説明

物品搬送装置

【課題】物品支持部に支持された物品を移動体の支持体にて適切に受け取ることができるものでありながらコスト面で有利な物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】物品支持部に支持された物品に検出作用して、平面視における当該物品までの距離を検出するための測距センサ(23L,23R)が移動体側に設けられ、運転制御手段(20)が、物品支持部に支持された物品を受け取るべく支持体の出退を開始する前に、測距センサにて検出される距離に基づいて、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量、又は、平面視における基準姿勢からの傾きを求める姿勢計測処理を実行するように構成され、かつ、姿勢計測処理により求めたズレ量が限界ズレ量以上である場合、又は、姿勢計測処理により求めた傾きが限界傾き以上である場合に、作業前異常対策処理を実行するように構成されている物品搬送装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平又は略水平方向に沿う移動経路に沿って移動される移動体に、物品を支持する支持体が出退操作自在に設けられ、前記移動経路に沿って位置する物品支持部に対する物品移載用停止位置に前記移動体を移動させるように前記移動体の移動作動を制御し、且つ、前記移動体が前記物品移載用停止位置に停止する状態において前記物品支持部に支持された物品を受け取る又は前記物品支持部に物品を受け渡すように前記支持体の出退を制御する運転制御手段が設けられた物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記物品搬送装置の従来例として、物品支持部に支持された物品の輪郭等を撮影する撮像手段が移動体に設けられ、運転制御手段が、撮像手段による撮像情報に基づいて、物品支持部における物品の出退方向から見た正面視の存在範囲が、基準範囲内に収まっているか否かを判断するように構成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−044935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記物品搬送装置においては、例えば、物品が移動体の支持体にて支持された状態で移動体が走行する際や、移動体の支持体にて支持されている物品が物品支持部に受け渡される際に、支持体と物品との間や、物品と物品支持部との間で滑りが発生して、物品支持部に対する物品の支持体の出退方向における位置や平面視における姿勢がずれた状態で、物品が物品支持部に支持される場合がある。
【0005】
ところが、上記従来の物品搬送装置においては、運転制御手段が、撮像手段による撮像情報に基づいて、物品支持部における物品の出退方向から見た正面視の存在範囲が基準範囲内に収まっているか否かを判断するように構成されているため、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量や平面視における基準姿勢からの傾きを検出することができない。
【0006】
そのため、支持体の出退方向における物品支持部に対する物品の位置や平面視における傾きが、基準位置や基準姿勢からズレていても、上記従来の物品搬送装置では、そのことを検出できないので、ズレ量又は傾きが大きいものであると、物品支持部に支持された物品を、移動体の支持体にて適切に受け取らせることができず、支持体の出退により物品支持部に支持された物品が損傷したり落下したりする原因となる。
【0007】
もっとも、運転制御手段を、移動体に設けた撮像手段による撮像情報に基づいて、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量や平面視における基準姿勢からの傾きを検出できるように構成することも考えられるが、このような構成にすると、撮像手段が移動体側に設けられているので、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量や平面視における基準姿勢からの傾きについての情報は、撮像手段の撮像情報の一部でしかないため、撮像手段の撮像情報から前記ズレ量や前記傾きについての情報を精度よく抽出することが困難であり、その処理が複雑なものとなる。さらには、撮像手段は一般に高価なものであるので、移動体に撮像手段を設けると物品搬送装置全体のコスト高を招来し、コスト面で不利なものとなる。
【0008】
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、物品支持部に支持された物品を移動体の支持体にて適切に受け取ることができるものでありながらコスト面で有利な物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる物品搬送装置は、
水平又は略水平方向に沿う移動経路に沿って移動される移動体に、物品を支持する支持体が出退操作自在に設けられ、
前記移動経路に沿って位置する物品支持部に対する物品移載用停止位置に前記移動体を移動させるように前記移動体の移動作動を制御し、且つ、前記移動体が前記物品移載用停止位置に停止する状態において前記物品支持部に支持された物品を受け取る又は前記物品支持部に物品を受け渡すように前記支持体の出退を制御する運転制御手段が設けられたものであって、
その第1特徴構成は、前記物品支持部に支持された物品に検出作用して、平面視における当該物品までの距離を検出するための測距センサが前記移動体側に設けられ、前記運転制御手段が、前記移動体を前記物品移載用停止位置に停止させた状態において、前記物品支持部に支持された物品を受け取るべく前記支持体の出退を開始する前に、前記測距センサにて検出される距離に基づいて、前記物品支持部に支持された物品についての前記支持体の出退方向における基準位置からのズレ量、又は、平面視における基準姿勢からの傾きを求める姿勢計測処理を実行するように構成され、かつ、前記姿勢計測処理により求めた前記ズレ量が限界ズレ量以上である場合、又は、前記姿勢計測処理により求めた前記傾きが限界傾き以上である場合に、作業前異常対策処理を実行するように構成されている点にある。
【0010】
本発明の第1特徴構成によると、運転制御手段が、支持体の出退を開始する前に、姿勢計測処理を実行し、姿勢計測処理により測距センサにて検出される距離に基づいて求めたズレ量が限界ズレ量以上である場合、又は、姿勢計測処理により求めた傾きが限界傾き以上である場合には、作業前異常対策処理を実行するので、限界ズレ量及び限界傾きを適切な値に設定することにより、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量が、物品を適切に受け取れる程度以上のズレ量である場合、又は、平面視における基準姿勢からの傾きが物品を適切に受け取れる程度以上の傾きである場合には、作業前異常対策処理において支持体の出退を開始させない又は中断する等して、物品支持部に支持された物品と移動体の支持体との接触による物品の損傷や落下等の事故を防止することができる。
【0011】
また、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量が、物品を適切に受け取れる程度未満のズレ量である場合、又は、平面視における基準姿勢からの傾きが物品を適切に受け取れる程度未満の傾きである場合には、運転制御手段が、物品支持部に支持された物品を受け取るように支持体の出退を制御することで、物品を適切に受け取ることができる。
【0012】
そして、姿勢計測処理では、測距センサにて検出される平面視における物品までの距離に基づいて、物品支持部に支持された物品についての前記支持体の出退方向における基準位置からのズレ量、又は、平面視における基準姿勢からの傾きが求められるので、基準位置からのズレ量、又は、平面視における基準姿勢からの傾きを、例えば基準値との大小比較等の比較的簡単な処理により求めることが可能である。したがって、運転制御手段を簡素なものにて構成することができる。
【0013】
しかも、測距センサは、物品支持部に支持された物品に検出作用して、平面視における当該物品までの距離を検出するものであるから、例えば、測距光を投射して検出対象にて反射した反射光を受光する投受光式の光センサのように、測距センサとして安価なものを用いることにより、コスト面で有利な物品搬送装置を構成することができる。
【0014】
このように、本発明の第1特徴構成によると、物品支持部に支持された物品を移動体の支持体にて適切に受け取ることができるものでありながらコスト面で有利な物品搬送装置を得るに至った。
【0015】
本発明の第2特徴構成は、本発明の第1特徴構成において、前記運転制御手段が、前記姿勢計測処理において前記ズレ量、又は、前記ズレ量及び前記傾きを求めるように構成され、かつ、そのズレ量が前記限界ズレ量未満である場合に、前記支持体の出退操作量が前記ズレ量に応じた出退操作量となるように、前記支持体の出退を制御するように構成されている点にある。
【0016】
本発明の第2特徴構成によると、運転制御手段が、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量が限界ズレ量未満である場合には、支持体の出退操作量がズレ量に応じた出退操作量となるように、支持体の出退を制御するので、物品支持部に支持された物品が、基準位置から支持体の出退方向についてズレた位置に位置していても、そのズレ量が限界ズレ量未満であれば、物品を受け取る際の支持体の出退操作量が、物品支持部に支持された物品を適切に受け取ることができるような出退操作量となって、支持体における適切な位置にて物品を受け取って、物品が支持体にて適切に支持された状態で移動体を走行移動させることができ、もって、物品支持部において存在していたズレを解消することができる。
【0017】
このように、本発明の第2特徴構成によると、物品支持部に支持された物品を移動体の支持体にて適切に受け取ることができるものでありながらコスト面で有利で、しかも、物品支持部に支持された物品についてズレが存在してもそのズレが解消された状態で支持体にて支持することができる物品搬送装置を得るに至った。
【0018】
本発明の第3特徴構成は、本発明の第1又は第2特徴構成において、前記運転制御手段が、前記物品支持部に支持された物品を受け取るべく前記支持体の出退を開始してから、前記支持体にて前記物品を支持する状態に至るまでの間に、前記測距センサの検出情報が許容量以上変化した場合には、前記支持体の出退を止めるべく、前記支持体の出退を制御するように構成されている点にある。
【0019】
本発明の第3特徴構成によると、支持体の出退が開始されてから、支持体にて物品が支持された状態に至るまでの間に、測距センサの検出情報が許容量以上変化した場合には、運転制御手段が、支持体の出退を止めるべく支持体の出退を制御するので、許容量として、例えば、支持体の出退開始時の物品についてのズレ量と限界ズレ量との差に相当する量のように、適切な値を選択すれば、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量が、限界ズレ量より小さいズレ量となっている状態、又は、物品支持部に支持された物品についての平面視における基準姿勢からの傾きが限界傾きより小さい傾きとなっている状態で物品支持部に支持されている物品に、当該物品に向って突出作動する支持体が接触することにより当該物品についての前記ズレ量や前記傾きが変化して、これにより測距センサの検出情報が許容量以上変化した場合には、当該物品についての基準位置からのズレ量や平面視における基準姿勢からの傾きが異常に大きくなる前に支持体の出退が止められ、物品支持部に支持された物品についての基準位置からのズレ量や平面視における基準姿勢からの傾きの変化が制止される。
【0020】
したがって、例えば、上述の例のように、許容量として支持体の出退開始時の物品についてのズレ量と限界ズレ量との差に相当する量が選択されている場合には、出退を開始した支持体が物品支持部に支持されている物品に接触すると、当該物品についてのズレ量が限界ズレ量に達するまで、支持体の出退が許容されるが、当該物品についてのズレ量が限界ズレ量に達すると、支持体の出退が停止して、物品支持部に支持された物品についての基準位置からのズレ量や平面視における基準姿勢からの傾きの変化が制止されるといったように、出退を開始した支持体が物品支持部に支持されている物品に接触した場合に、物品についての基準位置からのズレ量や平面視における基準姿勢からの傾きが異常に大きくなる前に支持体の出退を停止させることで、支持体の出退が正常に開始された後に異常な事態が生じても、物品の落下等の事故が発生することを防止できる。
【0021】
このように、本発明の第3特徴構成によると、物品支持部に支持された物品を移動体の支持体にて適切に受け取ることができるものでありながらコスト面で有利で、しかも、支持体の出退が正常に開始された後に異常な事態が生じても、物品の落下等の事故が発生することを防止できる物品搬送装置を得るに至った。
【0022】
本発明の第4特徴構成は、本発明の第1〜第3特徴構成のいずれかにおいて、前記運転制御手段が、前記物品支持部に物品を受け渡すべく前記支持体の出退を完了させた後に、前記姿勢計測処理を実行するように構成され、かつ、その姿勢計測処理により求めた前記ズレ量が前記限界ズレ量以上である場合、又は、その姿勢計測処理により求めた前記傾きが前記限界傾き以上である場合に、作業後異常対策処理を実行するように構成されている点にある。
【0023】
本発明の第4特徴構成によると、運転制御手段が、支持体の出退を完了させた後に、姿勢計測処理を実行し、姿勢計測処理によりズレ量が限界ズレ量以上である場合、又は、姿勢計測処理により求めた傾きが限界傾き以上である場合には、作業後異常対策処理を実行するので、限界ズレ量及び限界傾きを適切な値に設定することにより、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量が、物品を適切に受け取れる程度以上のズレ量である場合、又は、平面視における基準姿勢からの傾きが物品を適切に受け取れる程度以上の傾きである場合には、作業後異常対策処理として、メンテナンスを促す情報を報知する処理や運転の中断や一部稼動といった異常時発生用の運転状態とする処理を実行することにより、次の受け取りのタイミングが到来する前に、異常な状態で物品支持部に支持された当該物品に対して、迅速に対応することが可能となる。
【0024】
このように、本発明の第4特徴構成によると、物品支持部に支持された物品を移動体の支持体にて適切に受け取ることができるものでありながらコスト面で有利で、しかも、異常な状態で物品支持部に支持された物品に対して、迅速に対応することが可能な物品搬送装置を得るに至った。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、本発明の第1〜第4特徴構成のいずれかにおいて、前記物品支持部が、物品収納棚における物品収納部と、その物品収納棚における物品搬出入用の物品載置部とを含むものであり、前記支持体が、前記移動体に対して昇降操作自在に構成された昇降台に設けられ、前記測距センサが、前記昇降台と一体昇降自在に設けられている点にある。
【0026】
本発明の第5特徴構成によると、スタッカークレーンが設けられた自動立体倉庫設備について、本発明が適用されることになるので、自動立体倉庫設備の物品収納棚における物品収納部に収納された物品や、その物品収納棚における物品搬出入用の物品載置部に載置された物品を、移動体としてのスタッカークレーンの支持体にて適切に受け取ることができるようになって、スタッカークレーンが設けられた自動立体倉庫設備において適切な物品搬送処理を行うことが可能となる。
【0027】
本発明の第6特徴構成は、本発明の第1〜第5特徴構成のいずれかにおいて、前記物品が、物流用パレット、又は、物流用パレット及びこれに載置される物品本体からなり、前記測距センサが、前記物品支持部に支持された前記物流パレットにおける前記出退方向で手前側に位置する隅部に対して検出作用する状態で、略同一平面内に一対設けられている点にある。
【0028】
本発明の第6特徴構成によると、測距センサを、物品支持部に支持された物品又は物品の一部としての物流パレットにおける出退方向で手前側に位置する隅部に対して検出作用する状態で、略同一平面内に一対設ければよいので、測距センサの設置が容易である。
【0029】
また、規格が同じであれば物流パレットの形状及び大きさは一定であるので、同じ規格のパレットを使用する限り、物品支持部に支持されるパレットの隅部の位置及び存在範囲は、その物品支持部についての物品移載用停止位置と所定の位置関係となることから、一対の測距センサを、物品支持部より所定距離だけ上方に位置する水平面内で検出作用するように設置するだけで、各測距センサからパレットの両側に位置する一対の隅部までの平面視における夫々の距離を確実に検出するこができる。
【0030】
そして、物品支持部に支持されたパレットについての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量は、各測距センサからパレットの両側隅部までの夫々の距離の平均値と基準値との差に基づいて求めることができ、また、物品支持部に支持されたパレットについての平面視における基準姿勢からの傾きは、各測距センサからパレットの両側隅部までの夫々の距離の差に基づいて、簡単に求めることができる。
【0031】
このように、本発明の第6特徴構成によると、物品支持部に支持された物品を移動体の支持体にて適切に受け取ることができるものでありながらコスト面で有利で、しかも、極めて簡素でありながら確実にズレ量や傾きを検出することができる物品搬送装置を得るに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の物品搬送装置の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態においては、図1に示すように、物品搬送装置が、収納棚1を備えた物品保管設備SUに設置されたスタッカークレーン2にて構成されている。
【0033】
スタッカークレーン2は、スタッカークレーン2の自走と、スタッカークレーン2に上下昇降自在に取り付けた昇降台3の上下昇降とにより、搬出入口との間で物品Aの受渡しをするための荷受け台4(本発明の物品支持部としての物品搬出入用の物品載置部に相当)並びに収納棚1の物品収納予定箇所としての各物品収納部K(本発明の物品支持部に相当)に対して、昇降台3と一体昇降自在な移載装置TMを物品Aの移載のための適正位置に位置させ、移載装置TMのスライドフォーク機構15を突出及び引退、並びに、昇降台3を昇降させて物品Aを卸し又は掬うことにより、収納棚1に対する入出庫を行わせるものである。
【0034】
各物品収納部Kに収納される物品Aは、図2に示すように、物品本体としての荷Wを載置した物流用パレットP(以下、単にパレットPという)からなっている。パレットPは、載置板30の裏面に互いに平行となる状態で設けられた下方向きのゲタ部31を備えており、取付寸法L1だけ離れた左ゲタ部32及び右ゲタ部33と、これらの中央に位置する中央ゲタ部34との間に一対のフォーク挿入溝21が形成されている。
【0035】
収納棚1は、図1及び図2に示すように、鉛直方向に立設された長尺状の複数本の支柱5と、これら支柱5間にわたって連結固定された移載対象としての長尺状のビーム6、並びに、必要に応じて配設された複数本のブレース7などによって枠組みされ、収納棚前後方向に並ぶビーム6間にわたって物品Aを載置する状態で保管する。
【0036】
スタッカークレーン2は、移動体としての走行台車10に、それの移動方向で前後一対の昇降用支柱11a,11bが立設され、走行台車10が移動経路に沿って地上側に敷設された走行レール8に走行案内されると共に、昇降用支柱11a,11bの上端部が天井側の案内レール9に案内され、収納棚1の横方向に移動自在としてある。昇降台3は、この一対の昇降用支柱11a,11b間に配置されて、これらによって昇降案内される。走行台車10には、走行台車10の駆動輪を回動駆動する水平駆動手段としての走行用モータ12と、昇降台3を昇降操作するための昇降駆動手段としての昇降用モータ13とが備えられ、昇降用モータ13は、昇降台3を吊下げ支持する一対の索状体14を送り出し及び巻取り駆動して昇降台3を昇降させる。
【0037】
昇降台3には、図2に示すように、前記移載装置TMの他、ビーム6を検出するビーム検出手段としての反射型のビーム検出用センサ16と、昇降用支柱11aに沿って鉛直方向に張設されたチェーンに歯合するスプロッケと回転量を検出することにより昇降台3の昇降位置を検出する昇降位置検出手段としての昇降用ロータリエンコーダ19とが備えられている。
【0038】
前記ビーム検出用センサ16及び前記昇降用ロータリエンコーダ19の検出信号は、図4に示すように、スタッカークレーン2の作動を制御する運転制御手段としてのクレーン制御装置20に接続されている。ビーム検出用センサ16は、ビーム6に対して検出光を出射し、ビーム6で反射した反射光を受光することによりビーム6を検出するようになっている。昇降用ロータリエンコーダ19が出力するカウント値は昇降台3が上昇すると上昇量に応じて増加し、下降する下降量に応じて減少するようになっている。
【0039】
そして、昇降用ロータリエンコーダ19及びビーム6の検出情報に基づいて、クレーン制御装置20が、昇降台3を、ビーム6上の物品収納部Kの物品Aを移載装置TMへ移載するときの適正移載高さ(以下、掬い用の適正移載高さという)や、移載装置TMに搭載している物品Aをビーム6上の物品収納部Kへ移載するとき適正移載高さ(以下、卸し用の適正移載高さという)に昇降させて、物品Aを移載するようになっている。
【0040】
なお、昇降台3を掬い用の適正移載高さに昇降させる場合には、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、ビーム検出用センサ16が移載対象のビーム6を検出する昇降位置まで昇降台3を昇降させた後、ビーム検出用センサ16の検出情報を監視しながら昇降台3を微速にて下降させて、ビーム検出用センサ16がビーム6を検出する検出状態から検出しない非検出状態になった時点、つまり、ビーム検出用センサ16の検出情報に基づいてビーム6の下端を検出した時点で、昇降台3の下降を停止させるようにして行う。
【0041】
また、昇降台3を卸し用の適正移載高さに昇降させる場合には、掬い用の適正移載高さに昇降させる場合と同様の処理により昇降台3を一旦掬い用の適正移載高さに昇降させた後、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、昇降台3を設定量だけ上昇させることにより行う。
【0042】
移載装置TMには、図3にも示すように、物品AのパレットPの部分を載置支持して物品Aを支持する支持体としてのスライドフォーク機構15と、スライドフォーク機構15を突出及び引退させる出退駆動手段としてフォーク用モータ17と、出退操作量検出手段としての出退用ロータリエンコーダ22と、測距センサとしての左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rが備えられている。
【0043】
出退用ロータリエンコーダ22は、フォーク用モータ17の回転量を検出することによりスライドフォーク機構15の出退操作量Qを検出する。
【0044】
左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rは、物品収納部Kのビーム6に載置維持された物品AのパレットPにおけるスライドフォーク機構15の出退方向で手前側に位置する左右の各隅部、つまり、パレットPの左ゲタ部32の同方向で手前側の端面32T及び右ゲタ部33の同方向で手前側の端面33Tに対して検出作用する状態で、略同一平面内に設置間隔L2だけ離間した状態で一対設けられており、夫々の取り付け箇所から平面視における物品Aまでの距離(後述する左距離dL及び右距離dR)を検出するものである。本実施形態では、設置間隔L2は、パレットPの左ゲタ部32及び右ゲタ部33の取付寸法L1と等しくなっている。
【0045】
出退用ロータリエンコーダ22並びに左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rの検出信号は、図4に示すように、スタッカークレーン2の作動を制御する運転制御手段としてのクレーン制御装置20に接続されている。
【0046】
なお、スライドフォーク機構15は、スタッカークレーン2の移動経路方向で左右両側の収納棚1の物品収納部Kや荷受け台4に対して物品Aの移載が行えるように、スライドフォーク機構15の出退方向での中心位置が移動経路に一致する引退位置を中心に、移動経路方向で左右両方向に対して突出可能に構成されており、上述したビーム検出用センサ16並びに左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rについての検出作用対象である収納棚1及び荷受け台4と反対側の収納棚1及び荷受け台4についての移載に対応するべく、説明を省略しているが、ビーム検出用センサ16並びに左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rと同様のものが、スタッカークレーン2の移動経路方向で図3に示す設置箇所と左右が反対側の各箇所に設けられている。
【0047】
上記構成の昇降台3の移載装置TMに載置支持している物品Aを物品収納部Kのビーム6上に移載(以下、この移載種別を「卸し動作」という。)するときは、昇降台3を卸し用適正移載高さに位置させた状態でスライドフォーク機構15を収納棚1側へ突出作動させて物品Aを前後一対のビーム6の上方に位置させ、昇降台3を若干下降させて物品Aをビーム6上に載置した後にスライドフォーク機構15を引退させる。一方、昇降台3の移載装置TMによりビーム6上の物品Aを移載装置TM上に移載(以下、この移載種別を「掬い動作」という)するときは、昇降台3を掬い用適正移載高さに位置させた状態で、スライドフォーク機構15を収納棚1側へ突出位置まで突出作動させてパレットPのフォーク挿入溝21に挿入し、昇降台3を若干上昇させた後にスライドフォーク機構15を引退位置まで引退させる。
【0048】
収納棚1の横方向での昇降台3の水平移動は、図4に示すクレーン制御装置20の走行制御部20bが水平制御処理を実行して、走行台車10に備えられた水平位置検出手段としての走行用ロータリエンコーダ18の出力信号に基づいて、走行台車10を物品収納部K毎に設定された物品Aの移載のための収納棚横方向における適正位置すなわち適正移載用横方向位置(本発明の物品移載用停止位置に相当)に走行させることにより行われる。
【0049】
収納棚1の上下方向での昇降台3の昇降移動は、図4に示すクレーン制御装置20が昇降処理を実行して、昇降台3を卸し用適正移載高さや掬い用適正移載高さに昇降させる。スライドフォーク機構15の突出及び引退は、クレーン制御装置20が突出処理及び引退処理を実行し、出退用ロータリエンコーダ22の検出情報に基づいて、フォーク用モータ17の駆動を制御して、スライドフォーク機構15を突出位置や引退位置に出退させる。
【0050】
そして、クレーン制御装置20は、水平制御処理により走行台車10を適正移載用横方向位置に走行させ、かつ、昇降処理により昇降台3を卸し用適正移載高さや掬い用適正移載高さに昇降させた後に、スライドフォーク機構15の突出及び引退並びに昇降台3の昇降を制御することにより上述の卸し動作や掬い動作を制御する。
【0051】
クレーン制御装置20は、卸し動作や掬い動作において、前記左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rにて検出される左距離dL及び右距離dRに基づいて、物品収納部Kのビーム6に支持された物品Aについてのスライドフォーク機構15の出退方向における基準位置からのズレ量Z、及び、平面視における基準姿勢からの傾きRを求める姿勢計測処理を実行するように構成されている。
【0052】
以下、掬い動作及び卸し動作の各動作における、クレーン制御装置20の制御動作について、図5及び図6のフローチャートを参照しながら詳しく説明する。
【0053】
図5のフローチャートに示すように、掬い動作では、クレーン制御装置20は、まず、ステップ#A1でビーム6に支持された物品Aを受け取るべくスライドフォーク機構15の出退を開始する前に、姿勢計測処理を実行する。姿勢計測処理では、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rにて検出される左距離dL及び右距離dRの値を取得し、これらの値の平均値Davrから基準値Dstndを差し引いた値の絶対値|(dL+dR)/2-Dstnd|がズレ量Zとして算出され、これらの値の差の絶対値|dL-dR|の設置間隔L2に対する比率|dL-dR|/L2が傾きRとして算出される(図7参照)。
【0054】
なお、基準値Dstndは、物品AのパレットPが前後一対のビーム6において基準姿勢で基準位置に位置する状態(図8の仮想線で示すパレットPの位置及び姿勢となっている状態)で載置支持されているときの左距離dL及び右距離dRに基づいて予め設定されている。ここで、基準姿勢とは、物品収納部Kに収納された物品AのパレットPのゲタ部31及びフォーク挿入溝21がスライドフォーク機構15の出退方向と平行になる姿勢である。また、基準位置とは、物品収納部Kに基準姿勢で収納された物品AのパレットPの前後方向の中心位置(図8において2点鎖線で示す位置)が、前後一対のビーム6の前後方向の中心位置と一致するようなパレットPのスライドフォーク機構15の出退方向についての位置をいう。
【0055】
ステップ#A2で、クレーン制御装置20は姿勢計測処理により求めたズレ量Zが限界ズレ量Zlim以上であるかどうか判別し、ズレ量Rが限界ズレ量Zlim以上である場合には、ステップ#A14に移行し作業前異常対策処理を実行する。ズレ量Rが限界ズレ量Zlim未満である場合には、ステップ#A3へ移行する。
【0056】
ステップ#A3で、姿勢計測処理により求めたが傾きRが限界傾きRlim以上であるかどうか判別し、傾きRが限界傾きRlim以上である場合には、ステップ#A14に移行し作業前異常対策処理を実行する。傾きRが限界傾きRlim未満である場合には、ステップ#A4へ移行する。
【0057】
なお、ステップ#A14の作業前異常対策処理では、スライドフォーク装置15の突出させずに掬い動作を中止し、異常の発生を作業員に報知すべく、異常表示灯や警報器などの報知手段を作動させる処理を行う。
【0058】
ステップ#A4で、クレーン制御装置20は操作量決定処理を実行する。操作量決定処理では、基準操作量Qstndを、補正して適応操作量Qadjを取得する。
【0059】
基準操作量Qstndは、物品Aが前後一対のビーム6において基準姿勢で基準位置に載置支持されたている場合に、引退位置にあるスライドフォーク装置15を、物品AのパレットPにおけるフォーク挿入溝21に挿入されるスライドフォーク装置15の挿入量が適切な量となる位置(以下、基準突出位置という)に突出させるまでに必要な操作量であり、クレーン制御装置20に予め設定保存されている。
【0060】
適応操作量Qadjの算出は、次のように行う。つまり、姿勢計測処理において取得した左距離dL及び右距離dRに基づき、符号付ズレ量R´を取得する。具体的には、左距離dL及び右距離dRの平均値Davrから基準値Dstndを差し引いた値(dL+dR)/2-Dstndが符号付ズレ量R´となる。符号付ズレ量R´の正負の符号によりズレの向きが、また、前述のように絶対値によりズレ量Zが示されている。そして、基準操作量Qstndに符号付ズレ量R´を加算することで適応操作量Qadjを得る。
【0061】
例えば、物品Aが前後一対のビーム6において前後方向で手間側にずれた位置に載置支持されている場合には、平均値Davrは基準値Dstndより小さい値となるので符号付ズレ量R´は負の値となり、負の値の符号付ズレ量R´を基準操作量Qstndに加算することで、適応操作量Qadjは、基準操作量Qstndよりズレ量Zだけ小さい値となる。同様に、物品Aが前後一対のビーム6において前後方向で奥側にずれた位置に載置支持されている場合には、基準操作量Qstndよりズレ量Zだけ大きい値となる。
【0062】
ステップ#A4の操作量決定処理により適応操作量Qadjを取得した後、クレーン制御装置20はステップ#A5で、フォーク用モータ17をスライドフォーク装置15の突出方向に対応した回転方向にて駆動させて、スライドフォーク装置15の突出作動を開始させる。
【0063】
クレーン制御装置20は、スライドフォーク装置15の突出作動を開始させた後、ステップ#A8で、出退用ロータリエンコーダ22の検出情報に基づいてスライドフォーク装置15の出退操作量Qが適応操作量Qadjに達したと判別されるまで、つまり、スライドフォーク装置15が引退位置から適応操作量Qadjだけ突出した位置(以下、適応突出位置という)まで突出作動して突出作動が完了するまで、ステップ#A6及びステップ#A7の処理を繰り返し(例えば、繰り返し周期は1ms)実行して、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rにて検出される左距離dL及び右距離dRの値が許容量以上変化するかどうかを監視している。
【0064】
具体的には、ステップ#A6では、左レーザ測距計23Lにて検出される左距離dLが、突出開始時における左距離dLに比べて許容量Δdlim以上大きいか、又は、小さいか
をチェックし、ステップ#A7では、右レーザ測距計23Rにて検出される右距離dRが、突出開始時における右距離dRに比べて許容量Δdlim以上大きいか、又は、小さいか
をチェックする。
【0065】
スライドフォーク装置15が適応操作量Qadjだけ操作されるまでに、左距離dL又は右距離dRのいずれかの値が許容量以上変化すると、スライドフォーク装置15がパレットPに接触等してパレットPが適正な載置姿勢でなくなって掬い動作が継続できない状態になったとして、ステップ#A15の異常停止処理が実行される。異常停止処理では、スライドフォーク装置15の突出作動が緊急停止する。なお、異常停止処理でスライドフォーク装置15を緊急停止させた後、引退位置に引退作動させるようにしてもよい。
【0066】
左距離dL及び右距離dRの値が許容量以上変化することなくスライドフォーク装置15が適応突出位置まで出退操作されると、ステップ#A8で、スライドフォーク装置15の出退操作量Qが適応操作量Qadjに達したと判別され、ステップ#A9で、フォーク用モータ17の駆動が停止され、スライドフォーク装置15の突出作動が停止される。
【0067】
このように、クレーン制御装置20は、前後一対のビーム6に支持された物品Aを受け取るべくスライドフォーク装置15の出退を開始してから、スライドフォーク装置15にて物品Aを支持する状態に至るまでの間に、レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rにて検出される左距離dL及び右距離dRの値が許容量以上変化した場合には、スライドフォーク装置15の出退を止めるべく、スライドフォーク装置15の出退を制御するように構成されている
【0068】
ステップ#A9までの処理が完了した時点で、スライドフォーク装置15が、適応突出位置に位置してパレットPのフォーク挿入溝21に適正に挿入された状態となっている。
【0069】
クレーン制御装置20は、ステップ#A10で昇降台3を掬い動作用昇降量だけ上昇させるべく、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、昇降用モータ13の駆動を制御する。昇降台3が、掬い動作用昇降量だけ上昇すると、昇降用モータ13の駆動が停止され、昇降台3の昇降作動が停止する。
【0070】
なお、図5のフローチャートでは省略しているが、ステップ#A10も処理により昇降台3が上昇する間も、ステップ#A6及びステップ#A7と同様の処理が実行されており、左距離dL及び右距離dRの値が許容量以上変化するかどうか監視されている。そして、昇降台3が掬い動作用昇降量だけ上昇する間に左距離dL及び右距離dRの値が許容量以上変化した場合には、異常停止処理が実行され、昇降台3の昇降作動が停止される。
【0071】
ステップ#A10の処理が完了した時点で、物品AのパレットPが適応突出位置に位置するスライドフォーク装置15にて支持されて、パレットPのゲタ部31が前後一対のビーム6から浮いた状態となっている。
【0072】
ステップ#A11でクレーン制御装置20は適応突出位置に位置するスライドフォーク装置15を引退位置に戻すべく、フォーク用モータ17をスライドフォーク装置15の引退方向に対応する駆動方向にて駆動を開始させ、その後、ステップ#A12で出退用ロータリエンコーダ22の検出情報に基づいてスライドフォーク装置15の出退操作量Qが適応操作量Qadjに達したと判別されるまで、つまり、スライドフォーク装置15が適応突出位置から引退位置に引退作動して引退作動が完了するまで、フォーク用モータ17の駆動を継続させ、ステップ#A12でスライドフォーク装置15の出退操作量Qが適応操作量Qadjに達したと判別されると、フォーク用モータ17の駆動を停止させ、スライドフォーク装置15の引退作動を停止させる。
【0073】
このように、クレーン制御装置20は、姿勢計測処理においてズレ量Z及び傾きRを求めるように構成され、かつ、そのズレ量Zが限界ズレ量Zlim未満である場合に、スライドフォーク装置15の出退操作量Qがズレ量Rに応じた適応操作量Qadjとなるように、スライドフォーク装置15の出退を制御するように構成されている。
【0074】
図6のフローチャートに示すように、卸し動作では、クレーン制御装置20は、まず、ステップ#B1で引退位置にあるスライドフォーク機構15を基準突出位置まで突出させるべく、フォーク用モータ17を、スライドフォーク装置15の突出方向に対応する駆動方向にて駆動を開始させる。
【0075】
スライドフォーク装置15が引退位置から基準突出位置まで突出すると、ステップ#B2で出退用ロータリエンコーダ22の検出情報に基づいてスライドフォーク装置15の出退操作量Qが基準操作量Qstndに達したと判別され、ステップ#B3で、フォーク用モータ17の駆動が停止され、スライドフォーク装置15の突出作動が停止される。
【0076】
クレーン制御装置20は、ステップ#B4で昇降台3を卸し動作用昇降量だけ下降させるべく、昇降用ロータリエンコーダ19の検出情報に基づいて、昇降用モータ13の駆動を制御する。昇降台3が、卸し動作用昇降量だけ下降すると、昇降用モータ13の駆動が停止され、昇降台3の昇降作動が停止する。
【0077】
ステップ#B4の処理が完了した時点で、物品AのパレットPのゲタ部31が前後一対のビーム6に載置支持され、基準突出位置に位置するスライドフォーク装置15がパレットPの載置面30から離間した状態となっている。
【0078】
ステップ#B5で基準突出位置にあるスライドフォーク機構15を引退位置まで突出させるべく、フォーク用モータ17をスライドフォーク装置15の引退方向に対応する駆動方向にて駆動を開始させる。
【0079】
スライドフォーク装置15が基準突出位置から引退位置まで突出すると、ステップ#B6で出退用ロータリエンコーダ22の検出情報に基づいてスライドフォーク装置15の出退操作量Qが基準操作量Qstndに達したと判別され、ステップ#B7で、フォーク用モータ17の駆動が停止され、スライドフォーク装置15の引退作動が停止される。
【0080】
そして、クレーン制御装置20は、ステップ#B8で姿勢計測処理を実行して、前後一対のビーム6に載置支持されている物品Aについてのズレ量Z及び傾きRを算出し、ステップ#B9でズレ量Zが限界ズレ量Zlim以上であるかどうか、ステップ#B10で傾きRが限界傾きRlim以上であるかどうかがチェックされ、何れに該当する場合には、卸し動作が正常に完了しなかったとして、ステップ#B11の作業後異常対策処理が実行される。なお、ステップ#B8〜ステップ#B10の処理は掬い動作におけるステップ#A1〜ステップ#A3の処理と全く同じ処理である。
【0081】
ステップ#B11の作業後異常対策処理は、異常の発生を作業員に報知すべく、異常表示灯や警報器などの報知手段を作動させる処理を行う。作業後異常対策処理後は、クレーン制御装置20が、他の物品Aについて搬送作業を行うべく待機状態となるように構成してもよいし、クレーン制御装置20が、作業員により何らかの指示があるまで走行台車10、昇降台3、スライドフォーク装置15を作動させないように構成してもよい。
【0082】
ステップ#B8の姿勢計測処理で算出したズレ量Zが限界ズレ量Zlim未満であり、かつ、同傾きRが限界傾きRlim未満であれば、クレーン制御装置20は、ステップ#B9及びステップ#B10の双方の処理でNoと判別し、卸し動作が正常に完了したとして、待機状態となる。
【0083】
このように、クレーン制御装置20は、前後一対のビーム6に物品Aを受け渡すべくスライドフォーク機構15の出退を完了させた後に、姿勢計測処理を実行するように構成され、かつ、その姿勢計測処理により求めたズレ量Zが限界ズレ量Zlim以上である場合、又は、その姿勢計測処理により求めた傾きRが限界傾きRlim以上である場合に、作業後異常対策処理を実行するように構成されている。
【0084】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0085】
(1)上記実施の形態では、運転制御手段が姿勢計測処理において物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量及び平面視における基準姿勢からの傾きを求めるように構成されたものを例示したが、これに代えて、運転制御手段が、姿勢計測処理において前記ズレ量又は前記傾きの何れか一方だけを求めるように構成されたものであってもよい。
【0086】
運転制御手段が姿勢計測処理においてズレ量だけを求めるように構成する場合、単一の測距センサにて検出される距離に基づいて、物品支持部に支持された物品についての支持体の出退方向における基準位置からのズレ量を求めるようしてもよい。
【0087】
(2)上記実施の形態では、運転制御手段が、掬い動作において、昇降台3を掬い動作用昇降量だけ昇降作動させる間に、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rにて検出される左距離dL及び右距離dRを監視するように構成されたものを例示したが、昇降台3を掬い動作用昇降量だけ昇降作動させる間には、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rにて検出される左距離dL及び右距離dRを監視しないように構成されたものであってもよい。
【0088】
(3)上記実施の形態では、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rの設置間隔L2が、パレットPの左ゲタ部32及び右ゲタ部33の取付寸法L1と等しいもの(L2=L1)を例示したが、これに限らず、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rの設置間隔L2がパレットPの左ゲタ部32及び右ゲタ部33の取付寸法L1より大きいもの(L2>L1)や、小さいもの(L2<L1)であってもよい。
【0089】
この場合、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rが、パレットPの隅部に対して検出作用する状態とするため、スライドフォーク装置15の出退方向に対してレーザ光軸が傾斜する状態で設置される場合があるが、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rにて検出される左距離dL及び右距離dRをレーザ光軸の傾斜角度に基づいて、出退方向についての距離に変換する等して、上記実施形態と同様に、物品収納部Kのビーム6に支持された物品Aについてのスライドフォーク機構15の出退方向における基準位置からのズレ量Z、又は、平面視における基準姿勢からの傾きRを求めることができる。
【0090】
なお、左レーザ測距計23L及び右レーザ測距計23Rにて検出される左距離dL及び右距離dRに基づいて物品収納部Kのビーム6に支持された物品Aについての前記ズレ量Z及び前記傾きRを算出する手法については、上記実施形態で説明した手法に限定されるものではなく、考えられる他の手法によっても算出することができるのは勿論である。
【0091】
(4)上記実施の形態では、物品支持部としての物品収納部Kが、物品Aを棚の奥行き方向で手前側端部及び奥側端部で支持する長尺状のビーム6にて物品Aを支持するように構成されたものを例示したが、ビーム6を板状に形成して物品Aの底面の全体を支持するように構成されたもの等、構成物品支持部の具体構成は種々変更可能である。
【0092】
(5)上記実施の形態では、移動体に設けられる支持体としてスライドフォーク機構15であるものを例示しているが、例えば、支持体として物品の左右両側を挟持する左右一対の挟持部が移動体に設けられたもの等、その具体構成は種々変更可能である。
【0093】
(6)上記実施形態では、移動体が直線状の走行経路に沿って走行移動するスタッカークレーンであるものを例示したが、これに限らず、非直線状の走行経路に沿って走行移動する自動物品搬送車等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】物品搬送装置が設置された物品保管設備の要部斜視図
【図2】スタッカークレーンの一部正面図
【図3】物品移載用停止位置に位置するスタッカークレーンとその周辺構成の平面図
【図4】制御ブロック図
【図5】掬い動作のフローチャート
【図6】卸し動作のフローチャート
【図7】姿勢計測処理のフローチャート
【図8】物品収納部に収納された物品及び周辺構成の平面図
【符号の説明】
【0095】
P 物流用パレット
K 物品収納部(物品支持部)
dL、dR 測距センサにて検出される距離
Δdlim 許容量
Z ズレ量
R 傾き
Zlim 限界ズレ量
Rlim 限界傾き
Q 出退操作量
Qadj ズレ量に応じた出退操作量
1 物品収納棚
3 昇降台
4 物品載置部(物品支持部)
8 移動経路
10 移動体
15 支持体
20 運転制御手段
23L、23R 測距センサ
32T、33T 隅部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平又は略水平方向に沿う移動経路に沿って移動される移動体に、物品を支持する支持体が出退操作自在に設けられ、
前記移動経路に沿って位置する物品支持部に対する物品移載用停止位置に前記移動体を移動させるように前記移動体の移動作動を制御し、且つ、前記移動体が前記物品移載用停止位置に停止する状態において前記物品支持部に支持された物品を受け取る又は前記物品支持部に物品を受け渡すように前記支持体の出退を制御する運転制御手段が設けられた物品搬送装置であって、
前記物品支持部に支持された物品に検出作用して、平面視における当該物品までの距離を検出するための測距センサが前記移動体側に設けられ、
前記運転制御手段が、
前記移動体を前記物品移載用停止位置に停止させた状態において、前記物品支持部に支持された物品を受け取るべく前記支持体の出退を開始する前に、前記測距センサにて検出される距離に基づいて、前記物品支持部に支持された物品についての前記支持体の出退方向における基準位置からのズレ量、又は、平面視における基準姿勢からの傾きを求める姿勢計測処理を実行するように構成され、かつ、前記姿勢計測処理により求めた前記ズレ量が限界ズレ量以上である場合、又は、前記姿勢計測処理により求めた前記傾きが限界傾き以上である場合に、作業前異常対策処理を実行するように構成されている物品搬送装置。
【請求項2】
前記運転制御手段が、前記姿勢計測処理において前記ズレ量、又は、前記ズレ量及び前記傾きを求めるように構成され、かつ、そのズレ量が前記限界ズレ量未満である場合に、前記支持体の出退操作量が前記ズレ量に応じた出退操作量となるように、前記支持体の出退を制御するように構成されている請求項1記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記運転制御手段が、前記物品支持部に支持された物品を受け取るべく前記支持体の出退を開始してから、前記支持体にて前記物品を支持する状態に至るまでの間に、前記測距センサの検出情報が許容量以上変化した場合には、前記支持体の出退を止めるべく、前記支持体の出退を制御するように構成されている請求項1又は2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記運転制御手段が、前記物品支持部に物品を受け渡すべく前記支持体の出退を完了させた後に、前記姿勢計測処理を実行するように構成され、かつ、その姿勢計測処理により求めた前記ズレ量が前記限界ズレ量以上である場合、又は、その姿勢計測処理により求めた前記傾きが前記限界傾き以上である場合に、作業後異常対策処理を実行するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記物品支持部が、物品収納棚における物品収納部と、その物品収納棚における物品搬出入用の物品載置部とを含むものであり、前記支持体が、前記移動体に対して昇降操作自在に構成された昇降台に設けられ、
前記測距センサが、前記昇降台と一体昇降自在に設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記物品が、物流用パレット、又は、物流用パレット及びこれに載置される物品本体からなり、
前記測距センサが、前記物品支持部に支持された前記物流パレットにおける前記出退方向で手前側に位置する隅部に対して検出作用する状態で、略同一平面内に一対設けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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