玉型形状測定装置
【課題】レンズの溝に直接接触子を挿入し、レンズの溝形状に対しても測定を行い、溝が描く湾曲した3次元的な輪形状を測定し、正確な溝カーブ値を得ることができる玉型形状測定装置を提供すること。
【解決手段】レンズ(玉型Lm)の周面に周方向に向けて形成されたバンド配設溝Lgに当接させるバンド配設溝用測定子36eと、前記バンド配設溝用測定子36eを前記レンズ(玉型Lm)の周方向に移動させる測定子駆動装置Dと、前記バンド配設溝用測定子36eの移動位置を検出する三次元位置検出装置(リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等を含む構成)と、前記バンド配設溝用測定子36eの移動位置を前記バンド配設溝Lgに沿って移動させたときの前記三次元位置検出装置(リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等を含む構成)からの検出信号に基づいてバンド配設溝形状を求める演算制御回路52を備えている。
【解決手段】レンズ(玉型Lm)の周面に周方向に向けて形成されたバンド配設溝Lgに当接させるバンド配設溝用測定子36eと、前記バンド配設溝用測定子36eを前記レンズ(玉型Lm)の周方向に移動させる測定子駆動装置Dと、前記バンド配設溝用測定子36eの移動位置を検出する三次元位置検出装置(リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等を含む構成)と、前記バンド配設溝用測定子36eの移動位置を前記バンド配設溝Lgに沿って移動させたときの前記三次元位置検出装置(リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等を含む構成)からの検出信号に基づいてバンド配設溝形状を求める演算制御回路52を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼鏡レンズやダミーレンズ等のレンズ(玉型)の周面に形成されたバンド配設溝の形状を測定可能な玉型形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、眼鏡店等においては、メガネフレームに度数のないダミーレンズを眼鏡レンズとして保持させたメガネ(眼鏡)を多数展示している。このようなメガネには、左右のレンズ枠(環状リム)を有するメガネフレームのタイプと、リムレスフレームのタイプと、溝掘枠(ハーフリム)のタイプのもの等がある。
【0003】
また、レンズ加工のために、メガネフレームのタイプのメガネでは、メガネのレンズ枠の内周面の形状を測定子で測定して、ダミーレンズ(玉型)の玉型形状を求めるようにしているのが普通である。更に、レンズ加工のために、リムレスフレームや溝掘枠のタイプのメガネでは、ダミーレンズの周面に沿って測定子を移動させて、ダミーレンズそのものの周面形状を眼鏡レンズの玉型形状として求めるようにしているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、溝掘枠タイプのメガネは、溝付きの左右の眼鏡レンズを玉型として有すると共に、ハーフリムタイプのメガネフレームを有する。このメガネフレームは、左右の眼鏡レンズの上半分をそれぞれ保持する左右のリムと、この左右のリムを結合するブリッジを有する。また、このメガネでは、眼鏡レンズの周縁部に周面に開口し且つ周方向に環状に延びるバンド配設溝を設け、このバンド配設溝にナイロール紐等のバンド(紐状体)を配設して、このバンドで眼鏡レンズをリムに保持させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−259710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような溝掘枠タイプのメガネの測定では、ダミーレンズの玉型形状すなわちダミーレンズの周面形状のみ二次元的に求めており、ダミーレンズのバンド配設溝の三次元形状の測定を行っていないのが現状である。
【0007】
このような二次元の玉型形状を用いて、実際に屈折度数が処方された眼鏡レンズの周面にバンド配設溝を溝掘カッターで溝掘するには、ダミーレンズの光軸の延びる方向におけるバンド配設溝の位置情報を求めて、バンド配設溝の三次元データを得る必要がある。
【0008】
このためには、ダミーレンズの光軸の延びる方向におけるダミーレンズ周縁の数箇所の位置情報を求めて、この位置情報と玉型形状からダミーレンズのカーブ値等を求めている。
【0009】
しかしながら、光軸の延びる方向おけるダミーレンズの周縁の数箇所の差からダミーレンズのカーブ値を求め、その値を元にダミーレンズに加工されている溝カーブ値を求めた値をバンド配設溝の加工に使用すると、実際のこのカーブ値はバンド配設溝の溝カーブ値と異なるために、バンド配設溝を正確に加工できないものであった。
【0010】
そこで、本発明では、レンズの溝に直接接触子を挿入し、レンズの溝形状に対しても測定を行い、溝が描く湾曲した3次元的な輪形状を測定し、正確な溝カーブ値を得ることができる玉型形状測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、この発明は、レンズの周面に周方向に向けて形成されたバンド配設溝に当接させるバンド配設溝用測定子と、前記バンド配設溝用測定子を前記レンズの周方向に移動させる測定子駆動装置と、前記バンド配設溝用測定子の移動位置を検出する三次元位置検出装置と、前記バンド配設溝用測定子の移動位置を前記バンド配設溝に沿って移動させたときの前記三次元位置検出装置からの検出信号に基づいてバンド配設溝形状を求める演算制御回路を備える玉型形状測定装置としたことを特徴とする。。
【発明の効果】
【0012】
この構成によれば、レンズの溝に直接接触子を挿入し、レンズの溝形状に対しても測定を行い、溝が描く湾曲した3次元的な輪形状を測定し、正確な溝カーブ値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明にかかる玉型形状測定装置の部分概略斜視図である。
【図1A】この発明に係る玉型形状測定装置の斜視図である。
【図1B】図1Aの玉型形状測定装置を視点を変えて見たときの斜視図である。
【図1C】図1Aの玉型形状測定装置を図1Aの矢印C方向から見たときの側面図である。
【図1D】図1Aの玉型形状測定装置の平面である。
【図1E】フレーム保持部をスイングさせる機構を示す図である。
【図2】図1の玉型形状測定装置の測定機構の斜視図である。
【図3】図2の測定機構の正面図である。
【図4】図2の測定機構の背面図である。
【図5】図4の測定機構の右側面図である。
【図5A】図2の測定機構の回転ベースの駆動手段を示す模式図である。
【図5B】図2のスライダ駆動機構を説明するための模式図である。
【図5C】図5Bの平面図である。
【図5D】図2のスライダの原点検出手段の概略説明図である。
【図6】図2の測定子の昇降機構を示す斜視図である。
【図7】図6の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図8】図7の左側面図である。
【図9】図1に示した玉型用測定子の部分拡大斜視図である。
【図9A】図1に示した玉型用測定子の側面図である。
【図9B】図1に示したバンド配設溝用測定子の要部拡大説明図である。
【図10】図9の側面図である。
【図10A】図1に示した玉型形状測定装置の制御回路図である。
【図11】図6の測定子の昇降機構の作用を説明する斜視図である。
【図12】図11の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図13】図11の昇降機構のリニアスケールの説明図である。
【図14】図13の右側面図である。
【図15】図6の測定子の昇降機構の作用を説明する斜視図である。
【図16】図15の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図17】図16の左側面図である。
【図17A】スライド枠全体をスイングさせる際の動作を示すフローチャートである。
【図17B】図17Aの動作を具体的に示しており、(a)はフレーム枠を水平にして第一の玉型形状を測定する様子を示す図、(b)は第二の玉型形状を測定する様子を示す図である。
【図17C】図17Bの続きを示しており、(a)はフレーム枠をフレーム保持角(α)だけスイングさせた様子を示す図、(b)は第一の玉型形状を測定する様子を示す図、(c)はフレーム枠をフレーム保持角(−α)だけスイングさせた様子を示す図である。
【図18】図2の昇降機構による玉型測定の説明図である。
【図19】図2の昇降機構による玉型測定の説明図である。
【図20】溝掘枠(ハーフリム)タイプのメガネの斜視図である。
【図21】図20の眼鏡レンズとリム及びバンド等との関係を示す説明図である。
【図22】図9Bに示したバンド配設溝用測定子とバンド配設溝の形状との関係を示す説明図である。
【図23】図9Bに示したバンド配設溝用測定子とバンド配設溝の他の形状との関係を示す説明図である。
【図24】図9Bに示したバンド配設溝用測定子とバンド配設溝の他の形状との関係を示す説明図である。
【図25】バンド配設溝用測定子によるバンド配設溝の形状測定のフローチャートである。
【図26】玉型用測定子によるレンズ周面の玉型形状の測定の説明図である。
【図27】バンド配設溝用測定子によるレンズのバンド配設溝の測定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0015】
[構成]
図1はこの発明に係る玉型形状測定装置の要部構成を示しており、この玉型形状測定装置は測定装置本体1を有する。この測定装置本体1は、下部の測定機構収納用のケース部1aと、ケース部1aの上部に配設されたレンズ枠保持機構1bを有する。そして、図1のケース部1a内の底部には図2に示したベース2が設けられている。
【0016】
また、図1のレンズ枠保持機構1bは図1Aの可動枠400を有する。また、この可動枠400は対向する側壁に両端が固定された一対の平行なガイドロッド(ガイド部材)1c,1cを有する。しかも、このガイド部材1c,1cにはスライド枠3,3が相対接近・離反可能に保持されている。このスライド枠3,3は、図示しないコイルスプリング等で互いに接近する方向にバネ付勢されている。このスライド枠3,3は、互いに対向させられていてメガネ(眼鏡)のレンズ枠(図示せず)が当接させられる縦壁3a,3aを有すると共に、このレンズ枠を保持させるレンズ枠保持手段3bを有する。このレンズ枠保持手段3bは、縦壁3aから突出する下部側の保持棒(固定保持棒)3b1と、保持棒3b1に対して上側から開閉可能にスライド枠3に取り付けられた上側の保持棒(可動保持棒)3b2を有する。このレンズ枠保持手段3bは、図示しないメガネの左右のレンズ枠に対してそれぞれ設けられる。尚、このようなレンズ枠保持機構1bとしては、例えば特開平10−328992号公報等に開示された構成、又はその他周知の技術を採用できる。従って、レンズ枠保持機構1bの詳細な説明は省略する。
<測定機構>
図1Aはこの発明に係る玉型形状測定装置の斜視図、図1Bは図1Aの玉型形状測定装置を視点を変えて見たときの斜視図である。図1Cは図1Aの玉型形状測定装置を矢印C方向から見たときの側面図、図1Dは図1Aの玉型形状測定装置の上面図である。尚、図1A〜図1Dでは、構成の説明の便宜上、図1のスライド枠3,3の形状の一部を省略して、概略的に示してある。
【0017】
可動枠400(揺動枠、スイング枠)は、図1A〜図1Cに示すように対向する側壁と底面を有し、底面が下に多角形の凸形状に形成されている。可動枠400の底面には、その中央部に開口400Aが形成されている。この開口400Aは、レンズ枠用測定子37および取付穴用測定子38が下側から上方へ向かって挿通されるためのものである。レンズ枠用測定子37および取付穴用測定子38については後述する。
【0018】
尚、可動枠400を下に凸の円筒面にしてもよい。また、両スライド枠3の外側端面401には、帯状を成し、且つ仮想軸402を中心とした円弧状に曲げられたガイドレール403が取り付けられている。
【0019】
一方、図1の測定装置本体1のケース部1aは図1Aの下部ケース404を有する。この下部ケース404の上壁の両側上部にブラケット405,405が上方に向かって一体に設けられている。この下部ケース404の上壁には図示を省略した測定子挿通孔が形成されている。尚、この測定子挿通孔は、開口400Aと同じ大きさかそれ以上の大きさに形成されている。各ブラケット405には、その上部に支持コロ406が、支持コロ406の下方に支持コロ407がそれぞれ回転自在に設けられている。そして、各ブラケット405の支持コロ406,407は、スライド枠3のガイドレール403を上下で挟持するよう配置されている。すなわち、両スライド枠3は、ガイドレール403がその上下を支持コロ406,407で挟持されることによって、測定装置本体1の下部ケース404上に支持されており、これにより、両スライド枠3は仮想軸402を中心にして矢印D方向にスイングすることができる。
【0020】
また、ガイドレール403の下側縁には、図1Eに示すように、ベルト408が設けられている。このベルト408は、その両端部がガイドレール403の下側縁に固定され、両端部以外の部分はガイドレール403の下側縁には固定されていない。つまり、ベルト408は、その両端部以外の部分はガイドレール403の下側縁から離間することができるようになっている。
【0021】
測定装置本体1の下部ケース404上には、駆動部としてモータ409(図1A〜1D参照)が設けられ、このモータ409の出力軸には駆動コロ410が取り付けられている。駆動コロ410は、その両側のブラケット405,405にそれぞれ取り付けられた支持コロ407,407間のほぼ中間で且つ支持コロ407,407よりも下方の位置に配置されている。
【0022】
そして、ガイドレール403の下側縁に設けられたベルト408は、一方の支持コロ407に巻き回された後、駆動コロ410に巻き回され、さらに、他方の支持コロ407に巻き回されている。ベルト408は、その上面(ガイドレール403の下側縁に接触する側の面)がギザギザになっており、また、駆動コロ410の外周面もギザギザになっている。その結果、ベルト408の上面と駆動コロ410の外周面との間の摩擦係数は大きく、駆動コロ410が回転すると、ベルト408は滑ることなく、図1Eにおいて、右方向または左方向へ移動する。その結果、スライド枠3を、仮想軸402を中心にして矢印D方向(図1Aおよび図1C参照)スイングさせることができる。尚、図には示してないが、測定装置本体1には、スライド枠3がスイングしたときの角度(スイング角)を検出するためのスイング角検出部が設けられている。
【0023】
尚、ガイドレール403、支持コロ406,407、ベルト408、モータ409および駆動コロ410は、保持手段スイング機構を構成している。
【0024】
また、ベース2上には図2〜図5に示したような測定機構1dが設けられている。この測定機構1dは、図1Aでは図示を省略したが図1Aの下部ケース404内に配設されていると共に、ベース2上に固定されたベース支持部材4を有する。このベース支持部材4には大径の従動ギヤ5が鉛直軸を中心に水平回転自在に取り付けられている。また、ベース2には、図5Aに模式的に示した駆動モータ6が従動ギヤ(タイミングギヤ)5に隣接して取り付けられている。この駆動モータ6の出力軸6aにはピニオン(タイミングギヤ)7が固定され、このピニオン7と従動ギヤ5にはタイミングベルト8が掛け渡されている。
【0025】
そして、駆動モータ6を作動させると、駆動モータ6の出力軸6aの回転がピニオン7及びタイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達されて、従動ギヤ5が回転させられるようになっている。尚、駆動モータ6には2相ステッピングモータが用いられている。
【0026】
また、図2〜図5に示したように、従動ギヤ5上には回転ベース9が一体に固定されている。この回転ベース9には、原点検出装置(原点検出手段)としてのフォトセンサ9aが取り付けられている。この場合、例えば、ベース2上に、原点位置指示用の発光手段9bを配設しておいて、この発光手段9bから線状又は点状の光束を原点マークとして上方に向けて照射し、この原点マークとしての光束をフォトセンサ9aが検出したときに、回転ベース9の水平回転の原点位置とすることができる。
【0027】
尚、原点検出装置としては、透過型のフォトセンサや反射型のフォトセンサ或いは近接センサ等の周知の技術を採用することができる。
【0028】
更に、回転ベース9の長手方向両端部には、図2〜図4に示したように、上下に延び且つ互いに対向する平行なレール取付板10,11が一体に固定され、図3に示したようにレール取付板10の一側部とレール取付板11の一側部には側板12の長手方向端部がそれぞれ固定され、図4に示したようにレール取付板10の他側部とレール取付板11の他側部には側板13の長手方向端部がそれぞれ固定されている。
【0029】
また、図2〜図4に示したように、対向するレール取付板10,11の上部間には互いに平行で且つ軸状の一対のガイドレール14,14が水平に配設されている。この各ガイドレール14の両端部はレール取付板10,11に固定されていて、ガイドレール14,14にはスライダ15が長手方向に進退移動可能に保持されている。
【0030】
更に、側板12には、図2,図3に示したように、レール取付板10に近接させて側方に水平に突出するプーリ支持板部12aが折曲により一体に形成されていると共に、レール取付板11に近接させてモータ取付用のブラケット16が固定されている。
【0031】
そして、プーリ支持板部12aには従動プーリ17が上下に延びる軸線を中心に水平回転自在に取り付けられ、ブラケット16にはスライダ移動用の駆動モータ18の上端部が固定されている。この駆動モータ18にはDCモータが用いられている。また、この駆動モータ18は出力軸18aの軸線が上下に向けられていて、この出力軸18aには図5B,図5Cに示すように駆動プーリ19が取り付けられている。
【0032】
このプーリ17,19には環状のワイヤ20が掛け渡され、このワイヤ20の一端部近傍の部分は軸状のワイヤ保持部材21に保持されている。このワイヤ保持部材21はブラケット22,22'を介してスライダ15に固定されている。また、ワイヤ20の両端部はコイルスプリング23を介して連結されている。これにより、駆動モータ18を正転又は逆転させると、出力軸18a及び駆動プーリ19が正転又は逆転させられて、スライダ15が図3中左又は右に移動させられるようになっている。
【0033】
また、ブラケット22'と側板12との間には、図5Dに示したように、スライダ15の移動位置(移動量)の原点を検出するための原点センサ(原点検出手段)20aが介装されている。この原点センサ20aには反射型のセンサを用いている。このセンサは、上下に延びるスリット状の反射面(図示せず)が設けられた反射板20bを有すると共に、発光素子と受光素子を備えた反射型のフォトセンサ20cを有する。そして、反射板20bはブラケット22'に設けられ、フォトセンサ20cは側板12に設けられている。
【0034】
尚、原点センサ20aとしては、透過型のフォトセンサや近接センサ等の周知の技術を採用することができる。
【0035】
また、図4の側板13の長手方向中央部には、図4のように側方に水平に突出する支持板部13aが一体に折曲により形成されている。この側板13とスライダ15との間には、図4に示したように、ガイドレール14の延びる方向へのスライダ15の水平方向の移動位置を検出するリニアスケール(位置測定手段)24が動径検出センサ(動径検出手段)として介装されている。
【0036】
このリニアスケール24は、ガイドレール14と平行にスライダ15に保持された軸状のメインスケール25と、支持板部13aに固定されてメインスケール25の位置情報を読み取る検出ヘッド26を備えている。この検出ヘッド26は、メインスケール25の位置検出用情報(移動量検出用情報)からスライダ15の水平方向への移動位置を検出するようになっている。このリニアスケール24には、例えば周知の磁気式のものや光学式のものを用いることができる。
【0037】
例えば、磁気式の場合、メインスケール25に軸線方向に磁極S,Nの磁気パターンを位置検出用情報(移動量検出用情報)として交互に微小間隔で設けておいて、この磁気パターンを検出ヘッド(磁気変化検出用ヘッド)26で検出することにより、スライダ15の移動量(移動位置)を検出できる。また、光学式の場合、メインスケール25を板状に形成し且つこのメインスケール25に長手方向に微小間隔のスリットを設け、メインスケール25を挟むように発光素子と受光素子を配設すると共に、発光素子からの光をメインスケール25のスリットを介して受光素子により検出して、スリットの数を求めることにより、スライダ15の移動量(移動位置)を検出できる。
【0038】
また、スライダ15の略中央部には図2に示したように貫通孔15aが形成され、この貫通孔15aには上下に延びるガイド筒27が挿通されている。このスライダ15の下方には、図4に示したように、支持枠28が配設されている。この支持枠28は、上端部がスライダ15に保持された縦フレーム29,30と、縦フレーム29,30の下端部に固定された横板(底板)31を備えている。
【0039】
この横板(底板)31には、上下に延び且つ互いに平行に設けられた軸状の一対の支持部材32,32の下端部が固定されている(図8参照)。この支持部材32,32の上端部には保持部材(連結部材)33が固定され、この保持部材33には側面形状をL字状に形成したガイド支持部材34の縦壁34aが固定されている。このガイド支持部材34の横壁(上壁)34b上にはガイド筒27の下端部が固定されている。
【0040】
そして、ガイド筒27には上下に延びる測定子軸35が上下動自在に嵌合保持され、測定子軸35の上端部には玉型用測定子(玉型用周縁形状測定子)36が一体に設けられている。この玉型用測定子36は、測定子軸35の上端部に垂直に取り付けられた取付部36aと、取付部36aから上方に延びる垂直部36bがL字状に形成されている。また、垂直部36bの背面36cは玉型用周縁形状測定のため、一定のRにて加工されている。この垂直部36bの上端部には取付部36aと平行にレンズ枠用測定子37が一体に設けられている。尚、レンズ枠用測定子37は、垂直部36bの背面36cとは反対側の正面36dに取り付けられている。
【0041】
また、メガネ(眼鏡)Mには溝掘枠タイプ(ハーフリムタイプ)のものがある。この溝掘枠タイプのメガネMは、図20に示したように、溝付きの左右の眼鏡レンズML,MRを玉型Lmとして有すると共に、ハーフリムタイプのメガネフレームMFを有する。このメガネフレームMFは、眼鏡レンズML,MRの上半分を保持するリムLrm,Rrmと、このリムLrm,Rrmを結合するブリッジBを有する。
【0042】
また、このメガネMでは、図21に示したように眼鏡レンズの周縁部に周面に開口し且つ周方向に環状に延びるバンド配設溝Lgを設け、このバンド配設溝Lgにナイロール紐等のバンド(吊りバンドすなわち吊り紐状体)Bdを配設して、このバンドBdで眼鏡レンズML,MRをリムLrm(Rrm)に保持させるようにしている。このタイプのメガネMには、装用者の眼屈折力を矯正する度数のある眼鏡レンズを使用しているものと、メガネ選択のために眼鏡店等で展示しているものとがある。眼鏡店等で展示しているメガネでは、眼鏡レンズに度数のないダミーレンズを用いている。
【0043】
この眼鏡レンズML,MRのバンド配設溝Lgの三次元的なレンズ形状(玉型形状)はバンド配設溝Lgの精確な加工に際して必要となる。しかし、このようなメガネMのバンド配設溝Lgの断面形状としては、図22に示したように矩形溝状(角底)のものや、図23に示したようにレンズ周面に向かうに拡開する拡開テーパ溝状で丸底状のもの、或いは図24に示したようにレンズ周面に向かうに従って間隔の狭くなり蟻溝状(逆三角形状)のものがある。
【0044】
このような種々の断面形状のメガネMのバンド配設溝Lgはレンズ周面への開口端の幅が小さいために、このバンド配設溝Lgのレンズ形状(玉型形状情報)を測定する測定子は径が小さなものである必要がある。しかも、径が小さても、測定子の強度を充分に保持する必要がある。
【0045】
そして、図9Aに示したように、このような条件を満足させるバンド配設溝用測定子36eが垂直部36bの上端部に設けられている。すなわち、垂直部36bの上端部には、背面36c側からレンズ枠用測定子37と反対方向に伸びるピン状のバンド配設溝用測定子36eが取り付けられている。
【0046】
このバンド配設溝用測定子36eは、図9Bに示したように、垂直部36bへの取付基端から先端に向かうに従って先細り形状(テーパ状)に形成されたテーパピン部36fと、テーパピン部36fの先端に更に連設された先細り形状(テーパ状すなわち円錐状)の当接部36gを備えている。この当接部36gは、テーパピン部36fのテーパ角よりも大きなテーパ角に形成されていると共に、長さが短く形成されていて、先端に微小な球状部(図では詳細な図示を省略)を有する。しかも、この球状部(図示せず)は、バンド配設溝Lgが球状底面を有していても、この球状底面の半径よりも小さな半径に形成されていて、球状底面に点で当接させられるようになっている。
【0047】
このようにテーパピン部36fは、垂直部36bへの取付基端側を径が太くなるようにすることで、強度が維持される。また、テーパピン部36fを先細り形状とすることで、種々の断面形状のバンド配設溝Lgにテーパピン部36fを挿入できるようになっている。しかも、テーパピン部36fの先端に、細り形状(テーパ状すなわち円錐状)の当接部36gを設けることで、種々の断面形状のバンド配設溝Lgにバンド配設溝用測定子36eを挿入しやすくしている。
【0048】
尚、本実施例では、テーパピン部36fの基端寸法t1は1.0mm、テーパピン部36fの先端寸法(先端径)t2は0.5〜0.9mmに設定されている。また、当接部36gの長さは、先端寸法(先端径)t2に対応して、側面形状が略正三角形となるような寸法に設定されている。
【0049】
しかも、玉型用測定子36の上端には、図10に示したように、上方に突出する取付穴用測定子38が一体に設けられている。この取付穴用測定子38は、測定子軸35の軸線と平行に玉型用測定子36の垂直部36bの上端に一体に取り付けた軸部38aと、軸部38aの上端部に設けた半球38bを有する。この半球38bは、いろいろな取付穴径に対応するため、一般的な取付穴径(2.2φ)よりも大きな半球形状が望ましい。また、取付穴用測定子38は前述のように玉型用測定子36と一体である必要はない。例えば、図9に示すように玉型用測定子36にネジ部36sを設けて、このネジ部36sを垂直部36bの上端部に螺着することにより、取付穴用測定子38を垂直部36bの上端部に着脱可能に取り付けられるようにしても良い。
【0050】
また、図6〜図8に示したように、測定子軸35の下端部にはブラケット39が固定されている。しかも、図13に示したように、ブラケット39とガイド支持部材34との間には、上下方向の移動位置を検出するリニアスケール(位置測定手段)40が高さ検出センサ(高さ検出手段)として介装されている。
【0051】
このリニアスケール40は、上下に向けて測定子軸35と平行に配設された軸状のメインスケール41と、メインスケール41の上下方向への移動量から測定子37,38の上下方向への移動位置を検出する検出ヘッド42を備えている。このメインスケール41は、上端部が保持部材33に固定され且つ下端部がブラケット39に固定(又は保持)されている。また、検出ヘッド42は、保持部材33に保持されている。このリニアスケール40にも上述したリニアスケール24と同様な磁気式又は光学式のものを採用する。
【0052】
尚、図6〜図8に示したように、ブラケット39と横板(底板)31との間には測定子軸35を上方にバネ付勢するコイルスプリング43が介装されている。更に、測定子軸35の下端部近傍には、ブラケット39の上方に位置し且つ測定子軸35と直交する係合軸44が取り付けられている。また、横板(底板)31上には図6に示したようにU字状に形成したブラケット45が固定され、このブラケット45の対向壁45a,45aには支持軸46の両端部が軸線周りに回動可能に保持され、この支持軸46に押さえレバー47が固定されている。この押さえレバー47は係合軸44の上部に当接させられている。しかも、この押さえレバー47と横板31との間にはレバー引き下げ用の引張りコイルスプリング48が介装されている。この引張りコイルスプリング48の引張りバネ力は、コイルスプリング43のバネ力よりも大きく設定されている。
【0053】
また、支持軸46には、上昇位置規制レバー49が固定されている。この上昇位置規制レバー49は、押さえレバー47による係合軸44の上昇位置を規制して、測定子軸35,玉型用測定子36,バンド配設溝用測定子36e,レンズ枠用測定子37,取付穴用測定子38等の上昇位置を設定するのに用いられる。この上昇位置規制レバー49は押さえレバー47と同方向に延びている。
【0054】
そして、この上昇位置規制レバー49の下方にはアクチュエータモータ50が配設されている。このアクチュエータモータ50は、横板31上に固定されたモータ本体50aと、このモータ本体50aから上方に向けて突出し且つ軸線が測定子軸35と平行に設けられたシャフト51を有する。このシャフト51の上端には、上昇位置規制レバー49が引張りコイルスプリング48の引張りバネ力により当接させられている
尚、このアクチュエータモータ50にはパルスモータが用いられている。しかも、アクチュエータモータ50は、正転させることによりシャフト51が上方に進出し、逆転させることによりシャフト51が下方に移動するように成っている。
【0055】
尚、コイルスプリング43、支持軸46、押さえレバー47、引張りコイルスプリング48、上昇位置規制レバー49、アクチュエータモータ50等は、測定子37,38等(バンド配設溝用測定子、玉型用測定子)の昇降機構を構成している。
<制御回路>
また、図10Aに示したように上述したフォトセンサ(原点検出手段)9aからの原点検出信号、フォトセンサ(原点検出手段)20cからの原点検出信号、リニアスケール24の検出ヘッド26からの移動量検出信号(位置検出信号)、及びリニアスケール40の検出ヘッド42からの移動量検出信号(位置検出信号)等は、演算制御回路(制御回路)52に入力されるようになっている。また、この演算制御回路(制御手段)52は、駆動モータ6,18及びアクチュエータモータ50をモータドライブ回路Pd1,Pd2及びPd3を介してパルス駆動するようになっている。
【0056】
この駆動モータ6,18及びアクチュエータモータ50等は測定子駆動装置(三次元駆動装置)Dを構成している。また、リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等は三次元位置検出装置を構成している。
【0057】
また、スライド枠3,3の一方の側壁には、図1に示したように玉型ホルダ(図示せず)を検出するホルダー検出手段53が設けられている。このホルダー検出手段53には、マイクロスイッチ等が用いられている。このホルダー検出手段53からの検出信号は、図10Aに示したように演算制御回路52に入力されるようになっている。図中、54は測定開始用のスタートスイッチである。尚、55は演算制御回路52に接続されたメモリである。
【0058】
更に、演算制御回路52には、測定状態やメッセージの表示、或いは測定に必要な選択を行うための表示等をさせる液晶表示器56が表示装置(表示手段)として接続されている。
【0059】
また、演算制御回路52には、バンド配設溝を有する玉型Lmの玉型形状の測定を実行させるための溝有りスイッチ57と、バンド配設溝が無い玉型Lmlレンズ形状の測定を実行させるための溝無しスイッチ58が接続されている。
【0060】
そして、演算制御回路52は、ホルダー検出手段53が玉型ホルダ(図示せず)を検出したとき、液晶表示器56に玉型ホルダ(図示せず)に保持された玉型が溝有りか否かの選択を促すメッセージを表示させるようになっている。しかも、演算制御回路52は、このメッセージに従って、スイッチ57,58のいずれか一方を選択して押すと、玉型ホルダ(図示せず)に保持された玉型がバンド配設溝を有するか否かの判断を行うようになっている。
[作用]
以下、このような玉型形状測定装置の作用を説明する。
【0061】
(I)レンズ枠形状の測定と測定機構の基本的動作
この玉型形状測定装置でメガネのレンズ枠の形状測定、又はデモレンズ等の玉型の形状測定を行う前には、アクチュエータモータ50のシャフト51の上端が図6〜図8に示したように最下端(下死点)に位置している。この位置では押さえレバー47が、コイルスプリング43よりもバネ力の強い引張りコイルスプリング48によって、支持軸46を中心に下方に回動するよう回動付勢されている。これにより押さえレバー47は、係合軸44を介して測定子軸35を下方に押し下げている。これにより、レンズ枠用測定子37及び玉型用測定子36は最下端に位置させられている。
【0062】
この状態の玉型形状測定装置でメガネのレンズ枠の形状測定を行う場合には、例えば特開平10−328992号公報におけるように、図7の左右のレンズ枠LF(RF)を有するメガネフレームMFを図1のスライド枠3,3間に配設し(図1ではメガネフレームMFの図示を省略)、レンズ枠LF(RF)を図7の如く保持棒3b1,3b2間で挟持させる。この保持は特開平10−328992号公報と同様である。
【0063】
また、この保持棒3b1,3b2間に保持されたレンズ枠LF(RF)は、図7に示したように測定開始前の状態ではレンズ枠用測定子37よりも上方に位置するように設定されている。即ち、レンズ枠用測定子37は、レンズ枠LF(RF)よりも下方の初期位置(イ)に位置させられている。しかも、図7に示したように、レンズ枠用測定子37及び取付穴用測定子38は、保持棒3b1,3b2間に保持されたレンズ枠LF(RF)の略中央の初期位置(i)に対応するように位置させられる。
【0064】
この位置では、フォトセンサ9aが発光手段9bからの光束から回転ベース9の水平回転の原点を検出し、原点センサ20aがスライダ15の移動位置の原点を検出している状態となっている。
【0065】
尚、レンズ枠が三次元方向に湾曲していても、レンズ枠の保持棒3b1,3b2による保持部分は他の部分よりも最も低く設定した高さとなる。この保持部分では、レンズ枠LF(RF)のヤゲン溝Ymの高さも設定した高さとなり、レンズ枠の形状測定開始位置Bsとなる。
【0066】
この状態から図10Aのスタートスイッチ54をONさせると、演算制御回路52はアクチュエータモータ50を正転させて、図6〜図8の位置からシャフト51を図11〜図14の位置まで上方に所定量だけ進出(上昇)させる。この際、シャフト51は、上昇位置規制レバー49の自由端部を引張りコイルスプリング48のバネ力に抗して上方に所定量持ち上げて、上昇位置規制レバー49を支持軸46と一体に回動させる。
【0067】
これに伴い、押さえレバー47は、支持軸46と一体に回動して、自由端部が上方に所定量上昇させられる。この押さえレバー47の自由端部の上昇により、係合軸44がコイルスプリング43のバネ力により押さえレバー47の自由端部に追従して上昇させられ、測定子軸35が所定量上昇させられる。
【0068】
この測定子軸35の上昇量、即ちアクチュエータモータ50によるシャフト51の上方への進出(上昇)量は、レンズ枠用測定子37の先端が図7の初期位置(イ)から上述した形状測定開始位置Bsのヤゲン溝Ymに臨む高さ(ロ)まで上昇する量Lとなる。
【0069】
そして、演算制御回路52は、駆動モータ18を駆動制御して駆動プーリ19を回転させ、図2,図5Bのワイヤ20によりスライダ15をガイドレール14に沿って移動させる。この際、スライダ15は図7の矢印A1方向に移動させられる。この移動は、レンズ枠用測定子37の先端が形状測定開始位置Bsで図12の如くヤゲン溝Ymに当接させられるまで行われる。しかも、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接した状態では、レンズ枠用測定子37はヤゲン溝Ymにコイルスプリング23のバネ力で弾接させられる。この状態で、駆動モータ18が停止させられる。
【0070】
尚、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接したときには駆動モータ18にかかる負荷が増大して、駆動モータ18に流れる電流が増大するので、この電流変化を検出することで、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接したのを検出して、駆動モータ18を停止させることができる。
【0071】
この後、演算制御回路52は、更にアクチュエータモータ50を正転させて、図11〜図14の位置からシャフト51を図15〜図17の位置まで上方に所定量だけ進出(上昇)させる。この際、シャフト51は、上昇位置規制レバー49の自由端部を引張りコイルスプリング48のバネ力に抗して上方に所定量持ち上げて、上昇位置規制レバー49を支持軸46と一体に回動させる。
【0072】
これに伴い、押さえレバー47は、支持軸46と一体に回動して、自由端部が上方に所定量上昇させられ、この押さえレバー47の自由端部が係合軸44から所定量離反させられ、測定子軸35が上下変移可能となる。
【0073】
次に、演算制御回路52は、駆動モータ6を駆動制御して、駆動モータ6を正転させる。この駆動モータ6の回転は、ピニオン7,タイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達され、従動ギヤ5が回転ベース9と一体に水平回転させられる(図5A参照)。
【0074】
この回転ベース9の回転に伴い、スライダ15及びこのスライダ15に設けられた多数の部品が回転ベース9と一体に水平回転し、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに沿って摺接移動する。この際、スライダ15がレンズ枠用測定子37と一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量は、レンズ枠用測定子37の先端の移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。
【0075】
しかも、測定子軸35の中心からレンズ枠用測定子37の先端までの寸法(長さ)は既知であるので、スライダ15が原点にあるときの回転ベース9の回転中心からレンズ枠用測定子37の先端までの距離を予め設定しておけば、スライダ15がガイドレール14に沿って移動したときにおいて、回転ベース9の回転中心からレンズ枠用測定子37の先端までの距離が変化しても、この距離の変化は動径ρiとすることができる。
【0076】
従って、駆動モータ6の回転による回転ベース9の回転角θiを駆動モータ6の駆動パルス数から求め、この回転角θiに対応する動径ρiを求めることで、レンズ枠LF(RF)のヤゲン溝Ymの周方向の形状(レンズ枠形状)を極座標形式のレンズ枠形状情報(θi,ρi)として求めることができる。
【0077】
また、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに沿って摺接移動する際、レンズ枠LF(RF)に上下方向の湾曲がある場合、この上下方向への湾曲状態はリニアスケール40の検出ヘッド42の検出信号から演算制御回路52により上下方向の変位量として求められる。この上下方向への変位量は、上下方向の位置Ziとなる。
【0078】
従って、レンズ枠LF(RF)のレンズ枠形状は、演算制御回路52により三次元のレンズ枠形状情報(θi,ρi,Zi)として求められる。この求められた三次元のレンズ枠形状情報(θi,ρi,Zi)は、演算制御回路52によりメモリ55に記憶される。
【0079】
本実施例においては、レンズ枠形状測定の際、モータ409を正転および逆転させて、図1Eに示したように、駆動コロ410に巻き回されたベルト408を右方向および左方向へ移動させることにより、スライド枠3全体を、仮想軸402を中心にして矢印D方向にスイングさせることができる。
【0080】
その結果、例えばプラス8カーブ以上のハイカーブフレーム(プラス12カーブまで可能)を自動で傾斜させ、フィーラをフレーム枠のヤゲン溝から外れることなく、また、ヤゲン溝の底を測定可能とすることで、フレームPDも正確に測定することができる。
【0081】
また、スライド枠3全体を、フレーム枠のカーブの曲率中心に近い仮想軸を中心にスイングさせることで、プラス8カーブのようなフレーム枠を水平に保持することができ、接触子をヤゲン溝に正確に係合させ、正確なフレーム枠(レンズ枠)形状を測定することができる。
【0082】
図17Aは、スライド枠3全体を矢印D方向にスイングさせる際の動作を示すフローチャートである。また、図17Bおよび図17Cは、図17Aの動作を具体的に説明する図である。
【0083】
図17Aにおいて、先ず、制御手段としての演算制御回路52(図10A参照)は、ガイドレール403、支持コロ406,407、ベルト408、モータ409および駆動コロ410等からなる保持手段スイング機構を制御して、フレーム枠を保持するスライド枠3を水平状態(図17B(a)参照)にして、フレーム枠の第一の玉型の形状測定を行う(ステップS11)。
【0084】
そして、フレーム枠の反り量Wpが一定値を超えているか否か判断する(ステップS12)。フレーム枠の反り量Wpが一定値を超えていない場合、演算制御回路52は、スライド枠3を水平状態に維持したままで、フレーム枠の第二の玉型の形状測定を行う(ステップS13:図17B(b)参照)。
【0085】
フレーム枠の反り量Wpが一定値を超えている場合は、演算制御回路52は、上記保持手段スイング機構を制御して、スライド枠3を一方向にスイングさせる(ステップS14:図17C(a)参照)。このスイング角度はフレーム枠の反り量Wpを打ち消すことができる量(これをフレーム保持角(α)とする)に設定される。そして、このスイングさせた状態で第一の玉型の形状測定を再度行う(ステップS15:図17C(b)参照)。このときの測定結果であるスイング角度はメモリ55(図10A参照)に記憶する。
【0086】
次に、フレーム枠の第二の玉型の形状測定を行うために、演算制御回路52は、上記保持手段スイング機構を制御して、スライド枠3を前記一方向とは逆の方向にスイングさせる(ステップS16:図17C(c)参照)。このとき、演算制御回路52は、メモリ55に記憶したスイング角度に基づいてスライド枠3をスイングさせる。つまり、演算制御回路52は、第二の玉型を水平状態とするために、フレーム保持角(−α)だけスライド枠3をスイングさせる。そして、この状態で第二の玉型の形状測定を行う(ステップS13)。
【0087】
上記のように、フレーム保持角(α)をメモリ55に記憶し、その記憶結果に基づいて、スライド枠3をフレーム保持角(−α)だけスイングさせることにより、第一の玉型および第二の玉型をほぼ水平状態にして枠形状を測定することが可能となる。また、スタイラスとヤゲン溝の角度変化も少なくできるので、更に測定誤差も軽減することができる。
(II)度数のある眼鏡レンズやデモレンズ等の玉型の形状測定
(II-a)通常の玉型の周縁形状測定
(i)眼鏡レンズやデモレンズ等の玉型のセット
上述したように、メガネ(眼鏡)Mには、溝掘枠タイプ(ハーフリムタイプ)のものがある。このメガネMでは、図20に示したように、溝付きの左右の眼鏡レンズML,MRを玉型Lmとして有すると共に、ハーフリムタイプのメガネフレームMFを有する。このメガネフレームMFは、左右の眼鏡レンズML,MRの上半分を保持するリムLrm,Rrmと、リムLrm,Rrmを結合するブリッジBを有する。このタイプのメガネMでは、図21に示したように眼鏡レンズML(MR)の周縁部に周面に開口し且つ周方向に環状に延びるバンド配設溝Lgを設け、このバンド配設溝Lgにナイロール紐等のバンド(紐状体)Bを配設して、このバンドBdで眼鏡レンズML(MR)をリムLrm(Rrm)に保持させるようにしている。このタイプのメガネMには、装用者の眼屈折力を矯正する度数のある眼鏡レンズを使用しているものと、メガネ選択のために眼鏡店等で展示しているものとがある。眼鏡店等で展示しているメガネでは、眼鏡レンズに度数のないダミーレンズを用いている。
【0088】
このような実際の眼鏡レンズやダミーレンズ等の玉型Lmのバンド配設溝の形状測定を行う場合、例えば特開平10−328992号公報や特開平8−294855号公報等に開示された周知の玉型ホルダーを用いることができる。この特開平10−328992号公報の玉型ホルダーにデモレンズ等の玉型を保持させるためには、特開平8−294855号公報に開示されたような吸着盤及び吸着盤保持構造を採用できる。この玉型ホルダーの構造はこの発明の本質ではないので、その詳細な説明は省略する。
【0089】
上述した玉型ホルダーにデモレンズ等の玉型を保持させて、玉型ホルダーをスライド枠3,3間に配設し、特開平10−328992号公報の玉型ホルダーの側壁又は特開平8−294855号公報の側部のフランジを保持棒(固定保持棒)3b1と保持棒(可動保持棒)3b2との間で挟持させる。この際、玉型ホルダーに保持された玉型は、下方に向けられることになる。
【0090】
この玉型ホルダー(図示せず)がホルダー検出手段53により検出されると、この検出信号が演算制御回路52に入力される。この際、演算制御回路52は、ホルダー検出手段53が玉型ホルダ(図示せず)を検出したとき、液晶表示器56に玉型ホルダ(図示せず)に保持された玉型が溝有りか否かの選択を促すメッセージを表示させる。
【0091】
これに伴い、バンド配設溝を有する玉型Lmの玉型形状の測定を実行させる場合について、図25のフローチャートに基づいて説明する。この場合、溝有りスイッチ57を押し、バンド配設溝が無い玉型Lmのlレンズ形状の測定を実行させるためには溝無しスイッチ58を押す。
【0092】
そして、演算制御回路52は、スイッチ57,58のいずれか一方が押されると、玉型ホルダ(図示せず)に保持された玉型がバンド配設溝を有するか否かの判断をステップS1で行う。しかも、演算制御回路52は、スイッチ57が押されたとき玉型が溝有りと判断してステップS2に移行し、スイッチ58が押されたとき玉型が溝無しと判断してステップS8に移行する。
【0093】
このステップS2,ステップS8では、玉型用測定子36の玉型Lmへの当接動作および玉型の周縁形状測定を実行する。
(ii)玉型への玉型用測定子36の当接動作
(a)当接動作1
ステップS2,ステップS3において演算制御回路52は、スライダ15を原点位置からガイドレール14に沿って前方に移動させ、玉型用測定子36を玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型の周縁の外側に位置させて、玉型Lmのレンズ形状とバンド配設溝形状の測定動作の制御を開始する。
【0094】
次に、演算制御回路52は、上述したようにアクチュエータモータ50を正転させて、レンズ枠用測定子37を上述した図7の初期位置(イ)から高さ(ロ)まで上昇させる。これに伴い、玉型用測定子36もレンズ枠用測定子37と一体に上昇して、玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型の周縁に対応する高さまで上昇する。
【0095】
この後、演算制御回路52は、駆動モータ18を駆動制御して、駆動モータ18の回転をワイヤ20でスライダ15に伝達させ、図18に示したように玉型用測定子36が玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型Lmの周面に当接するまで移動するように、スライダ15をガイドレール14に沿って移動制御する。そして、図18に示したように玉型用測定子36が玉型Lmの周面に当接させられる。
【0096】
尚、このようにして玉型用測定子36が玉型Lmの周面に当接させられる際に、玉型用測定子36が図26に示した玉型Lmの幾何学中心Goから周面に当接させらた位置X1までの移動距離が動径ρiとなる。
【0097】
このような制御は、予め実験等で求められた標準の玉型のデータに基づいて行うことができる。
(b)当接動作2(他の当接動作)
尚、玉型用測定子36を玉型Lmの周面に当接させる手順としては、他の方法でも良い。即ち、先ずアクチュエータモータ50を正転させて、上昇位置規制レバー49の自由端部を図7の位置から引張りコイルスプリング48のバネ力に抗して上方に図15〜図17の位置まで持ち上げ、支持軸46を回動させる。この際、支持軸46は押さえレバー47を回動させて、押さえレバー47の自由端部を上昇位置規制レバー49の自由端部と同方向に上昇させる。これに伴い、係合軸44がコイルスプリング43のバネ力により測定子軸35と一体に上昇させられて、玉型用測定子36が上昇させられ、玉型Lmの後側屈折面fbに当接させられる。この後、駆動モータ18を駆動制御させて、スライダ15をガイドレール14に沿って所定速度で移動させ、玉型用測定子36を玉型Lmの後側屈折面fbに沿って周縁部側に移動させて、玉型用測定子36を玉型Lmの後側屈折面の周縁から大きく外れる位置まで移動させる。この際、玉型用測定子36が玉型Lmの後側屈折面fbの周縁から外れてコイルスプリング43のバネ力によりレンズ枠用測定子37と一体に上昇しても、コイルスプリング43のバネ力は弱いので、玉型用測定子36の移動速度をある程度早くしておくことで、レンズ枠用測定子37が玉型Lmに衝突するのを回避できる。
【0098】
そして、玉型用測定子36が玉型Lmの後側屈折面から外れる離脱位置は、玉型用測定子36が上昇したときの位置をリニアスケール40が検出することで判断できる。この離脱位置の玉型用測定子36の水平方向の位置はリニアスケール24の検出信号から得られる。従って、離脱位置におけるリニアスケール24,40からの検出信号により、玉型用測定子36が玉型Lmの後側屈折面から外れる位置は三次元座標データとして求めることができる。また、この三次元座標データに基づいて、アクチュエータモータ50を駆動制御して上昇位置規制レバー49の自由端部の高さを調整することで、押さえレバー47の自由端部の高さを調整して、玉型用測定子36を玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型Lmの周縁に対応する高さに調整できる。この後、演算制御回路52は、駆動モータ18を駆動制御して、駆動モータ18の回転をワイヤ20でスライダ15に伝達させ、図18に示したように玉型用測定子36が玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型Lmの周面に当接するまで移動するように、スライダ15をガイドレール14に沿って移動制御する。そして、図18に示したように玉型用測定子36が玉型Lmの周面に当接させられる。
(c)玉型用測定子36による周縁形状測定の実行
次に、演算制御回路52は、駆動モータ6を駆動制御して、駆動モータ6を正転させる。この駆動モータ6の回転は、ピニオン7,タイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達され、従動ギヤ5が回転ベース9と一体に水平回転させられる。
【0099】
この回転ベース9の回転に伴い、スライダ15及びこのスライダ15に設けられた多数の部品が回転ベース9と一体に水平回転し、玉型用測定子36が玉型Lmの周面(コバ端)に沿って摺接移動する。この際、スライダ15がレンズ枠用測定子37と一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量は、玉型用測定子36の先端(玉型用測定子36の玉型Lmへの当接点)の移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。
【0100】
しかも、測定子軸35の中心から玉型用測定子36先端までの寸法(長さ)は既知であるので、スライダ15が原点にあるときの回転ベース9の回転中心から玉型用測定子36の先端までの距離を予め設定しておけば、スライダ15がガイドレール14に沿って移動したときにおいて、回転ベース9の回転中心から玉型用測定子36までの距離が変化しても、この距離の変化は動径ρiとすることができる。
【0101】
従って、駆動モータ6の回転による回転ベース9の回転角θiを駆動モータ6の駆動パルス数から求め、この回転角θiに対応する動径ρiを求めることで、玉型Lmの周面形状(玉型形状)を極座標形式の玉型形状情報(θi,ρi)として求めることができる。
【0102】
そして、演算制御回路52は、ステップS8で玉型形状情報(θi,ρi)を求めると、ステップS9で通常測定を終了する。一方、演算制御回路52は、ステップS8で玉型形状情報(θi,ρi)を求めると、ステップS3で通常測定を終了して、ステップS4に移行する。
(II-b)玉型Lmのバンド配設溝Lgの周縁形状測定
(i)バンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセット位置算出
(a)玉型Lmの周縁形状の上下方向の位置Ziの算出
上述した(b)の玉型Lmの周縁形状測定(外周形状測定)において二次元の玉型形状情報(θi,ρi)しか得られない場合には、ステップS4において図18,図19に示した玉型Lmの後側屈折面fbの曲率を測定により算出し、この算出した曲率と玉型形状情報(θi,ρi)から玉型形状情報(θi,ρi)における玉型Lmのコバ端(周縁)の後側屈折面fbにおける上下方向の位置Zi、すなわち玉型Lmの周縁形状の上下方向の位置Ziを算出して、三次元の玉型形状情報(θi,ρi,Zi)を得ることができる。
【0103】
この後側屈折面fbの曲率は、図19に示したように、取付穴用測定子38の上端部を眼鏡レンズの後側屈折面fbに当接させて、取付穴用測定子38を眼鏡レンズの幾何学中心から半径方向に移動させて、取付穴用測定子38の幾何学中心の半径方向における距離(位置、又は動径)と上下方向の位置とを測定することにより、得ることができる。この際、取付穴用測定子38の幾何学中心の半径方向における距離(位置、又は動径)は、スライダ15がレンズ枠用測定子37と一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。また、上下方向の位置は、リニアスケール40の検出ヘッド42の検出信号から演算制御回路52により求める。
【0104】
尚、眼鏡レンズの幾何学中心は、玉型形状情報(θi,ρi)から求めることができる。この点は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0105】
さらに、玉型Lmのコバ端(周縁の上下方向の位置Ziは、玉型形状情報(θi,ρi)に基づいて、バンド配設溝用測定子36eの上面又はレンズ枠用測定子37の上面を用いて測定することにより算出することもできる。
【0106】
尚、このようにして求めた玉型形状情報(θi,ρi,Zi)はバンド配設溝Lgの玉型形状情報ではないので、玉型形状情報(θ0,ρ0,Z0)におけるバンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセット位置(θ0,ρ0′,Z0+Δz)をZ0と既定値Δzから求める。この既定値Δzは、ダミーレンズに設けられるバンド配設溝の位置から予め分かっている既知の値である。
(b)バンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセット
すなわち、演算制御回路52は、玉型Lmの後側屈折面fbの周縁の玉型形状情報(θi,ρi,Zi)に基づいて測定開始位置の位置情報(θ0,ρ0,Z0)を求めて、動径ρ0にバンド配設溝用測定子36eの寸法を加味したバンド配設溝Lgの動径ρ0′を求めると共に、上下方向の位置Z0にバンド配設溝Lgのある位置までの高さΔzを加味した上下方向の位置Z0+Δzを求める。この高さΔzは、玉型Lmの後側屈折面fbの周縁からバンド配設溝Lgの幅方向中心までの寸法であり、標準のものを用いる。
【0107】
このようにして角度θ0,動径ρ0,上下方向の位置Z0+Δzを、バンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセット位置情報(セット位置データ)とする。
【0108】
そして、演算制御回路52は、ステップS4においてセット位置情報(θ0,ρ0,Z0+Δz)に基づき駆動モータ6,18及びアクチュエータモータ50を作動制御して、バンド配設溝用測定子36eをバンド配設溝Lgに挿入させて、バンド配設溝用測定子36e先端をバンド配設溝Lgの底部に当接させる。
【0109】
この際、バンド配設溝Lgが角底や平面の場合には、バンド配設溝用測定子36eがバンド配設溝Lgの上縁にコイルスプリング43のバネ力で軽く接触させられるので、初期セット位置情報は(θ0,ρ0,Z0+Δz′)となる。
【0110】
また、コイルスプリング23のバネ力をコイルスプリング43のバネ力よりも充分大きく設定しておくことで、バンド配設溝Lgが丸底の場合には、バンド配設溝用測定子36eがコイルスプリング23のバネ力によりバンド配設溝Lgの幅方向中心においてバンド配設溝Lgの丸底に点接触させられる。この場合には、初期セット位置情報は(θ0,ρ0,Z0+Δz′′)となる。
【0111】
これにより、バンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセットが完了する。このセットが完了すると、演算制御回路52はステップS5に移行する。
【0112】
尚、このようにして玉型用測定子36が玉型Lmのバンド配設溝Lgに当接させられる際に、玉型用測定子36が図27に示した玉型Lmの幾何学中心Goからバンド配設溝Lgに当接させらた位置X2までの移動距離が動径ρi′となる。以下、初期セット位置情報(θ0,ρ0,Z0+Δz′)の場合について、バンド配設溝Lgの周縁形状の測定を説明する。尚、初期セット位置情報が(θ0,ρ0,Z0+Δz′′)の場合も初期セット位置情報(θ0,ρ0,Z0+Δz′)の場合と略同様にしてバンド配設溝Lgの周縁形状の測定をすることができると共に、この測定によりえらる情報を初期セット位置情報(θ0,ρ0,Z0+Δz′)の場合と略同様に補正できるので、その説明は省略する。
(c)バンド配設溝Lgの周縁形状測定
このステップS5において演算制御回路52は、駆動モータ6を駆動制御して駆動モータ6を正転させる。
【0113】
この駆動モータ6の回転は、ピニオン7,タイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達され、従動ギヤ5が回転ベース9と一体に水平回転させられる。
【0114】
この回転ベース9の回転に伴い、スライダ15及びこのスライダ15に設けられた多数の部品が回転ベース9と一体に水平回転し、バンド配設溝用測定子36eが玉型Lmのバンド配設溝Lgに沿って摺接移動する。この際、スライダ15がバンド配設溝用測定子36eと一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量は、レンズ枠用測定子37の先端の移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。
【0115】
しかも、測定子軸35の中心からバンド配設溝用測定子36eの先端までの寸法(長さ)は既知であるので、スライダ15が原点にあるときの回転ベース9の回転中心からバンド配設溝用測定子36eの先端までの距離を予め設定しておけば、スライダ15がガイドレール14に沿って移動したときにおいて、回転ベース9の回転中心からバンド配設溝用測定子36eまでの距離が変化しても、この距離の変化はバンド配設溝Lgの動径ρi′とすることができる。しかも、演算制御回路52は、動径ρiにおける上下方向の位置情報(Zi+Δz′)をリニアスケール40の検出ヘッド42の検出信号とバンド配設溝用測定子36eが実際にバンド配設溝Lgに当接した位置情報から求める。
【0116】
また、動径ρiにおけるバンド配設溝Lgの幅方向中心の上下方向の位置情報は、バンド配設溝Lgの幅をBtとすると(Zi+Δz′−Bt/2)となる。
【0117】
従って、駆動モータ6の回転による回転ベース9の回転角θiを駆動モータ6の駆動パルス数から求め、この回転角θiに対応するバンド配設溝Lgの動径ρi′,上下方向の位置(Zi+Δz′−Bt/2)を求めることで、玉型Lmのバンド配設溝Lgの周縁形状(玉型形状)を極座標形式の三次元のバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)として求めることができる。
【0118】
尚、このバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)は、バンド配設溝Lgにおける玉型形状情報ということもできる。また、バンド配設溝Lgの周縁形状(周方向形状)は切込深さによっても変化するが、三次元のバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)を測定することで、精確な溝掘加工データを得ることができる。
【0119】
また、演算制御回路52は、バンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)からバンド配設溝Lgの周長を求めると共に、バンド配設溝Lgのカーブ値Cvを求める。ここで、バンド配設溝用測定子36eの突出寸法をtとし、バンド配設溝Lgの深さ情報をhiとすると、バンド配設溝Lgの深さ情報hiは、
hi=t−(ρi−ρi′)
として演算制御回路52により求められる。尚、図26のバンド配設溝用測定子36eは図9A,図8Bに示したように突出寸法tが1.5mmであるので、
hi=1.5−(ρi−ρi′)
となる。
【0120】
そして、演算制御回路52は、これらの情報を算出すると、ステップS7に移行する。このステップS7において演算制御回路52は、求めたバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz)やバンド配設溝Lgの周長、バンド配設溝Lgのカーブ値,バンド配設溝Lgの深さ情報hi等を図示しない加工機(レンズ周縁研削加工装置)に転送する。
【0121】
尚、演算制御回路52は、深さ情報hiから平均化した値の深さ情報haを求めることができる。また、演算制御回路52は、平均した深さ情報haからバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)を補正して、補正バンド配設溝形状情報(θi,ρi′′,Zi+Δz′−Bt/2)を求めると共に、平均した深さ情報haからカーブ値Cvを補正して、補正した補正カーブ値Cv′を求めることができる。そして、補正バンド配設溝形状情報(θi,ρi′′,Zi+Δz′−Bt/2)からバンド配設溝Lgの補正周長を求めることができる。
【0122】
従って、バンド配設溝Lgの深さ情報hiにバラツキがあっても、溝掘加工に用いられる補正バンド配設溝形状情報(θi,ρi′′,Zi+Δz−Bt/2)や補正カーブ値Cv′及び補正周長等を図示しない加工機(レンズ周縁研削加工装置)に加工用データとして転送することもできる。この場合には、より精確なバンド配設溝加工のためのデータを得ることができる。
【0123】
以上説明したように、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置は、レンズ(玉型Lm)の周面に周方向に向けて形成されたバンド配設溝Lgに当接させるバンド配設溝用測定子36eと、前記バンド配設溝用測定子36eを前記レンズ(玉型Lm)の周方向に移動させる測定子駆動装置Dと、前記バンド配設溝用測定子36eの移動位置を検出する三次元位置検出装置(リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等を含む構成)と、前記バンド配設溝用測定子36eの移動位置を前記バンド配設溝Lgに沿って移動させたときの前記三次元位置検出装置(リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等を含む構成)からの検出信号に基づいてバンド配設溝形状を求める演算制御回路52を備えている。
【0124】
この構成によれば、レンズの溝に直接接触子を挿入し、レンズの溝形状に対しても測定を行い、溝が描く湾曲した3次元的な輪形状を測定し、正確な溝カーブ値を得ることができる。
【0125】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路52は前記バンド配設溝形状から前記バンド配設溝Lgの周長を求めるようになっている。
【0126】
この構成によれば、正確な溝カーブ値を得ることができる。
【0127】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記バンド配設溝用測定子36eは前記レンズの周面に当接させる玉型用測定子に設けられている。しかも、前記演算制御回路52は、玉型用測定子により前記レンズの周面の少なくとも1測定箇所の周面位置データを前記三次元位置検出装置からの検出信号に基づいて求める一方、前記バンド配設溝用測定子36eにより前記1測定箇所における前記バンド配設溝Lgの溝位置データを求めて、前記周面位置データと前記溝位置データから前記バンド配設溝Lgの溝深さを求めるようになっている。
【0128】
この構成によれば、バンド配設溝Lgの溝深さを用いて、正確なバンド配設溝形状や精確な溝カーブ値を得ることができる。
【0129】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記バンド配設溝用測定子36eは、先端に向かうに従って先細り形状に形成されていると共に、先端部に球状の当接部を有する。
【0130】
この構成によれば、バンド配設溝の断面形状が種々あっても、バンド配設溝の断面形状にかかわらずバンド配設溝用測定子をバンド配設溝に配設することができる。
【0131】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路52は、前記レンズ周面用測定子により前記レンズの周面の少なくとも1測定箇所の三次元位置データを求め、前記三次元位置データに基づいて前記測定子駆動装置Dを作動制御することにより、前記バンド配設溝用測定子36eを前記レンズのバンド配設溝Lgに当接制御させるようになっている。
【0132】
この構成によれば、簡単な構成でバンド配設溝用測定子をバンド配設溝に挿入することができる。
【符号の説明】
【0133】
24・・・リニアスケール(三次元位置検出装置の一構成要素)
36e・・・バンド配設溝用測定子
40・・・リニアスケール(三次元位置検出装置の一構成要素)
52・・・演算制御回路
Lm・・・玉型(レンズ)
Lg・・・バンド配設溝
D・・・測定子駆動装置
Pd1・・・モータドライブ回路(三次元位置検出装置の一構成要素)
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼鏡レンズやダミーレンズ等のレンズ(玉型)の周面に形成されたバンド配設溝の形状を測定可能な玉型形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、眼鏡店等においては、メガネフレームに度数のないダミーレンズを眼鏡レンズとして保持させたメガネ(眼鏡)を多数展示している。このようなメガネには、左右のレンズ枠(環状リム)を有するメガネフレームのタイプと、リムレスフレームのタイプと、溝掘枠(ハーフリム)のタイプのもの等がある。
【0003】
また、レンズ加工のために、メガネフレームのタイプのメガネでは、メガネのレンズ枠の内周面の形状を測定子で測定して、ダミーレンズ(玉型)の玉型形状を求めるようにしているのが普通である。更に、レンズ加工のために、リムレスフレームや溝掘枠のタイプのメガネでは、ダミーレンズの周面に沿って測定子を移動させて、ダミーレンズそのものの周面形状を眼鏡レンズの玉型形状として求めるようにしているのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、溝掘枠タイプのメガネは、溝付きの左右の眼鏡レンズを玉型として有すると共に、ハーフリムタイプのメガネフレームを有する。このメガネフレームは、左右の眼鏡レンズの上半分をそれぞれ保持する左右のリムと、この左右のリムを結合するブリッジを有する。また、このメガネでは、眼鏡レンズの周縁部に周面に開口し且つ周方向に環状に延びるバンド配設溝を設け、このバンド配設溝にナイロール紐等のバンド(紐状体)を配設して、このバンドで眼鏡レンズをリムに保持させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−259710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような溝掘枠タイプのメガネの測定では、ダミーレンズの玉型形状すなわちダミーレンズの周面形状のみ二次元的に求めており、ダミーレンズのバンド配設溝の三次元形状の測定を行っていないのが現状である。
【0007】
このような二次元の玉型形状を用いて、実際に屈折度数が処方された眼鏡レンズの周面にバンド配設溝を溝掘カッターで溝掘するには、ダミーレンズの光軸の延びる方向におけるバンド配設溝の位置情報を求めて、バンド配設溝の三次元データを得る必要がある。
【0008】
このためには、ダミーレンズの光軸の延びる方向におけるダミーレンズ周縁の数箇所の位置情報を求めて、この位置情報と玉型形状からダミーレンズのカーブ値等を求めている。
【0009】
しかしながら、光軸の延びる方向おけるダミーレンズの周縁の数箇所の差からダミーレンズのカーブ値を求め、その値を元にダミーレンズに加工されている溝カーブ値を求めた値をバンド配設溝の加工に使用すると、実際のこのカーブ値はバンド配設溝の溝カーブ値と異なるために、バンド配設溝を正確に加工できないものであった。
【0010】
そこで、本発明では、レンズの溝に直接接触子を挿入し、レンズの溝形状に対しても測定を行い、溝が描く湾曲した3次元的な輪形状を測定し、正確な溝カーブ値を得ることができる玉型形状測定装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、この発明は、レンズの周面に周方向に向けて形成されたバンド配設溝に当接させるバンド配設溝用測定子と、前記バンド配設溝用測定子を前記レンズの周方向に移動させる測定子駆動装置と、前記バンド配設溝用測定子の移動位置を検出する三次元位置検出装置と、前記バンド配設溝用測定子の移動位置を前記バンド配設溝に沿って移動させたときの前記三次元位置検出装置からの検出信号に基づいてバンド配設溝形状を求める演算制御回路を備える玉型形状測定装置としたことを特徴とする。。
【発明の効果】
【0012】
この構成によれば、レンズの溝に直接接触子を挿入し、レンズの溝形状に対しても測定を行い、溝が描く湾曲した3次元的な輪形状を測定し、正確な溝カーブ値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明にかかる玉型形状測定装置の部分概略斜視図である。
【図1A】この発明に係る玉型形状測定装置の斜視図である。
【図1B】図1Aの玉型形状測定装置を視点を変えて見たときの斜視図である。
【図1C】図1Aの玉型形状測定装置を図1Aの矢印C方向から見たときの側面図である。
【図1D】図1Aの玉型形状測定装置の平面である。
【図1E】フレーム保持部をスイングさせる機構を示す図である。
【図2】図1の玉型形状測定装置の測定機構の斜視図である。
【図3】図2の測定機構の正面図である。
【図4】図2の測定機構の背面図である。
【図5】図4の測定機構の右側面図である。
【図5A】図2の測定機構の回転ベースの駆動手段を示す模式図である。
【図5B】図2のスライダ駆動機構を説明するための模式図である。
【図5C】図5Bの平面図である。
【図5D】図2のスライダの原点検出手段の概略説明図である。
【図6】図2の測定子の昇降機構を示す斜視図である。
【図7】図6の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図8】図7の左側面図である。
【図9】図1に示した玉型用測定子の部分拡大斜視図である。
【図9A】図1に示した玉型用測定子の側面図である。
【図9B】図1に示したバンド配設溝用測定子の要部拡大説明図である。
【図10】図9の側面図である。
【図10A】図1に示した玉型形状測定装置の制御回路図である。
【図11】図6の測定子の昇降機構の作用を説明する斜視図である。
【図12】図11の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図13】図11の昇降機構のリニアスケールの説明図である。
【図14】図13の右側面図である。
【図15】図6の測定子の昇降機構の作用を説明する斜視図である。
【図16】図15の昇降機構によるレンズ枠の測定のための説明図である。
【図17】図16の左側面図である。
【図17A】スライド枠全体をスイングさせる際の動作を示すフローチャートである。
【図17B】図17Aの動作を具体的に示しており、(a)はフレーム枠を水平にして第一の玉型形状を測定する様子を示す図、(b)は第二の玉型形状を測定する様子を示す図である。
【図17C】図17Bの続きを示しており、(a)はフレーム枠をフレーム保持角(α)だけスイングさせた様子を示す図、(b)は第一の玉型形状を測定する様子を示す図、(c)はフレーム枠をフレーム保持角(−α)だけスイングさせた様子を示す図である。
【図18】図2の昇降機構による玉型測定の説明図である。
【図19】図2の昇降機構による玉型測定の説明図である。
【図20】溝掘枠(ハーフリム)タイプのメガネの斜視図である。
【図21】図20の眼鏡レンズとリム及びバンド等との関係を示す説明図である。
【図22】図9Bに示したバンド配設溝用測定子とバンド配設溝の形状との関係を示す説明図である。
【図23】図9Bに示したバンド配設溝用測定子とバンド配設溝の他の形状との関係を示す説明図である。
【図24】図9Bに示したバンド配設溝用測定子とバンド配設溝の他の形状との関係を示す説明図である。
【図25】バンド配設溝用測定子によるバンド配設溝の形状測定のフローチャートである。
【図26】玉型用測定子によるレンズ周面の玉型形状の測定の説明図である。
【図27】バンド配設溝用測定子によるレンズのバンド配設溝の測定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0015】
[構成]
図1はこの発明に係る玉型形状測定装置の要部構成を示しており、この玉型形状測定装置は測定装置本体1を有する。この測定装置本体1は、下部の測定機構収納用のケース部1aと、ケース部1aの上部に配設されたレンズ枠保持機構1bを有する。そして、図1のケース部1a内の底部には図2に示したベース2が設けられている。
【0016】
また、図1のレンズ枠保持機構1bは図1Aの可動枠400を有する。また、この可動枠400は対向する側壁に両端が固定された一対の平行なガイドロッド(ガイド部材)1c,1cを有する。しかも、このガイド部材1c,1cにはスライド枠3,3が相対接近・離反可能に保持されている。このスライド枠3,3は、図示しないコイルスプリング等で互いに接近する方向にバネ付勢されている。このスライド枠3,3は、互いに対向させられていてメガネ(眼鏡)のレンズ枠(図示せず)が当接させられる縦壁3a,3aを有すると共に、このレンズ枠を保持させるレンズ枠保持手段3bを有する。このレンズ枠保持手段3bは、縦壁3aから突出する下部側の保持棒(固定保持棒)3b1と、保持棒3b1に対して上側から開閉可能にスライド枠3に取り付けられた上側の保持棒(可動保持棒)3b2を有する。このレンズ枠保持手段3bは、図示しないメガネの左右のレンズ枠に対してそれぞれ設けられる。尚、このようなレンズ枠保持機構1bとしては、例えば特開平10−328992号公報等に開示された構成、又はその他周知の技術を採用できる。従って、レンズ枠保持機構1bの詳細な説明は省略する。
<測定機構>
図1Aはこの発明に係る玉型形状測定装置の斜視図、図1Bは図1Aの玉型形状測定装置を視点を変えて見たときの斜視図である。図1Cは図1Aの玉型形状測定装置を矢印C方向から見たときの側面図、図1Dは図1Aの玉型形状測定装置の上面図である。尚、図1A〜図1Dでは、構成の説明の便宜上、図1のスライド枠3,3の形状の一部を省略して、概略的に示してある。
【0017】
可動枠400(揺動枠、スイング枠)は、図1A〜図1Cに示すように対向する側壁と底面を有し、底面が下に多角形の凸形状に形成されている。可動枠400の底面には、その中央部に開口400Aが形成されている。この開口400Aは、レンズ枠用測定子37および取付穴用測定子38が下側から上方へ向かって挿通されるためのものである。レンズ枠用測定子37および取付穴用測定子38については後述する。
【0018】
尚、可動枠400を下に凸の円筒面にしてもよい。また、両スライド枠3の外側端面401には、帯状を成し、且つ仮想軸402を中心とした円弧状に曲げられたガイドレール403が取り付けられている。
【0019】
一方、図1の測定装置本体1のケース部1aは図1Aの下部ケース404を有する。この下部ケース404の上壁の両側上部にブラケット405,405が上方に向かって一体に設けられている。この下部ケース404の上壁には図示を省略した測定子挿通孔が形成されている。尚、この測定子挿通孔は、開口400Aと同じ大きさかそれ以上の大きさに形成されている。各ブラケット405には、その上部に支持コロ406が、支持コロ406の下方に支持コロ407がそれぞれ回転自在に設けられている。そして、各ブラケット405の支持コロ406,407は、スライド枠3のガイドレール403を上下で挟持するよう配置されている。すなわち、両スライド枠3は、ガイドレール403がその上下を支持コロ406,407で挟持されることによって、測定装置本体1の下部ケース404上に支持されており、これにより、両スライド枠3は仮想軸402を中心にして矢印D方向にスイングすることができる。
【0020】
また、ガイドレール403の下側縁には、図1Eに示すように、ベルト408が設けられている。このベルト408は、その両端部がガイドレール403の下側縁に固定され、両端部以外の部分はガイドレール403の下側縁には固定されていない。つまり、ベルト408は、その両端部以外の部分はガイドレール403の下側縁から離間することができるようになっている。
【0021】
測定装置本体1の下部ケース404上には、駆動部としてモータ409(図1A〜1D参照)が設けられ、このモータ409の出力軸には駆動コロ410が取り付けられている。駆動コロ410は、その両側のブラケット405,405にそれぞれ取り付けられた支持コロ407,407間のほぼ中間で且つ支持コロ407,407よりも下方の位置に配置されている。
【0022】
そして、ガイドレール403の下側縁に設けられたベルト408は、一方の支持コロ407に巻き回された後、駆動コロ410に巻き回され、さらに、他方の支持コロ407に巻き回されている。ベルト408は、その上面(ガイドレール403の下側縁に接触する側の面)がギザギザになっており、また、駆動コロ410の外周面もギザギザになっている。その結果、ベルト408の上面と駆動コロ410の外周面との間の摩擦係数は大きく、駆動コロ410が回転すると、ベルト408は滑ることなく、図1Eにおいて、右方向または左方向へ移動する。その結果、スライド枠3を、仮想軸402を中心にして矢印D方向(図1Aおよび図1C参照)スイングさせることができる。尚、図には示してないが、測定装置本体1には、スライド枠3がスイングしたときの角度(スイング角)を検出するためのスイング角検出部が設けられている。
【0023】
尚、ガイドレール403、支持コロ406,407、ベルト408、モータ409および駆動コロ410は、保持手段スイング機構を構成している。
【0024】
また、ベース2上には図2〜図5に示したような測定機構1dが設けられている。この測定機構1dは、図1Aでは図示を省略したが図1Aの下部ケース404内に配設されていると共に、ベース2上に固定されたベース支持部材4を有する。このベース支持部材4には大径の従動ギヤ5が鉛直軸を中心に水平回転自在に取り付けられている。また、ベース2には、図5Aに模式的に示した駆動モータ6が従動ギヤ(タイミングギヤ)5に隣接して取り付けられている。この駆動モータ6の出力軸6aにはピニオン(タイミングギヤ)7が固定され、このピニオン7と従動ギヤ5にはタイミングベルト8が掛け渡されている。
【0025】
そして、駆動モータ6を作動させると、駆動モータ6の出力軸6aの回転がピニオン7及びタイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達されて、従動ギヤ5が回転させられるようになっている。尚、駆動モータ6には2相ステッピングモータが用いられている。
【0026】
また、図2〜図5に示したように、従動ギヤ5上には回転ベース9が一体に固定されている。この回転ベース9には、原点検出装置(原点検出手段)としてのフォトセンサ9aが取り付けられている。この場合、例えば、ベース2上に、原点位置指示用の発光手段9bを配設しておいて、この発光手段9bから線状又は点状の光束を原点マークとして上方に向けて照射し、この原点マークとしての光束をフォトセンサ9aが検出したときに、回転ベース9の水平回転の原点位置とすることができる。
【0027】
尚、原点検出装置としては、透過型のフォトセンサや反射型のフォトセンサ或いは近接センサ等の周知の技術を採用することができる。
【0028】
更に、回転ベース9の長手方向両端部には、図2〜図4に示したように、上下に延び且つ互いに対向する平行なレール取付板10,11が一体に固定され、図3に示したようにレール取付板10の一側部とレール取付板11の一側部には側板12の長手方向端部がそれぞれ固定され、図4に示したようにレール取付板10の他側部とレール取付板11の他側部には側板13の長手方向端部がそれぞれ固定されている。
【0029】
また、図2〜図4に示したように、対向するレール取付板10,11の上部間には互いに平行で且つ軸状の一対のガイドレール14,14が水平に配設されている。この各ガイドレール14の両端部はレール取付板10,11に固定されていて、ガイドレール14,14にはスライダ15が長手方向に進退移動可能に保持されている。
【0030】
更に、側板12には、図2,図3に示したように、レール取付板10に近接させて側方に水平に突出するプーリ支持板部12aが折曲により一体に形成されていると共に、レール取付板11に近接させてモータ取付用のブラケット16が固定されている。
【0031】
そして、プーリ支持板部12aには従動プーリ17が上下に延びる軸線を中心に水平回転自在に取り付けられ、ブラケット16にはスライダ移動用の駆動モータ18の上端部が固定されている。この駆動モータ18にはDCモータが用いられている。また、この駆動モータ18は出力軸18aの軸線が上下に向けられていて、この出力軸18aには図5B,図5Cに示すように駆動プーリ19が取り付けられている。
【0032】
このプーリ17,19には環状のワイヤ20が掛け渡され、このワイヤ20の一端部近傍の部分は軸状のワイヤ保持部材21に保持されている。このワイヤ保持部材21はブラケット22,22'を介してスライダ15に固定されている。また、ワイヤ20の両端部はコイルスプリング23を介して連結されている。これにより、駆動モータ18を正転又は逆転させると、出力軸18a及び駆動プーリ19が正転又は逆転させられて、スライダ15が図3中左又は右に移動させられるようになっている。
【0033】
また、ブラケット22'と側板12との間には、図5Dに示したように、スライダ15の移動位置(移動量)の原点を検出するための原点センサ(原点検出手段)20aが介装されている。この原点センサ20aには反射型のセンサを用いている。このセンサは、上下に延びるスリット状の反射面(図示せず)が設けられた反射板20bを有すると共に、発光素子と受光素子を備えた反射型のフォトセンサ20cを有する。そして、反射板20bはブラケット22'に設けられ、フォトセンサ20cは側板12に設けられている。
【0034】
尚、原点センサ20aとしては、透過型のフォトセンサや近接センサ等の周知の技術を採用することができる。
【0035】
また、図4の側板13の長手方向中央部には、図4のように側方に水平に突出する支持板部13aが一体に折曲により形成されている。この側板13とスライダ15との間には、図4に示したように、ガイドレール14の延びる方向へのスライダ15の水平方向の移動位置を検出するリニアスケール(位置測定手段)24が動径検出センサ(動径検出手段)として介装されている。
【0036】
このリニアスケール24は、ガイドレール14と平行にスライダ15に保持された軸状のメインスケール25と、支持板部13aに固定されてメインスケール25の位置情報を読み取る検出ヘッド26を備えている。この検出ヘッド26は、メインスケール25の位置検出用情報(移動量検出用情報)からスライダ15の水平方向への移動位置を検出するようになっている。このリニアスケール24には、例えば周知の磁気式のものや光学式のものを用いることができる。
【0037】
例えば、磁気式の場合、メインスケール25に軸線方向に磁極S,Nの磁気パターンを位置検出用情報(移動量検出用情報)として交互に微小間隔で設けておいて、この磁気パターンを検出ヘッド(磁気変化検出用ヘッド)26で検出することにより、スライダ15の移動量(移動位置)を検出できる。また、光学式の場合、メインスケール25を板状に形成し且つこのメインスケール25に長手方向に微小間隔のスリットを設け、メインスケール25を挟むように発光素子と受光素子を配設すると共に、発光素子からの光をメインスケール25のスリットを介して受光素子により検出して、スリットの数を求めることにより、スライダ15の移動量(移動位置)を検出できる。
【0038】
また、スライダ15の略中央部には図2に示したように貫通孔15aが形成され、この貫通孔15aには上下に延びるガイド筒27が挿通されている。このスライダ15の下方には、図4に示したように、支持枠28が配設されている。この支持枠28は、上端部がスライダ15に保持された縦フレーム29,30と、縦フレーム29,30の下端部に固定された横板(底板)31を備えている。
【0039】
この横板(底板)31には、上下に延び且つ互いに平行に設けられた軸状の一対の支持部材32,32の下端部が固定されている(図8参照)。この支持部材32,32の上端部には保持部材(連結部材)33が固定され、この保持部材33には側面形状をL字状に形成したガイド支持部材34の縦壁34aが固定されている。このガイド支持部材34の横壁(上壁)34b上にはガイド筒27の下端部が固定されている。
【0040】
そして、ガイド筒27には上下に延びる測定子軸35が上下動自在に嵌合保持され、測定子軸35の上端部には玉型用測定子(玉型用周縁形状測定子)36が一体に設けられている。この玉型用測定子36は、測定子軸35の上端部に垂直に取り付けられた取付部36aと、取付部36aから上方に延びる垂直部36bがL字状に形成されている。また、垂直部36bの背面36cは玉型用周縁形状測定のため、一定のRにて加工されている。この垂直部36bの上端部には取付部36aと平行にレンズ枠用測定子37が一体に設けられている。尚、レンズ枠用測定子37は、垂直部36bの背面36cとは反対側の正面36dに取り付けられている。
【0041】
また、メガネ(眼鏡)Mには溝掘枠タイプ(ハーフリムタイプ)のものがある。この溝掘枠タイプのメガネMは、図20に示したように、溝付きの左右の眼鏡レンズML,MRを玉型Lmとして有すると共に、ハーフリムタイプのメガネフレームMFを有する。このメガネフレームMFは、眼鏡レンズML,MRの上半分を保持するリムLrm,Rrmと、このリムLrm,Rrmを結合するブリッジBを有する。
【0042】
また、このメガネMでは、図21に示したように眼鏡レンズの周縁部に周面に開口し且つ周方向に環状に延びるバンド配設溝Lgを設け、このバンド配設溝Lgにナイロール紐等のバンド(吊りバンドすなわち吊り紐状体)Bdを配設して、このバンドBdで眼鏡レンズML,MRをリムLrm(Rrm)に保持させるようにしている。このタイプのメガネMには、装用者の眼屈折力を矯正する度数のある眼鏡レンズを使用しているものと、メガネ選択のために眼鏡店等で展示しているものとがある。眼鏡店等で展示しているメガネでは、眼鏡レンズに度数のないダミーレンズを用いている。
【0043】
この眼鏡レンズML,MRのバンド配設溝Lgの三次元的なレンズ形状(玉型形状)はバンド配設溝Lgの精確な加工に際して必要となる。しかし、このようなメガネMのバンド配設溝Lgの断面形状としては、図22に示したように矩形溝状(角底)のものや、図23に示したようにレンズ周面に向かうに拡開する拡開テーパ溝状で丸底状のもの、或いは図24に示したようにレンズ周面に向かうに従って間隔の狭くなり蟻溝状(逆三角形状)のものがある。
【0044】
このような種々の断面形状のメガネMのバンド配設溝Lgはレンズ周面への開口端の幅が小さいために、このバンド配設溝Lgのレンズ形状(玉型形状情報)を測定する測定子は径が小さなものである必要がある。しかも、径が小さても、測定子の強度を充分に保持する必要がある。
【0045】
そして、図9Aに示したように、このような条件を満足させるバンド配設溝用測定子36eが垂直部36bの上端部に設けられている。すなわち、垂直部36bの上端部には、背面36c側からレンズ枠用測定子37と反対方向に伸びるピン状のバンド配設溝用測定子36eが取り付けられている。
【0046】
このバンド配設溝用測定子36eは、図9Bに示したように、垂直部36bへの取付基端から先端に向かうに従って先細り形状(テーパ状)に形成されたテーパピン部36fと、テーパピン部36fの先端に更に連設された先細り形状(テーパ状すなわち円錐状)の当接部36gを備えている。この当接部36gは、テーパピン部36fのテーパ角よりも大きなテーパ角に形成されていると共に、長さが短く形成されていて、先端に微小な球状部(図では詳細な図示を省略)を有する。しかも、この球状部(図示せず)は、バンド配設溝Lgが球状底面を有していても、この球状底面の半径よりも小さな半径に形成されていて、球状底面に点で当接させられるようになっている。
【0047】
このようにテーパピン部36fは、垂直部36bへの取付基端側を径が太くなるようにすることで、強度が維持される。また、テーパピン部36fを先細り形状とすることで、種々の断面形状のバンド配設溝Lgにテーパピン部36fを挿入できるようになっている。しかも、テーパピン部36fの先端に、細り形状(テーパ状すなわち円錐状)の当接部36gを設けることで、種々の断面形状のバンド配設溝Lgにバンド配設溝用測定子36eを挿入しやすくしている。
【0048】
尚、本実施例では、テーパピン部36fの基端寸法t1は1.0mm、テーパピン部36fの先端寸法(先端径)t2は0.5〜0.9mmに設定されている。また、当接部36gの長さは、先端寸法(先端径)t2に対応して、側面形状が略正三角形となるような寸法に設定されている。
【0049】
しかも、玉型用測定子36の上端には、図10に示したように、上方に突出する取付穴用測定子38が一体に設けられている。この取付穴用測定子38は、測定子軸35の軸線と平行に玉型用測定子36の垂直部36bの上端に一体に取り付けた軸部38aと、軸部38aの上端部に設けた半球38bを有する。この半球38bは、いろいろな取付穴径に対応するため、一般的な取付穴径(2.2φ)よりも大きな半球形状が望ましい。また、取付穴用測定子38は前述のように玉型用測定子36と一体である必要はない。例えば、図9に示すように玉型用測定子36にネジ部36sを設けて、このネジ部36sを垂直部36bの上端部に螺着することにより、取付穴用測定子38を垂直部36bの上端部に着脱可能に取り付けられるようにしても良い。
【0050】
また、図6〜図8に示したように、測定子軸35の下端部にはブラケット39が固定されている。しかも、図13に示したように、ブラケット39とガイド支持部材34との間には、上下方向の移動位置を検出するリニアスケール(位置測定手段)40が高さ検出センサ(高さ検出手段)として介装されている。
【0051】
このリニアスケール40は、上下に向けて測定子軸35と平行に配設された軸状のメインスケール41と、メインスケール41の上下方向への移動量から測定子37,38の上下方向への移動位置を検出する検出ヘッド42を備えている。このメインスケール41は、上端部が保持部材33に固定され且つ下端部がブラケット39に固定(又は保持)されている。また、検出ヘッド42は、保持部材33に保持されている。このリニアスケール40にも上述したリニアスケール24と同様な磁気式又は光学式のものを採用する。
【0052】
尚、図6〜図8に示したように、ブラケット39と横板(底板)31との間には測定子軸35を上方にバネ付勢するコイルスプリング43が介装されている。更に、測定子軸35の下端部近傍には、ブラケット39の上方に位置し且つ測定子軸35と直交する係合軸44が取り付けられている。また、横板(底板)31上には図6に示したようにU字状に形成したブラケット45が固定され、このブラケット45の対向壁45a,45aには支持軸46の両端部が軸線周りに回動可能に保持され、この支持軸46に押さえレバー47が固定されている。この押さえレバー47は係合軸44の上部に当接させられている。しかも、この押さえレバー47と横板31との間にはレバー引き下げ用の引張りコイルスプリング48が介装されている。この引張りコイルスプリング48の引張りバネ力は、コイルスプリング43のバネ力よりも大きく設定されている。
【0053】
また、支持軸46には、上昇位置規制レバー49が固定されている。この上昇位置規制レバー49は、押さえレバー47による係合軸44の上昇位置を規制して、測定子軸35,玉型用測定子36,バンド配設溝用測定子36e,レンズ枠用測定子37,取付穴用測定子38等の上昇位置を設定するのに用いられる。この上昇位置規制レバー49は押さえレバー47と同方向に延びている。
【0054】
そして、この上昇位置規制レバー49の下方にはアクチュエータモータ50が配設されている。このアクチュエータモータ50は、横板31上に固定されたモータ本体50aと、このモータ本体50aから上方に向けて突出し且つ軸線が測定子軸35と平行に設けられたシャフト51を有する。このシャフト51の上端には、上昇位置規制レバー49が引張りコイルスプリング48の引張りバネ力により当接させられている
尚、このアクチュエータモータ50にはパルスモータが用いられている。しかも、アクチュエータモータ50は、正転させることによりシャフト51が上方に進出し、逆転させることによりシャフト51が下方に移動するように成っている。
【0055】
尚、コイルスプリング43、支持軸46、押さえレバー47、引張りコイルスプリング48、上昇位置規制レバー49、アクチュエータモータ50等は、測定子37,38等(バンド配設溝用測定子、玉型用測定子)の昇降機構を構成している。
<制御回路>
また、図10Aに示したように上述したフォトセンサ(原点検出手段)9aからの原点検出信号、フォトセンサ(原点検出手段)20cからの原点検出信号、リニアスケール24の検出ヘッド26からの移動量検出信号(位置検出信号)、及びリニアスケール40の検出ヘッド42からの移動量検出信号(位置検出信号)等は、演算制御回路(制御回路)52に入力されるようになっている。また、この演算制御回路(制御手段)52は、駆動モータ6,18及びアクチュエータモータ50をモータドライブ回路Pd1,Pd2及びPd3を介してパルス駆動するようになっている。
【0056】
この駆動モータ6,18及びアクチュエータモータ50等は測定子駆動装置(三次元駆動装置)Dを構成している。また、リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等は三次元位置検出装置を構成している。
【0057】
また、スライド枠3,3の一方の側壁には、図1に示したように玉型ホルダ(図示せず)を検出するホルダー検出手段53が設けられている。このホルダー検出手段53には、マイクロスイッチ等が用いられている。このホルダー検出手段53からの検出信号は、図10Aに示したように演算制御回路52に入力されるようになっている。図中、54は測定開始用のスタートスイッチである。尚、55は演算制御回路52に接続されたメモリである。
【0058】
更に、演算制御回路52には、測定状態やメッセージの表示、或いは測定に必要な選択を行うための表示等をさせる液晶表示器56が表示装置(表示手段)として接続されている。
【0059】
また、演算制御回路52には、バンド配設溝を有する玉型Lmの玉型形状の測定を実行させるための溝有りスイッチ57と、バンド配設溝が無い玉型Lmlレンズ形状の測定を実行させるための溝無しスイッチ58が接続されている。
【0060】
そして、演算制御回路52は、ホルダー検出手段53が玉型ホルダ(図示せず)を検出したとき、液晶表示器56に玉型ホルダ(図示せず)に保持された玉型が溝有りか否かの選択を促すメッセージを表示させるようになっている。しかも、演算制御回路52は、このメッセージに従って、スイッチ57,58のいずれか一方を選択して押すと、玉型ホルダ(図示せず)に保持された玉型がバンド配設溝を有するか否かの判断を行うようになっている。
[作用]
以下、このような玉型形状測定装置の作用を説明する。
【0061】
(I)レンズ枠形状の測定と測定機構の基本的動作
この玉型形状測定装置でメガネのレンズ枠の形状測定、又はデモレンズ等の玉型の形状測定を行う前には、アクチュエータモータ50のシャフト51の上端が図6〜図8に示したように最下端(下死点)に位置している。この位置では押さえレバー47が、コイルスプリング43よりもバネ力の強い引張りコイルスプリング48によって、支持軸46を中心に下方に回動するよう回動付勢されている。これにより押さえレバー47は、係合軸44を介して測定子軸35を下方に押し下げている。これにより、レンズ枠用測定子37及び玉型用測定子36は最下端に位置させられている。
【0062】
この状態の玉型形状測定装置でメガネのレンズ枠の形状測定を行う場合には、例えば特開平10−328992号公報におけるように、図7の左右のレンズ枠LF(RF)を有するメガネフレームMFを図1のスライド枠3,3間に配設し(図1ではメガネフレームMFの図示を省略)、レンズ枠LF(RF)を図7の如く保持棒3b1,3b2間で挟持させる。この保持は特開平10−328992号公報と同様である。
【0063】
また、この保持棒3b1,3b2間に保持されたレンズ枠LF(RF)は、図7に示したように測定開始前の状態ではレンズ枠用測定子37よりも上方に位置するように設定されている。即ち、レンズ枠用測定子37は、レンズ枠LF(RF)よりも下方の初期位置(イ)に位置させられている。しかも、図7に示したように、レンズ枠用測定子37及び取付穴用測定子38は、保持棒3b1,3b2間に保持されたレンズ枠LF(RF)の略中央の初期位置(i)に対応するように位置させられる。
【0064】
この位置では、フォトセンサ9aが発光手段9bからの光束から回転ベース9の水平回転の原点を検出し、原点センサ20aがスライダ15の移動位置の原点を検出している状態となっている。
【0065】
尚、レンズ枠が三次元方向に湾曲していても、レンズ枠の保持棒3b1,3b2による保持部分は他の部分よりも最も低く設定した高さとなる。この保持部分では、レンズ枠LF(RF)のヤゲン溝Ymの高さも設定した高さとなり、レンズ枠の形状測定開始位置Bsとなる。
【0066】
この状態から図10Aのスタートスイッチ54をONさせると、演算制御回路52はアクチュエータモータ50を正転させて、図6〜図8の位置からシャフト51を図11〜図14の位置まで上方に所定量だけ進出(上昇)させる。この際、シャフト51は、上昇位置規制レバー49の自由端部を引張りコイルスプリング48のバネ力に抗して上方に所定量持ち上げて、上昇位置規制レバー49を支持軸46と一体に回動させる。
【0067】
これに伴い、押さえレバー47は、支持軸46と一体に回動して、自由端部が上方に所定量上昇させられる。この押さえレバー47の自由端部の上昇により、係合軸44がコイルスプリング43のバネ力により押さえレバー47の自由端部に追従して上昇させられ、測定子軸35が所定量上昇させられる。
【0068】
この測定子軸35の上昇量、即ちアクチュエータモータ50によるシャフト51の上方への進出(上昇)量は、レンズ枠用測定子37の先端が図7の初期位置(イ)から上述した形状測定開始位置Bsのヤゲン溝Ymに臨む高さ(ロ)まで上昇する量Lとなる。
【0069】
そして、演算制御回路52は、駆動モータ18を駆動制御して駆動プーリ19を回転させ、図2,図5Bのワイヤ20によりスライダ15をガイドレール14に沿って移動させる。この際、スライダ15は図7の矢印A1方向に移動させられる。この移動は、レンズ枠用測定子37の先端が形状測定開始位置Bsで図12の如くヤゲン溝Ymに当接させられるまで行われる。しかも、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接した状態では、レンズ枠用測定子37はヤゲン溝Ymにコイルスプリング23のバネ力で弾接させられる。この状態で、駆動モータ18が停止させられる。
【0070】
尚、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接したときには駆動モータ18にかかる負荷が増大して、駆動モータ18に流れる電流が増大するので、この電流変化を検出することで、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに当接したのを検出して、駆動モータ18を停止させることができる。
【0071】
この後、演算制御回路52は、更にアクチュエータモータ50を正転させて、図11〜図14の位置からシャフト51を図15〜図17の位置まで上方に所定量だけ進出(上昇)させる。この際、シャフト51は、上昇位置規制レバー49の自由端部を引張りコイルスプリング48のバネ力に抗して上方に所定量持ち上げて、上昇位置規制レバー49を支持軸46と一体に回動させる。
【0072】
これに伴い、押さえレバー47は、支持軸46と一体に回動して、自由端部が上方に所定量上昇させられ、この押さえレバー47の自由端部が係合軸44から所定量離反させられ、測定子軸35が上下変移可能となる。
【0073】
次に、演算制御回路52は、駆動モータ6を駆動制御して、駆動モータ6を正転させる。この駆動モータ6の回転は、ピニオン7,タイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達され、従動ギヤ5が回転ベース9と一体に水平回転させられる(図5A参照)。
【0074】
この回転ベース9の回転に伴い、スライダ15及びこのスライダ15に設けられた多数の部品が回転ベース9と一体に水平回転し、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに沿って摺接移動する。この際、スライダ15がレンズ枠用測定子37と一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量は、レンズ枠用測定子37の先端の移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。
【0075】
しかも、測定子軸35の中心からレンズ枠用測定子37の先端までの寸法(長さ)は既知であるので、スライダ15が原点にあるときの回転ベース9の回転中心からレンズ枠用測定子37の先端までの距離を予め設定しておけば、スライダ15がガイドレール14に沿って移動したときにおいて、回転ベース9の回転中心からレンズ枠用測定子37の先端までの距離が変化しても、この距離の変化は動径ρiとすることができる。
【0076】
従って、駆動モータ6の回転による回転ベース9の回転角θiを駆動モータ6の駆動パルス数から求め、この回転角θiに対応する動径ρiを求めることで、レンズ枠LF(RF)のヤゲン溝Ymの周方向の形状(レンズ枠形状)を極座標形式のレンズ枠形状情報(θi,ρi)として求めることができる。
【0077】
また、レンズ枠用測定子37の先端がヤゲン溝Ymに沿って摺接移動する際、レンズ枠LF(RF)に上下方向の湾曲がある場合、この上下方向への湾曲状態はリニアスケール40の検出ヘッド42の検出信号から演算制御回路52により上下方向の変位量として求められる。この上下方向への変位量は、上下方向の位置Ziとなる。
【0078】
従って、レンズ枠LF(RF)のレンズ枠形状は、演算制御回路52により三次元のレンズ枠形状情報(θi,ρi,Zi)として求められる。この求められた三次元のレンズ枠形状情報(θi,ρi,Zi)は、演算制御回路52によりメモリ55に記憶される。
【0079】
本実施例においては、レンズ枠形状測定の際、モータ409を正転および逆転させて、図1Eに示したように、駆動コロ410に巻き回されたベルト408を右方向および左方向へ移動させることにより、スライド枠3全体を、仮想軸402を中心にして矢印D方向にスイングさせることができる。
【0080】
その結果、例えばプラス8カーブ以上のハイカーブフレーム(プラス12カーブまで可能)を自動で傾斜させ、フィーラをフレーム枠のヤゲン溝から外れることなく、また、ヤゲン溝の底を測定可能とすることで、フレームPDも正確に測定することができる。
【0081】
また、スライド枠3全体を、フレーム枠のカーブの曲率中心に近い仮想軸を中心にスイングさせることで、プラス8カーブのようなフレーム枠を水平に保持することができ、接触子をヤゲン溝に正確に係合させ、正確なフレーム枠(レンズ枠)形状を測定することができる。
【0082】
図17Aは、スライド枠3全体を矢印D方向にスイングさせる際の動作を示すフローチャートである。また、図17Bおよび図17Cは、図17Aの動作を具体的に説明する図である。
【0083】
図17Aにおいて、先ず、制御手段としての演算制御回路52(図10A参照)は、ガイドレール403、支持コロ406,407、ベルト408、モータ409および駆動コロ410等からなる保持手段スイング機構を制御して、フレーム枠を保持するスライド枠3を水平状態(図17B(a)参照)にして、フレーム枠の第一の玉型の形状測定を行う(ステップS11)。
【0084】
そして、フレーム枠の反り量Wpが一定値を超えているか否か判断する(ステップS12)。フレーム枠の反り量Wpが一定値を超えていない場合、演算制御回路52は、スライド枠3を水平状態に維持したままで、フレーム枠の第二の玉型の形状測定を行う(ステップS13:図17B(b)参照)。
【0085】
フレーム枠の反り量Wpが一定値を超えている場合は、演算制御回路52は、上記保持手段スイング機構を制御して、スライド枠3を一方向にスイングさせる(ステップS14:図17C(a)参照)。このスイング角度はフレーム枠の反り量Wpを打ち消すことができる量(これをフレーム保持角(α)とする)に設定される。そして、このスイングさせた状態で第一の玉型の形状測定を再度行う(ステップS15:図17C(b)参照)。このときの測定結果であるスイング角度はメモリ55(図10A参照)に記憶する。
【0086】
次に、フレーム枠の第二の玉型の形状測定を行うために、演算制御回路52は、上記保持手段スイング機構を制御して、スライド枠3を前記一方向とは逆の方向にスイングさせる(ステップS16:図17C(c)参照)。このとき、演算制御回路52は、メモリ55に記憶したスイング角度に基づいてスライド枠3をスイングさせる。つまり、演算制御回路52は、第二の玉型を水平状態とするために、フレーム保持角(−α)だけスライド枠3をスイングさせる。そして、この状態で第二の玉型の形状測定を行う(ステップS13)。
【0087】
上記のように、フレーム保持角(α)をメモリ55に記憶し、その記憶結果に基づいて、スライド枠3をフレーム保持角(−α)だけスイングさせることにより、第一の玉型および第二の玉型をほぼ水平状態にして枠形状を測定することが可能となる。また、スタイラスとヤゲン溝の角度変化も少なくできるので、更に測定誤差も軽減することができる。
(II)度数のある眼鏡レンズやデモレンズ等の玉型の形状測定
(II-a)通常の玉型の周縁形状測定
(i)眼鏡レンズやデモレンズ等の玉型のセット
上述したように、メガネ(眼鏡)Mには、溝掘枠タイプ(ハーフリムタイプ)のものがある。このメガネMでは、図20に示したように、溝付きの左右の眼鏡レンズML,MRを玉型Lmとして有すると共に、ハーフリムタイプのメガネフレームMFを有する。このメガネフレームMFは、左右の眼鏡レンズML,MRの上半分を保持するリムLrm,Rrmと、リムLrm,Rrmを結合するブリッジBを有する。このタイプのメガネMでは、図21に示したように眼鏡レンズML(MR)の周縁部に周面に開口し且つ周方向に環状に延びるバンド配設溝Lgを設け、このバンド配設溝Lgにナイロール紐等のバンド(紐状体)Bを配設して、このバンドBdで眼鏡レンズML(MR)をリムLrm(Rrm)に保持させるようにしている。このタイプのメガネMには、装用者の眼屈折力を矯正する度数のある眼鏡レンズを使用しているものと、メガネ選択のために眼鏡店等で展示しているものとがある。眼鏡店等で展示しているメガネでは、眼鏡レンズに度数のないダミーレンズを用いている。
【0088】
このような実際の眼鏡レンズやダミーレンズ等の玉型Lmのバンド配設溝の形状測定を行う場合、例えば特開平10−328992号公報や特開平8−294855号公報等に開示された周知の玉型ホルダーを用いることができる。この特開平10−328992号公報の玉型ホルダーにデモレンズ等の玉型を保持させるためには、特開平8−294855号公報に開示されたような吸着盤及び吸着盤保持構造を採用できる。この玉型ホルダーの構造はこの発明の本質ではないので、その詳細な説明は省略する。
【0089】
上述した玉型ホルダーにデモレンズ等の玉型を保持させて、玉型ホルダーをスライド枠3,3間に配設し、特開平10−328992号公報の玉型ホルダーの側壁又は特開平8−294855号公報の側部のフランジを保持棒(固定保持棒)3b1と保持棒(可動保持棒)3b2との間で挟持させる。この際、玉型ホルダーに保持された玉型は、下方に向けられることになる。
【0090】
この玉型ホルダー(図示せず)がホルダー検出手段53により検出されると、この検出信号が演算制御回路52に入力される。この際、演算制御回路52は、ホルダー検出手段53が玉型ホルダ(図示せず)を検出したとき、液晶表示器56に玉型ホルダ(図示せず)に保持された玉型が溝有りか否かの選択を促すメッセージを表示させる。
【0091】
これに伴い、バンド配設溝を有する玉型Lmの玉型形状の測定を実行させる場合について、図25のフローチャートに基づいて説明する。この場合、溝有りスイッチ57を押し、バンド配設溝が無い玉型Lmのlレンズ形状の測定を実行させるためには溝無しスイッチ58を押す。
【0092】
そして、演算制御回路52は、スイッチ57,58のいずれか一方が押されると、玉型ホルダ(図示せず)に保持された玉型がバンド配設溝を有するか否かの判断をステップS1で行う。しかも、演算制御回路52は、スイッチ57が押されたとき玉型が溝有りと判断してステップS2に移行し、スイッチ58が押されたとき玉型が溝無しと判断してステップS8に移行する。
【0093】
このステップS2,ステップS8では、玉型用測定子36の玉型Lmへの当接動作および玉型の周縁形状測定を実行する。
(ii)玉型への玉型用測定子36の当接動作
(a)当接動作1
ステップS2,ステップS3において演算制御回路52は、スライダ15を原点位置からガイドレール14に沿って前方に移動させ、玉型用測定子36を玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型の周縁の外側に位置させて、玉型Lmのレンズ形状とバンド配設溝形状の測定動作の制御を開始する。
【0094】
次に、演算制御回路52は、上述したようにアクチュエータモータ50を正転させて、レンズ枠用測定子37を上述した図7の初期位置(イ)から高さ(ロ)まで上昇させる。これに伴い、玉型用測定子36もレンズ枠用測定子37と一体に上昇して、玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型の周縁に対応する高さまで上昇する。
【0095】
この後、演算制御回路52は、駆動モータ18を駆動制御して、駆動モータ18の回転をワイヤ20でスライダ15に伝達させ、図18に示したように玉型用測定子36が玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型Lmの周面に当接するまで移動するように、スライダ15をガイドレール14に沿って移動制御する。そして、図18に示したように玉型用測定子36が玉型Lmの周面に当接させられる。
【0096】
尚、このようにして玉型用測定子36が玉型Lmの周面に当接させられる際に、玉型用測定子36が図26に示した玉型Lmの幾何学中心Goから周面に当接させらた位置X1までの移動距離が動径ρiとなる。
【0097】
このような制御は、予め実験等で求められた標準の玉型のデータに基づいて行うことができる。
(b)当接動作2(他の当接動作)
尚、玉型用測定子36を玉型Lmの周面に当接させる手順としては、他の方法でも良い。即ち、先ずアクチュエータモータ50を正転させて、上昇位置規制レバー49の自由端部を図7の位置から引張りコイルスプリング48のバネ力に抗して上方に図15〜図17の位置まで持ち上げ、支持軸46を回動させる。この際、支持軸46は押さえレバー47を回動させて、押さえレバー47の自由端部を上昇位置規制レバー49の自由端部と同方向に上昇させる。これに伴い、係合軸44がコイルスプリング43のバネ力により測定子軸35と一体に上昇させられて、玉型用測定子36が上昇させられ、玉型Lmの後側屈折面fbに当接させられる。この後、駆動モータ18を駆動制御させて、スライダ15をガイドレール14に沿って所定速度で移動させ、玉型用測定子36を玉型Lmの後側屈折面fbに沿って周縁部側に移動させて、玉型用測定子36を玉型Lmの後側屈折面の周縁から大きく外れる位置まで移動させる。この際、玉型用測定子36が玉型Lmの後側屈折面fbの周縁から外れてコイルスプリング43のバネ力によりレンズ枠用測定子37と一体に上昇しても、コイルスプリング43のバネ力は弱いので、玉型用測定子36の移動速度をある程度早くしておくことで、レンズ枠用測定子37が玉型Lmに衝突するのを回避できる。
【0098】
そして、玉型用測定子36が玉型Lmの後側屈折面から外れる離脱位置は、玉型用測定子36が上昇したときの位置をリニアスケール40が検出することで判断できる。この離脱位置の玉型用測定子36の水平方向の位置はリニアスケール24の検出信号から得られる。従って、離脱位置におけるリニアスケール24,40からの検出信号により、玉型用測定子36が玉型Lmの後側屈折面から外れる位置は三次元座標データとして求めることができる。また、この三次元座標データに基づいて、アクチュエータモータ50を駆動制御して上昇位置規制レバー49の自由端部の高さを調整することで、押さえレバー47の自由端部の高さを調整して、玉型用測定子36を玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型Lmの周縁に対応する高さに調整できる。この後、演算制御回路52は、駆動モータ18を駆動制御して、駆動モータ18の回転をワイヤ20でスライダ15に伝達させ、図18に示したように玉型用測定子36が玉型ホルダー(図示せず)に保持された玉型Lmの周面に当接するまで移動するように、スライダ15をガイドレール14に沿って移動制御する。そして、図18に示したように玉型用測定子36が玉型Lmの周面に当接させられる。
(c)玉型用測定子36による周縁形状測定の実行
次に、演算制御回路52は、駆動モータ6を駆動制御して、駆動モータ6を正転させる。この駆動モータ6の回転は、ピニオン7,タイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達され、従動ギヤ5が回転ベース9と一体に水平回転させられる。
【0099】
この回転ベース9の回転に伴い、スライダ15及びこのスライダ15に設けられた多数の部品が回転ベース9と一体に水平回転し、玉型用測定子36が玉型Lmの周面(コバ端)に沿って摺接移動する。この際、スライダ15がレンズ枠用測定子37と一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量は、玉型用測定子36の先端(玉型用測定子36の玉型Lmへの当接点)の移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。
【0100】
しかも、測定子軸35の中心から玉型用測定子36先端までの寸法(長さ)は既知であるので、スライダ15が原点にあるときの回転ベース9の回転中心から玉型用測定子36の先端までの距離を予め設定しておけば、スライダ15がガイドレール14に沿って移動したときにおいて、回転ベース9の回転中心から玉型用測定子36までの距離が変化しても、この距離の変化は動径ρiとすることができる。
【0101】
従って、駆動モータ6の回転による回転ベース9の回転角θiを駆動モータ6の駆動パルス数から求め、この回転角θiに対応する動径ρiを求めることで、玉型Lmの周面形状(玉型形状)を極座標形式の玉型形状情報(θi,ρi)として求めることができる。
【0102】
そして、演算制御回路52は、ステップS8で玉型形状情報(θi,ρi)を求めると、ステップS9で通常測定を終了する。一方、演算制御回路52は、ステップS8で玉型形状情報(θi,ρi)を求めると、ステップS3で通常測定を終了して、ステップS4に移行する。
(II-b)玉型Lmのバンド配設溝Lgの周縁形状測定
(i)バンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセット位置算出
(a)玉型Lmの周縁形状の上下方向の位置Ziの算出
上述した(b)の玉型Lmの周縁形状測定(外周形状測定)において二次元の玉型形状情報(θi,ρi)しか得られない場合には、ステップS4において図18,図19に示した玉型Lmの後側屈折面fbの曲率を測定により算出し、この算出した曲率と玉型形状情報(θi,ρi)から玉型形状情報(θi,ρi)における玉型Lmのコバ端(周縁)の後側屈折面fbにおける上下方向の位置Zi、すなわち玉型Lmの周縁形状の上下方向の位置Ziを算出して、三次元の玉型形状情報(θi,ρi,Zi)を得ることができる。
【0103】
この後側屈折面fbの曲率は、図19に示したように、取付穴用測定子38の上端部を眼鏡レンズの後側屈折面fbに当接させて、取付穴用測定子38を眼鏡レンズの幾何学中心から半径方向に移動させて、取付穴用測定子38の幾何学中心の半径方向における距離(位置、又は動径)と上下方向の位置とを測定することにより、得ることができる。この際、取付穴用測定子38の幾何学中心の半径方向における距離(位置、又は動径)は、スライダ15がレンズ枠用測定子37と一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。また、上下方向の位置は、リニアスケール40の検出ヘッド42の検出信号から演算制御回路52により求める。
【0104】
尚、眼鏡レンズの幾何学中心は、玉型形状情報(θi,ρi)から求めることができる。この点は周知であるので、詳細な説明は省略する。
【0105】
さらに、玉型Lmのコバ端(周縁の上下方向の位置Ziは、玉型形状情報(θi,ρi)に基づいて、バンド配設溝用測定子36eの上面又はレンズ枠用測定子37の上面を用いて測定することにより算出することもできる。
【0106】
尚、このようにして求めた玉型形状情報(θi,ρi,Zi)はバンド配設溝Lgの玉型形状情報ではないので、玉型形状情報(θ0,ρ0,Z0)におけるバンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセット位置(θ0,ρ0′,Z0+Δz)をZ0と既定値Δzから求める。この既定値Δzは、ダミーレンズに設けられるバンド配設溝の位置から予め分かっている既知の値である。
(b)バンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセット
すなわち、演算制御回路52は、玉型Lmの後側屈折面fbの周縁の玉型形状情報(θi,ρi,Zi)に基づいて測定開始位置の位置情報(θ0,ρ0,Z0)を求めて、動径ρ0にバンド配設溝用測定子36eの寸法を加味したバンド配設溝Lgの動径ρ0′を求めると共に、上下方向の位置Z0にバンド配設溝Lgのある位置までの高さΔzを加味した上下方向の位置Z0+Δzを求める。この高さΔzは、玉型Lmの後側屈折面fbの周縁からバンド配設溝Lgの幅方向中心までの寸法であり、標準のものを用いる。
【0107】
このようにして角度θ0,動径ρ0,上下方向の位置Z0+Δzを、バンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセット位置情報(セット位置データ)とする。
【0108】
そして、演算制御回路52は、ステップS4においてセット位置情報(θ0,ρ0,Z0+Δz)に基づき駆動モータ6,18及びアクチュエータモータ50を作動制御して、バンド配設溝用測定子36eをバンド配設溝Lgに挿入させて、バンド配設溝用測定子36e先端をバンド配設溝Lgの底部に当接させる。
【0109】
この際、バンド配設溝Lgが角底や平面の場合には、バンド配設溝用測定子36eがバンド配設溝Lgの上縁にコイルスプリング43のバネ力で軽く接触させられるので、初期セット位置情報は(θ0,ρ0,Z0+Δz′)となる。
【0110】
また、コイルスプリング23のバネ力をコイルスプリング43のバネ力よりも充分大きく設定しておくことで、バンド配設溝Lgが丸底の場合には、バンド配設溝用測定子36eがコイルスプリング23のバネ力によりバンド配設溝Lgの幅方向中心においてバンド配設溝Lgの丸底に点接触させられる。この場合には、初期セット位置情報は(θ0,ρ0,Z0+Δz′′)となる。
【0111】
これにより、バンド配設溝用測定子36eのバンド配設溝Lgへのセットが完了する。このセットが完了すると、演算制御回路52はステップS5に移行する。
【0112】
尚、このようにして玉型用測定子36が玉型Lmのバンド配設溝Lgに当接させられる際に、玉型用測定子36が図27に示した玉型Lmの幾何学中心Goからバンド配設溝Lgに当接させらた位置X2までの移動距離が動径ρi′となる。以下、初期セット位置情報(θ0,ρ0,Z0+Δz′)の場合について、バンド配設溝Lgの周縁形状の測定を説明する。尚、初期セット位置情報が(θ0,ρ0,Z0+Δz′′)の場合も初期セット位置情報(θ0,ρ0,Z0+Δz′)の場合と略同様にしてバンド配設溝Lgの周縁形状の測定をすることができると共に、この測定によりえらる情報を初期セット位置情報(θ0,ρ0,Z0+Δz′)の場合と略同様に補正できるので、その説明は省略する。
(c)バンド配設溝Lgの周縁形状測定
このステップS5において演算制御回路52は、駆動モータ6を駆動制御して駆動モータ6を正転させる。
【0113】
この駆動モータ6の回転は、ピニオン7,タイミングベルト8を介して従動ギヤ5に伝達され、従動ギヤ5が回転ベース9と一体に水平回転させられる。
【0114】
この回転ベース9の回転に伴い、スライダ15及びこのスライダ15に設けられた多数の部品が回転ベース9と一体に水平回転し、バンド配設溝用測定子36eが玉型Lmのバンド配設溝Lgに沿って摺接移動する。この際、スライダ15がバンド配設溝用測定子36eと一体にガイドレール14に沿って移動するので、スライダ15の原点位置からこのスライダ15が移動したときの移動量は、レンズ枠用測定子37の先端の移動量と同じになる。この移動量は、リニアスケール24の検出ヘッド26の検出信号から演算制御回路52により求められる。
【0115】
しかも、測定子軸35の中心からバンド配設溝用測定子36eの先端までの寸法(長さ)は既知であるので、スライダ15が原点にあるときの回転ベース9の回転中心からバンド配設溝用測定子36eの先端までの距離を予め設定しておけば、スライダ15がガイドレール14に沿って移動したときにおいて、回転ベース9の回転中心からバンド配設溝用測定子36eまでの距離が変化しても、この距離の変化はバンド配設溝Lgの動径ρi′とすることができる。しかも、演算制御回路52は、動径ρiにおける上下方向の位置情報(Zi+Δz′)をリニアスケール40の検出ヘッド42の検出信号とバンド配設溝用測定子36eが実際にバンド配設溝Lgに当接した位置情報から求める。
【0116】
また、動径ρiにおけるバンド配設溝Lgの幅方向中心の上下方向の位置情報は、バンド配設溝Lgの幅をBtとすると(Zi+Δz′−Bt/2)となる。
【0117】
従って、駆動モータ6の回転による回転ベース9の回転角θiを駆動モータ6の駆動パルス数から求め、この回転角θiに対応するバンド配設溝Lgの動径ρi′,上下方向の位置(Zi+Δz′−Bt/2)を求めることで、玉型Lmのバンド配設溝Lgの周縁形状(玉型形状)を極座標形式の三次元のバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)として求めることができる。
【0118】
尚、このバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)は、バンド配設溝Lgにおける玉型形状情報ということもできる。また、バンド配設溝Lgの周縁形状(周方向形状)は切込深さによっても変化するが、三次元のバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)を測定することで、精確な溝掘加工データを得ることができる。
【0119】
また、演算制御回路52は、バンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)からバンド配設溝Lgの周長を求めると共に、バンド配設溝Lgのカーブ値Cvを求める。ここで、バンド配設溝用測定子36eの突出寸法をtとし、バンド配設溝Lgの深さ情報をhiとすると、バンド配設溝Lgの深さ情報hiは、
hi=t−(ρi−ρi′)
として演算制御回路52により求められる。尚、図26のバンド配設溝用測定子36eは図9A,図8Bに示したように突出寸法tが1.5mmであるので、
hi=1.5−(ρi−ρi′)
となる。
【0120】
そして、演算制御回路52は、これらの情報を算出すると、ステップS7に移行する。このステップS7において演算制御回路52は、求めたバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz)やバンド配設溝Lgの周長、バンド配設溝Lgのカーブ値,バンド配設溝Lgの深さ情報hi等を図示しない加工機(レンズ周縁研削加工装置)に転送する。
【0121】
尚、演算制御回路52は、深さ情報hiから平均化した値の深さ情報haを求めることができる。また、演算制御回路52は、平均した深さ情報haからバンド配設溝形状情報(θi,ρi′,Zi+Δz′−Bt/2)を補正して、補正バンド配設溝形状情報(θi,ρi′′,Zi+Δz′−Bt/2)を求めると共に、平均した深さ情報haからカーブ値Cvを補正して、補正した補正カーブ値Cv′を求めることができる。そして、補正バンド配設溝形状情報(θi,ρi′′,Zi+Δz′−Bt/2)からバンド配設溝Lgの補正周長を求めることができる。
【0122】
従って、バンド配設溝Lgの深さ情報hiにバラツキがあっても、溝掘加工に用いられる補正バンド配設溝形状情報(θi,ρi′′,Zi+Δz−Bt/2)や補正カーブ値Cv′及び補正周長等を図示しない加工機(レンズ周縁研削加工装置)に加工用データとして転送することもできる。この場合には、より精確なバンド配設溝加工のためのデータを得ることができる。
【0123】
以上説明したように、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置は、レンズ(玉型Lm)の周面に周方向に向けて形成されたバンド配設溝Lgに当接させるバンド配設溝用測定子36eと、前記バンド配設溝用測定子36eを前記レンズ(玉型Lm)の周方向に移動させる測定子駆動装置Dと、前記バンド配設溝用測定子36eの移動位置を検出する三次元位置検出装置(リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等を含む構成)と、前記バンド配設溝用測定子36eの移動位置を前記バンド配設溝Lgに沿って移動させたときの前記三次元位置検出装置(リニアスケール24,リニアスケール40及び駆動モータ6のモータドライブ回路Pd1等を含む構成)からの検出信号に基づいてバンド配設溝形状を求める演算制御回路52を備えている。
【0124】
この構成によれば、レンズの溝に直接接触子を挿入し、レンズの溝形状に対しても測定を行い、溝が描く湾曲した3次元的な輪形状を測定し、正確な溝カーブ値を得ることができる。
【0125】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路52は前記バンド配設溝形状から前記バンド配設溝Lgの周長を求めるようになっている。
【0126】
この構成によれば、正確な溝カーブ値を得ることができる。
【0127】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記バンド配設溝用測定子36eは前記レンズの周面に当接させる玉型用測定子に設けられている。しかも、前記演算制御回路52は、玉型用測定子により前記レンズの周面の少なくとも1測定箇所の周面位置データを前記三次元位置検出装置からの検出信号に基づいて求める一方、前記バンド配設溝用測定子36eにより前記1測定箇所における前記バンド配設溝Lgの溝位置データを求めて、前記周面位置データと前記溝位置データから前記バンド配設溝Lgの溝深さを求めるようになっている。
【0128】
この構成によれば、バンド配設溝Lgの溝深さを用いて、正確なバンド配設溝形状や精確な溝カーブ値を得ることができる。
【0129】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記バンド配設溝用測定子36eは、先端に向かうに従って先細り形状に形成されていると共に、先端部に球状の当接部を有する。
【0130】
この構成によれば、バンド配設溝の断面形状が種々あっても、バンド配設溝の断面形状にかかわらずバンド配設溝用測定子をバンド配設溝に配設することができる。
【0131】
また、この発明の実施の形態の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路52は、前記レンズ周面用測定子により前記レンズの周面の少なくとも1測定箇所の三次元位置データを求め、前記三次元位置データに基づいて前記測定子駆動装置Dを作動制御することにより、前記バンド配設溝用測定子36eを前記レンズのバンド配設溝Lgに当接制御させるようになっている。
【0132】
この構成によれば、簡単な構成でバンド配設溝用測定子をバンド配設溝に挿入することができる。
【符号の説明】
【0133】
24・・・リニアスケール(三次元位置検出装置の一構成要素)
36e・・・バンド配設溝用測定子
40・・・リニアスケール(三次元位置検出装置の一構成要素)
52・・・演算制御回路
Lm・・・玉型(レンズ)
Lg・・・バンド配設溝
D・・・測定子駆動装置
Pd1・・・モータドライブ回路(三次元位置検出装置の一構成要素)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズの周面に周方向に向けて形成されたバンド配設溝に当接させるバンド配設溝用測定子と、前記バンド配設溝用測定子を前記レンズの周方向に移動させる測定子駆動装置と、前記バンド配設溝用測定子の移動位置を検出する三次元位置検出装置と、前記バンド配設溝用測定子の移動位置を前記バンド配設溝に沿って移動させたときの前記三次元位置検出装置からの検出信号に基づいてバンド配設溝形状を求める演算制御回路を備えることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路は前記バンド配設溝形状から前記バンド配設溝の周長を求めることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の玉型形状測定装置において、
前記バンド配設溝用測定子は前記レンズの周面に当接させる玉型用測定子に設けられていると共に、
前記演算制御回路は、玉型用測定子により前記レンズの周面の少なくとも1測定箇所の周面位置データを前記三次元位置検出装置からの検出信号に基づいて求める一方、前記バンド配設溝用測定子により前記1測定箇所における前記バンド配設溝の溝位置データを求めて、前記周面位置データと前記溝位置データから前記バンド配設溝の溝深さを求めることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の玉型形状測定装置において、前記バンド配設溝用測定子は、先端に向かうに従って先細り形状に形成されていると共に、先端部に球状の当接部を有することを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路は、前記レンズ周面用測定子により前記レンズの周面の少なくとも1測定箇所の三次元位置データを求め、前記三次元位置データに基づいて前記測定子駆動装置を作動制御することにより、前記バンド配設溝用測定子を前記レンズのバンド配設溝に当接制御させることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項1】
レンズの周面に周方向に向けて形成されたバンド配設溝に当接させるバンド配設溝用測定子と、前記バンド配設溝用測定子を前記レンズの周方向に移動させる測定子駆動装置と、前記バンド配設溝用測定子の移動位置を検出する三次元位置検出装置と、前記バンド配設溝用測定子の移動位置を前記バンド配設溝に沿って移動させたときの前記三次元位置検出装置からの検出信号に基づいてバンド配設溝形状を求める演算制御回路を備えることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路は前記バンド配設溝形状から前記バンド配設溝の周長を求めることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の玉型形状測定装置において、
前記バンド配設溝用測定子は前記レンズの周面に当接させる玉型用測定子に設けられていると共に、
前記演算制御回路は、玉型用測定子により前記レンズの周面の少なくとも1測定箇所の周面位置データを前記三次元位置検出装置からの検出信号に基づいて求める一方、前記バンド配設溝用測定子により前記1測定箇所における前記バンド配設溝の溝位置データを求めて、前記周面位置データと前記溝位置データから前記バンド配設溝の溝深さを求めることを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の玉型形状測定装置において、前記バンド配設溝用測定子は、先端に向かうに従って先細り形状に形成されていると共に、先端部に球状の当接部を有することを特徴とする玉型形状測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つに記載の玉型形状測定装置において、前記演算制御回路は、前記レンズ周面用測定子により前記レンズの周面の少なくとも1測定箇所の三次元位置データを求め、前記三次元位置データに基づいて前記測定子駆動装置を作動制御することにより、前記バンド配設溝用測定子を前記レンズのバンド配設溝に当接制御させることを特徴とする玉型形状測定装置。
【図1】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2011−75317(P2011−75317A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224983(P2009−224983)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】
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