説明

特定のアミノシリコーンを含むケラチン繊維の染色組成物

【課題】 直接又は酸化染色の持続性を、特に洗髪に関連して改善する。
【解決手段】 化粧品的に許容可能な媒体中に、少なくとも1種の直接染料又は酸化染料を含むヒトのケラチン繊維、より詳細には毛髪の染色用組成物において、少なくとも1種の式(I)又は(II)(これらの式は以下に記載)のアミノシリコーンを含むことを特徴とするヒトのケラチン繊維を染色するための染色用組成物、更に前記組成物に加え酸化剤を含有する染色用組成物及び毛髪を染色する方法の提供により解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の直接染料又は酸化染料と少なくとも1種のアミノシリコーンとを含有する、ヒトのケラチン繊維、特に毛髪を染色するための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
原理的に、ケラチン繊維の染色には2つのタイプがある:着色分子である顔料及び/又は直接染料を使用して、数回の洗髪の後に次第に消える一時的な着色を繊維に付与し、酸化剤の存在下又は不存在下で実施される直接染色と、酸化染料前駆体と酸化剤を使用し、直接顔料の着色よりも長持ちする着色を繊維に付与する、いわゆる酸化染色である。
酸化剤の使用には、一般にケラチン繊維のある程度の劣化を伴う。
現在では、洗髪頻度の増加に対して非常に顕著な傾向が見られ、その一つの結果は、2回の適用の間により大きな染色の劣化があることである。
従って、直接又は酸化染色の持続性、特に洗髪に対する持続性を改善する必要性がある。
【0003】
この問題を徹底的に研究した結果、本出願人は、全く意外で驚いたことに、少なくとも1種の直接染料又は少なくとも1種の酸化染料と、更に、特定のアミノシリコーンを含有する組成物を使用すると、これらの問題を解決することが可能になることを発見した。
更に、そのようにすることにより、繊維の状態を改善することができる。
繊維の状態を改善するとは、繊維の孔隙率又はアルカリ溶解度を減少させて、美容特性、特に滑らかさ、柔らかさ、及びもつれのほぐしとスタイリングの容易性を改善することを意味する。
この影響は残留するもので、つまり長持ちする。
孔隙率は、エタノール/pH10緩衝液の混合物(体積比10/90)中に0.25%で入った2-ニトロ-パラ-フェニレンジアミンの、37℃、pH10での2分間の結合によって測定される。
アルカリ溶解度は、10分の1規定の水酸化ナトリウム溶液を65℃で30分間作用させた場合の100mgのケラチン繊維のサンプルの質量減少に相当する。
本発明の基礎となるのはこの発見である。
【特許文献1】特開平08−157340号公報
【特許文献2】特開平11−180837号公報
【特許文献3】特開平08−040851号公報
【特許文献4】国際公開第01/78669号パンフレット
【特許文献5】特開平09−151120号公報
【特許文献6】特開平05−139941号公報
【特許文献7】特開2001−226217号公報
【発明の開示】
【0004】
本発明は、従って、化粧品的に許容可能な媒体中に、少なくとも1種の直接染料又は酸化染料を含むヒトのケラチン繊維、より詳細には毛髪の染色用組成物において、少なくとも1種の式(I)又は(II)(これらの式は以下に記載)のアミノシリコーンを更に含むことを特徴とする染色用組成物を提供する。
本発明は、更に、少なくとも1種の直接染料又は酸化染料及び少なくとも1種の式(I)又は(II)(これらの式は以下に記載)のアミノシリコーンと、酸化剤とを含有する、ヒトのケラチン繊維を染色するための、使用準備の整った組成物を提供する。
本発明の目的において、「使用準備の整った組成物」とは、ケラチン繊維にそのままの状態で適用することを意図した組成物である;つまり、使用前にはそのまま保存でき、又は2以上の組成物を即時混合した結果のものであってもよい。
【0005】
同様に、本発明は、化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の直接染料と、更に式(I)又は(II)の少なくとも1種のアミノシリコーンとを含有する少なくとも1種の着色組成物を繊維に適用することからなる、ヒトのケラチン繊維、より特定的には毛髪を染色する方法を提供する。
本発明は、さらに、化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の直接染料又は少なくとも1種の酸化染料と、更に式(I)又は(II)の少なくとも1種のアミノシリコーンとを含有する少なくとも1種の着色組成物を繊維に適用することからなり、使用時に着色組成物と混合されるか、又は途中で洗い流さずに続けて適用される少なくとも1種の酸化剤を含有する組成物によってアルカリ性、中性又は酸性のpHで発色させる、ヒトのケラチン繊維、特に毛髪を染色する方法を提供する。
【0006】
更に本発明は、多区画染色具又はキットを提供する。
本発明に係る2区画具は、化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の直接染料又は少なとも1種の酸化染料及び式(I)又は(II)の少なくとも1種のアミノシリコーンを含有する組成物を含む1つの区画と、化粧品的に許容可能な媒体中に酸化剤を含有する組成物を含む他の区画とを有する。
他に、本発明に係る3区画具は、化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の直接染料又は少なとも1種の酸化染料を含有する組成物を含む第1の区画と、化粧品的に許容可能な媒体中に酸化剤を含有する組成物を含む第2の区画と、化粧品的に許容可能な媒体中に式(I)又は(II)(これらの式は以下に記載)の少なくとも1種のアミノシリコーンを含有する組成物を含む第3の区画とを有する。
しかし本発明の他の特性、態様、主題事項及び利点はまた、次の説明と実施例を読むことで、より明らかとなるであろう。
【0007】
アミノシリコーン
本発明に係る式(I)又は(II)のアミノシリコーンは次のものである:
【化6】

{上式中、
m及びnは、(n+m)の合計が、特に1〜1000、特に50〜250、より特定的には100〜200の範囲で変化しうる数であり、nは0〜999、特に49〜249、より特定的には125〜175の範囲の数を示し、mは1〜1000、特に1〜10、より特定的には1〜5の範囲の数を示し;
、R及びRは、同一か異なっており、ヒドロキシル又はC−Cアルコキシ基を表し、RからR基の少なくとも1つがアルコキシ基を示す}
アルコキシ基は好ましくはメトキシ基である。
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は好ましくは0.2:1〜0.4:1、より好ましくは0.25:1〜0.35:1、より特定的には0.3に等しい。
式(I)のアミノシリコーンは好ましくは2000〜1000000、より特定的には3500〜200000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0008】
【化7】

{上式中、
p及びqは、(p+q)の合計が、特に1〜1000、特に50〜350、より特定的には150〜250の範囲で変化しうる数であり、pは0〜999、特に49〜349、より特定的には159〜239の範囲の数を示し、qは1〜1000、特に1〜10、より特定的には1〜5の範囲の数を示し;
及びRは、異なっており、ヒドロキシル又はC−Cアルコキシ基を表し、R及びR基の少なくとも1つがアルコキシ基を示す}
アルコキシ基は好ましくはメトキシ基である。
ヒドロキシ/アルコキシのモル比は好ましくは1:0.8〜1:1.1、より好ましくは1:0.9〜1:1、より特定的には1:0.95に等しい。
式(II)のアミノシリコーンは好ましくは2000〜200000、より特定的には5000〜100000、更により特定的には10000〜50000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0009】
これらのアミノシリコーンの重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、室温でのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。使用するカラムはμStyragelカラムである。溶離液はTHFであり、流速は1ml/分である。0.5重量%のTHF中のシリコーン溶液200μlを注入する。検出は屈折計法及びUV測定法により実施される。
これらのシリコーン構造(I)及び(II)に対応する市販製品は、構造が構造(I)及び(II)とは異なる一又は複数の他のアミノシリコーンをその組成物中に含みうる。
構造(I)のアミノシリコーンを含む製品はワッカー(Wacker)社によってベルシル(Belsil)ADM652(登録商標)の名で提供されている。
構造(II)のアミノシリコーンを含む製品はワッカー社によってフルイド(Fluid)WR1300(登録商標)及びベルシル(Belsil)ADM6057(登録商標)の名で提供されている。
【0010】
これらのアミノシリコーンを使用した場合、特定の有利な一実施態様は、水中油型エマルションの形態での使用である。水中油型エマルションは、一又は複数の界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は任意の種類のものであってよいが、好ましくはカチオン性及び/又は非イオン性である。
エマルション中のシリコーンの粒子は、一般には3nm〜500ナノメートルの範囲の平均粒径を有する。好ましくは、特に式(II)のアミノシリコーンに対しては、5nm〜60ナノメートル、より特定的には10nm〜50ナノメートルの範囲の粒径のマイクロエマルションが使用される。
本発明において、ワッカー社によってフィニッシュ(Finish)CT96E(登録商標)又はSLM28020(登録商標)の名で提供される式(II)のアミノシリコーンのマイクロエマルションを使用することができる。
【0011】
式(I)又は(II)のアミノシリコーンは、本発明の該シリコーンを2%AS(活性物質)を含む組成物で処理した髪の水との接触角が90〜180°、好ましくは90〜130°でその範囲の限界値を含む範囲になるようなものが好適に選択される。
好ましくは、式(I)又は(II)のアミノシリコーンを含有する組成物は、該組成物で処理した髪の接触角が90〜180°、好ましくは90〜130°でその範囲の限界値を含む範囲になるようなものである。
接触角の測定は蒸留水中に髪を浸漬させることによる。測定は、蒸留水中への浸漬の間とその引き上げの間に髪に作用する水の力を評価することからなる。このようにして測定される力は水と髪の表面との間の接触角θに直接関係している。髪は、角度θが0〜90°の場合に親水性であり、この角度が90〜180°(範囲の限界値を含む)の場合に疎水性であると言われる。
【0012】
同一条件下でブリーチした後に洗い流したナチュラルな髪の束を用いて試験を実施する。1gの各束を直径75mmの晶析装置に配した後、5mlの試験処方物で均一に覆う。その髪の束を室温で15分間この条件に配した後、30秒間洗い流す。絞った後、髪の束を、完全に乾くまで外気中に置く。各評価に対して、同じ処理を受けた10の髪を分析する。精密微量天秤に取り付けた各試料の端部を、蒸留水を満たした容器中に浸漬する。この天秤は、CAHNインストルメント社のDCA(ダイナミック接触角アナライザー)であり、水が髪に作用する力(F)を測定することを可能にする。並行して、髪の周(P)を顕微鏡観察によって測定する。分析した髪の断面と10の髪に対する平均湿潤力から、水との髪の接触角を次の式に従って得ることができる:
F=P*Γlv*cosθ
(ここで、Fはニュートンで表される湿潤力、Pはメートルで表した髪の周、ΓlvはJ/mでの液体/水蒸気界面張力、θは接触角である)
水中12%(すなわち2%のアミノシリコーン)のワッカー社の製品SLM28020(登録商標)は上に示した試験で93°の接触角を与える。
式(I)又は(II)のアミノシリコーンは、本発明の染色組成物中に、組成物の全重量の0.01〜20重量%の範囲の量で使用される。より好ましくは、この量は0.1〜15重量%、更により好ましくは0.5〜10重量%の範囲である。
【0013】
酸化染料
本発明で使用可能な酸化染料は、酸化ベース及び/又はカップラーから選択される。
本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも1種の酸化ベースを含有する。
本発明において使用可能な酸化ベースは、酸化染色の分野で従来から知られているものから選択され、特に以下のオルト-及びパラ-フェニレンジアミン類、複ベース(double bases)、オルト-及びパラ-アミノフェノール類、複素環ベース及びそれらの酸付加塩類を含む。
【0014】
特に次のものを挙げることができる:
−(A) 次の式(III):
【化8】

{上式中:
は、4'-アミノフェニル基、フェニル基、含窒素(nitrogenous)基で置換されたC-Cアルキル、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、C-Cポリヒドロキシアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル、C-Cアルキル又は水素原子を表し;
は、水素原子又はC-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル、C-Cポリヒドロキシアルキル基又は(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル又は含窒素基で置換されたC-Cアルキルを表し;
及びRはまた、それらを担持する窒素原子と共に、一又は複数のアルキル、ヒドロキシル又はウレイド基で置換されていてもよい5-又は6員の含窒素複素環を形成可能であり;
は、水素原子、塩素原子等のハロゲン原子又はC-Cアルキル、スルホ、カルボキシル、C-Cモノヒドロキシアルキル基又はC-Cヒドロキシアルコキシ基、C-Cアセチルアミノアルコキシ、C-Cメシルアミノアルコキシ又はC-Cカルバモイルアミノアルコキシ基を表し、及び
は、水素原子又はハロゲン原子又はC-Cアルキル基を表す}
のパラ-フェニレンジアミン類及びそれらの酸付加塩類。
【0015】
上述の式(III)の含窒素基としては、特にアミノ、モノ(C-C)アルキルアミノ、ジ(C-C)アルキルアミノ、トリ(C-C)アルキルアミノ、モノヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウム基を含む。
上述した式(III)のパラ-フェニレンジアミン類は、より詳細には、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-メチル-1-N-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩類を含む。
【0016】
上述した式(III)のパラ-フェニレンジアミン類の中でも特に好ましいものは、パラ-フェニレンジアミン、パラ-トルイレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン及びそれらの酸付加塩類である。
【0017】
−(B) 本発明において、複ベース類は、アミノ及び/又はヒドロキシル基を担持する少なくとも2つの芳香核を含む化合物である。
本発明に係る染色組成物において酸化ベースとして使用することができる複ベース類は、特に、以下の式(IV):
【化9】

{上式中:
− Z及びZは、同一でも異なっていてもよく、結合手Y又はC-Cアルキル基で置換されうるヒドロキシル又は-NH基を表し;
− 結合手Yは、一又は複数のヒドロキシル又はC-Cアルコキシ基で置換されていてもよく、一又は複数のへテロ原子、例えば酸素、硫黄又は窒素原子及び/又は一又は複数の含窒素基が挿入されるか又はこれを末端に有していてもよく、直鎖状又は分枝状である、1〜14の炭素原子を有するアルキレン鎖を表し;
− R及びRは、水素又はハロゲン原子、C-Cアルキル基、C-Cモノヒドロキシアルキル基、C-Cポリヒドロキシアルキル基、C-Cアミノアルキル基又は結合手Yを表し;
− R、R、R、R10、R11及びR12は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、結合手Y又はC-Cアルキル基を表し;
ただし、式(IV)の化合物は、一分子当りただ一の結合手Yを有する}
に相当する化合物及びそれらの酸付加塩類を含む。
【0018】
上述した式(IV)の含窒素基は、特に、アミノ、モノ(C-C)アルキルアミノ、ジ(C-C)アルキルアミノ、トリ(C-C)アルキルアミノ、モノヒドロキシ(C-C)アルキルアミノ、イミダゾリニウム及びアンモニウム基を含む。
上述した式(IV)の複ベース類は、より詳細には、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェノール)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、及びそれらの酸付加塩類を含む。
これら式(IV)の複ベース類の中でも、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン又はそれらの酸付加塩類の1つが特に好ましい。
【0019】
−(C) 次の式(IV):
【化10】

{上式中:
13は、水素原子、フッ素等のハロゲン原子、又はC-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル、(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル、C-Cアミノアルキル又はC-Cヒドロキシ(C-C)アルキルアミノアルキル基を表し、及び
14は、水素原子、フッ素等のハロゲン原子又はC-Cアルキル、C-Cモノヒドロキシアルキル、C-Cポリヒドロキシアルキル、C-Cアミノアルキル、C-Cシアノアルキル又は(C-C)アルコキシ(C-C)アルキル基を表す}
に相当するパラ-アミノフェノール類及びそれらの酸付加塩類。
【0020】
上述した式(V)のパラ-アミノフェノール類は、より詳細には、パラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、及びそれらの酸付加塩類を含む。
【0021】
−(D) 本発明における酸化ベースとして使用可能なオルト-アミノフェノール類は、特に、2-アミノフェノール、2-アミノ-1-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン、2-アミノ-1-ヒドロキシ-6-メチルベンゼン、5-アセトアミド-2-アミノフェノール、及びそれらの酸付加塩類から選択される。
【0022】
−(E) 本発明の染色用組成物において酸化ベースとして使用可能な複素環ベース類は、特に、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラゾール誘導体、及びそれらの酸付加塩類を含む。
ピリジン誘導体は、より詳細には、例えば英国特許第1026978号及び英国特許第1153196号に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、2,3-ジアミノ-6-メトキシピリジン、2-(β-メトキシエチル)アミノ-3-アミノ-6-メトキシピリジン、3,4-ジアミノピリジン、及びそれらの酸付加塩類を含む。
【0023】
ピリミジン誘導体は、より詳細には、例えば独国特許第2359399号又は日本国特許第88-169571号及び日本国特許第91-10659又は国際公開第96/15765号に記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン及び2,5,6-トリアミノピリミジンを挙げることができ、また仏国特許出願公開第2750048号に記載されているもののようなピラゾロピリミジン誘導体で、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;2,5-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン;2,7-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,5-ジアミン;3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-オール;3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-オール;2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イルアミノ)エタノール;2-(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イルアミノ)エタノール;2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;2-[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル)-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール;5,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン、2,5,N7,N7-テトラメチルピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3,7-ジアミン;3-アミノ-5-メチル-7-イミダゾリルプロピルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン;及びそれらの付加塩類及び互変異性平衡が存在する場合にはそれらの互変異性体、及びそれらの酸付加塩類を含む。
【0024】
ピラゾール誘導体は、より詳細には、独国特許第3843892号及び独国特許第4133957号及び国際公開第94/08969号、国際公開第94/08970号、仏国特許出願公開第2733749号及び独国特許第19543988号に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-tert-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-tert-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、及びそれらの酸付加塩類を含む。
本発明において、酸化ベースは、好ましくは組成物の全重量の約0.0005〜12重量%、より好ましくは組成物の全重量の好ましくは約0.005〜8重量%である。
【0025】
本発明の染色方法で使用可能なカップラーは、酸化染色用組成物に従来より使用されているもの、すなわち、メタ-アミノフェノール類、メタ-フェニレンジアミン類、メタ-ジフェノール類、ナフトール類及び複素環カップラー、例えばインドール誘導体、インドリン誘導体、セサモール及びその誘導体、ピリジン誘導体、ピラゾロトリアゾール誘導体、ピラゾロン類、インダゾール類、ベンズイミダゾール類、ベンゾチアゾール類、ベンゾオキサゾール類、1,3-ベンゾジオキソール類、キノリン類及びそれらの酸付塩類である。
これらのカップラーは、より詳細には、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、セサモール、1-アミノ-2-メトキシ-4,5-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1H-3-メチルピラゾル-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾル-5-オン、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、3,6-ジメチルピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール及びそれらの酸付加塩類から選択される。
これらのカップラーが存在する場合、それらは、組成物の全重量の好ましくは約0.0001〜10重量%、さらに好ましくは約0.005〜5重量%である。
一般的に言って、酸化ベース及びカップラーの酸付加塩類は、特に、塩酸塩類、臭化水素酸塩類、硫酸塩類、酒石酸塩類、乳酸塩類及び酢酸塩類から選択される。
【0026】
直接染料
本発明で使用可能な直接染料は、好ましくは中性、酸性又はカチオン性のニトロベンゼン直接染料、中性、酸性又はカチオン性のアゾ直接染料、中性、酸性又はカチオン性のキノン、特にアントラキノン直接染料、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、インドアミン直接染料及び天然直接染料から選択される。
【0027】
本発明で使用可能なベンゼン性直接染料としては、限定するものではないが、次の化合物:
− 1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン
− 1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン
− 1-アミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン
− 1,4-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-2-ニトロベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-アミノベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-(エチル)(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン
− 1-アミノ-3-メチル-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-6-ニトロベンゼン
− 1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-クロロベンゼン
− 1,2-ジアミノ-4-ニトロベンゼン
− 1-アミノ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
− 1,2-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-4-ニトロベンゼン
− 1-アミノ-2-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ-5-ニトロベンゼン
− 1-ヒドロキシ-2-アミノ-5-ニトロベンゼン
− 1-ヒドロキシ-2-アミノ-4-ニトロベンゼン
− 1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン
− 1-ヒドロキシ-2-アミノ-4,6-ジニトロベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルオキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
− 1-メトキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン
− 1-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-2-ニトロベンゼン
− 1-β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-メチル-2-ニトロベンゼン
− 1-β-アミノエチルアミノ-5-メトキシ-2-ニトロベンゼン
− 1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロベンゼン
− 1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-アミノ-4-ニトロベンゼン
− 1-ヒドロキシ-6-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンゼン
− 1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロベンゼン
− 1-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼン
を含む。
【0028】
本発明で使用可能なアゾ直接染料は、その内容が本発明の主要部分を形成する欧州特許第714954号、国際公開第95/15144号、国際公開第95/01772号の特許出願に記載されているカチオン性のアゾ染料を含む。
これらの化合物は、より詳細には次の染料:
− 1,3-ジメチル-2-[[4-(ジメチルアミノ)フェニル]アゾ]-1H-イミダゾリウムクロリド、
− 1,3-ジメチル-2-[4-(アミノフェニル)アゾ]-1H-イミダゾリウムクロリド、及び
− 1-メチル-4-[(メチルフェニルヒドラゾノ)メチル]ピリジニウムメチルスルファート
を含む。
アゾ直接染料は、国際色指数(Color Index International)、第3版に記載されている次の染料:
− ディスパースレッド17
− アシッドイエロー9
− アシッドブラック1
− ベーシックレッド22
− ベーシックレッド76
− ベーシックイエロー57
− ベーシックブラウン16
− アシッドイエロー36
− アシッドオレンジ7
− アシッドレッド33
− アシッドレッド35
− ベーシックブラウン17
− アシッドイエロー23
− アシッドオレンジ24
− ディスパースブラック9
を更に含む。
また、1-(4'-アミドジフェニルアゾ)-2-メチル-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン及び4-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェニルアゾ)-1-ナフタレンスルホン酸も含まれる。
【0029】
キノン直接染料は、次の染料:
− ディスパースレッド15
− ソルベントバイオレット13
− アシッドバイオレット43
− ディスパースバイオレット1
− ディスパースバイオレット4
− ディスパースブルー1
− ディスパースバイオレット8
− ディスパースブルー3
− ディスパースレッド11
− アシッドブルー62
− ディスパースブルー7
− ベーシックブルー22
− ディスパースバイオレット15
− ベーシックブルー99
及び次の化合物:
− 1-N-メチルモルホリニウムプロピルアミノ-4-ヒドロキシアントラキノン
− 1-アミノプロピルアミノ-4-メチルアミノアントラキノン
− 1-アミノプロピルアミノアントラキノン
− 5-β-ヒドロキシエチル-1,4-ジアミノアントラキノン
− 2-アミノエチルアミノアントラキノン
− 1,4-ビス(β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ)アントラキノン
を含む。
【0030】
アジン染料は、次の化合物:
− ベーシックブルー17
− ベーシックレッド2
を含む。
【0031】
本発明で使用可能なトリアリールメタン染料は、次の化合物:
− ベーシックグリーン1
− アシッドブルー9
− ベーシックバイオレット3
− ベーシックバイオレット14
− ベーシックブルー7
− アシッドバイオレット49
− ベーシックブルー26
− アシッドブルー7
を含む。
【0032】
本発明で使用可能なインドアミン染料は、次の化合物:
− 2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-[ビス(β-4'-ヒドロキシエチル)アミノ]アニリノ-1,4-ベンゾキノン
− 2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-(2'-メトキシ-4'-アミノ)アニリノ-1,4-ベンゾキノン
− 3-N-(2'-クロロ-4'-ヒドロキシ)フェニルアセチルアミノ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノンイミン
− 3-N-(3'-クロロ-4'-メチルアミノ)フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン
− 3-[4'-N-(エチルカルバミルメチル)アミノ]フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン
を含む。
【0033】
本発明で使用可能な天然直接染料は、ローソン、ユグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン(spinulosin)及びアピゲニジン(apigenidin)を含む。また、これらの天然染料を含有する抽出物又は煎出物、特にヘンナベースのパップ又は抽出物を使用することもできる。
直接染料又は染料類は、使用準備が整った組成物の全重量のおよそ0.001〜20重量%、より好ましくはおよそ0.005〜10重量%である。
本発明の組成物は、好ましくは一又は複数の界面活性剤類を含む。界面活性剤又は界面活性剤類は、アニオン性、両性、非イオン性、双性イオン性及びカチオン性の界面活性剤から、単独又は混合物の形で任意に選択することができる。
【0034】
本発明の実施に適する界面活性剤は、特に以下のものである:
(i)アニオン性界面活性剤(類):
本発明において、単独で又は混合物として使用可能なアニオン性界面活性剤の例として、特に(非限定的列挙)、次の化合物:アルキルスルファート類、アルキルエーテルスルファート類、アルキルアミドエーテルスルファート類、アルキルアリールポリエーテルスルファート類、モノグリセリドスルファート類;アルキルスルホナート類、アルキルホスファート類、アルキルアミドスルホナート類、アルキルアリールスルホナート類、α-オレフィンスルホナート類、パラフィンスルホナート類;(C−C24)アルキルスルホスクシナート類、(C−C24)アルキルエーテルスルホスクシナート類、(C−C24)アルキルアミドスルホスクシナート類;(C−C24)アルキルスルホアセタート類;(C−C24)アシルサルコシナート類及び(C−C24)アシルグルタマート類の塩類(特にアルカリ金属塩、中でもナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩、又はマグネシウム塩)を挙げることができる。また、(C−C24)アルキルポリグリコシドのカルボン酸エステル、例えばアルキルグルコシドシトラート、アルキルポリグリコシドタートラート及びアルキルポリグリコシドスルホスクシナート、アルキルスルホスクシナマート;アシルイセチオナート及びN-アシルタウラートを使用することもでき、これら全ての種々の化合物のアルキル又はアシル基は、好ましくは12〜20の炭素原子を有し、アリール基は、好ましくはフェニル又はベンジル基を示す。また、使用可能なアニオン性界面活性剤として、脂肪酸塩、例えば、オレイン酸、リシノレイン酸、パルミチン酸及びステアリン酸、ヤシ油酸又は水素化ヤシ油酸の塩;アシル基が8〜20の炭素原子を有するアシルラクチラートを挙げることができる。アルキル-D-ガラクトシド-ウロン酸及びそれらの塩、ポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C-C24)アルキルアリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化(C−C24)アルキルアミドエーテルカルボン酸及びそれらの塩類、特に2〜50のアルキレンオキシド、特にエチレンオキシド、基、及びそれらの混合物を使用することもできる。
【0035】
(ii)非イオン性界面活性剤(類):
また、非イオン性界面活性剤は、それ自体よく知られている化合物(これに関して、特にブラッキー・アンド・サン社(Blackie & Son)(グラスゴー及びロンドン)から出版されている、エム・アール・ポーター(M.R. Porter)の「界面活性剤ハンドブック(Handbook of Surfactants)」1991年、116-178頁を参照)であり、本発明において、それらの性質は臨界的な重要性はない。従って、それらは、特に(非限定的列挙)、例えば8〜18の炭素原子を含有する脂肪鎖を有する、ポリエトキシル化又はポリプロポキシル化された、アルキルフェノール類、α-ジオール類又はアルコール類であり、特にエチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数が2〜50の範囲とできるものから選択することができる。また、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのコポリマー、脂肪アルコールとエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの縮合物;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミド類、平均1〜5、特に1.5〜4のグリセロール基を有するポリグリセロール化脂肪アミド類;好ましくは2〜30モルのエチレンオキシドを有するポリエトキシル化脂肪アミン類;2〜30モルのエチレンオキシドを有するオキシエチレン化されたソルビタンの脂肪酸エステル類;スクロースの脂肪酸エステル類、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル類、アルキルポリグリコシド類、N-アルキルグルカミン誘導体、又はアミンオキシド類、例えば(C10-C14)アルキルアミンのオキシド類又はN-アシルアミノプロピルモルホリンオキシド類を挙げることもできる。
【0036】
(iii)両性又は双性イオン性界面活性剤(類):
本発明において、両性又は双性イオン性界面活性剤の性質は臨界的に重要な特徴ではなく、特に(非限定的列挙)、脂肪族基が8〜18の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の鎖であり、少なくとも一種の水溶性のアニオン性基(例えば、カルボキシラート、スルホナート、スルファート、ホスファート又はホスホナート)を含有する、脂肪族の第2級又は第3級アミンの誘導体であってよく;さらに、(C-C20)アルキルベタイン類、スルホベタイン類、(C-C20)アルキルアミド(C-C)アルキルベタイン類又は(C-C20)アルキルアミド(C-C)アルキルスルホベタイン類を挙げることができる。
【0037】
アミン誘導体の中で、それぞれ、次の構造:
-CONHCHCH-N(R)(R)(CHCOO)
{上式中:Rは、加水分解されたヤシ油中に存在する酸R-COOHから誘導されるアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシル基を示し、Rは、β-ヒドロキシエチル基を示し、Rはカルボキシメチル基を示す};及び
'-CONHCHCH-N(B)(C)
{上式中、Bは、-CHCHOX'を示し、Cは、z=1又は2である-(CH)-Y'を示し、
X'は、-CHCH-COOH基又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH又は-CH-CHOH-SOH基を示し、
'は、加水分解されたアマニ油又はヤシ油中に存在する酸R-COOHのアルキル基、アルキル基、特にC、C、C11又はC13アルキル基、C17アルキル基及びそのイソ形、不飽和のC17基を示す};
の、アンホカルボキシグリシナート類(Amphocarboxyglycinates)及びアンホカルボキシプロピオナート類(Amphocarboxypropionates)の名称でCTFA辞典、第3版、1982年に分類され、米国特許第2528378号及び同2781354号に開示され、ミラノール(Miranol)の名称で販売されている製品を挙げることができる。
これらの化合物は、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリルアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホニプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸及びココアンホジプロピオン酸の名称でCTFA辞典、第5版、1993年に分類されている。
例えば、ローディアシミー(Rhodia Chimie)社からミラノール(登録商標)C2M濃縮物の商品名で販売されているココアンホジアセテートを挙げることができる。
【0038】
(iv)カチオン性界面活性剤:
カチオン性界面活性剤の中で、特に(非限定的列挙):ポリオキシアルキレン化されていてもよい、第1級、第2級又は第3級脂肪アミンの塩;第4級アンモニウム塩、例えばテトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム又はアルキルピリジニウムクロリド又はブロミド;イミダゾリン誘導体;又はカチオン性のアミンオキシド類を挙げることができる。
本発明の使用準備の整った組成物中に存在する界面活性剤の量は、組成物の全重量の0.01〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲とすることができる。
【0039】
媒体
化粧品的に許容可能な組成物の媒体は、好ましくは水を含む水性媒体であり、より詳細にはアルコール類、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコール、又はグリコール類又はグリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコール又はそのエーテル類、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びジエチレングリコールのアルキルエーテル、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル又はモノブチルエーテルを含む化粧品的に許容可能な有機溶媒を有利には含みうる。従って、溶媒は、組成物の全重量に対して約0.5重量%〜20重量%、好ましくは約2重量%〜10重量%の間の濃度で存在しうる。
【0040】
改変剤
本発明の組成物は、レオロジー調整剤、例えばセルロース系増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)、グアーガムとその誘導体(ヒドロキシプロピルグアー等)、微生物由来のガム(キサンタンガム、スクレログルカンガム等)、合成増粘剤、例えばアクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋ホモポリマーを更に含有することができる。
本発明の好ましい組成物は、少なくとも1種のイオン性又は非イオン性の会合ポリマー、例えばグッドリッチ社(Goodrich)からペミュレン(Pemulen)(登録商標)TR1又はTR2、アライド・コロイヅ社からサルケアSC90(登録商標)、ローム・アンド・ハース社(Rohm & Haas)からアキュリン(Aculyn)(登録商標)22、28、33、44又は46の名称で、そしてアクゾ社(Akzo)からはエルファコス(Elfacos)(登録商標)T210及びT212の名称で市販されているポリマーを組成物の全重量に対して0.01重量%〜10重量%の割合で更に含有する。
本発明の他の好ましい組成物は、更にヒトのケラチン繊維染色の分野でよく知られている少なくとも1種のカチオン性又は両性のコンディショニングポリマーを組成物の全重量に対して0.01%〜10重量%、好ましくは0.05%〜5%、より好ましくは0.1%〜3%の割合で含む。
【0041】
カチオン性ポリマー
本発明の目的において「カチオン性ポリマー」という表現は、カチオン基及び/又はカチオン基にイオン化され得る基を含有する任意のポリマーを示す。
本発明で使用可能なカチオン性ポリマーは、それ自体が毛髪の美容特性を改善するものとして既に公知の任意のもの、すなわち特に、欧州特許出願公開第337354号、及び仏国特許第2270846号、同2383660号、同2598611号、同2470596号及び同2519863号に記載されているものから選択することができる。
好ましいカチオン性ポリマーは、ポリマー主鎖の一部を形成可能であるか、又はそこに直接結合される側方置換基により担持され得る、第1級、第2級、第3級及び/又は第4級アミン基を有する単位を含むものから選択される。
一般的に使用されるカチオン性ポリマーは、約500〜5x10、好ましくは約10〜3x10の数平均分子量を有する。
カチオン性ポリマーとしては、特に、ポリアミン、ポリアミノアミド及びポリ(第4級アンモニウム)型のポリマーを挙げることができる。
【0042】
これらは公知の生成物である。これらは特に、仏国特許第2505348号又は同2542997号に記載されている。前記ポリマーとしては以下のものを挙げることができる:
(1) 次の式(I)、(II)、(III)又は(IV):
【化11】

{上式中:
は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又はCH基を示し;
Aは、同一でも異なっていてもよく、直鎖状又は分枝状で、1〜6の炭素原子、好ましくは2又は3の炭素原子を有するアルキル基、又は1〜4の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基を示し;
、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、1〜18の炭素原子を有するアルキル基又はベンジル基、好ましくは1〜6の炭素原子を有するアルキル基を示し;
及びRは、同一でも異なっていてもよく、水素又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表し;
Xは無機又は有機酸から誘導されたアニオン、例えばメトスルファートアニオン又はハロゲン化物、例えば塩化物又は臭化物を示す}
の単位の少なくとも1つを有する、アクリル酸又はメタクリル酸エステル又はアミドから誘導されたホモポリマー又はコポリマー。
【0043】
分類(1)のポリマーは、更に、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、窒素に低級(C-C)アルキルが置換されたアクリルアミドとメタクリルアミド、アクリル酸又はメタクリル酸又はそのエステル、ビニルラクタム、例えばビニルピロリドン又はビニルカプロラクタム、及びビニルエステルの部類から選択されるコモノマーから誘導される一又は複数の単位を含み得る。
【0044】
しかして、これら分類(1)のポリマーとしては:
− 硫酸ジメチル又はジメチルハライドで第4級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとアクリルアミドのコポリマー、例えばハーキュレス社(Hercules)からヘルコフロック(Hercofloc)の名称で販売されている製品、
− 例えば、欧州特許出願公開第080976号に記載され、チバ・ガイギー社(Ciba Geigy)からビナクアット(Bina Quat)P100の名称で販売されている、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドのコポリマー、
− ハーキュレス社からレテン(Reten)の名称で販売されている、アクリルアミドとメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメトスルファートのコポリマー、
− 第4級化された又は第4級化されていないビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリラート又はメタクリラートのコポリマー、例えばISP社からガフクアット(Gafquat)の名称で販売されている製品、例えば、ガフクアット734又はガフクアット755、又は別にコポリマー845、958及び937として公知の製品。これらのポリマーは、仏国特許第2077143号及び同2393573号に詳細が記載されている、
− ジメチルアミノエチルメタクリラート/ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドンのターポリマー、例えばISP社からガフィックス(Gaffix)VC713の名称で販売されている製品、
− 特にISP社からスタイリーズ(Styleze)CC10の名称で販売されているビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルジメチルアミンのコポリマー、及び
− 第4級化されたビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドのコポリマー、例えばISP社からガフクアットHS100の名称で販売されている製品、
を挙げることができる。
【0045】
(2) 仏国特許第1492597号に記載されている、第4級アンモニウム基を有するセルロースエーテル誘導体、特にユニオン・カーバイド・コーポレーションからJR(JR400、JR125及びJR30M)又はLR(LR400又はLR30M)の名称で販売されているポリマー。また、これらのポリマーは、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの第4級アンモニウムとして、CTFA辞典に定義されている。
(3) カチオン性セルロース誘導体、例えば、水溶性の第4級アンモニウムモノマーがグラフトしたセルロース誘導体又はセルロースのコポリマーで、特に米国特許第4131576号に記載されているもの、例えば、特に、メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム又はジメチルジアリルアンモニウムの塩がグラフトした、ヒドロキシメチル-、ヒドロキシエチル-又はヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース。
この定義に相当する市販品は、より詳細には、ナショナル・スターチ社(National Starch)からセルクアット(Celquat)L200及びセルクアットH100の名称で販売されている製品である。
【0046】
(4) 特に、米国特許第3589578号及び同第4031307号に記載されているカチオン性多糖類、例えばカチオン性トリアルキルアンモニウム基を有するグアーガム。例えば、2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウム塩(例えば塩化物)で変性したグアーガムが使用される。
このような製品は、特に、メイホール社(Meyhall)から、ジャガー(Jaguar)C13S、ジャガーC15、ジャガーC17又はジャガーC162の商品名で販売されている。
【0047】
(5) 酸素、硫黄又は窒素原子、もしくは芳香環又は複素環が挿入されていてもよい、直鎖状又は分枝状鎖を有する二価のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基とピペラジニル単位からなるポリマー、並びにこれらのポリマーの酸化及び/又は第4級化生成物。このようなポリマーは、特に、仏国特許第2162025号及び同第2280361号に記載されている。
【0048】
(6) 特に、酸性化合物とポリアミンとの重縮合により調製される水溶性のポリアミノアミド類;これらのポリアミノアミド類は、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、不飽和の二無水物、ビス不飽和誘導体、ビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-アルキルハライド、もしくは別にビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-アルキルハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシド又はビス不飽和誘導体と反応性である二官能化合物との反応の結果生じるオリゴマーで架橋されていてもよく;架橋剤は、ポリアミノアミドのアミン基当たり0.025〜0.35モルの範囲の割合で使用され;これらのポリアミノアミド類はアルキル化されるか、それらが一又は複数の第3級アミン官能基を含む場合には第4級化されてもよい。このようなポリマーは、特に仏国特許第2252840号及び同第2368508号に記載されている。
【0049】
(7) ポリカルボン酸とポリアルキレンポリアミンを縮合させ、続いて二官能剤でアルキル化して得られるポリアミノアミド誘導体。例えば、アルキル基が1〜4の炭素原子を含み、好ましくはメチル、エチル又はプロピルを示す、アジピン酸/ジアシルアミノヒドロキシアルキルジアルキレントリアミンのポリマーを挙げることができる。このようなポリマーは、特に仏国特許第1583363号に記載されている。
これらの誘導体として、特にサンド社(Sandoz)からカルタレチン(Cartaretine)F、F4又はF8の名称で販売されている、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピル/ジエチレントリアミンのポリマーを挙げることができる。
【0050】
(8) 3〜8の炭素原子を有する、飽和した脂肪族のジカルボン酸、及びジグリコール酸から選択されるジカルボン酸と、少なくとも1つの第2級アミン基と、2つの第1級アミン基を有するポリアルキレンポリアミンとを反応させて得られるポリマー。ポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸のモル比は、0.8:1〜1.4:1であり;そこで得られたポリアミノアミドは、ポリアミノアミドの第2級アミンに対して、0.5:1〜1.8:1のモル比のエピクロロヒドリンと反応させる。このようなポリマーは、特に米国特許第3227615号及び同2961347号に記載されている。
この種のポリマーは、特に、アジピン酸/エポキシプロピル/ジエチレントリアミンのコポリマーの場合は、ハーキュレス社からデルセット(Delsette)101又はPD170の名称で、もしくはハーキュレス・インクからヘルコセット(Hercosett)57の名称で販売されている。
【0051】
(9) ジアルキルジアリルアンモニウム又はアルキルジアリルアミンのシクロポリマー、例えば、次の式(V)又は(VI):
【化12】

{上式中、k及びtは0又は1であり、k+tの合計は1であり;Rは、水素原子又はメチル基を示し;R及びRは互いに独立して、1〜6の炭素原子を有するアルキル基、アルキル基が好ましくは1〜5の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、低級C-Cアミドアルキル基を示すか、又はRとRは、それらが結合している窒素原子と共同して、複素環基、例えばピペリジル又はモルホリニルを示し得るもので;RとRは、互いに独立して、好ましくは1〜4の炭素原子を有するアルキル基を示し;Yは、アニオン、例えば臭化物、塩化物、アセタート、ボラート、シトラート、タートラート、ビスルファート、二亜硫酸塩、スルファート又はホスファートである}
に相当する単位を鎖の主な構成要素として含有するホモポリマー又はコポリマー。これらのポリマーは、特に仏国特許第2080759号及び追加特許証第2190406号に記載されている。
上述したポリマーとしては、特にカルゴン社(Calgon)からメルクアット100の名称で販売されているジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー(及びその低重量平均分子量のホモログ)、及びメルクアット550の名称で販売されているジアリルジメチルアンモニウムクロリドとアクリルアミドのコポリマーを挙げることができる。
【0052】
(10) 次の式:
【化13】

{上式中(VII)中:
10、R11、R12及びR13は同一でも異なっていてもよく、1〜20の炭素原子を有する脂肪族、脂環式又はアリール脂肪族基、もしくは低級ヒドロキシアルキル脂肪族基を示すか、又はR10、R11、R12及びR13は、共同して又は別々に、それらが結合する窒素原子と共に、窒素以外の第2のヘテロ原子を含有していてもよい複素環を形成するか、又はR10、R11、R12及びR13は、R14がアルキレンで、Dが第4級アンモニウム基である、-CO-NH-R14-D又は-CO-O-R14-D基、又はニトリル、エステル、アシル又はアミド基で置換される、直鎖状又は分枝状のC-Cアルキル基を示し;
及びBは、スルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、第4級アンモニウム、ウレイド、アミド又はエステル基、又は一又は複数の酸素又は硫黄原子又は一又は複数の芳香環が主鎖に挿入され、又は連結して含有されていてもよく、直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和であってよい、2〜20の炭素原子を有するポリメチレン基を表し、
は、無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンを示し;
、R10及びR12は、それらが結合する2つの窒素原子とともにピペラジン環を形成可能で;またAが直鎖状又は分枝状で飽和又は不飽和のアルキレン又はヒドロキシアルキレン基を示す場合は、Bはまた-(CH)-CO-D-OC-(CH)-基を示すことができ、ここでDは:
a)式:-O-Z-O-のグリコール残基
{上式中、Zは、直鎖状又は分枝状の炭化水素基、又は次の式:
-(CH-CH-O)-CH-CH-
-[CH-CH(CH)-O]-CH-CH(CH)-
(上式中、x及びyは、定まった一つの重合度を表す1〜4の整数を示すか、あるいは、平均重合度を表す1〜4の任意の数を示す)
の一つに相当する基を示す};
b)ビス-第2級ジアミン残基、例えばピペラジン誘導体;
c)式:-NH-Y-NH-のビス-第1級ジアミン残基
{上式中、Yは、次の式:
-CH-CH-S-S-CH-CH-;
で示される二価の基、又は直鎖状又は分枝状の炭化水素基を示す};
d)式:-NH-CO-NH-のウレイレン基;
を示す}
に相当する繰り返し単位を含有する第4級ジアンモニウムポリマー。
【0053】
好ましくは、Xは、塩化物又は臭化物のようなアニオンである。
これらのポリマーは、一般的に1000〜100000の数平均分子量を有する。
この種のポリマーは、特に、仏国特許第2320330号、同2270846号、同2316271号、同2336434号及び同2413907号、及び米国特許第2273780号、同2375853号、同2388614号、同2454547号、同3206462号、同2261002号、同2271378号、同3874870号、同4001432号、同3929990号、同3966904号、同4005193号、同4025617号、同4025627号、同4025653号、同4026945号及び同4027020号に記載されている。
【0054】
より詳細には、次の式(VIII):
【化14】

{上式中、
10、R11、R12及びR13は同一でも異なっていてもよく、約1〜4の炭素原子を有するアルキル又はヒドロキシアルキル基を示し、n及びpは約2〜20の範囲の整数であり、Xは無機酸又は有機酸から誘導されるアニオンである}
に相当する繰り返し単位からなるポリマーを使用することができる。
【0055】
(11) 次の式(IX):
【化15】

{上式中、pは約1〜6の範囲の整数であり、Dは存在しないか、又はrが4又は7に等しい数を示す-(CH)-CO-基を表し、Xはアニオンである}
の繰り返し単位からなるポリ(第4級アンモニウム)ポリマー。
【0056】
このようなカチオン性ポリマーは、米国特許第4157388号、同第4702906号及び同第4719282号に記載されている方法に従って調製することができる。それらは特に欧州特許出願公開第122324号に記載されている。
これらの製品としては、ミラノール社(Miranol)から販売されているミラポール(Mirapol)A15、ミラポールAD1、ミラポールAZ1及びミラポール175が挙げられる。
【0057】
(12) ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの第4級ポリマー、例えば、BASF社からルビクアット(Luviquat)FC905、FC550及びFC370の名称で販売されている製品。
【0058】
(13) ポリアミン類、例えばCTFA辞書でポリエチレングリコール(15)獣脂ポリアミンの参照名が付されているヘンケル社(Henkel)から販売されているポリクアート(Polyquart)H。
【0059】
(14) 架橋したメタクリロイルオキシ(C-C)アルキルトリ(C-C)アルキルアンモニウム塩のポリマー、例えば、塩化メチルで第4級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルが単独重合、又は塩化メチルで第4級化されたメタクリル酸ジメチルアミノエチルとアクリルアミドとが共重合し、単独重合又は共重合に続いて、オレフィン性不飽和を有する化合物、特にメチレンビスアクリルアミドで架橋することにより得られるポリマー。特に、鉱物性油に50重量%の、アクリルアミド/メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋したコポリマー(重量20/80)を含有する分散液の形態で該ポリマーを使用することもできる。この分散液は、アライド・コロイヅ社(Allied Colloids)からサルケア(Salcare)(登録商標)SC92の名称で販売されている。また、鉱物性油又は液状エステルに、約50重量%のメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリドの架橋したホモポリマーを含有するものを使用することもできる。これらの分散液は、アライド・コロイヅ社からサルケア(登録商標)SC95及びサルケア(登録商標)SC96の名称で販売されている。
【0060】
本発明で使用可能な他のカチオン性ポリマーは、ポリアルキレンイミン類、特にポリエチレンイミン類、ビニルピリジン又はビニルピリジニウム単位を有するポリマー、ポリアミン類とエピクロロヒドリンの縮合物、第4級ポリウレイレン類及びキチン誘導体である。
【0061】
本発明で使用可能な全カチオン性ポリマーのなかでも、分類(1)、(9)、(10)、(11)及び(14)のポリマー、より好ましくは、次の式(W)及び(U)の繰り返し単位からなるポリマー:
【化16】

特にゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される分子量が9500〜9900であるもの、
【化17】

特にゲル浸透クロマトグラフィーにより決定される分子量が約1200であるもの、
が好適に使用される。
【0062】
両性ポリマー
本発明において使用可能な両性ポリマーは、ポリマー鎖にランダムに分布する単位K及びMを含むポリマーの中から選択され、そのKは少なくとも1つの塩基性窒素原子を含むモノマーから誘導された単位を表し、Mは一又は複数のカルボキシル基又はスルホン基を含む酸性モノマーから誘導された単位を表すか、あるいはK及びMが、カルボキシベタイン又はスルホベタインの双性イオン性モノマーから誘導される基を示してもよく;
またK及びMが、第1級、第2級、第3級又は第4級アミン基を含み、その少なくとも1つのアミン基が、炭化水素基を介してカルボキシル基又はスルホン酸基を担うカチオン性ポリマー鎖を示すことができ、あるいはさらに、K及びMが、α,β-ジカルボン酸エチレン単位を含むポリマー鎖の一部をなし、そのカルボキシル基の1つが一又は複数の第1級又は第2級アミノ基を含むポリアミンと反応させられたものである。
【0063】
上述した定義に相当する特に好ましい両性ポリマーは次のポリマーから選択される:
(1) 特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、α-クロロアクリル酸等の、カルボキシル基を担持するビニル化合物から誘導されるモノマー、及び特にジアルキルアミノアルキルメタクリラート及びアクリラート、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド及びアクリルアミド等の、少なくとも1つの塩基性原子を含む置換されたビニル化合物から誘導される塩基性モノマーの共重合により得られるポリマー。このような化合物は米国特許第3836537号に記載されている。
またヘンケル社からポリクアート(Polyquart)KE3033の名称で販売されているアクリル酸ナトリウム/アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドコポリマーを挙げることができる。
また、ビニル化合物は、ジアルキルジアリルアンモニウム塩、例えばジメチルジアリルアンモニウムクロリドであってもよい。アクリル酸とこのモノマーとのコポリマーは、カルゴン社(Calgon)からメルクアット(Merquat)280、メルクアット295及びメルクアットPlus3330の名称で販売されている。
【0064】
(2) a)窒素原子上にアルキル基が置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミドから選択される少なくとも1つのモノマー、
b)一又は複数の反応性カルボキシル基を含む少なくとも1つの酸性コモノマー、及び
c)第1級、第2級、第3級及び第4級アミン置換基を有するアクリル酸及びメタクリル酸のエステル、及びジメチルアミノエチルメタクリラートを硫酸ジメチル又は硫酸ジエチルで第4級化した生成物などの、少なくとも1つの塩基性コモノマー、
から誘導された単位を含むポリマー。
本発明において、さらにとりわけ好ましいN置換アクリルアミド又はメタクリルアミドは、アルキル基が2〜12の炭素原子を有する群、特にN-エチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-tert-オクチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-デシルアクリルアミド、N-ドデシルアクリルアミド及びそれらに対応するメタクリルアミドである。
酸性コモノマーは、特にアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、及びフマル酸、及びマレイン酸又はフマル酸の1〜4の炭素原子を有するアルキルモノエステル類、又は無水物から選択される。
好ましい塩基性コモノマーは、アミノエチル、ブチルアミノエチル、N,N'-ジメチルアミノエチル及びN-tert-ブチルアミノエチルメタクリラートである。
コポリマーのCTFA(第4版、1991)名がオクチルアクリルアミド/アクリラート/ブチルアミノエチルメタクリラートコポリマー、例えばナショナル・スターチからアンフォマー(Amphomer)又はロボクリル(Lovocryl)47の名称で販売されている製品が特に使用される。
【0065】
(3) 次の一般式:
【化18】

{上式中、R19は、飽和したジカルボン酸、エチレン性二重結合を有するモノ-又はジカルボン脂肪族酸、上記酸と1〜6の炭素原子を有する低級アルカノールとのエステルから誘導される二価の基、もしくは、ビス(プライマリ)、又はビス(セカンダリ)アミンに、上記酸の任意の一つを付加することにより誘導される基を表し、Zは、ビス(プライマリ)、モノ-又はビス(セカンダリ)ポリアルキレン-ポリアミンの基を示し、好ましくは、
a)60〜100モル%の割合で、次の式:
【化19】

{上式中、x=2及びp=2又は3であるか、又はx=3及びp=2である}
で表される基(この基はジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン又はジプロピレントリアミンから誘導される);
b)0〜40モル%の割合で、上述した基(XI)において、x=2及びp=1であり、エチレンジアミンから誘導される基、又は次の式:
【化20】

で表されるピペラジンから誘導される基;
c)0〜20モル%の割合で、ヘキサメチレンジアミンから誘導される-NH-(CH)-NH-基を表す}
のポリアミノアミドから部分的又は全体的に誘導される、架橋し、またアルキル化したポリアミノアミドで、これらのポリアミノアミドは、ポリアミノアミドのアミン基当たり0.025〜0.35モルの架橋剤が使用されて、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、及びビス不飽和誘導体から選択される二官能性架橋剤を添加することにより架橋され、アクリル酸、クロロ酢酸、又はアルカン-スルトン、又はそれらの塩類の作用により、アルキル化される。
飽和カルボン酸は、好ましくはアジピン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、及び2,4,4-トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、そして例えばアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸のようにエチレン性二重結合を有する酸など、6〜10の炭素原子を有する酸から選択される。
アルキル化に使用されるアルカンスルトンは、好ましくはプロパンスルトン又はブタンスルトンであり、アルキル化剤の塩は好ましくはナトリウム塩又はカリウム塩である。
【0066】
(4) 次の式:
【化21】

{上式中、R20は、重合性不飽和基、例えば、アクリラート、メタクリラート、アクリルアミド又はメタクリルアミド基を示し、y及びzは1〜3の整数を表し、R21及びR22は、水素原子、メチル、エチル又はプロピルを表し、R23及びR24は、水素原子、又はR23及びR24の炭素原子の合計が10を越えないアルキル基を表す}
の双性イオン性単位を有するポリマー。
このような単位を含むポリマーは、ジメチルもしくはジエチルアミノエチルアクリラート又はメタクリラート、又はアクリル酸アルキルもしくはメタクリル酸アルキル、アクリルアミド又はメタクリルアミド又は酢酸ビニルのような非双性イオン性モノマーから誘導される単位を含むことも可能である。
例として、サンド社(Sandoz)のダイアフォーマー(Diaformer)Z301という名称で販売されている製品のような、メタクリル酸ブチル/ジメチルカルボキシメチルアンモニオ-エチルメタクリラートのコポリマーを挙げることができる。
【0067】
(5) 次の式(XIII)、(XIV)及び(XV):
【化22】

{上式中、単位(XIII)は0〜30%の割合、単位(XIV)は5〜50%の割合、及び単位(XV)は30〜90%の割合で存在し、単位(XV)においてR25は次の式:
【化23】

{上式中、
qは0又は1を示し;
q=0である場合は、R26、R27及びR28は同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、一又は複数の窒素原子が挿入されていてもよく、及び/又は一又は複数のアミン、ヒドロキシル、カルボキシル、アルキルチオ又はスルホン基で置換されていてもよい、ジアルキルアミン残基又はモノアルキルアミン残基、メチル、ヒドロキシル、アセトキシ又はアミノ残基、アルキル基がアミノ残基を担持しているアルキルチオ残基を表し、この場合、R26、R27及びR28基の少なくとも1つは水素原子であり;
又はq=1である場合は、R26、R27及びR28は、それぞれ、水素原子、並びにこれらの化合物と酸又は塩基とにより形成される塩を表す}
の基を示す}
に相当するモノマー単位を有するキトサンから誘導されるポリマー。
【0068】
(6) キトサンのN-カルボキシアルキル化によって誘導されるポリマー、例えばジャン・デッカー社(Jan Dekker)からエバルサン(Evalsan)の名称で販売されているN-カルボキシメチルキトサン又はN-カルボキシブチルキトサン。
【0069】
(7) 例えば仏国特許第1400366号に記載され、一般式(XI):
【化24】

{上式中、R29は、水素原子、CHO、CHCHO又はフェニル基を表し、R30は、水素、又はメチル又はエチルのような低級アルキル基を示し、R31は、水素、又はメチル又はエチルのような低級アルキル基を示し、R32は、メチル又はエチルのような低級アルキル基、又は次の式:-R33-N(R31)に相当する基を示し、ここでR33は、-CH-CH-、-CH-CH-CH-又は-CH-CH(CH)-基を表し、R31は上述の意味を有し、
また6までの炭素原子を有するこれらの基の高級ホモログを表し、
rは分子量が500〜6000000、好ましくは1000〜1000000である}
に相当するポリマー。
【0070】
(8) 次のものから選択される-D-X-D-X-タイプの両性ポリマー:
a)クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムを、次の式:
-D-X-D-X-D- (XVII)
{上式中、Dは、
【化25】

なる基を表し、
Xは、記号E又はE'を表し、E又はE'は同一でも異なっていてもよく、主鎖に7までの炭素原子を含む直鎖状又は分枝状鎖を有するアルキレン基である二価の基を表し、それは、未置換であるか又はヒドロキシル基で置換され、さらに酸素、窒素及び硫黄原子、1ないし3の芳香環及び/又は複素環を含むことが可能であり;酸素、窒素及び硫黄原子は、エーテル、チオエーテル、スルホキシド、スルホン、スルホニウム、アルキルアミン又はアルケニルアミン基、ヒドロキシル、ベンジルアミン、アミンオキシド、第4級アンモニウム、アミド、イミド、アルコール、エステル及び/又はウレタン基の形で存在する}
の少なくとも1つの単位を含む化合物に作用させて得られるポリマー。
b)次の式:
-D-X-D-X- (XVIII)
{上式中、Dは、
【化26】

なる基を表し、
Xは、記号E又はE'を表し、少なくとも1回はE';Eは上述と同じ意味を持ち、E'は、主鎖に7までの炭素原子を含む直鎖状又は分枝状鎖を有するアルキレン基である二価の基であり、そしてそれは、未置換であるか又は一又は複数のヒドロキシル基で置換され、そして一又は複数の窒素原子を含み、窒素原子は、場合によっては酸素原子により中断され、一又は複数のカルボキシル基又は一又は複数のヒドロキシル基の含有が不可欠であり、クロロ酢酸又はクロロ酢酸ナトリウムとの反応でベタイン化されるアルキル鎖で置換される}
のポリマー。
【0071】
(9) N,N-ジアルキルアミノアルキルアミン、例えばN,N-ジメチルアミノプロピルアミンで半アミド化するか、又はN,N-ジアルカノールアミンで半エステル化することにより部分的に変性された、(C-C)アルキルビニルエーテル/無水マレイン酸のコポリマー。また、これらのコポリマーは、例えばビニルカプロラクタムのような他のビニルコモノマーを含有することができる。
【0072】
本発明における特に好ましい両性ポリマーは、分類(1)のものである。
組成物は、例えば、EDTA及びエチドロン酸のような金属イオン封鎖剤、UV遮蔽剤、ロウ類、揮発性又は非揮発性で環状又は直鎖状又は分枝状の有機変性した又は変性していない、本発明のものとは異なるシリコーン類、防腐剤、セラミド、疑似セラミド、植物油、鉱物油又は合成油、ビタミン又はプロビタミン、例えばパンテノール及び乳白剤など、直接又は酸化染色において既に知られているその他の添加剤を有効量、更に含みうる。
前記組成物に、還元剤又は酸化防止剤をさらに含めることもできる。これらは、特に亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸、チオ乳酸、重亜硫酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、ヒドロキノン、2-メチルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン及びホモゲンチジン酸の中から選択することができ、一般的に組成物の全重量に対して約0.05〜3重量%の範囲の量で存在する。
当業者であれば、本発明の染色組成物に本質的に伴う有利な特性が、考慮される添加又は添加物によって悪影響を受けないか、又は実質的に悪影響を受けないよう、上述した任意の付加的な化合物を留意して選択するであろう。
【0073】
使用準備が整った組成物において、又は酸化組成物において、酸化剤は、好ましくは過酸化尿素、アルカリ金属の臭素酸塩又はフェリシアン化物、及び過ホウ素酸塩及び過硫酸塩などの過酸塩から選択されうる。特に、過酸化水素の使用が好ましい。この酸化剤は、有利には過酸化水素水の溶液からなり、その力価は、特に約1〜40容量の範囲、好ましくは約5〜40容量の範囲で変化しうる。
更に使用できる酸化剤は、適切な場合にはそれらの供与体(ドナー)又は補因子の存在下で、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及び二電子オキシドレダクターゼ(例えば、ウリカーゼ)等の、一又は複数の酸化還元酵素である。
ケラチン繊維に適用される使用準備の整った組成物[染色用組成物と酸化組成物を混合して得られる組成物]のpHは、一般に4〜11の値である。それは好ましくは6〜10であり、ケラチン繊維の染色における現在の技術でよく知られている酸性化又は塩基性化剤の使用で所望される値に調節することができる。
【0074】
塩基性化剤としては、例えば、アンモニア水、アルカリ金属の炭酸塩類、アルカノールアミン類、例えばモノ-、ジ-及びトリ-エタノールアミン及びその誘導体、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピル化されたヒドロキシアルキルアミン及びエチレンジアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び次の式(VI):
【化27】

{上式中、Rは、C-Cアルキル基又はヒドロキシル基で置換されていてもよいプロピレン残基であり;R15、R16、R17及びR18は同一でも異なっていてもよく、水素原子、C-Cアルキル基又はC-Cヒドロキシアルキル基を表す}
の化合物を挙げることができる。
【0075】
酸性化剤は、従来からの例えば、無機酸又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、カルボン酸類、例えば酒石酸、クエン酸又は乳酸、又はスルホン酸類である。
本発明の染色方法は、好ましくは組成物又は(上述した着色及び酸化組成物から使用時に即座に調製される)使用準備が整った組成物を、湿った又は乾燥したケラチン繊維に適用し、前記組成物を放置して好ましくは約1〜60分、より好ましくは約10〜45分の範囲の待ち時間作用させ、繊維をすすぎ、次いで場合によってはそれをシャンプーで洗浄し、再度すすいで乾燥させることからなる。
【実施例】
【0076】
本発明を例証する特定の実施例を以下に示すが、本発明を限定するものではない。
実施例1:
次の直接染色組成物を調製した(活性物質のグラムで表す):
【表1】

【0077】
この組成物を、90%の白い髪を含むナチュラルなグレイの束に30分間適用した。
続いて髪を洗い流し、通常のシャンプーで洗浄して、乾燥させた。
数回の洗髪に対しても高い耐性のある青い色調が得られた。
更に、繊維の美容的状態は、非常に満足できるものであった。
【0078】
実施例2
次の酸化染色組成物を調製した(活性物質のグラムで表す):
【表2】

【0079】
この組成物を、20容量の過酸化水素水と同重量で混合した。混合物の最終pHは9.5であった。
次いで、混合物を90%の白い髪を含むナチュラルなグレイの束に適用し、30分間放置して作用させた。
続いて髪を通常のシャンプーで洗浄して、洗い流し、乾燥させた。
毛髪は、数回の洗髪に対しても耐性のあるモーブ系の赤みがかった色に染色され、繊維は、非常に満足のできる美容的状態を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の直接染料又は酸化染料を含有する、ヒトのケラチン繊維を染色するための組成物において、以下の式(I)又は(II):
【化1】

{上式(I)中、
m及びnは、(n+m)の合計が、1〜1000の範囲で変化する数であり、
nは0〜999の範囲の数を示し、mは1〜1000の範囲の数を示し;
、R及びRは、同一か異なっており、ヒドロキシル又はメトキシ基を表し、RからR基の少なくとも1つがメトキシ基を示す};
【化2】

{上式中、
p及びqは、(p+q)の合計が、1〜1000の範囲で変化する数であり、
pは0〜999の範囲の数を示し、qは1〜1000の範囲の数を示し;
及びRは、異なっており、ヒドロキシル又はメトキシ基を表し、R及びR基の少なくとも1つがメトキシ基を示す}
の少なくとも1つのアミノシリコーンを更に含有することを特徴とする組成物。
【請求項2】
式(I)のアミノシリコーンに対して、ヒドロキシ/アルコキシのモル比が0.2:1〜0.4:1に等しいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(II)のアミノシリコーンに対して、ヒドロキシ/アルコキシのモル比が1:0.8〜1:1.1に等しいことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
式(I)のアミノシリコーンが2000〜1000000の範囲の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
式(II)のアミノシリコーンが2000〜200000の範囲の重量平均分子量を有することを特徴とする請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項6】
式(I)又は(II)のアミノシリコーンが、染色組成物中に、組成物の全重量に対して0.01〜20重量%の範囲の量で存在することを特徴とする、請求項1ないし5の何れか1項に記載の組成物。
【請求項7】
酸化染料が、酸化ベース及び/又はカップラーから選択されることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
酸化ベースが、オルト-及びパラ-フェニレンジアミン類、複ベース類、オルト-及びパラ-アミノフェノール類、複素環ベース類、及びこれらの化合物の酸付加塩類から選択されることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
酸化ベースが、組成物の全重量に対して0.0005〜12重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
カップラーが、メタ-フェニレンジアミン類、メタ-アミノフェノール類、メタ-ジフェノール類、複素環カップラー及びこれら化合物の酸付塩類から選択されることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
カップラーが、組成物の全重量に対して0.0001〜10重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする請求項7又は10に記載の組成物。
【請求項12】
直接染料が、中性、酸性又はカチオン性のニトロベンゼン直接染料、中性、酸性又はカチオン性のアゾ直接染料、中性、酸性又はカチオン性のキノン直接染料、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、インドアミン直接染料及び天然直接染料から選択されることを特徴とする請求項1ないし11に記載の組成物。
【請求項13】
直接染料が、組成物の全重量に対して0.001〜20重量%の範囲の濃度で存在することを特徴とする請求項1ないし12の何れか1項に記載の組成物。
【請求項14】
酸化剤を更に含み、使用準備が整ったものであることを特徴とする請求項1ないし13の何れか1項に記載の組成物。
【請求項15】
ヒトのケラチン繊維を染色する方法において、化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の直接染料と、請求項1ないし6の何れか1項に記載の式(I)又は(II)の少なくとも1種のアミノシリコーンを更に含有する着色組成物を繊維に適用することからなることを特徴とする方法。
【請求項16】
ヒトのケラチン繊維を染色する方法において、化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の直接染料又は少なくとも1種の酸化染料と、請求項1ないし6の何れか1項に記載の式(I)又は(II)の少なくとも1種のアミノシリコーンを更に含有する少なくとも1種の着色組成物を繊維に適用することからなり、着色組成物と使用時に混合されるか、又は途中で洗い流さずに続けて適用される少なくとも1種の酸化剤を含有する組成物によってアルカリ性、中性又は酸性のpHで発色させることを特徴とする方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品的に許容可能な媒体中に少なくとも1種の直接染料又は酸化染料を含有する、ヒトのケラチン繊維を染色するための組成物において、以下の式(I)又は(II):
【化1】

{上式(I)中、
m及びnは、(n+m)の合計が、1〜1000の範囲で変化する数であり、
nは0〜999の範囲の数を示し、mは1〜1000の範囲の数を示し;
、R及びRは、同一か異なっており、ヒドロキシル又はメトキシ基を表し、RからR基の少なくとも1つがメトキシ基を示す};
【化2】

{上式中、
p及びqは、(p+q)の合計が、1〜1000の範囲で変化する数であり、
pは0〜999の範囲の数を示し、qは1〜1000の範囲の数を示し;
及びRは、異なっており、ヒドロキシル又はメトキシ基を表し、R及びR基の少なくとも1つがメトキシ基を示す}
の少なくとも1つのアミノシリコーンを更に含有することを特徴とする組成物。

【公開番号】特開2006−249109(P2006−249109A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178524(P2006−178524)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【分割の表示】特願2002−326175(P2002−326175)の分割
【原出願日】平成14年11月8日(2002.11.8)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】