説明

物品洗浄システム

【解決手段】 パレット3の水切りを行う水切り手段39は、コンテナ2を吊り下げて保持する保持機構41と、パレット3を支持した両搬送コンベヤC7,C8を退没位置まで下降させる昇降機構42と、パレット3を支持して高速回転させる遠心脱水機構43とを備えている。
保持機構41によってコンテナ2を保持し、その後、昇降機構42によって両搬送コンベヤC7、C8を下降させると、コンテナ2からパレット3が離隔するとともに十字フレーム47上に支持される。次に、パレット3を支持した十字フレーム47を高速回転させることで、パレット3の水切りが行われる。
【効果】 水切り後の乾燥工程においてパレット3とコンテナ2を容易に乾燥させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品洗浄システムに関し、より詳しくは、例えばパレットに載置したコンテナ又はパレット自体を洗浄する場合に好適な物品洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば食品製造会社においては、食品の製造過程において1トン程度の食品を収容するコンテナが使用されており、該コンテナ内に収容した食品を小分けしてから最終的に小型容器に充填するようにしている。こうした食品製造過程で用いられるコンテナは、製品となる食品の種類が変更されると、その都度内容物を入れ換えて使用され、そうした内容物の入れ換えに伴ってコンテナの内外を洗浄する必要がある。そのために、従来から上述したようなコンテナを洗浄するための洗浄装置が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−268881号公報
【特許文献2】特開平9−299897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したコンテナを搬送する場合には、該コンテナをフォークリフトで持ち上げて搬入出しているが、そのようにフォークリフトによってコンテナを繰り返し搬入・搬出することに伴って、コンテナにおける枠状の底部に歪みが生じてくる。このように底部に歪みが生じたコンテナを洗浄装置に搬入すると、搬送工程においてコンテナが転倒するといった搬送トラブルのおそれがある。そこで、最近では、コンテナをパレットに載置した状態において洗浄装置へ搬入してパレット上のコンテナを洗浄した後に脱水と乾燥処理を施すようにしている(図2参照)。
そして、このようにコンテナをパレットに載置した状態で洗浄する場合には、次のような問題が生じている。すなわち、コンテナ洗浄装置においては、コンテナに対して先ず洗浄液を噴射してコンテナの内外を洗浄し、次にコンテナに圧縮空気を吹き付けて脱水処理を行い、最後にコンテナに対して熱風を吹き付けて乾燥処理を施すようになっている。この場合、パレット上に載置されたコンテナに洗浄液を噴射する際にパレットの内部にも洗浄液が溜まることになる。パレット内には補強用の多数のリブがあるので、パレット内に多量の洗浄液が残留することになる。すると、洗浄工程の後の水切り工程においてコンテナの脱水処理はできたとしても、コンテナを支持しているパレット内の洗浄液の脱水処理を完全に行うことができない。そのため、パレット内に洗浄液が多量に残留した状態で、該パレットとそれに支持されたコンテナを次の乾燥工程において熱風を吹き付けて乾燥させることになる。その際に、パレット内の残留水分が多いためにコンテナを完全に乾燥させるために時間が掛かり、かつ、多量の熱エネルギーが必要になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した事情に鑑み、本発明は、コンテナが載置された状態のパレットを搬送する搬送手段と、上記搬送手段の洗浄ゾーンに設けられ、コンテナ及び/又はパレットを洗浄する洗浄手段と、上記洗浄ゾーンの下流の水切りゾーンに設けられて、パレットの水切りを行う水切り手段とを備える物品洗浄システムであって、
上記水切り手段は、パレットからコンテナを離隔させてパレットよりも上方側にコンテナを保持する保持機構と、離隔されたパレットを支持するとともに該パレットの水切りを行う脱水機構とを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
上述した構成によれば、上記水切り手段によってパレットを水切りすることができる。そのため、その後の乾燥工程においてコンテナを乾燥させる際にはパレット内に残留している水分が少ないので、従来と比較してコンテナを乾燥させるために要する時間を短縮することができ、ひいては乾燥工程における熱エネルギーの消費量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施例を示す平面図。
【図2】図1の物品洗浄システムの処理対象となるコンテナとパレットの斜視図。
【図3】図1の要部の正面図。
【図4】図1のIV―IV線に沿う要部の断面図。
【図5】図1の要部の拡大図。
【図6】図5の正面図。
【図7】図6とは異なる状態を示す図5の正面図。
【図8】図7のVIII―VIII線に沿う断面図。
【図9】図1の要部の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、1はコンテナ2を洗浄するための物品洗浄システムである。この物品洗浄システム1は、コンテナ2を載せたパレット3を複数の搬送コンベヤC1〜C12によって順次間欠的に下流側へ搬送するようになっている。そして、物品洗浄システム1は、パレット3の搬送過程における洗浄ゾーンZ1においてパレット3上のコンテナ2の内外を洗浄し、次に水切りゾーンZ2においてコンテナ2と離隔させた状態でパレット3の水切りを行い、その後に乾燥ゾーンZ3においてコンテナ2とパレット3を熱風で乾燥させるようになっている。
【0009】
ここで、先ず洗浄対象となるコンテナ2とそれを載置するためのパレット3について説明する。図2に示すように、物品洗浄システム1の処理対象となるコンテナ2は、直方体の枠状をしたフレーム2Aと、該フレーム2Aの上部から下部の内部にわたって一体に設けられた箱型の収容部2Bとを備えている。フレーム2Aの底部の四辺には、フォークリフト4のフォークを挿入するための各一対の差込穴2C、2Cが形成されている。フォークリフト4のフォークを、フレーム2Aの底部のいずれか一対の差込穴2C,2Cに差し込むことにより、フォークリフト4によってコンテナ2を任意の4方向から支持して移送できるようになっている。また、収容部2Bの上面には開口部2Dが形成されるとともに、該開口部2Dを開閉するための開閉蓋2Eが設けられている。また、収容部2Bの底部中央には、収容部2B内から連通するパイプ2Fが取り付けられており、該パイプ2Fの途中には図示しない開閉弁が設けられている。開閉蓋2Eを開放して開口部2Dから収容部2B内に液状、粉状またはクリーム状の食品を1トン程度収容できるようになっている。収容部2B内に収容された食品は、作業者がパイプ2Fに設けられた開閉弁を開放することで小分けして取り出すことができるようになっている。なお、コンテナ2を構成するフレーム2Aと収容部2Bはステンレス製である。また、開口部2Dの縁部には図示しないゴム製のパッキンが装着されている。
このコンテナ2は食品製造会社における食品製造過程で使用されるが、コンテナ2の収容部2B内に収容する食品の種類を変えるために、一旦、収容部2Bを空にした状態においてコンテナ2の内外の洗浄が必要になる。また、空のままで倉庫内に待機させていたコンテナ2は、食品製造工程で使用する前に洗浄が必要になる。このような場合に、物品洗浄システム1によるコンテナ2の洗浄が行なわれるようになっている。
他方、従来周知のとおり、パレット3は合成樹脂製の偏平な正方形状を成しており、その周囲となる四辺にはフォークリフトのフォークを差し込むための各一対の差込穴3A、3Aが形成されている。また、パレット3の内部には、補強用の多数のリブが形成されている。
【0010】
本実施例の物品洗浄システム1は、コンテナ2を載置した状態のパレット3を搬送しながらコンテナ2の洗浄と乾燥処理をする一方、乾燥処理前の水切り工程においては、コンテナ2とパレット3とを上下に離隔させた状態において該パレット3を回転させて遠心力によって水切りを行うことが特徴である。
図1において、物品洗浄システム1は、建物5の外部から屋内にわたって一直線上に配置された複数の搬送コンベヤC1〜C12を備えている。これら各コンベヤC1〜C12は全てチェーンコンベヤからなり、かつ、それらを間欠走行させるための駆動源となる各モータは制御手段6により作動を制御されるようになっている。
最も上流側となる供給位置Aの搬送コンベヤC1が供給コンベヤとなっており、この搬送コンベヤC1とその隣接位置の搬送コンベヤC2は屋外に配置されている。その他の搬送コンベヤC3〜C12は、建物5の屋内の各ゾーンZ1〜Z3から最下流側となる排出位置Bにわたって一直線上に配置されている。なお、複数の搬送コンベヤC1〜C12の配置は、一直線上に限らず、設置場所や状況に応じて適宜配置できるものである。
【0011】
ここで、各ゾーンZ1〜Z3の構成の説明をする前に、建物5の外部の供給位置Aと屋内の最下流側となる排出位置Bにおける構成と処理工程について説明する。すなわち、供給位置Aの搬送コンベヤC1の一側にはパレットアンスタッカ7が配置されており、排出位置Bの搬送コンベヤC12の一側にはパレットスタッカ8が配置されている。
パレットアンスタッカ7には複数段に段積みされたパレット3がフォークリフト4によって載置されるようになっている。このパレットアンスタッカ7は、段積み状態で供給された複数のパレット3を最下段のものから順次1枚づつ取り出して、供給位置Aの搬送コンベヤC1上に供給するようになっている。
このように供給位置Aの搬送コンベヤC1の停止状態において、上記パレットアンスタッカ7によって搬送コンベヤC1上に1枚のパレット3が供給されると、その後にフォークリフト4によって洗浄対象となるコンテナ2が搬送コンベヤC1上のパレット3上に載置されるようになっている。
この後、制御手段6により搬送コンベヤC1が走行されるので、パレット3とそれに載置されたコンテナ2は、停止状態で待機している隣接下流位置の搬送コンベヤC2上に搬送される。すると、制御手段6は、停止状態の搬送コンベヤC2用の昇降機構C2Aにより搬送コンベヤC2を所要量だけ上昇させた後に、搬送コンベヤC2を走行させる。これにより、搬送コンベヤC2上から隣接下流側の搬送コンベヤC3上にパレット3およびコンテナ2が搬入されるようになっている。
つまり、建物5内の最上流位置の搬送コンベヤC3上にパレット3とそれに載置されたコンテナ2が供給されたことになる。この後、後に詳述するように、搬送コンベヤC3〜C11によってパレット3とコンテナ2が順次下流側へ間欠搬送されるようになっており、それに伴って洗浄ゾーンZ1においてコンテナ2の内外の洗浄処理が行われ、次に水切りゾーンZ2においてパレット3の水切りが行われ、最後に乾燥ゾーンZ3においてパレット3およびコンテナ2の乾燥処理が行われるようになっている。
このようにして、搬送コンベヤC3〜C11によって各ゾーンZ1〜Z3内を順次間欠的に搬送されつつ洗浄処理から乾燥処理まで施されたコンテナ2とそれを載置したパレット3は、最後に排出位置Bの搬送コンベヤC12上に排出されるようになっている。
【0012】
このように洗浄処理と乾燥処理後のコンテナ2とそれを載せたパレット3が排出位置Bの排出コンベヤC12上に排出されると、パレット3上の乾燥済みのコンテナ2はフォークリフト4によって排出位置Bのパレット3上から図示しない次の工程へ移送されるようになっている。これにより、排出位置Bのパレット3は空になるので、制御手段6によってパレットストッカ8が作動されて、排出位置Bの空のパレット3はパレットストッカ8上の積層位置まで移送される。
このように、乾燥処理後のコンテナ2とそれを載せたパレット3が排出位置Bの搬送コンベヤC12上に搬送されると、上述したように、先ずコンテナ2はフォークリフト4によって次工程へ搬送される一方、空のパレット3は排出位置Bの搬送コンベヤC12上からパレットストッカ8上の積層位置まで移送されて、そこに段積みされるようになっている。そして、パレットストッカ8の積層位置に所定数のパレット3が積層された時点で、該積層状態の複数のパレット3はフォークリフト4によって図示しない集積位置へ排出されるようになっている。
【0013】
次に、物品洗浄システム1の各ゾーンZ1〜Z3の構成と処理工程について説明する。
先ず、コンテナ2の内外を洗浄する洗浄ゾーンZ1について説明する。上記搬送コンベヤC3の下流側となる搬送コンベヤC4〜C6によるコンテナ2の搬送過程が洗浄ゾーンZ1となっている。搬送コンベヤC4〜C6の駆動源となるモータは、制御手段6によって作動を制御されるようになっており、制御手段6は所要時に各搬送コンベヤC4〜C6を間欠的に走行させるようになっている。
図3に拡大して示すように、搬送コンベヤC4の上下および両側部は、トンネル形のケーシング11によって囲繞されており、さらに、搬送コンベヤC4の搬送方向の両端部に近いケーシング11の入口と出口には、それぞれ昇降可能なシャッタ11A,11Aが設けられている。これにより、ケーシング11の内部空間が、コンテナ2およびパレット3の外面を洗浄するための外面洗浄室12となっている。
上記シャッタ11A、11Aを昇降させるための図示しないモータは制御手段6によって作動を制御されるようになっている。制御手段6は、搬送コンベヤC3から搬送コンベヤC4上(外面洗浄室12)にパレット3とコンテナ2が搬入される際と、搬送コンベヤC4上(外面洗浄室12)から隣の搬送コンベヤC5へパレット3とコンテナ2が搬出される際には、事前に両シャッタ11A,11Aを上昇端へ上昇させるようになっている。これにより、外面洗浄室12の入口と出口が開放されるので、外面洗浄室12内へのパレット3とコンテナ2の搬出入ができるようになっている。
他方、外面洗浄室12内の搬送コンベヤC4上にパレット3およびコンテナ2が搬入されたら、制御手段6は、図示しないモータを介して両シャッタ11A,11Aを下降端まで下降させるので、外面洗浄室12の入口と出口がシャッタ11A、11Aによってを閉鎖されるようになっている。
このように外面洗浄室12内にパレット3とコンテナ2が搬入されて、外面洗浄室12が両シャッタ11A,11Aによって閉鎖された状態において、コンテナ2およびパレット3に向けて外面洗浄手段13から洗浄液が噴射されることで、コンテナ2とパレット3の外面が洗浄されるようになっている。
【0014】
図3に示すように、外面洗浄手段13は、コンテナ2およびパレット3の側面に向けて洗浄を噴射する側面洗浄ノズル14と、コンテナ2およびパレット3の底面に向けて洗浄を噴射する底面洗浄ノズル15と、コンテナ2およびパレット3の上面に向けて洗浄液を噴射する上面洗浄ノズル16と、上記側面洗浄ノズル14を昇降させる昇降機構17と、所要時に洗浄液タンク21から導管を介して各ノズル14〜16に向けて洗浄液を給送するポンプ22とを備えている。
ポンプ22は制御手段6によって作動を制御されるようになっており、コンテナ2の洗浄時に制御手段6によってポンプ22が作動されると、上記各洗浄ノズル14〜16から一斉に洗浄液がコンテナ2に向けて噴射されるようになっている。
側面洗浄ノズル14はコンテナ2とパレット3を囲繞する正方形の枠状になっており、側面洗浄ノズル14は昇降機構17によってコンテナ2よりも上方の上昇端と搬送コンベヤC4の載置面に近接する下降端とに昇降されるようになっている。昇降機構17は、上下一対のスプロケット23,23と、それらに掛け渡されるとともに側面洗浄ノズル14に連結された前後1組の無端状のチェーン24,24と、下方側のスプロケット23に連動させた図示しないモータと備えている。この昇降機構17の図示しないモータは制御手段6によって作動を制御されるようになっている。
【0015】
搬送コンベヤC3から外面洗浄室12内へのパレット3とコンテナ2の搬入、搬出時においては、制御手段6は事前に上記昇降機構17のモータを作動させて、側面洗浄ノズル14をケーシング11の天井に近い上昇端位置に位置させるようになっている。そのため、パレット3とそれに載置されたコンテナ2は、側面洗浄ノズル14に干渉することなく外面洗浄室12内の搬送コンベヤC4上に搬入され、又、そこから隣接下流位置の搬送コンベヤC5へ搬出されるようになっている。
他方、搬送コンベヤC4上にパレット3とコンテナ2が搬入され、かつ、シャッタ11A、11Aによって外面洗浄室12が閉鎖された洗浄時には、制御手段6によってポンプ22が作動されて各洗浄ノズル14〜16から洗浄液が噴射される。
その際に、制御手段6は昇降機構17を介して側面洗浄ノズル14を上昇端位置から下降端位置まで下降させ、その後さらに該下降端位置から上昇端位置まで上昇させるようになっている。このように洗浄液を噴射している側面洗浄ノズル14が昇降されることにより、側面洗浄ノズル14に囲繞された状態のコンテナ2とパレット3の側面の全域にわたって洗浄液が噴射されるようになっている。
【0016】
他方、ケーシング11内の天井の中央部には、上面洗浄ノズル16の一端が回転可能に接続されている。これにより、上面洗浄ノズル16全体が水平に支持されており、下方側のコンテナ2とパレット3に向けて洗浄液を噴射できるようになっている。そして、制御手段6がポンプ22を作動させる洗浄時においては、上面洗浄ノズル16からもコンテナ2およびパレット3に向けて洗浄液が噴射されるが、その際に制御手段6はモータ19を介して上面洗浄ノズル16を、その一端を回転中心として回転させるようになっている。これにより、上面洗浄ノズル16から噴射された洗浄液は、コンテナ2およびパレット3の上面全域に噴射されるようになっている。
さらに、制御手段6がポンプ22を作動させる洗浄時においては、底面洗浄ノズル15からも上方側のパレット3の底面に向けて洗浄液が噴射されるようになっている。
このように、外面洗浄室12内の搬送コンベヤC4上にパレット3とコンテナ2が搬入されて外面洗浄室12がシャッタ11A、11Aによって閉鎖された状態において、制御手段6によりポンプ22が作動されると各洗浄ノズル14〜16から一斉に洗浄液が噴射され、かつ昇降機構17によって側面洗浄ノズル14が昇降される。これにより、パレット3およびコンテナ2の外面が洗浄液によって洗浄されるようになっている。なお、各洗浄ノズル14〜16を一斉に噴射せずに、順に噴射するようにしたり噴射を切り換えるようにしてもよい。
ケーシング11の天井には排気ブロワ18が取り付けられており、上述した各ノズル14〜16から洗浄液を噴射する洗浄時においては、制御手段6によって排気ブロワ18が作動される。そのように、排気ブロワ18を作動させることで、外面洗浄室12内に充満した湿気を外部へ排出するようになっている。
【0017】
洗浄時には、制御手段6は予め定めた所定時間だけポンプ22を作動させてから停止させるので、この後、各洗浄ノズル14〜16からの洗浄液の噴射が停止されて、外面洗浄室12内でのパレット3とコンテナ2の外面の洗浄処理が終了する。また、制御手段6は昇降機構17を介して側面洗浄ノズル14をコンテナ2よりも上方となる上昇端位置に停止させる。
この後、制御手段6は両シャッタ11A、11Aを上昇させるので外面洗浄室12の入口と出口が開放され、その後、制御手段6は搬送コンベヤC4を走行させる。それにより、外面洗浄が終わったパレット3とコンテナ2は、外面洗浄室12から隣接下流位置の搬送コンベヤC5へ搬送されるようになっている。
【0018】
上記外面洗浄室12においては、開閉蓋2Eを閉じた状態のコンテナ2の外面を洗浄するが、開閉蓋2Eを閉鎖したままではコンテナ2の収容部2B内を洗浄できない。そこで、本実施例では、搬送コンベヤC4から隣の搬送コンベヤC5上にパレット3およびコンテナ2が搬入されると、該コンテナ2に対して現場の作業者が所要の処理を施す。
つまり、搬送コンベヤC5の停止状態において、作業者は搬送コンベヤC5上のコンテナ2の開閉蓋2Eを最大限に開放させたままにするとともに、開口部2Dに装着されていたゴム製のパッキンを取り外す(図1参照)。また、作業者は、コンテナ2のパイプ2Fの開閉弁を開放させた状態とする。ここでゴム製のパッキンを取り外すのは、この後の熱風による乾燥処理の際にパッキンが損傷するのを防止するためであり、パッキンは別に洗浄を行う。また、パイプ2Fの開閉弁を開放状態とするのは、この後の内面洗浄処理の際に内部残留物を排出するとともに洗浄液を収容部2Bからパイプ2Fを介して外部へ流下させるためである。
このように、搬送コンベヤC5上に搬入されたパレット3上のコンテナ2に対して、作業者によって開閉蓋2Eの開放等の処理が施されるようになっている。こうして、搬送コンベヤC5上においてパレット3上のコンテナ2に所要の処理が施されると、制御手段5によって搬送コンベヤ5が走行されるので、パレット3と開閉蓋2Eが開いた状態のコンテナ2は、隣接下流位置の搬送コンベヤC6上に搬入されるようになっている。
【0019】
次に、図4により、コンテナ2の内部を洗浄する内面洗浄手段25について説明する。搬送コンベヤC6の位置にコンテナ2の収容部2Bの内面洗浄を行う内面洗浄手段25が設けられている。図4に示すように、内面洗浄手段25は、搬送コンベヤC6の上方に昇降可能に配置された三次元洗浄ノズル26と、この三次元洗浄ノズル26を昇降させる昇降機構27と、三次元洗浄ノズル26に導管を介して洗浄液を給送するポンプ28とを備えている。
搬送コンベヤC6の一側には支柱31が立てられており、この支柱31に鉤形の昇降部材32が昇降可能に取り付けられている。この昇降部材32の先端に三次元洗浄ノズル26が鉛直下方に向けた状態で回転自在に取り付けられている。
【0020】
支柱31の側面には上下一対の図示しないスプロケットが取り付けられており、それら一対のスプロケットにわたって無端状のチェーン34が掛け渡されている。このチェーン34の途中に上記昇降部材32の基部が連結されている。チェーン34の途中は、サーボモータ35に取り付けたスプロケットにも噛合されている。サーボモータ35は制御手段6によって作動を制御されるようになっており、制御手段6がサーボモータ35を所要量だけ正逆に回転させることにより、チェーン34と昇降部材32を介して三次元洗浄ノズル26は図6に実線で示す下降端位置と想像線で示す上昇端位置とに昇降されるようになっている。下降端位置に位置すると、三次元洗浄ノズル26はコンテナ2内に挿入されるようになっており、他方、上方端位置まで上昇されると、三次元洗浄ノズル26はコンテナ2よりも上方に支持されるようになっている。
本実施例においては、パレット3とそれに載置されたコンテナ2が搬送コンベヤC6上に搬入される際、および搬送コンベヤ6から隣接下流位置の搬送コンベヤC7へパレット3とコンテナ2を搬出する際には、制御手段6は、三次元洗浄ノズル26を上昇端位置に位置させるようになっている。そのため、三次元洗浄ノズル26に干渉することなく、搬送コンベヤC6へのパレット3とコンテナ2の搬出入を行うことができるようになっている。
【0021】
他方、搬送コンベヤC6上にパレット3およびそれに載置されたコンテナ2が搬入された際には、コンテナ2の開放状態の開口部2Dは三次元洗浄ノズル26の下方側に位置するようになっている。その状態で、制御手段6がサーボモータ35を所要方向に回転させると、昇降部材32を介して三次元洗浄ノズル26が下降端まで下降されるので、開放状態の開口部2Dを介してコンテナ2の収容部2B内に三次元洗浄ノズル26が挿入されるようになっている。
昇降部材32の先端にはモータ33が取り付けられており、このモータ33は連動機構を介して三次元洗浄ノズル26と連動している。図4に示すように、三次元洗浄ノズル26がコンテナ2の収容部2B内に挿入された状態において制御手段6によりポンプ28が作動されると、三次元洗浄ノズル26から洗浄液が収容部2Bの内面に噴射されるようになっている。その際には制御手段6はモータ33を回転させるので、三次元洗浄ノズル26が鉛直方向の軸心を回転中心として回転されるとともに三次元洗浄ノズル26による洗浄液の噴射方向が下方から上方にわたって繰り返し変更される。そのため、コンテナ2の収容部2Bの内面全域に対して三次元洗浄ノズル26から洗浄液が噴射されて、収容部2Bの洗浄が行われるようになっている。なお、収容部2Bに噴射された後の洗浄液は、パイプ2Fと開放状態の開閉弁を介して収容部2Bの底部から外部へ排出される。
【0022】
この後、三次元洗浄ノズル26からの洗浄液の噴射を開始してから所定時間が経過すると、制御手段6は、ポンプ28の作動を停止させて三次元洗浄ノズル26からの洗浄液の噴射を停止させるとともにモータ33の回転も停止させる。これにより、内面洗浄手段25によるコンテナ2(収容部2B)の内面の洗浄処理が終了する。
すると、この後、制御手段6は、サーボモータ35を所要方向に回転させて昇降部材32を介して三次元洗浄ノズル26を上昇端位置まで上昇させる(図4の想像線参照)。これにより、三次元洗浄ノズル26はコンテナ2の収容部2Bから抜き出されて、コンテナ2と干渉しない上方位置に支持される。
以上のようにして、洗浄ゾーンZ1においては、先ず外面洗浄手段13によりパレット3とコンテナ2の外面の洗浄が行われ、次に内面洗浄手段25によってコンテナ2の内面洗浄が行われるようになっている。
この後、制御手段6が搬送コンベヤC6を走行させるので、搬送コンベヤC6上のパレット3とそれに載置された洗浄処理後のコンテナ2は、隣接下流位置の水切りゾーンZ2の搬送コンベヤC7、C8上に搬入されるようになっている。
なお、上記洗浄ゾーンZ1における洗浄液としては専用の洗剤を用いているが、洗浄液としては水を用いてもよい。
【0023】
次に水切りゾーンZ2に設けられた水切り手段39の構成と処理工程について図1および図5〜図8によって説明する。水切りゾーンZ2には、チェーンコンベヤからなる搬送コンベヤC7,C8が隣接して配置されており、両搬送コンベヤC7,C8の上下と両者の間とにわたって水切り手段39が設けられている。
水切り手段39は、水切りゾーンZ2の入口となる搬送コンベヤC7に配置されてコンテナ2の水切りを行うエアブロア機構40と、パレット3上に載置されたコンテナ2を保持して一時的に吊り下げる保持機構41と、パレット3を支持した状態の搬送コンベヤC7、C8を上昇端となる搬出入位置と下降端となる退没位置とに昇降させる昇降機構42と、コンテナ2と離隔したパレット3を支持し、かつ回転させることで水切りする遠心脱水機構43とを備えている。
【0024】
2本の搬送コンベヤC7,C8は同一の支持枠に少し離隔させて取り付けられおり、両搬送コンベヤC7、C8が取り付けられた支持枠は、枠状フレーム44の左右の柱に水平状態で昇降自在に取り付けられている。両搬送コンベヤC7、C8は所要時に制御手段6によって独立して走行されるようになっている。両搬送コンベヤC7、C8用の支持枠は昇降機構42によって図6に示した上昇端位置と図7に示した下降端位置とに昇降されるようになっており、それによって、搬送コンベヤC7、C8は上昇端位置である搬出入位置と下降端位置である退没位置とに同期して昇降されるようになっている。昇降機構42は、枠状フレームの柱の側面に配置された図示しない上下一対のスプロケットと、それらに掛け渡したチェーンおよび該チェーンにスプロケットを介して連動させたモータとから構成されている。該昇降機構42のモータを制御手段6が所要時に正逆に回転させることで、両搬送コンベヤC7、C8は図6に示す搬出入位置と図7に示す退没位置に昇降されるようになっている。
【0025】
両搬送コンベヤC7、C8が上方側の搬出入位置にある状態で、隣接上流側の搬送コンベヤC6から搬送コンベヤC7にパレット3およびそれに載置されたコンテナ2が搬入されるようになっている(図5、図6参照)。その際には、保持機構41の吊り下げ部材45A,45Bは図8に想像線で示す退避位置にあり、また制御手段6により搬送コンベヤC7が走行されているので、搬送コンベヤC7に搬入されたパレット3とコンテナ2は搬送コンベヤC7上を搬送される。
また、このパレット3の搬入開始時には制御手段6により所定時間だけエアブロア機構40が作動されるので、搬入過程のパレット3上のコンテナ2に向けてエアブロア機構40から高速の空気が吹き付けられる。それにより、コンテナ2の水切りが行われるようになっている。
また、搬送コンベヤC7へのパレット3とコンテナ2の搬入の際に、図示しない検出センサによって搬送コンベヤC7上のパレット3が検出されて、その検出センサによる検出信号は制御手段6に伝達される。すると、制御手段6は搬送コンベヤC7を停止させるようになっている。これにより、パレット3およびそれに載置されたコンテナ2は、停止状態の両搬送コンベヤC7、C8上に跨った状態で停止される。したがって、図5〜図7に示すように、水切りゾーンZ2の中央となる水切り位置Cに、すなわち遠心脱水機構43の上方にパレット3とコンテナ2が停止されるようになっている。
【0026】
ここで、水切り位置Cの上方にコンテナ2を吊り下げて保持する保持機構41について説明すると、この保持機構41は、前後2本で左右一対の吊り下げ部材45A,45Bを備えている。これらの吊り下げ部材45A,45Bは下部が直角に折り曲げられたL字状に形成されている。枠状フレーム44の上部における左右両側には、搬送方向に沿って一対の支持軸46A、46Bが水平な状態で回転自在に取り付けられており、一側の吊り下げ部材45A、45Aの上端は一側の支持軸46Aに連結されており、他側の吊り下げ部材45B,45Bの上端は他側の支持軸46Bに連結されている(図8参照)。
これにより、左右両側の吊り下げ部材45A,45Bは、その下端となる係合部45A’,45B’が相互に対向した状態となり、かつ、支持軸46A,46Bを回転中心として搬送方向と直交方向に揺動できるようになっている。
両支持軸46A,46Bは図示しないエアシリンダに連動させてあり、このエアシリンダを介して制御手段6は上記支持軸46A,46Bを所定角度だけ同期して逆方向に回転させる。
【0027】
これにより、左右一対の吊り下げ部材45A,45Bが図8に実線で示す係合位置と想像線で示す退避位置とに交互に移動されるようになっている。
制御手段6は、搬送コンベヤC7へのパレット3の搬入時および水切り処理後の搬送コンベヤC7,C8からのパレット3の搬出時においては、事前に図示しないエアシリンダを介して両吊り下げ部材45A,45Bを退避位置に位置させるようになっている。他方、図6に示すように、パレット3が搬入されて水切り位置C上となる搬送コンベヤC7、C8に跨って停止されると、制御手段6は、エアシリンダを介して両吊り下げ部材45A,45Bを係合位置まで揺動させる。これにより、両吊り下げ部材45A,45Bの係合部45A’,45B’が、パレット3上のコンテナ2における左右両側の差込穴2Cに同期して挿入されて係合するようになっている。
これにより、両吊り下げ部材45A,45Bによって水切り位置Cのコンテナ2が保持され、その後、制御手段6は、昇降機構42を介して両搬送コンベヤC7、C8を下降端となる退没位置まで下降させる(図7参照)。これに伴って、両吊り下げ部材45A,45Bによって吊り下げられたコンテナ2と、下降される両搬送コンベヤC7、C8上のパレット3とが上下に離隔し、その後、パレット3は遠心脱水機構43の十字フレーム47上に支持されるようになっている。
【0028】
次に遠心脱水機構43について説明すると、遠心脱水機構43は、水切り位置Cに設けられて、上記パレット3を下方側から水平に支持する十字フレーム47と、この十字フレーム47を高速回転させるためのモータ48と、十字フレーム47が回転される際にパレット3が浮上するのを防止する浮上防止機構51とを備えている。
十字フレーム47は、相互に直交する2本のアーム47A、47Aとそれらの交点に連結した回転軸47Bとを備えており、回転軸47Bは、水切り位置Cの床に配置された軸受49に回転自在に所定高さで軸支されている。これにより、十字フレーム47のアーム47A、47Aは、両搬送コンベヤC7、C8が退没位置まで下降された際における両搬送コンベヤC7、C8の載置面よりも少し高い上方位置に水平に支持されている。
本実施例では、前述したパレット3を支持した両搬送コンベヤC7、C8を昇降機構42により退没位置まで下降させる際には、事前に十字フレーム47の一方のアーム47Aが両搬送コンベヤC7、C8の間となる位置に停止させるようにしている(図5参照)。そのため、パレット3を支持した状態の両搬送コンベヤC7、C8を昇降機構42によって下降させると、その下降過程において先ず十字フレーム47上にパレット3が支持され、その後さらに下降される両搬送コンベヤC7、C8は十字フレーム47に干渉することなく、それよりも下方の退没位置まで下降して停止するようになっている(図6、図7参照)。これにより、搬送コンベヤC7、C8よりも上方となる十字フレーム47上にパレット3が水平に支持されるようになっている。
【0029】
十字フレーム47のアーム47A,47Aの上面の先端部には、ストッパピン47Cをそれぞれ立設してあり、上述したように十字フレーム47上にパレット3が支持された際には、各ストッパ47Cがパレット3の四辺に当接するようになっている。このように、十字フレーム47上にパレット3が支持されると、固定手段としての4本のストッパピン47Cによってパレット3の四辺が固定されるようになっている。なお、これら固定手段としての4本のストッパピン47Cの長さ(高さ)やアーム47A上における取付け位置を適宜変化させることで、大きさの異なる複数の種類パレット3を上記十字フレーム47上に支持することが可能である。
十字フレーム47の回転軸47Bの外周部にはスプロケット52が嵌着されており、このスプロケット52とモータ48側のスプロケット53とにわたって無端状のタイミングベルト54が掛け渡されている。モータ48の作動は制御手段6によって制御されるようになっており、水切り処理の際には、十字フレーム47上にパレット3が支持された状態で制御手段6によりモータ48を回転させるようになっている。このように、十字フレーム47上にパレット3を支持した状態で十字フレーム47によりパレット3を回転させることで、パレット3の水切り処理を行うことができるわけであるが、本実施例においては、高速回転されているパレット3が十字フレーム47から浮上するのを防止するために、浮上防止機構51が配置されている。
【0030】
すなわち、水切り位置Cにおける搬送コンベヤC8の一側には支柱55が立設されており、この支柱55の上端に図示しないモータが取り付けられている。該モータの駆動軸に押さえ部材56の基部が連結されている。押さえ部材56は所定高さに水平に支持されており、押さえ部材の56の先端部は、下方を向けた円盤状に形成されている。浮上防止機構51は、支柱55と図示しないモータおよび押さえ部材56から構成されている。
上記押さえ部材56は、両搬送コンベヤC7、C8が退没位置まで下降される際には、両搬送コンベヤC7、C8と干渉しない退避位置に停止されている。これに対して、上述したようにして両搬送コンベヤC7,C8が退没位置まで下降されることで十字フレーム47上にパレット3が支持されると、制御手段6によって支柱55のモータが所定角度だけ回転される。そのため、押さえ部材56が揺動されて、該押さえ部材56の先端部がパレット3における上面の中央部の近接上方位置に停止する(図7参照)。
【0031】
この状態において、制御手段6によりモータ48が所定時間回転されるので、タイミングベルト54等を介して十字フレーム47およびそれに支持されたパレット3が高速回転されるようになっている。高速回転されるパレット3の四辺は4本のストッパピン47Cによって放射方向への脱落が防止されており、また、押さえ部材56の先端部によってパレット3が浮上するのが防止されている。そのため、パレット3は安定した状態で高速回転されて、該パレット3に対する水切り処理が行われる。
なお、本実施例においては、十字フレーム47上のパレット3の外側をほぼ囲繞するようにカバー57が配置されており、パレット3が高速回転される際に飛散する洗浄液はカバー57の内面によって受け止められて、周囲に飛散しないようになっている。
制御手段6は、所定時間だけモータ48を回転させたら該モータ48の回転を停止させるので、十字フレーム47とパレット3の回転も停止し、その時点でパレット3に対する水切り処理が完了するようになっている。なお、制御手段6がモータ48を停止させた際には、図5に示すように、十字フレーム47のいずれかのアーム47A,47Aが両搬送コンベヤC7、C8の間の位置に停止するようになっている。
また、上述した遠心脱水機構43によるパレット3の水切り処理が行われている間は、上記保持機構41によってコンテナ2はパレット3から離隔して水切り位置Cの上方に吊り下げられた状態に維持されている。
【0032】
以上のようにして、遠心脱水機構43によるパレット3の水切り処理が完了すると、この後、制御手段6は浮上防止機構51における支柱55のモータを逆転させるので、押さえ部材56はパレット3上から元の退避位置まで戻されてそこに停止する。
その後、制御手段6は昇降機構42を介して両搬送コンベヤC7、C8を退没位置から上昇端となる搬出入位置まで上昇させる(図7、図6参照)。その際の両コンベヤC7、C8の上昇過程において、パレット3の底部が両搬送コンベヤC7、C8によって支持された後にさらに上昇されるので、パレット3は十字フレーム47から離隔される。その後、両搬送コンベヤC7、C8が上昇端となる搬出入位置まで上昇されると、保持機構41に吊り下げられているコンテナ2の底面が、両搬送コンベヤC7、C8上のパレット3の上面によって支持される。つまり、パレット3上に再度コンテナ2が載置される(図6参照)。
【0033】
この後、制御手段6は、保持機構41の吊り下げ部材45A、45Bを図8に想像線で示す退避位置まで退避させるので、吊り下げ部材45A,45Bによるコンテナ2の保持状態も解除される。
この後、制御手段6は搬送コンベヤC7、C8を走行させるので、水切り処理が終わったパレット3およびコンテナ2は、搬送コンベヤC8の隣接下流側となる乾燥ゾーンZ3へ搬送されるようになっている。
以上のようにして本実施例の水切り手段39は、水切りゾーンZ2への搬入過程において先ずエアブロア機構40によってコンテナ2の水切りを行うとともに、水切り位置Cでパレット3をコンテナ2から切り離した状態においてパレット3を遠心脱水機構43によって水切りするようになっている。
なお、水切りゾーンZ2の入口となる箇所に搬送コンベヤC7を跨ぐようにして門型フレームを設けて、そこからコンテナ2に向けて圧縮空気を噴出することで、コンテナの外面の水切りをおこなうようにしても良い。また、本実施例では、この水切りゾーンZ2の後に乾燥ゾーンZ3が配置されているので、上記エアブロア機構40は省略しても良い。さらに、遠心脱水機構43の浮上防止機構51も必ずしも必要ではなく、省略しても良い。
さらに、本実施例の水切り手段39においては、保持機構41によってコンテナ2を吊り下げ、その状態で昇降機構42により搬送コンベヤC7、C8を退没位置まで下降させて十字フレーム47上にパレット3を支持させているが、次のような構成を採用しても良い。すなわち、昇降機構によって上記十字フレーム47を搬送コンベヤC7、C8よりも上方まで昇降可能として、該十字フレーム47を上昇させてパレット3を支持するように構成する。この場合には、保持機構41としても昇降可能なものを採用して、十字フレーム47を搬送コンベヤC7、C8よりも上昇させてパレット3を支持する際には、保持機構41によってコンテナ2を保持して上昇させることでパレット3から離隔させればよい。このような遠心脱水機構43と保持機構41を採用しても、上記実施例と同様の水切り処理をパレット3に施すことが可能である
【0034】
次に、図9より乾燥ゾーンZ3の構成と処理工程について説明すると、乾燥ゾーンZ3における搬送コンベヤC9の上下と両側はトンネル状の耐熱ケーシング61で覆われており、その入口と出口には耐熱式のシャッタ61A,61Bが昇降可能に設けられている。この耐熱ケーシング61内が乾燥室62となっている。
搬送コンベヤC8から乾燥ゾーンZ3の搬送コンベヤC9上にパレット3とコンテナ2が搬入される際は、制御手段6はシャッタ61Aを上昇端に上昇させ、搬送コンベヤC9から隣接下流側の搬送コンベヤC10に乾燥処理後のパレット3とコンテナ2が搬出される際には、制御手段6は事前に上記シャッタ61Bを上昇端に上昇させるようになっている。
他方、搬送コンベヤC8から乾燥ゾーン3の搬送コンベヤC9上にパレット3とコンテナ2が搬入されたら、制御手段6はシャッタ61Aを下降端まで下降させ、搬送コンベヤC9上からパレット3とコンテナ2が搬出されたら、制御手段6はシャッタ61Bを下降端まで下降させて耐熱ケーシング61、すなわち乾燥室62の入口と出口を閉鎖するようになっている。
その状態において、乾燥手段63によってコンテナ2とパレット3に向けて熱風を吹きつけることで、それらを乾燥させるようになっている。
【0035】
すなわち、乾燥室62における搬送コンベヤC9の一側には、該搬送コンベヤC9上のパレット3に向けて側方から熱風を吹き付ける側部ノズル64が配置されており、耐熱ケーシング61の天井には、下方位置のコンテナ2の内部に向けて熱風を吹き付ける上部ノズル65が設けられている。これら側部ノズル64と上部ノズル65は、導管を介して熱風の供給源となるエアブロア機構66に接続されている。
水切りされた後のパレット3とコンテナ2が搬送コンベヤC8から乾燥ゾーンZ3の搬送コンベヤC9上に搬入されたら、制御手段6はシャッタ61Aを下降させて乾燥室62の入口を閉鎖するとともに、エアブロア機構66を作動させるようになっている。それにより、側部ノズル64からパレット3に向けて熱風が吹き付けられるとともに、コンテナ2の収容部2B内に上部ノズル65から熱風が吹き付けられるようになっている。これにより、パレット3とコンテナ2に対して熱風による乾燥処理が施される。制御手段6は、エアブロア機構66を所定時間作動させたら、該エアブロア機構66の作動を停止させるので、パレット3とコンテナ2の内外に対する乾燥処理が終了する。
このようにして、乾燥室62内でパレット3とコンテナ2に対する乾燥処理が終了すると、制御手段6はシャッタ61Bを上昇端まで上昇させるので乾燥室62の出口が開放されるとともに、制御手段6により搬送コンベヤC9が走行されるので、パレット3およびコンテナ2は乾燥室62から搬出されて隣接下流側の搬送コンベヤC10上に搬送される。
【0036】
乾燥ゾーンZ3の隣接下流側の搬送コンベヤC10に搬入された乾燥処理後のパレット3とコンテナ2は、搬送コンベヤ10の停止状態において、先にコンテナ2から取り外されたパッキンが作業者によりコンテナ2の開口部2Dに再度装着されるとともに、開閉蓋2Eが閉じられ、さらにパイプ2Fの開閉弁も閉鎖される。このように、作業者によって搬送コンベヤC10上のパレット3とコンテナ2に対して所要の処理が行われたら、制御手段6によって搬送コンベヤC10が走行されるので、パレット3およびコンテナ2は搬送コンベヤC10によって隣接下流側となる排出位置Bの搬送コンベヤC12上に搬送される。
以上のようにして、各ゾーンZ1〜Z3において洗浄から水切りおよび乾燥処理まで施されたパレット3とコンテナ2が排出位置Bの搬送コンベヤC12上に排出されると、前述したように、排出位置Bのパレット3上のコンテナ2は、フォークリフト4によって排出位置Bから図示しない別の処理位置へ移送される。他方、空になった排出位置Bのパレット3は、パレットスタッカ8によってその積層位置まで移送されてそこに段積みされる。
【0037】
上述した本実施例の物品洗浄システム1によれば、乾燥ゾーンZ3の前の水切りゾーンZ2で、コンテナ2とパレット3を離隔した後、水切り手段39によってパレット3に対して水切り処理を施すようになっている。そのため、乾燥ゾーンZ3における乾燥処理の直前の状態では、パレット3内には洗浄液が殆ど残留していない状態となっている。その状態におけるパレット3とコンテナ2に対して乾燥ゾーンZ3の乾燥手段63によって乾燥処理を施すので、本実施例によれば、従来と比較してパレット3とコンテナ2の乾燥時間を大幅に短縮することができ、ひいては乾燥処理におけるエアブロア機構66の熱エネルギーの消費量を大幅に減少させることができる。
【0038】
なお、上記実施例においては、コンテナ2に収容する内容物として食品を想定しているが、これに限定するものではなく化粧水やシャンプーといった食品以外もコンテナ2に収納でき、該コンテナを上記物品洗浄システム1によって洗浄することもできる。また、外面洗浄室12でコンテナ2とパレット3の外面洗浄を行った後にコンテナ2の内面洗浄を行うようにしているが、先ずコンテナ2の内面洗浄を行ってからコンテナ2およびパレット3の外面洗浄を行うようにしても良い。
また、上記実施例は、パレット3に載置したコンテナ2を物品洗浄システム1によって洗浄して乾燥させる場合を説明しているが、上記物品洗浄システム1によってパレット3自体を洗浄して、乾燥させることもできる。つまり、コンテナ2を載置していない単体のパレット3を上記物品洗浄システム1によって洗浄することができる。この場合には、洗浄ゾーンZ1において外面洗浄手段13によりパレット3の外面洗浄の際に、側面洗浄ノズル14の昇降量をパレット3の高さに応じて調整してやればよい。また、このようなパレット3のみの洗浄の場合には内面洗浄手段25を作動させる必要はなく、さらに、水切りゾーンZ2においては保持機構41を作動させる必要はない。つまり、水切りゾーンZ2の水切り位置Cにパレット3が搬入されたら、両搬送コンベヤC7、C8を下降させてパレット3を十字フレーム47上に支持させ、その状態において上述したように十字フレーム47を高速回転させることでパレット3の水切りを行うことができる。その後、上述したように乾燥ゾーンZ3において乾燥手段63によりパレット3に乾燥処理を施せばよい。
このように、本実施例の物品洗浄システム1は、パレット3上に載置したコンテナ2に対する洗浄から乾燥処理だけでなく、パレット3自体に対する洗浄と、水切りおよび乾燥処理を施すことができる。従って、本実施例によれば、汎用性が高い物品洗浄システム1を提供することができる。
【符号の説明】
【0039】
1‥物品洗浄システム 2‥コンテナ
3‥パレット 13‥外面洗浄手段
25‥内面洗浄手段 39‥水切り手段
41‥保持機構 43‥遠心脱水機構
C1〜C12‥搬送コンベヤ(搬送手段) Z1‥洗浄ゾーン
Z2‥水切りゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナが載置された状態のパレットを搬送する搬送手段と、上記搬送手段の洗浄ゾーンに設けられ、コンテナ及び/又はパレットを洗浄する洗浄手段と、上記洗浄ゾーンの下流の水切りゾーンに設けられて、パレットの水切りを行う水切り手段とを備える物品洗浄システムであって、
上記水切り手段は、パレットからコンテナを離隔させてパレットよりも上方側にコンテナを保持する保持機構と、離隔されたパレットを支持するとともに該パレットの水切りを行う脱水機構とを備えることを特徴とする物品洗浄システム。
【請求項2】
上記水切りゾーンの下流に設けられ、コンテナ及び/又はパレットを乾燥させる乾燥手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品洗浄システム。
【請求項3】
上記水切りゾーンの搬送手段をパレットが搬出入される搬出入位置と該搬出入位置よりも所定量だけ下降した退没位置とに昇降させる昇降機構を備え、
上記パレットを支持した状態の搬送手段が上記退没位置へ下降されると、上記保持機構によって所定高さに保持されたコンテナと下降される搬送手段上のパレットとが離隔するとともに、退没位置の搬送手段よりも上方において上記脱水機構によってパレットが支持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の物品洗浄システム。
【請求項4】
上記水切り手段の脱水機構が遠心脱水機構であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の物品洗浄システム。
【請求項5】
上記パレット上にコンテナを載置せず、パレットのみを洗浄対象とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−255267(P2011−255267A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129925(P2010−129925)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】