説明

物品搬送システムの制御方法

【課題】本発明の目的は、物品搬送装置が一時停止した場合に限り、物品搬送装置における実物品数と物品管理装置における管理物品数との照合を行うようにして物品搬送システムにおける「棚ずれ」状態での自動運転の再開を防止することができる物品搬送システムの制御方法の提供にある。
【解決手段】物品搬送装置15が搬送制御装置16の制御を受けて物品Wを搬送し、物品管理装置20はデータ作成位置Aに達した物品W毎の搬送データを作成し、物品搬送装置15が一時停止されて運転を再開する前に、データ作成位置Aの下流側の下流側搬送部15a、15bにおける実物品数を把握し、実物品数と物品管理装置20に保管された下流側搬送部15a、15bにおける管理物品数とを照合し、両物品数が一致するとき物品搬送装置15の自動運転を可とする指示を搬送制御装置16に与え、照合不一致のとき物品搬送装置15の自動運転を不可とする指示を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品搬送システムの制御方法に関し、特に、物品搬送装置に備えられたデータ作成位置にて物品毎の搬送データを作成し、物品管理装置に搬送データを保管する物品搬送システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動倉庫に物品を保管する場合、自動倉庫に接続された搬送コンベアにより物品を搬送する場合がある。
従来では、例えば、図7に示すような物品搬送システム50が知られている。
この物品搬送システム50は、自動倉庫1号機51a、自動倉庫2号機51b、搬送コンベア52、物品情報読取装置53a〜53c、物品在荷検出装器54、55、物品管理コンピュータ56、分岐点側センサ57、異常警告表示器58を有している。
【0003】
この物品搬送システム50では、搬送コンベア52の入口付近に設けられている物品情報読取装置53aと、搬送コンベア52における各分岐点に設けられている物品情報読取装置53b、53cにより、搬送コンベア52の入口における物品情報と分岐点における物品情報を照合し、搬送コンベア52上において発生する物品Wの不一致を検出する。
また、入庫用在荷検出装器54a、54b、55a、55bにより入庫用搬送手段52a、53b上にある物品Wの物品数を検出し、物品管理コンピュータ56が演算した物品数と照合することにより、入庫用搬送手段52a、52b上において発生する物品Wの不一致を検出する。
この種の物品搬送システム50では、照合結果が一致する場合には、自動運転を継続し、照合結果が一致しない場合には、搬送コンベア52を停止し、適切な処置をオペレータに促すようにする。
従って、物品管理コンピュータ56にて管理している自動倉庫51a、51b内の在庫情報と、実際の自動倉庫51a、51bの在庫状況が一致しない現象(以下、「棚ずれ」と表記する。)を防止するとしている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002−160803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の物品搬送システムによる制御方法は、物品搬送装置(搬送コンベア52a、52b)の入口における物品情報と、分岐点における物品情報を常に照合する。
また、物品検知センサ(入庫用在荷検出装器54a、54b、55a、55b)により下流側搬送部(入庫用搬送手段52a、52b)上の実際の物品数を検出し、物品管理装置(物品管理コンピュータ56)が演算した管理上の物品数と常に照合する。
因みに、物品搬送システムにおいて「棚ずれ」が生じる原因は、何らかの理由により物品搬送装置が一時停止された時点で生じることが殆どである。
例えば、物品搬送装置が一時停止された時点では、下流側搬送部における実際の物品数と、物品管理コンピュータのデータとの整合性を図る必要がある。
【0005】
このとき、オペレータは下流側搬送部の物品の一部を取り除いたり、データを操作したりするが、誤った作業を行う可能性がある。
誤った作業を行った場合、物品搬送装置の運転を再開することにより「棚ずれ」が生じてしまう。
つまり、物品搬送装置が一時停止した後のオペレータの対応が「棚ずれ」の原因の殆どである。
さらに言うと、物品搬送装置が一時停止することなく運転を継続する場合には、下流側搬送部上の実際の物品数と、物品管理装置における管理上の物品数と常に照合する必要性は必ずしも高いとは云い難い。
【0006】
従来の物品搬送システムの制御方法では、実際の物品数と管理上の物品数を常に照合することが、物品搬送システムの制御を図るソフトウェアの大規模化やシステムの複雑化を招いている。
また、トラッキングにより搬送中の物品の情報と管理コンピュータのデータをリアルタイムに照合して「棚ずれ」を防止することも考えられるが、物品が動いていることから照合のタイミングの設定が困難であるほか、頻繁に物品情報を取得して照合することから、物品搬送システムにおける物品の搬送の円滑化を妨げるおそれがある。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、物品搬送装置が一時停止した場合に限り、物品搬送装置における実物品数と物品管理装置における管理物品数との照合を行うようにして物品搬送システムにおける「棚ずれ」状態での自動運転の再開を防止することができる物品搬送システムの制御方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明は、上流側搬送部と下流側搬送部の間にデータ作成位置を備えた物品搬送装置が搬送制御装置の制御を受けて物品を搬送し、前記搬送制御装置と交信自在の物品管理装置が、前記データ作成位置に達した物品毎の搬送データを作成して保管する物品搬送システムの制御方法であって、運転中の前記物品搬送装置が一時停止されて運転を再開する前に、前記下流側搬送部における実物品数を把握し、前記下流側搬送部における実物品数と、前記物品管理装置に保管された搬送データに基づく前記下流側搬送部上の管理物品数とを照合し、前記物品管理装置は、前記実物品数と前記管理物品数が一致するとき、前記物品搬送装置の自動運転を可とする指示を前記搬送制御装置に与え、前記実物品数と前記管理物品数が不一致のとき、前記物品搬送装置の自動運転を不可とする指示を前記搬送制御装置に与えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、物品搬送装置が何らかの原因で一時停止され、原因を解消した後に運転を再開する前に、下流側搬送部における実物品数が把握される。
下流側搬送部上の実物品数と、物品管理装置に保管された搬送データに基づく下流側搬送部における管理物品数が照合される。
照合結果に応じて、物品搬送装置の自動運転を可又は不可とする物品管理装置からの指示が搬送制御装置に与えられる。
物品搬送装置が一時停止したときに限って、実物品数と前記管理物品数の照合を行うようにしたから、物品搬送システムの制御を図るソフトウェアの大規模化やシステムの複雑化を回避することができる。
物品に関する情報を頻繁に取得する必要がなく、物品搬送システムにおける物品の円滑な搬送が実現される。
【0010】
また、本発明では、上記した物品搬送システムの制御方法において、前記物品搬送装置は、上流側搬送部から分岐される複数の下流側搬送部を有し、前記データ作成位置は前記上流側搬送部から複数の前記下流側搬送部に分岐する分岐点であり、前記分岐点に達した前記物品の物品情報を取得し、前記搬送制御装置は、前記物品情報及び前記物品管理装置の指示に基づいて前記分岐点における物品の振り分けを指示し、運転中の前記物品搬送装置が一時停止されて運転を再開する前に、複数の前記下流側搬送部における実物品数を該下流側搬送部毎に把握し、前記実物品数と、前記管理物品数とを前記下流側搬送部毎に照合してもよい。
【0011】
この場合、分岐点では到達した物品の物品情報が取得され、搬送制御装置は物品情報及び物品管理装置の指示に基づいて物品の振り分けを指示する。
そして、分岐点に達した物品は、複数の下流側搬送部のうちのいずれかの下流側搬送部に振り分けられる。
物品搬送装置が一時停止されて運転を再開する前に、複数の下流側搬送部における実物品数が下流側搬送部毎に把握され、複数の下流側搬送部の実物品数と管理物品数が下流側搬送部毎に照合される。
従って、物品搬送装置が複数の下流搬送部を有する場合でも、物品搬送装置が一時停止したときに限って、複数の下流搬送部における実物品数と前記管理物品数の照合を下流側搬送部毎に行うことができる。
【0012】
また、本発明では、上記した物品搬送システムの制御方法において、前記搬送制御装置は、運転中の前記物品搬送装置が一時停止されて運転を再開する前に、下流側搬送部が備える物品検知センサの検知により前記実物品数を把握してもよい。
【0013】
この場合、物品搬送装置が一時停止を示す停止信号を受けた後、下流側搬送部の実物品数が下流側搬送部の物品検知センサの検知により搬送制御装置において把握される。
物品検知センサによる物品の検知は、少なくとも物品搬送装置が一時停止を示す一時停止信号を受けた後で行えばよい。
【0014】
また、本発明では、上記した物品搬送システムの制御方法において、前記実物品数と前記管理物品数が不一致のとき、前記物品管理装置及び前記搬送制御装置の少なくとも一方にて照合不一致を示す警告を行ってもよい。
【0015】
この場合、下流側搬送部における実物品数と管理物品数が不一致のとき、照合不一致を示す警告が物品管理装置及び搬送制御装置の少なくとも一方にて行われる。
従って、照合不一致を示す警告が行われることにより、オペレータは流側搬送部における実物品数と管理物品数が不一致であることを直ちに認識できる。
【0016】
また、本発明では、上記の物品搬送システムの制御方法において、前記実物品数と前記管理物品数が不一致のとき、前記物品管理装置及び前記搬送制御装置の少なくとも一方にて照合不一致の原因を表示してもよい。
【0017】
この場合、実物品数と前記管理物品数が不一致のとき、照合不一致の原因が物品管理装置及び搬送制御装置の少なくとも一方にて表示される。
従って、オペレータは照合不一致の原因を直ちに把握でき、原因に応じた適切な処置を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、物品搬送装置が一時停止した場合に限り、物品搬送装置における実物品数と物品管理装置における管理物品数との照合を行うようにして「棚ずれ」状態での自動運転の再開を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(第1の実施形態)
以下、実施形態に係る物品搬送システム10について図面に基づき説明する。
図1は、この実施形態に係る物品搬送システム10の概略構成を示す平面図である。
この実施形態に係る物品搬送システム10は、図1に示すように、自動倉庫11a、11bと、搬送コンベア15と、コンベア制御盤16と、物品検知センサ17、18a〜18c、19a〜19c、物品管理コンピュータ20等を有している。
【0020】
〔自動倉庫について〕
第1の自動倉庫11aは、物品Wの保管や入出庫のための設備であり、主に一対の物品保管棚12aと、物品保管棚12aの間を走行するスタッカクレーン14aから構成されている。
物品保管棚12aは上下左右に区画形成された多数の物品収容部13を備えている。
スタッカクレーン14aは軌道上を走行して、入出庫すべき物品Wを物品保管棚12に対して出し入れするほか、搬送コンベアにおける物品Wを取り込むものとなっている。
第2の自動倉庫11bについても、第1の自動倉庫11aと同様に、物品収容部13bを有する物品保管棚12bと、スタッカクレーン14bから主に構成されている。
【0021】
〔搬送コンベアについて〕
この実施形態の搬送コンベア15は物品搬送装置に相当し、入庫すべき物品Wを各自動倉庫11a、11bへ向けて搬送するコンベアである。
搬送コンベア15は、上流側搬送部15aと2つの下流側搬送部15b、15c(説明の便宜上、「第1下流側搬送部15b」、「第2下流側搬送部15c」と表記する。)を有する。
上流側搬送部15aの下流側端部は、各下流側搬送部15b、15cとの分岐点となっている。
この実施形態では、搬送コンベア15における分岐点はデータ作成位置Aに相当する。
分岐点には、物品Wの有無を識別する分岐点用の物品検知センサ17(便宜上、以降「分岐点側センサ17」と標記する)が備えられている。
分岐点側センサ17は、物品Wを認識した場合には、物品Wの認識を示す信号をコンベア制御盤16へ伝達する機能を有する。
【0022】
分岐点には、物品情報読取器21が備えられている。
物品情報読取器21は、分岐点において物品Wの情報を読み取る機器であり、具体的にはバーコード、無線チップを用いるRFID(アールエフイアイディー)等、物品の識別するためのラベル類を読み取る。
コンベア制御盤16が分岐点側センサ17の信号を受けることにより、物品情報読取器21は物品情報を読み取る。
読み取られた物品情報はコンベア制御盤16を介して物品管理コンピュータ20に伝達される。
【0023】
第1下流側搬送部15bの下流端は第1の自動倉庫11aのスタッカクレーン14aと対向することができる位置にある。
この実施形態では、第1下流側搬送部15bは3個の物品Wを所定の位置で停止させることができる長さに設定されている。
そして、第1下流側搬送部15bは物品Wの停止位置に対応して別の物品検知センサ18a〜18c(説明の便宜上、「第1下流側センサ18a〜18c」と表記する。)が設けられている。
第1下流側センサ18a〜18cは、第1下流側搬送部15bにおける物品Wの搬送と停止を適切に行うための在荷センサである。
【0024】
一方、第2下流側搬送部15cは、第1下流側搬送部15bよりも長く屈曲した搬送部を有し、第2下流側搬送部15cの下流端は自動倉庫第2号11bのスタッカクレーン14bと対向することができる位置にある。
第2下流側搬送部15cの一部は、第1下流側搬送部15bと平行であって、3個の物品Wを所定の位置(停止位置)で停止させることができる長さに設定されている。
第2下流側搬送部15cは物品Wの停止位置に対応して物品検知センサ19a〜19c(説明の便宜上、「第2下流側センサ19a〜19c」と表記する。)が設けられている。
この第2下流側センサ19a〜19cは、第1下流側搬送部15bに備えられた第1下流側センサ18a〜18cと同じ構成であり、物品Wの認識を示す信号により第2下流側搬送部15cにおける物品Wの搬送と停止を適切に行う。
なお、この実施形態では、入庫専用のコンベアとして搬送コンベア15を設けたが、図示しない出庫専用の搬送コンベアが別に設置されている。
【0025】
〔コンベア制御盤について〕
コンベア制御盤16は、主に搬送コンベア15の各部を制御する制御盤である。
コンベア制御盤16は、物品管理コンピュータ20と接続されているほか、分岐点側センサ17や、第1下流側センサ18a〜18c、第2下流側センサ19a〜19cと接続されている。
従って、物品管理コンピュータ20との交信を行うほか、各センサ18a〜18c、19a〜18cよる物品Wの存在を示す信号を受けることができる。
コンベア制御盤16は、第1下流側センサ18a〜18c及び第2下流側センサ19a〜19bの信号に応じて第1下流側搬送部15b及び第2下流側搬送部15cの搬送と停止を適切に行う。
【0026】
この実施形態のコンベア制御盤16は、各種の情報を表示することができるモニター部16aを備えているほか、異常時に警告音を流す音源(図示せず)を有している。
モニター部16aは、具体的には搬送コンベア15の運転状況や異常原因等の情報を表示することができるものとなっている。
さらに、コンベア制御盤16には、搬送コンベア15の自動運転を行うようにする自動運転開始ボタン16bを備えている。
例えば、異常等により搬送コンベア15が一時停止した場合、一時停止の原因の解消後に自動運転開始ボタン16bの操作を行うことにより、自動的に搬送コンベア15の自動運転を再開することが可能となっている。
【0027】
〔物品管理コンピュータについて〕
この実施形態の物品管理コンピュータ20は、物品搬送システム10を管理するコンピュータである。
具体的には、入庫指示や出庫指示に基づく物品Wの在庫管理及び入出庫管理を行うほか、各自動倉庫11a、11bや搬送コンベア15を制御する。
物品管理コンピュータ20は、分岐点において認識された各物品Wの物品情報に基づいて搬送データを作成し、保管する。
【0028】
次に、この実施形態に係る物品搬送システム10の制御方法について説明する。
例えば、上位のコンピュータ又はオペレータの入力等により、複数の物品Wに対する入庫指示が生じると、物品管理コンピュータ20は入庫指示をコンベア制御盤16へ伝達する。
物品管理コンピュータ20からの指示を受けたコンベア制御盤16は、搬送コンベア15は、入庫対象の物品Wを順次搬送するように、搬送コンベア15を制御する。
搬送コンベア15により搬送される物品Wがデータ作成位置Aに達すると、図2に示す分岐点処理を行う。
分岐点処理では、分岐点側センサ17が物品Wを検知すると、物品情報読取器21が物品情報を読み取り、コンベア制御盤16へ物品情報を伝達する。
コンベア制御盤16は、物品情報と物品Wの行き先を要求を物品管理コンピュータ20へ送信する。
物品管理コンピュータ20はこの物品情報に基づいて物品Wの搬送データを作成し、当該物品Wの行先をコンベア制御盤16へ通知する。
なお、搬送データは物品管理コンピュータ20に記憶される。
【0029】
次に、搬送コンベア15は、物品管理コンピュータ20の行先通知を受け、コンベア制御盤16の制御により、データ作成位置Aの物品Wを第1下流側搬送部15b又は第2下流搬送部15cのいずれか一方へ送り出す。
上記の作動を入庫指示の対象の物品W毎に行い、第1下流側搬送部15b及び第2下流側搬送部15cの停止位置に物品Wが送り出される。
各下流側搬送部15b、15cにおける物品検知センサ18は、停止位置における物品Wを認識した場合には、物品Wの認識を示す信号をコンベア制御盤16へ送る。
コンベア制御盤16は、物品検知センサ18a〜18c、19a〜19cの信号により、各下流側搬送部15b、15cにおける物品Wの搬送又は停止を行う。
そして、各下流側搬送部15b、15cにおける各物品Wは、自動倉庫のスタッカクレーン14a、14bに搭載され、物品保管棚12a、12bへ入庫される。
このように、搬送コンベア15の作動に特に問題がなければ、各物品Wは順番に物品保管棚12a、12bへ入庫される。
【0030】
ところで、搬送コンベア15は、例えば、搬送コンベア15の故障等のように、何らかの原因により一時停止する場合がある。
通常、搬送コンベア15が一時停止した場合には、図3に示す処置を行う。
まず、一時停止の原因を見つけ出し、オペレータが搬送コンベア15の一時停止の原因に応じた適切な処置を行い、一時停止の原因を解消するようにする。
オペレータによる適切な処置により、一時停止の原因が解消されると、搬送コンベア15の自動運転を再開するため、コンベア制御盤16に備えられた自動運転開始ボタンを押す。
【0031】
自動運転開始ボタンを押すと、コンベア制御盤16は、各下流側センサ18a〜18c、19a〜19cを通じて各下流側搬送部15b、15cにおける実物品数(実際の物品数)をカウントし、実物品数を物品管理コンピュータ20へ送信する。
物品管理コンピュータ20は、自動運転開始ボタン16bを押した時点での各下流側搬送部15b、15cにおける実物品数と、物品管理コンピュータ20に保管された搬送データに基づく各下流側搬送部15b、15cにおける管理物品数(データ管理上の物品数)を照合する。
第1下流側搬送部15b及び第2下流側搬送部15cにおける実物品数と管理物品数との照合が一致する場合は、物品管理コンピュータ20は、搬送コンベア15の自動運転を可とする指示をコンベア制御盤16に与える。
これにより、搬送コンベア15はコンベア制御盤16の制御を受けて自動運転を開始(再開)する。
搬送コンベア15の自動運転の再開により物品Wが搬送され、また、各自動倉庫11a、11bは物品Wの入庫作業を再び開始する。
【0032】
一方、自動運転開始ボタンを押した後、第1下流側搬送部15b及び第2下流側搬送部15cにおける実物品数と管理物品数との照合が不一致の場合、物品管理コンピュータ20は、搬送コンベア15の自動運転を不可とする指示を与える。
このとき、物品管理コンピュータ20は、照合不一致である旨を画面上に表示する。
コンベア制御盤16は、物品管理コンピュータ20からの搬送コンベア15の自動運転不可の指示を受け、コンベア制御盤16において表示及び警告音により照合不一致の旨を示すとともに搬送コンベア15の自動運転を開始(再開)しない。
このとき、コンベア制御盤16のモニター部16aには照合不一致の原因が表示される。
【0033】
ここでは、具体的に照合不一致の原因として第1下流側搬送部15bにおける実物品数の不足について図4に基づき説明する。
例えば、搬送コンベア15が異常により一時停止し、搬送コンベア15におけるデータ作成位置Aに物品Wが存在する場合、当該物品Wの搬送データが作成されたか否かは、オペレータは把握できない。
この場合、搬送コンベア15が一時停止した時、図4(a)のように物品Wb、Weが第1下流側搬送部15bにあり、物品Wa、Wc、Wdが第2下流側搬送部15cにあり、物品Wfがデータ作成位置Aにほぼ達していたとする。
このとき、実際には既に物品Wfの搬送データ(第1下流側搬送部15b行き)が作成されていたとする。
オペレータが、搬送コンベア15の異常を解消する作業に伴い、物品Wfをデータ作成位置Aから取り除き、自動運転開始ボタンを押す際には、図4(b)に示すように、物品Wfが取り除かれたままとする。
【0034】
この条件では、オペレータが一時停止の原因を解消して自動運転開始ボタンを押すと、第1下流側搬送部15bにおける実物品数は、物品Wb、Weが認識されることにより2件となる。
一方、物品管理コンピュータ20が保管する第1下流側搬送部15bにおける管理物品数は、物品Wb、We、Wfの搬送データに基づき、3件となる。
つまり、第1下流側搬送部15bにおける実物品数と管理物品数との照合は不一致である。
この場合、照合不一致であることが物品管理コンピュータ20に表示されるとともに、照合不一致であることがコンベア制御盤16に伝達される。
第1下流側搬送部15bにおける実物品数が1件不足していることがコンベア制御盤16のモニタ部16aに表示され、コンベア制御盤16は警告音を発する。
このため、オペレータは照合不一致の原因をコンベア制御盤16において把握できる。
【0035】
そこで、照合不一致の原因を解消するため、図5のように物品Wfを第1下流側搬送部15bの物品Weの上流側に置く。
再びコンベア制御盤16における自動運転開始ボタンを押すと、再び、第1下流側搬送部15b及び第2下流側搬送部15cにおける実物品数と管理物品数との照合が行われる。
この照合では、第1下流側搬送部15bにおける実物品数は、物品Wb、We、Wfが認識されることにより3件となり、物品管理コンピュータ20が保管する管理物品数3件と一致する。
また、第2下流側搬送部15cにおける実物品数と管理物品数も一致するから、照合不一致は生じない。
照合不一致が存在しないことから、物品管理コンピュータ20は、搬送コンベア15の自動運転を可とする指示をコンベア制御盤16へ与える。
これにより、搬送コンベア15はコンベア制御盤16の制御を受けて自動運転を再開する。
【0036】
このように、この実施形態では、何らかの原因で搬送コンベア15が異常停止したとき、搬送コンベア15における各下流側搬送部15b、15cにおける実物品数を把握し、下流側搬送部15b、15c上の実物品数と、物品管理コンピュータ20に保管された搬送データに基づく下流側搬送部15b、15cにおける管理物品数とを照合する。
そして、物品管理コンピュータ20は、実物品数と管理物品数が一致するとき、搬送コンベア15の自動運転を可とする指示をコンベア制御盤16に与え、他方、実物品数と管理物品数が不一致のとき、搬送コンベア15の自動運転を不可とする指示をコンベア制御盤16に与える。
搬送コンベア15が一時停止することなく自動運転を行い、物品Wが搬送される場合は、図3に示す処置は行われず、物品管理コンピュータ20による実物品数と管理物品数との照合は行われない。
【0037】
この実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)搬送コンベア15の異常時にのみ、搬送コンベア15の各下流側搬送部15b、15cにおける実物品数と物品管理コンピュータ20における管理物品数との照合を行うようにして「棚ずれ」を防止することができる。
(2)搬送コンベア15が一時停止したときに限って、各下流側搬送部15b、15cにおける実物品数と管理物品数の照合を行うようにしたから、搬送コンベア15が正常に作動されている場合には、実物品数と管理物品数の照合を行う必要がない。
このため、物品搬送システム10の制御を図るソフトウェアの大規模化やシステムの複雑化を回避することができる。
物品に関する情報を頻繁に取得する必要がなく、物品搬送システム10における物品の円滑な搬送が実現される。
特に、搬送コンベア15が一時停止したときに限って、各下流側搬送部15b、15cにおける実物品数と管理物品数の照合を行うようにしたことにより、コンベア制御盤16における汎用性を維持することができる。
【0038】
(3)搬送コンベア15が分岐点Aを有し、複数の下流側搬送部15b、15cを有する場合でも、搬送コンベア15が一時停止したときに限って、各下流側搬送部15b、15cにおける実物品数と管理物品数の照合を行うことができる。
(4)下流側搬送部15b、15cにおける実物品数と管理物品数が不一致のとき、コンベア制御盤16はモニター部16aにおいて照合不一致を表示するとともに警告音を発するから、オペレータはコンベア制御盤16において下流側搬送部15b、15cにおける実物品数と管理物品数が不一致であることを直ちに認識できる。
従って、オペレータは照合不一致の原因に応じた適切な処置を直ちに行うことができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る物品搬送システムについて説明する。
図6は、第2の実施形態に係る物品搬送システムの概略構成を示す平面図である。
第2の実施形態に係る物品搬送システム30は、図6に示すように、単一の自動倉庫31と、物品搬送装置である搬送コンベア35を有する。
自動倉庫31は、物品収容部33を有する物品保管棚32と、スタッカクレーン34から主に構成されている。
この実施形態の搬送コンベア35は、上流側搬送部35a及び下流側搬送部35bから構成されているが、スタッカクレーン34を臨む単一の下流側搬送部となっている。
上流側搬送部35aと下流側搬送部35bの境にはデータ作成位置Aが設定され、データ作成位置Aには物品検知センサである分岐点側センサ37と、物品情報読取器40が備えられている。
下流側搬送部35bには物品Wの停止位置に対応するように、別の物品検知センサである下流側センサ38a〜38bが夫々備えられている。
【0040】
そして、第1の実施形態と同様に、コンベア制御盤36は、モニター部36a及び自動運転ボタン36bを有しており、搬送コンベア35を制御する。
物品管理コンピュータ39は入庫指示や出庫指示に基づく物品Wの在庫管理及び入出庫管理を行うほか、自動倉庫31や搬送コンベア35を制御する。
物品管理コンピュータ39とコンベア制御盤36は互いに通信できるように接続されている。
【0041】
この実施形態によれば、複数の物品Wに対する入庫指示が生じると、物品管理コンピュータ39は出庫指示に基づいて、搬送コンベア36に対して搬送指示を出す。
搬送コンベア36は、コンベア制御盤36の制御により入庫対象の物品Wを順次搬送する。
物品Wがデータ作成位置Aに達すると、分岐点側センサ37が物品Wを認識し、さらに分岐点における物品Wの物品情報が物品情報読取器40により得られる。
コンベア制御盤36は物品Wの物品情報を管理コンピュータ39へ伝達し、管理コンピュータ39は物品情報に基づいて物品Wの搬送データを作成し、搬送データは物品管理コンピュータ39に保管される。
搬送コンベア35はコンベア制御盤36の制御により、データ作成位置Aの物品Wを下流側搬送部35bへ送り込む。
【0042】
上記の作動を入庫指示の対象の物品W毎に行い、下流側搬送部35bにおける物品検知センサ38a〜38cは、停止位置における物品Wを認識した場合には、物品Wの認識を示す信号をコンベア制御盤36へ送る。
コンベア制御盤36は、物品検知センサ38a〜38cの信号により、下流側搬送部35bにおける物品Wの搬送又は停止を行う。
そして、各下流側搬送部35bにおける各物品Wは、自動倉庫31のスタッカクレーン34に搭載され、物品保管棚32へ入庫される。
【0043】
何らかの原因により搬送コンベア35が一時停止した場合には、オペレータが搬送コンベア35の原因に応じた適切な処置を行う。
一時停止の原因が解消されると、搬送コンベア35の自動運転を再開するため、コンベア制御盤36に備えられた自動運転開始ボタン36bを押す。
自動運転開始ボタン36bを押すと、物品管理コンピュータ39は、自動再開ボタンを押した時点での下流側搬送部35bにおける実物品数と、物品管理コンピュータ39に保管された管理物品数を照合する。
【0044】
下流側搬送部35bにおける実物品数と管理物品数との照合が一致する場合は、物品管理コンピュータ39は、搬送コンベア35の自動運転を可とする指示をコンベア制御盤36に与え、実物品数と管理物品数との照合が不一致の場合、搬送コンベア35の自動運転を不可とする指示を与える。
このとき、物品管理コンピュータ39は、照合不一致である旨を表示し、コンベア制御盤36は、搬送コンベア35の自動運転不可の指示を受け、コンベア制御盤36のモニター部36aにおいて表示又は警告音により照合不一致の旨を示す。
そして、物品搬送システム30の自動運転を停止し、コンベア制御盤36のモニター部36aには照合不一致の原因が表示される。
【0045】
この実施形態では、搬送コンベア35の下流側搬送部35bが複数でなく単一であっても、第1の実施形態と同じ又は類似の効果を奏する。
【0046】
なお、本発明は、上記した第1、第2の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 第1、第2の実施形態では、コンベア制御盤において照合不一致の情報を表示したり警告音を発するようにしたが、例えば、物品管理コンピュータにおいて照合不一致の情報を表示したり警告音を発するようにしてもよい。特に、コンベア制御盤及び物品管理コンピュータの両方において照合不一致の情報を表示したり警告音を発すれば、オペレータはより早く照合不一致の発生を把握することが期待できる。
○ 第1、第2の実施形態では、物品検知センサの信号をコンベア制御盤に伝達するとしたが、例えば、コンベア制御盤を介せず物品管理コンピュータへ伝達するようにしてもよい。また、物品情報読取器に読み取られる物品情報についてもコンベア制御盤を通さず、物品管理コンピュータへ伝達するようにしてもよい。
○ 第1、第2の実施形態では、物品保管棚とスタッカクレーンを備えた自動倉庫としたが、例えば、スタッカクレーンに代えて有軌道台車としてもよい。スタッカクレーン及び有軌道台車は物品を搭載して搬送する無人搬送車に相当する。。
○ 第1、第2の実施形態では、下流側搬送部に滞留させることができる物品数を3としたが、特に滞留することができる物品の数と特に限定されない。少なくとも物品数を1以上とすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施形態に係る物品搬送システムを示す概略平面図である。
【図2】第1の実施形態に係る物品の搬送の処理を示すフロー図である。
【図3】搬送コンベアが一時停止する場合の物品数の照合の処理を示すフロー図である。
【図4】物品の照合不一致の状況を説明する物品搬送システムの要部平面図である。
【図5】物品の照合一致の状況を説明する物品搬送システム要部平面図である。
【図6】第2の実施形態に係る物品搬送システムを示す概略平面図である。
【図7】従来の物品搬送システムを示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0048】
10、30、50 物品搬送システム
11a、11b、31、51a、51b 自動倉庫
15、35、52 搬送コンベア
15a、35a 上流側搬送部
15b 第1下流側搬送部
15c 第2下流側搬送部
16 コンベア制御手段
16a、36a モニター部
16b、36b 自動運転開始ボタン
17、37 分岐点側センサ
18a〜18c 第1下流側センサ
19a〜19c 第2下流側センサ
20、39、56 物品管理コンピュータ
21、41 物品情報読取器
35b、下流側搬送部
38a〜38c 下流側センサ
53a〜53c 物品情報読取装置
58 異常警告表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側搬送部と下流側搬送部の間にデータ作成位置を備えた物品搬送装置が搬送制御装置の制御を受けて物品を搬送し、前記搬送制御装置と交信自在の物品管理装置が、前記データ作成位置に達した物品毎の搬送データを作成して保管する物品搬送システムの制御方法であって、
運転中の前記物品搬送装置が一時停止されて運転を再開する前に、前記下流側搬送部における実物品数を把握し、
前記下流側搬送部上の実物品数と、前記物品管理装置に保管された搬送データに基づく前記下流側搬送部における管理物品数とを照合し、
前記物品管理装置は、前記実物品数と前記管理物品数が一致するとき、前記物品搬送装置の自動運転を可とする指示を前記搬送制御装置に与え、
前記実物品数と前記管理物品数が不一致のとき、前記物品搬送装置の自動運転を不可とする指示を前記搬送制御装置に与えることを特徴とする物品搬送システムの制御方法。
【請求項2】
前記物品搬送装置は、上流側搬送部から分岐される複数の下流側搬送部を有し、前記データ作成位置は前記上流側搬送部から複数の前記下流側搬送部に分岐する分岐点であり、
前記分岐点に達した前記物品の物品情報を取得し、
前記搬送制御装置は、前記物品情報及び前記物品管理装置の指示に基づいて前記分岐点における物品の振り分けを指示し、
運転中の前記物品搬送装置が一時停止されて運転を再開する前に、複数の前記下流側搬送部における実物品数を該下流側搬送部毎に把握し、
前記実物品数と、前記管理物品数とを前記下流側搬送部毎に照合することを特徴とする請求項1記載の物品搬送システムの制御方法。
【請求項3】
前記搬送制御装置は、運転中の前記物品搬送装置が一時停止されて運転を再開する前に、下流側搬送部が備える物品検知センサの検知により前記実物品数を把握することを特徴とする請求項1又は2記載の物品搬送システムの制御方法。
【請求項4】
前記実物品数と前記管理物品数が不一致のとき、前記物品管理装置及び前記搬送制御装置の少なくとも一方にて照合不一致を示す警告を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の物品搬送システムの制御方法。
【請求項5】
前記実物品数と前記管理物品数が不一致のとき、前記物品管理装置及び前記搬送制御装置の少なくとも一方にて照合不一致の原因を表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の物品搬送システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−119147(P2007−119147A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312085(P2005−312085)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】