物品探索システム、及び、物品探索プログラム
【課題】 電波の伝播環境が安定でない環境でも物品には小型RFIDを添付するだけで物品の位置を特定することができる物品探索システム及び物品探索プログラムを提供する。
【解決手段】 物品位置の管理環境100内に複数のRFIDの質問器104a〜104i及び位置情報が既知の位置タグ101を設置し、複数の質問器からの質問波の送信出力を変動させ送信出力の変動分で新たに検知できた位置タグ及び物品タグ102の検知結果を蓄積し、その検知結果の重複検知されている物品タグ及び位置タグを特定し、位置タグの位置情報を用いて物品位置を特定する。
【解決手段】 物品位置の管理環境100内に複数のRFIDの質問器104a〜104i及び位置情報が既知の位置タグ101を設置し、複数の質問器からの質問波の送信出力を変動させ送信出力の変動分で新たに検知できた位置タグ及び物品タグ102の検知結果を蓄積し、その検知結果の重複検知されている物品タグ及び位置タグを特定し、位置タグの位置情報を用いて物品位置を特定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動により位置が不特定に変化する物品を扱う環境での物品位置を特定する物品探索システム及び物品探索プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に類似の先行発明について説明する。
【0003】
従来、任意に場所を移動する物体の位置を検出するためには、遠隔の複数センサから物体を検知し、複数センサで検知した物体の検知状況から3角測量の手法で位置計測を行ってきた。
【0004】
具体的には、上記センサがカメラなら、各カメラの撮像画像中内の同一物品を同定し、撮像画像内の物品位置及びカメラの姿勢からカメラ位置から上記物品を指す方向を算出、既知のカメラ位置から物品までの方向を複数個特定することで物品位置を決定する。
【0005】
超音波を利用する場合には、位置の特定が必要な物品に超音波発振器を取り付け、固定位置に配置された複数の超音波受信機から電波や光による信号で上記超音波発振器へ超音波の発振トリガを送信。発振器から発せられた超音波を受信器が受信するまでの時間を計測し、音速を基準として受信器と発振器の間の距離を算出する。受信器から物品までの距離を複数個特定することで物品位置を特定する。
【0006】
本発明と同様に電波を利用した3角測量手法による物品位置検知の場合には、従来例1(特許文献1参照)で開示されている発明のように、物品(人)に電波発信機を装備し、固定位置に配置した複数の受信機で上記電波発信機からの送信電波を受信、受信した電波の強度を基に受信機から発振器までの距離を推定する。複数個の受信機から上記物品(人)に付属の発振器までの距離を特定することで、物品(人)の位置を特定する方法を用いる。この従来例1の方法は、電波発信機が大型でも実用上問題が無い場合に適している。なぜなら、電波の発信を物品(人)に付属の発信機で実施するためには、送信電力を実用的に供給する電源部(電池)を発信器内部に内蔵することが必要となるためである。実用上、小型のRFIDを利用する場合、電波の発信のための電源装置を内蔵させることは出来ない。
【0007】
以下に、説明する従来例2(特許文献2参照)では、位置の探索が必要な物品1101には、小型のパッシブRFID1103を装着するだけで、従来例1と同様の3角測量法による物品位置の計測を実現するための発明を開示している。
【0008】
従来例2では、固定位置にある複数の送受信アンテナ1102からの電波の送信強度を変化させながら、物品に添付したRFID1103を検知する。アンテナ1102からの送信電波強度を変化させることで各アンテナ1102での物品RFID1103の検知状態が変化することに着目し、注目するRFID1103が検知可能から検知不能、もしくは、検知不能から検知可能になった時点の送信電波の強度を記憶、あらかじめ取得しておいた送信電波出力とRFID1103の検知可能距離の関係を記録したテーブルと照合することで、アンテナ1102から注目するRFID1103までの距離を算出できるというものである。
【0009】
従来例2の場合には、従来例1で必要であった発信器(RFID)からの自発的な電波送信が不要になるとともに、従来例2のように物品1101に対してアンテナやリーダを装着することなく、アンテナ1102からの質問波に送信出力でRFID1103まで、すなわち、物品1101までの距離を特定でき、複数のアンテナ1102から物品1103までを特定することで3角測量によって物品の位置を特定することが出来る。
【0010】
【特許文献1】特開1993−011039号公報
【特許文献2】特開2002−250768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来例2において開示された、RFID1103を利用した物品位置の探索技術は、物品位置を探索する環境内に置ける電波環境が均一で、あらかじめ取得しておいたアンテナ1102からの送信電波出力とRFID1103の検知可能距離の関係が安定であることが必須となる。
【0012】
一方、本発明の対象とする一般家庭や、オフィスなどの物品位置の探索環境では、棚や構造物が狭い空間で入り組んでいる、もしくは、人や物品が移動する、物品が不規則に配置されるなどに事由により、物品位置を探索する環境内に置ける電波環境が複雑で、頻繁に変化してしまい、あらかじめ取得しておいたアンテナからの送信電波出力とRFIDの検知可能距離の関係が一定であることは望めない。
【0013】
このため、従来例3の技術では、物品の位置を正確に探索することはできない。
【0014】
よって、本発明の目的は、電波環境が不安定な状況下でも、RFIDを装着した物品の位置を確実に探索することが可能な物品探索システム及び物品探索プログラムを提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0016】
本発明の第1態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得する少なくとも1つの質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記質問器で受信した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から、複数方向からの上記物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、上記特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を上記探索情報データベースから読み出し、上記読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に上記物品の位置を推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0017】
これにより、電波環境が如何様に変化しようとも、質問器において、物品ID送受信器からの応答を受信できる状況では、その近傍の電波環境に配置されている探索送受信器からの応答も受信できると仮定でき、複数方向からの物品ID送受信器と探索送受信器の応答受信状態から物品ID送受信器の応答受信状況と共通性の高い探索送受信器を特定することで、物品ID送受信器に近い探索送受信器を特定し、その探索送受信器の位置情報を以って、物品ID送受信器の位置情報を推定することが出来る。
【0018】
本発明の第3態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に増加もしくは減少させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0019】
これにより、物品位置を管理する領域内に配置した複数方向の質問器からの質問波による物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報を得ることが出来、また、質問器からの質問波の送信強度を増加もしくは減少させながら質問波を送信することにより、物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報の変化を詳細に蓄積することが出来る。このことにより物品ID送受信器と探索送受信器の検知状態の共通性をより詳細に特定することが出来、すなわち、物品位置を詳細に推定することができる。
【0020】
本発明の第4態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に変化させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、上記複数の質問器で特定した探索送受信器の間で共通に特定することが出来た複数の探索送受信器の位置情報、及び、上記特定の物品ID送受信器と上記で特定した複数の探索送受信器の検知状態の変化時刻の相違から推定した物品ID送受信器と複数の探索送受信器及び質問器の複数の位置関係を基に、物品位置を補間推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0021】
これにより、探索送受信器の配置間隔が大きく、また、物品が、複数の探索送受信器の間に置かれた状態であっても、複数の探索送受信器の位置情報を用いた補間算出により精度良く物品ID送受信器の位置を推定することが出来る。
【0022】
本発明の第5態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内を移動する移動体に装備された質問器と、
上記移動体が移動しながら上記質問器より一定強度の上記質問波を送信しながら上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記移動体の移動に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、上記抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0023】
これにより、物品位置を管理する領域内を移動する移動体に装備した質問器による物品ID送受信器と探索送受信器のへの質問波の送信により、複数方向からの物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報を得ることが出来、また、質問器が移動しながら質問波を送信することから物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報の変化を詳細に蓄積することが出来る。このことにより物品ID送受信器と探索送受信器の検知状態の共通性をより詳細に特定することが出来、すなわち、物品位置を詳細に推定することができる。
【0024】
本発明の第6態様によれば、コンピュータに、
質問器からの質問波の送信出力を制御するステップと、
上記質問器で受信した、物品に付与されかつ質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器の識別情報を識別情報データベースに蓄積するステップと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から複数方向からの物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を、上記探索送受信器の位置情報を上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースから読み出し、読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に物品位置を推定するステップとを実行させるための物品探索プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の物品探索システム及び物品探索プログラムによれば、アンテナからの電波送信強度を基にアンテナと物品タグの距離を算出する必要が無いため、物品探索領域内の電波環境の変動によって物品ID送受信器(例えば、物品ID送受信器の一例として機能するパッシブ型RFID(Radio Frequency Identification)を利用した物品タグ)を検知できる電波送信強度が変動した場合でも、物品ID送受信器とその近隣にある探索送受信器(例えば、探索送受信器の一例として機能するパッシブ型RFIDを利用した位置タグ)の検知状態(検知可能/不能の状態)を少なくとも1つの質問器から検知することで、物品ID送受信器の近隣の探索送受信器を特定することが出来る。すなわち、この特定できた探索送受信器の位置情報を以って、物品の位置とすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明にかかる実施の形態を説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
【0027】
本発明の第1態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得する少なくとも1つの質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記質問器で受信した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から、複数方向からの上記物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、上記特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を上記探索情報データベースから読み出し、上記読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に上記物品の位置を推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0028】
本発明の第2態様によれば、上記物品の位置を問い合わせることで、上記物品位置データベースからの物品位置情報を引き出す操作端末をさらに備える、第1の態様に記載の物品探索システムを提供する。
【0029】
本発明の第3態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に増加もしくは減少させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0030】
本発明の第4態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に変化させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、上記複数の質問器で特定した探索送受信器の間で共通に特定することが出来た複数の探索送受信器の位置情報、及び、上記特定の物品ID送受信器と上記で特定した複数の探索送受信器の検知状態の変化時刻の相違から推定した物品ID送受信器と複数の探索送受信器及び質問器の複数の位置関係を基に、物品位置を補間推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0031】
本発明の第5態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内を移動する移動体に装備された質問器と、
上記移動体が移動しながら上記質問器より一定強度の上記質問波を送信しながら上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記移動体の移動に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、上記抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0032】
本発明の第6態様によれば、コンピュータに、
質問器からの質問波の送信出力を制御するステップと、
上記質問器で受信した、物品に付与されかつ質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器の識別情報を識別情報データベースに蓄積するステップと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から複数方向からの物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を、上記探索送受信器の位置情報を上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースから読み出し、読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に物品位置を推定するステップとを実行させるための物品探索プログラムを提供する。
【0033】
次に、以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
(実施の形態1)
図1Aに、本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムを家庭やオフィスなどの物品の位置を管理している環境(具体例としての間仕切りに仕切られた部屋の構造を示している。以下、単に「物品位置管理環境」と称する。)100に適用した例を示す。
【0035】
物品位置管理環境100の床には、探索送受信器の一例としての役割を担うパッシブ型RFID(Radio Frequency Identification)を利用した位置タグ101(x,y)が所定間隔毎に例えば床面に配置されるとともに、RFIDの質問器104a〜104iも所定間隔毎に例えば天井に配置され、さらに、コンピュータ105を物品位置管理環境100内又は物品位置管理環境100外の任意の位置に設置する。
【0036】
コンピュータ105には、質問器制御手段201、識別情報データベース202、探索情報データベースの一例としての位置特定情報データベース204、物品位置推定手段203、物品位置情報データベース205、データベースアクセス手段208、及び操作端末206を機能させるプログラムを実装する。
【0037】
また、物品位置管理環境100には、移動体としての人103や上記物品ID送受信器の一例として機能するパッシブ型RFIDを利用した物品タグ102a〜102cを添付した物品が存在する。
【0038】
位置タグ101(x,y)は、説明の都合上、図1A中に1点鎖線で示した縦横の補助線の示す番号のうち横方向をx値、縦方向をy値とした添え字により区別し、部屋100の床面に縦横に等間隔に配置している。本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムの実用上では、位置タグ101(x,y)は床面だけでなく棚、机などの物品の置けるスペースには配置することが望ましい。
【0039】
図2Aに、コンピュータ105内の処理構成及び物品探索システムとしての接続状態を示す。
【0040】
位置特定情報データベース204には、全ての位置タグ101(x,y)の位置情報、すなわち101(1,1)〜101(12,8)の位置情報を、あらかじめ記憶する。
【0041】
コンピュータ105の質問器制御手段201は全ての質問器104a〜104iと連結し、質問器制御手段201によって全ての質問器104a〜104iを制御するとともに、質問器104a〜104iからの質問波に応答可能な物品タグ102及び位置タグ101(x,y)から得られた識別情報を、必要に応じて、識別情報データベース202に書き込む。
【0042】
識別情報データベース202は、タイマ207と質問器制御手段201とに接続され、質問器104a〜104iからの質問波に応答可能な物品タグ102及び位置タグ101(x,y)から得られた識別情報を、質問器制御手段201を介して取得して蓄積する。
【0043】
タイマ207は、識別情報データベース202に接続されて、識別情報データベース202に時刻の情報を送り、必要なときに、時刻の情報を他の情報とともに識別情報データベース202に蓄積するために使用する。
【0044】
物品位置推定手段203は、識別情報データベース202と位置特定情報データベース204と物品位置情報データベース205とにそれぞれ接続され、識別情報データベース202と位置特定情報データベース204に蓄積した情報から物品位置を推定する。推定した物品位置の情報は、物品位置情報データベース205に蓄積する。
【0045】
操作端末206は、データベースアクセス手段208と接続され、オペレータの物品位置情報の要求操作をデータベースアクセス手段208に伝える一方、データベースアクセス手段208から送られてきた情報を受け取ってオペレータに提示する。オペレータへの提示の方法は、コンピュータ105に接続したスピーカ206a、ディスプレイ206bを通じて行う。オペレータの物品位置情報の要求操作は、キーボード206cや、マイク206dなどの操作I/Fから行う。
【0046】
データベースアクセス手段208は、操作端末206と物品位置情報データベース205と接続され、操作端末206からのオペレータの物品位置情報の要求操作に応じ、物品位置情報データベース205より物品位置情報を読み出して操作端末206に送る。
【0047】
一方、各質問器104は、図2Bに示すように、アンテナ104−1と、アンテナ104−1に接続された送信電波制御手段104−2と、アンテナ104−1に接続された受信信号処理手段104−3と、送信電波制御手段104−2と受信信号処理手段104−3とが接続された外部インターフェイス104−4とで構成している。
【0048】
質問器104の外部への質問波の送信は、送信電波制御手段104−2で発振した送信信号をアンテナ104−1を介して送信する。このとき、送信電波制御手段104−2で生成する送信信号の出力は、外部I/F104−4を介して質問器制御手段201より受け取る制御情報によって制御する。
【0049】
質問器104から質問波が送信されると、その質問波が届く範囲内に位置し、かつ、質問波に含まれる質問情報に応答可能な応答情報を有する位置タグ101(x,y)もしくは物品タグ102a〜102cは、送信した質問波に応答したID情報を送信する。送信した質問波に応答した位置タグ101(x,y)もしくは物品タグ102a〜102cから送信されるID情報の受信は、アンテナ104−1を介して受信信号処理手段104−3にて受信する。受信信号処理手段104−3で受信したID情報は、外部I/F104−4を介して質問器制御手段201に送信される。
【0050】
物品タグ102及び位置タグ101(x,y)に共通のRFID99としての構成を図2Cに示す。RFID99は、アンテナ99−1と、アンテナ99−1に接続された送信信号生成手段99−2と、アンテナ99−1に接続された送信電圧発生手段99−3と、及び、送信信号生成手段99−2に接続されたIC99−4とで構成する。
【0051】
質問器104から送信される質問波に対するRFID99の動作について説明する。まず、送信電圧発生手段99−3が、アンテナ99−1で受信した質問波の受信電力からRFID99の内部の駆動電圧を生成する。駆動電圧が、図2C中の細線で示す電圧供給線によって、送信電圧発生手段99−3から各部すなわち送信信号生成手段99−2とIC99−4とに供給される。駆動電圧の供給により動作を開始したIC(ICチップ)99−4は、IC99−4の内蔵メモリ内に格納されたID情報を、送信信号生成手段99−2に送信する。送信信号生成手段99−2はID情報を変調し質問波の搬送波に重畳し、アンテナ99−1にて送信する。
【0052】
尚、RFID99には、搬送周波数の違いにより、電磁結合方式(13.56MHz)、電波利用方式(UHF、2.45GHz)など、数種類の質問器とRFIDの送受信の方式が存在するが、いずれの方式に於いてもRFIDの基本機能である質問器の間で遠隔のID情報の応答は可能であり、本発明では、いずれの方法でも適用することができる。
【0053】
次に、図3を用いて、質問器制御手段201の質問器制御処理フローについて説明する。
【0054】
質問器制御処理は、コンピュータ105を起動し、物品探索システムを起動することでスタートする。
【0055】
物品探索システムが起動されると、質問器制御手段201は、初期設定としてステップS300において各質問器104の質問波の送信出力設定値をあらかじめ定めた最小値とし、また、質問波を送信する送信質問器104を、一例として、図1Aの質問器104aと設定する。
【0056】
次に、質問器制御手段201の制御の下に、設定された送信質問器104aから送信出力設定値の質問波を送信する(ステップS301)。質問波に応答し、識別情報を取得できた物品タグ102a〜102cもしくは、位置タグ101(x,y)が存在した場合(ステップS302)、その識別情報を質問器制御手段201の制御の下に識別情報データベース202に蓄積する(ステップS309とステップS310)。すなわち、ステップS309では、送信質問器104aが現在の送信出力設定値よりも小さい段階で検知した識別情報を質問器制御手段201で識別情報データベース202より読み出し、ステップS310では、ステップS301で検知したタグの識別情報からステップS309で質問器制御手段201により識別情報データベース202から読み出した識別情報を除いた識別情報の差分を、識別情報データベース202の新規識別情報として、識別情報データベース202に質問器制御手段201により書き込む。
【0057】
ステップS302がNoの場合、もしくは、ステップS310の後は、送信質問器104を、送信質問器104b〜104iの間で巡回するように質問器制御手段201により次の質問器104に変更する(ステップS304)。例えば、ステップS302以前の質問波を送信した質問器104が質問器104aであれば、次順の質問器104を質問器104bに変更する。
【0058】
次に、ステップS304で変更された送信質問器が104a〜104iを一巡して104aに戻った場合(ステップS305がYesの場合)には、ステップS306へ進み、それ以外の場合(すなわち、送信質問器が104b〜104iのいずれかの場合、すなわち、ステップS305がNoの場合)には、オペレータからの終了命令がない限り(ステップS311がNoである限り)、ステップS301に戻って、質問器制御手段201の制御の下に、ステップS301からステップS304までの処理を繰り返す。これにより、質問器制御手段201の制御の下に、送信質問器104aから始めて送信質問器104iまでの全ての送信質問器104a〜104iについて、それぞれ、ステップS301からステップS304までの処理を繰り返すことになる。ステップS305がNoの場合でかつオペレータからの終了命令があった場合(ステップS311がYesの場合)には、処理を終了する。
【0059】
次いで、ステップS306では、質問器制御手段201により、送信出力設定値を増加させる(ステップS306)。このとき、変更した送信出力設定値が最大設定値を超えた場合(ステップS308がYesの場合)には、オペレータからの終了命令がない限り(ステップS312がNoである限り)、ステップS300に復帰して、質問器制御手段201により、送信出力設定値及び送信質問器104を初期設定に戻して上記の処理を繰り返す。送信出力設定値が最大設定値以内の場合には、オペレータからの終了命令がない限り(ステップS311がNoである限り)、ステップS301に復帰する。ステップS312でオペレータからの終了命令が入力されていることを検知した場合(ステップS312がYesの場合)には、処理を終了する。
【0060】
上記処理フローを実行することで、質問器制御手段201の制御の下に、全ての質問器104aから104iから質問波の送信出力を順次変更しながら、逐次、物品タグ102a〜102cもしくは、位置タグ101(x,y)を検知することが出来る。また、各質問波送信時に検知することが出来た物品タグ102及び位置タグ101の識別情報を、質問器制御手段201により、識別情報データベース202に順に蓄積することが出来る。
【0061】
各質問器104からの送信電波の最大送信出力は、最大送信出力時に物品位置管理環境100内の物品位置を特定したい領域を複数の質問器104からの送信電波が重複する大きさとなるように設定する。
【0062】
ここで、図1Bに、質問器104hの送信波の状態を模式的に示し、質問器104hからの送信出力の設定方法の具体例を説明する。質問器104hを取り巻く同心状の閉曲線(図1Bでは点線で示す閉曲線)は、質問器104hから送信強度を変化させて送信した場合の位置タグ及び物品タグの検知可能範囲を示す。
【0063】
質問波の送信強度の増加毎に閉曲線の占める領域が拡大する。このとき、質問器104hからの送信出力は全方位へ同様に出力するが、構造壁や間仕切り壁などを通過することによって、質問波の電波の伝播が構造壁や間仕切り壁などで阻害されるため、位置タグ101及び物品タグ102の検知可能範囲は、必ずしも同心円上に拡大しないことになる。たとえば、送信出力が同様に増加した場合でも、図1B上、質問器104h直下の構造壁100aを通過することで位置タグ101及び物品タグ102の検知可能範囲の増加量は、他の方向よりも減少することになる。このような電波の伝搬環境で質問器104hからの最大送信出力を定めるには、送信出力を増大させてゆき、質問器104hの隣接して周囲に配置されている質問器104d、104e、104g、104iのそれぞれの下(位置)にある位置タグ101(4,4)、101(8,4)、101(2,1)、101(10,1)の全てが検知可能な送信出力を最大送信出力と定める。同様に、質問器104dでは、質問器104dに隣接する質問器104a、104b,104e,104g,104hの位置にある位置タグ101(2,7)、101(6,7)、101(8,4)、101(2,1)、101(6,1)の全てを検知できる送信出力を最大送信出力とする。この場合、隣り合う質問器104で構成する三角形の領域は、3つの質問器104からの最大送信出力にて3重に重複した検知可能領域となる。
【0064】
このように、質問器104に挟まれた領域を、各質問器104の質問波での検知領域が重複するように最大送信出力を定めることにより、物品位置を特定できる。この、各質問器104からの最大送信出力を、上記のように定めることによって物品位置を特定する方法については以下に説明する。
【0065】
図4Aには、上記質問器制御手段201の質問器制御処理フローに従い、質問器104を104a〜104iの間で巡回させ、質問器104の送信出力を50mWから順次50mW刻みで送信出力を増大させながら検知した識別情報データベース202内の記録情報の具体例を示す。
【0066】
図中には、質問器制御処理によって識別情報データベース202内に順次蓄積した識別情報の具体例として、送信出力50mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際の質問器104a,104b,104cの識別情報の具体例を示している。また、送信出力を50mW増大した送信出力100mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際に、質問器104iにて物品ID102cを検知した際の識別情報の具体例を示している。また、さらに送信出力を50mW増大した送信出力150mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際に、104eが物品ID102cを検知した際の識別情報の具体例を示している。また、送信出力をさらに50mW増大した送信出力200mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際には物品ID102cは検知されず、送信出力をさらに50mW増大した送信出力250mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際に質問器104hにて物品ID102cを検知した際の識別情報の具体例を示している。
【0067】
これは、図1Aの質問器104a〜104iの配置にて、質問波の送信出力を増大させていった場合の、物品102cの検知結果に着目した識別情報(質問器104iの100mWの送信出力時の識別情報、質問器104eの150mWの送信出力時の識別情報、質問器104hの250mWの送信出力時の識別情報)を抜き出して示したものである。
【0068】
物品102cの検知結果に着目して識別情報を図示した理由は、図4Aをベースに、物品102cの位置推定の方法について後述する図8との整合を取るためである。
【0069】
また、質問波の送信出力が50mW時の質問器104a、104b、104cの識別情報は、識別情報データベース202内の識別情報が、同一の送信出力にて質問器104aから順に質問波が送信されることで得られた識別情報が順に蓄積されることを示すために例示した。
【0070】
識別情報データベース202では、上記、送信出力設定値及び送信質問器104を順次変更しながら検知した物品タグ102a〜102c及び位置タグ101(x,y)の識別情報を、図4A中の各行に記録する。これ以降、図4Aの各行の情報について、「逐次検知情報」という。
【0071】
この逐次検知情報として記録する項目は、質問器104からの質問波の送信時刻の情報400、質問波を送信した質問器401の情報、そのときの質問波の送信出力の情報402、検知した物品タグ102の識別情報403、及び、検知した位置タグ101の識別情報404とする。送信時刻の情報400はタイマ207より取得する。
【0072】
図4A中に記録する物品タグ102の識別情報403、位置タグ101の識別情報404は、当該時刻の質問波送信で検知できた全ての識別情報ではなく、ステップS309及びステップS310で処理した同一質問器104での送信出力のうちの、より小さい出力で検知した検知結果の総和と当該時刻の識別情報の差分を記録している。
【0073】
この識別情報として、前回の検知結果との差分を蓄積する理由は、次の事由による。
【0074】
同一の質問器104から送信出力の大きな質問波を送信で検知できる物品タグ102及び位置タグ101の識別情報は、より小さな送信出力で検知できていた物品タグ102及び位置タグ101を含み、それらに加えて送信出力が大きくなることで、新たに検知可能になった物品タグ102及び位置タグ101の識別情報が加わることになる。このため、上記のように逐次検知情報に識別情報の差分を蓄積したとしても、検知時刻400、検知器401、送信出力402を記録しておくことにより、以前に検知記録されている同一検知器におけるより送信出力の小さい質問波にて検知した識別情報の差分の総和を求めることで、各検知時刻で検知できた全ての識別情報を復元することができる。
【0075】
よって、各送信出力で検知した冗長な識別情報を全て記録して識別情報データベース202に必要な記憶容量を増大させるより、識別情報の差分を記録しておくことが望ましい。
【0076】
次に、位置特定情報データベース204内の情報について図4Bを用いて説明する。
【0077】
位置特定情報データベース204には、位置タグ101(x,y)の位置情報を記憶しておく。たとえば、位置タグ101(x,y)の位置情報の例としては、位置タグ101の識別情報410、物品位置管理環境100内のX座標411、Y座標412である。
【0078】
また、位置特定情報データベース204には、固定位置にある各位置タグ101と各質問器104の関係として、探索環境100内で、各質問器104での各位置タグ101を検知可能な質問器104の情報413を蓄積しておくこともできる。
【0079】
各位置タグ101を検知可能な質問器104の情報413の蓄積については、物品位置管理環境100内の電波環境の初期定常状態での各質問器104の最大出力にて検知可能な位置タグ状態を記録しておくことが出来る。各位置タグ101を検知可能な質問器104の情報413のような情報を、位置タグ101に関わる情報を位置特定情報データベース204に蓄えておくことで、各質問器104から各位置タグ101への電波到達環境の変動を評価することも可能で有る。
【0080】
次に、本発明の実施の形態での物品位置の推定処理の基本的な動作の概略を図8を用いて示す。
【0081】
図8を用いた説明では、後述の物品位置推定処理フローの詳細な理解を容易にするため、識別情報データベース204内の識別情報の蓄積例を追いながら、物品タグ102の近傍に有る位置タグ101を特定するための、物品タグ102及び位置タグ101の識別情報の履歴の利用方法の具体例を説明する。
【0082】
図8は、上述の図4A(識別情報データベース204の具体例)をベースに、物品位置の推定処理の基本的な動作の概略を示すための補助枠とその符号を加えた図である。
【0083】
具体的には、時刻11:30:20の送信出力において質問器104hが物品タグ102cを検知した際の物品タグ102cの近傍に有る位置タグ101(9,2)を識別情報データベース204内の逐次検知情報を遡って特定するための手順を説明する。
【0084】
図8中、時刻11:30:20の250mWの質問波の送信出力において質問器104hが物品タグ102cを検知した(参照符号801参照)ことにより、物品位置推定手段203では物品タグ102cの位置を特定するための処理を実施する。物品位置推定では、まず、識別情報データベース204内の逐次検知情報の履歴を遡って確認しながら、物品タグ102cを検知した逐次検知情報の履歴を抽出する。図8中では、時刻11:28:56に150mWの送信出力にて質問器104eが検知した物品タグ102cの履歴(参照符号802参照)を含む逐次検知情報806と、時刻11:26:30に100mWの送信出力にて質問器104iが検知した物品タグ102cの履歴(参照符号803参照)を含む逐次検知情報(参照符号807参照)が、抽出される。このとき、逐次検知情報805内で、物品タグ102c(参照符号801参照)と同時に検知された位置タグは101(7,3)[図8では(07,03)と表記されている位置タグを意味する。以下も、同様。]、101(4,1)、101(9,2)、101(5,3)他であり、逐次検知情報806内で、物品タグ102c(参照符号802参照)と同時に検知された位置タグは101(6,3)、101(5,5)、101(7,2)、101(9,2)他であり、逐次検知情報807内で、物品タグ102c(参照符号803参照)と同時に検知された位置タグは101(12,2)、101(9,2)、101(10,3)、101(11,3)他である。
【0085】
図7Aには、この3つの逐次検知情報(参照符号805、806、807参照)による物品タグ102cの検知状況を実空間の模式図で示す。図7A中、物品位置管理環境100内での各質問器104e、104h、104iの送信出力を150mW、250mW、100mW、とした際の3つの質問器104e、104h、104iによって物品タグ102もしくは位置タグ101が検知可能な範囲をそれぞれ701a、703a、705aの破線で示す閉曲線の内部で示す。また、各質問器104e、104h、104iの送信出力が1段階少ない、100mW、200mW、50mWの場合、各質問器104e、104h、104iによって検知可能な範囲をそれぞれ701a、703a、706aの破線で示す閉曲線の内部で示す。このとき、図4A中の識別情報データベース204内の物品102cの検知を含む識別情報801で検知されている位置タグ101(x,y)は、閉曲線703aと704aに挟まれた領域に配置されている位置タグ101(x,y)であり、識別情報802で検知されている位置タグ101(x,y)は、閉曲線701aと702aに挟まれた領域に配置されている位置タグ101(x,y)であり、識別情報803で検知されている位置タグ101(x,y)は、閉曲線705aと706aに挟まれた領域に配置されている位置タグ101(x,y)となる。2つの閉曲線に挟まれた情報となる理由は、上述のように識別情報データベース204に格納する識別情報が、質問器104の送信出力の増分に応じて変化した検知可能な識別情報の差分情報であることによる。
【0086】
図7Aに示す状況において、物品タグ102cは、3つの質問器104e、104h、104iの検知範囲(閉曲線703aと704aに挟まれた領域、閉曲線701aと702aに挟まれた領域、閉曲線705aと706aに挟まれた領域)の共通領域にあり、その近傍にある位置タグ101(9,2)も、当然、同様に、3つの質問器104e、104h、104iの検知範囲の共通領域にある。よって、物品タグ102の近傍にある位置タグ101(x、y)が位置タグ101(9,2)であるということを特定するには、図4A中の801、802、及び802の物品の識別情報を含んだ逐次検知情報(参照符号805,806,807参照)に含まれる位置タグ101(x、y)の間で共通の位置タグ101(9,2)(図4中の参照符号804参照)を特定すればよい。特定された位置タグ位置タグ101(x、y)の位置情報は、位置特定情報データベース204内に格納されており、この特定できた物品タグ102cの近傍に有る位置タグ位置タグ101(9,2)の位置情報を物品タグ102cの位置情報とする。
【0087】
次に、上記、物品推定を実現するための物品位置推定手段203の物品位置推定処理フローを図5を用いて説明する。
【0088】
物品位置推定処理は、コンピュータ105を起動し、物品探索システムを起動することでスタートする。
【0089】
物品探索システムが起動されると、物品位置推定手段203は、スタート後、読み出した識別情報データベース202内の最新の質問波送信による逐次検知情報に物品タグ102の識別情報が見つかるまで(ステップS501がYesとなる)、もしくは、オペレータからの終了命令がある(ステップS506がYesとなる)まで、識別情報データベース202の最新の逐次検知情報を順次読み出す処理(ステップS500)を繰り返す。
【0090】
ステップS501にて、物品位置推定手段203が最新の逐次検知情報に物品タグ(図1Aで示せば物品タグ102a〜102cのいずれか:以降、被検知物品タグという)102の識別情報を見つけた場合、後述する物品位置特定処理(物品探索処理)(ステップS502)が動作し、物品位置推定手段203による被検知物品タグ102の物品位置推定処理を実施する。
【0091】
次いで、ステップS503では、ステップS501で発見した逐次検知情報内に複数の被検知物品タグ102の識別情報が存在した場合、物品位置推定手段203により、複数の被検知物品タグ102の識別情報の全てに対して、ステップS502を順次実行するため、ステップS502での物品位置特定処理の対象となる被検知物品タグ102を順次変更する(ステップS503)。ステップS503では、被検知物品タグ102の変更に於いて、ステップS501で発見した複数の被検知物品タグ102の順次の被検知物品タグ102の次への変更が必要となった場合には、ステップS501で発見した複数の被検知物品タグ102への順次変更が終了したという情報をステップS504に通知する。
【0092】
次いで、ステップS504では、ステップS503からの被検知物品タグ102への順次変更が終了したという情報の通知によって、ステップS501で検知された被検知物品タグ102の全てに対して、ステップS502及びステップS503の処理が実施されたことを確認した場合(ステップS504がYesの場合)には、オペレータからの終了命令が無い限り(ステップS506がNoである限り)、ステップS500に復帰する。一方、ステップS503からの被検知物品タグ102への順次変更が終了したという情報の通知が無い、すなわち、ステップS502及びステップS503の処理を経ていない被検知物品タグ102の識別情報が残っている場合(ステップS504がNoの場合)には、ステップS502からステップS503の処理を物品位置推定手段203により繰り返す。
【0093】
ステップS506の時点で、オペレータの終了命令の入力されていることを検知した場合(ステップS506がYesの場合)には、処理は終了する。
【0094】
次に、上記動作フロー内の物品位置特定処理(ステップS502)の処理フローについて図6Aを用いて説明する。
【0095】
被検知物品タグ102の検索ステップ600では、識別情報データベース202内の情報から、物品近傍の位置タグ特定処理の対象となる被検知物品タグ(以下、被検知物品タグ102t(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)の識別情報を含む以前の逐次検知情報を、物品位置推定手段203により検索する。このとき、ステップS600での識別情報データベース202内の被検知物品タグ102tの識別情報の検索範囲は、上記送信出力設定と質問器104a〜104iを1巡回する逐次検知情報以上に遡る必要は無い。また、全ての質問器104a〜104iの逐次検索情報の内から質問器104を逐次選択して物品位置推定手段203により検索すればよい。なお、被検知物品タグ102tの識別情報を有する逐次検知情報の検索の詳細については、後述する。
【0096】
ステップS600の検索の結果において、被検知物品タグ102tの識別情報を有する複数の逐次検知情報を抽出できた場合(ステップS601でNoの場合)には、ステップS603に進む。
【0097】
ステップS603では、ステップS600で検索して抽出できた複数の逐次検知情報及びステップS500で読み出した最新の逐次検知情報の内で、共通の位置タグ(以下、共通の位置タグ101com(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)の識別情報(以下、共通位置タグ識別情報という。)を物品位置推定手段203により特定する。
【0098】
次いで、ステップS607では、ステップS603もしくは後述するステップS602にて共通位置タグ101comを物品位置推定手段203により特定できたかどうかを判定し、特定できなかった場合(ステップS607でYesの場合)には、物品位置を特定不能と判断し、物品位置特定処理(ステップS502)を終了する。共通位置タグ101comが発見できなかったということは、物品が移動中もしくは近い時刻に物品が移動されたことを示していることになる。
【0099】
ステップS607において、共通位置タグ101comを特定できた場合(ステップS607でNoの場合)には、ステップS604において、共通の位置タグ101comの識別情報が適切であるかどうかを物品位置推定手段203により評価する。
【0100】
共通位置タグ識別情報が適切であるかどうかについては、以下のように評価する。
【0101】
ステップS604において、共通位置タグ識別情報が1つであれば適切であると評価する。また、ステップS604において、複数の共通位置タグ識別情報が存在する場合、それぞれの共通位置タグ101comの位置情報を位置特定情報データベース204から物品位置推定手段203により読み出し、複数の共通位置タグ101comが互いに隣接する位置タグ101同士であった場合は適切であると判断し、複数の共通位置タグ101comが互いに離れている場合は不適切であると判断する。
【0102】
複数の共通位置タグ101comを適切であると判断した場合(ステップS605がYesの場合)、ステップS606において、位置特定情報データベース204から読み出した位置タグ101comの位置情報を用いて物品の位置を算出する。
【0103】
ステップS606において、まず、共通位置タグ101comが一つの場合は、位置特定情報データベース204から読み出した位置タグ101comの位置情報を物品の位置とする。共通位置タグ101comが複数の場合には、複数の共通位置タグ101comの位置情報の重心位置を物品位置として物品位置推定手段203により算出すれば良い。仮に、本物品探索システムによるオペレータへの物品位置の呈示が、重心位置のようなポイント位置情報でなくても良いシステムの場合には、複数の共通位置タグ101comの存在する領域を物品位置としても良い。
【0104】
物品位置推定手段203により算出した物品位置は、物品位置情報データベース205に物品位置推定手段203により蓄積し、物品位置推定処理を終了する(ステップS607)。
【0105】
複数の共通位置タグ101comが不適切であると判断した場合(ステップS605がNoの場合)は、複数の共通位置タグ101comの位置が離れている場合であって、このようなことが起こり得る状況の想定は困難であるが、可能性としては電波の反射やそれに誘引される電波の干渉に依る局所的な検知スポットの出現など、かなり特異な状況が発生した場合と想定できる。このような場合には、物品位置の特定は不能として処理を終了する。この場合(ステップS605がNoの場合)には、電波環境異常が生じていることをオペレータに通知することも可能である。
【0106】
また、ステップS600の検索の結果において、被検知物品タグ102tの識別情報を有する複数の逐次検知情報を抽出できなかった場合(ステップS601でYesの場合)には、本来、質問器の検知範囲の初期設定において物品タグ102を検知できる検知範囲を持った質問器104の内いずれかが検知不能な状況(検知異常)に陥っていることがわかる。この場合、ステップS602の検知異常処理を実施する。
【0107】
検知異常処理(ステップS602)は、被検知物品タグ102tを特定した、質問器104aから104iのうちのいずれかの質問器(以下、104x(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)の近傍の質問器(以下、質問器104xa(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)において検知できるはずの被検知物品タグ102tが検知できない(ステップS601がYes)場合に動作する。この場合、被検知物品タグ102tが検知できないということは、被検知物品タグ102tの近くに存在する位置タグ(以下、位置タグ101t(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)も検知することが出来ない、と仮定することが出来る。この仮定を逆説的に解釈すれば、被検知物品タグ102tを特定した質問器104xに隣接する質問器104xaに於いては、検知不能の位置タグ101tが、被検知物品タグ102tの近傍にある可能性のある位置タグ101tであるということが出来る。
【0108】
被検知物品タグ102tを特定した質問器104xに隣接する質問器104xaにおいて検知不可能な位置タグ(以下、位置タグ101t(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)は、図2Aに示す位置特定情報データベース204内の位置タグ101を検知可能な質問器104の情報413(図4B参照)から得られる質問器104xaが初期設定段階で検知可能な位置タグ101xaとステップS601の時点で質問器104xaが検知可能な位置タグ(以下、質問器104xb(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)の差を求めることで、特定することができる。この質問器104xに隣接する質問器104xaにおいて検知不可能な位置タグ101tの識別情報と、ステップS502で被検知物品タグ102tを特定した被検知物品タグ102tを含む逐次検知情報内の識別情報内の位置タグの情報の間で共通の位置タグ101comを特定すれば、ステップS603で求めた複数の逐次検知情報の間で求めた共通位置タグ101comと同様の意味を持つ共通位置タグ101comを見つけることが出来る。
【0109】
上記にて説明した検知異常処理(ステップS602)の動作フローについて図6Bを用いて説明する。
【0110】
ステップS611では、ステップS500で読み出した逐次検知情報を検知した質問器104に隣接する質問器(図1Bにて説明した104hと104dのような最大送信出力で重複する検知範囲を持つ隣り合う位置の質問器104を指す。)104を特定する。
【0111】
ステップS612では、位置特定情報データベース204内の位置タグ101を検知可能な質問器104の情報により、各隣接質問器104xaにて検知可能な位置タグ101xaの識別情報を抽出する。
【0112】
ステップS613では、識別情報データベース202内の逐次検知情報内の位置タグ101の識別情報404を遡って検索することで、各隣接質問器104xaにおいて検知可能な状態にある位置タグ101xbの識別情報を抽出する。
【0113】
ステップS614では、ステップS612で抽出した各隣接質問器104xaで検知可能な位置タグ101xaの識別情報とステップS613で抽出した各隣接質問器104xaにて抽出した検知可能な状態にある位置タグ101xbの識別情報を比較し、隣接質問器104xaにおいて検知不能な状態にある位置タグ101tを特定する。
【0114】
ステップS615では、ステップS614で特定した隣接質問器104xaにおいて検知不能な状態にある位置タグ101tの識別情報と、ステップS500で読み込まれた逐次識別情報内にある位置タグ101の識別情報404の間で共通の位置タグ101comの識別情報を選択し、共通位置タグ101comの識別情報として抽出する。
【0115】
共通位置タグ101comの識別情報を抽出することで検知異常処理(ステップS602)は終了し、ステップS604に復帰する。
【0116】
上記、図5、図6A、及び図6Bを用いて説明した物品位置推定手段203によって、識別情報データベース202内に蓄積した逐次検知情報から、検知された物品タグ102tを抽出し、物品タグ102tの近傍にある共通位置タグ101comを判断し、共通位置タグ101comの位置情報から物品タグ102tの位置情報を特定することが出来る。
【0117】
また、検知異常処理(ステップS602)において、共通位置タグ101comを見つける際、特定の質問器104xから検知不能であるという位置タグ101tの識別情報を抽出する(ステップS614)が、これらを物品位置情報データベース205に蓄積しておくことで、操作端末206からの操作による物品位置要求時に有用な提供情報とすることが出来る。この詳細については、後述の操作端末206に於ける処理の説明部分にて説明する。
【0118】
ステップS602において上記手順にて、共通位置タグ101comを見つけ出せない場合は、物品タグ102tは被検知物品タグ102tを特定した質問器104xが単独でしか検知できない領域、たとえば、図1A中の位置タグ101(1,8)のような質問器104の配置の外れに有り、質問器104aだけの検知可能範囲に存在することになる。
【0119】
本来、質問器104の最大送信出力、及び、質問器104の配置を複数方向で検知が可能なようにしておけば、上記のような特定の質問器104でのみ検知可能なような領域を考慮する必要は無いが、特定の質問器104のみで検知できる範囲が1箇所だけで有り、物品位置の範囲特定精度を見たす場合には、図1A中の101(1,8)のような位置タグ101の領域が存在しても被検知物品タグ102を特定した逐次検知情報内に存在する位置タグ101の内の、質問器104aだけの検知可能範囲にある位置タグ101の位置情報を以って、物品位置情報とすることができる。このような場合には、特定の質問器104だけが検知可能な位置タグ101の情報を、ステップS615での共通位置タグとしてS602に復帰すれば良い。
【0120】
(被検知物品タグの識別情報を有する逐次検知情報の検索について)
次に、上述のステップS600での識別情報データベース202内の被検知物品タグ102tの識別情報の検索範囲説明において、ステップS600での識別情報データベース202内の被検知物品タグ102tの識別情報の検索範囲は、上記送信出力設定及び、質問器104を1巡回する検知結果以上に遡る必要は無く、また、全ての質問器104a〜104iの逐次検索情報の内から質問器104を選択して検索すればよいと説明した部分についてその理由の補足説明を行う。
【0121】
本実施の形態1では、図1Bの説明のように各質問器104からの質問波の送信出力が最大の時点で、複数方向からの検知範囲が重複するように検知できるように調整する。このように設定すると、質問器制御手段201で制御する送信出力設定及び質問器104の1巡回で、物品位置管理環境100内の全ての物品タグ102及び位置タグ101を異なる3方向の質問器104の検知範囲で重複検知できることになる。つまり、識別情報データベース202内の逐次検知情報を遡って被検知物品タグ102の識別情報を検索する場合、1巡回以上の過去の逐次検知情報に遡って探索する必要は無い。
【0122】
次に、上記物品位置推定手段203のフローチャート動作の具体例を示すため、物品位置推定の基本動作概要について、物品位置管理環境100の俯瞰図(図7A、図7B)及び、識別情報データベース202内の共通位置タグ特定処理動作の説明図(図8)を用いて説明する。
【0123】
図7A、図7Bは、図1Aのシステム構成全体図上で物品タグ102cが3つの質問器104e、104h、104iにてそれぞれ検知されたときの電波環境を示した図である。
【0124】
図7Aは、本実施の形態1が物品位置感知環境とした、間取りの構造物や家具などによって電波の伝播が阻害される一般的な家庭環境を示し、図7Bは、質問器104から送信される質問波が阻害される要因が無い理想的な環境を示す。
【0125】
図7Bに示す理想電波環境での同一電波強度による位置タグ検知範囲を示す同心円701b、702b、703b、704b、705b、706bと異なり、図7Aに示す同一電波強度による検知範囲を示す閉曲線701a、702a、703a、704a、705a、706aは、構造壁や間仕切り壁の通過によって変形し、一般的に構造材の通過以降の電波到達範囲が縮小する。
【0126】
閉曲線701a、及び同心円701bは、図7A及び図7Bそれぞれの環境において、質問器104eが物品タグ102cを検知した識別情報を含む逐次識別情報を取得したときの質問器104eが送信した質問波が位置タグ101又は物品タグ102を検知可能な範囲を示し、同様に、閉曲線702a及び、同心円702bは、それぞれの環境において質問器104eが物品タグ102cを検知する1つ前の逐次識別情報を取得したときの質問波が検知可能な範囲を示す。
【0127】
このとき、質問器104eが閉曲線701a及び同心円701bの質問波を送信した結果として識別情報データベース202に蓄積されるタグの識別情報は、閉曲線701aと閉曲線702a、同心円701bと同心円702bの質問波出力で検知できた位置タグ101及び物品タグ102の差分であり、閉曲線701a、同心円701bと閉曲線702a、同心円702bの間のドーナッツ領域にある位置タグ101及び物品タグ102となる。
【0128】
図7A及び図7B上には、質問器104h及び質問器104iについても、同様の図示を行っている。
【0129】
図7Bに示す理想的な電波環境の場合、任意の質問器104から、各質問波の送信出力において識別情報データベース202にされる識別情報の示す位置タグ101及び物品タグ102までの質問器104からの距離は、質問波の送信出力から算出可能である。この距離の算出のためには、質問波の送信出力と、その送信出力時に検知可能な位置タグ101又は物品タグ102の距離をあらかじめ測定しておくことで実現できる。この場合、本実施の形態1のように位置タグ101を配置することなく、従来例3のように複数の質問器104が物品タグを検知したときの各質問波の送信出力から、複数の質問器104から物品タグまでの距離を算出し、3角測量の手法で物品位置を特定することが出来る。
【0130】
これに対して、本実施の形態1の対象とする物品位置管理環境100を示す図7Aでは、閉曲線701aと閉曲線702a、閉曲線703aと閉曲線704a、閉曲線705aと閉曲線706aの間に形成される識別情報の領域は不特定に変形するため、質問波の送信出力とその送信出力時に検知可能な位置タグ101又は物品タグ102の距離が一定でなく、質問波の送信出力強度によって、質問器104から物品タグまでの距離を算定することはできない。しかし、本実施の形態1に示す物品探索システムによれば、電波領域が如何様に変形しようと、物品タグ102cが検知可能である限り、その近くに存在する位置タグ101は検出することが可能である。このとき、たとえば、図7に示すように物品102cと同時に2つの質問器(104e、104h)で検知出来た位置タグ101(6,4)や101(9,2)もあれば、3つの質問器(104e、104h、104i)で共通に検知できた位置タグ101(9,2)も特定することができる。実施の形態1では、3つの質問器(104e、104h、104i)で共通に検知できたということで、物品タグ102の位置を、閉曲線701aと閉曲線702aとの間でかつ、閉曲線703aと閉曲線704aとの間でかつ、閉曲線705aと閉曲線706aとの間に形成される識別情報の領域として特定することが出来、物品タグ102cと共通に3つの質問器にて検知された位置タグ101(9,2)を最も共通度が高い位置として特定することができる。
【0131】
次に、物品位置情報データベース205内の蓄積情報例を、図9を用いて説明する。
【0132】
物品位置情報データベース205には、ステップS606で特定した被検知物品タグ102の位置情報を、被検知物品タグ102の識別情報900、物品位置管理環境100内のX座標値901、Y座標値902、として蓄積する。特定の物品タグ102の位置情報がステップS606で更新された場合には、その位置情報を物品位置推定手段203により更新する。
【0133】
また、物品の近辺で検知不能状態にある位置タグ101の識別情報903などを加えておくことも有用である。この情報は、ステップS602の検知異常処理時に取得することが出来る。
【0134】
また、各物品に個別の属性情報(物品名、形状・材質・色など)904も、物品の識別情報900に従って記憶しておくこともできる。
【0135】
次に、操作端末206での物品位置情報の表示処理の処理フローについて図10を用いて説明する。
【0136】
操作端末206は、コンピュータ105を起動し、物品探索システムを起動することでスタートする。操作端末206は、ステップS1000においてオペレータからの物品位置問合せを待つ繰り返し処理を形成する。繰り返し処理の内部では、物品位置情報データベース205内の物品位置の更新をデータベースアクセス手段208により検知し(ステップS1001)、物品位置の更新を検知したときには、データベースアクセス手段208及び操作端末206により、操作端末206に付属のディスプレイ206bなどに表示する(ステップS1002)。
【0137】
ステップS1000において、操作端末206により検知するオペレータからの物品位置問い合わせは、操作端末206に付属のキーボード206cや、マイク206dなどの操作I/Fから物品の識別情報の入力によって行われる。
【0138】
ステップS1000において物品位置の問合せが操作端末206により検知された場合、問い合わせされた物品の識別情報により、物品位置情報データベース205内に記録されている物品の位置情報をデータベースアクセス手段208により読み出し(ステップS1003)、ステップS1002によって、操作端末206に付属のディスプレイ206bに表示されている物品位置を、他の物品の位置情報と区別できるように、データベースアクセス手段208及び操作端末206により明示する(ステップS1004)。
【0139】
このとき、当該物品情報に物品の近辺で検知不能状態にある位置タグ101の識別情報903が付属している場合(ステップS1005がYesの場合)には、検知不能状態にある位置タグ101を明示するとともにその位置タグ101の識別情報903の情報を伝達するとともに、位置タグ101を検知不能にしている電波環境要因の除去を指示又は表示する(ステップS1006)ことも出来る。
【0140】
上記した図10での操作端末206での物品位置問い合わせ処理の具体例を図9、図11を主体に説明する。
【0141】
物品位置情報データベース205内の情報が図9の状態の場合、物品位置問い合わせ処理のスタートにより、操作端末206に付属のディスプレイ206dには、図11のように物品位置管理環境100を表示しておく。
【0142】
図10のステップS1002での物品位置情報の表示処理では、図9内の物品位置情報は、参照符号1100,1101、1102で示すように表示する。このとき、表示の形態は、参照符号1100のように識別情報「102a」をそのまま表示しても良いし、参照符号1001のように物品名「財布」で示しても良いし(物品102bが「財布」とした場合)、参照符号1102のように物品属性904から得られる形状情報などを用いてグラフィック表示しても良い。このように表示しておくことで、オペレータは、操作端末206からの問い合わせ入力することなしに、ディスプレイ206d上の表示から直接物品位置を把握することができる。ディスプレイ206d上の表示から直接物品位置を見つけることが困難な場合には、オペレータは、操作端末206に付属のキーボード206cや、マイク206dなどの操作I/Fから物品の識別情報を操作端末206を介してデータベースアクセス手段208に入力する。この場合の、ステップS1004での物品位置の表示では、ステップS1003で得た物品位置情報を示すために、矢印1103をディスプレイ206d上に表示したり、参照符号1100,1101,1102の物品表示を明滅させたり、着色したりすることで物品位置を明示する。
【0143】
また、図9の物品タグ102cの位置情報には、物品近辺で検知不能状態の位置タグ識別情報903が付随していることから、検知不能状態の位置タグ101の位置を参照符号1103,1104に示すような枠の表示によって明示し、それらの位置タグ101の近辺に電波障害物があることを知らせることにより、オペレータに対して電波障害となりそうな近辺の物品(棚、物)などの移動や除去を促すことも出来る(ステップS1006)。このときの検知不能状態の位置タグ101の情報は、データベースアクセス手段208により位置特定情報データベース204から取得することが出来る。
【0144】
上記実施の形態1の説明では、質問器104からの質問波は、質問器104を中心にした拡大する閉曲線状に放射される事例をもって説明したが、電波環境の変動を前提とした本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムにおいて、質問器104からの質問波の送信形状への制約は無く、物品位置管理環境100内が複数方向からの質問波の送信によって、重複するように検知可能であれば良い。このことから、質問器104からの質問波が、指向性を持った場合でも、その質問波の送信手順の一巡で、物品位置管理環境100を重複するように質問器104を配置できれば本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムの技術は利用できる。
【0145】
また、上記実施の形態1の説明では、位置タグ101(x,y)を2次元に配置した図で説明したが、位置タグ101を、物品の設置可能な位置(例えば、天井、床面、壁面や棚などの設備の側面など)に3次元的に配置し、3次元空間を複数の質問波の検知領域が重複するように質問器104を配置することで、物品位置を3次元的に探索することが出来る。
【0146】
また、上記実施の形態1の説明では、位置タグ101(x,y)を物品位置管理環境100内のX,Y座標軸上で整然と配置したが、本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムの実施上は、配置した位置タグ101(x,y)の位置情報が位置特定情報データベース204内に記録されていれば、ランダムに配置されても、さらには3次元に配置されていたとしても、物品タグ102の近くにある位置タグ101を特定することが出来、その位置タグ101の位置情報から物品位置を推定することが出来る。位置タグ101の配置に関する実施上の注意点は、探索したい物品位置の精度と位置タグ101の配置間隔である。物品位置の精度要求が高い領域には、位置タグ101を密に配置し、位置精度要求の低い領域には、位置タグ101を疎に配置すれば良い。
【0147】
検知したい物品位置の精度に関しては、位置タグ101の配置だけでなく、質問器104からの質問波の送信出力の変化量も関連する。本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムにおいて、物品位置の精度の向上は、複数方向からの位置タグの共通検知領域を小さくすることで達成することが出来る。この共通検知領域は、質問波の送信出力変化時に検知することが出来る領域の1つ前の検知領域との差分として検知できる領域の複数方向からの重複状態で決定されるため、質問波の送信出力設定値の変化量を調整することで探索する物品位置の精度を制御する。かといって、高い位置精度を達成するために質問波の送信出力設定値の変化量を極力小さくすることはできない。この理由は、RFIDの現状技術の実際上、近隣の質問器104からの質問波の送信を同時に実施することは、互いの質問波の干渉を生じ、位置タグの検知が不安定になってしまうことから、各質問器104からの送信は出力は、時分割に切り替えて実施する必要がある、もしくは、各質問波の送信では、複数タグの同時検知のためのアンチコリジョン処理のための処理時間が必要である、などのためで、質問波の送信出力の変化量を細分化することが、物品位置管理環境100内の検知領域を各質問器104の質問波で一巡するための時間を増大させてしまうことによる。上記実施の形態1の説明では、質問波の送信出力設定値の変化量をあらかじめの規定量として説明したが、実際の実施上では、探索する物品位置の要求精度が高い領域では変化量を少なく、探索する物品位置の要求精度が低い領域では変化量を大きくすることにより調整することでができ、実施する物品探索システムに適した質問波の送信を実現することが望ましい。
【0148】
本実施の形態1を以下のように拡張すれば、共通位置タグ101comの重心位置よりも詳細な物品位置を算出することも可能である。そのためには、質問波の送信出力設定の変化量をより詳細にして、重心位置として求めた当該物品の推定位置周辺の領域について再度、検知動作を実施する動作フローを追加し、物品タグ102と位置タグ101の位置関係を質問器104の送信出力設定段階で細分することで実現できる。具体的には、たとえば、図4Aに示されている50mW刻みの送信出力設定を、5mW刻みに変更し、重心位置として求めた当該物品の推定位置周辺の領域について再度、被検知物品タグ102と共通位置タグ101comの検知を実施すれば、被検知物品タグ102と共通位置タグ101comの逐次検知情報は別々に蓄積できる。たとえば、50mW刻みの送信出力の間を5mW刻みで検知し直した10回の逐次検知情報内の1回目と8回目で2つの共通位置タグ101comが検知されており、そのとき、被検知物品タグ102は2回目の逐次検知情報内に存在した場合、上記2つの共通位置タグ101comを結ぶ方向成分において物品タグ102は、2つの共通位置タグ101comを1:6で内分する関係の位置にあると推定することが出来る。このようにして得ることが出来た共通位置タグ101comと被検知物品タグ102の内分関係を基に被検知物品タグ102の位置を補間推定することで、重心位置よりも精度の高い物品位置の算出が可能になる。
【0149】
(実施の形態2)
図12に、本発明の実施の形態2にかかる物品探索システムを家庭やオフィスなどの物品位置管理環境100に適用した実施の形態2のシステム構成例を示す。
【0150】
上記実施の形態1(図1A)との違いは、質問器104の実装形態である。
【0151】
本実施の形態2では、質問器104v、104wは物品位置管理環境100内を移動する移動ロボット(図12では、一例として、二輪走行型の移動ロボット)106a、106bに実装するものとする。
【0152】
位置タグ101(x,y)、物品タグ102a〜102cについては実施の形態1と同様である。
【0153】
移動ロボット106a、106bは、移動ロボット106a、106bに搭載する質問器104v、104wより、一定強度の質問波をそれぞれ出力し、図12中に円で示す検知範囲1200,1201内の位置タグ101及び物品タグ102を検知しながら、物品位置管理環境100内の床面を移動する。
【0154】
一例として物品位置管理環境100内に配置されたコンピュータ105は、移動ロボット106a、106bに搭載の無線通信によって質問器104v、104wで検知した位置タグ101及び物品タグ102の識別情報を取得する。
【0155】
上記システム構成において動作するコンピュータ105内の処理構成及び物品探索システムとしての接続状態を図13Aに示す。
【0156】
上記実施の形態1(図2A)との違いは、コンピュータ105は全ての質問器104v〜104wと無線通信にて連結し、質問器制御手段201の一例として機能する質問器制御手段201によって全ての質問器104v〜104wを制御する点である。
【0157】
また、各移動ロボット106a、106bには、無線による通信手段1307、1308の搭載が必要となる。
【0158】
その他の構成手段(識別情報データベース1302、物品位置推定手段1303、探索情報データベースの一例としての位置特定情報データベース1304、物品位置情報データベース1305、データベースアクセス手段1309、操作端末1306)については、図13Aの説明の範囲において、実施の形態1の図2Aでの識別情報データベース202、物品位置推定手段203、位置特定情報データベース204、物品位置情報データベース205、データベースアクセス手段208、操作端末206と、それぞれ同様の役割を実行する。
【0159】
また、移動ロボット106a、106bの代表例として移動ロボット106aの構成例を図13Bに示す。移動制御手段1310には、通信手段1307と移動装置1311と経路生成手段1312とが接続されている。通信手段1307は質問器104vと接続されている。移動ロボット106bも、移動ロボット106aと同様な構成及び機能を有している。移動ロボット106aは、移動制御手段1310によって生成される移動制御指令を移動装置1311(たとえば、車輪や脚駆動モータ(車輪の正逆回転駆動用モータ))に伝達することによって物品位置管理環境100内を移動する。移動制御指令は、経路生成手段1312によって生成される物品位置管理環境100内の移動経路上を移動するように生成する。この移動時に移動制御手段1310では、自己の出した指令に応じた自己位置(x、y)の更新を行いながら逐次の自己位置を同定している。この自己位置情報は、通信手段1307へ伝達される。
【0160】
また、通信手段1307は、質問器104vへの質問波送信指令を送信するとともに、質問波によって検知することが出来た物品タグ102及び位置タグ101の情報を、無線にて、コンピュータ105の質問器制御手段1301へ伝送する。通信手段1307の動作フローの詳細は、図16を用いて後述する。
【0161】
より細部に於ける、実施の形態2を実施する上での実施の形態1との違いについて以下に記載する。
【0162】
実施の形態1と異なり、実施の形態2では、質問器104v、104wは移動ロボット106a、106bに搭載する。このとき、質問器104v、104wはロボット106a、106bの一定の移動距離に応じて質問波を送信する。このとき、ロボット106a、106bの移動動作が、実施の形態1に於ける固定位置の質問器104の質問波の送信出力変動の役割を担うため、質問器104v、及び104wからの質問波の送信出力は固定で良い。具体例を図14に示す。ロボット106a、106bの質問波送信による検知範囲を参照符号1400及び1401で示す。検知範囲1400での質問波を送信の後、ロボット106aが移動し、移動した位置において送信した質問波の検知範囲を1401とする。このときの、参照符号1402で示した斜線部で示した領域で検知されている位置タグ101及び物品タグ102の情報を、識別情報データベース1302に蓄積する。この斜線部領域1402で検知される位置タグ101及び物品タグ102の識別情報は、検知範囲1401で検知した位置タグ101及び物品タグ102の識別情報から、検知範囲1400で検知した位置タグ101及び物品タグ102の識別情報を取り除くことで選別できる。
【0163】
この斜線部領域1402で検知された位置タグ101と物品タグ102の識別情報が、実施の形態1に於ける固定された質問器104の質問波の送信出力変動の前後の位置タグ101及び物品タグ102の検知結果の差分と、同等の役割を担う。
【0164】
本実施の形態2のように、質問器104v、104wが移動ロボット106a、106bに搭載された場合に、識別情報データベース1302に蓄積する情報の具体例を図15に示す。
【0165】
本実施の形態2での識別情報データベース1302には、図15に示す検知時刻の情報1500、移動ロボット106a、106bの種別の情報1501、移動ロボット106a、106bのx、y座標位置の情報1502、各検知時刻での質問波送信に於いて検知することが出来た物品タグ102及び位置タグ101の識別情報1503、1504で構成する情報が蓄積されている。
【0166】
このときのロボット106a、106bのx、y座標位置情報1501は、一般に移動ロボット106a、106bが自己位置を管理するために保有する内部データを読み出すことで取得できる。
【0167】
次に、識別情報データベース1302に逐次検知情報を蓄積するための移動ロボット106aの無線通信手段1307(無線通信手段1308は、無線通信手段1307と同様の処理フローである。)の動作フローを図16に示す。
【0168】
移動ロボット106aの無線通信手段1307は移動ロボット106aの起動によってスタートする。ステップS1600では、移動ロボット106a自身の現在位置をステップS1602で評価する移動距離の起点位置情報として移動制御手段1310により固定する。
【0169】
ステップS1601では、移動ロボット106aの移動に伴って変化する自己位置の現在値と起点位置情報の違いから移動距離を移動制御手段1310により算出する。
【0170】
次いで、移動距離があらかじめ定められている規定量であったと移動制御手段1310により判断された場合(ステップS1602がYesの場合)には、移動ロボット106aに搭載した質問器104vによって移動ロボット106aの周辺の位置タグ101及び物品タグ102を検知する(ステップS1603)。
【0171】
次いで、ステップS1604において、検知したタグの情報を、移動ロボット106a自身の識別情報、及び、自己位置の情報とともに、無線通信手段1307から質問器制御手段1301に送信する。送信を終了した後は、オペレータからの終了命令が無い(ステップS1605がNoである)限りステップS1600に復帰する。
【0172】
移動距離があらかじめ定められている規定量ではないと移動制御手段1310により判断された場合(ステップS1602がNoの場合)には、ステップS1601に戻る。
【0173】
上記処理は、ステップS1605時にオペレータの終了命令の入力されていた場合(ステップS1605がYesの場合)に終了する。
【0174】
次に、識別情報データベース1302に逐次検知情報を蓄積するための質問器制御手段1301の動作フローを図17に示す。
【0175】
質問器制御手段1301では、ステップS1700にて、移動ロボット106aの無線通信手段1307からの通信を待つループ処理を繰り返す。移動ロボット106aの無線通信手段1307のステップS1604にて位置タグ101の識別情報、移動ロボット106aの識別情報、移動ロボット106aの位置を送信した結果を、質問器制御手段1301で受信する(ステップS1700がYesの場合)と、受信した情報を識別情報データベース1302に記録する(ステップS1701)。ステップS1700において、移動ロボット106aからの送信が無かった場合(ステップS1700がNoの場合)には、オペレータからの終了命令が無い(ステップS1702がNoである)限り、移動ロボット106aからの送信結果を受信するまで、ステップS1700のループを繰り返す。
【0176】
ステップS1700を繰り返すループに於いて、ステップS1702にてオペレータの終了命令が入力されていたことを検知した場合(ステップS1702がYesの場合)には、上記処理は終了する。
【0177】
実施の形態1での質問器104の送信出力の変化と異なり、移動ロボット106aでの逐次の検知では、毎回の検知によって得られる識別情報結果が、移動距離と方向により異なることから、検知領域の包含関係が成り立たず、逐次の検知結果を識別情報の差分としてしまうと、過去の検知結果の総和として毎回の検知結果の全てを復元することが出来なくなってしまう。
【0178】
このため、識別情報データベース1302内の逐次検知情報には、図14を用いた上述の説明に於ける斜線部領域1402ではなく、毎回の検知範囲である、検知範囲1400、検知範囲1401と同様の範囲内で新たに検知することが出来た位置タグ101及び物品タグ102の識別情報を記録する。
【0179】
次に、物品位置推定手段1303の動作フローについて図18を用いて説明する。
【0180】
物品位置推定手段1303は、実施の形態1と同様、コンピュータ105を起動し、物品探索システムを起動することでスタートする。
【0181】
ステップS1800では、識別情報データベース1302内の最新の逐次検知情報を物品位置推定手段1303により読み出し、その最新の逐次検知情報の物品タグ102の識別情報1503内の物品タグ102の識別情報の有無を物品位置推定手段1303により確認する(ステップS1801)。
【0182】
物品タグ102の識別情報(被検知物品タグ)が検知されていたと物品位置推定手段1303により判断された場合(ステップS1801がYesの場合)、物品位置特定処理のステップS1802を実行し、検知されていない場合(ステップS1801がNoの場合)には、オペレータからの終了命令の入力が無い(ステップS1806がNoである)限り、ステップS1800に戻り、最新の逐次検知情報を読み出す処理を物品位置推定手段1303により繰り返す。ステップS1806にて、オペレータからの終了命令入力がなされていたことを検知した場合(ステップS1806がYesの場合)、上記処理は終了する。
【0183】
次いで、ステップS1802では、物品位置特定処理のステップS1802で特定した物品位置は、物品位置情報データベース1305に蓄積する。なお、物品位置特定処理のステップS1802の内部については後述する。
【0184】
次いで、ステップS1803では、ステップS1801にて検知されていることが確認されている被検知物品タグ102の識別情報の全てに対して物品位置特定処理のステップS1802を実施するため、ステップS1801で確認した被検知物品タグ102の識別情報が複数であった場合には、物品位置特定処理のステップS1802の対象となる被検知物品タグ102の識別情報を次の被検知物品タグの識別情報に変更し(ステップS1803)、次いで、ステップS1804では、ステップS1801で確認した被検知物品タグ102の識別情報の全てについて物品位置特定処理のステップS1802を終了しているか否かを物品位置推定手段1303により判断する。終了していない場合(ステップS1804がNoの場合)には、ステップS1802に戻り、物品位置特定処理のステップS1802を繰り返す。
【0185】
ステップS1804で、ステップS1801で確認した被検知物品タグ102の識別情報の全てについて物品位置特定処理のステップS1802を終了した場合(ステップS1804がYesの場合)には、ステップS1800に復帰し、識別情報データベース1302内の最新の逐次検知情報を読み出す処理以降を繰り返す。
【0186】
次に、物品位置推定手段1303による物品位置特定処理のステップS1802の処理フローについて、図19を用いて説明する。
【0187】
ステップS19000では、識別情報データベース1302内の情報から、物品近傍の位置タグ特定処理の対象となる被検知物品タグ102の識別情報を有する以前の逐次検知情報を物品位置推定手段1303により検索する。このとき、ステップS19000での識別情報データベース1302内の被検知物品タグ102の識別情報の検索範囲には、あらかじめ遡る上限を、たとえば、時間もしくは、逐次検知情報の個数などで定めておく必要がある。これは、実施の形態1のように初期設定に於いて質問器104の検知範囲を互いに重複するように設定する場合と異なり、本実施の形態2において識別情報データベース1302内に蓄積されている識別情報は、移動ロボットの移動による不特定の位置で検知された情報であるためである。
【0188】
また、識別情報データベース1302内の情報は、図14内の検知範囲1400、検知範囲1401のような質問波の検知範囲全域の位置タグ101と物品タグ102の識別情報を含むため、ステップS19000での識別情報データベース1302内の被検知物品の識別情報を含む情報の検索では、逐次検知情報を、斜線部領域1402の領域の検知情報に改めた上で行う必要がある。
【0189】
このため、ステップS19000では、まず、ステップS1801において特定された被検知物品102の識別情報を含んだ逐次検知情報を、識別情報データベース1302をあらかじめ定めた検索を遡る範囲の上限まで時間方向に遡りながら、物品位置推定手段1303により識別情報データベース1302から検索・抽出する。
【0190】
次に、ステップS19001では、検索された各逐次検知情報について、その各逐次検知情報を検知した移動ロボットが、一つ以前に検知した逐次検索情報を物品位置推定手段1303により検索する。
【0191】
さらに、ステップS19002において、上記で抽出した被検知物品の識別情報を含んだ各逐次検知情報で検知できている位置タグの識別情報から、各逐次検知情報の一つ以前に同一の移動ロボットの質問器で検知した逐次検知情報の中にある位置タグ101の識別情報の削除した位置タグの識別情報(以下、差分検知情報という)を生成する。この差分検知情報が、被検知物品102の識別情報を含んだ各逐次検知情報を検知した時の図14に於ける斜線部領域1402において検知可能な位置タグ101の情報に相当する。
【0192】
ここまでの処理によって、識別情報データベースより、ステップS1801によって特定した被検知物品102を含んだ図14に於ける斜線部領域1402を持つ差分検知情報を抽出することが出来る。
【0193】
上記ステップS19000からステップS19002までの処理により、複数の差分検知情報を得ることが出来なかった場合(ステップS1901がYesの場合)には、物品位置は特定することができず、物品位置特定処理のステップS1802は終了する。
【0194】
上記ステップS19000からステップS19002までの処理により、複数の差分検知情報を得ることが出来た場合(ステップS1901がNoの場合)には、ステップS1902に進む。ステップS1902では、ステップS19002で生成した複数の差分検知情報と、ステップS1800で読み出した識別情報データベース1302内の最新の逐次検知情報の差分検知情報の間に、共通の位置タグ101comの識別情報(以下、共通位置タグ情報という)を物品位置推定手段1303により特定(抽出)する。
【0195】
次いで、ステップS1903で共通位置タグ情報を物品位置推定手段1303により特定できなかった場合(ステップS1903がYesの場合)には、被検知物品の位置は特定することができず、物品位置特定処理のステップS1802は終了する。ステップS1903で共通位置タグ情報を物品位置推定手段1303により特定できた場合(ステップS1903がNoの場合)には、ステップS1904に進む。
【0196】
ステップS1904では、共通の位置タグ101comの識別情報が適切であるかどうかを物品位置推定手段1303により評価する。
【0197】
共通位置タグ識別情報が適切性(適切であるかどうか)は、以下のように評価する。
【0198】
共通位置タグ識別情報が1つであれば、その位置情報を適切であると評価する。共通位置タグ識別情報が複数の場合、共通位置タグ101comの位置情報を位置特定情報データベース204から物品位置推定手段1303により読み出し、共通位置タグ101comが隣接する位置タグ101であった場合には適切であると物品位置推定手段1303により判断する。共通位置タグ101comが離れている場合には、共通位置タグ101comが不適切であると物品位置推定手段1303により判断する。
【0199】
共通位置タグ101comを適切であると物品位置推定手段1303により判断した場合(ステップS1905がYesの場合)、ステップS1906において共通位置タグ101comの位置情報の重心位置を、物品位置として物品位置推定手段1303により算出する。算出した物品位置は、物品位置情報データベース205に物品位置推定手段1303により蓄積し、物品位置推定処理を終了する。共通位置タグ101comが適切ではないと物品位置推定手段1303により判断した場合(ステップS1905がNoの場合)、物品位置は算出せずに、物品位置推定処理を終了する。
【0200】
上記、図18、図19を用いた物品位置推定手段1303の処理により、移動ロボット160a、160bに搭載した質問器140v、140wによる位置タグ101及び物品タグ102の検知を実施する本実施の形態2の物品探索システムにおいて、物品タグ102の位置を特定することができる。
【0201】
実施の形態1の場合と異なり、位置の特定の可能な物品タグ102は、質問器104v、140wを搭載した移動ロボット160a、160bの移動範囲及び移動方向に依存することになる。物品位置管理環境100内全域での物品タグ102の位置の発見は、上記の実施の形態2において、移動ロボット160a、160bの経路を、事前に物品探索システムに於ける物品位置の探索を前提として、物品位置管理環境100内をくまなく移動するように経路生成手段1312において計画することで実現できる。計画の方法は、事前に規定の経路を経路生成手段1312に組み込んでおくことが出来る。
【0202】
なお、実施の形態1および実施の形態2に記述した本発明の物品位置推定方法を適用するには、利用する物品タグ、及び、位置タグの送受信感度等しいという条件が必要である。発明の物品位置の推定手法の説明をわかりやすくするために、上記実施の形態1および実施の形態2では、利用する物品タグ、及び、位置タグは、質問波の送受信感度において無指向性のものであるという条件の基での説明を行った。無指向性のRFIDの利用を前提とした実施の形態1及び実施の形態2に開示の実施の形態においての実現性は、無指向性のRFIDも開発されていることから損なわれるわけではないが、実際には、送受信感度に指向性がある物品タグと位置タグの利用も考えられる。その場合には、指向性の無い円偏波による質問波を送信可能な質問器を使用することで、指向性を持った物品タグと位置タグの配置方向の違いによるタグの送受信感度の違いに関わらず、物品タグと位置タグの配置方向の違いに因らない物品タグと位置タグで均一な送受信感度を実現することが出来る。
【0203】
どうしても、指向性を持った物品タグと位置タグと、直線偏波による質問波を送信する質問器を利用したい場合には、物品タグと位置タグの送受信感度の指向性を一致させる、すなわち、物品タグと位置タグを同じ向きに配置する工夫が必要となる。そのような場合には、物品タグ及び位置タグを物品位置管理環境100内で床面に対して垂直になるように制限(たとえば、位置タグは、床面に垂直に埋め込み、物品タグは物品の底面に対して垂直に添付するなど)し、質問器からの質問波の偏波面を垂直方向に合わせることで、物品タグと位置タグの配置方向を一致させ、かつ、水平面に対し複数の方向からの質問波の送受信を可能にすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明にかかる物品探索システム及び物品探索方法及び物品探索プログラムは、位置の特定が必要な物品には、小型のパッシブRFIDを装着するだけで、定常的な電波の伝播環境の望めない空間物品の位置を把握することができ、たとえば、比較的狭い空間内に間仕切りや棚などの構造物が多く存在する、一般家庭やオフィスなどにおいて移動する物品の位置を探索する目的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1A】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定システムの全体構成を示す説明図
【図1B】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定システムにおいて質問器104hの送信波の状態を模式的に示す図
【図2A】本発明の実施の形態1に係るコンピュータ内にプログラミングした各構成手段の処理構成を示したブロック図
【図2B】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定システムの質問器の構成を示すブロック図
【図2C】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定システムの物品タグ及び位置タグに共通のRFIDの構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係る質問器制御手段の処理フローチャート
【図4A】本発明の実施の形態1に係る識別情報データベース内のデータ構成図
【図4B】本発明の実施の形態1に係る位置特定情報内のデータ構成図
【図5】本発明の実施の形態1に係る物品位置推定処理のフローチャート
【図6A】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定処理のフローチャート
【図6B】本発明の実施の形態1に係る異常検知処理のステップS602の処理フローチャート
【図7A】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定手法の説明図
【図7B】理想的な電波環境での本発明の実施の形態1に係る物品位置特定手法の説明図
【図8】本発明の実施の形態1に係る識別情報データベース内の共通位置タグ特定処理の説明図
【図9】本発明の実施の形態1に係る物品位置情報データベース内のデータ構成図
【図10】本発明の実施の形態1に係る操作端末の処理フローチャート
【図11】本発明の実施の形態1に係る操作端末での物品位置他の表示画面構成図
【図12】本発明の実施の形態2に係る物品位置特定システムの全体構成を示すブロック図
【図13A】本発明の実施の形態2に係るコンピュータ内にプログラミングした各構成手段の処理構成を示したブロック図
【図13B】本発明の実施の形態2に係る移動ロボット106aの構成例を示したブロック図
【図14】本発明の実施の形態2に係る移動ロボットの移動と質問器からの質問波にて検知可能な範囲及び識別情報データベース内に蓄積する識別情報の説明図
【図15】本発明の実施の形態2に係る識別情報データベース内のデータ構成図
【図16】本発明の実施の形態2に係る移動ロボット内の無線通信手段の処理フローチャート
【図17】本発明の実施の形態2に係る質問器制御手段の処理フローチャート
【図18】本発明の実施の形態2に係る物品位置推定手段の処理フローチャート
【図19】本発明の実施の形態2に係る物品位置特定処理の処理フローチャート
【図20】従来例2のシステム構成図
【符号の説明】
【0206】
99・・・RFID
99−1・・・アンテナ
99−2・・・送信信号生成手段
99−3・・・送信電圧発生手段
99−4・・・IC
100・・・物品位置管理環境
101・・・位置タグ
102・・・物品タグ
102a、102b、102c・・・物品に添付したRFID
104・・・質問器
104−1・・・アンテナ
104−2・・・送信電波制御手段
104−3・・・受信信号処理手段
104−4・・・外部インターフェイス
104a〜104i・・・物品位置管理環境内に設置した質問器
104v、104w・・・移動ロボットに設置した質問器
105・・・コンピュータ
106a、106b・・・移動ロボット
201、1301・・・質問器制御手段
202、1302・・・識別情報データベース
203、1303・・・物品位置推定手段
204、1305・・・位置特定情報データベース
205、1304・・・物品位置情報データベース
206、1306・・・操作端末
206a・・・スピーカ
206b・・・ディスプレイ
206c・・・キーボード
206d・・・マイク
207・・・タイマ
208、1309・・・データベースアクセス手段
1307、1308・・・通信手段
1310・・・移動制御手段
1311・・・移動装置
1312・・・経路生成手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動により位置が不特定に変化する物品を扱う環境での物品位置を特定する物品探索システム及び物品探索プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明に類似の先行発明について説明する。
【0003】
従来、任意に場所を移動する物体の位置を検出するためには、遠隔の複数センサから物体を検知し、複数センサで検知した物体の検知状況から3角測量の手法で位置計測を行ってきた。
【0004】
具体的には、上記センサがカメラなら、各カメラの撮像画像中内の同一物品を同定し、撮像画像内の物品位置及びカメラの姿勢からカメラ位置から上記物品を指す方向を算出、既知のカメラ位置から物品までの方向を複数個特定することで物品位置を決定する。
【0005】
超音波を利用する場合には、位置の特定が必要な物品に超音波発振器を取り付け、固定位置に配置された複数の超音波受信機から電波や光による信号で上記超音波発振器へ超音波の発振トリガを送信。発振器から発せられた超音波を受信器が受信するまでの時間を計測し、音速を基準として受信器と発振器の間の距離を算出する。受信器から物品までの距離を複数個特定することで物品位置を特定する。
【0006】
本発明と同様に電波を利用した3角測量手法による物品位置検知の場合には、従来例1(特許文献1参照)で開示されている発明のように、物品(人)に電波発信機を装備し、固定位置に配置した複数の受信機で上記電波発信機からの送信電波を受信、受信した電波の強度を基に受信機から発振器までの距離を推定する。複数個の受信機から上記物品(人)に付属の発振器までの距離を特定することで、物品(人)の位置を特定する方法を用いる。この従来例1の方法は、電波発信機が大型でも実用上問題が無い場合に適している。なぜなら、電波の発信を物品(人)に付属の発信機で実施するためには、送信電力を実用的に供給する電源部(電池)を発信器内部に内蔵することが必要となるためである。実用上、小型のRFIDを利用する場合、電波の発信のための電源装置を内蔵させることは出来ない。
【0007】
以下に、説明する従来例2(特許文献2参照)では、位置の探索が必要な物品1101には、小型のパッシブRFID1103を装着するだけで、従来例1と同様の3角測量法による物品位置の計測を実現するための発明を開示している。
【0008】
従来例2では、固定位置にある複数の送受信アンテナ1102からの電波の送信強度を変化させながら、物品に添付したRFID1103を検知する。アンテナ1102からの送信電波強度を変化させることで各アンテナ1102での物品RFID1103の検知状態が変化することに着目し、注目するRFID1103が検知可能から検知不能、もしくは、検知不能から検知可能になった時点の送信電波の強度を記憶、あらかじめ取得しておいた送信電波出力とRFID1103の検知可能距離の関係を記録したテーブルと照合することで、アンテナ1102から注目するRFID1103までの距離を算出できるというものである。
【0009】
従来例2の場合には、従来例1で必要であった発信器(RFID)からの自発的な電波送信が不要になるとともに、従来例2のように物品1101に対してアンテナやリーダを装着することなく、アンテナ1102からの質問波に送信出力でRFID1103まで、すなわち、物品1101までの距離を特定でき、複数のアンテナ1102から物品1103までを特定することで3角測量によって物品の位置を特定することが出来る。
【0010】
【特許文献1】特開1993−011039号公報
【特許文献2】特開2002−250768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来例2において開示された、RFID1103を利用した物品位置の探索技術は、物品位置を探索する環境内に置ける電波環境が均一で、あらかじめ取得しておいたアンテナ1102からの送信電波出力とRFID1103の検知可能距離の関係が安定であることが必須となる。
【0012】
一方、本発明の対象とする一般家庭や、オフィスなどの物品位置の探索環境では、棚や構造物が狭い空間で入り組んでいる、もしくは、人や物品が移動する、物品が不規則に配置されるなどに事由により、物品位置を探索する環境内に置ける電波環境が複雑で、頻繁に変化してしまい、あらかじめ取得しておいたアンテナからの送信電波出力とRFIDの検知可能距離の関係が一定であることは望めない。
【0013】
このため、従来例3の技術では、物品の位置を正確に探索することはできない。
【0014】
よって、本発明の目的は、電波環境が不安定な状況下でも、RFIDを装着した物品の位置を確実に探索することが可能な物品探索システム及び物品探索プログラムを提供することに有る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0016】
本発明の第1態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得する少なくとも1つの質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記質問器で受信した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から、複数方向からの上記物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、上記特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を上記探索情報データベースから読み出し、上記読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に上記物品の位置を推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0017】
これにより、電波環境が如何様に変化しようとも、質問器において、物品ID送受信器からの応答を受信できる状況では、その近傍の電波環境に配置されている探索送受信器からの応答も受信できると仮定でき、複数方向からの物品ID送受信器と探索送受信器の応答受信状態から物品ID送受信器の応答受信状況と共通性の高い探索送受信器を特定することで、物品ID送受信器に近い探索送受信器を特定し、その探索送受信器の位置情報を以って、物品ID送受信器の位置情報を推定することが出来る。
【0018】
本発明の第3態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に増加もしくは減少させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0019】
これにより、物品位置を管理する領域内に配置した複数方向の質問器からの質問波による物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報を得ることが出来、また、質問器からの質問波の送信強度を増加もしくは減少させながら質問波を送信することにより、物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報の変化を詳細に蓄積することが出来る。このことにより物品ID送受信器と探索送受信器の検知状態の共通性をより詳細に特定することが出来、すなわち、物品位置を詳細に推定することができる。
【0020】
本発明の第4態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に変化させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、上記複数の質問器で特定した探索送受信器の間で共通に特定することが出来た複数の探索送受信器の位置情報、及び、上記特定の物品ID送受信器と上記で特定した複数の探索送受信器の検知状態の変化時刻の相違から推定した物品ID送受信器と複数の探索送受信器及び質問器の複数の位置関係を基に、物品位置を補間推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0021】
これにより、探索送受信器の配置間隔が大きく、また、物品が、複数の探索送受信器の間に置かれた状態であっても、複数の探索送受信器の位置情報を用いた補間算出により精度良く物品ID送受信器の位置を推定することが出来る。
【0022】
本発明の第5態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内を移動する移動体に装備された質問器と、
上記移動体が移動しながら上記質問器より一定強度の上記質問波を送信しながら上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記移動体の移動に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、上記抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0023】
これにより、物品位置を管理する領域内を移動する移動体に装備した質問器による物品ID送受信器と探索送受信器のへの質問波の送信により、複数方向からの物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報を得ることが出来、また、質問器が移動しながら質問波を送信することから物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報の変化を詳細に蓄積することが出来る。このことにより物品ID送受信器と探索送受信器の検知状態の共通性をより詳細に特定することが出来、すなわち、物品位置を詳細に推定することができる。
【0024】
本発明の第6態様によれば、コンピュータに、
質問器からの質問波の送信出力を制御するステップと、
上記質問器で受信した、物品に付与されかつ質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器の識別情報を識別情報データベースに蓄積するステップと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から複数方向からの物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を、上記探索送受信器の位置情報を上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースから読み出し、読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に物品位置を推定するステップとを実行させるための物品探索プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の物品探索システム及び物品探索プログラムによれば、アンテナからの電波送信強度を基にアンテナと物品タグの距離を算出する必要が無いため、物品探索領域内の電波環境の変動によって物品ID送受信器(例えば、物品ID送受信器の一例として機能するパッシブ型RFID(Radio Frequency Identification)を利用した物品タグ)を検知できる電波送信強度が変動した場合でも、物品ID送受信器とその近隣にある探索送受信器(例えば、探索送受信器の一例として機能するパッシブ型RFIDを利用した位置タグ)の検知状態(検知可能/不能の状態)を少なくとも1つの質問器から検知することで、物品ID送受信器の近隣の探索送受信器を特定することが出来る。すなわち、この特定できた探索送受信器の位置情報を以って、物品の位置とすることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明にかかる実施の形態を説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
【0027】
本発明の第1態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得する少なくとも1つの質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記質問器で受信した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から、複数方向からの上記物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、上記特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を上記探索情報データベースから読み出し、上記読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に上記物品の位置を推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0028】
本発明の第2態様によれば、上記物品の位置を問い合わせることで、上記物品位置データベースからの物品位置情報を引き出す操作端末をさらに備える、第1の態様に記載の物品探索システムを提供する。
【0029】
本発明の第3態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に増加もしくは減少させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0030】
本発明の第4態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に変化させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、上記複数の質問器で特定した探索送受信器の間で共通に特定することが出来た複数の探索送受信器の位置情報、及び、上記特定の物品ID送受信器と上記で特定した複数の探索送受信器の検知状態の変化時刻の相違から推定した物品ID送受信器と複数の探索送受信器及び質問器の複数の位置関係を基に、物品位置を補間推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0031】
本発明の第5態様によれば、物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内を移動する移動体に装備された質問器と、
上記移動体が移動しながら上記質問器より一定強度の上記質問波を送信しながら上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記移動体の移動に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、上記抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システムを提供する。
【0032】
本発明の第6態様によれば、コンピュータに、
質問器からの質問波の送信出力を制御するステップと、
上記質問器で受信した、物品に付与されかつ質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器の識別情報を識別情報データベースに蓄積するステップと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から複数方向からの物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を、上記探索送受信器の位置情報を上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースから読み出し、読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に物品位置を推定するステップとを実行させるための物品探索プログラムを提供する。
【0033】
次に、以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0034】
(実施の形態1)
図1Aに、本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムを家庭やオフィスなどの物品の位置を管理している環境(具体例としての間仕切りに仕切られた部屋の構造を示している。以下、単に「物品位置管理環境」と称する。)100に適用した例を示す。
【0035】
物品位置管理環境100の床には、探索送受信器の一例としての役割を担うパッシブ型RFID(Radio Frequency Identification)を利用した位置タグ101(x,y)が所定間隔毎に例えば床面に配置されるとともに、RFIDの質問器104a〜104iも所定間隔毎に例えば天井に配置され、さらに、コンピュータ105を物品位置管理環境100内又は物品位置管理環境100外の任意の位置に設置する。
【0036】
コンピュータ105には、質問器制御手段201、識別情報データベース202、探索情報データベースの一例としての位置特定情報データベース204、物品位置推定手段203、物品位置情報データベース205、データベースアクセス手段208、及び操作端末206を機能させるプログラムを実装する。
【0037】
また、物品位置管理環境100には、移動体としての人103や上記物品ID送受信器の一例として機能するパッシブ型RFIDを利用した物品タグ102a〜102cを添付した物品が存在する。
【0038】
位置タグ101(x,y)は、説明の都合上、図1A中に1点鎖線で示した縦横の補助線の示す番号のうち横方向をx値、縦方向をy値とした添え字により区別し、部屋100の床面に縦横に等間隔に配置している。本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムの実用上では、位置タグ101(x,y)は床面だけでなく棚、机などの物品の置けるスペースには配置することが望ましい。
【0039】
図2Aに、コンピュータ105内の処理構成及び物品探索システムとしての接続状態を示す。
【0040】
位置特定情報データベース204には、全ての位置タグ101(x,y)の位置情報、すなわち101(1,1)〜101(12,8)の位置情報を、あらかじめ記憶する。
【0041】
コンピュータ105の質問器制御手段201は全ての質問器104a〜104iと連結し、質問器制御手段201によって全ての質問器104a〜104iを制御するとともに、質問器104a〜104iからの質問波に応答可能な物品タグ102及び位置タグ101(x,y)から得られた識別情報を、必要に応じて、識別情報データベース202に書き込む。
【0042】
識別情報データベース202は、タイマ207と質問器制御手段201とに接続され、質問器104a〜104iからの質問波に応答可能な物品タグ102及び位置タグ101(x,y)から得られた識別情報を、質問器制御手段201を介して取得して蓄積する。
【0043】
タイマ207は、識別情報データベース202に接続されて、識別情報データベース202に時刻の情報を送り、必要なときに、時刻の情報を他の情報とともに識別情報データベース202に蓄積するために使用する。
【0044】
物品位置推定手段203は、識別情報データベース202と位置特定情報データベース204と物品位置情報データベース205とにそれぞれ接続され、識別情報データベース202と位置特定情報データベース204に蓄積した情報から物品位置を推定する。推定した物品位置の情報は、物品位置情報データベース205に蓄積する。
【0045】
操作端末206は、データベースアクセス手段208と接続され、オペレータの物品位置情報の要求操作をデータベースアクセス手段208に伝える一方、データベースアクセス手段208から送られてきた情報を受け取ってオペレータに提示する。オペレータへの提示の方法は、コンピュータ105に接続したスピーカ206a、ディスプレイ206bを通じて行う。オペレータの物品位置情報の要求操作は、キーボード206cや、マイク206dなどの操作I/Fから行う。
【0046】
データベースアクセス手段208は、操作端末206と物品位置情報データベース205と接続され、操作端末206からのオペレータの物品位置情報の要求操作に応じ、物品位置情報データベース205より物品位置情報を読み出して操作端末206に送る。
【0047】
一方、各質問器104は、図2Bに示すように、アンテナ104−1と、アンテナ104−1に接続された送信電波制御手段104−2と、アンテナ104−1に接続された受信信号処理手段104−3と、送信電波制御手段104−2と受信信号処理手段104−3とが接続された外部インターフェイス104−4とで構成している。
【0048】
質問器104の外部への質問波の送信は、送信電波制御手段104−2で発振した送信信号をアンテナ104−1を介して送信する。このとき、送信電波制御手段104−2で生成する送信信号の出力は、外部I/F104−4を介して質問器制御手段201より受け取る制御情報によって制御する。
【0049】
質問器104から質問波が送信されると、その質問波が届く範囲内に位置し、かつ、質問波に含まれる質問情報に応答可能な応答情報を有する位置タグ101(x,y)もしくは物品タグ102a〜102cは、送信した質問波に応答したID情報を送信する。送信した質問波に応答した位置タグ101(x,y)もしくは物品タグ102a〜102cから送信されるID情報の受信は、アンテナ104−1を介して受信信号処理手段104−3にて受信する。受信信号処理手段104−3で受信したID情報は、外部I/F104−4を介して質問器制御手段201に送信される。
【0050】
物品タグ102及び位置タグ101(x,y)に共通のRFID99としての構成を図2Cに示す。RFID99は、アンテナ99−1と、アンテナ99−1に接続された送信信号生成手段99−2と、アンテナ99−1に接続された送信電圧発生手段99−3と、及び、送信信号生成手段99−2に接続されたIC99−4とで構成する。
【0051】
質問器104から送信される質問波に対するRFID99の動作について説明する。まず、送信電圧発生手段99−3が、アンテナ99−1で受信した質問波の受信電力からRFID99の内部の駆動電圧を生成する。駆動電圧が、図2C中の細線で示す電圧供給線によって、送信電圧発生手段99−3から各部すなわち送信信号生成手段99−2とIC99−4とに供給される。駆動電圧の供給により動作を開始したIC(ICチップ)99−4は、IC99−4の内蔵メモリ内に格納されたID情報を、送信信号生成手段99−2に送信する。送信信号生成手段99−2はID情報を変調し質問波の搬送波に重畳し、アンテナ99−1にて送信する。
【0052】
尚、RFID99には、搬送周波数の違いにより、電磁結合方式(13.56MHz)、電波利用方式(UHF、2.45GHz)など、数種類の質問器とRFIDの送受信の方式が存在するが、いずれの方式に於いてもRFIDの基本機能である質問器の間で遠隔のID情報の応答は可能であり、本発明では、いずれの方法でも適用することができる。
【0053】
次に、図3を用いて、質問器制御手段201の質問器制御処理フローについて説明する。
【0054】
質問器制御処理は、コンピュータ105を起動し、物品探索システムを起動することでスタートする。
【0055】
物品探索システムが起動されると、質問器制御手段201は、初期設定としてステップS300において各質問器104の質問波の送信出力設定値をあらかじめ定めた最小値とし、また、質問波を送信する送信質問器104を、一例として、図1Aの質問器104aと設定する。
【0056】
次に、質問器制御手段201の制御の下に、設定された送信質問器104aから送信出力設定値の質問波を送信する(ステップS301)。質問波に応答し、識別情報を取得できた物品タグ102a〜102cもしくは、位置タグ101(x,y)が存在した場合(ステップS302)、その識別情報を質問器制御手段201の制御の下に識別情報データベース202に蓄積する(ステップS309とステップS310)。すなわち、ステップS309では、送信質問器104aが現在の送信出力設定値よりも小さい段階で検知した識別情報を質問器制御手段201で識別情報データベース202より読み出し、ステップS310では、ステップS301で検知したタグの識別情報からステップS309で質問器制御手段201により識別情報データベース202から読み出した識別情報を除いた識別情報の差分を、識別情報データベース202の新規識別情報として、識別情報データベース202に質問器制御手段201により書き込む。
【0057】
ステップS302がNoの場合、もしくは、ステップS310の後は、送信質問器104を、送信質問器104b〜104iの間で巡回するように質問器制御手段201により次の質問器104に変更する(ステップS304)。例えば、ステップS302以前の質問波を送信した質問器104が質問器104aであれば、次順の質問器104を質問器104bに変更する。
【0058】
次に、ステップS304で変更された送信質問器が104a〜104iを一巡して104aに戻った場合(ステップS305がYesの場合)には、ステップS306へ進み、それ以外の場合(すなわち、送信質問器が104b〜104iのいずれかの場合、すなわち、ステップS305がNoの場合)には、オペレータからの終了命令がない限り(ステップS311がNoである限り)、ステップS301に戻って、質問器制御手段201の制御の下に、ステップS301からステップS304までの処理を繰り返す。これにより、質問器制御手段201の制御の下に、送信質問器104aから始めて送信質問器104iまでの全ての送信質問器104a〜104iについて、それぞれ、ステップS301からステップS304までの処理を繰り返すことになる。ステップS305がNoの場合でかつオペレータからの終了命令があった場合(ステップS311がYesの場合)には、処理を終了する。
【0059】
次いで、ステップS306では、質問器制御手段201により、送信出力設定値を増加させる(ステップS306)。このとき、変更した送信出力設定値が最大設定値を超えた場合(ステップS308がYesの場合)には、オペレータからの終了命令がない限り(ステップS312がNoである限り)、ステップS300に復帰して、質問器制御手段201により、送信出力設定値及び送信質問器104を初期設定に戻して上記の処理を繰り返す。送信出力設定値が最大設定値以内の場合には、オペレータからの終了命令がない限り(ステップS311がNoである限り)、ステップS301に復帰する。ステップS312でオペレータからの終了命令が入力されていることを検知した場合(ステップS312がYesの場合)には、処理を終了する。
【0060】
上記処理フローを実行することで、質問器制御手段201の制御の下に、全ての質問器104aから104iから質問波の送信出力を順次変更しながら、逐次、物品タグ102a〜102cもしくは、位置タグ101(x,y)を検知することが出来る。また、各質問波送信時に検知することが出来た物品タグ102及び位置タグ101の識別情報を、質問器制御手段201により、識別情報データベース202に順に蓄積することが出来る。
【0061】
各質問器104からの送信電波の最大送信出力は、最大送信出力時に物品位置管理環境100内の物品位置を特定したい領域を複数の質問器104からの送信電波が重複する大きさとなるように設定する。
【0062】
ここで、図1Bに、質問器104hの送信波の状態を模式的に示し、質問器104hからの送信出力の設定方法の具体例を説明する。質問器104hを取り巻く同心状の閉曲線(図1Bでは点線で示す閉曲線)は、質問器104hから送信強度を変化させて送信した場合の位置タグ及び物品タグの検知可能範囲を示す。
【0063】
質問波の送信強度の増加毎に閉曲線の占める領域が拡大する。このとき、質問器104hからの送信出力は全方位へ同様に出力するが、構造壁や間仕切り壁などを通過することによって、質問波の電波の伝播が構造壁や間仕切り壁などで阻害されるため、位置タグ101及び物品タグ102の検知可能範囲は、必ずしも同心円上に拡大しないことになる。たとえば、送信出力が同様に増加した場合でも、図1B上、質問器104h直下の構造壁100aを通過することで位置タグ101及び物品タグ102の検知可能範囲の増加量は、他の方向よりも減少することになる。このような電波の伝搬環境で質問器104hからの最大送信出力を定めるには、送信出力を増大させてゆき、質問器104hの隣接して周囲に配置されている質問器104d、104e、104g、104iのそれぞれの下(位置)にある位置タグ101(4,4)、101(8,4)、101(2,1)、101(10,1)の全てが検知可能な送信出力を最大送信出力と定める。同様に、質問器104dでは、質問器104dに隣接する質問器104a、104b,104e,104g,104hの位置にある位置タグ101(2,7)、101(6,7)、101(8,4)、101(2,1)、101(6,1)の全てを検知できる送信出力を最大送信出力とする。この場合、隣り合う質問器104で構成する三角形の領域は、3つの質問器104からの最大送信出力にて3重に重複した検知可能領域となる。
【0064】
このように、質問器104に挟まれた領域を、各質問器104の質問波での検知領域が重複するように最大送信出力を定めることにより、物品位置を特定できる。この、各質問器104からの最大送信出力を、上記のように定めることによって物品位置を特定する方法については以下に説明する。
【0065】
図4Aには、上記質問器制御手段201の質問器制御処理フローに従い、質問器104を104a〜104iの間で巡回させ、質問器104の送信出力を50mWから順次50mW刻みで送信出力を増大させながら検知した識別情報データベース202内の記録情報の具体例を示す。
【0066】
図中には、質問器制御処理によって識別情報データベース202内に順次蓄積した識別情報の具体例として、送信出力50mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際の質問器104a,104b,104cの識別情報の具体例を示している。また、送信出力を50mW増大した送信出力100mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際に、質問器104iにて物品ID102cを検知した際の識別情報の具体例を示している。また、さらに送信出力を50mW増大した送信出力150mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際に、104eが物品ID102cを検知した際の識別情報の具体例を示している。また、送信出力をさらに50mW増大した送信出力200mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際には物品ID102cは検知されず、送信出力をさらに50mW増大した送信出力250mWで、質問器104a〜104iでの検知を順に行った際に質問器104hにて物品ID102cを検知した際の識別情報の具体例を示している。
【0067】
これは、図1Aの質問器104a〜104iの配置にて、質問波の送信出力を増大させていった場合の、物品102cの検知結果に着目した識別情報(質問器104iの100mWの送信出力時の識別情報、質問器104eの150mWの送信出力時の識別情報、質問器104hの250mWの送信出力時の識別情報)を抜き出して示したものである。
【0068】
物品102cの検知結果に着目して識別情報を図示した理由は、図4Aをベースに、物品102cの位置推定の方法について後述する図8との整合を取るためである。
【0069】
また、質問波の送信出力が50mW時の質問器104a、104b、104cの識別情報は、識別情報データベース202内の識別情報が、同一の送信出力にて質問器104aから順に質問波が送信されることで得られた識別情報が順に蓄積されることを示すために例示した。
【0070】
識別情報データベース202では、上記、送信出力設定値及び送信質問器104を順次変更しながら検知した物品タグ102a〜102c及び位置タグ101(x,y)の識別情報を、図4A中の各行に記録する。これ以降、図4Aの各行の情報について、「逐次検知情報」という。
【0071】
この逐次検知情報として記録する項目は、質問器104からの質問波の送信時刻の情報400、質問波を送信した質問器401の情報、そのときの質問波の送信出力の情報402、検知した物品タグ102の識別情報403、及び、検知した位置タグ101の識別情報404とする。送信時刻の情報400はタイマ207より取得する。
【0072】
図4A中に記録する物品タグ102の識別情報403、位置タグ101の識別情報404は、当該時刻の質問波送信で検知できた全ての識別情報ではなく、ステップS309及びステップS310で処理した同一質問器104での送信出力のうちの、より小さい出力で検知した検知結果の総和と当該時刻の識別情報の差分を記録している。
【0073】
この識別情報として、前回の検知結果との差分を蓄積する理由は、次の事由による。
【0074】
同一の質問器104から送信出力の大きな質問波を送信で検知できる物品タグ102及び位置タグ101の識別情報は、より小さな送信出力で検知できていた物品タグ102及び位置タグ101を含み、それらに加えて送信出力が大きくなることで、新たに検知可能になった物品タグ102及び位置タグ101の識別情報が加わることになる。このため、上記のように逐次検知情報に識別情報の差分を蓄積したとしても、検知時刻400、検知器401、送信出力402を記録しておくことにより、以前に検知記録されている同一検知器におけるより送信出力の小さい質問波にて検知した識別情報の差分の総和を求めることで、各検知時刻で検知できた全ての識別情報を復元することができる。
【0075】
よって、各送信出力で検知した冗長な識別情報を全て記録して識別情報データベース202に必要な記憶容量を増大させるより、識別情報の差分を記録しておくことが望ましい。
【0076】
次に、位置特定情報データベース204内の情報について図4Bを用いて説明する。
【0077】
位置特定情報データベース204には、位置タグ101(x,y)の位置情報を記憶しておく。たとえば、位置タグ101(x,y)の位置情報の例としては、位置タグ101の識別情報410、物品位置管理環境100内のX座標411、Y座標412である。
【0078】
また、位置特定情報データベース204には、固定位置にある各位置タグ101と各質問器104の関係として、探索環境100内で、各質問器104での各位置タグ101を検知可能な質問器104の情報413を蓄積しておくこともできる。
【0079】
各位置タグ101を検知可能な質問器104の情報413の蓄積については、物品位置管理環境100内の電波環境の初期定常状態での各質問器104の最大出力にて検知可能な位置タグ状態を記録しておくことが出来る。各位置タグ101を検知可能な質問器104の情報413のような情報を、位置タグ101に関わる情報を位置特定情報データベース204に蓄えておくことで、各質問器104から各位置タグ101への電波到達環境の変動を評価することも可能で有る。
【0080】
次に、本発明の実施の形態での物品位置の推定処理の基本的な動作の概略を図8を用いて示す。
【0081】
図8を用いた説明では、後述の物品位置推定処理フローの詳細な理解を容易にするため、識別情報データベース204内の識別情報の蓄積例を追いながら、物品タグ102の近傍に有る位置タグ101を特定するための、物品タグ102及び位置タグ101の識別情報の履歴の利用方法の具体例を説明する。
【0082】
図8は、上述の図4A(識別情報データベース204の具体例)をベースに、物品位置の推定処理の基本的な動作の概略を示すための補助枠とその符号を加えた図である。
【0083】
具体的には、時刻11:30:20の送信出力において質問器104hが物品タグ102cを検知した際の物品タグ102cの近傍に有る位置タグ101(9,2)を識別情報データベース204内の逐次検知情報を遡って特定するための手順を説明する。
【0084】
図8中、時刻11:30:20の250mWの質問波の送信出力において質問器104hが物品タグ102cを検知した(参照符号801参照)ことにより、物品位置推定手段203では物品タグ102cの位置を特定するための処理を実施する。物品位置推定では、まず、識別情報データベース204内の逐次検知情報の履歴を遡って確認しながら、物品タグ102cを検知した逐次検知情報の履歴を抽出する。図8中では、時刻11:28:56に150mWの送信出力にて質問器104eが検知した物品タグ102cの履歴(参照符号802参照)を含む逐次検知情報806と、時刻11:26:30に100mWの送信出力にて質問器104iが検知した物品タグ102cの履歴(参照符号803参照)を含む逐次検知情報(参照符号807参照)が、抽出される。このとき、逐次検知情報805内で、物品タグ102c(参照符号801参照)と同時に検知された位置タグは101(7,3)[図8では(07,03)と表記されている位置タグを意味する。以下も、同様。]、101(4,1)、101(9,2)、101(5,3)他であり、逐次検知情報806内で、物品タグ102c(参照符号802参照)と同時に検知された位置タグは101(6,3)、101(5,5)、101(7,2)、101(9,2)他であり、逐次検知情報807内で、物品タグ102c(参照符号803参照)と同時に検知された位置タグは101(12,2)、101(9,2)、101(10,3)、101(11,3)他である。
【0085】
図7Aには、この3つの逐次検知情報(参照符号805、806、807参照)による物品タグ102cの検知状況を実空間の模式図で示す。図7A中、物品位置管理環境100内での各質問器104e、104h、104iの送信出力を150mW、250mW、100mW、とした際の3つの質問器104e、104h、104iによって物品タグ102もしくは位置タグ101が検知可能な範囲をそれぞれ701a、703a、705aの破線で示す閉曲線の内部で示す。また、各質問器104e、104h、104iの送信出力が1段階少ない、100mW、200mW、50mWの場合、各質問器104e、104h、104iによって検知可能な範囲をそれぞれ701a、703a、706aの破線で示す閉曲線の内部で示す。このとき、図4A中の識別情報データベース204内の物品102cの検知を含む識別情報801で検知されている位置タグ101(x,y)は、閉曲線703aと704aに挟まれた領域に配置されている位置タグ101(x,y)であり、識別情報802で検知されている位置タグ101(x,y)は、閉曲線701aと702aに挟まれた領域に配置されている位置タグ101(x,y)であり、識別情報803で検知されている位置タグ101(x,y)は、閉曲線705aと706aに挟まれた領域に配置されている位置タグ101(x,y)となる。2つの閉曲線に挟まれた情報となる理由は、上述のように識別情報データベース204に格納する識別情報が、質問器104の送信出力の増分に応じて変化した検知可能な識別情報の差分情報であることによる。
【0086】
図7Aに示す状況において、物品タグ102cは、3つの質問器104e、104h、104iの検知範囲(閉曲線703aと704aに挟まれた領域、閉曲線701aと702aに挟まれた領域、閉曲線705aと706aに挟まれた領域)の共通領域にあり、その近傍にある位置タグ101(9,2)も、当然、同様に、3つの質問器104e、104h、104iの検知範囲の共通領域にある。よって、物品タグ102の近傍にある位置タグ101(x、y)が位置タグ101(9,2)であるということを特定するには、図4A中の801、802、及び802の物品の識別情報を含んだ逐次検知情報(参照符号805,806,807参照)に含まれる位置タグ101(x、y)の間で共通の位置タグ101(9,2)(図4中の参照符号804参照)を特定すればよい。特定された位置タグ位置タグ101(x、y)の位置情報は、位置特定情報データベース204内に格納されており、この特定できた物品タグ102cの近傍に有る位置タグ位置タグ101(9,2)の位置情報を物品タグ102cの位置情報とする。
【0087】
次に、上記、物品推定を実現するための物品位置推定手段203の物品位置推定処理フローを図5を用いて説明する。
【0088】
物品位置推定処理は、コンピュータ105を起動し、物品探索システムを起動することでスタートする。
【0089】
物品探索システムが起動されると、物品位置推定手段203は、スタート後、読み出した識別情報データベース202内の最新の質問波送信による逐次検知情報に物品タグ102の識別情報が見つかるまで(ステップS501がYesとなる)、もしくは、オペレータからの終了命令がある(ステップS506がYesとなる)まで、識別情報データベース202の最新の逐次検知情報を順次読み出す処理(ステップS500)を繰り返す。
【0090】
ステップS501にて、物品位置推定手段203が最新の逐次検知情報に物品タグ(図1Aで示せば物品タグ102a〜102cのいずれか:以降、被検知物品タグという)102の識別情報を見つけた場合、後述する物品位置特定処理(物品探索処理)(ステップS502)が動作し、物品位置推定手段203による被検知物品タグ102の物品位置推定処理を実施する。
【0091】
次いで、ステップS503では、ステップS501で発見した逐次検知情報内に複数の被検知物品タグ102の識別情報が存在した場合、物品位置推定手段203により、複数の被検知物品タグ102の識別情報の全てに対して、ステップS502を順次実行するため、ステップS502での物品位置特定処理の対象となる被検知物品タグ102を順次変更する(ステップS503)。ステップS503では、被検知物品タグ102の変更に於いて、ステップS501で発見した複数の被検知物品タグ102の順次の被検知物品タグ102の次への変更が必要となった場合には、ステップS501で発見した複数の被検知物品タグ102への順次変更が終了したという情報をステップS504に通知する。
【0092】
次いで、ステップS504では、ステップS503からの被検知物品タグ102への順次変更が終了したという情報の通知によって、ステップS501で検知された被検知物品タグ102の全てに対して、ステップS502及びステップS503の処理が実施されたことを確認した場合(ステップS504がYesの場合)には、オペレータからの終了命令が無い限り(ステップS506がNoである限り)、ステップS500に復帰する。一方、ステップS503からの被検知物品タグ102への順次変更が終了したという情報の通知が無い、すなわち、ステップS502及びステップS503の処理を経ていない被検知物品タグ102の識別情報が残っている場合(ステップS504がNoの場合)には、ステップS502からステップS503の処理を物品位置推定手段203により繰り返す。
【0093】
ステップS506の時点で、オペレータの終了命令の入力されていることを検知した場合(ステップS506がYesの場合)には、処理は終了する。
【0094】
次に、上記動作フロー内の物品位置特定処理(ステップS502)の処理フローについて図6Aを用いて説明する。
【0095】
被検知物品タグ102の検索ステップ600では、識別情報データベース202内の情報から、物品近傍の位置タグ特定処理の対象となる被検知物品タグ(以下、被検知物品タグ102t(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)の識別情報を含む以前の逐次検知情報を、物品位置推定手段203により検索する。このとき、ステップS600での識別情報データベース202内の被検知物品タグ102tの識別情報の検索範囲は、上記送信出力設定と質問器104a〜104iを1巡回する逐次検知情報以上に遡る必要は無い。また、全ての質問器104a〜104iの逐次検索情報の内から質問器104を逐次選択して物品位置推定手段203により検索すればよい。なお、被検知物品タグ102tの識別情報を有する逐次検知情報の検索の詳細については、後述する。
【0096】
ステップS600の検索の結果において、被検知物品タグ102tの識別情報を有する複数の逐次検知情報を抽出できた場合(ステップS601でNoの場合)には、ステップS603に進む。
【0097】
ステップS603では、ステップS600で検索して抽出できた複数の逐次検知情報及びステップS500で読み出した最新の逐次検知情報の内で、共通の位置タグ(以下、共通の位置タグ101com(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)の識別情報(以下、共通位置タグ識別情報という。)を物品位置推定手段203により特定する。
【0098】
次いで、ステップS607では、ステップS603もしくは後述するステップS602にて共通位置タグ101comを物品位置推定手段203により特定できたかどうかを判定し、特定できなかった場合(ステップS607でYesの場合)には、物品位置を特定不能と判断し、物品位置特定処理(ステップS502)を終了する。共通位置タグ101comが発見できなかったということは、物品が移動中もしくは近い時刻に物品が移動されたことを示していることになる。
【0099】
ステップS607において、共通位置タグ101comを特定できた場合(ステップS607でNoの場合)には、ステップS604において、共通の位置タグ101comの識別情報が適切であるかどうかを物品位置推定手段203により評価する。
【0100】
共通位置タグ識別情報が適切であるかどうかについては、以下のように評価する。
【0101】
ステップS604において、共通位置タグ識別情報が1つであれば適切であると評価する。また、ステップS604において、複数の共通位置タグ識別情報が存在する場合、それぞれの共通位置タグ101comの位置情報を位置特定情報データベース204から物品位置推定手段203により読み出し、複数の共通位置タグ101comが互いに隣接する位置タグ101同士であった場合は適切であると判断し、複数の共通位置タグ101comが互いに離れている場合は不適切であると判断する。
【0102】
複数の共通位置タグ101comを適切であると判断した場合(ステップS605がYesの場合)、ステップS606において、位置特定情報データベース204から読み出した位置タグ101comの位置情報を用いて物品の位置を算出する。
【0103】
ステップS606において、まず、共通位置タグ101comが一つの場合は、位置特定情報データベース204から読み出した位置タグ101comの位置情報を物品の位置とする。共通位置タグ101comが複数の場合には、複数の共通位置タグ101comの位置情報の重心位置を物品位置として物品位置推定手段203により算出すれば良い。仮に、本物品探索システムによるオペレータへの物品位置の呈示が、重心位置のようなポイント位置情報でなくても良いシステムの場合には、複数の共通位置タグ101comの存在する領域を物品位置としても良い。
【0104】
物品位置推定手段203により算出した物品位置は、物品位置情報データベース205に物品位置推定手段203により蓄積し、物品位置推定処理を終了する(ステップS607)。
【0105】
複数の共通位置タグ101comが不適切であると判断した場合(ステップS605がNoの場合)は、複数の共通位置タグ101comの位置が離れている場合であって、このようなことが起こり得る状況の想定は困難であるが、可能性としては電波の反射やそれに誘引される電波の干渉に依る局所的な検知スポットの出現など、かなり特異な状況が発生した場合と想定できる。このような場合には、物品位置の特定は不能として処理を終了する。この場合(ステップS605がNoの場合)には、電波環境異常が生じていることをオペレータに通知することも可能である。
【0106】
また、ステップS600の検索の結果において、被検知物品タグ102tの識別情報を有する複数の逐次検知情報を抽出できなかった場合(ステップS601でYesの場合)には、本来、質問器の検知範囲の初期設定において物品タグ102を検知できる検知範囲を持った質問器104の内いずれかが検知不能な状況(検知異常)に陥っていることがわかる。この場合、ステップS602の検知異常処理を実施する。
【0107】
検知異常処理(ステップS602)は、被検知物品タグ102tを特定した、質問器104aから104iのうちのいずれかの質問器(以下、104x(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)の近傍の質問器(以下、質問器104xa(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)において検知できるはずの被検知物品タグ102tが検知できない(ステップS601がYes)場合に動作する。この場合、被検知物品タグ102tが検知できないということは、被検知物品タグ102tの近くに存在する位置タグ(以下、位置タグ101t(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)も検知することが出来ない、と仮定することが出来る。この仮定を逆説的に解釈すれば、被検知物品タグ102tを特定した質問器104xに隣接する質問器104xaに於いては、検知不能の位置タグ101tが、被検知物品タグ102tの近傍にある可能性のある位置タグ101tであるということが出来る。
【0108】
被検知物品タグ102tを特定した質問器104xに隣接する質問器104xaにおいて検知不可能な位置タグ(以下、位置タグ101t(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)は、図2Aに示す位置特定情報データベース204内の位置タグ101を検知可能な質問器104の情報413(図4B参照)から得られる質問器104xaが初期設定段階で検知可能な位置タグ101xaとステップS601の時点で質問器104xaが検知可能な位置タグ(以下、質問器104xb(具体的には図示していないが、説明上、理解しやすくするために付する。)と称する。)の差を求めることで、特定することができる。この質問器104xに隣接する質問器104xaにおいて検知不可能な位置タグ101tの識別情報と、ステップS502で被検知物品タグ102tを特定した被検知物品タグ102tを含む逐次検知情報内の識別情報内の位置タグの情報の間で共通の位置タグ101comを特定すれば、ステップS603で求めた複数の逐次検知情報の間で求めた共通位置タグ101comと同様の意味を持つ共通位置タグ101comを見つけることが出来る。
【0109】
上記にて説明した検知異常処理(ステップS602)の動作フローについて図6Bを用いて説明する。
【0110】
ステップS611では、ステップS500で読み出した逐次検知情報を検知した質問器104に隣接する質問器(図1Bにて説明した104hと104dのような最大送信出力で重複する検知範囲を持つ隣り合う位置の質問器104を指す。)104を特定する。
【0111】
ステップS612では、位置特定情報データベース204内の位置タグ101を検知可能な質問器104の情報により、各隣接質問器104xaにて検知可能な位置タグ101xaの識別情報を抽出する。
【0112】
ステップS613では、識別情報データベース202内の逐次検知情報内の位置タグ101の識別情報404を遡って検索することで、各隣接質問器104xaにおいて検知可能な状態にある位置タグ101xbの識別情報を抽出する。
【0113】
ステップS614では、ステップS612で抽出した各隣接質問器104xaで検知可能な位置タグ101xaの識別情報とステップS613で抽出した各隣接質問器104xaにて抽出した検知可能な状態にある位置タグ101xbの識別情報を比較し、隣接質問器104xaにおいて検知不能な状態にある位置タグ101tを特定する。
【0114】
ステップS615では、ステップS614で特定した隣接質問器104xaにおいて検知不能な状態にある位置タグ101tの識別情報と、ステップS500で読み込まれた逐次識別情報内にある位置タグ101の識別情報404の間で共通の位置タグ101comの識別情報を選択し、共通位置タグ101comの識別情報として抽出する。
【0115】
共通位置タグ101comの識別情報を抽出することで検知異常処理(ステップS602)は終了し、ステップS604に復帰する。
【0116】
上記、図5、図6A、及び図6Bを用いて説明した物品位置推定手段203によって、識別情報データベース202内に蓄積した逐次検知情報から、検知された物品タグ102tを抽出し、物品タグ102tの近傍にある共通位置タグ101comを判断し、共通位置タグ101comの位置情報から物品タグ102tの位置情報を特定することが出来る。
【0117】
また、検知異常処理(ステップS602)において、共通位置タグ101comを見つける際、特定の質問器104xから検知不能であるという位置タグ101tの識別情報を抽出する(ステップS614)が、これらを物品位置情報データベース205に蓄積しておくことで、操作端末206からの操作による物品位置要求時に有用な提供情報とすることが出来る。この詳細については、後述の操作端末206に於ける処理の説明部分にて説明する。
【0118】
ステップS602において上記手順にて、共通位置タグ101comを見つけ出せない場合は、物品タグ102tは被検知物品タグ102tを特定した質問器104xが単独でしか検知できない領域、たとえば、図1A中の位置タグ101(1,8)のような質問器104の配置の外れに有り、質問器104aだけの検知可能範囲に存在することになる。
【0119】
本来、質問器104の最大送信出力、及び、質問器104の配置を複数方向で検知が可能なようにしておけば、上記のような特定の質問器104でのみ検知可能なような領域を考慮する必要は無いが、特定の質問器104のみで検知できる範囲が1箇所だけで有り、物品位置の範囲特定精度を見たす場合には、図1A中の101(1,8)のような位置タグ101の領域が存在しても被検知物品タグ102を特定した逐次検知情報内に存在する位置タグ101の内の、質問器104aだけの検知可能範囲にある位置タグ101の位置情報を以って、物品位置情報とすることができる。このような場合には、特定の質問器104だけが検知可能な位置タグ101の情報を、ステップS615での共通位置タグとしてS602に復帰すれば良い。
【0120】
(被検知物品タグの識別情報を有する逐次検知情報の検索について)
次に、上述のステップS600での識別情報データベース202内の被検知物品タグ102tの識別情報の検索範囲説明において、ステップS600での識別情報データベース202内の被検知物品タグ102tの識別情報の検索範囲は、上記送信出力設定及び、質問器104を1巡回する検知結果以上に遡る必要は無く、また、全ての質問器104a〜104iの逐次検索情報の内から質問器104を選択して検索すればよいと説明した部分についてその理由の補足説明を行う。
【0121】
本実施の形態1では、図1Bの説明のように各質問器104からの質問波の送信出力が最大の時点で、複数方向からの検知範囲が重複するように検知できるように調整する。このように設定すると、質問器制御手段201で制御する送信出力設定及び質問器104の1巡回で、物品位置管理環境100内の全ての物品タグ102及び位置タグ101を異なる3方向の質問器104の検知範囲で重複検知できることになる。つまり、識別情報データベース202内の逐次検知情報を遡って被検知物品タグ102の識別情報を検索する場合、1巡回以上の過去の逐次検知情報に遡って探索する必要は無い。
【0122】
次に、上記物品位置推定手段203のフローチャート動作の具体例を示すため、物品位置推定の基本動作概要について、物品位置管理環境100の俯瞰図(図7A、図7B)及び、識別情報データベース202内の共通位置タグ特定処理動作の説明図(図8)を用いて説明する。
【0123】
図7A、図7Bは、図1Aのシステム構成全体図上で物品タグ102cが3つの質問器104e、104h、104iにてそれぞれ検知されたときの電波環境を示した図である。
【0124】
図7Aは、本実施の形態1が物品位置感知環境とした、間取りの構造物や家具などによって電波の伝播が阻害される一般的な家庭環境を示し、図7Bは、質問器104から送信される質問波が阻害される要因が無い理想的な環境を示す。
【0125】
図7Bに示す理想電波環境での同一電波強度による位置タグ検知範囲を示す同心円701b、702b、703b、704b、705b、706bと異なり、図7Aに示す同一電波強度による検知範囲を示す閉曲線701a、702a、703a、704a、705a、706aは、構造壁や間仕切り壁の通過によって変形し、一般的に構造材の通過以降の電波到達範囲が縮小する。
【0126】
閉曲線701a、及び同心円701bは、図7A及び図7Bそれぞれの環境において、質問器104eが物品タグ102cを検知した識別情報を含む逐次識別情報を取得したときの質問器104eが送信した質問波が位置タグ101又は物品タグ102を検知可能な範囲を示し、同様に、閉曲線702a及び、同心円702bは、それぞれの環境において質問器104eが物品タグ102cを検知する1つ前の逐次識別情報を取得したときの質問波が検知可能な範囲を示す。
【0127】
このとき、質問器104eが閉曲線701a及び同心円701bの質問波を送信した結果として識別情報データベース202に蓄積されるタグの識別情報は、閉曲線701aと閉曲線702a、同心円701bと同心円702bの質問波出力で検知できた位置タグ101及び物品タグ102の差分であり、閉曲線701a、同心円701bと閉曲線702a、同心円702bの間のドーナッツ領域にある位置タグ101及び物品タグ102となる。
【0128】
図7A及び図7B上には、質問器104h及び質問器104iについても、同様の図示を行っている。
【0129】
図7Bに示す理想的な電波環境の場合、任意の質問器104から、各質問波の送信出力において識別情報データベース202にされる識別情報の示す位置タグ101及び物品タグ102までの質問器104からの距離は、質問波の送信出力から算出可能である。この距離の算出のためには、質問波の送信出力と、その送信出力時に検知可能な位置タグ101又は物品タグ102の距離をあらかじめ測定しておくことで実現できる。この場合、本実施の形態1のように位置タグ101を配置することなく、従来例3のように複数の質問器104が物品タグを検知したときの各質問波の送信出力から、複数の質問器104から物品タグまでの距離を算出し、3角測量の手法で物品位置を特定することが出来る。
【0130】
これに対して、本実施の形態1の対象とする物品位置管理環境100を示す図7Aでは、閉曲線701aと閉曲線702a、閉曲線703aと閉曲線704a、閉曲線705aと閉曲線706aの間に形成される識別情報の領域は不特定に変形するため、質問波の送信出力とその送信出力時に検知可能な位置タグ101又は物品タグ102の距離が一定でなく、質問波の送信出力強度によって、質問器104から物品タグまでの距離を算定することはできない。しかし、本実施の形態1に示す物品探索システムによれば、電波領域が如何様に変形しようと、物品タグ102cが検知可能である限り、その近くに存在する位置タグ101は検出することが可能である。このとき、たとえば、図7に示すように物品102cと同時に2つの質問器(104e、104h)で検知出来た位置タグ101(6,4)や101(9,2)もあれば、3つの質問器(104e、104h、104i)で共通に検知できた位置タグ101(9,2)も特定することができる。実施の形態1では、3つの質問器(104e、104h、104i)で共通に検知できたということで、物品タグ102の位置を、閉曲線701aと閉曲線702aとの間でかつ、閉曲線703aと閉曲線704aとの間でかつ、閉曲線705aと閉曲線706aとの間に形成される識別情報の領域として特定することが出来、物品タグ102cと共通に3つの質問器にて検知された位置タグ101(9,2)を最も共通度が高い位置として特定することができる。
【0131】
次に、物品位置情報データベース205内の蓄積情報例を、図9を用いて説明する。
【0132】
物品位置情報データベース205には、ステップS606で特定した被検知物品タグ102の位置情報を、被検知物品タグ102の識別情報900、物品位置管理環境100内のX座標値901、Y座標値902、として蓄積する。特定の物品タグ102の位置情報がステップS606で更新された場合には、その位置情報を物品位置推定手段203により更新する。
【0133】
また、物品の近辺で検知不能状態にある位置タグ101の識別情報903などを加えておくことも有用である。この情報は、ステップS602の検知異常処理時に取得することが出来る。
【0134】
また、各物品に個別の属性情報(物品名、形状・材質・色など)904も、物品の識別情報900に従って記憶しておくこともできる。
【0135】
次に、操作端末206での物品位置情報の表示処理の処理フローについて図10を用いて説明する。
【0136】
操作端末206は、コンピュータ105を起動し、物品探索システムを起動することでスタートする。操作端末206は、ステップS1000においてオペレータからの物品位置問合せを待つ繰り返し処理を形成する。繰り返し処理の内部では、物品位置情報データベース205内の物品位置の更新をデータベースアクセス手段208により検知し(ステップS1001)、物品位置の更新を検知したときには、データベースアクセス手段208及び操作端末206により、操作端末206に付属のディスプレイ206bなどに表示する(ステップS1002)。
【0137】
ステップS1000において、操作端末206により検知するオペレータからの物品位置問い合わせは、操作端末206に付属のキーボード206cや、マイク206dなどの操作I/Fから物品の識別情報の入力によって行われる。
【0138】
ステップS1000において物品位置の問合せが操作端末206により検知された場合、問い合わせされた物品の識別情報により、物品位置情報データベース205内に記録されている物品の位置情報をデータベースアクセス手段208により読み出し(ステップS1003)、ステップS1002によって、操作端末206に付属のディスプレイ206bに表示されている物品位置を、他の物品の位置情報と区別できるように、データベースアクセス手段208及び操作端末206により明示する(ステップS1004)。
【0139】
このとき、当該物品情報に物品の近辺で検知不能状態にある位置タグ101の識別情報903が付属している場合(ステップS1005がYesの場合)には、検知不能状態にある位置タグ101を明示するとともにその位置タグ101の識別情報903の情報を伝達するとともに、位置タグ101を検知不能にしている電波環境要因の除去を指示又は表示する(ステップS1006)ことも出来る。
【0140】
上記した図10での操作端末206での物品位置問い合わせ処理の具体例を図9、図11を主体に説明する。
【0141】
物品位置情報データベース205内の情報が図9の状態の場合、物品位置問い合わせ処理のスタートにより、操作端末206に付属のディスプレイ206dには、図11のように物品位置管理環境100を表示しておく。
【0142】
図10のステップS1002での物品位置情報の表示処理では、図9内の物品位置情報は、参照符号1100,1101、1102で示すように表示する。このとき、表示の形態は、参照符号1100のように識別情報「102a」をそのまま表示しても良いし、参照符号1001のように物品名「財布」で示しても良いし(物品102bが「財布」とした場合)、参照符号1102のように物品属性904から得られる形状情報などを用いてグラフィック表示しても良い。このように表示しておくことで、オペレータは、操作端末206からの問い合わせ入力することなしに、ディスプレイ206d上の表示から直接物品位置を把握することができる。ディスプレイ206d上の表示から直接物品位置を見つけることが困難な場合には、オペレータは、操作端末206に付属のキーボード206cや、マイク206dなどの操作I/Fから物品の識別情報を操作端末206を介してデータベースアクセス手段208に入力する。この場合の、ステップS1004での物品位置の表示では、ステップS1003で得た物品位置情報を示すために、矢印1103をディスプレイ206d上に表示したり、参照符号1100,1101,1102の物品表示を明滅させたり、着色したりすることで物品位置を明示する。
【0143】
また、図9の物品タグ102cの位置情報には、物品近辺で検知不能状態の位置タグ識別情報903が付随していることから、検知不能状態の位置タグ101の位置を参照符号1103,1104に示すような枠の表示によって明示し、それらの位置タグ101の近辺に電波障害物があることを知らせることにより、オペレータに対して電波障害となりそうな近辺の物品(棚、物)などの移動や除去を促すことも出来る(ステップS1006)。このときの検知不能状態の位置タグ101の情報は、データベースアクセス手段208により位置特定情報データベース204から取得することが出来る。
【0144】
上記実施の形態1の説明では、質問器104からの質問波は、質問器104を中心にした拡大する閉曲線状に放射される事例をもって説明したが、電波環境の変動を前提とした本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムにおいて、質問器104からの質問波の送信形状への制約は無く、物品位置管理環境100内が複数方向からの質問波の送信によって、重複するように検知可能であれば良い。このことから、質問器104からの質問波が、指向性を持った場合でも、その質問波の送信手順の一巡で、物品位置管理環境100を重複するように質問器104を配置できれば本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムの技術は利用できる。
【0145】
また、上記実施の形態1の説明では、位置タグ101(x,y)を2次元に配置した図で説明したが、位置タグ101を、物品の設置可能な位置(例えば、天井、床面、壁面や棚などの設備の側面など)に3次元的に配置し、3次元空間を複数の質問波の検知領域が重複するように質問器104を配置することで、物品位置を3次元的に探索することが出来る。
【0146】
また、上記実施の形態1の説明では、位置タグ101(x,y)を物品位置管理環境100内のX,Y座標軸上で整然と配置したが、本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムの実施上は、配置した位置タグ101(x,y)の位置情報が位置特定情報データベース204内に記録されていれば、ランダムに配置されても、さらには3次元に配置されていたとしても、物品タグ102の近くにある位置タグ101を特定することが出来、その位置タグ101の位置情報から物品位置を推定することが出来る。位置タグ101の配置に関する実施上の注意点は、探索したい物品位置の精度と位置タグ101の配置間隔である。物品位置の精度要求が高い領域には、位置タグ101を密に配置し、位置精度要求の低い領域には、位置タグ101を疎に配置すれば良い。
【0147】
検知したい物品位置の精度に関しては、位置タグ101の配置だけでなく、質問器104からの質問波の送信出力の変化量も関連する。本発明の実施の形態1にかかる物品探索システムにおいて、物品位置の精度の向上は、複数方向からの位置タグの共通検知領域を小さくすることで達成することが出来る。この共通検知領域は、質問波の送信出力変化時に検知することが出来る領域の1つ前の検知領域との差分として検知できる領域の複数方向からの重複状態で決定されるため、質問波の送信出力設定値の変化量を調整することで探索する物品位置の精度を制御する。かといって、高い位置精度を達成するために質問波の送信出力設定値の変化量を極力小さくすることはできない。この理由は、RFIDの現状技術の実際上、近隣の質問器104からの質問波の送信を同時に実施することは、互いの質問波の干渉を生じ、位置タグの検知が不安定になってしまうことから、各質問器104からの送信は出力は、時分割に切り替えて実施する必要がある、もしくは、各質問波の送信では、複数タグの同時検知のためのアンチコリジョン処理のための処理時間が必要である、などのためで、質問波の送信出力の変化量を細分化することが、物品位置管理環境100内の検知領域を各質問器104の質問波で一巡するための時間を増大させてしまうことによる。上記実施の形態1の説明では、質問波の送信出力設定値の変化量をあらかじめの規定量として説明したが、実際の実施上では、探索する物品位置の要求精度が高い領域では変化量を少なく、探索する物品位置の要求精度が低い領域では変化量を大きくすることにより調整することでができ、実施する物品探索システムに適した質問波の送信を実現することが望ましい。
【0148】
本実施の形態1を以下のように拡張すれば、共通位置タグ101comの重心位置よりも詳細な物品位置を算出することも可能である。そのためには、質問波の送信出力設定の変化量をより詳細にして、重心位置として求めた当該物品の推定位置周辺の領域について再度、検知動作を実施する動作フローを追加し、物品タグ102と位置タグ101の位置関係を質問器104の送信出力設定段階で細分することで実現できる。具体的には、たとえば、図4Aに示されている50mW刻みの送信出力設定を、5mW刻みに変更し、重心位置として求めた当該物品の推定位置周辺の領域について再度、被検知物品タグ102と共通位置タグ101comの検知を実施すれば、被検知物品タグ102と共通位置タグ101comの逐次検知情報は別々に蓄積できる。たとえば、50mW刻みの送信出力の間を5mW刻みで検知し直した10回の逐次検知情報内の1回目と8回目で2つの共通位置タグ101comが検知されており、そのとき、被検知物品タグ102は2回目の逐次検知情報内に存在した場合、上記2つの共通位置タグ101comを結ぶ方向成分において物品タグ102は、2つの共通位置タグ101comを1:6で内分する関係の位置にあると推定することが出来る。このようにして得ることが出来た共通位置タグ101comと被検知物品タグ102の内分関係を基に被検知物品タグ102の位置を補間推定することで、重心位置よりも精度の高い物品位置の算出が可能になる。
【0149】
(実施の形態2)
図12に、本発明の実施の形態2にかかる物品探索システムを家庭やオフィスなどの物品位置管理環境100に適用した実施の形態2のシステム構成例を示す。
【0150】
上記実施の形態1(図1A)との違いは、質問器104の実装形態である。
【0151】
本実施の形態2では、質問器104v、104wは物品位置管理環境100内を移動する移動ロボット(図12では、一例として、二輪走行型の移動ロボット)106a、106bに実装するものとする。
【0152】
位置タグ101(x,y)、物品タグ102a〜102cについては実施の形態1と同様である。
【0153】
移動ロボット106a、106bは、移動ロボット106a、106bに搭載する質問器104v、104wより、一定強度の質問波をそれぞれ出力し、図12中に円で示す検知範囲1200,1201内の位置タグ101及び物品タグ102を検知しながら、物品位置管理環境100内の床面を移動する。
【0154】
一例として物品位置管理環境100内に配置されたコンピュータ105は、移動ロボット106a、106bに搭載の無線通信によって質問器104v、104wで検知した位置タグ101及び物品タグ102の識別情報を取得する。
【0155】
上記システム構成において動作するコンピュータ105内の処理構成及び物品探索システムとしての接続状態を図13Aに示す。
【0156】
上記実施の形態1(図2A)との違いは、コンピュータ105は全ての質問器104v〜104wと無線通信にて連結し、質問器制御手段201の一例として機能する質問器制御手段201によって全ての質問器104v〜104wを制御する点である。
【0157】
また、各移動ロボット106a、106bには、無線による通信手段1307、1308の搭載が必要となる。
【0158】
その他の構成手段(識別情報データベース1302、物品位置推定手段1303、探索情報データベースの一例としての位置特定情報データベース1304、物品位置情報データベース1305、データベースアクセス手段1309、操作端末1306)については、図13Aの説明の範囲において、実施の形態1の図2Aでの識別情報データベース202、物品位置推定手段203、位置特定情報データベース204、物品位置情報データベース205、データベースアクセス手段208、操作端末206と、それぞれ同様の役割を実行する。
【0159】
また、移動ロボット106a、106bの代表例として移動ロボット106aの構成例を図13Bに示す。移動制御手段1310には、通信手段1307と移動装置1311と経路生成手段1312とが接続されている。通信手段1307は質問器104vと接続されている。移動ロボット106bも、移動ロボット106aと同様な構成及び機能を有している。移動ロボット106aは、移動制御手段1310によって生成される移動制御指令を移動装置1311(たとえば、車輪や脚駆動モータ(車輪の正逆回転駆動用モータ))に伝達することによって物品位置管理環境100内を移動する。移動制御指令は、経路生成手段1312によって生成される物品位置管理環境100内の移動経路上を移動するように生成する。この移動時に移動制御手段1310では、自己の出した指令に応じた自己位置(x、y)の更新を行いながら逐次の自己位置を同定している。この自己位置情報は、通信手段1307へ伝達される。
【0160】
また、通信手段1307は、質問器104vへの質問波送信指令を送信するとともに、質問波によって検知することが出来た物品タグ102及び位置タグ101の情報を、無線にて、コンピュータ105の質問器制御手段1301へ伝送する。通信手段1307の動作フローの詳細は、図16を用いて後述する。
【0161】
より細部に於ける、実施の形態2を実施する上での実施の形態1との違いについて以下に記載する。
【0162】
実施の形態1と異なり、実施の形態2では、質問器104v、104wは移動ロボット106a、106bに搭載する。このとき、質問器104v、104wはロボット106a、106bの一定の移動距離に応じて質問波を送信する。このとき、ロボット106a、106bの移動動作が、実施の形態1に於ける固定位置の質問器104の質問波の送信出力変動の役割を担うため、質問器104v、及び104wからの質問波の送信出力は固定で良い。具体例を図14に示す。ロボット106a、106bの質問波送信による検知範囲を参照符号1400及び1401で示す。検知範囲1400での質問波を送信の後、ロボット106aが移動し、移動した位置において送信した質問波の検知範囲を1401とする。このときの、参照符号1402で示した斜線部で示した領域で検知されている位置タグ101及び物品タグ102の情報を、識別情報データベース1302に蓄積する。この斜線部領域1402で検知される位置タグ101及び物品タグ102の識別情報は、検知範囲1401で検知した位置タグ101及び物品タグ102の識別情報から、検知範囲1400で検知した位置タグ101及び物品タグ102の識別情報を取り除くことで選別できる。
【0163】
この斜線部領域1402で検知された位置タグ101と物品タグ102の識別情報が、実施の形態1に於ける固定された質問器104の質問波の送信出力変動の前後の位置タグ101及び物品タグ102の検知結果の差分と、同等の役割を担う。
【0164】
本実施の形態2のように、質問器104v、104wが移動ロボット106a、106bに搭載された場合に、識別情報データベース1302に蓄積する情報の具体例を図15に示す。
【0165】
本実施の形態2での識別情報データベース1302には、図15に示す検知時刻の情報1500、移動ロボット106a、106bの種別の情報1501、移動ロボット106a、106bのx、y座標位置の情報1502、各検知時刻での質問波送信に於いて検知することが出来た物品タグ102及び位置タグ101の識別情報1503、1504で構成する情報が蓄積されている。
【0166】
このときのロボット106a、106bのx、y座標位置情報1501は、一般に移動ロボット106a、106bが自己位置を管理するために保有する内部データを読み出すことで取得できる。
【0167】
次に、識別情報データベース1302に逐次検知情報を蓄積するための移動ロボット106aの無線通信手段1307(無線通信手段1308は、無線通信手段1307と同様の処理フローである。)の動作フローを図16に示す。
【0168】
移動ロボット106aの無線通信手段1307は移動ロボット106aの起動によってスタートする。ステップS1600では、移動ロボット106a自身の現在位置をステップS1602で評価する移動距離の起点位置情報として移動制御手段1310により固定する。
【0169】
ステップS1601では、移動ロボット106aの移動に伴って変化する自己位置の現在値と起点位置情報の違いから移動距離を移動制御手段1310により算出する。
【0170】
次いで、移動距離があらかじめ定められている規定量であったと移動制御手段1310により判断された場合(ステップS1602がYesの場合)には、移動ロボット106aに搭載した質問器104vによって移動ロボット106aの周辺の位置タグ101及び物品タグ102を検知する(ステップS1603)。
【0171】
次いで、ステップS1604において、検知したタグの情報を、移動ロボット106a自身の識別情報、及び、自己位置の情報とともに、無線通信手段1307から質問器制御手段1301に送信する。送信を終了した後は、オペレータからの終了命令が無い(ステップS1605がNoである)限りステップS1600に復帰する。
【0172】
移動距離があらかじめ定められている規定量ではないと移動制御手段1310により判断された場合(ステップS1602がNoの場合)には、ステップS1601に戻る。
【0173】
上記処理は、ステップS1605時にオペレータの終了命令の入力されていた場合(ステップS1605がYesの場合)に終了する。
【0174】
次に、識別情報データベース1302に逐次検知情報を蓄積するための質問器制御手段1301の動作フローを図17に示す。
【0175】
質問器制御手段1301では、ステップS1700にて、移動ロボット106aの無線通信手段1307からの通信を待つループ処理を繰り返す。移動ロボット106aの無線通信手段1307のステップS1604にて位置タグ101の識別情報、移動ロボット106aの識別情報、移動ロボット106aの位置を送信した結果を、質問器制御手段1301で受信する(ステップS1700がYesの場合)と、受信した情報を識別情報データベース1302に記録する(ステップS1701)。ステップS1700において、移動ロボット106aからの送信が無かった場合(ステップS1700がNoの場合)には、オペレータからの終了命令が無い(ステップS1702がNoである)限り、移動ロボット106aからの送信結果を受信するまで、ステップS1700のループを繰り返す。
【0176】
ステップS1700を繰り返すループに於いて、ステップS1702にてオペレータの終了命令が入力されていたことを検知した場合(ステップS1702がYesの場合)には、上記処理は終了する。
【0177】
実施の形態1での質問器104の送信出力の変化と異なり、移動ロボット106aでの逐次の検知では、毎回の検知によって得られる識別情報結果が、移動距離と方向により異なることから、検知領域の包含関係が成り立たず、逐次の検知結果を識別情報の差分としてしまうと、過去の検知結果の総和として毎回の検知結果の全てを復元することが出来なくなってしまう。
【0178】
このため、識別情報データベース1302内の逐次検知情報には、図14を用いた上述の説明に於ける斜線部領域1402ではなく、毎回の検知範囲である、検知範囲1400、検知範囲1401と同様の範囲内で新たに検知することが出来た位置タグ101及び物品タグ102の識別情報を記録する。
【0179】
次に、物品位置推定手段1303の動作フローについて図18を用いて説明する。
【0180】
物品位置推定手段1303は、実施の形態1と同様、コンピュータ105を起動し、物品探索システムを起動することでスタートする。
【0181】
ステップS1800では、識別情報データベース1302内の最新の逐次検知情報を物品位置推定手段1303により読み出し、その最新の逐次検知情報の物品タグ102の識別情報1503内の物品タグ102の識別情報の有無を物品位置推定手段1303により確認する(ステップS1801)。
【0182】
物品タグ102の識別情報(被検知物品タグ)が検知されていたと物品位置推定手段1303により判断された場合(ステップS1801がYesの場合)、物品位置特定処理のステップS1802を実行し、検知されていない場合(ステップS1801がNoの場合)には、オペレータからの終了命令の入力が無い(ステップS1806がNoである)限り、ステップS1800に戻り、最新の逐次検知情報を読み出す処理を物品位置推定手段1303により繰り返す。ステップS1806にて、オペレータからの終了命令入力がなされていたことを検知した場合(ステップS1806がYesの場合)、上記処理は終了する。
【0183】
次いで、ステップS1802では、物品位置特定処理のステップS1802で特定した物品位置は、物品位置情報データベース1305に蓄積する。なお、物品位置特定処理のステップS1802の内部については後述する。
【0184】
次いで、ステップS1803では、ステップS1801にて検知されていることが確認されている被検知物品タグ102の識別情報の全てに対して物品位置特定処理のステップS1802を実施するため、ステップS1801で確認した被検知物品タグ102の識別情報が複数であった場合には、物品位置特定処理のステップS1802の対象となる被検知物品タグ102の識別情報を次の被検知物品タグの識別情報に変更し(ステップS1803)、次いで、ステップS1804では、ステップS1801で確認した被検知物品タグ102の識別情報の全てについて物品位置特定処理のステップS1802を終了しているか否かを物品位置推定手段1303により判断する。終了していない場合(ステップS1804がNoの場合)には、ステップS1802に戻り、物品位置特定処理のステップS1802を繰り返す。
【0185】
ステップS1804で、ステップS1801で確認した被検知物品タグ102の識別情報の全てについて物品位置特定処理のステップS1802を終了した場合(ステップS1804がYesの場合)には、ステップS1800に復帰し、識別情報データベース1302内の最新の逐次検知情報を読み出す処理以降を繰り返す。
【0186】
次に、物品位置推定手段1303による物品位置特定処理のステップS1802の処理フローについて、図19を用いて説明する。
【0187】
ステップS19000では、識別情報データベース1302内の情報から、物品近傍の位置タグ特定処理の対象となる被検知物品タグ102の識別情報を有する以前の逐次検知情報を物品位置推定手段1303により検索する。このとき、ステップS19000での識別情報データベース1302内の被検知物品タグ102の識別情報の検索範囲には、あらかじめ遡る上限を、たとえば、時間もしくは、逐次検知情報の個数などで定めておく必要がある。これは、実施の形態1のように初期設定に於いて質問器104の検知範囲を互いに重複するように設定する場合と異なり、本実施の形態2において識別情報データベース1302内に蓄積されている識別情報は、移動ロボットの移動による不特定の位置で検知された情報であるためである。
【0188】
また、識別情報データベース1302内の情報は、図14内の検知範囲1400、検知範囲1401のような質問波の検知範囲全域の位置タグ101と物品タグ102の識別情報を含むため、ステップS19000での識別情報データベース1302内の被検知物品の識別情報を含む情報の検索では、逐次検知情報を、斜線部領域1402の領域の検知情報に改めた上で行う必要がある。
【0189】
このため、ステップS19000では、まず、ステップS1801において特定された被検知物品102の識別情報を含んだ逐次検知情報を、識別情報データベース1302をあらかじめ定めた検索を遡る範囲の上限まで時間方向に遡りながら、物品位置推定手段1303により識別情報データベース1302から検索・抽出する。
【0190】
次に、ステップS19001では、検索された各逐次検知情報について、その各逐次検知情報を検知した移動ロボットが、一つ以前に検知した逐次検索情報を物品位置推定手段1303により検索する。
【0191】
さらに、ステップS19002において、上記で抽出した被検知物品の識別情報を含んだ各逐次検知情報で検知できている位置タグの識別情報から、各逐次検知情報の一つ以前に同一の移動ロボットの質問器で検知した逐次検知情報の中にある位置タグ101の識別情報の削除した位置タグの識別情報(以下、差分検知情報という)を生成する。この差分検知情報が、被検知物品102の識別情報を含んだ各逐次検知情報を検知した時の図14に於ける斜線部領域1402において検知可能な位置タグ101の情報に相当する。
【0192】
ここまでの処理によって、識別情報データベースより、ステップS1801によって特定した被検知物品102を含んだ図14に於ける斜線部領域1402を持つ差分検知情報を抽出することが出来る。
【0193】
上記ステップS19000からステップS19002までの処理により、複数の差分検知情報を得ることが出来なかった場合(ステップS1901がYesの場合)には、物品位置は特定することができず、物品位置特定処理のステップS1802は終了する。
【0194】
上記ステップS19000からステップS19002までの処理により、複数の差分検知情報を得ることが出来た場合(ステップS1901がNoの場合)には、ステップS1902に進む。ステップS1902では、ステップS19002で生成した複数の差分検知情報と、ステップS1800で読み出した識別情報データベース1302内の最新の逐次検知情報の差分検知情報の間に、共通の位置タグ101comの識別情報(以下、共通位置タグ情報という)を物品位置推定手段1303により特定(抽出)する。
【0195】
次いで、ステップS1903で共通位置タグ情報を物品位置推定手段1303により特定できなかった場合(ステップS1903がYesの場合)には、被検知物品の位置は特定することができず、物品位置特定処理のステップS1802は終了する。ステップS1903で共通位置タグ情報を物品位置推定手段1303により特定できた場合(ステップS1903がNoの場合)には、ステップS1904に進む。
【0196】
ステップS1904では、共通の位置タグ101comの識別情報が適切であるかどうかを物品位置推定手段1303により評価する。
【0197】
共通位置タグ識別情報が適切性(適切であるかどうか)は、以下のように評価する。
【0198】
共通位置タグ識別情報が1つであれば、その位置情報を適切であると評価する。共通位置タグ識別情報が複数の場合、共通位置タグ101comの位置情報を位置特定情報データベース204から物品位置推定手段1303により読み出し、共通位置タグ101comが隣接する位置タグ101であった場合には適切であると物品位置推定手段1303により判断する。共通位置タグ101comが離れている場合には、共通位置タグ101comが不適切であると物品位置推定手段1303により判断する。
【0199】
共通位置タグ101comを適切であると物品位置推定手段1303により判断した場合(ステップS1905がYesの場合)、ステップS1906において共通位置タグ101comの位置情報の重心位置を、物品位置として物品位置推定手段1303により算出する。算出した物品位置は、物品位置情報データベース205に物品位置推定手段1303により蓄積し、物品位置推定処理を終了する。共通位置タグ101comが適切ではないと物品位置推定手段1303により判断した場合(ステップS1905がNoの場合)、物品位置は算出せずに、物品位置推定処理を終了する。
【0200】
上記、図18、図19を用いた物品位置推定手段1303の処理により、移動ロボット160a、160bに搭載した質問器140v、140wによる位置タグ101及び物品タグ102の検知を実施する本実施の形態2の物品探索システムにおいて、物品タグ102の位置を特定することができる。
【0201】
実施の形態1の場合と異なり、位置の特定の可能な物品タグ102は、質問器104v、140wを搭載した移動ロボット160a、160bの移動範囲及び移動方向に依存することになる。物品位置管理環境100内全域での物品タグ102の位置の発見は、上記の実施の形態2において、移動ロボット160a、160bの経路を、事前に物品探索システムに於ける物品位置の探索を前提として、物品位置管理環境100内をくまなく移動するように経路生成手段1312において計画することで実現できる。計画の方法は、事前に規定の経路を経路生成手段1312に組み込んでおくことが出来る。
【0202】
なお、実施の形態1および実施の形態2に記述した本発明の物品位置推定方法を適用するには、利用する物品タグ、及び、位置タグの送受信感度等しいという条件が必要である。発明の物品位置の推定手法の説明をわかりやすくするために、上記実施の形態1および実施の形態2では、利用する物品タグ、及び、位置タグは、質問波の送受信感度において無指向性のものであるという条件の基での説明を行った。無指向性のRFIDの利用を前提とした実施の形態1及び実施の形態2に開示の実施の形態においての実現性は、無指向性のRFIDも開発されていることから損なわれるわけではないが、実際には、送受信感度に指向性がある物品タグと位置タグの利用も考えられる。その場合には、指向性の無い円偏波による質問波を送信可能な質問器を使用することで、指向性を持った物品タグと位置タグの配置方向の違いによるタグの送受信感度の違いに関わらず、物品タグと位置タグの配置方向の違いに因らない物品タグと位置タグで均一な送受信感度を実現することが出来る。
【0203】
どうしても、指向性を持った物品タグと位置タグと、直線偏波による質問波を送信する質問器を利用したい場合には、物品タグと位置タグの送受信感度の指向性を一致させる、すなわち、物品タグと位置タグを同じ向きに配置する工夫が必要となる。そのような場合には、物品タグ及び位置タグを物品位置管理環境100内で床面に対して垂直になるように制限(たとえば、位置タグは、床面に垂直に埋め込み、物品タグは物品の底面に対して垂直に添付するなど)し、質問器からの質問波の偏波面を垂直方向に合わせることで、物品タグと位置タグの配置方向を一致させ、かつ、水平面に対し複数の方向からの質問波の送受信を可能にすることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明にかかる物品探索システム及び物品探索方法及び物品探索プログラムは、位置の特定が必要な物品には、小型のパッシブRFIDを装着するだけで、定常的な電波の伝播環境の望めない空間物品の位置を把握することができ、たとえば、比較的狭い空間内に間仕切りや棚などの構造物が多く存在する、一般家庭やオフィスなどにおいて移動する物品の位置を探索する目的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1A】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定システムの全体構成を示す説明図
【図1B】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定システムにおいて質問器104hの送信波の状態を模式的に示す図
【図2A】本発明の実施の形態1に係るコンピュータ内にプログラミングした各構成手段の処理構成を示したブロック図
【図2B】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定システムの質問器の構成を示すブロック図
【図2C】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定システムの物品タグ及び位置タグに共通のRFIDの構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態1に係る質問器制御手段の処理フローチャート
【図4A】本発明の実施の形態1に係る識別情報データベース内のデータ構成図
【図4B】本発明の実施の形態1に係る位置特定情報内のデータ構成図
【図5】本発明の実施の形態1に係る物品位置推定処理のフローチャート
【図6A】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定処理のフローチャート
【図6B】本発明の実施の形態1に係る異常検知処理のステップS602の処理フローチャート
【図7A】本発明の実施の形態1に係る物品位置特定手法の説明図
【図7B】理想的な電波環境での本発明の実施の形態1に係る物品位置特定手法の説明図
【図8】本発明の実施の形態1に係る識別情報データベース内の共通位置タグ特定処理の説明図
【図9】本発明の実施の形態1に係る物品位置情報データベース内のデータ構成図
【図10】本発明の実施の形態1に係る操作端末の処理フローチャート
【図11】本発明の実施の形態1に係る操作端末での物品位置他の表示画面構成図
【図12】本発明の実施の形態2に係る物品位置特定システムの全体構成を示すブロック図
【図13A】本発明の実施の形態2に係るコンピュータ内にプログラミングした各構成手段の処理構成を示したブロック図
【図13B】本発明の実施の形態2に係る移動ロボット106aの構成例を示したブロック図
【図14】本発明の実施の形態2に係る移動ロボットの移動と質問器からの質問波にて検知可能な範囲及び識別情報データベース内に蓄積する識別情報の説明図
【図15】本発明の実施の形態2に係る識別情報データベース内のデータ構成図
【図16】本発明の実施の形態2に係る移動ロボット内の無線通信手段の処理フローチャート
【図17】本発明の実施の形態2に係る質問器制御手段の処理フローチャート
【図18】本発明の実施の形態2に係る物品位置推定手段の処理フローチャート
【図19】本発明の実施の形態2に係る物品位置特定処理の処理フローチャート
【図20】従来例2のシステム構成図
【符号の説明】
【0206】
99・・・RFID
99−1・・・アンテナ
99−2・・・送信信号生成手段
99−3・・・送信電圧発生手段
99−4・・・IC
100・・・物品位置管理環境
101・・・位置タグ
102・・・物品タグ
102a、102b、102c・・・物品に添付したRFID
104・・・質問器
104−1・・・アンテナ
104−2・・・送信電波制御手段
104−3・・・受信信号処理手段
104−4・・・外部インターフェイス
104a〜104i・・・物品位置管理環境内に設置した質問器
104v、104w・・・移動ロボットに設置した質問器
105・・・コンピュータ
106a、106b・・・移動ロボット
201、1301・・・質問器制御手段
202、1302・・・識別情報データベース
203、1303・・・物品位置推定手段
204、1305・・・位置特定情報データベース
205、1304・・・物品位置情報データベース
206、1306・・・操作端末
206a・・・スピーカ
206b・・・ディスプレイ
206c・・・キーボード
206d・・・マイク
207・・・タイマ
208、1309・・・データベースアクセス手段
1307、1308・・・通信手段
1310・・・移動制御手段
1311・・・移動装置
1312・・・経路生成手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と、
質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得する少なくとも1つの質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記質問器で受信した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から、複数方向からの上記物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、上記特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を上記探索情報データベースから読み出し、上記読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に上記物品の位置を推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システム。
【請求項2】
上記物品の位置を問い合わせることで、上記物品位置データベースからの物品位置情報を引き出す操作端末をさらに備える、請求項1に記載の物品探索システム。
【請求項3】
物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と、
質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に増加もしくは減少させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞り込むことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システム。
【請求項4】
物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と、
質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に変化させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、上記複数の質問器で特定した探索送受信器の間で共通に特定することが出来た複数の探索送受信器の位置情報、及び、上記特定の物品ID送受信器と上記で特定した複数の探索送受信器の検知状態の変化時刻の相違から推定した物品ID送受信器と複数の探索送受信器及び質問器の複数の位置関係を基に、物品位置を補間推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システム。
【請求項5】
物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内を移動する移動体に装備された質問器と、
上記移動体が移動しながら上記質問器より一定強度の上記質問波を送信しながら上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記移動体の移動に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、上記抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲を1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システム。
【請求項6】
コンピュータに、
質問器からの質問波の送信出力を制御するステップと、
上記質問器で受信した、物品に付与されかつ質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器の識別情報を識別情報データベースに蓄積するステップと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から複数方向からの物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を、上記探索送受信器の位置情報を上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースから読み出し、読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に物品位置を推定するステップとを実行させるための物品探索プログラム。
【請求項1】
物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と、
質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得する少なくとも1つの質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記質問器で受信した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から、複数方向からの上記物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、上記特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を上記探索情報データベースから読み出し、上記読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に上記物品の位置を推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システム。
【請求項2】
上記物品の位置を問い合わせることで、上記物品位置データベースからの物品位置情報を引き出す操作端末をさらに備える、請求項1に記載の物品探索システム。
【請求項3】
物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と、
質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に増加もしくは減少させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲が1つの領域に絞り込むことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システム。
【請求項4】
物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と、
質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内に互いの検知範囲が重複するように配置した複数の質問器と、
上記探索送受信器の位置情報を、上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースと、
を有する物品探索システムに於いて、
上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の応答可能な領域を時刻変化で分割するように上記質問器からの上記質問波の送信出力もしくは送信タイミングを制御する質問器制御手段と、
上記それぞれの質問器からの上記質問波の送信出力を、上記質問器制御手段によって、除々に変化させながら、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、上記得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記質問波の送信出力変化に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、上記複数の質問器で特定した探索送受信器の間で共通に特定することが出来た複数の探索送受信器の位置情報、及び、上記特定の物品ID送受信器と上記で特定した複数の探索送受信器の検知状態の変化時刻の相違から推定した物品ID送受信器と複数の探索送受信器及び質問器の複数の位置関係を基に、物品位置を補間推定する物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システム。
【請求項5】
物品に付与され、かつ、質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器へ複数の方向から上記質問波を送信し、上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答送信を受信し、上記物品ID送受信器及び上記探索送受信器の識別情報を取得するとともに、上記物品の位置を管理する領域内を移動する移動体に装備された質問器と、
上記移動体が移動しながら上記質問器より一定強度の上記質問波を送信しながら上記物品ID送受信器と上記探索送受信器からの応答信号を受信し、得られた物品ID送受信器及び探索送受信器の識別情報を蓄積する識別情報データベースと、
上記識別情報データベース内の上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報履歴から、上記移動体の移動に応じて検知可能もしくは検知不能になった物品ID送受信器と探索送受信器の識別情報履歴を抽出し、上記抽出した識別情報履歴から、検知可能もしくは検知不能になった特定の物品ID送受信器に対して、同時もしくは近い時刻で、検知可能もしくは検知不能になった探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の内、複数の質問器によって共通に検知され、複数の質問器の共通の検知範囲の重複度合いから検知可能範囲を1つの領域に絞りこむことが出来た探索送受信器の位置を物品位置とする物品位置推定手段と、
上記推定した物品位置の情報を蓄積する物品位置データベースと、
を備える物品探索システム。
【請求項6】
コンピュータに、
質問器からの質問波の送信出力を制御するステップと、
上記質問器で受信した、物品に付与されかつ質問波を受信してその物品の識別信号を応答送信する物品ID送受信器と質問波に応答しかつ自己の識別信号を返信する探索送受信器の識別情報を識別情報データベースに蓄積するステップと、
上記識別情報データベースに蓄積した上記物品ID送受信器と上記探索送受信器の識別情報の履歴から複数方向からの物品の検知状態に対して、共通の検知状態を持つ探索送受信器を特定し、特定した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を、上記探索送受信器の位置情報を上記探索送受信器の識別情報と対応付けて記憶する探索情報データベースから読み出し、読み出した探索送受信器の識別情報に対応する位置情報を基に物品位置を推定するステップとを実行させるための物品探索プログラム。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2007−85826(P2007−85826A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273556(P2005−273556)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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