物品管理装置
【課題】グループ単位で物品を管理することが可能な物品管理装置を提供する。
【解決手段】収納体28に収納された物品60に記憶手段52が付加されている。また、この記憶手段52から発信される信号を受信する受信手段50が格納体32に設けられている。収納体28は、記憶手段52からの信号発信が可能となるように物品60を収納する収納構造を備えており、移動して格納体32に格納される。よって、収納体28に物品60をまとめて収納しても、物品60に付加された記憶手段52の情報を確実に読み取ることが可能となる。これにより、グループ単位で物品を管理することができる。
【解決手段】収納体28に収納された物品60に記憶手段52が付加されている。また、この記憶手段52から発信される信号を受信する受信手段50が格納体32に設けられている。収納体28は、記憶手段52からの信号発信が可能となるように物品60を収納する収納構造を備えており、移動して格納体32に格納される。よって、収納体28に物品60をまとめて収納しても、物品60に付加された記憶手段52の情報を確実に読み取ることが可能となる。これにより、グループ単位で物品を管理することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が記憶された記憶手段を物品に付加し、この情報を利用して物品の管理を行う物品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等で扱われる物品にICタグを貼り付けて、物品の管理を行う物品管理システムが提案されている。
【0003】
このような物品管理システムで用いられるICタグには、用途に応じた情報が記憶されている。そして、無線交信機能を備えたリーダライタ装置によって、このICタグに記憶されている情報を読み取ったり、又は新たな情報をICタグに書き込むことができる。
【0004】
情報を伝達する方式には、電磁誘導方式と電波方式がある。電磁誘導方式は、受発信手段(アンテナ)のコイルと記憶手段(ICタグ)のコイルとを磁束結合させてエネルギーや信号を伝達する。そして、電波方式は、受発信手段(アンテナ)と記憶手段(ICタグ)との間で電磁波のやりとりを行ってエネルギーや信号を伝達する。
【0005】
電磁誘導方式は電波方式に比べてエネルギーを効率的に伝達できるので、開発が先行し普及しているが、通信可能距離は非常に小さく数十cm程度である。これに対して、電波方式は、電磁波を空間に放射して伝達するので、より遠くのICタグ(UHF帯域の電磁波を利用する場合、5m程度)との通信が可能になる。よって、電波方式のICタグを用いれば、受発信手段(アンテナ)の数を少なくすることができる。また、この電波方式のICタグは、近年の技術革新により品質安定と低コスト化が進展しており、今後の普及の本命とされている。
【0006】
しかし、例えば、複数の陳列棚が設置されているスーパーマーケットにおいて、この陳列棚に置かれた物品のそれぞれに電波方式のICタグを付加し、店内に複数の受発信手段(アンテナ)を設置して物品管理を行う場合には、これらの受発信手段(アンテナ)を介してリーダライタ装置が読み取った情報が、どの陳列棚に置かれた物品に付加されたICタグからの情報であるかを特定できない。すなわち、グループ(陳列棚)単位で物品を管理することが難しい。
【0007】
図16に示すように、特許文献1の在庫管理システムでは、収納設備250に備えられた6つの収納庫252A〜252Fの何れかに、ICタグが付加された物品254A〜254Fが収容されている。
【0008】
収納庫252A〜252Fには、ICタグの記録内容を無線で読み取るリーダ装置256A〜256Fがそれぞれ設置されている。
【0009】
また、収納庫252A〜252Fを囲む隔壁258の内側には、金属層からなる遮蔽手段260A〜260Fがそれぞれ形成されている。
【0010】
そして、収納庫252A〜252Fの何れかに収容されている物品254A〜254Fに付加されたICタグの記録内容をリーダ装置256A〜256Fによって読み取り、リーダ装置256A〜256Fが読み取った記録内容に基づいて管理手段262が収納庫252A〜252F内の物品の在庫を確認する。また、遮蔽手段260A〜260Fによって、別の収納庫内に収容された物品に付加されたICタグの記録内容を誤って読み取ることがない。
【0011】
よって、グループ(収納庫252A〜252F)単位で物品の在庫状態を把握することができる。
【0012】
しかし、特許文献1の在庫管理システムにおいて、収納庫に複数の物品をまとめて収納した場合、この状態では互いの物品によってICタグが隠れてしまうこともあり、個々のICタグの記録内容を読み取ることが困難なので、グループ単位で物品の在庫状態を把握することが難しくなる。
【特許文献1】特開2006−264942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は係る事実を考慮し、グループ単位で物品を管理することが可能な物品管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、物品に付加され、記憶された情報を信号として発信する記憶手段と、格納体に設けられ、前記記憶手段から発信された信号を前記記憶手段と非接触で受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された信号を情報として読み取る読取手段と、移動して前記格納体に格納され、前記記憶手段からの信号発信が可能となるように前記物品を収納する収納構造を備えた収納体と、を有することを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載の発明では、物品に記憶手段が付加されている。記憶手段には情報が記憶されており、記憶手段に記憶された情報がこの記憶手段から信号として発信される。
【0016】
また、受信手段が格納体に設けられている。この受信手段は、記憶手段から発信された信号を記憶手段と非接触で受信する。
【0017】
受信手段によって受信された信号は、読取手段により情報として読み取られる。
【0018】
また、収納体が移動して格納体に格納される。この収納体は、記憶手段からの信号発信が可能となるように物品を収納する収納構造を備えている。
【0019】
よって、収納体に物品をまとめて収納しても、収納体は記憶手段からの信号発信が可能となるように物品を収納する収納構造を備えているので、物品に付加された記憶手段の情報を読取手段で確実に読み取ることが可能となる。これにより、グループ(収納体)単位で物品を管理することができる。
【0020】
また、収納体と同数の格納体を用意しなくても、物品の管理が必要なときに収納体を移動して格納体に格納すれば、収納体に収納された物品の情報を把握することができる。すなわち、少ない数の受信手段及び読取手段によって物品管理装置を構築できるので、低コスト化が図れる。
【0021】
また、グループ(収納体)単位で一括して管理する物品を移動させたり、交換することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、前記収納体が前記格納体に格納された状態で、前記物品を前記収納体から前記格納体の外部に取り出す、又は前記物品を前記格納体の外部から前記収納体に入れる開口部が、前記格納体に設けられていることを特徴としている。
【0023】
請求項2に記載の発明では、格納体に開口部が設けられている。そして、収納体が格納体に格納された状態で、この開口部を介して、収納体から格納体の外部に物品を取り出したり、又は格納体の外部から収納体に物品を入れる。
【0024】
よって、収納体が格納体に格納された状態においても、物品の出し入れを行うことができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、前記収納体が前記格納体に格納された状態で、前記格納体の外部から前記物品が見えるように前記格納体に透明又は半透明の部材が設けられていることを特徴としている。
【0026】
請求項3に記載の発明では、収納体が格納体に格納された状態で、格納体の外部から物品が見えるように格納体に透明又は半透明の部材を設けることによって、収納体に物品を陳列することができる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、前記記憶手段から発信される信号は、電磁波であり、かつ前記格納体に設けられた発信手段から発信される電磁波を受信した前記記憶手段から発信されることを特徴としている。
【0028】
請求項4に記載の発明では、記憶手段から発信される信号は電磁波である。そして、格納体に設けられた発信手段から電磁波を発信し、この電磁波を受信した記憶手段から信号としての電磁波が発信される。
【0029】
よって、電磁波は電磁誘導等に比べて長い距離を伝送することができるので、発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【0030】
また、記憶手段が受信した電磁波のエネルギーによって記憶手段から電磁波を発信するので、記憶手段に電源を設ける必要がない。
【0031】
請求項5に記載の発明は、前記収納体の少なくとも一部は、電磁波を透過する材料によって形成されていることを特徴としている。
【0032】
請求項5に記載の発明では、電磁波を透過する材料によって収納体の少なくとも一部が形成されている。
【0033】
よって、記憶手段が収納体に覆われてしまうように物品が収納体に収納されてしまった場合においても、この記憶手段を覆っている収納体は電磁波を透過するので、記憶手段は、電磁波を受信することができ、さらには電磁波を発信することができる。
【0034】
また、収納体が障害物になってある方向から入射された電磁波が到達できなくなる領域(ヌルポイント)を減らすことができるので、格納体に設ける発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【0035】
また、収納体が電磁波を透過するので、発信手段や記憶手段から発信された電磁波の伝送経路中に収納体が存在しても、伝送の邪魔にならない。これにより、発信手段から電磁波が発信されてからこの電磁波を記憶手段が受信するまでの時間や、記憶手段から電磁波が発信されてからこの電磁波を受信手段が受信するまでの時間が短くなる。すなわち、物品に付加された記憶手段の情報を読取手段によって読み取る時間が短くなる。
【0036】
また、収納体が電磁波の伝送の邪魔にならないので、収納体の収納構造に自由度を与えることができる(例えば、棚構造を備えた収納体の棚板に、電磁波を透過する材料で形成された仕切り板を多く配置しても電磁波の伝送に大きな影響を与えない)。
【0037】
請求項6に記載の発明は、電磁波を反射する反射層が、前記収納体の少なくとも一部を覆うように前記格納体に設けられていることを特徴としている。
【0038】
請求項6に記載の発明では、電磁波を反射する反射層が格納体に設けられている。そして、この反射層は収納体の少なくとも一部を覆うように設けられている。
【0039】
よって、ある方向から入射された電磁波が到達できない位置に記憶手段が付加されている場合においても、反射層によって反射された電磁波がさまざまな角度から物品に入射するので、この電磁波を記憶手段が受信することができる。
【0040】
また、受信手段が設けられている位置とは異なった方向に、記憶手段から電磁波が発信された場合においても、この電磁波は、反射層に対する反射を繰り返すことにより受信手段に到達するので、この電磁波を受信手段が受信することができる。
【0041】
これらにより、格納体に設ける発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【0042】
また、反射層によって、格納体の外部に電磁波が漏洩するのを低減することができる。これにより、例えば、収納体がそれぞれ格納された2つの格納体を近づけて配置した場合においても、一方の格納体に設けられた発信手段やこの格納体内に存在する物品に付加された記憶手段から発信された電磁波が、他方の格納体に設けられた受信手段によって誤って受信されるのを防ぐことができる。
【0043】
請求項7に記載の発明は、電磁波を反射して散乱させる散乱層が、前記収納体の少なくとも一部を覆うように前記格納体に設けられていることを特徴としている。
【0044】
請求項7に記載の発明では、電磁波を反射して散乱させる散乱層が格納体に設けられている。そして、この散乱層は収納体の少なくとも一部を覆うように設けられている。
【0045】
電磁波の反射が同じ場所で繰り返されていると、これらの電磁波が重なり合って定在波が発生する。そして、この定在波と、発信手段や記憶手段から発信された電磁波とが干渉して電磁波を伝送できない領域(ヌルポイント)を作り出してしまうことがある。
【0046】
そこで、格納体に散乱層を設けることによって、散乱層に反射する電磁波を散乱させる。これにより、同じ場所で繰り返される電磁波の反射を減らして定在波の発生を低減することができるので、格納体に設ける発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【0047】
請求項8に記載の発明は、前記反射層又は前記散乱層の少なくとも一部が開閉可能であることを特徴としている。
【0048】
請求項8に記載の発明では、反射層又は散乱層の少なくとも一部が開閉可能になっている。
【0049】
これにより、収納体を格納体に格納した状態において、反射層又は散乱層の少なくとも一部を開状態にすれば、物品の出し入れを行うことができる。
【0050】
また、反射層又は散乱層の少なくとも一部を閉状態にすれば、収納体のより多くの面積を反射層又は散乱層によって覆うことができるので、発信手段や記憶手段から電磁波を発信させたときに、請求項6又は7の効果をより高めることができる。
【0051】
請求項9に記載の発明は、電磁波を吸収する吸収部材が、前記発信手段の周囲に設けられていることを特徴としている。
【0052】
請求項9に記載の発明では、発信手段の周囲に、電磁波を吸収する吸収部材が設けられている。
【0053】
電磁波の反射が同じ場所で繰り返されていると、これらの電磁波が重なり合って定在波が発生する。そして、この定在波と、発信手段や記憶手段から発信された電磁波とが干渉して電磁波を伝送できない領域(ヌルポイント)を作り出してしまうことがある。
【0054】
そこで、定在波が発生しやすい発信手段の周囲に吸収部材を設けることにより、この付近で繰り返し反射される電磁波を吸収する。これにより、定在波の発生を低減することができるので、格納体に設ける発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明は上記構成としたので、グループ単位で物品を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る物品管理装置を説明する。
【0057】
まず、本発明の第1の実施形態に係る物品管理装置について説明する。
【0058】
図1の平面図には、医療の学習を行う学習施設12が示されている。学習施設12は、周囲を外壁34で囲まれており、学習室14、廊下16、倉庫18によって構成されている。
【0059】
学習室14の全周に渡って廊下16が配置され、学習室14と廊下16との間には間仕切り壁20が設けられている。また、倉庫18は、廊下16を挟んで学習室14の隣りに配置され、廊下16と倉庫18の間には間仕切り壁22が設けられている。
【0060】
学習室14には、学習用テーブル26が3つ並んで配置され、略中央の学習用テーブル26付近には、後述する収納体としての移動棚28を搬出入するための出入口30A、30Bが設けられている。
【0061】
学習室14の周囲には、後述する格納体としての陳列庫32が、間仕切り壁20と交互に複数設置されている。そして、各陳列庫32には移動棚28がそれぞれ格納されている。
【0062】
倉庫18の中には、学習室14の周囲に設置された陳列庫32と同じ構成の陳列庫36が、外壁34に沿って5つ設置され、各陳列庫36には移動棚28がそれぞれ格納されている。
【0063】
また、学習室14の周囲に設置された陳列庫32と同じ構成の陳列庫38が、間仕切り壁22付近に1つ設置されている。この陳列庫38には移動棚28が格納されていない。
【0064】
さらに、倉庫18の中には、陳列庫に格納されていない6つの移動棚28が保管されている。
【0065】
間仕切り壁22にも移動棚28を搬出入するための出入口40が設けられている。
【0066】
図2に示すように、収納体としての移動棚28では、4枚の棚板42A〜42D(上から下に順に42A、42B、42C、42D)が、これらの棚板42A〜42Dの四隅で4本の角柱状の支柱44によって略水平に支持されている。すなわち、移動棚28は、板を平らにかけ渡して物品を載せる一般的な棚構造を備えるものである。
【0067】
支柱44の下端部にはキャスター46が設けられ、これによって移動棚28は水平方向に自由に移動可能となっている。
【0068】
棚板42A〜42Dの略中央には、板状の仕切部材48A〜48Cが棚板42B〜42Dの上面に対して略垂直にそれぞれ設けられている。仕切部材48A〜48Cの上端部は、これらの仕切部材48A〜48Cの上方に配置された棚板と接合され、仕切部材48A〜48Cの下端部は、これらの仕切部材48A〜48Cの下方に配置された棚板と接合されている。
【0069】
棚板42A〜42D、支柱44、仕切部材48A〜48Cは、低発泡プラスチックによって形成されている。低発泡プラスチックは、電磁波に対する反射損失が大きな材料なので(周波数が953MHzの電磁波に対する反射損失は23dB程度になる)、後述する発信手段としてのアンテナ50や記憶手段としてのICタグ52から発信される電磁波を透過させることができる。
【0070】
電磁波に対する反射損失とは、図3に示すように、ある対象物54に照射された電磁波56の電界強度に対する、この対象物54に反射した電磁波58Bの電界強度の減る度合いを示す値である。対象物54の内部で電磁波が吸収されなければ、電磁波に対する反射損失が大きいほど、電磁波に対する対象物の透過性が高く、電磁波に対する反射損失が小さいほど電磁波に対する対象物の透過性が低くなる。
【0071】
図2に示すように、移動棚28の下部には収納スペースが形成されており、ここに実習台62及びキャビネット64が格納される。実習台62及びキャビネット64の底部にはキャスター66、68がそれぞれ設けられ、これによって実習台62及びキャビネット64は水平方向に自由に移動可能となっている。
【0072】
実習台62及びキャビネット64は、移動棚28に格納した状態で移動棚28に固定できるようにしてもよい。このようにすれば、実習台62及びキャビネット64を移動棚28と一体に移動させることができる。
【0073】
棚板42B〜42D及び実習台62の上には、医療を学習するための教材(全身模型、胸部模型、頭部模型など)、医療器具、操作マニュアル、及びパソコン等の物品60が置かれている。説明の都合上、図2に示された物品60は全て同じ形状になっているが、全ての物品60が同じ物でなくてもよいし、棚板42B〜42D及び実習台62の全てに物品60が置かれていなくてもよい。
【0074】
棚板42B〜42D及び実習台62の上に置かれた物品60の側面には、記憶手段としてのICタグ52が付加されている。
【0075】
このICタグ52は、無線交信機能を有するICメモリであり、物品60の物品番号、製造メーカー名、製品名、型番、製造番号、納品日等の情報が記憶されている。また、ICタグ52には、953MHzのUHF帯の電磁波を受信し、さらにはICタグ52に記憶された情報を信号(953MHzのUHF帯の電磁波)として発信するためのアンテナを備えている。
【0076】
図2に示すように、移動棚28に備えられた棚構造では、棚板42B、42Cを介して上下に物品60が収納され、また、仕切部材48A〜48Cを介して左右に物品60が収納されている。また、棚板42A〜42D、仕切部材48A〜48C、及び支柱44は、電磁波を透過する低発泡プラスチックによって形成されている。
【0077】
すなわち、移動棚28は、ICタグ52からの電磁波の発信が可能となるように物品60を収納する収納構造を備えている。
【0078】
実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫32に格納された状態が図4に示されている。図4のA−A断面図である図5(A)、及び図5(A)のB−B断面図である図5(B)に示すように、格納体としての陳列庫32は、移動棚28が格納される略直方体の空間を囲む、鋼製の3枚の側板70A〜70Cと鋼製の1枚の天井板72によって構成されている。
【0079】
陳列庫32には、開口部74が設けられている。すなわち、陳列庫32の側面の内の一面が開放されている。そして、図1に示すように、この開口部74の開口面Fが学習室14に面するように、各陳列庫32は設置されている。
【0080】
図5(A)に示すように、陳列庫32の内側にはアンテナ50が設けられている。アンテナ50は、953MHzのUHF帯の電磁波の発信及び受信を行う。すなわち、アンテナ50は、信号の発信手段と受信手段の両方の役割りを兼ねている。
【0081】
図2、4、5(A)には、説明の都合上、1つのアンテナ50しか示されていないが、陳列庫32の大きさに応じた数のアンテナ50が陳列庫32の内側に設けられている。すなわち、1つ以上のアンテナ50が陳列庫32の内側に設けられている。そして、移動棚28に収納された物品60に付加されたICタグ52の全てに何れかのアンテナ50から発信された電磁波が到達でき、また、移動棚28に収納された物品60に付加されたICタグ52から発信された電磁波が何れかのアンテナ50に到達できるようになっている。
【0082】
図6に示すように、アンテナ50は、読取手段としてのリーダライタ装置76につなげられ、このリーダライタ装置76は、管理手段としてのパーソナルコンピューター78につなげられている。パーソナルコンピューター78は、必要に応じて、ICタグ発行器、サーバー、及び情報データベース等につなげてもよい。
【0083】
陳列庫32の内側に設けられた全てのアンテナ50は、1つのリーダライタ装置76につなげられている。リーダライタ装置76のアンテナ接続可能数を上回る数のアンテナ50を陳列庫32に設ける場合には、リーダライタ装置76を増やして、それぞれのリーダライタ装置76に複数のアンテナ50を分散させてつなげればよい。リーダライタ装置76の数を出来るだけ少なくして低コスト化を図るのが好ましい。
【0084】
これらの構成により、図5に示すように、移動棚28が陳列庫32に格納された状態において、パーソナルコンピューター78からの命令によって、リーダライタ装置76を介してアンテナ50から信号としての電磁波を発信する。
【0085】
そして、物品60に付加されたICタグ52に備えられたアンテナがこの電磁波を受信する。ここで、ICタグ52が受けた電磁波のエネルギーを電力に変換し、この電力を使って、ICタグ52に記憶された情報をICタグ52に備えられたアンテナから電磁波として発信する。
【0086】
ICタグ52から発信された電磁波はアンテナ50によってICタグ52と非接触で受信され、この電磁波はパーソナルコンピューター78からの命令により情報としてリーダライタ装置76に読み取られる。
【0087】
そして、これまで説明したように、物品管理装置10は、物品60に付加された記憶手段としてのICタグ52、格納体としての陳列庫32、36、38、陳列庫32、36、38に設けられた発信手段及び受信手段としてのアンテナ50、収納体としての移動棚28、及び読取手段としてのリーダライタ装置76によって構成されている。
【0088】
なお、陳列庫32に格納された移動棚28には、例えば、その日の学習で使用されるような直ぐに使用される物品60が収納されている。また、陳列庫36に格納された移動棚28には、その週に使用されるような短い期間内に使用される物品60が収納されている。また、陳列庫に格納されずに倉庫18に保管されている移動棚28には、何ヶ月後かに使用されるような長期間使用されない物品60が収納されている。
【0089】
次に、本発明の第1の実施形態に係る物品管理装置の作用及び効果について説明する。
【0090】
図1に示した学習施設12に物品管理装置10を適用した一例を説明する。
【0091】
学習室14の周囲に設置された陳列庫32の全てには、その日の学習で必要な物品60が収納された移動棚28が格納されている。
【0092】
まず、学習を開始する前に、陳列庫32に格納された移動棚28の物品収納状態を確認する。
【0093】
物品収納状態を確認する方法は、まず、パーソナルコンピューター78からの命令によって、リーダライタ装置76を介してアンテナ50から信号としての電磁波を発信する。そして、物品60に付加されたICタグ52がこの電磁波を受信し、この電磁波のエネルギーを使って、ICタグ52に記憶された情報をICタグ52から電磁波として発信する。ICタグ52から発信された電磁波はアンテナ50によって受信され、この電磁波はパーソナルコンピューター78からの命令により情報としてリーダライタ装置76に読み取られる。なお、以降の説明では、リーダライタ装置76及びアンテナ50をまとめて情報入手手段と呼ぶ。
【0094】
ここで、図2に示すように、移動棚28に備えられた棚構造では、棚板42B、42Cを介して上下に物品60が収納され、また、仕切部材48A〜48Cを介して左右に物品60が収納されている。また、移動棚28を構成する部材(棚板42A〜42D、支柱44、及び仕切部材48A〜48C)は、電磁波を透過する低発泡プラスチックによって形成されている。
【0095】
よって、ICタグ52が移動棚28の部材に覆われてしまうように物品60が移動棚28に収納されてしまった場合においても、このICタグ52を覆っている移動棚28の部材は電磁波を透過するので、ICタグ52は、電磁波を受信することができ、さらには電磁波を発信することができる。
【0096】
すなわち、物品60に付加されたICタグ52が仕切部材48A〜48C、支柱44、及び棚板42A〜42Dに接しないように物品60を棚板42B〜42D上に置かなくても、ICタグ52は、電磁波を受信することができ、さらには電磁波を発信することができる。
【0097】
このように、移動棚28はICタグ52からの信号発信が可能となるように物品60を収納する収納構造を備えているので、移動棚28に物品60をまとめて収納しても、物品60に付加されたICタグ52の情報をリーダライタ装置76で確実に読み取ることが可能となる。これにより、グループ(移動棚28)単位で物品60を管理することができる。
【0098】
また、電磁波を透過する材料によって移動棚28が形成されているので、移動棚28が電磁波の障害物になってある方向から入射された電磁波が到達できなくなる領域(ヌルポイント)を減らすことができる。これにより、陳列庫32に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0099】
また、移動棚28が電磁波を透過するので、アンテナ50やICタグ52から発信された電磁波の伝送経路中に移動棚28が存在しても、伝送の邪魔にならない。これにより、アンテナ50から電磁波が発信されてからこの電磁波をICタグ52が受信するまでの時間や、ICタグ52から電磁波が発信されてからこの電磁波をアンテナ50が受信するまでの時間が短くなる。すなわち、物品60に付加されたICタグ52の情報をリーダライタ装置76によって読み取る時間が短くなる。
【0100】
また、移動棚28が電磁波の伝送の邪魔にならないので、移動棚28の収納構造に自由度を与えることができる(例えば、棚構造を備えた移動棚28の棚板42B〜42Dに、電磁波を透過する材料によって形成された仕切部材を多く配置しても電磁波の伝送に大きな影響を与えない)。
【0101】
また、電磁波は電磁誘導等に比べて長い距離を伝送することができるので、発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0102】
また、ICタグ52が受信した電磁波のエネルギーによってICタグ52から電磁波を発信するので、ICタグ52に電源を設ける必要がない。
【0103】
次に、移動棚28の物品収納状態を確認した結果、学習に必要な物品60が不足していたり、間違った物品60が収納されていたり、又は間違った移動棚28が陳列庫32に格納されていた等の場合には、物品60を補充したり、物品60を個々に交換したり、又は移動棚28毎一括して交換する。
【0104】
このとき、陳列庫32には開口部74が設けられているので、移動棚28が陳列庫32に格納された状態においても、移動棚28への物品60の出し入れを行うことができる。
【0105】
また、物品60は、移動棚28に収納されているので、グループ(移動棚28)単位で一括して管理する物品60を移動させたり、交換することができる。
【0106】
移動棚28毎一括して交換する場合には、陳列庫32の開口部74から移動棚28を学習室14内に引き出した後、移動棚28を、学習室14の出入口30A、30B、廊下16、倉庫18の出入口40の順に移動させて倉庫18に運び込む。そして、ここで正規の移動棚28と交換し、倉庫18の出入り口40、廊下16、学習室14の出入口30A、30Bの順に移動させて元の陳列庫32に格納する。
【0107】
物品60の補充や交換は、移動棚28毎一括して交換する場合と同様に移動棚28を倉庫18まで移動させて、この倉庫18内で行ってもよい。
【0108】
次に、学習が開始される。学習中においても、陳列庫32に格納された移動棚28の物品収納状態を情報入手手段によって常に確認し続ける。
【0109】
これによって、例えば、学習室14にモニターを設けておき、その学習に必要な物品60が移動棚28から取り出されていないときにはその物品60を表示して知らせたり、又は移動棚28から取り出された物品60に対応した学習映像を自動的にモニターに映し出すことができる。
【0110】
また、物品60が移動棚28から取り出された回数を記録し、学習した回数を把握したり、物品60のメンテナンスのタイミングを決めることができる。
【0111】
さらには、その日に取り出された物品60から、学習の進捗度を把握し、この進捗度に応じて翌日用に設置する移動棚28に収納する物品60を入れ替えることができる。
【0112】
そして、この他にも、目的に応じて物品管理装置10をさまざまな運用形態に適用することができる。
【0113】
次に、学習が終了したときには、陳列庫32に格納された各移動棚28に所定の物品60が戻されているかを情報入手手段によって確認し、各移動棚28に所定の物品60が戻されていない場合には、例えば、モニターにこの状態を表示し、適切な移動棚28に物品60を戻す(例えば、どの移動棚28の物品60をどの移動棚28に移すといったような)作業手順が示される。また、物品60が消耗品である場合には、情報入手手段によってこの物品60が不足していることがわかるので、この物品60の補充が確実に行われる。
【0114】
次に、学習が終了した後に、陳列庫32に格納されていた移動棚28を、翌日の学習に必要な移動棚28と交換する。移動棚28の交換方法は、先に説明した(学習に必要な物品60が不足していた等の場合に移動棚28毎一括して交換する)方法と同様である。
【0115】
倉庫18の陳列庫36には、その週の学習に必要な物品60が収納された移動棚28が格納されているので、この移動棚28と交換するだけでよい。この交換前に、交換する移動棚28の物品収納状態を情報入手手段によって確認すれば、移動棚28の交換間違いを防ぐことができる。
【0116】
また、倉庫18で、移動棚28に収納されている物品60を個々に交換したり、物品60を移動棚28に補充し、その場で翌日の学習内容に応じた物品60が収納された移動棚28を用意して、この移動棚28を移動させて学習室14の周囲に設置された陳列庫32に格納してもよい。
【0117】
各陳列庫36にそれぞれ格納された移動棚28に収納されている物品60の収納状態は情報入手手段によって確認することができるので、学習内容に応じた物品60が収納された移動棚28を用意する場合において、「どの移動棚28にあるどの物品60をどの移動棚28にあるどの物品60と交換する。」、「どの移動棚28にあるどの物品60をどの移動棚28に移す。」、又は「どの移動棚28にどの物品60を補充する。」等といった物品60の交換、移動、又は補充作業を効率よく行うことができる。
【0118】
陳列庫に格納されずに倉庫18に保管されている移動棚28には、何ヶ月後かに使用されるような長期間使用されない物品60が収納されている。このような移動棚28に収納されている物品60を予定外に直ぐに使用する必要が生じた際には、間仕切り壁22付近に設置されている陳列庫38にこの移動棚28を格納し、この移動棚28に収納されている物品60の収納状態を情報入手手段によって確認する。
【0119】
このように、物品管理装置10においては、移動棚28と同数の陳列庫を用意しなくても、物品60の管理が必要なときに移動棚28を移動して陳列庫に格納すれば、移動棚28に収納された物品60の情報を把握することができる。すなわち、物品管理装置10に用いる、発信手段及び受信手段としてのアンテナ50や読取手段としてのリーダライタ装置の数を少なくすることができるので、低コスト化が図れる。
【0120】
次に、翌日の学習に必要な移動棚28が設置された後も各移動棚28の物品収納状態を陳列庫32、36の情報入手手段によって終日確認し続ける。これにより、物品60の盗難を防止することができる。
【0121】
なお、第1の実施形態では、移動棚28を低発泡プラスチックによって形成した例を示したが、電磁波を透過する材料や部材によって形成されていればよく、アクリル板、ペーパーハニカム板等によって移動棚28を形成してもよい。電磁波に対する反射損失が20dB以上の材料によって移動棚28を形成すれば、より優れた電磁波に対する透過性能を発揮できるので好ましい。
【0122】
電磁波を透過する材料によって形成された移動棚28(特に、棚板42B〜42D)の表面を、フェルト、塩化ビニールシート、ポリ合金、メラミン樹脂等で覆って表面を保護するようにしてもよい。
【0123】
また、移動棚28の収納構造は、ICタグ52からの信号(電磁波)の発信が可能となるように物品60を収納する収納構造であればよい。すなわち、棚板及び仕切部材はどのような形状や配置であってもよいし、例えば、キャビネット等のような棚構造以外の収納構造であってもよい。
【0124】
また、移動棚28を構成する部材(棚板42A〜42D、支柱44、及び仕切部材48A〜48C)の一部又は全部に複数の穴を設けたり、格子状や網状等の部材によって移動棚28の一部又は全部を形成して電磁波に対する透過性を向上させてもよい。この場合、移動棚28の一部又は全部は、電磁波を透過する材料によって形成してもよいし、電磁波に対する十分な透過性が得られるのであれば電磁波を透過する材料でなくてもよい。
【0125】
また、物品60の収納の仕方に応じて移動棚28の一部を電磁波を透過する材料で形成してもよい。例えば、ICタグ52が必ず物品60の側面にくるように物品60を棚板42B〜42D上に置くのであれば、仕切部材48A〜48Cと支柱44だけを電磁波を透過する材料で形成すればよい。また、図2に示すように、ICタグ52を物品60の側面に付加し、物品60を仕切部材48A〜48Cや支柱44に接しないように物品60を棚板42B〜42D上に置くのであれば、電磁波を透過する材料で移動棚28を形成しなくてもよく、電磁波の吸収性の低い材料によって形成すればよい。
【0126】
また、鋼製の側板70A〜70C、及び鋼製の天井板72によって、陳列庫32、36、38を構成した例を示したが、側板70A〜70C、及び天井板72を形成する材料は電磁波を吸収する材料でなければよく、アルミニウムやステンレス等の板を側板及び天井板としてもよい。また、陳列庫32、36、38の形状は、移動棚28を覆う形状であればよい。
【0127】
開口部74は、陳列庫32、36、38のどの場所に設けられていてもよいし、陳列庫32、36、38に複数設けられていてもよい。
【0128】
また、移動棚28、実習台62、キャビネット64にICタグ52を付加して、ICタグ52に記憶されたこれら(移動棚28、実習台62、キャビネット64)の情報を管理してもよい。
【0129】
また、倉庫18に固定棚を設けて、移動棚28と併用してもよい。
【0130】
次に、本発明の第2の実施形態に係る物品管理装置について説明する。
【0131】
第2の実施形態は、第1の実施形態の陳列庫32を、電磁波を反射する反射層が設けられた陳列庫としたものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0132】
図7(A)の側断面図、及び図7(A)のC−C断面図である図7(B)の平断面図には、実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫80に格納されている状態が示されている。図7(A)、(B)に示すように、格納体としての陳列庫80は、移動棚28が格納される略直方体の空間を囲む木製の3枚の側板82A〜82Cと木製の1枚の天井板84によって構成されている。
【0133】
そして、第1の実施形態の陳列庫32と同様に、陳列庫80には、開口部88が設けられている。すなわち、陳列庫80の側面の内の一面が開放されている。そして、この開口部88の開口面Gが学習室14に面するように、各陳列庫80は学習室14の周囲に設置されている。
【0134】
側板82A〜82Cと天井板84の内側には、電磁波を反射する反射層としてのアルミニウムシート86が設けられている。すなわち、開口面Gを除いて移動棚28を覆うようにアルミニウムシート86が陳列庫80に設けられている。
【0135】
アルミニウムシート86は、電磁波に対する透過損失が大きな材料なので(周波数が953MHzの電磁波に対する透過損失は80dB程度になる)、発信手段としてのアンテナ50や記憶手段としてのICタグ52から発信される電磁波を反射することができる。
【0136】
電磁波に対する透過損失とは、図3に示すように、ある対象物54に照射された電磁波56の電界強度に対する、この対象物54で透過した電磁波58Aの電界強度の減る度合いを示す値である。対象物54の内部で電磁波が吸収されなければ、電磁波に対する透過損失が大きいほど、電磁波に対する対象物の反射性が高く、電磁波に対する透過損失が小さいほど電磁波に対する対象物の反射性が低くなる。
【0137】
次に、本発明の第2の実施形態に係る物品管理装置の作用及び効果について説明する。
【0138】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0139】
また、図7(A)、(B)に示すように、ある方向から入射された電磁波が到達できない位置にICタグ52が付加されている場合においても、アルミニウムシート86によって反射された電磁波がさまざまな角度から物品60に入射するので、この電磁波をICタグ52が受信することができる。
【0140】
また、受信手段としてのアンテナ50が設けられている位置とは異なった方向に、ICタグ52から電磁波が発信された場合においても、この電磁波は、アルミニウムシート86に対する反射を繰り返すことにより受信手段としてのアンテナ50に到達するので、この電磁波をアンテナ50が受信することができる。
【0141】
これらにより、陳列庫80に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0142】
また、アルミニウムシート86によって、陳列庫80の外部に電磁波が漏洩するのを低減することができる。これにより、例えば、移動棚28がそれぞれ格納された2つの陳列庫80を近づけて配置した場合においても、一方の陳列庫80に設けられた発信手段としてのアンテナ50やこの陳列庫80内に存在する物品60に付加されたICタグ52から発信された電磁波が、他方の陳列庫80に設けられた受信手段としてのアンテナ50によって誤って受信されるのを防ぐことができる。
【0143】
なお、第2の実施形態では、反射層としてアルミニウムシート86を用いた例を示したが、反射層は電磁波を反射するものであればよく、鉄板、銅箔、ステンレスメッシュ等の導電性を有する材料を用いることができる。また、電磁波に対する透過損失が5dB程度の材料を用いて電磁波の反射を抑えれば、開口部88からの電磁波の漏洩を低減することができる。
【0144】
次に、本発明の第3の実施形態に係る物品管理装置について説明する。
【0145】
第3の実施形態は、第1の実施形態の陳列庫32を、電磁波を反射して散乱させる散乱層が設けられた陳列庫としたものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0146】
図8(A)の側断面図、及び図8(A)のD−D断面図である図8(B)の平断面図には、実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫90に格納されている状態が示されている。図8(A)、(B)に示すように、格納体としての陳列庫90は、移動棚28が格納される略直方体の空間を囲む木製の3枚の側板92A〜92Cと木製の1枚の天井板94によって構成されている。
【0147】
そして、第1の実施形態の陳列庫32と同様に、陳列庫90には、開口部96が設けられている。すなわち、陳列庫90の側面の内の一面が開放されている。そして、この開口部96の開口面Hが学習室14に面するように、各陳列庫90は学習室14の周囲に設置されている。
【0148】
側板92A〜92Cと天井板94の内側には、電磁波を反射して散乱させる散乱層98が設けられている。すなわち、開口面Hを除いて移動棚28を覆うように散乱層98が陳列庫90に設けられている。
【0149】
散乱層98は、電磁波を反射して散乱させるものであればよく、例えば、電磁波を反射する材料で表面が覆われた角錐状の部材を敷き並べて形成してもよいし、電磁波を反射する材料で表面が覆われた波板等を用いてもよい。
【0150】
次に、本発明の第3の実施形態に係る物品管理装置の作用及び効果について説明する。
【0151】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0152】
また、一般に、電磁波の反射が同じ場所で繰り返されていると、これらの電磁波が重なり合って定在波が発生することがある。そして、この定在波と、発信手段としてのアンテナ50やICタグ52から発信された電磁波とが干渉して電磁波を伝送できない領域(ヌルポイント)を作り出してしまうことがある。
【0153】
そこで、第3の実施形態では図8(A)、(B)に示すように、陳列庫90に散乱層98を設けることによって、散乱層98に反射する電磁波を散乱させる。これにより、同じ場所で繰り返される電磁波の反射を減らして定在波の発生を低減することができるので、陳列庫90に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0154】
次に、本発明の第4の実施形態に係る物品管理装置とその作用及び効果について説明する。
【0155】
第4の実施形態は、第2の実施形態の陳列庫80の開口面Gを覆うように反射層を設け、この反射層を開閉可能にしたものである。したがって、以下の説明において、第2の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0156】
図9の側断面図には、実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫100に格納されている状態が示されている。陳列庫100は、図7(A)の陳列庫80と同様に、移動棚28が格納される略直方体の空間を囲む木製の3枚の側板82A〜82Cと木製の1枚の天井板84によって構成されている。
【0157】
また、陳列庫100に設けられた開口部88の開口面Gを覆うように、電磁波を遮蔽する巻き取り式のスクリーン102が展開されている。スクリーン102の内側には電磁波を反射する反射層が形成されている(不図示)。反射層は、導電性の布で形成するのが好ましい。
【0158】
そして、必要に応じてスクリーン102をローラー104によって巻き上げて開口面Gから物品60を見たり、物品60の出し入れを行う。すなわち、陳列庫100に設けられた反射層の一部を開状態にすることによって、移動棚28を陳列庫100に格納した状態においても、物品60の出し入れを行うことができる。
【0159】
また、開口面Gを覆うようにスクリーン102を展開させることにより、移動棚28のより多くの面を反射層によって覆った状態にできるので、発信手段としてのアンテナ50や記憶手段としてのICタグ52から電磁波を発信させたときに、陳列庫100の外部に電磁波が漏洩するのを低減することができる。また、電磁波の反射回数が増えて電磁波の動きが活発になるので、陳列庫100に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数をより少なくすることができる。
【0160】
なお、第4の実施形態では、スクリーン102に形成されて開口面Gを覆う反射層を開閉可能にした例を示したが、これに限らず、陳列庫に設けられた反射層のどの部分を開閉可能にしてもよいし、陳列庫に設けられた反射層の全てを開閉可能にしてもよい。
【0161】
例えば、図10の平断面図に示すように、陳列庫80を構成する側板82Bをこの側板82Bに設けられたアルミニウムシート86と一体に2分割し、この2分割された各側板の端部にヒンジ106を設けて側板82Bを開き戸にしてもよい。
【0162】
このようにして、この側板82Bに設けられた反射層としてのアルミニウムシート86を開閉可能にすることにより、廊下16側から移動棚28を陳列庫80に出し入れすることができる。
【0163】
また、反射層の開閉機構を巻き取り式のスクリーン102とした例を示したが、反射層が開閉できる機構であればよく、例えば、図11(A)、(B)の平断面図に示す機構を用いてもよい。
【0164】
図11(A)に示すように、陳列庫108にはこの陳列庫108の開口面Gを覆うように、蛇腹式の開閉扉110が設けられている。開閉扉110の内側には電磁波を反射する反射層が設けられている(不図示)。図11(A)は、開閉扉110を閉じて開口面Gを覆っている状態を示し、図11(B)は、開閉扉110を開けている状態を示している。
【0165】
また、開閉扉110の代わりに、陳列庫108の開口面Gを覆うように透明又は半透明の部材を設けてもよい。このようにすれば、移動棚28が陳列庫108に格納された状態で、陳列庫108の外部から物品60が見えるようになるので、移動棚28に物品60を陳列することができる。透明又は半透明の部材に枠を設けて引き戸や開き戸のようにすれば、陳列庫108への移動棚28の出し入れができ、また、移動棚28が陳列庫108に格納された状態においても、物品60の出し入れを行うことができる。また、この透明又は半透明の部材に電磁波シールド性を持たせてもよい。
【0166】
また、スクリーン102や開閉扉110の内側に、電磁波を反射して散乱させる散乱層を設けてもよい。移動棚28の少なくとも一部を覆うようにして、散乱層を陳列庫の内側に設けている場合には、この散乱層のどの部分を開閉可能にしてもよいし、陳列庫に設けられた散乱層の全てを開閉可能にしてもよい。例えば、図8に示した陳列庫90を構成する側板92Bに設けられた散乱層98をこの側板92Bと一体に開閉するようにしてもよい。
【0167】
次に、本発明の第5の実施形態に係る物品管理装置とその作用及び効果について説明する。
【0168】
第5の実施形態は、第2の実施形態の陳列庫80に備えられたアンテナ50の周囲に電磁波を吸収する吸収部材を設けたものである。したがって、以下の説明において、第2の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0169】
図12は、図7(A)に示した陳列庫80の内側に設けられた発信手段及び受信手段としてのアンテナ50を拡大して示したものである。
【0170】
図12に示すように、発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の周囲に、電磁波を吸収する吸収部材112が設けられている。天井板84の端部には、吸収部材112を固定しやすいように、天井板84と同じ材料で形成された突出部114が設けられており、この突出部114の内側にもアルミニウムシート86が設けられている。
【0171】
陳列庫80の内側には1つ以上のアンテナ50が設けられているが、吸収部材112はこれらの全てのアンテナ50の周囲に設けてもよいし、一部のアンテナ50の周囲に設けてもよい。
【0172】
電磁波の反射が同じ場所で繰り返されていると、これらの電磁波が重なり合って定在波が発生する。そして、この定在波と、発信手段としてのアンテナ50や記憶手段としてのICタグ52から発信された電磁波とが干渉して電磁波を伝送できない領域(ヌルポイント)を作り出してしまうことがある。
【0173】
そこで、第5の実施形態では、定在波が発生しやすい発信手段としてのアンテナ50の周囲に吸収部材112を設けることにより、この付近で繰り返し反射される電磁波を吸収する。これにより、定在波の発生を低減することができるので、格納体に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0174】
なお、吸収部材112は、電磁波を吸収する材料によって形成されていればよく、例えば、フェライトタイル、ゴムフェライト、カーボン混入発泡材等を用いることができる。電磁波に対する反射減衰量が20dB以上の材料によって吸収部材112を形成すれば、より高い電磁波吸収性を得ることができる。
【0175】
また、第5の実施形態では、第2の実施形態の陳列庫80に備えられたアンテナ50の周囲に吸収部材112を設けた例を示したが、第1の実施形態で示した陳列庫32、36、38、第3の実施形態で示した陳列庫90、及び第4の実施形態で示した陳列庫80、100、108に備えられた少なくとも1つのアンテナ50の周囲に吸収部材112を設けてもよく、これらの場合においても、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0176】
なお、第1〜第5の実施形態では、発信手段としてのアンテナ50及び記憶手段としてのICタグ52から発信する信号として953MHzのUHF帯の電磁波を用いた例を示したが、信号は電磁波であればよい。2.45GHzの電磁波(マイクロ波)は一般に2m程度までの伝送距離が得られるので好ましく、953MHzのUHF帯の電磁波は一般に5m程度までの伝送距離が得られるのでより好ましい。
【0177】
また、第2、第4、及び第5の実施形態で示した反射層86や、第3の実施形態で示した散乱層98は、移動棚28の一部を覆っていたが、反射層86や散乱層98は、移動棚28の少なくとも一部を覆うように設けてもよい。
【0178】
また、第1〜第5の実施形態では、物品管理装置10を学習施設12に適用した例を示したが、物品管理装置10の適用範囲はこれに限らず、倉庫の在庫管理、スーパーマーケットの在庫管理や陳列品管理、病院における医療資材管理等に適用してもよい。
【0179】
ICタグ52に記憶させる情報の内容は、物品管理装置10の適用対象に応じて適宜決めればよく、アンテナ50からICタグ52に情報を送り、新たな情報をこのICタグ52に記憶させてもよい。例えば、物品60の利用回数やメンテナンスの記録等の情報をアンテナ50からICタグ52に送り、この情報をICタグ52に記憶させてもよい。
【0180】
また、第1〜第5の実施形態では、発信手段と受信手段の両方の機能を有するアンテナ50を用いた例を示したが、発信手段と受信手段とで別々のアンテナを設けてもよい。
【0181】
また、第1〜第5の実施形態では、パッシブタイプのICタグ52を用いた例を示したが、電源が備えられたアクティブタイプのICタグを用いてもよい。また、ICタグ52は、ラベル型、カード型、コイン型、及びスティック型等のどのような形状のものであってもよい。
【0182】
また、図1では、学習施設12に物品管理装置10を適用した場合の陳列庫32、36、38、及び移動棚28の配置の一例を示したが、陳列庫32、36、38、及び移動棚28の配置は必要に応じて適宜決めればよいし、また、全ての陳列庫に移動棚を格納していなくてもよい。
【0183】
例えば、学習施設12における陳列庫32、36、38、及び移動棚28の配置を図13のようにしてもよい。
【0184】
図13では、学習室14の周囲に複数の移動棚28が配置されている。また、学習室14の出入口30A、30B付近の廊下16に、移動棚28が格納されていない陳列庫32が設置されている。
【0185】
倉庫18における陳列庫36、38、及び移動棚28の配置は、図1と同様である。
【0186】
物品60の管理を頻繁に必要としない場合には、このように移動棚28を格納していない陳列庫32を出入口30A、30B付近に配置し、例えば、移動棚28の搬入及び搬出時等のときに学習室14の出入口30A、30B付近に設けられた陳列庫32で物品60の状態を把握する。
【0187】
このようにして、移動棚28と同数の陳列庫を用意しなくても、物品60の管理が必要なときに移動棚28を移動して陳列庫に格納すれば、移動棚28に収納された物品60の情報を把握することができる。すなわち、少ない数のアンテナ50及びリーダライタ装置76で物品管理装置10を構築することができるので、低コスト化が図れる。
【0188】
以上、本発明の第1〜第5の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜第5の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
(実施例)
図14は、図15に示す計測装置の構成により、本発明の収納体(第1〜第5の実施形態における移動棚28)を形成する一例としての材料の電磁波透過性能を評価した実験結果である。
【0189】
図15に示すように、電波暗室118の内部に、送信アンテナ122及び受信アンテナ124が設置されている。送信アンテナ122及び受信アンテナ124には、広帯域アンテナのログペリオディックアンテナが用いられている。
【0190】
電波暗室118の天井、床、及び側壁は、電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽層120を外側に設け、さらに、電磁波を吸収する電磁波吸収層140を内側に設けた二重構造になっている。
【0191】
電波暗室118の床上には、架台150が設置されている。そして、この架台150の上に、後述する試験体126、128、130、132、134、136、138が各実験毎に置かれる。
【0192】
送信アンテナ122は、略垂直に立てられた支柱142の上方から張り出した支持部材146の端部に固定されている。また、受信アンテナ124は、略垂直に立てられた支柱144の上方から張り出した支持部材148の端部に固定されている。
【0193】
送信アンテナ122は、この送信アンテナ122の電磁波発信源から試験体126、128、130、132、134、136、138の上面までの距離L1が2mとなり、鉛直方向に対する入射角θ1が10゜となるように支持部材146に固定されている。
【0194】
また、受信アンテナ124は、この受信アンテナ124の電磁波受信源から試験体126、128、130、132、134、136、138の上面までの距離L2が2mとなり、鉛直方向に対する入射角θ2が10゜となるように支持部材148に固定されている。
【0195】
支柱142、144、支持部材146、148、及び架台150は、電磁波に対する透過性が高い材料によって形成されている。
【0196】
試験体126は、木製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ0.5mmの銅箔で覆ったものである。
【0197】
試験体128は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の表面には何も覆っていないものである。
【0198】
試験体130は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ1mmのフェルトで覆ったものである。
【0199】
試験体132は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ0.1mmの塩化ビニールシートで覆ったものである。
【0200】
試験体134は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ2mmのポリ合板で覆ったものである。
【0201】
試験体136は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ0.5mmのメラミン樹脂で覆ったものである。
【0202】
試験体126、128、130、132、134、136のベース部材の外形寸法は、縦1200mm×横1200mm×厚さ20mmである。
【0203】
試験体138は、一般に会議用デスクとして用いられている材料の構成を有している。試験体138は、木製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ0.5mmのメラミン化粧合板で覆ったものである。試験体138のベース部材の外形寸法は、縦1800mm×横1200mm×厚さ25mmである。
【0204】
計測は、始めに試験体126を架台150の上に置き、送信アンテナ122から電磁波を照射する。そして、この照射された電磁波の内、試験体126に反射して受信アンテナ124に入射する電磁波の電界強度A1(dBμV)を計測する。
【0205】
次に、各実験毎に、試験体128、130、132、134、136、138を架台150の上にそれぞれ置いた状態で、送信アンテナ122から電磁波を照射する。そして、この照射された電磁波の内、試験体128、130、132、134、136、138に反射して受信アンテナ124に入射する電磁波の電界強度A2(dBμV)を計測する。
【0206】
この電界強度A2の値から電界強度A1の値を引いた値をそれぞれ求め、この値(A2−A1)の絶対値を反射損失の値とする。
【0207】
そして、この計測を400MHz〜1000MHzの周波数のTE波(Transverse Electric Wave)に対して行った。TE波とは、電気ベクトルの振動方向が入射面に垂直で、磁気ベクトルの振動方向が入射面内にある波のことである。
【0208】
図14の符号128A、130A、132A、134A、136A、138Aは、図15に示した架台150の上に、各実験毎に試験体128、130、132、134、136、138をそれぞれ置いたときの計測値である。また、図14の横軸には周波数(MHz)が示され、縦軸には電界強度A2の値から電界強度A1の値を引いた値が示されている。
【0209】
図14では、縦軸の下方の値を示す(A2−A1の値が小さい)程、電磁波に対する反射損失は高い(電磁波に対する透過性能が高い)ことになる。
【0210】
なお、電界強度A2の値から電界強度A1の値を引いた値の絶対値を反射損失としたので、例えば、グラフの値が−25dBである場合の反射損失は25dBとなる。
【0211】
図14からわかるように、試験体128、130、132、134、136、138は、400MHz〜1000MHzの電磁波に対して約12dB以上の反射損失を得ることができる。
【0212】
また、一般的なICタグで主に用いられている953MHzの電磁波においては、試験体128、130、132が電磁波に対して優れた透過性能を発揮し、電磁波に対して22dB程度の反射損失を得ることができる。
【0213】
よって、収納体(移動棚28)を形成する材料として発泡プラスチックを用いれば、電磁波に対する優れた透過性を発揮することができる。また、この発泡プラスチックをベース部材にして、この発泡プラスチックの全表面をフェルトや塩化ビニールシートで覆った場合にも、発泡プラスチックの有する電磁波に対する透過性を低下させない(反射損失を小さくしない)。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る物品管理装置を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る反射損失を説明する説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す側断面図及び平断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ及びリーダライタ装置を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す側断面図及び平断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す側断面図及び平断面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す側断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す平断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す平断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る吸収部材を示す拡大図である。
【図13】本発明の実施形態に係る物品管理装置の変形例を示す平面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る実施例の実験における、周波数に対するA2−A1の値を示す線図である。
【図15】本発明の実施形態に係る実施例の計測装置を示す説明図である。
【図16】従来の在庫管理システムを示す説明図である。
【符号の説明】
【0215】
10 物品管理装置
28 移動棚(収納体)
32、36、38、80、90、100、108 陳列庫(格納体)
50 アンテナ(発信手段、受信手段)
52 ICタグ(記憶手段)
60 物品
74、88、96 開口部
76 リーダライタ装置(読取手段)
86 アルミニウムシート(反射層)
98 散乱層
112 吸収部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報が記憶された記憶手段を物品に付加し、この情報を利用して物品の管理を行う物品管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等で扱われる物品にICタグを貼り付けて、物品の管理を行う物品管理システムが提案されている。
【0003】
このような物品管理システムで用いられるICタグには、用途に応じた情報が記憶されている。そして、無線交信機能を備えたリーダライタ装置によって、このICタグに記憶されている情報を読み取ったり、又は新たな情報をICタグに書き込むことができる。
【0004】
情報を伝達する方式には、電磁誘導方式と電波方式がある。電磁誘導方式は、受発信手段(アンテナ)のコイルと記憶手段(ICタグ)のコイルとを磁束結合させてエネルギーや信号を伝達する。そして、電波方式は、受発信手段(アンテナ)と記憶手段(ICタグ)との間で電磁波のやりとりを行ってエネルギーや信号を伝達する。
【0005】
電磁誘導方式は電波方式に比べてエネルギーを効率的に伝達できるので、開発が先行し普及しているが、通信可能距離は非常に小さく数十cm程度である。これに対して、電波方式は、電磁波を空間に放射して伝達するので、より遠くのICタグ(UHF帯域の電磁波を利用する場合、5m程度)との通信が可能になる。よって、電波方式のICタグを用いれば、受発信手段(アンテナ)の数を少なくすることができる。また、この電波方式のICタグは、近年の技術革新により品質安定と低コスト化が進展しており、今後の普及の本命とされている。
【0006】
しかし、例えば、複数の陳列棚が設置されているスーパーマーケットにおいて、この陳列棚に置かれた物品のそれぞれに電波方式のICタグを付加し、店内に複数の受発信手段(アンテナ)を設置して物品管理を行う場合には、これらの受発信手段(アンテナ)を介してリーダライタ装置が読み取った情報が、どの陳列棚に置かれた物品に付加されたICタグからの情報であるかを特定できない。すなわち、グループ(陳列棚)単位で物品を管理することが難しい。
【0007】
図16に示すように、特許文献1の在庫管理システムでは、収納設備250に備えられた6つの収納庫252A〜252Fの何れかに、ICタグが付加された物品254A〜254Fが収容されている。
【0008】
収納庫252A〜252Fには、ICタグの記録内容を無線で読み取るリーダ装置256A〜256Fがそれぞれ設置されている。
【0009】
また、収納庫252A〜252Fを囲む隔壁258の内側には、金属層からなる遮蔽手段260A〜260Fがそれぞれ形成されている。
【0010】
そして、収納庫252A〜252Fの何れかに収容されている物品254A〜254Fに付加されたICタグの記録内容をリーダ装置256A〜256Fによって読み取り、リーダ装置256A〜256Fが読み取った記録内容に基づいて管理手段262が収納庫252A〜252F内の物品の在庫を確認する。また、遮蔽手段260A〜260Fによって、別の収納庫内に収容された物品に付加されたICタグの記録内容を誤って読み取ることがない。
【0011】
よって、グループ(収納庫252A〜252F)単位で物品の在庫状態を把握することができる。
【0012】
しかし、特許文献1の在庫管理システムにおいて、収納庫に複数の物品をまとめて収納した場合、この状態では互いの物品によってICタグが隠れてしまうこともあり、個々のICタグの記録内容を読み取ることが困難なので、グループ単位で物品の在庫状態を把握することが難しくなる。
【特許文献1】特開2006−264942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は係る事実を考慮し、グループ単位で物品を管理することが可能な物品管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載の発明は、物品に付加され、記憶された情報を信号として発信する記憶手段と、格納体に設けられ、前記記憶手段から発信された信号を前記記憶手段と非接触で受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された信号を情報として読み取る読取手段と、移動して前記格納体に格納され、前記記憶手段からの信号発信が可能となるように前記物品を収納する収納構造を備えた収納体と、を有することを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載の発明では、物品に記憶手段が付加されている。記憶手段には情報が記憶されており、記憶手段に記憶された情報がこの記憶手段から信号として発信される。
【0016】
また、受信手段が格納体に設けられている。この受信手段は、記憶手段から発信された信号を記憶手段と非接触で受信する。
【0017】
受信手段によって受信された信号は、読取手段により情報として読み取られる。
【0018】
また、収納体が移動して格納体に格納される。この収納体は、記憶手段からの信号発信が可能となるように物品を収納する収納構造を備えている。
【0019】
よって、収納体に物品をまとめて収納しても、収納体は記憶手段からの信号発信が可能となるように物品を収納する収納構造を備えているので、物品に付加された記憶手段の情報を読取手段で確実に読み取ることが可能となる。これにより、グループ(収納体)単位で物品を管理することができる。
【0020】
また、収納体と同数の格納体を用意しなくても、物品の管理が必要なときに収納体を移動して格納体に格納すれば、収納体に収納された物品の情報を把握することができる。すなわち、少ない数の受信手段及び読取手段によって物品管理装置を構築できるので、低コスト化が図れる。
【0021】
また、グループ(収納体)単位で一括して管理する物品を移動させたり、交換することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、前記収納体が前記格納体に格納された状態で、前記物品を前記収納体から前記格納体の外部に取り出す、又は前記物品を前記格納体の外部から前記収納体に入れる開口部が、前記格納体に設けられていることを特徴としている。
【0023】
請求項2に記載の発明では、格納体に開口部が設けられている。そして、収納体が格納体に格納された状態で、この開口部を介して、収納体から格納体の外部に物品を取り出したり、又は格納体の外部から収納体に物品を入れる。
【0024】
よって、収納体が格納体に格納された状態においても、物品の出し入れを行うことができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、前記収納体が前記格納体に格納された状態で、前記格納体の外部から前記物品が見えるように前記格納体に透明又は半透明の部材が設けられていることを特徴としている。
【0026】
請求項3に記載の発明では、収納体が格納体に格納された状態で、格納体の外部から物品が見えるように格納体に透明又は半透明の部材を設けることによって、収納体に物品を陳列することができる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、前記記憶手段から発信される信号は、電磁波であり、かつ前記格納体に設けられた発信手段から発信される電磁波を受信した前記記憶手段から発信されることを特徴としている。
【0028】
請求項4に記載の発明では、記憶手段から発信される信号は電磁波である。そして、格納体に設けられた発信手段から電磁波を発信し、この電磁波を受信した記憶手段から信号としての電磁波が発信される。
【0029】
よって、電磁波は電磁誘導等に比べて長い距離を伝送することができるので、発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【0030】
また、記憶手段が受信した電磁波のエネルギーによって記憶手段から電磁波を発信するので、記憶手段に電源を設ける必要がない。
【0031】
請求項5に記載の発明は、前記収納体の少なくとも一部は、電磁波を透過する材料によって形成されていることを特徴としている。
【0032】
請求項5に記載の発明では、電磁波を透過する材料によって収納体の少なくとも一部が形成されている。
【0033】
よって、記憶手段が収納体に覆われてしまうように物品が収納体に収納されてしまった場合においても、この記憶手段を覆っている収納体は電磁波を透過するので、記憶手段は、電磁波を受信することができ、さらには電磁波を発信することができる。
【0034】
また、収納体が障害物になってある方向から入射された電磁波が到達できなくなる領域(ヌルポイント)を減らすことができるので、格納体に設ける発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【0035】
また、収納体が電磁波を透過するので、発信手段や記憶手段から発信された電磁波の伝送経路中に収納体が存在しても、伝送の邪魔にならない。これにより、発信手段から電磁波が発信されてからこの電磁波を記憶手段が受信するまでの時間や、記憶手段から電磁波が発信されてからこの電磁波を受信手段が受信するまでの時間が短くなる。すなわち、物品に付加された記憶手段の情報を読取手段によって読み取る時間が短くなる。
【0036】
また、収納体が電磁波の伝送の邪魔にならないので、収納体の収納構造に自由度を与えることができる(例えば、棚構造を備えた収納体の棚板に、電磁波を透過する材料で形成された仕切り板を多く配置しても電磁波の伝送に大きな影響を与えない)。
【0037】
請求項6に記載の発明は、電磁波を反射する反射層が、前記収納体の少なくとも一部を覆うように前記格納体に設けられていることを特徴としている。
【0038】
請求項6に記載の発明では、電磁波を反射する反射層が格納体に設けられている。そして、この反射層は収納体の少なくとも一部を覆うように設けられている。
【0039】
よって、ある方向から入射された電磁波が到達できない位置に記憶手段が付加されている場合においても、反射層によって反射された電磁波がさまざまな角度から物品に入射するので、この電磁波を記憶手段が受信することができる。
【0040】
また、受信手段が設けられている位置とは異なった方向に、記憶手段から電磁波が発信された場合においても、この電磁波は、反射層に対する反射を繰り返すことにより受信手段に到達するので、この電磁波を受信手段が受信することができる。
【0041】
これらにより、格納体に設ける発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【0042】
また、反射層によって、格納体の外部に電磁波が漏洩するのを低減することができる。これにより、例えば、収納体がそれぞれ格納された2つの格納体を近づけて配置した場合においても、一方の格納体に設けられた発信手段やこの格納体内に存在する物品に付加された記憶手段から発信された電磁波が、他方の格納体に設けられた受信手段によって誤って受信されるのを防ぐことができる。
【0043】
請求項7に記載の発明は、電磁波を反射して散乱させる散乱層が、前記収納体の少なくとも一部を覆うように前記格納体に設けられていることを特徴としている。
【0044】
請求項7に記載の発明では、電磁波を反射して散乱させる散乱層が格納体に設けられている。そして、この散乱層は収納体の少なくとも一部を覆うように設けられている。
【0045】
電磁波の反射が同じ場所で繰り返されていると、これらの電磁波が重なり合って定在波が発生する。そして、この定在波と、発信手段や記憶手段から発信された電磁波とが干渉して電磁波を伝送できない領域(ヌルポイント)を作り出してしまうことがある。
【0046】
そこで、格納体に散乱層を設けることによって、散乱層に反射する電磁波を散乱させる。これにより、同じ場所で繰り返される電磁波の反射を減らして定在波の発生を低減することができるので、格納体に設ける発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【0047】
請求項8に記載の発明は、前記反射層又は前記散乱層の少なくとも一部が開閉可能であることを特徴としている。
【0048】
請求項8に記載の発明では、反射層又は散乱層の少なくとも一部が開閉可能になっている。
【0049】
これにより、収納体を格納体に格納した状態において、反射層又は散乱層の少なくとも一部を開状態にすれば、物品の出し入れを行うことができる。
【0050】
また、反射層又は散乱層の少なくとも一部を閉状態にすれば、収納体のより多くの面積を反射層又は散乱層によって覆うことができるので、発信手段や記憶手段から電磁波を発信させたときに、請求項6又は7の効果をより高めることができる。
【0051】
請求項9に記載の発明は、電磁波を吸収する吸収部材が、前記発信手段の周囲に設けられていることを特徴としている。
【0052】
請求項9に記載の発明では、発信手段の周囲に、電磁波を吸収する吸収部材が設けられている。
【0053】
電磁波の反射が同じ場所で繰り返されていると、これらの電磁波が重なり合って定在波が発生する。そして、この定在波と、発信手段や記憶手段から発信された電磁波とが干渉して電磁波を伝送できない領域(ヌルポイント)を作り出してしまうことがある。
【0054】
そこで、定在波が発生しやすい発信手段の周囲に吸収部材を設けることにより、この付近で繰り返し反射される電磁波を吸収する。これにより、定在波の発生を低減することができるので、格納体に設ける発信手段及び受信手段の数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0055】
本発明は上記構成としたので、グループ単位で物品を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る物品管理装置を説明する。
【0057】
まず、本発明の第1の実施形態に係る物品管理装置について説明する。
【0058】
図1の平面図には、医療の学習を行う学習施設12が示されている。学習施設12は、周囲を外壁34で囲まれており、学習室14、廊下16、倉庫18によって構成されている。
【0059】
学習室14の全周に渡って廊下16が配置され、学習室14と廊下16との間には間仕切り壁20が設けられている。また、倉庫18は、廊下16を挟んで学習室14の隣りに配置され、廊下16と倉庫18の間には間仕切り壁22が設けられている。
【0060】
学習室14には、学習用テーブル26が3つ並んで配置され、略中央の学習用テーブル26付近には、後述する収納体としての移動棚28を搬出入するための出入口30A、30Bが設けられている。
【0061】
学習室14の周囲には、後述する格納体としての陳列庫32が、間仕切り壁20と交互に複数設置されている。そして、各陳列庫32には移動棚28がそれぞれ格納されている。
【0062】
倉庫18の中には、学習室14の周囲に設置された陳列庫32と同じ構成の陳列庫36が、外壁34に沿って5つ設置され、各陳列庫36には移動棚28がそれぞれ格納されている。
【0063】
また、学習室14の周囲に設置された陳列庫32と同じ構成の陳列庫38が、間仕切り壁22付近に1つ設置されている。この陳列庫38には移動棚28が格納されていない。
【0064】
さらに、倉庫18の中には、陳列庫に格納されていない6つの移動棚28が保管されている。
【0065】
間仕切り壁22にも移動棚28を搬出入するための出入口40が設けられている。
【0066】
図2に示すように、収納体としての移動棚28では、4枚の棚板42A〜42D(上から下に順に42A、42B、42C、42D)が、これらの棚板42A〜42Dの四隅で4本の角柱状の支柱44によって略水平に支持されている。すなわち、移動棚28は、板を平らにかけ渡して物品を載せる一般的な棚構造を備えるものである。
【0067】
支柱44の下端部にはキャスター46が設けられ、これによって移動棚28は水平方向に自由に移動可能となっている。
【0068】
棚板42A〜42Dの略中央には、板状の仕切部材48A〜48Cが棚板42B〜42Dの上面に対して略垂直にそれぞれ設けられている。仕切部材48A〜48Cの上端部は、これらの仕切部材48A〜48Cの上方に配置された棚板と接合され、仕切部材48A〜48Cの下端部は、これらの仕切部材48A〜48Cの下方に配置された棚板と接合されている。
【0069】
棚板42A〜42D、支柱44、仕切部材48A〜48Cは、低発泡プラスチックによって形成されている。低発泡プラスチックは、電磁波に対する反射損失が大きな材料なので(周波数が953MHzの電磁波に対する反射損失は23dB程度になる)、後述する発信手段としてのアンテナ50や記憶手段としてのICタグ52から発信される電磁波を透過させることができる。
【0070】
電磁波に対する反射損失とは、図3に示すように、ある対象物54に照射された電磁波56の電界強度に対する、この対象物54に反射した電磁波58Bの電界強度の減る度合いを示す値である。対象物54の内部で電磁波が吸収されなければ、電磁波に対する反射損失が大きいほど、電磁波に対する対象物の透過性が高く、電磁波に対する反射損失が小さいほど電磁波に対する対象物の透過性が低くなる。
【0071】
図2に示すように、移動棚28の下部には収納スペースが形成されており、ここに実習台62及びキャビネット64が格納される。実習台62及びキャビネット64の底部にはキャスター66、68がそれぞれ設けられ、これによって実習台62及びキャビネット64は水平方向に自由に移動可能となっている。
【0072】
実習台62及びキャビネット64は、移動棚28に格納した状態で移動棚28に固定できるようにしてもよい。このようにすれば、実習台62及びキャビネット64を移動棚28と一体に移動させることができる。
【0073】
棚板42B〜42D及び実習台62の上には、医療を学習するための教材(全身模型、胸部模型、頭部模型など)、医療器具、操作マニュアル、及びパソコン等の物品60が置かれている。説明の都合上、図2に示された物品60は全て同じ形状になっているが、全ての物品60が同じ物でなくてもよいし、棚板42B〜42D及び実習台62の全てに物品60が置かれていなくてもよい。
【0074】
棚板42B〜42D及び実習台62の上に置かれた物品60の側面には、記憶手段としてのICタグ52が付加されている。
【0075】
このICタグ52は、無線交信機能を有するICメモリであり、物品60の物品番号、製造メーカー名、製品名、型番、製造番号、納品日等の情報が記憶されている。また、ICタグ52には、953MHzのUHF帯の電磁波を受信し、さらにはICタグ52に記憶された情報を信号(953MHzのUHF帯の電磁波)として発信するためのアンテナを備えている。
【0076】
図2に示すように、移動棚28に備えられた棚構造では、棚板42B、42Cを介して上下に物品60が収納され、また、仕切部材48A〜48Cを介して左右に物品60が収納されている。また、棚板42A〜42D、仕切部材48A〜48C、及び支柱44は、電磁波を透過する低発泡プラスチックによって形成されている。
【0077】
すなわち、移動棚28は、ICタグ52からの電磁波の発信が可能となるように物品60を収納する収納構造を備えている。
【0078】
実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫32に格納された状態が図4に示されている。図4のA−A断面図である図5(A)、及び図5(A)のB−B断面図である図5(B)に示すように、格納体としての陳列庫32は、移動棚28が格納される略直方体の空間を囲む、鋼製の3枚の側板70A〜70Cと鋼製の1枚の天井板72によって構成されている。
【0079】
陳列庫32には、開口部74が設けられている。すなわち、陳列庫32の側面の内の一面が開放されている。そして、図1に示すように、この開口部74の開口面Fが学習室14に面するように、各陳列庫32は設置されている。
【0080】
図5(A)に示すように、陳列庫32の内側にはアンテナ50が設けられている。アンテナ50は、953MHzのUHF帯の電磁波の発信及び受信を行う。すなわち、アンテナ50は、信号の発信手段と受信手段の両方の役割りを兼ねている。
【0081】
図2、4、5(A)には、説明の都合上、1つのアンテナ50しか示されていないが、陳列庫32の大きさに応じた数のアンテナ50が陳列庫32の内側に設けられている。すなわち、1つ以上のアンテナ50が陳列庫32の内側に設けられている。そして、移動棚28に収納された物品60に付加されたICタグ52の全てに何れかのアンテナ50から発信された電磁波が到達でき、また、移動棚28に収納された物品60に付加されたICタグ52から発信された電磁波が何れかのアンテナ50に到達できるようになっている。
【0082】
図6に示すように、アンテナ50は、読取手段としてのリーダライタ装置76につなげられ、このリーダライタ装置76は、管理手段としてのパーソナルコンピューター78につなげられている。パーソナルコンピューター78は、必要に応じて、ICタグ発行器、サーバー、及び情報データベース等につなげてもよい。
【0083】
陳列庫32の内側に設けられた全てのアンテナ50は、1つのリーダライタ装置76につなげられている。リーダライタ装置76のアンテナ接続可能数を上回る数のアンテナ50を陳列庫32に設ける場合には、リーダライタ装置76を増やして、それぞれのリーダライタ装置76に複数のアンテナ50を分散させてつなげればよい。リーダライタ装置76の数を出来るだけ少なくして低コスト化を図るのが好ましい。
【0084】
これらの構成により、図5に示すように、移動棚28が陳列庫32に格納された状態において、パーソナルコンピューター78からの命令によって、リーダライタ装置76を介してアンテナ50から信号としての電磁波を発信する。
【0085】
そして、物品60に付加されたICタグ52に備えられたアンテナがこの電磁波を受信する。ここで、ICタグ52が受けた電磁波のエネルギーを電力に変換し、この電力を使って、ICタグ52に記憶された情報をICタグ52に備えられたアンテナから電磁波として発信する。
【0086】
ICタグ52から発信された電磁波はアンテナ50によってICタグ52と非接触で受信され、この電磁波はパーソナルコンピューター78からの命令により情報としてリーダライタ装置76に読み取られる。
【0087】
そして、これまで説明したように、物品管理装置10は、物品60に付加された記憶手段としてのICタグ52、格納体としての陳列庫32、36、38、陳列庫32、36、38に設けられた発信手段及び受信手段としてのアンテナ50、収納体としての移動棚28、及び読取手段としてのリーダライタ装置76によって構成されている。
【0088】
なお、陳列庫32に格納された移動棚28には、例えば、その日の学習で使用されるような直ぐに使用される物品60が収納されている。また、陳列庫36に格納された移動棚28には、その週に使用されるような短い期間内に使用される物品60が収納されている。また、陳列庫に格納されずに倉庫18に保管されている移動棚28には、何ヶ月後かに使用されるような長期間使用されない物品60が収納されている。
【0089】
次に、本発明の第1の実施形態に係る物品管理装置の作用及び効果について説明する。
【0090】
図1に示した学習施設12に物品管理装置10を適用した一例を説明する。
【0091】
学習室14の周囲に設置された陳列庫32の全てには、その日の学習で必要な物品60が収納された移動棚28が格納されている。
【0092】
まず、学習を開始する前に、陳列庫32に格納された移動棚28の物品収納状態を確認する。
【0093】
物品収納状態を確認する方法は、まず、パーソナルコンピューター78からの命令によって、リーダライタ装置76を介してアンテナ50から信号としての電磁波を発信する。そして、物品60に付加されたICタグ52がこの電磁波を受信し、この電磁波のエネルギーを使って、ICタグ52に記憶された情報をICタグ52から電磁波として発信する。ICタグ52から発信された電磁波はアンテナ50によって受信され、この電磁波はパーソナルコンピューター78からの命令により情報としてリーダライタ装置76に読み取られる。なお、以降の説明では、リーダライタ装置76及びアンテナ50をまとめて情報入手手段と呼ぶ。
【0094】
ここで、図2に示すように、移動棚28に備えられた棚構造では、棚板42B、42Cを介して上下に物品60が収納され、また、仕切部材48A〜48Cを介して左右に物品60が収納されている。また、移動棚28を構成する部材(棚板42A〜42D、支柱44、及び仕切部材48A〜48C)は、電磁波を透過する低発泡プラスチックによって形成されている。
【0095】
よって、ICタグ52が移動棚28の部材に覆われてしまうように物品60が移動棚28に収納されてしまった場合においても、このICタグ52を覆っている移動棚28の部材は電磁波を透過するので、ICタグ52は、電磁波を受信することができ、さらには電磁波を発信することができる。
【0096】
すなわち、物品60に付加されたICタグ52が仕切部材48A〜48C、支柱44、及び棚板42A〜42Dに接しないように物品60を棚板42B〜42D上に置かなくても、ICタグ52は、電磁波を受信することができ、さらには電磁波を発信することができる。
【0097】
このように、移動棚28はICタグ52からの信号発信が可能となるように物品60を収納する収納構造を備えているので、移動棚28に物品60をまとめて収納しても、物品60に付加されたICタグ52の情報をリーダライタ装置76で確実に読み取ることが可能となる。これにより、グループ(移動棚28)単位で物品60を管理することができる。
【0098】
また、電磁波を透過する材料によって移動棚28が形成されているので、移動棚28が電磁波の障害物になってある方向から入射された電磁波が到達できなくなる領域(ヌルポイント)を減らすことができる。これにより、陳列庫32に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0099】
また、移動棚28が電磁波を透過するので、アンテナ50やICタグ52から発信された電磁波の伝送経路中に移動棚28が存在しても、伝送の邪魔にならない。これにより、アンテナ50から電磁波が発信されてからこの電磁波をICタグ52が受信するまでの時間や、ICタグ52から電磁波が発信されてからこの電磁波をアンテナ50が受信するまでの時間が短くなる。すなわち、物品60に付加されたICタグ52の情報をリーダライタ装置76によって読み取る時間が短くなる。
【0100】
また、移動棚28が電磁波の伝送の邪魔にならないので、移動棚28の収納構造に自由度を与えることができる(例えば、棚構造を備えた移動棚28の棚板42B〜42Dに、電磁波を透過する材料によって形成された仕切部材を多く配置しても電磁波の伝送に大きな影響を与えない)。
【0101】
また、電磁波は電磁誘導等に比べて長い距離を伝送することができるので、発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0102】
また、ICタグ52が受信した電磁波のエネルギーによってICタグ52から電磁波を発信するので、ICタグ52に電源を設ける必要がない。
【0103】
次に、移動棚28の物品収納状態を確認した結果、学習に必要な物品60が不足していたり、間違った物品60が収納されていたり、又は間違った移動棚28が陳列庫32に格納されていた等の場合には、物品60を補充したり、物品60を個々に交換したり、又は移動棚28毎一括して交換する。
【0104】
このとき、陳列庫32には開口部74が設けられているので、移動棚28が陳列庫32に格納された状態においても、移動棚28への物品60の出し入れを行うことができる。
【0105】
また、物品60は、移動棚28に収納されているので、グループ(移動棚28)単位で一括して管理する物品60を移動させたり、交換することができる。
【0106】
移動棚28毎一括して交換する場合には、陳列庫32の開口部74から移動棚28を学習室14内に引き出した後、移動棚28を、学習室14の出入口30A、30B、廊下16、倉庫18の出入口40の順に移動させて倉庫18に運び込む。そして、ここで正規の移動棚28と交換し、倉庫18の出入り口40、廊下16、学習室14の出入口30A、30Bの順に移動させて元の陳列庫32に格納する。
【0107】
物品60の補充や交換は、移動棚28毎一括して交換する場合と同様に移動棚28を倉庫18まで移動させて、この倉庫18内で行ってもよい。
【0108】
次に、学習が開始される。学習中においても、陳列庫32に格納された移動棚28の物品収納状態を情報入手手段によって常に確認し続ける。
【0109】
これによって、例えば、学習室14にモニターを設けておき、その学習に必要な物品60が移動棚28から取り出されていないときにはその物品60を表示して知らせたり、又は移動棚28から取り出された物品60に対応した学習映像を自動的にモニターに映し出すことができる。
【0110】
また、物品60が移動棚28から取り出された回数を記録し、学習した回数を把握したり、物品60のメンテナンスのタイミングを決めることができる。
【0111】
さらには、その日に取り出された物品60から、学習の進捗度を把握し、この進捗度に応じて翌日用に設置する移動棚28に収納する物品60を入れ替えることができる。
【0112】
そして、この他にも、目的に応じて物品管理装置10をさまざまな運用形態に適用することができる。
【0113】
次に、学習が終了したときには、陳列庫32に格納された各移動棚28に所定の物品60が戻されているかを情報入手手段によって確認し、各移動棚28に所定の物品60が戻されていない場合には、例えば、モニターにこの状態を表示し、適切な移動棚28に物品60を戻す(例えば、どの移動棚28の物品60をどの移動棚28に移すといったような)作業手順が示される。また、物品60が消耗品である場合には、情報入手手段によってこの物品60が不足していることがわかるので、この物品60の補充が確実に行われる。
【0114】
次に、学習が終了した後に、陳列庫32に格納されていた移動棚28を、翌日の学習に必要な移動棚28と交換する。移動棚28の交換方法は、先に説明した(学習に必要な物品60が不足していた等の場合に移動棚28毎一括して交換する)方法と同様である。
【0115】
倉庫18の陳列庫36には、その週の学習に必要な物品60が収納された移動棚28が格納されているので、この移動棚28と交換するだけでよい。この交換前に、交換する移動棚28の物品収納状態を情報入手手段によって確認すれば、移動棚28の交換間違いを防ぐことができる。
【0116】
また、倉庫18で、移動棚28に収納されている物品60を個々に交換したり、物品60を移動棚28に補充し、その場で翌日の学習内容に応じた物品60が収納された移動棚28を用意して、この移動棚28を移動させて学習室14の周囲に設置された陳列庫32に格納してもよい。
【0117】
各陳列庫36にそれぞれ格納された移動棚28に収納されている物品60の収納状態は情報入手手段によって確認することができるので、学習内容に応じた物品60が収納された移動棚28を用意する場合において、「どの移動棚28にあるどの物品60をどの移動棚28にあるどの物品60と交換する。」、「どの移動棚28にあるどの物品60をどの移動棚28に移す。」、又は「どの移動棚28にどの物品60を補充する。」等といった物品60の交換、移動、又は補充作業を効率よく行うことができる。
【0118】
陳列庫に格納されずに倉庫18に保管されている移動棚28には、何ヶ月後かに使用されるような長期間使用されない物品60が収納されている。このような移動棚28に収納されている物品60を予定外に直ぐに使用する必要が生じた際には、間仕切り壁22付近に設置されている陳列庫38にこの移動棚28を格納し、この移動棚28に収納されている物品60の収納状態を情報入手手段によって確認する。
【0119】
このように、物品管理装置10においては、移動棚28と同数の陳列庫を用意しなくても、物品60の管理が必要なときに移動棚28を移動して陳列庫に格納すれば、移動棚28に収納された物品60の情報を把握することができる。すなわち、物品管理装置10に用いる、発信手段及び受信手段としてのアンテナ50や読取手段としてのリーダライタ装置の数を少なくすることができるので、低コスト化が図れる。
【0120】
次に、翌日の学習に必要な移動棚28が設置された後も各移動棚28の物品収納状態を陳列庫32、36の情報入手手段によって終日確認し続ける。これにより、物品60の盗難を防止することができる。
【0121】
なお、第1の実施形態では、移動棚28を低発泡プラスチックによって形成した例を示したが、電磁波を透過する材料や部材によって形成されていればよく、アクリル板、ペーパーハニカム板等によって移動棚28を形成してもよい。電磁波に対する反射損失が20dB以上の材料によって移動棚28を形成すれば、より優れた電磁波に対する透過性能を発揮できるので好ましい。
【0122】
電磁波を透過する材料によって形成された移動棚28(特に、棚板42B〜42D)の表面を、フェルト、塩化ビニールシート、ポリ合金、メラミン樹脂等で覆って表面を保護するようにしてもよい。
【0123】
また、移動棚28の収納構造は、ICタグ52からの信号(電磁波)の発信が可能となるように物品60を収納する収納構造であればよい。すなわち、棚板及び仕切部材はどのような形状や配置であってもよいし、例えば、キャビネット等のような棚構造以外の収納構造であってもよい。
【0124】
また、移動棚28を構成する部材(棚板42A〜42D、支柱44、及び仕切部材48A〜48C)の一部又は全部に複数の穴を設けたり、格子状や網状等の部材によって移動棚28の一部又は全部を形成して電磁波に対する透過性を向上させてもよい。この場合、移動棚28の一部又は全部は、電磁波を透過する材料によって形成してもよいし、電磁波に対する十分な透過性が得られるのであれば電磁波を透過する材料でなくてもよい。
【0125】
また、物品60の収納の仕方に応じて移動棚28の一部を電磁波を透過する材料で形成してもよい。例えば、ICタグ52が必ず物品60の側面にくるように物品60を棚板42B〜42D上に置くのであれば、仕切部材48A〜48Cと支柱44だけを電磁波を透過する材料で形成すればよい。また、図2に示すように、ICタグ52を物品60の側面に付加し、物品60を仕切部材48A〜48Cや支柱44に接しないように物品60を棚板42B〜42D上に置くのであれば、電磁波を透過する材料で移動棚28を形成しなくてもよく、電磁波の吸収性の低い材料によって形成すればよい。
【0126】
また、鋼製の側板70A〜70C、及び鋼製の天井板72によって、陳列庫32、36、38を構成した例を示したが、側板70A〜70C、及び天井板72を形成する材料は電磁波を吸収する材料でなければよく、アルミニウムやステンレス等の板を側板及び天井板としてもよい。また、陳列庫32、36、38の形状は、移動棚28を覆う形状であればよい。
【0127】
開口部74は、陳列庫32、36、38のどの場所に設けられていてもよいし、陳列庫32、36、38に複数設けられていてもよい。
【0128】
また、移動棚28、実習台62、キャビネット64にICタグ52を付加して、ICタグ52に記憶されたこれら(移動棚28、実習台62、キャビネット64)の情報を管理してもよい。
【0129】
また、倉庫18に固定棚を設けて、移動棚28と併用してもよい。
【0130】
次に、本発明の第2の実施形態に係る物品管理装置について説明する。
【0131】
第2の実施形態は、第1の実施形態の陳列庫32を、電磁波を反射する反射層が設けられた陳列庫としたものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0132】
図7(A)の側断面図、及び図7(A)のC−C断面図である図7(B)の平断面図には、実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫80に格納されている状態が示されている。図7(A)、(B)に示すように、格納体としての陳列庫80は、移動棚28が格納される略直方体の空間を囲む木製の3枚の側板82A〜82Cと木製の1枚の天井板84によって構成されている。
【0133】
そして、第1の実施形態の陳列庫32と同様に、陳列庫80には、開口部88が設けられている。すなわち、陳列庫80の側面の内の一面が開放されている。そして、この開口部88の開口面Gが学習室14に面するように、各陳列庫80は学習室14の周囲に設置されている。
【0134】
側板82A〜82Cと天井板84の内側には、電磁波を反射する反射層としてのアルミニウムシート86が設けられている。すなわち、開口面Gを除いて移動棚28を覆うようにアルミニウムシート86が陳列庫80に設けられている。
【0135】
アルミニウムシート86は、電磁波に対する透過損失が大きな材料なので(周波数が953MHzの電磁波に対する透過損失は80dB程度になる)、発信手段としてのアンテナ50や記憶手段としてのICタグ52から発信される電磁波を反射することができる。
【0136】
電磁波に対する透過損失とは、図3に示すように、ある対象物54に照射された電磁波56の電界強度に対する、この対象物54で透過した電磁波58Aの電界強度の減る度合いを示す値である。対象物54の内部で電磁波が吸収されなければ、電磁波に対する透過損失が大きいほど、電磁波に対する対象物の反射性が高く、電磁波に対する透過損失が小さいほど電磁波に対する対象物の反射性が低くなる。
【0137】
次に、本発明の第2の実施形態に係る物品管理装置の作用及び効果について説明する。
【0138】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0139】
また、図7(A)、(B)に示すように、ある方向から入射された電磁波が到達できない位置にICタグ52が付加されている場合においても、アルミニウムシート86によって反射された電磁波がさまざまな角度から物品60に入射するので、この電磁波をICタグ52が受信することができる。
【0140】
また、受信手段としてのアンテナ50が設けられている位置とは異なった方向に、ICタグ52から電磁波が発信された場合においても、この電磁波は、アルミニウムシート86に対する反射を繰り返すことにより受信手段としてのアンテナ50に到達するので、この電磁波をアンテナ50が受信することができる。
【0141】
これらにより、陳列庫80に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0142】
また、アルミニウムシート86によって、陳列庫80の外部に電磁波が漏洩するのを低減することができる。これにより、例えば、移動棚28がそれぞれ格納された2つの陳列庫80を近づけて配置した場合においても、一方の陳列庫80に設けられた発信手段としてのアンテナ50やこの陳列庫80内に存在する物品60に付加されたICタグ52から発信された電磁波が、他方の陳列庫80に設けられた受信手段としてのアンテナ50によって誤って受信されるのを防ぐことができる。
【0143】
なお、第2の実施形態では、反射層としてアルミニウムシート86を用いた例を示したが、反射層は電磁波を反射するものであればよく、鉄板、銅箔、ステンレスメッシュ等の導電性を有する材料を用いることができる。また、電磁波に対する透過損失が5dB程度の材料を用いて電磁波の反射を抑えれば、開口部88からの電磁波の漏洩を低減することができる。
【0144】
次に、本発明の第3の実施形態に係る物品管理装置について説明する。
【0145】
第3の実施形態は、第1の実施形態の陳列庫32を、電磁波を反射して散乱させる散乱層が設けられた陳列庫としたものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0146】
図8(A)の側断面図、及び図8(A)のD−D断面図である図8(B)の平断面図には、実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫90に格納されている状態が示されている。図8(A)、(B)に示すように、格納体としての陳列庫90は、移動棚28が格納される略直方体の空間を囲む木製の3枚の側板92A〜92Cと木製の1枚の天井板94によって構成されている。
【0147】
そして、第1の実施形態の陳列庫32と同様に、陳列庫90には、開口部96が設けられている。すなわち、陳列庫90の側面の内の一面が開放されている。そして、この開口部96の開口面Hが学習室14に面するように、各陳列庫90は学習室14の周囲に設置されている。
【0148】
側板92A〜92Cと天井板94の内側には、電磁波を反射して散乱させる散乱層98が設けられている。すなわち、開口面Hを除いて移動棚28を覆うように散乱層98が陳列庫90に設けられている。
【0149】
散乱層98は、電磁波を反射して散乱させるものであればよく、例えば、電磁波を反射する材料で表面が覆われた角錐状の部材を敷き並べて形成してもよいし、電磁波を反射する材料で表面が覆われた波板等を用いてもよい。
【0150】
次に、本発明の第3の実施形態に係る物品管理装置の作用及び効果について説明する。
【0151】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0152】
また、一般に、電磁波の反射が同じ場所で繰り返されていると、これらの電磁波が重なり合って定在波が発生することがある。そして、この定在波と、発信手段としてのアンテナ50やICタグ52から発信された電磁波とが干渉して電磁波を伝送できない領域(ヌルポイント)を作り出してしまうことがある。
【0153】
そこで、第3の実施形態では図8(A)、(B)に示すように、陳列庫90に散乱層98を設けることによって、散乱層98に反射する電磁波を散乱させる。これにより、同じ場所で繰り返される電磁波の反射を減らして定在波の発生を低減することができるので、陳列庫90に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0154】
次に、本発明の第4の実施形態に係る物品管理装置とその作用及び効果について説明する。
【0155】
第4の実施形態は、第2の実施形態の陳列庫80の開口面Gを覆うように反射層を設け、この反射層を開閉可能にしたものである。したがって、以下の説明において、第2の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0156】
図9の側断面図には、実習台62及びキャビネット64が格納された移動棚28が、陳列庫100に格納されている状態が示されている。陳列庫100は、図7(A)の陳列庫80と同様に、移動棚28が格納される略直方体の空間を囲む木製の3枚の側板82A〜82Cと木製の1枚の天井板84によって構成されている。
【0157】
また、陳列庫100に設けられた開口部88の開口面Gを覆うように、電磁波を遮蔽する巻き取り式のスクリーン102が展開されている。スクリーン102の内側には電磁波を反射する反射層が形成されている(不図示)。反射層は、導電性の布で形成するのが好ましい。
【0158】
そして、必要に応じてスクリーン102をローラー104によって巻き上げて開口面Gから物品60を見たり、物品60の出し入れを行う。すなわち、陳列庫100に設けられた反射層の一部を開状態にすることによって、移動棚28を陳列庫100に格納した状態においても、物品60の出し入れを行うことができる。
【0159】
また、開口面Gを覆うようにスクリーン102を展開させることにより、移動棚28のより多くの面を反射層によって覆った状態にできるので、発信手段としてのアンテナ50や記憶手段としてのICタグ52から電磁波を発信させたときに、陳列庫100の外部に電磁波が漏洩するのを低減することができる。また、電磁波の反射回数が増えて電磁波の動きが活発になるので、陳列庫100に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数をより少なくすることができる。
【0160】
なお、第4の実施形態では、スクリーン102に形成されて開口面Gを覆う反射層を開閉可能にした例を示したが、これに限らず、陳列庫に設けられた反射層のどの部分を開閉可能にしてもよいし、陳列庫に設けられた反射層の全てを開閉可能にしてもよい。
【0161】
例えば、図10の平断面図に示すように、陳列庫80を構成する側板82Bをこの側板82Bに設けられたアルミニウムシート86と一体に2分割し、この2分割された各側板の端部にヒンジ106を設けて側板82Bを開き戸にしてもよい。
【0162】
このようにして、この側板82Bに設けられた反射層としてのアルミニウムシート86を開閉可能にすることにより、廊下16側から移動棚28を陳列庫80に出し入れすることができる。
【0163】
また、反射層の開閉機構を巻き取り式のスクリーン102とした例を示したが、反射層が開閉できる機構であればよく、例えば、図11(A)、(B)の平断面図に示す機構を用いてもよい。
【0164】
図11(A)に示すように、陳列庫108にはこの陳列庫108の開口面Gを覆うように、蛇腹式の開閉扉110が設けられている。開閉扉110の内側には電磁波を反射する反射層が設けられている(不図示)。図11(A)は、開閉扉110を閉じて開口面Gを覆っている状態を示し、図11(B)は、開閉扉110を開けている状態を示している。
【0165】
また、開閉扉110の代わりに、陳列庫108の開口面Gを覆うように透明又は半透明の部材を設けてもよい。このようにすれば、移動棚28が陳列庫108に格納された状態で、陳列庫108の外部から物品60が見えるようになるので、移動棚28に物品60を陳列することができる。透明又は半透明の部材に枠を設けて引き戸や開き戸のようにすれば、陳列庫108への移動棚28の出し入れができ、また、移動棚28が陳列庫108に格納された状態においても、物品60の出し入れを行うことができる。また、この透明又は半透明の部材に電磁波シールド性を持たせてもよい。
【0166】
また、スクリーン102や開閉扉110の内側に、電磁波を反射して散乱させる散乱層を設けてもよい。移動棚28の少なくとも一部を覆うようにして、散乱層を陳列庫の内側に設けている場合には、この散乱層のどの部分を開閉可能にしてもよいし、陳列庫に設けられた散乱層の全てを開閉可能にしてもよい。例えば、図8に示した陳列庫90を構成する側板92Bに設けられた散乱層98をこの側板92Bと一体に開閉するようにしてもよい。
【0167】
次に、本発明の第5の実施形態に係る物品管理装置とその作用及び効果について説明する。
【0168】
第5の実施形態は、第2の実施形態の陳列庫80に備えられたアンテナ50の周囲に電磁波を吸収する吸収部材を設けたものである。したがって、以下の説明において、第2の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0169】
図12は、図7(A)に示した陳列庫80の内側に設けられた発信手段及び受信手段としてのアンテナ50を拡大して示したものである。
【0170】
図12に示すように、発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の周囲に、電磁波を吸収する吸収部材112が設けられている。天井板84の端部には、吸収部材112を固定しやすいように、天井板84と同じ材料で形成された突出部114が設けられており、この突出部114の内側にもアルミニウムシート86が設けられている。
【0171】
陳列庫80の内側には1つ以上のアンテナ50が設けられているが、吸収部材112はこれらの全てのアンテナ50の周囲に設けてもよいし、一部のアンテナ50の周囲に設けてもよい。
【0172】
電磁波の反射が同じ場所で繰り返されていると、これらの電磁波が重なり合って定在波が発生する。そして、この定在波と、発信手段としてのアンテナ50や記憶手段としてのICタグ52から発信された電磁波とが干渉して電磁波を伝送できない領域(ヌルポイント)を作り出してしまうことがある。
【0173】
そこで、第5の実施形態では、定在波が発生しやすい発信手段としてのアンテナ50の周囲に吸収部材112を設けることにより、この付近で繰り返し反射される電磁波を吸収する。これにより、定在波の発生を低減することができるので、格納体に設ける発信手段及び受信手段としてのアンテナ50の数を少なくすることができる。
【0174】
なお、吸収部材112は、電磁波を吸収する材料によって形成されていればよく、例えば、フェライトタイル、ゴムフェライト、カーボン混入発泡材等を用いることができる。電磁波に対する反射減衰量が20dB以上の材料によって吸収部材112を形成すれば、より高い電磁波吸収性を得ることができる。
【0175】
また、第5の実施形態では、第2の実施形態の陳列庫80に備えられたアンテナ50の周囲に吸収部材112を設けた例を示したが、第1の実施形態で示した陳列庫32、36、38、第3の実施形態で示した陳列庫90、及び第4の実施形態で示した陳列庫80、100、108に備えられた少なくとも1つのアンテナ50の周囲に吸収部材112を設けてもよく、これらの場合においても、第5の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0176】
なお、第1〜第5の実施形態では、発信手段としてのアンテナ50及び記憶手段としてのICタグ52から発信する信号として953MHzのUHF帯の電磁波を用いた例を示したが、信号は電磁波であればよい。2.45GHzの電磁波(マイクロ波)は一般に2m程度までの伝送距離が得られるので好ましく、953MHzのUHF帯の電磁波は一般に5m程度までの伝送距離が得られるのでより好ましい。
【0177】
また、第2、第4、及び第5の実施形態で示した反射層86や、第3の実施形態で示した散乱層98は、移動棚28の一部を覆っていたが、反射層86や散乱層98は、移動棚28の少なくとも一部を覆うように設けてもよい。
【0178】
また、第1〜第5の実施形態では、物品管理装置10を学習施設12に適用した例を示したが、物品管理装置10の適用範囲はこれに限らず、倉庫の在庫管理、スーパーマーケットの在庫管理や陳列品管理、病院における医療資材管理等に適用してもよい。
【0179】
ICタグ52に記憶させる情報の内容は、物品管理装置10の適用対象に応じて適宜決めればよく、アンテナ50からICタグ52に情報を送り、新たな情報をこのICタグ52に記憶させてもよい。例えば、物品60の利用回数やメンテナンスの記録等の情報をアンテナ50からICタグ52に送り、この情報をICタグ52に記憶させてもよい。
【0180】
また、第1〜第5の実施形態では、発信手段と受信手段の両方の機能を有するアンテナ50を用いた例を示したが、発信手段と受信手段とで別々のアンテナを設けてもよい。
【0181】
また、第1〜第5の実施形態では、パッシブタイプのICタグ52を用いた例を示したが、電源が備えられたアクティブタイプのICタグを用いてもよい。また、ICタグ52は、ラベル型、カード型、コイン型、及びスティック型等のどのような形状のものであってもよい。
【0182】
また、図1では、学習施設12に物品管理装置10を適用した場合の陳列庫32、36、38、及び移動棚28の配置の一例を示したが、陳列庫32、36、38、及び移動棚28の配置は必要に応じて適宜決めればよいし、また、全ての陳列庫に移動棚を格納していなくてもよい。
【0183】
例えば、学習施設12における陳列庫32、36、38、及び移動棚28の配置を図13のようにしてもよい。
【0184】
図13では、学習室14の周囲に複数の移動棚28が配置されている。また、学習室14の出入口30A、30B付近の廊下16に、移動棚28が格納されていない陳列庫32が設置されている。
【0185】
倉庫18における陳列庫36、38、及び移動棚28の配置は、図1と同様である。
【0186】
物品60の管理を頻繁に必要としない場合には、このように移動棚28を格納していない陳列庫32を出入口30A、30B付近に配置し、例えば、移動棚28の搬入及び搬出時等のときに学習室14の出入口30A、30B付近に設けられた陳列庫32で物品60の状態を把握する。
【0187】
このようにして、移動棚28と同数の陳列庫を用意しなくても、物品60の管理が必要なときに移動棚28を移動して陳列庫に格納すれば、移動棚28に収納された物品60の情報を把握することができる。すなわち、少ない数のアンテナ50及びリーダライタ装置76で物品管理装置10を構築することができるので、低コスト化が図れる。
【0188】
以上、本発明の第1〜第5の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜第5の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
(実施例)
図14は、図15に示す計測装置の構成により、本発明の収納体(第1〜第5の実施形態における移動棚28)を形成する一例としての材料の電磁波透過性能を評価した実験結果である。
【0189】
図15に示すように、電波暗室118の内部に、送信アンテナ122及び受信アンテナ124が設置されている。送信アンテナ122及び受信アンテナ124には、広帯域アンテナのログペリオディックアンテナが用いられている。
【0190】
電波暗室118の天井、床、及び側壁は、電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽層120を外側に設け、さらに、電磁波を吸収する電磁波吸収層140を内側に設けた二重構造になっている。
【0191】
電波暗室118の床上には、架台150が設置されている。そして、この架台150の上に、後述する試験体126、128、130、132、134、136、138が各実験毎に置かれる。
【0192】
送信アンテナ122は、略垂直に立てられた支柱142の上方から張り出した支持部材146の端部に固定されている。また、受信アンテナ124は、略垂直に立てられた支柱144の上方から張り出した支持部材148の端部に固定されている。
【0193】
送信アンテナ122は、この送信アンテナ122の電磁波発信源から試験体126、128、130、132、134、136、138の上面までの距離L1が2mとなり、鉛直方向に対する入射角θ1が10゜となるように支持部材146に固定されている。
【0194】
また、受信アンテナ124は、この受信アンテナ124の電磁波受信源から試験体126、128、130、132、134、136、138の上面までの距離L2が2mとなり、鉛直方向に対する入射角θ2が10゜となるように支持部材148に固定されている。
【0195】
支柱142、144、支持部材146、148、及び架台150は、電磁波に対する透過性が高い材料によって形成されている。
【0196】
試験体126は、木製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ0.5mmの銅箔で覆ったものである。
【0197】
試験体128は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の表面には何も覆っていないものである。
【0198】
試験体130は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ1mmのフェルトで覆ったものである。
【0199】
試験体132は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ0.1mmの塩化ビニールシートで覆ったものである。
【0200】
試験体134は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ2mmのポリ合板で覆ったものである。
【0201】
試験体136は、発泡プラスチック製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ0.5mmのメラミン樹脂で覆ったものである。
【0202】
試験体126、128、130、132、134、136のベース部材の外形寸法は、縦1200mm×横1200mm×厚さ20mmである。
【0203】
試験体138は、一般に会議用デスクとして用いられている材料の構成を有している。試験体138は、木製の板をベース部材とし、このベース部材の全表面を厚さ0.5mmのメラミン化粧合板で覆ったものである。試験体138のベース部材の外形寸法は、縦1800mm×横1200mm×厚さ25mmである。
【0204】
計測は、始めに試験体126を架台150の上に置き、送信アンテナ122から電磁波を照射する。そして、この照射された電磁波の内、試験体126に反射して受信アンテナ124に入射する電磁波の電界強度A1(dBμV)を計測する。
【0205】
次に、各実験毎に、試験体128、130、132、134、136、138を架台150の上にそれぞれ置いた状態で、送信アンテナ122から電磁波を照射する。そして、この照射された電磁波の内、試験体128、130、132、134、136、138に反射して受信アンテナ124に入射する電磁波の電界強度A2(dBμV)を計測する。
【0206】
この電界強度A2の値から電界強度A1の値を引いた値をそれぞれ求め、この値(A2−A1)の絶対値を反射損失の値とする。
【0207】
そして、この計測を400MHz〜1000MHzの周波数のTE波(Transverse Electric Wave)に対して行った。TE波とは、電気ベクトルの振動方向が入射面に垂直で、磁気ベクトルの振動方向が入射面内にある波のことである。
【0208】
図14の符号128A、130A、132A、134A、136A、138Aは、図15に示した架台150の上に、各実験毎に試験体128、130、132、134、136、138をそれぞれ置いたときの計測値である。また、図14の横軸には周波数(MHz)が示され、縦軸には電界強度A2の値から電界強度A1の値を引いた値が示されている。
【0209】
図14では、縦軸の下方の値を示す(A2−A1の値が小さい)程、電磁波に対する反射損失は高い(電磁波に対する透過性能が高い)ことになる。
【0210】
なお、電界強度A2の値から電界強度A1の値を引いた値の絶対値を反射損失としたので、例えば、グラフの値が−25dBである場合の反射損失は25dBとなる。
【0211】
図14からわかるように、試験体128、130、132、134、136、138は、400MHz〜1000MHzの電磁波に対して約12dB以上の反射損失を得ることができる。
【0212】
また、一般的なICタグで主に用いられている953MHzの電磁波においては、試験体128、130、132が電磁波に対して優れた透過性能を発揮し、電磁波に対して22dB程度の反射損失を得ることができる。
【0213】
よって、収納体(移動棚28)を形成する材料として発泡プラスチックを用いれば、電磁波に対する優れた透過性を発揮することができる。また、この発泡プラスチックをベース部材にして、この発泡プラスチックの全表面をフェルトや塩化ビニールシートで覆った場合にも、発泡プラスチックの有する電磁波に対する透過性を低下させない(反射損失を小さくしない)。
【図面の簡単な説明】
【0214】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る物品管理装置を示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る反射損失を説明する説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す側断面図及び平断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るアンテナ及びリーダライタ装置を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す側断面図及び平断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す側断面図及び平断面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す側断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す平断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る移動棚及び陳列庫を示す平断面図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る吸収部材を示す拡大図である。
【図13】本発明の実施形態に係る物品管理装置の変形例を示す平面図である。
【図14】本発明の実施形態に係る実施例の実験における、周波数に対するA2−A1の値を示す線図である。
【図15】本発明の実施形態に係る実施例の計測装置を示す説明図である。
【図16】従来の在庫管理システムを示す説明図である。
【符号の説明】
【0215】
10 物品管理装置
28 移動棚(収納体)
32、36、38、80、90、100、108 陳列庫(格納体)
50 アンテナ(発信手段、受信手段)
52 ICタグ(記憶手段)
60 物品
74、88、96 開口部
76 リーダライタ装置(読取手段)
86 アルミニウムシート(反射層)
98 散乱層
112 吸収部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付加され、記憶された情報を信号として発信する記憶手段と、
格納体に設けられ、前記記憶手段から発信された信号を前記記憶手段と非接触で受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された信号を情報として読み取る読取手段と、
移動して前記格納体に格納され、前記記憶手段からの信号発信が可能となるように前記物品を収納する収納構造を備えた収納体と、
を有することを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記収納体が前記格納体に格納された状態で、前記物品を前記収納体から前記格納体の外部に取り出す、又は前記物品を前記格納体の外部から前記収納体に入れる開口部が、前記格納体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の物品管理装置。
【請求項3】
前記収納体が前記格納体に格納された状態で、前記格納体の外部から前記物品が見えるように前記格納体に透明又は半透明の部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品管理装置。
【請求項4】
前記記憶手段から発信される信号は、電磁波であり、かつ前記格納体に設けられた発信手段から発信される電磁波を受信した前記記憶手段から発信されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の物品管理装置。
【請求項5】
前記収納体の少なくとも一部は、電磁波を透過する材料によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の物品管理装置。
【請求項6】
電磁波を反射する反射層が、前記収納体の少なくとも一部を覆うように前記格納体に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の物品管理装置。
【請求項7】
電磁波を反射して散乱させる散乱層が、前記収納体の少なくとも一部を覆うように前記格納体に設けられていることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の物品管理装置。
【請求項8】
前記反射層又は前記散乱層の少なくとも一部が開閉可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の物品管理装置。
【請求項9】
電磁波を吸収する吸収部材が、前記発信手段の周囲に設けられていることを特徴とする請求項4〜8の何れか1項に記載の物品管理装置。
【請求項1】
物品に付加され、記憶された情報を信号として発信する記憶手段と、
格納体に設けられ、前記記憶手段から発信された信号を前記記憶手段と非接触で受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された信号を情報として読み取る読取手段と、
移動して前記格納体に格納され、前記記憶手段からの信号発信が可能となるように前記物品を収納する収納構造を備えた収納体と、
を有することを特徴とする物品管理装置。
【請求項2】
前記収納体が前記格納体に格納された状態で、前記物品を前記収納体から前記格納体の外部に取り出す、又は前記物品を前記格納体の外部から前記収納体に入れる開口部が、前記格納体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の物品管理装置。
【請求項3】
前記収納体が前記格納体に格納された状態で、前記格納体の外部から前記物品が見えるように前記格納体に透明又は半透明の部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の物品管理装置。
【請求項4】
前記記憶手段から発信される信号は、電磁波であり、かつ前記格納体に設けられた発信手段から発信される電磁波を受信した前記記憶手段から発信されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の物品管理装置。
【請求項5】
前記収納体の少なくとも一部は、電磁波を透過する材料によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の物品管理装置。
【請求項6】
電磁波を反射する反射層が、前記収納体の少なくとも一部を覆うように前記格納体に設けられていることを特徴とする請求項4又は5に記載の物品管理装置。
【請求項7】
電磁波を反射して散乱させる散乱層が、前記収納体の少なくとも一部を覆うように前記格納体に設けられていることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の物品管理装置。
【請求項8】
前記反射層又は前記散乱層の少なくとも一部が開閉可能であることを特徴とする請求項6又は7に記載の物品管理装置。
【請求項9】
電磁波を吸収する吸収部材が、前記発信手段の周囲に設けられていることを特徴とする請求項4〜8の何れか1項に記載の物品管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−254865(P2008−254865A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98332(P2007−98332)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]