説明

物理的−化学的特性に基づく治療用化合物の同定

本発明は、治療用化合物を同定する迅速かつ有効な方法に関し、この方法は、最も好ましい分子のみが、その物理的−化学的プロフィールに基づいて最初に選択されることを可能にすることによって治療用化合物を同定し、この物理的−化学的プロフィールは、アッセイされるべき同じコア構造を有する、予め試験された小さいサブセットの化合物の物理的−化学的/生物学的関係によって、予め規定された範囲内におさまる。本発明は、この方法によって同定される治療用組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、治療用化合物をその物理的特性および化学的特性に基づいて同定するための新規な方法に、そしてこのような方法によって同定された治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
種々の障害の有効な処置において有用な新規な化合物の需要がこれまで増大していることに応じて、新規な治療剤を発見および最大限に活用するための種々のストラテジーが開発されている。これらのストラテジーの大部分は、所定の生物学的標的に結合する分子の同定を可能にする技術に依存する。
【0003】
このようなストラテジーの1つでは、化合物ライブラリーをスクリーニングすること、およびどの化合物が最高の治療特性を有するかを決定することによって新規な薬物を同定し、そして構造的に関連するアナログを合成することによってこのような特性を最適化する。このようなアプローチの限界は、全ての可能性のある分子のうちの極めて小さいサブセットのみを合成して試験することしかできず、それによって最も有効な分子が失われる可能性が高くなるということである。
【0004】
別のアプローチでは、基礎的な生物学的活性を標的するために分子の共通の構造的特徴に関連する構造活性関係(structure activity relationship)(SAR)を決定することによって、新規な薬物を同定する。この方法は広範に用いられているが常に活性なアナログが得られるわけではなく、これによってSAR単独では、全ての場合に生物学的活性を保証するのには十分ではないかもしれないということが示される。
【0005】
米国特許第5,698,401号に記載されるようなNMRによるSAR活性は、特定の標的分子に結合する化合物を同定するためのプロセスに関する。このアプローチでは、標的タンパク質の物理的構造は、核磁気共鳴解析(NMR)によって決定され、そしてタンパク質表面の近位でこのタンパク質に結合する低分子構築単位が同定される。次いで隣接して結合する低分子は、リンカーと一緒に結合されて、連結していない化合物単独よりも高い親和性を有する標的タンパク質に結合する化合物が得られる。従って、標的タンパク質の利用可能なNMR構造を得ることによって、2つの隣接して結合する分子を結合するためのリンカーの長さを決定することが可能になり、そして低分子が合理的に設計できる。これらの方法は強力であるが、それらは、重大な限界、例えば、標的タンパク質の必要な量、およびこのタンパク質がNMR研究に有用であるように15N標識されなければならないという事実を有する。
【0006】
コンビナトリアルケミストリーおよびハイスループットスクリーニングの到来とともに、薬物開発のために化学的スペースを分類して優先順位を決定する、多くの目立った概説が文献に出現した。Lipinskiら、Adv.Drug.Deliv.Rev.,3〜25,1997は、広く引用された概説であり、透過性および吸着の物理的−化学的特性と生物学的活性とを相関させる。この概説によって、分子が「薬物様(drug−like)」分子の状態を供与されるように一般に妨害されるべきではないという「5の規則(rule of 5)」が規定される。「5の規則」とは、5より多いH結合のドナー(OHおよびNHの合計で表される)があり;10より多いH結合のアクセプター(NおよびOの合計で表される)があり;分子量が500以上であり;そしてlogPが5より大きい場合、吸着または浸透が乏しい可能性が高いということをいう。
【0007】
Ghoseら、J.Comb.Chem.,1:55〜68,1999は、包括的薬用化学(comprehensive Medicinal Chemistry)(CMC)データベースにおいて利用可能な公知の薬物分子および7つの公知の薬物クラスのうちのいくつかの計算可能な物理的−化学的特性および化学的構成の解析を提供する。彼らの研究によって、算出されたlog P、屈折度、分子量および原子の総数についての範囲の定量が示された。
【0008】
近年では、電気的に活性な分子、例えば、抗酸化剤および還元剤が、免疫応答、細胞間接着(例えば、アテローム性動脈硬化症)、細胞増殖、炎症、代謝、グルコース取り込み(糖尿病)、およびプログラムされた細胞死(アポトーシス)のような重要な生物学的プロセスの酸化還元調節において機能することが認識されている。
【0009】
特定の化合物の生物学的活性は、それらが1つまたは2つの電子を受け取って対応するラジカルアニオンまたはジアニオンを形成する能力に関するということ、およびこれらの物質の電子受容能力は、コア構造に対する置換基の直接付与によって修飾され得るということが当該分野で記載されている。これらのタイプの化合物について、この置換基の誘引またはドナー効果は、電子伝達を促進するかもしくは妨害する、コア構造系の酸化還元特性に影響するのに極めて重要である(例えば、キノン部分の酸化還元特性に対する置換の効果の研究である、Aguilar−Martinezら、J.Org.Chem.,64,3684〜3694,1999を参照のこと)。分子のコア構造がその置換基によって影響される場合、そのボルタンモグラムの変化が、電子伝達(酸化還元)特性における変化に対応して生じ得る。
【0010】
生理学的条件下で一連の構造的に関連したフラボノイドの酸化還元挙動は、Hodnik,W.F.ら、Biochem.Pharmacol.,37(13)、2607〜11,1988によって検討されており、そして肝代謝に対するフラボノイド酸化電位および効果の関係は、Hendrickson,H.P.ら、J.Pharm.Biomed.Anal.,12(3),335〜41,1994を参照のこと。フラボノイドの酸化のハーフ・ピークは測定されており、Saskiaら、Free Radic.Biol.Med.20(3),331〜342,1996におけるLPO阻害データに対して関連し、そしてプロポリス由来のフラボノイドおよびカフェー酸エステルの酸化還元中間体を、サイクリック・ボルタンメトリーによって研究した。Rapta,Pら、Free Radic,Biol.Med.18(5),901〜8,1995を参照のこと。
【0011】
アポモルフィンおよびその誘導体に対する構造活性関係研究は、その全体が参考として援用されている、Lashuei,H.A.ら、Journal of Biol.Chem.,45,42881〜42890,2002によって記載されている。
【0012】
Ashnagar A.ら,Biochim.Biophys.Acta,801,361〜9,1984は、ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンおよびヒドロキシ−9.10−アントラキノン、ならびに対応するメトキシおよびアセトキシキノンの還元電位の測定、ならびにアントラサイクリン抗腫瘍キノンの酸化還元化学に対する内部水素結合およびその保有の役割を記載している。抗腫瘍活性、キノン還元電位および分配係数の対数(log P)の間の相関は、Kuntzら.,J.Med.Chem.,34,2281〜6,1991によって得られた。還元の電位、酵素的還元の動態、増強された酸素消費および細胞毒性の関係を、7つの臨床的に関連するマイトマイシン抗生物質について、Pan S.S.ら、Mol.Pharmacol.,37,966〜70,1997によって決定した。12の1,4−ナフトキノンを肉腫の腹水の形態に対して試験して、この腫瘍を保有するマウスの寿命を延長するのにおけるその有効性を決定する最も重要な分子パラメーターがそれらの酸化還元電位であったことが統計的解析によって示された。Hodnett E.M.ら、J.Med.Chem.,26,570〜4,1983を参照のこと。いくつかの生物学的に活性なキノン誘導体であるフランンキノン、ピリドキノンおよびジプラミン(細胞傷害性ピリドアクリジンアルカロイド)の電気化学的特性は、Crawford、P.W.ら、J.Electrochem.Soc.,144,3710〜3715,1997において報告されており、これが還元電位と抗ガン活性との間の可能性のある関係を示している。
【0013】
サイクリック・ボルタンメトリーは、種々の溶液中(例えばKilmartin,P.Antioxidants and Redox Signaling,3(6),941〜955,2001を参照のこと)、および酸化還元コントロール中における化合物の検出、および別の検出器と組み合わせて用いられるハイスループットスクリーニングプラットフォームをモニタリングするために用いられている(米国出願2002/0123069を参照のこと)が、従ってサイクリック・ボルタンメトリーは、可能性のある治療用候補物の演繹的な同定のためには用いられてはいない。
【0014】
治療効果を有することができる分子化合物を迅速かつ有効に同定するために有用な新規な技術が必要とされていることが明らかである。
【0015】
驚くべき事に、少なくとも1つの酸化還元パラメーターを含み、そして以前に試験された小さいサブセットの化合物と同じコア構造との物理的−化学的/生物学的関係によって予め規定されている範囲内におさまる新規な治療分子が、その物理的−化学的特性によって、同定され得ることが見出されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本発明は、治療用化合物の迅速かつ有効な同定方法であって、そのコア構造およびさらにアッセイされるべきその物理的−化学的特徴に基づいて最も好ましい分子のみが最初に選択されることを可能にすることによる方法に関する。
【0017】
本発明は、特定の障害を選択的に標的する特定のコア構造を有する分子を、以前に試験したサブセットの化合物の物理的−化学的/生物学的関係によって予め規定される範囲内におさまるその物理的−化学的プロフィールに基づいて同定する方法に関する。本発明では、特定のコア構造を有する化合物の小さいサブセットのメンバーを、その酸化還元プロフィールを含む特定の物理的−化学的特徴について、およびその生物学的活性について、試験する。この2つのパラメーターの間の関係は、確立されており、他の潜在的な薬物候補物は、このような物理的−化学的/生物学的関係によって予め規定される範囲内におさまるその物理的測定に基づいてスクリーニングされる。この物理的−化学的プロフィールが以前に試験された化合物のサブセットの物理的−化学的および生物学的活性の関係によって規定される範囲内である場合、それらは治療用候補物であると考えられる物質である。この物理的特性測定は、生物学的アッセイよりも経時的にさらに良好な反復性、再現性およびさらに低い可変性を示し得る。なぜならそれらは生きている生物体に関与せず、時間がかからずかつ安価であり得るからである。
【0018】
本発明においては、本発明者らは、標準的なコンビナトリアルライブラリーまたはSARアプローチにおいて必要であるような、生物学的アッセイを用いた全ての可能性のある化合物およびその組み合わせのスクリーニングの必要なしに、酸化還元に基づく代謝障害、例えば虚血性障害、神経変性障害および/または炎症障害について治療上の利点の重要な決定因子である構造および電気化学的特質を有する治療上の分子を同定する方法を記載している。
【0019】
本発明は、本発明をさらに明確に理解して実行するために、スチルベン、フラボノイド、アポモルフィン、クロマンまたはキノンコア構造を有する骨格を有する分子で例示される。それらは本発明の範囲の限定ではないはずであり、単にその代表であるに過ぎない。本発明はまた、この方法によって同定されたコア構造を含む組成物に関する。
【0020】
1つの実施形態では、本発明は、所定のコア構造を有する治療用化合物を同定および選択する迅速かつ有効な方法に関するが、この方法は、以下:
・物理的−化学的プロフィールと生物学的活性との間の関係を確立する工程であって;この物理的−化学的プロフィールが、酸化の開始、酸化電位、還元電位、酸化の可逆性、還元の可逆性、酸化電流または還元電流から選択される1つ以上のパラメーターを含み;この生物学的活性が標的とする障害の処置のための化合物を検出するのに有効な細胞ベースのアッセイで測定される、工程と;
・このコア構造を有するさらなる潜在的な治療候補物をその物理的−化学的特性について試験する工程と;
・治療用化合物を、以前に試験された化合物のサブセットの物理的−化学的/生物学的関係によって所定の範囲内におさまるその化合物の物理的−化学的パラメーターに基づいて選択する工程と;
を包含する。
【0021】
特定の実施形態では、この分子は、酸化の開始についてのパラメーターが所定の範囲内におさまる場合、選択される。別の特定の実施形態では、この分子は、第1の酸化波の電位についてのパラメーターが所定の範囲内におさまる場合に選択される。別の特定の実施形態では、この分子は、1つ以上の酸化波の可逆性についてのパラメーターが所定の範囲内におさまる場合に選択される。別の特定の実施形態では、この分子は、1つ以上の還元波の可逆性についてのパラメーターが所定の範囲内におさまる場合に選択される。別の特定の実施形態では、この分子は、この第1の還元波の電位についてのパラメーターが所定の範囲内におさまる場合に選択される。
【0022】
特定の実施形態では、この分子を、エネルギープロフィールパラメーターおよび輸送プロフィールパラメーターから選択される1つ以上のパラメーターをさらに含む、物理的−化学的プロフィールに基づいて最初にスクリーニングして、選択する。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、物理的−化学的プロフィールに基づいて最初に選択された有機分子の集団を用いることによって治療分子を同定および選択する迅速かつ有効な方法に関するが、この物理的−化学的プロフィールはサイクリック・ボルタンメトリーなプロフィールを含む。
【0024】
別の実施形態では、本発明は、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物に関するが、ここでは
・物理的−化学的プロフィールと生物学的活性との間で関係が確立され、この物理的−化学的プロフィールが、酸化の開始、酸化電位、還元電位、酸化の可逆性、還元の可逆性、酸化電流または還元電流から選択される1つ以上のパラメーターを含み;この生物学的活性が標的とする障害の処置のための化合物を検出するのに有効な細胞ベースのアッセイで測定され;
・このコア構造を有するさらなる潜在的な治療候補物が、その物理的−化学的特性について試験され;そして
・治療用化合物が、以前に試験された化合物のサブセットの物理的−化学的/生物学的関係によって所定の範囲内におさまるその化合物の物理的−化学的パラメーターに基づいて選択される、
方法によって選択される。
【0025】
別の実施形態では、スチルベンコアを含む化合物の物理的−化学的プロフィールが、最初の酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールの間の関係によって予め規定された範囲内で規定される;そして以前に試験された化合物のサブセットにおける細胞アッセイにおいて、および別の実施形態の細胞アッセイにおいて、試験された細胞のうち少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%において効力および有効性を有するエネルギー的に適格な細胞をこの化合物が保護する能力を測定するこの生物学的活性は、高グルタミン誘導性酸化的ストレスアッセイおよびEセレクチン(ELAM)アッセイから選択される。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、炎症、神経変性または虚血などが挙げられるがこれらに限定されない酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するためのスチルベンコア構造を有する治療用化合物を同定および選択する方法に関するが、この方法は以下を含む物理的−化学的プロフィールに基づく:
・約800mV〜1400mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーター、および/または
・約20%以上の第1の酸化波の可逆性についてのパラメーター。
【0027】
別の実施形態では、この物理的−化学的プロフィールは、約800mV〜1400mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーターを含む。別の実施形態では、この物理的−化学的プロフィールのパラメーターは、20%以上の第1の酸化波の可逆性のパラメーターを含む。
【0028】
別の実施形態では、本発明は、炎症、神経変性または虚血などが挙げられるがこれらに限定されない酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療用化合物を同定する方法に関するが、この治療用化合物は、以下の式I:
【0029】
【化8】

【0030】
のコア構造を含む酸化還元活性分子を含み、
ここでフェニル環におけるさらなる置換はニトロ基を含まない。
【0031】
別の実施形態では、フェニル環におけるさらなる置換がニトロ基を含まない式Iの化合物の物理的−化学的プロフィールは、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールの間の関係によって予め規定される範囲内に規定される;そして以前に試験された化合物のサブセットにおいて、および別の実施形態の細胞アッセイにおいて、試験された細胞のうち少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%において効力および有効性を有するエネルギー的に適格な細胞をこの化合物が保護する能力を測定するこの生物学的活性は、高グルタミン誘導性酸化的ストレスアッセイおよびEセレクチン(ELAM)アッセイから選択される。
【0032】
別の実施形態では、本発明は、約1000mV以下におさまる第1の酸化の電位のパラメーターを含むその物理的−化学的プロフィールに基づいて;炎症、神経変性または虚血などが挙げられるがこれらに限定されない酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療用化合物を同定および選択する方法に関しているが、この治療用化合物は、以下の式I:
【0033】
【化9】

【0034】
のコア構造を有し、このフェニル環におけるさらなる置換は、ニトロ基を含まない。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、炎症、神経変性または虚血などが挙げられるがこれらに限定されない酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療用化合物を同定する方法に関するが、この治療用化合物は、以下の式I:
【0036】
【化10】

【0037】
のコア構造を含む酸化還元活性分子を含み、
このフェニル環におけるさらなる置換はニトロ基を含む。
【0038】
別の実施形態では、フェニル環におけるさらなる置換がニトロ基を含む式Iの化合物の物理的−化学的プロフィールは、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールの間の関係によって予め規定される範囲内に規定される;そして以前に試験された化合物のサブセットにおいて、および別の実施形態の細胞アッセイにおいて、試験された細胞のうち少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%において効力および有効性を有するエネルギー的に適格な細胞をこの化合物が保護する能力を測定するこの生物学的活性は、高グルタミン誘導性酸化的ストレスアッセイおよびEセレクチン(ELAM)アッセイから選択される。
【0039】
別の実施形態では、本発明は、以下を含む物理的−化学的プロフィールに基づいて、炎症、神経変性または虚血などが挙げられるがこれらに限定されない酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための、フェニル環におけるさらなる置換がニトロ基を含む式Iのコア構造を有する治療用化合物を同定する方法に関する:
・約950mV〜1250mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーター、および/または
・20%を超えるその測定におさまる第1の酸化波の可逆性についてのパラメーター。
【0040】
別の実施形態では、物理的−化学的プロフィールは、約950mV〜1250mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーターを含む。別の実施形態では、この物理的−化学的プロフィールは、20%を超えて測定する第1の酸化波の可逆性のパラメーターを含む。
【0041】
別の実施形態では、本発明は、ある化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物に関するが、この化合物は、スチルベンコア構造に基づいて本明細書に記載される方法によって選択され、そしてその物理的−化学的プロフィールは、
・約800mV〜1500mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーター、および/または
・約20%以上の第1の酸化波の可逆性についてのパラメーター、
を含む。
【0042】
別の実施形態では、本発明は、以下の式I:
【0043】
【化11】

【0044】
のフェニル基におけるさらなる置換がニトロ基を含むコア構造に基づいて;そしてその物理的−化学的プロフィールであって、約1000mV未満におさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーターを含むプロフィールに基づいて、本明細書に記載されるような方法によって選択される、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物に関する。
【0045】
別の実施形態では、本発明は、以下の式I:
【0046】
【化12】

【0047】
のフェニル基におけるさらなる置換がニトロ基を含むコア構造に基づいて;
そしてその物理的−化学的プロフィールであって、
・約950mV〜1250mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーター、および/または
・20%を超えて測定する第1の酸化波の可逆性についてのパラメーター、
を含むプロフィールに基づいて;本明細書に記載される方法によって選択される、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物に関する。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、治療化合物の物理的−化学的プロフィールが、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールと;約30μM未満、好ましくは約20μM未満の範囲内のEC50でE−セレクチン(ELAM)の発現を化合物が低下させる能力を測定する生物学的活性との間の関係によって予め規定される範囲内で規定される場合、フラボノイドコア構造を有する酸化還元活性分子を含む、酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療化合物を同定する方法に関する。別の実施形態では、フラボノイドコアを含む化合物の物理的−化学的プロフィールは、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールと;高グルタミン酸誘導性酸化的ストレス(High Glutamate−induced Oxidative Stress)(HGOS)アッセイにおいて試験された細胞のうち少なくとも約30%において効力および有効性を有するエネルギー的に適格な細胞を保護する化合物の能力を測定する生物学的活性との間の関係によって予め規定される範囲内で規定される。
【0049】
別の実施形態では、本発明は、約1050mV〜1450mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールに基づいて;神経変性または虚血のような酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するためのフラボノイドコア構造を有する治療化合物を同定および選択する方法に関する。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物であって、そのフラボノイド構造および約1050mV〜1450mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールに基づいて、本明細書に記載のような方法によって選択される化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物に関する。
【0051】
別の実施形態では、本発明は、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールに基づいて、炎症によって特徴付けられる状態を処置するための、以下の式II:
【0052】
【化13】

【0053】
の置換基の1つ以上がヒドロキシ基であるフラボノイドコア構造を有する治療用化合物を、これが約850mV〜1050mVの間におさまる酸化の開始についてのパラメーターを含む場合、同定および選択する方法に関する。
【0054】
別の実施形態では、本発明は、置換基のどれもがヒドロキシ基でない式IIのフラボノイドコア構造に基づいて本明細書に記載される方法によって選択される、そしてその物理的−化学的プロフィールが約850mV〜1050mVの間におさまる酸化波の開始についてのパラメーターを含む、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物に関する。
【0055】
別の実施形態では、本発明は、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールに基づいて、炎症によって特徴付けられる状態を処置するための、以下の式II:
【0056】
【化14】

【0057】
の置換基の1つ以上がヒドロキシ基であるフラボノイドコア構造を有する治療用化合物を;これが約350mV〜650mVの間におさまる酸化の開始についてのパラメーターを含む場合、同定および選択する方法に関する。
【0058】
別の実施形態では、本発明は、置換基の1つ以上がヒドロキシル基であり、その物理的−化学的プロフィールが約350mV〜650mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーターを含む、式IIのフラボノイドコア構造に基づいて、本明細書に記載のような方法によって選択される、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療組成物に関する。
【0059】
別の実施形態では、本発明は、治療用化合物を同定および選択する迅速かつ有効な方法に関するが、この方法は、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールについて;そして目的のアッセイにおける生物学的活性について;以下の式III:
【0060】
【化15】

【0061】
のアポモルフィンコア構造を有する化合物の小さいサブセットをスクリーニングする工程と;物理的−化学的プロフィールと生物学的活性との間の関係を確立する工程と;物理的−化学的特性についてさらなる潜在的な治療用候補物をスクリーニングする工程と;以前に試験された化合物のサブセットの物理的−化学的/生物学的関係によって予め規定された範囲内におさまる物理的−化学的特性に基づいて、治療用分子を選択する工程とを包含する。
【0062】
別の実施形態では、生物学的アッセイは、神経変性アッセイであり、詳細には生物学的アッセイは、脳における、例えば、アルツハイマー病における、細胞外アミロイド斑および神経細胞内の神経原線維変化の存在によって特徴付けられた進行性の神経変性疾患の処置のために有効な分子を検出できるアミロイドβ原繊維形成アッセイである。別の実施形態では、このアッセイはLashuelら(前出を参照のこと)において記載されたようなチオフラビンTアッセイである。別の実施形態では、このアッセイは高グルタミン酸酸化的ストレス(High Glutamate Oxidative Stress)(HGOS)アッセイである。
【0063】
別の実施形態では、生物学的アッセイは炎症性アッセイである。別の実施形態では、物理的−化学的プロフィールは、酸化波の電位を含む。別の実施形態では、物理的−化学的プロフィールは、還元波の電位を含む。
【0064】
別の実施形態では、アポモルフィンコアを含む化合物の物理的−化学的プロフィールは、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールと;定量的チオフラビンT結合アッセイに基づいてアミロイドβ原繊維形成を約30%未満まで低下させる化合物の能力を測定する生物学的活性との間の関係によって予め規定される範囲内で規定される。別の実施形態では、アポモルフィンコアを含む化合物の物理的−化学的プロフィールは、物理的−化学的プロフィールとELAMにおいて炎症をEC50で約50μM未満、好ましくは約30μM未満の範囲で低下させる化合物の能力を測定する生物学的活性との間の関係によって予め規定される範囲内で規定される。
【0065】
別の実施形態では、本発明は、神経変性状態、詳細にはアミロイドβ原線維形成の阻害によって特徴付けられる状態、例えばアルツハイマー病を処置するためのアポモルフィンコア構造を有する治療用化合物を;約1250mV未満におさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールに基づいて、同定および選択する方法に関する。
【0066】
別の実施形態では、本発明は、神経変性状態、詳細にはアミロイドβ原線維形成の阻害によって特徴付けられる状態を処置するためのアポモルフィンコア構造を有する治療用化合物を;約−790mVより負である第1の還元波の電位についてのパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールに基づいて、同定および選択する方法に関する。
【0067】
別の実施形態では、本発明は、神経変性状態、詳細にはアミロイドβ原線維形成の阻害によって特徴付けられる状態の処置のための、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物に関するが、ここでこの化合物は、そのアポモルフィンコア構造に基づいて本明細書に記載される方法によって選択され、その物理的化学的プロフィールは、約1250mV未満におさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーター、および/または約−790mVより負である第1の還元波の電位についてのパラメーターを含む。
【0068】
別の実施形態では、本発明は、治療用化合物を同定および選択する迅速かつ有効な方法に関するが、この方法は、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィール、およびE−セレクチン(ELAM)の発現をEC50で約50μM未満、好ましくは約30μM未満の範囲で低下させる化合物の能力を測定する生物学的活性について、キノンコア構造を有する化合物の小さいサブセットをスクリーニングする工程と;ならびに以前に試験した化合物のサブセットの物理的−化学的/生物学的関係によって規定された範囲内におさまる物理的−化学的特性に基づいて治療用分子を選択する工程を包含する。
【0069】
別の実施形態では、本発明は、酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するためのキノンコア構造を有する治療用化合物を、これが約75%以上の還元の総可逆性についてのパラメーターを含む場合、同定および選択する方法に関する。
【0070】
別の実施形態では、本発明は、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む酸化的ストレスの処置のための治療用組成物に関するが、この化合物はそのキノンコア、および約75%以上の還元の総可逆性についてのパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールに基づいて、本明細書に記載される方法によって選択される。
【0071】
本発明の特定の実施形態では、処置されるべき状態は炎症である。本発明の他の実施形態では、処置されるべき状態は虚血である。本発明の他の実施形態では、処置されるべき状態は神経変性状態である。特定の実施形態では、処置されるべき状態はアルツハイマー病である。
【0072】
別の実施形態では、本発明は、以下の式IV:
【0073】
【化16】

【0074】
のクロマンコア構造を有する酸化還元活性分子を含む、酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療用化合物を、その物理的−化学的プロフィールが、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールと;以前に試験された化合物のサブセットにおいて試験された細胞のうち少なくとも約20%、好ましくは少なくとも約30%において効力および有効性を有するエネルギー的に適格な細胞を保護する化合物の能力を測定する生物学的活性との間の関係によって予め規定される範囲内で規定される場合、同定する方法に関する。別の実施形態では、式IVのクロマンコア構造を含む化合物の物理的−化学的プロフィールは、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールと;高グルタミン酸塩誘導性酸化的ストレス(HGOS)アッセイにおいて試験された細胞のうち少なくとも約30%において効力および有効性を有するエネルギー的に適格な細胞を保護する化合物の能力を測定する生物学的活性との間の関係によって予め規定される範囲内で規定される。
【0075】
別の実施形態では、本発明は、約850mV〜1200mVの間におさまる第1の酸化波の電位のパラメーターを含む物理的−化学的プロフィールに基づいて;神経変性または虚血のような酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための、式IVの構造のクロマンコアを有する治療化合物を同定および選択する方法に関する。
【0076】
別の実施形態では、本発明は、式IVのクロマンコア構造、および約850mV〜1200mVにおさまる第1の酸化波の電位についてのパラメーターを含むその物理的−化学的プロフィールに基づいて、本明細書に記載されるような方法によって選択される、化合物および/または治療上受容可能な賦形剤を含む治療用組成物に関する。
【0077】
本発明の特徴、局面および利点は、以下の説明、特許請求の範囲および添付の図面を参照してさらに良好に理解される。
【0078】
(発明の詳細な説明)
分子と生物学的標的との相互作用は、構造上の認識のみには限定され得ない。他のタイプの相互作用も生じ得、それらのいくつかは1つ以上の変化の交換を含んでもよい。その明白な電気的分布によって、分子は、異なる物理的−化学的プロフィール、特に酸化還元プロフィール、すなわち、変化を生じるかまたは受容する能力の測定、交換された変化の数、プロセスの動態、および変化の付加または置換を伴う引き続く分子機構を示す。種々の電気分析的技術は、物理的−化学的プロフィールを決定するために使用されてもよい。サイクリック・ボルタンメトリーは、上記のパラメーターに対して定量的情報を与える技術である。ある分子の酸化還元プロフィールは、そのサイクリック・ボルタンモグラムによって十分に特徴付けられる。
【0079】
例えば、シングル・サイクリック・ボルタンメトリー、連続的サイクリック・ボルタンメトリー(電流の組みこみの有無による)、方形波ボルタンメトリー、方形波ストリッピングボルタンメトリー、ACボルタンメトリー、クロモアンペロメトリー(choromoamperometry)、クロノコウロメトリー(chronocoulometry)、クロノポテンチオメトリー(chronopotentiometry)のような、他の特定の電気分析技術も、酸化還元プロフィールを測定するために用いることが可能であり、そして種々の定電圧技術およびガルバノスタティツク(galvanostatic)技術を使用することができる。種々の電気分析技術の説明は、多くのテキストブック、例えば、Monk S,Fundamentals of Electroanalytical Chemistry,Wiley & Sons,New York,156〜175,2001またはBard A.J.ら、Electrochemical Methods,Wiley&Sons,New York,Ch.6.1980に見出すことができる。上述の電気分技術は、本発明の範囲を限定するとみなされるべきではく、単にその例示および代表である。
【0080】
ある分子の酸化還元特性は、サイクリック・ボルタンメトリーを含む種々の供給源から獲得できるが、ここではこの化合物は、例えば、白金、金またはガラス状炭素電極のような電極で示される電流−電位関係によって特徴付けられる。この技術では、静止電極の電位は、経時的に直線的に変更され、固定電位から開始してさらに還元的または酸化的な電位に動く。1つ以上の電極反応が生じる電位領域が移動した後、線形掃引の方向は逆転されて、このフォワードスキャンの間に形成されているかもしれない中間体および生成物の電極反応が検出され得る。これには、以前のスキャンで生じた電極の移動反応の生成物が電流スキャンにおいて再度プローブできるという利点がある。サイクリック・ボルタンメトリーは、酸化型および還元型の両方が電流−電圧曲線を得るのに必要な時間の間に安定である場合、半反応の正式な電位を測定するための単純かつ直接的な方法である。電流対電位として得られたプロットは、サイクリック・ボルタンモグラムと命名される。サイクリック・ボルタンモグラムは多数の物理的および化学的パラメーターの複雑な時間依存性の関数である。これによってアノードおよびカソードのピーク電位、酸化波のハーフ・ピーク電位、ピーク分離、アノードピークとカソードピークとの間の電位中間についての情報が得られる。酸化還元系が平衡のままである場合のみ、電位スキャン全体が可逆性のボルタンモグラムである。ボルタンモグラムの形状は、電気化学的プロセスの前後のいずれかに連動された化学反応が存在する場合、有意に変更できる。このプロセスの機構、速度および平衡定数は全てが、特定の分子を特徴付けるボルタンモグラムの最終形状においてある役割を果たし得る。サイクリック・ボルタメントリーは、正式な酸化還元電位の決定、電気化学的反応に先行するかまたはそれに続く化学的反応の検出、および電子伝達動態の評価のための強力なツールである。
【0081】
サイクリック・ボルタンモグラムによって、分子が酸化電位によって測定される1つ以上の電子をはじく能力、酸化電流によって測定される変化した電子の相対数、対応する還元電流に対する酸化電流の比によって測定される酸化過程の可逆性、およびスキャン速度の変動を通じて測定される酸化された種の動態;ならびに還元電位によって測定される1つ以上の電極をこの分子が受容する能力、還元電流によって測定される交換された電子の数、対応する酸化電流に対する還元電流の比によって測定される還元過程の可逆性;およびスキャン速度の変動を通じて測定された還元種の安定性に対するデータが得られる。
【0082】
方形波ボルタンメトリーは、そのパルスされたボルタメントリー技術に起因する極めて低い検出限界で1つ以上の電子をはじくかまたは受容する分子の能力についての定量的な情報を得る技術である。パルスボルタメントリー技術の主な利点は、充電電流に対してそれらが区別する能力である。結果としてパルス技術は従来のボルタメントリーよりも酸化および還元の電流に対して鋭敏である。方形波ボルタンメトリーによって誘導電流のプロセスについてのピークが得られ、ここではピーク高さは溶液中の種の濃度に直接比例する。これによって、複合分析システムについての解像度が向上して、さらに都合の良い定量が得られる。例えば、O’Cea,J.ら「Theory of Square Wave Voltammetry for Kinetic Systems」Anal.Chem.53(4)、695,1981およびKrause,Jら「Analytical Application of Square Wave Voltammetry」Anal.Chem.41(11),1365,1969を参照のこと。
【0083】
測定を行なった場合、ストリッピング方形波ボルタンメトリーを用いることによってさらに高い感度を得ることができるが、ここでは目的の種は、分析を行なう前の電気化学的手段によって作用電極に濃縮される。十分長い濃縮工程を用いれば、物質の濃度は、サンプル溶液においてよりも電極においてかなり高い。電極電位をスキャンする場合、その物質は電極から剥がされ、これによってこのプロセスの発生につれて細胞電流における増大が生じる。線形掃引を上回る方形波ストリッピングボルタメントリーの利点は以下である:
・これはパルスされた波形を組みこみ、これによって同じ分析種の反復された酸化および還元によって感度を増強する;
・これは、純粋に減算的技術であって、これによって分析シグナルを妨害しない酸素のような溶存種に起因する電流を制限する;
・これは迅速な技術であり、瞬間的に得ることができる
・これによって、順電流および逆電流の両方を分析する能力のおかげで動態の情報が得られ、そして正味の電流、反応可逆性についての情報、および電極構造を容易に得ることができる。
【0084】
シグナルを測定するために、例えば、水素発生反応または酸素発生反応のような競合する酸化還元反応は妨害しない電極を利用することが有利である。これは、限定はしないが、白金、金およびガラス状炭素などの、競合する反応に向かう十分に高い過電圧によって特徴付けられる電極を使用することによって得ることができる。作用電極は、任意の形状の固定式または回転式であってもよく、対流による混合があってもよい。この測定は、酸化されるかまたは酸化されない環境、およびプロトン化されたおよびプロトン化されていない環境を含むがこれらに限定されない種々の系において行なうことができる。
【0085】
本明細書において達成される電極−化学的測定は代表的には、3つの電極システム(作用電極/対極/基準電極)、または可能性としては2つの電極システム(作用電極/対電極)において行なわれる。対電極の面積は代表的には、測定電極の面積よりも大きいかもしれない。
【0086】
本発明の化合物の酸化還元プロフィールは、実施例1に記載されるようなサイクリック・ボルタンメトリーによって、または実施例2に記載されるような方形波ボルタンメントリーによって測定された。全ての述べられた電位の値は、実施例1および2に記載される銀/塩化銀基準電極に対して述べられる。当業者は、銀/塩化銀電極が、他の基準電極で置き換えられ得ること、およびこのような置き換えによって異なる値が得られ得るが、これは本発明の真の趣旨および範囲から逸脱はしないということを理解する。
【0087】
本発明の物理的−化学的プロフィールは、酸化還元プロフィールおよびその関連の物理的測定値を、必要に応じてエネルギープロフィールおよび/または輸送プロフィールおよびそれらの関連する物理的測定値と組み合わせて含む。
【0088】
分子のエネルギープロフィールは、線発光、線吸収および非線形吸収のようなその光学的値から得ることができる。線発光は、最大蛍光の波長λem、すなわち、高エネルギーレベル(LUMO)から低エネルギーレベル(HOMO)の電子の安定化によって放出される放射エネルギーによって;そして/または蛍光Φの量子収量、すなわち高エネルギーレベル(LUMO)から低エネルギーレベル(HOMO)へ電子を安定化する分子の確率によって測定される。線吸収は、最大吸収の波長λmax、すなわち分子の主なエネルギーレベルから最高の確率を有する次の高いエネルギーレベルへの電子の放出に必要なエネルギーの量;および/または分子消衰係数ε、すなわち電子を、それが適切な量のエネルギーを受容したとき、その主なエネルギーレベルから次の高いエネルギーレベルに放出させる分子の確率;および/または吸収の最長の波長λend、すなわち分子の主なエネルギーレベルからの電子の放出に必要な最小エネルギーによって、測定される。分極率Δλpolは、分子の電子雲が外部電磁場によって形成される能力によって測定される。分極率測定は、ソルバトクロミズムによって行なわれ、これによって最大吸収の波長のシフトを溶媒極性の関数として測定する(例えば、オクタノールとDMSOとの間)。
【0089】
分子の輸送プロフィールは、その分配係数、および/または拡散定数、および/または分子量および/または融点から得ることができる。
【0090】
分子の小さいサブセットの物理的−化学的プロフィールと生物学的活性との間の関係を確立するため、このような分子の定量的な物理的パラメーターの全てを特定の生物学的アッセイ値に対してプロットし、そして十分規定された集団については、任意の物理的パラメーターが生物学的活性に関する場合、相関が判明する場合がある。プロットすることは、手動で、またはMicrosoft Excel(登録商標)のような当該分野で周知のコンピュータープログラムの補助によって行なうことができる。
【0091】
化合物の小さいサブセットの生物学的活性は、目的の標的に関するとみなされた任意のアッセイによって評価することができる。本発明では、これらの化合物のいくつかの生物学的活性は、ストレスに曝された場合の細胞の機能不全の程度を決定するための、当該分野で周知のインビトロモデルを用いて決定された。虚血のインビトロモデルは、例えば、神経細胞培養物を大型の嫌気性の低酸素チャンバ中に入れることおよび脱酸素して定義したイオン性組成物培地で培養培地を交換することによって、インビボ状態を模倣する酸素およびグルコースの剥奪に近似する。神経細胞のグルタミン酸レセプター、特にN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターの毒性過剰刺激は、各々が神経変性のカスケードを生じる、低酸素−虚血神経細胞傷害(Choi、D.M.,Neuron,1:623〜634,1988)、反応性酸素種(ROS)の虚血性誘導(Watson、B.D.ら、Ann NY Acad Sci.,59:269〜281,1988)、過剰なカルシウム流入(Grotta、J.C.,Stroke,19:447〜454,1988)、アラキドン酸増大(Siesjo,B.K.J.Cereb.Blood Flow Metab.,1:155〜186,1981)、およびDNAのダメージ(MacManus、J.P.ら、Neurosci.Lett.,164:89〜92,1993)に寄与する。
【0092】
酸化的ストレスは、神経変性疾患における主な要因の1つとして見られており、虚血由来の神経細胞傷害に寄与し得る(例えば、Coyle、J,T,ら、Science 262,689〜695,1993;またはBeal M.F,Curr.Opin.Neurobiol.;6,661〜666,1996を参照のこと)。ミトコンドリアの電子伝達鎖(Tan Sら、J.Cell Biol.141,1423〜1432,1998)、モノアミン代謝物(Maher Pら、J.Neurosci.16,6394〜6401,1996)およびアラキドン酸酸化(Li Yら、Neuron 19,453〜463,1997)を含む多くの代謝性プロセスの副産物として生成される、反応性酸素種(ROS)は、酸化的ストレスを受けた神経細胞における細胞死についての主なメディエーターであり得る(Chan P.H.,Role of oxidants in ischemic brain damage;Stroke 27,1124〜1129,1996およびHosler B.A.ら;Curr.Opin.Neurol.9,486〜491,1996)。ROSとの化学的反応による細胞小器官および高分子に対する傷害は、細胞死のアポトーシス性プログラムを開始し得るか(Hosler B.A.ら、を参照のこと(前出)、または壊死をもたらし得る(Choi D.W.Curr.Opin.Neurobiol.8,667〜672,1996)。
【0093】
マウスドーパミン作動性ニューロン細胞株は、高グルタミン酸誘導性酸化的ストレス(HGOS)を検査するために有用である。グルタミン酸の細胞毒性効果は、興奮毒性には起因しない。なぜならこの細胞株は、変力性グルタミン酸レセプターを欠くからである。むしろ、ドーパミン作動性細胞のグルタミン酸誘導性毒性は、システイン輸送の阻害に関連し(Murphy T.H,.ら、Neuron 2,1547〜1558,1989)、これが次に細胞内グルタチオン(GSH)レベルの枯渇(Murphy T.H.ら、Neuron 2,1547〜1558,1989)、ニューロン12−リポキシゲナーゼの活性化(Li,Yら(前出)を参照のこと)、ROS産生の増大(Tan Sら、(前出)を参照のこと)および細胞内Ca2+の増大(Li,Yら(前出)を参照のこと)をもたらす。いくつかの分子を、グルタミン酸誘導性ストレスに対してこのような細胞を保護する能力について測定しており、そのアッセイは実施例4に詳細である。
【0094】
主な胚性海馬ニューロン細胞は、神経細胞の機能のモデルにおいて有用であることが認識されている。海馬は、一般に中枢神経系(CNS)のニューロンに代表的な十分特徴付けられた特性を有するニューロンの比較的均一な集団の供給源である。海馬における主な細胞タイプである錘体ニューロンは、総ニューロン集団の85%〜90%を占めると見積もられている(BankerおよびGoslin,Culturing Nerve Cells,第二版、1998.The MIT Press,Cambridge,Massachusetts)。海馬はまた、長期の相乗作用のような、シナプス機能における活性依存性の変化についての顕著な能力を示す(Hawkins RD、kandel ER、Siegelbaum SA.Learning to modulate transmitter release:themes and variations in synaptic plasticity[review],Ann.Rev.Neurosci.,16,625〜665,1993)。
【0095】
エネルギー的に適格な細胞を保護する能力を測定する海馬ニューロンの主な培養物を用いて、ニューロンの保護における活性について化合物を試験した。低酸素を含む1つ以上の標準的ストレッサーに対して細胞を保護する能力について、いくつかの分子を測定して、そのアッセイを実施例3に詳細に示す。
【0096】
本発明の目的のためには、当該分野で周知の他のインビトロの細胞ベースのアッセイ、例えば、炎症アッセイ、例えば、e−セレクチン(内皮白血球接着分子またはELAMとも呼ばれる)またはC反応性タンパク質(CRP)、または筋細胞カルシウム収縮性アッセイ、またはインビボアッセイ、例えば脳虚血アッセイのラット中大脳動脈閉塞(MCAO)モデル、ラット脚浮腫アッセイまたは局所アラキドン酸アッセイに対するマウス耳炎症応答または皮膚保護アッセイも用いることができる。規定の障害を標的する化合物の活性を確立するためにどのアッセイが用いられるかを当業者は容易に決定することができる。上述のアッセイは、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではなく、単にその例示および代表である。
【0097】
本発明はまた、酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための組成物に関するが、ここでこのような組成物は、本明細書に記載されるように、酸化電位、酸化的可逆性、還元電位およびエネルギー的に適格な細胞を保護する能力によって特徴付けられる酸化還元活性分子を含み、この分子は本発明の方法によって同定される。酸化的ストレスに関連する疾患、障害または症候群としては、虚血後の再灌流障害、心筋炎、心筋症、急性心内膜炎、心外膜炎、うっ血性心不全、糖尿病の炎症性合併症、筋萎縮性側索硬化症、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病および痴呆、自己免疫疾患、シェーグレン症候群、網膜酸化障害、網膜症、クローン病、潰瘍性大腸炎、血管形成、腹膜の障害、骨盤腔および胸膜腔、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、肺障害、気管支過敏症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および本明細書に記載のような炎症状態が挙げられるがこれらに限定されない。
【0098】
本明細書において用いる場合、「炎症(inflammation)」または「炎症状態(inflammation conditions)」としては、筋疲労、自己免疫疾患、例えば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、変形性関節炎、炎症性腸疾患、自己免疫性糖尿病、皮膚炎症、例えばアトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、乾燥症、湿疹、酒さ、脂漏症、乾癬、火傷および放射線やけど、座瘡、油性肌、皺、過剰なセルライト、過剰な細孔サイズ、真性皮膚加齢、光による加齢、光による傷害、有害なUV障害、角化異常、脱毛症、色素脱落、創傷に起因する炎症、瘢痕または妊娠線、弾性の消失、皮膚萎縮症および歯肉炎が挙げられるがこれらに限定されない。
【0099】
本明細書において用いる場合、「虚血(ischemia)」としては、心停止、低酸素、一過性虚血性発作、脳卒中または重篤な低血圧から生じる中枢神経系虚血;ある程度の脳障害を生じ得る脳卒中を含む脳虚血;虚血性心疾患(心筋虚血);脊髄虚血および対麻痺;加齢性黄斑変性症(ARMD)を含む網膜虚血;腎虚血;皮膚虚血;陰茎虚血;肺虚血;胃の虚血;腸の虚血;脾臓虚血;膵臓虚血;骨格筋虚血;および糖尿病性潰瘍に関連する虚血、壊疽性状態、外傷後症候群、良性前立腺肥大(BPH)、後前立腺癌手術、心停止救急蘇生、末梢神経障害または神経障害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0100】
本明細書において用いる場合、「神経変性疾患もしくは障害、または神経変性(neurodegenerative diseases or disorders,or neurodegeneration)」とは、ニューロンの損失によって特徴付けられる疾患または障害をいい、そして炎症性過程を含んでも含まなくてもよい。神経変性疾患または障害としては、脳卒中、頭部外傷、脳虚血、脊髄損傷、てんかん、老人性痴呆症、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脳のアミロイド・アンギオパチー、HIV関連痴呆、パーキンソン病、フリードライヒ失調症または他の変性失調症、アミロイドーシス、レーバー遺伝性視神経障害(LHON)、ハンチントン病、プリオン病、重症筋無力症、ダウン症、クロイツフェルトヤコブ病などのプリオン病、テイ・サックス病、糖尿病性神経障害、神経因性疼痛、脳炎、髄膜炎およびデュシェンヌ型筋ジストロフィーが挙げられる。
【0101】
本明細書において用いる場合、「物理的−化学的プロフィール(physical−chemical profile)」としては、本明細書に規定されるように、必要に応じて、エネルギープロフィールおよび/または輸送プロフィールと組み合わせて、酸化の開始、酸化または還元波の電位、この酸化または還元波の可逆性、およびこの酸化または還元波の電流から選択される1つ以上のパラメーターを含む酸化還元プロフィールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0102】
本明細書において用いる場合、「酸化の開始(onset of oxidation)」とは、電流が最大電流の1%である電位を意味する。
【0103】
本明細書において用いる場合、「プロフィール(profile)」とは、1つ以上のパラメーターまたは測定値を含む。
【0104】
本明細書において用いる場合、「酸化還元パラメーター(redox parameter)」または「酸化還元特性(redox property)」または「酸化還元(redox)」とは、測定され得る酸化還元過程に関する量、例えば電位、電流、可逆性を意味する。
【0105】
本明細書において用いる場合、「可逆性(reversibility)」とは、反応動態の測定を意味する。これは、以下のパラメーターの1つ以上によってモニターされ得る:アノードピークおよびカソードピークのピーク電流の比、ピークの幅の半分、および/またはピークの分離。本明細書に記載される「酸化波の可逆性(reversibility of oxidation wave)」は、還元波の対応する電流ピークに対する酸化波の電流ピークの比、または2つ以上の波の場合は、再酸素化波の電流ピークの数学的加算を超える還元波の電流ピークの数学的加算の比によって測定される。
【0106】
本明細書において用いる場合、「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」とは、目的の症状を軽減または緩和するのに有効な化合物または組成物の量を意味する。
【0107】
本明細書において用いる場合、「処置(treatment)」または「処置する(treating)」とは、症状、疾患または障害、すなわち疾患の臨床的症状が発症することに対する予防または保護;疾患の阻害、すなわち、臨床症状の発生を停止または抑制すること;および/または疾患を軽減すること、すなわち臨床症状の退行を生じることを含む、哺乳動物における症状、疾患または障害の任意の処置を意味する。
【0108】
本明細書において用いる場合、「フラボノイドコア構造(flavonoid core structure)」とは、以下の構造:
【0109】
【化17】

【0110】
の骨格である。
【0111】
このグループ内のいくつかの例は、ケルセチン、ルテオリン、ヘスペレチン、8−アセチルケルセチン、6,8−ジブロモ−ケルセチン、アントシアニジン、および8−(2−ヒドロキシ)−エチルケルセチンである。
【0112】
本明細書において用いる場合、「キノンコア(quinone core)」とは、シクロヘキサジエン−ジオン部分を含む骨格である。「キノンコア」という用語は、限定はしないが、o−キノン骨格、p−キノン骨格、ナフトキン骨格およびアントラキノン骨格を包含する。
【0113】
本明細書において用いる場合、「スチルベンコア(stilbene core)」は、以下の構造の骨格である:
【0114】
【化18】

【0115】
「スチルベンコア(stilbene core)」という用語は、シスおよびトランス(またはZおよびE)の単一の異性体、ならびに異性体の混合物を含む。
【0116】
本明細書において用いる場合、「障害(disorder)」とは、任意の疾患、状態、症状または徴候を意味する。
【0117】
本発明において利用される薬学的組成物は、経口、静脈、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、経鼻、腸内、局所、舌下または直腸の手段が挙げられるがこれらに限定されない多数の経路によって投与され得る。活性成分に加えて、これらの薬学的組成物は、薬学的に、治療上、または栄養補助的に用いられ得る調製物への活性化合物の処理を促進する賦形剤および補助剤を含む適切な治療上受容可能なキャリアを含んでもよい。処方および投与のための技術のさらなる詳細は、全体が参考として本明細書に援用されるRemington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.,Easton,Pa)の最終版に見出すことができる。
【0118】
本発明における使用に適切な薬学的組成物は、意図される目的を達成するために活性成分が有効量で含まれている組成物を包含する。有効な用量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。任意の化合物について、治療上有効な用量は、細胞培養アッセイ(例えばニューロン細胞)において、または動物モデル(通常マウスまたはラット)において最初に評価され得る。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を決定するためにも用いられ得る。次いで、このような情報を用いて有用な用量および投与経路を決定することができる。
【0119】
正確な投薬量は、処置を必要とする被験体に関する要因を参照して医師によって決定される。投薬量および投与は、十分なレベルの活性部分を提供するように、または所望の効果を維持するように調節される。考慮され得る因子としては、疾患状態の重篤度、全身的健康状態または被験体の年齢、体重および被験体の性別、食餌、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ、反応感度、および治療に対する耐性/応答が挙げられる。
【0120】
本発明の組成物の投与は、類似の有用性を担う因子についての投与の任意の受容される方式を介してであってもよい。
【0121】
ヒト投薬量レベルは本発明の化合物についてまだ最適化されなければならないが、一般には、1日用量は、体重あたり約0.01〜15.0mg/kg、好ましくは体重あたり約0.1〜7.5mg/kg、そして最も好ましくは体重あたり約0.3〜1.5mg/kgである。従って、70kgの人に対する投与のためには、投薬範囲は、1日あたり約0.7〜1,000mg、好ましくは1日あたり約7.0〜500mg、そして最も好ましくは1日あたり約21〜100mgである。投与される活性化合物の量は、当然ながら、処置されている被験体および疾患状態、苦痛の重篤度、投与の様式およびスケジュール、ならびに処方する医師の判断に依存する。
【0122】
本発明の組成物は、炎症応答の低下が所望される任意の皮膚治療適用において使用され得る。例えば、本発明の組成物は、つけたままのそして洗い流せる座瘡調製物、顔用乳液、およびコンディショナー、シャワージェル、発泡および非発泡顔用クレンザー、化粧品、ハンドローションおよびボディローション、つけたままの保湿剤、化粧品および拭き取り布、ツタウルシ、水痘、掻痒用の軟膏などに組み込んでもよい。一般的には、経皮適用のためには、局所投与が好ましい;しかし、本明細書のいずれかに記載されるとおり全身投与も可能である。
【0123】
上記の状態の処置のために本発明の組成物を使用することにおいて、投与の任意の治療上受容可能な様式を用いてもよい。酸化還元活性の分子は、単独で、または他の治療上受容可能な賦形剤と組み合わせて投与されてもよく、これには、固体、半固体、液体またはエアロゾル投薬形態、例えば、錠剤、カプセル、粉末、液体、懸濁液、坐剤、エアロゾルなどが挙げられる。組成物はまた、所定の速度の化合物の延長した投与のために、デポ注射物、浸透圧ポンプ、丸剤、経皮(電気的輸送を含む)パッチなどを含む、徐放性または制御放出の投薬形態で、好ましくは正確な投薬の単回投与のために適切な単位投薬形態で、投与されてもよい。組成物は代表的には、従来の薬学的キャリアまたは賦形剤、および酸化還元活性分子を含む。さらに、これらの組成物は、他の医学的因子、薬学的因子、キャリア、アジュバントなどを含んでもよく、これには限定はしないが、抗凝固剤、血栓溶解剤、透過性増強剤および徐放性処方物が挙げられる。
【0124】
一般には、意図される投与様式に依存して、治療上受容可能な組成物は、約0.1重量%〜90重量%、好ましくは約0.5重量%〜50重量%の酸化還元活性分子を含み、その残りは適切な薬学的賦形剤、キャリアなどである。
【0125】
上記に詳細に示した状態のための好ましい投与様式の1つは経口であり、苦痛の程度に従って調節され得る従来の1日投薬レジメンを用いる。このような経口投与のためには、任意の正常に使用される賦形剤、例えば、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石材、セルロース、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどの組みこみによって、治療上受容可能な非毒性組成物が形成される。このような組成物は、溶液、懸濁物、錠剤、分散性錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性処方物などの形態をとる。
【0126】
好ましくは、この組成物は、丸剤または錠剤の形態をとり、従ってこの組成物は、活性成分とともに、ラクトース、スクロース、リン酸二カルシウムなどのような希釈剤;ステアリン酸マグネシウムなどのような潤滑剤;ならびにデンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースおよびその誘導体のような結合剤、などを含む。
【0127】
液体の治療上投与可能な組成物は、キャリア、例えば水、生理食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール、グリコール、エタノールなどの中で、酸化還元活性化合物および必要に応じて薬学的補助剤を、例えば、溶解、分散などを行い、これによって溶液または懸濁液を形成することによって調製され得る。所望される場合、投与されるべき薬学的組成物はまた、わずかな量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤、乳化剤または可溶化剤、pH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、ソルビタンモノラウレート、酢酸トリエタノールアミン、オレイン酸トリエタノールアミンなどを含んでもよい。このような投薬形態を調製する実際の方法は、公知であるか、または当業者には明白である;例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,第15版、1975を参照のこと。投与されるべき組成物または処方物は、いずれにせよ、処置されるべき被験体の症状を緩和するのに有効な量の活性化合物を含む。
【0128】
非毒性のキャリアで平衡にして活性成分を0.005%〜95%の範囲で含む投与形態または組成物を調製し得る。
【0129】
経口投与のために、正常に使用される任意の賦形剤、例えば、製薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、滑石材、セルロース誘導体、クロスカルメロースナトリウム、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石材などの組み合わせによって、治療上受容可能な非毒性組成物が形成される。このような組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、粉末、徐放性処方物などの形態をとる。このような組成物は、0.01%〜95%の活性成分、好ましくは0.1〜50%を含み得る。
【0130】
固体投薬形態のためには、溶液または懸濁液、例えば、プロピレン・カーボネート、植物油またはトリグリセリドが好ましくはゼラチンカプセル中にカプセル化される。このようなジエステル溶液、ならびにその調製およびカプセル化は、米国特許第4,328,245号;同第4,409,239号および同第4,410,545号に開示される。液体投薬形態については、例えば、ポリエチレングリコール中の溶液は、投与のために容易に測定されるように、十分な量の治療上受容可能な液体キャリア、例えば、水で希釈してもよい。
【0131】
あるいは、液体または半固体の経口処方物は、植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル(例えば、プロピレン・カーボネート)などに酸化還元活性化合物を溶解または分散することによって、そしてこれらの溶液または懸濁液を硬性または軟性のゼラチンカプセルシェルにカプセル化することによって調製できる。
【0132】
他の有用な処方物としては、米国再発行特許第28,819号および米国特許第4,358,603号に記載される処方物が挙げられる。
【0133】
処方物は、連続的処置のための1回単位の投薬形態で、または症状の救済が特に必要である場合、1回単位の投薬形態で随意に投与できる。例えば、この処方物は、発作、心筋梗塞または慢性心不全の症状の発症後に、ボーラスとして投与されても、または連続静脈内注入として投与されてもよい。
【0134】
非経口投与は一般に、皮下、筋肉内または静脈内のいずれかの注射によって特徴付けられる。注射物質は、従来の形態で、溶液または懸濁液として、注射の前の液体に含まれる溶液または懸濁液に適切な固体形態、またはエマルジョンとして調製され得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどである。さらに、所望の場合、投与される薬学的組成物はまた、少量の非毒性の補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、溶解度増強剤など、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、シクロデキストリンなどを含んでもよい。
【0135】
非経口投与のための別の工夫されたアプローチは、持続放出性または徐放性のシステムの組み込みを使用して、それによって一定レベルの投薬量を維持する。例えば、米国特許第3,710,795号を参照のこと。このような非経口組成物に含まれる活性化合物の割合は、その特異的な性質、ならびに化合物の活性および被験体の必要性に高度に依存する。しかし、溶液中に含まれる0.01%〜10%という活性成分の割合が使用可能であり、そしてこの組成物が固体であり、上記の割合まで続いて希釈される場合はさらに高い。好ましくはこの組成物は、溶液中に0.2〜2%の活性成分を含む。活性化合物単独、または他の治療上受容可能な賦形剤と組み合わせた経鼻溶液も投与され得る。
【実施例】
【0136】
(実施例)
(実施例1)
(サイクリック・ボルタメントリー測定)
サイクリック・ボルタメントリー測定は、全てBioanalytical Systems(West Lafayette,IN)の、C−3セルを有するボルタメントリーアナライザーEpsilon上の、白金からなる微小電極(1.6mm面積のディスク)、コイル状に巻かれた白金ワイヤからなる対電極、および銀/塩化銀基準電極を含む、3つの電極システムで行なった。
【0137】
(a.溶液の調製)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(5mL)に含まれるテトラブチル過塩素酸アンモニウム(TBAP)(最終濃度500mM)の溶液を目盛り付フラスコ中に調製した。この化合物を10mMの濃度に達するまで添加した。この化合物が完全に溶解されることを確実にする必要がある場合、この溶液を撹拌して超音波処理した。
【0138】
(b.電極の調製)
蒸留水に含まれる3MのNaCl溶液に基準電極を保持した。基準電極を水で、次にメタノールでリンスして、通気によって乾燥させた。必要に応じて、基準電極を穏やかに振盪して、ベース内の気泡を除いた。
【0139】
補助電極を水で、次にメタノールでリンスして、通気によって乾燥させた。
【0140】
オイルに含まれる1μmのダイアモンドスラリーを用いてコーティングしたナイロンパッドで作用電極を研磨して、次いでメタノールで徹底的にリンスした。次いでこれを、水に含まれる0.15μmのアルミナスラリーを用いてコーティングしたコーデュロイパッドで研磨して、次いで水およびメタノールを用いて徹底的にリンスして、次いで通気によって乾燥した。
【0141】
測定の開始の前および化合物溶液を変化する場合、電気化学的セルを、メタノールで徹底的に浄化したが、これにはガラスリザーバ、Teflon capおよびパージ・ラインを備える。同様に、測定の間の作用電極の研磨の前を含む、任意の理由のために除去の際にメタノールを用いて、全ての電極を浄化した。作用電極を研磨しながら、基準電極を試験溶液から取り出して、メタノールおよび水でリンスして、3M NaCl水溶液に保管した。
【0142】
(c.方法パラメーター)
(還元) (酸化)
初期電位:0mV 初期電位:0mV
切り替え電位:#1:−1800mV 切り替え電位:#1:1800mV
切り替え電位:#2:1800mV 切り替え電位:#2:−1800mV
最終電位:−800 最終電位:800
セグメント数:3 セグメント数:3
スキャン速度:100mV/s、 スキャン速度:100mV/s、
2000mV/s、 2000mV/s、
20mV/s 20mV/s
最初の酸化および還元の実行後に他のパラメーターを検討してもよい。このような実行のパラメーターは、高度に化合物依存性であって、それらの収集データの判断にまで達するが、上記のパラメーターは最小限に用いなければならない。
【0143】
(d.セルおよびパージのアセンブル)
化合物を含む溶液を、セルに移して、ここにこの3つの電極を浸した。この溶液を撹拌して、少なくとも1分間ドライアルゴンでパージして酸素を除去して、その後にアルゴンのブランケットをこの溶液の上に保持して酸素の拡散を防いだ。データを収集する前に撹拌を停止した。電気化学的測定を開始する前にいずれの電極に結合した泡もないことを確実にするために対処を行なった。
【0144】
(e.iR補償の実行)
溶液は完全導体ではなく、その抵抗性Rによって、電流が作用電極から補助電極に流れる場合、電圧低下がもたらされる。電圧低下によって、ボルタメトリアナライザーによって課されるわずかな電圧と、作用電極と補助電極との間の実際の電圧との間の誤差がもたらされる。この装置は、ソフトウェアの「iR 補償(iR compensation)」特徴を用いて、自動的にiR低下について測定して補償することができる。正常な値は以下である:
セル抵抗性R<1000オーム
RC定数>10μs
補償されるべき抵抗性%:50〜100%
補償されない抵抗性<(R−300オーム)
(f.実行)
サイクリック・ボルタンモグラムを記録した。各々のサイクリック・ボルタンモグラムを記録した後に、上記のとおり、作用電極を再度研磨して、清浄な電気活性表面を再生した。
【0145】
(実施例2)
(方形波ボルタメントリー測定)
方形波ボルタメントリー測定は、全てBioanalytical Systems(West Lafayette,IN)の、C−3セルを有するボルタメントリーアナライザーCV−50W上の、白金からなる微小電極(1.6mm面積のディスク)、コイル状に巻かれた白金ワイヤからなる対電極、および銀/塩化銀基準電極を含む、3つの電極システムで行なった。
【0146】
(手順)
(a.溶液を調製する)
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(5mL)に含まれるテトラブチル過塩素酸アンモニウム(TBAP)(最終濃度500mM)の溶液を目盛り付フラスコ中に調製した。この化合物を任意の濃度(10mMが所望されるが、それより少なくても受容可能である)に達するまで添加する。この方法は、DMFに溶解することが困難であるかまたは低量でしか利用できない分子の低濃度分析に特に有用である。この化合物が最高限度まで溶解されることを確実にする必要がある場合、この溶液を撹拌して超音波処理した。
【0147】
(b.電極を調製する)
蒸留水に含まれる3MのNaCl溶液に基準電極を保持した。基準電極を水で、次にメタノールでリンスして、通気によって乾燥させた。必要に応じて、基準電極を穏やかに振盪して、ベース内の気泡を除いた。
補助電極を水で、次にメタノールでリンスして、通気によって乾燥させた。
【0148】
オイルに含まれる1μmのダイアモンドスラリーを用いてコーティングしたナイロンパッドで作用電極を研磨して、次いでメタノールで徹底的にリンスした。次いでこれを、水に含まれる0.15μmのアルミナスラリーを用いてコーティングしたコーデュロイパッドで研磨して、次いで水およびメタノールを用いて徹底的にリンスして、次いで通気によって乾燥した。
【0149】
開始の前および化合物溶液を変える際に、電気化学的セルを、ガラスリザーバ、Teflon capおよびパージ・ラインを含むメタノールで徹底的に浄化する必要がある。同様に、全ての電極を実施の間の作用電極の研磨の前を含む、任意の理由のために除去の際にメタノールを用いて、適切に浄化すべきである。作用電極を研磨しながら、基準電極を試験溶液から取り出して、メタノールおよび水でリンスして、3M NaCl水溶液に保管した。
【0150】
(c.方法パラメーターを入力する)
(還元) (酸化)
初期電位:1800mV 初期電位:−1800mV
切り替え電位:#1:−1800mV 切り替え電位:#1:1800mV
停止電位:4 停止電位:4
振幅:25 振幅:25
周波数:15 周波数:15
上記の状態は、段階的な電位、振幅および周波数の以下のセットについて繰り返すべきである(4、50、30)、(2、25、15)。
【0151】
最初の酸化および還元の実施後に他のパラメーターを検討してもよい。このような実施のパラメーターは、高度に化合物依存性であって、それらの収集データの判断にまで達するが、上記のパラメーターは最小限に用いなければならない。
【0152】
(d.セルおよびパージをアセンブルする)
化合物を含む溶液を、セルに移して、ここにこの3つの電極を浸した。この溶液を撹拌して、少なくとも1分間ドライアルゴンでパージして酸素を除去して、その後にアルゴンのブランケットをこの溶液の上に保持して酸素の拡散を防いだ。データを収集する前に撹拌を停止した。電気化学的測定を開始する前にいずれの電極に結合した泡もないことを確実にするために対処を行なった。
【0153】
(d.実行)
次いでボルタンモグラムを記録してもよい。各々の方形波ボルタンモグラムを記録した後、上記のとおり、作用電極を再度研磨して、清浄な電気活性表面を再生した。
【0154】
(実施例3)
(細胞Elamアッセイを利用する活性の決定)
内皮性白血球接着分子(ELAM)はEセレクチンとしても公知であるが、これは内皮細胞の表面で発現される。このアッセイでは、リポポリサッカライド(LPS)およびIL−1βを用いてELAMの発現を刺激した;内皮細胞表面に対する白血球接着の低下が細胞損傷の低下を伴うということを示す研究に従って、試験因子がこの発現を低下する能力について試験した(例えば、Takada,Mら、Transplantation 64:1520〜25,1997;Steinberg,J.B.ら、J.Heart Lung Trans.13:306〜313,1994)。
【0155】
内皮細胞は、例えば、冠動脈内皮細胞、ヒト脳微小血管内皮細胞(HBMEC;Hess,D.C.ら、Neurosci.Lett.213(1):37〜40,1996)または肺内皮細胞を含む、任意の多数の供給源から選択して、当該分野で公知の方法に従って培養することができる。細胞を96ウェルプレート中に小分けして培養した。試験因子の存在下で、6時間、10μg/ml LPSおよび100pg/ml IL−1βを含む各々のウェルに溶液を添加することによって細胞を刺激した(特定の濃度および時間は、細胞タイプに依存して調節できる)。処理緩衝液を取り除き、室温で25分間、予め温めたFixing Solution(登録商標)(100μL/ウェル)で置き換えた。次いで細胞を3回洗浄して、次いでブロッキング緩衝液(PBS+2% FBS)を用いて25分間室温でインキュベートさせた。モノクローナルE−Selectin抗体(1:750,Sigmaカタログ#S−9555)を含むブロッキング緩衝液を各々のウェルに添加した。プレートをシールして、4℃で一晩保管した。1ウェルあたり160μLのブロッキング緩衝液を用いてプレートを4×洗浄した。次いで、ブロッキング緩衝液に1:5000で希釈した二次抗体HRPを添加し(100μL/ウェル)、プレートを室温で(光から保護して)2時間インキュベートした。次いでプレートを、ブロッキング緩衝液を用いて4×洗浄して、その後に100μLのABTS基質溶液(Zymed,カタログ#00−2024)を室温で添加した。ウェルを35分間発色させて、その後に10秒間の振盪プログラムを用いてFluoroskan(登録商標)Readerにおいて402nmで測定した。陽性の結果を、コントロールのウェルに比較して、試験したウェル中のELAM濃度の低下として記録した。
【0156】
(実施例4)
(ニューロン細胞ストレスアッセイを利用する活性の決定)
このアッセイを用いて、培養した海馬ニューロン細胞における無酸素−再酸素化により虚血を誘導した。試験化合物を添加して、虚血誘導性ニューロン細胞傷害および細胞死に対する効力および有効性を評価した。
【0157】
(初代海馬ニューロン細胞の単離および培養)
材料:
Neurobasal/B27i:神経細胞培養基礎培地(Neurobasal medium)(Invitrogen,San Diego,CAから入手可能)とともに1×B27サプリメント(Invitrogen)、0.5μM L−グルタミン、25μM L−グルタミン酸、および1×ペニシリン/ストレプトマイシン。
【0158】
HEPES(10mM、pH7.3)、重炭酸ナトリウム(0.35%)、1×ペニシリン/ストレプトマイシンおよび1mM MEMピルビン酸ナトリウムを補充した1×Hanks CMF(Gibco)を調製することによって、ハンクス基礎塩溶液(HBSS、Ca/Mgなし)を調製する。
【0159】
ポリ−D−リジン(Sigma,St.Louis,MO)50μg/ml溶液。
【0160】
Sigmacote(Sigma,St.Louis,MO)。
【0161】
ポリ−D−リジンで処理したPlastic Culture Flasks(T75cm)または24ウェル細胞培養プレート(Sigma,St.Louis,MO)。
【0162】
実験設定:
妊娠雌性マウス(E18−E19)を、COを用いて安楽死させて、続いて子宮を取り出して、次いでこれを滅菌プラスチックペトリ皿に入れた。胚をsacから取り出して、胚の脳を取り出して、小さいペトリ皿に含まれる冷(4℃)緩衝化塩溶液(HBSS;Ca/Mgなし;Life Technologies)に浸した。次いで解剖顕微鏡の下で海馬を脳から取り出して、パラフィンでカバーした皿に入れた。髄膜を剥がして、解剖した海馬を小さいペトリ皿のHBSSに収集した。HBSSを充填した15mlの遠心分離管(正常には10〜12脳)に海馬を移した。脳を含む管を卓上型遠心分離機で2分間1000rpmにて遠心分離した。上清を取り出して、2mlのHBSSを管の海馬に添加して、得られた上清を各々2回倍散するが、このとき徐々に細くなる開口部を有する先端の長いシリコン化ガラスピペットを用い、標準的サイズの開口部(約1.0mmの直径)を有するピペットで開始して、続いて半分の標準的なサイズの開口部(約0.5mmの直径)を有するピペットを用い、次いで約2分の1のサイズの開口部(0.25mmの直径)を有するピペットを用いる。次いで、上清を卓上型遠心分離機において2分間1000rpmで再度遠心分離して、この上清を廃棄して、2mlのNeurobasal/B27i(抗生物質を含む)をこの管に添加した。次いで、この上清で上記の倍散手順を繰り返した。
【0163】
トリパンブルー染色排除によって細胞生存度について、標準カウント手順および補正を用いて小さいアリコートの細胞で細胞密度を決定した。この手順を用いて、期待される収率は3×10〜6×10細胞/脳である。次いでこの細胞をPDLコーティングした24ウェルプレート、フラスコまたはMetTek皿(Neurobasal/B27I)に、約1.5×10細胞(T75フラスコ)の密度で、または24ウェルプレートの1ウェルあたり約100,000細胞/ウェルで添加した。プレートした細胞を5%CO/95%Oの雰囲気下で37℃にてインキュベートした。5μMシトシンアラビノシド(Ara−C)を含む、新鮮Neurobasal/B27m培地を用いて半分を置き換えることによって培地を3〜4日後に更新させた。最初の培養から7〜8日で、半分を取り出すかまたはそれを等量の新鮮Neurobasal/B27m培地(Ara−Cなし)で置き換えることによって、この培地を再度更新した。
【0164】
(海馬低酸素−再酸素化細胞死アッセイ)
材料:
神経細胞培養基礎培地(Neurobasal media)、NoG neurobasal培地、B27サプリメントおよびB27サプリメント、マイナスAO(Invitrogen)。
【0165】
Neurobasal/B27培地を2×B27マイナスAOサプリメント、0.5mM L−グルタミンおよび0.25×ペニシリン/ストレプトマイシンを用いて調製する。
【0166】
Cell Trackr GreenをMolecular Probesから入手して、新鮮5μM溶液を使用の直前に10mMストックから調製した。
【0167】
NoG−Neurobasalは、NoG 神経細胞基本栄養培地(neurobasal medium)に加えて0.5mMグルコース、0.1mM L−グルタミンおよび0.25×ペニシリン/ストレプトマイシンを含む。
【0168】
実験設定:
上記の方法に従って初代海馬ニューロン細胞を調製して、ポリ−D−リジンコーティングした24ウェルプレート中で使用前に10〜11日間培養した。
【0169】
脱酸素化したLoG−Neurobasal培地(100ml)を、T150cmフラスコに含まれる培地を低酸素チャンバ中で一晩、事前に平衡することによって調製した。低酸素条件下でのプレインキュベーション後、LoG−Neurobasal培地を100%のNを用いて30分間軽くバブリングして培地を完全に脱酸素した。さらなる20mlのLoG−NeurobasalをT75cmフラスコ中で事前に平衡化して、100mlのNeurobasal/B27AOを正常なインキュベーター(5%CO)中で一晩インキュベートした。使用の前に培養インキュベーター(5%CO/95%O)中で一晩培地を置き換えることによって、再酸素化した培地を調製した。
【0170】
既存の培養培地(Neurobasal/B27m)を吸引によって細胞から取り出した。2ml/ウェル(24ウェル培養プレート)のグルコースなしのBSSを用いて細胞を1回洗浄した。脱酸素化したLoG−Neurobasalを用いた最初の培養後にニューロンを10〜11日間再補充した(24ウェルプレートの各々のウェルについて1ウェルあたり1ml)。各々のウェルに試験化合物を直接添加した(3つの濃度の化合物に加えて陽性コントロールを、各々三連で)。ほとんどの試験化合物を100%DMSOに溶解した;細胞培地中のDMSOの最終濃度が決して0.5%を超えないように濃度を調節した。細胞とともに試験化合物を含むプレートを、プレートのフタをやや開けたまま5時間低酸素チャンバ中に入れた。低酸素コントロールのために、予備的に平衡化した低酸素LoG−Neurobasal培地をセルの各々のウェルに添加して、そのプレートを正常な培養インキュベーター中で5時間置き換えた。低酸素の5時間後、既存の培地を注意深く吸引して、2mLの新しい再酸素化された(事前に平衡化した)Neurobasal/B27AOを各々のウェルに添加した。同じ試験化合物(同じ濃度で)を対応するウェルに添加して戻した。プレートを細胞培養インキュベーター(5%CO/95%O)に入れて、20〜24時間再酸素化した。20〜24時間の再酸素化後、下記の細胞トラッカー緑色蛍光法(cell tracker green fluorescence method)を用いて、生きたニューロンを定量した。
【0171】
細胞生存度を試験するために、既存の培養培地を24ウェルプレートの各々のウェルから吸引して、ニューロンを2mlのHBSS(pH7.4、30〜37℃に予備的に温めた)を用いて1回洗浄した。各々のウェルにHBSSに溶解した1ミリリットルの5μMCell Tracker Green蛍光色素を添加した。プレートを暗野で室温に15分間おいて、次いで2mlのHBSSを用いて洗浄した。次いで1mlのHBSSを各々のウェルに添加して、蛍光細胞を、蛍光顕微鏡を用いてカウントした。コントロール細胞に比較して有意に増大した細胞生存度が、防御的化合物の指標であった。
【0172】
(実施例5)
(高グルタミン酸誘導性酸化的ストレスアッセイ(HGOS))
この手順を用いて、ドーパミン作動性ニューロン細胞株において高グルタミン酸誘導性酸化的ストレス(HGOS)を誘導した。このアッセイを用いて、HGOSニューロン細胞損傷および細胞死に対する試験物質の効力および有効性は、ハイスループット様式で確立することができる。
【0173】
(材料)
・ドーパミン作動性ニューロン細胞株
・DMEM−No Glucose(Life Technologiesカタログ番号11966−025)
・L−グルタミン(Life Technologiesカタログ番号25030−081)
・L−グルタミン酸、モノナトリウム塩(Sigmaカタログ番号G5889)
・D−グルコース(Sigmaカタログ番号G−6151)
・10×HBSS緩衝液(pH7.4)(950ml パイロジェンフリー水、2.44g/L MgCl・6HO、3.73g/L KCl、59.58g/L Hepes,58.44g/L NaCl、1.36g/L KHPO、1.91g/L CaCl・2HO、そしてHClを用いてpH4.5に)。
【0174】
・Cell Tracker Green蛍光色素(Molecular Probes,カタログ番号2925)。使用の直前に予め温めたHBSS中で5μMの溶液を調製する。
【0175】
・ポリ−D−リジンを用いてプレコーティングした無菌96ウェルプレート(Corning Catalog#3665)。
【0176】
・96ウェルの深底ウェルマザープレート(96−well deep well mother plate)、DyNA Block 1000(VWR カタログ番号40002−008)。
【0177】
(ニューロン細胞)
細胞を1ウェルあたり2000の密度で96ウェルプレートに播種して、空気雰囲気において5%COを用いて33℃インキュベーター中で72時間増殖させた。各々のアッセイ実験についての細胞の継代数は、実験の変動を最小にするためにp11を超えなかった。
【0178】
(深底ウェルマザープレートにおける化合物調製)
VWRBrand DyNA Block 1000、深底ウェルマザープレート(VERカタログ番号40002−008)を試験化合物の調製のために用いた。
【0179】
1mMグルコース、30mMグルタミン酸および1×Pen/Strepを含むDMEM−No Gluに全ての化合物を溶解した。1mMグルコースおよび1×P/Sを含むDMEM−No Gluを陰性コントロールとして用い、1mMグルコース、100Mグルタミン酸を含むDMEM−No Glusoseを陽性コントロールとして用い、そして100μMグルタチオンを、標準として陽性コントロールに加えた。化合物の作製および希釈を包含するこのための全ての手順は、無菌条件を用い、光を最小にして行なった。
【0180】
(細胞調製)
プレートをインキュベーターから取り出して、形態学的外観および密度について顕微鏡下で試験した。無菌技術および8チャネルのアスピレーターを用いて、培地を細胞から注意深く取り出して、200μlの1×HBSSで置換した。細胞が乾燥しないように、これはできるだけ迅速に行なった。ついで、このプレートをBiomek 2000 Side Loaderの37℃の湿潤インキュベーターに入れた。化合物を試験溶液に添加する前に1×HBSS中で細胞を撹拌する時間が最小になるように、4つのプレートをある時間洗浄した。
【0181】
(実験設定)
Beckman Biomekワークステーションを用いて、無菌条件下においてHBSSで予備洗浄した細胞プレート上にマザープレート由来の化合物およびコントロールをロードした。このプレートを正確に16時間、5%CO中において37℃で、上部HTSインキュベーター中でインキュベートした。翌日、Beckman Biomekワークステーションを用いて、このプレートをインキュベーターから取り出した。Cell Trackerの添加を用いて、この化合物をプレートから取り出して、200μMの予め温めた1×HBSSを用いて1回洗浄して、次いで100μLの5μM Cell Tracker Greenを各々のウェルに添加した。このプレートを37℃で30分間インキュベートして、色素が細胞に入ることを可能にして、エステラーゼによって切断させた。予め温めた1×HBSSで細胞を2回洗浄した後、このプレートを485の励起;538発光フィルター対を用いてFluoroskanで読み取った。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】図1は、酸化波の電位、還元波の可逆性および還元波の電位を示すスチルベンアナログのサイクリック・ボルタンモグラムを図示する。
【図2】図2は、環の1つがさらにニトロ基で置換されている、特定のスチルベンアナログのニューロンの酸化的ストレスアッセイ(HGOS)において活性の対数(1/EC50)に対してプロットした酸化電位のグラフを図示する。950〜1250mVにおよぶ第1の酸化波の電位を有する特定の化合物は、ニューロンの酸化的ストレスアッセイにおける活性を示す。
【図3】図3は、環の1つがニトロ基でさらに置換されている、特定のスチルベンアナログのニューロン酸化的ストレスアッセイ(HGOS)における活性の対数(1/EC50)に対してプロットした酸化的可逆性の%のグラフを図示する。20%より大きい第1の酸化波の可逆性を有する特定の化合物は、ニューロンの酸化的ストレスアッセイにおいて活性を示す。
【図4】図4は、環のどれもがニトロ基でさらに置換されていない、特定のスチルベンアナログのニューロン酸化的ストレスアッセイ(HGOS)における活性の対数(1/EC50)に対してプロットした酸化電位のグラフを図示する。1000mV未満におよぶ第1の酸化波の電位を有する特定の化合物は、ニューロンの酸化還元アッセイにおいて活性を示す。
【図5】図5は、フラボノイドコア構造を有する特定のアナログのニューロン酸化的ストレスアッセイ(HGOS)における活性の対数(1/EC50)に対してプロットした酸化電位のグラフを図示する。
【図6】図6は、置換基のいくつかがヒドロキシ基であるフラボノイドコア構造を有する特定のアナログのELAMアッセイにおける活性(EC50)に対してプロットした酸化の開始のグラフを図示する。350mV〜650mVにおよぶ酸化波の発生を有する特定の化合物は、このELAMアッセイにおいてEC50で30μM未満の活性を示す。
【図7】図7は、フラボノイドコア構造を有する特定の化合物のELAMアッセイにおける活性(EC50)に対してプロットした酸化の開始のグラフを図示する。いくつかの置換基がヒドロキシル基である活性なフラボノイド化合物は、350mV〜650mVにおよぶ酸化の開始の範囲内におさまり、そしてどの置換基もヒドロキシル基ではない化合物は、850mV〜1050mVにおよぶ酸化の開始の範囲内におさまる。
【図8】図8は、アポモルフィンコア構造を有する2つの化合物のボルタンモグラムを図示する(原線維増殖を99%まで低下させるアポモルフィン、原線維増殖を5%まで低下させるアポコデイン)。これらのボルタモングラムによって、構造中のわずかな変動によって酸化還元電流の変動が誘導されることが示される。
【図9】図9は、Lashuel,H.A.ら,J.Bio.Chem.,227(45),42881〜42890,2002に記載されるような、アポモルフィンコア構造を有する6つの化合物(ノルアポモルフィン、2,10,11−トリヒドロキシアポルフィン、プロピルノルアポモルフィン、アポコデイン、イソコリジンおよびブルボカプニン)の存在下での定量的チオフラビンT結合アッセイに基づく原線維形成阻害の割合を図示する。
【図10】図10は、アポモルフィンコア構造を有する7つの化合物の第1の酸化波の電位に対する2つの異なる濃度(50mMおよび100mM)での原線維形成の割合のグラフを図示する。第1の酸化波の電位が1250mV未満である化合物は、チオフラビンT結合アッセイにおいて原線維形成の強力な低下を示す。
【図11】図11は、アポモルフィンコア構造を有する6つの化合物の第1の還元波の電位に対する2つの異なる濃度(50mMおよび100mM)での原線維形成の割合のグラフを図示する。第1の還元波の電位が790mVよりも負である化合物は、チオフラビンT結合アッセイにおいて原線維形成の強力な低下を示す。
【図12】図12は、キノンコア構造を有する化合物のELAMアッセイにおける生物学的活性(EC50)に対する還元波の可逆性のグラフを図示するが、ここで還元の総可逆性は再酸素化波の電流ピークを超える還元波の電流ピークの比であり、2つ以上の波の場合は、再酸素化波の電流ピークの数学的付加を超える還元波の電流ピークの数学的付加の比である。
【図13】図13は、特定のクロマンのニューロン酸化的ストレスアッセイ(HGOS)における活性の対数(1/EC50)に対してプロットした酸化電位のグラフを図示する。第1の酸化波の電位が850mV〜1200mVにおよぶ特定の化合物は、ニューロン酸化ストレスアッセイにおいて活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコア構造を有する治療用化合物を同定および選択する方法であって、該方法は、以下:
・物理的−化学的プロフィールと生物学的活性との間の関係を確立する工程であって;該物理的−化学的プロフィールが、酸化の開始、酸化電位、還元電位、酸化の可逆性、還元の可逆性、酸化電流または還元電流から選択される1つ以上のパラメーターを含み;該生物学的活性が標的とする障害の処置のための化合物を検出するのに有効なアッセイで測定される、工程;
・該コア構造を有するさらなる潜在的な治療候補物をその物理的−化学的特性について試験する工程;および
・治療用化合物を、以前に試験された化合物のサブセットの物理的−化学的/生物学的関係によって予め規定された範囲内におさまるその化合物の物理的−化学的パラメーターに基づいて選択する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記物理的−化学的プロフィールがサイクリック・ボルタンメトリーなプロフィールを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物理的−化学的プロフィールが酸化の開始についてのパラメーターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物理的−化学的プロフィールが酸化波の電位についてのパラメーターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記物理的−化学的プロフィールが1つ以上の酸化波の可逆性についてのパラメーターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物理的−化学的プロフィールが1つ以上の還元波の可逆性についてのパラメーターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記物理的−化学的プロフィールが還元波の電位についてのパラメーターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療用組成物であって、請求項1に記載の方法によって選択される化合物および治療上受容可能な賦形剤を含む、組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記生物学的アッセイが、高グルタミン酸誘導性酸化的ストレス(HGOS)アッセイであって、ここで、以前に試験された化合物のサブセット群における化合物が、ストレッサー誘導性細胞死に対してエネルギー的に適格な細胞のうち少なくとも30%を防御する能力を有する、アッセイ;およびEセレクチン(ELAM)アッセイであって、ここで、以前に試験された化合物のサブセット群における化合物が、約30μM未満のEC50を示す、アッセイ;から選択される1つ以上のアッセイを含む細胞ベースのアッセイである、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記治療用化合物は、スチルベンコア構造を含む場合、そしてその物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して約800mVと1400mVとの間におさまる第一の酸化波の電位についてのパラメーター、および約20%以上を測定する第一の酸化波の可逆性についてのパラメーターから選択される1つ以上のパラメーターを含む場合に、該治療用化合物が選択される、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記治療用化合物は、以下の式I:
【化1】


のコア構造(ここで、該フェニル環におけるさらなる置換がニトロ基を含まない)を含む場合、そしてその物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して1000mV未満におさまる第一の酸化波の電位についてのパラメーターを含む場合に、該治療用化合物が選択される、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記治療用化合物は、以下の式I:
【化2】


のコア構造(ここで、該フェニル環におけるさらなる置換がニトロ基を含む)を含む場合、そしてその物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して約950mVと1250mVの間におさまる第一の酸化波の電位についてのパラメーター、および20%を超える第一の酸化波測定の可逆性についてのパラメーターから選択される1つ以上のパラメーターを含む場合に、該治療用化合物が選択される、方法。
【請求項13】
酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療用組成物であって、請求項10、11または12のいずれか1項に記載の方法に従って選択された化合物および治療上受容可能な賦形剤を含む、治療用組成物。
【請求項14】
前記状態が炎症、神経変性または虚血である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記物理的−化学的プロフィールが、酸化の開始についてのパラメーターを含み、前記生物学的アッセイがEセレクチン(ELAM)細胞ベースアッセイを含み、該アッセイが、30μM未満のEC50を有する化合物を検出する、請求項3に記載の方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記治療用化合物は、以下の式II:
【化3】


のフラボノイドコア(ここで、該置換基のいずれもがヒドロキシ基ではない)を含む場合、
そしてその物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して約850mVと1050mVの間におさまる酸化の開始についてのパラメーターを含む場合に、該治療用化合物が選択される、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記治療用化合物は、以下の式II:
【化4】


のフラボノイドコア構造(ここで、該置換基の1つ以上がヒドロキシ基である)を含む場合、そしてその物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して約350mVと650mVの間におさまる酸化の開始についてのパラメーターを含む場合に、該治療用化合物が選択される、方法。
【請求項18】
前記治療用化合物が、炎症によって特徴付けられる状態の処置のためである、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項16または請求項17に記載の方法に従って選択された化合物、および治療上受容可能な賦形剤を含む、炎症によって特徴付けられる状態を処置するための治療用組成物。
【請求項20】
前記物理的−化学的プロフィールが酸化波の電位についてのパラメーターを含み、前記細胞ベースのアッセイが、ストレッサー誘導性細胞死に対して細胞の少なくとも30%を防御する海馬無酸素−再酸素化細胞死アッセイを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項21】
前記治療用化合物が、フラボノイドコア構造を含む場合、そしてその物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して約1050mVと1450mVの間におさまる酸化電位についてのパラメーターを含む場合に、選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法に従って選択された化合物、および治療上受容可能な賦形剤を含む、酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療用組成物。
【請求項23】
前記状態が虚血または神経変性である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記物理的−化学的プロフィールが、前記第一の酸化波の電位についてのパラメーターを含み、そして前記生物学的活性のアッセイがアミロイドβ原繊維形成の減少を測定するチオフラビンT結合アッセイである、請求項4に記載の方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記化合物は、以下の式III:
【化5】


のアポモルフィンコアを含む場合、そして前記物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して1250mV未満におさまる第一の酸化波の電位についてのパラメーターを含む場合に、該化合物が選択される、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、前記化合物は、以下の式III:
【化6】


のアポモルフィンコアを含む場合、そして前記物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して約−790mVよりも負である第1の還元電位についてのパラメーターを含む場合に、該化合物が選択される、方法。
【請求項27】
請求項25または請求項26に記載の方法によって選択された化合物、および治療上受容可能な賦形剤を含む、アミロイドβ原繊維形成によって特徴付けられる状態を処置するための治療用組成物。
【請求項28】
前記状態がアルツハイマー疾患である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記物理的−化学的プロフィールが、還元波の可逆性についてのパラメーターを含み、前記生物学的活性アッセイが、Eセレクチン(ELAM)細胞ベースアッセイを含み、該アッセイが、30μM未満のEC50を有する化合物を検出する、請求項6に記載の方法。
【請求項30】
前記治療用化合物が、キノンコア構造を含む場合、そしてその物理的−化学的プロフィールが75%以上の還元の総可逆性についてのパラメーターを含む場合に、選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法に従って選択された化合物、および治療上受容可能な賦形剤を含む、酸化的ストレスによって特徴付けられる状態を処置するための治療用組成物。
【請求項32】
前記状態が炎症、神経変性または虚血である、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
請求項20に記載の方法であって、前記治療用化合物は、以下の式IV:
【化7】


のクロマンコア構造を含む場合、そしてその物理的−化学的プロフィールが銀/塩化銀基準電極に対して約850mVと1200mVとの間におさまる酸化電位についてのパラメーターを含む場合に、該治療用化合物が選択される、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法に従って選択された化合物、および治療上受容可能な賦形剤を含む、アミロイドβ原繊維形成によって特徴付けられる状態を処置するための治療用組成物。
【請求項35】
前記物理的−化学的プロフィールが、エネルギープロフィールパラメーターおよび輸送プロフィールパラメーターから選択される1つ以上のパラメーターをさらに含む、請求項1、10、11、12、15、16、17、18、20、21、24、25、26、29、30または33のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−517398(P2006−517398A)
【公表日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502210(P2005−502210)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/034420
【国際公開番号】WO2004/042353
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
TEFLON
【出願人】(504066483)ガリレオ ファーマシューティカルズ, インコーポレイティド (1)
【Fターム(参考)】