説明

現像処理装置

【課題】スカムを除去する一方で、ランニングコストを低減でき、かつ、設備投資用のコストを削減できる現像処理装置を提供する。
【解決手段】現像処理部5で現像処理を行なった後の現像液3を現像タンク1に流入させる。このとき、現像液3の表面にはスカムが付着した泡9が生成される。次々と生成される泡9は、逃げ場を失い、仕切り板6で仕切られた狭い空間を上に向って自然に押し出される。つまり、仕切り板6を設けて泡9の存在できる空間の体積を小さくすることで、泡9自体の押し出す力を増大させ、泡9自体に発生する自然の押し出し力によって泡9は現像タンク1の上方に移動する。そして、泡9は自然と現像タンク1の上部から配管7に排出される。排出された泡9は、スカム除去部8に入り、スカムが付着した泡9が、廃棄ラインから除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像処理装置に関し、特に、現像処理で発生するスカムを現像液から除去する機能を有する現像処理装置に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2006−301024号公報(特許文献1)には、現像液貯留槽内に貯留された現像液の表面に浮上しているスカムが付着した泡に対して、複数の噴射ノズルから現像液を吹き付けることにより、スカムが付着した泡を現像液貯留槽より除去して排出する。これにより、現像液貯留槽の側壁にスカムが蓄積することがなくなり、スカムの処理を容易にすることができるとしている。
【0003】
特開2006−251278号公報(特許文献2)には、潜像が形成された基板にパターン形成を行うに当たり、現像に用いた後の汚濁した現像液中の不溶物を効率よく回収する技術が記載されている。具体的には、現像液中に浮遊している不溶物を泡に付着させ、不溶物の付着した泡をコンベアで外部に排出するとしている。
【特許文献1】特開2006−301024号公報
【特許文献2】特開2006−251278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、プラズマディスプレイの製造工程では、フォトリソグラフィ技術を用いたパターニング工程が多用される。フォトリソグラフィ技術を用いたパターニング工程としてプラズマディスプレイの電極を形成する電極形成工程がある。この電極形成工程では、ドライフィルムや液状のレジスト膜を使用して所望の電極パターンを形成した後、エッチングなどによって電極を形成している。具体的には、ドライフィルムやレジスト膜を形成した後、マスクを介して露光処理を行なう。そして、現像液を使用して現像処理を行なうことにより、所望のパターンを形成している。ドライフィルムやネガ型のレジスト膜を現像する際には炭酸ナトリウムなどのアルカリ溶液が使用される。この現像処理の際、ドライフィルムやレジスト膜中に含まれる非水溶性の開始剤がスカムとして発生する。スカムとは、不溶性の反応生成物(異物)である。
【0005】
現像処理は、現像液を貯蔵しているタンクから現像液を取り出して被対象物に現像液をかけることによって行なわれる。そして、現像処理後の現像液は再びタンクに戻される。このとき、タンクには、スカムを含む現像液が戻されることになる。したがって、現像処理を繰り返すと、現像液中にスカムが蓄積することになる。現像液中にスカムが蓄積されると、スカムを含んだ現像液によって被対象物の現像処理が行なわれることになる。スカムは異物であるため、被対象物に異物であるスカムが付着して、正常なパターニングを妨げることになる。このことから、現像液中に含まれるスカムをフィルタなどで除去することが行なわれている。
【0006】
しかし、スカムの除去にフィルタを用いる場合、フィルタの交換が必要となる。すなわち、ある一定期間ごとにフィルタを交換する必要があるので、メンテナンスが必要となるだけでなく、ランニングコストもかかるという問題点がある。
【0007】
ここで、特許文献1あるいは特許文献2に記載されているように、スカムが気泡に付着しやすい性質を考慮して、スカムをタンクから強制的に除去する技術がある。例えば、特許文献1では、スカムが付着した泡に噴射ノズルを用いて現像液を噴射することにより、スカムを含む泡を強制的に除去している。また、特許文献2では、気泡を発生させることによりスカムを気泡に付着させ、スカムが付着した泡をコンベアで強制的にタンクの外部へ排出している。これらの技術によれば、フィルタを用いないので、メンテナンスをする必要がなく、ランニングコストも低減できる利点がある。しかし、タンクからスカムを除去するための噴射ノズルやコンベアなどの強制的排出手段を備える必要がある。すなわち、現像液を貯蔵するタンクに強制的排出手段を設ける必要があり、設備投資用コストがかかる問題点がある。
【0008】
本発明の目的は、ランニングコストを低減でき、かつ、設備投資用のコストを削減できる現像処理装置を提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
本発明による現像処理装置は、(a)現像液を貯蔵する現像タンクを備え、前記現像タンクは、(a1)現像処理を行なうことにより排出されたスカムと泡を含む現像液を前記現像タンクに流入する現像液流入部と、(a2)前記現像液流入部より流入した前記現像液に含まれる前記泡であって前記スカムを含む前記泡の生成速度を前記泡の消失速度よりも大きくして前記泡を前記現像タンクに蓄積する泡蓄積部と、(a3)前記泡蓄積部で蓄積された前記スカムを含む前記泡が前記現像タンクから自然に溢れ出したところを取り込んで前記泡から前記スカムを除去するスカム除去部と、(a4)前記スカムが除去された前記現像液を現像処理に使用するために前記現像タンクから排出する現像液排出部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0013】
ランニングコストを低減でき、かつ、設備投資用のコストも削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0015】
(実施の形態1)
本実施の形態1は、プラズマディスプレイ装置の製造工程に本実施の形態1における現像処理装置を適用する例について説明する。
【0016】
まず、本実施の形態1における現像処理装置が使用されるプラズマディスプレイ装置の製造工程について図1を参照しながら説明する。図1は、プラズマディスプレイ装置の製造工程を示すフローチャートである。
【0017】
図1において、前面板の基板であるガラス基板を用意する。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、このガラス基板の主面に表示電極を構成する透明電極を形成する(S101)。透明電極を形成するには、透明な物質であるインジウムと錫の酸化物(ITO)を例えば、スパッタリング法を用いてガラス基板上に形成する。その後、フォトリソグラフィ技術によりパターニングしたマスクを形成し、形成したマスクを用いてITOをエッチングする。これにより、透明電極を形成することができる。表示電極は、放電を発生させる電界を加える機能を有し、2本の電極(X電極、Y電極と呼ばれる)が対になって形成されている。
【0018】
次に、透明電極上にBUS電極を形成する(S102)。BUS電極は、例えば、スパッタリング法により、クロム(Cr)、銅(Cu)、クロム(Cr)からなる3層膜を形成し、この3層膜をフォトリソグラフィ技術でパターニングすることにより形成することができる。BUS電極をクロム(Cr)、銅(Cu)、クロム(Cr)の3層膜から形成しているが、銀(Ag)膜から形成してもよい。BUS電極は、電気抵抗の高い透明電極の電気抵抗を下げる機能を有している。したがって、高い導電性を確保するために銅膜が使用され、耐熱性を確保するためにクロムが使用される。また、クロム膜は透明電極とBUS電極との密着性を向上する機能も有している。
【0019】
続いて、BUS電極と透明電極とからなる表示電極を形成したガラス基板上に誘電体膜を形成する(S103)。この誘電体膜は、表示電極を覆うようにガラス基板全面に形成される。この誘電体膜は透明である低融点ガラスから形成される。誘電体膜は、放電により生じる電流を制御し、壁電荷を形成するために形成される。
【0020】
次に、誘電体膜上に保護膜を形成する(S104)。保護膜は、例えば、酸化マグネシウム膜(MgO)から形成される。この保護膜は、放電から誘電体膜を保護するとともに、放電電圧を下げる機能を有している。保護膜には、高いイオン衝撃耐性および高い2次電子放出特性が要求される。このようにしてプラズマディスプレイパネルの一方に使用される前面板が形成される。
【0021】
続いて、プラズマディスプレイパネルのもう一方の基板である背面基板の形成工程について説明する。前面基板とは別のガラス基板を用意し、このガラス基板にアドレス電極を形成する(S105)。アドレス電極は、クロム(Cr)、銅(Cu)、クロム(Cr)の3層膜から形成される。なお、アドレス電極を銀膜から形成してもよい。アドレス電極は、放電を発生させる電界を加える機能を有するとともに、どの領域(ドット)を発光させるかという場所決めをする機能を有している。アドレス電極として銅膜を使用するのは、銅が高い導電性を有しているからである。また、クロム膜は耐熱性に優れており、さらに、ガラス基板との密着性が良いため使用される。
【0022】
次に、アドレス電極を覆うようにガラス基板の全面に誘電体膜を形成する(S106)。この誘電体膜は放電により生じる電流を制御する機能を有している。さらに、後述するリブ(隔壁)を形成する際に用いるサンドブラストからアドレス電極とガラス基板を保護する機能も有している。
【0023】
続いて、誘電体膜上にリブを形成する(S107)。リブは、例えば、低融点ガラスから形成される。リブは、放電空間を形成し、個々のセルを分離する機能を有する。さらに、リブの底面および側面に蛍光体を塗布できるようにして蛍光体の塗布面積を増大させる機能も有している。このように蛍光体の塗布面積を増大することによって高輝度を実現することができる。
【0024】
その後、リブの側面および底面に蛍光体を塗布する(S108)。蛍光体は、それぞれ赤色、緑色、青色を発光する各種の金属酸化物から構成される。赤色、緑色、青色を発光する蛍光体を隣接するリブにそれぞれ形成する。このようにしてプラズマディスプレイパネルの一部を構成する背面基板を形成することができる。
【0025】
次に、前面基板および背面基板を切断する。すなわち、前面基板および背面基板は、複数のプラズマディスプレイパネルが取得できる大面積の状態で形成されるが、この工程で、個々のディスプレイパネルを構成するものに切断される。そして、切断した前面基板と背面基板とをシールガラス(封止材)を介して貼り付ける。この工程で前面基板と背面基板が一体的に組み立てられる(S109)。
【0026】
続いて、前面基板と背面基板との間に形成されているセル空間を真空に排気する。そして、真空に排気した後、セル空間に放電ガスを入れる。放電ガスは、例えば、ネオン、キセノン、ヘリウムなどの希ガスを含む混合ガスから構成される。放電ガスには、高い紫外線発光効率および放電電圧が低いことが要求される。その後、セル空間を封止する(S110)。このようにして、プラズマディスプレイパネルを製造することができる。
【0027】
次に、プラズマディスプレイパネルに駆動回路を接続してユニットを組み立てる(S111)。このユニット組み立て工程において、プラズマディスプレイパネルと駆動回路を接続するフレキシブルケーブルが熱圧着され、プラズマディスプレイパネルと駆動回路が電気的に接続される。その後、最終試験(電気的特性検査)を実施することによって(S112)、プラズマディスプレイ装置が完成する。
【0028】
このようにしてプラズマディスプレイ装置が製造されるが、プラズマディスプレイ装置の製造工程では、上述したようにフォトリソグラフィ技術が多用される。フォトリソグラフィ技術の詳細な工程について図2および図3を参照しながら説明する。フォトリソグラフィ技術では、液状のレジスト膜やドライフィルムをパターニングする工程が存在する。図2は、液状のレジスト膜を使用するフォトリソグラフィ工程を示すフローチャートである。この工程は、例えば、透明電極、BUS電極あるいはアドレス電極の形成などに用いられるものである。透明電極の形成工程を例にとって説明する。まず、ガラス基板上に、例えば、スパッタリング法を用いて、インジウムと錫の酸化物よりなるITO膜を形成する。そして、図2に示すように、このITO膜上にレジスト膜を塗布する(S201)。その後、塗布したレジスト膜に対して露光処理を施す(S202)。露光処理は透明電極パターンが形成されたマスクを介して露光光をレジスト膜に照射することにより行なわれる。
【0029】
次に、レジスト膜の種類によってはPEB(Post Exposure Bake)が実施される(S203)。PEBは、露光処理が終わった後に実施される軽い熱処理のことである。PEBは、露光時の定在波の影響によるパターンエッジのギザギザをとり、また、化学増幅型レジスト膜の場合には、触媒反応による酸の発生を加速させることなどを目的として行なわれる。
【0030】
続いて、現像処理が行なわれる(S204)。現像処理とは、露光工程によりレジスト膜に転写され潜在パターンを、化学反応を利用して顕在化させる処理のことである。現像処理は、現像液と呼ばれる薬液を用いたウェット現像法が一般的である。ポジ型レジスト膜では光が照射された部分、ネガ型レジスト膜では逆に未露光部のレジスト膜を現像液に溶解させてパターンの形成が行なわれる。現像処理においては、被対象物を現像液に浸漬するディップ方式と現像液を被対象物に霧状に吹き付けるスプレー方式がある。
【0031】
このように現像処理を施すことにより、レジスト膜がパターニングされる。そして、ガラス基板から現像液を除去するためにベークを行なう(S205)。次に、パターニングされたレジスト膜をマスクにしたエッチングにより(S206)、レジスト膜の下層にあるITO膜をパターニングし表示電極を形成する。このようにして、フォトリソグラフィ技術が透明電極形成工程で利用される。
【0032】
次に、プラズマディスプレイ装置の製造工程においては、液状のレジスト膜ではなくフィルムにレジスト膜を形成したドライフィルムを用いてパターニングを実施する工程がある。例えば、ドライフィルムを用いたフォトリソグラフィ技術を使用する工程として、リブを形成する工程がある。このリブを形成する工程を例に挙げてドライフィルムを用いたフォトリソグラフィ工程を説明する。
【0033】
図3に示すように、ガラス基板上にガラスペーストを塗布する(S301)。そして、ガラスペースト上にドライフィルムを貼付ける(S302)。その後、ドライフィルムに対し、マスクを介して露光光を照射する(S303)。続いて、マスクを介して露光光を照射したドライフィルムに対して現像処理を行なう(S304)。次に、現像液を除去するためにベークを行なう(S305)。これにより、ドライフィルムをパターニングすることができる。ドライフィルムのパターニングは、リブを形成する領域にドライフィルムが残らないように行なわれる。
【0034】
次に、パターニングしたドライフィルムをマスクしてサンドブラストすることにより、ガラスペーストにリブを形成する(S306)。その後、パターニングしたドライフィルムを剥離した後(S307)、焼成することによりガラス基板にリブを形成することができる(S308)。このようにして、ドライフィルムを用いたフォトリソグラフィ技術によりリブを形成できる。
【0035】
図2および図3に示すように、プラズマディスプレイ装置の製造工程には、レジスト膜を用いたパターニング工程と、ドライフィルムを用いたパターニング工程が存在するが、どちらのフォトリソグラフィ工程においても、現像処理が実施されることがわかる。すなわち、フォトリソグラフィ技術では現像処理が不可欠であることがわかる。以下では、現像処理工程で使用する現像処理装置について説明する。本実施の形態1の特徴は、この現像処理装置の構成に特徴がある。
【0036】
図4は、本実施の形態1における現像処理装置の構成を示す図である。図4では、本実施の形態1の特徴である現像タンク1が図示されている。図4に示すように、現像タンク1には、現像タンク1に現像液3を流入させる現像液流入部2と、現像タンク1から現像液3を排出する現像液排出部4が設けられている。現像タンク1に設けられている現像液流入部2と現像液排出部4は、現像処理部5と接続されている。すなわち、現像処理部5で被対象物に対して現像処理が施され、現像処理後の現像液3が現像処理部5から配管を通って現像液流入部2に流入する。そして、現像液流入部2から現像タンク1に現像液3が流入する。一方、現像タンク1に貯蔵されている現像液3は、現像液排出部4を介して現像処理部5に流れている。このように現像タンク1と現像処理部5との間を現像液3が循環している構成となっている。
【0037】
現像処理部5では、レジスト膜を形成したガラス基板などの被対象物に現像液3を接触させて現像処理を行なうように構成されている。すなわち、現像処理部5では、露光工程によりレジスト膜に転写され潜在パターンを、化学反応を利用して顕在化させる処理が実施されている。ポジ型レジスト膜では光が照射された部分、ネガ型レジスト膜では逆に未露光部のレジスト膜を現像液に溶解させてパターンの形成が行なわれる。現像処理においては、被対象物を現像液3に浸漬するディップ方式と現像液3を被対象物に霧状に吹き付けるスプレー方式がある。本実施の形態1における現像処理部5は、上述したディップ方式やスプレー方式のどちらから構成されていてもよい。
【0038】
現像処理部5での現像処理では、被対象物に形成されているレジスト膜の一部が現像液3と化学反応して溶解することで、レジスト膜にパターンが形成される。このとき、現像液3に溶解したレジスト膜から、非水溶性の開始剤がスカム(異物)として発生する。つまり、現像処理を施すことにより、現像液3中に異物であるスカムが含まれることになる。また、現像液3は泡立ちやすく、現像液3中に気泡よりなる泡も含まれる。このように現像処理を施した現像液3には、泡とスカムが含まれることになる。泡とスカムが含まれている現像液3は、現像処理が終了すると、現像処理部5から現像液流入部2を通って現像タンク1に流入する。
【0039】
現像タンク1では、現像液流入部2から現像液3が流入するが、流入した現像液3にはスカムと泡が混じっている。流入した現像液3は現像タンク1に貯蔵されている現像液3の表面で泡立つ。つまり、現像液3が流入することで、現像タンク1に貯蔵されている現像液3の表面に泡9が発生する。これは、流入した現像液3において、泡9の生成速度が泡9の消失速度よりも大きくなっているからである。さらに、流入した現像液3に含まれるスカムは泡に付着しやすい性質を有するため、発生している泡9に付着しやすくなっている。すなわち、流入した現像液3に含まれるスカムは、大部分が泡9に付着する。
【0040】
ここで、現像タンク1に貯蔵されている現像液3の表面に泡が生成されるが、図4に示す仕切り板6がない場合には、泡9は現像液3の表面全体に広がることができる。このため、泡9自体の押し出す力は弱く泡が自然に現像タンク1から溢れ出すことはない。ところが、本実施の形態1では、図4に示すように仕切り板6を設けている。この点が本実施の形態1の特徴の1つである。仕切り板6を設けることにより、現像液3の表面で発生した泡9が移動できる空間が狭くなる。具体的には、仕切り板6は現像タンク1に貯蔵された現像液3の表面に対して斜めに配置され、泡9が生成される現像タンク1の液面から上方に行くにつれて仕切り板6で仕切られる空間が狭くなるようになっている。したがって、生成された泡9は仕切り板6で仕切られた狭い空間に閉じ込められることになる。このため、現像液3が流入することによって次々と生成される泡9は、逃げ場を失い、仕切り板6で仕切られた狭い空間を上に向って押し出されることになる。つまり、本実施の形態1では、仕切り板6を設けて泡9の存在できる空間の体積を小さくすることで、泡9自体の押し出す力を増大させ、泡9自体に発生する自然の押し出し力によって泡9を現像タンク1の上方に移動させている。このように本実施の形態1では、泡9の生成によって発生する自然の押し出し力によって泡9を現像タンク1の上部から溢れだすように構成されている。この仕切り板6で構成された部位が本実施の形態1の泡蓄積部となる。
【0041】
上述したように仕切り板6を設けることにより逃げ場を失った泡9は現像タンク1の上方に排出され、現像タンク1の上部に配置されている配管7に移動する。そして、泡9は配管7を通って、現像タンク1の横に配置されているスカム除去部8に移動する。泡9にはスカムが付着しており、スカムが付着した泡9はスカム除去部8で廃棄ラインに排出され除去される。すなわち、泡9を除去することで、泡9に付着しているスカムを除去することができる。なお、配管7は、スカム除去部8にスムーズに泡9を移動させるため、スカム除去部8に接続される部位が下方になるように傾斜していてもよい。
【0042】
現像液3中にスカムが蓄積されると、スカムを含んだ現像液3によって被対象物の現像処理が行なわれることになる。スカムは異物であるため、被対象物に異物であるスカムが付着して、正常なパターニングを妨げることになる。このことから、現像液3中に含まれるスカムを除去する必要がある。従来は、現像液3中に含まれるスカムを除去するためにフィルタを用いている。しかし、スカムの除去にフィルタを用いる場合、フィルタの交換が必要となる。すなわち、ある一定期間ごとにフィルタを交換する必要があるので、メンテナンスが必要となるだけでなく、ランニングコストもかかるという問題点がある。
【0043】
この問題点を解決する方法として特許文献1あるいは特許文献2に記載されているように、スカムが現像液の表面に浮遊する性質を考慮して、スカムをタンクから強制的に除去する技術がある。例えば、特許文献1では、スカムが付着した泡に噴射ノズルを用いて現像液を噴射することにより、スカムを含む泡を強制的に除去している。また、特許文献2では、気泡を発生させることによりスカムを気泡に付着させ、スカムが付着した泡をコンベアで強制的にタンクの外部へ排出している。これらの技術によれば、フィルタを用いないので、メンテナンスをする必要がなく、ランニングコストも低減できる利点がある。しかし、タンクからスカムを除去するための噴射ノズルやコンベアなどの強制的排出手段を備える必要がある。すなわち、現像液を貯蔵するタンクに強制的排出手段を設ける必要があり、設備投資用コストがかかる問題点がある。
【0044】
これに対し、本実施の形態1では、仕切り板6を設けて泡9の存在できる空間の体積を小さくすることで、泡9自体の押し出す力を増大させ、泡9自体に発生する自然の押し出し力によって泡9を現像タンク1の上方に移動させている。すなわち、現像タンク1に泡9を排出するための強制的排出手段を設けることなく、泡9に発生する自然の押し出し力を強めることによって泡9を現像タンク1から排出している。これにより、現像タンク1に泡9を排出する強制的排出手段を設ける必要がなく、設備投資用コストを削減することができる。さらに、フィルタも不要となるので、メンテナンスが不要となり、ランニングコストも低減することができる。
【0045】
本実施の形態1では、スカム除去部8において、スカムを含む泡9ごと除去するように構成しているが、これに限らず、例えば、安価なマット(フィルタ)で泡9に含まれているスカムをトラップし、スカムを含まない泡9から液化した現像液3を現像タンク1に戻すように構成してもよい。この場合、マットが必要となるが、現像液3中にフィルタを設ける従来の構成の場合では、現像液3を取り除いてフィルタを交換する必要がある。このため、メンテナンスに時間がかかることになるが、現像タンク1とは別に設けられたスカム除去部8にマットを設ける構成では、マットを交換する際に現像タンク1に貯蔵されている現像液はそのままにしておくことができるので、メンテナンス性を向上することができる。ただし、マットを交換する必要があるため、ランニングコストがかかる。したがって、ランニングコストを削減する観点からは、本実施の形態1のように、スカムを含む泡9ごと除去することが望ましい。
【0046】
また、本実施の形態1では、現像タンク1から泡9を排出する配管7を現像タンク1の上部に設けているが、例えば、現像タンク1の横側に配管7を設けてもよい。ただし、本実施の形態1のように、配管7を現像タンク1の上部に設けると、現像タンク1に貯蔵されている現像液3の液量が増加した場合、現像液3が配管7を通って溢れ出すことを配管7が横側に配置されている場合よりも低減することができるので望ましい。
【0047】
さらに、本実施の形態1では、現像液流入部2を現像液3の表面付近に設け、現像液排出部4を現像タンク1の底面付近に設けている。このため、泡に付着しやすいスカムを現像液3の表面に生成される泡9に付着しやすくしている。すなわち、現像液流入部2から流入する現像液3にはスカムが含まれているが、現像液流入部2が現像液3の表面付近に設けられているので、現像液流入部2から現像タンク1に流入したスカムが現像液3の表面付近に生成される泡9に付着しやすくすることができる。そして、現像液排出部4をスカムが付着した泡9が存在する現像液3の表面から離れた現像タンク1の底面付近に設けることにより、現像液排出部4から排出される現像液3にスカムがなるべく含まれないようにすることができる。
【0048】
また、図4に示すように、現像液流入部2による現像液3の流入方向と、現像液排出部4による現像液3の排出方向が反対方向になっている。これは、現像液流入部2から流入したスカムがすぐに泡9へ付着されない場合であっても、貯蔵されている現像液3中に設けられている仕切り板6によって流入する現像液3の流れが現像液3の表面方向に向くようにすることができるので、泡9に付着せずに現像液3中に存在するスカムを再び現像液3の表面に戻すことができる。このため、スカムを泡9に付着させる効率を向上させることができ、現像液3中に含まれるスカムを低減することができる。
【0049】
本実施の形態1における現像処理装置は上記のように構成されており、以下にその動作について図4および図5を参照しながら説明する。
【0050】
まず、現像処理部5において、被対象物に現像液3に接触させることにより現像処理を行なう(S401)。現像処理を行なった後、現像液3にはスカムと泡が含まれる。スカムと泡を含む現像液3は、配管をとおって現像液流入部2から現像タンク1に流入する(S402)。このとき、現像液3が泡立ち、現像タンク1に貯蔵されている現像液3の表面に泡9が生成される。この泡9には流入した現像液3に含まれるスカムが付着する。そして、現像液3が次々と流入するにしたがって泡9が現像タンク1に蓄積される(S403)。このとき、現像タンク1には仕切り板6が設けられているので、泡9が蓄積される空間が狭くなっている。このため、現像液3が流入することによって次々と生成される泡9は、逃げ場を失い、仕切り板6で仕切られた狭い空間を上に向って自然に押し出されることになる。つまり、仕切り板6を設けて泡9の存在できる空間の体積を小さくすることで、泡9自体の押し出す力を増大させ、泡9自体に発生する自然の押し出し力によって泡9は現像タンク1の上方に移動する。そして、泡9は自然と現像タンク1の上部から配管7に排出される(S404)。排出された泡9は、スカム除去部8に入り、スカムが付着した泡9が、廃棄ラインから除去される(S405)。
【0051】
このようにして、現像液3に含まれるスカムを除去することができる。したがって、現像液3中に含まれるスカムを除去することができるので、現像処理のパターン不良を低減することができる。特に、本実施の形態1では、フィルタを用いずにスカムを現像液3中から除去することができるので、フィルタを交換するメンテナンスも必要なく、ランニングコストを低減することができる。さらに、スカムを含む泡9を泡9が蓄積される際に生じる押し出し力で自然に排出しているので、スカムを含む泡9を強制的に排出する強制的排出手段を設ける必要もない。このため、設備投資用のコストを削減することができる。
以上のことから、本実施の形態1における現像処理装置によれば、プラズマディスプレイ装置の製造工程において、ランニングコストを低減でき、かつ、設備投資用のコストも削減することができる。
【0052】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、プラズマディスプレイ装置の製造工程を例に挙げて本発明の現像処理装置について説明したが、本実施の形態2では、半導体装置の製造工程に本発明の現像処理装置を適用する例について説明する。
【0053】
まず、半導体装置の製造工程の一例としてCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor1)の製造工程を例に挙げて説明する。図1を参照しながら、CMISFETの製造工程について説明する。図6は、CMISFETの製造工程を示すフローチャートである。
【0054】
まず、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板を用意する。このとき、半導体基板は、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板のCMISFET形成領域に素子間を分離する素子分離領域を形成する(S501)。素子分離領域は、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域は、例えばLOCOS(local Oxidation of silicon)法やSTI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。例えば、STI法では、以下のようにして素子分離領域を形成している。すなわち、半導体基板にフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域を形成することができる。
【0055】
次に、素子分離領域で分離された活性領域に不純物を導入してウェルを形成する(S502)。例えば、活性領域のうちnチャネル型MISFET形成領域には、p型ウェルを形成し、pチャネル型MISFET形成領域には、n型ウェルを形成する。p型ウェルは、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板に導入することで形成される。同様に、n型ウェルは、例えばリン(P)や砒素(As)などのn型不純物をイオン注入法により半導体基板に導入することで形成される。
【0056】
続いて、p型ウェルの表面領域およびn型ウェルの表面領域にチャネル形成用の半導体領域(図示せず)を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。
【0057】
次に、半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する(S503)。ゲート絶縁膜は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えば熱酸化法を使用して形成することができる。ただし、ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ゲート絶縁膜を酸窒化シリコン膜(SiON)としてもよい。すなわち、ゲート絶縁膜と半導体基板との界面に窒素を偏析させる構造としてもよい。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、ゲート絶縁膜のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。このため、ゲート絶縁膜に酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極中の不純物が半導体基板側に拡散することに起因するしきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するのは、例えば、半導体基板をNO、NOまたはNHといった窒素を含む雰囲気中で熱処理すればよい。また、半導体基板の表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜を形成した後、窒素を含む雰囲気中で半導体基板を熱処理し、ゲート絶縁膜と半導体基板との界面に窒素を偏析させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0058】
また、ゲート絶縁膜は、例えば酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成してもよい。従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、ゲート絶縁膜として酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、ゲート絶縁膜の膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。このように薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
【0059】
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電体膜が使用されるようになってきている。高誘電体膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。
【0060】
例えば、高誘電体膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に変えて、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfAlO膜のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0061】
続いて、ゲート絶縁膜上にポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、nチャネル型MISFET形成領域に形成されているポリシリコン膜中にリンや砒素などのn型不純物を導入する。同様に、pチャネル型MISFET形成領域に形成されているポリシリコン膜中にホウ素などのp型不純物を導入する。
【0062】
次に、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチングによりポリシリコン膜を加工して、nチャネル型MISFET形成領域にゲート電極を形成し、pチャネル型MISFET形成領域にゲート電極を形成する(S504)。
【0063】
ここで、nチャネル型MISFET形成領域のゲート電極には、ポリシリコン膜中にn型不純物が導入されている。このため、ゲート電極の仕事関数値をシリコンの伝導帯近傍(4.15eV)の値にすることができるので、nチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減することができる。一方、pチャネル型MISFET形成領域のゲート電極には、ポリシリコン膜中にp型不純物が導入されている。このため、ゲート電極の仕事関数値をシリコンの価電子帯近傍(5.15eV)の値にすることができるので、pチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減することができる。このように本実施の形態1では、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方でしきい値電圧を低減することができる(デュアルゲート構造)。
【0064】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型MISFETのゲート電極に整合した浅いn型不純物拡散領域を形成する。浅いn型不純物拡散領域は、半導体領域である。同様に、pチャネル型MISFET形成領域に浅いp型不純物拡散領域を形成する。浅いp型不純物拡散領域は、pチャネル型MISFETのゲート電極に整合して形成される。この浅いp型不純物拡散領域は、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより形成することができる(S505)。
【0065】
次に、半導体基板上に酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、サイドウォールをゲート電極の側壁に形成する(S506)。サイドウォールは、酸化シリコン膜の単層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜からなるサイドウォールを形成してもよい。
【0066】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型MISFET形成領域にサイドウォールに整合した深いn型不純物拡散領域を形成する(S507)。深いn型不純物拡散領域は、半導体領域である。この深いn型不純物拡散領域と浅いn型不純物拡散領域によってソース領域が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域と浅いn型不純物拡散領域によってドレイン領域が形成される。このようにソース領域とドレイン領域を浅いn型不純物拡散領域と深いn型不純物拡散領域で形成することにより、ソース領域およびドレイン領域をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることができる。
【0067】
同様に、pチャネル型MISFET形成領域にサイドウォールに整合した深いp型不純物拡散領域を形成する。この深いp型不純物拡散領域と浅いp型不純物拡散領域によってソース領域およびドレイン領域が形成される。したがって、pチャネル型MISFETにおいてもソース領域およびドレイン領域はLDD構造をしている。
【0068】
このようにして、深いn型不純物拡散領域および深いp型不純物拡散領域を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
【0069】
その後、半導体基板上にコバルト膜を形成する。このとき、ゲート電極に直接接するようにコバルト膜が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域および深いp型不純物拡散領域にもコバルト膜が直接接する。
【0070】
コバルト膜は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができる。そして、コバルト膜を形成した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極を構成するポリシリコン膜とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜を形成する(S508)。これにより、ゲート電極はポリシリコン膜とコバルトシリサイド膜の積層構造となる。コバルトシリサイド膜は、ゲート電極の低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、深いn型不純物拡散領域および深いp型不純物拡散領域の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜が形成される。このため、深いn型不純物拡散領域および深いp型不純物拡散領域においても低抵抗化を図ることができる。
【0071】
そして、未反応のコバルト膜は、半導体基板上から除去される。なお、本実施の形態1では、コバルトシリサイド膜を形成するように構成しているが、例えば、コバルトシリサイド膜に代えてニッケルシリサイド膜やチタンシリサイド膜を形成するようにしてもよい。
【0072】
次に、半導体基板の主面上に層間絶縁膜となる酸化シリコン膜を形成する(S509)。この酸化シリコン膜は、例えばTEOS(tetra ethyl ortho silicate)を原料としたCVD法を使用して形成することができる。その後、酸化シリコン膜の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0073】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、酸化シリコン膜にコンタクトホールを形成する。そして、コンタクトホールの底面および内壁を含む酸化シリコン膜上にチタン/窒化チタン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、チタン膜と窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜は、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する。
【0074】
続いて、コンタクトホールを埋め込むように、半導体基板の主面の全面にタングステン膜を形成する。このタングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を例えばCMP法を除去することにより、プラグを形成することができる(S510)。
【0075】
次に、酸化シリコン膜およびプラグ上にチタン/窒化チタン膜、銅を含有するアルミニウム膜、チタン/窒化チタン膜を順次、形成する。これらの膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、これらの膜のパターニングを行い、配線を形成する(S511)。さらに、配線の上層に配線を形成するが、ここでの説明は省略する。このようにして、本実施の形態2における半導体装置を形成することができる。
【0076】
上述した半導体装置の製造工程においてもフォトリソグラフィ技術が多用される。そして、フォトリソグラフィ技術では現像処理が実施される。したがって、半導体装置の製造工程においても本発明の現像処理装置を適用することができる。すなわち、半導体装置の製造工程においても、前記実施の形態1で説明した現像処理装置を使用することにより、現像液に含まれるスカムを除去することができる。したがって、現像液中に含まれるスカムを除去することができるので、現像処理のパターン不良を低減することができる。特に、本実施の形態2でも、フィルタを用いずにスカムを現像液中から除去することができるので、フィルタを交換するメンテナンスも必要なく、ランニングコストを低減することができる。さらに、スカムを含む泡を泡が蓄積される際に生じる押し出し力で自然に排出しているので、スカムを含む泡を強制的に排出する強制的排出手段を設ける必要もない。このため、設備投資用のコストを削減することができる。
【0077】
以上のことから、本実施の形態2における現像処理装置によれば、半導体装置の製造工程において、ランニングコストを低減でき、かつ、設備投資用のコストも削減することができる。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0079】
前記実施の形態1では、プラズマディスプレイ装置の製造工程に本発明における現像処理装置を適用する例について説明し、前記実施の形態2では、半導体装置の製造工程に本発明における現像処理装置を適用する例について説明した。本発明における現像処理装置をこれらの製造工程に適用する例は単なる例示にすぎず、フォトリソグラフィ技術で現像処理を行なう様々な工程に適用することができる。例えば、液晶表示装置の製造工程にも本発明による現像処理装置を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、フォトリソグラフィ技術を使用する製造業に幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の製造工程を示すフローチャートである。
【図2】レジスト膜を用いたフォトリソグラフィ工程を示すフローチャートである。
【図3】ドライフィルムを用いたフォトリソグラフィ工程を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1における現像処理装置の構成を示す図である。
【図5】実施の形態1における現像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0082】
1 現像タンク
2 現像液流入部
3 現像液
4 現像液排出部
5 現像処理部
6 仕切り板
7 配管
8 スカム除去部
9 泡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)現像液を貯蔵する現像タンクを備え、
前記現像タンクは、
(a1)現像処理を行なうことにより排出されたスカムと泡を含む現像液を前記現像タンクに流入する現像液流入部と、
(a2)前記現像液流入部より流入した前記現像液に含まれる前記泡であって前記スカムを含む前記泡の生成速度を前記泡の消失速度よりも大きくして前記泡を前記現像タンクに蓄積する泡蓄積部と、
(a3)前記泡蓄積部で蓄積された前記スカムを含む前記泡が前記現像タンクから自然に溢れ出したところを取り込んで前記泡から前記スカムを除去するスカム除去部と、
(a4)前記スカムが除去された前記現像液を現像処理に使用するために前記現像タンクから排出する現像液排出部とを有することを特徴とする現像処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像処理装置であって、
前記泡蓄積部として前記現像タンクに仕切り板を設けることにより前記泡が蓄積される空間を、前記仕切り板を設けない場合よりも小さくすることで、蓄積された前記泡が前記現像タンクから溢れ出しやすくすることを特徴とする現像処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の現像処理装置であって、
前記仕切り板は前記現像タンクに対して斜めに配置され、前記泡が生成される前記現像タンクの液面から上方に行くにつれて前記仕切り板で仕切られる空間が狭くなることを特徴とする現像処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の現像処理装置であって、
前記スカム除去部は、前記スカムを含む前記泡ごと除去することを特徴とする現像処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の現像処理装置であって、
前記現像液流入部による前記現像液の流入方向と、前記現像液排出部による前記現像液の排出方向が反対方向になっていることを特徴とする現像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−159921(P2008−159921A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−348152(P2006−348152)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(599132708)日立プラズマディスプレイ株式会社 (328)
【Fターム(参考)】