説明

現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置

【課題】現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材を上下方向に設置した場合であって、第2搬送経路において現像剤担持体上に担持された現像工程後の現像剤が確実に離脱される、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤Gを長手方向に搬送しながら汲上げ磁極H4の位置で現像剤担持体13aに現像剤Gを供給する第1搬送部材13b1と、剤離れ磁極H3の位置で現像剤担持体13aから離脱された現像剤Gを長手方向に搬送する第2搬送部材13b2と、を具備する。現像剤担持体13aは、剤離れ磁極H3を挟む2つの磁極H2、H4が同極であって、剤離れ磁極H3の極性Nが2つの磁極H2、H4の極性Sと異なるように2つの磁極H2、H4によって剤離れ磁極H3が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の電子写真方式を用いた画像形成装置とそこに設置される現像装置及びプロセスカートリッジとに関し、特に、現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材が上下方向に設置された現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置において、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤(添加剤等を添加する場合も含むものとする。)を収容した現像装置であって、現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材を上下方向に設置する技術が知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
【0003】
2成分現像剤を用いた現像装置は、現像装置内におけるトナー消費に応じて、現像装置の一部に設けられたトナー補給口から現像装置内に適宜にトナーが補給される。補給されたトナーは、現像装置内の現像剤とともに、搬送スクリュ等の搬送部材(撹拌搬送部材)によって撹拌・混合される。撹拌・混合された現像剤は、その一部が現像ローラ(現像剤担持体)に供給される。現像ローラに担持された現像剤は、ドクターブレード(現像剤規制部材)によって適量に規制された後に、その2成分現像剤中のトナーが感光体ドラムとの対向位置で感光体ドラム上の潜像に付着する。なお、現像ローラの内部にはマグネットが固設されていて、このマグネットによって現像ローラの周囲に複数の磁極が形成されている。
【0004】
特許文献1等における現像装置には、第1搬送部材(第1撹拌搬送部材)と第2搬送部材(第2撹拌搬送部材)とが上下方向に設置されていて、この2つの搬送部材によって現像剤の循環経路を形成している。上方に設置された第1搬送部材は、現像剤を長手方向に搬送しながら、汲上げ磁極の位置で現像ローラに現像剤を供給する。下方に設置された第2搬送部材は、剤離れ磁極の位置で現像剤ローラから離脱された現像剤を長手方向(第1搬送部材による搬送方向とは逆方向である。)に搬送する。第1搬送部材による搬送経路(第1搬送経路)の下流側と第2搬送部材による搬送経路(第2搬送経路)の上流側とは第1中継部(中継部)を介して連通している。そして、第1搬送経路の下流側に達した現像剤は、第1中継部を自重落下して第2搬送経路の上流側に達する。ここで、第2搬送経路の上流側には、トナー補給口が設けられていて、新品のトナーが適宜に補給される。また、第1搬送経路の上流側と第2搬送経路の下流側とは第2中継部を介して連通している。そして、第2搬送経路の下流側に達した現像剤(現像ローラから離脱した現像剤と、第1中継部から落下した現像剤と、第2搬送経路の上流側から補給された新品トナーと、が混合されたものである。)は、その位置に留まり押し上げられ、第2中継部を介して第1搬送経路の上流側に移動される。
【0005】
このように複数の搬送部材が上下方向に並設された現像装置は、複数の搬送部材が水平方向に並設された現像装置(例えば、特許文献1の図8等参照)に比べて、現像装置を水平方向にコンパクト化することができる。そのために、複数の現像装置が水平方向に並設されるタンデム型のカラー画像形成装置においては、多く用いられている。また、複数の搬送部材を上下方向に並設して、現像剤担持体に対する現像剤の供給経路(第1搬送経路)と、現像剤担持体から離脱する現像剤の回収経路(第2搬送経路)と、を分離した現像装置は、複数の搬送部材が水平方向に並設された現像装置(例えば、特許文献1の図8等参照)に比べて、現像ローラ上に担持されて現像工程に供する現像剤中に現像工程後のものが含まれにくいために、像担持体上に形成するトナー像の濃度偏差を小さくすることができる。
【0006】
【特許文献1】特開2003−263012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1等の技術は、第2搬送経路において、現像ローラ上に担持された現像工程後の現像剤が離脱されない場合があった。そのため、現像ローラ上に担持されて現像工程に供する現像剤中に現像工程後のものが含まれてしまって、像担持体上に形成するトナー像に濃度偏差が生じてしまうことがあった。
このような不具合は、現像装置を小型化するために現像ローラを小径化する場合には、特に無視できない問題となっていた。すなわち、現像ローラを小径化すると、現像ローラ上に形成される複数の磁極同士が互いに影響し合うために、剤離れ磁極を挟む2つの磁極によって剤離れ磁極の磁束密度が大きくなってしまっていた。したがって、現像ローラの剤離れ磁極の位置での現像剤に対する保持力が大きくなって、現像ローラ上に担持された現像工程後の現像剤が充分に離脱されなくなっていた。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材を上下方向に設置した場合であって、第2搬送経路において現像剤担持体上に担持された現像工程後の現像剤が確実に離脱される、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の請求項1記載の発明にかかる現像装置は、キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成される潜像を現像する現像装置であって、前記像担持体に対向するとともに、周囲に複数の磁極が形成された現像剤担持体と、装置内に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材と、を備え、前記複数の搬送部材は、前記現像剤担持体に対向するとともに、現像剤を長手方向に搬送しながら前記複数の磁極のうち汲上げ磁極の位置で前記現像剤担持体に現像剤を供給する第1搬送部材と、前記現像剤担持体に対向するとともに、前記複数の磁極のうち剤離れ磁極の位置で前記現像剤担持体から離脱された現像剤を長手方向に搬送する第2搬送部材と、を具備し、前記現像剤担持体は、前記剤離れ磁極を挟む2つの磁極が同極であって、前記剤離れ磁極の極性が前記2つの磁極の極性と異なるように前記2つの磁極によって前記剤離れ磁極が形成されたものである。
【0010】
また、請求項2記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1に記載の発明において、前記現像剤担持体は、前記剤離れ磁極の磁束密度が5mT以下になるように形成されたものである。
【0011】
また、請求項3記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記剤離れ磁極は、前記現像剤担持体の回転中心と前記第2搬送部材の回転中心とを結ぶ仮想線分が前記現像剤担持体の外周面に交差する位置に対して前記現像剤担持体の回転方向下流側に配設されたものである。
【0012】
また、請求項4記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明において、前記第1搬送部材による搬送経路の下流側に達した現像剤を前記第2搬送部材による搬送経路の上流側に供給する中継部を備え、装置内に新品のトナーを補給するトナー補給口を前記中継部の近傍に設置したものである。
【0013】
また、請求項5記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の発明において、前記第2搬送部材は、その回転方向が前記現像剤担持体の回転方向と同方向であって、前記現像剤担持体は、前記2つの磁極のうち前記剤離れ磁極に対して前記現像剤担持体の回転方向上流側に配設された磁極が前記第2搬送部材による搬送経路の内壁面の一部に作用して当該搬送経路内の現像剤の一部が前記現像剤担持体上に汲上げられるように形成されたものである。
【0014】
また、請求項6記載の発明にかかる現像装置は、前記請求項5に記載の発明において、前記現像剤担持体は、前記第2搬送部材による搬送経路の内壁面の一部に作用する磁極の磁束密度が50mT以上になるように形成されたものである。
【0015】
また、この発明の請求項7記載の発明にかかるプロセスカートリッジは、画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とが一体化されたものである。
【0016】
また、この発明の請求項8記載の発明にかかる画像形成装置は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを備えたものである。
【0017】
なお、本願において、「プロセスカートリッジ」とは、像担持体を帯電する帯電部と、像担持体上に形成された潜像を現像する現像部(現像装置)と、像担持体上をクリーニングするクリーニング部とのうち、少なくとも1つと、像担持体とが、一体化されて、画像形成装置本体に対して着脱自在に設置されるユニットと定義する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材のうち少なくとも2つの搬送部材を上下方向に設置した場合であって、剤離れ磁極を挟む2つの磁極が同極であって、剤離れ磁極の極性が2つの磁極の極性と異なるように2つの磁極によって剤離れ磁極が形成されているために、第2搬送経路において現像剤担持体上に担持された現像工程後の現像剤が確実に離脱される、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態.
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0020】
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのタンデム型カラー複写機の装置本体、2は入力画像情報に基づいたレーザ光を発する書込み部、3は原稿Dを原稿読込部4に搬送する原稿搬送部、4は原稿Dの画像情報を読み込む原稿読込部、7は転写紙等の記録媒体Pが収容される給紙部、9は記録媒体Pの搬送タイミングを調整するレジストローラ、11Y、11M、11C、11BKは各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナー像が形成される像担持体としての感光体ドラム、12は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上を帯電する帯電部、13は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成される静電潜像を現像する現像装置、14は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成されたトナー像を記録媒体P上に重ねて転写する転写バイアスローラ(1次転写バイアスローラ)、15は各感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の未転写トナーを回収するクリーニング部、を示す。
【0021】
また、16は中間転写ベルト17を清掃する中間転写ベルトクリーニング部、17は複数色のトナー像が重ねて転写される中間転写ベルト、18は中間転写ベルト17上のカラートナー像を記録媒体P上に転写するための2次転写バイアスローラ、20は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置、を示す。
なお、図示は省略するが、各感光体ドラム11Y、11C、11M、11BKの上方には、各色(イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック)のトナー(トナー粒子)を現像装置13に供給する各色のトナー容器がそれぞれ設置されている。
【0022】
以下、画像形成装置における、通常のカラー画像形成時の動作について説明する。なお、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上でおこなわれる作像プロセスについては、図2をも参照することができる。
まず、原稿Dは、原稿搬送部3の搬送ローラによって、原稿台から図中の矢印方向に搬送されて、原稿読込部4のコンタクトガラス5上に載置される。そして、原稿読込部4で、コンタクトガラス5上に載置された原稿Dの画像情報が光学的に読み取られる。
【0023】
詳しくは、原稿読込部4は、コンタクトガラス5上の原稿Dの画像に対して、照明ランプから発した光を照射しながら走査させる。そして、原稿Dにて反射した光を、ミラー群及びレンズを介して、カラーセンサに結像する。原稿Dのカラー画像情報は、カラーセンサにてRGB(レッド、グリーン、ブルー)の色分解光ごとに読み取られた後に、電気的な画像信号に変換される。さらに、RGBの色分解画像信号をもとにして画像処理部で色変換処理、色補正処理、空間周波数補正処理等の処理をおこない、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのカラー画像情報を得る。
【0024】
そして、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色の画像情報は、書込み部2に送信される。そして、書込み部2からは、各色の画像情報に基づいたレーザ光L(図2を参照できる。)が、それぞれ、対応する感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に向けて発せられる。
【0025】
一方、4つの感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKは、それぞれ、図1の時計方向に回転している。そして、まず、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKの表面は、帯電部12との対向部で、一様に帯電される(帯電工程である。)。こうして、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上には、帯電電位が形成される。その後、帯電された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれのレーザ光の照射位置に達する。
書込み部2において、4つの光源から画像信号に対応したレーザ光が各色に対応してそれぞれ射出される。各レーザ光は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色成分ごとに別の光路を通過することになる(露光工程である。)。
【0026】
イエロー成分に対応したレーザ光は、紙面左側から1番目の感光体ドラム11Y表面に照射される。このとき、イエロー成分のレーザ光は、高速回転するポリゴンミラーにより、感光体ドラム11Yの回転軸方向(主走査方向)に走査される。こうして、帯電部12にて帯電された後の感光体ドラム11Y上には、イエロー成分に対応した静電潜像が形成される。
【0027】
同様に、マゼンタ成分に対応したレーザ光は、紙面左から2番目の感光体ドラム11M表面に照射されて、マゼンタ成分に対応した静電潜像が形成される。シアン成分のレーザ光は、紙面左から3番目の感光体ドラム11C表面に照射されて、シアン成分の静電潜像が形成される。ブラック成分のレーザ光は、紙面左から4番目の感光体ドラム11BK表面に照射されて、ブラック成分の静電潜像が形成される。
【0028】
その後、各色の静電潜像が形成された感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、現像装置13との対向位置に達する。そして、各現像装置13から感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に各色のトナーが供給されて、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の潜像が現像される(現像工程である。)。
その後、現像工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、中間転写ベルト17との対向部に達する。ここで、それぞれの対向部には、中間転写ベルト17の内周面に当接するように転写バイアスローラ14が設置されている。そして、転写バイアスローラ14の位置で、中間転写ベルト17上に、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に形成された各色のトナー像が、順次重ねて転写される(1次転写工程である。)。
【0029】
そして、転写工程後の感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、それぞれ、クリーニング部15との対向位置に達する。そして、クリーニング部15で、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上に残存する未転写トナーが回収される(クリーニング工程である。)。
その後、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK表面は、不図示の除電部を通過して、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BKにおける一連の作像プロセスが終了する。
【0030】
他方、感光体ドラム11Y、11M、11C、11BK上の各色のトナーが重ねて転写(担持)された中間転写ベルト17は、図中の時計方向に走行して、2次転写バイアスローラ18との対向位置に達する。そして、2次転写バイアスローラ18との対向位置で、記録媒体P上に中間転写ベルト17上に担持されたカラーのトナー像が転写される(2次転写工程である。)。
その後、中間転写ベルト17表面は、中間転写ベルトクリーニング部16の位置に達する。そして、中間転写ベルト17上に付着した未転写トナーが中間転写ベルトクリーニング部16に回収されて、中間転写ベルト17における一連の転写プロセスが終了する。
【0031】
ここで、中間転写ベルト17と2次転写バイアスローラ18との間(2次転写ニップである。)に搬送される記録媒体Pは、給紙部7からレジストローラ9等を経由して搬送されたものである。
詳しくは、記録媒体Pを収納する給紙部7から、給紙ローラ8により給送された記録媒体Pが、搬送ガイドを通過した後に、レジストローラ9に導かれる。レジストローラ9に達した記録媒体Pは、タイミングを合わせて、2次転写ニップに向けて搬送される。
【0032】
そして、フルカラー画像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルトによって定着装置20に導かれる。定着装置20では、定着ベルトと加圧ローラとのニップにて、カラー画像が記録媒体P上に定着される。
そして、定着工程後の記録媒体Pは、排紙ローラによって、装置本体1外に出力画像として排出されて、一連の画像形成プロセスが完了する。
【0033】
次に、図2〜図6にて、画像形成装置における作像部について詳述する。
図2は、作像部及びトナー容器28を示す構成図である。図3(A)は現像装置13の上部(第1搬送部材としての第1搬送スクリュ13b1の位置である。)を長手方向にみた概略断面図(水平方向の断面図)であって、図3(B)は現像装置13の下部(第2搬送部材としての第2搬送スクリュ13b2の位置である。)を長手方向にみた概略断面図である。図4は、現像装置13の循環経路を長手方向にみた概略断面図(垂直方向の断面図)である。また、図5は、現像ローラ13a上に形成される磁極H1〜H4の磁力分布を示す図である。さらに、図6は、第2搬送経路の下流側における現像剤Gの流れを示す図である。
なお、各作像部はほぼ同一構造であって、各トナー容器もほぼ同一構造であるために、図2〜図6にて作像部及びトナー容器は符号のアルファベット(Y、C、M、BK)を除して図示する。
【0034】
図2に示すように、作像部は、像担持体としての感光体ドラム11、帯電部12、現像装置13(現像部)、クリーニング部15、等で構成される。
像担持体としての感光体ドラム11は、外径が30mm程度の負帯電の有機感光体であって、不図示の回転駆動機構によって反時計方向に回転駆動される。
【0035】
帯電部12は、芯金上に、ウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成した弾性を有する帯電ローラである。帯電部12の中抵抗層の材質としては、ウレタン、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムや、イソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものを用いることもできる。
クリーニング部15は、感光体ドラム11に摺接するクリーニングブラシ(又は、クリーニングブレード)が設置されていて、感光体ドラム11上の未転写トナーを機械的に除去・回収する。
【0036】
現像装置13は、現像剤担持体としての現像ローラ13aが感光体ドラム11に近接するように配置されていて、双方の対向部分には感光体ドラム11と磁気ブラシとが接触する現像領域(現像ニップ部)が形成される。現像装置13内には、トナーTとキャリアCとからなる現像剤G(2成分現像剤)が収容されている。そして、現像装置13は、感光体ドラム11上に形成される静電潜像を現像する(トナー像を形成する。)。なお、現像装置13の構成・動作については、後で詳しく説明する。
【0037】
図2を参照して、トナー容器28は、その内部に現像装置13内に供給するためのトナーTを収容している。具体的に、現像装置13に設置された磁気センサ(不図示である。)によって検知されるトナー濃度(現像剤G中のトナーの割合である。)の情報に基いて、シャッタ駆動部によってシャッタ機構80の開閉動作をおこなって、トナー容器28から現像装置13内に向けてトナーTを適宜に供給する。
なお、トナーTの供給は、トナー濃度の情報に限定されず、感光体ベルトや中間転写ベルト等に形成されたトナー像の反射率等から検知される画像濃度の情報に基づいて実施されてもよい。また、これらの異なる情報を組み合わせて、トナーTの供給の実施を判断してもよい。
供給管29は、トナー容器28から供給されるトナーTを現像装置13内に確実に導くためのものである。すなわち、トナー容器28から排出されたトナーTは、供給管29を介して、トナー補給口13eから現像装置13内に供給される。
【0038】
以下、画像形成装置における現像装置13について詳述する。
図2〜図6を参照して、現像装置13は、現像剤担持体としての現像ローラ13a、搬送部材としての搬送スクリュ13b1、13b2(オーガスクリュ)、現像剤規制部材としてのドクターブレード13c、等で構成されている。
現像剤担持体としての現像ローラ13aは、外径が18mm程度であって、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂等の非磁性体を円筒形に形成してなるスリーブ13a2が不図示の回転駆動機構によって時計方向に回転されるように構成されている。図3及び図5を参照して、現像ローラ13aのスリーブ13a2内には、スリーブ13a2の周面に複数の磁極H1〜H4を形成するマグネット13a1が固設されている。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、現像ローラ13aの矢印方向の回転にともなって搬送されて、ドクターブレード13cの位置に達する。そして、現像ローラ13a上の現像剤Gは、この位置で適量に規制された後に、感光体ドラム11との対向位置(現像領域である。)まで搬送される。そして、現像領域に形成された電界(現像電界)によって、感光体ドラム11上に形成された潜像にトナーが吸着される。
【0039】
図5は、マグネット13a1によって現像ローラ13a(スリーブ13a2)の周囲に形成される複数の磁極H1〜H4を示している。図5に示すように、複数の磁極は、感光体ドラム11との対向位置に形成された主磁極H1、主磁極H1の下流側であって第2搬送経路の内壁面13dの一部にかかる位置に形成された搬送磁極H2、第2搬送経路の上方に形成された剤離れ磁極H3、第1搬送スクリュ13b1との対向位置からドクターブレード13cとの対向位置の近傍にかけて形成された汲上げ磁極H4(ドクタ対向磁極)、等で構成される。
まず、汲上げ磁極H4が磁性体としてのキャリアに作用して、第1搬送経路に収容された現像剤Gが現像ローラ13a上に汲上げられる。現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、その一部がドクターブレード13cの位置で掻き取られて、第1搬送経路に戻される。一方、汲上げ磁極H4による磁力が作用するドクターブレード13cの位置で、ドクターブレード13cと現像ローラ13aとのドクターギャップを通過して現像ローラ13a上に担持された現像剤Gは、主磁極H1の位置で穂立ちして現像領域において磁気ブラシとなって感光体ドラム11に摺接する。こうして、現像ローラ13aに担持された現像剤G中のトナーTが感光体ドラム11上の潜像に付着する。その後、主磁極H1の位置を通過した現像剤Gは、搬送磁極H2によって剤離れ磁極H3の位置まで搬送される。そして、剤離れ磁極H3の位置で、反発磁界がキャリアに作用して、現像ローラ13a上に担持されていた現像工程後の現像剤Gが現像ローラ13aから脱離される。脱離後の現像剤Gは、第2搬送経路内に落下して第2搬送スクリュ13b2によって第2搬送経路の下流に向けて搬送される。
【0040】
2つの搬送スクリュ13b1、13b2(搬送部材)は、現像装置13内に収容された現像剤Gを長手方向(図2の紙面垂直方向である。)に循環しながら撹拌・混合する。
第1搬送部材としての第1搬送スクリュ13b1は、現像ローラ13aに対向する位置に配設されていて、現像剤Gを長手方向(回転軸方向)に水平に搬送する(図3(A)の破線矢印に示す右方向の搬送である。)とともに、汲上げ磁極H4の位置で現像ローラ13a上に現像剤Gを供給(図3(A)の白矢印方向の供給である。)する。
【0041】
第2搬送部材としての第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送スクリュ13b1の下方であって現像ローラ13aに対向する位置に配設されている。そして、現像ローラ13aから離脱した現像剤G(現像工程後に剤離れ磁極H3によって現像ローラ13a上から強制的に離脱された現像剤Gであって、図3(B)の白矢印方向に離脱するものある。)を長手方向に水平に搬送する(図3(B)の破線矢印に示す左方向の搬送である。)。なお、本実施の形態では、第2搬送スクリュ13b2の回転方向が、現像ローラ13aの回転方向と同方向(図2の時計方向である。)になるように設定されている。
そして、第2搬送スクリュ13b2は、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側から中継部としての第1中継部13fを介して循環される現像剤Gを第1搬送部材13b1による搬送経路の上流側に第2中継部13gを介して搬送する(図3(B)の一点鎖線矢印に示す搬送である。)。
2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、現像ローラ13aや感光体ドラム11と同様に、回転軸がほぼ水平になるように配設されている。また、2つの搬送スクリュ13b1、13b2は、軸部にスクリュ部が螺旋状に巻装されたものである。
【0042】
なお、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路(第1搬送経路)と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路(第2搬送経路)と、は壁部によって隔絶されている。
図3及び図4を参照して、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路(第2搬送経路)の下流側と、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路(第1搬送経路)の上流側と、は第2中継部13gを介して連通している。そして、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路において第2中継部13gの近傍に留まって盛り上がった現像剤Gが、第2中継部13gを介して第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の上流側に搬送(供給)されることになる。
また、図3及び図4を参照して、第1搬送スクリュ13b1による搬送経路の下流側と、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の上流側と、は第1中継部13f(中継部)を介して連通している。そして、第1搬送スクリュ13b1による第1搬送経路にて現像ローラ13a上に供給されなかった現像剤Gが、第1中継部13fにて自重落下して、第2搬送経路の上流側に達することになる。
【0043】
このような構成により、2つの搬送スクリュ13b1、13b2によって、現像装置13において現像剤Gを長手方向に循環させる循環経路が形成されることになる。すなわち、現像装置13が稼動されると、装置内に収容された現像剤Gは図3及び図4中の破線矢印の方向に流動する。そして、このように、現像ローラ13aに対する現像剤Gの供給経路(第1搬送スクリュ13a1による第1搬送経路である。)と、現像ローラ13aから離脱する現像剤Gの回収経路(第2搬送スクリュ13a2による第2搬送経路である。)と、を分離することで、感光体ドラム11上に形成するトナー像の濃度偏差を小さくすることができる。
【0044】
なお、図示は省略するが、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路中には、装置内を循環する現像剤のトナー濃度を検知する磁気センサが設置されている。そして、磁気センサによって検知されるトナー濃度の情報に基いて、トナー容器28からトナー補給口13e(第1中継部13fの近傍に配設されている。)を介して現像装置13内に向けて新品のトナーTが供給される。
また、図3、図4を参照して、トナー補給口13eは、第2搬送スクリュ13b2による搬送経路の上流側の上方であって、現像領域から離れた位置(現像ローラ13aの長手方向の範囲の外側である。)に配設されている。このようにトナー補給口13eを第1中継部13fの近傍に設置することで、第2搬送経路において、現像ローラ13aから離脱した現像剤が比重の小さい補給トナーの上方から降りかかり、第2搬送経路の下流側にむけて比較的長い時間をかけて現像剤に対して補給トナーの分散・混合を充分におこなうことができる。
なお、本実施の形態では、トナー補給口13eを第2搬送スクリュ13a2による搬送経路中に配設したが、トナー補給口13eの位置はこれに限定されることなく、例えば、第1搬送経路の上流側の上方に配置することもできる。
【0045】
以下、本実施の形態の現像装置13における、特徴的な構成・動作について説明する。
先に図5で説明したように、マグネット13a1によって現像ローラ13a(スリーブ13a2)の周囲には、4つの磁極(主磁極H1、搬送磁極H2、剤離れ磁極H3、汲上げ磁極H4)が形成されている。ここで、本実施の形態では、剤離れ磁極H3を挟む2つの磁極H2、H4を同極(S極である。)として、剤離れ磁極H3の極性(N極である。)が2つの磁極H2、H4の極性(S極である。)と異なるように、2つの磁極H2、H4によって剤離れ磁極H3が形成されている。このように形成された剤離れ磁極H3は、2つの磁極H2、H4に対して磁束密度ベクトルが反転して、現像ローラ13aの外周面に沿うように磁束密度ベクトルが形成される。したがって、剤離れ磁極H3は、法線方向の磁束密度が極めて小さく、現像ローラ13a上の比較的広い範囲に形成されることになる。
このような構成により、現像ローラ13a上に担持された現像工程後の現像剤Gは、剤離れ磁極H3の位置で現像ローラ13aに対する吸着力(保持力)が低減されて、現像ローラ13aから確実に離脱することになる。すなわち、現像ローラ13aの剤離れ磁極H3の位置における剤離れ性が向上する。
なお、上述の効果を確実なものにするために、剤離れ磁極H3の磁束密度(法線方向の磁束密度である。)が5mT以下になるように形成することが好ましい。具体的には、剤離れ磁極H3の磁束密度が5mT以下になるように、搬送磁極H2及び汲上げ磁極H4の磁力分布が設定される。
【0046】
図7〜図9を用いて、上述した内容について補足的に説明する。
図7は、現像ローラ13a上に形成される法線方向の磁束密度を示す円グラフであって、剤離れ磁極H3と汲上げ磁極H2との境界近傍を始点(0°)として現像ローラ13a上の位置を時計方向(回転方向)に角度表示している。図8は、現像ローラ13a上の位置(図7の角度表示に対応している。)と法線方向の磁束密度との関係を示すグラフであって、図7の円グラフの一部(0〜150°の範囲)を縦横グラフ化したものである。図9は、剤離れ磁極H3の近傍の磁気力を示すグラフであって、横軸の「角度」は図7及び図8中の角度(現像ローラ13a上の位置)に対応している。なお、図8において、磁束密度の+方向はS極を示し、−方向はN極を示す。また、図9において、縦軸(磁気力)の+側は、現像ローラ13aから現像剤を積極的に離す方向の力である。
現像ローラ13a(スリーブ13a2)上に現像剤Gを引き付ける力は、磁気吸引力(磁気力)であって、法線方向(現像ローラ13aから離れる方向である。)に正の値になる。すなわち、磁気吸引力がマイナスの場合は現像剤Gに現像ローラ13aに引き寄せられる力が作用して、磁気吸引力がプラスの場合は現像剤Gに現像ローラ13aから離れる力が作用する。したがって、現像ローラ13aからの剤離れを良好におこなうためには、現像ローラ13aに現像剤Gを引き付ける力を弱くすればよく、好ましくは、剤離れがおこなわれる位置でプラス方向(現像ローラ13aに反発する方向)に力を形成すればよいことになる。
ここで、磁気吸引力(Fr:磁気力)は、以下の式で求めることができる。
Fr=μ0G(μse-1)・(Hr(∂Hr/∂r)+He(∂He/∂r))
なお、上式において、Hrは半径方向の磁界(法線方向の磁束密度)、Heは円周方向の磁界(接線方向の磁束密度)、μ0は真空の当時率、Gは現像剤の体積、rは現像スリーブの半径、μseは現像剤の比実効透磁率、を示す。
上式の通り、磁気力は、磁束密度の大きさと変化量の積に比例するものであるため、磁気力(磁気吸引力)を小さくするには、磁束密度の大きさを小さくすること、又は/及び、磁束密度の変化量(変化率)を小さくすること、が必要となる。
【0047】
図8を参照して、本実施の形態では、剤離れ磁極H3の磁束密度が5mT以下になるように形成している。さらに、剤離れがおこなわれる狙いの位置に対して下流側の位置をも含めた範囲(剤離れの必要がある範囲であって、おおよそ0°〜90°の範囲である。)について磁束密度が全体的に5mT以下になるように形成している。また、磁束密度の変化量に関しても、上述した剤離れの必要性がある範囲(0°〜90°)では5mT未満になるように形成している。これによって、充分に剤離れが可能な、弱い磁気吸引力を持った剤離れ部が形成されることになる。
さらに、本実施の形態では、磁気吸引力が小さいだけではなく、現像ローラ13aから現像剤が積極的に離れるように作用する領域が形成されている。詳しくは、図9を参照して、角度60°の位置近傍から磁気力が+側に移行して、現像剤が現像ローラ13aに対して反発する方向に飛ばされるように形成している。なお、角度85°の位置近傍から磁気力が−側に移行しているが、これは図8を参照して角度80°の位置近傍から法線方向の磁束密度が高まって現像ローラ13aへの吸引力が強まっているためである。
また、現像ローラ13aに対して反発する磁界を形成するには現像ローラ13a表面近傍で磁束密度のベクトルを反転させる必要があるため、図8に示すように角度50°の位置近傍で磁極の極性を反転させている。具体的に、角度50°の位置の上流側で小さなN極を形成することで磁束密度のベクトルを反転させ、図9に示すような反発磁界を形成している。
上述したような反発磁界を有する現像ローラ13aを設計する方法として、磁極配置を決めた後に上述した反対極性を持つ磁束密度をシミュレーションにて設定して、反発磁界が形成されるように磁束密度の波形をシミュレーションにて設定する方法を用いることができる。例えば、このような磁場波形をブロックマグネットによって構成するには、搬送磁極H2の磁場を形成するマグネットをスリーブ表面に近い位置に配置して、剤離れの位置の近傍に過剰な磁場ポテンシャルを付与しないようにすることを考慮するとよい。
【0048】
なお、本実施の形態では、剤離れ磁極H3の磁束密度の大きさ及び変化率を5mT以下としたが、上述したように磁束密度の大きさは小さければ小さいほど、磁束密度の変化率も小さいほど剤離れ性が向上するため、より好ましくは剤離れ磁極H3の磁束密度の大きさ及び変化率を1mT以下に設定するのがよい。
また、磁束密度の変化が小さい領域は、なるべく現像ローラ13aの回転方向に対して幅広い領域を取った方が剤離れがより確実におこなわれるため、例えば、角度60°の位置を超えた範囲において磁束密度の変化を1mT以下に設定することが好ましい。
【0049】
ここで、本実施の形態では、図5を参照して、現像ローラ13aの回転中心と第2搬送スクリュ13b2の回転中心とを結ぶ仮想線分Mが現像ローラ13aの外周面に交差する位置に対して、現像ローラ13aの回転方向下流側に、剤離れ磁極H3が配設されている。
このような構成により、現像ローラ13a上に担持された現像工程後の現像剤Gは、剤離れ磁極H3の位置で、現像ローラ13aに対して接線方向に沿うように離脱して第2搬送経路(第2搬送スクリュ13b2)の真上から落下することになる(図5中の一点鎖線方向の移動である。)。したがって、離脱した現像剤が、比重の小さな補給トナーの上に降りかかるように混合されるために、現像剤に対する補給トナーの分散性が高められる。
【0050】
また、本実施の形態では、図6を参照して、搬送磁極H2(剤離れ磁極H3を挟む2つの磁極H2、H4のうち、剤離れ磁極H3に対して現像ローラ13aの回転方向上流側に配設された磁極である。)が、第2搬送経路の内壁面13dの一部に作用して第2搬送経路内の現像剤Gの一部が現像ローラ13a上に汲上げられるように形成されている。
このような構成により、第2搬送経路の下流側で第2搬送経路内の現像剤の量(高さ)が多くなっても(図4をも参照できる。)、剤離れ磁極H3の位置で離脱される現像剤を第2搬送経路内の現像剤中に効率的に撹拌・混合することができる。すなわち、図6の太線矢印で示すように、剤離れ磁極H3の位置で離脱される現像剤は、第2搬送スクリュ13b2の上方に落下した後に、第2搬送スクリュ13b2の回転に沿って移動しながら第2搬送経路内の現像剤中に撹拌・混合されて、その後に内壁面13dに作用する搬送磁極H2によって現像ローラ13a上に汲上げられて現像工程後の現像剤中に混合される。このような現像剤の循環(図6の太線矢印で示す循環である。)によって、第2搬送経路内の現像剤量が多くなっても、第2搬送経路内の現像剤に対する、離脱した現像剤の分散性を高めることができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、上述した効果を確実なものにするために、第2搬送経路内の現像剤Gの一部が現像ローラ13a上に汲上げられるように内壁面13d(現像ローラ13aの近傍の内壁面である。)に作用する法線方向磁束密度の大きさが、搬送磁極H2の法線方向磁束密度の最大値に対して70%以上になるように設定されている。具体的に、第2搬送経路の内壁面13dに作用する搬送磁極H2の磁束密度(法線方向の磁束密度である。)が50mT以上になるように設定されている。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態では、現像剤Gを長手方向に搬送して循環経路を形成する2つの搬送スクリュ13b1、13b2(搬送部材)を上下方向に設置した場合であって、剤離れ磁極H3を挟む2つの磁極H2、H4が同極であって、剤離れ磁極H3の極性が2つの磁極H2、H4の極性と異なるように2つの磁極H2、H4によって剤離れ磁極H3が形成されている。これにより、法線方向の磁束密度が極めて小さな剤離れ磁極H3が現像ローラ13a(現像剤担持体)上の比較的広い範囲に形成されるために、第2搬送経路において現像ローラ13a上に担持された現像工程後の現像剤Gが確実に離脱されて、出力画像上に画像濃度偏差が生じにくくなる。
【0053】
なお、本実施の形態では、トナー容器28から現像装置13に向けてトナーTを供給したが、トナー容器(現像剤容器)から現像剤G(トナーT及びキャリアC)を現像装置13に向けて供給することもできる。その場合、現像装置13から余剰の現像剤を適宜に排出する手段を設けることになる。このような場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、本実施の形態においては、現像装置13が単体で画像形成装置本体に着脱されるユニットして構成されている画像形成装置に対して、本発明を適用した。しかし、本発明の適用はこれに限定されることなく、作像部の一部又は全部がプロセスカートリッジ化されている画像形成装置に対しても、当然に本発明を適用することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、搬送部材としての搬送スクリュが2つ設置された現像装置13に対して本発明を適用したが、搬送スクリュが3つ以上設置されていてそのうち少なくとも2つの搬送スクリュが上下方向に設置された現像装置に対しても本発明を適用することができる。また、本実施の形態では、現像ローラ13aが1つ設置された現像装置13に対して本発明を適用したが、現像ローラ13aが上下方向に複数設置された現像装置に対しても本発明を適用することができる。さらに、本実施の形態では、現像ローラ13aの周りに形成される磁極H1〜H4の数を4つとしたが、現像ローラ13aの周りに形成される磁極の数を3つ以下又は5つ以上とすることもできる。
それらの場合も、現像ローラの剤離れ磁極の極性がそれを挟む2つの磁極の極性と異なるように2つの磁極によって剤離れ磁極を形成することで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施の形態における画像形成装置を示す全体構成図である。
【図2】作像部を示す構成図である。
【図3】(A)現像装置の上部を長手方向にみた概略断面図と、(B)現像装置の下部を長手方向にみた概略断面図と、である。
【図4】現像装置の循環経路を長手方向にみた概略断面図である。
【図5】現像ローラ上に形成される磁極の磁力分布を示す図である。
【図6】第2搬送経路の下流側における現像剤の流れを示す図である。
【図7】現像ローラ上に形成される法線方向の磁束密度を示す円グラフである。
【図8】現像ローラ上の位置と法線方向の磁束密度との関係を示すグラフである。
【図9】剤離れ磁極の近傍の磁気力を示すグラフである。
【符号の説明】
【0058】
1 画像形成装置本体(装置本体)、
11、11Y、11C、11M、11BK 感光体ドラム(像担持体)、
13 現像装置(現像部)、
13a 現像ローラ(現像剤担持体)、
13b1 第1搬送スクリュ(第1搬送部材)、
13b2 第2搬送スクリュ(第2搬送部材)、
13c ドクターブレード(現像剤規制部材)、
13d 内壁面、
13e トナー補給口、
H1 主磁極、 H2 搬送磁極、
H3 剤離れ磁極、
H4 汲上げ磁極、
G 現像剤(2成分現像剤)、 T トナー、 C キャリア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアとトナーとを有する現像剤を収容するとともに、像担持体上に形成される潜像を現像する現像装置であって、
前記像担持体に対向するとともに、周囲に複数の磁極が形成された現像剤担持体と、
装置内に収容された現像剤を長手方向に搬送して循環経路を形成する複数の搬送部材と、
を備え、
前記複数の搬送部材は、
前記現像剤担持体に対向するとともに、現像剤を長手方向に搬送しながら前記複数の磁極のうち汲上げ磁極の位置で前記現像剤担持体に現像剤を供給する第1搬送部材と、
前記現像剤担持体に対向するとともに、前記複数の磁極のうち剤離れ磁極の位置で前記現像剤担持体から離脱された現像剤を長手方向に搬送する第2搬送部材と、
を具備し、
前記現像剤担持体は、前記剤離れ磁極を挟む2つの磁極が同極であって、前記剤離れ磁極の極性が前記2つの磁極の極性と異なるように前記2つの磁極によって前記剤離れ磁極が形成されたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤担持体は、前記剤離れ磁極の磁束密度が5mT以下になるように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記剤離れ磁極は、前記現像剤担持体の回転中心と前記第2搬送部材の回転中心とを結ぶ仮想線分が前記現像剤担持体の外周面に交差する位置に対して前記現像剤担持体の回転方向下流側に配設されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第1搬送部材による搬送経路の下流側に達した現像剤を前記第2搬送部材による搬送経路の上流側に供給する中継部を備え、
装置内に新品のトナーを補給するトナー補給口を前記中継部の近傍に設置したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記第2搬送部材は、その回転方向が前記現像剤担持体の回転方向と同方向であって、
前記現像剤担持体は、前記2つの磁極のうち前記剤離れ磁極に対して前記現像剤担持体の回転方向上流側に配設された磁極が前記第2搬送部材による搬送経路の内壁面の一部に作用して当該搬送経路内の現像剤の一部が前記現像剤担持体上に汲上げられるように形成されたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤担持体は、前記第2搬送部材による搬送経路の内壁面の一部に作用する磁極の磁束密度が50mT以上になるように形成されたことを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
画像形成装置の装置本体に対して着脱自在に設置されるプロセスカートリッジであって、
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とが一体化されたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の現像装置と前記像担持体とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−258620(P2009−258620A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−283864(P2008−283864)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】