説明

物品管理システム

【課題】物品に取り付けられたRF−IDメディアを用いて物品の収納領域を管理する場合に、処理を煩雑にすることなく、物品の収納領域を変更する。
【解決手段】物品に取り付けられたRF−IDメディアから情報を読み取るアンテナ4−1〜4−4と、アンテナ4−1〜4−4にてRF−IDメディアから情報が読み取られたかどうかに基づいて物品が予め決められた収納領域に収納されているかどうかを管理する管理用パソコン10と、物品の収納領域の変更権限を受け付けるカード読取器6と、扉2の開閉状態を検知する電気錠コントローラ20とを有し、管理用パソコン10は、カード読取器6にて変更権限が受け付けられ、電気錠コントローラ20にて扉2が閉状態となったことが検知された場合、その後、RF−IDメディアから情報を読み取ったアンテナが設けられた収納領域を物品の収納領域として管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉付きの収納領域に収納された物品を、物品に取り付けられたRF−IDメディアを用いて管理する物品管理システムに関し、特に、収納領域における物品の収納場所の管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の情報化社会の進展に伴い、情報は、企業等にとって人や金と同様に貴重な財産となり、その重要性が高まってきている。このような情報は、紙媒体に印刷されてファイル化されたものや、電子データとして記録媒体に記録されたもの等があり、セキュリティ性が高い収納領域に収納、保管される場合がある。
【0003】
このようなファイル化された書類や、電子データが記録された記録媒体を収納、保管する収納領域として、従来より扉付きの収納庫が用いられているが、収納庫のセキュリティ性を高めるために、電子錠を用いた収納庫が用いられている。電子錠を用いた収納庫においては、例えば、ICカードから情報を読み取る読取手段を設けておき、この読取手段において、ICカードから決められたIDが読み取られた場合に開錠されるものがある。この場合、収納庫に収納された書類や記録媒体等を収納庫から持ち出す権限を有する人物に付与されたIDがICカードから読み取られた場合に、電子錠が開錠される仕組みが用いられている。
【0004】
また、書類や記録媒体等の持ち出しや在庫管理として、書類や記録媒体に、非接触状態にて情報の読み取りが可能な非接触型ICタグや非接触型ICラベルといったRF−IDメディアを取り付けておくとともに、書籍や記録媒体が収納される棚の底板や背板に、RF−IDメディアから情報を読み取るためのアンテナを配置しておき、このアンテナを介してRF−IDメディアから情報を読み取ることができたかどうかによって書籍や記録媒体の持ち出しや在庫管理を行う技術が考えられている。
【0005】
これら電子錠を用いたセキュリティ管理と、RF−IDメディアを用いた持ち出し及び在庫管理とを組み合わせることにより、収納領域に収納された書類や記録媒体等についてセキュリティ性が高い持ち出しや在庫管理を行うことができるようになる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
上述したようなRF−IDメディアを用いた書類や記録媒体等の物品の在庫管理においては、アンテナを介してのRF−IDメディアからの情報の読み取り結果を用いて、物品が収納される収納領域を管理することもできる。その場合、物品毎に物品を識別可能な物品IDを付与してRF−IDメディアに書き込んでおくとともに、物品IDとその物品の収納領域に設置されたアンテナを識別可能なアンテナIDとを対応づけて管理しておき、RF−IDメディアから物品IDが読み取られた場合、読み取られた物品IDとその物品を読み取ったアンテナのアンテナIDとを照合することにより、物品が決められた収納領域に収納されているかどうかを管理することができるようになる。
【特許文献1】特許第3527693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような物品を収納する収納領域においては、収納可能な量が決められている場合、多くの物品を収納するためには、物品を収納領域に効率的に収納する必要がある。そのため、収納領域に収納される物品の形状に合わせて、物品が収納される収納領域や、その収納領域における物品の収納場所が決められることが好ましい。
【0008】
ところが、収納領域に収納される物品としては、書類や記録媒体の他にも様々なものがあり、中には、ファイルや袋状物品等といった厚さや形状が変化するものも考えられる。そのため、このような厚さや形状が変化する物品を収納領域に収納する場合は、効率的に物品を収納領域に収納するためには、物品の厚さや形状が変化した場合、その物品の厚さや形状に合わせて収納領域や収納領域における物品の収納場所を変更することが好ましい。
【0009】
しかしながら、上述したようにアンテナを介してのRF−IDメディアからの情報の読み取り結果を用いて、物品の収納領域を管理する場合、物品の収納領域は予め決められているため、その収納領域を変更する場合、収納領域における物品の在庫管理を行うための管理用パソコン等に管理者がアクセスし、物品の収納領域の変更を指定しなければならずその処理が煩雑となってしまうという問題点がある。
【0010】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、物品に取り付けられたRF−IDメディアを用いて物品の収納領域を管理する場合に、処理を煩雑にすることなく、物品の収納領域を変更することができる物品管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、
扉付きの収納領域に収納された物品を、該物品に取り付けられたRF−IDメディアを用いて管理する物品管理システムであって、
前記収納領域に配置され、前記RF−IDメディアから情報を読み取る情報読取手段と、
前記情報読取手段にて前記RF−IDメディアから情報が読み取られたかどうかに基づいて当該RF−IDメディアが取り付けられた物品が予め決められた収納領域に収納されているかどうかを管理する管理手段と、
前記物品が収納される収納領域の変更権限を受け付ける変更権限受付手段と、
前記扉の開閉状態を検知する開閉検知手段とを有し、
前記管理手段は、前記変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、前記開閉検知手段にて前記扉が閉状態となったことが検知された場合、当該扉を具備する収納領域を、該収納領域に配置された情報読取手段にて情報が読み取られたRF−IDメディアが取り付けられた物品が収納される収納領域として管理する。
【0012】
上記のように構成された本発明においては、収納領域に収納された物品は、収納領域に配置され、RF−IDメディアから情報を読み取る情報読取手段によって、その物品に取り付けられたRF−IDメディアから情報が読み取られたかどうかに基づいて、予め決められた収納領域に収納されているかどうかが管理手段において管理されている。物品が収納される収納領域を変更する変更権限を有する管理者が物品の収納領域を変更する場合、変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、物品が変更後の収納領域に収納されて扉が閉じられると、開閉検知手段にて扉が閉状態となったことが検知され、管理手段において、その扉を具備する収納領域が、その収納領域に配置された情報読取手段にて情報が読み取られたRF−IDメディアが取り付けられた物品が収納される収納領域として管理されることになる。
【0013】
このように、物品が収納される収納領域を変更する変更権限を有する管理者が物品の収納領域を変更する場合、変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、物品を変更後の収納領域に収納して扉を閉じるだけで、物品の収納領域を変更することができる。
【0014】
また、収納領域が複数の収納区画に分割されている場合は、情報読取手段が複数の収納区画のそれぞれに配置されており、管理手段において、変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、開閉検知手段にて扉が閉状態となったことが検知された場合、その扉を具備する収納領域の収納区画のそれぞれが、その収納区画に配置された情報読取手段にて情報が読み取られたRF−IDメディアが取り付けられた物品の収納区画として管理されることになる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明においては、扉付きの収納領域に収納された物品を、物品に取り付けられたRF−IDメディアを用いて管理する物品管理システムであって、収納領域に配置されてRF−IDメディアから情報を読み取る情報読取手段にてRF−IDメディアから情報を読み取られたかどうかに基づいて、そのRF−IDメディアが取り付けられた物品が予め決められた収納領域に収納されているかどうかを管理する管理手段において、変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、扉の開閉状態を検知する開閉検知手段にて扉が閉状態となったことが検知された場合、その扉を具備する収納領域が、その収納領域に配置された情報読取手段にて情報が読み取られたRF−IDメディアが取り付けられた物品が収納される収納領域として管理される構成としたため、物品が収納される収納領域を変更する変更権限を有する管理者が物品の収納領域を変更する場合、変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、物品を変更後の収納領域に収納して扉を閉じるだけで、処理を煩雑にすることなく、物品の収納領域を変更することができる。
【0016】
また、収納領域が、複数の収納区画に分割され、情報読取手段が複数の収納区画のそれぞれに配置され、管理手段が、変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、開閉検知手段にて扉が閉状態となったことが検知された場合、その扉を具備する収納領域の収納区画のそれぞれを、その収納区画に配置された情報読取手段にて情報が読み取られたRF−IDメディアが取り付けられた物品の収納区画として管理するものにおいては、収納領域を複数の収納区画に分割した場合であっても、物品が収納される収納領域を1つの収納領域内の収納区画毎に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の物品管理システムの実施の一形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は構成ブロック図である。
【0019】
本形態は図1に示すように、管理対象となる物品が収納されるキャビネット1と、キャビネット1における物品の収納状態を管理する管理手段である管理用パソコン10とから構成されている。
【0020】
キャビネット1は、電気錠5によって施錠される観音開きの2組の扉2を有しており、扉2を開けた内部には、それぞれ2段ずつの合計4つの棚3が設けられている。この4つの棚3には、それぞれ情報読取手段となる4つのアンテナ4−1〜4−4が内蔵されており、物品に取り付けられたRF−IDメディアから情報を読み取る。4つのアンテナ4−1〜4−4は、棚3上にてそれぞれ重複しない読取可能範囲を有しており、この読取可能範囲によってキャビネット1内は16個の収納区画に分割されている。
【0021】
キャビネット1には、利用者が所持するIDカードから利用者IDを読み取る変更権限受付手段であるカード読取器6と、カード読取器6における読み取り結果に基づいて電気錠5による扉2の施錠/開錠を制御する開閉検知手段である電気錠コントローラ20と、アンテナ4−1〜4−4を介してのRF−IDメディアからの情報の読み取りを制御するRFIDコントローラ30と、キャビネット1に収納された物品が不正に持ち出された場合にアラームを出力する警報器7とが設けられている。これら電気錠コントローラ20、RFIDコントローラ30及び警報器7は、LANを介して管理用パソコン10と接続されている。
【0022】
電気錠コントローラ20は、キャビネット1の扉2の開閉権限をメモリ22に記憶して管理し、カード読取器6における読み取り結果とメモリ22に記憶された権限とを照合する開閉権限管理部21と、開閉権限管理部21における照合結果に基づいて電気錠5の開閉を制御する開閉制御部23と、開閉制御部23の制御による扉2の開閉状態を、カード読取器6にて読み取られた利用者IDとともに管理用パソコン10に通知する開閉状態通知部24とから構成されている。
【0023】
RFIDコントローラ30は、4つの棚3に内蔵されたアンテナ4−1〜4−4に対する電流の供給を切り替えることにより、アンテナ4−1〜4−4を介しての情報の読み取りを切り替えるアンテナ切替部31と、4つの棚3に内蔵されたアンテナ4−1〜4−4のうち、アンテナ切替部31によって電流が供給されたアンテナを介してRF−IDメディアから情報を読み取り、読み取り結果をアンテナ毎にメモリ33に記憶する情報読取部32と、メモリ33に記憶された情報について、同一のアンテナを介して読み取られた情報を比較する情報比較部34と、情報比較部34における比較の結果、読み取り結果に変化が生じたものを管理用パソコン10に送信する情報送信部35とから構成されている。
【0024】
管理用パソコン10は、電気錠5の開錠権限を設定する電気錠設定部11と、電気錠コントローラ20から扉2の開閉状態を取得する開閉状態取得部12と、RFIDコントローラ30からアンテナを介しての読み取り結果に変化が生じたものを取得する読取情報取得部13と、読取情報取得部13にて取得した情報と開閉状態取得部12にて取得した情報と文書情報データベース8a及び変更権限データベース8cに登録された情報とに基づいて、キャビネット1からの物品の持ち出し及び物品の収納区画の変更を判断する状況判断部14と、状況判断部14における判断結果に基づいて、キャビネット1における物品の収納状況を収納情報データベース8bに登録して管理する収納状況管理部15と、キャビネット1の警報器7からの警報出力を制御する警報命令部16と、情報を表示出力する表示部17とから構成されている。
【0025】
図2は、図1に示した物品管理システムにて管理される物品の一例を示す図である。
【0026】
図1に示した物品管理システムにて管理される物品としては、例えば、図2に示したような書類ファイル100が挙げられる。この書類ファイル100には、書類ファイル100を識別可能な書類IDが書き込まれたRF−IDメディアである非接触型ICラベル101が貼付されており、書類ファイル100が棚3上に載置された状態において、非接触型ICラベル101に書き込まれた書類IDがアンテナ4−1〜4−4を介して読み取られることになる。なお、非接触型ICラベル101の貼付位置は、書類ファイル100の内側面であってもよく、また、RF−IDメディアとして非接触型ICラベル101を書類ファイル100に貼付するのではなく、非接触型ICタグ等のRF−IDメディアを書類ファイル100自体に組み込んだり、フィルムケース等によって書類ファイル100に挿入部を設けてそこに収納したりしてもよい。この書類ファイル100は、内部にファイリングされる書類の量に応じてその厚さが変化する。
【0027】
以下に、上記のように構成された物品管理システムにおける物品管理方法として、図2に示した書類ファイル100のキャビネット1における収納状況を管理する場合を例に挙げて説明する。
【0028】
まず、電気錠5の開閉制御について説明する。
【0029】
図3は、図1に示した物品管理システムにおける電気錠5の開閉制御を説明するためのフローチャートである。
【0030】
キャビネット1に収納された書類ファイル100を持ち出す、あるいはキャビネット1から持ち出した書類ファイル100をキャビネット1に戻そうとする利用者が、利用者IDが書き込まれたIDカードをカード読取器6に翳すと、カード読取器6においてIDカードから利用者IDが読み取られる(ステップS1)。なお、カード読取器6はキャビネット1の前面に設けられており、利用者はキャビネット1の前面のカード読取器6が設けられた領域にIDカードを翳す。
【0031】
カード読取器6にて読み取られた利用者IDは開閉権限管理部21に通知される。
【0032】
開閉権限管理部21においては、カード読取器6から通知された利用者IDとメモリ22に記憶された利用者IDとが照合されることにより、カード読取器6から通知された利用者IDによって識別される利用者が、電気錠5を開錠する権限を有するものであるかどうかが判断される(ステップS2)。ここで、電気錠5を開錠する権限については、管理用パソコン10の電気錠設定部11にて設定されており、電気錠5の開錠権限を有する利用者の利用者IDがメモリ22に記憶されているため、開閉権限管理部21においては、カード読取器6から通知された利用者IDとメモリ22に記憶された利用者IDとを照合することにより、カード読取器6から通知された利用者IDによって識別される利用者が、電気錠5を開錠する権限を有するものであるかどうかを判断することができる。
【0033】
カード読取器6から通知された利用者IDによって識別される利用者が、電気錠5を開錠する権限を有するものではない場合、キャビネット1に設けられたLED等(不図示)によってエラーが出力され(ステップS3)、また、カード読取器6から通知された利用者IDによって識別される利用者が、電気錠5を開錠する権限を有するものである場合は、開閉制御部23の制御によって電気錠5が開錠され、扉2が開閉自在な状態となる(ステップS4)。これにより、電気錠コントローラ20において、扉2が開けられた旨が検知されることになる。
【0034】
電気錠コントローラ20においては、電気錠5が開錠されると、電気錠5が開錠された旨が、カード読取器6にて読み取られた利用者IDと、電気錠5が開錠された時刻を示す情報ともに開閉状態通知部24から管理用パソコン10に通知される(ステップS5)。
【0035】
管理用パソコン10においては、開閉状態通知部24から通知された情報が開閉状態取得部12にて取得される(ステップS6)。これにより、管理用パソコン10において、キャビネット1の電気錠5が、いつ、どの利用者によって開錠されたのかが管理されることになる。
【0036】
その後、扉2が閉じられると(ステップS7)、電気錠5が施錠され、電気錠5が施錠された旨がその時刻を示す情報とともに開閉状態通知部24から管理用パソコン10に通知される(ステップS8)。また、これにより、電気錠コントローラ20において、扉2が閉じられた旨が検知されることになる。
【0037】
管理用パソコン10においては、開閉状態通知部24から通知された情報が開閉状態取得部12にて取得される(ステップS9)。これにより、管理用パソコン10において、キャビネット1の電気錠5がいつ施錠されたのかが管理されることになる。
【0038】
次に、キャビネット1からの書類ファイル100の持ち出し管理及び書類ファイル100の収納区画の変更処理について説明する。
【0039】
図4は、図1に示した物品管理システムにおけるキャビネット1からの書類ファイル100の持ち出し管理及び書類ファイル100の収納区画の変更処理を説明するためのフローチャートである。
【0040】
RFIDコントローラ30においては、アンテナ切替部31において、4つの棚3にそれぞれ内蔵されたアンテナ4−1〜4−4に対する電流の供給が切り替えられており、それにより、棚3上に載置されてキャビネット1に収納された書類ファイル100に貼付された非接触型ICラベル101に書き込まれた書類IDを読み取るためのアンテナが切り替えられている(ステップS11)。
【0041】
RFIDコントローラ30の情報読取部32においては、4つの棚3にそれぞれ内蔵されたアンテナ4−1〜4−4のうち、アンテナ切替部31によって電流が供給されたアンテナを介して書類IDの読み取りが行われる(ステップS12)。そして、読み取られた書類IDは、その書類IDが読み取られたアンテナを識別可能なアンテナIDとともに情報読取部32に送られる。
【0042】
情報読取部32においては、アンテナを介して読み取られた書類IDがメモリ33に記憶される(ステップS13)。
【0043】
図5は、図1に示したメモリ33に記憶された情報の例を示す図である。
【0044】
図5に示すように、図1に示したメモリ33には、4つの棚3にそれぞれ内蔵されたアンテナ4−1〜4−4毎に、そのアンテナ4−1〜4−4を介して読み出された書類IDが、アンテナ4−1〜4−4を識別可能なアンテナIDと対応づけて記憶されている。この書類IDの記憶は、アンテナ切替部31によってアンテナ4−1〜4−4に電流が供給される度に行われるが、図5に示すように、アンテナ4−1〜4−4毎に、2度の情報の読み取り結果を記憶しておくことになる。図5に示した例においては、前回にメモリ33に記憶されたものに対して今回メモリ33に記憶されたものは、アンテナID“CCCCによって識別されるアンテナにて書類ID“A103”が新たに読み取られている。
【0045】
RFIDコントローラ30の情報比較部34においては、4つの棚3にそれぞれ内蔵されたアンテナ4−1〜4−4を介して読み取られ、メモリ33に記憶された書類IDについて、4つの棚3に内蔵されたアンテナ4−1〜4−4毎に、前回にメモリ33に記憶された書類IDと、今回メモリ33に記憶された書類IDとが比較される(ステップS14)。
【0046】
そして、前回にメモリ33に記憶された書類IDと今回メモリ33に記憶された書類IDとで一致しない書類IDが存在する場合(ステップS15)、その書類IDが、書類IDが読み取られたアンテナのアンテナIDと、今回の書類IDの読取時刻を示す情報と、その書類IDが前回の読み取り結果に対して増えたものなのか減ったものなのかを示す情報とともに情報送信部35から管理用パソコン10に送信される(ステップS16)。図5に示した例の場合、書類ID“A103”と、アンテナID“CCCC”と、今回の書類IDの読取時刻を示す情報と、書類IDが増えた旨を示す情報とが情報送信部35から管理用パソコン10に送信されることになる。
【0047】
情報送信部35から管理用パソコン10に送信された書類IDは、管理用パソコン10の読取情報取得部13にて受信される(ステップS17)。
【0048】
そして、前回にメモリ33に記憶された書類IDに対して、今回メモリ33に記憶された書類IDが増えている場合(ステップS18)、まず、状況判断部14において、文書情報データベース8aが参照され、増えた書類IDによって識別される書類ファイル100の収納領域が確認され(ステップS19)、その書類ファイル100が、アンテナ4−1〜4−4の読取可能範囲によって分割された収納区画のうち予め決められた収納区画に戻されたかどうかが判断される(ステップS20)。図5に示した例の場合、書類ID“A103”の収納区画が確認されることになる。
【0049】
図6は、図1に示した文書情報データベース8aに登録された書類ファイル100の収納領域を示す情報を示す図である。
【0050】
キャビネット1に収納される書類ファイル100は、キャビネット1内における収納区画が予め決められており、図6(a)に示すように、文書情報データベース8aには、書類ファイル100に付与された書類IDが、その書類ファイル100の収納区画を読取可能範囲とするアンテナのアンテナIDと対応づけて登録されている。
【0051】
このため、状況判断部14においては、文書情報データベース8aにて増えた書類IDが、その書類IDが読み取られたアンテナIDと対応づけられているものであるかどうかを確認することにより、増えた書類IDによって識別される書類ファイル100が予め決められた収納区画に戻されたかどうかを判断することができる。
【0052】
増えた書類IDによって識別される書類ファイル100が予め決められた収納区画に戻されていないと判断された場合は、開閉状態取得部12にて扉2の開閉状態とともに取得された利用者IDが確認される(ステップS21)。この利用者IDの確認は、書類IDとともにRFIDコントローラ30から管理用パソコン10に送信されてきた書類IDの読取時刻を示す情報と、開閉状態取得部12にてその時刻の直前に取得された利用者IDとを用いて行われる。図5に示した例においては、書類ID“A103”によって識別される書類ファイル100は、アンテナID“BBBB”によって識別されるアンテナの読取可能範囲となる収納区画に収納されるべきであるのに対し、アンテナID“CCCC”によって識別されるアンテナの読取可能範囲となる収納区画に収納されたため、書類ID“A103”によって識別される書類ファイル100は、予め決められた収納区画に戻されていないと判断されることになる。
【0053】
そして、状況判断部14において、変更権限データベース8cが参照され、開閉状態取得部12にて扉2の開閉状態とともに取得された利用者IDが、書類ファイル100の収納区画を変更する権限を有する管理者の利用者IDであるかどうかが確認される(ステップS22)。
【0054】
開閉状態取得部12にて扉2の開閉状態とともに取得された利用者IDが、書類ファイル100の収納区画を変更する権限を有する管理者の利用者IDである場合、すなわち、カード読取期6において、書類ファイル100の収納区画の変更権限が受け付けられた場合、状況判断部14において、開閉状態取得部12にて取得された扉2の開閉状態が確認される(ステップS23)。この扉2の開閉状態の確認は、書類IDとともにRFIDコントローラ30から管理用パソコン10に送信されてきた書類IDの読取時刻を示す情報と、開閉状態取得部12にてその時刻の直前に取得された開閉状態とを用いて行われる。
【0055】
書類IDの読取時刻が過ぎて扉2が閉じられた場合(ステップS24)、状況判断部14において、文書情報データベース8aに登録された書類ファイル100の収納区画を示す情報が更新される(ステップS25)。
【0056】
例えば、図6(a)に示したように、アンテナID“BBBB”によって識別されるアンテナの読取可能範囲には、書類ID“A101”,“A102”,“A103”,“A104”によって識別される書類ファイル100が収納され、アンテナID“CCCC”によって識別されるアンテナの読取可能範囲には、書類ID“A201”,“A202”によって識別される書類ファイル100が収納されるものとして書類ファイル100の収納区画が決められている。これに対して、図5に示したように、キャビネット1から持ち出されていた書類ID“A103”によって識別される書類ファイル100が、書類ファイル100の収納区画を変更する権限を有する管理者によって、アンテナID“CCCC”によって識別されるアンテナの読取可能範囲となる収納区画に戻された場合、図6(b)に示すように、アンテナID“BBBB”によって識別されるアンテナの読取可能範囲には、書類ID“A101”,“A102”,“A104”によって識別される書類ファイル100が収納され、アンテナID“CCCC”によって識別されるアンテナの読取可能範囲には、書類ID“A201”,“A202”,“A103”によって識別される書類ファイル100が収納されるものとして書類ファイル100の収納区画が更新される。
【0057】
その後、収納状況管理部15において、読取情報取得部13にて受信された書類IDによって識別される書類ファイル100が、その書類IDが読み取られた時刻に、開閉状態取得部12にて取得された利用者IDによって識別される利用者によってキャビネット1のアンテナIDによって識別されるアンテナの読取可能範囲となる収納区画に戻された旨が認識され、収納情報データベース8bに登録されている書類ファイル100の収納状況が更新され、更新された内容で管理される(ステップS26)。
【0058】
また、増えた書類IDによって識別される書類ファイル100が予め決められた収納領域に戻されていると判断された場合は、開閉状態取得部12にて取得された利用者IDが確認され(ステップS27)、読取情報取得部13にて受信された書類IDによって識別される書類ファイル100が、その書類IDが読み取られた時刻に、開閉状態取得部12にて取得された利用者IDによって識別される利用者によってキャビネット1のアンテナIDによって識別されるアンテナの読取可能範囲となる収納区画に戻された旨が認識され、収納情報データベース8bに登録されている書類ファイル100の収納状況が更新される。
【0059】
また、前回にメモリ33に記憶された書類IDに対して、今回メモリ33に記憶された書類IDが減った場合は、その書類IDによって識別される書類ファイル100がキャビネット1から持ち出されたと判断され、状況判断部14において文書情報データベース8aが参照され、利用者権限の確認が行われる(ステップS28)。
【0060】
文書情報データベース8aには、利用者IDに権限レベルが付与されるとともに、書類ファイル100の書類IDに機密レベルが付与されており、これら権限レベルと機密レベルとが対応づけられている。そのため、利用者IDによって識別される利用者が、キャビネット1に収納された書類ファイル100のうちどの書類ファイル100を持ち出し可能であるかが管理されている。
【0061】
状況判断部14においては、文書情報データベース8aが参照され、読み取られなくなった書類IDの機密レベルと、その書類IDが読み取られなくなった時刻の直前に電気錠5を開錠した利用者の権限レベルとが比較され、電気錠5を開錠した利用者が、書類IDが読み取られなくなった書類ファイル100をキャビネット1から持ち出す権限がある場合は(ステップS29)、収納状況管理部15において、収納情報データベース8bに登録されている書類ファイル100の収納状況が、書類IDが読み取られなくなった書類ファイル100がキャビネット1から持ち出された状態に更新される。
【0062】
また、ステップS22の判断において、開閉状態取得部12にて扉2の開閉状態とともに取得された利用者IDが、書類ファイル100の収納区画を変更する権限を有する管理者の利用者IDではない場合や、電気錠5を開錠した利用者が、書類IDが読み取られなくなった書類ファイル100をキャビネット1から持ち出す権限がない場合は、警報を出力する旨の命令が警報命令部16から出力され、キャビネット1の警報器7から警報が出力される(ステップS30)。
【0063】
上述したように本形態においては、書類ファイル100が収納される収納区画を変更する変更権限を有する管理者が書類ファイル100の収納区画を変更する場合、管理者のIDカードをカード読取器6に翳すことにより変更権限が受け付けられ、書類ファイル100を変更後の収納区画に収納して扉2を閉じるだけで、書類ファイル100の収納区画を変更することができる。
【0064】
なお、本形態においては、アンテナを介して読み取られた書類IDをRFIDコントローラ30内のメモリ33に記憶しておき、前回記憶されたものと不一致となる書類IDのみを管理用パソコン10に送信しているが、アンテナを介して読み取られた書類IDを、その書類IDが読み取られたアンテナのアンテナIDと、読取時刻を示す情報とともに全て管理用パソコン10に送信し、管理用パソコン10にて、同一のアンテナを介しての読取結果について比較する構成としてもよい。
【0065】
また、本形態におけるキャビネット1や棚3の数、また、1つの棚に内蔵されたアンテナ4−1〜4−4の数はこれらに限らず、適宜設定することができる。1つの管理用パソコン10にて複数のキャビネット1を管理する場合は、キャビネット1毎の電気錠コントローラ20及びRFIDコントローラ30はハブ等によって分岐される。また、複数のキャビネット1間の書類ファイル100の移動についても、上記同様に行われることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の物品管理システムの実施の一形態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は構成ブロック図である。
【図2】図1に示した物品管理システムにて管理される物品の一例を示す図である。
【図3】図1に示した物品管理システムにおける電気錠の開閉制御を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示した物品管理システムにおけるキャビネットからの書類ファイルの持ち出し管理及び書類ファイルの収納区画の変更処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1に示したメモリに記憶された情報の例を示す図である。
【図6】図1に示した文書情報データベースに登録された書類ファイルの収納領域を示す情報を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
1 キャビネット
2 扉
3 棚
4−1〜4−4,104−1〜104−4 アンテナ
5 電気錠
6 カード読取器
7 警報器
8a 文書情報データベース
8b 収納情報データベース
8c 変更権限データベース
10 管理用パソコン
11 電気錠設定部
12 開閉状態取得部
13 読取情報取得部
14 状況判断部
15 収納状況管理部
16 警報命令部
17 表示部
20 電気錠コントローラ
21 開閉権限管理部
22,33 メモリ
23 開閉制御部
24 開閉状態通知部
30 RFIDコントローラ
31 アンテナ切替部
32 情報読取部
34 情報比較部
35 情報送信部
100 書類ファイル
101 非接触型ICラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉付きの収納領域に収納された物品を、該物品に取り付けられたRF−IDメディアを用いて管理する物品管理システムであって、
前記収納領域に配置され、前記RF−IDメディアから情報を読み取る情報読取手段と、
前記情報読取手段にて前記RF−IDメディアから情報が読み取られたかどうかに基づいて当該RF−IDメディアが取り付けられた物品が予め決められた収納領域に収納されているかどうかを管理する管理手段と、
前記物品が収納される収納領域の変更権限を受け付ける変更権限受付手段と、
前記扉の開閉状態を検知する開閉検知手段とを有し、
前記管理手段は、前記変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、前記開閉検知手段にて前記扉が閉状態となったことが検知された場合、当該扉を具備する収納領域を、該収納領域に配置された情報読取手段にて情報が読み取られたRF−IDメディアが取り付けられた物品が収納される収納領域として管理する物品管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の物品管理システムにおいて、
前記収納領域は、複数の収納区画に分割され、
前記情報読取手段は、前記複数の収納区画のそれぞれに配置され、
前記管理手段は、前記変更権限受付手段にて変更権限が受け付けられ、前記開閉検知手段にて前記扉が閉状態となったことが検知された場合、当該扉を具備する収納領域の収納区画のそれぞれを、該収納区画に配置された情報読取手段にて情報が読み取られたRF−IDメディアが取り付けられた物品の収納区画として管理する物品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−269705(P2009−269705A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121335(P2008−121335)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】