説明

特殊ガス混合物を製造する小型化されたプラント

本発明はガスボンベ(7)を純ガスおよび/または純ガスもしくは特殊ガスの混合物で充填するプラントに関し、前記プラントは:ガスを選択するおよび/またはガスボンベ(7)へ供給されるべきガスの混合物を製造するデバイス(4);前記混合物または前記純ガスの組成を分析する装置を含み;プラントを占有面積が45m2未満であり、好ましくは前記占有面積が34m2ないし40m2の範囲にある可搬式コンテナ(10)内に一体的に収容する処置;前記コンテナ内に収容されたデバイスをコンテナの壁に取り付け、前記コンテナの外側に位置するガスソースに接続できるようにする処置を実行することを特徴とし;そのようにして得られた配置が、ユーザーに、前記デバイスおよび装置に前記コンテナ内部からアクセスして前記コンテナの内部でボンベを充填することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明はボンベを純粋な工業用ガスまたは純ガスもしくは特殊ガスの混合物で充填するプラントに関する。
【0002】
このような充填作業に関係するガスは、たとえば以下である:
−ボンベが「バッチ」式で(一度に幾本ものボンベが)充填される場合の、空気(N2、Ar、O2)、ヘリウム、水素およびこれらの混合物から、他のガスと共に、パーセントレベルの濃度で取り出されるもの。
−二酸化炭素または一酸化二窒素であって、これらのボンベは秤量によって、一度に1本のボンベが充填される。
【0003】
特殊ガスの混合物はボンベ内で圧縮または液化された状態にあるガスの混合物であって、これらの混合物は以下の側面を特に特徴とする:
−成分の濃度に関する優れた精度;
−非常に多種の成分、ときには数十種の成分、たとえば製油所および石油化学産業で使用される炭化水素混合物など;
−これら成分がボンベの壁に対して敏感である場合であって、特にそれらの濃度が低い場合に、これら成分の濃度の安定性を維持するのが困難なこと。
【0004】
これらはそれゆえに組成に関して非常に正確であるおよび/または非常に低い含有量,これら含有量はppmレベルである,の成分を含有する混合物である。
【0005】
これらの特徴は、特に:
−充填されるべきボンベの内側を清浄化および皮膜保護して、それによってボンベの壁に対して敏感である成分の経時的に安定なままである濃度を得るため;
−成分の濃度に関する精度の度合いが高い混合物を製造するため;
−混合物の組成を制御するため
に複雑な製造設備を必要とする。
【0006】
このような設備を製造プラントに組み込むことは専門家の設計研究および好適な建物(たとえば温度が制御される建物)を必要とする。設計段階に関するリードタイムおよび適した建物のコストは大きい。特に、市場が、危険な経済的環境のために正当性を示すには小さすぎるおよびときにはそれが難しすぎるものであり、かつあまり知られていない市場または不安定な経済的情勢である場合には、前記コストは高すぎる。
【0007】
さらに、プラントの複雑化は急速に進展していることがわかっている。産業界はいわゆる重工業から消費者製品および物資を製造するユニットへますます切り替わっている。これは第1にプラントの規模の変更を、および第2に高度に多様な地理的位置に由来するますます複雑化した非常に様々な製造機械の必要をもたらしている。
【0008】
プラントが大きくても小さくても、単純でも複雑でも、このようなプラントを建設する場合に従うアプローチは従来と同じで変わっていなかった。「完成引渡し式(cle en main)」解決策が非常に多くの場合に用いられる。これらは1または複数の供給業者に予め設定された技術的なおよび財務的な目標に従わせてそれにより工業的な(最終使用顧客の)成果を保証させるという産業に対しての利点を有する。結果として、「完成引渡し式」解決策としてのプラントの製造は以下のようにまとめられる:
まず第1に、製造機械は、たとえば既に発展している国々における様々な現存のプラントでつくられる。
【0009】
これら様々な機械は陸をわたってまたは海路で目的の用地へ送られる。
【0010】
これら機械は目的の用地に既に建てられている伝統的なまたは組立式の建物内で組み立てられる。
【0011】
前記機械は、目的の用地にある建物内部で組み立てられおよび互いに接続される(流体、電気、配管など)。
【0012】
前記機械は目的の用地において始動に先立って試験される。
【0013】
たとえば発展途上国にある遠方の完成引渡し式工業ユニットに関するこの従来の方法は、それに関連する多数の制御不能な要因を有する。目的の用地での建物の建設が遅れており注文した設備が数ヶ月またはそれ以上にわたって箱の中に入れられたままになるリスクがある場合には、注文した設備は届くだけで十分である。これは機械の劣化をもたらしおよび高額な整備を必要とする。
【0014】
機械が協定期限内に全く送達されないまさにそのときに問題がしばしば起こる。ラインの中ごろの部材が欠けていることはプラントまたはプラントの一部を完全な形で始動させることを妨害しうる。
【0015】
この従来の完成引渡し式プラント解決策では、幾人ものパートナーが地理的に互いに離れた様々な段階および位置で事業を分担する。製造プラントは設備の専門家に組み立て、始動および最終的な引渡しの段階を監督することを任ずる。設計および製造の工学的な関心は専門的な技術者に詳細な設計、据付図の製図および試験を任ずる。これは数多くの情報交換の問題をもたらす。これは特に工業的なエンドユーザーまたは地方企業が建物の建築と設備の設置とに責任をもつ場合である。
【0016】
プラントを移転させることによって、製造コストを削減することと新たな工業機構に対する投資のより効率的な償却とが可能である。しかし、現在の状況は様々な機械を、海路によってまたは陸路によって(トラックを使用して)移動させることのできる物資のために通常使用されるタイプのそれぞれの内部置き場を輸送する選択肢を提供することに事実上制限されている。これらは、機械が前記置き場に載せられなければならないしそこから移されなければならずおよびそのあとに製造ラインを組み立て直さなければならないので、時間およびコストをある制限値未満に削減するものでない。
【0017】
本発明によって扱われる1つの技術的課題はそれゆえに純ガスまたは特殊ガスの混合物の工業的製造のためのプラントであって、分解、輸送および組み立て直しを単純にかつ迅速に行えるプラントを提供することである。
【0018】
以下においてより詳細に理解されるであろうが、本発明によって提案されるプラントは、このような順応性を達成するために、以下の点で顕著である:
−前記プラントは、非常に小型のコンテナを収容できるような「小規模」のプラントであるが、ガスが扱われるのであれば、温度、精度および安全面での優れた条件を提供することが必要であり、
−前記プラントは運転可能である:換言すると、オペレータはそれに入ることができ、その中で作業でき、その中で動き回れかつ運搬処理作業を実行することができる必要があり、これの全てをプラント内部およびあるスペース内で行うが、これはそれでもボンベの移動を制限するために制限される、
−そのために、前記プラントを構成する基本的な設備はコンテナの壁に固定されており、それによりオペレータが、全ての必要な作業、たとえばボンベを移動させることなどを行いながら、前記プラント内部を動き回ることを可能にしている。
【0019】
−前記プラントは好ましくは換気システムを有し、これは一方ではコンテナ内部の温度の制御を提供し、これは作業をコンテナ内部で外部温度と無関係に行うことができるようするがさらには混合物の成分の圧力−温度を測定することによって正確な混合物を作り出すことを可能にし、および前記換気システムはさらには毒性および/または可燃性ガスのあらゆる不測の漏洩物をコンテナの内部雰囲気中に希釈させてそれにより損害を与える結果とならないようにする。
【0020】
プラントを構成するものでありおよびコンテナの壁に固定される基本的な設備の中に含まれるものには、特に、第1の充填に先立つボンベの真空乾燥のための装置、残留ガスをボンベからそれらが再充填される前に除去するための装置、混合物を製造するための装置、ガスの精製器、および分析器などがある。
【0021】
なお、従来技術は、海路によってまたは陸路によって輸送できるものであってプラントにおいて使用することを目的とした機械を収容した複数のコンテナであって;規定されるべき配置で互いに組み合わされて本来のプラントを形成するコンテナを記載した文献EP−366559およびWO2006/123373などの文献を含んでいる。
【0022】
たとえば、実例として、WO2006/123373は、目的とする製造方法に必要とされる装置を収容した複数のコンテナの配置に関する(それはまず第1に絶縁パネルの製造を目的としているがそれは他の考えられる用途たとえば「液体製品の包装」を挙げており、気体混合物の製造およびボンベへのその充填に関する特別な場合を説明しているところはどこにもない。しかし、およびとりわけ、それは、オペレータが入ることができ、中で動き回れ、製品を製造でき、ボンベを小型化されたスペース内で移動させることができるプラントを記載しておらず、これは、かなり明らかなことに、筆者が、空のコンテナであって、プラントに「隣接」しており、オペレータが「製造プラント」にアクセスすることを可能にするコンテナの存在を予測しおよび、かなり論理的にはこれらコンテナの壁がそれゆえに開いて連通するからである。それゆえに、WO2006/123373はかなり異なるタイプのプラントに関するものでありおよびかなり論理的にはWP2006/123373は同様の問題に向き合っておらずおよびそのためここで示された課題に技術面から対処する解決策を何ら提案するものではないことは、以上から明らかに理解できる。
【0023】
したがって本発明の1つの主題は純ガスおよび/または純ガスもしくは特殊ガスの混合物を使用してボンベをガスで充填するプラントであって:
−ガスを選択するおよび/またはガスボンベへ導入されることを目的としたガスの混合物を製造する設備と、
−前記混合物または前記純ガスの組成を分析する装置と、
を有し;
以下の処置:
−前記プラントを、その占有面積が45m2未満であり、好ましくは前記占有面積が34m2ないし40m2の範囲にある可搬式コンテナ内に全体的に収容する;
−前記コンテナ内に収容された前記設備および装置を前記コンテナの壁に取り付けて前記コンテナの外側に位置するガスソースに接続できるようにする;
の使用によって特徴付けられ、
このようにして作られた配置が、それを使用する作業員に、この設備および装置に前記コンテナ内部からアクセスして前記コンテナ内部で前記ボンベの充填を実施することを可能にするプラントである。
【0024】
さらに、本発明によるプラントは以下の特徴のうち1つ以上を採用してもよい:
−前記プラントは2つの部分を有し、
i)第1の部分は:
−ガスボンベへ導入されることを目的とした純ガスまたは特殊ガスの混合物を製造する設備、
−前記特殊ガスまたは純ガスの混合物の組成を分析する装置、
を有し、
j)他方の部分(3)は:
−充填されるべきボンベ内に収容されている残留ガスを排出する少なくとも1つの排出手段、
−充填されるべきボンベを清浄化および/または皮膜保護する少なくとも1つの手段、
−製造された混合物を均一化する少なくとも1つの手段、
を有する。
【0025】
実際には、前記プラントは、当該2つの部分を含んだ1つのコンテナから構成されていてもよいし、あるいは端と端とをつけた状態で設置され、連通している2つのコンテナから構成され、関係する2つの部分の各々に対して1つのコンテナがあってもよい。
【0026】
−前記2つの部分は可動壁によって互いから分離されている。
【0027】
−前記第1の部分は内部温度を制御する手段をさらに有する。
【0028】
−混合物を製造する設備は少なくとも1つの分析器と連携する少なくとも1つのミキサを有する。
【0029】
−混合物を製造する設備は:
−各々、ボンベへ導入されるべきガスの量を正確に測定することができる秤量装置および/または圧力測定装置、
−充填されるべきボンベと、好ましくは前記コンテナの外側に位置するガスソースとの間の接続手段と
を有する。
【0030】
−混合物を製造する設備は任意のタイプの圧縮または液化ガス混合物を製造できる少なくとも1つのラインセットを有する。
【0031】
−前記コンテナ内に位置する前記秤量装置は、前記コンテナと独立し、その基部が前記コンテナの床面よりも下に位置する支持体上に配置されている。
【0032】
−前記プラントは以下から選択される、前記混合物の組成を分析する少なくとも1つの装置を有する:
−混合物の種々の成分を分離することを目的とした少なくとも1つのガスクロマトグラフ;
−少なくとも1つの熱伝導度検出器(TCD)または水素炎イオン化検出器(FID);
−少なくとも1つの酸素分析器;
−少なくとも1つの水分分析器;
−混合物中のある成分の濃度を決定する少なくとも1つの赤外分光計。
【0033】
本発明にとって好ましい大きさに関して読むことによって理解されるように、ISOコンテナが好ましく、以下のことが想起されるであろう:
−20フィートISOコンテナは6m×2.4m=14.4m2である
−40フィートISOコンテナは12m×2.4m=28.8m2である。
【0034】
本発明の好ましい実施によると、前記プラントは1つの40フィートISOコンテナか、あるいは、2つのISOコンテナであって:
−ボンベの内部準備のための1つの20フィートISOコンテナと、
−混合物を製造および分析するための40フィートISOコンテナと
を有する。
【0035】
本説明において前に述べたように、前記プラントは好ましくは換気システムを有し、これは一方ではコンテナ内部の温度の制御を提供して、これはそれにより作業がコンテナの内部で外部温度とは無関係に行われることを可能にするがさらには混合物の成分の圧力−温度を測定することによって正確な混合物を作り出すことを可能にし、この換気システムは毒性および/または可燃性ガスのあらゆる不測の漏洩物をコンテナの内部雰囲気に希釈させてそれにより損害を与える結果とならないようにすることも可能にする。
【0036】
当然のことながら、このシステムは可燃性ガス(たとえばH2…)または毒性ガス(たとえばCO、H2S、NO2…)の取り扱いに関して正当性が特に十分に認められる。さらに、その圧力の目標はそれゆえにこのようなガスがコンテナ内部に蓄積するのを避けることにある。
【0037】
このような蓄積はもちろん、毒性および/または可燃性ガスを取り扱うこのようなプラント内では当然のことながら各々の工程がこのようなリスクを制限するように行われる(当業者に周知されている処置である、外部へ換気するベント、フィルタ、収集バルブ、高圧設備の使用、耐腐食性材料など)ので、不測の漏洩のみに起因する。
【0038】
取り扱われるガスに応じて、抜き取り点に関しての数多くの配置および位置決め、特にこれらを空気よりも重いガスおよびさらには空気よりも軽いガスを収集するために低い位置および/または高い位置のいずれにすることを考えつくのはもちろん可能である。
【0039】
毒性または可燃性ガスの存在を、コンテナの外側に放出を行うベントの内部に設置した検出器によってたとえば検出することは以下の事項などの選択される行動をもたらすであろう:空気再生流量の増加、可視または可聴警報、強制換気設備および非常照明を除いたコンテナ設備のほとんどへ供給される電力の切断など。
【0040】
本発明の実施形態のうちの1つによると、前記プラントは2つの部分:
i)混合物を製造する設備と混合物の組成を分析する装置とを収容した第1の部分、および
j)「ボンベ調製」の部分と呼ぶことができ、充填されるべきボンベ内に収容されている残留ガスを排出する設備と、充填されるべきボンベを清浄化および/または皮膜保護する手段と、製造された混合物を均一化する手段とを収容した第2の部分
を有し、
前記プラントは換気システムであって:
−「ボンベ調製」の第2の部分における、2つの独立した強制換気ブロワ,この第2の部分の全体を換気するための一方、および特に排出段階にあるボンベの位置の上方に位置する他方の換気ブロワと;
−「混合物製造」の第1の部分における、2つの独立した強制換気ブロワ,この第1の部分の全体を換気するための一方、および特にボンベが充填または分析されている最中にある各ステーションの上方に位置する他方の換気ブロワと
を有するシステムをさらに有する。
【0041】
本発明のもう1つの主題は、前記プラントの外部の特殊ガスの少なくとも2つのソースに接続された、上で規定したようなプラントを実行する、ボンベ内で特殊ガスの混合物を調製する方法である。
【0042】
本発明の方法の実施形態のうちの1つによると、充填されるべきボンベは一度に1つのガスソースのみに接続される。
【0043】
本発明の方法の実施形態のうちの1つによると、それは:
−充填されるべきボンベを準備する工程;
−各々、前記ボンベへ導入されるべきガスの量を正確に測定することができる秤量装置および/または圧力測定装置を使用して、前記ボンベを、それをガスのソースに接続することによって充填する工程;
−このようにして充填された前記ボンベの内容物の組成を分析する工程
を含む。
【0044】
使用されるコンテナはたとえば陸路または海路で輸送できるISOコンテナでもよい。たとえば、製造コストを最適化するために完全なプラントの製造を工場で規格化すること、および必要な場合に、投資を取り戻すために、コンテナ/プラントを引き揚げてそれをより好適な場所へ輸送することができる。
【0045】
上に挙げた従来技術文献と対照的に、コンテナに収容された設備はコンテナの壁に取り付けられている。詳細には、たとえば製造設備または分析装置などのコンポーネントは本発明によるプラントを収容したコンテナの壁に固定される。既に上で説明したように、一方でこのような配置はユーザーがこの設備にコンテナの内側からアクセスできるようにし、他方で同時に、この設備を互いにコンテナの外側に位置するガスソースにコンテナの壁に取り付けられた配管を使用して接続するのを可能にする。これは所定のスペースの節約を与えおよびそれによりプラントがより首尾よく小型化されるのを可能にするが、さらには装置の固定のおかげで測定のより優れた安定性も確保する。
【0046】
実例として、前記プラントは長さが12メートル、幅が3メートル以上のISOコンテナ、あるいは端と端とが接した状態で配置された長さが6メートルの2つのISOコンテナの内部に設置してもよい。
【0047】
なお、従来技術によると、純ガスの充填と純ガスまたは特殊ガスの混合物の充填との両方の面で、充填されるべきガスの量と必要とされる原料の量とのせいで、充填プラントを収容する大型の建築物が今まで常に検討されていた。
【0048】
他の細部および利点は図面を参照しながら示した以下の説明を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本発明によるプラントの構成の一例の図である。
【図2】図2は、本発明によるプラントに含まれる、特殊ガスの混合物を製造する設備の図である。
【0050】
図1は、特殊ガスの混合物を製造するための、2つの部分2および3を有する本発明によるプラント1を図示している。2つの部分は可動壁20によって分離されている。たとえば、可動壁20は引戸である。図1は可動壁によってつながれた2つの部分に分けられる1つのコンテナとしての実施形態の場合を図示しているが、本発明によれば前記2つの部分が互いに接続された2つのISOコンテナからなる実施形態に考えつくことも同様に可能である。
【0051】
第1の「混合物製造」の部分2は内部温度が温度制御手段によって制御される。たとえば、このような手段は加熱システムまたは空気調和システムである。
【0052】
前記部分2は混合物を製造するのに使用される設備4と混合物の組成を分析するのに使用される装置,ここでは領域5に位置している,とを収容している。
【0053】
前記混合物を製造する設備4の一例を図2に図示する。
【0054】
たとえば圧力計を使用する、混合されるべきガスの量の正確な測定が、好ましくは温度制御されるスペースにおいて充填するための設備およびボンベを使用して行われる。この制御された温度の態様は工業規模でのかなりの信頼性および精度を得るのに重要な特徴である。温度制御は圧力測定方法を使用する正確な混合物の製造に必要とされる。
【0055】
「ボンベ調製」の部分3は、充填されるべきボンベ内に収容されている残留ガスを排出する少なくとも1つの手段6と、充填されるべきボンベを清浄化および/または皮膜保護する少なくとも1つの手段8と、製造された混合物を均一化する少なくとも1つの手段9とを有する。プラント1は全体が可搬式コンテナ10内に収容されており、このコンテナの占有面積は45m2未満であり、この占有面積は好ましくは34m2ないし40m2の範囲にある。コンテナ10の高さは、たとえば、2.5メートルないし3.5メートルの間にあり、およびこの高さは好ましくは3メートルである。
【0056】
実際、作業員はドア11を通ってコンテナの中に入り、およびボンベ7の準備(清浄化、皮膜保護、排出)を目的とした部分3に最初は位置しているボンベ7を充填することを実行する。混合物の前記充填は、温度が制御される部分2において、混合物製造設備4を使用して行われる。
【0057】
特殊ガスの混合物で充填されることを目的としたボンベ7は、まず第1に、必要ならば、たとえば清浄化および/または皮膜保護手段8を使用する清浄化によって、および/または、このボンベが既に使用されたものである場合には、排出手段6を使用して残留ガスをボンベから排出することによって準備される。
【0058】
それが既に使用されたものである場合、前記ボンベはそのためにおそらく残留ガスで汚れているであろう。皮膜保護手段8は、たとえば、中にボンベ7が数時間にわたって導入されるオーブンである。ボンベ7の準備ができたら、ユーザーはそれを手にして、その後プラントの温度制御される部分2へそれを転がすかあるいは運ぶ。そうしてユーザーはこのようにして準備されたボンベ7に特殊ガスの混合物を充填することを実行できる。幾本ものボンベが準備できた場合には、ユーザーは、彼の作業時間と生産性とを最適化するために一度に幾本もを輸送して、前記ボンベを専用位置11に収容させることができる。
【0059】
混合物製造設備4を図2に模式的に図示している。充填されることを目的とした複数のボンベが同一の充填ラインセット12に接続手段14によって接続されている。この充填ラインセット12はコントロールパネル13、たとえばCLPに接続されている。この充填ラインセット12は自動バルブ22に接続されており、このバルブは測定器具に、たとえば秤量システム17によって構成される重量計量器に接続されていて、それにより、ボンベ内に導入されるべきガスの重量に達したときに、バルブが自動的に閉じる。
【0060】
充填ラインセット12は、図1に図示したように、中に本発明によるプラントが置かれるコンテナ10の外側に位置する、特殊ガスのソースのネットワーク15にも接続されている。安全面に関して特別な利点のある本発明の実施形態のうちの1つによると、ボンベが充填されている最中には、このボンベは一度に1つだけのガスソースに接続される。これは、爆発を避けるのに、前記ボンベが充填されている最中、可燃性ガスのソースは酸化性ガスのソースと同時に前記ボンベに接続されないことが好ましいからである。充填ラインセット12がボンベをあらゆる種類の混合物で充填できるという事実は、前記ラインセット12の清浄化、特に接続ボリュームの清浄化を必要とするであろう。このようなラインセット12は本発明の1つの実施形態によると1つのラインセットでもよい。同じラインセット12で、たとえば可燃性ガス/不活性ガスの、酸化性ガス/不活性ガスの、酸化剤/燃料の混合物などの混合物をボンベに充填できる。また、設備内での不適合性ガスの混合物の製造を防ぐ安全システム(図示していない)がコンテナ10に追加されてもよい。
【0061】
混合物を構成する特殊ガスの量は測定装置およびチェック手段たとえば圧力計16および秤量システム17を使用して測定およびチェックされる。所望される混合物の製造に所望される精度の程度によるが、設備4は圧力測定装置16および秤量システム17のどちらも、またはこれら2つのうち一方のみを有する。前記混合物を製造する設備4はコンテナ10の温度制御される部分2内に位置しておりおよびそのため安定な温度が圧力を確実に測定するのを可能にする。
【0062】
測定結果がたとえばコンテナ10の床の振動の結果として不安定にされるのを避けるために、秤量システム17はここでは前記コンテナ10とは独立した支持体18上に配置されている。支持体18の基部はコンテナ10の床面よりも下に位置している。たとえば、システム17の支持体18のこの基部はコンテナ10に溶接されたシャーシに、コンテナ10の床を運ぶシャーシとは無関係に載っており、それによりたとえば動き回る人々またはボンベによる振動を可能な限り制限する。
【0063】
混合物が作り出されたら、それはコンテナ10の領域5に位置する分析装置を使用して分析される。分析装置は、たとえば:
−混合物中の種々の成分を分離することを目的としたガスクロマトグラフ。混合物中の成分の濃度は成分のタイプとその濃度とに応じて多様である検出器を用いて測定される。最も一般に使用されている検出器は炭化水素化合物の場合には熱伝導度検出器(TCD)または水素炎イオン化検出器(FID)である;
−酸素分析器;
−水分分析器;
−混合物中の所定の化合物の濃度を決定するための赤外分光計
である。
【0064】
本発明によるプラント内でのコンポーネントのレイアウトはユーザーの動き回りが可能な限り短いものであることに気付かれるとよい。そうすればボンベを移動させる必要があまりなくなる。さらに製造設備4と分析装置との間のスペースは、ユーザーが動き回れるのに十分大きいものであるがプラントを可能な限り小型化してそれによりボンベの移動を制限するのに十分小さいものである。
【0065】
さらに、このようなプラントはそれを運転させるのに非常に少人数の作業員のみを必要とする。現今存在する現実の大きさのプラントと比較すると、本発明によるプラント1で働く人の数は非常に少なくおよび混合物充填プロセス中にボンベを輸送させる必要のある距離は縮小されて最小となる。
【0066】
分析が完了したら、特殊ガスの混合物で充填されたボンベがコンテナ10の部分3の、均一化手段9として知られているところへ輸送される。前記手段9は、たとえば、ボンベローラーである。
【0067】
ボンベの充填終了時のガスの混合物は、たとえばボンベが垂直位置で充填された場合および最後に導入された成分の密度が前の成分のものよりも低い場合には、そのボンベ全体にわたって均一な組成を有していないであろうことが考えられる。混合物を均一化させる1つの方法はボンベを水平位置に設置し、それをその軸周りに毎分数回の回転速度で最短で10分間ほどにわたって回転させることにある。
【0068】
手段6、8および9は自動化される。
【0069】
この作業が完了したら、ユーザーは所望のガス混合物が充填されたボンベをコンテナ10から運び出して、それを保管用地19に降ろし、そこから一組のボンベが顧客へ輸送されるであろう。保管用地19は、たとえば、コンテナ10の外側に位置している。
【0070】
本発明によるプラント1の1つの実施形態は、平均で3種の化合物を含有した混合物を考えると、一日当たりわずか数本の混合物のボンベ、たとえば実働8時間の作業日当たり8本のボンベまたは年間2000本のボンベに相当するものの製造に制限されうる。このタイプのプラントはそれゆえに幾つかの製油所および/または石油化学産業および/または自動車工場の要求に対応した市場に供給を行うことができる。
【0071】
述べたように、図1はプラントが2つの部分:
i)混合物を製造するのに使用される設備および混合物の組成を分析するのに使用される装置を収容した第1の部分2、および
j)「ボンベ調製」設備と呼ぶことができ、充填されるべきボンベ内に収容されている残留ガスを排出する手段と、充填されるべきボンベを清浄化および/または皮膜保護する手段と、製造された混合物を均一化する手段とを特に含んだ設備を収容した第2の部分3
を有する状況を図示しており、本発明の実施形態のうちの1つによると、前記プラントは換気システムであって:
−「ボンベ調製」の部分3における、2つの独立した強制換気ブロワ,この第2の部分3の全体を換気するための一方、および排出段階にあるボンベの用地の上方に本質的に位置している他方の換気ブロワ,
実例としておよび本発明についてよりよい感触を与えるために、流量の実際の例をここに挙げる:
−「ボンベ調製」の部分3の全体の換気の場合は、通常の動作での空気流量は時間当たり5回の入れ替えに対応する150Nm3/時であり、毒性または可燃性漏洩物が検出された場合は800Nm3/時である。
−移し出されているボンベの上方での換気の場合は、通常動作条件下で、各ボンベについて対して100Nm3/時の換気流量が適用され、毒性または可燃性漏洩物が検出された場合には概して1200Nm3/時である,と、
−「混合物製造」の部分2に存在する2つの独立した強制換気ブロワ,この第1の部分2の全体を換気するための一方、およびボンベが充填または分析段階にある各ステーションの上方に本質的に位置する他方の換気ブロワ,
実例としておよび本発明についてよりよい感触を与えるために、流量の実際の例をここに挙げる:
−「混合物製造」の部分2の全体の換気の場合は、通常の動作での空気流量は時間当たり5回の入れ替えに対応する300Nm3/時であり、および毒性または可燃性漏洩物が検出された場合は1200Nm3/時である。
−移し出されているまたは分析されているボンベの上方での換気の場合は、通常動作条件下で、各ボンベに対して100Nm3/時の換気流量が適用され、毒性または可燃性漏洩物が検出された場合には概して1600Nm3/時である,と
をさらに有する。
【0072】
これら混合物を製造するのに使用される、可燃性および/または毒性ガスでありうる原料は、外側からプラント1の設備4、13、12へ接続されたソース内に位置決めされる。これはISOコンテナ10内のスペースを節約しおよびボンベからの可燃性ガスの万が一の漏洩の場合の発火および爆発のリスクマネージメントを容易にする。
【0073】
このプラント1は、主要ユーザー:たとえば、製油所、石油化学プラント、自動車産業および研究所によって必要とされる特殊ガスの混合物を製造することが可能である。
【0074】
また、本発明による前記プラントは限られた数のボンベに対して試験を行うためのプラントとしても有利に使用することができ、およびこれらの試験の結果が出たら、製造を高めるためにより大型のプラントを設置する決定がなされてもよい。
【0075】
例として、ここに、本発明によるプラントによって製造できる特殊ガスの混合物に関する幾つかの非網羅的なリストを示す。
【表1】

【表2】

【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
純ガスおよび/または純ガスもしくは特殊ガスの混合物を使用してボンベ(7)をガスで充填するプラント(1)であって:
−ガスを選択するおよび/またはガスボンベ(7)へ導入されることを目的としたガスの混合物を製造する(4)設備と、
−前記混合物または前記純ガスの組成を分析する装置と
を有し;
以下の処置:
−前記プラントを、その占有面積が45m2未満であり、好ましくは前記占有面積が34m2ないし40m2の範囲にある可搬式コンテナ(10)内に全体的に収容する;
−前記コンテナ内に収容された前記設備および装置を前記コンテナの壁に取り付けて前記コンテナの外側に位置するガスソースに接続できるようにする;
の使用によって特徴付けられ、
このようにして作られた配置が、それを使用する作業員に、この設備および装置に前記コンテナ内部からアクセスして前記コンテナ内部で前記ボンベの充填を実施することを可能にするプラント。
【請求項2】
2つの部分を有し:
i)第1の部分(2)は:
−ガスボンベ(7)へ導入されることを目的とした純ガスまたは特殊ガスの混合物を製造する設備(4)、
−前記特殊ガスまたは純ガスの混合物の組成を分析する装置、
を有し、
j)他方の部分(3)は:
−充填されるべきボンベ(7)内に収容されている残留ガスを排出する少なくとも1つの排出手段(6)、
−充填されるべきボンベ(7)を清浄化および/または皮膜保護する少なくとも1つの手段(8)、
−製造された混合物を均一化する少なくとも1つの手段(9)、
を有し、
前記プラント(1)は、その占有面積が45m2未満であり、好ましくは前記占有面積が34m2ないし40m2の範囲にある可搬式コンテナ(10)内に全体的に収容されている請求項1に記載のプラント(1)。
【請求項3】
前記2つの部分(2、3)は可動壁(20)によって互いから分離されていることを特徴とする請求項2に記載のプラント(1)。
【請求項4】
前記第1の部分(2)は内部温度を制御する手段をさらに有することを特徴とする請求項2および3のどちらか1項に記載のプラント。
【請求項5】
混合物を製造する設備は少なくとも1つの分析器と連携する少なくとも1つのミキサを有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項6】
混合物を製造する設備は:
−各々、前記ボンベへ導入されるべきガスの量を正確に測定することができる秤量装置(17)および/または圧力測定装置(16)、
−充填されるべきボンベとたとえば前記コンテナの外側に位置するガスソースとの間の接続手段
を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプラント。
【請求項7】
混合物を製造する設備は任意のタイプの圧縮または液化ガス混合物を製造できる少なくとも1つのラインセット(12)を有することを特徴とする請求項6に記載のプラント。
【請求項8】
前記コンテナ(10)内に位置する前記秤量装置(17)は、前記コンテナと独立し、その基部が前記コンテナの床面よりも下に位置する支持体上に配置されていることを特徴とする6または7の1項に記載のプラント。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプラントであって、以下から選択される、前記混合物の組成を分析する少なくとも1つの装置:
−混合物の種々の成分を分離することを目的とした少なくとも1つのガスクロマトグラフ;
−少なくとも1つの熱伝導度検出器(TCD)または水素炎イオン化検出器(FID);
−少なくとも1つの酸素分析器;
−少なくとも1つの水分分析器;
−混合物中のある成分の濃度を決定する少なくとも1つの赤外分光計
を有することを特徴とするプラント。
【請求項10】
請求項2ないし10の1項に記載され、前記プラントの外部の特殊ガスの少なくとも2つのソースに接続されたプラントを実行する、ボンベ内で特殊ガスの混合物を調製する方法。
【請求項11】
充填されるべきボンベは一度に1つのガスソースのみに接続されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項10および11のどちらか1項に記載の方法であって、
−充填されるべきボンベを準備する工程;
−各々、前記ボンベへ導入されるべきガスの量を正確に測定することができる秤量装置および/または圧力測定装置を使用して、前記ボンベを、それをガスのソースに接続することによって充填する工程;
−このようにして充填された前記ボンベの内容物の組成を分析する工程
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−503147(P2012−503147A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526539(P2011−526539)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051652
【国際公開番号】WO2010/031940
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(591036572)レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (438)
【Fターム(参考)】