物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置
【課題】 撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、できるだけ正確な推定ができるようにして、推定値の信頼性の向上を図る。
【解決手段】 所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体Kを検体用容器1に収容し、予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体Kと同等の形態の基準になる基準検体Cであって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体Cを複数の基準用容器2に夫々収容し、撮像部20によって、検体用容器1の検体K及び各基準用容器2の基準検体Cを同時に撮像し、基準検体Cの輝度と物質の成分の成分量との相関関係を算出し、撮像部20が撮像した画像に基づいて検体Kの輝度を検出するとともに、当該輝度と上記の相関関係に基づいて検体Kに係る物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する。
【解決手段】 所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体Kを検体用容器1に収容し、予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体Kと同等の形態の基準になる基準検体Cであって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体Cを複数の基準用容器2に夫々収容し、撮像部20によって、検体用容器1の検体K及び各基準用容器2の基準検体Cを同時に撮像し、基準検体Cの輝度と物質の成分の成分量との相関関係を算出し、撮像部20が撮像した画像に基づいて検体Kの輝度を検出するとともに、当該輝度と上記の相関関係に基づいて検体Kに係る物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌や土壌に生育する農作物等の農業に関する各種物質を初めその他の種々の物質において、物質に係る色要素から物質中に含まれる各種成分の成分量を算出する物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物質の成分推定装置として、本願出願人が先に提案し、物質としての土壌において、土壌の色要素から土壌中に含まれる成分量を算出する推定装置がある(特許文献1)。
【0003】
これは、図14に示すように、物質である土壌中の含有成分のうち炭素の全炭素量及び窒素の全窒素量を推定するもので、所定量の土壌を、複数列設された透明容器100に収容する。この容器100は、その底壁を露出させて保持する白色のトレー101に一体に設けられている。トレー101の裏面(後述のCCDセンサ側)には、輝度の基準となるカラーバー102が付されている。このトレー101を撮像部としてのスキャナ103のベース104に載置する。スキャナ103は、ベース104の上の容器100の底部及びトレー101にベース104の下から蛍光管やLEDの光を照射し、その反射光を図示外のCCDセンサ等によりRGB輝度を読みとってRGB輝度を取得し、デジタル画像として撮像する。
【0004】
そして、スキャナ103を作動させ、ベース104上の容器100及びトレー101を撮像して、即ち、容器100の底部を通して土壌の表面及びカラーバー102を走査して画像を取得し、この画像をCPU等の機能を有した算出部105に出力する。算出部105においては、先ず、R輝度の土壌表面のみの画像を各容器100毎に抜き出す。一方、カラーバー102の画像を抜き出し、カラーバー102の画像から白,灰,黒の各R輝度を算出する。次に、土壌の表面の画像の各画素のR輝度を検出し、この検出した各画素のR輝度を、カラーバーのR輝度を基準に補正し、補正後の画像の各画素を構成するR輝度の値を全てたし合わせ、この画像を構成する画素の総画素数で除算して平均R輝度を算出する。
この場合、カラーバー102のR輝度を基準にして、抽出された画像が補正されることから、例えば、スキャナ103のメーカー,型,種類によってCCD等の性能等が異なっていて、スキャナ103から取得した画像において、各画素の輝度の違いがあっても、これを是正することができ、検出精度が向上させられる。
【0005】
次に、算出部105においては、検出された容器100毎の土壌表面の平均R輝度と、予め記憶手段に記憶した、基準になる土壌表面の輝度及びこの基準となる土壌中の成分量の相関関係とから、容器100毎の土壌中の成分量としての全炭素量及び全窒素量を算出する。
これにより、容器100に土壌を入れてスキャナ103で画像を撮像するだけで、成分量が算出されるので、経験や熟練を必要とせずに、誰が行なっても土壌中の成分量と略同じ成分量を推定できる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−17115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の成分推定装置にあっては、カラーバー102を検体としての土壌とともに同時に撮像して、カラーバー102の輝度を基準にして、抽出された画像を補正しているので、撮像部の機種が異なるような場合には有効であるが、例えば、検体を日が異なって撮像する場合等、撮像環境が異なる場合には、推定値の信頼性が必ずしも十分確保できないことがあるという問題があった。例えば、撮像環境として温度条件や湿度条件が異なると、カラーバー102の色は変化しないが、検体の色が変化することがあり、誤差が生じてしまう。また、カラーバー102の色自体が経年変化することもあり、これによっても補正の誤差が生じてしまう。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、できるだけ正確な推定ができるようにして、推定値の信頼性の向上を図った物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するため本発明は、所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体を検体用容器に収容し、該検体用容器に収容された検体の表面を撮像部で撮像し、該撮像部が撮像した画像に基づいて検体の表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて上記物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する物質の成分推定方法において、
予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体と同等の形態の基準になる基準検体であって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体を複数の基準用容器に夫々収容し、上記撮像部によって、上記検体用容器に収容された検体の表面及び上記各基準用容器に収容された基準検体の表面を同時に撮像し、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記各基準用容器に収容された基準検体の表面の輝度を検出し、該検出した輝度に基づいて基準検体の表面の輝度と該基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出し、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記検体容器に収容された検体の表面の輝度を検出し、該検出された検体の表面の輝度と上記相関関係とから該検体に係る特定の成分の成分量を算出する構成としている。
【0010】
これにより、撮像部においては、検体の表面及び基準検体の表面を同時に撮像し、撮像毎に、基準検体の表面の輝度を検出して、基準検体の表面の輝度と基準検体に係る物質の成分の成分量との相関関係を算出するので、撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、その都度、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた相関関係を算出することができ、そのため、撮像部が撮像した検体の表面の画像に基づく輝度と上記の相関関係とから算出される成分の成分量が、機種条件や撮像環境変化に応じた正確な推定値となり、推定値の信頼性の向上が図られる。
【0011】
この場合、上記検体を、所定量の物質を有して構成し、上記基準検体を、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体と同種の物質を有して構成することができる。
また、上記検体を、所定量の物質の抽出物を有して構成し、上記基準検体を、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成することができる。
【0012】
そしてまた、必要に応じ、上記物質が植物である構成としている。また、必要に応じ、上記物質が土壌である構成としている。土壌や土壌に生育する農作物等の農業に関する各種物質の成分量を推定でき、特に、農業分野での利用が図られる。
【0013】
また、上記の目的を達成するため本発明は、所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体を収容する検体用容器と、該検体用容器に収容された検体の表面を撮像する撮像部と、該撮像部が撮像した画像に基づいて検体の表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて上記物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する算出部とを備えた物質の成分推定装置において、
予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体と同等の形態の基準になる基準検体であって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体を夫々収容する複数の基準用容器を設け、上記撮像部を、上記検体用容器に収容された検体の表面及び上記各基準用容器に収容された基準検体の表面を同時に撮像するように構成し、
上記算出部に、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記各基準用容器に収容された基準検体の表面の輝度を検出する基準輝度検出手段と、該基準輝度検出手段が検出した輝度に基づいて該基準検体の表面の輝度と該基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出する相関関係算出手段と、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記検体容器に収容された検体の表面の輝度を検出する検体輝度検出手段と、該検体輝度検出手段で検出された検体の表面の輝度と上記相関関係算出手段で算出された相関関係とから該検体に係る特定の成分の成分量を算出する成分量算出手段とを備えて構成している。
【0014】
これにより、撮像部においては、検体の表面及び基準検体の表面を同時に撮像し、撮像毎に、基準検体の表面の輝度を検出して、基準検体の表面の輝度と基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出するので、撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、その都度、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた相関関係を算出することができ、そのため、撮像部が撮像した検体の表面の画像に基づく輝度と上記の相関関係とから算出される特定の成分の成分量が、機種条件や撮像環境変化に応じた正確な推定値となり、推定値の信頼性の向上が図られる。
【0015】
そして、必要に応じ、上記撮像部を、上記検体用容器を複数撮像する構成としている。複数の検体について画像処理して、各々の検体について特定の成分の成分量を一度に算出できるので、処理効率が向上させられる。
【0016】
そしてまた、必要に応じ、上記検体用容器及び上記基準用容器として透明な材料で形成したものを用い、上記撮像部を、上記検体用容器及び上記基準用容器を載置するベースと、該ベース上の上記検体用容器及び上記基準用容器を走査して該各容器の底壁を通して画像を取得するスキャナとを備えて構成し、
上記算出部に、上記スキャナから出力された画像から上記基準用容器の基準検体の表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出する基準画像抽出手段と、上記スキャナから出力された画像から上記検体用容器の検体の表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出する検体画像抽出手段とを備え、
上記算出部の上記基準輝度検出手段に、上記基準画像抽出手段から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段と、該画素輝度検出手段が検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段とを備え、
上記算出部の上記検体輝度検出手段に、上記検体画像抽出手段から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段と、該画素輝度検出手段が検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段とを備え、
上記相関関係算出手段を、上記基準輝度検出手段の平均輝度算出手段が算出した上記各基準用容器の基準検体についての平均輝度に基づいて相関関係を算出する構成とし、
上記成分量算出手段を、上記検体輝度検出手段の平均輝度算出手段が算出した上記検体用容器の検体についての平均輝度に基づいて成分量を算出する構成としている。
【0017】
画像抽出手段によって、各容器毎の検体表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出し、この画像の各画素の平均輝度を求めるので、誤差が少なくなり、検出輝度のバラツキが防止される。また、スキャナは、一般に市販されているものでよく、既存のものを使用できるので、導入コストを安価に抑えることができる。
【0018】
また、必要に応じ、上記各容器が底壁を露出させて複数保持され上記撮像部のベースに載置可能なトレーを備え、上記スキャナを上記トレーに設けられた複数の容器の底壁を走査するよう構成している。複数の容器をトレーで保持するので搬送や撮像等の取り扱いが容易になる。また、トレーにより、外部からの光を遮断でき、より精度の良い撮像を行なうことができる。
【0019】
また、必要に応じ、上記検体を、所定量の物質を有して構成し、上記基準検体を、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体と同種の物質を有して構成することができる。
また、上記検体を、所定量の物質の抽出物を有して構成し、上記基準検体を、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成することができる。
【0020】
そしてまた、必要に応じ、上記物質が植物である構成としている。また、必要に応じ、上記物質が土壌である構成としている。土壌や土壌に生育する農作物等の農業に関する各種物質の成分量を推定でき、特に、農業分野での利用が図られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置によれば、撮像部においては、検体の表面及び基準検体の表面を同時に撮像し、撮像毎に、基準検体の表面の輝度を検出して、基準検体の表面の輝度と基準検体に係る物質の成分の成分量との相関関係を算出するので、撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、その都度、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた相関関係を算出することができ、そのため、撮像部が撮像した検体の表面の画像に基づく輝度と上記の相関関係とから算出される成分の成分量が、機種条件や撮像環境変化に応じた正確な推定値となり、推定値の信頼性の向上を図ることができる。
その結果、この成分量の推定は、人間が目視する主観的経験に基づくものではないので、個人差が生じることがなく略一義的に推定でき、推定量にバラツキが生じることがなく安定し、農業分野などでの利用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置について詳細に説明する。本発明の実施の形態に係る物質の成分推定方法は、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置によって実現されるので、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置の作用において説明する。
【0023】
図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置は、所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体Kを収納する検体用容器1を備えている。検体用容器1は複数用意される。
また、予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体Kと同等の形態の基準になる基準検体Cであって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体Cを夫々収容する複数の基準用容器2を備えている。
【0024】
検体用容器1及び基準用容器2は、図2に示すように、同じ材質,形状の透明な容器であり、例えば、ガラス,プラスチック樹脂,石英ガラスなどの透明な材料でカップ状に形成されている。例えば、外径32mm、内径27mm、高さ15mm、肉厚1.3mmの容器が用いられる。
【0025】
また、この容器1,2は、トレー10に保持される。図1及び図3に示すように、トレー10は後述のスキャナ23のベース21に載置されてこれを覆う大きさの樹脂製の矩形板状に形成され、容器1,2が嵌合して保持される行列状(実施の形態では2行5列の10個)の孔11を有している。トレー10は灰色に着色されている。
トレー10の各孔11には、基準用容器2が4つ保持され、検体用容器1が6つ保持される。トレー10には、各容器1,2に入れた検体Kの識別が容易なように、各孔11の近傍であってトレー10の表側に容器1,2の番号が付されている。検体用容器1の番号として1〜6が付され、基準用容器2の番号として、S1〜S4が付されている。
【0026】
ここで、検体K及び基準検体Cは、その形態としては、粉粒体,液体あるいは、粉粒体と液体との混合した流動状のものが望ましい。
また、検体Kとしては、所定量の物質を有して構成することができる。この場合、基準検体Cを、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体Kと同種の物質を有して構成することができる。例えば、物質が後述の水稲の茎葉部(所定区画の水田に植えられた水稲の多数の株から任意に選択された株のうち、地上に出ている茎及び葉の部分をいう。穂がある場合は穂を取り除く。)の場合であって、この茎葉部の成分量である窒素の質量パーセントを求める場合がある。物質として、水稲の葉のみあるいは茎のみを選択することもできる。
また、検体Kとしては、所定量の物質の抽出物を有して構成することができる。この場合、基準検体Cを、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成することができる。例えば、物質が後述の土壌の場合であって、土壌の100g当りの可給態リン酸含量(mg)を求める場合がある。この場合、土壌抽出溶液中のリンを、化学反応により発色させ、その発色液の輝度情報を解析することにより、成分量を推定できる。また、リン酸に限らず、土壌抽出溶液中の窒素,カリウム,カルシウム,マグネシウム含量を、化学反応により発色させ、その発色液の輝度情報を解析することにより、各成分量を推定できる。
【0027】
また、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置は、検体用容器1に収容された検体Kの表面及び基準用容器2に収容された基準検体Cの表面を同時に撮像する撮像部20を備えている。
詳しくは、撮像部20は、容器1,2を保持したトレー10が容器1,2の底壁3を当接させて載置されるガラス板で形成されたベース21と、ベース21上のトレー10及び容器1,2の開口側を覆いベース21に対して開閉可能に設けられた覆体22と、ベース21上のトレー10を走査して画像を撮像するスキャナ23とを備えて構成されている。ベース21は、例えば、A4サイズの原稿載置台で形成されている。
【0028】
スキャナ23は、ベース21の上のトレー10及び容器1,2の底壁3にベース21の下から蛍光管やLEDの光を照射し、その反射光をCCDセンサ等によりRGB輝度を読みとって、容器1,2の底壁3を通して基準検体C及び検体KのRGB輝度を取得し、デジタル画像として撮像する。R輝度,G輝度,B輝度は、夫々、0から255までの256段階であって、画像の画素はこのRGB輝度の組み合わせからなり、約1600万通りの色が表現される。
スキャナ23は、一般に市販されているものでよく、既存のものを使用することから導入コストを安価に抑えることができる。
【0029】
更に、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置は、CPUなどの機能によって作動する算出部30を備えている。算出部30は、撮像部20が撮像した画像に基づいて検体Kの表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて物質中の含有成分の推定しようとする特定の成分の成分量を算出する。
【0030】
詳しくは、算出部30は、基準画像抽出手段31と、検体画像抽出手段32と、基準輝度検出手段33と、相関関係算出手段34と、検体輝度検出手段35と、成分量算出手段36とを備えて構成されている。
【0031】
基準画像抽出手段31は、スキャナ23から出力された画像から各基準用容器2の基準検体Cの表面のみの画像であって所定範囲eの画像を抽出する。例えば、図2(a)に示すように、容器1,2の底壁3面の中心に重心をもつ正方形(例えば1辺が15mmの正方形)を所定範囲e(解析領域)とする。
検体画像抽出手段32は、スキャナ23から出力された画像から検体用容器1の検体Kの表面のみの画像であって所定範囲eの画像を抽出する。例えば、上記と同様、図2(a)に示すように、容器1,2の底壁3面の中心に重心をもつ正方形(例えば1辺が15mmの正方形)を所定範囲e(解析領域)とする。
より詳しくは、各画像抽出手段31,32は、トレー10の裏面と基準用容器2および検体用容器1に収容された検体表面との輝度の差および検体容器の形状から、各容器1,2毎に区分けして各容器1,2の表面のみの画像を抜き出し、この各容器1,2の表面画像から所定範囲の画像を抽出している。
【0032】
基準輝度検出手段33は、撮像部20が撮像した各基準用容器2に収容された基準検体Cの表面の輝度を検出する。基準輝度検出手段33には、基準画像抽出手段31から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段33aと、この画素輝度検出手段33aが検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段33bとが備えられている。画素輝度検出手段33aは、基準画像抽出手段31から抽出された基準検体Cの表面の所定範囲の画像中において各画素のR,G,B輝度の検出を行なっている。この値は、0から255までの256段階である。平均輝度算出手段33bは、所定範囲の画像の各画素のR,G,B毎の輝度をたし合わせ、この所定範囲の画像を構成する画素数で除算してR,G,B毎に平均輝度を算出している。
【0033】
相関関係算出手段34は、基準輝度検出手段33が検出した輝度に基づいて基準検体Cの表面の輝度と基準検体Cに係る物質の推定しようとする成分量との相関関係を算出する。この相関関係は、上記の選択された特定の成分量が異なる複数の基準検体Cがスキャナ23で走査されると、基準画像抽出手段31が所定範囲の画像を抜き出し、基準輝度検出手段33が平均輝度を算出し、そして、上記の実測値と算出された平均輝度との相関を例えば最小2乗法で予測式化して定める。
【0034】
検体輝度検出手段35は、上記基準輝度検出手段33と同様に、撮像部20が撮像した各検体用容器1に収容された検体Kの表面の輝度を検出する。検体輝度検出手段35には、検体画像抽出手段32から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段35aと、この画素輝度検出手段35aが検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段35bとが備えられている。画素輝度検出手段35aは、検体画像抽出手段32から抽出された検体Kの表面の所定範囲の画像中において各画素のR,G,B輝度の検出を行なっている。この値は、0から255までの256段階である。平均輝度算出手段35bは、所定範囲の画像の各画素のR,G,B毎の輝度をたし合わせ、この所定範囲の画像を構成する画素数で除算してR,G,B毎に平均輝度を算出している。
【0035】
成分量算出手段36は、検体輝度検出手段35で検出された検体Kの表面の輝度と、相関関係算出手段34で算出された相関関係とから、検体Kに係る特定の成分の成分量を算出する。
それから、算出部30に接続されたディスプレイモニタやプリンタ等の出力機器37に、各容器の番号とともに輝度と成分量と併記した表を表示させる。
【0036】
従って、この物質の成分推定装置を使用して成分量を推定する場合は、以下のようにして行なう。
先ず、検体Kとして、所定量の物質を有して構成した場合について説明する。この場合、基準検体Cを、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体Kと同種の物質を有して構成する。
例えば、物質が水稲の場合であって、水稲の茎葉部の成分量である窒素の質量パーセントを求める場合、先ず、稲の茎葉部を採取する。茎葉部とは、所定区画の水田に植えられた水稲の多数の株から任意に選択された株のうち、地上に出ている茎及び葉の部分をいう。穂がある場合は穂を取り除く。また、平均化のために、所定区画の水田から、複数株(例えば、3株)を採取する。そして、検体Kとしては、これら複数株の茎葉部全部を用い、通風乾燥機により所定時間乾燥して水分量を略0質量%にし、この乾燥した茎葉部を粉砕器により粉砕し、所定量を検体用容器1に入れ、エタノールを所定量加えたものとする。
また、基準検体Cにおいては、生育状態の違う水田から、上記と同様の方法にて茎葉部の試料を採取し、この試料の成分量である窒素の質量パーセントを、周知の定量分析法(例えば、湿式灰化の後,インドフェノール法により窒素含量を定量)により、予め実測値として正確に求めておく。そして、複数の基準検体Cとして、その成分が段階的に異なるものを種々の試料から選択し、同様に、所定量を基準用容器2に入れ、エタノールを所定量加えたものとする。
【0037】
尚、アルコールを加える理由は、検体表面の凹凸による乱反射を防ぐため、粉末試料の色差を強調するためである。
【0038】
次に、トレー10に、基準検体Cの4つの基準用容器2を載せ、検体Kとして、同一ロットのもの、あるいは、異なるロットのものなど、適宜の検体Kの6つの検体用容器1を載せる。それから、スキャナ23のベース21にトレー10を載置し、覆体22で覆う。容器を持ち運ぶ際はトレー10を持てばよく取扱性が向上する。
そして、スキャナ23を作動させ、トレー10の表面の画像を撮像し、この画像を算出部30に出力する。
【0039】
そして、算出部30を作動させて、各検体容器毎の平均R輝度と窒素量の推定量を得る。
詳しくは、算出部30が作動すると、先ず、基準画像抽出手段31は、スキャナ23から出力された画像から各基準用容器2の基準検体Cの表面のみの画像であって所定範囲eの画像を抽出する。
基準輝度検出手段33は、撮像部20が撮像した各基準用容器2に収容された基準検体Cの表面の輝度を検出する。基準輝度検出手段33において、画素輝度検出手段33aは、基準画像抽出手段31から抽出された基準検体Cの表面の所定範囲の画像中において各画素のR,G,B輝度の検出を行なっており、平均輝度算出手段33bは、所定範囲の画像の各画素のR,G,B毎の輝度をたし合わせ、この所定範囲eの画像を構成する画素数で除算してR,G,B毎に平均輝度を算出する。実施の形態では、窒素については、各基準用容器2毎の平均R輝度を得ている。
【0040】
そして、相関関係算出手段34は、基準輝度検出手段33が検出した輝度に基づいて基準検体Cの表面の輝度と基準検体Cに係る物質の推定しようとする成分量との相関関係を算出する。この相関関係は、上記の選択された特定の成分量が異なる複数の基準検体Cがスキャナ23で走査されると、基準画像抽出手段31が所定範囲eの画像を抜き出し、基準輝度検出手段33が平均輝度を算出し、そして、上記の実測値と算出された平均輝度との相関を例えば最小2乗法で予測式化して定める。
【0041】
一方、検体画像抽出手段32は、スキャナ23から出力された画像から検体用容器1の検体Kの表面のみの画像であって所定範囲eの画像を抽出する。検体輝度検出手段35は、基準輝度検出手段33と同様に、撮像部20が撮像した各検体用容器1に収容された検体Kの表面の輝度を検出する。検体輝度検出手段35においては、画素輝度検出手段35aが、検体画像抽出手段32から抽出された検体Kの表面の所定範囲の画像中において各画素のR,G,B輝度の検出を行なっている。また、平均輝度算出手段35bは、所定範囲の画像の各画素24のR,G,B毎の輝度をたし合わせ、この所定範囲eの画像を構成する画素数で除算してR,G,B毎に平均輝度を算出している。実施の形態では、窒素量については、各検体用容器1毎の平均R輝度を得ている。
【0042】
そして、成分量算出手段36は、検体輝度検出手段35で検出された検体Kの表面の輝度と、相関関係算出手段34で算出された相関関係とから、検体Kに係る特定の成分の成分量を算出する。
それから、算出部30に接続されたディスプレイモニタやプリンタ等の出力機器37に、各容器1,2の番号とともに輝度と成分量と併記した表を表示させる。
【0043】
この場合、撮像部20においては、検体Kの表面及び基準検体Cの表面を同時に撮像し、撮像毎に、基準検体Cの表面の輝度を検出して、基準検体Cの表面の輝度と基準検体Cに係る特定の成分の成分量との相関関係を算出するので、撮像部20の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、その都度、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた相関関係を算出することができ、そのため、撮像部20が撮像した検体Kの表面の画像に基づく輝度と上記の相関関係とから算出される特定の成分の成分量が、機種条件や撮像環境変化に応じた正確な推定値となり、推定値の信頼性の向上が図られる。
【0044】
また、容器1に検体Kを入れてスキャナ23で画像を撮像するだけで、特定の成分の成分量が算出されるので、経験や熟練を必要とせずに、誰が行なっても特定の成分の成分量を推定できる。また、この成分量の推定は、人間が目視する主観的経験に基づくものではないので、成分量の測定に個人差が生じることがなく略一義的に推定でき、成分量にバラツキが生じることがなく安定し、信頼性も向上させられる。更に、スキャナ23で取得した複数の検体用容器1の画像を一度に処理できるので、処理効率が向上させられる。
【0045】
そしてまた、RGB輝度のうち、R輝度から算出したので最適なパラメータとして、水稲の窒素量を安定して推定できる。このようにして推定された窒素含量は、追肥等の肥培管理の際の参考に供することができる。
【0046】
次に、検体Kとして、所定量の物質の抽出物を有して構成した場合について説明する。この場合、基準検体Cを、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成する。
例えば、物質が土壌の場合であって、土壌の可給態リン酸含量(mg)を乾土100gあたりの含量(mg)として求める場合、土壌を採取し、通風乾燥機により所要時間乾燥して水分量を略0質量%にし、乾燥した土壌を乳鉢により粉砕し、円孔篩で粒度を揃え、篩を通した土壌を所定量とり、三角フラスコに入れ、これに所定濃度の硫酸を所定量加え、振とう後、濾過する。濾液を所定量メスフラスコにとり、脱塩水を所定量加え、これに、混合発色液を所定量加え、更に所定量の上記の脱塩水を加え、充分混合する。この作成した混合液を所定量容器に入れこれを検体Kとする。
一方、基準検体Cとしては、リン標準液を希釈して作成する。作成する基準検体Cは、例えば、4段階のリン含量のものを用意し、混合発色液を所定量加え、所定量を容器に入れる。
【0047】
そして、上記と同様の操作により、測定を行なう。算出部30の成分量算出手段36は、検体輝度検出手段35で検出された検体Kの表面の輝度と、相関関係算出手段34で算出された相関関係とから、検体Kに係る特定の成分の成分量を算出する。
それから、算出部30に接続されたディスプレイモニタやプリンタ等の出力機器に、各容器の番号とともに輝度と成分量と併記した表を表示させる。
尚、検体Kは、所定量の土壌の抽出物のうちから更に所定量を取り出して作成されているので、求める土壌中の可給態リン酸含量(乾土100gあたりの含量)は、測定値について所要の換算を行なう。換算は算出部30の成分量算出手段36で実施される。
このように、検体Kとして、所定量の物質の抽出物を有して構成した場合も上記と同様の作用,効果が得られる。
【実施例】
【0048】
次に、実施例について説明する。
[実施例1](水稲の茎葉部の乾燥粉末の輝度情報から窒素含有率を推定)
先ず、稲の試料の準備をする。稲の採取条件は以下のようにした。
採取時期:6月中旬から収穫直前にかけて採取
採取方法:1つの所定区画の水田から,平均的な生育状態の稲を3株(連続して植えてあるもの)採取する。採取は,株元から採取する。8月中旬以降は,穂を取り除いて分析した。
また、S1〜S4の試料については、生育状態の違う所定区画の水田から、上記の方法と同様に茎葉部を採取した。試料を採取する水田は、稲の草丈の長さ,葉の色等から適宜のものを選定した。
そして、採取した株の根本の泥をきれいに洗浄し、通風乾燥機で乾燥する。乾燥後、3株を粉砕器で粉砕する。3株まとめて粉砕する。
より具体的には、通風乾燥機(ヤマト科学株式会社製DS400)により70℃で72時間乾燥する。乾燥した稲をウイレー式粉砕器(吉田製作所製 1029−C)により粉砕粒度1.0mmに粉砕する。粉砕したものを容器としての小型シャーレ(フラット社製 FS−30)に入れる。シャーレの寸法は、外径32mm、内径27mm、高さ15mm、肉厚1.3mmである。試料の厚さは5mm程度、重量にして2gである。シャーレに入れた試料にエタノール(和光純薬製)を2ml加える。
シャーレを専用トレー10(ウレタン製 A4サイズ)にはめ込み、スキャナ23に乗せる。トレー10のS1番〜S4番の孔には,窒素含有率が既知の基準検体Cが入ったシャーレをはめ込む。トレー10の1番〜6番の孔には、窒素含有率が未知の検体Kが入ったシャーレをはめ込む。
【0049】
そして、装置の解析用プログラムを起動し,トレー10にシャーレをはめ込んだ画像を得る。撮像時の解像度は150dpiである。算出部30において、得られた画像のうち、各シャーレ内の試料の色を解析する。
算出部30においては、シャーレとトレー10の輝度の差から、シャーレ10個を自動的に認識する。10個のシャーレのそれぞれについて、シャーレ底面の円の中心に重心をもつ1辺が15mmの正方形を解析領域に設定する。解析する領域の各画素について、R−G−B成分の輝度値を算出する。解析する領域の各画素のR−G−B値のそれぞれの平均値を試料のR値,G値,B値とする。窒素含有率が既知の基準検体C4点により検量線を作成し、その検量線を用いて、窒素含有率が未知の検体K6点の窒素含有率を推定する。
【0050】
実施例1においては、基準検体Cとして、「あきたこまち」及び「ひとめぼれ」から窒素含有率(質量%)の夫々異なる2種ずつを選択した(S1〜S4)。また、未知検体Kとして「あきたこまち」(2005年産)を12サンプル(1〜12),「ひとめぼれ」(2005年産)を12サンプル(13〜24)を用いた。尚、相関を見るために、未知検体Kについても、窒素含量を実測した。図4に、実施例1の測定データI(8月データ)と、検量線に推定した数値(推定値1)をプロットしたグラフを示す。
この結果から、極めて高い相関が認められ、推定値の精度が高いことが認められる。
【0051】
次に、実施例1において、上記と同じ試料を用いて、日を異ならせて(2ヵ月後の10月)同様の測定を行なった。図5に、測定データII(10月データ)と、検量線に推定した数値(推定値2)をプロットしたグラフを示す。
この結果からも、極めて高い相関が認められ、推定値の精度が高いことが認められる。
【0052】
図6には、検量線として、測定データIの結果を用い、測定データII(10月データ)の未知検体KのR輝度値により、窒素含量を推定した数値(推定値3)を示す。
そして、上記の推定値1,2,3について、相関を比較した。図7乃至図9には、上記の推定値1,2,3についての相関図を示す。
この結果から、推定値1,2は、検体K及び基準検体Cを同時に撮像し、撮像毎に、基準検体Cの輝度を検出して作成した検量線により成分量を推定したので、高い相関が見られる(図7及び図8)のに比較して、推定値3は別の検量線を用いたので、推定値3の相関はこれらよりは劣る(図9)。このことより、検量線を一義的に決めるのに比較して、測定の都度、検量線を作成して成分量を推定することが、撮像部20の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた推定を行なって、より正確な推定値とすることができ、推定値の信頼性の向上を図ることができ、優れていることが分かる。
【0053】
[実施例2](土壌の可給態リン酸含量の推定)
(1)検体Kの作成
土壌を採取し、通風乾燥機(ヤマト科学株式会社製DS400)により70℃で72時間乾燥する。乾燥した土壌を乳鉢により粉砕し、篩目2mmの円孔篩で粒度を揃える。篩を通した土壌を1gとり、300ml容の三角フラスコに入れる。これに0.002Nの硫酸(pH3.0)を200ml加え、30分間振とうする。振とう後、東洋濾紙No.5Bで濾過する。ろ液20mlを50ml容のメスフラスコにとり、脱塩水20mlを加える。これに、混合発色液を8ml加える。混合発色液は、5Nの硫酸、4%モリブデン酸アンモニウム、0.1Mアスコルビン酸溶液、酒石酸アンモニルカリウム溶液からなる。メスフラスコの標線まで脱塩水を加え、充分混合する。作成した検体Kを2ml上記と同様のシャーレに入れる。
【0054】
(2)基準検体Cの作成
一方、別途、リン標準液を希釈して、検量線作成用の標準試料を作成する。作成する標準試料のリン含量は、0ppm,0.2ppm,0.4ppm,0.8ppmである。これら夫々20mlを50ml容のメスフラスコにとり、脱塩水20mlを加える。これに、混合発色液を8ml加える。メスフラスコの標線まで脱塩水を加え、充分混合する。作成した基準検体Cを2ml上記のシャーレに入れる。
【0055】
シャーレを専用トレー10(ウレタン製 A4サイズ)にはめ込み,スキャナ23に乗せる。トレー10のS1番〜S4番の孔には、リン含量が既知の基準検体Cが入ったシャーレをはめ込む。トレー10の1番〜6番の孔には、リン含量が未知の検体Kが入ったシャーレをはめ込む。
【0056】
そして、装置の解析用プログラムを起動し,トレー10にシャーレをはめ込んだ画像を得る。撮像時の解像度は150dpiである。算出部30において、得られた画像のうち、各シャーレ内の試料の色を解析する。
算出部30においては、シャーレとトレー10の輝度の差から、シャーレ10個を自動的に認識する。10個のシャーレのそれぞれについて,シャーレ底面の円の中心に重心をもつ1辺が15mmの正方形を解析領域に設定する。解析する領域の各画素について、R−G−B成分の輝度値を算出する。解析する領域の各画素のR−G−B値のそれぞれの平均値を試料のR値,G値,B値とする。リン含量が既知の基準検体C4点により検量線を作成し、その検量線を用いて、リン含量が未知の検体K6点のリン含量を推定する。
【0057】
実施例2においては、未知検体Kとして2005年度に調査した岩手県農業研究センター内の試験圃場の土壌抽出液を用いた。24の未知検体Kについて、上記のように測定した。
図10に、実施例2の基準検体Cの測定データを示す。また、図11に、24の未知検体Kについて、実測値と推定数値との相関図を示す。この結果から、極めて高い相関が認められ、推定値の精度が高いことが認められる。
尚、分析値は、硫酸を用いた土壌抽出液の中にどれだけ(何ppm)リンが含まれているかを表している。この値(ppm)から、乾燥土壌100g当りに何mgのリン酸が含まれているかという値に換算する。
【0058】
<実験例>
次に、同じ基準検体Cにおいて、時間若しくは日を異ならせて輝度の測定を行なった。図12には、上記実施例1の基準検体Cについて、装置の起動直後の輝度の測定値(図12(a))と、起動後20回目の輝度の測定値(図12(b))との結果を示す。この結果から、同じ成分含量でも、測定毎に輝度が微妙に異なることが分かり、測定の都度、検量線を作成して成分量を推定することが有効であることが分かる。
また、図13には、上記実施例2の基準検体Cについて、第1回目の輝度の測定値(図13(a))と、測定日を異ならせて行なった輝度の測定値(図13(b))との結果を示す。この結果から、同じ成分含量でも、測定毎に輝度が異なることが分かり、測定の都度、検量線を作成して成分量を推定することが有効であることが分かる。
【0059】
尚、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置においては、撮像部20にスキャナ23を備えて構成したが、これに限定されるものでなく、デジタル画像を取得可能な機器、例えば、デジタルスチルカメラ,フィルムスキャナ等を用いてもよい。
また、物質としては、上記の植物や土壌などに限定されるものではなく、どのような物質を対象にしてよいことは勿論である。
例えば、植物,動物,有機物,無機物等どのようなものでも良い。例えば、物質として食品(飲料も含む),水(河川水,水道水)等が想定される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置の容器及び画像の抽出例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置のトレーを寸法例とともに示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る測定値及び推定値1を示す表図及びグラフである。
【図5】本発明の実施例1に係り測定日を異にした測定値及び推定値2を示す表図及びグラフである。
【図6】本発明の実施例1に係り検量線として先の測定データの結果を用いて推定した推定値3を示す表図である。
【図7】図4に係るデータの相関を示すグラフ図である。
【図8】図5に係るデータの相関を示すグラフ図である。
【図9】図6に係るデータの相関を示すグラフ図である。
【図10】本発明の実施例2に係り基準検体の測定値を示す表図である。
【図11】本発明の実施例2に係るデータの相関を示すグラフ図である。
【図12】本発明の実験例に係り基準検体の異なる測定時間における測定値を比較して示す表図である。
【図13】本発明の実験例に係り基準検体の異なる測定日における測定値を比較して示す表図である。
【図14】従来の物質の成分推定装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
K 検体
C 基準検体
1 検体用容器
2 基準用容器
3 底壁
10 トレー
11 孔
20 撮像部
21 ベース
23 スキャナ
30 算出部
31 基準画像抽出手段
32 検体画像抽出手段
33 基準輝度検出手段
33a 画素輝度検出手段
33b 平均輝度算出手段
34 相関関係算出手段
35 検体輝度検出手段
35a 画素輝度検出手段
35b 平均輝度算出手段
36 成分量算出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌や土壌に生育する農作物等の農業に関する各種物質を初めその他の種々の物質において、物質に係る色要素から物質中に含まれる各種成分の成分量を算出する物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の物質の成分推定装置として、本願出願人が先に提案し、物質としての土壌において、土壌の色要素から土壌中に含まれる成分量を算出する推定装置がある(特許文献1)。
【0003】
これは、図14に示すように、物質である土壌中の含有成分のうち炭素の全炭素量及び窒素の全窒素量を推定するもので、所定量の土壌を、複数列設された透明容器100に収容する。この容器100は、その底壁を露出させて保持する白色のトレー101に一体に設けられている。トレー101の裏面(後述のCCDセンサ側)には、輝度の基準となるカラーバー102が付されている。このトレー101を撮像部としてのスキャナ103のベース104に載置する。スキャナ103は、ベース104の上の容器100の底部及びトレー101にベース104の下から蛍光管やLEDの光を照射し、その反射光を図示外のCCDセンサ等によりRGB輝度を読みとってRGB輝度を取得し、デジタル画像として撮像する。
【0004】
そして、スキャナ103を作動させ、ベース104上の容器100及びトレー101を撮像して、即ち、容器100の底部を通して土壌の表面及びカラーバー102を走査して画像を取得し、この画像をCPU等の機能を有した算出部105に出力する。算出部105においては、先ず、R輝度の土壌表面のみの画像を各容器100毎に抜き出す。一方、カラーバー102の画像を抜き出し、カラーバー102の画像から白,灰,黒の各R輝度を算出する。次に、土壌の表面の画像の各画素のR輝度を検出し、この検出した各画素のR輝度を、カラーバーのR輝度を基準に補正し、補正後の画像の各画素を構成するR輝度の値を全てたし合わせ、この画像を構成する画素の総画素数で除算して平均R輝度を算出する。
この場合、カラーバー102のR輝度を基準にして、抽出された画像が補正されることから、例えば、スキャナ103のメーカー,型,種類によってCCD等の性能等が異なっていて、スキャナ103から取得した画像において、各画素の輝度の違いがあっても、これを是正することができ、検出精度が向上させられる。
【0005】
次に、算出部105においては、検出された容器100毎の土壌表面の平均R輝度と、予め記憶手段に記憶した、基準になる土壌表面の輝度及びこの基準となる土壌中の成分量の相関関係とから、容器100毎の土壌中の成分量としての全炭素量及び全窒素量を算出する。
これにより、容器100に土壌を入れてスキャナ103で画像を撮像するだけで、成分量が算出されるので、経験や熟練を必要とせずに、誰が行なっても土壌中の成分量と略同じ成分量を推定できる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−17115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の成分推定装置にあっては、カラーバー102を検体としての土壌とともに同時に撮像して、カラーバー102の輝度を基準にして、抽出された画像を補正しているので、撮像部の機種が異なるような場合には有効であるが、例えば、検体を日が異なって撮像する場合等、撮像環境が異なる場合には、推定値の信頼性が必ずしも十分確保できないことがあるという問題があった。例えば、撮像環境として温度条件や湿度条件が異なると、カラーバー102の色は変化しないが、検体の色が変化することがあり、誤差が生じてしまう。また、カラーバー102の色自体が経年変化することもあり、これによっても補正の誤差が生じてしまう。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、できるだけ正確な推定ができるようにして、推定値の信頼性の向上を図った物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するため本発明は、所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体を検体用容器に収容し、該検体用容器に収容された検体の表面を撮像部で撮像し、該撮像部が撮像した画像に基づいて検体の表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて上記物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する物質の成分推定方法において、
予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体と同等の形態の基準になる基準検体であって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体を複数の基準用容器に夫々収容し、上記撮像部によって、上記検体用容器に収容された検体の表面及び上記各基準用容器に収容された基準検体の表面を同時に撮像し、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記各基準用容器に収容された基準検体の表面の輝度を検出し、該検出した輝度に基づいて基準検体の表面の輝度と該基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出し、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記検体容器に収容された検体の表面の輝度を検出し、該検出された検体の表面の輝度と上記相関関係とから該検体に係る特定の成分の成分量を算出する構成としている。
【0010】
これにより、撮像部においては、検体の表面及び基準検体の表面を同時に撮像し、撮像毎に、基準検体の表面の輝度を検出して、基準検体の表面の輝度と基準検体に係る物質の成分の成分量との相関関係を算出するので、撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、その都度、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた相関関係を算出することができ、そのため、撮像部が撮像した検体の表面の画像に基づく輝度と上記の相関関係とから算出される成分の成分量が、機種条件や撮像環境変化に応じた正確な推定値となり、推定値の信頼性の向上が図られる。
【0011】
この場合、上記検体を、所定量の物質を有して構成し、上記基準検体を、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体と同種の物質を有して構成することができる。
また、上記検体を、所定量の物質の抽出物を有して構成し、上記基準検体を、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成することができる。
【0012】
そしてまた、必要に応じ、上記物質が植物である構成としている。また、必要に応じ、上記物質が土壌である構成としている。土壌や土壌に生育する農作物等の農業に関する各種物質の成分量を推定でき、特に、農業分野での利用が図られる。
【0013】
また、上記の目的を達成するため本発明は、所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体を収容する検体用容器と、該検体用容器に収容された検体の表面を撮像する撮像部と、該撮像部が撮像した画像に基づいて検体の表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて上記物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する算出部とを備えた物質の成分推定装置において、
予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体と同等の形態の基準になる基準検体であって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体を夫々収容する複数の基準用容器を設け、上記撮像部を、上記検体用容器に収容された検体の表面及び上記各基準用容器に収容された基準検体の表面を同時に撮像するように構成し、
上記算出部に、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記各基準用容器に収容された基準検体の表面の輝度を検出する基準輝度検出手段と、該基準輝度検出手段が検出した輝度に基づいて該基準検体の表面の輝度と該基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出する相関関係算出手段と、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記検体容器に収容された検体の表面の輝度を検出する検体輝度検出手段と、該検体輝度検出手段で検出された検体の表面の輝度と上記相関関係算出手段で算出された相関関係とから該検体に係る特定の成分の成分量を算出する成分量算出手段とを備えて構成している。
【0014】
これにより、撮像部においては、検体の表面及び基準検体の表面を同時に撮像し、撮像毎に、基準検体の表面の輝度を検出して、基準検体の表面の輝度と基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出するので、撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、その都度、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた相関関係を算出することができ、そのため、撮像部が撮像した検体の表面の画像に基づく輝度と上記の相関関係とから算出される特定の成分の成分量が、機種条件や撮像環境変化に応じた正確な推定値となり、推定値の信頼性の向上が図られる。
【0015】
そして、必要に応じ、上記撮像部を、上記検体用容器を複数撮像する構成としている。複数の検体について画像処理して、各々の検体について特定の成分の成分量を一度に算出できるので、処理効率が向上させられる。
【0016】
そしてまた、必要に応じ、上記検体用容器及び上記基準用容器として透明な材料で形成したものを用い、上記撮像部を、上記検体用容器及び上記基準用容器を載置するベースと、該ベース上の上記検体用容器及び上記基準用容器を走査して該各容器の底壁を通して画像を取得するスキャナとを備えて構成し、
上記算出部に、上記スキャナから出力された画像から上記基準用容器の基準検体の表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出する基準画像抽出手段と、上記スキャナから出力された画像から上記検体用容器の検体の表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出する検体画像抽出手段とを備え、
上記算出部の上記基準輝度検出手段に、上記基準画像抽出手段から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段と、該画素輝度検出手段が検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段とを備え、
上記算出部の上記検体輝度検出手段に、上記検体画像抽出手段から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段と、該画素輝度検出手段が検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段とを備え、
上記相関関係算出手段を、上記基準輝度検出手段の平均輝度算出手段が算出した上記各基準用容器の基準検体についての平均輝度に基づいて相関関係を算出する構成とし、
上記成分量算出手段を、上記検体輝度検出手段の平均輝度算出手段が算出した上記検体用容器の検体についての平均輝度に基づいて成分量を算出する構成としている。
【0017】
画像抽出手段によって、各容器毎の検体表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出し、この画像の各画素の平均輝度を求めるので、誤差が少なくなり、検出輝度のバラツキが防止される。また、スキャナは、一般に市販されているものでよく、既存のものを使用できるので、導入コストを安価に抑えることができる。
【0018】
また、必要に応じ、上記各容器が底壁を露出させて複数保持され上記撮像部のベースに載置可能なトレーを備え、上記スキャナを上記トレーに設けられた複数の容器の底壁を走査するよう構成している。複数の容器をトレーで保持するので搬送や撮像等の取り扱いが容易になる。また、トレーにより、外部からの光を遮断でき、より精度の良い撮像を行なうことができる。
【0019】
また、必要に応じ、上記検体を、所定量の物質を有して構成し、上記基準検体を、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体と同種の物質を有して構成することができる。
また、上記検体を、所定量の物質の抽出物を有して構成し、上記基準検体を、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成することができる。
【0020】
そしてまた、必要に応じ、上記物質が植物である構成としている。また、必要に応じ、上記物質が土壌である構成としている。土壌や土壌に生育する農作物等の農業に関する各種物質の成分量を推定でき、特に、農業分野での利用が図られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置によれば、撮像部においては、検体の表面及び基準検体の表面を同時に撮像し、撮像毎に、基準検体の表面の輝度を検出して、基準検体の表面の輝度と基準検体に係る物質の成分の成分量との相関関係を算出するので、撮像部の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、その都度、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた相関関係を算出することができ、そのため、撮像部が撮像した検体の表面の画像に基づく輝度と上記の相関関係とから算出される成分の成分量が、機種条件や撮像環境変化に応じた正確な推定値となり、推定値の信頼性の向上を図ることができる。
その結果、この成分量の推定は、人間が目視する主観的経験に基づくものではないので、個人差が生じることがなく略一義的に推定でき、推定量にバラツキが生じることがなく安定し、農業分野などでの利用が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置について詳細に説明する。本発明の実施の形態に係る物質の成分推定方法は、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置によって実現されるので、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置の作用において説明する。
【0023】
図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置は、所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体Kを収納する検体用容器1を備えている。検体用容器1は複数用意される。
また、予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体Kと同等の形態の基準になる基準検体Cであって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体Cを夫々収容する複数の基準用容器2を備えている。
【0024】
検体用容器1及び基準用容器2は、図2に示すように、同じ材質,形状の透明な容器であり、例えば、ガラス,プラスチック樹脂,石英ガラスなどの透明な材料でカップ状に形成されている。例えば、外径32mm、内径27mm、高さ15mm、肉厚1.3mmの容器が用いられる。
【0025】
また、この容器1,2は、トレー10に保持される。図1及び図3に示すように、トレー10は後述のスキャナ23のベース21に載置されてこれを覆う大きさの樹脂製の矩形板状に形成され、容器1,2が嵌合して保持される行列状(実施の形態では2行5列の10個)の孔11を有している。トレー10は灰色に着色されている。
トレー10の各孔11には、基準用容器2が4つ保持され、検体用容器1が6つ保持される。トレー10には、各容器1,2に入れた検体Kの識別が容易なように、各孔11の近傍であってトレー10の表側に容器1,2の番号が付されている。検体用容器1の番号として1〜6が付され、基準用容器2の番号として、S1〜S4が付されている。
【0026】
ここで、検体K及び基準検体Cは、その形態としては、粉粒体,液体あるいは、粉粒体と液体との混合した流動状のものが望ましい。
また、検体Kとしては、所定量の物質を有して構成することができる。この場合、基準検体Cを、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体Kと同種の物質を有して構成することができる。例えば、物質が後述の水稲の茎葉部(所定区画の水田に植えられた水稲の多数の株から任意に選択された株のうち、地上に出ている茎及び葉の部分をいう。穂がある場合は穂を取り除く。)の場合であって、この茎葉部の成分量である窒素の質量パーセントを求める場合がある。物質として、水稲の葉のみあるいは茎のみを選択することもできる。
また、検体Kとしては、所定量の物質の抽出物を有して構成することができる。この場合、基準検体Cを、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成することができる。例えば、物質が後述の土壌の場合であって、土壌の100g当りの可給態リン酸含量(mg)を求める場合がある。この場合、土壌抽出溶液中のリンを、化学反応により発色させ、その発色液の輝度情報を解析することにより、成分量を推定できる。また、リン酸に限らず、土壌抽出溶液中の窒素,カリウム,カルシウム,マグネシウム含量を、化学反応により発色させ、その発色液の輝度情報を解析することにより、各成分量を推定できる。
【0027】
また、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置は、検体用容器1に収容された検体Kの表面及び基準用容器2に収容された基準検体Cの表面を同時に撮像する撮像部20を備えている。
詳しくは、撮像部20は、容器1,2を保持したトレー10が容器1,2の底壁3を当接させて載置されるガラス板で形成されたベース21と、ベース21上のトレー10及び容器1,2の開口側を覆いベース21に対して開閉可能に設けられた覆体22と、ベース21上のトレー10を走査して画像を撮像するスキャナ23とを備えて構成されている。ベース21は、例えば、A4サイズの原稿載置台で形成されている。
【0028】
スキャナ23は、ベース21の上のトレー10及び容器1,2の底壁3にベース21の下から蛍光管やLEDの光を照射し、その反射光をCCDセンサ等によりRGB輝度を読みとって、容器1,2の底壁3を通して基準検体C及び検体KのRGB輝度を取得し、デジタル画像として撮像する。R輝度,G輝度,B輝度は、夫々、0から255までの256段階であって、画像の画素はこのRGB輝度の組み合わせからなり、約1600万通りの色が表現される。
スキャナ23は、一般に市販されているものでよく、既存のものを使用することから導入コストを安価に抑えることができる。
【0029】
更に、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置は、CPUなどの機能によって作動する算出部30を備えている。算出部30は、撮像部20が撮像した画像に基づいて検体Kの表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて物質中の含有成分の推定しようとする特定の成分の成分量を算出する。
【0030】
詳しくは、算出部30は、基準画像抽出手段31と、検体画像抽出手段32と、基準輝度検出手段33と、相関関係算出手段34と、検体輝度検出手段35と、成分量算出手段36とを備えて構成されている。
【0031】
基準画像抽出手段31は、スキャナ23から出力された画像から各基準用容器2の基準検体Cの表面のみの画像であって所定範囲eの画像を抽出する。例えば、図2(a)に示すように、容器1,2の底壁3面の中心に重心をもつ正方形(例えば1辺が15mmの正方形)を所定範囲e(解析領域)とする。
検体画像抽出手段32は、スキャナ23から出力された画像から検体用容器1の検体Kの表面のみの画像であって所定範囲eの画像を抽出する。例えば、上記と同様、図2(a)に示すように、容器1,2の底壁3面の中心に重心をもつ正方形(例えば1辺が15mmの正方形)を所定範囲e(解析領域)とする。
より詳しくは、各画像抽出手段31,32は、トレー10の裏面と基準用容器2および検体用容器1に収容された検体表面との輝度の差および検体容器の形状から、各容器1,2毎に区分けして各容器1,2の表面のみの画像を抜き出し、この各容器1,2の表面画像から所定範囲の画像を抽出している。
【0032】
基準輝度検出手段33は、撮像部20が撮像した各基準用容器2に収容された基準検体Cの表面の輝度を検出する。基準輝度検出手段33には、基準画像抽出手段31から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段33aと、この画素輝度検出手段33aが検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段33bとが備えられている。画素輝度検出手段33aは、基準画像抽出手段31から抽出された基準検体Cの表面の所定範囲の画像中において各画素のR,G,B輝度の検出を行なっている。この値は、0から255までの256段階である。平均輝度算出手段33bは、所定範囲の画像の各画素のR,G,B毎の輝度をたし合わせ、この所定範囲の画像を構成する画素数で除算してR,G,B毎に平均輝度を算出している。
【0033】
相関関係算出手段34は、基準輝度検出手段33が検出した輝度に基づいて基準検体Cの表面の輝度と基準検体Cに係る物質の推定しようとする成分量との相関関係を算出する。この相関関係は、上記の選択された特定の成分量が異なる複数の基準検体Cがスキャナ23で走査されると、基準画像抽出手段31が所定範囲の画像を抜き出し、基準輝度検出手段33が平均輝度を算出し、そして、上記の実測値と算出された平均輝度との相関を例えば最小2乗法で予測式化して定める。
【0034】
検体輝度検出手段35は、上記基準輝度検出手段33と同様に、撮像部20が撮像した各検体用容器1に収容された検体Kの表面の輝度を検出する。検体輝度検出手段35には、検体画像抽出手段32から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段35aと、この画素輝度検出手段35aが検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段35bとが備えられている。画素輝度検出手段35aは、検体画像抽出手段32から抽出された検体Kの表面の所定範囲の画像中において各画素のR,G,B輝度の検出を行なっている。この値は、0から255までの256段階である。平均輝度算出手段35bは、所定範囲の画像の各画素のR,G,B毎の輝度をたし合わせ、この所定範囲の画像を構成する画素数で除算してR,G,B毎に平均輝度を算出している。
【0035】
成分量算出手段36は、検体輝度検出手段35で検出された検体Kの表面の輝度と、相関関係算出手段34で算出された相関関係とから、検体Kに係る特定の成分の成分量を算出する。
それから、算出部30に接続されたディスプレイモニタやプリンタ等の出力機器37に、各容器の番号とともに輝度と成分量と併記した表を表示させる。
【0036】
従って、この物質の成分推定装置を使用して成分量を推定する場合は、以下のようにして行なう。
先ず、検体Kとして、所定量の物質を有して構成した場合について説明する。この場合、基準検体Cを、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体Kと同種の物質を有して構成する。
例えば、物質が水稲の場合であって、水稲の茎葉部の成分量である窒素の質量パーセントを求める場合、先ず、稲の茎葉部を採取する。茎葉部とは、所定区画の水田に植えられた水稲の多数の株から任意に選択された株のうち、地上に出ている茎及び葉の部分をいう。穂がある場合は穂を取り除く。また、平均化のために、所定区画の水田から、複数株(例えば、3株)を採取する。そして、検体Kとしては、これら複数株の茎葉部全部を用い、通風乾燥機により所定時間乾燥して水分量を略0質量%にし、この乾燥した茎葉部を粉砕器により粉砕し、所定量を検体用容器1に入れ、エタノールを所定量加えたものとする。
また、基準検体Cにおいては、生育状態の違う水田から、上記と同様の方法にて茎葉部の試料を採取し、この試料の成分量である窒素の質量パーセントを、周知の定量分析法(例えば、湿式灰化の後,インドフェノール法により窒素含量を定量)により、予め実測値として正確に求めておく。そして、複数の基準検体Cとして、その成分が段階的に異なるものを種々の試料から選択し、同様に、所定量を基準用容器2に入れ、エタノールを所定量加えたものとする。
【0037】
尚、アルコールを加える理由は、検体表面の凹凸による乱反射を防ぐため、粉末試料の色差を強調するためである。
【0038】
次に、トレー10に、基準検体Cの4つの基準用容器2を載せ、検体Kとして、同一ロットのもの、あるいは、異なるロットのものなど、適宜の検体Kの6つの検体用容器1を載せる。それから、スキャナ23のベース21にトレー10を載置し、覆体22で覆う。容器を持ち運ぶ際はトレー10を持てばよく取扱性が向上する。
そして、スキャナ23を作動させ、トレー10の表面の画像を撮像し、この画像を算出部30に出力する。
【0039】
そして、算出部30を作動させて、各検体容器毎の平均R輝度と窒素量の推定量を得る。
詳しくは、算出部30が作動すると、先ず、基準画像抽出手段31は、スキャナ23から出力された画像から各基準用容器2の基準検体Cの表面のみの画像であって所定範囲eの画像を抽出する。
基準輝度検出手段33は、撮像部20が撮像した各基準用容器2に収容された基準検体Cの表面の輝度を検出する。基準輝度検出手段33において、画素輝度検出手段33aは、基準画像抽出手段31から抽出された基準検体Cの表面の所定範囲の画像中において各画素のR,G,B輝度の検出を行なっており、平均輝度算出手段33bは、所定範囲の画像の各画素のR,G,B毎の輝度をたし合わせ、この所定範囲eの画像を構成する画素数で除算してR,G,B毎に平均輝度を算出する。実施の形態では、窒素については、各基準用容器2毎の平均R輝度を得ている。
【0040】
そして、相関関係算出手段34は、基準輝度検出手段33が検出した輝度に基づいて基準検体Cの表面の輝度と基準検体Cに係る物質の推定しようとする成分量との相関関係を算出する。この相関関係は、上記の選択された特定の成分量が異なる複数の基準検体Cがスキャナ23で走査されると、基準画像抽出手段31が所定範囲eの画像を抜き出し、基準輝度検出手段33が平均輝度を算出し、そして、上記の実測値と算出された平均輝度との相関を例えば最小2乗法で予測式化して定める。
【0041】
一方、検体画像抽出手段32は、スキャナ23から出力された画像から検体用容器1の検体Kの表面のみの画像であって所定範囲eの画像を抽出する。検体輝度検出手段35は、基準輝度検出手段33と同様に、撮像部20が撮像した各検体用容器1に収容された検体Kの表面の輝度を検出する。検体輝度検出手段35においては、画素輝度検出手段35aが、検体画像抽出手段32から抽出された検体Kの表面の所定範囲の画像中において各画素のR,G,B輝度の検出を行なっている。また、平均輝度算出手段35bは、所定範囲の画像の各画素24のR,G,B毎の輝度をたし合わせ、この所定範囲eの画像を構成する画素数で除算してR,G,B毎に平均輝度を算出している。実施の形態では、窒素量については、各検体用容器1毎の平均R輝度を得ている。
【0042】
そして、成分量算出手段36は、検体輝度検出手段35で検出された検体Kの表面の輝度と、相関関係算出手段34で算出された相関関係とから、検体Kに係る特定の成分の成分量を算出する。
それから、算出部30に接続されたディスプレイモニタやプリンタ等の出力機器37に、各容器1,2の番号とともに輝度と成分量と併記した表を表示させる。
【0043】
この場合、撮像部20においては、検体Kの表面及び基準検体Cの表面を同時に撮像し、撮像毎に、基準検体Cの表面の輝度を検出して、基準検体Cの表面の輝度と基準検体Cに係る特定の成分の成分量との相関関係を算出するので、撮像部20の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、その都度、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた相関関係を算出することができ、そのため、撮像部20が撮像した検体Kの表面の画像に基づく輝度と上記の相関関係とから算出される特定の成分の成分量が、機種条件や撮像環境変化に応じた正確な推定値となり、推定値の信頼性の向上が図られる。
【0044】
また、容器1に検体Kを入れてスキャナ23で画像を撮像するだけで、特定の成分の成分量が算出されるので、経験や熟練を必要とせずに、誰が行なっても特定の成分の成分量を推定できる。また、この成分量の推定は、人間が目視する主観的経験に基づくものではないので、成分量の測定に個人差が生じることがなく略一義的に推定でき、成分量にバラツキが生じることがなく安定し、信頼性も向上させられる。更に、スキャナ23で取得した複数の検体用容器1の画像を一度に処理できるので、処理効率が向上させられる。
【0045】
そしてまた、RGB輝度のうち、R輝度から算出したので最適なパラメータとして、水稲の窒素量を安定して推定できる。このようにして推定された窒素含量は、追肥等の肥培管理の際の参考に供することができる。
【0046】
次に、検体Kとして、所定量の物質の抽出物を有して構成した場合について説明する。この場合、基準検体Cを、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成する。
例えば、物質が土壌の場合であって、土壌の可給態リン酸含量(mg)を乾土100gあたりの含量(mg)として求める場合、土壌を採取し、通風乾燥機により所要時間乾燥して水分量を略0質量%にし、乾燥した土壌を乳鉢により粉砕し、円孔篩で粒度を揃え、篩を通した土壌を所定量とり、三角フラスコに入れ、これに所定濃度の硫酸を所定量加え、振とう後、濾過する。濾液を所定量メスフラスコにとり、脱塩水を所定量加え、これに、混合発色液を所定量加え、更に所定量の上記の脱塩水を加え、充分混合する。この作成した混合液を所定量容器に入れこれを検体Kとする。
一方、基準検体Cとしては、リン標準液を希釈して作成する。作成する基準検体Cは、例えば、4段階のリン含量のものを用意し、混合発色液を所定量加え、所定量を容器に入れる。
【0047】
そして、上記と同様の操作により、測定を行なう。算出部30の成分量算出手段36は、検体輝度検出手段35で検出された検体Kの表面の輝度と、相関関係算出手段34で算出された相関関係とから、検体Kに係る特定の成分の成分量を算出する。
それから、算出部30に接続されたディスプレイモニタやプリンタ等の出力機器に、各容器の番号とともに輝度と成分量と併記した表を表示させる。
尚、検体Kは、所定量の土壌の抽出物のうちから更に所定量を取り出して作成されているので、求める土壌中の可給態リン酸含量(乾土100gあたりの含量)は、測定値について所要の換算を行なう。換算は算出部30の成分量算出手段36で実施される。
このように、検体Kとして、所定量の物質の抽出物を有して構成した場合も上記と同様の作用,効果が得られる。
【実施例】
【0048】
次に、実施例について説明する。
[実施例1](水稲の茎葉部の乾燥粉末の輝度情報から窒素含有率を推定)
先ず、稲の試料の準備をする。稲の採取条件は以下のようにした。
採取時期:6月中旬から収穫直前にかけて採取
採取方法:1つの所定区画の水田から,平均的な生育状態の稲を3株(連続して植えてあるもの)採取する。採取は,株元から採取する。8月中旬以降は,穂を取り除いて分析した。
また、S1〜S4の試料については、生育状態の違う所定区画の水田から、上記の方法と同様に茎葉部を採取した。試料を採取する水田は、稲の草丈の長さ,葉の色等から適宜のものを選定した。
そして、採取した株の根本の泥をきれいに洗浄し、通風乾燥機で乾燥する。乾燥後、3株を粉砕器で粉砕する。3株まとめて粉砕する。
より具体的には、通風乾燥機(ヤマト科学株式会社製DS400)により70℃で72時間乾燥する。乾燥した稲をウイレー式粉砕器(吉田製作所製 1029−C)により粉砕粒度1.0mmに粉砕する。粉砕したものを容器としての小型シャーレ(フラット社製 FS−30)に入れる。シャーレの寸法は、外径32mm、内径27mm、高さ15mm、肉厚1.3mmである。試料の厚さは5mm程度、重量にして2gである。シャーレに入れた試料にエタノール(和光純薬製)を2ml加える。
シャーレを専用トレー10(ウレタン製 A4サイズ)にはめ込み、スキャナ23に乗せる。トレー10のS1番〜S4番の孔には,窒素含有率が既知の基準検体Cが入ったシャーレをはめ込む。トレー10の1番〜6番の孔には、窒素含有率が未知の検体Kが入ったシャーレをはめ込む。
【0049】
そして、装置の解析用プログラムを起動し,トレー10にシャーレをはめ込んだ画像を得る。撮像時の解像度は150dpiである。算出部30において、得られた画像のうち、各シャーレ内の試料の色を解析する。
算出部30においては、シャーレとトレー10の輝度の差から、シャーレ10個を自動的に認識する。10個のシャーレのそれぞれについて、シャーレ底面の円の中心に重心をもつ1辺が15mmの正方形を解析領域に設定する。解析する領域の各画素について、R−G−B成分の輝度値を算出する。解析する領域の各画素のR−G−B値のそれぞれの平均値を試料のR値,G値,B値とする。窒素含有率が既知の基準検体C4点により検量線を作成し、その検量線を用いて、窒素含有率が未知の検体K6点の窒素含有率を推定する。
【0050】
実施例1においては、基準検体Cとして、「あきたこまち」及び「ひとめぼれ」から窒素含有率(質量%)の夫々異なる2種ずつを選択した(S1〜S4)。また、未知検体Kとして「あきたこまち」(2005年産)を12サンプル(1〜12),「ひとめぼれ」(2005年産)を12サンプル(13〜24)を用いた。尚、相関を見るために、未知検体Kについても、窒素含量を実測した。図4に、実施例1の測定データI(8月データ)と、検量線に推定した数値(推定値1)をプロットしたグラフを示す。
この結果から、極めて高い相関が認められ、推定値の精度が高いことが認められる。
【0051】
次に、実施例1において、上記と同じ試料を用いて、日を異ならせて(2ヵ月後の10月)同様の測定を行なった。図5に、測定データII(10月データ)と、検量線に推定した数値(推定値2)をプロットしたグラフを示す。
この結果からも、極めて高い相関が認められ、推定値の精度が高いことが認められる。
【0052】
図6には、検量線として、測定データIの結果を用い、測定データII(10月データ)の未知検体KのR輝度値により、窒素含量を推定した数値(推定値3)を示す。
そして、上記の推定値1,2,3について、相関を比較した。図7乃至図9には、上記の推定値1,2,3についての相関図を示す。
この結果から、推定値1,2は、検体K及び基準検体Cを同時に撮像し、撮像毎に、基準検体Cの輝度を検出して作成した検量線により成分量を推定したので、高い相関が見られる(図7及び図8)のに比較して、推定値3は別の検量線を用いたので、推定値3の相関はこれらよりは劣る(図9)。このことより、検量線を一義的に決めるのに比較して、測定の都度、検量線を作成して成分量を推定することが、撮像部20の機種が異なるような場合は勿論のこと、温度条件や湿度条件などの撮像環境が異なる場合でも、これらの機種条件や撮像環境変化に応じた推定を行なって、より正確な推定値とすることができ、推定値の信頼性の向上を図ることができ、優れていることが分かる。
【0053】
[実施例2](土壌の可給態リン酸含量の推定)
(1)検体Kの作成
土壌を採取し、通風乾燥機(ヤマト科学株式会社製DS400)により70℃で72時間乾燥する。乾燥した土壌を乳鉢により粉砕し、篩目2mmの円孔篩で粒度を揃える。篩を通した土壌を1gとり、300ml容の三角フラスコに入れる。これに0.002Nの硫酸(pH3.0)を200ml加え、30分間振とうする。振とう後、東洋濾紙No.5Bで濾過する。ろ液20mlを50ml容のメスフラスコにとり、脱塩水20mlを加える。これに、混合発色液を8ml加える。混合発色液は、5Nの硫酸、4%モリブデン酸アンモニウム、0.1Mアスコルビン酸溶液、酒石酸アンモニルカリウム溶液からなる。メスフラスコの標線まで脱塩水を加え、充分混合する。作成した検体Kを2ml上記と同様のシャーレに入れる。
【0054】
(2)基準検体Cの作成
一方、別途、リン標準液を希釈して、検量線作成用の標準試料を作成する。作成する標準試料のリン含量は、0ppm,0.2ppm,0.4ppm,0.8ppmである。これら夫々20mlを50ml容のメスフラスコにとり、脱塩水20mlを加える。これに、混合発色液を8ml加える。メスフラスコの標線まで脱塩水を加え、充分混合する。作成した基準検体Cを2ml上記のシャーレに入れる。
【0055】
シャーレを専用トレー10(ウレタン製 A4サイズ)にはめ込み,スキャナ23に乗せる。トレー10のS1番〜S4番の孔には、リン含量が既知の基準検体Cが入ったシャーレをはめ込む。トレー10の1番〜6番の孔には、リン含量が未知の検体Kが入ったシャーレをはめ込む。
【0056】
そして、装置の解析用プログラムを起動し,トレー10にシャーレをはめ込んだ画像を得る。撮像時の解像度は150dpiである。算出部30において、得られた画像のうち、各シャーレ内の試料の色を解析する。
算出部30においては、シャーレとトレー10の輝度の差から、シャーレ10個を自動的に認識する。10個のシャーレのそれぞれについて,シャーレ底面の円の中心に重心をもつ1辺が15mmの正方形を解析領域に設定する。解析する領域の各画素について、R−G−B成分の輝度値を算出する。解析する領域の各画素のR−G−B値のそれぞれの平均値を試料のR値,G値,B値とする。リン含量が既知の基準検体C4点により検量線を作成し、その検量線を用いて、リン含量が未知の検体K6点のリン含量を推定する。
【0057】
実施例2においては、未知検体Kとして2005年度に調査した岩手県農業研究センター内の試験圃場の土壌抽出液を用いた。24の未知検体Kについて、上記のように測定した。
図10に、実施例2の基準検体Cの測定データを示す。また、図11に、24の未知検体Kについて、実測値と推定数値との相関図を示す。この結果から、極めて高い相関が認められ、推定値の精度が高いことが認められる。
尚、分析値は、硫酸を用いた土壌抽出液の中にどれだけ(何ppm)リンが含まれているかを表している。この値(ppm)から、乾燥土壌100g当りに何mgのリン酸が含まれているかという値に換算する。
【0058】
<実験例>
次に、同じ基準検体Cにおいて、時間若しくは日を異ならせて輝度の測定を行なった。図12には、上記実施例1の基準検体Cについて、装置の起動直後の輝度の測定値(図12(a))と、起動後20回目の輝度の測定値(図12(b))との結果を示す。この結果から、同じ成分含量でも、測定毎に輝度が微妙に異なることが分かり、測定の都度、検量線を作成して成分量を推定することが有効であることが分かる。
また、図13には、上記実施例2の基準検体Cについて、第1回目の輝度の測定値(図13(a))と、測定日を異ならせて行なった輝度の測定値(図13(b))との結果を示す。この結果から、同じ成分含量でも、測定毎に輝度が異なることが分かり、測定の都度、検量線を作成して成分量を推定することが有効であることが分かる。
【0059】
尚、本発明の実施の形態に係る物質の成分推定方法及び物質の成分推定装置においては、撮像部20にスキャナ23を備えて構成したが、これに限定されるものでなく、デジタル画像を取得可能な機器、例えば、デジタルスチルカメラ,フィルムスキャナ等を用いてもよい。
また、物質としては、上記の植物や土壌などに限定されるものではなく、どのような物質を対象にしてよいことは勿論である。
例えば、植物,動物,有機物,無機物等どのようなものでも良い。例えば、物質として食品(飲料も含む),水(河川水,水道水)等が想定される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置の容器及び画像の抽出例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る物質の成分推定装置のトレーを寸法例とともに示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る測定値及び推定値1を示す表図及びグラフである。
【図5】本発明の実施例1に係り測定日を異にした測定値及び推定値2を示す表図及びグラフである。
【図6】本発明の実施例1に係り検量線として先の測定データの結果を用いて推定した推定値3を示す表図である。
【図7】図4に係るデータの相関を示すグラフ図である。
【図8】図5に係るデータの相関を示すグラフ図である。
【図9】図6に係るデータの相関を示すグラフ図である。
【図10】本発明の実施例2に係り基準検体の測定値を示す表図である。
【図11】本発明の実施例2に係るデータの相関を示すグラフ図である。
【図12】本発明の実験例に係り基準検体の異なる測定時間における測定値を比較して示す表図である。
【図13】本発明の実験例に係り基準検体の異なる測定日における測定値を比較して示す表図である。
【図14】従来の物質の成分推定装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
K 検体
C 基準検体
1 検体用容器
2 基準用容器
3 底壁
10 トレー
11 孔
20 撮像部
21 ベース
23 スキャナ
30 算出部
31 基準画像抽出手段
32 検体画像抽出手段
33 基準輝度検出手段
33a 画素輝度検出手段
33b 平均輝度算出手段
34 相関関係算出手段
35 検体輝度検出手段
35a 画素輝度検出手段
35b 平均輝度算出手段
36 成分量算出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体を検体用容器に収容し、該検体用容器に収容された検体の表面を撮像部で撮像し、該撮像部が撮像した画像に基づいて検体の表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて上記物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する物質の成分推定方法において、
予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体と同等の形態の基準になる基準検体であって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体を複数の基準用容器に夫々収容し、上記撮像部によって、上記検体用容器に収容された検体の表面及び上記各基準用容器に収容された基準検体の表面を同時に撮像し、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記各基準用容器に収容された基準検体の表面の輝度を検出し、該検出した輝度に基づいて基準検体の表面の輝度と該基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出し、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記検体容器に収容された検体の表面の輝度を検出し、該検出された検体の表面の輝度と上記相関関係とから該検体に係る特定の成分の成分量を算出することを特徴とする物質の成分推定方法。
【請求項2】
上記検体を、所定量の物質を有して構成し、上記基準検体を、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体と同種の物質を有して構成したことを特徴とする請求項1記載の物質の成分推定方法。
【請求項3】
上記検体を、所定量の物質の抽出物を有して構成し、上記基準検体を、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成したことを特徴とする請求項1記載の物質の成分推定方法。
【請求項4】
上記物質が植物であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の物質の成分推定方法。
【請求項5】
上記物質が土壌であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の物質の成分推定方法。
【請求項6】
所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体を収容する検体用容器と、該検体用容器に収容された検体の表面を撮像する撮像部と、該撮像部が撮像した画像に基づいて検体の表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて上記物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する算出部とを備えた物質の成分推定装置において、
予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体と同等の形態の基準になる基準検体であって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体を夫々収容する複数の基準用容器を設け、上記撮像部を、上記検体用容器に収容された検体の表面及び上記各基準用容器に収容された基準検体の表面を同時に撮像するように構成し、
上記算出部に、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記各基準用容器に収容された基準検体の表面の輝度を検出する基準輝度検出手段と、該基準輝度検出手段が検出した輝度に基づいて該基準検体の表面の輝度と該基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出する相関関係算出手段と、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記検体容器に収容された検体の表面の輝度を検出する検体輝度検出手段と、該検体輝度検出手段で検出された検体の表面の輝度と上記相関関係算出手段で算出された相関関係とから該検体に係る特定の成分の成分量を算出する成分量算出手段とを備えて構成したことを特徴とする物質の成分推定装置。
【請求項7】
上記撮像部を、上記検体用容器を複数撮像する構成としたことを特徴とする請求項6記載の物質の成分推定装置。
【請求項8】
上記検体用容器及び上記基準用容器として透明な材料で形成したものを用い、上記撮像部を、上記検体用容器及び上記基準用容器を載置するベースと、該ベース上の上記検体用容器及び上記基準用容器を走査して該各容器の底壁を通して画像を取得するスキャナとを備えて構成し、
上記算出部に、上記スキャナから出力された画像から上記基準用容器の基準検体の表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出する基準画像抽出手段と、上記スキャナから出力された画像から上記検体用容器の検体の表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出する検体画像抽出手段とを備え、
上記算出部の上記基準輝度検出手段に、上記基準画像抽出手段から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段と、該画素輝度検出手段が検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段とを備え、
上記算出部の上記検体輝度検出手段に、上記検体画像抽出手段から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段と、該画素輝度検出手段が検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段とを備え、
上記相関関係算出手段を、上記基準輝度検出手段の平均輝度算出手段が算出した上記各基準用容器の基準検体についての平均輝度に基づいて相関関係を算出する構成とし、
上記成分量算出手段を、上記検体輝度検出手段の平均輝度算出手段が算出した上記検体用容器の検体についての平均輝度に基づいて成分量を算出する構成としたことを特徴とする請求項6または7記載の物質の成分推定装置。
【請求項9】
上記各容器が底壁を露出させて複数保持され上記撮像部のベースに載置可能なトレーを備え、上記スキャナを上記トレーに設けられた複数の容器の底壁を走査するよう構成したことを特徴とする請求項8記載の物質の成分推定装置。
【請求項10】
上記検体を、所定量の物質を有して構成し、上記基準検体を、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体と同種の物質を有して構成したことを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の物質の成分推定装置。
【請求項11】
上記検体を、所定量の物質の抽出物を有して構成し、上記基準検体を、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成したことを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の物質の成分推定装置。
【請求項12】
上記物質が植物であることを特徴とする請求項6乃至11いずれかに記載の物質の成分推定装置。
【請求項13】
上記物質が土壌であることを特徴とする請求項6乃至11いずれかに記載の物質の成分推定装置。
【請求項1】
所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体を検体用容器に収容し、該検体用容器に収容された検体の表面を撮像部で撮像し、該撮像部が撮像した画像に基づいて検体の表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて上記物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する物質の成分推定方法において、
予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体と同等の形態の基準になる基準検体であって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体を複数の基準用容器に夫々収容し、上記撮像部によって、上記検体用容器に収容された検体の表面及び上記各基準用容器に収容された基準検体の表面を同時に撮像し、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記各基準用容器に収容された基準検体の表面の輝度を検出し、該検出した輝度に基づいて基準検体の表面の輝度と該基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出し、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記検体容器に収容された検体の表面の輝度を検出し、該検出された検体の表面の輝度と上記相関関係とから該検体に係る特定の成分の成分量を算出することを特徴とする物質の成分推定方法。
【請求項2】
上記検体を、所定量の物質を有して構成し、上記基準検体を、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体と同種の物質を有して構成したことを特徴とする請求項1記載の物質の成分推定方法。
【請求項3】
上記検体を、所定量の物質の抽出物を有して構成し、上記基準検体を、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成したことを特徴とする請求項1記載の物質の成分推定方法。
【請求項4】
上記物質が植物であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の物質の成分推定方法。
【請求項5】
上記物質が土壌であることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の物質の成分推定方法。
【請求項6】
所定量の物質若しくは所定量の物質の抽出物を有した検体を収容する検体用容器と、該検体用容器に収容された検体の表面を撮像する撮像部と、該撮像部が撮像した画像に基づいて検体の表面の輝度を検出するとともに該検出した輝度に基づいて上記物質中の含有成分のうち特定の成分の成分量を算出する算出部とを備えた物質の成分推定装置において、
予め特定の成分の成分量が既知になっている上記検体と同等の形態の基準になる基準検体であって該既知の成分量が夫々異なる複数の基準検体を夫々収容する複数の基準用容器を設け、上記撮像部を、上記検体用容器に収容された検体の表面及び上記各基準用容器に収容された基準検体の表面を同時に撮像するように構成し、
上記算出部に、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記各基準用容器に収容された基準検体の表面の輝度を検出する基準輝度検出手段と、該基準輝度検出手段が検出した輝度に基づいて該基準検体の表面の輝度と該基準検体に係る特定の成分の成分量との相関関係を算出する相関関係算出手段と、上記撮像部が撮像した画像に基づいて上記検体容器に収容された検体の表面の輝度を検出する検体輝度検出手段と、該検体輝度検出手段で検出された検体の表面の輝度と上記相関関係算出手段で算出された相関関係とから該検体に係る特定の成分の成分量を算出する成分量算出手段とを備えて構成したことを特徴とする物質の成分推定装置。
【請求項7】
上記撮像部を、上記検体用容器を複数撮像する構成としたことを特徴とする請求項6記載の物質の成分推定装置。
【請求項8】
上記検体用容器及び上記基準用容器として透明な材料で形成したものを用い、上記撮像部を、上記検体用容器及び上記基準用容器を載置するベースと、該ベース上の上記検体用容器及び上記基準用容器を走査して該各容器の底壁を通して画像を取得するスキャナとを備えて構成し、
上記算出部に、上記スキャナから出力された画像から上記基準用容器の基準検体の表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出する基準画像抽出手段と、上記スキャナから出力された画像から上記検体用容器の検体の表面のみの画像であって所定範囲の画像を抽出する検体画像抽出手段とを備え、
上記算出部の上記基準輝度検出手段に、上記基準画像抽出手段から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段と、該画素輝度検出手段が検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段とを備え、
上記算出部の上記検体輝度検出手段に、上記検体画像抽出手段から抽出された画像中の各画素の輝度を検出する画素輝度検出手段と、該画素輝度検出手段が検出した各画素の輝度から平均輝度を算出する平均輝度算出手段とを備え、
上記相関関係算出手段を、上記基準輝度検出手段の平均輝度算出手段が算出した上記各基準用容器の基準検体についての平均輝度に基づいて相関関係を算出する構成とし、
上記成分量算出手段を、上記検体輝度検出手段の平均輝度算出手段が算出した上記検体用容器の検体についての平均輝度に基づいて成分量を算出する構成としたことを特徴とする請求項6または7記載の物質の成分推定装置。
【請求項9】
上記各容器が底壁を露出させて複数保持され上記撮像部のベースに載置可能なトレーを備え、上記スキャナを上記トレーに設けられた複数の容器の底壁を走査するよう構成したことを特徴とする請求項8記載の物質の成分推定装置。
【請求項10】
上記検体を、所定量の物質を有して構成し、上記基準検体を、予め特定の成分の成分量が既知になっている所定量の上記検体と同種の物質を有して構成したことを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の物質の成分推定装置。
【請求項11】
上記検体を、所定量の物質の抽出物を有して構成し、上記基準検体を、特定の成分を混合して予め特定の成分の成分量を既知にした試薬で構成したことを特徴とする請求項6乃至9いずれかに記載の物質の成分推定装置。
【請求項12】
上記物質が植物であることを特徴とする請求項6乃至11いずれかに記載の物質の成分推定装置。
【請求項13】
上記物質が土壌であることを特徴とする請求項6乃至11いずれかに記載の物質の成分推定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【公開番号】特開2007−187486(P2007−187486A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4209(P2006−4209)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(390025793)岩手県 (38)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(390025793)岩手県 (38)
【Fターム(参考)】
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