説明

特定の水環境における船舶の航行促進システム及び方法

特定の航行環境における船舶の動作を促進する方法。航行手順を決定するために環境における条件に対する船舶の特徴が評価される。該手順は、例えば、独立した機関、水路部、港の機関、通信機関、船長、オペレーター及び港の水先案内人等の、航行の経験の情報源からの情報を含む航行チャートを記述する。該船舶は、該手順に従って、船舶の連続的な位置を示す、該環境中のポイントによって地理的に参照される。このような手順により、船長、オペレーター及び港間の調整を効率化することができ、複雑な環境における航行の計画及び遂行に要する時間を短縮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して船舶の航行、より詳細には、港、湾、荷役設備、入り江及び川等の環境における、船、ボート及びその他の船舶の航行の促進に関する。
【背景技術】
【0002】
この項目の記述は、単に本開示に関する背景技術の情報を提供するものであり、先行技術を構成するものではない。
港、湾、入り江及び川等の水環境における船舶の航行は、例えば、流れ、風、水深、天候及び水面下の構造及び/又は障害物等のためにとても複雑である。船舶の大きさ、喫水及び推進能力といった船舶の特徴もまた船舶毎に異なる。さらには、操縦者は、輸送会のポリシーや手順を遵守すると同時に、例えば、港湾局や船舶オペレーターによって課せられた港特有のポリシーへの注意を要求される。従って、船長は、特定のエリアの航行の間、船舶のコントロールを引き継ぐ港の水先案内人と協力することが求められる。前述のような考えは、航行条件を定められた航行環境及び定められた船舶に特異なものにする傾向があるということがわかる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態によれば、本開示は特定の航行環境における船舶の動作を促進する情報を提供する方法を対象とする。該船舶に関する複数の特徴は該環境における複数の条件に対して評価される。該評価に基づいて、該環境に対する船舶の航行のための一又は複数の手順を決定する。該環境の少なくとも一部が縮尺通りに表示される一又は複数の航行チャート上に、一又は複数の手順の一つが記述される。該船舶は、該環境中の複数のポイントによって、チャート中で地理的に参照されて表示され、記述された手順に従って、該ポイントが該環境に対する該船舶の連続的な位置を示す。
【0004】
他の実施形態において、本開示は特定の航行環境における船舶の動作を促進する情報を提供する方法を対象とする。該環境における複数の条件に対する該船舶の複数の特徴が評価される。該評価に基づいて、該環境に対する該船舶の航路が決定される。該方法は、該環境の少なくとも一部が縮尺通りに表示される一又は複数の航行チャート上に、該航路に沿って地理的に参照された船舶の連続的な位置を表示すること、及び、一又は複数の航行チャート上に、少なくとも一部が船舶の連続的な位置に対する経過中に提供される、環境に特有の案内情報を提供することを含む。
【0005】
他の実施形態において、本開示は航行環境における船舶の動作を促進する情報を提供するシステムを対象としている。該システムは、航行チャート上に、(a)該特定の環境の少なくとも一部を縮尺通りに表示し、(b)該特定の環境に対する船舶の航行のための、該特定の環境に対して地理的に識別された推奨航路を含む、手順を表示する手段を有する。該システムは、航行の間に船舶の一又は複数のポイントを地理的に配置する手段、及び、地理的に配置された船舶の一又は複数のポイントに基づいて、実質的にリアルタイムで、特定の環境及び推奨された航路に対して、船舶のアウトラインの少なくとも一部を航行チャート上に表示する手段もまた有する。
【0006】
さらに他の実施形態において、本開示は、特定の環境における一又は複数の船舶の航行を促進する方法を対象としている。それぞれの船舶について、環境に対する船舶の航行のための一又は複数の手順、船舶の複数の特徴に関するデータ及び環境の複数の条件に関するデータを用いることにより決定される手順が得られる。一又は複数の船舶の一つについて、一又は複数の航行チャートを介して得られる一又は複数の手順のうちの少なくとも一つがアクセスされる。一又は複数のチャート上の一又は複数の船舶の一つの、環境及びアクセスされた手順において推奨される航路に対する、表示を利用して航行を促進させる。
【0007】
さらに他の実施形態において、本開示は、特定の環境における一又は複数の船舶の航行を促進するシステムを対象としている。該システムは、それぞれの船舶について、実質的にリアルタイムで、環境及び環境に対する船舶の航行のための手段において推奨された航路に対する少なくとも一つの航行チャート中に船舶を示すように定められた少なくとも一つのプロセッサ及びメモリを備える。
該手順は、少なくとも一つのチャート中に示され、船舶に関する複数の特徴に関するデータ及び環境における複数の条件に関するデータを用いることにより決定される。
【0008】
さらなる適用性のエリアはここでの記載より明らかである。これらの記載及び具体例は説明のみを目的とし、本開示の範囲を限定するものでないことは理解されるべきである。
【0009】
本明細書に示される図面は本開示の概念を説明するためだけのものであり、決して本開示を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本開示の一実施形態に係る特定の航行環境における船舶の動作を促進するための情報を提供する方法のフローチャートである。
【図2】本発明の一実施形態に係る印刷された航行チャートの概念図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る印刷された航行チャートの概念図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る特定の航行環境において一又は複数の船舶の動作を促進するためのシステムの略図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る電子航行チャートの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の説明は単なる例示であり、本開示、応用、利用を限定するものではない。
本開示の様々な実施形態において、航行手順の情報は一又は複数の航行チャート上に提供されてもよい。該手順の情報は、特定の船舶及び/又は船舶の型に特有であってもよく、特定の環境に特有であってもよい。このようなチャートは印刷されるか、及び/又は電子的に表示されてもよい。このような航行チャートは、例えば、チャート生成時にすぐさま利用できる多様なパラメーターに基づいたデータ駆動型環境により、実質的にリアルタイムで生成されてもよい。チャートは、例えば、携帯型電子装置で表示される。他のあるいは付加的なデバイス及び表示メディア、特に限定されないが、非携帯型デバイス及び/又は表示メディアも含まれることが考えられる。
【0012】
特定の航行環境における船舶の動作を促進するための情報を提供する方法の一実施形態は、概して図1の参照番号20によって示される。該環境は、例えば、特定の湾及び/又は特定の川である。しかしながら、本開示は、特に限定されないが、特定の航行手順が利用可能な、水門、橋、会社特有の(石油切削のような)装備、荷役設備等を含む多様な水環境に関すると考えられることは理解されるべきである。
【0013】
本開示は、同様の環境における異なる方法での異なる船舶の航行にも適用することができる。本開示は、例えば、同様の環境におけるより大きな船舶の航行に適さないであろうスペースが抑制された環境における航行手順に適していることが好ましい。さらには、本開示は、同様の環境において、例えば、天候、他の環境の条件、船上又は陸上での特に正確な航行装備の存在、及び/又は会社特有の慣例及び/又はポリシーに基づいた異なる方法で船舶を航行させるのに適している。このようなポリシーは、船員によって観測されたマージンを含んでもよいが、これを満足することを必要としない。従って、例えば、同様の環境での、満ち潮における船舶の航行手順は、引き潮における同様の船舶には適切でない。
【0014】
再び図1を参照すると、方法20のステップ24において、船舶に関する複数の特徴が環境における複数の条件に対して評価される。環境における条件は、例えば、水深、構造及び/又は障害物の配置、流れの速さ及び方向、風の速さ及び方向、霧、雨の存在、局所的状態、引き綱の補助(あるいは補助なし)等を含む。船舶に関する特徴は、例えば、船舶の全体又は部分的な外形、船舶の高さ、船舶の喫水、高速性能、かじの位置、船舶の装備等の物理的な特徴等を含む。船舶に関する特徴は、例えば、船員の訓練能力、及び/又はオペレーターに関する特徴、例えば、船舶についてのオペレーター特有の方針といった船員の特徴も含む。
【0015】
環境における多種多様な条件及び船舶に関する多種多様な特徴があり、このような条件及び/又は特徴は、船舶及び/又は環境に基づいて変化することに注意されるべきである。さらに、環境における条件は船舶に関する特徴と重複してもよいし同じであってもよい。従って、例えば、オペレーターの方針が、特定のクラスの船舶が特定の港位置に停泊している間に船舶の船員によって行われる行動を特定する場合、該ポリシーは環境における条件及び/又は船舶特有の特徴であると考えられる。
【0016】
再び図1を参照すると、ステップ28において、評価に基づいて、船舶を航行するために一又は複数の手段が決定される。以下に詳述するように、このような手順は船舶が航行中に従う推奨航路を含む。ステップ32において、手順の一つは、環境の少なくとも一部が縮尺通りに表示される一又は複数の航行チャート上に記述される。ステップ36において、船舶は、環境における複数のポイントを参照して地理的に示される。該ポイントは、記述された手段に従って、環境に対する船舶の連続的な位置を示す。一実施形態において、船舶はチャートの縮尺通りに表示される。船舶を縮尺通りに表示することは、例えば、船舶が操縦される小さなエリアを表示するチャート上で有効となる。他の実施形態においては、船舶を異なる縮尺で表示することが有利となる。従って、例えば、チャートに示される環境が実際の船舶の大きさと比較してとても広大である場合、チャート上で見えるように船舶は縮尺よりも大きく示されてもよい。例えば、以下に詳述するように、手順が一連の航行チャートで記述される場合、船舶は異なるチャート上で異なる尺度で表示されてもよい。
【0017】
手順は、特定の船舶の型又はクラス及び/又は一又は複数の船舶に関する特徴に特有に決定されうることに注意されるべきである。このような特徴は、例えば、船舶の装備、形状及び/又は船員の訓練能力を含んでもよい。即ち、例えば、同じ船舶オペレーターによって操作される、特定の船舶のグループの船舶は、該グループに特有の手順に従って航行されてもよい。手順は、特定の、個々の船舶に特有に決定されうることも注意されるべきである。
【0018】
印刷された航行チャートの一例は、概して図2の参照番号100で示される。チャート100は、上げ潮という特定の条件での、米国、カリフォルニア、ロサンゼルスの湾に船舶が到着したという特定の環境108における、特定の船舶及び/又は船舶の型104の航行に用いられる。インデックスエリア110は、例えば、船舶及び/又は船舶の型、並びにチャートが到着又は出航のためのものかを表示する。チャート100は、情報エリア112中に、例えば、空及び満載時の船舶104の喫水116、及びチャート100に適用可能な天候状態120等の、航行手順に利用可能な様々な情報のアイテムを含んでいる。コンタクト情報は、湾の水先案内人124、トラフィック128、船舶オペレーター132、及び港湾警察136に提供される。チャート100上で提供される付加的な情報は、到着前の注意140、パイロット情報144、及び手順の注意148を含む。
【0019】
情報アイテム140、144及び148は、以下に詳述するチャート100上の他の情報のアイテムと同様に、例えば、ロサンゼルスの港に関する航行の経験による一又は複数の情報源によって提供されてもよい。このような情報は、例えば、特に限定されないが、ロサンゼルスの港から航行したことがある、船のマスター104を含む船長から得られるものであってもよい。このようなやり方では、船舶オペレーターは、例えば、船舶の操作を分担するシニアキャプテンの知識を順守してもよい。さらには、このような情報は、港の水先案内人、地元の港長及び/又はロサンゼルスの港で権限を有する他の人物、及び/又は、特に限定されないが、船舶104のオペレーターを含む船舶オペレーターから得られてもよい。このようなやり方では、船舶オペレーターは、船舶のマスターに対する港特有の指示の提供による、港特有のポリシーを遂行してもよい。
【0020】
様々な目印を含む環境108は、チャート100で縮尺通りに表示される。水の流れる方向及び速さを示す矢印152、及び風の方向及び速さを示すフラッグ156は環境108上に重ねられる。チャート100は船舶104の推奨航路160を含む。船舶104のアウトライン164は縮尺通りに、チャート100上の推奨航路に沿って繰り返される。航路160は線としてチャート100上に表示されるが、航路は他の付加的な方法によって表示されてもよい。例えば、航路は、航行の間に船舶が滞在するために推奨されるレーンとして示されてもよい。
【0021】
船舶のアウトライン164は、例えば、旋回及び/又は操縦を示すために、点線で示されてもよい。実線は、例えば、定常の機首を示すためにアウトライン164に用いられてもよい。推奨航路160に沿った船舶104の連続的な位置を示す複数のアプローチ・ポイント168が示される。様々な実施形態において、船舶104は航行中に衛生航行システムを利用する。このようなシステムは、特に限定されるわけではないが、例えば、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)、ガリレオ等を含んでもよい。従って、それぞれのアプローチ・ポイント168は、座標172によってチャート100上で地理的に識別され、それにより船舶104の航行中に地理的な案内を提供する。
【0022】
船舶104の連続的な位置に関する情報の経過が提供される。例えば、ブロック176は、3ノットの速さでの湾の水先案内人からの船舶の制御を想定した指示を含む。ブロック180は、コンテナ船184を30メーター離れて通過する指示を含んでいる。アプローチ・ポイントAP4付近で、ブロック188は船舶104がいつ旋回を開始するかを示している。差し込み図192において、アプローチ・ポイントAP4は拡大され、AP4で旋回している間に、近くの船を避けるためにさらなる指示が提供される。停泊ポイント196もまた地理的座標198によって識別される。丸数字190は様々な湾の施設を示す。
【0023】
同様の環境を描写する他のチャートにおいて、ブロック及び/又は情報エリア中に提供される航行情報は、例えば、環境の条件及び船舶が航行する方向に基づいて変化する。例えば、印刷された航行チャートの他の実施形態は、概して参照番号200として図3に示される。チャート200は、引き潮での、米国、カリフォルニア、ロサンゼルスの湾から出航する船舶104の航行に用いられる。チャート200は、情報エリア204中に、例えば、船舶104の喫水208及びチャート200に適用される天候状態212等の航行手段に有効な多様な情報のアイテムを含む。インデックスエリア214は、例えば、船舶及び/又は船舶の型及びチャートが到着か出航かを示している。コンタクト情報は、港の水先案内人216、トラフィック220、船舶オペレーター224、及び港湾警察228のために提供される。チャート200上で提供される追加情報は、出航前の注意232、パイロット情報236及び手順の注意240を含む。
【0024】
インデックスエリア214は、他のあるいは付加的な方法において、例えば、チャートが利用される港やその他の環境、環境及び/又はその他の状態、利用される特定の係船装備等を表示するために使用されることに注意されるべきである。概して、例えば、チャートに記述される手段に考慮されるべき様々な状態に基づいたインデックス・システムは、このようなチャート利用の調整及び使用に利用される。このようなインデックス・システムは、例えば、港及び船上、及び/又は船舶及び船舶トラフィックシステム(VTS)間における航行手順の利用の調整に用いられる。
【0025】
以下に詳述するチャート200上の情報アイテム232、236及び240は、他の情報のアイテムと同様に、ロサンゼルスの港に関する航行の経験による一又は複数の情報源により提供されてもよい。このような情報は、例えば、特に限定されないが、ロサンゼルスの港から航行したことがある、船のマスター104を含む船長から得られるものであってもよい。さらには、このような情報は、港の水先案内人、地元の港長及び/又はロサンゼルスの港で権限を有する他の人物、及び/又は、特に限定されないが、船舶104のオペレーターを含む船舶オペレーターから得られてもよい。このようなやり方では、船舶オペレーターは、船舶のマスターに対する港特有の指示の提供による、港特有のポリシーを遂行してもよい。例えば、異なるオペレーターの個々の必要性に基づいた、同様の港湾設備のために、ユニークな手順が表示されてもよいことに注されるべきである。川の環境に関する一実施形態において、流れの条件に基づいて、異なる手段が用いられてもよい。例えば、狭小で流れの速いパターンでの航行のための手順は、ゆっくりとした幅広のパターンでの航行のための手順とは異なる。
【0026】
様々な目印を含む環境108は、チャート200上に縮尺通りに表示される。チャート200は船舶104のための推奨航路244を含む。船舶104のアウトライン248も縮尺通りに表示され、チャート200上の推奨航路に沿って繰り返される。船舶104の連続的な位置を示す複数の出航ポイント252が推奨航路244に沿って表示される。各出航ポイント252は座標256により地理的に識別され、これにより船舶104の航行中に地理的案内が提供される。川の環境に関する多様な実施形態において、グローバル・ポジショニング・システムに代わって、あるいは追加して、マイル・マークが用いられてもよい。推奨航路がレーンによって決定された実施形態において、レーンを表示するために、出航ポイント又は他の地理的に識別されたポイントがレーンの片側又は両側に提供される。
【0027】
船舶104の連続的な位置に対する情報の経過が提供される。例えば、ブロック260は、旋回ポイント“P”を後部に保ったまま後退を維持せよ、即ち、ポイントPの周りを船尾に向かって旋回するように船舶を操作せよという指示を含む。ブロック264は、“旋回ポイントを船尾に保ち1.5ノットで後退し、クリアになり次第船首を動かせ”と提示している。船舶は横向きに動いてもよいことは注意されるべきである。さらには、様々な実施形態において、横への動作はチャート上で船舶のアウトラインを繰り返すことにより表示されてもよい。さらには、タグや荷船が組み合わせられた船舶に関する利用のための手順において、一体化したアウトラインがチャート上に表示されてもよい。
【0028】
電子航行チャートが提供される一実施形態において、衛生航行システムは船舶上の様々なポイントを地理的に識別するために使用されてもよい。例えば、特定の環境における一又は複数の船舶の航行促進のためのシステムの一実施形態は概して図4中の参照番号300のように表示される。システム300は、少なくとも一つのプロセッサ及び関連するメモリ304を含んでいる。図4にはプロセッサ/メモリ304が示されている。該システム300は、一又は複数の船舶308、図4に示されるうちの一つも含んでいる。プロセッサ/メモリ304は船舶308に搭載されていてもよい。図4に示される実施形態において、プロセッサ及びメモリ304は持ち運び可能なチャーティング・デバイス312に含まれるため、例えば、船舶の航行中の船長によって運ばれて参照される。図4に示すように、チャーティング・デバイス312は、例えば、チャートが示されるディスプレイ316、及び例えば、キーボード320といった入力デバイスを含む。
【0029】
一実施形態において、プロセッサ/メモリ304はディスプレイ316及び/又は入力デバイス320と別個であってもよい。本開示の内容は、船舶の航行を調整するための様々な構成要素によって実施されると考えられる。従って、港湾局、湾の機関、船舶トラフィックシステム等といった構成要素が、デバイス312のようなチャーティング・デバイスを使用する航行チャートを経て多様な航行手順を確立し、表示及び/又は活用すると考えられる。多くの異なる組み合わせ、配置、及びプロセッサ、メモリ、ディスプレイ及び入力デバイスの携帯性が可能であることが理解されるべきである。
【0030】
船舶308はかじ324を含む。船舶308のポイント328aないし328eは衛生航行システム330によって追跡されてもよい。追跡ポイントの座標の調整は、実質的にリアルタイムで、航行チャート上に所望の縮尺で船舶308の重ね合わせのイメージを提供するためにプロセッサ及びメモリ304によって利用される。従って、チャートは、例えば、チャート上に表示される推奨航路に沿って、実質的にリアルタイムで、航行中の船舶308の動作を表示するのに用いられる。
【0031】
電子チャートの一実施形態は図5中の参照番号400で示される。チャート400は、特定の環境406、即ち、メキシコ、コズメルでの特定の船舶404のと右着のための手順を記述している。情報エリア408はパイロット情報412、航行/アプローチ情報416、天候情報420、及び種々の情報424を含む。情報エリア408の情報は、チャート400上の他の情報のアイテムと同様に、コズメルに関する航行経験による一又は複数の情報源により提供されてもよい。このような情報は、例えば、特に限定されるわけではないが、コズメル・エリアで航行を行った、船404のマスターを含む、船長より得られる。さらには、このような情報は、コズメルの港の水先案内人及び/又はコズメルの他の機関、及び/又は、特に限定されないが、船舶404のオペレーターを含む船舶オペレーターから得られてもよい。概して、航行に関する経験による情報源は、特に限定されないが、港湾局を含む独立した情報源を含んでもよい。
【0032】
チャート400において、一又は複数の指示428は、環境406上に重ねられてもよい。該指示428は、船舶404の連続的な位置に従って、漸次配置される。例えば、船舶のパーツ及び装備の操作での特定の行動についての船長からの、船舶特有の指示を含むことが有効である。従って、例えば、手順はかじを面かじいっぱいにする指示432を含む。
【0033】
利用者は、船舶の装置からの操舵情報436をチャート400上に表示させてもよい。従って、例えば、船舶の速さ440、対地速力(SOG)444、見出し情報448、対地航路(COG)452及び検知水深456が航行の間表示されてもよい。さらには、利用者は、実質的にリアルタイムで、航行チャート400で縮尺通りに船舶404の重ね合わせイメージ460を表示させてもよい。即ち、チャート400は、航行の間、実質的にリアルタイムで、例えば、チャート上に表示される推奨航路464に対して、船舶404の動作を表示するために利用されてもよい。一実施形態において、船舶が手順と一致しないとき、例えば、船舶が推奨航路より逸脱した場合、適切なインジケーターがチャート上に表示されてもよい。例えば、船舶が推奨された速さ及び/又は機首方位から逸脱しない限り、船舶の速さ440及び/又は機首方位の情報448当の操舵情報が緑色で表示されてもよい。このような場合、長い間離脱が続くのであれば、船舶の速さ440及び/又は機首方位の情報448は、赤色で表示されてもよい。他の例として、船舶が推奨航路から離れていない場合には、実際の船舶の配置が緑色で表示されてもよい。このような場合、船舶が長い時間航路から離脱し続けているのであれば、例えば、実際の船舶の配置は赤色で表示されてもよい。いうまでもなく、例えば、航行の間、船長に警告する、他の色及び/又は表示形式及び機関が用いられてもよい。
【0034】
チャート400上の情報、例えば、実際の船舶404の配置及び情報の関連性に基づいて変化する。例えば、一実施形態において、指示428は、船舶が特定の指示と関連した位置からいなくなると消えるような、重ね合わせの“ポップ・アップ”として一時的に表示されてもよい。このようなやり方では、関連した重要な情報が突出している間は、チャート上が雑然となったままであることはない。多様な実施形態において、チャートの理解及び容易な利用を促すために、標準的なシンボルのセット及びフォーマットがチャート上で用いられ、これにより航行及び航行に関する行動の調整を促進する。
【0035】
個々の船舶、船舶の型及び/又は個々の環境に係る本開示の実施形態に従って、特定の時季、特定のオペレーター、及び、霧、潮やトラフィックといった多様な、他のあるいは付加的な条件のための特定の航行手段が提供される。一実施形態において、手順は一連のチャート中に含まれてもよい。例えば、一組の到着チャートは、例えば、一又は複数の到着エリアが示されたエリアチャートから始まってもよい。アプローチ・チャートは、到着エリアにおいて、より詳細な到着手順が用いられるポイントへの航行のための手順を示してもよい。到着チャートは特定の配置で停泊するための最終手順を示してもよい。対して、一組の出航チャートは、逆のチャート及び/又は手順のセットを含んでもよい。
【0036】
先述の方法及びシステムによれば、操縦者、港湾局、船舶オペレーター等が、地域の状況について直接的な知識を有する船長、水先案内人、オペレーター等からの有益な情報を活用できるようになる。先述の方法及びシステムに従って航行手順を決定することにより、オペレーター、水先案内人、船長及び港湾局にとって重要であると考えられる注意及び指示を、同一の航行手順に併合させることができる。このような手順を利用することにより、船長、オペレーター及び港の間の調整を効率化することができ、複雑な環境における航行の計画及び遂行に要する時間を短縮することができる。
【0037】
様々な具体例を説明したが、当業者であれば、本開示から逸脱することなく本発明が変更されることを理解する。前記の例は様々な具体例を説明するが、本開示を限定するものではない。即ち、適切な先行技術を考慮する必要がある限定のみによって、本記載及び特許請求の範囲は自由に解釈される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の航行環境における船舶の動作を促進する情報を提供する方法であって、
該環境における複数の条件に対する該船舶に関する複数の特徴を評価すること、
該評価に基づいて、該環境に対する船舶の航行のための一又は複数の手順を決定すること、
該環境の少なくとも一部が縮尺通りに表示される一又は複数の航行チャート上の一又は複数の手順の一つを記述すること、及び
一又は複数のチャート中で該環境のうちの複数のポイントによって地理的に参照される該船舶を表示し、記述された手順に従って、該ポイントが該環境に対する該船舶の連続的な位置を示すことを含む方法。
【請求項2】
一連のチャート上の一又は複数の手順のうちの一つを記述することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
船舶の表示が、一又は複数のチャートのうちの少なくとも一つで船舶を縮尺通りに表示することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一又は複数の手順のうちの一つを記述することが、船舶の航行に用いられる一又は複数の航行チャート上で情報の経過を提供することを含み、該経過は船舶の連続的な位置に対して提供される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
環境に関する状態が、天候、流れ、水深、航行に関する方針、湾に関する方針、手順に関する方針、オペレーターに関する方針、海上装置、航行装備、及び構造体の位置のうちの少なくとも一つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
環境が、港、水門、川、荷役設備、及び航行可能な水路のうちの少なくとも一つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
一又は複数の航行チャートが電子的に表示される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
環境における一又は複数の条件に基づいて、環境に対する船舶の航行に用いられる複数の手順のうちの一つを提供することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
環境に対する航行の経験による一又は複数の情報源から、環境に特有の航行案内情報を得ること、及び
該案内情報を一又は複数の手順のうちの少なくとも一つに併合することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
船舶に関する特徴が、船舶の物理的特徴、船舶の外形、船舶のかじの位置、船舶の高さ、船舶の喫水、船舶の装備、船舶の船員に関する特徴、及びオペレーター特有の方針、及び船舶のオペレーターに関する特徴、のうちの少なくとも一つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
船舶の方向に基づいて、環境における一又は複数の条件を選択的に示すことをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
環境における一又は複数の航行指標を地理的に配置すること、及び
一又は複数の航行指標に対する一又は複数のチャート中で船舶を表示することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
特定の航行環境における特定の船舶の動作を促進する情報を提供する方法であって、
該環境における複数の条件に対する該船舶の複数の特徴を評価すること、
該評価に基づいて、該環境に対する該船舶の航路を決定することと、
少なくとも該環境の一部が縮尺通りに表示される一又は複数の航行チャート上に、該航路に沿って地理的に参照された船舶の連続的な位置を表示すること、及び
一又は複数の航行チャート上に、少なくとも一部が船舶の連続的な位置に対する経過中に提供される、環境に特有の案内情報を提供することを含む方法。
【請求項14】
一又は複数のチャートのうちの少なくとも一つで、船舶が縮尺通りに表示される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
船舶の連続的な位置を、他の船舶と共に示すことをさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
船舶の特徴のうちの少なくとも一つが船舶のクラスに特有である請求項13に記載の方法。
【請求項17】
船舶の特徴のうちの少なくとも一つが個々の船舶に特有である請求項13に記載の方法。
【請求項18】
航行環境における船舶の動作を促進する情報を提供するためのシステムであって、
航行チャート上に、(a)該特定の環境の少なくとも一部を縮尺通りに表示し、(b)該特定の環境に対する船舶の航行のための、該特定の環境に対して地理的に識別された推奨航路を含む、手順を表示する手段、
航行の間に船舶の一又は複数のポイントを地理的に配置する手段、及び
地理的に配置された船舶の一又は複数のポイントに基づいて、実質的にリアルタイムで、特定の環境及び推奨された航路に対して、船舶のアウトラインの少なくとも一部を航行チャート上に表示する手段を有するシステム。
【請求項19】
船舶のアウトラインの少なくとも一部が表示手段を介して縮尺通りに表示される請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
環境に特有であり、特定の環境に対する航行の経験による一又は複数の情報源から得られる、チャート上の航行案内情報を表示するための手段をさらに有する請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
表示手段が、チャート上で環境に関する案内情報を選択的に重ね合わせるための手段を含む請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
環境における一又は複数の航行指標を地理的に配置するための手段、及び
一又は複数の航行指標に対する船舶のアウトラインの少なくとも一部を表示するための手段をさらに有する請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
手順からの船舶の離脱を表示するための手段をさらに含む請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
特定の環境における一又は複数の船舶の航行を促進する方法であって、
一又は複数の船舶について、環境に対する船舶の航行のための一又は複数の手順、船舶の複数の特徴に関するデータ及び環境の複数の条件に関するデータを用いることにより決定される一又は複数の手順をそれぞれ得ること、
一又は複数の船舶の一つについて、一又は複数の航行チャートを介して得られる一又は複数の手順のうちの少なくとも一つにアクセスすること、及び
一又は複数のチャート上の一又は複数の船舶の一つの、環境及びアクセスされた手順において推奨される航路に対する、表示を利用して航行を促進させることを含む方法。
【請求項25】
一又は複数の船舶のうちの一つは、一又は複数のチャート上で、実質的にリアルタイムで表示される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
環境の複数の条件に関するデータが、環境に関する航行の経験による一又は複数の情報源からの、環境に特有の航行案内情報を含む請求項24に記載の方法。
【請求項27】
船長、船舶オペレーター、タグオペレーター、船舶の地上勤務員、船舶トラフィック機関、及び環境機関のうちの少なくとも一つによって遂行される請求項24に記載の方法。
【請求項28】
環境が港を含み、かつ環境機関が港の機関を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
同様のチャートの書式規格がそれぞれの手順を示すために用いられる請求項24に記載の方法。
【請求項30】
船舶が、一又は複数のチャートの少なくとも一つにおいて、縮尺通りに示される請求項24に記載の方法。
【請求項31】
手順へのアクセスが、チャートのうちの一つを選択するインデックス・システムを利用することを含む請求項24に記載の方法。
【請求項32】
特定の環境における一又は複数の船舶の動作を促進するシステムであって、
それぞれの船舶について、実質的にリアルタイムで、環境及び環境に対する船舶の航行のための手段において推奨された航路に対する少なくとも一つの航行チャート中に船舶を示すように定められた少なくとも一つのプロセッサ及びメモリを備え、
該手順が少なくとも一つのチャート中に示され、船舶に関する複数の特徴に関するデータ及び環境における複数の条件に関するデータを用いることにより決定されるシステム。
【請求項33】
前記データは、航行の経験による一又は複数の情報源からの環境に特有の航行案内情報、及び船舶に関する経験による一又は複数の情報源からの船舶に関する案内情報のうちの少なくとも一つを含む請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも一つのプロセッサ及びメモリが、さらに、少なくとも一つの航行チャートを、船長、船舶オペレーター、タグオペレーター、船舶の地上勤務員、船舶のトラフィックシステム機関、及び環境機関のうちの少なくとも二つで利用可能にするように定められた請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
前記少なくとも一つのプロセッサ及びメモリが、さらに、船舶を縮尺通りにチャート上に示すように定められた請求項32に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−529517(P2010−529517A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550099(P2009−550099)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/051562
【国際公開番号】WO2008/100684
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】