説明

現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置

【課題】小型化対応のため1本の供給回収ローラと直流バイアスを用い、ゴースト画像や画像濃度低下、カスレの無い高品質な画像を形成するのに、現像ローラ上へのトナー塗布供給と現像ローラからのトナー掻き取り能力とを両立させる非磁性一成分の現像装置を提供する。
【解決手段】1本の現像剤の供給回収ローラ43と直流バイアスを用いることで複雑化を避け、供給回収ローラ43を導電性発泡ゴム431からなる内層と絶縁性発泡ゴム432からなる外層で形成し、バイアス電圧の作用を異ならせることで現像ローラ上への現像剤塗布供給と現像ローラからの現像剤の掻き取りを両立させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式に用いられる現像装置に関するものである。さらに、詳細には、ローラ上へのトナー塗布供給と現像ローラからのトナー掻き取り能力とを両立させる非磁性一成分の現像装置及びこれを備えるプロセスカートリッジ、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の現像装置では、トナーを担持した現像ローラが回転し、像担持体である感光体との対向部にトナーを搬送し、感光体表面に形成された静電潜像に対して現像を行っている。
高品位の画像を得るためには、この現像ローラ上でのトナー薄層を形成することが重要となっており、トナー薄層形成方法については種々の方策が提案されている。
例えば、特許文献1には、現像ローラ上にゴムまたは金属製などの弾性ブレードを当接させ、これらの隙間にトナーを通過させて規制することにより、現像ローラ上にトナー薄層を形成し、且つ当接部でトナーを荷電させることが記載されている。
そこで、規制に必要な量のトナーを現像ローラ上に供給するために、トナー供給手段が必要となるが、これにはブラシ材、発泡ゴム材などを用いたトナー供給回収ローラを現像ローラに当接させて、トナーを塗布供給する方法が既に知られている。
【0003】
しかし、このトナー供給回収ローラには、現像ローラへのトナー供給のほかに、感光体へ現像されなかった現像ローラ上の未現像トナーを掻き取るという回収機能を担っている。この機能が不充分である場合、現像ローラ上には既に荷電している未現像トナーと新たに供給された未荷電トナーとが混在する。これらのトナー間での荷電量の違いが原因となり、感光体との対向部に送られた際に現像濃度の違いとして現れてしまう、いわゆるゴースト画像の発生といった問題があった。
そこで、トナー掻き取り機能を高めるため、半導電性の発泡弾性体で供給回収ローラを構成し、そこにトナーの荷電極性とは逆極性の直流バイアス電圧を印加することにより、静電気的な力でトナーを掻き取る方法が知られている。
ところが、この直流バイアス電圧は、トナー掻き取りの作用を高めると同時に、本来必要なトナー塗布供給の作用を阻害するものなので、高濃度画像の印刷が連続すると現像ローラ上へのトナー供給が追いつかなくなり、画像濃度低下やカスレが発生するといった問題があった。
【0004】
また、特許文献2では、現像ローラ上に残った未現像トナーを供給回収ローラ上の未帯電トナーと入れ替えることによってゴースト画像を防止する目的で、体積抵抗値の異なる二層の発泡ゴム層を有する供給回収ローラに交流バイアス電圧を印加した構成の非磁性一成分現像装置が提供されている。この方法は、現像ローラと供給回収ローラとの間に形成された交番電界がトナーを振動させて入れ替えるというものでる。
ただし、その作用効果を得るには、印加される交流バイアスの電圧波形を所望の状態に保つ必要があり、そのためには供給回収ローラの下層の体積抵抗を105Ω・cm以下、上層の体積抵抗を106Ω・cm以上に設定しなければならないために、体積抵抗の調整が困難であり、低コスト化できないという問題がある。
【0005】
しかし、前述の問題点を解決するためには交流バイアス電圧の印加が必須であり、供給回収ローラの体積抵抗条件は、その交流バイアス電圧の働きを有効にするための補助的なものにすぎない。ところが交流バイアス電圧には、振動周期で現像ローラ上のトナー付着状態が変わるために周期的な画像濃度ムラが発生するという不具合点や、電圧を発生させるための電源が高価であるというデメリットがある。
逆に、この供給回収ローラに直流バイアス電圧を印加して用いても、前述したような、トナー塗布供給とトナー掻き取りとが両立しないという問題は解消できない。
【0006】
さらに供給機能と回収機能の両立を図るべく、特許文献3では、トナー供給ローラとトナー回収ローラを別々に設け、トナー供給ローラにはトナーを現像ローラへ塗布供給する方向のバイアス電圧を印加し、回収ローラには現像ローラ上からトナーを剥ぎ取る方向のバイアス電圧を印加するという現像装置が提供されている。ところが現像ローラ周囲に複数のローラを当接させた構成は複雑であり、近年の装置小型化に対応し難いといった問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、現像装置が複雑化することを避け、装置の小型化に対応するため、1本の供給回収ローラと直流バイアスを用いるというシンプルな構成にする。
また、現像ローラ上へのトナー塗布供給と現像ローラからのトナー掻き取り能力とを両立させることのできる非磁性一成分現像装置を提供し、ゴースト画像や画像濃度低下、カスレの無い高品質な画像を得ることを目的とする現像装置及びそれを備える画像形成装置、プロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
本発明の現像装置は潜像担持体上の潜像を現像するための現像剤を収容している現像剤収容室と、潜像担持体に近接または接触して配置された現像剤担持体と、現像剤担持体に圧接して回転することによって現像剤担持体上への現像剤の供給及び現像剤担持体上からの現像剤の剥ぎ取りを行なう現像剤供給回収ローラを備えることを特徴とする。
本発明の現像装置は、さらに前記の現像装置は、導電性発泡ゴムからなる内層と絶縁性発泡ゴムからなる外層を有し、現像剤担持体との圧接による圧縮量αと、外層の厚さTとの関係を α≧T とし、現像剤担持体電位に対して現像剤帯電極性と逆方向のオフセット電圧を現像剤供給回収ローラに印加することを特徴とする。
本発明の現像装置は、さらに前記の現像装置は、少なくとも外層が連通泡構造の発泡ゴムからなることを特徴とする。
本発明の現像装置は、さらに前記の現像装置は、外層を構成する連通気泡構造の発泡ゴム材がポリウレタンフォームであることを特徴とする。
本発明の現像装置は、さらに前記の現像装置は少なくとも内層が独立気泡構造の発泡ゴム材からなることを特徴とする。
本発明の現像装置は、さらに前記の現像装置は、外層の平均セル径が内層の平均セル径よりも大きいことを特徴とする。
本発明の現像装置は、さらに前記の現像装置は、現像剤供給回収ローラに印加する電圧が、現像剤担持体電位に対して現像剤帯電極性と逆方向にオフセットさせた直流電圧に、交流電圧を重畳したものであることを特徴とする。
本発明の現像装置は、さらに前記の現像装置は現像剤供給回収ローラのアスカーC硬度は8度以上30度以下であることを特徴とする。
【0009】
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱可能であって、前記の何れかに記載の現像装置を有することを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、前記の何れかに記載の現像装置又はプロセスカートリッジを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記課題を解決する手段である本発明によって、以下のような特有の効果を奏する。
本発明の現像装置は、一本の供給回収ローラと直流バイアスを用い現像装置の小型化に対応し、さらに現像ローラ上へのトナー塗布装供給と現像ローラからのトナー掻き取り能力を両立させ、ゴースト画像や画像濃度の低下、カスレの無い高品質な画像を提供できる。
さらに、1本の供給回収ローラと直流バイアスを用いるというシンプルな構成でありながらも、現像ローラ上へのトナー塗布供給と現像ローラからのトナー掻き取り作用とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の現像装置を備える画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の現像装置を備える画像形成装置の感光体隣接部分の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の現像装置の全体構成を示す図である。
【図4】本発明の現像装置要部の構成を示す図である。
【図5】本発明の現像装置要部の現像ローラと供給回収ローラの接触状態を示す図である。
【図6】本発明の現像装置を備えるプロセスカートリッジの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
上記記載の本発明の特徴について、以下の図面を用いて詳細に解説する。
図1は、本発明の現像装置を備える画像形成装置の構成を示す図である。
図2は、本発明の現像装置を備える画像形成装置の主要な構成を示す図である。
ここでは、複数の感光体3K、3M、3C、3Yを有する画像形成装置1で説明するが、この形態の画像形成装置1に限定するものではない。さらに、ここでは、それぞれの感光体3K、3M、3C、3Yのトナー量に応じて制御するが、作像ユニット2がすべて同じ形態であり、各々の構成を限定せずに説明する。
本発明の画像形成装置1は、上の方から、トナー画像を形成する像担持体である感光体3等を有する画像形成部6と、そして、その下に給紙装置60とが配置されている。その他に、画像形成部の上方に、画像が形成された記録部材9を積載する排紙トレイ91が配置されている。
画像形成装置1は、その中央部に画像形成部6が配置されている。画像形成部6では、その内部の略中央に、作像ユニットとしてのプロセスカートリッジ2をイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーに対応した4つを並列に転写装置50に沿ってタンデム型に配列している。
【0013】
図1に示すように、本発明の画像形成装置1では、4つのプロセスカートリッジ2を有している。いずれのプロセスカートリッジ2でも同様の構成であり、この図においては、色の区別を示すY、M、C、Kの表示を省略する。各プロセスカートリッジ2は感光体3を有し、各感光体3の周りには、感光体3表面に電荷を与える帯電装置10、感光体3表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置40、感光体3表面に潤滑剤32を塗布する潤滑剤塗布装置30、トナー像転写後の感光体3表面のクリーニングをするクリーニング装置20がそれぞれ配置されている。
また、転写装置50には、ポリイミドやポリアミド等の耐熱性材料からなり、中抵抗に調整された基体からなる無端状ベルトで、4つのローラ531、532、533、534に掛け回して支持され、図中矢印A方向に回転駆動する中間転写体である中間転写ベルト51を備えている。
また、4つのプロセスカートリッジ2の下方には、帯電した各感光体3の表面に各色の画像データに基づいて露光をし、潜像を形成する露光装置4が備えられている。中間転写ベルト51を挟んで、各感光体3と対向する位置には、感光体3上に形成されたトナー像を中間転写ベルト51上に一次転写する一次転写装置として一次転写ローラ52がそれぞれ配置されている。一次転写ローラ52は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。
【0014】
中間転写ベルト51の支持ローラ532で支持された部分の外側には、二次転写装置として二次転写ローラ54が圧接されている。二次転写ローラ54は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。二次転写ローラ54と中間転写ベルト51との接触部が二次転写部であり、中間転写ベルト51上のトナー像が記録部材9に転写される。
中間転写ベルト51の支持ローラ531で支持された部分の外側には、二次転写後の中間転写ベルト51の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置55が設けられている。
二次転写部の上方には、記録部材9上のトナー像を記録部材9に半永久的に定着させる定着装置70が備えられている。定着装置70は、定着ローラ71と、これに対向し、圧接して配置される、内部にハロゲンヒータを有する加圧ローラ72とから構成されている。この他に、定着ローラ71の代わりに、図示しないが、内部にハロゲンヒータを有する加熱ローラ及び定着ローラに巻き掛けられた無端の定着ベルトを用いても良い。
画像形成装置の下部には、記録部材9を載積し二次転写部に向けて記録部材9を送り出す給紙装置60が備えられている。
【0015】
さらに、各部材等に関して詳述する。
感光体3は、アモルファスシリコーン、セレン等の金属物質を用いる感光体3、または、有機感光物質を用いる感光体3がある。ここでは、有機感光体で説明する。感光体3としては、導電性支持体上に、フィラー分散した樹脂層、電荷発生層及び電荷輸送層を有する感光層、その表面にフィラーを分散させた保護層を有する。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型が感度、耐久性において優れている。
電荷発生層は、電荷発生能を有する顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。結着樹脂としてはポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部、好ましくは10〜300質量部が適当である。
また、電荷輸送層は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体3を有用に用いることができる。
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体3を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上、好ましくは10質量%以上、50質量%以下、好ましくは30質量%以下程度が良好である。
【0016】
帯電装置10は、タングステン、モリブデン等の細い金属ワイヤー、または、これらの表面に金属めっきしたワイヤーをアルミニウム製のケース内に張架したコロトロン方式、または、アルミニウム製のケースにグリッドになる金属製のワイヤーを張架しているスコロトロン方式の放電チャージャー方式を用いる。その他に、回転するローラを感光体に接触又は微小の隙間を設けて非接触に対向させるローラ方式がある。いずれの方式でも良い。
帯電部材として導電性芯金の外側に中抵抗の弾性層を被覆して構成される帯電ローラ11を備える。帯電ローラ11は、図示しない電源に接続されており、所定の電圧が印加される。帯電ローラ11は、感光体3に対して接触して配置される。接触していても、円形形状の断面は、感光体3に近接する部分を有している。感光体3に近接している部分で、放電して、感光体3を帯電させることができる。本発明では帯電ローラ11表面に接触してクリーニングする接触帯電ローラ12を搭載するので、オゾンの発生が少なくなり環境に配慮する現在のニーズに適合している。
帯電ローラ11は、電源に接続されており、所定の電圧が印加される。その電圧は、直流(DC)電圧のみでもよいが、DC電圧に交流(AC)電圧を重畳させた電圧であることが好ましい。AC電圧を印加することにより、感光体1表面をより均一に帯電することができる。本実施形態では、DC電圧にAC電圧を重畳させている。帯電ローラ11を感光体3に接触させて、感光体3を帯電させるもので、この接触式の帯電装置10は、従来用いられているコロナ帯電方式に比べて、放電生成物の発生量が極めて少ない、印加電圧が低いため電源のコストが小さくなる、電気絶縁の設計が行いやすい等の利点を有している。もちろん、上記のオゾン、窒素酸化物などによる不具合も低減する。
また、帯電ローラ11は、感光体1に対して微小な間隙をもって配設されてもよい。この微小な間隙は、帯電ローラ11の両端部の非画像形成領域に一定の厚みを有するスペーサ部材を巻き付けるなどして、スペーサ部材の表面を感光体1表面に当接させることで、設定することができる。
【0017】
また、現像装置40は、感光体3と対向する位置に、現像剤を担持して、搬送する現像ローラ41が配置されている。現像ローラ41の下方には、図示しないトナーボトルから投入される現像剤を攪拌しながら搬送するローラ44と、現像ローラ41へ汲み上げる攪拌・搬送するローラ43とが備えられている。現像ローラ41によって搬送される現像剤は、規制部材42によって所定の現像剤層の厚みに規制され、現像ローラ41に担持される。現像ローラ41は、感光体3との対向位置において同方向に移動しながら、現像剤を担持搬送し、トナーを感光体3の潜像面に供給する。
また、図1に示しているが、未使用のトナーが収納された各色のトナーカートリッジ45Y、45C、45M、45Kが、着脱可能に感光体3上部の空間に収納される。図示しないモーノポンプやエアーポンプなどのトナー搬送手段により、各現像装置40に必要に応じトナーを供給するようになっている。消耗の多いブラックトナー用のトナーカートリッジ45Kを、特に大容量としておくことも可能である。
なお、現像装置40に関しては、更に、後述する。
【0018】
クリーニング装置20は、クリーニングブレード21が感光体3と当接・離間する機構を備え、画像形成装置本体の制御部にて、任意に当接・離間させることができる。クリーニングブレード21をカウンタ方式で、感光体3に当接し、これによって、感光体3上に残留するトナー、汚れとして付着している記録部材9のタルク、カオリン、炭酸カルシウム等の添剤を感光体3から除去してクリーニングする。除去したトナー等は、廃トナー回収コイル22で、図示しない廃トナー容器に搬送し、貯留する。
【0019】
図示しない潤滑剤塗布装置は、固定されたケースに収容された固形潤滑剤と、固形潤滑剤に接触して潤滑剤を削り取り、感光体3に塗布する塗布ブラシと、塗布ブラシで塗布された潤滑剤を均す潤滑剤塗布ブレードを備える。固形潤滑剤は、直方体状に形成されており、加圧バネによって塗布ブラシ側に付勢されている。固形潤滑剤2は塗布ブラシによって削り取られ消耗し、経時的にその厚みが減少するが、加圧バネで加圧されているために常時塗布ブラシに当接している。塗布ブラシは、回転しながら削り取った潤滑剤を感光体3表面に塗布する。この画像形成装置1の潤滑剤は、脂肪酸金属塩を含有している。脂肪酸金属塩(A)が、帯電電流により破壊されて、感光体3の表面が破壊されるのを防止すると同時に、帯電電流では破壊されない無機潤滑剤により、潤滑作用が維持されるため、感光体3のクリーニングを良好に維持することが可能となる。
脂肪酸金属塩(A)の例としては、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレインサン銅、オレイン酸鉛、オレイン酸マンガン、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸鉛、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプリン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リシノール酸亜鉛、リシノール酸カドミウム及びそれらの混合物があるが、これに限るものではない。また、これらを混合して使用してもよい。本発明においては、中でもステアリン酸亜鉛が特に感光体への成膜性に優れることから、最も好ましく用いられる。
【0020】
また、本発明の画像形成動作について説明する。
図2に示すように、画像形成装置1は、例えば、単色の電子写真複写機、ファクシミリ、レーザプリンタ、フルカラーレーザプリンタに用いられるものであり、本発明の現像装置40を搭載している。現像装置40に近接して感光体3が配されており、感光体3は、矢印方向に回転している。
帯電ローラ11は、感光体3の表面に圧接されており、感光体3の回転により従動回転している。帯電ローラ11には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体3の表面を所定電位に一様に帯電する。その後、感光体3は露光手段4により与えられる露光に応答して、その表面に静電潜像パターンを形成する。現像装置40には現像ローラ41が感光体3の表面に圧接して備えられており、図示しない高圧電源により所定の現像バイアスが印加されている。現像ローラ41上に供給されたトナーは、現像バイアス電位のもとで感光体3表面の静電潜像パターンに付着し、トナー像を形成する。
一次転写ローラ52には図示しない高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体3表面のトナー像は中間転写ベルト51の表面に転写される。中間転写ベルト51は、図示しない駆動モータによって図中の矢印方向に回転駆動されるようになっている。中間転写ベルト51表面に形成されたトナー像は、二次転写ローラ54に所定の電圧を印加することにより転写材である記録部材9に転写され、定着装置70にて定着され出力される。クリーニング装置20は感光体3表面の転写残トナーのクリーニングを行なう。
【0021】
このときに、現像剤であるトナーとしては、着色剤を添加し、磁性体を含有させない非磁性一成分トナーを用いる。ただし、着色剤とは別に、または、着色剤の代わりとして、磁性体を含有させて、磁性一成分トナーとして用いても良い。
トナーとしては、結着樹脂、着色剤を必須成分として含有する着色粒子に対して、流動性や現像性、帯電性を補助するため外添剤を添加したものを使用する。なお、着色粒子には、必要に応じて離型剤、荷電制御剤、可塑剤を含有していてもよい。
(結着樹脂)
結着樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、エポキシ樹脂、ビニル系樹脂などが挙げられる。また、異なる樹脂が化学的に結合したハイブリッド樹脂を使用してもよい。さらに、樹脂の末端もしくは側鎖に反応性官能基を導入し、トナーの製造過程において結合させることにより伸長させてもよい。
【0022】
(着色剤)
本発明の着色剤としては公知の染料および顔料が使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンおよびそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0023】
また、トナーは、着色剤とは別に、または、着色剤の代わりとして、磁性体を含有させることができる。使用できる磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金。(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。
磁性体として具体的に例示すると、Fe4、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、Fe4、γ−Feの微粉末が好適に挙げられる。
【0024】
(外添剤)
外添剤としては、公知の無機微粒子および高分子系微粒子を好ましく用いることができる。この外添加剤の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、特に5nm〜500nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この外添加剤の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
高分子系微粒子としては、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン(登録商標)などの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0025】
(離型剤)
本発明に使用する離型剤としては、公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。このうち、本発明においては、極性の低いワックスが好適に用いられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックスである。
【0026】
トナー中のワックス含有量は、トナーに対して2〜5重量%である。トナー全量に対するワックス量が2%未満だと、ワックスによる離型効果がなくなり、オフセット防止の余裕度がなくなることがある。一方、5%を超えると、ワックスは低温で溶融するため、熱エネルギー、機械エネルギーの影響を受けやすく、現像部での攪拌時などにワックスがトナー内部から染み出し、現像ローラ41や感光体3に付着し、画像ノイズを発生させることがある。また、OHPシートに印字したとき、印字領域の外側に離型剤が広がり、投影像に画像ノイズとして現れることがある。また、ワックスの示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時の好ましい吸熱ピークの範囲は、60〜90℃、より好ましくは65〜80℃である。吸熱ピークが60℃未満では流動性や耐熱保存性が悪くなり、90℃より高いと定着性が悪くなる傾向がある。
また、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温時の吸熱ピークの好ましい半値幅は8℃以下、より好ましくは6℃以下である。8℃よりも広い、いわゆる吸熱ピークがブロードであるような場合、流動性や耐熱保存性の悪化が見られる。
【0027】
(荷電制御剤)
トナーは、必要に応じて荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩および、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ PSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0028】
(トナーの製造方法について)
トナーの製造方法は、特に限定されないが、溶解懸濁法、懸濁重合法、乳化凝集法等の公知の湿式造粒法、および、結着樹脂等を溶融し、混練した後に、粗細・微粉砕し、更に乾式分級する乾式粉砕法などが挙げられる。
【0029】
図3は、本発明の現像装置の構成を詳細に示す図である。
現像装置40は、トナーを収容するトナー収容室46に、複数のトナー搬送部材44と、現像ローラ41と、現像ローラ41に当接して設けられた供給回収ローラ43と、層規制部材42が設けられている。現像ローラ41には、現像バイアス電圧が印加され、感光体3表面との間に形成された電界パターンに従ってトナーを移動させることにより、感光体3表面にトナー像を形成するものである。
トナー収容室内46に設けられたトナー搬送部材44は時計回りの方向で回転し、収容されたトナーをトナー供給回収ローラ43の方向に送り出すようになっている。
供給回収ローラ43は、その表面に空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、現像ローラ41に押込んで接触した状態に配置される。供給回収ローラ43は反時計回りの方向に回転し、表面に付着保持したトナーを現像ローラ41との対向位置へと搬送する。現像ローラ41への押込みによる発泡材料の変形によって、保持していたトナーを現像ローラ41表面へと送り出して、塗布供給する。
また、供給回収ローラ43には回収バイアス電源48から回収バイアスが印加され、現像ローラ41との間に回収電界を形成する。回収バイアスは現像ローラ41に対してトナーの帯電極性と逆方向にオフセットさせた値の直流電圧である。このときに、供給回収ローラ43に印加する電圧が、直流電圧に交流電圧を重畳して用いることが好ましい。先に現像ローラ41表面に付着していたトナーに静電気力による振動を与えることにより回収バイアス電界に応答しやすくなり、現像ローラ41からのトナー剥ぎ取り効率が高められる。
この回収バイアスを作用させるために、供給回収ローラ43を構成する発泡材料には導電性の付与されたものが用いられる。
先に、現像ローラ41表面に付着していたトナーに静電気力により回収バイアス電界に応答しやすくなり、現像ローラ41からのトナー剥ぎ取り効率が高められる。
【0030】
層規制部材42は、SUS304CSP、SUS301CSP、リン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ41表面に10〜100N/mの押圧力で当接させたもので、その押圧力下を通過したトナーを薄層化するとともに摩擦帯電によって電荷を付与する。
現像ローラ41は反時計回りの方向に回転し、供給回収ローラ43によって塗布供給されたトナーを表面に保持したまま、層規制部材42および感光体3との対向位置へと搬送する。必要量のトナーを表面に保持するためには、表面粗さがRa0.2〜2.0μmに設定されていることが望ましい。
現像ローラ41には、弾性ゴム層を被覆したローラが用いられ、感光体3との接触状態を均一に保つために、JIS−Aで50度以下の硬度に設定される。
また、本発明では、現像ローラ41と感光体3との接触部で過剰な負荷を発生することなく安定した押圧力を得ることができ、供給ローラ43から現像ローラ41へのトナー塗布供給量が使用環境や耐久による変動が少なく画像濃度が安定することから、供給回収ローラ43のアスカーC硬度を8度以上30度以下とする。
【0031】
さらに、本発明では層規制部材42でトナーを摩擦帯電するにあたり、現像ローラ41表面にはトナーと逆の極性に帯電し易い材料からなる表面層が設けられる。感光体3は時計回りの方向に回転しており、従って現像ローラ41表面は感光体3との対向位置において感光体3の進行方向と同方向に移動する。現像ローラ41には現像バイアス電源47から現像バイアスが印加され、感光体3上の静電潜像パターンとの間に現像電界を形成する。帯電したトナーは、その現像電界に応じて感光体3表面に移動し、現像される。この現像バイアスを作用させるために、現像ローラ41には、弾性ゴム層と表面層を含めた電気抵抗値が、10〜1010Ωの半導電性のものが用いられる。感光体3上に現像されずに現像ローラ41上に残されたトナーが再びトナー収容室46側へと戻る部分には、入り口シール49が現像ローラ41に当接して設けられ、トナーは現像装置40の外部に漏れ出ないように封止される。
現像ローラ41と感光体3は接触して記載されているが、非接触で配置されていてもかまわない。また、感光体3はドラム状の形態が記載されているが、ベルト状の形態であってもかまわない。
【0032】
図4は、本発明の現像装置の主要部の構成を示す図である。
供給回収ローラ43は、金属シャフトの外周に導電性発泡ゴム層431を設け、さらにその外側に絶縁性発泡ゴム層432を設けた構成となっている。静電気的な力でトナーを剥ぎ取るためには、絶縁性発泡ゴム層432の圧縮によって、導電性発泡ゴム層431を現像ローラ41表面に接近させ、回収バイアスの作用を発現させる。
供給回収ローラ43を現像ローラ41に当接させ、当接部での移動方向が逆になるように現像ローラ41と供給回収ローラ43を回転させた場合、当接部の入口付近で、供給回収ローラ43に搬送されてきたトナーが、現像ローラ41との衝突や発泡ゴム層の圧縮により、供給回収ローラ43から弾き出されて現像ローラ41表面へと塗布供給される。一方で、当接部の中央付近は、発泡ゴム層が最も圧縮されて復元力が最大となる箇所であり、ここで現像ローラ41上の未現像トナーの多くが掻き取られることがわかった。供給回収ローラ43に掻き取り方向の直流バイアス電圧を印加したときに、当接部中央付近ではバイアス電界が作用して静電気的な力でトナーを掻き取る一方で、当接部入口付近ではバイアス電界を働かさず、トナーの塗布供給を阻害しないようにすれば、塗布供給と掻き取りを両立させることができる。そこで、導電性発泡ゴム層431として発泡ゴムの下層にのみ導電性を付与し、絶縁性発泡ゴム層432として上層を絶縁性にした供給回収ローラ43を現像ローラ41に当接して設け、当接による圧縮量を上層の厚み以上にすれば、当接部中央付近では上層が潰されて下層が現像ローラ41に近接するので、バイアス電圧が作用してトナーが静電気的な力で掻き取られ、当接部入口付近では絶縁性である上層によってバイアスが遮断されるので、トナーはそのまま塗布供給される
【0033】
また、少なくとも内層の導電性発泡ゴム層431は例えばポリウレタンゴムの発泡体に導電材を分散したもので、独立気泡構造を備えている。導電性発泡ゴム層431を独立気泡構造の発泡ゴム材にすることで、トナーの導電性発泡ゴム層431の内部への浸入を防止できるので、供給回収ローラ43全体としてのゴム弾性を維持することが可能となる。
絶縁性発泡ゴム層432に独立気泡構造の発泡ゴム材を用いた場合、圧縮により潰されたセル壁が障害となって現像ローラ41と導電性発泡ゴム層431が隔てられ、回収バイアスの効果が不充分となる。
そこで、少なくとも、絶縁性発泡ゴム層432を独立気泡構造の発泡ゴム材で構成すれば、セル壁の大多数が貫通しているので圧縮したときに潰されやすくなる。よって、導電性発泡ゴム層431を現像ローラ41表面に接近させて、充分な回収電界を形成することができる。
絶縁性発泡ゴム層432に用いる連通気泡構造の発泡ゴム材としては、発泡骨格構造のポリウレタンフォームが最も適している。発泡ゴム硬度を低く設定しながらも圧縮残留歪を比較的小さく抑えることができるので、当接部での押圧力を経時で安定させやすく、長期保管や耐久後の状態でも、供給回収ローラ43から現像ローラ41へのトナー塗布供給量を確保することができる。ポリウレタンゴム以外にも、エピクロルヒドリンゴム、シリコンゴム、EPDM等の種々のゴムでも良く、ゴム中にカーボン等の導電材を分散して、体積抵抗を102〜106Ω・cm程度の抵抗に調整して用いる。
また、供給回収ローラ43は、外層の絶縁性発泡ゴム層432の平均セル径が、内層の導電性発泡ゴム層431の平均セル径よりも大きくする。絶縁性発泡ゴム層432に比べて導電性発泡ゴム層431のほうが圧縮により潰れやすい材料である場合、当接部では導電性発泡ゴム層431が圧縮変形するのみで、絶縁性発泡ゴム層432はほとんど圧縮されることはなく、回収バイアスの効果を得ることが難しい。そこで、導電性発泡ゴム層431に比べて絶縁性発泡ゴム層432のほうが、圧縮により潰れやすい材料とすることで、当接部において導電性発泡ゴム層431を現像ローラ41の表面に接近させることが容易となり、充分な回収電界を形成することができる。
【0034】
図5は、本発明の現像装置の現像ローラと供給回収ローラの接触状態を示す図である。図5に示すように、供給回収ローラ43は現像ローラ41に当接するように配置される。このとき、現像ローラ41の弾性層として、供給回収ローラ43に用いる発泡ゴムよりも硬度の高いゴムを用いることにより、当接部では供給回収ローラ43の発泡ゴムが圧縮された状態となる。そこで現像ローラ41の軸中心Pと供給回収ローラ43の軸中心Qとの間の距離Lを、現像ローラの半径R1と供給回収ローラ43の半径R2を合計した値よりもαだけ短くなるように設定した場合、当接部における供給回収ローラ43の圧縮量はαで表わすことができる。
【0035】
図5で示したように絶縁性発泡ゴム層432の厚さTとするときに、圧縮量αを厚さTよりも大きくなるように設定する。すると、絶縁性発泡ゴム層432の大部分は圧縮によって潰されるため、当接部における絶縁性発泡ゴム層432の実質的な厚みは、当接部の中央において最小となり、ほとんどゼロに等しい状態となる。
絶縁性発泡ゴム層432に比べて導電性発泡ゴム層431の方が圧縮により潰れやすい材料である場合、当接部では導電性発泡ゴム層431が圧縮変形するのみで、絶縁性発泡ゴム層432はほとんど圧縮されることはなく、回収バイアスの効果を得ることが難しい。そこで、前述したように導電性発泡ゴム層431に比べて絶縁性発泡ゴム層432の方が圧縮により潰れやすい材料とすることで、絶縁性発泡ゴム層432の厚さTより圧縮量αを大きくし当接部において導電性発泡ゴム層431を現像ローラ41の表面に接近させることが容易となり、充分な回収電界を形成することができる。
さらに、供給回収ローラ43には軸を経由して回収バイアス電源48が電気的に接続されており、回収バイアス電圧が印加される。導電性発泡ゴム層431の最外周面の電位は回収バイアス電圧の値と等しくなるので、当接部の中央においては、現像ローラ41の表面との電位差によって強い回収電界が形成され、その作用により静電気的な力でトナーを掻き取ることができる。一方当接部の入り口付近や出口付近では、現像ローラ41と導電性発泡ゴム層431とは絶縁性発泡ゴム層432を介して離れているため、回収電界を極端に弱めることができ、トナーの塗布供給を阻害しない。そのため、塗布供給と掻き取りの両立が可能となる。
したがって、本発明の現像装置40に用いるトナーの供給回収ローラ43に対して、発泡ゴムの下層にのみ導電性を付与し、上層を絶縁性にした供給回収ローラ43を現像ローラ41に当接して設け、当接による圧縮量を上層の絶縁性発泡ゴム層432の厚み以上に設定する。この供給回収ローラ43に掻き取り方向のバイアス電圧を印加すると、当接部中央付近では上層が潰されて下層が現像ローラ41に近接するので、バイアス電圧が作用してトナーが静電気的な力で掻き取られ、当接部入口付近では絶縁性である上層の絶縁性発泡ゴム層432によってバイアスが遮断されるので、トナーはそのまま塗布供給されることが特徴になっている。
【0036】
図6は本発明の現像装置を備えるプロセスカートリッジの構成を示す図である。
プロセスカートリッジ2は、画像形成装置1に搭載することができ、静電潜像を担持する静電潜像担持体である感光体3と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、現像剤を用いて現像し可視像を形成する現像装置40とを、少なくとも有する。
さらに、感光体3を有し、各感光体3の周りには、感光体3表面に電荷を与える帯電装置10、感光体3表面に形成された潜像を各色トナーで現像してトナー像とする現像装置40、感光体3表面に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置(図示しない)、トナー像転写後の感光体3表面のクリーニングをするクリーニング装置20がそれぞれ配置されている。
図6では、これで、一つのプロセスカートリッジ2を形成しているが、プロセスカートリッジ2は、感光体3と、帯電装置10、現像装置40、クリーニング装置20、潤滑剤塗布装置30のいずれか1つ以上を一体的に支持していて、画像形成装置1に着脱可能になっていればよい。また、少なくとも、感光体3と、潤滑剤塗布装置30とを備えていることが好ましい。その他の帯電装置10等を含むプロセスカートリッジ2であることにより、作像手段が一体化され、セット性、メンテナンス性に優れ、かつ現像装置40、帯電装置10、クリーニング装置20等の対感光体位置精度が良くなる。
【符号の説明】
【0037】
1 画像形成装置
2 プロセスカートリッジ
3 感光体
4 露光装置
6 画像形成部
9 記録部材
10 帯電装置
11 帯電ローラ
12 帯電ローラクリーナー
20 クリーニング装置
21 クリーニングブレード
22 廃トナー回収ローラ
30 潤滑剤塗布装置
40 現像装置
41 現像ローラ
42 層規制部材/規制部材
43 供給回収ローラ
431 導電性発泡ゴム層
432 絶縁性発泡ゴム層
44 トナー搬送部
45 トナーカートリッジ
46 現像バイアス電源
47 回収バイアス電源
50 転写装置
51 中間転写ベルト
52 一次転写手段/ローラ
53 支持ローラ
531、532、533、534 支持ローラ
54 二次転写手段/ローラ
55 中間転写ベルトクリーニング装置
60 給紙装置
61 給紙ユニット
62 給紙ローラ
63 レジストローラ
70 定着装置
71 定着ローラ
72 加圧ローラ
90 排紙装置
91 排紙トレイ
92 排紙口
93 排紙ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】特開昭54−43038号公報
【特許文献2】特開2001−249532号公報
【特許文献3】特開平05−333679号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体上の潜像を現像する現像剤を収容している現像剤収容室と、
前記潜像担持体に近接又は接触して配置される現像剤担持体と、
該現像剤担持体に圧接して回転することによって現像剤担持体上への現像剤の供給及び現像剤担持体上からの現像剤の剥ぎ取りを行なう現像剤供給回収ローラとを備える現像装置において、
前記現像剤供給回収ローラは、
導電性発泡ゴムからなる内層と絶縁性発泡ゴムからなる外層とを有し、
前記現像剤担持体との圧接による圧縮量αと弐外層の厚さTとの関係を、 α≧T とし、
前記現像剤担持体の電位に対して現像剤帯電極性と逆方向のオフセット電圧を現像剤供給回収ローラに印加する
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1に記載に記載の現像装置において、
前記現像剤供給回収ローラは、
前記外層が、連通気泡構造の発泡ゴム材からなる
ことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の現像装置において、
前記現像剤供給回収ローラは、
前記外層がポリウレタンフォームである
ことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置において、
前記現像剤供給回収ローラは、
前記内層が、独立気泡構造の発泡ゴム材からなる
ことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の現像装置において、
前記現像剤供給回収ローラは、
前記外層の平均セル径が、前記内層の平均セル径よりも大きい
ことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の現像装置において、
前記現像剤供給回収ローラに印加する電圧が、直流電圧に交流電圧を重畳している
ことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の現像装置において、
前記現像剤供給回収ローラのアスカーC硬度が、8度以上30度以下である
ことを特徴とする現像装置
【請求項8】
少なくとも、潜像を担持する像担持体と、潜像担持体上の潜像を現像する現像装置と、を含んで一体に支持され、画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
前記プロセスカートリッジは、請求項1ないし7のいずれかに記載の現像装置を備える
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項9】
潜像を形成する像担持体と、
該像担持体を帯電する帯電装置と、
前記像担持体を露光し、像担持体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記像担持体にトナー像を形成する現像装置と、
該トナー像を記録部材に直接又は中間転写体を介して転写する転写装置と、
前記像担持体に残留した未転写のトナーを清掃するクリーニング装置と、を備える画像形成装置において、
前記画像形成装置は、請求項1ないし7のいずれかに記載の現像装置又は請求項8に記載のプロセスカートリッジを備える
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−215500(P2011−215500A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85497(P2010−85497)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】