説明

物質を検出するための方法及びシステム

【課題】対象物内における該対象物に由来する物質と該対象物とは異質な物質との一方又は双方を同時に検出するための方法を提供する。
【手段】本発明においては、パラレル式モードのスペクトロスコピーを使用して検出する方法が開示され、当該方法はパラレル式モードでのデータ収集、信号処理、データ抽出と、結果の提供を含む。パラレル式モードのデータ収集は、複数の周波数での複数の信号であって、それぞれの信号がある程度の振幅を有し、それが全体として、検出を希望する物質に固有なスペクトルシグネチャーを提供する複数の信号を同時に検出することを可能にする約10GHzから約25THzの範囲での十分な帯域幅の電磁放射を同時に含む検査信号を発生させる。信号処理とデータ抽出は、対象物を検査放射に暴露して得られた信号を処理して3次元データマトリクスを発生させ、このマトリクスはその対象物に付随する少なくとも何らかの異質物質又は由来物質を表わす。相関技術を使用してデータマトリクスを基準ライブラリと比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2010年2月12日出願の米国特許出願第61/304,318号からの優先権を主張する。前述の出願は参照によりその全体が本明細書に含まれる。
【0002】
本発明は、対象物に由来する物質(native material)又はその対象物とは異質な物質(foreign material)の存在を検出するための方法及びシステム、更に詳しくは、並列モードスペクトロスコピーを使用して検出を高速化することができる方法及びシステムに関連する。
【背景技術】
【0003】
高速かつ非侵襲的に、対象物とは異質な物質(以下、「異質物質」)又は対象物に由来する物質(以下、「由来物質」)の存在について人又はその他の対象物を分析又はスクリーニングする方法に対する大きな必要性が存在する。異質物質としては、例えば、以下のような、
・爆発物およびこれらの前駆体と中間生成物
・化学物質およびその前駆体と中間生成物
・薬品とその前駆体および中間生成物
・細菌、ウィルス、及びその他の生対象物、などが挙げられる。
【0004】
想定される由来物質としては異質物質と混合されたものも含み、例えば、
・薬品とその前駆体および中間生成物
・化学物質とその前駆体および中間生成物
・食物や食料製品とその前駆体や半製品、などが挙げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
異質物質の存在について対象物を分析することに関連した前述の要請に対処する分析技術及びスクリーニング技術を提供しようとする多数の試行が行われてきたが、何らかの理由でこのような試行はどれも不十分なものだった。その例としては、バックスキャッターX線、中性子活性化、マススペクトロメトリー(幾つかのタイプを含む)、ミリ波イメージングなどがある。これらの技術はイオン放射を使用するか、気体の検出に依存するか、又は着物を通して“透視”することができると言われる侵襲的イメージング技術を使用しているが、これらは、いまだ極めて制限されたものであり偽陽性又は偽陰性の結果をもたらし易い。
【0006】
従来技術によるミリ波技術はイメージングシステムから成るが、これはいくらか議論の余地がある。その理由は、システムのオペレータには人々の衣服を“透視して”何か隠したものがないかを判定する能力が与えられているためである。多くの人々はこれらの装置によって彼らのプライバシーが大いに侵害されると考えている。更に、各種爆発物や輸入禁止品を識別する限られた能力が重大な欠点である。
【0007】
注目されるもう一つの領域は空気感染する伝染病の検出である。多人数を輸送可能なジェット機によって広範囲に渡る世界的旅行が可能になった社会が直面する最大の脅威の一つが空気感染性伝染病に対する感染性である。2つ以上の接続する便を用いる旅行をしている航空機旅行者は潜在的に多数の人々を伝染病に暴露する可能性があり、追跡が極めて困難な一方で同時に伝染病の流行を招く危険がある感染源となりうる。明らかなように、直行便の航空機旅行者で伝染病を有する者も大きなリスクを招くが、その理由は、多くの乗客がフライトの前又は最中に病気に対して暴露されるため、またそれにより、病原体に暴露された乗客は病気に感染した後に自らが感染源となる潜伏期の間に多くの人と接触するためである。
【0008】
スペクトロスコピーは分析スクリーニング技術として多くの利点を有しているが、一般に実施されているようにシリアル方式でデータを取得するため処理の遅さが問題となっている。前述したものと同様にスクリーニングに際してほぼリアルタイム動作することが可能なスペクトロスコープ方法及びシステムを有することが望ましい。このようなシステムでは対象物に付着したまたは対象物に含まれた異質物質の検出で多くの用途が存在する。対象物とは異質な物質の例としては爆発物や爆発物のコンポーネント、輸入禁止品、化学兵器や生物兵器、薬品、処理しようとする食品の汚染物質、合法化学製品の汚染物質、また人や動物の病気に関連した物質などがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
由来物質を有し潜在的に異質物質を有する対象物に関連する好適な態様において、本発明は由来物質と異質物質の一方または両方をパラレルモードのスペクトロスコピーにより検出する方法を提供する。本方法は、(1)パラレルモードでのデータ収集、(2)信号処理とデータ解析、(3)結果の提供、を含む。パラレルモードでのデータ収集は、複数の周波数での複数の信号であって、それぞれが何らかの振幅を有し、その全体が検出を希望する物質のユニークなスペクトルシグネチャー(Spectral Signature)を提供する複数の信号を同時に検出することを可能にする約10GHzから約25THzの範囲の十分なバンド幅の電磁放射を同時に含む検査信号を生成することを含む。対象物及びそれに付随する何らかの異質物質は検査信号に暴露されることにより信号と対象物との間及び信号よ対象物に付随する何らかの異質物質との間で相互作用を惹起する。検査信号と対象物及び対象物に付随する何らかの異質物質との相互作用から得られた改変後の信号が検出される。信号処理とデータ解析は得られた信号を処理して、対象物に付随する何らかの異質物質又は由来物質を示す3次元データマトリクスを生成する。問題とされる既知の化学物質又は生物学的物質を示す基準ライブラリが提供される。相関技術を使用して3次元データマトリクスと基準ライブラリとを比較し、少なくともひとつの関連する異質物質または由来物質に対応する少なくともひとつの相関ピークを基準ライブラリデータから生成する。上述の比較の結果が提供される。
【0010】
上述の方法は対象物の異質物質または由来物質を検出するに際してほぼリアルタイム動作が可能なように作成されたスペクトロスコピー式の方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書で使用される様々な定義は以下のとおりである。
【0012】
定義:
検査放射源:「検査放射源」は本明細書においては複数の周波数での複数の信号であって、同時検出することが可能になり、それぞれが何らかの振幅を有し、その全体が検出を希望する物質のユニークなスペクトルシグネチャーを提供する複数の信号を同時に検出する事を可能にする約10GHzから約25THzの範囲の十分なバンド幅での電磁放射を同時的に含む広帯域電磁放射を意味する。
【0013】
広帯域:中心周波数に対する信号のバンド幅の表現である。「広帯域」は本明細書においては周波数が最高周波数に対して中心周波数の約25%より大きい信号であると定義される。
【0014】
異質物質:本明細書においては、「異質物質」は対象物に付随する望ましくない物質のことである。異質物質の例としては、爆発物、違法薬物、化学物質や生物学的材料、食品汚染物、科学的汚染物質、薬品汚染物質、疾病に関連する物質、病原体(例えば、ウィルス、バクテリア、タンパク質、プリオン、真菌、芽胞等々)などがある。異質物質は複数の成分を有することがあり、そのため、取得されるスペクトルシグネチャーは複数の成分とそれぞれの量を反映するものとなる。
【0015】
物質:本明細書においては、「物質」は単一の物質又は複数の物質を構成する。
【0016】
対象物:本明細書においては、「対象物」は、それとは異質な物質を有するか又は有しないものを意味する。この意味での対象物の例としては、人々、人々と衣服または荷物、食品、乗り物、薬品、化学物質、動物や生物学的実体などを含み、これに限定されない。「対象物」は単一の実体(例えば人)であったり、又は多数の実体(衣服を着用している人)を含むことがある。
【0017】
由来物質:本明細書においては、「由来物質」は前述したような対象物を構成する物質を意味するもので異質物質以外のものである。由来物質は複数の成分を有することがあり、そのため、取得されるスペクトルシグネチャーは上記複数の成分とそのそれぞれの量を反映する。一例としては人とその人の衣服から構成される対象物であり、その人とその人の衣服は爆発物のスクリーニングの際に非侵害性である。別の例としては自動車を含む対象物であり、爆発物のスクリーニングの際に由来物質とみなすことができる無害の複数のコンポーネントを有している。
【0018】
異質物質又は由来物質:本明細書においては、「異質物質又は由来物質」又は同様な表現は、文脈がそれ以外を要求する場合を除いて、異質物質と由来物質のいずれか一方又は両方を意味する。
【0019】
有する:異質物質又は由来物質を「有する」対象物を指す際に使用される場合、有するというのはその対象物が当該物質を直接または間接的に物理的に支持するかまたは含有することを意味する。例えば、異質物質は人の衣服に含まれた爆発性反応物質で構成され、この場合人とその人の無害の衣服は(1)一体となって試験対象の対象物を構成し、(2)これらは爆発物のスクリーニングの際には由来物質とみなされる。他の例としては、対象物それ自体に含まれる物質、例えば、人体内部に含まれるバクテリア又はウィルスなど、又は赤身肉又は鶏肉に含まれるサルモネラなどの汚染物質の異質物質が挙げられる。
【0020】
共鳴検査信号:本明細書においては、共鳴検査信号は、検査信号の一つ又はそれ以上の周波数が潜在的に存在する異質物質の共鳴周波数であるような信号である。このような共鳴周波数は、例えば、潜在的に存在する異質物質の、例えば、振動、回転、又はその他既知の分子遷移に関連する。

【0021】
全体的なシステム構成:
図1は、並列モードスペクトロスコピーにより、由来物質を有し潜在的に異質物質を有する検査中の対象物12に関連して異質物質又は由来物質を検出するためのシステム10を示す。一般的全体像において、検査放射の供給源14は検査中の対象物12を検査電磁放射(「EM」)16に暴露するために使用される。対象物12を通過した後、これらの放射18は対象物のスペクトルシグネチャーを備え、所望なら、何らかの異質物質が存在するとすればそのシグネチャーも有し、これが検出システム20で検出される。光学的相関回路24は様々な機能を実行し、これには信号前処理、好ましくは引き算を使った相関、及び閾値処理が含まれる。これらの処理は、対象物、由来物質及び存在する何らかの異質物質のスペクトルシグネチャーを識別する目的で実施される。ホストコンピュータ26は検査信号の発生源14、検出システム20、光学相関回路24と相互作用し、また出力データのディスプレイを提供する。
【0022】
動作モード:
以下でさらに詳細に説明するように、図1のシステムは様々なモードで動作することが可能で、これには以下を含みこれに限定されない:
・異質物質分析モード:このモードでは、検査中の対象物12を分析して、ライブラリからの基準スペクトルシグネチャーとの比較により、異質物質が対象物内に存在するか、どのような量で存在するかを判定する。
・由来物質スクリーニングモード:このモードでは、検査中の対象物12をスクリーニングして、ライブラリからの基準スペクトルシグネチャーとの比較により、由来物質がその対象物に存在するかまたどのような量で存在するかを判定する。このモードのサブセットは異質物質を含まない既知の基準対象物と比較することが含まれる。
・シーケンシャルモード動作:本発明のシステム(図1など)はシーケンシャルモードで動作可能である。シーケンシャルモードの一つの例としては、最初に前述したように対象物12を基準対象物と比較し、対象物が基準対象物と一致しない場合、続いて異質物質分析モードで動作する。
・同時分析モード:このモードでは、由来物質と異質物質の両方について検査中の対象物12を分析またはスクリーニングする。「同時分析モード」で用いられている「同時」は、由来物質と異質物質について一度に対象物を検査する同時性を意味し、必ずシーケンシャル的に行われる必要がある光学相関回路24による後続の光学相関処理とは関係しない。
・蛍光モード:このモードでは、異質物質又は由来物質の検出は、第2の共振周波数で共振する異質物質又は由来物質においてその第2の共振周波数での2次放射を励起することが知られている第1の周波数で検査中の対象物20を検査することにより行われる。当該モードでは第2の共振周波数又は周波数群での信号だけを検出の対象とするのが一般的である。
・学習モード:このモードでは、本発明のシステム(図1の10など)が、後続の対象物の分析又はスクリーニングで使用するためのマトリクスデータのライブラリを作成するか、又は予め用意されているマトリクスデータのライブラリに追加することを目的として既知の物質を分析又はスキャンする。
【0023】
以下の説明では本発明の好適実施例の図1に図示してあるブロック図で以下の項目について説明する:
・検査放射の供給源14
・検査しようとする対象物12
・検出システム20
・光学式相関プロセッサ24の以下の機能:
・信号再処理
・相関
・引き算
・閾値処理
・ホストコンピュータ及びディスプレイ26による出力データの提供
【0024】
検査放射の供給源14:
図1を参照すると、検査しようとする対象物12及び何らかの異質物質が、上記で定義したような検査放射の広帯域供給源14からの検査信号に暴露されることにより、検査信号が対象物と相互作用する。図2は検査放射の供給源14について好適な装置30を図示しており、当該装置は磁気遮蔽リニアオシレータ(Magnetically Insulated Linean Oscillator)で、円筒状スミスパーセル(Cylindrical Smith−Purcell)構造で強化されている。このような構造は円筒状スミスパーセル強化磁気遮蔽リニアオシレータ30(CSP−MILO)として本明細書においてほぼ正しく定義され、ある程度詳細に以下で説明されている。図2の装置30のさらなる詳細については以下で説明する。
【0025】
スミスパーセル(Smith−Purcell)効果はS.J.SmithとE.M.Purcellの著者によって格子を通過して移動する局部的表面電荷からの可視光(Visible Light from Localized Surface Changes Moving across a Grating)、Phys Rev 92, 1069(1953)に最初に記載された。スミスとパーセルは、電子が金属回折格子の表面近くを、ルーリング(ruling)に対して直角に移動しつつ通過する際に、格子の表面上に惹起された電荷の周期的運動が放射を発生させるはずだと教示した。図3はスミスパーセルRF生成過程を示し前述の記事によるものである。更に詳しくは、同図面では単純なホイヘンス構造を示しており、基本波長はI(1/β−cosθ)で、Iはルーリング間の距離、βは通常どおりv/cを表わし(ここでvは電子ビームの速度、cは光速)、またθは電子の移動方向と光線の間の角度である。
【0026】
本発明の発明者は、スミスとパーセルが記載した接線方向のジオメトリのために格子表面の適当な近傍にやってくる電子の数が限定されているので、スミスパーセル効果が過剰に効率的ではないことを明らかにした。図4はスミスパーセルRF生成過程を目的とする構成34での電子ビームと平坦な表面との関係、あるいは電子ビームと構成36での円筒状格子との関係(従来技術)を示したものである。図4は簡略化してあるので、電子ビーム(E−ビーム)が円筒状格子の内側表面全体に接触することに注意することが重要である。円筒状スミスパーセルの変形タイプは、本発明の発明者が米国特許出願2008/0063132A1に記載したように、以下の様な優位な利点を有している。図2,図7,図8の断面図を参照すると、電子ビームの全面がドリフト管40の内側表面にルーリングされた円筒状格子38の内側表面と接触する。これにより、従来型の面状のスミスパーセル装置と比較して、RF生成の効率が数桁増加する。適当な電子電荷をドリフト管40(図2,図7,図8)に配置することにより、電子ビームはドリフト管の内側表面にある円筒状格子38の表面と密着するように引き込まれることに注意する。必要とされる電圧は電子ビームを形成するために使用する電圧に比例する。
【0027】
図2を参照すると、電子ビームがトラベリングウェーブ電子銃(Traveling Wave Electron Gun)46を形成するカソード42とグリッド44により生成され、それが強化ドリフト管を通って軌道上のアノード48に向かって加速される。RF放射に対して透明なウィンドウ50が、例えば、アノード48にかぶせてあり真空封止並びにCSP_MILO装置30からRFが出て来れるようにする手段を提供する。ビーム外側直径及びドリフト管/格子内側直径はほぼ同一になるように調節され、ビームの外側表面が格子表面と密着することを保証するようにしてあるが、この場合、格子が電子ビームで腐食されることにならない程度に調節される。これらの点は図4の上記説明に関連する。
【0028】
上記構造によって発生した電磁ビームは拡散する。図5に図示してあるように、部分的に又は完全に並行又は合焦のビーム52になるように軸外放物線型レフレクター54を用いて補正することができる。ビーム補正はレフレクター54の反射素子を使用する準光学的処理である。
【0029】
図2を参照すると、電子ビームとCSP_MILO装置30の共鳴空洞部分56との間の更なる相互作用が存在する。電子銃46端部とアノード48の間で発振が起こり、電子がドリフト管40を通って前後に搖動する。これにより(a)バンド幅を広げる効果、(b)放射されたRFの下側周波数を設定する効果、(c)電子を反復的に格子と相互作用させることによりスミスパーセル処理の効率を向上させる効果が得られる。格子のブレーズ角(blaze angle)のためウィンドウ50を通ってRFが一方向にだけ放射される。
【0030】
CSP−MILO装置30の周波数は2種類の方法で制御することができ、これには(1)粗調整と(2)微調整とがある。粗調整は格子38のサイズと寸法及び装置30の空洞部分56のサイズを制御することで実現できる。微調整はスミスパーセル効果と関連して高電圧を調節することにより実現できる。CSP−MILO装置30は望ましくは、出力信号または検査放射16(図1)が、複数の周波数での複数の信号であって、それぞれの信号が何らかの振幅を有し、それが全体として検出を希望する材料の独特なスペクトルシグネチャーを提供するような複数の信号の同時検出を可能にする約10GHzから約25THzの範囲での十分な帯域の電磁放射を同時に含む広帯域電磁放射を構成するように設計される。
【0031】
検査放射16(図1)に関連して、1THz以上の周波数帯域は物質の低周波振動モードでの独特のスペクトロスコピー検査を提供する。タンパク質やポリヌクレオチドの3次構造からオゾン欠乏のメカニズムに至るまでの広範囲の分子的性質が、モーダルスペクトルによって特徴づけることが可能である。分子に特有なこれらのスペクトロスコピーには(a)約2MHz又はそれ以下のスペクトルの解像(これはPPB(1×10の9乗)解像度を提供する)、(b)数THzまで広がるスペクトル範囲、(c)周波数の調整能力、が必要である。
【0032】
図6は電流レギュレータ回路90を示し、この回路は低電圧電源回路で見られる古典的なFET(電界効果トランジスタ)電流レギュレータ回路といくらか類似した方法でCSP−MILO装置30(図2)の電力を調節するために使用される。図6において電流レギュレータ回路90は冷陰極電界放射型三極管92及び100で実現され、三極管のいずれか一方又は両方は本発明の発明者およびその他による高電圧スイッチ真空管と題する米国特許4,950,962号に開示されているようなパルサトロン(Pulsatron)管を含むことができる。図6の電流レギュレータ回路によって解決される問題というのは、この設計で意図している電圧レジームまたは電流レジームで動作することが可能なソリッドステートまたは従来の真空管装置が存在しないことである。回路トポロジーは2009年7月30日に公開された米国特許出願公開2009/190383A1において本発明の発明者が開示した。電流レギュレータ回路90のさらなる詳細については以下で説明する。
【0033】
図2を参照すると、高電圧パルスがCSP−MILO装置30のカソードに直接印加される。装置30の本体は共鳴空洞部分56を形成しており、カソードが点火されるとこれが発振する。グリッド44はCSP−MILO装置30の点火を制御する。トリガーパルスがグリッド44に印加されRF生成処理を開始する。
【0034】
CSP−MILO装置30は、それ自体が考慮されたものは、本発明の発明者(C.A.Birnbach)により2008年3月13日に公開された米国特許出願公開2008/0063132号において公知であり説明されているように、大出力RF供給源である。これは内側表面に円筒状格子38を備えるドリフト管40を含み、C.A.Birnbachにより米国特許4950962号で最初に開示されたトラベリングウェーブ電子銃(Traveling Wave Electron Gun)(TWEG)46を使用する。図2を参照すると、共鳴空洞部56の寸法はドリフト管40の寸法と共に出力範囲を決定づける。従来のMILO装置の場合、特にCSP構造のない装置の場合、300MHzから3.5GHzの間の出力を有する。 本発明の発明者は、図7及び図8に図示したように、電磁的円筒状格子38表面をドリフト管40の内側円筒状表面上に配置することにより、電子ビームの外側表面がドリフト管の内側表面上にある格子38と密接に接触するように構成すれば、内面が平滑なドリフト管から得られる周波数より大幅に高い周波数でRFを生成することが可能であることを実験的に確認した。このRFの供給源は前述したようなスミスパーセル効果に基づくものであり、格子表面と相対的な電子ビームとの相互作用に関連する。THz帯まで十分届く周波数帯での出力が可能である。
【0035】
図7及び図8の格子表面38は多くの方法で形成可能である。図8を参照すると、格子38の間隔60、正面角度62、ジオメトリのすべてが達成可能な周波数の決定因子である。ドリフト管格子の格子38の好適実施例は図7と図8において最もよく図示されているように内部ネジ山(internal thread)であると決定された。ネジ山(スレッド)のパラメータを変更することにより、出力周波数が変化する。ドリフト管40の端部は共鳴空洞部分内部への望ましくない電場の侵入の形成を最小限に抑えるように丸め処理されている。
【0036】
電流レギュレータ回路90:
前述したように、図1のシステム10で好適な検査放射源14(図1)は磁気遮蔽リニアオシレータでこれは円筒状スミスパーセル構造、例えば、図2のCSP−MILO装置30などのようなものを追加することで強化されたものである。検査放射源14の出力を注意深く調節することが必要とされ、これはカソード42に供給される電流を制限することで実現される。上記で紹介した図6の電流レギュレータ回路90において、入力ノード94と出力ノード96の間に接続された主変調装置92を経由する電流は制御装置100に呼応して変調される。
【0037】
図4の電流レギュレータ回路90は低電圧電源回路で見られる古典的なFET(電界効果トランジスタ)電流レギュレータにいくらか類似している。電流レギュレータ回路90によって解決される問題は、この設計で意図している電圧レジームまたは電流レジームで動作することが可能なソリッドステートまたは従来の真空管装置が存在しないことである。したがって、主変調装置92は三極管、四極管、又は五極管構造から成る冷陰極電界放射制御可能電子管であるのが望ましい。主変調装置92は図15に図示したジオメトリ構造を有し前述の米国特許4950962号で更に説明されているような構造である。これ以外としては、主変調装置92は例えばサイリスタなどの高電圧半導体装置を含むことができる。制御装置100は主変調装置102等と同じ方法で実装して必要な部品の多様性を減少させる、又は比較的低い電圧条件及び電流条件のもとで装置を実装することができる。
【0038】
図4の電流レギュレータ回路において、以下の動作説明では入力ノード94にかかるプラス電圧の供給源を想定している。抵抗98は第1の電子管として図示される主変調装置92のグリッドに対するバイアス電圧を設定するもので、この装置が直列式電流レギュレータとして機能する。主変調装置92はこの回路のFETと機能的に類似している。
【0039】
主変調装置92から流れる電流はシャント抵抗102を経由して流れ当該抵抗の両端の間で電圧を発生させるようになる。この電圧は第1と第2の電圧分圧抵抗104と106それぞれをから構成される電圧分圧回路を経由して供給される。主変調装置92の制御装置100は制御管として使用される第2の電子管であって、冷陰極電界放射型電子管とするのが望ましい。第1と第2の電圧分圧抵抗104と106の接続点に制御装置100のグリッドが接続される。制御電圧は抵抗104の他方の側、即ち、ノード108に印加される。シャント抵抗102の電圧と、ノード108に抵抗電圧分圧回路によって発生する基準電圧との間の比率が制御装置100の導通度を決定し、これがさらに、主変調装置92の導通を制御する。コンデンサ110は抵抗104と共に時定数を設定し、回路がゼロ交点まで導通状態に留まることを保証する。ノード108での基準電圧の値と抵抗104及び106から形成された電圧分圧回路の抵抗値を調節することで異なる電流制御モードを実装することが可能である。
【0040】
対象物12を放射に暴露する:
もう一度図1を参照すると、好適実施例において、複数の周波数での複数の信号であって、それぞれの信号が何らかの振幅を有し、それが全体として検出を希望する物質の独特なスペクトルシグネチャーを提供する複数の信号を同時に検出することを可能にする、約10GHzから約25THzまでの十分に広い帯域幅での電磁放射を同時に含む検査信号16が提供される。このEMビーム16は可能な限り低い出力を有する一方でなおかつ希望の信号対雑音比を維持するのが望ましく、また1から5ワットより低いのが一般的である。円筒状スミスパーセル強化磁気遮蔽リニアオシレータ(CSP−MILO)30(図2)は、前述したように、好適な供給源であり、これは先に定義したような周波数条件及び出力条件に適合していることによる。もう一度図5を参照すると、前述したように出力ビームは軸外パラボラレフレクタ54によって完全又は部分的に平行化又は合焦される。
【0041】
異質物質又は由来物質の存在及び量の検出:
図1を参照すると、異質物質又は由来物質の存在及び量の検出はパイロエレクトリック検出器を使用する検出システム20の使用により実現されるのが望ましい。本発明においてはイメージ検出を含めるのも可能ではあるが、好適実施例において、異質物質について人体のスクリーニングを行う場合の侵襲的で抵抗感のある性質についての感情を尊重することに配慮して行われていない。人体のイメージングに対する感情に配慮することは従来技術のミリメートル波イメージングシステムをスクリーニングに検査使用する際にも繰り返し見られてきた。イメージング機能を好適実施例から除外することで一般大衆の前述の懸念を排除する。さらに、スペクトロスコピー検出能力の実装により遥かに有用な情報をオペレータへ提供する。さらに、偽陰性や偽陽性の結果が出る度合が両方共スペクトロスコピー検出を使用することにより減少する。
【0042】
好適実施例は量子強誘電体(QFE)材料から作成された検出システム20(図1)を含む。QFE検出器は広帯域対応であり、かつ室温での動作が可能である。QFE検出器は検出器フォトカソードの温度以上の温度で入射する光子がプラス電荷として表現され、フォトカソードの温度以下の温度の光子はマイナスの電荷として表現される点で従来の検出器とは区別される。QFE検出器が機能しないスペクトル上の唯一の場所は、入射光子がフォトカソードと同じ温度の場合だけである。フォトカソードの温度はこのゼロ領域をシフトするように少し加熱するかまたは冷却することでシフトすることが可能である。典型的なQFE材料はポリフッ化ビニリデン(PVDF(登録商標))の薄膜である。PVDF(登録商標)はKYNARおよびHYLARの商標名で製造される。例として、KYNAR PVDF(登録商標)は米国ペンシルバニア州フィラデルフィアにあるArkema社の製品であり、例としてHYLAR PVDF(登録商標)はベルギー国ブリュッセルにあるSolvay Chemical S.A.社の製品である。好適な検出器の選択は本発明の明細書に基づいて当業者には明らかであろう。
【0043】
パラレル式のスペクトロスコピー:
図9は従来技術によるシリアル式モードのスペクトロスコープ120を図示したもので、図10は本発明で好適に使用されるパラレル式モードのスペクトロスコープを示す。図9のシリアル式モードのスペクトロスコープにおいて、検査中の対象物12は矢印123で示してあるように、シーケンシャルスキャンで広範囲の周波数に亘って走査される。ブロック127は変更された信号の検出、信号処理と表示の機能を示す。しかし、シリアル式モードのスペクトロスコピー20を用いるとデータ取得と処理の速度が遅くなる。データ取得と処理の速度を上げて本発明を一層実際的かつ安価に使用できるようにするためには、検査中の対象物12をスキャンしたことで受信したデータを信号処理段階のうちに出来る限り早い段階で並列フォーマットに変換し、これにより数学を多用する演算を並列的に行えるようにすることが望まれる。これが図10においては矢印128で図示してあり、検査放射の全部または多くの周波数で同時に検査中の対象物12を照明(又はスキャン)することを表している。このことによってスペクトロスコピー処理を大幅に高速化することができ、信号処理(図10に「SIGNAL PROC.」24と表示してある)のために、図1の光学式相関器24へ3次元状態でデータを提示することができる。「3次元状態」というのはデータがアレイまたはマトリクスとして提示されることを表しており、この場合、各点が検査信号に呼応した検出器出力の振幅の整数表示を有するものである。「3次元状態」のさらなる定義については以下で説明する。本発明において、パラレル式モードのスペクトロスコピーが実質的に従来のシリアル式モードのスペクトロスコピーより実質的に高速である別の理由は、好適実施例において使用されている極めて大きい帯域幅の光学式相関器24(図1)による。当業者には公知となっているように、光学信号プロセッサ、例えば光学式相関器24(図1)などは、本質的に高速であり、従って帯域幅が大きい。対象物12を照射するための特定の帯域幅の選択は検出しようとする特定の異質物質又は由来物質に依存することになるが、これは本発明の明細書から当業者には明らかである。
【0044】
パラレル式モードの光学プロセッサ(例えば図1の参照番号24など)は、複雑な相関演算の場合で2から20ナノ秒程度の入力から出力までの典型的な完了時間(throughput time)を有している。これは完全な相関演算に必要とされる合計時間である。このスループット時間(throughput time)は、最終的には、データを光学式相関プロセッサ24の入力空間光変調器(SLM)(図1に図示していない)に入力することができる速度により制限されることになる。近代的な電子回路により数千回の相関演算を秒単位で実行することができ、例えば、すべての既知の脅威についてスキャンし、それに加えて輸入禁止品や、ウィルス、バクテリア、蛋白、プリオン、真菌、芽胞など空気感染により伝染する多数の病原体をスキャンするのに十分以上の時間を提供できる。
【0045】
蛍光モード:
図10に図示してあるパラレル式モードのスペクトロスコピー122は吸収モードで動作する。吸収モードで動作するパラレル式モードのスペクトロスコピーを使用することに加え、図11に図示してあるように、検査中の対象物12を、同じ帯域での放射132(ただし、既知の共振周波数fを有する異質物質又は由来物質が存在する場合は周波数fで2次的共振放射134で励起することが知られている特定の周波数fで励起することが可能である。この反応は既知の特性を有する電磁エネルギーの第2の放射134を発生し、これらの特性の特定と検出により一層簡略化したデータ分析ができる。これは従来の蛍光スペクトロスコピーと類似しているが従来の光学的等価システムによる場合よりもっと低い周波数で実現可能である。
【0046】
励起(又は検査)信号は、検査しようとする異質物質の正確な共振周波数又はその付近かのいずれかの狭帯域か、又は、検査しようとする対象物12に前述した異質物質が存在したときに所望の二次的(すなわち刺激された)出力を更に発生する広帯域信号とすることができる。これらの検査信号は好適実施例における図2のCSP−MILO装置30により、又はその他の既知のRF供給源の適当な周波数と出力電力により発生可能である。
【0047】
3次元データ表示:
好適実施例において、データは、検出システム30(図1)において各点からパラレル式に、二次元マトリクスデータストレージアレイ136の対応するバッファへ供給され、この場合、当該二次元マトリクスデータストレージアレイの各点は検出器において対応する点で受信された信号強度と等価なデジタル値を含む。またデータを、パラレルからシリアルからパラレルのように変換することが可能であるが好適実施例ほど効率的ではない。
【0048】
二次元データマトリクスデータストレージアレイ136の各データストレージサイトは0からxまでの数値を保持することができ、この場合xはシステムのダイナミックレンジと等しい整数である。データの分布はラスタ方式又はジグザグ方式のいずれかとすることができる。各バッファの値は任意のサンプリングした周波数における検出器からの信号の振幅を表している。この方式でフォーマットされたデータは「合成イメージ」として参照される。合成イメージは認識可能な画像特性は備えておらず、機械によってのみ読み取ることが可能であり、人間の目に対しては彩度が変化するグレーまたは変化する色(別の考えうるエンコード技術)を有する四角のX−Yグリッドとして現れる。図12は合成イメージを表しており、ここで各セルは数値を含み、数値は周波数例えばf,f,...fとなる。前述の説明から明らかなように、マトリクス136の各セルは人間の目に対しては各種の彩度のグレーまたは色を持っているように見えるように作ることができる。
【0049】
光学式相関器:
図1の光学式相関プロセッサ24は図13に関連して説明したアナログ型光学式相関回路により実現される。アナログ型光学式相関回路はレンズのフーリエ変換特性を使用することにより2つの信号を比較するための装置である。これは標的追跡のために使用されてきておりミサイル標的システムの識別にも使用されている。同等の電子回路より実質的に高い見かけの帯域幅を有するという利点を有する。
【0050】
アナログ型光学式相関回路と電子相関回路によって実行される数学的演算は基本的には同じであるが、その物理的実装は非常に異なったものである。電子相関回路はプリント基板上に装着された従来の電子回路からなる。これと対照的に、アナログ型光学式相関器は例えば図13において参照番号140で図示してあるものではレンズ142、144、146、ミラー148、150、偏光ビームスプリッタ152、154、電子工学装置例えば入力空間光変調器(SLM)156を含む。上記のパーツは電子領域から入力空間光変調器SLM156経由での光学領域への変換と、電荷結合素子(CCD)カメラ158経由での逆に電子領域への変換とに使用される。アナログ型光学式相関器140は可変コヒーレンス長光源160、ビームダンプ162、モノクローム化スペクトルフィルタ164を更に含む。
【0051】
一般的な背景情報として、アナログ型光学式相関器はフーリエドメインでの何らかのフィルタ関数により変換された入力信号を有する。フーリエドメインでのフィルタの例としては空間光変調器155によってアナログ型光学式相関器140へ提示されるような一致フィルタである。フーリエドメインでの当該一致フィルタは、入力空間光変調器156で相関器140へ提示された入力合成イメージ(例えば図12の参照番号138)を用いてフィルタ信号を参照番号155で相互相関する。相関処理は以下で説明する。
【0052】
本明細書で定義するデータマトリクスは3次元マトリクスと呼ばれることに注意する。しかし、以下の数学方程式においてデータマトリクスは2次元的実体[(x,y)]として図示される。これは本明細書における数学的方程式が各要素(x,y)について振幅の値を示していないという事実に起因する。
【0053】
2次元信号i(x,y)のh(x,y)による相互相関、c(x,y)は、



これはフーリエ空間において以下のように再展開することができる。



ここで、大文字は小文字のフーリエ変換を表している。従って、相関は逆フーリエ変換した結果により計算することが可能である。
【0054】
フレネル回折理論によれば焦点距離fの二重凸レンズは、レンズの前方の距離fに配置された対象物について、レンズ後方の距離fに正確なフーリエ変換を生成する。複雑な振幅が変換されるようにするためには、光源がコヒーレントである必要があり、これは通常レーザーからのものである。デジタルフィルタの態様にある入力信号は空間光変調器(SLM)(例えば図13の参照番号156)に書き込まれるのが普通である。光源としてレーザーを用いて実行された光学式相関は幾つかの欠点を有しており、これにはレーザーの高いコヒーレンス長に起因するアーチファクトの形成や偽信号の形成が含まれる。部分的コヒーレンス長の光源160を使用するのが望ましく、望ましくは調節可能で特定のシステム用に最適コヒーレンス長が設定できるようにするのが良い。
【0055】
図13のアナログ型光学式プロセッサ140は次のように動作する。入力信号は、入力平面に配置された最初のSLM156に電気的に書き込まれ、当該入力平面は適当なコヒーレンス長の光源(図示していない)により照らされている。入力平面は二重凸レンズ142によりフーリエ平面上に写されるが、この場合、この写された面から当該レンズまでの距離と当該レンズからフーリエ平面までの距離が当該レンズ142の焦点距離に等しい。第2のSLM155がフーリエ平面に配置され、当該SLMは動的マッチングフィルタで当該マッチングフィルタのフーリエ特性に基づいて入力から選択的に情報を除去する。こうして得られた信号が第2のレンズ144でフーリエ変換されるが、このレンズはレンズ144の焦点距離と等しい距離に配置されている。こうして得られた信号がまたフーリエ変換されてフーリエ平面の逆変換を作成し、レンズ144の出力がCCDカメラ158に写されるが、この場合、カメラはレンズ144の焦点距離の2倍の距離に配置されている。こうして得られたCCDカメラ158上に形成されたイメージがマッチングフィルタにより変換された入力イメージである。レンズ146は、レンズ144からCCDカメラ158に到着する変調平行化された光を合焦するために提供される。
【0056】
図13に図示してあるように、光学式相関プロセッサ140はこれ自体の光路が3個の148、149、150と2個の偏光ビームスプリッタ152、154によって折り曲げられている。最初のビームスプリッタ152はキューブで光ビームの屈曲とこれの偏光を同時に行う関数を実行する。第2のビームスプリッタはSLMフーリエフィルタ155が第2のビームスプリッタ154キューブの一方の表面に接着されている。この構成により、第2のビームスプリッタキューブ154と第2のSLM155の組み合わせが屈折ミラーとアクティブフーリエフィルタの両方として機能することができる。第2のSLM155は、当該ビームスプリッタがキューブである場合には、第2のビームスプリッタ154に光学的に接着される。これ以外としては、第2のSLM155はビームスプリッタキューブ154の適当な表面上に直接形成される。第1、第2、第3のミラー148、149、150はモノクロマチック誘電スタックミラーでビームの屈曲のために使用される。
【0057】
可変コヒーレンス光源160は照明ビームのコヒーレンス長を最適な相関性能のための所望の値に調節できるように提供されている。コヒーレンス長の条件は光学式相関プロセッサについて特定の選択した値で変化するが、通常は0.25ミリメートルから10ミリメートルの範囲にある。
【0058】
第2のビームスプリッタ154より前のビーム経路にある入力SLM156により、検査中の対象物12から取り出されたデータから誘導された合成イメージ138(図12)を光学式相関器140へ導入できる。第2のビームスプリッタ154上のフーリエフィルタ155には、ホストコンピュータ26(図1)に格納しておくのが望ましい基準ライブラリからの他の合成イメージ138が提供される。このライブラリは、分析しようとするそれぞれの脅威又はその他の異質物質又は由来物質の合成イメージ138(図9)を含む。基準ライブラリは異質物質だけ、由来物質だけ、又は異質物質と由来物質の組み合わせのデータを含む。
【0059】
光学式相関プロセッサの出力はCCDカメラ158に配向され、CCDカメラ158は、光学信号を、後述する閾値演算のためにホストコンピュータ26(図1)で使用する電気信号に変換する。望ましくは、対象物が人体である場合には、検査中の対象物の実際の異イメージがシステムに形成されないようにして検査中の対象物のプライバシーを保護し、またシステムのコストを妥当なレベルに維持するようにする。しかし、イメージング機能を追加してイメージ上に検出した異質物質又は由来物質が重畳されたイメージを提供することも可能である。
【0060】
説明したようにシステム10は多数のフーリエ演算を実行する能力を提供し、これには検査中の対象物に対して異質物質ではない物質又はそれに由来する物質ではない物質を無視することが含まれる。
【0061】
前述した図13の光学式相関器140は望ましいが、他の技術を使用する相関器を使用することができる。例えば、適切な相関器にはデジタルコンピュータを使用する相関器やファームウェアを使用する相関器が含まれる。
【0062】
減算信号処理:
本発明のタイプの信号処理で遭遇する一つの問題は異質物質または由来物質に特に関係しない情報の存在であり、このような情報は雑音成分を構成する。このような雑音を除去するためには、このような雑音成分に直接関連するスペクトルを引き算して残りのデータセットを単純化することが可能である。これを本明細書では「減算信号処理」と称しており、これはひとつのデータセットが第2のデータセットからポイント対ポイントの方式で引き算される技術である。例えば、異質物質について対象物をスクリーニング又は分析する場合、対象物内の純粋に由来する物質のスペクトル情報を含むデータセットが、当該対象物内の由来物質と、対象物に何らか関連する異質物質との情報が組み合わされたデータセットから引き算される。この処理の結果はオリジナルのサンプルデータセットに含まれていた何らかの関連する異質物質だけのスペクトルである。
【0063】
閾値演算:
完全に処理された相関ピーク(群)が前述したように取得されれば、これらの振幅をシグネチャーライブラリ内の基準スペクトルに含まれる振幅と比較するのが望ましい。任意のレベル以上に達するすべてのピークはオペレータ側インタフェースに表示をトリガする。
【0064】
多数のピークの存在は単一のピークを取り扱う方法と同様の方法で表示可能である。図14は閾値演算を示すグラフ図である。図14に図示してあるように、信号が少なくとも「MUST BE ABOVE」レベル以上であれば閾値条件が満たされ、これは例えば手動など他の技術によって対象物を検索するための代表的な表示である。信号が少なくとも「SHOULD BE ABOVE」レベル以上である場合には信号には特別な重みが付与され、これは例えば対象物が確定的に異質物質を有するので対象物を押収すべきであることの典型的な指標である。つまり、「MUST BE ABOVE」信号は異質物質又は由来物質の存在する可能性を表し、一方で「SHOULD BE ABOVE」信号は異質物質又は想定外の少量の由来物質の確定的な存在を表す。
【0065】
閾値演算技術は図14に図示してあるもの以外でも所望なら使用することが可能である。
【0066】
検出結果の提供:
異質物質の存在についての前述の判定の結果は様々な方法で使用可能である。例えば、その結果を人間のオペレータに提供したり、又は二次システムに提示して自動的に補正動作を取ることができる。
【0067】
多数の想定可能なオペレータ・インタフェース技術が存在しておりこれを本発明に応用することが可能である。これらの技術は検査中の特定の対象物についてさらに注意を必要とすることを示す単一のパイロットランプから、注目している特定の異質物質の存在を表すランプのバンクや、注目している特定の異質物質の数量の数値表示、さらにはフルスペクトルでプロットするディスプレイまで広範囲に渡る。また結果を二次的システムへ完全自動の機械レベルインタフェースで提示することが可能である。インタフェース技術の選択は本システムを使用する特定の理由によって変化しオペレータの熟練度などにもよる。
【0068】
図15は幾つかの考えうるオペレータ・インタフェース制御パネルを示す。図16において、5つの潜在的ヒューマン・オペレータ・インターフェースが図示してある。図15は最も単純なバージョンを示す。主な表示ランプは2個だけあり、合格Passと検査Searchである。異質物質を検索する場合、合格Passの表示ランプが点灯した場合は検査中の対象物が異質物質を何も含まないことを示す。由来物質について検索する場合、合格Passの表示ランプが点灯した場合は受け入れ可能な量の由来物質が存在していることを示す。検査Search表示ランプが点灯した場合は検査中の対象物は更に詳しい調査の対象とすべきである。
【0069】
図16は僅かながらも多少洗練されている。主要な表示ランプは4種類で、爆発物Explosives、輸入禁止品Contraband、疾病Disease、合格Passである。このバージョンは特に乗客スクリーニング用途に向けて指向したものだが他の用途も可能である。Pass機能は図15と図16でのそれと同じである。3個の表示ランプ(爆発物、輸入禁止品、疾病)はこれらの説明に該当する何らかの異質物質が検出された場合に点灯する。これらの分類のどれかは何らかの所望の化学物質としたり、この機能のための表示ランプの個数は3個に限定されるものではないことは明らかである。
【0070】
図17は図16の設計の拡張である。ここでは英数字ディスプレイを追加してそれぞれの分類でどの特定の異質物質が検出されたかを表示する。
【0071】
図18は図17の設計を拡張している。ここでは検出された任意の異質物質の量の数値的数量を提供するディスプレイが追加されている。
【0072】
図19は完全に異なったヒューマン・オペレータ・インターフェースのアプローチを示している。広範囲に亘る異質物質の特定のスペクトルを認識するように訓練を受けた洗練されたオペレータ向けに設計されたものである。このディスプレイは典型的な研究室用スペクトロスコープのそれに匹敵するものでスペクトルを直接表示するようになっている。
【0073】
ヒューマン・オペレータ・インターフェースには他にも多くの変化や組み合わせが可能であることは明らかである。この機能はオペレータの能力のレベルやスクリーニング作業の特定の状況に適合するように調節する。
【0074】
由来物質の分析モードにおける既知の物質との比較:
前述の説明の幾つかの態様は異質物質の存在と量の検出を強調しているが、例えば、本発明のもう一つの特徴は検査中の対象物と、異質物質を含まない既知の対象物との比較である。この点において、サンプル対象物の検査または分析を行う場合に対象物に由来する物質の量を定量することが可能なことが望まれ、異質物質の潜在的な存在についての事前知識が欠如しているような多くの状況が存在するため、不可能でなくともこれらの物質の検索を行うことが困難になる場合があるためである。しかし由来物質の正確な量についての事前知識がある場合、たとえシステムがその異質物質が何であるかを特定的に同定することができなくとも、その基準に適合しない信号が推論的に異質物質の存在を表すのに成功する。この状況下では、信号の一致は例えば前述したような閾値演算によって決定される。
【0075】
前述した本発明の特徴の一例として、検査中の薬学的対象物と既知の有効薬剤成分の基準薬剤とを比較して検査中の対象物の有効薬剤成分が基準薬剤のそれと一致するかどうかを調べることができる。
【0076】
前述の比較において、最良の正確度を得るためには、薬剤対象物の有効薬剤成分の組成と重量の両方が基準と比較される。しかし、対象物の有効薬剤成分の組成だけの比較も同様に有効であるが、正確度では劣る可能性がある。このアプローチは検査中の対象物と基準対象物との完璧な一致からの何らかの偏差の特徴に関する特定の情報を提供しないが、組成又は組成と量の単なる偏差でも警報をトリガする、又は他に何らかの偏差を示すのに十分である。この場合、「完全な一致」は検査しようとする対象物の製造誤差以内である。このレベルの検査であれば非常に高速で実施することが可能で、近代的な製造ライン技術に相応する。薬剤対象物、例えば、基準対象物との一致に不合格のものは、さらに分析技術の対象とすることで偏差の理由、例えば異質物質の混入などを特別に特定する。これは異質物質の分析による図1のシステム10で実現可能である。同様の技術は他の由来物質に対しても適用可能である。
【0077】
同時分析モード:
検査中の対象物と既知の基準対象物との比較の前述した概念のさらなる拡張により由来物質と異質物質との両方についての同時分析が可能になる。
【0078】
シーケンシャル分析モード:
検査中の対象物と既知の基準対象物との比較の前述した概念の更に別の拡張は、「由来物質の分析モードにおける既知の物質との比較」で詳細に説明したように、このような比較を実施することから開始する。検査中の対象物が既知の基準対象物から偏差していると判定された場合、本発明のシステムの動作モードを変更してシーケンシャル分析を行い、特定の異質物質についての分析を行う。
【0079】
基準ライブラリのための動作の学習モード:
場合によっては、基準ライブラリに他の物質についてのデータを追加するのが望ましい。これは、システム10(図1)が製造された後最初に初期化された時点、または他の物質についての追加データを基準ライブラリに追加することが必要となった任意の時点でのいずれかで行うことができる。新規ライブラリデータを作成するための最も迅速な方法は以下のとおりである:物質の基準サンプルを図1のシステム10の検査放射に暴露する。出力をマトリクスデータ136(図1及び図2)から直接取り出し、ホストコンピュータ26(図1)によりライブラリへ入力する。同じ最終結果を達成する他の方法も存在するが、前述の方法が好適な方法である。
【0080】
図面の参照番号を表記した以下のリストは3つのコラムから成る。最初のコラムは図面の参照番号、第2のコラムは参照番号に関連するパーツ、3番目のコラムはそのパーツに好適な材料(適用可能な場合)を示す。

# 項目 好適な材料
10 システム 各種
12 対象物 各種
14 検査放射発生源 各種
16 EM放射 EM放射
18 放射 EM放射
20 検出システム QFE材料
24 光学式相関器 各種
26 ホストコンピュータとディスプレイ 各種
30 CSP−MILO装置 電子管
34 構成 電子ビームと平面格子
36 構成 電子ビームと円筒状格子
38 円筒状格子 導電性金属
40 ドリフト管 導電性金属
42 カソード 炭素
44 グリッド 導電性金属
46 トラベリングウェーブ電子銃(TWEG) 炭素と金属
48 アノード 導電性金属
50 ウィンドウ RF透過性材料
52 ビーム EM放射
54 リフレクター 導電性金属
56 空洞部分 導電性金属
60 間隔 なし
82 正面角度 なし
90 電流レギュレータ回路 電気回路
92 主変調装置 電子管
94 入力ノード 回路素子
96 出力ノード 回路素子
98 抵抗 回路素子
100 制御装置 電子管
102 シャント抵抗 回路素子
104 抵抗 回路素子
106 抵抗 回路素子
108 ノード 回路素子
110 コンデンサ 回路素子
120 シリアル式モードのスペクトロスコープ 各種
122 パラレル式モードのスペクトロスコープ 各種
124 矢印 なし
127 ブロック 各種
128 矢印 なし
132 放射 EM放射
134 2次共振放射 蛍光放射
136 2次元マトリクスデータストレージアレイ 電子回路
138 合成イメージ デジタルデータ
140 光学式相関器 各種
142 レンズ 典型的にはガラス
144 レンズ 典型的にはガラス
146 レンズ 典型的にはガラス
148 ミラー 典型的には誘電性積層板
149 ミラー 典型的には誘電性積層板
150 ミラー 典型的には誘電性積層板
152 偏光ビームスプリッタ 典型的にはガラスと誘電性積層
154 偏光ビームスプリッタ 典型的にはガラスと誘電性積層
155 フーリエフィルタ 光電装置
156 入力空間光変調器(SLM) 光電装置
158 電荷結合素子(CCD) 光電装置
160 可変コヒーレンス長光源 光電装置
162 ビームダンプ 各種
164 スペクトルフィルタ 典型的にはガラス上の誘電性積層
【0081】
上述の記載は上記のようなスクリーニングするためにほぼリアルタイムで動作することが可能なスペクトロスコピー方法及びシステムを記述したものである。これまでに記載した6種類の動作モードは、(1)異質物質の分析又はスクリーニングモード、(2)由来物質の分析又はスクリーニングモード、(3)本発明のシステムのシーケンシャル動作モード、(4)由来物質と異質物質の分析またはスクリーニングを行う同時動作モード、(5)蛍光モード、及び(6)後続の対象物をスキャンする際に使用するマトリクスデータのライブラリを取得するための学習モードである。
【0082】
本発明は図示により特定の実施例に関連して説明したが、当業者には多くの変更及び変化ができるであろう。例えば、本発明のシステムを複雑化したものは前述した各種モードに加えて複数の動作モードを有することがあろう。したがって、これらの変化及び変更のすべてが本発明の真の範囲及び精神に包含されることが添付の請求項において意図されていることを理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は本発明を実施するための好適なシステムのブロック図を示す。
【図2】図2は図1の検査放射の発生源で使用される円筒状スミスパーセル拡張磁気遮蔽リニアオシレータのほぼ断面を表す略図を示し、グリッド44が部分断面で図示してある。
【図3】図3はスミスパーセルRF生成処理の従来技術による実施を示す。
【図4】図4は図2の検査放射の発生源に関連してスミスパーセルRF生成のための平面型と円筒型の格子に対する電子ビームの関連性の略図を示す。
【図5】図5は図1のシステムで使用可能な軸外反射ビーム補正準光学的素子を示し、部分的にブロック図としてまた部分的に断面図で図示してある。
【図6】図6は図1のシステムの検査放射の発生源に使用可能な冷陰極電界効果型三極管により実施された電流レギュレータ回路を示す。
【図7】図7は図1のシステムの検査放射の発生源に使用可能なドリフト管の内面側の電磁格子表面の断面図を示す。
【図8】図8は図8の円形で表示した部分で示した図7の部分の拡大詳細図で正確な縮尺には図示されてはいない。
【図9】図9は従来技術によるシリアルモード・スペクトロスコープのブロック図を示す。
【図10】図10は図1のシステムに使用可能な並列モードスペクトロスコピーのブロック図を示す。
【図11】図11は図1のシステムに使用される蛍光スペクトロスコピーの概念の略図表現を示す。
【図12】図12は図1のシステムで使用される合成イメージを表す二次元データマトリクスアレイを示す。
【図13】図13は図1のシステムの光学的相関回路として使用される光学式相関信号プロセッサの上部平面図を示す。
【図14】図14は閾値演算を示すグラフ図である。
【図15】図15は図1のシステムのディスプレイで使用可能な幾つかの考えうるオペレータ・インタフェース制御パネルを示す。
【図16】図16は図1のシステムのディスプレイで使用可能な幾つかの考えうるオペレータ・インタフェース制御パネルを示す。
【図17】図17は図1のシステムのディスプレイで使用可能な幾つかの考えうるオペレータ・インタフェース制御パネルを示す。
【図18】図18は図1のシステムのディスプレイで使用可能な幾つかの考えうるオペレータ・インタフェース制御パネルを示す。
【図19】図19は図1のシステムのディスプレイで使用可能な幾つかの考えうるオペレータ・インタフェース制御パネルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に由来する物質(以下、「由来物質」)を有し対象物とは異質な物質(以下「異質物質」)を潜在的に有する対象物についてパラレル式モードのスペクトロスコピーにより該由来物質と該異質物質の一方又は両方を検出するための方法であって、
a)パラレル式モードのデータ取得ステップであって、
i) 複数の周波数での複数の信号であって、それぞれの信号が何らかの振幅を有し、その全体が検出を希望する物質の独特なスペクトルシグネチャーを提供する複数の信号を、同時に検出することを可能にする約10GHzから約25THzまでの範囲の十分なバンド幅の電磁放射を同時に含む検査信号を生成するステップと、
ii)前記対象物とこれに付随する何らかの異質物質を前記検査信号に暴露して前記信号と前記対象物及び付随する何らかの異質物質との間に相互作用を惹起させるステップと、
iii)前記検査信号と前記対象物及び付随する何らかの異質物質との間の前記相互作用から得られる変更された信号を検出するステップとを含むことを特徴とするパラレル式モードのデータ取得ステップと、
b)信号処理及びデータ解析ステップであって、
i)前記得られた信号を処理して前記対象物に付随する少なくとも何らかの異質物質又は由来物質を表す3次元データマトリクスを作成するステップと、
ii)注目している既知の科学的又は生物学的対象物を表す基準データライブラリを提供するステップと、
iii)相関技術を使用して前記基準ライブラリと前記データマトリクスを比較し、前記基準ライブラリデータから前記付随する異質物質又は由来物質の少なくとも一方に対応する少なくとも一つの相関ピークを生成するステップとを含むことを特徴とする信号処理及びデータ解析ステップと、
c)前述の比較の結果を提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記相関技術は、パラレル式モード型光学式相関器を使用することを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号処理及びデータ解析ステップは、発生した何らかの相関ピークが、前記対象物に付随する何らかの異質物質又は由来物質の存在及び量を表す程十分なレベルまで達しているかを決定するステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
a)前記基準データライブラリが、既知の組成と重量を有する対象物を表わしていることと、
b)前記信号処理及びデータ解析ステップが、前記3次元データマトリクスが組成について前記基準データライブラリと一致するかを判定するステップを含むことと、
c)前述の判定の結果を提供するステップと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記信号処理及びデータ解析ステップが、前記3次元データマトリクスが組成と重量との双方について前記基準データライブラリと一致するかを判定するステップを含む
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記基準データライブラリが、由来物質についてのみのものである
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基準データライブラリが、異質物質と既知の物質の両方についての複数のデータを含み、これにより複数の動作モードが可能になる
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記対象物の由来物質を無視するステップを更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検査信号が、約10GHzから約25THzまでの範囲の十分なバンド幅の電磁放射を同時に含み、それが全体として予想される異質物質または由来物質の共振周波数を包含する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電磁放射による前記検査信号を生成するステップが、円筒状スミスパーセル拡張磁気遮蔽リニアオシレータで行われる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
a)前記得られた信号を処理するステップが、前記得られた信号を処理して前記対象物とこれに付随する何らかの異質物質または由来物質の総合的な化学組成を表す3次元データマトリクスを生成するステップを含み、
b)減算信号処理を使用して前記対象物とこれに付随する何らかの異質物質または由来物質の情報を含む広帯域の検査信号から注目しているスペクトル又はスペクトル群を抽出するステップをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
a)前記検査信号が、ひとつ又はそれ以上の特定の化学的物質からの特有の既知の二次的反応を惹起する共振検査信号を含み、
b)前記検出するステップが、前記2次的反応を検出するステップを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記信号処理及びデータ解析ステップが、由来物質についてスクリーニングするように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記信号処理及びデータ解析ステップが、前記変更された信号を、前期物質の蛍光放射に関連する特定の周波数においてのみ分析することを更に含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記基準ライブラリについての学習モードが、前記データマトリクスから直接データを抽出して前記基準ライブラリへ抽出したデータを入力することにより有効になる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2013−519885(P2013−519885A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553086(P2012−553086)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2011/024794
【国際公開番号】WO2011/100714
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(511186952)アドバンスト フュージョン システムズ エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】