説明

特殊なアニオン性増粘剤を含む、ケラチン繊維用染料

本発明は、(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られるアニオン性アクリル増粘剤を含み、このような組成物が全ポリマーの5〜50重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、ケラチン繊維の酸化若しくは非酸化染色用組成物、ケラチン繊維の同時明色化着色用組成物、又はケラチン繊維の脱色用組成物に関し、並びにケラチン繊維の酸化若しくは非酸化染色用組成物、ケラチン繊維の同時明色化着色用組成物、又はケラチン繊維の脱色用組成物を増粘させるための上記アニオン性アクリル増粘剤の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、増粘剤として特殊なアニオン性アクリルポリマーを含む、ケラチン繊維を染色するための組成物及び方法である。
【背景技術】
【0002】
本発明の目的は、直接及び/若しくは酸化染料、並びに/又は脱色/酸化剤、並びに特殊な増粘剤を含有する、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪を染色及び/又は明色化(lighthening)/脱色するための増粘組成物であり、加えて、このような組成物の使用による毛髪の着色及び/又は脱色方法である。
【0003】
着色及び脱色組成物は通常水性であり、好ましくは増粘された、溶液又はエマルションの形状である。酸化染料及び脱色組成物は通例、2つの構成成分、(i)染料又は脱色剤を含有するキャリア組成物と、(ii)酸化剤と、からなり、前記構成成分は使用に先立って互いに混合され、その後に毛髪に塗布される。2つの構成成分の粘度及び混合比率に依存して、混合は高粘度又は低粘度を生じる。通常、そのまま使える組成物が良好な粘性(すなわち、より高い粘度)を有することが評価される。加えて、美容師は多くの場合、業務用に、例えば、特殊なストランド又はシート技術のために、及び特殊な業務を染色ブラシ又はハイライトブラシで行う場合に、より高い粘度を必要とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、前記キャリア組成物と酸化剤との良好な混和性をもたらすと共に、着色剤/脱色剤組成物に良好な付着性及び着色/脱色性を付与する、組成物の経済的な増粘に対して大きな需要が存在した。
【発明を実施するための形態】
【0005】
前述した問題は、国際公開第01/97772号公報に記載されるような特殊なアニオン性アクリルポリマーの使用により解決することができることが、今では判明している。
【0006】
したがって、本発明は、
a)ケラチン繊維(特にヒトの毛髪)の酸化着色剤であって、少なくとも1種の酸化染料前駆体、及び(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含み、このような組成物が(全ポリマーの)5〜50重量%、好ましくは6〜35重量%、より好ましくは8〜30重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤;
b)ケラチン繊維(特にヒトの毛髪)の非酸化着色剤であって、少なくとも1種の直接染料、及び(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含み、このような組成物が(全ポリマーの)5〜50重量%、好ましくは6〜35重量%、より好ましくは8〜30重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤;
(c)ケラチン繊維(特にヒトの毛髪)の同時明色化着色剤であって、少なくとも1種の脱色剤(例えば、過硫酸塩)、使用される酸化剤の存在下で安定である少なくとも1種の染料、及び(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含み、このような組成物が(全ポリマーの)5〜50重量%、好ましくは6〜35重量%、より好ましくは8〜30重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤;
d)ケラチン繊維(特にヒトの毛髪)の脱色剤であって、少なくとも1種の脱色剤(例えば、過硫酸塩)、(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含み、このような組成物が(全ポリマーの)5〜50重量%、好ましくは6〜35重量%、より好ましくは8〜30重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤;
e)ケラチン繊維(特にヒトの毛髪)の同時明色化着色剤であって、使用に先立って酸化剤(例えば、過酸化水素)と混合され、使用される酸化剤の存在下で安定である少なくとも1種の染料、(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含み、このような組成物が(全ポリマーの)5〜50重量%、好ましくは6〜35重量%、より好ましくは8〜30重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤、に関する。
【0007】
特に、好ましくは前記弱酸官能性を示すモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択され、前記強酸官能性を示すモノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)のようなスルホン酸型又はホスホン酸(phosponic acid)型の官能性を有するモノマーからなる群から選択されるアニオン性アクリルポリマーである。
【0008】
更に、アニオン性アクリルポリマーは、以下の架橋剤の1種により架橋(又は分枝)されてもよい:メチレンビスアクリルアミド(MBA)、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジアクリルアミド、シアノメタクリレート、ビニルオキシエタクリレート又はメタクリレート、ホルムアルデヒド、グリオキサール、及びエチレングリコールジグリシジルエーテルのようなグリシジルエーテル型の組成物、又はエポキシド。
【0009】
特に好ましいアニオン性アクリル増粘剤は、ナトリウムアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマーである。INCI名ナトリウムアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー及び水素添加ポリデセン及びソルビタンラウレート及びトリデセス−6を有する好適なアニオン性アクリル増粘剤は、アーチ・パーソナル・ケア・プロダクツ(Arch Personal Care Products)(米国サウスプレインフィールド(South Plainfield))により商標名ヴィスクアップ(ViscUp)(登録商標)EZで市販されている。前記アニオン性アクリル増粘剤の構造及び調製の更なる詳細については、国際公開第01/97772号公報(参照により本明細書に明確に組み込む)を参照する。
【0010】
アニオン性アクリル増粘剤は、好ましくは本発明の剤の中に、(活性物質に基づいて)0.01〜8.0重量%、特に0.1〜5重量%の分量で含有される。
【0011】
本発明による剤がケラチン繊維の酸化着色剤(a)であるならば、これは毛髪に多様な毛髪色を送達する酸化毛髪染料前駆体を含む。これらの小さな分子は酸化剤又は空気中の酸素により活性化され、更なる分子と反応してより大きな染色錯体を毛幹中に形成する。好適な酸化毛髪染料前駆体は、顕色剤、カップラー、及びこれら自身とカップリングする化合物である。顕色剤は単独又は他の顕色剤(一次中間体としても既知)と組み合わせて使用してもよく、1種以上の顕色剤を1種以上のカップラーと組み合わせて使用してもよい。カップラー(色変性剤又は二次中間体としても既知)は、一般に、活性化させた顕色剤の存在下で色を形成できる無色の分子であり、特定の色の効果を生成するため又は色を安定化させるために、他の顕色剤又はカップラーと共に使用される。顕色剤及びカップラーの選択は、所望される着色の色、色合い、及び強度によって決定される。顕色剤及びカップラーを、本明細書において、単独又は組み合わせて用いて、灰色がかったブロンドから黒までの範囲の多様な色合いを有する染料を提供することができる。
【0012】
好適な酸化毛髪染料前駆体は、例えば、以下の顕色剤、カップラー、及びこれら自身とカップリングする化合物である。
【0013】
顕色剤:p−フェニレンジアミン誘導体;p−アミノフェノール誘導体及び複素環式誘導体、例:1,4−ジアミノ−2,6−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジメチルベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジメチルベンゼン、2−クロロ−1,4−ジアミノベンゼン、4−フェニルアミノアニリン、1,4−ジアミノ−2−メトキシメチルベンゼン、4−ジメチルアミノアニリン、4−ジエチルアミノ−アニリン、4−[ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン、4−[(2−メトキシエチル)アミノ]−アニリン、4−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]アニリン、1,4−ジアミノ−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2−(1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス−[(4−アミノフェニル)−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−プロパノール、1,8−ビス−(2,5−ジアミノフェノキシ)−3,6−ジオキサオクタン、4−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−メチル−アミノフェノール、4−アミノ−2−(アミノメチル)フェノール、4−アミノ−2−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−メチルフェノール、4−アミノ−2−(メトキシメチル)フェノール、4−アミノ−2−(2−ヒドロキシエチル)フェノール、5−アミノ−サリチル酸、2,5−ジアミノピリジン、2,4,5,6−テトラアミノ−ピリミジン、2,5,6−トリアミノ−4−(1H)−ピリミドン、4,5−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(1−メチルエチル)−1H−ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−[(4−メチルフェニル)−メチル]−1H−ピラゾール、1−[(4−クロロフェニル)メチル]−4,5−ジアミノ−1H−ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−メチル−1H−ピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−フェニル−1H−ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−1H−ピラゾール、2−アミノ−フェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール及び2−アミノ−5−メチル−フェノール、又はこれらの塩。
【0014】
カップラー:フェノール、レゾルシノール及びナフトール誘導体、例:N−(3−ジメチルアミノフェニル)尿素、2,6−ジアミノピリジン、2−アミノ−4−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アニソール、2,4−ジアミノ−1−フルオロ−5−メチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1−メトキシ−5−メチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1−エトキシ−5−メチルベンゼン、2,4−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)−5−メチルベンゼン、2,4−ジ−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1,5−ジメトキシベンゼン、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン、3−アミノ−6−メトキシ−2−(メチルアミノ)−ピリジン、2,6−ジアミノ−3,5−ジメトキシピリジン、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,4−ジアミノ−1−(3−ヒドロキシプロポキシ)ベンゼン、1−(2−アミノエトキシ)−2,4−ジアミノベンゼン、2−アミノ−1−(2−ヒドロキシエトキシ)−4−メチルアミノベンゼン、2,4−ジアミノフェノキシ酢酸、3−[ジ(2−ヒドロキシエチル)−アミノ]アニリン、4−アミノ−2−ジ[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1−エトキシベンゼン、5−メチル−2−(1−メチルエチル)フェノール、3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]アニリン、3−[(2−アミノエチル)アミノ]アニリン、1,3−ジ(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、ジ−(2,4−ジアミノフェノキシ)メタン、1,3−ジアミノ−2,4−ジメトキシベンゼン、2,6−ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミノトルエン、4−ヒドロキシインドール、3−ジメチルアミノフェノール、3−ジエチルアミノフェノール、5−アミノ−2−メチルフェノール、5−アミノ−4−フルオロ−2−メチルフェノール、5−アミノ−4−メトキシ−2−メチルフェノール、5−アミノ−4−エトキシ−2−メチルフェノール、3−アミノ−2,4−ジクロロフェノール、5−アミノ−2,4−ジクロロフェノール、3−アミノ−2−メチルフェノール、3−アミノ−2−クロロ−6−メチル−フェノール、3−アミノ−フェノール、2−[(3−ヒドロキシフェニル)アミノ]アセトアミド、5−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェノール、3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−フェノール、3−[(2−メトキシ−エチル)アミノ]−フェノール、5−アミノ−2−エチルフェノール、2−(4−アミノ−2−ヒドロキシフェノキシ)−エタノール、5−[(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−2−メチルフェノール、3−[(2,3−ジヒドロキシプロピル)−アミノ]−2−メチル−フェノール、3−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−2−メチルフェノール、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、5−アミノ−4−クロロ−2−メチルフェノール、1−ナフトール、1,5−ジヒドロキシ−ナフタレン、1,7−ジヒドロキシ−ナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2−メチル−1−ナフトールアセテート、1,3−ジヒドロキシ−ベンゼン、1−クロロ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、2−クロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,2−ジクロロ−3,5−ジヒドロキシ−4−メチルベンゼン、1,5−ジクロロ−2,4−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、3,4−メチレンジオキシフェノール、3,4−メチレンジオキシ−アニリン、5−[(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1,3−ベンゾオキソール、6−ブロモ−1−ヒドロキシ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、3,4−ジアミノ安息香酸、3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−1,4(2H)−ベンゾオキサジン、6−アミノ−3,4−ジヒドロ−1,4(2H)−ベンゾオキサジン、3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン、5,6−ジヒドロキシインドール、5,6−ジヒドロキシインドリン、5−ヒドロキシ−インドール、6−ヒドロキシインドール、7−ヒドロキシ−インドール、及び2,3−インドールインジオン、又はこれらの塩;並びに2−アミノ−5−メチルフェノール;2−アミノ−6−メチルフェノール、2−アミノ−5−エトキシフェノール又は2−プロピルアミノ−5−アミノピリジン。
【0015】
本発明の毛髪染料組成物は、一般に0.001重量%〜15重量%の染料前駆体を含む。例えば、低強度の染色、例えば自然な金髪から薄茶色の毛髪の色合いを提供する組成物は、一般に染色組成物の0.001重量%〜7重量%、好ましくは約0.1重量%〜5重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約2重量%の前駆体及びカップラーを含む。より暗い色合い、例えば茶色及び黒色は、典型的には、0.001重量%〜15重量%、好ましくは0.05重量%〜10重量%、より好ましくは1重量%〜約5重量%の前駆体及びカップラーを含む。
【0016】
顕色剤物質及びカップラー物質は、一般におおよそ等モル量で使用されるが、顕色剤物質がこの点である程度過剰又は不足、例えばカップラー:顕色剤の比率が1:3〜1:0.3であっても不都合ではない。
【0017】
特定の色合いを得るために、ケラチン繊維の酸化着色剤(a)はまた、一般的な天然及び/又は合成直接染料、例えば、ヘナ又は藍などの植物性染料、トリフェニルメタン染料、芳香族ニトロ染料、アゾ染料、キノン染料又はカチオン性若しくはアニオン性染料を含有してもよい。
【0018】
ケラチン繊維の酸化着色剤(a)は、一般に0.001重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.2重量%〜2重量%の直接染料を含む。
【0019】
毛髪の着色に使用される既知で、本発明の着色剤に含有することができる他の一般的な染料は、特に、E.サガリン(E. Sagarin)の503ページ以下、H.ジャニスティン(H. Janistyn)「化粧品・芳香剤ハンドブック(Handbuch der Kosmetika und Riechstoffe[Handbook of Cosmetics and Fragrances])」3巻(1973年)の388ページ以下、及びK.シュレーダー(K. Schrader)「化粧品の基礎と処方(Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika[Fundamentals and Formulations of Cosmetics])」第2版(1989年)の782〜815ページに記載されている。
【0020】
本発明による剤がケラチン繊維の非酸化着色剤(b)(酸化染料前駆体及び酸化剤を含まない)であるならば、これは前述した直接染料の少なくとも1種を前述した分量で含有する。
【0021】
本発明による剤がケラチン繊維の同時明色化着色剤(c)であるならば、これは少なくとも1種の酸化剤(例えば、過酸化水素又は過硫酸塩)と、使用される酸化剤の存在下で安定である少なくとも1種の染料と、を含む。
【0022】
酸化安定性染料として以下の染料を特に使用することができる:3−(2’,6’−ジアミノピリジル−3’−アゾ)ピリジン(=2,6−ジアミノ−3−[(ピリジン−3−イル)アゾ]ピリジン)、2−((4−エチル(2−ヒドロキシエチル)アミノ)−2−メチルフェニル)アゾ−5−ニトロ−1,3−チアゾール(別名:ディスパースブルー(Disperse Blue)106)、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−3−メチル−4−[(4−ニトロフェニル)アゾ]アニリン(別名:ディスパースレッド(Disperse Red)17;C.I.11210)、3−ジエチルアミノ−7−(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)−5−フェニルフェナジニウムクロライド(C.I.11050)、4−(2−チアゾリルアゾ)レゾルシノール、4−[(4−フェニルアミノ)アゾ]ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(別名:オレンジ(Orange)IV)、1−[(3−アミノプロピル)アミノ]−9,10−アントラセンジオン(別名:HCレッド(Red)No.8)、3’,3”,4,5,5’,5”,6,7−オクタブロモ−フェノールスルホンフタレイン(別名:テトラブロモフェノールブルー(Tetrabromophenol Blue))、リン酸1−[(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)−(2,6−ジクロロフェニル)メチレン]−3,5−ジメチル−4−イミノ−2,5−シクロヘキサジエン(1:1)(別名:ベイシックブルー(Basic Blue)77)、3’,3”,5”,5”−テトラブロモ−m−クレゾールスルホン−フタレイン、2,4−ジニトロ−1−ナフトール−7−スルホン酸二ナトリウム塩(別名:アシッドイエロー(Acid Yellow)1;C.I.10316)、4−[(2’−ヒドロキシ−1’−ナフチル)アゾ]ベンゼン]スルホン酸ナトリウム塩(別名:アシッドオレンジ(Acid Orange)7;C.I.15510)、3’,6’−ジヒドロキシ−2’,4’,5’,7’−テトラヨードスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’(9H)キサンテン]−3−オン二ナトリウム塩(別名:アシッドレッド(Acid Red)51;C.I.45430)、6−ヒドロキシ−5−[(2−メトキシ−5−メチル−4−スルホフェニル)アゾ]−2−ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩(別名:FD&Cレッド(FD&C Red)40;C.I.16035)、2,4−ジニトロ−1−ナフトールナトリウム塩(別名:アシッドイエロー(Acid Yellow)24;C.I.10315)、2’,4’,5’,7’−テトラブロモ−4,5,6,7−テトラクロロ−3’,6’−ジヒドロキシスピロ{イソベンゾフラン−1(3H),9’[9H]キサンテン}−3−オン二ナトリウム塩(別名:アシッドレッド(Acid Red)92;C.I.45410)、4−(2−ヒドロキシ−1−ナフチルアゾ)−3−メチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(別名:アシッドオレンジ(Acid Orange)8;C.I.15575)、2−アミノ−1,4−ナフタレンジオン、ジチゾン(別名:1,5−ジフェニル−チオカルバゾン)。それでもなお、使用される脱色/酸化剤に対して安定であるならば、1種以上の前述した直接染料を使用することもできる。
【0023】
好ましい脱色剤は、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過ケイ酸塩、及び過硫酸塩のような、無機過水和物塩脱色化合物である。特に好ましいのは、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、又は過硫酸カリウムのような、過硫酸塩である。脱色剤は、剤(d)又は(e)において、通常5〜65重量%、好ましくは20〜50重量%の分量で存在する。脱色剤は特に、非水性クリームの形状で、又は使用に先立って溶解される粉末として、提供されてもよい。
【0024】
剤(a)、(c)、(d)及び(e)は、1種以上の既知の酸化剤と組み合わせて使用されるが、脱色剤(d)は、好ましくは過硫酸塩と過酸化水素との組み合わせを含む。
【0025】
当該技術分野において既知の任意の酸化剤(空気中の酸素及び酵素に基づく酸化系など)を、本発明に利用することができる。好ましい水溶性酸化剤は、水溶液中に過酸化水素を生じさせることができる無機過酸素物質である。水溶性過酸素酸化剤は当該技術分野において周知であり、過酸化水素、無機アルカリ金属過酸化物(過ヨウ素酸ナトリウム及び過酸化ナトリウムなど)、並びに有機過酸化物(過酸化尿素、過酸化メラミンなど)が挙げられる。これらの無機過水和物塩は、一水和物、四水和物などとして組み込まれてもよい。アルキル及びアリール過酸化物、並びに/又はペルオキシダーゼを用いてもよい。また必要に応じて、2種以上のこのような酸化剤の混合物も使用することができる。
【0026】
酸化剤は、水溶液で、又は使用前に溶解される粉末として提供されてもよい。本発明による組成物中での使用に特に好ましいのは、単独又は他の酸化剤と組み合わせた過酸化水素である。
【0027】
本発明によれば、組成物は、0.1重量%〜約15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%、最も好ましくは2重量%〜7重量%の酸化剤を含む。
【0028】
本明細書で使用される別の好ましい酸化剤は、ペルオキシモノカーボネートイオン供給源である。好ましくは、このような供給源は、過酸化水素供給源及び炭酸水素イオン供給源からその場で形成される。このような酸化剤が、pH9.5以下、好ましくはpH7.5〜9.5、最も好ましくはpH9において、特に効果的であることが判明した。更に、この系はまた、アンモニア又はアンモニウムイオンの供給源と組み合わせると特に効果的である。この酸化剤は、高い色落ちの実現に特に関連して、所望の毛髪色結果に改善をもたらし、一方で、におい、皮膚及び頭皮の刺激、並びに毛髪繊維へのダメージを大幅に低減することが明らかになっている。
【0029】
本発明によれば、組成物は、0.1重量%〜15重量%、好ましくは1重量%〜10重量%、最も好ましくは1重量%〜8重量%の炭酸水素イオン、及び0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%、最も好ましくは2重量%〜5重量%の過酸化水素供給源を含む。
【0030】
本発明によると、組成物は、必要に応じて、少なくとも1つのアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオン及び又はアンモニアの供給源を更に含んでもよい。例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及び2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールといったアルカノールアミド、並びにグアニジウム塩などの当該技術分野において既知の任意の剤を使用することができる。特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニウムイオンの供給源をもたらすものである。いずれのアンモニウムイオン供給源も、本明細書で用いるのに好適である。好ましい供給源には、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物が挙げられる。特に好ましいのは、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物である。本発明の組成物は、0.1重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%、最も好ましくは1重量%〜3重量%のアルカリ化剤、好ましくはアンモニウムイオンを含んでもよい。
【0031】
本発明によると、組成物はラジカルスカベンジャーの供給源を更に含んでもよい。本明細書で使用する時、用語「ラジカルスカベンジャー」は、反応性ラジカル、好ましくは炭酸塩ラジカルと反応して、この反応性ラジカルを一連の速い反応によって、より反応性の低い種に変換させることのできる種である。
【0032】
本発明による好ましいラジカルスカベンジャーは、アルカノールアミン、アミノ糖、アミノ酸、アミノ酸のエステル、及びこれらの混合物の部類から選択される。特に好ましい化合物は、モノエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、1−アミノ−2−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、1−アミノ−2−ペンタノール、1−アミノ−3−ペンタノール、1−アミノ−4−ペンタノール、3−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、1−アミノ−2−メチルプロパン−2−オール、3−アミノプロパン−1,2−ジオール、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、グリシン、アルギニン、リジン、プロリン、グルタミン、ヒスチジン、サルコシン、セリン、グルタミン酸、トリプトファン、及びこれらの混合物、並びに塩、例えばこれらのカリウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩、並びにこれらの混合物である。特に好ましい化合物は、グリシン、サルコシン、リジン、セリン、2メトキシエチルアミン、グルコサミン、グルタミン酸、モルホリン、ピペリジン(piperdine)、エチルアミン、3アミノ−1−プロパノール、及びこれらの混合物である。
【0033】
本発明によるラジカルスカベンジャーは、ラジカルスカベンジャーが毛髪繊維中へ侵入するのを促進するために、好ましくは500未満、より好ましくは300未満、更に好ましくは250未満の分子量を有する。本発明の組成物は、好ましくは0.1重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜7重量%のラジカルスカベンジャーを含む。ラジカルスカベンジャーはまた、好ましくはアルカリ化剤と同一の種ではないように選択される。本発明の1つの実施形態によると、ラジカルスカベンジャーは、毛髪繊維への塗布前に毛髪染色組成物中でその場で形成されてもよい。
【0034】
本発明の組成物は、上述した特殊なアニオン性アクリル増粘剤以外の追加増粘剤、溶媒、酵素、界面活性剤、コンディショニング剤、キャリア、酸化防止剤若しくは還元剤、安定剤、キレート剤、香料、毛髪膨張剤、及び/又はポリマーを包含するが、これらに限定されない追加成分を更に含んでもよい。これらの追加成分の一部について、後で詳細に述べる。
【0035】
直接染料に基づくケラチン繊維非酸化着色剤のpH、本発明の着色剤のpHは、5〜10、好ましくは6〜9の範囲であるが、酸化染料前駆体に基づくケラチン繊維酸化着色剤のpHは、6〜12、好ましくは9〜11である。そのまま使える酸化毛髪着色剤(すなわち、本発明の毛髪着色剤と酸化剤との混合物)及びそのまま使えるケラチン繊維同時明色化着色剤のpHは、5.5〜10、好ましくは6〜9である。そのまま使えるケラチン繊維脱色剤のpHは、8〜12、好ましくは9〜11.5である。
【0036】
組成物及び所望のpHに依存して、アンモニア又は無機アミン(例えば、グルカミン、アミノメチルプロパノール、モノエタノールアミン、又はトリエタノールアミン)、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム又は水酸化カルシウム)、あるいは、有機又は無機酸(例えば、乳酸、クエン酸、酢酸又はリン酸)により、pHを調整する。
【0037】
そのまま使える組成物は、例えば、溶液であってもよく、特に水性又は水性−アルコール性溶液であってもよい。しかしながら、本発明による組成物の特に好ましい形状は、クリーム、ゲル、又はエマルションである。その組成は、染料及び/又は明色化/脱色成分と、この種類の製剤に通常使用される従来の添加剤成分との混合物を含む。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、染料粉末若しくは染料顆粒、又は脱色粉末若しくは脱色顆粒は、そのまま使える組成物を形成するために、使用するのに先立って適切なキャリア塊と混合される。特に好ましいのは、国際公開第2005/044208号公報に記載されているようなペレットの使用であり、これはそのまま使える組成物を形成するために、使用するのに先立って適切なキャリア塊と混合される。国際公開第2005/044208号公報を参照により本明細書に明確に組み込む。
【0039】
繊維の明色化と着色とを同時に達成するために、本発明の染料含有ペレットはまた、炭酸アンモニウム、例えば、炭酸水素アンモニウム又はアミノ酸若しくはこれらの塩、例えばグリシン酸ナトリウムを含むこともできる。
【0040】
意図する用途に応じて、本発明による組成物(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)は、1種以上の酸化剤(明色化/脱色、酸化着色剤)と共に、又は酸化剤(非酸化着色)なしで、使用することができる。
【0041】
ケラチン繊維の酸化染色に使用する場合、前述した組成物(a)を使用直前に酸化剤と混合し、染色に十分な分量(通例60〜200グラム)のそのまま使える混合物を繊維に塗布する。
【0042】
本発明の着色剤が酸化染料前駆体を含有しないか、又は大気中の酸素によって容易に酸化される酸化染料前駆体を含有する場合、前記着色剤は、事前に酸化剤と混合せずに、ケラチン繊維に直接塗布することができる。
【0043】
顕色に好適な酸化剤は上述されているが、1〜12重量%、好ましくは6重量%の水溶液の形状である、過酸化水素、又はその尿素、メラミン、若しくは臭素酸ナトリウムとの付加化合物が酸化剤として好ましい。組成物(a)と酸化剤との混合比は酸化剤の濃度により、通例5:1〜1:2、好ましくは1:1であり、そのまま使える組成物中の酸化剤の分量は、好ましくは0.5〜8重量%、特に1〜4重量%である。15℃〜50℃で10〜45分間にわたって、好ましくは15〜30分間にわたって、そのまま使える着色剤をケラチン繊維(例えば、ヒトの毛髪)に作用させておき、その後、繊維を水ですすいで乾燥させる。所望により、このすすぎに続いて、ケラチン繊維をシャンプーにより洗浄し、可能であれば、例えば、酒石酸などの弱有機酸でその後すすぐ。その後、ケラチン繊維を乾燥させる。
【0044】
ケラチン繊維の同時明色化着色剤(c)又は(e)、並びにケラチン繊維の脱色剤(d)は通常、多構成成分キット、特に2構成成分キットの形状で使用され、1つの構成成分は酸化剤を含有し、もう一方は染料又は脱色剤を含有する。使用に先立って、構成成分を互いに混合し、ケラチン繊維を着色及び/又は明色化/脱色するのに十分な分量(通例60〜200グラム)のそのまま使える混合物を繊維に塗布する。15℃〜50℃で10〜45分間にわたって、好ましくは15〜30分間にわたって、そのまま使える組成物をケラチン繊維(例えば、ヒトの毛髪)に作用させておき、その後、繊維を水ですすいで乾燥させる。所望により、このすすぎに続いて、ケラチン繊維をシャンプーにより洗浄し、可能であれば、例えば、酒石酸などの弱有機酸でその後すすぐ。その後、ケラチン繊維を乾燥させる。
【0045】
必要であれば、そのまま使える組成物(a)、(b)、(c)又は(d)の粘度は、適切な分量の上述した本発明のアニオン性アクリル増粘剤を組成物に加えることにより、増加させることができる。酸化若しくは非酸化着色剤、又はケラチン繊維同時明色化染色剤、又はケラチン繊維脱色剤はまた、上述した本発明のアニオン性アクリル増粘剤を使用直前に加えることにより、増粘させることもできる。このことは、よりシンプルで、より経済的なベース製剤をもたらす。
【0046】
上述した組成物(a)、(b)、(c)又は(d)は、極めて優れたやり方で付着特性、塗布特性及び粘度調整における要件を満たし、明らかに塗布がより容易である。更に、上述した組成物(a)、(b)、(c)又は(d)は、均質な稠度を有し、美容用品として魅力的である。特に注目すべきことは、上述した組成物(a)、(b)、(c)又は(d)の非常に良好な粘度及び極めて優れた安定度、並びにこれらが毛髪に良好に付着することである。更に、上述した組成物(a)、(c)又は(d)により、そのまま使える酸化着色剤の粘度及び付着特性に感知できるほどの悪影響を及ぼすことなく、着色剤と酸化剤との重量比を広範囲にわたって変えることができる(例えば1:1〜1:2.5)。
【0047】
以下の実施例は、本発明の範囲に制限するものではなく、本発明の主題をより詳細に説明することを目的とするものである。
【実施例】
【0048】
実施例1:酸化毛髪着色剤、液体
【0049】
【表1】

【0050】
前述の毛髪着色剤50gを、6%過酸化水素水溶液50gと使用直前に混合した。これにより、均質で、美容用品として魅力的で、最適な粘性の、着色剤製剤が得られた。次に、このようにして得られた混合物を天然の金髪に塗布した。40℃で30分間にわたる曝露時間後、毛髪を水ですすいで乾燥させた。毛髪は明るい銅赤色の着色を示した。
【0051】
実施例2:ゲル形状の酸化毛髪着色剤
【0052】
【表2】

【0053】
使用前に、液体染料キャリア組成物(A)40gを過酸化水素エマルション(B)80gと、(A):(B)の混合比が1:2に相当するように混合し、この混合物120gをヒトの白髪に塗布した。室温で20分間にわたる曝露時間後、毛髪を水ですすいで乾燥させた。このようにして処置した毛髪は、生え際から毛先まで均質な茶色に着色された。本発明の着色剤は容易に塗布され、毛髪から流れ落ちなかった。
【0054】
実施例3:クリーム形状の酸化毛髪着色剤
【0055】
【表3】

【0056】
前述の毛髪着色剤50gを、12%過酸化水素水溶液50gと使用直前に混合した。次に、得られた混合物を天然の金髪に塗布した。40℃で30分間にわたる曝露時間後、毛髪を水ですすいで乾燥させた。均質で、力強い茶色の色合いが得られた。
【0057】
実施例4:毛髪一時着色剤(Hair Tinting Agent)(非酸化型)
【0058】
【表4】

【0059】
わずかにゲル化した着色剤組成物が得られ、この着色剤組成物は、その極めて優れた粘度特性のために、毛髪に容易かつ均質に塗布され、毛髪に良好に付着した。20℃で20分間にわたる曝露時間後、毛髪をぬるま湯ですすぎ、形を整えて乾燥させた。このようにして処置した毛髪は、均質で非常に光沢のある金オレンジ色の着色を示した。
【0060】
実施例5:酸化着色剤
【0061】
【表5】

【0062】
使用前に、液体染料キャリア組成物(A)40gを過酸化水素エマルション(B)80gと、(A):(B)の混合比が1:2に相当するように混合し、この混合物120gをヒトの毛髪に塗布した。室温で20分間にわたる曝露時間後、毛髪を水ですすいで乾燥させた。このようにして処置した毛髪は、均質な暗褐色の色合いであった。本発明の着色剤は、流れ落ちることなく毛髪に非常に良好に付着した。
【0063】
実施例6:毛髪を同時に明色化及び着色するための着色剤
【0064】
【表6】

【0065】
使用前に、液体染料キャリア組成物(A)40gを過酸化水素エマルション(B)40gと、(A):(B)の混合比が1:1に相当するように混合し、この混合物をヒトの毛髪に塗布した。室温で10分間にわたる曝露時間後、毛髪を水ですすいで乾燥させた。本発明の着色剤は、流れ落ちることなく毛髪に非常に良好に付着した。
【0066】
実施例7:毛髪を同時に明色化及び着色するための着色剤
【0067】
【表7】

【0068】
使用前に、上記明色化粉末(A)40gを12%水性過酸化水素溶液(C)80g及び上記増粘剤(B)5gと混合し、均質な組成物を形成した。この混合物を乾燥したヒトの毛髪に塗布した。40℃で20分間にわたる曝露時間後、毛髪を温水ですすいで乾燥させた。このようにして処置した毛髪は、均質な、明るいオレンジ色の色合いであった。本発明の着色剤は、流れ落ちることなく毛髪に非常に良好に付着した。
【0069】
1)ヴィスクアップ(ViscUp)(登録商標)EZは、35〜55%のナトリウムアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマーと、23〜35%の水素添加ポリデセンと、20〜30%のソルビタンラウレートと、5〜10%のトリデセス−6と、からなる混合物である。
【0070】
特に指示のない限り、本特許出願の全ての百分率は、重量による。
【0071】
本明細書に開示される寸法及び値は、示された数値そのものに厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図している。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維の酸化着色剤であって、少なくとも1種の酸化染料前駆体を含み、(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含むことにより特徴付けられ、このような組成物が全ポリマーの5〜50重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤。
【請求項2】
ケラチン繊維の非酸化着色剤であって、少なくとも1種の直接染料を含み、(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含むことにより特徴付けられ、このような組成物が全ポリマーの5〜50重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤。
【請求項3】
ケラチン繊維の同時明色化着色剤であって、少なくとも1種の脱色剤と、使用される酸化剤の存在下で安定である少なくとも1種の染料とを含み、(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含むことにより特徴付けられ、このような組成物が全ポリマーの5〜50重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤。
【請求項4】
ケラチン繊維の脱色剤であって、少なくとも1種の脱色剤を含み、(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含むことにより特徴付けられ、このような組成物が全ポリマーの5〜50重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤。
【請求項5】
使用に先立って酸化剤と混合される、ケラチン繊維の同時明色化着色剤であって、使用される酸化剤の存在下で安定である少なくとも1種の染料を含み、(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られる少なくとも1種のアニオン性アクリル増粘剤を含むことにより特徴付けられ、このような組成物が全ポリマーの5〜50重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、剤。
【請求項6】
前記弱酸官能性を示すモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択されることにより特徴付けられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の剤。
【請求項7】
前記強酸官能性を示すモノマーが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のようなスルホン酸型又はホスホン酸型の官能性を有するモノマーからなる群から選択されることにより特徴付けられる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の剤。
【請求項8】
前記アニオン性アクリルポリマーが、メチレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジアクリルアミド、シアノメタクリレート、ビニルオキシエタクリレート、メタクリレート、ホルムアルデヒド、グリオキサール、グリシジルエーテル型の組成物及びエポキシドからなる群から選択される架橋剤によって架橋又は分枝されることにより特徴付けられる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の剤。
【請求項9】
前記アニオン性アクリル増粘剤が、ナトリウムアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマーであることにより特徴付けられる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の剤。
【請求項10】
前記アニオン性アクリル増粘剤が、ナトリウムアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマー及び水素添加ポリデセン及びソルビタンラウレート及びトリデセス−6であることにより特徴付けられる、請求項9に記載の剤。
【請求項11】
前記アニオン性アクリル増粘剤が、活性物質に基づいて、0.01〜8.0重量%の分量であることにより特徴付けられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の剤。
【請求項12】
前記ケラチン繊維が、ヒトの毛髪であることにより特徴付けられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の剤。
【請求項13】
(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られるアニオン性アクリル増粘剤の使用であって、このような組成物が全ポリマーの5〜50重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、ケラチン繊維の酸化若しくは非酸化染色用組成物、ケラチン繊維の同時明色化着色用組成物、又はケラチン繊維の脱色用組成物の増粘のための、使用。
【請求項14】
(i)弱酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%と、(ii)強酸官能性を示す少なくとも1種のモノマー5〜95モル%との重合により得られるアニオン性アクリル増粘剤の適切な分量により特徴付けられる方法であって、このような組成物が、全ポリマーの5〜50重量%の範囲の水溶性ポリマーの一部を呈する、使用に先立って、前記組成物に加えられる、ケラチン繊維の酸化若しくは非酸化染色用組成物、ケラチン繊維の同時明色化着色用組成物、又はケラチン繊維の脱色用組成物を増粘させるための、方法。

【公表番号】特表2010−517993(P2010−517993A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547805(P2009−547805)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【国際出願番号】PCT/IB2008/050611
【国際公開番号】WO2008/102310
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】