説明

物品搬送車及びそれを備えた物品保管設備

【課題】物品搬送車における走行台車の走行方向のコンパクト化を図ることが可能な物品搬送車を提供する。また、その物品搬送車を備える物品保管設備を提供する。
【解決手段】存否検出手段の夫々が、両端に備える第1部材S1と第2部材S2によって形成される直線状の検出光Lの非存在により物品の存在を検出する遮光式の光センサにて構成され、一対の存否検出手段の夫々における第1部材S1が、走行方向において、対応する存否検出手段が対象とする物品Bの存在範囲内に配設され、一対の存否検出手段の夫々における第2部材S2が、走行方向において、対応する存否検出手段が対象とする物品における他方の存否検出手段が対象とする物品Bが存在する側の端部よりも、対応する存否検出手段が対象とする物品Bが存在する側である位置に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行移動自在な走行台車に、物品を載置支持自在で且つその物品を移載対象箇所との間で移載自在な移載装置が、前記走行台車の走行方向に並ぶ状態で2つ備えられ、前記移載装置に載置される物品の存否を検出する存否検出手段が前記2つの移載装置の夫々について設けられ、前記存否検出手段の夫々が、物品に対して検出作用する直線状の検出光の非存在により物品の存在を検出する遮光式の光センサにて構成され、且つ、前記検出光の両端に配置されて前記検出光を形成する第1部材と第2部材とを備えて構成された物品搬送車、及び、その物品搬送車を備えた物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品搬送車は、走行経路に沿って走行移動自在な走行台車に、その走行方向に並ぶ状態で移載装置が2つ備えられ、その移載装置の夫々に物品が載置支持されるように構成されることによって、一の物品搬送車によって同時に2つの物品を搬送することができるように構成されている。
【0003】
物品搬送車においては、移載装置における物品の移載方向の端部から外方に物品が突出(はみ出し)する状態となると、物品搬送車が走行するときに物品が物品収納棚に接触したり、物品がバランスを崩して落下したりする虞がある。そこで、そのような物品のはみ出しを検出するために、物品の移載方向における移載装置の両外方側に、一対の投光部と受光部とを備えて、その投光部と受光部との間に形成される検出光の存在を検出することによって物品がはみ出しているか否かを検出する存否検出手段が設けられた物品搬送車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−246415号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1では、図7に示すように、昇降台300における走行台車の走行方向に、2つのスライドフォークからなる移載装置110が2つ並設されている。そして、夫々の移載装置110について存否検出手段を設けるべく、2つの移載装置110の間に支柱310を立設し、その支柱310の上端部に、2つの移載装置110の夫々に対応する物品投光部S100を設け、昇降台300における走行台車の走行方向の両端部で且つ物品の下端よりも下方である位置に、2つの移載装置110の夫々に対応する受光部S200を設ける構成となっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、2つの移載装置110の間に支柱310が存在し、その支柱に2つの移載装置110の夫々に対応する2つの投光部S100が設けられる構成であるため、2つの移載装置110間のピッチを、支柱310及び2つの移載装置110の夫々に対応する2つの投光部S100の設置に必要な幅以上にする必要があり、昇降台300およびそれが設けられる走行台車の走行方向の寸法が、支柱310及び2つの移載装置110の夫々に対応する2つの投光部S100を設置するスペースの分だけ大きいものとなっていた。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、物品搬送車における走行台車の走行方向のコンパクト化を図ることが可能な物品搬送車を提供することにある。また、本発明の更なる目的は、上記物品搬送車を備える物品保管設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る物品搬送車の第1特徴構成は、走行経路に沿って走行移動自在な走行台車に、物品を載置支持自在で且つその物品を移載対象箇所との間で移載自在な移載装置が、前記走行台車の走行方向に並ぶ状態で2つ備えられ、前記移載装置に載置される物品の存否を検出する存否検出手段が前記2つの移載装置の夫々について設けられ、前記存否検出手段の夫々が、物品に対して検出作用する直線状の検出光の非存在により物品の存在を検出する遮光式の光センサにて構成され、且つ、前記検出光の両端に配置されて前記検出光を形成する第1部材と第2部材とを備えて構成されたものであって、
前記一対の存否検出手段の夫々における前記第1部材が、前記走行台車の走行方向において、対応する前記存否検出手段が検出対象とする物品の存在範囲内に配設され、前記一対の存否検出手段の夫々における前記第2部材が、前記走行台車の走行方向において、対応する前記存否検出手段が検出対象とする物品における他方の前記存否検出手段が検出対象とする物品が存在する側の端部よりも、対応する前記存否検出手段が検出対象とする物品が存在する側である位置に配設されている点にある。
【0009】
すなわち、走行台車の走行方向に並ぶ状態で2つ備えられる移載装置の夫々について設けられた存否検出手段の夫々が、検出光の両端に配置されて検出光を形成する第1部材と第2部材とを備えて構成されている。
そして、一対の存否検出手段の夫々における第1部材は、走行台車の走行方向において、その第1部材を備える存否検出手段が検出対象とする物品の存在範囲内に配設されるものであるから、2つの移載装置の夫々に載置支持される物品の間の位置には配設されないことになる。
また、一対の存否検出手段の夫々における第2部材は、走行台車の走行方向において、その第2部材を備える存否検出手段が検出対象とする物品において、その第2部材を備える存否検出手段の他方の存否検出手段が検出対象とする物品が存在する側の端部よりも、その第2部材を備える存否検出手段が検出対象とする物品が存在する側である位置に配設されるものであるから、2つの移載装置の夫々に載置支持される物品の間の位置には配設されないことになる。
【0010】
このように、存否検出手段を構成する第1部材と第2部材の双方が、2つの移載装置の夫々に載置支持される物品の間の位置には配設されないことになり、2つの移載装置のピッチを小さくすることができる。
そして、そのように2つの移載装置のピッチを小さくすることができるので、物品搬送車において2つの移載装置を設置するために必要となる走行台車の走行方向における長さを小さくすることが可能となり、物品搬送車における走行台車の走行方向のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0011】
要するに、上記物品搬送車の第1特徴構成によれば、物品搬送車における走行台車の走行方向のコンパクト化を図ることができる。
【0012】
本発明に係る物品搬送車の第2特徴構成は、上記物品搬送車の第1特徴構成に加えて、前記第1部材と前記第2部材とが、物品の移載方向において同じ位置に対をなす状態で設けられ、且つ、物品の移載方向において前記移載装置上の物品の適正載置位置の両外方側及び物品の存在範囲内に複数対設けられている点にある。
【0013】
すなわち、移載装置に載置される物品の存否を検出する存否検出手段が、第1部材と第2部材とを、物品の移載方向において同じ位置に対をなす状態で設けられ、且つ、移載装置の移載方向において移載装置上の物品の適正載置位置における物品の存在範囲内に複数対設けられるものであるから、移載装置に物品が載置されているか否かを適切に検出することができるものとなる。
また、移載装置に載置される物品の存否を検出する存否検出手段が、第1部材と第2部材とを、物品の移載方向において同じ位置に対をなす状態で設けられ、且つ、移載装置の移載方向において移載装置上の物品の適正載置位置の両外方側に複数対設けられるものであるから、物品が移載装置に載置支持されているときにおいて、その載置位置が適正載置位置であるか否かを適切に検出することができる。
【0014】
したがって、物品が移載装置上の適正載置位置に載置されているか否か(移載装置の移載方向に物品が突出してないか否か)を適切に検出することができて、移載対象箇所との間で適切に物品の移載を行うことが可能な物品搬送車を提供することができる。
【0015】
要するに、上記物品搬送車の第2特徴構成によれば、上記物品搬送車の第1特徴構成による作用効果に加えて、移載対象箇所との間で適切に物品の移載を行うことが可能となる。
【0016】
本発明に係る物品保管設備の第1特徴構成は、上記物品搬送車の第1又は第2特徴構成の物品搬送車を備えたものであって、
前記物品を収納する物品収納部を上下及び左右に複数並設して構成された物品収納棚が設けられ、前記物品搬送車に、前記物品を棚上下方向に沿って搬送自在な昇降台が備えられ且つ前記昇降台に前記2つの移載装置が備えられ、前記走行経路が、前記物品収納棚の棚前面側に設けられ、前記移載対象箇所が前記物品収納部であり、前記走行台車の走行方向に隣接する前記物品収納部の間隔が、前記2つの移載装置に載置支持された物品の間隔と等しくなるように構成され、前記物品搬送車の走行作動と前記移載装置の移載作動とを制御する制御手段が設けられ、前記制御手段が、前記物品搬送車が同じ停止位置に停止している状態において、前記2つの移載装置の夫々により前記物品収納部との間で物品を各別に移載するように構成されている点にある。
【0017】
すなわち、物品収納部が上下及び左右に複数並設された物品収納棚における走行台車の走行方向(すなわち左右方向)に隣接する物品収納部の間隔と、2つの移載装置の間隔とが等しくなるように構成されているから、一方の移載装置において、物品を物品収納部との間で移載する移載作動と、他方の移載装置において、物品を、走行台車の走行方向に隣接する物品収納部との間で移載する移載作動とを行うにあたって、その間に物品搬送車を走行作動させることなく、物品搬送車が同じ停止位置に停止している状態で2つの移載装置に載置されている物品の夫々を物品収納部との間で移載することができることになる。
したがって、2つの移載装置の双方を使用して隣接する物品収納部との間で物品を移載する場合において、その移載に要する時間を短縮することができる。
【0018】
また、走行台車の走行方向に隣接する物品収納部の間隔が2つの移載装置の間隔と等しくなるように構成されるものであるから、棚左右方向に隣接する物品収納部の間隔を、2つの移載装置の間隔と等しい小さな間隔とすることができて、物品収納棚の収納効率を向上することができる。
【0019】
要するに、上記物品保管設備の第1特徴構成によれば、上記物品搬送車の第1及び第2特徴構成による作用効果に加えて、2つの移載装置の双方を使用して隣接する物品収納部との間で物品を移載する場合において、その移載に要する時間を短縮することができながらも、物品収納棚の物品収納効率を向上することができる。
【0020】
本発明に係る物品保管設備の第2特徴構成は、上記物品保管設備の第1特徴構成に加えて、前記物品搬送車に、その走行方向における前後両端部の夫々に立設されて上下方向に沿う昇降マストが設けられ、前記前後一対の昇降マストの上端部を接続する上部フレームが設けられ、前記昇降台に前記第1部材又は前記第2部材の少なくとも一方を支持する枠体が設けられ、前記枠体が、前記昇降台の平面視において前記2つの移載装置上の物品の適正載置位置の双方を包含する矩形領域の各隅角部に立設され且つその上端が前記移載装置に載置支持される物品の上端よりも上方である支柱と、前記走行台車の走行方向に並ぶ一対の支柱をその上端で接続する走行方向梁及び前記走行方向梁を前記移載装置の移載方向に接続する移載方向梁とを備えて構成され、前記移載方向梁が、その長手方向中央部において下方に凹入する凹入部を備えて構成されている点にある。
【0021】
すなわち、枠体が、昇降台に、その平面視において2つの移載装置上の物品の適正載置位置の双方を包含する矩形領域の各隅角部に立設され且つその上端が移載装置に載置支持される物品の上端よりも上方である支柱と、走行台車の走行方向に並ぶ一対の支柱をその上端で接続する走行方向梁、及び、走行方向梁を移載装置の移載方向に接続する移載方向梁とを備えて構成されるものであるから、存否検出手段の第1部材と第2部材とを適切な位置に支持することができる。
【0022】
さらに、移載方向梁が、その長手方向中央部において下方に凹入する凹入部を備えて構成されているものであるから、昇降台が棚上下方向において移動可能な最高位置を高くすることができる。つまり、棚上下方向に沿って搬送自在な昇降台を備える物品搬送車には、それに備える前後一対のマストの上端を接続し且つ上部レールと係合する上部フレームが設けられているため、移載方向梁が直線状に構成される場合には、その長手方向中央部にて、上部フレームと干渉することになり、棚上下方向における移動可能な最高位置を高くすることができないものとなるが、本発明によれば、移載方向梁がその長手方向中央部で下方に凹入しているので、移載方向梁と上部フレームとが干渉せずに移動可能な最高位置を高くすることができる。
したがって、物品収納棚において物品収納部を設置可能な最高位置を高くすることができて、多くの物品を収納することが可能な物品収納棚を得ることができる。
【0023】
要するに、上記物品保管設備の第2特徴構成によれば、上記物品保管設備の第1特徴構成による作用効果に加えて、存否検出手段の第1部材と第2部材とを適切な位置に支持することができながらも、多くの物品を収納することが可能な物品収納棚を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】自動倉庫の斜視図
【図2】第1実施形態における昇降体の正面図
【図3】第1実施形態における昇降体の斜視図
【図4】第2実施形態における昇降体の正面図
【図5】物品収納棚及び物品搬送車における物品の位置を示す平面図
【図6】制御ブロック図
【図7】従来構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の物品搬送車をスタッカークレーンに適用し、本発明の物品保管設備を自動倉庫に適用した場合について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動倉庫は、物品を出し入れする前面が互いに対向するように間隔を隔てて設置した二つの物品収納棚1と、それらの物品収納棚1の前面側に形成した走行経路としての作業通路2を自動走行するスタッカークレーン3とが設けられ、各物品収納棚1には多数の物品収納部4が棚上下方向および棚左右方向に複数並設されている。
尚、走行台車10の走行方向(以降、単に走行方向と称する)に隣接する物品収納部4の間隔は、後述する移載装置11の間隔と等しくなるように構成されている。
【0026】
作業通路2には、物品収納棚1の長手方向に沿って走行レール5が設置されている。作業通路2の一端側には、スタッカークレーン3の運転を管理する地上側コントローラ7が設けられ、さらに、走行レール5に沿う方向において地上側コントローラ7と物品収納棚1との間の位置に、棚左右方向に2つ並ぶ状態で且つ走行レール5の両側に一対の荷載置台8が設けられている。また、地上側コントローラ7は、スタッカークレーン3の運転を制御する制御手段Hと相互に通信可能に構成されている。
【0027】
スタッカークレーン3は、走行レール5上を転動する前後一対の走行車輪(図5における10T)を備えて、走行経路としての走行レール5に沿って走行移動自在な走行台車10と、2つの移載装置11を備えた昇降体12と、走行台車10に上下方向に沿って立設されて物品搬送用の昇降体12を昇降自在に案内支持する昇降案内マスト13とを備えて構成されている。また、昇降案内マスト13は、走行台車10の走行方向に前後一対設けられている。
前後一対の昇降案内マスト13の上端部には、それらを接続する状態で上部フレーム15が設けられ、その上部フレーム15に、走行レール5の上方に走行レール5と平行に設けられる上方レール6を挟み込む状態で係合する案内ローラ15Rが前後一対設けられている。尚、以降の説明においては、スタッカークレーン3の走行方向における地上側コントローラ7側(図1においてHPで示す側)をHP側と称する。また、そのHP側と対向する側(図1においてOPで示す側)をOP側と称する。
【0028】
図2に示すように、昇降体12は、台部30Dと一対のアップライト部30Uとを備えて、一対のアップライト部30Uの夫々に一端側が接続される昇降ワイヤ14にて吊り下げ支持される昇降台30と、その昇降台30に支持されて、物品Bを載置支持自在で且つその物品Bを移載対象箇所としての物品収納部4との間で移載自在なスライドフォーク式の移載装置11とを備えている。また、移載装置11は、図2に示すように、走行台車10の走行方向に並ぶ状態で2つ備えられ、移載用モータ18の駆動によって平面視で走行台車10の走行方向と直交する方向に出退すること、及び、昇降台30に対して上下に昇降することによって、物品Bを物品収納部4との間で移載可能に構成されている。また、移載装置11の夫々に対して、その移載装置11に載置支持される物品Bの走行台車10の走行方向への移動を制限するガイド体35が、走行台車10の走行方向に一対設けられている。このガイド体35は、移載方向視において物品Bの両側方に一対設けられ、その一対のガイド体35は、上方が外方に開く状態に構成されている。したがって、移載装置11が昇降台30上で物品Bを下降させたときに、物品Bがガイド体35に案内されて移載装置11上の適正な位置に載置されるものとなる。尚、本実施形態においては、移載装置11には一つのスライドフォークに対して備えられる一対のガイド体35を含めるものとする。
【0029】
一対の昇降ワイヤ14は、昇降案内マスト13の上端部に設けられるプーリ(図示なし)に巻き掛けられ、他端側が昇降用モータ17(図6参照)にて回転されるドラムに接続される状態で巻き掛けられている。したがって、昇降用モータ17の正逆の回転によって昇降ワイヤ14が巻き取り又は送り出しされて、一対の昇降ワイヤ14の夫々が長手方向に移動して昇降体12が昇降駆動されることになる。
つまり、物品搬送車に、物品Bを棚上下方向に沿って搬送自在な昇降台30が備えられ且つ昇降台30に2つの移載装置11が備えられている。
【0030】
また、2つの走行車輪10Tのうち一方の走行車輪10Tは、走行用モータ16の回転を伝えられる駆動車輪として構成され、他方の走行車輪10Tは従動車輪として構成されている。したがって、走行用モータ16の回転により、走行台車10が走行駆動されることになる。
【0031】
昇降台30には、図3に示すように、走行方向及びその走行方向と平面視で直交する移載装置11の移載方向(以降、単に移載方向と称する)に一対の支柱31が立設されている。
支柱31は、昇降台30の平面視において2つの移載装置11上の物品Bの適正載置位置の双方を包含する矩形領域の各隅角部に立設されている。また、支柱31の上端は、移載装置11に載置支持される物品Bの上端よりも上方となるように構成されている。
そして、走行方向に並ぶ一対の支柱31の上端には、それら支柱31の上端同士を接続する走行方向梁32が接続され、また、その走行方向梁32を移載装置11の移載方向に接続する移載方向梁としての端部側移載方向梁33と中央側移載方向梁34とが設けられている。
【0032】
端部側移載方向梁33は、移載方向に並ぶ支柱31の上端同士を接続する状態で前後一対設けられている。
また、中央側移載方向梁34は、走行方向梁32の長手方向(すなわち走行台車10の走行方向)における中央部分から、対向する走行方向梁32に向けて2本の長尺体が延設される状態で備えられ、且つ、それら2本の長尺体が移載方向中央部近傍で夫々走行方向に接続されている。
端部側移載方向梁33は、その長手方向(すなわち移載方向)の中央部において下方に凹入する凹入部33uを備え、中央側移載方向梁34は、その長手方向(すなわち移載方向)の中央部の走行方向に接続される部分より中央側において、下方に凹入する凹入部34uを備えて構成されている。
【0033】
走行方向梁32は、昇降台30に対して、物品Bが移載装置11により上昇移動されているときに物品Bの上端と干渉しない十分な高さを確保されている。したがって、昇降台30に対して走行方向梁32と同じ高さに備えられる端部側移載方向梁33及び中央側移載方向梁34は、物品Bの上端から移載装置11の昇降量だけ上方に離間した位置にて投光部S1を支持することになる。
そして、端部側移載方向梁33及び中央側移載方向梁34を、昇降台30に対して物品Bの上端と干渉しない十分な高さとしたことによって、端部側移載方向梁33及び中央側移載方向梁34と上部フレーム15が干渉しない昇降台30の限界昇降位置が十分な高さではない位置となるが、凹入部33u及び凹入部34uを設けることによって、端部側移載方向梁33及び中央側移載方向梁34と上部フレーム15が干渉しない限界昇降位置を十分な高さとすることができることになる。
【0034】
昇降台30には、移載装置11に載置される物品Bの存否を検出する存否検出手段としての存否検出センサS10が、2つの移載装置11の夫々について設けられている。
2つの移載装置11についての存否検出センサS10の夫々は、物品に対して検出作用する直線状の検出光Lの非存在により物品の存在を検出する遮光式の光センサにて構成されている。この遮光式の光センサは、検出光Lの両端に配置されて検出光Lを形成する第1部材としての投光部S1と第2部材としての受光部S2を備えて構成されている。
【0035】
2つの移載装置11についての一対の存否検出センサS10における第1部材としての投光部S1は、図2及び図3に示すように、走行方向梁32の長手方向中央部分において、移載方向に一対の走行方向梁32の中央部分を接続する中央側移載方向梁34に支持されている。したがって、この投光部S1は、走行方向において、その投光部S1を備える存否検出センサS10が検出対象とする物品Bの存在範囲内で且つ物品Bの上方に配設されている。
【0036】
2つの移載装置11についての一対の存否検出センサS10における第2部材としての受光部S2は、図2及び図3に示すように、移載方向に一対の支柱31を物品Bの下端と略同じ位置にて接続する中間梁36に支持されている。したがって、この受光部S2は、走行台車10の走行方向において、その受光部S2を備える存否検出センサS10が検出対象とする物品Bにおけるその受光部S2を備える存否検出センサS10の他方の存否検出センサS10が検出対象とする物品Bが存在する側の端部よりも、その受光部S2を備える存否検出センサS10が検出対象とする物品Bが存在する側である位置に配設されている。
【0037】
図3に示すように、投光部S1と受光部S2とは、物品Bの移載方向において同じ位置に対をなす状態で設けられている。そして、投光部S1と受光部S2とは、一の移載装置11に対して、物品Bの移載方向において、移載装置11上の物品Bの適正載置位置の両外方側に備える2対(図3におけるS11とS12)、及び、物品Bの存在範囲内であって物品Bの移載方向における両端部から夫々設定距離内方側に離間した位置に備える2対(図3におけるS21とS22)の計4対が設けられている。
【0038】
次に、図6に基づいて、制御手段Hの構成及び制御手段Hが実行する制御について説明する。
図6に示すように、制御手段Hは、走行台車10が地上側コントローラ7からどれだけ離れた位置にあるかを光学式センサ又はロータリエンコーダ等を用いて検出する走行距離センサS16、昇降台30が上下方向基準位置からどれだけ上方にあるかを、光学式センサ又はロータリエンコーダ等を用いて検出する昇降距離センサS17、移載装置11の出退距離を検出する移載距離センサS18、及び、存否検出センサS10と電気的に接続されて、それらからの検出情報を入力されるように構成されている。
【0039】
また、制御手段Hは、走行用モータ16、昇降用モータ17、及び、移載用モータ18の作動を制御するように構成されている。つまり、制御手段が走行台車10の走行作動と移載装置11の移載作動とを制御するように構成されている。
尚、制御手段Hは、マイクロコンピュータを備えて、読み込まれるプログラムによって各種の制御が実行されるように構成されている。
【0040】
そして、図5に示すように、制御手段は、走行台車10が同じ停止位置に停止している状態において、2つの移載装置11の夫々により物品収納部4との間で物品Bを各別に移載するように構成されている。また、図5においては、2つの物品B夫々について、移載装置11を異なるタイミングで駆動させて、2つの物品を異なるタイミングで移載する構成としているが、移載装置11を同時に駆動させて2つの物品を同時に移載するように構成してもよく、また、一方の移載装置11において物品Bを物品収納部4から掬い取る動作を行い、他方の移載装置11において物品Bを物品収納部4に卸す動作を行うように構成してもよい。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明するが、第2実施形態は第1実施形態において存否検出センサS10が備える第2部材としての受光部S2の取付け位置が異なるのみであるため、共通する部分についての説明は省略する。
【0042】
第2実施形態における受光部S2は、図4に示すように、投光部S1の直下方において昇降台30の台部30Dに支持されるように構成されている。すなわち、対応する存否検出センサS10が検出対象とする物品における他方の存否検出センサS10が検出対象とする物品Bが存在する側の端部よりも、対応する存否検出センサS10が検出対象とする物品Bが存在する側である位置に配設されている。
【0043】
尚、第2実施形態においても、第1実施形態と同じく、投光部S1と受光部S2とは、物品Bの移載方向において同じ位置に対をなす状態で設けられている。そして、投光部S1と受光部S2とは、一の移載装置11に対して、物品Bの移載方向において、移載装置11上の物品Bの適正載置位置の両外方側に備える2対、及び、物品Bの存在範囲内であって物品Bの移載方向における両端部から夫々設定距離内方側に離間した位置に備える2対の計4対が設けられている。
【0044】
以上第1及び第2実施形態に説明したように、2つの移載装置11に載置支持されている物品B夫々の間には存否検出手段は備えられないことになるため、それら2つの物品Bの間の距離を極力小さくすることが可能となり、物品搬送車における走行台車10の走行方向のコンパクト化を図ることが可能となる。
また、そのように小さい距離とされた2つの物品Bの間隔に合わせる状態で走行方向に隣接する物品収納部4の間隔を小さくすることができるため、物品収納棚の物品収納密度を向上することができる。
【0045】
〔別実施形態〕
次に、本発明の別実施形態を説明する。
(1) 上記第1及び第2実施形態では、第1部材を投光部S1とし、第2部材を受光部S2とするように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、たとえば、第1部材を受光部S2とし、第2部材を投光部S1としてもよい。また、第1部材として投光部S1と受光部S2とを設け、第2部材として、投光部S1から発せられた検出光を受光部S2に向けて反射する反射部を設ける構成としてもよい。
【0046】
(2) 上記第1及び第2実施形態では、投光部S1と受光部S2とを、一の移載装置11に対して、物品Bの移載方向において、移載装置11上の物品Bの適正載置位置の両外方側に備える2対、及び、物品Bの存在範囲内であって物品Bの移載方向における両端部から夫々設定距離内方側に離間した位置に備える2対の計4対設ける構成としたが、物品Bの存在範囲内に備える2対の投光部S1及び受光部S2については、1対或いは3対以上の任意対設けることが可能である。
また、上記物品Bの存在範囲内であって物品Bの移載方向における両端部から夫々設定距離内方側に離間した位置に備える投光部S1及び受光部S2については、その移載方向の位置を調整可能に構成してもよい。
【0047】
(3) 上記第1及び第2実施形態では、本発明の物品搬送車をスタッカークレーンに適用し、本発明の物品保管設備を自動倉庫に適用した場合を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、有軌道又は無起動の搬送台車、物品を搬送する物品搬送車とその物品を載置する物品載置箇所とを有する各種のシステムに適用することができる。
【0048】
(4) 上記第1及び第2実施形態では、移載装置11をスライドフォーク式に構成する例を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、互いに接近離間自在な一対のクランプ部と物品Bを載置支持自在なローラコンベヤとを備え、一対のクランプ部を移載対象箇所に対して出退自在に備えたものとしてもよく、また、物品の両側面部をベルトコンベヤにて挟み込むサイドベルト式に構成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 物品収納棚
2 走行経路
3 物品搬送車
4 物品収納部
10 走行台車
11 移載装置
13 マスト
15 上部フレーム
30 昇降台
31 支柱
32 走行方向梁
33、34 移載方向梁
33u、34u 凹入部
S10 存否検出手段
S1 第1部材
S2 第2部材
L 検出光
B 物品
F 枠体
H 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行移動自在な走行台車に、物品を載置支持自在で且つその物品を移載対象箇所との間で移載自在な移載装置が、前記走行台車の走行方向に並ぶ状態で2つ備えられ、
前記移載装置に載置される物品の存否を検出する存否検出手段が前記2つの移載装置の夫々について設けられ、
前記存否検出手段の夫々が、物品に対して検出作用する直線状の検出光の非存在により物品の存在を検出する遮光式の光センサにて構成され、且つ、前記検出光の両端に配置されて前記検出光を形成する第1部材と第2部材とを備えて構成された物品搬送車であって、
前記一対の存否検出手段の夫々における前記第1部材が、前記走行台車の走行方向において、対応する前記存否検出手段が検出対象とする物品の存在範囲内に配設され、
前記一対の存否検出手段の夫々における前記第2部材が、前記走行台車の走行方向において、対応する前記存否検出手段が検出対象とする物品における他方の前記存否検出手段が検出対象とする物品が存在する側の端部よりも、対応する前記存否検出手段が検出対象とする物品が存在する側である位置に配設されている物品搬送車。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材とが、物品の移載方向において同じ位置に対をなす状態で設けられ、且つ、物品の移載方向において前記移載装置上の物品の適正載置位置の両外方側及び物品の存在範囲内に複数対設けられている請求項1記載の物品搬送車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の物品搬送車を備えた物品保管設備であって、
前記物品を収納する物品収納部を上下及び左右に複数並設して構成された物品収納棚が設けられ、
前記物品搬送車に、前記物品を棚上下方向に沿って搬送自在な昇降台が備えられ且つ前記昇降台に前記2つの移載装置が備えられ、
前記走行経路が、前記物品収納棚の棚前面側に設けられ、
前記移載対象箇所が前記物品収納部であり、
前記走行台車の走行方向に隣接する前記物品収納部の間隔が、前記2つの移載装置に載置支持された物品の間隔と等しくなるように構成され、
前記物品搬送車の走行作動と前記移載装置の移載作動とを制御する制御手段が設けられ、
前記制御手段が、前記物品搬送車が同じ停止位置に停止している状態において、前記2つの移載装置の夫々により前記物品収納部との間で物品を各別に移載するように構成されている物品保管設備。
【請求項4】
前記物品搬送車に、その走行方向における前後両端部の夫々に立設されて上下方向に沿う昇降マストが設けられ、
前記前後一対の昇降マストの上端部を接続する上部フレームが設けられ、
前記昇降台に前記第1部材又は前記第2部材の少なくとも一方を支持する枠体が設けられ、
前記枠体が、前記昇降台の平面視において前記2つの移載装置上の物品の適正載置位置の双方を包含する矩形領域の各隅角部に立設され且つその上端が前記移載装置に載置支持される物品の上端よりも上方である支柱と、前記走行台車の走行方向に並ぶ一対の支柱をその上端で接続する走行方向梁及び前記走行方向梁を前記移載装置の移載方向に接続する移載方向梁とを備えて構成され、
前記移載方向梁が、その長手方向中央部において下方に凹入する凹入部を備えて構成されている請求項3記載の物品保管設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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