分具。
【請求項6】
前記外部記憶装置は、取り分けられた物品を収容する収容容器に取り付けられたRFIDタグであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の物品取分具。
【請求項7】
物品の一部を取り分け且つ保持する保持部を備えた物品取分具と、前記物品取分具により取り分けられた物品を収容する収容容器とを有した計量販売システムであって、
前記物品取分具は、
保持部に保持された前記物品の重量を測定する計量手段と、
前記計量手段で測定された重量を表示する表示手段と、
前記計量手段で測定された重量を外部記憶装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記収容容器には、前記出力手段から出力された重量を記憶する前記外部記憶装置が取り付けられていることを特徴とする計量販売システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−13048(P2011−13048A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156302(P2009−156302)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】